特許第6073294号(P6073294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073294グリーンフィールドプリアンブルを有するショートガードインターバル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073294
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】グリーンフィールドプリアンブルを有するショートガードインターバル
(51)【国際特許分類】
   H04J 11/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   H04J11/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-511392(P2014-511392)
(86)(22)【出願日】2012年5月7日
(65)【公表番号】特表2014-515241(P2014-515241A)
(43)【公表日】2014年6月26日
(86)【国際出願番号】US2012036736
(87)【国際公開番号】WO2012158378
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/487,581
(32)【優先日】2011年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/563,409
(32)【優先日】2011年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502188642
【氏名又は名称】マーベル ワールド トレード リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ザン、ホンユアン
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−304152(JP,A)
【文献】 特表2009−509470(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/120692(WO,A1)
【文献】 特開2001−298437(JP,A)
【文献】 特開2012−231451(JP,A)
【文献】 IEEE Std 802.11n-2009,2009年10月29日,P.121,267-271,275-286,316,322-328
【文献】 ZHANG Zhao-yang et al.,A novel OFDM transmission scheme with length-adaptive Cyclic Prefix,Journal of Zhejiang University SCIENCE,2004年11月,P.1336-1342
【文献】 Hongyuan Zhang et al.,11ah Data Transmission Flow,IEEE 802.11-11/1484r0,2011年11月 7日,P.1-15,URL,https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/11/11-11-1484-00-00ah-11ah-phy-transmission-flow.pptx
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーンフィールドプリアンブルおよび前記グリーンフィールドプリアンブルに続く複数のデータシンボルを含む直交周波数分割多重信号(OFDM信号)を受信する受信機と、
前記グリーンフィールドプリアンブルに少なくとも部分的に基づいて、前記OFDM信号のガードインターバルの種類を判断するインターバル選択ロジックと、
前記複数のデータシンボルの第1番目のデータシンボルを、ロングガードインターバルを有するデータシンボルとして処理し、前記複数のデータシンボルのうち後続の複数のデータシンボルを、判断された前記ガードインターバルの前記種類に基づいて処理することにより、前記インターバル選択ロジックが判断した前記ガードインターバルの前記種類に少なくとも部分的に基づいて、前記OFDM信号を処理する信号処理器と、を備える無線通信デバイス。
【請求項2】
前記インターバル選択ロジックは、前記OFDM信号がシングルストリーム通信であるかを判断する請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項3】
前記インターバル選択ロジックは、
(i)前記OFDM信号の前記ガードインターバルの前記種類、および、
(ii)前記OFDM信号がシングルストリーム通信であるか、を判断するべく、
SIGフィールドが、前記グリーンフィールドプリアンブルの最後のフィールドであるかを判断する、請求項1または2に記載の無線通信デバイス。
【請求項4】
前記インターバル選択ロジックは、前記グリーンフィールドプリアンブルが、前記種類がショートガードインターバルであることを示すインジケータを有するSIGフィールドを含むかを判断することにより、前記ガードインターバルの前記種類を判断する、請求項1または2に記載の無線通信デバイス。
【請求項5】
前記OFDM信号は、リモートデバイスから受信される第1番目のOFDM信号であり、
前記リモートデバイスから受信される前記第1番目のOFDM信号の後の複数のOFDM信号は、判断された前記ガードインターバルの前記種類に少なくとも部分的に基づいて処理される、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項6】
前記インターバル選択ロジックが、前記OFDM信号の前記ガードインターバルの前記種類を判断する間に、前記グリーンフィールドプリアンブルに続いて受信される前記OFDM信号のシンボルをバッファリングするバッファを更に備え、
前記信号処理器は、前記OFDM信号を処理する前に、前記バッファに格納された前記シンボルのガードインターバルのビット長を、前記インターバル選択ロジックが判断した前記ガードインターバルの前記種類に基づいて選択的に調整する、請求項1に記載の無線通信デバイス。
【請求項7】
複数のデータシンボルが後に続くグリーンフィールドプリアンブルを含む直交周波数分割多重信号(OFDM信号)を無線デバイスがリモートデバイスから受信する段階と、
前記グリーンフィールドプリアンブルから、前記OFDM信号のガードインターバルの種類を判断する段階と、
前記複数のデータシンボルの第1番目のデータシンボルを、ロングガードインターバルを有するデータシンボルとして処理し、前記複数のデータシンボルのうち後続の複数のデータシンボルを、判断された前記ガードインターバルの前記種類に基づいて処理することにより、判断された前記ガードインターバルの前記種類に少なくとも部分的に基づいて、前記OFDM信号を処理する段階と、を備える方法。
【請求項8】
前記OFDM信号がシングルストリーム通信であるかを判断する段階を更に備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ガードインターバルの前記種類を判断する段階は、
前記OFDM信号が、前記ガードインターバルの種類としてショートガードインターバルを有するシングルストリーム通信であるかを判断するべく、SIGフィールドが、前記グリーンフィールドプリアンブルの最後のフィールドであるかを判断する段階を有する請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記ガードインターバルの前記種類を判断する段階は、
前記グリーンフィールドプリアンブルが、ショートガードインターバルを指定するガードインターバル種類インジケータを有するSIGフィールドを含むかを判断する段階を有する請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
前記OFDM信号は、リモートデバイスから受信される第1番目のOFDM信号であり、
前記リモートデバイスから受信される前記第1番目のOFDM信号の後のOFDM信号は、判断された前記ガードインターバルの前記種類に少なくとも部分的に基づいて処理される請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記ガードインターバルの前記種類を判断すると間に、前記グリーンフィールドプリアンブルに続いて受信される前記OFDM信号のシンボルをバッファリングする段階と、
前記OFDM信号の判断された前記ガードインターバルの前記種類がショートである場合に、前記OFDM信号を処理する前に、バッファリングされた前記シンボルのガードインターバルのビット長を、選択的に調整する段階と、を更に備える請求項7に記載の方法。
【請求項13】
複数のデータシンボルが後に続くグリーンフィールドプリアンブルを含む直交周波数分割多重信号(OFDM信号)を受信する受信機と、
前記グリーンフィールドプリアンブルに少なくとも部分的に基づいて、前記OFDM信号のガードインターバルの種類を判断するインターバル選択ロジックと、
前記複数のデータシンボルの第1番目のデータシンボルを、ロングガードインターバルを有するデータシンボルとして処理し、前記複数のデータシンボルのうち後続の複数のデータシンボルを、判断された前記ガードインターバルの前記種類に基づいて処理することにより、前記インターバル選択ロジックが判断した前記ガードインターバルの前記種類に少なくとも部分的に基づいて、前記OFDM信号を処理する信号処理器と、を備える集積回路。
【請求項14】
前記インターバル選択ロジックは、前記OFDM信号がシングルストリーム通信であるかを判断する、請求項13に記載の集積回路。
【請求項15】
前記インターバル選択ロジックは、
(i)前記OFDM信号の前記ガードインターバルの前記種類、および、
(ii)前記OFDM信号がシングルストリーム通信であるか、を判断するべく、
SIGフィールドが、前記グリーンフィールドプリアンブルの最後のフィールドであるかを判断する、請求項13または14に記載の集積回路。
【請求項16】
前記インターバル選択ロジックは、前記グリーンフィールドプリアンブルが、前記ガードインターバルの前記種類がショートガードインターバルであることを示すインジケータを有するSIGフィールドを含むかを判断することにより、前記ガードインターバルの前記種類を判断する、請求項13から15の何れか一項に記載の集積回路。
【請求項17】
前記OFDM信号は、リモートデバイスから受信される第1番目のOFDM信号であり、
前記リモートデバイスから受信される前記第1番目のOFDM信号の後の複数のOFDM信号は、判断された前記ガードインターバルの前記種類に少なくとも部分的に基づいて処理される、請求項13に記載の集積回路。
【請求項18】
前記インターバル選択ロジックは、前記OFDM信号の前記ガードインターバルの前記種類を判断する間に、前記グリーンフィールドプリアンブルに続いて受信される前記OFDM信号のシンボルをバッファリングするバッファを更に備え、
前記信号処理器は、前記OFDM信号を処理する前に、前記バッファに格納された前記シンボルのガードインターバルのビット長を、前記インターバル選択ロジックが判断した前記ガードインターバルの前記種類に基づいて選択的に調整する、請求項13に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権情報]
本出願は、2011年5月18日出願の米国仮出願61/487,581号および2011年11月23日出願の米国仮出願61/563,409号の優先権を主張するものであり、上記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明の理解するための背景を、一般的に説明することを目的として、背景技術を説明する。以下、背景技術の章において説明される範囲および出願時には従来技術として認められていない側面の範囲において、本願発明者の仕事は、本開示に対して明示的にまたは非明示的にも、従来技術であるとは認めていない。
【0003】
現代のコンピュータシステムの多くは、物理的に接続されていない2つ以上のデバイス間の情報転送に、無線通信を利用している。無線通信では、ネットワーク接続の利便性が高いが、同時に、数多くの問題を伴う。そのうちの1つとして、無線通信が転送される無線チャネルからの干渉が挙げられる。
【0004】
例えば、ラップトップコンピュータが、無線アクセスポイントと通信を行う無線ネットワークを考える。ラップトップコンピュータからの信号が、多くの異なる経路を介してアクセスポイントに到着した場合に、干渉が発生することが考えられる。多くの異なる経路は、デバイス間に存在する障害や、壁からの反射の結果、発生すると考えられる。これは、多重伝播として知られており、符号間干渉を引き起こす可能性がある。そこで、無線コンピュータシステムは、符号間干渉を最小にする技術を利用してもよい。しかしながら、このような技術では、スループットが低下し、処理遅延が発生する。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態において、無線通信デバイスは、直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信する受信機を備える。OFDM信号は、グリーンフィールドプリアンブルを含む。無線通信デバイスは、グリーンフィールドプリアンブルに少なくとも部分的に基づいて、OFDM信号のガードインターバルの種類を判断するインターバル選択ロジックを備える。無線通信デバイスは、インターバル選択ロジックが判断したガードインターバルの種類に少なくとも部分的に基づいて、OFDM信号を処理する信号処理器を備える。
【0006】
別の実施形態では、インターバル選択ロジックは、OFDM信号がシングルストリーム通信であるかを判断する。
【0007】
別の実施形態では、OFDM信号は更に、グリーンフィールドプリアンブルに続く複数のデータシンボルを含む。
【0008】
別の実施形態では、信号処理器は、複数のデータシンボルの第1番目のシンボルを、ロングガードインターバルを有するデータシンボルとして処理し、複数のデータシンボルのうちの第1番目のデータシンボルよりも後のデータシンボルを、判断されたガードインターバルの種類に基づいて処理することにより、OFDM信号を処理する。
【0009】
別の実施形態では、インターバル選択ロジックは、(i)OFDM信号のガードインターバルの種類、および、(ii)OFDM信号がシングルストリーム通信であるか、を判断するべく、SIGフィールドが、グリーンフィールドプリアンブルの最後のフィールドであるかを判断する。
【0010】
別の実施形態では、インターバル選択ロジックは、グリーンフィールドプリアンブルが、種類がショートガードインターバルであることを示すインジケータを有するSIGフィールドを含むかを判断することにより、ガードインターバルの種類を判断する。
【0011】
別の実施形態では、OFDM信号は、リモートデバイスから受信する第1番目のOFDM信号であり、リモートデバイスから受信する第1番目のOFDM信号の後のOFDM信号は、第1番目のOFDM信号のガードインターバルの種類に少なくとも部分的に基づいて処理される。
【0012】
別の実施形態では、無線通信デバイスは、OFDM信号のガードインターバルの種類を判断すると同時に、インターバル選択ロジックは、グリーンフィールドプリアンブルに続いて受信されるOFDM信号のシンボルをバッファリングするバッファを更に備える。
【0013】
別の実施形態では、信号処理器は、OFDM信号を処理する前に、バッファに格納されたシンボルのガードインターバルのビット長を、インターバル選択ロジックが判断したガードインターバルの種類に基づいて選択的に調整する。
【0014】
一実施形態では、方法は、グリーンフィールドプリアンブルを含む直交周波数分割多重信号(OFDM信号)を受信する段階を備える。方法は、グリーンフィールドプリアンブルから、OFDM信号のガードインターバルの種類を判断する段階を備える。方法は、判断されたガードインターバルの種類に少なくとも部分的に基づいて、OFDM信号を処理する段階を備える。
【0015】
別の実施形態では、方法は、OFDM信号がシングルストリーム通信であるかを判断する段階を備える。
【0016】
別の実施形態では、OFDM信号は、グリーンフィールドプリアンブルに続く複数のデータシンボルを含む。
【0017】
別の実施形態では、OFDM信号を処理する段階は、複数のデータシンボルの第1番目のシンボルを、ロングガードインターバルを有するデータシンボルとして処理する段階、および、複数のデータシンボルのうちの第1番目のデータシンボルよりも後のデータシンボルを、判断されたガードインターバルの種類に基づいて処理する段階を有する。
【0018】
別の実施形態では、ガードインターバルの種類を判断する段階は、OFDM信号が、ガードインターバルの種類としてショートガードインターバルを有するシングルストリーム通信であるかを判断するべく、SIGフィールドが、グリーンフィールドプリアンブルの最後のフィールドであるかを判断する段階を有する。
【0019】
別の実施形態では、ガードインターバルの種類を判断する段階は、グリーンフィールドプリアンブルが、ショートガードインターバルを指定するガードインターバル種類インジケータを有するSIGフィールドを含むかを判断する段階を有する。
【0020】
別の実施形態では、OFDM信号は、リモートデバイスから受信する第1番目のOFDM信号であり、リモートデバイスから受信する第1番目のOFDM信号の後のOFDM信号は、第1番目のOFDM信号のガードインターバルの種類に少なくとも部分的に基づいて処理される。
【0021】
別の実施形態では、方法は、ガードインターバルの種類を判断すると同時に、グリーンフィールドプリアンブルに続いて受信されるOFDM信号のシンボルをバッファリングする段階を備える。
【0022】
別の実施形態では、方法は、OFDM信号の判断されたガードインターバルの種類がショートである場合に、OFDM信号を処理する前に、バッファリングされたシンボルのガードインターバルのビット長を、選択的に調整する段階を備える。
【0023】
一実施形態では、集積回路は、グリーンフィールドプリアンブルを含む直交周波数分割多重信号(OFDM信号)を受信する受信機を備える。集積回路は、グリーンフィールドプリアンブルに少なくとも部分的に基づいて、OFDM信号のガードインターバルの種類を判断するインターバル選択ロジックを備える。集積回路は、インターバル選択ロジックが判断したガードインターバルの種類に少なくとも部分的に基づいて、OFDM信号を処理する信号処理器を備える。
【0024】
別の実施形態では、インターバル選択ロジックは、OFDM信号がシングルストリーム通信であるかを判断する。
【0025】
別の実施形態では、OFDM信号は更に、グリーンフィールドプリアンブルに続く複数のデータシンボルを含む。
【0026】
別の実施形態では、信号処理器は、複数のデータシンボルの第1番目のシンボルを、ロングガードインターバルを有するデータシンボルとして処理し、複数のデータシンボルのうちの第1番目のデータシンボルよりも後のデータシンボルを、判断されたガードインターバルの種類に基づいて処理することにより、OFDM信号を処理する。
【0027】
別の実施形態では、インターバル選択ロジックは、(i)OFDM信号のガードインターバルの種類、および、(ii)OFDM信号がシングルストリーム通信であるか、を判断するべく、SIGフィールドが、グリーンフィールドプリアンブルの最後のフィールドであるかを判断する。
【0028】
別の実施形態では、インターバル選択ロジックは、グリーンフィールドプリアンブルが、種類がショートガードインターバルであることを示すインジケータを有するSIGフィールドを含むかを判断することにより、ガードインターバルの種類を判断する。
【0029】
別の実施形態では、OFDM信号は、リモートデバイスから受信する第1番目のOFDM信号であり、リモートデバイスから受信する第1番目のOFDM信号の後のOFDM信号は、第1番目のOFDM信号のガードインターバルの種類に少なくとも部分的に基づいて処理される。
【0030】
別の実施形態では、集積回路は、OFDM信号のガードインターバルの種類を判断すると同時に、インターバル選択ロジックは、グリーンフィールドプリアンブルに続いて受信されるOFDM信号のシンボルをバッファリングするバッファを更に備える。
【0031】
別の実施形態では、信号処理器は、OFDM信号を処理する前に、バッファに格納されたシンボルのガードインターバルのビット長を、インターバル選択ロジックが判断したガードインターバルの種類に基づいて選択的に調整する。
【0032】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面には、様々なシステム、方法、および、本開示のその他の実施形態が例示されている。図面に例示された要素の境界(例えば、ボックス、複数のボックスからなるグループ、または、その他の形状)、一例に過ぎない。1つの要素が複数の要素として設計されたり、複数の要素が1つの要素として設計されたりしてもよい。また、別の要素の内部構成要素として示されている要素が、外部構成要素として実装されてもよいし、その反対であってもよい。更に、図面に示されている複数の要素は、必ずしも同じ縮尺で示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する装置の一実施形態を示した図である。
【0034】
図2】マルチストリーム信号およびシングルストリーム信号のグリーンフィールドプリアンブル形式の例を示した図である。
【0035】
図3】ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する方法の一実施形態を示した図である。
【0036】
図4】ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する集積回路の一実施形態を示した図である。
【0037】
図5】ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する装置の一実施形態を示した図である。
【0038】
図6】ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する方法の一実施形態を示した図である。
【0039】
図7】ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する集積回路の一実施形態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを含むシングルストリーム通信に関する方法、デバイスの例、および、その他の実施形態について記載する。無線通信デバイス、例えば、直交周波数分割多重(OFDM)で変調されるデバイスは、符号間干渉の影響を最小にするべく、情報を送信する際に、ガードインターバルを使用する。ガードインターバルは、通信において、データシンボルの前に配置され、次のシンボルが送信される前に、1つ前のシンボルからの干渉(例えば、マルチパス干渉)を消滅させる時間を与える役割を果たす。このように、送信デバイスは、ガードインターバルを使用して、次のデータシンボルに干渉を生じさせることを回避することができる。通信のガードインターバルには、例えば、短いもの(例えば、0.4μs)と長いもの(例えば、0.8μs)が存在する。ロングガードインターバルは、ショートガードインターバルと比較して、長い符号間干渉を最小にすることができる。しかしながら、ロングガードインターバルは、シンボルの大部分を占有してしまい、シンボルの短い部分を占有するショートガードインターバルと比較して、スループットが低くなる。したがって、様々な環境において、無線通信デバイスは、ショートガードインターバルを使用して情報を送信するか、ロングガードインターバルを使用して情報を送信するかを選択することができる。このようなシステムの例として、IEEE802.11n、IEEE802.11ac、IEEE802.11af、IEEE 802.11ah規格等に準拠した無線ローカルエリアネットワーク(LAN)システムが挙げられる。
【0041】
受信デバイスに、ガードインターバルの種類、および、その他通信に関する設定パラメータを通知するべく、送信デバイスは、通信の初めにプリアンブルを含める。通信を適切に解釈するために、受信デバイスは、プリアンブルをデコードして、ガードインターバルの種類およびその他通信の設定パラメータを判断する。しかしながら、プリアンブルのデコードには時間がかかることから、第1番目のデータシンボルが受信される前に完了せず、受信デバイスは、通信の第1番目のデータシンボルを受信する前に、ガードインターバルの種類を判断できない場合がある。
【0042】
例えば、ショートガードインターバルを使用するシングルストリームの通信を受信する無線デバイスを考える。無線デバイスは、ガードインターバルの種類およびその他通信の設定パラメータを判断するべく、プリアンブルのデコードを開始すると同時に、プリアンブルの後の通信の更なる部分も受信する。しかしながら、無線デバイスがガードインターバルの種類を判断し終える頃には、ショートガードインターバルの後の第1番目のデータシンボルの一部分が、すでに受信されている場合がある。このように、プリアンブルのデコードにラグタイムが発生することから、無線デバイスの通信の処理に問題が発生する場合がある。
【0043】
したがって、一実施形態では、送信デバイスは、通信における第1番目のデータシンボルに対してはロングガードインターバルを使用する通信を送信し、通信の次に続くデータシンボルの送信には、ショートガードインターバルを使用する。このようにすることで、受信デバイスは、次に続くデータシンボルに対して使用されるガードインターバルの種類を決定することができると同時に、第1番目のデータシンボルを常にロングガードインターバルを利用して処理することができる。別の実施形態では、第1番目のガードインターバルを常にロングガードインターバルとして処理する代わりに、受信デバイスは、ガードインターバルの種類が決定されるまで情報をバッファリングする。ガードインターバルの種類が分かると、受信デバイスは、バッファリングしておいた情報を、決定されたガードインターバル種類に従って処理することができる。
【0044】
[第1実施形態]
ロングガードインターバルおよび後に続くショートガードインターバル
【0045】
図1には、ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する、無線通信デバイス100の一実施形態が示されている。無線通信デバイス100は、アンテナ110Aを有する受信機110、インターバル選択ロジック120、および、信号処理器130を備えてもよい。一実施形態では、受信機110は、リモートデバイス140から無線通信を受信するように構成される。リモートデバイス140は、例えば、アンテナ140Aを有する無線ネットワークインターフェースカード(NIC)である。リモートデバイス140は、無線アクセスポイント、ラップトップコンピュータ、スマートフォンに組み込まれてもよい。また、無線通信デバイス100は、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、無線アクセスポイント、ネットワークインターフェースカード(NIC)等である。
【0046】
リモートデバイス140は、無線周波数(RF)信号の形態で、無線通信デバイス100に情報を提供する。一実施形態では、RF信号は、例えば、サブ1GHz信号、実装される規格(例えば、IEEE802.11ah、IEEE802.11n、IEEE802.11ac等)に準拠するように生成された信号、第3世代移動体通信(3G)規格に準拠する信号、3GPPロングタームエボリューション(LTE)に準拠する信号等である。
【0047】
一実施形態では、無線周波数信号は、直交周波数分割多重(OFDM)に従ってエンコードされる。したがって、リモートデバイス140は、OFDM信号を無線通信デバイス100に送信して、情報を提供する。一実施形態では、OFDM信号は、複数のデータシンボルが後に続くプリアンブルを有する。リモートデバイス140は、通信において、グリーンフィールドプリアンブルを使用してもよい。グリーンフィールドプリアンブルは、レガシーデバイスとの互換性を考慮していないプリアンブルの一種である。グリーンフィールドプリアンブルは、レガシーデバイスとの互換性の提供に必要なビットを含まないので、送信オーバーヘッドが少ない(例えば、ビット数が少ない)。そこで、グリーンフィールドプリアンブルを、マルチストリーム通信(例えば、MIMO802.11n)通信のような高スループット通信で使用してもよい。しかしながら、複数ストリームについての設定情報を提供するのにより多くのフィールドが含まれることから、マルチストリーム通信では、プリアンブルの複雑性が増している。そこで、リモートデバイス140は、シングルストリーム通信でグリーンフィールドプリアンブルを使用するように構成されてもよい。
【0048】
一実施形態において、インターバル選択ロジック120は、例えば、ガードインターバル種類が時間依存性を有するかを知るために、OFDM信号がシングルストリームであるかを判断する。インターバル選択ロジック120は、信号処理器130を制御して、ロングガードインターバルと、それに続くデータセグメントの残りのデータシンボに対するガードインターバルの種類(例えば、ロングまたはショート)とのパターンに従って、OFDM信号のデータセグメントを処理する。更に、インターバル選択ロジック120は、信号処理器130を制御して、データセグメントにおけるロングガードインターバルと、そのデータセグメントにおける残りのデータシンボルに対して決定されたガードインターバルの種類(例えば、ロングまたはショート)の同じパターンに従って、マルチストリーム通信を処理してもよい。
【0049】
別の実施形態では、通信がシングルストリーム通信である場合、ガードインターバルの種類は常にショートである。したがって、インターバル選択ロジック120は、ガードインターバルの種類を決定するのに、通信がマルチストリーム通信であるかシングルストリーム通信であるかを判断する。OFDM信号がシングルストリーム通信である場合、インターバル選択ロジック120は、信号プロセッサ130を制御して、データセグメントの残りのデータシンボルに対するショートガードインターバルが続くロングガードインターバルのパターンに従って、OFDM信号のデータセグメントを自動的に処理させてもよい。
【0050】
シングルストリーム通信にショートガードインターバルを使用する場合に発生する可能性のある問題(例えば、処理遅延)の一例を、図2を参照して説明する。図2には、マルチストリーム通信200の一例およびシングルストリーム通信210の一例が時間軸に沿って示されている。マルチストリーム通信200は、グリーンフィールドプリアンブル205およびこれに続くデータセグメント240を有する。一実施形態では、データセグメント240は、それぞれの前にガードインターバルが挿入されている複数のデータシンボルを含む。グリーンフィールドプリアンブル205は、ショートトレーニングフィールド(STF)220、第1ロングトレーニングフィールド(LTF1)225、信号(SIG)フィールド230、および、第1番目以降の更なるストリームそれぞれについて1つの更なるLTFフィールド235を含む。シングルストリーム通信210は、マルチストリーム通信200と同じフィールド220、225および230を含むグリーフィールドプリアンブル215を有する。比較を簡単にするため、シングルストリーム通信210は、マルチストリーム通信200と同じデータセグメント240を有するように示されている。しかしながら、グリーンフィールドプリアンブル215は、通信210がシングルストリームであることから、更なるLTF235を含まない。詳細には説明しないが、プリアンブル205および215は、1以上のガードインターバルを含む。例えば、プリアンブル205および215は、各フィールドの前に、ロングガードインターバルを含むことができる、すなわち、フィールド220、225、230および235それぞれの前にロングガードインターバルを含むことができる。しなしながら、プリアンブルのロングガードインターバルが本開示の論点ではないので、詳細な説明は省略する。
【0051】
一実施形態において、プリアンブル215のSIGフィールド230は、設定パラメータ231−234のセットを含む。設定パラメータ231−234のセットは、データセグメント240のシンボル間で使用されるガードインターバル(例えば、フィールド232)の種類を規定するインジケータを含む。シングルストリーム通信210では、SIGフィールド230は、データセグメント240の直前に配置される。したがって、受信機は、データセグメント240を受信する前に、SIGフィールド230からガードインターバルの種類をデコードするのに、限られた期間を有する。シングルストリーム通信の場合、データセグメント240におけるショートガードインターバルが終了する前に、SIGフィールド230をデコードするのが難しい場合が発生する。
【0052】
比較のため、通信200および210が、2つの別個のデバイスで平行に受信された場合を考える。点線250は、通信200および210の受信の間に、SIGフィールド230からのガードインターバルの種類のデコードが完了した時点を表している。点線245は、通信210において、第1ショートガードインターバルの終了点と、データセグメント240の第1データシンボルのデータ開始点との間の境界を示している。このように、ショートガードインターバルを有するシングルストリーム通信210を受信するデバイスにおいて、ガードインターバルの種類のデコードは、例えば、ショートガードインターバルが245で過ぎた後、250で完了する。これに対して、マルチストリーム通信200では、ガードインターバルの種類のデコードが250の時点で終了する場合、250の時点で、グリーンフィールドプリアンブル205の一部分を依然として受信している。この時点は、245において境界を有するガードインターバルを含むマルチストリーム通信200のデータセグメント240が受信され始める時点よりも前である。
【0053】
そこで、図1のインターバル選択ロジック120は、シングルストリーム通信210のデータセグメント240における第1番目のガードインターバルを、ロングガードインターバルとして、および、その後のガードインターバルをSIGフィールド230に示される種類(例えば、ショートまたはロング)に基づいて、信号処理器130に処理させる。この実施形態では、リモートデバイス140も、この設定に従って通信を生成するように構成される。すなわち、リモートデバイス140は、データセグメントの第1番目のガードインターバルをロングガードインターバルとして、および、それ以降のガードインターバルをSIGフィールド230に示される種類(例えば、ショートインターバルまたはロングインターバル)に従って有するシングルストリーム通信として生成するように構成される。このようにして、デバイスは、シングルストリーム通信において、ガードインターバルをデコードする際に発生するタイムラグに関する問題を最小にすることができる。
【0054】
インターバル選択ロジック120は、通信がシングルストリーム通信であるかに基づいて通信のガードインターバルの種類を判断してもよく、これは、シングルストリーム通信においてはガードインターバルの種類を判断することは時間に依存するからである。インターバル選択ロジック120は、例えば、(i)通信がシングルストリーム通信であることを示すSIGフィールド230における1以上のパラメータに基づいて、(ii)SIGフィールド230が、データセグメント240の前のプリアンブルにおける最後のフィールドであるかに基づいて、または、(iii)SIGフィールドがガードインターバル種類インジケータフィールドを含むと判断されたかに基づいて、通信がシングルストリームであるかを判断するように構成される。
【0055】
そして、リモートデバイス140は、全通信について、ロングガードインターバルの後に選択された種類のガードインターバル(例えば、ショートまたはロング)が続く形式で、データセグメントを提供してもよい。例えば、リモートデバイス140は、シングルストリーム通信であるかマルチストリーム通信であるかに関わらず、全てのデータセグメント240を、ロングガードインターバルの後に続くデータセグメント240のデータシンボルに対して選択された種類のガードインターバルが続く形式で生成してもよく、ガードインターバルの選択された種類は、プリアンブルにおけるSIGフィールド230で通知されてもよい。図2を再び参照して、通信200および210の境界マーカー245が、データセグメント240におけるロングガードインターバルの終点を示すことについて考える。データセグメント240は、ロングガードインターバルに続く、SIGフィールド230によって指定された種類(例えば、ロングまたはショート)のガードインターバル(図示せず)を含む。したがって、リモートデバイス140からの通信についてのガードインターバルの種類が既知となると、インターバル選択ロジック120は、同じ通信において、リモートデバイス140から受信する残りのデータシンボルに対して同じガードインターバル種類を使用するように構成される。
【0056】
一実施形態では、インターバル選択ロジック120は、一通信毎に、ガードインターバルの種類を判断するように構成される。すなわち、インターバル選択ロジック120は、受信される通信(例えば、各パケット毎)毎に、ガードインターバルの種類を判断する。別の実施形態では、インターバル選択ロジック120は、信号処理器130に、同じデバイスからの前の通信から判断したガードインターバルの種類に従って、通信を処理させる。この場合、複数の通信(例えば、複数のパケット)が同じデバイスから受信された場合、インターバル選択ロジックは120は、そのデバイスに対して前に判断されたガードインターバルの種類を使用する。このようにして、インターバル選択ロジック120は、デバイスからの通信に対するガードインターバルの種類を1度のみ判断してもよい。
【0057】
無線通信デバイス100の詳細を、図3を参照して説明する。図3には、ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを含むシングルストリームの処理に関連する方法300の一実施形態が示されている。図3は、図1の無線通信デバイス100が、リモートデバイス140から送信された通信で使用されるガードインターバルの種類を判断するのに実装および実行する方法300といった側面で説明される。以下の説明では、1つのリモートデバイス140の場合について説明されるが、複数のリモートデバイスが同時に無線通信デバイス100と通信を行ってもよい。
【0058】
方法300は、段階310において、無線通信デバイス100が、リモートデバイス140からOFDM信号を受信する時点から開始される。無線通信デバイス100は、ある期間にわたって、リモートデバイス140からOFDM信号を漸進的に受信する。したがって、OFDM信号によって実現されている通信全体(例えば、パケット)は、即時に処理可能とならない。しかしながら、通信の第1番目のセグメントは、設定情報を有するプリアンブルを含み、通信の更なるセグメントを受信すると同時に、設定情報を処理することができる。
【0059】
そこで、段階320において、無線通信デバイス100は、OFDM信号のガードインターバルの種類を、例えば、受信済みのOFDM信号の部分(例えば、プリアンブルにおけるSIGフィールド)から判断する。ガードインターバルの種類の判断は、複数の異なる態様で実行できる。例えば、信号がシングルストリーム通信である場合は、ガードインターバルは、常にショートガードインターバルであってもよい。この場合の例では、方法300は、通信がシングルストリーム通信か否かを判断することによって、ガードインターバルの種類を判断する。信号がシングルストリーム通信であると判断するべく、無線通信デバイス100は、例えば、SIGフィールドが、i)プリアンブルの最後のフィールドであるか、および、ii)データセグメントの直前であるか判断してもよく、また、SIGフィールドにおけるインジケータフィールドを確認してもよい。
【0060】
別の実施形態では、段階320において、方法300は、OFDM信号のプリアンブルにおけるガード種類インジケータをデコードすることにより(例えば、シングルストリーム通信またはマルチストリーム通信のプリアンブルにおけるSIGフィールドをデコードすることにより)、ガードインターバルの種類を判断してもよい。ガード種類インジケータは、信号が、現在の通信のデータセグメントにおいて、ショートガードインターバルまたはロングガードインターバルを使用しているかを特定する。別の実施形態では、段階320において、方法300は、信号がシングルストリーム通信であるかを最初にチェックし、次に、プリアンブルにおけるガードインターバル種類のインジケータをチェックすることによって、ガードインターバルの種類を判断してもよい。
【0061】
段階330において、OFDM信号が処理される。ブロック330は、ブロック320と平行にまたは実質的に平行に実行されてもよい。例えば、段階320においてガードインターバル種類が判断されると、無線通信デバイス100は、プリアンブルの後に発生する信号のデータセグメントの最初の部分(例えば、第1番目のOFDMデータシンボル)を受信し、処理を開始する。無線通信デバイス100が、第1番目のデータセグメントの処理を開始した時点で、信号をどのようにエンコードするかを記載したプリアンブルからの設定パラメータは、処理遅延により、まだデコードされていない。そこで、無線通信デバイス100は、OFDM信号のデータセグメントにおける第1番目のデータシンボルを、所定の設定に従って処理する。一実施形態において、所定の設定には、OFDM信号の第1番目のデータシンボルに対する第1ガードインターバルを常に、ロングガードインターバルとして処理することを含む。この場合、設定情報がデコードされる前に受信される第1番目のデータシンボルに対する処理遅延が発生しない。
【0062】
段階340において、無線通信デバイス100は、少なくとも部分的に、方法300のブロック320の判断に基づいて、次に続くデータシンボルを処理することができる。データセグメントの第1番目のデータシンボルを所定の設定に従って処理する場合、リモートデバイス140は、所定の設定に従ってOFDM信号を提供する。
【0063】
図4には、別個の集積回路および/またはチップを有するように構成された図1の無線通信デバイス100の更なる実施形態が示されている。この実施形態では、図1の受信機110が、別個の集積回路410として実装されている。アンテナ110Aも、個別の集積回路440として実装される。また、インターバル選択ロジック120が、別個の集積回路420として実装される。信号処理器130も別個の集積回路430として実装される。これら回路は、通信信号と、接続経路を介して接続される。図では、集積回路410、420、430および440が別個の集積回路として示されているが、これらは、共通の回路基板400に組み込まれてもよい。また、集積回路410、420、430および440は、これより少ない数の集積回路に組み合されてもよいし、これよい多い数の集積回路に分割されてもよい。また、別の実施形態では、信号処理器130、インターバル選択ロジック120および受信機110(図では、それぞれ集積回路430、420および410と示されている)は、別個のアプリケーション固有集積回路に組み合わせられてもよい。その他の実施形態では、インターバル選択ロジック120および信号処理器130と関連付けられた機能部分は、プロセッサが実行可能であり非一時的メモリに格納されるファームウェアとして実装されてもよい。
【0064】
[第2実施形態]
ガードインターバル種類を判断すると同時にOFDM信号をバッファリングする。
【0065】
図5には、図1の無線通信デバイス100と同様な要素を含む無線通信デバイス500が示されている。例えば、無線通信デバイス100と同様に、無線通信デバイス500は、アンテナ510Aを有する受信機510、インターバル選択ロジック520、および、信号処理器530を備える。そして、無線通信デバイス500は更に、バッファ540を備える。受信機510は、例えば、リモートデバイス550のようなリモートデバイスから、OFDM信号の形式の通信を受信するように構成される。リモートデバイス550は、図1のリモートデバイス140と同様なデバイスである。
【0066】
一実施形態において、インターバル選択ロジック520は、通信のガードインターバルの種類を判断するように構成される。インターバル選択ロジック520は、複数の異なる態様で、ガードインターバルの種類を判断してもよい。一実施形態では、インターバル選択ロジック520は、OFDM信号のプリアンブルにおけるガード種類インジケータをデコードすることにより、ガードインターバルの種類を判断してもよい。ガード種類インジケータは、信号がショートガードインターバルを使用しているかまたはロングガードインターバルを使用しているかを、例えば、ガード種類インジケータフィールドに、ビット"1"または"0"を設定することによって、示す。別の実施形態では、インターバル選択ロジック520は、信号がシングルストリーム通信であるかを最初にチェックし、次に、プリアンブルにおけるガードインターバル種類のインジケータをチェックすることによって、ガードインターバルの種類を判断してもよい。
【0067】
インターバル選択ロジック520がガードインターバル種類を判断している間に、バッファ540は、入力されるOFDM信号をバッファリングする。例えば、図2を参照して上記で説明したように、シングルストリーム通信におけるデータセグメントのガードインターバルの種類のデコードは、指定されたガードインターバル種類で第1番目のデータシンボルの処理を行う時間までに、終了しない。そこで、一実施形態では、受信機510は、受信する情報をバッファ540にバッファリングして、インターバル選択ロジック520が信号のガードインターバル種類をデコードするのに十分な時間を与える。このようにすることで、リモートデバイス550が遅延を考慮した特定の方法で通信を生成する必要がなく、無線通信デバイス500は、ガードインターバル種類をデコードすることにより発生する遅延を最小にすることができる。
【0068】
また、ガードインターバルの種類の判断が終了した時点で、インターバル選択ロジック520が、ガードインターバルの種類を信号処理器530に提供するように構成してもよい。一実施形態では、通信がショートガードインターバルを有する場合、信号処理器530は、ガードインターバルの種類を考慮して、バッファリングされたデータシンボルのビット長を調整する。
【0069】
無線通信デバイス500の詳細について、図6を参照して説明する。図6には、ショートガードインターバルおよびグリーンフィールドプリアンブルを有するシングルストリーム通信の処理と関連する方法600の一実施形態が示されている。図6では、リモートデバイス550から送信された通信で使用されるガードインターバルの種類を判断するべく、方法600が実装され、図5の無線通信デバイス500によって実行される場合について説明する。以下の説明では、1つのリモートデバイス550の場合について説明されるが、複数のリモートデバイスが同時に無線通信デバイス500と通信を行ってもよい。
【0070】
方法600は、段階610において、無線通信デバイス500が、リモートデバイス550からOFDM信号を受信する時点から開始する。段階620において、無線通信デバイス500は、OFDM信号を受信するとそのOFDM信号をバッファリングする。一実施形態では、段階610、620および630は、ほぼ並列に発生する。例えば、段階630において、無線通信デバイス500が、ガードインターバルの種類がショートガードインターバルであるかを判断すると同時に、受信したOFDM信号がバッファリングされる。通信をバッファリングすることにより、無線通信デバイスは、プリアンブルにおける設定パラメータが特定されるまで、通信の処理を延期することができる。設定パラメータは、ガードインターバルの種類と、例えば、通信がシングルストリームであるか、通信で使用される符号化の種類等を示す情報とを含む。
【0071】
通信がショートガードインターバルを使用してエンコードされる場合、方法600は段階640に進む。段階640において、無線通信デバイス500は、例えば、バッファされたデータシンボルのガードインターバルのビット長を、ショートガードインターバルに適合するように調整する。一実施形態において、通信がショートガードインターバルを使用する場合、信号の処理を、初期設定のインターバル(例えば、ロングガードインターバル)から、短い期間に変更して、データシンボルの最初の部分が失われないように、または、ロングガードインターバルの一部として不適切に処理されないようにしてもよい。
【0072】
段階650では、無線通信デバイス500は、エンコードされたガードインターバル種類が特定された後に、OFDM信号における第1番目のデータシンボルを処理することができる。この場合、OFDM信号のプリアンブルをデコードすることによって発生するラグタイムの問題を回避することができる。
【0073】
図7には、別個の複数の集積回路および/またはチップで構成された図5の無線通信デバイス500の更なる実施形態が示されている。この実施形態では、図5のインターバル選択ロジック520を、別個の集積回路720として実装している。また、受信機510が、個別の集積回路710に実装される。受信機510Aも、個別の集積回路750に実装される。信号プロセッサ530およびバッファ540もそれぞれ、別個の集積回路730および集積回路740に実装される。回路は、接続経路を介して、信号と通信を行う。図では、集積回路710、720、730、740および750が別個の集積回路として示されているが、これらは、共通の回路基板700に組み込まれてもよい。また、集積回路710、720、730、740および750は、これより少ない数の集積回路に組み合されてもよいし、これよい多い数の集積回路に分割されてもよい。また、別の実施形態では、インターバル選択ロジック520、信号処理器530およびバッファ540(図では、それぞれ集積回路720、730および740と示されている)は、別個のアプリケーション固有集積回路に組み合わせられてもよい。その他の実施形態では、インターバル選択ロジック520、信号処理器530およびバッファ540と関連付けられた機能部分は、プロセッサが実行可能であり非一時的メモリに格納されるファームウェアとして実装されてもよい。
【0074】
以下に、本明細書で使用された用語の定義について記す。定義は、言葉の範囲内に含まれ、実装に使用されてもよい様々な例および/または形態を含む。例は、以下に列挙するものに限定されない。また、用語の単数形および複数形は、定義の内に含まれる。
【0075】
"一実施形態"、"ある実施形態"、"一例"、"ある例"等の言葉は、記載される実施形態または例が、特定の特徴、構造、性質、要素または限定を含むことを示唆するが、必ずしも全ての実施形態または例が、これら特定の特徴、構造、性質、特性、要素または限定を含むことを意味しない。また、"一実施形態では"という言葉が繰り返し使用されるが、これは必ずしも、同じ実施形態を指してるわけではない。
【0076】
本明細書で使用される"ロジック"という言葉は、これに限定されないが、ハードウェア、ファームウェア、非一時的媒体に格納される命令または機械で実行される命令、および/または、別のロジック、方法および/またはシステムからの機能または動作を引き起こすおよび/または機能または動作を実行するこれらの組み合わせを含む。ロジックは、ソフトウェア制御マイクロプロセッサ、ディスクリートロジック(例えば、ASIC)、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされたロジックデバイス、命令を含むメモリデバイス等を含む。ロジックは、1以上のゲート、ゲートの組み合わせ、そのほかの回路構成要素を含んでもよい。複数のロジックについて記載される場合であっても、複数のロジックを1つの物理的ロジックに組み込むことが可能である。同様に、1つのロジックが記載されている場合であっても、1つのロジックを、物理的に複数のロジック間で分担させることが可能である。本明細書に記載された構成要素および機能の1以上が、ロジック要素の1以上を使用して実装されてもよい。
【0077】
説明を単純にするために、例示の方法は、一連のブロック図で示されている。方法は、ブロックの順番に限定されず、一部のブロックが、説明されたのとは、異なる順番で発生してもよいおよび/またはその他のブロックと同時に発生してもよい。更に、例示された複数のブロックの全てよりも少ないブロックを使用して、例示した方法が実装されてもよい。複数のブロックが、組み合わせられてもよいし、複数の構成要素に分割されてもよい。また、更なるおよび/または代替の方法では、図示されていないブロックを更に採用してもよい。
【0078】
詳細な説明または特許請求の範囲で使用されている"含む(includes or including)"という言葉は、特許請求の範囲を記載する際に使用される移行句"備える(comprising)"と同様な態様で、要素を包括することを意図して使用されている。
【0079】
システムおよび方法等の例が、複数の例を挙げて、数多くの詳細事項と共に説明されたが、本願は、このような詳細事項によって、添付の特許請求の範囲が制限されることを意図していない。無論、本明細書に記載するシステム、方法等を説明する目的で、構成要素または方法の考え得る全ての組み合わせを記載するのは不可能である。したがって、本開示は、特定の詳細事項に限定されず、図示および説明された代表的装置および例に限定されない。したがって、本願は、添付の特許請求の範囲内において、変更、改良および変形を含むことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7