特許第6073253号(P6073253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073253タッチスクリーンを有する技術医用装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073253
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】タッチスクリーンを有する技術医用装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170123BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20170123BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170123BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G06F3/041 590
   G06F3/041 480
   G06F3/041 602
   G06F3/044 110
   G06F3/0488
   A61M1/14 110
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-553845(P2013-553845)
(86)(22)【出願日】2012年2月17日
(65)【公表番号】特表2014-512879(P2014-512879A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012000708
(87)【国際公開番号】WO2012110250
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年2月17日
(31)【優先権主張番号】102011011769.5
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/444,316
(32)【優先日】2011年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170715
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 和道
(72)【発明者】
【氏名】ブルームラー ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーマイヤー ヴォルフガング
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−272143(JP,A)
【文献】 実公平05−004035(JP,Y2)
【文献】 特表2000−504988(JP,A)
【文献】 特開2006−243812(JP,A)
【文献】 特開平03−127218(JP,A)
【文献】 特開平04−057117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14 − A61M 1/32
G06F 3/03 − G06F 3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのタッチスクリーンを有する技術医用装置に情報を表示し且つ入力するための方法であって、
二つの重複したセンサが、前記タッチスクリーン上の指押しの位置を決定するのに使用され、
制御ユニットが、前記タッチスクリーン上の指押しの位置を検出するために、前記二つの重複したセンサの信号を検出するように設けられ且つ使用され、
前記制御ユニットが、前記二つの重複したセンサの一つの信号の欠落を検出したときに、故障事例があると判断し、
前記タッチスクリーン上の指押しの位置を検出するための少なくとも一つのセンサが、複数の圧電素子を有し、
前記タッチスクリーンの視覚表示が機能していない場合に、前記圧電素子は、前記タッチスクリーンの所定の部分領域が所定の触覚特性を有するように制御される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記制御ユニットは、複数の圧電素子を備える前記タッチスクリーン上の指押しの位置を検出するための前記センサの前記信号が、予め定められた制限値よりも小さいときに、意図しない指押しがあると判断する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記所定の触覚特性は、隆起及び振動の少なくとも一つを含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記タッチスクリーンの前記所定の部分領域が、押すことによって選択され、前記技術医用装置の所定の動作が実行される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記タッチスクリーン上の指押しの位置を検出するために、前記二つの重複したセンサの前記信号を分析するために使用され、同時に前記タッチスクリーンを下に押す複数の指の位置を突き止めることができる、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術医用装置に係り、より詳細には、少なくとも一つのタッチスクリーンを備えた血液処理装置、及び、少なくとも一つのタッチスクリーンを備えた血液処理装置に情報を表示し且つ入力する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を表示し、同時に、オペレータの入力を受けるための手段としての接触検知表示器(タッチスクリーン)を有する技術医用装置は、従来技術の状態において広く知られている。かかる技術医用装置の一例は、フレセニウス・メディカル・ケア社の血液透析装置(Hemodialysis Machine)5008である。
【0003】
タッチスクリーンを有する技術医用装置は、平坦な継ぎ目のない表面により、使用者に便利で可変で衛生的なユーザインタフェースを提供する。
【0004】
技術医用装置のためのタッチスクリーンは、これまで、単に滑らかで平坦な表面を本来提供してきた。オペレータは、コントロールパネルの可視表示に基づいて、指紋が期待される表示の領域を認識する。期待された領域に接触しているか否かの触覚的な承認はない。かかる触覚的なフィードバックは、操作が力の具体的な印加を要求する、及び/又は、操作をアクチュエータの移動によって検知することができる在来の機械式スイッチによって、提供される。かかる機械式スイッチの設計による機械式スイッチの一つの欠点は、技術医用装置の表面の衛生的な洗浄を困難にする、技術医用装置の表面の頻繁な継ぎ目の特性である。さらに、機械式スイッチは、タッチスクリーン上の可視スイッチの数、寸法及び位置を変更することに関して柔軟性を提供する、タッチスクリーンのソフトウエア制御スイッチマトリクスの変化性を提供しない。
【0005】
技術医用装置の安全性のために、信頼性高くかつ明白に機能することは、タッチスクリーン表示上の情報の入力及び表示にとって本質的である。
【0006】
この目的のため、例えば、患者の治療の安全な終了のために、タッチスクリーンの入力機能の欠陥の場合には、重要な情報のための別の入力オプションを設けることによって、タッチスクリーンによる入力オプションの重複した設計を有することが望ましい。従来技術では、これは、例えば、追加の機械的なスイッチ又はボタンによって可能になる。機械式スイッチに関して上述した特性は、この点に関して不利であることが証明されている。
【0007】
触覚フィードバック付きタッチスクリーンを有する装置は、電気通信及びコンピュータ技術の分野で知られている。下記の特許文献1(国際公開第2009/085060号パンフレット)は、一つのかかる装置を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2009/085060号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
触覚フィードバックは、ユーザがユーザの指をタッチスクリーンディスプレイに当てたときに、ユーザに機械的ボタンの感触を伝えるために、かかる装置を用いて得られる。これは、特に、装置が機械式キーパットを有さず、しかしその代わりに、種々の携帯電話又はミニコンピュータ上のタッチスクリーンのようなタッチスクリーンだけを有するときに、好都合に利点を構成する。これらの用途では、使用の利便性は、第一の関心であるが、技術的な安全性の利点は、既知の装置を用いた触覚フィードバック付きタッチスクリーンによっては達成されない。
【0010】
しかしながら、安全性の側面は、技術医用装置に関して第一の関心のものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、タッチスクリーンを有する技術医用装置を、技術医用装置の安全性及び操作利便性が増大するように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これらの目的は、請求項1の特徴を有する装置によって、請求項8の特徴を有する方法によって、及び請求項12による方法によって、本発明により達成される。有利な実施形態は、従属項の対象事項である。
【0013】
接触信号は、変形、即ち、何かの大きさの永久的な又は交互の変形であると理解される。
【0014】
本発明は、本発明は、少なくとも一つのタッチスクリーンを有する技術医用装置、特に透析装置に基づき、それによって、タッチスクリーンは、タッチスクリーンを押す指の位置を検出するための二つの重複したセンサを有する。
【0015】
さらに、本発明は、タッチスクリーン及び少なくとも二つの重複したセンサを有する技術医用装置での情報の表示及び入力のための方法にもとづき、ここで、ディスプレイスクリーン上の指紋の位置は、両方のセンサによって決定される。
【0016】
そのうえ、本発明は、少なくとも一つのタッチスクリーンを有する技術医用デバイスに表示する方法に基づき、接触信号は、タッチスクリーン上に生成される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、タッチスクリーン上の指紋の位置を決定するタッチスクリーンのセンサの少なくとも一つは、複数の圧電素子を備えている。
【0018】
圧電素子は、圧電効果を使用し、電圧を印加することによって運動を実行し、又は、力を加えることによって電圧を発生させる。かくして、圧電素子は、力センサとアクチュエータの両方として、設けることができる。圧電素子は、ある結晶(圧電結晶)でもよいし、圧電セラミックス、即ち多結晶材料でもよい。
【0019】
圧電素子は、マトリクスパターン内のタッチスクリーン表面にわたって配置されるのが良く、また、適当な制御による局所的な分解能で個々に制御することができる。
【0020】
圧電素子はまた、ディスプレイの下のコーナー又はサイドで、力をロックした方法(force-locked manner)で、ディスプレイに接続されてもよい。
【0021】
変形例において、圧電素子はまた、ディスプレイのある位置において多数配列してもよいし、減じた数で、又は他の位置でなく、存在してもよい。かくして、触覚信号の改善された分解能を、圧電素子の合計数を増加させることなく、タッチスクリーン上のある位置で達成することができる。
【0022】
一実施形態では、圧電素子は、本質的に光透過性の圧電層を、本質的に光透過性である二つの電極の向かい合った側に接触させることによって形成される。このようにして、圧電層の表面及び底面側の複数の電極が、特にディスプレイ全面にわたって、好ましくは等間隔で、互いに直交して延びる。
【0023】
上記の観点で、圧電素子は、圧電層の表面上に延びる電極と圧電層の底部に延びる電極との交差、及びその間に配置された圧電材料として形成される。
【0024】
圧電層に対して上部に配置された電極は、好ましくは等幅の、ラインのパターンを形成し、電極は、好ましくはライン幅に相当する間隔で、互いに等距離であり平行である。圧電層に対して底部に配置された電極もまた、同様に配列される。上記から分かるように、両方の電極のレベルは、圧電層の上下に延びる電極のすべての交差で、均一なグリッドを有し、個々に制御及び/又は読み出すことができる圧電素子を形成する。
【0025】
圧電層の上部側の電極の数と、圧電層の底部側の電極の数との積は、圧電素子の数を与える。
【0026】
圧電層の上部側の一つの電極徒弟部側の一つの電極を選択することによって、ある圧電素子を制御及び/又は読み出すことができる。圧電層の上部側の電極と底部側の電極とに電位差を印加することによって、これら二つの電極の間の圧電材料が変形させられる。
【0027】
同様にして、圧電素子の両端間の電圧降下は、この圧電素子に接触する電極で得られる。
【0028】
この実施形態では、個々の圧電素子が、互いに別々に同時に制御され及び/又は読み出すことができないことが欠点であることが証明されている。単一の電極が、一方の側で複数の圧電素子の電圧を決定する。
【0029】
したがって、特に好ましい実施形態では、好ましくは立方形で設計された、複数の光透過性電極が、圧電層の上部側に配列される。これら電極の各々は、それ自身のコントロールラインによって、制御され且つ読み出されることができる。圧電層の退部側は、単一の光透過性電極を有し、その光透過性電極は、圧電光透過性層の表面全体にわたって走り、その電圧は、単一のコントロールラインによって制御され且つ読み出される。この実施形態では、圧電素子は、圧電層の上部側の電極と、圧電層の底部側の共有電極との間に形成される。この実施形態は、各個々の圧電素子の、個別且つ同時の可制御性及び可読出性を可能にする。
【0030】
圧電層の上部側の電極の表面は、人間の指の接触表面(約1cm2)に基づく。また、例えば、圧電層の上部側で電極を、形状及び寸法が好ましい可視ディスプレイに適合するように個別に設計することも可能である。タッチスクリーン上のある表面(例えば、全体)でいつも明らかな、大きな操作表面は、単一のより大きい圧電素子によってしかるべく覆われてもよく、これに対して、より小さい電極が、他の位置に存在する。
【0031】
バーリナイト、蔗糖、水晶、ロッシェル塩、トパーズ又はトルマリンのような天然結晶、オルト燐酸ガリウム又はランガサイトのような合成結晶、セラミックス、又はポリマが、圧電素子の材料として使用できる。電圧が印加されたときに変形する本質的にすべての材料が、この目的のために使用できる。
【0032】
電極は、金属又は半導体で作ることができるが、好ましくは、可視光に対して高い透過性を有する酸化インジウム錫(indium thin oxide:ITO)電極として設計される。
【0033】
触覚フィードバックを有するタッチスクリーンの実施形態は、以下に透析装置の例で説明される。ここに説明する実施形態は、制限なしで、あらゆる技術医用装置に提供することができることは、当業者に明らかであろう。
【0034】
一つの実施形態において、装置は、圧力の印加によって発生した各圧電素子の電圧を読み出すように設計される。この実施形態では、圧電素子は、力センサのように作動する。タッチスクリーンの対応する位置の指の圧力は、このようにして検出される。位置分解能を有する接触を検出するタッチスクリーンの特性が、例えば、技術的な欠陥により制限され、又は最早存在しないことが起こり得る。この場合、装置に加えて、とにかく代替の重複した選択肢が、指の圧力によって発生した圧電素子の電圧を読み出すことによっても作り出され、位置分解能とともにユーザ入力を検出する可能性を作り出す。
【0035】
タッチスクリーン上の指の位置を突き止めるタッチスクリーンの装置(以下、タッチスクリーン指センサと称する)の信号が、指がタッチスクリーンを押すたびに、圧電素子の対応する電圧と比較され、それによって、両方のセンサ装置の機能をチェックすることが考えられる。
【0036】
例えば、位置分解能を有する接触を検出するタッチスクリーンの機能が不完全又は制限されることが起きるかもしれないが、圧電素子の機能は維持される。そして、オペレータが指押し力によって力を印加している圧電素子が、本発明のタッチスクリーン上に指を押しつけることによって電圧を発生させる。タッチスクリーン指センサの信号と圧電素子の信号とを比較する分析制御装置は、この場合、タッチスクリーン指センサのセンサ信号の欠落を検出し、したがって、欠陥又はエラーケースの存在を推定する。同時に、分析制御装置がタッチスクリーン指センサの信号を検出するが、圧電素子マトリクスの信号がなければ、機能の欠陥、及び/又は、圧電素子を含むエラーケースを検出することができる。両方の場合、分析制御装置は、オペレータのために欠陥の存在を表示することができ、及び/又は、この情報を透析装置の別の制御装置に提供することができる。この表示は、制御信号、及び/又は、視覚、触覚又は聴覚信号でもよい。欠陥の場合には、透析装置の制御ユニットは、措置をとるのがよく、例えば、制御された方法で継続している透析処理を終了させてもよく、透析処理を最後まで継続して、欠陥が除去された後でのみ更なる処理を可能にしてもよい。
【0037】
かくして、本発明の装置及び方法は、透析装置に更なる安全性を提供し、重複した入力オプションを提供する。この重複した入力オプションは、作動中にスイッチの数及び位置を変更する事ができない重複した機械式スイッチよりも、入力の遙かに変更のきく可能性を可能にする。触覚フィードバックを有するタッチスクリーンの融通性により、透析装置の操作性を、エラー又は欠陥の場合でさえも、制限のない範囲まで維持することができる。患者にとっては、これは、タッチスクリーン指センサが故障した場合に、著しい改善を意味する、というのは、透析装置の操作性を、重複した入力オプションにより制限されることなく継続させることができるからである。かくして、継続している透析処理を中断することは絶対に必要なことではなく、それによって、利便性及び安全性が向上する。
【0038】
別の実施形態では、圧電素子マトリクスはまた、同時に、多数の指の圧力を検出するのに利用される。当該分野では、特殊な容量性タッチスクリーン技術(special capacitive touchscreen technology)に基づくマルチタッチ機能を有するタッチスクリーンが知られている。
【0039】
従来の容量性タッチスクリーンディスプレイでは、ユーザの指がディスプレイ表面に接近するとき、指がタッチスクリーン上の(例えば、ITOの)コーティングと要領を形成し、このコーティングは、本質的に、可視光に対して透明である。コーティングを摩耗から保護してタッチスクリーンを丈夫にするために、耐擦性フィルム又はガラスカバーが、導電性コーティングの上に通常付けられる。そして、このフィルム又はガラスカバーは、それによって形成された、プレートキャパシタについて誘電体として機能し、その一方のプレートは、導電性コーティングになり、他方のプレートは、接近又はつけられた指によって形成される。したがって、容量性タッチスクリーンの機能にとって、スクリーンに接触する物体その物体が人間の指の場合、電化をきっと集め得ることは本質的である。導電性コーティングのコーナーは、交流電圧源に接続されている。タッチスクリーンに接触すると、電流が、これらの交流電圧源から、導電層、及び、指と導電層とによって形成されたキャパシタに流れる。次いで、それぞれの交流電圧源から指の接触点までの経路は、ここに電気抵抗を形成し、その寸法は、コーティングの導電率及び経路の長さに依存する。これは、経路の長さに比例する電流レベルを与え、これらの電流レベルは、分析回路によって検出され、指の瞬時の位置に割り当てられることができる。
【0040】
この容量性タッチスクリーンの広く行き渡った安い設計は、タッチスクリーンに接触している二つの指の位置を突き止めることができない、というのは、二つの接触点での電流信号は、接触の位置に明白に割り当てられることができないからである。マルチタッチ機能を有するタッチスクリーンは従来技術の状態から知られているが、従来の透析装置は、マルチタッチ機能を有するタッチスクリーンを備えていない。
【0041】
付加圧電素子層により、かかる機能をも与えることができる。各圧電素子を個別に照会することができるから、同時に異なる圧電素子を指で押すことをも検出することができる。これは、例えばパラメータの上限及び下限を便利に入力するために、例えば二つの指を使用して、数値メモリ上の複数の数値の間をつなぐのに使用することができる。タッチスクリーン上の二つの指の動きで、タッチスクリーンディスプレイの拡大された又は縮小された表示を、二つの指の動きの下に引き起こすことも考えられる。
【0042】
別の実施形態では、圧電素子は、制御電圧を印加することによって、タッチスクリーンの表面に好ましくは垂直に運動を行うように設計される。制御電圧は、時間とともに変化してもよいし、ある期間同一であってもよい。
【0043】
本発明によれば、それにより、タッチスクリーンの部分は、それらの触覚特性が、個別に変えられてもよい。変化は、周囲の領域と比較してタッチスクリーンの一部の領域の陥没又は隆起、一部の領域の振動、及び、周囲の領域と比較してタッチスクリーンの一部の領域の粗さの変化(滑らかにする/粗くする)を本質的に含む。タッチスクリーンの一部の領域に作用する触覚特性のすべての変化を、本発明の装置及び本発明の方法の適切な設計で、タッチスクリーンの全ての領域に適用することもできる。
【0044】
例えば、直流電圧をマトリクスの一つ以上の圧電素子に印加してもよく、その結果、圧電素子は、(印加された直流電圧の極性に依存して)一つの寸法が延びあるいは縮み、この効果は、直流電圧が印加されている限り継続する。一つ以上の圧電素子のこの収縮又は伸長は、指がそれぞれの圧電素子の上の位置で持ち上げられているユーザによって陥没又は隆起として検知される。
【0045】
このようにして、周囲の領域に対して接触のために隆起した領域として現れる、入力要域のようなタッチスクリーン上の位置が、タッチスクリーン上に作り出されてもよい。オペレータによって接触されたときに情報の明確な入力へ導く、タッチスクリーンの一部の領域は、入力領域として構成されてもよい。
【0046】
例えば、10キーのキーパッドを、視覚的に表示することができる。かくして、機械的キーの感触は、入力領域の間の分割ラインを隆起させないでおいて、示されたそれぞれの数字の上の隆起した位置によって作り出すことができる。
【0047】
触覚効果を支持するために、かつ機械的キー又はスイッチを模擬するために、ユーザの指が隆起した入力領域に接触した後で、その接触はタッチスクリーンのセンサによって検出され、分析制御装置が、圧電素子が凹んだ表面又は平坦な表面を形成するように、この入力領域を形成する圧電素子を制御することができる。この目的のために、接触が検出された後、対応する圧電素子の制御電圧は反転し又は停止する。この制御電圧の極性の反転又は停止は、突然起こってもよいし、よりゆっくりと進行してもよい。
【0048】
圧電素子の電圧が制御された状態でモニタされることも考えられる。かくして、指の圧力による機械的な力の印加を検出することができる。圧電素子上の指の圧力が大きいほど、圧電素子によって生成される電圧による制御電圧の調整が大きい。実際には、圧電素子に作用する力による、制御電圧の直流電圧成分の変化が観察される。この実施形態では、圧電素子は、同時に、力センサとして、かつアクチュエータとして作動する。
【0049】
この情報は、タッチスクリーンの意図しない接触と、意図したユーザ入力とを区別するのに使用することができる。疑わしい場合、タッチスクリーンの意図しない拙速が、タッチスクリーンのセンサの信号を引き起こし、これに対し、操作領域のそれぞれの圧電素子の電圧が、信号を引き起こさず、又は、わずかだけ調整される。意図した接触は、ユーザの指による力の確かな印加で生じ、それは、タッチスクリーンセンサの信号を引き起こすとともに、予め定められた制限値よりも大きい、それぞれの圧電素子の電圧のある確かな調整を引き起こす。制限値が越されたときに、かくして、意図した入力が検出され、その後、操作領域は、上述したように、隆起した状態から陥没した状態に変化することができる。これは、ユーザ入力には、力の確かな印加が必要であることを保証する。そのうえ、これはまた、機械式スイッチ又はボタンの動きをより実際的に模擬する。
【0050】
かくして、本発明による装置及び方法は、更なる安全性を透析装置に提供し、意図しないユーザ入力を検出して誤操作を防止する。
【0051】
別の実施形態では、タッチスクリーンの視覚表示が故障した場合であっても保証されるように、圧電素子による操作可能性を提供することができる。例えば、タッチスクリーンの視覚表示に欠陥があることが分かれば、例えば、対応する代替入力選択肢によるユーザ入力、例えば、「ディスプレイ故障」ボタンにより、又は、ディスプレイのバックグランド照明をモニタしてバックグランド照明の故障の場合に対応するメッセージを制御ユニットへ送る適当なセンサ、例えば、光検知素子(フォトダイオード、フォトトランジスタ等)の照会によって、圧電素子は、かくして、圧電素子が入力装置及び出力装置として同時に使用されるという事実によって制御されることができる。
【0052】
この場合、表示表面は、区別可能な触覚特性を有する多数の部分領域に更に細かく分けられ、例えば、多数の部分領域は、触覚感覚によりユーザ/オペレータによって互いに区別されることができる。ユーザに知られた、及び/又は、適当な手段によって記録された、ある動作が、各部分の領域に割り当てられる。例えば、ディスプレイの部分の領域が接触特性に関連づけられていること、及び、ユーザの指又は手でこの部分の領域を押すことによってこの部分の領域が選択されたときに動作が実行されることを示す記録があってもよい。例えば、タッチスクリーン表面が四つの部分に更に分けられたことを記録することができ、その位置は、タッチスクリーン上の対応する触覚特性及び/又は位置によって特徴づけられる。例えば、ある部分の領域を、「隆起」及び「右下」の触覚特性で特徴づけてもよく、この部分の領域に「透析処理終了」の動作を割り当ててもよい。別の部分の領域を、同様に、「振動」及び「左上」の触覚特性で特徴づけて、かつ、「透析処理継続」の動作を関連づけてもよい。かくして、タッチスクリーンの視覚ディスプレイの故障の場合に、例えば、透析処理を安全に終了させるために、又は、機器を操作する人間(医師)の判断において透析処理を安全に継続させるために、透析装置の少なくとも限定された操作可能性を保証することができる。
【0053】
かくして、本発明の装置及び本発明の方法は、透析装置に更なる安全性を提供し、タッチスクリーンの視覚表示の故障の場合に、透析装置の少なくとも制限された操作可能性を保証する。
【0054】
本発明の別の実施形態では、ユーザ入力のために隆起するようにした表面を操作するためだけに提供することができる。例えば、数値を入力するときに、それは、ある区間の範囲内でのみ変化してもよく、入力は、数の入力のために、割り当てられた操作領域、即ち、妥当な、即ち与えられた数に割り当てられたものだけが隆起するように設計されてもよい。例えば、0以上50以下の数の区間内だけの入力が可能であれば、第1のディジット(digit)が入力された場合に、0〜5の数を有する操作領域が隆起し、第2のディジットが入力されると、0〜9の数、又は(第1のディジットが5だったならば)0の数のみを有する操作領域が隆起する。この割り当てられた操作領域の触覚特性は、対応する視覚表示及び聴覚信号によって支持され得る。かくして、割り当てられた操作領域を割り当てられていない操作領域とは異なる色又は強度で表示してもよく、聴覚信号を誤入力の場合に出力してもよい。
【0055】
入力用に設けられたものではない操作領域を圧電素子により凹ませることができる。
【0056】
その代わりに、入力用に設けられた操作領域を圧電素子によって凹ませて、入力用のものではない操作領域を隆起させることができる。
【0057】
入力用に設けられたものではない操作領域に指を押しつけることによって、これらの操作領域は振動して、触覚間隔によってオペレータの注意を誤入力に引きつけるであろう。
【0058】
この振動は、それぞれの圧電素子を交流電圧で制御することによって作り出され、圧電素子は、制御電圧の周波数で振動する。振動数は、オペレータによって振動として検出されるために、有利には30Hz〜100Hzの範囲内である。実際に使用可能な大変小さい領域での、この振動数、及び圧電素子により制限される可能な振幅での振動は、可聴音を出さず、したがって感知されるだけである。
【0059】
別の実施形態では、圧電素子は、高い周波数で振動するように制御されてもよい。好ましくは20kHzを超える範囲の、高い周波数での振動は、オペレータによって粗い表面として認識される。20kHzを超える振動周波数では、この振動に関する音の放出が人間に聞こえないことが利点である。このようにして、タッチスクリーンの操作表面は、タッチスクリーンの他の表面、又は他の操作表面と知覚的に区別される。
【0060】
別の実施形態は、特別な圧電素子における、少なくとも三つ、好ましくは四つのアクチュエータの使用に関し、アクチュエータは、タッチスクリーンの下のエッジ又はコーナーに位置決めされ、そこでタッチスクリーンをぴったり合うように支持する。このように設計された場合、ディスプレイ全体をアクチュエータによって動かすことができる。同様に、ディスプレイ上の指の圧力は、圧電素子電圧の照会、又は代わりの圧力センサによって検出することができる。ディスプレイ上に指を押しつける動きを生じさせる力は、エッジ又はコーナーに位置決めされた力センサに対する位置の関数として分配される。センサの信号をひかくすることによって、指の圧力の位置及び強度を決定することができる。
【0061】
上述した圧電素子のすべての制御及び読み出し処理はまた、制限なしで、互いに組み合わせることができる。例えば、隆起した振動領域は、対応する圧電素子を、直流成分を有する交流電圧で制御して、実行することができる。同様に、陥没した振動表面は、今度は反対の信号を有する直流成分を有する交流電圧での対応する圧電素子の制御により可能である。
【0062】
本発明は、励磁の実施形態に基づいて添付の図面を参照して以下に説明される。図面では、同一符号は、同一要素又は同一機能を有するものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、透析装置として表された、本発明の技術的医用装置の実施形態を示す。
図2a図2aは、例えば図1に示したように、本発明の技術的医用装置のタッチスクリーンの第1実施形態として、圧電素子と象徴的な制御部とを有するタッチスクリーンの設計を示す。
図2b図2bは、例えば図1による、本発明の技術的医用装置のタッチスクリーンの第2実施形態として、複数の圧電素子と象徴的な制御部とを有するタッチスクリーンの代替の設計を示す。
図2c図2cは、図1に示したように、本発明の技術的医用装置のタッチスクリーンの第3実施形態として、圧電素子と象徴的な制御部とを有するタッチスクリーンの設計を示す。
図3図3は、図2aによるタッチスクリーンの電極を有する単一の圧電素子を示す。
図4図4は、例えば、図2による付加的な触覚情報を有する本発明の技術的医用装置のタッチスクリーンのディスプレイのレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は、触覚フィードバック付きタッチスクリーンディスプレイを有する透析装置として、本発明の技術的医用装置110の実施形態を概略的に示す。透析装置110は、患者(図示せず)の血液を通す動脈血液ライン101を有する体外血液循環の一部を示す。血液ポンプ102は、半透膜を設けた透析フィルタ103を通して血液を輸送し、体外血液循環と透析液回路との半透性分離を提供する。処理された血液は、静脈ライン104の中を通って患者に戻される。透析液は、透析物ライン105及び106によって透析フィルタ103を通ってポンプで輸送され、透析フィルタの半透膜を通過し、その結果、患者の血液と拡散的な質量交換を生じる。透析フィルタの血液側から患者の透析液側へ圧力勾配が追加的に高められれば、血漿水が血液から透析液の中へ搾り出される。かくして、患者の血液の含水率が減少することがある。透析液は、血液透析装置110内で準備され、使用後に廃棄される。
【0065】
図1中の透析装置は、血液透析装置として設計されている。制限なく、本発明による装置及び方法は、情報及びオペレータ入力をタッチスクリーンディスプレイ上に表示することができる、すべての技術的医用装置とともに使用することができる。これはまた、自動腹膜透析のための装置、並びに、血液濾過、血液透析濾過、血漿分離交換、又は同様の方法のための装置のような血液処理装置を明確且つ非排他的に含む。
【0066】
透析処理においては、通常、多数のオペレータ入力が透析装置になされなければならず、及び/又は、例えば選択された透析方法の情報、又は患者又は処理コースに関する情報もまた表示される。透析処理の重要な安全特性は、いつでも信頼性高くかつ明白に機能することである。誤操作又は操作選択の誤りは、それらが気づかれなければ、患者の安全性及び健康にとって深刻な結果を有する場合がある。
【0067】
透析装置における本発明の触覚フィードバックを有するタッチスクリーンの使用により、操作入力は、上述した方法で、遙かに信頼性がより高くなり、より便利になる。
【0068】
タッチスクリーンの指押しセンサが故障した場合における操作入力の操作の可能性は、これまでは、装置に付いているがタッチスクリーンには付いていない機械式スイッチ又は操作選択肢に限定されていた。これは処理に有害な影響を有するかもしれない、というのは、タッチスクリーンの完全な機能は、重複した方法の機械式スイッチによって模擬することができず、いずれにしても大変制限された操作性しか可能にしない。
【0069】
タッチスクリーンの指紋センサに加えて、融通のきく重複した、オペレータ入力を実行する代替方法が、本発明による装置及び方法によって作り出される。本装置の適切な設計で、タッチスクリーンの指押しセンサに欠陥がある場合であっても操作性は損なわれず、処理を予定通りに継続することができる。
【0070】
これに対し、従来の技術的医用装置を用いた処理は、タッチスクリーンの指押し力センサに故障がある場合、安全性の理由のために、終了又は中断されるべきである。本発明によれば、処理を予定通りに継続して終了することができ、これは、処理の利便性、安全性、及び治療効果において著しい改善を意味する。
【0071】
さらに、本発明は、オペレータ入力が意図したものであるのか、それとも意図しないもの、例えば、意図しない接触によるものであるのかについて、オペレータ入力をチェックする選択肢を提供し、圧力を操作表面に加える力が分析される。これにより、操作の安全性及び信頼性が高められ、間違った操作入力が防止される。
【0072】
本発明によれば、データ入力の利便性が著しく高められ、タッチスクリーンの一部又はタッチスクリーン全体に触覚特性を与えることができる。かくして、オペレータがちょうど接触した操作表面が入力に適当か否かを触覚フィードバックにより、例えば、この操作表面を周囲の表面に比べて隆起させることによって、オペレータに知らせることができる。安全性の理由のために処理に変化をもたらさないような誤操作又は誤入力もまた、このようにして触覚的方法で知らせることができ、触覚的方法は、視覚的及び/又は聴覚的警告だけの場合よりも、オペレータによって気づかれやすい。かくして、本発明により、技術的医用層の操作の安全性がより一層高められる。
【0073】
さらに、本発明は、上述した方法によるマルチタッチ機能、即ち、タッチスクリーン上の異なる位置における同時に多数の接触を認識することの可能性を提供する。この方法で、例えば、複数の指の適当な動きにより、タッチスクリーン上の表示を拡大し、或いは、数値目盛りの数値範囲を入力するといった、便利な特性を実行することができる。これは、データ入力の利便性及び表示の質を著しく高める。
【0074】
図2aは、本発明の技術医用装置に関して触覚フィードバックを有するタッチスクリーン200aの実施形態を示す。当業者に知られているような在来のタッチスクリーンディスプレイ201は、容量性タッチスクリーン技術において好適に設計される。
【0075】
水平に延びる四つの電極203、圧電層202、及び垂直に延びる電極204の配列が、ディスプレイ201の上に配列されている。
【0076】
水平電極及び垂直電極には、制御装置205及び207により互いに個別且つ独立に電圧が供給され、及び/又は電極の電圧が読み出される。この目的のため、電極204は、導電接続211により第1制御装置207に接続され、電極203は、導電接続212により第2制御装置205に接続されている。
【0077】
簡潔のために、図2aは、数本の電極だけを示す。実際には、電極の幅は、遙かに小さく、例えば、0.1mm以下である。これにより電極眼数が増加し、かくして、圧電層202の分解能が増大する。
【0078】
タッチスクリーン、水平電極及び垂直電極は、第3制御装置210により制御され及び/又は読み出される。この目的のため、第3制御装置210は、制御及び読み出しライン206,208及び209によりタッチスクリーン201及び二つの制御装置205及び207に接続される。制御及び読み出しデバイス206,208及び209は、通常、データバスとして具体化され、複数の信号伝搬ラインからなるが、別々のラインでもよい。
【0079】
圧電素子は、垂直電極204と水平電極203との交差と、交差領域の間に位置した圧延層202の部分とによって形成される。
【0080】
この圧電素子が制御されるべきものであれば、対応する電極には電圧が印加されなければならない。個々の電極の電圧の電位差は、この圧電素子のための制御電圧である。電位差の極性に依存して、それによって制御された圧電素子は、二つの電極の方向に、より長くなり又はより短くなる。
【0081】
図2aに示した実施形態では、圧電素子を同時に別々に制御し又は読み出すことはできない。それにもかかわらず、隣接している圧電素子の列を同様に制御して、例えば、増大した制御領域を生成することができる。
【0082】
圧電素子が力センサとして使用されれば、圧電素子の個別の列が、矢継ぎ早に連続的に照会されることが有利である。かくして、期間tの間に、一つの電極203と全ての電極204との間の電圧を、制御装置205,207及び210によって決定することができ、次いで、順序正しく、同様に、隣接している電極203とすべての電極204との間の電圧を決定する。このようにして、すべての電極203とすべての電極204との間の電圧が、次々に連続的に決定される。このプロセスは、連続的に繰り返され、十分に短い期間tで指の圧力による力の印加についてすべての圧電素子の準連続的なモニタリングを可能にする。すべての圧電素子の照会が、ユーザの指の可能な動きよりも迅速に行われれば、期間tは十分に短い。
【0083】
装置100a、100b(図2b)及び100c(図2c)上の絶縁膜は、図示されない。この絶縁膜は、好ましくは薄くかつ弾力がある。触覚フィードバックを有する上部に向いたタッチスクリーンを電気的に絶縁する特性に加えて、かかる絶縁膜はまた滑らかで衛生的な表面を提供する。
【0084】
図2bは、本発明の技術的医用装置に関して、触覚フィードバック付きのタッチスクリーン200bの代替実施形態を示す。当業者に知られているような在来のタッチスクリーンディスプレイ201は、容量性タッチスクリーン技術において好適に具体化される。
【0085】
平坦な光透過性電極213が、タッチスクリーンディスプレイ201の上に配列される。電極213は、圧電層202と圧電層の上側に(この場合は正方形の)複数の電極222とによって形成されたすべての圧電素子のための共通電極を形成する。表面上の電極の各々は、個別のライン211bによって制御装置207に電気的に接続されている。(簡潔のため、ここでは二つの圧電素子への接続のみが示されるが、残りの接続は、点線で示されている。)同様に、共通電極213は、制御ライン203によって接続されている。
【0086】
制御ライン及び読み出しライン208及び209は、通常、データバスとして具体化され、複数の信号伝搬ラインからなるが、別々のラインであってもよい。
【0087】
制御装置210は、第1制御装置207から信号を受け取り、信号を、制御及び読み出しライン208を介して制御装置207に送る。タッチスクリーン201は、制御及び読み出しライン209を介して制御装置210に接続されている。
【0088】
図2bに示した実施形態では、各圧電素子は、有利には、他のすべての圧電素子と同時に、個別に制御及び照会される。
【0089】
接触フィードバック付きのタッチスクリーン100cの別の実施形態が図2cに示されている。
【0090】
当業者に知られた在来のタッチスクリーンディスプレイ201は、好ましくは、容量性タッチスクリーン技術において具体化される。
【0091】
この実施形態では、タッチスクリーンディスプレイ201は、力固定法(force-locked manner)により、コーナーの四つの圧電素子214,215,216及び217に接続される。圧電素子は、ここで、アクチュエータ及び力センサとして機能する。圧電素子は、信号線218,219,220及び221を介して、制御装置221によって制御され、照会される。圧電素子の制御によって、ディスプレイ全体が、圧電素子214に示した矢印の方向に動くことができる。
【0092】
図2cに示した実施形態のタイプにおいては、触覚特性によって占められるべきタッチスクリーン201の部分の領域を提供する代わりに、タッチスクリーンの領域全体だけが、かかる特性を有してもよい。それにもかかわらず、局所的な分解能を有する触覚フィードバックをユーザに提供することができる。
【0093】
そうするために、タッチスクリーンの指押し力センサによって及び制御ユニット221によって指の圧力が検出されたときに、指がタッチスクリーンに接触した位置で隆起(又は陥没及び又は振動)が知覚されるべきか否かについて直ちに決定がなされる。これが(例えば、オペレータが、図示するように、操作領域を押し下げている)場合であれば、圧電素子214〜217が、ディスプレイ全体が隆起するように制御される。ついで、操作する指が、陥没、振動又は通常のユーザ平内での位置が割り当てられた位置に移動すれば、圧電素子214〜217は、全ディスプレイがそれに応じて動くように制御される。通常、ユーザは、情報を入力するのに一つの指だけを使用するから、これは、位置分解能を有するタッチスクリーンの触覚特性の形成における触覚フィードバックの感触を与える。
【0094】
この実施形態はまた、指の圧力の検出のために使用される。オペレータがディスプレイ上のある位置を押し下げれば、力が素子又はディスプレイ上の個々の圧電素子214〜217からの距離に反比例して分配される。力の印加によって引き起こされた個々の圧電素子の電圧が制御ユニット221によって測定され且つ分析されれば、指押し力の位置を決定することができる。
【0095】
図3は、より良い説明のために、個々の圧電素子300を示し、この圧電素子は、図2aとの類似によって、電極203Aと電極204Aとの交差と、その交差表面の間に位置した圧電層202の部分とによって形成される。点線で示した境界領域202Aは、圧電層202の上の境界領域の細部を表し、一方、実践の境界領域202Bは、圧電層202の下の境界領域の細部を示す。
【0096】
電気的接触が確立されるように、点線で示した上部電極203Aは、202Aの上に延び、且つこの界面に接触する。同様に、下部電極204Aは、202Bの下に延び、この界面に接触する。
【0097】
異なる電圧が、二つの電極202A及び203Aにより、圧電素子300に印加されてもよく、圧電素子300の前後の電圧降下を、例えば、外部圧力によって引き起こされた圧電素子300の変形を伴って、読み出すこともできる。
【0098】
圧電素子300はまた、図3に二つの矢印201によって示した電極202A及び23Aの方向に、二つの電極202A及び203Aにより印加された異なる電圧により、変形される。
【0099】
図4は、ここに示したような入力領域401を有する、触覚フィードバック付きタッチスクリーンを示す。入力領域401は、例えば、いくつかの機能キーを有する10キーキーパッドのように具体化されるが、どんな表示も同様に可能であることは、当業者に明らかである。
【0100】
操作領域402(「0」、「1」及び「enter」)が、隆起して図4に示されている。これは、例えば、触覚感覚として検出することができる割り当てられた入力を特徴とすることができる。同様に、操作領域を、周囲の領域と比較して触覚できる凹みによって、振動又は知覚された粗さの変化によって、すでに説明したように特徴づけてもよい。
【0101】
割り付けられた数「0」、「1」及び「enter」を有する操作領域の隆起として図4に表されたタッチスクリーンの一部の領域の特別な触覚特性により、一方では、オペレータにとって入力の利便性が増大し、他方では、操作の安全性も増大する、というのは、ありそうもない入力が、触覚特性という更なる特徴によって特徴づけられるからである。
【0102】
本発明の助けにより、タッチスクリーンを備えた技術医用装置をより安全であるように、かつ、より便利であるように設計することができる。本発明は、上述の実施形態には限定されない。これらは説明のためだけに提供される。本発明の特徴を更なる実施形態を設計するのに使用することは当業者にとって自明である。
図1
図2a
図2b
図2c
図3
図4