【実施例】
【0032】
例示システム
図2は、歯科補綴物設計での咬合評価及び/または補綴物操作のための例示システム200を示す。システム200は、一つ以上のディスプレイ220に結合された一つ以上のコンピュータ210、及び一つ以上の入力装置230を含むことができる。歯科医、歯科技術者、または他の人であることができる操作者240は、キーボード及び/またはマウスのような一つ以上の入力装置230を操作することによりシステム200を使用して歯科補綴物を計画することができる。ある実施態様では、歯科計画を作業しながら、操作者240はディスプレイ220上で歯科計画及び他の関連歯科計画データを見ることができる。ディスプレイ220は二つ以上の表示領域または部分を含むことができ、それらのそれぞれは歯科計画の異なるビューを表示する。例えば、ある実施態様では、ディスプレイ220は、歯科計画の半現実的3Dレンダリング、歯科計画のローカライズされた抽象化、及び/または歯科計画の断面表現を示すことができる。これらの表示のそれぞれまたは部分は、プログラム内で及び/またはコンピュータ210上でデータを使用して内部的にリンクされることができる。例えば、コンピュータ210上で動作するプログラムは、記憶装置内に歯科計画の単一内部表現を持つことができ、この内部表現はディスプレイ220上に二つ以上の抽象または半現実的態様で表示されることができる。
【0033】
ある実施態様では、操作者240は、歯科計画の特定のサブストラクチャー上に、選択、移動、操作、または透明、不透明、または不可視にするなどの命令を実施することができるかもしれない。操作者240は、ディスプレイ220上に表示された歯科計画の抽象または半現実的形式の一つの特定の領域上でマウスによるクリックのような入力装置230を操作することによりこの命令を実施することができるかもしれない。
【0034】
種々の実施態様では、コンピュータ210は、一つ以上の処理装置、一つ以上の記憶装置、及び一つ以上の通信機構を含むことができる。ある実施態様では、一つより多いコンピュータが、ここで述べられたモジュール、方法、ブロック、及びプロセスを実行するために使用されることができる。さらに、ここでのモジュール及びプロセスは、一つまたは多数の処理装置上で、一つ以上のコンピュータ上で、それぞれ動作することができ、またはここでのモジュールは専用のハードウエア上で動作することができる。入力装置230は一つ以上のキーボード(片手または両手による)、マウス、タッチスクリーン、音声命令及び関連ハードウエア、ジェスチャー認識、または操作者240とコンピュータ210の間の通信を提供するいかなる他の手段も含むことができる。ディスプレイ220は、二次元(2D)または3Dディスプレイであることができ、LCD、CRT、プラズマ、プロジェクション等のいかなる技術にも基づくことができる。
【0035】
システム200の種々の要素中の通信は、USB、VGAケーブル、共軸ケーブル、ファイアワイヤ、直列ケーブル、並列ケーブル、SCSIケーブル、IDEケーブル、SATAケーブル、802.11またはブルートゥースに基づく無線、またはいずれかの他の有線または無線接続(単数または複数)を含むいずれかの適切な結合を介して完成されることができる。システム200の要素の一つ以上はまた単一装置またはモジュール中に組み込まれることができる。ある実施態様では、システム200の電子要素の全ては単一物理装置またはモジュール内に含まれる。
【0036】
咬合評価及び歯科補綴物設計のための技術
図3A及び3Bは、歯科補綴物設計での咬合評価のための二つの技術を示す。咬合を評価する際、この技術は、歯の一つの3D模型の歯の別の3D模型に対する動作のシミュレーションを含むことができる。動作シミュレーションは、種々の実施態様において、六自由度剛体動作シミュレーション、自由落下シミュレーション、制約の一つまたは組み合わせを持つ剛体シミュレーション、または他の動作シミュレーションを含むことができる。この技術は、上歯または下歯の組のいずれかを「動く」3D模型とし、他を静止させることにより行うことができる。これに代えて、両模型が他方に対して動くこともできる。咬合評価の第一工程は、ある実施態様では、第一接触点として、重力の方向に、上方3D模型に対して最も接近している下方3D模型上の点を決定することを含むことができる。初期接触点が決定されたら、上方3D歯模型と下方3D歯模型の間の他の候補接触点が、一つ以上の予め決められた停止基準が満たされるまでシミュレーション動作を用いて決定されることができる。種々の実施態様において、初期接触点は第一及び第二3D模型間の重力方向に最も接近した点を見出すことにより決定されることができる。動作シミュレーションの次の工程では、候補接触点(恐らく初期接触点を含む)が見出されることができる。候補接触点の適切性を評価した後に、各候補接触点(恐らく初期接触点を含む)が次の動作シミュレーション工程で使用するために選択したりまたは選択しないようにすることができる。例えば、もし特定の接触点が決定され、それが初期接触点(初期接触点が再度シミュレーションのこの工程での接触点であると見出されたと仮定)と重心との間にあるなら、この特定の接触点は、初期接触点の代わりに使用されることができる。この方法では、第一接触点は、シミュレーションの次の工程で使用されないかもしれず、同様に、第一と第二の3D模型間の咬合を規定するために使用される接触点の最終組に最後には入られないかもしれない。
【0037】
種々の実施態様において、二つの接触点が重心の対向側にあるかどうかを決定することは、第一3D模型を二つの部分に、例えば左部分と右部分に分割し、任意選択的に第二3D模型を二つの部分に、例えば左部分と右部分に分割する、重心を通る二等分線または二等分面を規定することを含むことができる。例えば、もし歯の第一3D模型が患者の下顎内の歯の全てを含みかつ重心が顎の中心線に沿っているなら、そのときは口の左側の歯及び口の右側の歯は異なる部分内にあることができる。重心の対向側に二つの接触点があるかどうかを決定することは、口の二つの異なる部分(左部分と右部分)内に接触点があるかどうかを決定することを含むことができる。別の例として、
図16を考慮して下さい。もし二つの接触点が線部分1610(すなわち、一つの接触点1640から別の接触点1641まで)を規定し、線部分1610が線L1620の一部であるなら、そのときは重心が二つの接触点間にあるかどうかを決定することは、重心への線L1620上の最接近点が二つの接触点1640と1641の間にあるか、または二つの接触点1640及び1641によって規定される線部分1610上にあるかを決定することを含むことができる。一例の重心1650に対しては、線部分1610上の最接近点は点1650Aである。1650Aは二つの接触点1640と1641の間にあるので、重心1650は二つの接触点の「間」にあると考えられる。もし他方で線L1620上の重心1651の最接近点1651Aが線部分1610上にないなら、そのときは重心は二つの接触点1640と1641の「間」にあると考えられない。
【0038】
別の例として、ある実施態様では、動作シミュレーションが回転軸(こことは別のところで述べられる)の周りにあるとき、重心が二つの接触点間にあるかどうかを知るためのチェックは、回転面(例えば面の法線が回転軸であり、かつその面上に重心を含む)上に接触点を投影することを含むことができる。種々の実施態様は、そのとき投影点が回転面上へのかつ重心を通過する重力ベクトルの投影により規定されるある線の各側上にあるかどうかを決定することができる。もし二つがある線の対向側上にあるなら、そのときはそれらは重心の対向側上にある。重心が二つの接触点間にあるかどうかを決定するための多数の他の方法があり、これらはここでの実施態様の範囲内と考えられる。
【0039】
重心が三つの接触点により規定される三角形内にあるかどうかを決定することは、三つの接触点により規定される三角形を咬合面上に投影すること、及び重心を咬合面上に投影することを含むことができる。もし咬合面上に投影された重心が三つの接触点により規定された三角形内にあるなら、そのときは重心が三つの接触点により規定された三角形内にあると考えられることができる。上記のように、重心が三つの接触点により規定された三角形内にあるかどうかを決定する多数の他の方法が使用されることができ、ここでの実施態様の一部と考えられる。
【0040】
種々の実施態様において、ここに述べられた技術は対合歯との接触に基づいた一つ以上の3D模型の状態(例えば位置、回転、スケーリング、形状等)を変えることを含むことができる。例えば、もし歯冠またはブリッジが設計され、歯冠またはブリッジ内に多数のユニット(例えば歯)があるなら、そのときはブリッジまたは歯冠内の各ユニットは対合歯との少なくとも一つの接触点を提供するために回転され、スケーリングされ、またはそれ以外で変更されることができる。歯の咬合組の相対配列が接触点に基づいて決定された後に、または一つ以上の3D歯模型のための新しい状態が接触点に基づいて決定された後に、補綴物を設計することを行うことができ及び/または補綴物のための製造データを補綴物の3D模型に基づいて発生することができる。
【0041】
さて歯科補綴物設計での咬合評価のための方法300を示す
図3Aに戻ると、ブロック310では、第一接触点は、咬合歯の3D模型の初期位置に基づいて重力の方向で決定される。上述のように、初期位置は、第一3D模型及び第二3D模型に対する既知の相対位置に基づいて規定されることができる。例えば、初期位置は、歯(例えば下歯組)の第一3D模型及び歯(例えば上歯組)の第二3D模型を得るために走査工程が実施されることができかつ初期配列が走査工程時に第一3D模型と第二3D模型の相対配列で規定されることができるため、知られることができる。これは、もし両方の3D模型が走査工程時に互いに対する既知の関係で配列されるなら、またはそれらのそれぞれが走査工程時の幾つかの固定座標系に対して配列されるなら起こりうる。ある実施態様では、第一3D模型の歯の第二3D模型に対する初期相対配列は、走査されたチェックバイトに基づいて知られることができる。すなわち、もし歯の第二3D模型が走査されたチェックバイトに基づいて決定されるなら、そのときは歯の第一3D模型は少なくとも部分的にチェックバイトに整合した表面であることができ、そのチェックバイトは二組の歯の初期配列を提供することができる。さらに、上述のように、操作者は、咬合評価を実施する前に第一3D模型と第二3D模型の相対配列を操作することができる。
【0042】
再びブロック310に戻ると、初期位置に基づいて重力の方向の咬合歯間の第一接触点を決定することはまた、重力方向の初期決定を含むことができる。重力方向は、走査工程等に基づいて予め規定されることを含むいかなる多数の方法で決定されてもよい。さらに、重力方向は、歯の第一及び/または第二の3D模型の咬合面に垂直であることができる。二つの3D模型の咬合面は、前もって知られることができ、またはそれはいかなる方法でも決定されることができる。例えば、もし長方形のような平坦な対象物が、例えば第一3D模型上に「落下」されるなら(逆もまた同様)、そのときはその長方形対象物は、それがいったん第一3D模型上に載ることとなったら、咬合面を規定することができる。長方形対象物を3D模型上に「落下する」ことは、例えば
図3Aまたは
図3Bに関して述べたシミュレートされた動作、またはいずれかの他の適切な技術を用いて達成されることができる。平坦な長方形対象物の法線は、重力の方向を規定するために使用されることができる。種々の実施態様において、第一と第二の3D模型間の距離は重力の方向以外の方向で決定される。例えば、第一と第二の3D模型を表わす二つの三角形網間の全体の最接近点が決定されることができ、または二つの3D模型間の重力以外の方向の最接近点が決定されかつ3D模型間の最接近点として使用されることができる。
【0043】
ブロック310において咬合歯組間の重力の方向での第一接触点を決定することは、いかなる適切な計算に基づいても実施されることができる。例えば、それは、二つの3D模型間の重力方向の最接近点の多数の計算を実施することにより決定されることができる。ある実施態様では、二つの3D模型間の最接近点は、3D模型の一方の3D模型の他方に対する自由落下をシミュレートすることにより決定されることができる。例えば、初期位置に基づいて、3D模型の一方が3D模型の他方の上に「落下される」ことができる。二つの3D模型間の落下したときの第一接触点は、二つの3D模型間の最接近点であることができる。一方の3D模型は次いで、任意選択的に、ある実施態様では、重力の方向に他方に向けて動かされることができ、従って二つの3D模型間の最接近点は二つの3D模型間の接触点であるだろう。同様に、ある実施態様では、二つの3D模型は次いで、任意選択的に、一方の3D模型を動かしかつ一方を固定して保つ代わりに、重力方向に互いに向けて動かされることができる。
【0044】
ブロック320では、動作シミュレーションは、次の候補接触点を決定するために使用されることができる。第一接触点が決定された後、それは、シミュレートされた動作に対する制約として使用される。すなわち、その接触点は、シミュレートされた動作のその工程の期間の間接触状態のままであるだろう。シミュレートされた動作は、一つ以上の接触点が決定されるまでその接触点の周りに旋回する動く3D模型をもたらすであろう。ある実施態様では、一つ以上の接触点が、恐らく多数の誤りのために失われるかもしれないことがありうる。もし一つ以上の接触点が多数の誤りのために失われるなら、シミュレーションは続行できる。例えば、動く3D模型は、少なくとも一つの接触点が見出されるまで重力方向に落下することができる。
【0045】
接触点を決定することは、いかなる特定のタイプの衝突検出を使用することも含むことができる。例えば、もし第一と第二の3D模型のそれぞれが三角形網として表わされるなら、そのときは接触点は、二つの三角形網間の衝突を探すことにより決定されることができる。さらに、ある実施態様では、もし二つの特定の三角形(一つは各3D模型の三角形網)が交差することが決定されるなら、そのときは交差の実際の点または縁が使用されることができ(例えばもしそれが既知であるなら)、またはもし二つの三角形が交差する徴候だけがあるなら、そのときは接触点は二つの三角形の中心として評価されることができる。多数の他の衝突検出技術が、接触点を決定するために使用されることができ、ここでの実施態様により包含される。
【0046】
いったん候補接触点が決定されたなら、ブロック330において停止基準が満たされたかどうかを決定するためにチェックがなされるだろう。停止基準をチェックすることは、候補接触点の組内の二つの接触点が重心の対向側上にあるかどうかを決定することを含むことができる。停止基準の別のチェックは、動く3D模型の重心を含む三角形を規定する三つの接触点があるかどうかを決定することを含むことができる。
【0047】
もし停止基準が満たされないなら、そのときは(ブロック320で実行された)動作シミュレーションの次の工程でどの接触点が使用されるべきかに関して決定がなされることができる。例えば、
図9A及び9Bを考慮して下さい。候補接触点の前の組は、
図9Aの接触点940及び941を既に含んでいてもよく、それらの二つの接触点940及び941、及び追加の接触点942が決定されてもよい。接触点940,941及び942は、重心950を包含する三角形を形成しないので、次の動作シミュレーションで候補接触点940,941及び/または942のうちどれを使用するべきかに関して決定がなされることができる。三つの接触点は三つの回転軸961,960及び962を規定する。これらの回転軸は、他の接触点が動作シミュレーションの次の工程内に含まれるべきであるかどうかを決定する動作シミュレーションで使用されることができる。例えば、接触点940,941は、それらと関連した回転軸960を持つことができる。
図9Cに戻ると、もし回転軸960が動作シミュレーション中に使用されるなら、他の候補接触点942上での動作シミュレーション時に動く対象物上に付与される垂直力998は、シミュレートされた回転960と関連した力999に対抗するものであるだろう。重心950の同じ側上にある点942は、動作シミュレーション時に正常に回転するだろう。しかし、接触点942は他の3D模型と既に接触状態にあり、従ってさらなる回転(または落下)は不可能であるだろう。従って、回転軸960は回転の固有軸としての考慮から除外されるだろう。従って、両方の候補接触点940,941を含む組は、シミュレーションの次の工程で使用されないだろう。もし、他方で、シミュレーションが回転軸961により実施され、それが候補接触点941,942を架橋するなら、そのときは動く3D模型が動作状態にあるので、候補接触点940上の垂直力が回転の方向のモーメントを作るだろう。従って、候補接触点941,942間の回転軸は回転の固有軸である。従って、候補接触点941,942は動作シミュレーションの次の工程で使用されるだろう。
【0048】
別の例として、
図9Bでは、もし四つの候補接触点940,941,942及び943があるなら、そのときは六つの候補回転軸960〜965があることができる。上述されたのと同様の分析を実施することは全て排除されるだろう。なぜなら一つの候補接触点940〜943上の垂直力は回転軸に対抗するからである。候補回転軸961のみが、回転の反対方向の垂直力生成モーメントを持つ候補接触点を持たないだろう。従って、候補接触点941及び943は、次のシミュレーション工程で使用されるだろう。
【0049】
もし停止基準がブロック330で満たされるなら、そのときはブロック340で咬合歯組の相対配列が接触点に基づいて決定されることができる。ある実施態様では、咬合歯の相対配列は接触点に基づいて既知であることができ、相対配列を決定するためにさらなる計算は必要とされないかもしれない。種々の実施態様では、咬合歯組の相対配列を決定することは、接触点が決定された後の咬合歯の3D模型のマトリックス、四元数、または他の変換を記録することを含むことができる。接触点は、二つの3D模型の互いに対する相対配列を規定することができる。二つの3D模型は平行移動され、回転されることができ、または二つの3D模型間の変換が記憶されることができる。ブロック350では、補綴物の設計が続けられることができ、または補綴物の製造のためのデータが発生されることができる。歯科補綴物を設計することは、歯科補綴物操作、選択、及び計画と題する2010年2月10日出願の米国特許出願第12/703601号に記載されたもののようないかなる適切なシステム、方法、または技術を用いても実施されることができ、それは全ての目的のためにその全体を参考としてここに組み込まれる。
【0050】
図3Bは、歯科補綴物設計のための咬合評価の別の方法301を示す。方法301では、補綴歯の一つ以上の3D模型及びそれらの対合歯の3D模型がブロック311で受けられることができる。例えば、
図7を見ると、対合歯730が、個々の補綴歯770,771及び772の3D模型に加えて受けられることができる。一緒にこれらが、補綴歯770,771及び772の3D模型により規定される歯冠またはブリッジを設計するために使用されることができる。さらに、ブロック311の一部として、補綴歯の一つ以上の3D模型の初期位置及びそれらの対合歯の3D模型が受けられまたは決定されることができる。例えば、操作者は、まず対合歯に対して歯を配列することができ、または対合歯の相対配列での歯が3D模型を得るために使用される走査工程に基づいてアルゴリズム的に決定されまたは知られることができる(ここでは他で述べられる)。
【0051】
3D模型がブロック311で受けられた後、補綴歯の一つ以上の3D模型のそれぞれと対合歯の間の接触点がブロック321で決定されることができる。一つ以上の3D模型と対合歯の間の接触点を決定することは、軸周りの回転、シミュレーション動作、寸法の操作、接触点が決定されるまでの3D模型の平行移動、回転、または配向等を含むことができる。再度
図7に戻ると、ブロック321は、ある実施態様では、3D模型770,771及び772を回転することにより及び/または3D模型770,771及び772のシミュレーション動作により接触点740,741及び742を決定することを含む。例えば、3D模型770,771及び772は共有軸755を持つことができる。3D模型770,771及び772のそれぞれに対し第一接触点が決定された後、これらの第一接触点は、共有軸755とともに、3D模型770,771及び772のそれぞれを周りで回転する軸を規定することができる(例えば3D模型を周りで回転する軸は、接触点を通る、共有軸755に平行な軸として規定されることができる)。シミュレートされた動作は、重心の対向側にある二つの接触点が決定されるまでブロック321の一部として続行することができ、それはブロック330(例えば方法300と同様)で評価される。一つ以上の接触点がブロック321で決定された後、次いで、ブロック330で、停止基準がチェックされることができる。
【0052】
停止基準は、方法300に対して上述されたように単一接触点の決定または多数の接触点の決定を含むことができる。上で述べたように、ある実施態様では、3D模型770,771及び772のそれぞれに対し多数の接触点が決定されることができる。種々の実施態様では、方法301の一部として、後歯を表わす3D模型770,771及び772のそれぞれに対し二つ以上の接触点が決定され、かつ前歯を表わす各3D模型770,771及び772に対し唯一のまたは第一接触点が決定される。例えば、前歯を表わす各3D模型770,771及び772は、(ブロック321で)最接近接触点を見出すために重力方向に平行移動されることができ、これはその3D模型のための停止基準を満たすことができる(ブロック330)。
【0053】
ある実施態様では、補綴歯の一つ以上の3D模型は、単一接触点(または多数の接触点)があるまで拡大されまたは縮小されることができる。この拡大または縮小は、停止基準が満たされる(例えば接触点の必要数を決定する)まで続行することができる。拡大または縮小の後に、動作シミュレーションを行うこともできる。ある実施態様では、個々の一つ以上の補綴歯のそれぞれは、別個のシミュレートされた動作を持つだろう(例えば、
図7に示された軸755の束縛なしに)。3D模型(例えば、3D模型770,771及び772)のそれぞれの別個のシミュレートされた動作は、方法300に対して述べられたものと同様の態様で実施されることができる。
【0054】
予め決められた停止基準がブロック330で決定されたように満たされた後に、次いで、ブロック341で、接触点に基づいた一つ以上の3D模型のための新しい状態が決定されることができる。新しい状態は、補綴歯の一つ以上の3D模型の新しい位置、回転、配向、寸法、及び/または形状であることができる。新しい状態がブロック341で決定された後、次いで、任意選択的に、操作者は補綴物を設計することを続行することができ、または補綴物のための製造データを発生することができる(ブロック350)。
【0055】
他の方法及び技術を使用してもよい。さらに、他のブロックが方法300及び301のそれぞれに追加されることができ、またはブロックは異なる順序で実行されることができ、同時に実行されることができ、または全体で省略されることができる。例えば、ある方法が、動作シミュレーションを実施し、それによりブロック310を飛ばし、ブロック320に直接進むことにより開始することができる。かかるシミュレーションでは、第一接触点は、一方の3D模型の他方の上への自然落下により決定されるだろうし、次いで次の接触点は、予め決められた停止基準がブロック330で満たされるまでブロック320で決定されることができる。次いで、接触点に基づいて咬合歯組の相対配列がブロック340で決定されることができる。種々の実施態様では、停止基準は、動作シミュレーションでのさらなる動きがないことを含むことができる。例えば、動作シミュレーションは、二つの3D模型が一方の他方に対する静止位置にあるまで続行することができる。種々の他の実施態様がまた、本明細書の範囲内で考えられる。
【0056】
他の実施態様
図4は、下歯模型420と上歯模型430を示すオーバーレイされた表現部410を持つインターフェース400を示す。図に示されるように、最初は下歯模型420と上歯模型430間に隙間があるかもしれない。ある実施態様では、オーバーレイされた表現部510を持つインターフェース500を示す
図5に示されるように、上歯及び下歯模型(例えば520,530)の略直線状の組の上に三つの接触点を持つことは、望ましくないまたは解剖学的に不可能である方法で3D模型を「落下する」ことを起こすかもしれない。
図5に示されるように、3D模型530は、3D模型520上に落ち、人間の顎の束縛を恐らく与えることができないような方法で傾いている。かかる状況では、重心の対向側にある二つの候補接触点を探すことを含む停止基準を持つことが望ましいかもしれない。
図6は、オーバーレイされた表現部610を持つインターフェース600を示し、そこでは動作シミュレーションを用いて下歯模型620上に上歯模型630が落ちている。
図6では、下歯模型620と上歯模型630の相対配列を決定するために使用された停止基準(a)は、重心650の対向側にある二つの候補接触点640及び641を決定することを含むことができる。
図5と
図6を比較すると、ある条件では、この二点停止基準の使用は三点停止基準よりより良好な結果を生み出しうることがわかる。
【0057】
図7及び
図8は、対合歯に対して動いている個々の補綴歯の多数の3D模型を示す。
図7は上述されている。
図8は、オーバーレイされた表現部810を含むインターフェース800を示す。オーバーレイされた表現部810は、対合歯830に対する個々の補綴歯870,871及び872の3D模型の動きを示す。このインターフェースはまた、下歯模型820も示す。インターフェース800はまた、個々の補綴歯870,871及び872の3D模型のための共有回転軸855を示す。ある実施態様では、ここに述べられるように、補綴歯870,871及び872の個々の3D模型の動作シミュレーションを実施することは、接触点840,841及び842が決定されるまでそれらの補綴歯を重力に対応する方向に軸855に平行な軸の周りに(共有軸755に関して上述したように)回転させることを含むことができる。ある実施態様では、二つの接触点が(上述のように)各歯に対して、例えば歯に対して重心の各側上に一つずつ決定されるであろう。他の実施態様では、
図8に示されていないが、もし回転軸855がないなら、そのときは個々の補綴歯のそれぞれは、実施されたシミュレートされた動作を持つことができ、接触点が決定されるまでスケーリング、平行移動、回転、またはその他の修正がされることができ、またはいずれかの他の適切な技術が使用されることができる。さらに、ある実施態様では、隣接歯が重複しないことまたはそうでなくても交差する容積を持たないことを確保するために衝突検出または他の技術が使用されることができる。この例はここ以外に述べられる。
【0058】
本明細書における種々の実施態様は、ある構成のインターフェースを示す。インターフェースの他の構成もまた可能である。
図10に戻ると、インターフェース1000は、単一のインターフェース1000上で、オーバーレイされた表現部1010、包括的な選択部1011、及び距離マップ部1012を全て持つことができる。
図11に示されるように、二つの別個のサブインターフェース1100及び1101が使用されることも可能である。距離マップ部1120はインターフェース部1101上にあることができ、オーバーレイされた表現部1110及び包括的な選択部1111はインターフェース部1100上にあることができる。これらの種々のインターフェース部は、別個のスクリーン上に、別個のディスプレイ上に、または別個のウインドウ内に示されることができる。種々のディスプレイ上または種々のウインドウ内の種々の部分の他の構成も使用することができる。
【0059】
歯科補綴物設計での補綴物操作
上で述べたように、仮想多歯補綴物を設計するとき、操作者は、個々の補綴歯の3D模型を互いに独立して動かすことができる。例えば
図12を考慮して下さい。
図12は、オーバーレイされた表現部1210を持つインターフェース1200を示す。オーバーレイされた表現部1210内には、不透明として示されている下歯1220の3D模型、並びに補綴歯1270,1271及び1272の3D模型がある。
図12にも示されているのは、操作ハンドル1280,1281,1282,1290及び1291である。これらの操作ハンドルは、補綴歯1270,1271及び1272の個々の3D模型を、互いに対して、下歯1220の模型に対して、及び/または補綴歯1270,1271及び1272の3D模型を包囲する仮想多歯補綴物に対して操作するために多数の方法を提供することができる。すなわち、もし3D補綴歯1270,1271及び1272を含んだ仮想多歯補綴物の3D模型があるなら、そのときは操作点1280,1281,1282,1290及び1291は、3D補綴歯1270,1271及び1272のための模型が仮想多歯補綴物に対して操作されることを可能にすることができる。操作具1280,1281,1282,1290及び1291を介して利用されることができる操作の例は、スケーリング、平行移動、回転等であることができる。例えば、もし操作者が操作具1290を使用し、それを左に変位したなら(
図12に示された方向に)、そのときは補綴歯1270の3D模型は寸法を減らす(例えばより小さな尺度にする)ことができ、補綴歯1271の3D模型は寸法を増やす(例えばより大きな尺度にする)ことができる。これは
図14Bに示されており、そこでは操作具1490が
図12の操作具1290の位置に対して左に動かされており、補綴歯1470の3D模型は
図12の補綴歯1270の3D模型と比べて寸法を減らされている。補綴歯1471の3D模型は
図12の補綴歯1271の3D模型と比べると寸法を増加されている。
図12に再度戻ると、もし異なる操作具が、例えば操作具1281が操作者により動かされるなら、そのときはその操作具と関連した歯は、他の歯に対してまたは仮想多歯補綴物に対して平行移動されることができる。再度
図14Bを見ると、操作具1481がスクリーン空間中で
図12でそれがあった所に対して上に動かされたことを我々は見る。従って、補綴歯1471の3D模型はスクリーン空間中で仮想多歯補綴物のための他の歯に対して上に平行移動されている。
【0060】
他の操作具及び操作もまた可能であり、ここに述べられた実施態様の範囲の一部と考えられる。種々の実施態様では、歯の他のタイプの操作もまた可能である。例えば、操作者が個々の補綴歯1270,1271または1272を、例えば、冠状部−根尖部の軸及び/または遠心部−近心部の軸の周りに回転することを可能にする操作具(
図12に図示せず)があってもよい。他の回転もまた可能であることができる。種々の実施態様では、操作はまた、表面変形等を含むことができる。
【0061】
歯科補綴物設計での補綴物操作のための技術
図13Aは、歯科補綴物設計での補綴物操作のための方法1300を示す。ブロック1310では、仮想多歯補綴物が、修復される領域に対して与えられている。例えば、
図12を見ると、補綴歯1270,1271及び1272の3D模型を含む仮想多歯補綴物は、下歯模型1220により表現されたように、修復されるその下にある部分、並びにその対合歯(
図12に示さず)の両方に対して与えられる。
【0062】
ブロック1320では、操作命令が受けられ、前記操作命令は仮想補綴物の歯のサブセットに関する。ここで使用される表現「仮想補綴物の歯のサブセット」は、その習慣的な通常の意味を含み、それは、サブセットが仮想補綴物の一つの歯を含む、仮想補綴物の歯の全てより少ないことを意味することを含む。例えば、
図12を再度見ると、操作命令は、補綴歯1270の単一3D模型に対してまたは補綴歯1270,1271及び1272の多数の模型に対して受けられることができる。例えば、歯1270の単一3D模型にのみ関係する命令は、操作具1280の動きにより示された平行移動操作であることができる。この操作命令は、以下に述べられるように、補綴歯1270の3D模型にのみ影響を及ぼすことができ、それはまた、補綴歯1271及び1272の他の3D模型の恐らくより少ない範囲で、位置、スケーリング、配列等に影響を及ぼすことができる。仮想多歯補綴物に対する及び/または互いに対する補綴歯1270及び1271の3D模型のスケーリングを示す操作具1290の操作は、それらの歯に、そして恐らくより少ない範囲で補綴歯1272の他の3D模型(単数または複数)に影響を及ぼすことができる。
【0063】
再度
図13Aに戻ると、ブロック1330は、受けた操作命令に基づいて補綴物を修正することを含む。受けた操作命令に基づいて歯を修正することは、いかなる適切な行動も含むことができる。例えば、もし操作命令が歯の単一3D模型を舌側または頬側方向に平行移動することを意味するなら、そのときはその歯は他の歯に対して及び/または仮想補綴物に対して舌側または頬側方向に平行移動されることができる。もし受けた命令が互いに対してまたは仮想多歯補綴物に対して歯の二つ以上のスケーリングを必要とするなら、そのときはそれらの歯の3D模型は適切にスケーリングされることができる。すなわち、ある実施態様では、歯の一つは、寸法を増やすためにスケーリングされることができ、他はその寸法を減らすためにスケーリングされることができる。このように互いに対して歯をスケーリングすることは、多歯補綴物の形成からの大きな隙間を防止し、かつ/または隣接歯間の重複を防止することができる。
【0064】
受けた操作に基づいて補綴物を修正すること(ブロック1330)は、要求された行動を実施すること、ある実施態様では、補綴物中の歯の3D模型の全てを整列または配列する及び/または隣接歯間の隙間を減らす(または重複を修正する)ために追加の行動または計算を実施することを含むことができる。例えば、ある実施態様では、隣接歯がスケーリングまたは平行移動されるとき、
図15Aに示すように、隙間が二つの歯間に形成されるかもしれない。
図15Aに示された隙間は、例えば、補綴歯1571の3D模型に対する補綴歯1570の3D模型のスケーリングからもたらされたかもしれないし、またはそれは補綴歯1570の3D模型及び/または補綴歯1571の3D模型のいずれかの互いに対する平行移動からもたらされたかもしれない。
【0065】
ある実施態様では、技術は、各操作命令後(または恐らく一連の操作命令後)の仮想多歯補綴物中の補綴歯の3D模型の全ての相対配列を計算することを含むことができる。例えば、操作命令が受けられた後に、補綴歯の3D模型の全てが第一近似として境界容積を用いて修復される領域内で互いに隣接して配列されることができる。初期配列後に、補綴歯の3D模型の隙間(または重複)は、ここ以外で述べられた技術を使用して減らされまたは排除されることができる。例えば、
図14Aを見ると、補綴歯1470,1471及び1472の3D模型が境界ボックス1475,1476及び1477により境界付けられていることを我々は見る(
図14Bで長方形として示されているが、それらは直方体であることもできる)。これらの境界ボックス1475,1476及び1477は、(下歯1420の3D模型の一部として表わされるように)補綴歯1470,1471及び1472の3D模型を患者の修復される領域上に整列するために使用される。ある実施態様では、境界ボックス1475,1476及び1477は、境界ボックスが一緒に修復される全領域を満たすようにスケーリング、平行移動及び/またはそうでなければ整列される。歯1470,1471及び1472の3D模型が境界ボックス1475,1476及び1477を用いて略配列された後、隣接する歯模型1470,1471及び1472間の隙間(または重複)は、各歯(
図15A及び15Bに関して及びここのそれ以外に記載されたように)を例えばスケーリング及び/または平行移動することにより修正されまたは略修正されることができる。
【0066】
他の実施態様では、一つ以上の操作命令が受けられた後に、冒された歯(単数または複数)のみが操作されることができ、それにより仮想多歯補綴物内の一つ以上の3D模型の配列、スケール、及び回転を変更されていないままにする。例えば、もし
図14Bの操作具1490が操作されるなら、そのときはこれは補綴歯1470及び1471の3D模型のスケールに影響を及ぼすだけである。補綴歯1472の3D模型は位置、スケール、及び/または回転を変更されないままにすることができる。歯1470及び1471の二つの3D模型がスケーリング、平行移動、回転等をされた後、それらの間のいかなる隙間または重複も、
図15A及び
図15B及びここ以外に対して述べられた態様で減少されまたは排除されることができる。
【0067】
ある実施態様では、補綴歯1470,1471及び1472の3D模型の初期配列または整列は、例えば歯科補綴物ライブラリー内に記憶された整列を参照することによるような、いかなる適切な手段からも得られることができる。
【0068】
ある実施態様では、補綴歯の3D模型の初期整列のためだけでなく、隣接歯の3D模型が容積に関して交差または重複しないことを確保する試みのために、その技術は境界容積または境界ボックスを使用することができる。例えば、隣接歯がスケーリングされるとき、隣接歯が容積に関して交差または重複しないことを確保するための第一近似として境界ボックスが使用されることができる。同様に、補綴歯の3D模型の一つが平行移動されたとき、補綴歯の3D模型が容積に関して交差または重複しないことを確保するために境界ボックスが第一近似として使用されることができる。境界ボックスはまた仮想多歯補綴物内の一つ以上の歯の回転またはいずれかの他の操作のために使用されることができる。
【0069】
図15A及び
図15Bは、二つの隣接歯1570,1571及びそれらのそれぞれの境界ボックス1590,1591を示す。
図15Aに示されたように、補綴歯の3D模型の第一相対配列が計算された後、隙間が隣接歯間に存在するかもしれない。ある実施態様では、この隙間は、美的魅力及び/または仮想多歯補綴物の機能を高めるために閉じられる。ある実施態様では、二つの模型間の最小距離が決定されることができ、1595及び1596により示されるように、二つの模型1570と1571の間の隙間が決定されることができる。模型1570及び1571は次いでスケーリングされ及び/または1595及び1596により表わされた隙間を閉じるために平行移動されることができる。二つの模型1570と1571の間の隙間を閉じるために、ある実施態様では、各模型は他の模型の方向にスケーリングされることができる。種々の実施態様では、3D模型1570と1571の間の隙間を閉じるために、模型は、各3D模型1570及び1571が距離(例えば距離1596と合計された距離1595)の半分を覆うようにスケーリングされることができる。スケーリング後の二つの3D模型1570及び1571が
図15Bに示されている。
図15Bでは、二つの模型が点1597で触れているかまたはほぼ触れている。
【0070】
ある実施態様では、隣接歯間の隙間を閉じるかまたはほぼ閉じるために、各3D模型は、二つの3D模型1570と1571の間の最接近点を二つの境界ボックスの境界にもたらすためにスケーリングされることができる。例えば、模型1570は、二つの境界ボックスの境界まで3D模型1570をもたらすために前の隙間1595を閉じるための量だけスケーリングされることができる(同じことが模型1571に対しても当てはまる)。歯間の隙間を閉じる他の方法及び技術がここの実施態様の範囲内で考えられる。さらに、ある実施態様では、隣接歯間の隙間は仮想多歯補綴物内では閉じられることができない。または、隣接歯間の空間にわたる連結器が使用されることができる(
図15A及び
図15Bには示されていない)。
【0071】
図15A及び
図15Bの例では、隣接歯は、(距離1595と1596により表わされている)隙間を持つ。ここに述べられた技術は、隣接歯の重複(
図15A及び
図15Bには示されていない)を除去または減少することを含むことができる。例えば、隣接歯はスケーリング(例えばより小さいようにスケーリング)されることができ及び/または隣接歯間の重複を除去するために平行移動されることができる。
【0072】
ブロック1330内で受けた操作命令に基づいて仮想多歯補綴物を修正した後、そのとき任意選択的に、ブロック1340内で、仮想多歯補綴物は、対合歯との咬合に基づいて修正されることができる。対合歯との咬合に基づいて補綴物を修正することは、ここ以外に述べられる。いったん仮想多歯補綴物が修正されたら、補綴物は硬い物体として処理されることができ、その硬い物体の咬合は対合歯に対して計算されることができ、仮想多歯補綴物全体は単一構造として動くことができる。他の実施態様では、歯の個々の3D模型のそれぞれは、対合歯とのそれ自身の咬合に基づいて別個に修正されることができる。これらの二つの技術はここ以外に述べられる。
【0073】
ブロック1330に対してかつ
図15A及び
図15Bに対して上述されたように、もし歯の個々の3D模型が対合歯との咬合に基づいて仮想多歯補綴物内で修正されるなら(ブロック1340)、そのときは隙間(または重複)が隣接歯間に形成することができる。すなわち、咬合が評価されかつ歯の個々の3D模型が互いに対して動かされた後、そのとき隙間(または重複)が歯の隣接3D模型間に生じうる。隣接歯間の隙間を閉じること(または重複を避けること)は上述されている。仮想多歯補綴物が硬い物体として動かされる状況及び実施態様では、追加の隙間または重複が隣接歯間に導入されることはありそうもなくまたは不可能であり、従って隣接歯間で修正する隙間または重複もないことがありうる。
【0074】
ブロック1330及び/またはブロック1340を実施した後、次いで、任意選択的に、仮想多歯補綴物は、ブロック1310内で修復される領域に対して与えられることができる。さらに、操作者が多歯補綴物を設計することを続行する用意があるとき、操作者は方法1300に示されていない他の工程を続行することができる。さらに、操作者が多歯補綴物を製造する用意があるとき、製造データがブロック1350の一部として作られることができる。
【0075】
図13Bは、歯科補綴物設計での補綴物操作のための別の方法1301を示す。ある実施態様では、もし仮想補綴物内の個々の補綴歯を平行移動、スケーリング、回転、またはその他の操作をする命令が受けられるなら(ブロック1321)、そのときはその補綴歯のための3D模型はその命令に基づいて操作されることができ、咬合はその個々の歯のいずれかに対しまたは全体としての仮想補綴物に対し評価されることができる(ブロック1331)。例えば、
図12に戻ると、補綴歯1270,1271及び/または1272の3D模型が平行移動、スケーリング、回転等をされるたびに、その歯の対合歯との咬口も決定されることができ、補綴歯の3D模型が歯の他の3D模型に対して操作される(例えば動作シミュレーションに基づいて動かされる)ことができる。
【0076】
再度
図13に戻ると、ブロック1311内で、恐らく個々の補綴歯の個々の3D模型を含む、仮想補綴物の3D模型が、修復される領域に対して与えられる。これは、一般的にブロック1310に対して述べられる。ブロック1321では、操作命令が受けられ、それらは補綴物の全てまたは一部分に関する。受けられることができる命令のタイプはブロック1320に対して述べられる。
【0077】
ブロック1331では、補綴物は、操作命令に基づいて及び対合歯との咬合に基づいて修正される。歯の操作はブロック1330に対して上述され、対合歯との咬口に基づいて補綴物を修正することはブロック1340に対して上述されている。操作命令に基づいて及び対合歯との咬合に基づいての両方で補綴物が修正された後、補綴物は、ブロック1311で修復される領域に対して再度表示されることができる。さらに、いったん操作者が仮想補綴物に満足したらまたは補綴物を作る用意があるなら、操作者は補綴物設計の他の工程を続けることができ(図示せず)または補綴物のための製造データを作ることができる(ブロック1350)。
【0078】
他の方法及び技術が使用されることができる。さらに、他のブロックが方法1300及び1301のそれぞれに追加されることができ、またはこれらのブロックは異なる順序で実行されることができ、同時に実行されることができ、または全て省略されることができる。方法300,301,1300及び/または1301からのブロックは、一緒にいかなる順序でもかついかなる組み合わせでも使用されることができる。例えば、ある実施態様では、補綴歯の3D模型は補綴歯の外表面を表わす。補綴歯の3D模型の内部はインプラント、調製された歯、歯茎表面等と結合されることができ、インプラント、調製された歯、歯茎表面等とかみ合うように設計された内部3D表面を持つことができる。ある実施態様では、もし補綴歯の3D模型が操作され(ブロック1330またはブロック1331)及び/または咬合に基づいて修正される(ブロック1340またはブロック1331)なら、そのときは外表面のみが操作されまたは修正され、内表面(それはインプラント、調製された歯、歯茎表面等とかみ合っている)は修正されることができない。従って、種々の実施態様で、歯の外表面を操作または修正することは、歯がその下にある表面とどのようにかみ合うかを変えることができない。
【0079】
ここに述べたプロセス及びシステムは、計算装置のような種々のタイプのハードウエア上で実施されまたはそれらを包含することができる。ある実施態様では、コンピュータ210、ディスプレイ220、及び/または入力装置230はそれぞれ計算装置、アプリケーション、またはプロセスから切り離されることができ、または同じ計算装置、アプリケーション、またはプロセスの一部として動作することができ、または一つのアプリケーションまたはプロセスの一部として動作するように一つ以上が組み合わされることができ、及び/またはそれぞれまたは一つ以上が計算装置の一部であることができまたは計算装置上で動作することができる。計算装置は、情報を伝えるための母線または他の通信機構、及び情報を処理するために母線と結合された処理装置を含むことができる。計算装置は、母線に結合されたランダムアクセスメモリまたは他の動的記憶装置のような主記憶装置を持つことができる。主記憶装置は、命令及び一時的数値変数を記憶するために使用されることができる。計算装置はまた、静的情報及び命令を記憶するために母線に結合された読み取り専用メモリまたは他の静的記憶装置を含むことができる。コンピュータシステムはまた、CRTまたはLCDモニターのようなディスプレイに結合されることができる。入力装置はまた、計算装置に結合されることができる。これらの入力装置はマウス、トラックボール、また、はカーソル指示キーを含むことができる。
【0080】
各計算装置は、一つ以上の物理コンピュータ、処理装置、埋め込み装置、またはコンピュータシステムまたはそれらの組み合わせまたは部分を使用して実施されることができる。計算装置により実行される命令はまた、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の形で読まれることができる。コンピュータ読み取り可能記憶媒体はCD、DVD、光または磁気ディスク、レーザーディスク(登録商標)、搬送波、または計算装置により読み取り可能であるいずれかの他の媒体であることができる。ある実施態様では、ハードワイヤード回路が、処理装置により実行されたソフトウエア命令の代わりにまたはそれと組み合わせて使用されることができる。モジュール、システム、装置、及び要素間の通信は、直接または切り替え接続、及び直接接続された有線、またはいずれかの他の適切な通信機構を介しての有線または無線網または接続を通してであることができる。モジュール、システム、装置、及び要素間の通信は、ハンドシェイキング、通知、協調、隠蔽、暗号化、ルーティングまたは誤り検出ヘッダーのようなヘッダー、またはいずれかの他の適切な通信プロトコルまたは属性を含むことができる。通信はまた、HTTP,HTTPS,FTP,TCP,IP,ebMS OASIS/ebXML、暗号化通信(SSU),VPN、暗号化されたまた暗号化されていないパイプ、MIME,SMTP,MIME複数パート/関連内容種別、SQL等に関連したメッセージであることができる。
【0081】
いずれかの適切な3Dグラフィクス処理は、OpenGL,Direct3D,Java(登録商標)3D等に基づいた処理を含む表示またはレンダリングのために使用されることができる。全体的、部分的、または修正された3Dグラフィックスパッケージもまた使用されることができ、かかるパッケージは3DS Max,SolidWorks,Maya,Form Z,Cybermotion 3Dなどを含んでいる。ある実施態様では、必要なレンダリングの種々の部分が、慣例となったまたは専用のグラフィックスハードウエア上で発生することができる。このレンダリングはまた、汎用CPU上で、プログラマブルハードウエア上で、別個の処理装置上で発生することができ、多数の処理装置を通して、多数の専用グラフィクスカードを通して、またはハードウエアもしくは技術のいずれかの他の適切な組み合わせを用いて分散されることができる。
【0082】
明らかなように、上に開示された特定の実施態様の特徴及び属性は、追加の実施態様を形成するために異なる方法で組み合わされることができ、それらの全ては本開示の範囲内に入る。
【0083】
とりわけ、「できる(can,could)、かもしれない(might,may)、例えば(e.g.)等のような、ここに使用された条件付き言語は、特別にそうでないと述べられないなら、または使用された文脈内でそうでないと理解されないなら、一般的に、ある実施態様がある特徴、要素、及び/または状態を含むが、他の実施態様が含まないことを伝えることを意図されている。従って、かかる条件付き言語は、特徴、要素及び/または状態が一つ以上の実施態様のためにとにかく必要とされることを意味すること、または一つ以上の実施態様が必然的にこれらの特徴、要素、及び/または状態が含まれるかどうかまたはいずれかの特定の実施態様で実施されるべきであるかどうかを、著者の入力または暗示によりまたはそれによらずに決定するための論理を含むことを意味することを一般的に意図されていない。
【0084】
ここに記載された及び/または添付図面に示された流れ図のいかなる工程説明、要素、またはブロックも、この工程の特定の論理機能または工程を実施するための一つ以上の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、または部分を潜在的に表わすものとして理解されるべきである。代替実施態様は、ここに述べられた実施態様の範囲内に含まれ、そこでは要素または機能は、当業者により理解されるように関連された機能性に依存して、削除され、実質的に同時または逆順序を含む、示されたまたは述べられたものとは別の順序で実行されることができる。
【0085】
上述の方法及び工程の全ては、上述のコンピュータシステムのような一つ以上の一般目的のコンピュータまたは処理装置により実行されるソフトウエアコードモジュール内で実現され、かつそれを介して完全に自動化されることができる。コードモジュールは、いずれかのタイプのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体または他のコンピュータ記憶装置内に記憶されることができる。一部のまたは全ての方法は、代替的に専用コンピュータハードウエア内で実現されることができる。
【0086】
多くの変更及び修正が上述の実施態様に対してなされることができること、それらの要素は他の容認できる例の中にあるものとして理解されるべきであることは強調されるべきである。全てのかかる修正及び変更は、この開示の範囲内にここに含まれかつ以下の請求項により保護されることを意図されている。