(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室外から取り込んだ空気を室内へ供給する給気通路と、室内から取り出した空気を室外へ排気する排気通路と、空気が通流する複数の領域間で通気性吸湿体からなるデシカントロータを回転駆動させて当該空気の除湿及び加湿を行うロータ部とを備え、少なくとも冷房運転を実行可能な空調システムであって、
室外から取り込んだ空気を通流する第1作用通路を、前記排気通路と第1接続部にて接続する状態で、前記給気通路とは別に備え、
前記ロータ部として、
前記給気通路に配置される第1給気領域と前記排気通路で前記第1接続部より下流側に配置される第1排気領域との間で第1デシカントロータを回転駆動させる第1ロータ部と、
前記給気通路における前記第1給気領域よりも下流側に配置される第2給気領域と前記第1作用通路に配置される第1作用領域との間で第2デシカントロータを回転駆動させる第2ロータ部とを備え、
前記冷房運転時において、前記給気通路の前記第1給気領域と前記第2給気領域との間の空気を、前記排気通路を通流する空気で冷却する第1熱交換部と、
前記冷房運転時において、前記排気通路における前記第1接続部と前記第1排気領域との間の空気を加熱する第1冷房用加熱部とを備える空調システム。
前記給気通路を通流する空気流量と、前記排気通路を通流する空気流量と、前記第1作用通路を通流する空気流量とを、各別に調整可能な空気流量調整機構を備える請求項1に記載の空調システム。
前記排気通路の前記第1接続部の下流側には、前記排気通路を通流する空気と前記第1作用通路を通流する空気の双方を吸入して下流側へ送り出す送風手段を備えている請求項1又は2に記載の空調システム。
【背景技術】
【0002】
上記のような空調システムとして、ロータ部を複数備えたものが知られている(特許文献1を参照)。
当該特許文献1に開示の空調システムでは、その
図1に示されるように、屋外から取り込んだ空気を屋内へ供給する給気通路12と、屋内の空気を吸い出して屋外へ排気する排気通路14とを備え、ロータ部として、給気通路12に配設される第1給気領域3aと第1給気領域3aの下流側に配設される第2給気領域3bとの間で第1デシカントロータ3を回転駆動させる第1ロータ部と、給気通路12における第1給気領域3aと第2給気領域3bとの間に配設された第3給気領域1aと排気通路14に配設される第1排気領域1bとの間で第2デシカントロータ1を回転駆動させる第2ロータ部とを備えている。
更に、給気通路12で第1給気領域3aと第3給気領域3bとの間を通流する空気と排気通路14で第1排気領域1bの上流側を通流する空気とを熱交換する第1熱交換部4と、給気通路12で第3給気領域1aと第2給気領域3bとの間を通流する空気と排気通路14で第1熱交換部4と第1排気領域1bとの間を通流する空気とを熱交換する第2熱交換部2と、排気通路14で第2熱交換部2を通流した後の空気を加熱する加熱部16とを備えている。
上述の構成により、特許文献1に開示の空調システムでは、冷房運転時において、屋外から取り込まれた空気を、第1ロータ部の第1給気領域3aで除湿し、第1熱交換部4にて冷却し、第2ロータ部の第3給気領域1aで除湿し、第2熱交換部2にて冷却し、第1ロータ部の第2給気領域3bで再生して、屋外空気よりも低湿・低温の空調用空気として、屋内へ供給することができる。
【0003】
更に、出願人は、空調性能の改良を図るべく、上記特許文献1に開示の技術の改良発明として、
図10に示す空調システムを開発した。
当該空調システムでは、
図10に示すように、特許文献1に開示の構成における第1熱交換部4に替えて、第1給気領域D1aの上流側における給気通路R1から分岐した第1作用通路R3を備え、当該第1作用通路R3を通流する空気と、給気通路R1で第1給気領域D1aと第2給気領域D2aとの間を通流する空気とを熱交換する第3熱交換部10を備えている。
当該構成により、
図10に示す空調システムでは、冷房運転時において、冷房運転時において、屋外から取り込まれた空気を、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aで除湿し、第3熱交換部10にて冷却し、第2ロータ部D2の第3給気領域D2aで除湿し、第2熱交換部11にて冷却し、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bで再生して、比較的低湿・低温の空調用空気として、屋内へ供給することができる。
尚、
図10の各通路部位P1〜P11での流体の温度・相対湿度・絶対湿度・流量、及びP12、P13での温水の温度・流量は、
図18の表に示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示の技術、及び
図10に示される空調システムでは、何れも、冷房運転時において、給気通路を通流する空調用の空気が、第1ロータ部の第1給気領域及び第2給気領域を通流する構成を採用している。このため、第1ロータ部の吸湿側である第1給気領域を通流する空気の流量と、再生側である第2給気領域を通流する空気の流量とが同一となり、それらを各別に調整することができない。即ち、当該構成では、第1ロータ部の吸湿側の空気流量と、再生側の空気流量とを各別に調整できないことにより、空調用の空気の湿度・温度の調整が制限されていたため、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、比較的簡易な構成を採用しながらも、空調用の空気の湿度・温度等を調整する空調性能を高めることができる空調システム及び運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の空調システムは、
室外から取り込んだ空気を室内へ供給する給気通路と、室内から取り出した空気を室外へ排気する排気通路と、空気が通流する複数の領域間で通気性吸湿体からなるデシカントロータを回転駆動させて当該空気の除湿及び加湿を行うロータ部とを備え、少なくとも冷房運転を実行可能な空調システムであって、その特徴構成は、
室外から取り込んだ空気を通流する第1作用通路を、前記排気通路と第1接続部にて接続する状態で、前記給気通路とは別に備え、
前記ロータ部として、
前記給気通路に配置される第1給気領域と前記排気通路で前記第1接続部より下流側に配置される第1排気領域との間で第1デシカントロータを回転駆動させる第1ロータ部と、
前記給気通路における前記第1給気領域よりも下流側に配置される第2給気領域と前記第1作用通路に配置される第1作用領域との間で第2デシカントロータを回転駆動させる第2ロータ部とを備え、
前記冷房運転時において、前記給気通路の前記第1給気領域と前記第2給気領域との間の空気を、前記排気通路を通流する空気で冷却する第1熱交換部と、
前記冷房運転時において、前記排気通路における前記第1接続部と前記第1排気領域との間の空気を加熱する第1冷房用加熱部とを備える点にある。
【0008】
上記特徴構成によれば、特に、冷房運転時において、給気通路を通流する空調用の空気が、第1ロータ部の第1給気領域で除湿され、第1熱交換部にて冷却され、第2ロータ部の第2給気領域で冷却されて、比較的低温・低湿となった状態で、室内へ供給される。
ここで、本発明では、上記給気通路とは別に、室外から取り込んだ空気を通流する第1作用通路、及び室内から取り出した空気を室外へ排気する排気通路とを備えており、当該排気通路を通流する空気が第1ロータ部の第1排気領域を通過すると共に、第1作用通路を通流する空気が第2ロータ部の第1作用領域を通過する。
即ち、上記構成では、第1ロータ部の第1給気領域及び第1排気領域の夫々に別の通路の空気を通過させると共に、第2ロータ部の第2給気領域及び第1作用領域の夫々にも別の通路の空気を通過させている。これにより、各ロータ部の複数の領域の夫々を通過する空気流量を各別に設定できるようになり、空調用の空気の温度及び湿度の調整幅を広げることができる。
特に、第1ロータ部の再生側である第1排気領域には、排気通路を通流する空気と、当該排気通路に第1接続部を介して接続される第1作用通路を通流する空気とを合わせた大流量の空気を通過させることができるため、第1ロータ部に設けられる第1デシカントロータを効果的に再生することができる。これにより、第1ロータ部の吸湿側の第1給気領域を通過する空調用の空気を効果的に除湿して、空調性能を高めることができる。
【0009】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記給気通路を通流する空気流量と、前記排気通路を通流する空気流量と、前記第1作用通路を通流する空気流量とを、各別に調整可能な空気流量調整機構を備える点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、空気流量調整機構が、給気通路、排気通路、及び第1作用通路の夫々を通流する空気流量を各別に調整できるから、それにより、第1、第2デシカントロータの夫々の複数の領域を通流する空気流量を各別に調整して、所望の空調性能を発揮できる。
【0011】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記排気通路の前記第1接続部の下流側には、前記排気通路を通流する空気と前記第1作用通路を通流する空気の双方を吸入して下流側へ送り出す送風手段を備えている点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、送風手段を、排気通路の第1接続部の下流側に設けることで、当該送風手段により、排気通路を通流する空気と第1作用通路を通流する空気の双方を吸入できるから、夫々の通路に各別に送風手段を設ける場合に比べ、構成の簡略化を図ることができる。
【0013】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記給気通路と前記第1作用通路との双方に室外の空気を供給する単一の共通供給路が設けられている点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、単一の共通供給路により、給気通路及び第1作用通路との双方に室外の空気を供給するから、構成を簡素化できる。
【0015】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
暖房運転時において、前記給気通路における前記第1給気領域の上流側の空気を加熱する暖房用加熱部を備え、
前記排気通路は、前記暖房運転時において、前記室内から取り出した空気を前記第1熱交換部をバイパスさせるバイパス路を有する点にある。
【0016】
暖房運転時には、給気通路を通流する空調用の空気のうち、第1ロータ部の第1給気領域を通過する空気は比較的高温になっており、第1熱交換部にて排気通路を通流する比較的低温の空気と熱交換させると温度が低下する虞があるため、第1熱交換部に排気通路を通流する空気を通過させないことが好ましい。一方で、排気通路を通流する空気は、第1ロータ部の第1排気領域へ通過させる必要がある。
上記特徴構成によれば、排気通路が、第1熱交換部をバイパスするバイパス路を備えているから、暖房運転時において、排気通路を通流する空気を、第1熱交換部を通過させることなく、比較的高温を維持した状態で、第1ロータ部の第1排気領域を通過させることができ、適切に暖房運転を実行できる。
【0017】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記給気通路及び前記第1作用通路とは別に、室外から取り込んだ空気を通流する第2作用通路を備え、
前記給気通路における前記第1給気領域よりも上流側に配置された第3給気領域と前記第2作用通路に配置された第2作用領域との間で第3デシカントロータを回転駆動させる第3ロータ部を備え、
前記冷房運転時において、前記給気通路で前記第3給気領域と前記第1給気領域との間の空気と、前記第2作用通路で前記第2作用領域の上流側の空気とを熱交換させる第2熱交換部と、
前記冷房運転時において、前記第2作用通路で前記第2熱交換部と前記第2作用領域との間の空気を加熱する第2冷房用加熱部とを備える点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、第1、第2ロータ部に加え、第3ロータ部を備えている場合に、特に冷房運転時において、当該第3ロータ部の吸湿側の第3給気領域に給気通路を通流する空気を通過させると共に、第3ロータ部の再生側の第2作用領域に第2作用通路を通流する空気を通過させる構成を採用しているから、第3ロータ部に設けられる第3デシカントロータの再生側の領域と吸湿側の領域を通過する空気の流量を各別に調整できる。これにより、空調用の空気の温度・湿度の調整の範囲を拡大でき、空調性能を向上できる。
【0019】
本発明の空調システムの更なる特徴構成は、
前記第2作用通路の前記第2作用領域の下流側を、前記排気通路の前記第1排気領域の下流側へ合流させる第2接続部を備え、
前記排気通路の前記第2接続部の下流側には、前記排気通路を通流する空気と前記第2作用通路を通流する空気の双方を吸入して室外へ送り出す送風手段が設けられている点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、送風手段が、排気通路の第2接続部の下流側に設けられているから、当該送風手段により、排気通路を通流する空気と第2作用通路を通流する空気の双方を吸入することができ、夫々の通路に対して各別に送風手段を設ける場合に比べて、構成の簡素化を図ることができる。
【0021】
これまで説明してきた空調システムの運転方法の特徴構成は、
前記第1ロータ部及び前記第2ロータ部を駆動状態とし、前記バイパス路に空気を通流しない非バイパス状態で前記排気通路に空気を通流し、前記第1作用通路に空気を通流している状態で、前記給気通路を通流する空気を屋内に供給する前記冷房運転を実行する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、屋内を冷房する冷房運転を適切に実行できる。
【0023】
これまで説明してきた空調システムの運転方法の特徴構成は、
前記第1ロータ部及び前記第2ロータ部を駆動状態とし、前記バイパス路に空気を通流するバイパス状態で前記排気通路に空気を通流し、前記第1作用通路に空気を通流している状態で、前記給気通路を通流する空気を屋内に供給する前記暖房運転を実行する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、屋内を暖房する暖房運転を適切に実行できる。
【0025】
これまで説明してきた空調システムの運転方法の特徴構成は、
前記暖房運転で投入エネルギ量を低減した運転である暖房セーブ運転において、
前記第1ロータ部を駆動状態とし、前記第2ロータ部を停止状態とし、前記バイパス路に空気を通流するバイパス状態で前記排気通路に空気を通流し、前記第1作用通路に空気を通流しない状態で、前記給気通路を通流する空気を屋内に供給する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、第2ロータを停止状態とし、第1作用通路に空気を通流させないので、その分だけ投入エネルギ量を低減でき、暖房運転において投入エネルギ量の少ない運転である暖房セーブ運転を適切に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1実施形態に係る空調システムの冷房運転を示す概略構成図
【
図2】第1実施形態に係る空調システムの暖房セーブ運転を示す概略構成図
【
図3】第1実施形態に係る空調システムの暖房運転を示す概略構成図
【
図4】デシカントロータの吸湿側と再生側とを通流する空気の流量比と空調性能の関係を示すグラフ図
【
図5】本発明の吸湿側と再生側とを通流する空気の流量比を変化させた場合の空調性能を示す表
【
図6】本発明の吸湿側と再生側とを通流する空気の流量比を変化させた場合の空調用の空気の降温効果を示すグラフ図
【
図7】第2実施形態に係る空調システムの冷房運転を示す概略構成図
【
図8】第2実施形態に係る空調システムの暖房セーブ運転を示す概略構成図
【
図9】第2実施形態に係る空調システムの暖房運転を示す概略構成図
【
図11】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図12】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図13】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図14】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図15】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図16】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図17】第1実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図1に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図18】
図10の従来技術の空調システムで冷房運転の実行時において、
図10に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図19】第2実施形態の空調システムで冷房運転の実行時において、
図7に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図20】第1、2実施形態の空調システムで暖房セーブ運転の実行時において、
図2、8に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【
図21】第1、2実施形態の空調システムで暖房運転の実行時において、
図3、9に示す各通路部位での流体の温度・湿度・流量等を示す表
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
本願の空調システム100及びその運転方法は、比較的簡易な構成を維持しながらも、空調対象空間の屋内に供給される空調用の空気の温度・湿度等を調整する空調性能を向上させたものに関する。
本発明の空調システム100の第1実施形態について、
図1〜6、11〜17に基づいて説明する。
第1実施形態の空調システム100は、屋外から取り込んだ空気を屋内へ供給する給気通路R1と、屋内から取り出した空気を屋外へ排気する排気通路R2と、給気通路R1とは別に屋外から取り込んだ空気を通流する第1作用通路R3とを備えている。そして、給気通路R1、排気通路R2、第1作用通路R3を通流する空気の除湿・加湿を行うべく、空気が通流する複数の領域間で通気性吸湿体からなるデシカントロータD1c、D2cを回転駆動させる第1ロータ部D1及び第2ロータ部D2とを備えて構成されている。
尚、第1作用通路R3の下流端は、排気通路R2に第1接続部K1で接続されている。給気通路R1及び排気通路R2の夫々の出口部には、夫々の通路から空気を吸入する第1ファンF1、第2ファンF2が設けられている。当該第1ファンF1、第2ファンF2を作動させることにより、給気通路R1、排気通路R2、及び第1作用通路R3の夫々に空気が通流する。ここで、第2ファンF2は、その作動により、排気通路R2と第1作用通路R3との双方の空気を通流させる送風手段として働く。
尚、詳細については後述するが、排気流路R2には、その通路を通流する空気流量を調整可能な流量調整弁21、22が設けられており、第1作用通路R3には、その通路を通流する空気流量を調整可能な流量調整弁24が設けられている。第1ファンF1、第2ファンF2の回転速度、及び当該流量調整弁21、22、24の開度を調整することにより、給気通路R1、排気通路R2、及び第1作用通路R3の夫々を通流する空気の流量を、各別に調整可能に構成されている。当該流量調整弁21、22、24、第1ファンF1、及び第2ファンF2が、空気流量調整機構として働く。
また、給気通路R1と第1作用通路R3との双方には、単一の共通供給路R0から空気が供給されており、構成の簡素化を図っている。
【0029】
第1ロータ部D1、第2ロータ部D2の構成について説明する。第1ロータ部D1、第2ロータ部D2は、実質的に同一の構成を有するので、以下では、第1ロータ部D1の構成について説明する。
第1ロータ部D1に設けられるデシカントロータD1cは、モータ等の回転機構部M1により、回転される回転軸に中心部が固定されて比較的ゆっくりした所定の回転速度で回転駆動し、複数の通路に配設される領域D1a、D1bを横断する姿勢で配設された円盤状又は円柱状の部材として構成されている。当該デシカントロータD1cは、回転軸に沿う方向に貫通する多数の通路が形成されたハニカム状に形成されており、各領域D1a、D1bにおいて空気がデシカントロータD1cを貫通する状態で通過する。当該デシカントロータD1cは、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等の公知の吸着剤を担持して、通気性吸湿体とされている。
このようなデシカントロータD1cを備えたロータ部D1は、複数の領域D1a、D1bのうち、一方の領域に比較的低温の空気が通過することにより、当該空気がデシカントロータD1cの吸湿時の放熱作用による温度上昇を伴って除湿され、それによりデシカントロータD1cは空気の水分を吸着した状態となる。その水分を吸着したデシカントロータD1cの部分が上記回転駆動により他方の領域に移動することになる。
一方、複数の領域D1a、D1bのうち他方の領域に比較的高温の空気が通過することで、その空気はデシカントロータD1cの放湿時の吸熱作用による温度低下を伴って加湿され、それによりデシカントロータD1cは上記吸着した水分を脱着させて再生されることとなる。その再生されたデシカントロータD1cの部分が上記回転駆動により上記一方の領域に移動することになる。
このようにして、ロータ部D1は、複数の領域D1a、D1bを通過する夫々の空気の除湿と加湿とを行うことができるように構成されている。
【0030】
上述の如く空気の除湿・加湿を実行可能な第1ロータ部D1は、給気通路R1に配置される第1給気領域D1aと排気通路R2で第1接続部K1より下流側に配置される第1排気領域D1bとの間で第1デシカントロータD1cを回転駆動させるように構成されている。一方、第2ロータ部D2は、給気通路R1における第1給気領域D1aよりも下流側に配置される第2給気領域D2aと第1作用通路R3に配置される第1作用領域D2bとの間で第2デシカントロータD2cを回転駆動させる。
【0031】
さらに、本空調システム100にあっては、各通路を通流する空気を加熱・冷却するべく、以下の如く構成されている。
給気通路R1における第1給気領域D1aと第2給気領域D2aとの間の空気と、排気通路R2の第1接続部K1の上流側を通流する空気とを熱交換する第1熱交換部11が設けられている。本実施形態においては、当該第1熱交換部11を直交式の顕熱交換器により構成している。
尚、
図2に示す回路状態での暖房セーブ運転時(暖房運転に含まれる概念で、暖房運転より省エネの運転)、
図3に示す回路状態での暖房運転時では、給気通路R1を通流する空気のうち、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aを通過した後の空気は、比較的高温になっており、第1熱交換部11にて排気通路R2を通流する比較的低温の空気と熱交換させると、その温度が低下する虞があるため、第1熱交換部11に排気通路R2を通流する空気を通過させないことが好ましい。一方で、しかしながら、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bには、その領域に位置する第1デシカントロータD1cに吸湿させるべく、空気を通過させる必要がある。そこで、排気通路R2は、暖房セーブ運転時及び暖房運転時において、第1熱交換部11をバイパスするバイパス路R2aを備えると共に、排気通路R2を通流する空気を、第1熱交換部11を通過する側とバイパス路R2aを通流する側とで切り換える開閉弁21、22が設けられている。尚、当該開閉弁21、22は、上述した流量調整弁21、22とにより構成できる。
【0032】
排気通路R2には、第1接続部K1の下流側で、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aの上流側を通流する空気を加熱する第1冷房用加熱部12が設けられている。当該第1冷房用加熱部12は、図示しない熱源により加熱された温水が通流する湯水通路R6と、第1給気領域D1aの上流側の排気通路R2とが、互いを通流する流体が熱交換可能な状態で配設されており、温水の熱により空気が加熱される。
【0033】
給気通路R1には、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aの上流側を通流する空気を加熱する暖房用加熱部10が設けられている。当該暖房用加熱部10は、図示しない熱源により加熱された温水が通流する温水通路R5と、第1給気領域D1aの上流側の給気通路R1とが、互いを通流する流体が熱交換可能な状態で配設されており、温水の熱により空気が加熱される。
【0034】
次に、これまで説明した空調システム100により実行される、冷房運転、暖房セーブ運転、及び暖房運転を、記載順に説明する。
〔冷房運転〕
冷房運転時には、
図1に示すように、暖房用加熱部10は、その温水通路R5に温水を通流しない非作動状態であり、第1冷房用加熱部12は、その温水通路R6に温水を通流する作動状態であり、排気通路R2は、第1熱交換部11に空気を通流させる状態(非バイパス状態)であり、第1ロータ部D1、第2ロータ部D2の双方は、駆動状態である。
当該状態において、給気通路R1を通流する空気は、非作動状態の暖房用加熱部10を通過し、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aにて除湿され、第1熱交換部11で屋内から取り出された空気RAとの熱交換により降温し、第2ロータ部D2の第2給気領域D2aにて降温した後、比較的低温・低湿の空調用の空気SAとなって、屋内に供給される。
第1作用通路R3を通流する空気は、第2ロータ部D2の第1作用領域D2bにて昇温した後、第1接続部K1にて排気通路R2を通流する空気と合流する。
排気通路R2を通流する空気は、第1熱交換部11で給気通路R1を通流する比較的高温の空気との熱交換により昇温し、第1接続部K1にて第1作用通路R3を通流する空気と合流し、作動状態の第1冷房用加熱部12にて加熱され、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bを通過して、その領域に位置する第1デシカントロータD1cを再生した後、排気EAとして屋外へ排出される。これにより、第1排気領域D1bには、排気通路R2を通流する空気と、第1作用通路R3を通流する空気とを合わせた大流量で高温の空気が通流されるから、その領域に位置する第1デシカントロータD1cを良好に再生できる。
尚、当該冷房運転時において、
図1の各通路部位P1〜P11での空気の温度・相対湿度・絶対湿度・流量、及びP12〜P13での温水の温度・流量を、
図11〜17の表に示している。
図11〜
図17に示す表の夫々では、冷房運転時で屋内に供給される空調用の空気SA(給気通路R1を通流する空気)の流量を一定に保った状態で、排気通路R2を通流する空気の流量、及び第1作用通路R3を通流する空気の流量が異なった状態を示している。
詳細については後述するが、
図11〜
図17の表に示されるように、空調用の空気SAは、排気通路R2を通流する空気の流量、及び第1作用通路R3を通流する空気の流量を変更することにより、その温度・湿度を調整できていることがわかる。当該調整により、空調用の空気は、
図18の表に示す従来技術のものよりも、低温側・低湿度側に調整できる。
【0035】
〔暖房セーブ運転〕
暖房セーブ運転は、上述したように、投入エネルギを低減した状態で実行できる省エネの暖房運転である。当該暖房セーブ運転時には、
図2に示すように、暖房用加熱部10は、その温水通路R5に温水を通流する作動状態であり、第1冷房用加熱部12は、その温水通路R6に温水を通流しない非作動状態であり、排気通路R2は、空気を第1熱交換部11の側に通流させずバイパス路R2aの側に通流させる通流状態(バイパス状態)であり、第1ロータ部D1は駆動状態であり、第2ロータ部D2は停止状態である。
つまり、当該暖房セーブ運転では、単一のロータ部のみを駆動状態としている。
当該状態において、給気通路R1を通流する空気は、作動状態の暖房用加熱部10を通過し加熱され、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aを通過し加湿され、第1熱交換部11を熱交換しない状態で通過し、停止状態の第2ロータ部D2の第2給気領域D2aを通過し、比較的高温・高湿の空調用の空気SAとなって、屋内へ供給される。
第1作用通路Rには、第2ロータ部D2は停止状態でありその第1作用領域D2aに空気を通流させる必要がないため、空気を通流させない。
排気通路R2を通流する空気は、バイパス路R2aを通流し、非作動状態の第1冷房用加熱部12を通過し、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bを通過して、その領域に位置する第1デシカントロータD1cにて除湿された後、排気EAとして屋外へ排出される。
尚、当該暖房セーブ運転時において、
図2の各通路部位P1〜P5での空気の温度・相対湿度・絶対湿度・流量、及びP6、P7での温水の温度・流量を、
図20の表に示している。
【0036】
〔暖房運転〕
暖房運転は、上述した暖房セーブ運転と比較して、投入エネルギの大きい暖房運転であり、当該暖房運転時における空調用の空気SAは、上記暖房セーブ運転時における空調用の空気SAと比較して高湿にできる。当該暖房運転時には、
図3に示すように、暖房用加熱部10は、その温水通路R5に温水を通流する作動状態であり、第1冷房用加熱部12は、その温水通路R6に温水を通流しない非作動状態であり、排気通路R2は、空気を第1熱交換部11の側に通流させずバイパス路R2aの側に通流させる通流状態(バイパス状態)であり、第1ロータ部D1、第2ロータ部D2は、何れも駆動状態である。
つまり、当該暖房運転では、双方のロータ部を駆動状態としている。
当該状態において、給気通路R1を通流する空気は、作動状態の暖房用加熱部10を通過し加熱され、駆動状態の第1ロータ部D1の第1給気領域D1aを通過し加湿され、第1熱交換部11を熱交換しない状態で通過し、駆動状態の第2ロータ部D2の第2給気領域D2aを通過して加湿され、比較的高温・高湿の空調用の空気SAとなって、屋内へ供給される。
第1作用通路R3を通流する空気は、駆動状態の第2ロータ部D2の第1作用領域D2bを通過して除湿された後、第1接続部K1にて排気通路R2を通流する空気と合流する。
排気通路R2を通流する空気は、バイパス路R2aを通流し、第1接続部K1にて第1作用通路R3を通流する空気と合流し、非作動状態の第1冷房用加熱部12を通過し、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bを通過して、その領域に位置する第1デシカントロータD1cにて除湿された後、排気EAとして屋外へ排出される。これにより、第1排気領域D1bには、排気通路R2を通流する空気と第1作用通路R3を通流する空気とを合わせた大流量の空気を通流できるから、当該空気の有する湿分を、その領域に位置する第1デシカントロータD1cに良好に吸湿させることができ、その領域に位置する第1デシカントロータD1cが第1給気領域D1aに位置したときに、当該第1給気領域D1aを通過する空調用の空気SAを十分に加湿することができる。
尚、当該暖房運転時において、
図3に示す各通路部位P1〜P8での空気の温度・相対湿度・絶対湿度・流量、及びP9、P10での温水の温度・流量を、
図21の表に示している。
【0037】
本願は、ロータ部D1、D2の複数の領域の夫々を通流する空気の流量を、各別に調整可能な構成を採用することにより、屋内に供給される空調用の空気の温度・湿度を調整する空調能力を調整可能にしている。
以下、当該構成の性能を評価する試験を以下に説明する。当該試験では、ロータ部のデシカントロータ(日本エクスラン工業(株)『エクスロータ』(コルゲートサイズ:ss、厚み100mm、直径210mm)を40rph(h
-1)の回転速度で回転させ、当該デシカントロータに対し、温度が30℃で相対湿度が60%の吸湿側空気と、温度が32℃で相対湿度が25%の再生側空気とを、それらの流量比を変化させながら通流し、各流量比における吸湿効率(理想的に吸湿した場合の吸湿量に対する実際の吸湿量の割合)・及び再生効率(理想的に再生した場合の再生量に対する実際の再生量の割合)を求めた。
また、デシカントロータの通流前と通流後の吸湿側空気の温度及び湿度と、再生側空気の温度及び湿度を測定し、吸湿側空気及び再生側空気の夫々につき、単位湿度変化量当たりの温度変化量を求めた。
試験結果を
図4のグラフ図に示す。
【0038】
図4の試験結果を示すグラフ図からわかるように、吸湿側空気と再生側空気との流量比を変化させることにより、デシカントロータの吸湿効率、及び再生効率を変化できていることがわかる。
具体的には、吸湿効率は、吸湿側空気流量/再生側空気流量の値が大きくなるほど、低くなる傾向があり、再生効率は、吸湿側空気流量/再生側空気流量の値が大きくなるほど、大きくなる傾向がある。
また、吸湿側空気及び再生側空気の夫々において、単位湿度変化量当たりの温度変化量についても、吸湿側空気流量/再生側空気流量の値に依存して、変化していることがわかる。
以上より、吸湿側空気流量/再生側空気流量を制御することにより、ロータ部における空調能力を調整できることがわかる。
【0039】
次に、上述した空調システム100において、冷房運転を実行する場合に、第2ロータ部D2の第2給気領域D2aを通過する空気(SA)の流量と、第2ロータ部D2の第1作用領域D2bを通過する空気(OA)の流量との流量比を変更させた場合における、SAとOAとの温度差ΔTを計算により求めた。
計算結果を、
図5、
図6に示す。尚、
図5におけるA〜Hの各状態は、
図6のA〜Hに対応している。また、A〜Hの各状態における詳細データは、
図11〜18の表の夫々に示している。
図5、6の計算結果に示されるように、発明者らは、本発明の空調システム100の構成を採用して、SA/OAの流量比を調整することにより、OAの温度からのSAの温度の低下度合を調整できるという知見を得た。特に
図6に示されるように、本発明の空調システム100にあっては、SA/OAを大きくするほど、SAの温度をOAの温度から低下できる。
【0040】
〔第2実施形態〕
当該第2実施形態の空調システム100は、上記第1実施形態の空調システム100の構成に加えて、空気を通流する第2作用通路R4を備えると共に、第3ロータ部D3、第2熱交換部13、及び第2冷房用加熱部14とを備えて、空調能力の向上を図っている点が異なっている。
以下、第1実施形態の空調システム100と異なる構成を説明すると共に、同一の構成については同一の符号を付すこととし、その説明を割愛することがある。
【0041】
第2作用通路R4は、その下流側において、排気通路R2の下流端が接続する第2接続部K2が設けられている。当該第2接続部K2の上流側には、第2作用通路R4を通流する空気の流量を調整可能な流量調整弁23が設けられており、第2接続部K2の下流側には、上述した第2ファンF2が設けられている。
当該構成において第2ファンF2を作動させることにより、排気通路R2、第1作用通路R3、及び第2作用通路R4のすべてから空気を吸い込み下流側へ送り出すことができる。
また、単一の共通供給路R0は、給気通路R1、第1作用通路R3、及び第2作用通路R4の上流側と接続されており、それらの通路のすべてに空気を供給する。
【0042】
第3ロータ部D3は、給気通路R1における第1給気領域D1aよりも上流側に配置された第3給気領域D3aと第2作用通路R4に配設された第2作用領域D3bとの間で第3デシカントロータD3cをモータ等の回転駆動部M3により回転駆動する。
【0043】
各通路を通流する空気を加熱・冷却するものとして以下の構成が採用されている。
第2熱交換部13は、給気通路R1で第3給気領域D3aと第1給気領域D1aとの間の空気と、第2作用通路R4で第2作用領域D3bの上流側の空気とを熱交換させる直交式の顕熱交換器である。
第2冷房用加熱部14は、第1冷房用加熱部12を通過した後の湯水を通流する温水通路R6と、第2熱交換部13と第2作用領域D3bとの間の第2作用通路R4とが配設されている。当該第2冷房用加熱部14により、第2作用通路R4で第2熱交換部13と第2作用領域D3bとの間を通流する空気が、湯水により加熱される。
尚、第2作用通路R4は、冷房運転時に空気を通流し、暖房セーブ運転時及び暖房運転時には空気を通流しないため、上記第2熱交換部13は冷房運転時にのみ熱交換を行うと共に、上記第2冷房用加熱部14は冷房運転時にのみ湯水が通流する作動状態となる。
【0044】
次に、第2実施形態に係る空調システム100により実行される、冷房運転、暖房セーブ運転、及び暖房運転を、記載順に説明する。
〔冷房運転〕
冷房運転時には、
図7に示すように、暖房用加熱部10は、その温水通路R5に温水を通流しない非作動状態であり、第1冷房用加熱部12及び第2冷房用加熱部14は、その温水通路R6に温水を通流する作動状態であり、排気通路R2は、第1熱交換部11に空気を通流させる状態(非バイパス状態)であり、第1ロータ部D1、第2ロータ部D2、及び第3ロータ部D3は、駆動状態である。
当該状態において、給気通路R1を通流する空気は、非作動状態の暖房用加熱部10を通過し、第3ロータ部D3の第3給気領域D3aにて除湿され、第2熱交換部13にて第2作用通路R4を通流する低温の空気との熱交換により降温し、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aにて除湿され、第1熱交換部11で屋内から取り出された低温の空気との熱交換により降温し、第2ロータ部D2の第2給気領域D2aにて降温した後、比較的低温・低湿の空調用の空気SAとなって、屋内に供給される。
第1作用通路R3を通流する空気は、第2ロータ部D2の第1作用領域D2bにて除湿された後、第1接続部K1にて排気通路R2を通流する空気と合流する。
第2作用通路R4を通流する空気は、第2熱交換部13にて給気通路R1を通流する比較的高温お空気との熱交換により昇温し、第2冷房用加熱部14にて加熱された後、第3ロータ部D3の第2作用領域D3bを通過し、その領域に位置する第3デシカントロータD3cを再生した後、第2接続部K2にて排気通路R2を通流する空気と合流する。
排気通路R2を通流する空気は、第1熱交換部11で給気通路R1を通流する比較的高温の空気との熱交換により昇温し、第1接続部K1にて第1作用通路R3を通流する空気と合流し、作動状態の第1冷房用加熱部12にて加熱された後、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bを通過して、その領域に位置する第1デシカントロータD1cを再生した後、排気EAとして屋外へ排出される。
尚、当該冷房運転時において、
図7の各通路部位P1〜P15での空気の温度・相対湿度・絶対湿度・流量、及びP16〜P18での温水の温度・流量を、
図19の表に示している。
【0045】
〔暖房セーブ運転、暖房運転〕
暖房セーブ運転、暖房運転では、第3ロータ部D3は駆動させず、第2作用通路R4にも空気を通流させない(流量調整弁23を閉止状態とする)とし、他の構成については、第1実施形態の暖房セーブ運転、暖房運転と同一の状態である。このため、
図8,9の各通路部位における空気の温度・相対湿度・絶対湿度・流量は、第1実施形態のものと同一(
図20、21の表に示すものと同一)となる。
そこで、ここではその詳細な説明を割愛する。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記第1実施形態では、第1接続部K1の下流側に、ファンF2を設け、当該ファンF2が、第1接続部K1への接続前の複数の通路(排気通路R2及び第1作用通路R3)から空気を吸入し下流側へ送り出す構成を採用し、夫々の通路における空気流量は、通路に設けられる流量調整弁の開度の調整により、各別に調整する構成を示した。
また、上記第2実施形態では第2接続部K2の下流側に、ファンF2を設け、当該ファンF2が、第1接続部K1及び第2接続部K2への接続前の複数の通路(排気通路R2、第1作用通路R3、第2作用通路R4)から空気を吸入し下流側へ送り出す構成で、夫々の通路における空気流量は、通路に設けられる流量調整弁の開度の調整により、各別に調整する構成を示した。
しかしながら、上記第1、2実施形態においては、第1接続部K1又は第2接続部K2の上流側で、複数の通路の夫々に、ファンを設ける構成を採用しても構わない。この場合、各通路を流れる空気流量の調整は、ファンの回転速度を調整すれば足りるため、流量調整弁を省略することができる。
【0047】
(2)上記第2実施形態では、第2作用通路R4を排気通路R2に接続する第2接続部K2を備える構成を示したが、当該第2接続部K2を省略した構成を採用しても構わない。即ち、第2作用通路R4を排気通路R2に接続せず、第1作用通路R3を通流する空気が、第3ロータ部D3の第2作用領域D3bを通過した直後に、屋外へ排出する構成を採用しても構わない。
【0048】
(3)上記第1、2実施形態において、第1熱交換部11は、直交式の顕熱交換器を採用したが、別に、顕熱交換ロータを有する顕熱ロータ部を採用しても構わない。当該構成を採用する場合、給気通路R1を通流する空気を、顕熱ロータ部の一部の領域に通過させると共に、排気通路R2を通流する空気を、顕熱ロータ部の他部の領域を通過させ、当該一部の領域と他部の領域を横断する状態で顕熱交換ロータを配設し、顕熱交換ロータを回転駆動するモータ等の回転駆動機構を設ける。
これにより、冷房運転時においては、顕熱ロータ部を駆動状態とすることで、給気通路R1を通流する空気と排気通路R2を通過する空気とを熱交換させる。一方、暖房セーブ運転時、暖房運転時には、顕熱ロータ部を停止状態とすることで、給気通路R1を通流する空気と排気通路R2を通過する空気とを熱交換させずに通過させる。
当該構成にあっては、バイパス路R2a及び流量調整弁21、22を省略することができる。
【0049】
(4)上記第1、2実施形態では、排気通路R2を通流する空気の流量を調整すると共に、排気通路R2を通流する空気を、第1熱交換部11を通過する側とバイパス路R2aを通流する側とで切り換える弁として、第1熱交換部11の側へ導かれる空気が通流する通路に設けられる流量調整弁21と、バイパス路R2aに設けられる流量調整弁22とを示した。
しかしながら、当該流量調整弁21、22は、排気通路R2で第1熱交換部11の側とバイパス路R2aの側とに分岐する分岐部に切替弁23を備えると共に、その上流側に流量調整機能を有する流量調整弁を備える構成等、適宜変更することができる。
【0050】
(5)上記第1、2実施形態では、暖房セーブ運転において、第1作用通路R3に空気を通流させない例を示したが、当該第1作用通路R3に空気を通流させても構わない。これにより、第1ロータ部D1の第1排気領域D1bにおける第1デシカントロータD1cへの吸湿量を増加させ、第1ロータ部D1の第1給気領域D1aを通過する空調用の空気を、より十分に加湿することができる。