特許第6073224号(P6073224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073224
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ロール型材料送り装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/09 20060101AFI20170123BHJP
   B21B 39/00 20060101ALI20170123BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B21D43/09 D
   B21B39/00 A
   B21D43/00 A
   B21D43/09 F
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-526068(P2013-526068)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2013-536086(P2013-536086A)
(43)【公表日】2013年9月19日
(86)【国際出願番号】US2011048624
(87)【国際公開番号】WO2012027273
(87)【国際公開日】20120301
【審査請求日】2014年8月18日
(31)【優先権主張番号】61/376,025
(32)【優先日】2010年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503179377
【氏名又は名称】ヴァムコ・インターナショナル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】ジェンタイル ジョセフ ピー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ヴォーン エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンタイル ブライアン ピー
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−001078(JP,A)
【文献】 特開2005−271070(JP,A)
【文献】 特開2006−181642(JP,A)
【文献】 実開平03−014021(JP,U)
【文献】 特開平04−181965(JP,A)
【文献】 米国特許第05720378(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 39/00
B21D 43/00
B21D 43/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の間欠的送り装置であって、
フレームと、
前記フレームによって支持された第1の被動送りロールと、
前記フレームによって支持されると共に前記第1の被動送りロールに平行に配置された第2の送りロールと、
前記第1の被動送りロールと駆動係合関係をなして回転するよう構成された第1の駆動モータと、
前記第1の被動送りロールと駆動係合関係をなして回転するよう構成された第2の駆動モータと、
前記第1の駆動モータと協働して回転するよう構成された第1の回転位置センサと、
前記第1の被動送りロールと協働関係をなして前記第2の送りロールを駆動するよう構成された第1の変速歯車装置と、
前記第1の被動送りロールと協働関係をなして前記第2の送りロールを駆動するよう構成された第2の変速歯車装置と、
を備え、
前記第1の変速歯車装置の速度伝達比は、前記第1の被動送りロールと前記第2の被動送りロールの直径の比に等しく、
前記第2の変速歯車装置の速度伝達比は、前記第1の被動送りロールと前記第2の被動送りロールの直径の比に等しく、
前記第1の変速歯車装置は、
前記第1の被動送りロールに取り付けられた第1の駆動歯車と、
前記第1の駆動歯車と駆動係合関係をなして配置された第1の被動歯車と、
前記第1の被動歯車を前記第2の送りロールに結合する第1の中間結合部材と、
互いに摺動係合状態にある第1の駆動キー及び第1の駆動キースロットと、
互いに摺動係合関係にある第1の被動キー及び第1の被動キースロットと、
を有し、
前記第1の被動歯車は、前記第1の駆動キー及び前記第1の駆動キースロットのうちの一方を有し、前記結合部材は、前記第1の駆動キー及び前記第1の駆動キースロットのうちの他方を有し、
前記第2の送りロールは、前記第1の被動キー及び前記第1の被動キースロットのうちの一方を有し、前記結合部材は、前記第1の被動キー及び前記第1の被動キースロットのうちの他方を有し、
前記第1の駆動キー及び前記第1の駆動キースロットは、回転運動を前記第1の駆動キー及び前記第1の駆動キースロットから前記第1の被動キー及び前記第1の被動キースロットに伝達するよう構成されており、
前記第1の駆動キー及び前記第1の駆動キースロットは、前記第1の被動キー及び前記第1の被動キースロットに垂直に配置されており
前記第2の変速歯車装置は、
前記第1の被動送りロールに取り付けられた第2の駆動歯車と、
前記第2の駆動歯車と駆動係合関係をなして配置された第2の被動歯車と、
前記第2の被動歯車を前記第2の送りロールに結合する第2の中間結合部材と、
互いに摺動係合状態にある第2の駆動キー及び第2の駆動キースロットと、
互いに摺動係合関係にある第2の被動キー及び第2の被動キースロットと、
を有し、
前記第2の被動歯車は、前記第2の駆動キー及び前記第2の駆動キースロットのうちの一方を有し、前記結合部材は、前記第2の駆動キー及び前記第2の駆動キースロットのうちの他方を有し、
前記第2の送りロールは、前記第2の被動キー及び前記第2の被動キースロットのうちの一方を有し、前記結合部材は、前記第2の被動キー及び前記第2の被動キースロットのうちの他方を有し、
前記第2の駆動キー及び前記第2の駆動キースロットは、回転運動を前記第2の駆動キー及び前記第2の駆動キースロットから前記第2の被動キー及び前記第2の被動キースロットに伝達するよう構成されており、
前記第2の駆動キー及び前記第2の駆動キースロットは、前記第2の被動キー及び前記第2の被動キースロットに垂直に配置されている、装置。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の駆動モータは、永久磁石ブラシレスサーボモータである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の駆動モータは、前記第1の被動送りロールと摩擦駆動係合関係をなして配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び前記第2の駆動モータは、取り付け及び取り外しのために前記第1の被動送りロールと係合解除可能に配置されている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記第2の駆動モータと協働して回転するよう構成された第2の回転位置センサ
を更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
制御装置、第1のサーボ駆動装置及び第2のサーボ駆動装置
を更に有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記第1及び前記第2の回転位置センサから位置信号を受け取る第1及び第2の位置センサ入力部と、
第1の指令信号を前記第1のサーボ駆動装置に送る第1の指令信号出力部と、
第2の指令信号を前記第2のサーボ駆動装置に送る第2の指令信号出力部と、
を更に有する、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のサーボ駆動装置は、第1の指令信号入力部及び前記第1の駆動モータを付勢するための第1の出力部を有し、
前記第2のサーボ駆動装置は、第2の指令信号入力部及び前記第2の駆動モータを付勢するための第2の出力部を有する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記制御装置は、オペレータとしての人間からの入力データを受け取ることができる、
請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記入力データは、可変である、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記入力データは、所望の割送り距離を含む、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記入力データは、スタンピング機械と所望のタイミング関係を有する、請求項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1及び前記第2の指令信号は、整流指令を含む、請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1及び前記第2の指令信号は、電流指令値を含む、請求項に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び前記第2の駆動モータを付勢するための前記第1及び前記第2のサーボ駆動装置の前記出力部は、三相出力部であり、
前記第1及び前記第2のサーボ駆動装置は、それぞれ、前記第1及び前記第2の駆動モータの独立整流のために前記制御装置の前記第1及び前記第2の指令信号を利用する、請求項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の回転位置センサからの位置信号を受け取る位置センサ入力部及び前記第1の駆動モータを付勢するための出力部を備えた第1のサーボ駆動装置と、
前記第1の回転位置センサからの位置信号を受け取る位置センサ入力部及び前記第2の駆動モータを付勢するための出力部を備えた第2のサーボ駆動装置と、
を更に有する、請求項5に記載の装置。
【請求項17】
前記第1及び前記第2の駆動モータを付勢するための前記第1及び前記第2のサーボ駆動装置の前記出力部は、三相出力部であり、
前記第1及び前記第2のサーボ駆動装置は、それぞれ、前記第1及び前記第2の駆動モータの独立整流のために前記第1及び前記第2の回転位置センサの位置信号を利用する、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記第1のサーボ駆動装置は、指令信号入力部及び通信信号出力部を更に有し、
前記第2のサーボ駆動装置は、指令信号入力部及び通信信号出力部を更に有する、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
制御装置を更に有し、
当該制御装置は、
前記第1及び前記第2のサーボ駆動装置の通信信号出力部から通信信号をそれぞれ受け取る第1及び第2の通信信号入力部と、
前記第1及び前記第2のサーボ駆動装置の前記指令信号入力部にそれぞれ接続された第1及び第2の指令信号出力部と、
を有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記制御装置は、オペレータとしての人間からの入力データを受け取ることができる、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記入力データは、可変である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記入力データは、所望の割送り距離を含む、請求項項20に記載の装置。
【請求項23】
前記入力データは、プレス機械と所望のタイミング関係を含む、請求項項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、材料送り装置、特に工作物(被加工材ともいう)、例えばストリップ状シート材料をスタンピング機械又はこれに類似した機械に間欠的に送るロール型材料送り装置に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2010年8月23日に出願された米国特許仮出願第61/376,025号の先の出願日に関する35U.S.C.§119(e)の規定に基づく権益主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
既存のロール型材料送り装置は、工作物を把持してこれをロール相互間で間欠的に送る1対のロールを利用している。多くのかかるロール型送り装置は、ロールを回転させるための高性能サーボモータを利用している。かかる装置の一例が1998年にゲンチル等(Gentile et. al.)に付与された米国特許第5,808,465号明細書に記載されており、この米国特許を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。米国特許第5,808,465号明細書の装置は、工作物としてのストリップ状シート材料を間欠的に送る1対のロールを回転させる高性能サーボモータを利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,808,465号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存のロール型材料送り装置の第1の欠点は、幅の広いストリップ状工作物に対応するためにロールの長さを増大させなければならない場合に結果として生じる。ロール幅が増大すると、ロール慣性が増大し、その結果、性能レベルが低下し又は変形例として、より強力なモータが必要である。強力なモータの需要を満たすためには、2つのオプションが利用可能である。モータ直径を増大させること又はモータ長さを増大させることである。モータ直径を増大させた場合、結果として得られるモータは、確かに、より大きなトルクを生じさせることができるが、モータの慣性が増大し、全体的システムの結果として得られる性能上のゲインは、小さい。モータ長さを増大させると、高い長さと直径の比でモータコイルをモータに巻き付ける際の制約に起因して長さ増大について実際問題としての欠点となる。
【0006】
既存のロール型材料送り装置の第2の欠点は、幅の広いストリップ状工作物に対応するためにロールの長さを増大させた場合に結果として生じる。ロール幅が増大すると、ロールの捩り剛性が減少する。装置の捩り剛性が減少すると、送り装置の精度は、ロールを駆動している高性能サーボモータとロール相互間で保持されている工作物との間のロールの巻き取り(ワインドアップ)又は捩り(ツイスト)に起因して低下する。さらに、工作物の間欠的送り速度が減少する。間欠的送りの実施可能速度は、ロールの運動及びその結果としての工作物の運動を制御可能に開始させたり停止させたりする高性能サーボモータの性能によって制限される。高性能サーボモータの制御性は、制御されているシステム、この場合、送り装置のロールの剛性と直接的相関関係がある。
【0007】
したがって、本発明は、製造性を向上させるために向上させた長さと直径の比を有する小慣性モータを利用する広幅ストリップ状工作物を高速で間欠的に送ることができる電気サーボモータ駆動式ロール型送り装置を提供する。
【0008】
本発明は、捩り剛性を向上させ、その結果として精度及び制御性を向上させた広幅ストリップ状工作物を高速で間欠的に送ることができる電気サーボモータ駆動式ロール型送り装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
全体的一観点では、本願は、工作物の間欠的送り装置を開示する。具体的に説明すると、この装置は、フレームと、第1の被動送りロールと、第2の送りロールと、第1の被動送りロールと駆動係合関係をなして回転するよう構成された第1の駆動モータと、第1の駆動モータと駆動係合関係をなして回転するよう構成された第1の回転位置センサと、第2の駆動モータとを有する。
【0010】
本発明を明確に理解すると共に容易に実施することができるようにするため、本発明を以下の図と関連して説明する。なお、図中、同一の参照符号は、同一又は類似の要素を示しており、これらの図は、明細書に組み込まれてその一部をなす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態としてのロール型材料送り装置の正面側斜視図である。
図2】本発明の実施形態としてのロール型材料送り装置の側面図である。
図3】実質的に図2のA‐A線に沿って取った本発明の実施形態としてのロール型材料送り装置の断面図である。
図4】実質的に図2のB‐B線に沿って取った本発明の実施形態としてのロール型材料送り装置の断面図である。
図5】本発明の実施形態としてのロール型材料送り装置の部分分解組立図である。
図6】本発明の実施形態としてのロール型材料送り装置の略図である。
図7】本発明の別の実施形態としてのロール型材料送り装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解されるべきこととして、本発明に関する図及び説明は、本発明の明確な理解に関連した要素を説明するために単純化されていると共に分かりやすくする目的で周知である場合のある他の要素を省いている。当業者であれば認識されるように、他の要素は、本発明を実施するために望ましく且つ/或いは必要である。しかしながら、かかる要素は当該技術分野において知られていると共にかかる要素は、本発明の良好な理解を容易にするわけではないので、かかる要素の説明は本明細書では行われていない。詳細な説明は、添付の図面を参照して以下において提供される。
【0013】
以下の説明の目的のため、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」、「軸方向」、「頂部」、「底部」及びこれらの派生語は、図面において定められているので本発明に関するものである。しかしながら、理解されるべきこととして、本発明は、別段の明示の指定がなければ、種々の別の形態を取ることができる。また、図面に記載されると共に以下の明細書において説明される特定の要素は、本発明の単に例示の実施形態であることは理解されるべきである。したがって、本明細書において開示する実施形態に関する特定の寸法、向き及び他の物理的特性は、本発明を限定するものと考えられるべきではない。
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1図7は、本発明の実施形態としての送り装置の構造を示している。ロール型送り装置の説明対象としての実施形態は、工作物、例えば金属ストリップ又はシート等をプレス機械、スタンピング機械等に送る。理解されるべきこととして、ロール型送り装置を他の材料に用いても良く又は工作物の間欠的送りを必要とする他形式の機械と組み合わせて使用しても良い。
【0015】
全体が図1に示されている送り装置1がフレーム2を備えている。
【0016】
第1の被動送りロール3が軸受101,102によってフレーム2内に回転可能に支持されている。
【0017】
第1の駆動モータ500が被動送り装置シャフト3の第1の端部に作動的に連結されている。第2の駆動モータ600が第1の駆動モータ500と反対側に位置した被動送りロールシャフト3の端部に作動的に結合されている。第1及び第2の駆動モータ500,600は、好ましくは、永久磁石ブラシレスサーボモータである。
【0018】
第2の送りロール4が軸受103,104によって可動ロール支持体5内に回転可能に支持された状態で第1の被動送りロール3に実質的に平行に配置されている。可動ロール支持体は、軸受105,106(図4)によってピボットシャフト6で回転可能に支持されている。ピボットシャフト6は、フレーム2に固定的に取り付けられている。
【0019】
図示の実施形態では、第2の送りロール4も又、第1及び第2の全体が示された変速歯車装置200,300を介する被動ロールである。
【0020】
工作物400が第1の被動送りロール3と第2の送りロール4との間に示されている。
【0021】
力発生アクチュエータ8,9がフレーム2と可動ロール支持体5との間に設けられている。この実施形態では、力発生アクチュエータ8,9は、柔軟性ブラダ型空気圧アクチュエータとして示されている。力発生アクチュエータ8,9は、第2の送りロール4と第1の被動送りロール3との間で工作物400を把持するために第2の送りロール4と第1の被動送りロール3との間に把持力を発生させるよう可動ロール支持体5と協働する。理解されるべきこととして、力発生アクチュエータ8,9は、柔軟性ブラダ型空気圧アクチュエータとして示されているが、力を発生させることができるアクチュエータであればどのようなものであっても本発明の範囲に含まれると考えられるべきである。かかるアクチュエータとしては、空気圧又は油圧シリンダ、モータ及びスクリュー型アクチュエータ、リニアモータ等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0022】
第1の駆動モータ500(図3)がハウジング501、静止巻線構造体502、中空端部504を備えたモータロータシャフト503、永久磁石513、端板509及び回転位置フィードバック装置505を有している。
【0023】
第1の駆動モータハウジング501は、フレーム2に剛性的に取り付けられている。
【0024】
静止巻線構造体502及び端板509は、モータハウジング501に固定的に取り付けられている。永久磁石513は、モータロータシャフト503に固定的に取り付けられ、このモータロータシャフトは、ハウジング501及び端板509内にそれぞれ軸受506,507によって回転可能に支持されている。
【0025】
第1の駆動モータロータシャフト503の中空端部504は、キーレス摩擦結合部材508を介して第1の被動送りロールシャフト3と駆動係合関係をなすことができるよう構成されている。
【0026】
回転位置フィードバック装置505は、好ましくは、センサである。この実施形態では、回転位置フィードバック装置505は、同期レゾルバであり、フィードバック装置ロータ515及びフィードバック装置ステータ525を有している。フィードバック装置ロータ515は、モータロータシャフト503と一緒に回転可能にこのモータロータシャフトに固定的に取り付けられている。フィードバック装置ステータ525は、端板509に固定的に取り付けられている。
【0027】
説明したコンポーネントの協働構成は、回転フィードバック装置505によるモータロータシャフト503及び静止巻線構造体502の相対回転位置並びに被動送りロールシャフト3及びフレーム2の相対回転位置の検出を可能にしている。
【0028】
第2の駆動モータ600がハウジング601、静止巻線構造体602、中空端部604を備えたモータロータシャフト603、永久磁石613、端板609及び回転位置フィードバック装置605を有している。
【0029】
第2の駆動モータハウジング601は、フレーム2に剛性的に取り付けられている。
【0030】
静止巻線構造体602及び端板609は、モータハウジング601に固定的に取り付けられている。永久磁石613は、モータロータシャフト603に固定的に取り付けられ、このモータロータシャフトは、ハウジング601及び端板609内にそれぞれ軸受606,607によって回転可能に支持されている。
【0031】
第2の駆動モータロータシャフト603の中空端部604は、キーレス摩擦結合部材608を介して第1の被動送りロールシャフト3と駆動係合関係をなすことができるよう構成されている。
【0032】
回転位置フィードバック装置605は、好ましくは、センサである。この実施形態では、回転位置フィードバック装置605は、同期レゾルバであり、フィードバック装置ロータ615及びフィードバック装置ステータ625を有している。フィードバック装置ロータ615は、モータロータシャフト603と一緒に回転可能にこのモータロータシャフトに固定的に取り付けられている。フィードバック装置ステータ625は、端板609に固定的に取り付けられている。
【0033】
説明したコンポーネントの協働構成は、回転フィードバック装置605によるモータロータシャフト603及び静止巻線構造体602の相対回転位置並びに被動送りロールシャフト3及びフレーム2の相対回転位置の検出を可能にしている。
【0034】
この実施形態は、中空端部504,604をそれぞれ有すると共に駆動モータ500,600の迅速な取り外しを容易にするよう摩擦キーレスカップリングとして結合部材508,608を有するものとして駆動モータロータシャフト503,603を示しているが、理解されるべきこととして、互いに駆動係合関係をなす駆動モータロータシャフト503,603のシャフト端部と被動送りロールシャフト3の任意の組み合わせは、本発明の範囲に含まれると考えられるべきである。かかる形態としては、キー及び止めねじ装置、剛性型シャフトカップリング、ベロー型可撓性カップリング、可撓性ビーム型カップリング、割シャフト及びシャフトカラー装置、キーレスハブカップリング等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0035】
図5は、全体を示した変速歯車装置200を詳細に示している。上述の変速歯車装置300は、対称設計のものである。したがって、図5の記載内容も又、変速歯車装置300の例示であると考えることができる。
【0036】
変速歯車装置200は、被動送りロールシャフト3と一緒に回転するようこの被動送りロールシャフトに剛性的に取り付けられた駆動歯車201を有している。変速歯車装置200は、駆動歯車201と駆動係合関係をなすと共に軸受203によって回転可能に支持された被動歯車202を更に有する。軸受203は、支持ピン204によって支持され、この支持ピンは、フレーム2に固定的に取り付けられている。被動歯車202は、駆動キー205を有する。駆動キー205は、被動歯車202の一体部分として示されているが、駆動キー205は、被動歯車202に固定的に取り付けられる別個のコンポーネントであっても良いことに注目すべきである。
【0037】
変速歯車装置200は、第2の送りロール4に固定的に取り付けられた被動キー206を更に有する。変速歯車装置200は、中央カップリング207を更に有する。中央カップリング207は、駆動キースロット208及び被動キースロット209を有している。駆動キースロット208及び被動キースロット209は、それぞれ、駆動キー205及び被動キー206と摺動接触関係をなすと共に駆動係合関係をなしている。駆動キー205及び被動キースロット208は、被動キー206及び被動キースロット209に垂直に配置されている。被動要素206,209に垂直に配置された駆動要素205,208のかかる配置により、第2の送りロール4の半径方向運動が可能になる一方で、歯車201,202相互間に隙間及びバックラッシを導入することなく歯車201,202の駆動係合状態を維持することができる。第2の送りロール4の半径方向運動は、工作物400の厚さの違いに対応するために又は機械への工作物400の装填を容易にするよう第2の送りロール4の開閉のために必要である。
【0038】
本発明の図示の実施形態は、中央カップリングキースロット208と摺動接触関係をなすと共に駆動係合関係をなす被動歯車202に取り付けられた駆動キー205及び中央カップリングキースロット209と摺動接触関係をなすと共に駆動係合関係をなす第2の送りロール4に取り付けられた被動キー206を示しているが、注目されるべきこととして、これらキーとキースロットを容易に入れ替えることができる。駆動要素が被動要素に垂直に配置されるキー、キースロット及び中央カップリングの構成の全ての組み合わせは、本発明の範囲に含まれるとみなされるべきである。
【0039】
変速歯車装置200,300は、第2の送りロール4を第1の被動送りロール3と協働して駆動するよう構成されており、従って、第1及び第2の変速歯車装置200,300の速度伝達比は、第1の被動送りロール3の直径と第2の送りロール4の直径の比に等しい。
【0040】
図6は、制御装置又はシステム700への接続部を備えた送り装置1を示している。制御システム700は、運動コントローラ710、ヒューマンマシンインターフェース720、サーボ駆動装置730及びサーボ駆動装置740を有している。
【0041】
運動コントローラ710は、回転位置フィードバック装置505,605から信号をそれぞれ受け取る入力部711,712を有している。運動コントローラ710は、指令信号をサーボ駆動装置730,740にそれぞれ出力する出力部715,716を更に有している。運動コントローラ710は、ヒューマンマシンインターフェース720からデータを受け取る通信入力部719を更に有している。
【0042】
ヒューマンマシンインターフェース720は、情報をオペレータとしての人間(以下、「ヒューマンオペレータ」ともいう)に伝えるディスプレイ装置721、データを運動コントローラ710に出力する通信出力部722及びヒューマンオペレータから入力を受け取る入力システム723を有している。ヒューマンオペレータ入力パラメータとしては、所望の割送り(インデックス)距離、送り装置の送り長さ、ロール把持力、プレスとの所望のタイミング関係、例えば間欠的送り作用開始時刻及び間欠的送り作用終了時刻等が挙げられるが、これらには限定されない。本発明との関連において、送り作用開始時刻及び終了時刻は、通常、スタンピング機械のクランクシャフト角度で表される。分かりやすくするために、スタンピング機械及びスタンピング機械クランクシャフトは、これらが当該技術分野においてありふれていると共に周知であるので図示されていない。
【0043】
図示の実施形態では、入力システム723は、タッチスクリーンインターフェースである。理解されるべきこととして、ヒューマンオペレータからの入力を受け取ることができる入力システムであればどのようなものであっても本発明の範囲に含まれるとみなされるべきである。かかる入力システムとしては、コンピュータキーボード、コンピュータポインティング装置、例えばコンピュータマウス又はタッチパッド、ディジタル式サムホイール等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0044】
サーボ駆動装置730,740は、運動コントローラ710から指令信号を受け取る入力部731,741をそれぞれ有している。サーボ駆動装置730,740は、サーボモータ500,600をそれぞれ付勢する出力732,742を更に有している。出力732,742は、好ましくは、互いに120°ずれて配置された三相出力である。永久磁石ブラシレスサーボモータの付勢のためのかかる三相モータ出力は、当該技術分野においては周知である。
【0045】
運動コントローラ710は、通信入力部719からのヒューマンオペレータ入力データ及び入力部711,712からの回転位置データを処理して指令出力715,716を生じさせる。運動コントローラ710により実行される処理アルゴリズムとしては、閉ループ速度制御、閉ループ位置制御、個別的モータ整流アルゴリズム、フィードフォワード制御アルゴリズム、運動プロフィール生成、弱め界磁アルゴリズム等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0046】
図7は、別の制御装置又はシステム800への接続部を備えた送り装置1を示している。制御システム800は、運動コントローラ810、ヒューマンマシンインターフェース820、サーボ駆動装置830及びサーボ駆動装置840を有している。
【0047】
運動コントローラ810は、サーボ駆動装置830,840から通信信号をそれぞれ受け取る入力部811,812を有している。運動コントローラ810は、指令信号をサーボ駆動装置830,840にそれぞれ出力する出力部815,816を更に有している。運動コントローラ810は、ヒューマンマシンインターフェース820からデータを受け取る通信入力部819を更に有している。
【0048】
ヒューマンマシンインターフェース820は、ヒューマンオペレータに伝えるディスプレイ装置821、データを運動コントローラ810に出力する通信出力部822及びヒューマンオペレータから入力を受け取る入力システム823を有している。ヒューマンオペレータ入力パラメータとしては、送り装置の送り長さ、ロール把持力、間欠的送り作用開始時刻及び間欠的送り作用終了時刻等が挙げられるが、これらには限定されない。本発明との関連において、送り作用開始時刻及び終了時刻は、通常、スタンピング機械のクランクシャフト角度で表される。分かりやすくするために、スタンピング機械及びスタンピング機械クランクシャフトは、これらが当該技術分野においてありふれていると共に周知であるので図示されていない。
【0049】
図示の実施形態では、入力システム823は、タッチスクリーンインターフェースである。理解されるべきこととして、ヒューマンオペレータからの入力を受け取ることができる入力システムであればどのようなものであっても本発明の範囲に含まれるとみなされるべきである。かかる入力システムとしては、コンピュータキーボード、コンピュータポインティング装置、例えばコンピュータマウス又はタッチパッド、ディジタル式サムホイール等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0050】
サーボ駆動装置830,840は、運動コントローラ810から指令信号を受け取る入力部831,841をそれぞれ有している。サーボ駆動装置830,840は、サーボモータ500,600をそれぞれ付勢する出力832,842を更に有している。出力832,842は、好ましくは、互いに120°ずれて配置された三相出力である。永久磁石ブラシレスサーボモータの付勢のためのかかる三相モータ出力は、当該技術分野においては周知である。
【0051】
サーボ駆動装置830,840は、回転位置フィードバック装置505,605から信号をそれぞれ受け取る入力部833,843を更に有している。サーボ駆動装置830,840は、それぞれ、通信データを運動コントローラ810に伝える通信出力部835,845を更に有している。サーボ駆動装置830,840は、それぞれ、入力部833,843からの回転位置フィードバックデータ及び入力部831,841からの指令信号をを処理してそれぞれ付勢出力832,842を出力する。サーボ駆動装置830,840の処理アルゴリズムとしては、閉ループ電流制御、閉ループ速度制御、閉ループ位置制御、モータ整流アルゴリズム、弱め界磁アルゴリズム等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0052】
この実施形態では、サーボ駆動装置830,840は、未処理データ、部分的に処理されたデータ又は完全に処理されたデータをそれぞれ通信出力部835,845を介して運動コントローラ810に伝送する。通信データとしては、回転位置データ、モータ巻線電流、モータ速度等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0053】
運動コントローラ810は、通信入力部819からのヒューマンオペレータ入力データ及び入力部811,812からの通信データを処理して指令出力815,816を生じさせる。運動コントローラ810により実行される処理アルゴリズムとしては、閉ループ速度制御、閉ループ位置制御、個別的モータ整流アルゴリズム、フィードフォワード制御アルゴリズム、運動プロフィール生成、弱め界磁アルゴリズム等が挙げられるが、これらには限定されない。
【0054】
上述したように、本発明を本願において特定の実施形態に関して説明したが、当業者であれば、本明細書における教示に照らして、特許請求の範囲に記載された本発明の精神から逸脱することなく又はその範囲を超えないで、追加の実施形態及び改造例を想到できる。
【0055】
したがって、図面及び本明細書における説明は、本発明の理解を容易にするために提供されているに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解されてはならないことは言うまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7