(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073193
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】検針用携帯端末
(51)【国際特許分類】
G06K 9/20 20060101AFI20170123BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20170123BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
G06K9/20 340C
G08C19/00 301B
G08C15/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-139043(P2013-139043)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-11674(P2015-11674A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 浩
(72)【発明者】
【氏名】木暮 賢一
(72)【発明者】
【氏名】堀 淳二
【審査官】
新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−208763(JP,A)
【文献】
特開2003−272076(JP,A)
【文献】
特開2000−182021(JP,A)
【文献】
特開2003−242587(JP,A)
【文献】
特開2006−285303(JP,A)
【文献】
特開2003−323553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 9/00−9/82
G08C 15/00
G08C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測メータの検針に使用する検針用携帯端末において、
計測メータの画像データを取得するカメラ部と、
計測メータの仕様に関する仕様情報と、この仕様情報に関連付けられた、計測メータ内における検針情報の配置に関する配置情報とを記憶する記憶部と、
カメラ部により得られた画像データから、文字情報を認識する文字認識部と、
文字認識部により認識された文字情報及び前記記憶部に記憶された仕様情報に基づいて計測メータの仕様を特定する計測メータ仕様特定部と、
計測メータ仕様特定部により特定された計測メータの仕様に対応する配置情報を記憶部から選出する配置情報選定部と、
配置情報選定部により選定された配置情報と画像データとを重ね合わせて画像データ内における検針情報の領域を特定する検針情報特定部と、
を有し、
文字認識部は、検針情報特定部により特定された領域内の文字情報を認識する、
ことを特徴とする検針用携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の検針用携帯端末において、
文字認識部が、前記領域内の文字情報を認識できない場合、カメラ部が、再び画像データを取得することを特徴とする検針用携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の検針用携帯端末において、
カメラ部が、再び画像データを取得する場合、検針用携帯端末の表示部に表示される配置情報内の検針情報の位置と、計測メータ内の検針情報の位置とが重なるように画像データを取得することを特徴とする検針用携帯端末。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の検針用携帯端末において、
計測メータ仕様特定部により特定された計測メータの仕様と、実施の計測メータの仕様とが一致するか否かを判定する計測メータ仕様判定部を有する、ことを特徴とする検針用携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測メータの検針に使用される検針用携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来における計測メータの検針は、作業員が、例えば電力メータのメータ値(指針値)などの検針情報を目視で読み取り、その読み取った値を用紙に記入して行われる。そして、用紙に記入された検針情報は、その後、パソコンに入力され管理される。
【0003】
このような検針作業においては、作業員の読み取りミス及び入力ミスなどのヒューマンエラーが生じやすく、また作業自体に時間がかかるという問題があった。
【0004】
下記特許文献1には、計測メータを撮影するカメラ部と、カメラ部により取得された画像データからメータ値を文字認識する画像認識部とを有する検針用携帯端末が開示されている。この検針用携帯端末では、カメラにより撮影された計測メータの画像データからメータ値が文字認識されるので、作業員の読み取り及び入力作業を省くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−175656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の検針用携帯端末においては、計測メータを撮影することにより、メータ値を自動的に認識し、記録することができる。しかしながら、計測メータから読み取る情報がメータ値の他に複数ある場合、それらの情報の幾つかを誤認識してしまう、或いは認識できない可能性がある。また、計測メータは、一般的に、製造会社及び型式によって、その形状が異なり、さらにメータ値等の読み取るべき情報の配置場所が異なる。このようなメータが検針作業時に混在する場合、単に計測メータを撮影しただけでは、正確に情報を読み取ることができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、製造会社及び型式が異なる計測メータを検針する場合であっても、計測メータの情報を正確に読み取ることができる検針用携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、計測メータの検針に使用する検針用携帯端末において、計測メータの画像データを取得するカメラ部と、計測メータの仕様に関する仕様情報と、この仕様情報に関連付けられた、計測メータ内における検針情報の配置に関する配置情報とを記憶する記憶部と、カメラ部により得られた画像データから、文字情報を認識する文字認識部と、文字認識部により認識された文字情報
及び前記記憶部に記憶された仕様情報に基づいて計測メータの仕様を特定する計測メータ仕様特定部と、計測メータ仕様特定部により特定された計測メータの仕様に対応する配置情報を記憶部から選出する配置情報選定部と、配置情報選定部により選定された配置情報と画像データとを重ね合わせて画像データ内における検針情報の領域を特定する検針情報位置特定部と、を有し、文字認識部は、検針情報特定部により特定された領域内の文字情報を認識することを特徴とする。
【0009】
また、文字認識部が、前記領域内の文字情報を認識できない場合、カメラ部が、再び画像データを取得することを特徴とする。
【0010】
また、カメラ部が、再び画像データを取得する場合、検針用携帯端末の表示部に表示される配置情報内の検針情報の位置と、計測メータ内の検針情報の位置とが重なるように画像データを取得することを特徴とする。
【0011】
また、計測メータ仕様特定部により特定された計測メータの仕様と、実施の計測メータの仕様とが一致するか否かを判定する計測メータ仕様判定部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検針用携帯端末によれば、製造会社及び型式が異なる計測メータを検針する場合であっても、計測メータの情報を正確に読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る検針用携帯端末の構成を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る検針用携帯端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る検針用携帯端末の実施形態について、図を用いて説明する。一例として、電力メータを挙げ、この電力メータの検針に使用する検針用携帯端末について説明する。なお、本発明は、上記のように電力メータの検針用携帯端末に限らず、その他の計測メータ、例えばガスメータ及び水道メータの検針用携帯端末にも適用できる。
【0015】
まず、本実施形態に係る検針用携帯端末について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る検針用携帯端末の構成を示す図である。
【0016】
検針用携帯端末10は、検針作業を行う作業員が所持し持ち運び可能な携帯端末である。検針用携帯端末10は、電力メータの画像データを取得するカメラ部12と、各種情報を記憶する記憶部14と、カメラ部12により取得された画像データと記憶部14に記憶された情報とに基づいて、電力メータの情報を読み取るように制御する制御部16と、各種情報を表示する表示部18とを有する。
【0017】
カメラ部12は、可視光を取り込むレンズを有する。なお、カメラ部12は、撮影領域、すなわち電力メータの銘板の照度を確保するため、その領域に可視光を照射する光源を有することもできる。
【0018】
記憶部14は、電力メータの仕様に関する仕様情報と、この仕様情報に関連付けられた、電力メータ内における検針情報の配置に関する配置情報とを記憶する。また、記憶部14は、制御部16で読み取りされた電力メータの情報を記憶することができる。
【0019】
仕様情報と配置情報について、
図2を用いて説明する。
図2は、電力メータの銘板の一例を示す図である。銘板30は、仕様情報と検針情報とを有する。仕様情報は、電力メータを製造した会社名32と、電力メータの型式34とを含む。
図2においては、会社名32は、「○△×電機株式会社」であり、型式34は、「M2LM−K5」である。なお、仕様情報は、さらに、会社のマークを含んでも良い。
【0020】
配置情報は、銘板30に表わされる検針情報のレイアウトに関する情報である。検針情報は、指針値36と、乗率38と、単位40と、パルス定数42又は出力パルス単位と、製造番号44とを含む。
図2においては、指針値36は五桁の数値であり、乗率38は「×60」であり、単位40は「kWh」であり、パルス定数42は「1pulse/kWh」であり、そして製造番号44は「064345」である。配置情報は、これらの指針情報のレイアウトに関する情報であり、各指針情報が銘板30にそれぞれどのように配置されているかを示す情報である。配置情報は、仕様情報に対応づけられており、仕様情報が特定されると配置情報は一意的に決定できるように記憶部14に記憶されている。
【0021】
図1に戻り、制御部16は、文字認識部20と計測メータ仕様特定部22と計測メータ仕様判定部24と配置情報選定部26と検針情報特定部28とを有する。
【0022】
文字認識部20は、カメラ部12により得られた画像データから、文字情報を認識する。文字情報は、会社のマークも含むことができる。文字認識部20の文字情報を認識する動作については、1つの電力メータの検針作業で、後述するように複数回行われる。
【0023】
計測メータ仕様特定部22は、文字認識部20により認識された文字情報に基づいて電力メータの仕様を特定する。つまり、文字認識部20により、銘板30の画像データから会社名32と型式34が認識され、これらの認識された情報と、記憶部14に記憶された仕様情報とを対応させて電力メータの仕様を特定する。このように電力メータの仕様を特定することにより、その電力メータの形状、すなわち銘板30の形状と、銘板30に表わされる検針情報のレイアウトとを把握することができる。
【0024】
計測メータ仕様判定部24は、計測メータ仕様特定部22により特定された電力メータの仕様と、実施の電力メータの仕様とが一致するか否かを判定する。両者が一致しない場合、再びカメラ部12により銘板30の画像データを取得し、文字認識部20と計測メータ仕様特定部22の動作を経て、電力メータの仕様を特定させる。なお、再度画像データを取得せずに、電力メータの仕様を作業員に確認させても良い。この場合、作業員が、表示部18に表示される、記憶部14に記憶される電力メータの仕様情報一覧から直接実際の電力メータの仕様を選択することができる。
【0025】
配置情報選定部26は、計測メータ仕様判定部24により一致すると判定された電力メータの仕様に対応する配置情報を記憶部14から選出する。なお、本発明はこの構成に限定されず、配置情報選定部26は、計測メータ仕様特定部22により特定された電力メータの仕様に対応する配置情報を記憶部14から選出することもできる。この場合、計測メータ仕様判定部24の動作は省略される。
【0026】
検針情報特定部28は、配置情報選定部26により選定された配置情報と画像データとを重ね合わせて画像データ内における検針情報の領域を特定する。これにより、読み取るべき指針情報が画像データのどこに配置されているかが把握される。そして、文字認識部20は、特定された領域内の文字情報である検針情報を認識する。これにより、特定の領域にある文字情報のみ認識すればよいので、文字認識部20の処理作業の負担を軽減するとともに、読み取るべき情報をより正確に取得することができる。検針情報特定部28により画像処理を作業員に把握させるため、配置情報と画像データとの重ね合わせ状態を表示部18に表示させても良い。
【0027】
文字認識部20が、検針情報特定部28により特定された領域内の文字情報を認識できなかった場合、カメラ部12が、再び画像データを取得し、検針情報特定部がその画像データ内における検針情報の領域を特定し、文字認識部20は、特定された領域内の検針情報を認識する。
【0028】
カメラ部12が、再び画像データを取得する場合、表示部18に表示される配置情報内の検針情報の位置と、電力メータ内の検針情報の位置とが重なるように画像データを取得することが好適である。これにより、領域内の指針情報に照準を合わせることができ、指針情報がはっきりと表示部18に表わされている状態で画像データを取得することができる。その結果、文字認識部20による文字認識の成功率が格段に向上する。このとき、表示部18において、配置情報内の、文字情報を認識できなかった検針情報の領域を拡大させて表示することが好適である。このような拡大表示により、被写体である電力メータ内の検針情報がズームアップされて画像データが取得されるので、その検針情報をより正確に認識することができる。認識された検針情報は記憶部14に記憶され、検針作業終了後にパソコンなどの情報処理端末に出力される。
【0029】
本実施形態の検針用携帯端末10においては、まず、電力メータの仕様を特定することで、その電力メータ固有の銘板30の形状と、銘板30に表わされる検針情報のレイアウトとを把握することができる。そして、電力メータの仕様に対応する情報配置と画像データとを重ね合わせることにより、銘板30上に複数ある指針情報の位置をそれぞれ把握することができる。そして、それらの位置にある文字情報を認識することで、読み取るべき情報の認識率を向上させることができる。つまり、銘板30に複数ある検針情報を正確に読み取ることができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る検針用携帯端末10の制御動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る検針用携帯端末10の動作の一例を示すフローチャートである。この制御動作は、時点をスタートとする。
【0031】
まず、ステップS101において、カメラ部12により、電力メータを正面から撮影し、銘板30の画像データが取得される。
【0032】
ステップS102において、文字認識部20により、取得された画像データから文字情報が認識される。具体的には、文字認識部20により、銘板30の画像データから会社名32と型式34が認識される。そして、ステップS103において、計測メータ仕様特定部22により、文字認識部20により認識された情報と、記憶部14に記憶された仕様情報とを対応させて電力メータの仕様が特定される。電力メータの仕様の特定により、銘板30の形状と、銘板30に表わされる検針情報のレイアウトとが特定される。
【0033】
そして、ステップS104において、計測メータ仕様判定部24により、計測メータ仕様特定部22により特定された電力メータの仕様と、実施の電力メータの仕様とが一致するか否かが判定される。両者の仕様が一致する場合、ステップS105に進む。一方、両者の仕様が一致しない場合、ステップS101に戻り、再びカメラ部12により銘板30の画像データを取得する。
【0034】
そして、ステップS105において、配置情報選定部26により、計測メータ仕様判定部24により一致すると判定された電力メータの仕様に対応する配置情報が、記憶部14から選出される。そして、ステップS106では、検針情報特定部28により、配置情報選定部26により選定された配置情報と画像データとを重ね合わせて、画像データ内における検針情報の領域が特定される。この領域は、表示部18により表示されても良い。
【0035】
さらに、ステップS107において、文字認識部20により、検針情報特定部28により特定された領域内の文字情報の認識が行われる。文字情報の認識が正常に行われた場合、電力メータの検針情報はすべて読み取られたとして、検針作業が終了する。一方、文字情報の認識が正常に行われなかった場合、ステップS108に進み、カメラ部12により、再び画像データが取得される。そして、ステップS106に戻り、検針情報特定部28によりその画像データ内における検針情報の領域が特定され、ステップS107で文字認識部20により特定された領域内の検針情報が認識され、正常に認識が行われた場合、検針作業が終了する。
【符号の説明】
【0036】
10 検針用携帯端末、12 カメラ部、14 記憶部、16 制御部、18 表示部、20 文字認識部、22 計測メータ仕様特定部、24 計測メータ仕様判定部、26配置情報選定部、28 検針情報特定部、30 銘板、32 会社名、34 型式、36 指針値、38 乗率38、40 単位、42 パルス定数、44 製造番号。