【文献】
STRASINGER C L,PRODRUGS AND CODRUGS AS STRATEGIES FOR IMPROVING PERCUTANEOUS ABSORPTION,EXPERT REVIEW OF DERMATOLOGY,英国,EXPERT REVIEWS LTD,2008年 4月 1日,V3 N2,P221-233
【文献】
LEE V H L,PRODRUGS FOR IMPROVED OCULAR DRUG DELIVERY,ADVANCED DRUG DELIVERY REVIEWS,NL,ELSEVIER BV,1989年 1月 1日,V3 N1,P1-38
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2,2−ジメチル−プロピオン酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール−4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル又はその医学的に許容される塩。
請求項1または3に記載の化合物または請求項4に記載の医薬組成物を含む、α2A、2B、2Cの活性化によって緩和される状態又は疾病の治療又は予防のための医薬組成物であって、前記状態又は疾病が下記から選択される医薬組成物:
緑内障、虚血性神経症、視神経症、痛み、角膜変性状態、発作、認知症、神経精神病的状態、薬物依存及び常習的使用、禁断症状、強迫性障害、肥満、インスリン抵抗性、ストレス関連状態、下痢、利尿、鼻づまり、痙縮、注意欠陥障害、精神異常、不安症、うつ病、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、神経変性疾患、ざ瘡、加齢性黄斑変性、湿性黄斑変性、乾性黄斑変性、地図状萎縮、糖尿病性黄斑浮腫、腫瘍、外傷、炎症及び網膜静脈閉塞症、視力低下、酒さ(皮膚直下の血管の膨張)、日焼け、慢性陽光線障害、離散性紅斑、乾癬、閉経に関連した顔面潮紅、睾丸切除に由来する顔面潮紅、アトピー性皮膚炎、光老化、脂漏性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、皮膚の紅斑(赤み)、顔面の毛細血管拡張症(以前から存在する毛細血管部分の膨張)、酒さ鼻(小胞膨張による鼻の肥大)、赤いだんご鼻、ざ瘡状皮疹、顔面の灼熱感や刺激感、ひりひりする充血した涙目、皮膚血管の膨張を伴う皮膚の機能昂進、ライエル症候群、スティーブン・ジョンソン症候群、多形紅斑マイナー、及び多形紅斑メジャー。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグ、(S)[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグ、及び治療的な利用可能性を有するα2アゴニストとしての(R)[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグである新規の化合物に関するものである。
【0019】
1つの好ましい実施の形態で、本発明は治療的な利用可能性を有するα2アゴニストとしての (S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグに関している。そのエステル機能性部分が加水分解か酵素によって切断されると、親化合物であり活性代謝物質の(S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノールが放出されて、α2アドレナリン受容体の選択的モジュレータとして機能する。
【0020】
1つの態様で、本発明は治療的に有効な量の[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノール、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、水和物、溶媒和物、結晶形態、個々の異性体、その互変異性体、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩を含んでいる、あるいは基本的に構成されている、あるいは構成されている医薬品組成物に関している。
【0021】
別の態様で、本発明は治療的に有効な量の(S)[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、水和物、溶媒和物、結晶形態、個々の異性体、その互変異性体、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩を含んでいる、あるいは基本的に構成されている、あるいは構成されている医薬品組成物に関している。
【0022】
別の態様で、本発明は治療的に有効な量の(R)[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、あるいはそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、水和物、溶媒和物、結晶形態、個々の異性体、その互変異性体、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩を含んでいる、あるいは基本的に構成されている、あるいは構成されている医薬品組成物に関している。
【0023】
「プロドラッグ」という「代謝的に切断可能な誘導体」という表現と共にたびたび用いられているが、これは、例えば、血液中での加水分解によって、本発明による親化合物にin vivoで急速に変換される化合物形態を意味している。従って、プロドラッグとはその薬学的な作用を示す前に生体内変化させられてしまう基を有している化合物のことである。そうした基はそれを含んでいる化合物からin vivoで簡単に切断される部分を含んでおり、その化合物はその切断の後にも薬学的な活性な状態に留まるか、あるいは薬学的に活性な状態になる。そうした代謝的に切断可能な基はこの技術分野の開業医にはよく知られている1つのクラス(群)を形成している。それらには、アルカノイ(つまり、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、非置換あるいは置換炭素環式のアロイル(ベンゾイル、置換ベンゾイル、及び1−及び2−ナフトイルなど)、アルコキシカルボニル(エトキシカルボニルなど)、トリアルキルシリル(トリメチル−及びトリエチルシリルなど)、ジカルボン酸、と共に形成されているモノエステル類(サクシニルなど)、リン酸塩、硫酸塩、スルフォネート、スルフォニル、スルフィニルなどの基である。代謝的に切断可能な基を有する化合物は、その代謝可能な基の存在のおかげで親化合物に付与される可溶性や吸収速度が増大される結果として、それらの化合物がより改善された生体内利用可能性を示すという利点を有している(T. Higuchi and V. Stella, “Pro−drugs as Novel Delivery System”, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series; “Bioreversible Carriers in Drug Design”, Edward B. Roche編集、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987)。
【0024】
1つの態様で、本発明は式Iの構造を有する化合物、その個々のエナンチオマー、その個々のジアステレオ異性体、その個々の水和物、その個々の溶媒和物、その個々の結晶形態、その個々の異性体、その個々の互変異性体、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を提供し、
【0025】
【化6】
式I
この式で、
R
1はH又はC
1-3アルキルであり;
R
2はH又はC
1-3アルキルであり;
R
3はH又はC
1-10アルキル
、ヘテロ環又はアリールであり;そして
RはC
1-10アルキル
、ヘテロ環又はアリールである。
【0026】
1つの好ましい態様で、本発明は式IIの構造を有する化合物、その個々のエナンチオマー、その個々のジアステレオ異性体、その個々の水和物、その個々の溶媒和物、その個々の結晶形態、その個々の異性体、その個々の互変異性体、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を提供し、
【0027】
【化7】
式II
この式で、
R
1はH又はC
1-3アルキルであり;
R
2はH又はC
1-3アルキルであり;
R
3はH又はC
1-10アルキル
、ヘテロ環又はアリールであり;そして
RはC
1-10アルキル
、ヘテロ環又はアリールである。
【0028】
別の態様で、本発明は式IIIの構造を有する化合物、その個々のエナンチオマー、その個々のジアステレオ異性体、その個々の水和物、その個々の溶媒和物、その個々の結晶形態、その個々の異性体、その個々の互変異性体、あるいは薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を提供し、
【0029】
【化8】
式III
この式で、
R
1はH又はC
1-3アルキルであり;
R
2はH又はC
1-3アルキルであり;
R
3はH又はC
1-10アルキル
、ヘテロ環又はアリールであり;そして
RはC
1-10アルキル
、ヘテロ環又はアリールである。
【0030】
以下のパラグラフでは、本発明による化合物を構成する種々の化学的構成部分の定義を述べるが、これらの定義は、特に別の注記がない限り、本明細書と請求項全体を通じて同じように適用されることを意図している。
【0031】
「アルキル」という用語は、本明細書で使われる場合、直鎖あるいは分岐アルカンあるいはそれらの組み合わせを有し1−10個の炭素原子、好ましくは1−8個の炭素原子、より好ましくは1−4個の炭素原子を含んでいる飽和一価アルカン部分を含むものと定義されている。アルキル部分はオプションとして、アミノ基、アリール基、ハロゲンなどによって置換させることができる。アルキル鎖の1つのメチレン(−CH
2−)をカルボニル、−NH−、カルボキシル、アミド、硫黄、あるいは酸素と置き換えることができる。例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、ヘキシル、イソペンチル、3−メチル−ブチル、2−アミノ−N−イソブチル・アセトアミド、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、エチルフェニル、メチルフェニル、2−アミノ−3−メチル−ブタンアミド−N−2−メチル−1−プロピル、1−アミノ−2−メチル−プロピル−1−イルなどがある。
【0032】
「ヘテロ環」という用語は、本明細書で使われる場合、芳香性あるいは非芳香性で構成要素が5−10の単環あるいは二環の環状構造で、OかNかSか又はその組み合わせから選択される少なくとも1つの炭素環構造を中断している原子あるいはその組み合わせを含んでいる。ヘテロ環は、オプションとしては、C
1-6アルキル、アミノ、ハロゲン、−O(C
1-6アルキル)、−OC(O)(C
1-6アルキル)、C(O)O(C
1-6アルキル)、−NHC(O)(C
1-6アルキル)、−C(O)NH(C
1-6アルキル)、−S(C
1-6アルキル)基によって置換することができる。例としては、フリル、ピリジル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ベンゾフラニル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、ベンズイミダゾリル、カルバゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソオキサゾリル、キナゾリニル、ピリダジニル、シンノリリル、フタラジニル、キノキサリニル、キサンチニル、ヒポキサンチニル、プテリジニル、5−アザシチジニル、5−アザウラシニル、トリアゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、及びピペラジニルなどである。
【0033】
「アリール」という用語は、本明細書で使われる場合、6−10の炭素原子を含む単環あるいは二環の環状構造で構成される芳香性炭化水素から、1つの水素原子を取り除くことによって誘導される有機性構成部分と定義され、フェニルやナフチルが含まれる。アリール基はオプションとしては、C
1-6アルキル、アミノ、ハロゲン、−O(C
1-6アルキル)、−OC(O)(C
1-6アルキル)、−C(O)O(C
1-6アルキル)、−NHC(O)(C
1-6アルキル)、−C(O)NH(C
1-6アルキル)、−S(C
1-6アルキル)基などによって置換することができる。例としてはフェニル、ナフチルなどがある。
【0034】
「H」という用語は、本明細書で使われる場合、水素原子を指す。
【0035】
「O」という用語は、本明細書で使われる場合、酸素原子を指す。
【0036】
「S」という用語は、本明細書で使われる場合、硫黄原子を指す。
【0037】
「N」という用語は、本明細書で使われる場合、窒素原子を指す。
【0038】
「アミノ」という用語は、本明細書で使われる場合、式−NH
2で示される基を指す。
【0039】
「アミド」という用語は、本明細書で使われる場合、式−C(O)NH−あるいは−NHC(O)−で示される基を指す。
【0040】
「ハロゲン」という用語は、本明細書で使われる場合、塩素、臭素、ヨウ素、あるいは弗素のうちの1つの原子を指す。
【0041】
「カルボニル」という用語は、本明細書で使われる場合、式−C=Oで示される基を指す。
【0042】
「カルボキシル」という用語は、本明細書で使われる場合、式−C(O)O−又は−OC(O)−で示される基を指す。
【0043】
通常、R
1はH又はC
1-3アルキルである。好ましいR
1はC
1-3アルキルである。最も好ましいR
1はメチルである。
【0044】
通常、R
2はH又はC
1-3アルキルである。好ましいR
2はC
1-3アルキルである。最も好ましいR
2はメチルである。
【0045】
通常、R
3はH、C又はC
1-10アルキル、ヘテロ環、又はアリールである。好ましいR
3はH、フェニル、又はC
1-10アルキルである。最も好ましいR
3はHである。
【0046】
通常、RはC
1-10アルキル、ヘテロ環、又はアリールである。好ましいRはメチル、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、エチルフェニル、フェニル、2−アミノ−1−フェニルエチル、2−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−2−メチル−プロピル−1−イル)、1−アミノ−2−メチル−プロピル−1−イル、及び2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−2−メチル−プロピル−1−イルである。最も好ましいR基はt−ブチル、イソプロピルである。
【0047】
「互変異性体」とは、本明細書で使われる場合、隣接する単結合と二重結合間の陽子の移行を意味している。互変異性体化プロセスは可逆的である。ここに述べられている化合物はその化合物の物理的特性の範囲内で互変異性体化を受ける可能性は有している。以下の例は、ここで述べられている化合物において起こり得る互変異性体化の例である。
【0049】
本発明による化合物は以下の物である。
イソ酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸 3[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
酢酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
安息香酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
3−メチル−プロピオン酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
2−アミノ−3−メチル酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
2−(2−アミノ−3−メチルブチリルアミノ)−3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)]−エチル−2−メチル−ベンジル エステル;
2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−3−メチル−酪酸 メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
2−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル
本発明による中間物は以下の物である。
イソ酪酸 3−[(S)−1−(1−)イソ−ブチリル−1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]-2−メチル−ベンジル・エステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸 3−{(S)−1−[1−(2,2−ジメチル−プロピオニル)−1H−イミダゾル−4−イル]−エチル}−2−メチル−ベンジル エステル;
酢酸 3−[(S)−1−(1−アセチル−1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル;
安息香酸 3−[(S)−1−(1−ベンゾイル−1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル;
3−メチル−酪酸 2−メチル−3−{(S)−1−[1−(3−メチル−ブチリル)−1H−イミダゾル−4−イル]−エチル}−ベンジル エステル;
フェニル−プロピオン酸 2−メチル−3−{(S)−1−[1−(3−フェニル−プロピニル)−1H−イミダゾル−4−イル]−エチル}−ベンジル エステル;
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸 3−{(S)−1−[1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−1H−イミダゾル−4−イル]−エチル}−2−メチル−ベンジル エステル;
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル;
2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−3−メチル酪酸 3−{(S)−1−[1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−1H−イミダゾル−4−イル]−エチル}−2−メチル−ベンジル エステル;
2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−3−メチル酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−アセチルアミノ)−3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル エステル;
及び
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−フェニル・プロピオン酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾル−4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
【0050】
式I、式II、式IIIの化合物の一部の物とそれらの中間物の一部の物はその構造内に少なくとも1つの立体中心を有している。この立体中心は(R)あるいは(S)構成にも存在している可能性があり、(R)及び(S)という表記はPure Appli.Chem (1976), 45, 11−13に記載されている規則に従って用いられている。
【0051】
本発明による化合物は、異なった多相的形態で存在することもできる。上の式では必ずしも明確に示していないが、そうした形態も本発明の範囲内に含むことが意図されている。」
【0052】
式I、式II、式IIIの化合物及びそれらの塩は溶媒和物の形態で存在することもあり得、それらも本発明の範囲内に含まれる。そうした溶媒和物としては、例えば、水和物、アルコール和物などがある。
【0053】
「薬学的に許容される塩」とは、上に示した化合物の上記の望ましい生物学的活性を保持しており、望ましくない毒性効果は最低限あるいはまったく示さない塩あるいは複合体を指している。本発明による「薬学的に許容される塩」は、式I、式II又は式IIIの化合物が形成することができる治療的に活性であり、非毒性の塩基性又は酸性塩形状を含む。
【0054】
塩基としての遊離形態で発生する式I、式II又は式IIIの化合物の酸付加塩形態は、その遊離塩基を、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの適切な無機酸で処理するか、あるいは、クエン酸、酢酸、シュウ酸、タルタル酸、こはく酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルモイン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレン・スルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、及びポリガラクツロン酸などの有機酸、及び、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムなどのアルカリ性−及びアルカリ土類金属によって形成されるような塩基付加塩類によって処理することによって、得ることができる。(Handbook,of Pharmaceutical Salts, P. Heinrich Stahal &
Camille G. Wermuth (Eds), Verlag Helvetica Chemica ActaZurich,2002,329−345)。
【0055】
これらの化合物はこの技術分野の当業者に公知の薬学的に許容される四元塩としても投与することができ、この四元塩は式−NY
+Z
-で示される四元アンモニウム塩などであり、この式でYはハロゲン、アルキル、あるいはベンジルであり、Zは塩素、臭素、ヨウ素、−O−アルキル、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、あるいはカルボン酸塩(例えば、フマル酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、シナモン酸塩、マンデル酸塩、ベンジル酸塩、及びジフェニル酢酸塩などの対イオンである。
【0056】
本発明の別の実施の形態で、薬学的に許容されるその基質中に本発明の化合物の少なくとも1つを含んでいる医薬品組成物が提供される。「薬学的に許容される」という表現はその基質や希釈剤や賦形剤がその組成物内の他の成分と共存性があって、その受容者に対して有害ではないということを意味している。
【0057】
本発明による医薬品組成物は固体、溶液、乳剤、分散剤、パッチ、ミセル、リポソーム等の形状で使用することができ、得られる組成物は本発明による1つ以上の化合物を活性成分として、外用あるいは非経口的な使用に適した有機あるいは無機の基質あるいは賦形剤との混合状態で含んでいる。本発明の化合物は、錠剤やペレットやカプセルや座薬や溶液や乳剤や懸濁液やその他使用に適した形状で使用するために、例えば、通常の非毒性の薬学的に許容される基質と組み合わせることができる。使用可能な基質は、グルコース、ラクトース、アカシアの樹液、ジェラチン、マンニット、でんぷんペースト、マグネシウム・トリシリケート、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ポテトスターチ、尿素、鎖の長さが中間程度のトリグリセリド、デキストラン、及び製剤を固体、準固体、あるいは液体形状で製造するのに使用に適しているその他の基質などである。さらに、補助的な、安定剤、増ちょう剤、発色剤、及び香料を用いることもできる。本発明による化合物は、それらの医薬品組成物中に薬効プロセスや疾病状態に応じて望ましい効果を生み出すのに十分な量で含まれる。
【0058】
本発明による化合物を含んでいる医薬品組成物は、例えば、錠剤、トローチ、甘味入り錠剤、水性あるいは油性懸濁液、分散可能な粉末や顆粒、乳剤、固い又は柔らかいカプセル、又はシロップやエリキシル剤など、経口での使用に適した形状であってもよい。経口使用のための組成物は医薬品組成物の製造の分野で知られているいかなる方法を用いて作られてもよく、そうした組成物は医薬品的に見た目が良く口に合うような製剤を提供するために、サクロース、ラクトースあるいはサッカリンなどの甘味料、ペッパーミントやイチャク草やイチゴの油などの香料、発色剤及び保存剤で構成される群から選択される1つ以上の薬剤を含むことができる。薬学的に許容される非毒性の賦形剤との混合で本発明の化合物を含んでいる錠剤も、公知の方法で製造することができる。用いられる賦形剤は、例えば、(1)炭酸カルシウムやラクトースやリン酸カルシウムやリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤、(2)コーンスターチやポテトスターチやアルギン酸などの造粒剤や分解剤、(3) トラガント・ゴムやコーンスターチやジェラチンやアカシア樹液などの結合剤、そして(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、あるいはタルクなどの潤滑剤であってよい。錠剤はコーティングしない状態でもよいし、胃腸系内での分解と吸収を遅らせてその作用を長時間にわたり維持するために公知の技術でコーティングしてもよい。例えば,モノステアリン酸グリセリンやジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延剤を用いてもよい。いくつかの場合では、経口使用のための製剤は、その内部で、本発明による化合物が、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、あるいはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合されている固いジェラチン・カプセルの形状であってもよい。また、本発明の化合物が、その内部で、水やオイル媒体、例えば、ピーナッツ・オイルや液体パラフィンやオリーブ・オイルなどと混合されている柔らかいジェラチン・カプセルであってもよい。
【0059】
上記医薬品組成物は無菌で注射可能な懸濁液の形状であってもよい。この懸濁液は適切な分散剤あるいは加湿剤と懸濁剤を用いて公知の方法で製剤することができる。この無菌で注射可能な懸濁液は、例えば1,3−ブタンジオールに溶かした溶液など、非毒性で非経口的に受容可能な希釈剤あるいは溶剤内に溶かした無菌で注射可能な溶液あるいは懸濁剤であってもよい。溶媒あるいは懸濁媒体として無菌の不揮発性油が通常は用いられる。この目的のために、合成のモノ−あるいはジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、セサミ油などの天然の野菜オイル、ココナッツ油、ピーナッツ油、綿実油など、あるいはオレイン酸エチルなどの合成脂肪酸媒体などの無刺激性油を用いることができる。
【0060】
本発明は、治療目的のための薬品を製造するための、式I、式II、あるいは式IIIで示される化合物、あるいは薬学的に許容されるその塩の使用も関している。本発明はまた、式I、式II、あるいは式IIIの一般式で示される化合物、あるいは薬学的に活性のあるその誘導体や塩が使用される治療応用を意図した薬品の製造方法にも関係している。
【0061】
個々の対象者は症状の重篤度において広い偏差を示すし、それぞれの薬剤もそれぞれ独特の治療特性を有しているので、個々の対象者に対して用いられる正確な投与方法と用量は医者の判断にゆだねられる。その患者に対しては、その化合物は、錠剤、液体、カプセル、粉末等いずれかの受容可能な形態で経口的に投与されるが、特にその患者が吐き気を感じるのであれば別の投与経路が必要になるであろう。そうした他の経路には、例外なく、経皮、非経口、皮下、鼻腔内、埋め込みステント経由、髄こう内、硝子体内、眼球への局所的処方、眼球の後ろ側、筋肉内、静脈内、及び直腸内の投与形態が含まれる。どの場合でも、投与される化合物の量は、その状態の重篤度、患者の年齢と体重、その患者の全体的な身体状態、その状態の原因、そして投与の経路を考慮して、医者によって決められる。さらに、それらの製剤は任意の時間にわたってのその活性化合物を遅延させたり、あるいは治療期間中の任意の期間に放出される薬品の量を慎重に制御するように設計される。
【0062】
[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、(S) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、あるいは(R) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、及びそれらの薬学的に許容される塩のエステル・プロドラッグは、点眼液として、あるいは直接注射したり、眼球の背後に適用するなどの異なった経路を通じて、遅放出性ペレット、懸濁液、ゲル、あるいはこの技術分野で知られているいずれかの適切な薬剤投与システム(DDS)などの放出量を抑えた投与デバイスなど、薬効作用の長期持続性をさらに向上させる製剤として投与することもできる。局所的な投与が望ましいが、この化合物は米国特許第7,931,909に述べられているような眼球内への埋め込みとして用いることもできる。この特許はここ触れたので、その内容全体が本明細書に組み込まれる。そうした生物的適合性のある眼球内埋め込み物は[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、(S) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、あるいは(R) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグを含んでいる。[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、(S) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、あるいは(R) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグは、それらを長時間にわたって眼球内に放出させるように製剤化することができる。
【0063】
眼科用製剤としての薬品はこの技術分野では公知であり、例えば、米国特許出願第2005005983号、第20050277584号、米国特許第7,297,679号、及び第20070015691と、米国特許第5,474,979号及び第6,582,718号に述べられており、これらの開示は、ここで触れたので、その内容全体が本明細書に組み入れられる。[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、(S) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール、あるいは(R) [3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグは、米国特許7,491,383B2に述べられているような薬効強化成分と共に製剤化することができる。これらの特許は、ここで触れたので、その内容全体が本明細書に組み入れられる。
【0064】
本発明においては、単数形及び複数形での表現は、特に具体的な異性体形態が触れられる場合を除いて、可能性のある異性体形態及びそれらの混合物のそれぞれをその範囲内に含むことを意図している。
【0065】
本発明は、一般式I、式II、式IIIで示される構造を有する化合物を調製するプロセスに関している。
【0066】
以下に示す合成方式は、本発明による上記化合物をどのようにしてつくることができるかを示している。当業者であれば、一般式I、式II、式IIIで示される範囲内にある本発明のいずれの化合物の合成においても、以下に示す方式を日常的に修正したり適用化できるであろう。
【0067】
(S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノールのエステル・プロドラッグを合成するための全体的方式
【0069】
第1のステップで、(S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール(CAS 189255−79−6)はN,N−ジメチル・ホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチルアミン(TEA)、及び4−ジメチル・アミノピリジン(DMAP)の存在下で、望ましい塩化アシルと反応することができる。抽出が通常に行われると、中圧液体クロマトグラフィ(MPLC)(0%−40%酢酸エチルヲヘキサンに加えたもの)によって残留物を精製して、中間化合物をアモルファス状固体として発生させることができる。
【0070】
第2のステップで、最初の反応で得られた中間物はメタノール(MeOH)と反応することができる。MPLC(50%酢酸エチルをヘキサンに加えて、次に、5%7Nのアンモニア/メタノール/ジクロロメタンを加えたもの)によって残留物を精製して、その望ましい化合物を固体として発生させることができる。
【0071】
なお、上に述べた一般的な説明と以下に述べる詳細な説明は、例示的なもので説明のためだけのものであり、権利請求される発明を限定するものではない。本明細書で使われる場合、特に注記がない限り、単数表現は複数の場合もその意味範囲に含むものとする。
【0072】
本発明は薬学的に許容される同位体的に濃縮された化合物のすべてを含んでいる。本発明のいずれの化合物も、
1H(あるいはH)の代わりに重水素
2H(あるいはD)とか
12Cの代わりに
13C濃縮物質を使用するなど、天然での比率より濃縮された、あるいはそれとは異なった1つ又は2つの同位体原子を含んでいる。同様の置換をN,O及びSに対しても行うことできる。同位元素の使用は、本発明の分析的及び治療的態様において有用である可能性もある。例えば、重水素の利用は本発明の化合物の代謝(速度)を変えることで、そのin vivoでの半減期を増大させる可能性がある。これらの化合物は、同位体的に濃縮された試薬を用いて、上に述べられた方法で調製することができる。
【0073】
以下の実施例は説明を目的とするだけのものであって、いかなる意味においても本発明を限定するものとみなされるべきではない。当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱せずに、以下の実施例の変更や修正が可能であることは容易に理解するであろう。
【0074】
実施例で用いられている化合物のIUPAC名はACD 8版で一般化された。
【0075】
実施例において特に注記がない限り、それぞれの化合物の特徴づけは以下の方法に従って行われる。
【0076】
NMRスペクトルは300MHzバリアンで記録され、室温で得られる。化学シフトは内部TMSあるいは残留溶媒信号のいずれかに対してppm基準で与えられる。
【0077】
その合成についての説明がなされていないすべての試薬、溶剤、触媒はSigma Aldrich、Fluka、Lancasterなどの化学品販売会社から購入されるものあるが、CASいくつかの登録番号が示されて知られている反応中間物は、以下のような公知の手順を用いて自社内で調製されたものである。通常、本発明の化合物はフラッシュ・カラム・クロマトグラフィで精製された。
【0078】
実施例の説明では、以下の略語が用いられている。
【0079】
実施例1
中間物1
イソ酪酸 3−[(S)−1−(1−イソブチリル−1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル
DMF(8ml)及びTHF(50ml)に(S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール(1,34g,6.2mmol)を溶かした溶液に、TEA(3.5ml、24.8mmol)、DMAP(780mg、6.2mmol)及び塩化イソブチリル(2.18g、20.5mmol)を加えた。得られた混合物を室温で16時間撹拌して、水で鎮静化してから、酢酸エチルで抽出した。結合した有機層を塩水で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させてから、減圧下で濃縮した。残留物をMPLC(ヘキサンに0%−40%エチルを加えたもの)で精製して、固体としての中間物1を得た。
1H−NMR(CD
3OD, δppm):1.15 (d,j=7.03Hz,6H),1.26(d,6H,J=6.74Hz),1.56(d,J=7.03Hz, 3H), 2.34(s,3H), 2.58(hept, J=7.03Hz, 1H), 3.34(hept, J=7.74Hz), 1H), 4.42(q,J=7.03Hz, 1H), 5.15(s, 2H), 7.07−7.10(m, 2H), 7.12−7.15(m, 1H), 7.31(s, 1H), 8.35(s, 1H)
【0080】
中間物2−6は(S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノールから開始して、実施例1で述べた方法と同様の方法で調製された。それぞれの場合に用いられた塩化アシルとその結果を以下の表1に示す。
【0082】
実施例2
化合物1
イソ酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル
【0083】
【化11】
中間物1をMeOH(50ml)に溶解して、その混合物を室温で24時間撹拌してから、減圧下で濃縮した。残留物をMCPL(50%酢酸エチルをヘキサンに加え、さらに5%7N NH
3)/MeOH/DCMを加えたもの)で精製して、化合物1を固体として得た。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):1.15(d,J=7.03Hz, 6H), 1.54(d,J=7.03Hz, 3H), 2.33 (S,3H), 2.56 (hept, J=7.03Hz, 1H), 4.42(q、J=7.03Hz, 1H), 5.15 (S, 2H), 6.70 (S, 1H), 7.07−7.10(m, 2H), 7.12−7.15 (m, 1H), 7.55(S, 1H)。
【0084】
本発明による化合物2−6は対応する中間物をメタノールと反応させることで、実施例2に述べた手順に従って調製された。その結果を表2に示す。
【0086】
実施例3
中間物7
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸 3−{(S)−1−[1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−1H−イミダゾール4−イル]−エチル}−2−メチル−ベンジル・エステル
DMF(2ml)とTHF(12ml)に(S) −[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル−2−メチルフェニル]メタノール(216mg, 1.0mmol)を加えた溶液に、EDCL(671mg, 3.5mmol)、DMAP (427mg, 3.5mmol)及びBoc−L−バリン(651mg, 3.0 mmol)を加えた。この混合物を室温で16時間撹拌して、水で鎮静化して、酢酸エチルで抽出した。結合した有機層を水と塩水で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をカラム・クロマトグラフィ(30%酢酸エチルをヘキサンに加えたもの)で精製して、中間物7を白い固体として得た。
1H−NMR(CD
3OD, δppm):0.85−1.01(m,12H), 1.20−1.48(m, 18H), 1.56(d, J=7.03Hz, 3H), 2.01−2.20(m,2H), 2.35(S,3H), 4.03(m,1H), 4.42 (q, J=7.03Hz, 1H), 4.60−4.65(m,1H), 5.15−5.29(m,2H), 7.10−7.20(m,2H), 7.20−7.25(m,1H), 7.33(S,1H), 8.44(S,1H)。
【0087】
実施例4
中間物8
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル
中間物7(600mg, 0.98mmol)を30mlのMeOHに溶解したものから、実施例2で述べた手順に従って、表題の化合物を調製した。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.85−0.95 (m,6H), 1.42 (m,9H), 1.54 (d,J=7.03Hz, 3H), 2.05 (m,1H), 2.33 (S,3H), 4.00 (d,J=6.15Hz, 1H), 4.40 (q, J=7.03Hz, 1H),5.15−5.28 (m,2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.20 (m, 2H), 7.20−7.25 (m,1H), 7.55 (S,1H)。
【0088】
実施例5
化合物7
2−アミノ−3−メチル酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル]−エチル]−2−メチル−ベンジル・エステル
【0089】
【化12】
中間物8(390mg, 0.94mmol)に4N塩酸をジオキサン(8ml)に溶かしたものに加えた。結果として得られた溶液を室温で4時間撹拌して、次に、水で鎮静化して、水性飽和炭酸水素ナトリウムで中和して、クロロホルムに25%イソプロピル・アルコールを溶かしたもので抽出した。結合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥して、減圧下で濃縮した。残留物をカラム・クロマトグラフィ(DCMに5% 7N アンモニア/メタノールを溶かしたもの)で精製して、化合物7を白い固体として得た。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.85 (d,J=6.74Hz, 3H), 0.91 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.54 (d, J=7.03Hz,3H), 1.96(hept, J=6.74Hz, 1H), 2.33 (S, 3H), 3.28 (d,J=6.74Hz, 2H), 4.42 (q, J=7.03Hz, 1H), 5.20−5.25(m,2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.12 (m,2H),7.13−7.20(m, 1H), 7.55 (S, 1H)。
【0090】
実施例6
中間物9
2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−3−メチル−酪酸 3−{(S)−1−[1−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−1H−イミダゾール4−イル]−エチル}−2−メチル−ベンジル・エステル
化合物7(490mg, 1.55mmol)、Boc−L−バリン(1.01g, 4.67mmol)、EDCL(1.04g, 5.42mmol)及びDMAP(671mg、5.5mmol)から、実施例3で述べた手順に従って、表題の化合物を調製した。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.85−0.92(m,12H), 1.43(S,9H), 1.55 (d,J=7.03Hz, 3H), 1.97 (m, 1H), 2.14 (hept, J=6.60Hz, 1H), 2.35 (S, 3H), 3.88 (d,J=7.30Hz,
1H), 4.35 (d,J=6.90Hz, 1H), 4.42 (d,J=7.03Hz, 1H), 5.18−5.25 (m, 2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.15 (m, 2H), 7/17−20 (m,1H), 7.55 (S, 1H)。
【0091】
実施例7
中間物10
2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
実施例2で述べた手順に従って、中間物9(750mg, 1.05mmol)を30mlのメタノールに溶かしたものから、表題の化合物を得た。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.89 (d,d,J=7.03Hz, 6H), 1.44 (S, 9H), 1.54 (d, J=7.33Hz, 3H), 2,14 (hept,J=6.74Hz, 1H), 2.33 (S, 3H), 3.74 (S, 2H), 4.35−4.55 (m, 2H), 5.20 (S, 2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.17 (m, 2H), 7.19−7.23 (m, 1H),
7.56 (S, 1H)。
【0092】
実施例8
化合物8
2−(2−アミノ−3−メチル−ブチリルアミノ)−3−メチル−酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
【0093】
【化13】
実施例5に述べた手順に従って、中間物10 (450mg、0.87mmol)を8mlの4N 塩酸/ジオキサンに溶かしたものから、表題の化合物を調製した。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.85 (d,J=7.03Hz, 3H), 0.91 (d,J=6.74Hz, 3H), 0.92 (d,J=7.3Hz, 3H), 1.14 (d,J=6.2Hz, 3H), 1.54 (d,J=7.03Hz, 3H), 1.94 (hept, J=5.2 Hz, 1H), 2.14 (hept,J=6.2Hz, 1H), 2.33 (S, 3H), 3.18 (d,J=5.2Hz, 1H), 4.34 (d,J=6.2Hz, 1H), 4.42 (q, J=7.03Hz, 1H), 5.21−5.26(m, 2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.15 (m, 2H), 7.18−7.20 (m, 1H), 7.55 (S,1H)。
【0094】
実施例9
中間物11
2−(2−t−ブトキシカルボニルアミノ−アセチルアミノ)−3−メチル−酪酸3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
実施例3で述べた手順に従って、化合物8(405mg, 1.28mmol)、Boc−グリセリン(675mg、3.86mmol)、EDCL(859mg, 4.48mmol)、及びDMAP (547mg, 4.48mmol)から表題の化合物を得た。表題の化合物を、5% 7N アンモニア/メタノールをDCMに溶解したものを用いてカラム・クロマトグラフィによって精製した。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.89 (d,J=6.74Hz, 3H), 0.91 (d,J=6.74Hz, 3H), 1.55 (d,J=7.30Hz, 3H), 2.14 (hept, J=6.74Hz, 1H), 2.33 (S,3H), 4.73 (d,J=5.90Hz, 1H), 4.42 (q,J=7.03Hz, 1H), 5.20−5.25(m,2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.12 (m, 2H),7.13−7.20 (m, 1H), 7.55 (S, 1H)。
【0095】
実施例10
化合物9
2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−3−メチル酪酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
【0096】
【化14】
実施例5で述べられた手順に従って、10mlの4N塩酸/ジオキサンを用いて、中間物11(320mg, 0.68mmol)から表題の化合物を得た。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):0.89 (d,J=6.74Hz, 3H), 0.91 (d,J=6.74Hz, 3H), 2.14 (hept,J=6.74Hz, 1H), 2.33 (S, 3H), 4.37 (d,J=5.90Hz, 1H), 4.42 (q, J=7.03Hz, 1H), 5.20−5.25 (m,2H), 6.67 (S, 1H), 7.10−7.12 (m, 2H), 7.13−7.20 (m, 1H), 7.55 (S, 1H)。
【0097】
実施例11
中間物12
2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
(S)−[3−(1−(1H−イミダゾール4−イル)エチル)−2−メチルフェニル]メタノール(216mg, 1.0mmol), Boc−L−フェニルアラニン(795mg, 3.0mmol)、EDCl (671mg, 3.5 mmol)、及びDMAP (427mg, 3.5mmol)から、実施例3に述べた手順に従って、表題の化合物を調製した。中間物12は、35−100%酢酸エチルをヘキサンに溶解したものを用いて精製した。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):1.36 (S,9H), 1.55 (d,J=7.03Hz, 3H), 2.28 (S, 3H),2.85−2.95 (m,1H), 3.05−3.11 (m, 1H), 4.38 (m, 1H), 4.40 (q,J=7.03Hz, 1H), 5.17 (S, 2H), 6.69 (S, 1H), 7.08−7.24 (m, 8H), 7.55 (S, 1H)。
【0098】
実施例12
化合物10
2−アミノ−3−フェニル−プロピオン酸 3−[(S)−1−(1H−イミダゾール4−イル)−エチル]−2−メチル− ベンジル・エステル
【化15】
実施例5で述べられた手順に従って、8mlの4N塩酸/ジオキサンを用いて、中間物12(240mg, 0.52mmol)から表題の化合物を得た。
1H−NMR(CD
3OD: δppm):1.54 (d,J=7.03Hz, 3H), 2.26 (S, 3H), 2.90−3.00 (m, 2H), 3.73 (t、J=6.40Hz, 1H), 4.40 (q, J=7.03Hz, 1H), 5.13−5.18 (m, 2H), 6.68 (S, 1H), 7.08−7.12 (m, 5H), 7.13−7.22 (m, 3H), 7.55 (S, 1H)。
【0099】
以下のアッセイは、本発明による化合物の効能と選択性を実証するために行われたものである。
【0100】
実施例13
FLIPRCa
+2インフラックス・アッセイ
ウシα
1Aレセプタ、ヒトα2Aレセプタ及びキメラ性G蛋白質G
q15を安定的に表現するHEK293細胞をポリ−D−リシン被覆384ウェル・プレートに1つのウェルあたり20,000−40,000個の細胞の割合で入れて、10%ウシ胎児血清で補強したDMEM内で一昼夜成長させる。FLIPR(蛍光定量的画像プレート・リーダー)での評価を行うために、細胞をHBSS/HEPES緩衝液(HBSS/HEPES緩衝液(1X
ハンクス緩衝塩溶液, 20mM HEPES, pH7.4 )で2度洗浄して、次に、カルシウムに敏感に反応するFLuo−4−AM(4uM, FLuo−4−AM, 0.04%プロロニン酸をHBSS/HEPES緩衝液に溶解したもの)を加える。細胞に染料を加えて、37℃の温度で40分間保持してから、HBSS/HEPES緩衝液で4回洗浄する。アゴニスト・アッセイとアンタゴニスト・アッセイの両方で、テスト化合物は0.64nMから10,000nMの範囲でテストされる。
【0101】
アゴニスト・アッセイにおいては、化合物の適当な希釈物を加えることで反応が開始され、一過性のカルシウム信号が捕捉される。カルシウム曲線のピーク高が判定されて、ActvityBaseを用いてのEC
50及び効力の計算のために用いられる。α1及びα2レセプタ活性を評価するために用いられる標準的な完全アゴニストはノレピネフィリンである。
【0102】
アンタゴニスト・アッセイには、その薬品を加えても一過性カルシウム信号は発信されない。しかしながら、そのアンタゴニストは標準的なアゴニストであるノレピネフィリンの一過性カルシウム信号を用量に依存した状態でブロックする。残ったノレピネフィリン・ピークをアンタゴナイズされないノレピネフィリン・ピーク高と比較して、アンタゴニズムの割合(%)を計算する。
【0103】
【表3】
EC50 (eff) nM. n/a: 不活性