(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パルスモードが前記スローパルスモードである場合に、前記電源がオフタイム区間にある間に前記マッチングシステムをアイドル状態にするステップを含むことを特徴とする請求項3に記載のマッチング方法。
前記パルスモードが前記ファーストパルスモードである場合に、前記電源がオフタイム区間にある間に前記制御パラメーターを使用して前記マッチングシステムを制御するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載のマッチング方法。
前記電源のオフタイムが臨界オフタイムC_OFF_T以上持続すると、前記制御パラメーターをプリセット状態に設定して前記マッチングシステムを制御することを特徴とする請求項1に記載のマッチング方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明は、パルスモードのマッチング方法に関するものである。このようなパルスモードのマッチング方法は、従来のすべてのCWモードのマッチング方法と結合できる。また、後述で説明する新しいCWモードマッチングと本パルスモードのマッチング方法は結合できる。
【0044】
電源がパルスモードで動作する場合に、電源がオン状態であるオンタイム区間のマッチングシステムの動作方法と前記RF電源がオフ状態であるオフタイム区間のマッチングシステムの動作方法とを異にする。具体的に説明すると、パルスモードをスローパルスモード(slow pulse mode)とファーストパルスモード(fast pulse mode)とに区分してマッチングを行う。
【0045】
すなわち、スローパルスモード(例えば、500Hz以下)の場合に、前記電源のオンタイム区間においてのみマッチングネットワークの可変素子の値が変更し、前記電源のオフタイム区間においては、マッチングネットワークの可変素子の値が変更されない。したがって、前記オフタイム区間において前記マッチングネットワークの前記可変素子の値が次のオンタイム区間のマッチング条件からひどく外れていないから、早いマッチングを実現することができる。
【0046】
一方、ファーストパルスモード(例えば、500Hz以上)の場合に、オンタイム区間においてマッチングネットワークの可変素子の値を変更させ、オフタイム区間でも直前オンタイム区間の情報で可変素子の値を変更させ続けることができる。パルス周期が短い場合にオフタイム区間で前記可変素子をアイドル状態にすると、頻繁な加減速によるモータの寿命減少及び次のオンタイムでの速度制御が早く行われない。一方、本発明によると、パルス周期が短い場合にオンタイムと次のオンタイムとの間においてマッチング条件が大きく変動しないときもありうるので、オフタイム区間においても可変素子の値を変更し続けて早いマッチングを行うことができる。
【0047】
以上の本発明の目的、他の目的、特徴及び利点は、添付した図面と関連した以下の好ましい実施の形態を参照して、容易に理解することができるはずである。しかしながら、本発明は、ここで説明される実施の形態に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。むしろ、ここで紹介される実施の形態は、開示された内容が徹底的、かつ完全になるように、そして当業者に本発明の思想を十分に伝達するために提供されるものである。
【0048】
図7は、本発明の一実施の形態によるマッチングシステムを備える電気装置を説明するための図である。
【0049】
図7に示すように、本発明による電気装置100は、負荷101、前記負荷101に電力を供給する電源102、前記負荷101と前記電源102との間に配置される送信線103及びマッチングシステム104を具備する。前記電源102は、前記送信線103上の入力端N
1、N
2に接続され、前記負荷101は、前記送信線103上の負荷端N
3、N
4に接続される。後述する送信線の入力インピーダンスは、前記入力端N
1で測定される前記マッチングシステム104及び前記負荷101を含むシステムのインピーダンスを意味する。このとき、前記負荷101は、プラズマシステム、核磁気共鳴システム、通信システム及び送電線のうちの何れか一つでありうる。
【0050】
前記マッチングシステム104は、前記電気装置100のインピーダンスマッチングのために、そのリアクタンスを可変的に制御できる少なくとも一つの可変リアクティブ素子を具備する。本発明の一実施の形態によると、前記マッチングシステム104は、前記可変リアクティブ素子に加えて、固定されたリアクタンスを提供する受動素子をさらに備えることもできる。一方、前記マッチングシステム104は、初期状態に対する過度な敏感性、マッチング点近辺での不安定さ及び負荷及び送信線インピーダンスに対する高い依存性のような従来の技術の問題を克服できるように構成される。このような技術的効果は、後述する本発明によるインピーダンスマッチング方法により達成することができ、前記マッチングシステム104は、本発明によるインピーダンスマッチング方法のステップを行う処理部(
図27の200参照)をさらに備える。以下、
図27を参照して、前記処理部200をさらに詳細に説明する。
【0051】
本発明によると、前記可変リアクティブ素子は、可変的なキャパシタンスを提供する可変キャパシタ、可変的なインダクタンスを提供する可変インダクター及び可変的な抵抗を提供する可変抵抗のうちの何れか一つでありうる。前記可変リアクティブ素子は、モータによって駆動されるか、又は電圧を印加してリアクティブ素子のリアクタンスが変わりうる。簡潔に説明するために、以下では、本発明の技術的特徴を前記可変リアクティブ素子として可変キャパシタを使用する実施の形態に基づいて説明する。しかしながら、このような本発明の技術的特徴は、他の種類の可変リアクティブ素子を備える実施の形態でも、周知の電磁気理論に基づいて、多くの努力を行わなくても容易に変形されて実施できることは自明である。また、簡潔な説明のために、以下では、本発明の技術的特徴を二つの可変リアクティブ素子を備える実施の形態に基づいて説明する。しかしながら、本発明の技術的特徴は、より多くの数の可変リアクティブ素子を備える実施の形態及び前記受動素子が追加された実施の形態でも、周知の電磁気理論に基づいて、過度な努力を行わなくても容易に変形されて実施できることは自明である。前記電源102は、CWモードで動作することに限定されず、パルスモードでも動作できる。
【0052】
[様々な類型のマッチングシステム]
【0053】
一方、前記マッチングシステム104は、前記可変リアクティブ素子又は前記受動素子が前記送信線103に接続される方式に従って、多様な類型に分類されうる。例えば、簡潔に説明するための上述した前提に従い前記マッチングシステム104が第1及び第2可変キャパシタ111、112を有すると仮定すると、前記第1及び第2可変キャパシタ111、112が前記送信線103に接続する方式に応じて、L型(L−type)、逆L型(inverted L−type)、T型(T−type)及びπ型(π−type)などに区分されうる。
【0054】
図8〜
図11は、前記マッチングシステム104の類型を例示的に示す回路図である。
【0055】
図8に示すように、前記L型のマッチングシステムによると、前記第1可変キャパシタ111は、前記送信線103の所定位置Pに接続され、前記第2可変キャパシタ112は、前記負荷101と前記位置Pとの間に配置される。
図9に示すように、前記逆L型のマッチングシステムによると、前記第1可変キャパシタ111は、前記送信線103の所定位置Pに接続され、前記第2可変キャパシタ112は、前記電源102と前記位置Pとの間に配置される。
【0056】
図10に示すように、前記T型のマッチングシステムによると、前記第1及び第2可変キャパシタ111、112は、前記送信線103上で前記電源102及び前記負荷101を直列に接続する。本発明の一実施の形態によると、前記第1及び第2可変キャパシタ111、112間の送信線103(すなわち、点P)には、所定の受動素子(例えば、インダクター)115が接続されうる。
図11に示すように、前記π型のマッチングシステムによると、前記第1及び第2可変キャパシタ111、112は、それぞれ前記送信線103に並列に接続される。本発明の一実施の形態によると、前記第1及び第2可変キャパシタ111、112の間には、所定の受動素子(例えば、インダクター)115が直列に接続されうる。
【0057】
前記送信線103の点Pに接続する素子は、
図8〜
図12に示すように、接地されたさらに他の送信線に接続されることができる。一方、本発明によるマッチングシステムは、多様に変形された構造を有することができる。例えば、
図12及び
図13に示すように、前記送信線103に並列又は直列に接続される少なくとも一つの受動素子をさらに具備できる。さらに詳細に説明すると、前記L型のマッチングシステムは、
図14及び
図15に示すように、補助的に付加された受動素子(すなわち、キャパシタ116又はインダクター117、118)をさらに備えることができる。
【0058】
一方、
図8〜15は、前記マッチングシステム104を例示的に説明するための図であり、本発明の他の実施の形態によると、前記マッチングシステム104を構成する前記可変リアクティブ素子及び受動素子の種類、数及び位置は、多様に変形されうる。
【0059】
[マッチング方法]
【0060】
図16は、本発明の一実施の形態によるインピーダンスマッチング方法を説明するためのフローチャートである。
【0061】
図16に示すように、この実施の形態によるインピーダンスマッチング方法は、送信線の電気的特性を測定するステップ(S20)、前記送信線の測定された電気的特性からインピーダンスマッチングのための制御パラメーターを抽出するステップ(S30)、及び前記制御パラメーターを使用して前記マッチングシステムを制御するステップ(S40)を含む。
【0062】
本発明によると、前記電気的特性は、前記送信線の電流、電圧及びこれらの間の位相差でありえ、これらの物理量は、所定のセンサ装置によりリアルタイム又は周期的に測定される。前記位相差は、前記送信線の電流及び電圧の測定結果を分析することによって計算できる。
【0063】
一方、前記電気的特性の測定ステップ(S20)の前に、所定のマッチングパラメーターが設定されうる(S10)。前記マッチングパラメーターは、本発明によるインピーダンスマッチング過程に使用される多様なパラメーターであって、さらに詳細に説明すると、該当電気装置と関連した物理的/電気的パラメーター、前記測定ステップ(S20)のためのパラメーター、前記制御パラメーターの抽出ステップ(S30)のためのパラメーター及び前記システムの制御ステップ(S40)のためのパラメーターを含むことができる。また、前記マッチングパラメーターは、他のステップで設定されることもでき、後述するようにマッチングパラメーターの一部は、インピーダンスマッチングを行う間に、必要によって変更されうる。
【0064】
本発明の一実施の形態によると、前記制御パラメーターを抽出するステップ(S30)は、前記送信線の測定された電気的特性を特性ベクトルに変換するステップ(S31)、前記特性ベクトルを所定の分析座標系で分析することによって、インピーダンスマッチングのための変位ベクトルを抽出するステップ(S32)、及び前記変位ベクトルをシステム制御ステップ(S40)のための制御パラメーターに変換するステップ(S33)を含む。
【0065】
このとき、前記分析座標系は、前記マッチングシステムの電気的特性と前記送信線の電気的特性を定量的に関係づける所定の位相空間を表現するように選択される。すなわち、前記マッチングシステムの電気的特性と前記送信線の電気的特性との間の定量的関係は、前記分析座標系により表現されることができる。前記変位ベクトルは、前記分析座標系において前記特性ベクトルがマッチングされた状態に該当する点へ移動するために必要な座標変化の大きさを成分として有する。前記分析座標系及び前記変位ベクトルは、以後より詳細に説明されるはずである。
【0066】
[パルスマッチング方法]
【0067】
図29は、本発明の一実施の形態によるインピーダンスマッチング方法を説明するためのフローチャートである。
【0068】
図29に示すように、この実施の形態によるインピーダンスマッチング方法は、送信線の電気的特性を測定するステップ(S120)、電源のパルスモードを判断するステップ(S130)、前記送信線の電気的特性からインピーダンスマッチングのための制御パラメーターを抽出するステップ(S150)、及び前記制御パラメーターを使用してマッチングシステムを制御するステップ(S160)を含むものの、マッチングシステムは、前記パルスモードに応じて異なるように制御される。
【0069】
本発明によると、前記電気的特性は、前記送信線の電流、電圧及びこれらの間の位相差でありえ、これらの物理量は、所定のセンサ装置によりリアルタイム又は周期的に測定される。前記位相差は、前記送信線の電流及び電圧の測定結果を分析することによって計算できる。
【0070】
一方、前記電気的特性の測定ステップ(S120)の前に、所定のマッチングパラメーターが設定されうる(S110)。前記マッチングパラメーターは、本発明によるインピーダンスマッチング過程に使用される多様なパラメーターであって、さらに詳細に説明すると、該当電気装置と関連した物理的/電気的パラメーター、前記測定ステップ(S120)のためのパラメーター、前記制御パラメーターの抽出ステップ(S150)のためのパラメーター及び前記システムの制御ステップ(S160)のためのパラメーターを含むことができる。また、前記マッチングパラメーターは、他のステップで設定されることもでき、後述するように、マッチングパラメーターの一部は、インピーダンスマッチングを行う間に必要によって変更されることもできる。
【0071】
図30は、本発明の一実施の形態によるパルスモード処理ステップを示すフローチャートである。
【0072】
図30に示すように、前記パルスモード判断ステップ(S130)は、電源がオン状態であるオンタイム区間と前記電源がオフ状態であるオフタイム区間とを判別するステップ(S131)、パルス周期を判断するステップ(S132)、及び前記パルス周期に応じてスローパルスモードとファーストパルスモードとを判断するステップ(S133)を含む。
【0073】
前記オンタイム区間とオフタイム区間との判別(S131)は、前記電源の動作を制御する電源トリガー信号を利用するか、又は前記電気的特性を利用して判断できる。すなわち、前記電気的特性を利用して入射電力を計算して、前記オンタイム区間と前記オフタイム区間とを区別することができる。又は、前記電源はパルスモードで動作するので、前記電源の電力と同期化された電源トリガー信号を受けて、オンタイム区間を判別することができる。
【0074】
前記パルス周期は、前記電源のi番目のオンタイム状態からi+1番目のオンタイム状態になる時間の間隔と定義される。前記パルス周期に応じて、前記制御パラメーターを異なるように設定して、前記マッチングシステムを異なるように制御する。前記パルス周期が所定の時間より大きな場合に、スローパルスモードと判断し、前記パルス周期が所定の時間より小さな場合には、ファーストパルスモードと判断し、前記電源のパルスモードに応じて前記制御パラメーターを異なるように設定して、前記マッチングシステムを異なるように制御する。前記所定の時間は、1/500秒でありうる。詳細に説明すると、前記パルスモードが前記スローパルスモードである場合に、前記電源がオフタイム区間にある間に前記マッチングシステムをアイドル状態にすることができる。前記アイドル状態は、マッチングシステムの可変リアクティブ素子の値が変わらない状態でありうる。すなわち、前記可変リアクティブ素子に接続したモータが前記オフタイム区間の間は停止できる。
【0075】
前記パルスモードが前記ファーストパルスモードである場合に、前記電源がオフタイム区間にある間に前記制御パラメーターを使用して前記マッチングシステムを制御することができる。前記オフタイム区間の前記制御パラメーターは、前記オンタイム区間で使用された最後の制御パラメーターでありうる。すなわち、前記オフタイム区間においてマッチングシステムの可変リアクティブ素子の値は変わりうる。
【0076】
図31は、本発明の一実施の形態による制御パラメーターを抽出するステップを示すフローチャートである。
【0077】
図31に示すように、前記制御パラメーターを抽出するステップ(S150)は、前記送信線の測定された電気的特性を特性ベクトルに変換するステップ(S151)、前記特性ベクトルを所定の分析座標系で分析することによって、インピーダンスマッチングのための変位ベクトルを抽出するステップ(S152)、及び前記変位ベクトルをシステム制御ステップ(S160)のための制御パラメーターに変換するステップ(S153)を含む。
【0078】
本発明の他の実施の形態によると、前記制御パラメーターを抽出するステップ(S150)は、インピーダンスの絶対値(又は大きさ)が所定の特性インピーダンス(通常、50オーム)以上又は未満であるかに応じて制御パラメーターを抽出するステップ、及び前記インピーダンスの位相が所定の値以上又は未満であるかに応じて制御パラメーターを抽出するステップを含むことができる。
【0079】
本発明のさらに他の実施の形態によると、前記制御パラメーターを抽出するステップ(S150)は、測定位置でインピーダンスを測定して計算するステップ、測定位置のインピーダンスとマッチングシステムの可変素子のリアクタンスとを利用して、負荷インピーダンスを計算するステップ、及び負荷インピーダンスを利用して制御パラメーターを抽出するステップを含むことができる。
【0080】
本発明のさらに他の実施の形態によると、前記制御パラメーターを抽出するステップは、反射係数を利用して求めることができる。このような前記制御パラメーターを抽出するステップは、当業者により多様に変形されうる。
【0081】
[特性ベクトルの選択]
【0082】
本発明の一実施の形態によると、前記特性ベクトルは、前記送信線の測定された電気的特性に基づいて定義されるものの、規格化された大きさを有する物理量でありうる。このように、前記送信線の測定された電気的特性が、規格化された物理量により表現されるため、以下で詳細に説明されるように、本発明によるマッチング方法は、上述した従来の技術的問題を克服するのに寄与できる。
【0083】
本発明の一実施の形態によると、前記特性ベクトルは、前記送信線の反射係数S
11から定義されうる。周知のように、前記送信線の反射係数S
11は、下記式1のように、送信線の特性インピーダンスZ
0及び送信線の入力端のインピーダンス(すなわち、入力インピーダンス)Zにより定義され、
【0084】
【数1】
【0085】
その大きさ(すなわち、S=|S
11|)は、0と1との間の何れか一値でありうる(このとき、前記送信線の入力インピーダンスZは、前記入力端N
1、N
2で測定される前記マッチングシステム及び前記負荷を含むシステムのインピーダンスを表す)。
【0086】
一方、上述したように、前記マッチングシステム104は、少なくとも二つの可変リアクティブ素子を含むことができる。この場合に、各可変リアクティブ素子のリアクタンスを明らかに決定するためには、前記特性ベクトルは、少なくとも二つの成分を含む物理量でなければならない。例えば、前記特性ベクトルQは、下記式2のように前記反射係数の実数部Re{S
11}及び虚数部Im{S
11}を成分として有する二次元ベクトルと定義されうる。
【0087】
【数2】
【0088】
[分析座標系の選択]
【0089】
上述したように、前記分析座標系は、前記マッチングシステムの電気的特性と前記送信線の電気的特性とを定量的に関係付ける所定の位相空間を表現するように選択される。このために、前記分析座標系の座標は、前記マッチングシステムの電気的特性と関連した物理量の中から選択され、前記送信線の電気的特性は、このように選択された分析座標系での一点で表現される。本発明の一実施の形態によると、前記分析座標系の座標(以下、分析座標)は、前記マッチングシステムを構成する可変リアクティブ素子の電気的特性(例えば、リアクタンス)の関数で表現されることができ、前記送信線の測定された電気的特性を表現する前記特性ベクトルは、このような分析座標系上の一点で表現されることができる。
【0090】
一方、前記分析座標系は、前記マッチングシステムの電気的特性と前記送信線の電気的特性との間の定量的関係を単射関数的(injectively)にマッピングするよう選択されることが好ましい(このとき、本出願で使用される「単射関数的マッピング」の意味は、
図17及び
図18を参照して以下でさらに詳細に定義される)。このように単射関数的マッピングを可能にするために、前記分析座標は、前記マッチングシステムの測定可能な電気的特性(例えば、リアクタンス)を所定の変換行列Tを利用して変換することによって得られる物理量でありうる。例えば、前記分析座標Gは、下記式3により表現されているように、所定の変換行列Tと所定の素子ベクトル(device vector)Xとの内積により得られることができる。
【0091】
【数3】
【0092】
このとき、前記変換行列T及び前記素子ベクトルXは、上述した単射関数的マッピングと関連した前記分析座標に対する技術的要求を満たすように選択されることが好ましく、このような選択は、前記マッチングシステムの類型に依存的である。具体的に説明すると、前記素子ベクトルXは、マッチングシステムを構成する可変リアクティブ素子のそれぞれの電気的特性と関連した物理量を成分として有し、前記マッチングシステムの類型に応じて選択されうる。また、前記変換行Tは、前記マッチングシステムの類型及び前記素子ベクトルXの物理量に応じて選択されうる。結果的に、前記分析座標Gも、前記マッチングシステムの類型に応じて選択される。
【0093】
さらに詳細に説明すると、前記マッチングシステムは、二つの可変リアクティブ素子を具備することができる。この場合に、前記分析座標G
1、G
2は、下記式4により表現されたように、前記可変リアクティブ素子のそれぞれの電気的特性と関連した物理量X
1、X
2と所定の2次正方行列Tとの内積により得られることができる。本発明によると、前記変換行列の要素(すなわち、a
11、a
12、a
21、a
22)は、−1〜1の範囲の値の中から選択されうる。
【0094】
【数4】
【0095】
一方、前記変換行列Tは、多様な方法により準備されることができる。例えば、前記変換行列は、理論的接近を介した分析、コンピュータを使用するシミュレーション分析及びマッチング過程に対する経験的データに対する分析のうち、少なくとも一つの分析方法により得られることができる。このような分析は、前記マッチングシステムの類型及び前記素子ベクトルXの物理量に基づいて行われる。また、前記変換行列Tの形状及び次数(rank)は、前記マッチングシステムを構成する可変リアクティブ素子の個数により決定される。すなわち、前記マッチングシステムがより多くの数の可変リアクティブ素子を備える場合に、前記変換行列の形状及び次数は増加できる。
【0096】
上述したように、前記マッチングシステムは、二つの可変キャパシタを具備することができ、このようなマッチングシステムは、
図8及び
図9を参照してそれぞれ説明したように、L型又は逆L型でありうる。この場合に、前記変換行列T及び前記素子ベクトルXは、前記可変キャパシタのキャパシタンスの関数で表現されることができる。すなわち、
図8を参照して説明されたL型のマッチングシステムの場合に、前記素子ベクトルXは、下記式5のように与えられることができ、
図9を参照して説明された逆L型のマッチングシステムである場合には、前記素子ベクトルXは、下記式6のように与えられることができる。ωは 角周波数(angular frequency)だ.
【0097】
【数5】
【0098】
【数6】
【0099】
図17及び
図18は、本発明の一実施の形態による分析座標系及びこれを利用した変位ベクトルの抽出を説明するための図である。さらに詳細に説明すると、この実施の形態は、二つの可変キャパシタを有するL型のマッチングシステムに関するものであり、前記分析座標系の座標は、これらの可変キャパシタのキャパシタンスを前記式4及び5を使用して変換した物理量である。このとき、前記特性ベクトルの成分は、前記式2で与えられたように、前記送信線の反射係数の実数部及び虚数部として選択された。
【0100】
図17は、このような分析座標系にマッピングされた前記特性ベクトルの一成分(すなわち、反射係数の実数部)を示し、
図18は、このような分析座標系にマッピングされた前記特性ベクトルの他の成分(すなわち、反射係数の虚数部)を示す。また、
図17及び
図18の実線のそれぞれは、Re{S
11}=0及びIm{S
11}=0の条件を満たす特性ベクトルの位置を示す等高線(以下、マッチング線)である。このような点において、マッチングされた状態に該当する点(以下、マッチング点)は、
図17及び
図18の実線が交差する点に該当し、このようなマッチング点は、
図17及び
図18においてそれぞれ小さな四角形で示された。一方、図面において星表に該当する点は、初期状態を示す。
【0101】
前記分析座標G
1、G
2は、前記式4の変換により、上述した分析座標系に関する技術的要求を満たすように準備されたため、
図17及び
図18において、前記マッチングライン上の点は、前記分析座標の関数で表現されることができる。すなわち、
図17に示すように、所定の領域において、前記G
1座標の任意の一つの値は、前記マッチングラインの一点に対応する。同様に、
図18に示すように、所定の領域において、前記G
2座標の任意の一つの値は、前記マッチングラインの一点に対応する。上述した「単射関数的マッピング」という用語は、このように一つの分析座標に一つのマッチングされた点が対応する関係を意味する。このような点で、
図17に示すように、前記G
1座標は、前記特性ベクトルの一成分(すなわち、反射係数の実数部)に単射関数的にマッピングされ、
図18に示すように、前記G
2座標は、前記特性ベクトルの他の成分(すなわち、反射係数の虚数部)に単射関数的にマッピングされる。
【0102】
このような単射関数的マッピングにより、本発明によるマッチング方法は、分析座標系の全領域で有効なマッチング軌跡を探すことを可能にする。換言すると、
図17及び
図18に示すように、このような単射関数的マッピングにより、分析座標系のすべての点に対して有効なマッチング軌跡が見つけられることができ、従来の技術でのマッチング失敗領域(
図2のFR参照)は、前記分析座標系内では現れない。すなわち、(従来の技術において現れる)マッチング軌跡の方向決定での模倣性は、(本発明のように)分析座標系を利用するマッチング軌跡の分析では現れない。
【0103】
[変位ベクトルの決定]
【0104】
前記変位ベクトルを決定するステップ(S32)は、前記分析座標系で前記送信線の測定された状態に該当する特性ベクトル(以下、測定された特性ベクトル)の大きさ又は位置を分析するステップを含む。先で定義されているように、前記変位ベクトルの大きさは、前記分析座標系で前記測定された特性ベクトルを前記マッチングラインへ移動させるために要求される座標の移動の大きさを表現する。すなわち、前記変位ベクトルの長さは、前記測定された特性ベクトルの位置と前記マッチングされる点との間の距離に該当する。
【0105】
しかしながら、実際のマッチング過程では、測定された電気的状態に対する情報(すなわち、インピーダンス)のみが知られるため、現在の測定された状態がマッチングされた状態であるか否かを判断することはできるが、ほとんどの場合に、マッチングされた点の位置が正確にどこであるかはわからない。その結果、前記変位ベクトルの方向(すなわち、マッチング軌跡の進行方向)は決定されうるが、前記変位ベクトルの大きさは、正確に決定され難い。このような技術的制約のため、従来の技術では、測定されたインピーダンスの大きさに基づいて可変キャパシタのキャパシタンスを決定する。しかしながら、前記インピーダンスは、規格化されない物理量であるから、このような従来の方法では、キャパシタンスの変化量を精密に制御し難い。
【0106】
一方、本発明の一実施の形態によると、前記変位ベクトルの成分は、下記式7により与えられるように、前記特性ベクトルの成分により定義されることができ、前記変位ベクトルに対するこのような選択は、上述した従来の技術的問題を克服するのに寄与する。
【0107】
さらに詳細に説明すると、
図17を再度参照すると、色彩のトーンにより表現された各点の大きさは、反射係数の実数部Re{S
11}の値を示し、実線により表現されたマッチングラインは、Re{S
11}=0の条件を満たす点を示す。また、B2の矢印が配置された前記マッチングライン下の領域(以下、第1領域)は、Re{S
11}>0である領域を示し、B1及びB3の矢印が配置された前記マッチングラインの上側の領域(以下、第2領域)は、Re{S
11}<0である領域を示す。同様に、
図18に示すように、実線により表現されたマッチングラインは、Im{S
11}=0の条件を満たす点を示す。また、B5の矢印が配置された前記マッチングラインの右側の領域(以下、第3領域)は、Im{S
11}>0である領域を示し、B4及びB6の矢印が配置された前記マッチングラインの左側の領域(以下、第4領域)は、Im{S
11}<0である領域を示す。
【0108】
したがって、マッチング点への接近のためには、前記第1領域の点のG
2座標値は増加、また前記第2領域の点のG
2座標値は減少、前記第3領域の点のG
1座標値は減少、前記第4領域の点のG
1座標値は増加しなければならない。例えば、星表で表現された初期状態は、マッチング点へ接近するために、そのG
1及びG
2座標値を減少させることが必要である。したがって、G
1及びG
2座標の変化量dG
1、dG
2を−Im{S
11}及びRe{S
11}と定義すると、マッチング点への接近のための上述した要件を満たすことができる。すなわち、このような定義によると、マッチング点に到達するために、現在の位置でIm{S
11}は、正の値を有しているから、G
1座標値を減少させるために、Im{S
11}に負の符号を乗算する。一方、マッチング点に到達するために、現在の位置でRe{S
11}は、負の値を有しているので、G
2座標値を減少させるために、Re{S
11}に正の符号を乗算する。
【0109】
本発明の一実施の形態によると、このような事実に基づいて、前記変位ベクトルdGの成分dG
1、dG
2は、下記式7のように定義できる(しかしながら、下記式7は、前記変位ベクトルを定義する方法の一例を説明するためのものであり、本発明の他の実施の形態によると、前記変位ベクトルのこのような定義は、マッチングシステムの類型及び選択された分析座標系の種類などに基づいて、多様に変形されうる)。
【0110】
【数7】
【0111】
式1によると、マッチング点に近づくほど、前記送信線の反射係数の大きさは、0に近づく。このとき、前記変位ベクトルdGの成分と前記反射係数S
11の成分は、前記式7により与えられる定量的関係を有するから、この実施の形態によるマッチング方法は、前記マッチング点に速く収斂する軌跡を探すことができるようにする。すなわち、本発明によると、前記測定された特性ベクトルの位置とマッチング点との間の距離が増加する場合に、前記反射係数が増加するため、前記変位ベクトルdGの大きさも増加する。これは、マッチング軌跡を短い時間内にマッチング点近辺へ移動させることを可能にする。また、前記測定された特性ベクトルの位置がマッチング点近辺に位置する場合に、前記反射係数が小さいため、前記変位ベクトルdGも、小さな大きさを有するようになる。これは、マッチング点近辺でマッチング軌跡を微細に制御することを可能にする。これにより、
図4を参照して説明したマッチング時間の遅延、及び
図6を参照して説明した出没問題は予防されうる。
【0112】
また、上述したように、前記G
1及びG
2座標は、単射関数的マッピングに関する要求を満たすように変換されたため、
図2を参照して説明された従来の技術での座標の移動方向(すなわち、マッチング軌跡の進行方向)の選択に関連した模倣性は、本発明では現れない。
【0113】
[制御パラメーターの決定]
【0114】
本発明によると、前記変位ベクトルdGは、前記分析座標系での分析のために、前記可変リアクティブ素子のリアクタンス又はアドミタンスを変換した物理量である。したがって、マッチングシステムの制御のためには、前記変位ベクトルを、前記マッチングシステムを構成する素子の電気的特性の大きさ(すなわち、前記可変リアクティブ素子のリアクタンス)又はこれと関連した物理量に変換する過程が必要である。上述した前記変位ベクトルdGを制御パラメーターに変換するステップ(S33)は、このような変換ステップに該当する。
【0115】
このために、本発明の一実施の形態によると、このステップ(S33)は、前記変位ベクトルdGを前記可変リアクティブ素子の可変的な物理量の次元を有する換算された素子ベクトルdX´(reduced device vector)に逆変換するステップ(S331)及び前記換算された素子ベクトルdX´を前記可変リアクティブ素子の駆動を制御する駆動ベクトルVに変換するステップ(S332)を含むことができる。
【0116】
前記分析座標G
1、G
2が前記式3及び4の変換行列Tを介して得られるという点を考慮するとき、前記換算された素子ベクトルdX´は、下記式8及び式9のように、前記変換行列の逆行列T
−1と前記変位ベクトルdGとの内積により求めることができる。
【0117】
【数8】
【0118】
【数9】
【0119】
一方、前記マッチングシステムが前記可変リアクティブ素子として可変キャパシタを使用するL型の場合に、前記換算された素子ベクトルdX´は、前記式5により下記式10のように書かれることができ、逆L型の場合には、前記換算された素子ベクトルdX´は、前記式6により下記式11のように書かれることができる。
【0120】
【数10】
【0121】
【数11】
【0122】
本発明の一実施の形態によると、前記可変リアクティブ素子のリアクタンスは、所定の駆動モータの回転により制御されうる。この場合に、前記駆動ベクトルVは、前記駆動モータの数値制御のための値を成分として有することができ、その大きさ(magnitude)及び物理的次元(dimension)は、前記数値制御の方法及び駆動モータなどの種類に応じて多様に変形されうる。例えば、前記駆動ベクトルVは、下記式12のように前記換算された素子ベクトルdX´と所定の数的制御因数Mのスカラー積で与えられることができる。
【0123】
【数12】
【0124】
このとき、V
1及びV
2は、それぞれ前記第1及び第2可変キャパシタに接続した駆動モータの駆動のために入力される制御パラメーターを示す。また、前記数値制御因数Mは、前記数値制御の基準大きさ(例えば、モータの基準駆動速力(standard speed of operating motor)でありえ、前記換算された素子ベクトルdX´が前記駆動ベクトルVと同じ次元を有するように選択される。
【0125】
一方、式5及び式6での定義により、前記換算された素子ベクトルdX´は、リアクタンス又はアドミタンスの次元を有する。したがって、前記可変リアクティブ素子を実際に制御するためには、前記換算素子ベクトルdX´を前記可変リアクティブ素子の一次的な物理量(例えば、キャパシタンス又はインダクタンス)に変換する過程がさらに必要でありうる。すなわち、前記マッチングシステムがL型の場合に、前記式10に与えられたように、前記換算素子ベクトルdX´は、キャパシタンスと異なる次元を有するために、前記駆動ベクトルVは、前記式10を利用して前記換算された素子ベクトルdX´をキャパシタンス次元に変換する。この場合に、式10により前記数値制御因数Mは、前記可変キャパシタの現在キャパシタンスC
iの関数で表現されることができる。しかしながら、前記マッチングシステムが逆L型の場合には、前記式11に与えられたように、前記換算素子ベクトルdX´は、キャパシタンスと同じ次元を有するために、このような追加的な変換過程は不要である。
【0126】
一方、前記式7及び9によると、前記式12は、下記式13のように書かれることができる。すなわち、この実施の形態によると、前記マッチングシステムの第1及び第2可変キャパシタの変化(すなわち、これらに接続した駆動モータの回転)は、前記送信線の反射係数(さらに詳細に説明すると、これの実数部及び虚数部の大きさ)により決定される。
【0127】
【数13】
【0128】
前記マッチングシステムを制御するステップ(S40)は、前記駆動ベクトルVを利用して前記マッチングシステムを構成する可変リアクティブ素子のリアクタンスを調節するステップを含む。
【0129】
[マッチング状態検査]
【0130】
図19及び
図20は、本発明の変形された実施の形態によるマッチング方法を説明するためのフローチャートである。この実施の形態は、前記電気的特性を測定(S20)した後、前記マッチングシステムが許容可能なマッチング状態にあるか否かを判断するマッチング状態検査(S22)を行うステップをさらに含む。このようなマッチング状態検査(S22)のステップを除外すると、この実施の形態は、上述の実施の形態と同一なので、重複する内容についての説明は省略する。
【0131】
図19及び
図20に示すように、前記電気的特性を測定(S20)して前記送信線のインピーダンスを求めた後(S21)、前記マッチングシステムが許容可能なマッチング状態(allowable matching state)にあるか否かを判断するマッチング状態検査(S22)をさらに行う。このステップ(S22)で前記マッチングシステムが許容可能なマッチング状態にない場合に、前記制御パラメーター抽出のステップ(S30)及び前記マッチングシステム制御のステップ(S40)を、上述の実施の形態で説明した方法により行う。また、このステップ(S22)で前記マッチングシステムが許容可能なマッチング状態にある場合には、前記制御パラメーター抽出のステップ(S30)及び前記マッチングシステム制御のステップ(S40)なしに前記送信線の電気的特性を測定する。このようなマッチング状態検査(S22)により、マッチングされた状態に到達したマッチングシステムが不要に撹乱されるという問題は予防できる。
【0132】
一方、本発明の一実施の形態によると、前記マッチングパラメーターの設定値が適切であるか否かを評価するステップ(S23)、及び(その評価結果が否定的な場合に)前記マッチングパラメーターの一部を変更するステップ(S24)をさらに含むことができる。前記マッチングパラメーターの適切性評価ステップ(S23)は、前記送信線の電気的特性を測定するステップ(S10)から前記システムを制御するステップ(S40)に達する一周期の過程が所定の回数(n)の間に繰り返し的に行われたか否かを判断するステップを含むことができる。前記マッチングパラメーターの変更ステップ(S24)は、前記一周期の過程を所定回数の間に繰り返したにもかかわらず、前記電気装置100がマッチングされた状態に到達できない場合に行われる。前記マッチングパラメーターの変更ステップ(S24)で変更されるマッチングパラメーターの種類及び変更方法などについては、以下で再度説明される。
【0133】
[マッチング状態パラメーター]
【0134】
一方、本発明によると、前記マッチング状態検査(S22)は、下記式14により定義された状態パラメーターP(又は定常波比(standing−wave ratio、SWR))を利用して行われることができる。
【0135】
【数14】
【0136】
(このとき、Sは、前記送信線の反射係数S
11の大きさ(すなわち、絶対値)を示す。)このような定義によると、前記状態パラメーターPは、マッチングされた場合(すなわち、S=0)には、単位値1を有し、極端的にミスマッチングされた場合(すなわち、S=1)には、無限の大きさを有する。また、
図21に示すように、前記状態パラメーターPの変化率は、マッチングされた状態に近い領域では小さく、マッチングされた状態から遠くの領域では、急激に増加する。すなわち、インピーダンス自体よりは、前記式14により定義される前記状態パラメーターに基づいてマッチング状態を判断する場合に、マッチング点近辺でのマッチング状態をさらに精密に判断できる。
【0137】
本発明の一実施の形態によると、前記マッチング状態検査(S22)は、先んじたステップの状態パラメーターP
−(以下、前パラメーター)及び現在ステップの状態パラメーターP
0(以下、現パラメーター)を状態パラメーターの許容可能な最小値P
1(以下、最小水準)及び最大値P
2(以下、最大水準)と比較するステップを含むことができる。さらに詳細に説明すると、下記表1及び
図22に示すように、現パラメーターP
0が最小水準P
1より小さい、または等しい場合(Case I)には、前パラメーターP
−に無関係にマッチングされた状態で評価される。また、現パラメーターP
0が最小水準P
1と最大水準P
2との間にあり、かつ前パラメーターP
−が最小水準P
1より小さい、または等しい場合(Case II)には、マッチングされた状態で評価される。現パラメーターP
0が最小水準P
1と最大水準P
2との間にあり、かつ前パラメーターP
−が最小水準P
1より大きな場合(Case III)には、ミスマッチングされた状態で評価され、全体システムをマッチングされた状態にするために、前記制御パラメーター抽出(S30)及びマッチングシステム制御(S40)のステップを行う。また、現パラメーターP
0が最大水準P
2より大きい、または等しい場合(Case IV)には、前パラメーターP
−に無関係にミスマッチングされた状態で評価され、前記電気装置100をマッチングされた状態にするために、前記制御パラメーター抽出(S30)及びマッチングシステム制御(S40)のステップを行う。
【0138】
【表1】
【0139】
このように、状態パラメーターの許容可能な最小値P
1及び最大値P
2に基づいてマッチング状態検査を行う場合に、不必要なマッチング状態の変更を最小化できるため、精密かつ効率的なマッチング特性を得ることができる。
【0140】
[回転行列]
【0141】
本発明の一実施の形態によると、前記特性ベクトルQは、下記式15に与えられたように、前記反射係数の実数部Re{S
11}及び虚数部Im{S
11}を所定の回転行列Rで回転させた物理量で選択されうる。
【0142】
【数15】
【0143】
このとき、前記回転行列Rの角度θは、−90度〜90度の範囲の一値でありうる。本発明の一実施の形態によると、前記回転行列の角度θは、前記マッチングパラメーターの設定ステップ(S10)において0度と設定されることができる。一方、最初選択された角度に基づいて行われたマッチングにより、前記電気装置100が所定回数内にマッチング状態に到達できないと、前記回転行列の角度θは、前記マッチングパラメーターの変更ステップ(S24)で−90度〜90度の範囲のいずれか一つの値に変更されうる。前記回転行列Rの角度変更は、前記送信線の長さを延長する効果を提供し、前記反射係数の絶対値を変化させずにその位相値のみを変化させる。これにより、前記回転行列Rの角度変更は、マッチング経路の進行方向の変更及びこれに応じるマッチング失敗を防止するために選択されうるマッチングパラメーターの変更方法である。
【0144】
[ゲイン因数(gain factor)]
【0145】
本発明の一実施の形態によると、前記駆動ベクトルVは、下記式16のように前記数値制御因数M、前記換算された素子ベクトルdX´及びゲイン因数gのスカラー積で与えられることができる。このとき、前記ゲイン因数gは、下記式17に定義されているように、基準ゲイン因数(standard gain factor)g
0及び第1ゲイン因数g
1の積でありうる。
【0146】
【数16】
【0147】
【数17】
【0148】
前記基準ゲイン因数g
0は、前記ゲイン因数gの基準大きさであって、定数でありうる。また、前記第1ゲイン因数g
1は、前記駆動ベクトルVの大きさが前記測定された特性ベクトルに動的な関連性(dynamic correlation)を有するように設定される。すなわち、前記第1ゲイン因数g
1は、前記測定された特性ベクトルに依存する変数であって、マッチングのために要求される前記分析座標系での座標移動の大きさ(すなわち、前記変位ベクトルの大きさ)が大きいほど、大きな値を有するように定義される。本発明の一実施の形態によると、前記第1ゲイン因数g
1は、下記式18のように与えられることができる。
【0149】
【数18】
【0150】
このとき、前記Sは、前記反射係数の大きさを示す。また、前記g
max、g
min、S
0及びmは、前記マッチングシステムの物理的/電気的特性のような環境的な要因を考慮して決定されるマッチングパラメーターであって、上述したように、前記マッチングパラメーターの変更ステップ(S24)で変更されうる。具体的に説明すると、g
max及びg
minは、それぞれ前記第1ゲイン因数の最大値及び最小値を表し、S
0は、第1ゲイン因数の基準大きさを表す。また、mは、前記第1ゲイン因数の大きさを決定づける特性パラメーターであって、前記マッチングパラメーターの変更ステップ(S24)で作業者又はコンピュータにより変更されうる。これに加えて、上記式18は、前記第1ゲイン因数g
1を定義する方法の一例を説明するものに過ぎず、前記第1ゲイン因数g
1は、他の多様な方法により定義されうる。
【0151】
図23は、本発明の一実施の形態によるゲイン因数(特に、前記第1ゲイン因数g
1と前記反射係数の大きさSとの関係を示すグラフである。この実施の形態において、前記第1ゲイン因数は、前記式18により定義され、この場合に、前記g
max及びg
minは、それぞれ1及び0.2で与えられた。
【0152】
図23に示すように、前記第1ゲイン因数g
1は、前記反射係数の大きさSが小さな領域MRで前記g
minに近い大きさを有し、前記反射係数の大きさSが大きい領域UMRで前記g
maxに近い大きさを有する。前記電気装置100がマッチングされた状態に近い水準(以下、マッチング水準)は、前記反射係数の大きさSに反比例する。したがって、前記式16〜18を参照すると、
図23のように定義される前記第1ゲイン因数g
1は、マッチング水準が低いとき、前記駆動ベクトルVの大きさを増加させ、マッチング水準が高いときには、前記駆動ベクトルVの大きさを減少させるのに寄与する。換言すると、前記第1ゲイン因数g
1は、前記マッチング水準が高いとき(すなわち、マッチング点近辺)には、マッチング軌跡を微細に制御し、前記マッチング水準が低いときには、短い時間内にマッチング軌跡は、マッチング点近辺へ移動させることを可能にする。前記第1ゲイン因数g
1によるこのような効果は、(式7により定義される)変位ベクトルから得ることができる技術的効果をさらに増大させるのに寄与する。
【0153】
一方、本発明の他の実施の形態によると、前記ゲイン因数gは、下記式19で定義されているように、前記基準ゲイン因数g
0及び第2ゲイン因数g
2との積又は下記式20で定義されているように、前記基準ゲイン因数g
0、前記第1ゲイン因数g
1及び第2ゲイン因数g
2の積でありうる。
【0154】
【数19】
【0155】
【数20】
【0156】
前記第2ゲイン因数g
2は、マッチング軌跡の変化が要求される状況でマッチング失敗を予防するための方法を提供するように定義されうる。例えば、前記可変リアクティブ素子のうち、少なくとも一つのリアクタンス又はアドミタンスが実現可能な極値(feasible extreme value)に到達する場合に、マッチング失敗を予防するためには、マッチング軌跡を変化させることが必要である。前記第2ゲイン因数g
2は、このようなマッチング軌跡の変化を引き起こすように定義されうる。本発明の一実施の形態によると、前記第2ゲイン因数g
2は、下記式21により与えられているように、マッチング軌跡の変化が不要な正常な場合には、1と設定され、マッチング軌跡の変化が要求される異常な場合には、−1と設定されることができる。
【0157】
【数21】
【0158】
一方、前記マッチング軌跡が所定の条件により規定された程度に変更された後、前記第2ゲイン因数g
2は、正常なマッチング過程を行うために再度+1と設定されることが好ましい。このとき、前記第2ゲイン因数g
2の復元のための条件は、必要によって多様に定義されうる。例えば、所定の回数の間に−1と定義された第2ゲイン因数g
2の条件下で上述したマッチング過程を行った後、+1と定義された第2ゲイン因数g
2の条件下で上述した正常なマッチング過程を行うことができる。
【0159】
図24及び
図25は、本発明の実施の形態によるインピーダンスマッチングの結果を示す図である。上述したように、この実施の形態によるインピーダンスマッチングは、分析座標系を利用して行われた。しかしながら、従来の技術と比較するために、
図24及び
図25は、この実施の形態によるインピーダンスマッチング軌跡を
図2のようにキャパシタンス空間で示した図である。
【0160】
図24及び
図25に示すように、この実施の形態において初期状態(
図24の右側下の星表及び
図25の左側下の星表参照)は、二つの可変キャパシタが実現可能な極値を有するケースに該当する。このような初期状態から出発する場合に、従来の方法では、前記マッチングシステムがマッチングされた状態に到達できなかった。しかしながら、このような脆弱な初期条件にもかかわらず、
図24及び
図25に示すように、本発明によるマッチング方法は、マッチングシステムをマッチングされた状態にした。すなわち、本発明によるマッチング方法は、初期状態に対する依存性の低下を提供する。
【0161】
特に、
図25に示すように、本発明によるマッチング方法は、最初に外れたマッチング経路が選択されたとしても、右側下に示された転換点Tからマッチング軌跡の方向を変えて、マッチングされた状態に到達できた。上述したマッチングパラメーターの変更(特に、前記第2ゲイン因数g
2の変更)は、このようなマッチング軌跡の方向転換に寄与する。
【0162】
図26は、本発明の一実施の形態によるインピーダンスマッチングの結果を示す図である。
【0163】
図26に示すように、本発明によるマッチング方法は、従来の技術において現れる螺旋状マッチング軌跡又は出没などの問題が発生せずに、マッチング点近辺でも安定的にマッチング点を到達するマッチング軌跡を作った。すなわち、本発明によるマッチング方法は、向上したマッチング収斂性及びマッチング点近辺で向上したマッチング特性を提供する。
【0164】
[パルスモードのマッチング方法]
【0165】
本発明の一実施の形態によるマッチング方法は、スローパルスモード又はファーストパルスモードで動作できる。前記スローパルスモードは、パルスの周波数が500Hz以下であり得、前記ファーストパルスモードは、パルスの周波数が500Hz超過でありうる。
【0166】
図32は、本発明の一実施の形態によるパルスモードマッチング方法を説明するためのフローチャートである。この実施の形態は、従来のCWモードのマッチング方法を本発明のパルスマッチング方法に適用したものである。
【0167】
この実施の形態において、前記電気的特性を測定した後、電源がパルスモードで動作する場合に、これを処理するパルスモード判断ステップをさらに含む。このようなパルスモード処理ステップを除くと、
図16で説明した実施の形態と同様なので、重複する内容は省略する。
【0168】
図32に示すように、前記電気的特性を測定するステップ(S120)は、前記電気的特性を測定する前にノイズ除去ステップ(S112)を含み、前記送信線のインピーダンスを計算するステップ(S121)、及び順方向電力P_AVGを計算するステップ(S122)をさらに含むことができる。前記ノイズ除去は、バンドパスフィルタ又はロックイン感知器を使用することができる。例えば、前記ロックイン感知器は、電源の駆動周波数成分のみを抽出することができる。前記順方向電力(又は入射電力)の計算(S122)は、前記電気的特性(電流、電圧、位相)を利用して計算できる。前記順方向電力P_AVGを、前記電気的特性を利用して計算する場合に、前記順方向電力がしきい電力P_th以上である場合と前記順方向電力がしきい電力以下である場合に応じて、パワートリガー信号P_TRIGを生成することができる。前記しきい電力は、前記電源の入射電力の数十パーセントと設定されることができる。これにより、前記マッチングシステムは、電源と独立的に動作できる。
【0169】
パルスモード判断ステップ(S130)は、オンタイムであるか否かを検査するステップ(S131)、パルス周期を判断するステップ(S132)、及びファーストパルスモードとスローパルスモードを判断するステップ(S133)を含むことができる。前記オンタイムであるか否かを検査するステップ(S131)は、前記順方向電力がしきい電力以上であるか、又は前記電源トリガー信号RF_TRIGがハイ(high)(すなわち、オンタイム)であるか否かを判断する。
【0170】
オンタイムである場合に、前記マッチングシステムが許容可能な状態にあるか否かを判断するマッチング状態検査(S140)を行う。前記マッチング状態検査ステップ(S140)で前記マッチングシステムが許容可能な状態にない場合に、前記制御パラメーター抽出ステップ(S150)及び前記マッチングシステムの制御ステップ(S160)を行う。また、マッチング状態検査ステップ(S140)で前記マッチングシステムが許容可能な状態にある場合には、前記制御パラメーター抽出のステップ(S150)及び前記マッチングシステム制御ステップ(S160)を行わずに前記ノイズ除去(S112)及び前記送信線の電気的特性を測定(S120)する。前記制御パラメーター抽出ステップ(S150)は、インピーダンスの大きさが特性インピーダンス(通常、50オーム)以上であるか否かに応じて制御パラメーターを抽出(S150a)し、インピーダンスの位相が0度以上であるか否かに応じて、制御パラメーターを抽出(S150b)することができる。前記制御パラメーターを抽出するステップ(S150)は、多様に変形されうる。
【0171】
前記パルスモード判断するステップ(S130)は、パルス周期を判断するステップ(S131)を含むことができる。前記パルス周期は、前記順方向電力が前記しきい電力以上である場合に、ハイを出力する電力トリガー信号P_TRIGを利用するか、又は前記電源トリガー信号RF_TRIG信号を利用してパルス周期を計算することができる。前記パルス周期に応じてファーストパルスモードとスローパルスモードとに区分(S133)できる。各パルスモードに応じて制御パラメーターを設定することができる。前記制御パラメーターは、オフタイムの間にマッチングシステム制御に使用される。本発明の変形された実施の形態によると、前記ファーストパルスモードとスローパルスモードとは、外部で設定することができる。
【0172】
前記ファーストパルスモードである場合に、以前のオンタイム状態の制御パラメーターを利用して、オフタイムの間にマッチングシステムを駆動させる。例えば、前記制御パラメーターは、前記マッチングシステムを構成する可変リアクティブ素子のリアクタンスを制御する変数でありうる。前記制御パラメーターは、前記可変リアクティブ素子のリアクタンスを調節するモータ制御装置の入力変数でありうる。前記ファーストパルスモードの場合に、オフタイムの間にもモータを駆動するようにして、頻繁な駆動/停止に起因した前記モータの耐久性の低下を防止し、前記モータの信頼性を向上させることができる。また、パルス周期が短いことによってオンタイムと次のオンタイムのマッチング条件が大きく外れないことによって、制御パラメーターが大きく差がでないことができる。これにより、さらに速い時間内にマッチング条件に到達することができる。一方、スローモードである場合に、前記マッチングシステムは、アイドル状態に制御される。例えば、前記可変リアクティブ素子の値が変わらないように、前記マッチングシステムの制御パラメーターを制御する。これにより、スローパルスモードで、オフタイムの間に前記モータが停止できる。これにより、オフタイムの間に、前記マッチングシステムの可変リアクティブ素子の値は、マッチング点から過度に外れることを防止することができる。
【0173】
電源が臨界オフタイム(critical off time)C_OFF_Tの間に前記オフタイム状態にずっとあったか否かを判断(S134)することができる。前記臨界オフタイムは、約2秒に設定されることができる。前記オフタイム状態が前記臨界オフタイムを超過すると、前記電源は、オフし続けたものと看做すことができる。すなわち、前記マッチングシステムは、プリセット状態に移動できる。前記プリセット状態は、前記電源が供給されない場合の前記マッチングシステムの状態であり、前記制御パラメーターをプリセット状態に設定(S135)し、これにより、前記マッチングシステムを制御する。
【0174】
図33は、本発明の一実施の形態によるパルスモードマッチング方法を説明するためのフローチャートである。以上の実施の形態と重複する部分の説明は省略する。
【0175】
オンタイムの場合に、前記マッチングシステムが許容可能な状態にあるか否かを判断するマッチング状態検査(S140)を行う。このステップ(S140)で前記マッチングシステムが許容可能な状態にない場合に、前記制御パラメーター抽出ステップ(S150)及び前記マッチングシステムの制御ステップ(S160)を行う。また、マッチング状態検査ステップ(S140)で前記マッチングシステムが許容可能な状態にある場合に、前記制御パラメーター抽出のステップ(S150)及び前記マッチングシステム制御ステップ(S160)なしに前記ノイズ除去(S112)及び前記送信線の電気的特性を測定(S120)する。前記制御パラメーター抽出ステップ(S150)は、送信線の電気的特性を規格化された特性ベクトルに変換するステップ(S151)、分析座標系で特性ベクトルを分析して変位ベクトルを抽出するステップ(S152)、及び前記変位ベクトルを制御パラメーターに変換するステップ(S153)を含むことができる。ここで、前記変位ベクトルを制御パラメーターに変換するステップ(S153)は、変位ベクトルを換算された素子ベクトルに変換するステップ(S1531)、換算された素子ベクトルを駆動ベクトルに変換するステップ(S1532)を含むことができる。
【0176】
図34は、本発明の一実施の形態によるファーストモードパルスマッチング方法を説明するためのタイミング図である。
【0177】
送信線の電圧RF_Vは、時間に応じて周期的にオン/オフになる。これにより、入射電力(又は順方向電力、P_AVG)は、電源が大きくなりつつ上昇し、前記電源が消えつつ下降する。前記入射電力が前記しきい電力P_th以上であると、電力トリガー信号P_TRIGが発生する。マッチングシステムのモータを駆動する制御パラメーターCPは、前記入射電力が前記しきい電力P_th以上であると生成される。前記制御パラメーターCPがモータ駆動システムに入力されると、モータが動くようになる。オンタイムの間に前記制御パラメーターは、マッチング状態に到達するまでインピーダンス又は反射係数、時間に応じて変わることができる。オフタイムの間に前記制御パラメーターは、前記オンタイム状態の前記制御パラメーターの最終値を維持し続けることができる。これにより、前記マッチングシステムのモータは、動き続けることができる。マッチング状態を検査してマッチングされた状態MAT=1に到達すると、前記制御パラメーターはリセットされる。これにより、前記モータは停止するようになる。
【0178】
図35は、本発明の一実施の形態によるファーストモードパルスマッチング方法を説明するためのタイミング図である。
【0179】
送信線の電圧RF_Vは、時間に応じて周期的にオン/オフになる。これにより、入射電力(又は順方向電力、P_AVG)は、電源が大きくなりつつ上昇し、RF電源が消えつつ下降する。電源は、オン/オフ(ON/OFF)に同期された電源トリガー信号RF_TRIGを出力する。前記電源トリガー信号RF_TRIGを利用して電源のパルス周期及びオンタイム区間/オフタイム区間を区別する。ファーストパルスモードのオフタイムの間に制御パラメーターCPは、以前のオンタイム状態の制御パラメーターと同じ値を維持する。マッチング状態を検査してマッチングされた状態MAT=1に到達すると、前記制御パラメーターはリセットされる。これにより、前記モータは停止するようになる。
【0180】
図36は、本発明の一実施の形態によるファーストモードパルスマッチング方法を説明するためのタイミング図である。
【0181】
図36に示すように、送信線の電圧RF_Vは、時間に応じて周期的にオン/オフになる。これにより、入射電力(又は順方向電力、P_AVG)は、電源が大きくなりつつ上昇し、前記電源が消えつつ下降する。これにより、入力電力(又は順方向電力、P_AVG)は、RF電源が大きくなりつつ上昇し、RF電源が消えつつ下降する。前記入射電力がしきい電力P_th以上であると、電力トリガー信号P_TRIGが発生する。制御パラメーターCPは、臨界オフタイムC_OFF_T以上オフタイム状態が持続すると、前記電源がずっとオフ状態にあると看做して、制御パラメーターをプリセット状態に設定できる。前記臨界オフタイムC_OFF_Tは、2秒の範囲でありうる。
【0182】
図37は、本発明の一実施の形態によるファーストモードパルスマッチング方法を説明するためのタイミング図である。
【0183】
図37に示すように、送信線の電圧RF_Vは、時間に応じて周期的にオン/オフになる前に連続モード持続時間CW TIMEの間に、電源が連続モードで動作できる。入射電力(又は順方向電力、P_AVG)は、電源が大きくなりつつ上昇し、前記電源が消えつつ下降する。前記入力電力がしきい電力P_th以上であると、電力トリガー信号P_TRIGが発生する。前記連続モード持続時間CW TIMEの間に、前記マッチングシステムは、マッチング状態に到達するか、又は到達しない。例えば、前記連続モード持続時間CW TIMEの間にマッチング状態に到達しない場合に、パルスモード状態で制御パラメーターCPは変更されうる。前記連続モード持続時間が経過した後、パルスモードで動作する場合に、上述したファーストモード方式によってマッチング状態MAT=1に到達すると、前記制御パラメーターCPはリセットされる。一方、マッチング状態MAT=1に到達した後、時間の経過によってマッチング状態から外れた場合に、再度制御パラメーターCPは変更されて、再度マッチング状態MAT=1に到達できる。すなわち、マッチング状態に到達した後に、プラズマの特性が変更されてマッチング状態から外れた場合にも、再度マッチング状態に到達できる。
【0184】
図38は、本発明の一実施の形態によるスローモードパルスマッチング方法を説明するためのタイミング図である。
【0185】
図38に示すように、送信線の電圧RF_Vは、時間に応じて周期的にオン/オフになる。これにより、入射電力(又は順方向電力、P_AVG)は、電源が大きくなりつつ上昇し、前記電源が消えつつ下降する。前記入力電力がしきい電力P_th以上であると、電力トリガー信号P_TRIGが発生する。マッチングシステムのモータを駆動する制御パラメーターCPは、前記平均入力電力が前記しきい電力P_th以上であると、生成される。前記制御パラメーターCPがモータ駆動システムに入力されると、モータは動くようになる。オンタイム状態で前記制御パラメーターは、マッチング状態に到達するまでインピーダンス又は反射係数に応じて時間に応じて変わることができる。オフタイム状態で、前記制御パラメーターはリセットされる。これにより、前記マッチングシステムのモータは停止する。一方、マッチング状態を検査してマッチングされた状態MAT=1に到達すると、前記制御パラメーターはリセットされる。これにより、前記モータは停止するようになる。
【0186】
[マッチングシステム]
【0187】
図27は、本発明によるマッチングシステムを説明するための図である。さらに詳細に説明すると、
図27は、
図7を参照して説明した電気装置100のマッチングシステムをさらに詳細に説明するために提供される。
【0188】
図7及び
図27に示すように、本発明によるマッチングシステム104は、上述したマッチングの各ステップを行う処理部200及び可変リアクティブ素子301、302を備える。前記マッチングシステム104は、送信線103の電気的特性を測定するセンサ部141をさらに備えることもできる。
【0189】
前記可変リアクティブ素子301、302は、前記電気装置100のインピーダンスをマッチングさせるために、そのリアクタンスを可変的に制御できる素子でありうる。例えば、可変キャパシタ又は可変インダクターが前記可変リアクティブ素子301、302として使用されうる。また、上述したように、前記マッチングシステム104は、前記可変リアクティブ素子301、302に加えて固定されたリアクタンスを提供する受動素子をさらに備えることもできる。本発明の一実施の形態によると、前記マッチングシステム104は、前記可変リアクティブ素子として可変キャパシタを使用する(
図8を参照して説明された)L型でありうる。
【0190】
機能的な側面において、前記処理部200は、測定結果分析部201、特性ベクトル抽出部202、変位ベクトル抽出部203及び駆動ベクトル抽出部204を備えることができる。形式的な側面において、前記処理部200は、前記機能的部分201、202、203、204の機能を行うように製作された少なくとも一つのチップ(chip)又は電子ボード(electronic board)を備えることができる。本発明の他の実施の形態によると、形式的な側面において、前記処理部200は、前記機能的部分201、202、203、204の機能を行うように準備されたソフトウェアがインストールされたコンピュータでありうる。
【0191】
前記測定結果分析部201は、前記センサ部141で測定された前記送信線103の電気的特性を分析して、前記特性ベクトル抽出部202の入力情報として使用される出力情報を生成するように構成される。前記測定結果分析部201の出力情報は、前記送信線103の複素数インピーダンス及び複素数反射係数でありうる。前記センサ部141で測定される前記送信線103の電気的特性は、前記送信線103の電流、電圧及び位相差でありうる。
【0192】
前記特性ベクトル抽出部202は、
図16、
図19及び
図20を参照して説明された送信線の電気的特性を規格化された特性ベクトルQに変換する過程(S31)を処理するように構成される。このために、前記測定結果分析部201の出力情報は、前記特性ベクトル抽出部202の入力情報として使用される。また、前記特性ベクトルQは、前記送信線の電気的特性と関連して規格化された大きさを有する少なくとも二つの独立された物理量を成分として有する。本発明の一実施の形態によると、前記特性ベクトルQは、前記[特性ベクトルの選択]で説明されたように、また前記式2で与えられたように、前記反射係数の実数部Re{S
11}及び虚数部Im{S
11}を成分として有する二次元ベクトルと定義されうる。
【0193】
前記変位ベクトル抽出部203は、
図16、
図19及び
図20を参照して説明されたように、所定の分析座標系で前記特性ベクトルQを分析して変位ベクトルdGを抽出する過程(S32)を処理するように構成される。このために、前記特性ベクトル抽出部202の出力情報は、前記変位ベクトル抽出部203の入力情報として使用される。本発明の一実施の形態によると、前記変位ベクトルdGは、前記[変位ベクトルの決定]で説明されたように、また前記式7で与えられたように、前記反射係数の虚数部−Im{S
11}及び実数部Re{S
11}を成分として有する二次元ベクトルと定義されうる。一方、式2と式7とを比較すると、前記特性ベクトルQと前記変位ベクトルdGとは、その成分位置の逆転を除くと実質的に同一なので、前記特性ベクトルQと前記変位ベクトルdGとは、前記マッチング過程及びこれを実現するマッチングシステムにおいて実質的に同じ一つの処理過程及び一つの処理装置により抽出されることができる。
【0194】
前記駆動ベクトル抽出部204は、
図19及び
図20を参照して説明された前記変位ベクトルdGを換算された素子ベクトルdX´に変換する過程(S331)、及び前記換算された素子ベクトルdX´を駆動ベクトルVに変換する過程(S332)を処理するように構成される。
【0195】
前記変位ベクトルdGを換算された素子ベクトルdX´に変換する過程(S331)は、式8及び式9で与えられたように、前記変位ベクトルdGを所定の行列(すなわち、前記変換行列の逆行列T
−1)を利用して変換するステップを含む。このとき、前記変換行列Tは、所定の分析座標系で前記特性ベクトルQを扱うことができる位相空間を提供するために提供され、前記[分析座標系の選択]で説明された方法に従って準備されうる。すなわち、前記分析座標系は、前記マッチングシステムの電気的特性と前記送信線の電気的特性とを定量的に関係付ける所定の位相空間を表現するように選択される。このために、前記分析座標系の座標は、前記マッチングシステムの電気的特性と関連した物理量の中から選択され、前記送信線の電気的特性は、このように選択された分析座標系での一点で表現される。本発明の一実施の形態によると、前記分析座標系の座標(以下、分析座標)は、前記マッチングシステムを構成する可変リアクティブ素子のリアクタンス又はアドミタンスの関数で表現されることができ、前記特性ベクトルQは、このように準備したリアクタンス空間又はアドミタンス空間の一点で表現されうる。好ましくは、前記分析座標系は、前記マッチングシステムの電気的特性と前記送信線の電気的特性との間の定量的関係を単射関数的にマッピングするよう選択される。
【0196】
前記換算された素子ベクトルdX´を駆動ベクトルVに変換する過程(S332)は、前記式12又は式16によって与えられたように、数値制御因数M及び前記換算された素子ベクトルdX´及びゲイン因数gのスカラー積又は前記制御因数M、前記換算された素子ベクトルdX´及び前記ゲイン因数gのスカラー積で与えられることができる。このとき、前記ゲイン因数gは、前記式17、19及び20で定義された値でありうる。
【0197】
前記処理部200は、制御部205、入出力信号処理部206及びデータ格納所207をさらに備えることができる。前記入出力信号処理器206は、前記可変リアクティブ素子301、302を制御するための数値制御信号を処理するように構成される。例えば、前記入出力信号処理器206は、一般に使用される(RS232Cのような直列インタフェース又はセントロニクスインタフェースのような並列インタフェースを備える)多様な入出力インタフェースのうちの何れか一つを備えることができる。前記数値制御信号は、前記駆動ベクトルVそれ自体又はこれから生成される情報を含むことができる。前記データ格納所207は、前記数値制御信号を生成するための上述した一連の過程で使用されるマッチングパラメーター又はこの過程から生成される情報を一時格納する。このために、前記データ格納所207は、フラッシュメモリのようなメモリ半導体チップ又はハードディスクでありうる。前記制御部205は、前記測定結果分析部201、前記特性ベクトル抽出部202、前記変位ベクトル抽出部203、前記駆動ベクトル抽出部204、前記入出力信号処理部206及び前記データ格納所207の動作を制御するように構成される。これに加えて、前記制御部205は、これらの間の情報伝達及び前記可変リアクティブ素子301、302の動作を制御するように構成されうる。
【0198】
これに加えて、前記処理部200は、
図19を参照して説明された前記マッチング状態検査のステップ(S22、S23)及び前記マッチングパラメーターの変更ステップ(S24)を処理するように構成された少なくとも一つの補助部をさらに備えることができる。さらに詳細に説明すると、この補助部は、前記マッチング状態検査のための状態パラメーターの計算、前記マッチングパラメーターの適切性評価、前記回転行列の角度変更及び前記ゲイン因数の変更などの過程を処理するように構成されることができる。
【0199】
前記マッチングシステム104又は前記処理部200を構成する部分は、上述した本発明によるマッチング方法のうちの一つを実現するように構成される。しかしながら、このような構成は、
図27を参照して説明された実施の形態に限定されず、この実施の形態から多様に変形されうる。
【0200】
[パルスマッチングシステム]
【0201】
図39は、本発明によるマッチングシステムを説明するための図である。
【0202】
図39に示すように、本発明によるマッチングシステム104は、上述したマッチングの各ステップを行う処理部200及び可変リアクティブ素子301、302を備える。前記マッチングシステム104は、送信線103の電気的特性を測定するセンサ部141をさらに備えることができる。電源102は、パルスモードで動作できる。
【0203】
前記可変リアクティブ素子301、302は、前記電気装置100のインピーダンスをマッチングさせるために、そのリアクタンスを可変的に制御できる素子でありうる。例えば、可変キャパシタ又は可変インダクターが前記可変リアクティブ素子301、302として使用されうる。また、上述したように、前記マッチングシステム104は、前記可変リアクティブ素子301、302に加えて固定されたリアクタンスを提供する受動素子をさらに備えることができる。前記可変リアクティブ素子301、302は、前記可変リアクティブ素子の値を変更するモータとモータ制御システムを含むことができる。
【0204】
本発明の一実施の形態によると、前記マッチングシステム104は、前記可変リアクティブ素子として可変キャパシタを使用する(
図8を参照して説明された)L型でありうる。
【0205】
機能的な側面において、前記処理部200は、ノイズ除去部210、測定結果分析部201、パルスモード処理部211、及び制御パラメーター抽出部212を備えることができる。形式的な側面において、前記処理部200は、前記機能的部分210、201、211、212の機能を行うように製作された少なくとも一つのチップ又は電子ボードを供えることができる。本発明の他の実施の形態によると、形式的な側面において、前記処理部200は、前記機能的部分210、201、211、212の機能を行うように準備されたソフトウェアがインストールされたコンピュータでありうる。
【0206】
前記測定結果分析部201は、前記センサ部141で測定された前記送信線103の電気的特性を分析して、前記制御パラメーター抽出部212の入力情報として使用される出力情報を生成するように構成される。前記測定結果分析部201の出力情報は、前記送信線103の複素数インピーダンス、複素数反射係数、及び入射電力P_AVGでありうる。前記センサ部141で測定される前記送信線103の電気的特性は、前記送信線103の電流、電圧及び位相差でありうる。前記ノイズ除去部210は、バンドパスフィルタ又はロックイン感知器を使用することができる。例えば、前記ロックイン感知器は、電源の駆動周波数成分のみを抽出することができる。
【0207】
本発明の一実施の形態によると、前記制御パラメーター抽出部212は、特性ベクトル抽出部、変位ベクトル抽出部、駆動ベクトル抽出部を備えることができる。
【0208】
本発明の他の実施の形態によると、前記制御パラメーター抽出部212は、
図32で説明されたように、インピーダンスの絶対値と位相とを利用して制御パラメーターを抽出する装置でありうる。
【0209】
前記処理部200は、制御部205、入出力信号処理部206及びデータ格納所207をさらに備えることができる。前記入出力信号処理器206は、前記可変リアクティブ素子301、302を制御するための数値制御信号を処理するように構成される。例えば、前記入出力信号処理器206は、一般に使用される(RS232Cのような直列インタフェース又はセントロニクスインタフェースのような並列インタフェースを備える)多様な入出力インタフェースのうちの何れか一つを備えることができる。前記数値制御信号は、前記駆動ベクトルV又は前記制御パラメーターそれ自体又はこれから生成される情報を含むことができる。前記データ格納所207は、前記数値制御信号を生成するための上述した一連の過程で使用されるマッチングパラメーター又はこの過程から生成される情報を一時格納する。このために、前記データ格納所207は、フラッシュメモリのようなメモリ半導体チップ又はハードディスクでありうる。前記制御部205は、前記測定結果分析部201、前記パルスモード処理部211、前記制御パラメーター抽出部212、前記入出力信号処理部206及び前記データ格納所207の動作を制御するように構成される。これに加えて、前記制御部205は、これらの間の情報伝達及び前記可変リアクティブ素子301、302の動作を制御するように構成されることができる。
【0210】
図40は、本発明によるマッチングシステムを説明するための図である。
【0211】
図40に示すように、本発明によるマッチングシステムは、一つの負荷101に接続した少なくとも第1マッチングシステム104a及び第2マッチングシステム104bを含むことができる。各マッチングシステム104a、104bに接続した電源の周波数は、互いに異なりうる。また各電源は、パルスモード及び連続モードのうち、少なくとも一つのモードで動作できる。各マッチングシステムは、重複するので省略する。
【0212】
図41は、本発明によるマッチングシステムを説明するための図である。
【0213】
図41に示すように、本発明によるマッチングシステムは、第1負荷101aに接続した少なくとも第1マッチングシステム104a及び第2負荷101bに接続した第2マッチングシステム104bを含むことができる。各マッチングシステム104a、104bに接続した電源の周波数は、互いに異なりうる。また、各電源は、パルスモード及び連続モードのうち、少なくとも一つのモードで動作できる。各マッチングシステムは、重複するので省略する。
【0214】
[プラズマチャンバーシステム]
【0215】
図7を参照して説明したように、本発明によるマッチングシステム104は、プラズマシステム、核磁気共鳴システム、通信システム及び送電線のうち、何れか一つを負荷101として有する電気装置100のインピーダンスマッチングのために使用されうる。以下では、このような多様な応用分野のうち、半導体装置の製造工程で使用されるプラズマチャンバー装置に関する本発明の一実施の形態を、
図28を参照して説明する。しかしながら、本発明によるマッチングシステムを備える電気装置は、このような例示に限定されない。すなわち、本発明によるマッチングシステムは、上述したインピーダンスマッチング方法又はそれの簡単な変形方法により、インピーダンスマッチングが要求されるすべての電気装置のために使用されうる。
【0216】
図28は、本発明の一実施の形態によるインピーダンスマッチングシステムを備えるプラズマチャンバー装置を示す図である。
【0217】
図7及び
図28に示すように、この実施の形態によるプラズマチャンバー装置900は、半導体基板がローディングされうる空間を提供するチャンバー901、前記チャンバー901内でのプラズマの生成及び制御に寄与する上部電極911及び下部電極912、そして前記上部及び下部電極911、912のそれぞれに電力を供給する上部電源921及び下部電源922を備える。前記上部電極911と前記上部電源921との間には、これらを接続する上部送信線931が配置され、前記下部電極912と前記下部電源922との間には、これらを接続する下部送信線932が配置される。前記上部及び下部送信線931、932上には、それぞれこれらの電気的特性を測定する上部センサ部941及び下部センサ部942が配置される。これに加えて、前記上部及び下部送信線931、932上には、それぞれ前記上部及び下部電極911、912に伝送される電力を最大化させるための上部及び下部マッチングシステム951、952が配置される。これに加えて、前記チャンバー装置900は、前記センサ部、前記マッチングシステム及び前記電源を制御するための制御部960をさらに備えることができる。
【0218】
前記上部及び下部マッチングシステム951、952のうち、少なくとも一つは、上述した本発明によるマッチング方法のうちの何れか一つを実現するように構成されうる。例えば、前記上部及び下部マッチングシステム951、952は、先の
図27を参照して説明されたものと同じ前記処理部200を備えるマッチングシステム104でありうる。