特許第6073308号(P6073308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073308
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】食品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20170123BHJP
   A47J 27/00 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   B65D81/34 U
   !A47J27/00 107
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-517699(P2014-517699)
(86)(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公表番号】特表2014-523377(P2014-523377A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】EP2012062565
(87)【国際公開番号】WO2013004586
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】11172853.1
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513321283
【氏名又は名称】ミクバク・エービー
【氏名又は名称原語表記】MicVac AB
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ハーメル、ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】グスタフソン、マーティン
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−534561(JP,A)
【文献】 特開2008−253481(JP,A)
【文献】 特表2005−529764(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/091951(WO,A1)
【文献】 特開2009−196641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工食品の調理、保存及び加熱用の食品パッケージであって、
食品パッケージは、食品容器と、食品パッケージを周囲空気からシールするためのプラスチックフィルムとを具備し、前記プラスチックフィルムには開口が設けられ、
食品パッケージは、さらに、前記開口を覆っている熱弾性材料の開放可能かつ再シール可能なバルブメンブレンを具備し、
前記バルブメンブレンと、前記バルブメンブレンが貼付される表面との間の接着力が、第2の領域でよりも第1の領域で弱く、
前記第1の領域は、少なくとも、前記プラスチックフィルムの前記開口と前記バルブメンブレンの縁部との間で一方向に延び、これにより、管路が、加工食品の調理と加熱との少なくとも一方の間、前記開口とバルブメンブレンの周縁との間に形成されることができ、
前記バルブメンブレンは、前記熱弾性材料の製造上の縦方向を有し、前記縦方向は、前記第1の領域の前記一方向に対して、これらの間の角度が60°ないし90°の間隔内にある関係を有する食品パッケージ。
【請求項2】
前記間隔は、75°ないし90°である請求項1の食品パッケージ。
【請求項3】
前記接着力は、接着剤によって与えられる請求項1又は2の食品パッケージ。
【請求項4】
前記弱い接着力は、剥離剤コーティングによって与えられる請求項1ないし3のいずれか1の食品パッケージ。
【請求項5】
前記剥離剤コーティングは、前記接着剤上にプリントされている請求項4の食品パッケージ。
【請求項6】
前記剥離剤コーティングは、前記バルブメンブレンが貼付される表面上にプリントされている請求項4又は5の食品パッケージ。
【請求項7】
前記剥離剤コーティングは、シリコーンベースの物質である請求項4ないし6のいずれか1の食品パッケージ。
【請求項8】
前記熱弾性材料は、30℃を超える温度で弾性状態である請求項1ないし7のいずれか1の食品パッケージ。
【請求項9】
前記バルブメンブレンは、前記プラスチックフィルム上に直接貼付される請求項1ないし8のいずれか1の食品パッケージ。
【請求項10】
前記プラスチックフィルムにバルブシートが設けられ、前記バルブシートは、前記プラスチックフィルムに貼付される第1の層によって与えられ、前記第1の層は、前記プラスチックフィルムの前記開口に対応する開口を有し、前記バルブメンブレンは、前記バルブシートに貼付されている請求項1ないし8のいずれか1の食品パッケージ。
【請求項11】
前記第1の層には、前記プラスチックフィルムに向けられたその表面上に接着剤が与えられている請求項10の食品パッケージ。
【請求項12】
加工食品の調理、保存及び加熱用の食品パッケージで使用するための熱弾性材料のバルブメンブレンであって、
バルブメンブレンには、第1の領域での接着特性が第2の領域での接着特性よりも弱いように接着剤が与えられ、
前記第1の領域は、バルブメンブレンの縁部から、バルブメンブレンの周縁から離間されたバルブメンブレンの表面上の位置まで一方向に延び、
バルブメンブレンの使用の際、管路が、前記第1の領域に沿って形成されることができ、
バルブメンブレンは、前記熱弾性材料の製造上の縦方向を有し、前記縦方向は、前記第1の領域の前記一方向に対して、これらの間の角度が60°ないし90°の間隔内にある関係を有する食品パッケージ。
【請求項13】
加工食品の調理、保存及び加熱用の食品パッケージで使用するための熱弾性材料のバルブメンブレンを製造する方法であって、この方法は、
熱弾性材料のバルブメンブレンの一辺に接着剤を供給することと、
前記バルブメンブレンの第1の領域に剥離剤コーティングを塗布することとを具備し、
前記第1の領域は、前記バルブメンブレンの縁部から、前記バルブメンブレンの周縁から離間されたバルブメンブレンの表面上の位置まで一方向に延び、
前記第1の領域の前記一方向は、前記バルブメンブレンの製造上の縦方向に対して、これらの間の角度が60°ないし90°の間隔内にある関係を有する、方法。
【請求項14】
前記剥離剤コーティングは、シリコーンベースの物質である請求項13のバルブメンブレンを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品(ready-to-eat food)の調理、保存及び加熱用の食品パッケージに関する。食品パッケージは、食品容器と、食品パッケージを周囲空気からシールするためのプラスチックフィルムとを有し、プラスチックフィルムには開口が設けられ、食品パッケージは、さらに、開口を覆っている熱弾性材料の開放可能かつ再シール可能なバルブメンブレンを有する。
【0002】
本発明はまた、食品パッケージに関連して使用されるバルブメンブレン、及びこのようなバルブメンブレンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、ますます多くの加工食品が食料品店で販売されている。このような食事は、合理的な長い保存期間を有するようにするために、冷凍又は冷蔵される。冷凍食品は、おいしくないとみなされ、あまりおいしそうに見えないとされ、一方、冷蔵食品は、食べられる前に比較的短い期間保存されうる。このような冷蔵加工食品の保存期間を長くするために、低温殺菌が使用される。低温殺菌は、細菌増殖を最小限にするために、パッケージの内部からの酸素の除去と組み合わせられる。酸素のこのような除去は、程度の低い真空を生成するか、他の適切な気体で酸素を置換するかであることができる。
【0004】
本出願人によって使用される調理及び低温殺菌の方法では、食品は、プラスチックトレイ中に置かれて、このプラスチックトレイには、周囲環境から完全にシールされた内部を生成するために、トレイの縁部に沿ってシールされた、シースルーの薄いフィルムの形態のプラスチックカバーが設けられる。このプラスチックフィルムでは、パッケージ内に超過圧力が生じたときに自動的に開かれることができるバルブが形成されている。このような超過圧力は、例えば、パッケージが電子レンジに置かれて食品が電磁放射に晒されることによって調理されたときに生じる。超過圧力はまた、例えば、加熱空気及び蒸気を含む炉で対流によって、あるいは、例えば、赤外線によってパッケージを熱放射に晒すことによって生じうる。食品が調理されたとき、大量の蒸気が生成される。蒸気が超過圧力を高めるので、バルブが開いて、酸素と蒸気との両方を出す。食品が調理されて電子レンジが止められたとき、これにより蒸気の生成が即座に止まる。そして、バルブは、内部の超過圧力の減少及び周囲温度の低下により直ちに閉じるように設計されている。食品パッケージは、適切な保存温度に冷却され、後の使用のために小売業者に配送されることができる。バルブがこのような食品パッケージで開くときの超過圧力は、超過圧力はすぐに大気圧よりもわずかに高くなるコーヒー用のようなパッケージと接続して使用されるバルブがないものと比較して、かなり高く、100hPaの領域にある。
【0005】
調理後のバルブの閉鎖は、周囲空気及び汚染物質からパッケージの内部及び食品をシールするために重要である。従って、バルブは、調理中にバルブに吹き込まれうる食品残留物又は水分がないことによって影響されないことが確実であるように設計されなければならない。
【0006】
プラスチックフィルムにあるバルブの1つの重要な閉鎖の特徴は、調理後及び食品パッケージの再シール中にバルブの異なる層やフィルムの間の材料のしわ及び気泡の形成を制限する能力である。バルブは、通常、接着剤によってフィルムに接続され、この接着剤は、食品パッケージのライフサイクル中にかなり悪意のある処理に耐えなければならない。しかしながら、これまでのところ、このような形成のリスクがなおも大きすぎ、本発明は、このような形成をさらに低減することを目指している。
【0007】
バルブの他の重要な特徴は、バルブがプラスチックフィルムに残らなければならず、調理又は処理中になくなる傾向があってはならないということである。プラスチックフィルムへのバルブの信頼できる固定は、やや複雑でありえ、そのため、高価な製造プロセスとなりうる。それ故、本発明の目的はまた、既知のバルブと比較して、より複雑でないようにして、食品パッケージのプラスチックフィルムに信頼できるようにして固定されることができるバルブを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、バルブの異なる層やその上にバルブが貼付されるフィルムの間の材料のしわ及び気泡の形成を制限するバルブを提供する。本発明はまた、バルブの異なる層やその上にバルブが貼付されるフィルムの間のプラスチック材料のしわ及び気泡の形成を制限する特性を有するバルブを製造する方法を提供する。さらに、本発明はまた、既知のバルブのような複雑な製造方式を必要としないようにしてプラスチックフィルムに取り付けられることができるバルブを提供する。
【0009】
本発明の少なくとも第1の態様によれば、加工食品の調理、保存及び加熱用の食品パッケージが提供される。食品パッケージは、食品容器と、食品パッケージを周囲空気からシールするためのプラスチックフィルムとを具備し、前記プラスチックフィルムには開口が設けられ、食品パッケージは、さらに、前記開口を覆っている熱弾性材料の開放可能かつ再シール可能なバルブメンブレンを具備し、前記バルブメンブレンと、前記バルブメンブレンが貼付される表面との間の接着力が、第2の領域でよりも第1の領域で弱く、前記第1の領域は、少なくとも、前記プラスチックフィルムの前記開口と前記バルブメンブレンの縁部との間で一方向に延び、これにより、管路が、加工食品の調理と加熱との少なくとも一方の間、前記開口とバルブメンブレンの周縁との間に形成されることができ、前記バルブメンブレンは、前記熱弾性材料の製造上の縦方向(production machine direction)を有し、前記縦方向は、前記第1の領域の前記一方向に対して、これらの間の角度が60°ないし90°の間隔内にある関係を有する。
【0010】
食品パッケージ中の食品が加熱されたとき、食品が調理されたとき、あるいは食品が飲食する前に最終的に加熱されたとき、蒸気が生成される。バルブの目的は、蒸気が生成されたとき、バルブが開いてパッケージから蒸気を放出するべきこと、また、加熱プロセスが止められたとき、食品が汚染されるのを防ぐのをアシストするためにバルブが閉じるべきことである。
【0011】
接着力がバルブを閉じるのをアシストするので、第1の領域と、その上にバルブが貼付される表面との間の所定の接着力が有益であることができ、これにより、食品が調理又は加熱されていないときの食品の汚染を防ぐ。しかしながら、食品パッケージが熱に晒されたときに管路が形成されるべきであるので、接着力があまり強すぎないことが有益である。
【0012】
フィルム及び他の形状に加工されている熱可塑性かつ熱弾性のポリマ材料は、処理装置の縦方向に方向付けられている。このオリエンテーション(方向性)は、ポリマをエントロピー的に好ましい「ランダムコイル」状態から「ライン状態」に向かって延伸する。熱に晒されてポリマが運動を得て、緩和と呼ばれるエントロピー的に好ましい状態になる。
【0013】
本発明は、第1の領域が、ポリマの縦方向に対して60°ないし90°の間隔内にある関係の角度を有すれば、蒸気の放出中に緩和が実際に管路を締めて、これにより、しわの形成のリスクを低減させるという所見に基づいている。このようにして管路がより短くなることができ、これにより、バルブがより小さくなり、パッケージ内の食品の可視性を妨げないことができる。
【0014】
バルブメンブレンの第2の領域、即ち、バルブメンブレンが貼付される表面へのより強い接着力を有する領域は、好ましくは、パッケージ中の食品の調理や加熱中にプラスチックフィルムから解放されるべきでない。蒸気放出中にバルブの信頼できる閉鎖を与える管路の締めにより、第1の領域とバルブが貼付される表面との間の接着力が、信頼できる閉鎖を提供するために接着力がより大きくなければならなかった従来技術のバルブと比較して、弱いことができる。第1の領域でより弱い接着力を有する利益は、管路を開くのに必要な圧力がより低くなるということである。管路の開放圧力がより低いという事実は、バルブメンブレンをプラスチックフィルムに固定するために使用される方法に関する要求がより低く、食品パッケージのプラスチックフィルムへのバルブメンブレンの単純化された固定を提供する。バルブメンブレンをプラスチックフィルムに固定する方法に関する要求が少ないことは、製造コストの点で有益である。
【0015】
例示的な一実施の形態によれば、前記熱弾性材料の縦方向と前記第1の領域の延長部との間の角度の前記間隔は、75°ないし90°である。
【0016】
例示的な一実施の形態によれば、前記熱弾性材料の縦方向と前記第1の領域の延長部との間の角度の前記間隔は、85°ないし90°、最も好ましくは90°である。
【0017】
この実施の形態によれば、管路がバルブメンブレンの熱弾性材料の縦方向にほぼ垂直に延びているように第1の領域を設けることが好適であることができる。熱弾性材料の縦方向と第1の領域の延長部との間のほぼ垂直な関係は、材料が緩和を受けたとき、管路をより締めて、バルブのより信頼できる閉鎖を与えるので、有益であることができる。
【0018】
例示的な一実施の形態によれば、前記第1の領域は、第1のサブ領域と、第2のサブ領域とを有し、前記接着力は、前記第2のサブ領域でよりも前記第1のサブ領域で弱い。
【0019】
例示的な一実施の形態によれば、前記第1のサブ領域は、バルブメンブレンが食品パッケージに貼付されたとき、前記プラスチックフィルムの前記開口を囲むように設けられている。
【0020】
例示的な一実施の形態によれば、前記第2のサブ領域は、前記第1のサブ領域から前記バルブメンブレンの縁部に延びている。
【0021】
上の例示的な実施の形態に関して述べられたバルブメンブレンの縁部は、使用時に管路の出口開口を構成するバルブメンブレンの縁部である。第1の領域内に異なる接着特性を有するサブ領域を設けることにより、食品パッケージ中の圧力が増加したときにより容易に開くことができるバルブを提供する。
【0022】
例示的な一実施の形態によれば、前記接着力は接着剤によって達成される。従って、この実施の形態では、バルブは接着剤によってプラスチックフィルムに固定される。プラスチックにバルブメンブレンを直接的又は間接的に保持する接着剤を与えることは、製造方法がより複雑でない点で有益である。
【0023】
例示的な一実施の形態によれば、異なる領域に対して程度の異なる接着力を与えるために、異なる接着剤が、それぞれ、第1の領域及び第2の領域に使用されている。
【0024】
例示的な一実施の形態によれば、前記弱い接着力は、剥離剤コーティングによって達成される。
【0025】
プラスチックフィルムに対するより弱い接着力を有する領域を形成するために、第1の領域に接着剤及び剥離剤コーティングを与えることが有益であることができる。この例示的な実施の形態では、同じ接着剤がバルブメンブレン全体に塗布されることができ、その後、剥離剤コーティングがその領域の接着力を低下させるために第1の領域に塗布される。従って、剥離剤コーティングが第1の領域の接着剤を覆っているように塗布されたとき、接着剤の接着特性がその領域で低下する。
【0026】
例示的な一実施の形態によれば、50〜100%の間隔内の剥離剤コーティングが、前記第1のサブ領域の接着剤上に塗布される。例示的な一実施の形態によれば、75〜100%の間隔内の剥離剤コーティングが、前記第1のサブ領域の接着剤上に塗布される。例示的な一実施の形態によれば、100%に達する剥離剤コーティングが、第1のサブ領域の接着剤上に塗布される。
【0027】
例示的な一実施の形態によれば、25〜75%の間隔内の剥離剤コーティングが、前記第2のサブ領域の接着剤上に塗布される。例示的な一実施の形態によれば、40〜60%の間隔内の剥離剤コーティングが、前記第2のサブ領域の接着剤上に塗布される。例示的な一実施の形態によれば、50%に達する剥離剤コーティングが、第2のサブ領域の接着剤上に塗布される。
【0028】
例示的な一実施の形態によれば、第1のサブ領域の剥離剤コーティングの量は、第2のサブ領域の剥離剤コーティングの量の約2倍である。
【0029】
上のさまざまな間隔は、剥離剤コーティングを塗布する方法に関し、100%は、その製造方法を使用して塗布された剥離剤コーティングの最大量を表す。好適には、100%の剥離剤コーティングが第1のサブ領域に塗布されたとき、接着剤は、バルブメンブレンと、バルブメンブレンが貼付される表面との間にわずかな接着力を与える。
【0030】
さまざまな実施の形態に関して上に述べられたさまざまな間隔内で剥離剤コーティングを与えることは、それぞれ、食品パッケージ中の圧力が増加したときにバルブが容易に開くように構成された接着特性を有するバルブを提供し、同時に、熱に晒されていないときにバルブの信頼できる閉鎖を提供する。
【0031】
例示的な一実施の形態によれば、前記第1の領域の形状は、バルブメンブレンの縁部でその最大の幅を有する切頭円錐の形態である。バルブメンブレンの縁部にある管路の幅と比較して、プラスチックフィルムの開口に近い、バルブメンブレンとバルブメンブレンが貼付される表面との間の管路のより狭い幅は、有益であることができる。この理由は、バルブのより信頼できる閉鎖を提供するからである。
【0032】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、前記接着剤上にプリントされている。
【0033】
前記第1の領域の接着剤上に前記剥離剤コーティングをプリントすることは、上に述べられたさまざまな例示的な実施の形態に関して、バルブメンブレンの縦方向に関する角度に対して与えられた間隔内に前記第1の領域の延長部を向けるために有益であることができる。
【0034】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、前記接着剤上にスプレーされている。前記第1の領域で接着剤上に剥離剤コーティングをスプレーすることは、バルブメンブレンの縦方向に対して所望の延長部を有する第1の領域に剥離剤コーティングを与える際の他の有益なやり方である。
【0035】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、前記バルブメンブレンが貼付される表面上に塗布される。
【0036】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、前記バルブメンブレンが貼付される表面上にプリントされる。
【0037】
前記バルブメンブレンの第1の領域に剥離剤コーティングを塗布する代わりに、バルブメンブレンが貼付される対応する表面に剥離剤コーティングを塗布することが可能である。従って、バルブメンブレンがその表面上に貼付されたとき、バルブメンブレンの第1の領域が剥離剤コーティングと接触するようになり、これにより、接着力は、第2の領域でよりも第1の領域で弱くなる。例えば、その表面上に剥離剤コーティングをプリントすることが考えられる。また、同様にして、バルブメンブレンが貼付される表面上に剥離剤コーティングをスプレーすることが考えられる。
【0038】
また、この実施の形態に関して、いくつかの例示的な実施の形態に関して上に述べられるような、異なる接着特性を有する異なるサブ領域を利用することが可能である。
【0039】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、シリコーンベースの物質である。
【0040】
シリコーンベースの物質、例えば、シリコーンオイルは、剥離剤コーティングとして使用するための有益な物質である。しかしながら、他の選択肢も存在する。剥離剤コーティングの目的は、使用される物質が接着剤の接着特性を低減させるようにすること、また、例えば、プリント又はスプレーによって、制御されるようにして接着剤に塗布されることができるという目的を果たすいかなる物質又は材料も、好適に使用されることができるようにすることである。
【0041】
例示的な一実施の形態によれば、前記熱弾性材料は、30℃を超える温度で弾性状態である。
【0042】
バルブの意図される目的は、食品パッケージが熱に晒されたときにバルブが開くべきであり、これにより蒸気が生成され、また、食品パッケージ内に蒸気がこれ以上ないとき、閉じるべきであるということである。それ故、30℃を超える温度でその弾性状態である熱弾性材料を使用することが効果的であることができる。従って、食品パッケージが、冷蔵庫のようなところで保存されているとき、バルブメンブレンはその弾性状態でない。これは、バルブの信頼できる閉鎖を与える。
【0043】
例示的な一実施の形態によれば、前記バルブメンブレンは、前記プラスチックフィルム上に直接貼付されている。この例示的な実施の形態によれば、管路は、プラスチックフィルムとバルブメンブレンとの間に形成されている。
【0044】
例示的な一実施の形態によれば、前記プラスチックフィルムには、バルブシートが設けられ、前記バルブシートは、前記プラスチックフィルムに貼付される第1の層によって与えられ、前記第1の層は、前記プラスチックフィルムの前記開口に対応する開口を有し、前記バルブメンブレンは、前記バルブシートに貼付されている。この例示的な実施の形態によれば、バルブメンブレンは、プラスチックフィルムの開口と第1の層の開口との両方を覆っている。
【0045】
この例示的な実施の形態によれば、前記管路は、前記バルブシートと前記バルブメンブレンとの間に形成される。
【0046】
例示的な一実施の形態によれば、前記第1の層には、前記プラスチックフィルムに向けられたその表面上に接着剤が与えられている。そして、第1の層、即ちバルブシートが、プラスチックフィルムにしっかりと取り付けられることができる。
【0047】
例示的な一実施の形態によれば、前記バルブメンブレンは、バルブメンブレンが貼付される表面よりも弾性の高い材料で形成されている。バルブメンブレンが貼付される表面は、食品パッケージを覆っているプラスチックフィルムか、第1の接着層の形態のバルブシートかであることができる。より弾性の高い材料の形態であるバルブメンブレンを与えることによって、圧力が食品パッケージ中に生成されたとき、気泡は、その後、プラスチックフィルムの開口の上のバルブメンブレンに形成されることができる。気泡ができ始めた後、圧力が継続し、ギャップが形成され、バルブは、続いて、プラスチックフィルムの開口からバルブメンブレンの縁部まで、バルブメンブレンの第1の領域に沿って開く。
【0048】
例示的な一実施の形態によれば、前記バルブメンブレンは、2つの短辺と2つの長辺とを有するほぼ矩形形状を有する。
【0049】
例示的な一実施の形態によれば、長辺の長さは、1ないし7cm、より好ましくは、1.5ないし5cm、最も好ましくは、3ないし4cmである。例示的な一実施の形態によれば、短辺の長さは、1ないし6cm、より好ましくは、1.5ないし4.5cm、最も好ましくは、2.5ないし3.5cmである。例示的な一実施の形態によれば、長辺及び短辺の長さは、それぞれ、0.5ないし20cm、より好ましくは、1ないし15cm、最も好ましくは、1.5ないし10cmである。
【0050】
例示的な一実施の形態によれば、バルブメンブレンは、ほぼ正方形である。例示的な一実施の形態によれば、辺の長さは、1ないし7cm、より好ましくは、1.5ないし5cm、最も好ましくは、3ないし4cmである。例示的な一実施の形態によれば、辺の長さは、0.5ないし20cm、より好ましくは、1ないし15cm、最も好ましくは、1.5ないし10cmである。
【0051】
上で述べられた形態により、ラベルの長いストリップと同一のやり方でバルブが製造されることが可能となるので、製造コストが比較的安いことができる。
【0052】
本発明の第2の態様によれば、加工食品の調理、保存及び加熱用の食品パッケージで使用するための熱弾性材料のバルブメンブレンが提供される。バルブメンブレンには、第1の領域での接着特性が第2の領域での接着特性よりも弱いように接着剤が与えられ、前記第1の領域は、バルブメンブレンの縁部から、バルブメンブレンの周縁から離間されたバルブメンブレンの表面上の位置まで一方向に延び、バルブメンブレンの使用の際、管路が、前記第1の領域に沿って形成されることができ、バルブメンブレンは、前記熱弾性材料の製造上の縦方向を有し、前記縦方向は、前記第1の領域の前記一方向に対して、これらの間の角度が60°ないし90°の間隔内にある関係を有する。
【0053】
本発明の第2の態様によるバルブメンブレンは、本発明の第1の態様の例示的な実施の形態のうちのいずれか1つによる食品パッケージで好適に使用されることができる。本発明の第2の態様によるバルブメンブレンは、本発明の第1の態様のさまざまな例示的な実施の形態に関して規定されるのと同様の特性を適切に有することができる。
【0054】
本発明の第3の態様によれば、加工食品の調理、保存及び加熱用の食品パッケージで使用するためのバルブメンブレンを製造する方法が提供される。この方法は、
熱弾性材料のバルブメンブレンの一辺に接着剤を供給することと、
前記バルブメンブレンの第1の領域に剥離剤コーティングを塗布することとを具備し、
前記第1の領域は、前記バルブメンブレンの縁部から、バルブメンブレンの周縁から離間されたバルブメンブレンの表面上の位置まで一方向に延び、前記第1の領域の前記一方向は、前記バルブメンブレンの製造上の縦方向に対して、これらの間の角度が60°ないし90°の間隔内にある関係を有する。
【0055】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、前記バルブメンブレンの前記製造上の縦方向に対して75°ないし90°の角度の延長部を有する第1の領域に塗布される。
【0056】
例示的な一実施の形態によれば、前記角度は、85°ないし90°の間隔内にある。
【0057】
例示的な一実施の形態によれば、前記角度は、90°である。
【0058】
バルブメンブレンの表面に接着剤を供給して、その後、バルブメンブレンの第1の領域に剥離剤コーティングを塗布することによって、第1の領域の延長部とポリマの縦方向との関係を決定することが可能であり、これにより、有利なオリエンテーションが達成される。
【0059】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、前記第1の領域にプリントされる。
【0060】
例示的な一実施の形態によれば、前記バルブメンブレンは、接着剤によって食品パッケージのプラスチックフィルムに固定される。プラスチックフィルムへのバルブメンブレンの固定は、直接的又は間接的であることができる。間接的な固定によって、バルブメンブレンが、例えば、食品パッケージのプラスチックフィルムに固定される第1の層に固定されることが理解されることを意味する。
【0061】
例示的な一実施の形態によれば、前記バルブメンブレンは、前記プラスチックフィルムに取り付けられる前に前記第1の層に固定されることができる。他の例示的な一実施の形態によれば、前記第1の層は、まず、前記プラスチックフィルムに取り付けられ、その後、前記バルブメンブレンが前記第1の層に固定される。
【0062】
例示的な一実施の形態によれば、前記剥離剤コーティングは、シリコーンベースの物質である。シリコーンベースの物質、例えば、シリコーンオイルは、剥離剤コーティングとして使用するための有益な物質である。しかしながら、他の選択肢も存在する。剥離剤コーティングの目的は、使用される物質が接着剤の接着特性を低減させるようにすること、また、例えば、プリント又はスプレーによって、制御されるようにして接着剤に塗布されることができるという目的を果たすいかなる物質又は材料も、好適に使用されることができるようにすることである。
【0063】
例示的な一実施の形態によれば、前記バルブメンブレンは、前記接着剤によって、食品パッケージを覆うプラスチックフィルムに貼付される。
【0064】
上の例示的な実施の形態で説明されたバルブメンブレンを製造する方法は、本発明の第2の態様によるバルブメンブレンを製造するために好適に使用されることができる。直接的又は間接的に、上で述べられた例示的な実施の形態によって製造されたバルブメンブレンを取り付けることによって、本発明の第1の態様による食品パッケージが好適に製造されることができる。好ましくは、食品パッケージにバルブメンブレンを取り付けるとき、バルブメンブレンが、食品パッケージのプラスチックフィルムの開口を覆うように位置されるべきであり、バルブメンブレンの第1の領域の位置が、プラスチックフィルムの開口を覆うか直接隣接しているように位置されたバルブメンブレンの縁部から離間されている。
【0065】
本発明の上述の、及びさらなる目的、特徴及び効果が、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態の以下の例示的か非限定的な詳細な説明によってよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1a図1aは、従来技術のバルブを示す図である。
図1b図1bは、従来技術のバルブを示す図である。
図1c図1cは、従来技術のバルブを示す図である。
図1d図1dは、従来技術のバルブを示す図である。
図2図2は、食品の処理後の従来技術のバルブを示す概略図である。
図3図3は、本発明によるバルブの例示的な実施の形態を示す図である。
図4a図4aは、縦方向の関数としてのポリマシートの緩和を概略的に示す図である。
図4b図4bは、縦方向の関数としてのポリマシートの緩和を概略的に示す図である。
図5図5は、本発明の他の例示的な実施の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明が、以後、本発明の例示的な実施の形態が示される添付図面を参照してより十分に説明される。しかしながら、本発明は、多くのさまざまな形態で具体化されることができ、ここに説明される実施の形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これら実施の形態は、完全で完璧なものを与え、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるものである。同じ参照符号は説明全体にわたって同じ構成要素を指している。
【0068】
以下の説明では、本発明は、プラスチックフィルムで覆われたプラスチックトレイを有し、プラスチックフィルムの上にバルブが配置された食品パッケージを参照して説明される。しかしながら、ビニール袋のような、食品を収容することができるパッケージが使用されてもよいことが理解されるべきである。また、食品パッケージの材料は、特性及び振る舞いが説明されるようにして維持される限り、交換可能である。
【0069】
既知の食品パッケージを説明する図1aないし図1dを参照すると、65は、食品が収容されるプラスチックトレイを示している。61はバルブを示し、26はプラスチックフィルムを示し、バルブ61がこのプラスチックフィルム上に固定されており、プラスチックフィルムがトレイのリムに接続され、これにより、周囲環境がパッケージの中身からシールされている。この特定の場合には、バルブ61は、フィルム26にその全体領域一帯を強く接続している底部層17と、隣接している領域と比較して、少なくとも縁部19で、底部層17に対してわずかに弱い接着力を有する部分である上部層12とを有する矩形の2層バルブである。これによって、食品パッケージが加熱されたとき、上部層12と底部層17との間に管路10が形成される。
【0070】
上部層12と底部層17との縁部19は、接合シーム14によって一緒に接合され、底部層が、例えば、接着剤13で、プラスチックフィルムに固定されている。これら縁部が一緒に接合される理由は、これら縁部は、バルブの管路が開く前に食品パッケージ中に発生される高い圧力に耐えることができなければならず、そうでなければ、蒸気が望まないようにして出てしまうからである。
【0071】
この管路10は、接着性の低い接着剤によって、又は、同様の効果があるようにして管路10に剥離剤コーティングを塗布することによって形成されることができる。開口16がフィルム26に形成されており、この開口16は、バルブ61の底部層17の孔18に対応して配置され、これにより、パッケージの内部からの空気及び蒸気は、開口16及び孔18を通って管路10から逃げ出る。図1bでは、バルブ61は、開いた状態で見られ、図1cでは、バルブ61は、上面図で見られ、図1dでは、バルブ61は完全に閉じられている。
【0072】
従来技術によるバルブは、いわゆるロールツーロール製造方式で通常通りに製造されている。この製造方式では、バルブメンブレンは、ポリマの縦方向で接着剤及び剥離剤コーティングによって加工処理されて形成される。縦方向は、図1bに矢印Aで示され、また、見られることができるように、管路10が縦方向に延びている。第1の層とバルブメンブレンとの間の信頼できる接合を達成するために、接着剤が供給されない領域で接合が行なわれなければならない。このために、接着剤、及び剥離剤コーティングを含む領域が、ポリマの縦方向に与えられなければならない。
【0073】
図2には、図1aないし図1dと同様のバルブ61が概略的に示され、これは、電子レンジでの調理後でバルブ61の再シール中、管路10にしわ22及び気泡23がどのようにして形成されるか示している。周囲環境からパッケージの内部をハーメチックシールするために、完全に接着した少なくとも1つのラインが、管路10の一方の側から他方の側まで形成されなければならない。所定の確実性でこのようなハーメチックシールを達成するために、管路10がかなり長くなければならず、より多くの材料の使用、及びパッケージ内の食品の可視性を低減させるより使いにくいバルブ61をもたらす。フィルム及び他の形状に加工処理される熱可塑性かつ熱弾性のポリマ材料が、処理装置の縦方向に方向付けられる。このオリエンテーション(方向性)は、ポリマをエントロピー的に好ましい「ランダムコイル」状態から「ライン」状態に向かって延伸する。ランダムコイル状態は、互いに近接したポリマの2つの端部を有し、これにより、連鎖の環の形状及び位置の最も可能性が高い組合せ(最も高いエントロピー)を可能にする。機械によりフィルムに加えられる機械的な力が、ポリマをこの形態から延伸させる。熱に晒されてポリマが運動を得て、緩和と呼ばれるエントロピー的に好ましい状態になる。オリエンテーションの程度は、達成される収縮率を決定する。
【0074】
図4a並びに図4bは、ポリマ材料が方向付けられた単一方向が熱処理でどのようにしてわずかに緩和するかを示す図である。実線は熱処理の前の状態を示し、点線は熱処理後の状態を示している。矢印A、Bは、それぞれ、図1b、図3並びに図5と同様に、ポリマのオリエンテーションの方向を示している。
【0075】
図4a並びに図4bは、図2のバルブ61のしわがどのようにして生じるかを説明する助けとなる図である。蒸気が調理中にポリマの縦方向に沿って放出される、即ち、管路10がさまざまな接着剤のコーティングや剥離剤コーティングによって達成されると、管路10が主方向に与えられ、図4aの状況となる。これは、バルブメンブレンの熱弾性材料が望まないようにして緩和することを意味している。管路10の幅が増加し、パッケージ65のフィルム26に付着することにより、この膨張が阻止される。管路10の幅が自由に広がるのが妨げられるので、結果として、しわの形成をもたらす。
【0076】
図4bの状況は、代わりに望まれるものであり、これは、蒸気放出中に緩和が管路60を締めるので、管路を開いたままにするのに必要な力を高め、即ち、バルブを閉じる圧力を増加させ、しわの形成のリスクをなくし、バルブのシール能力を高める、という本発明の背後にある考えである。
【0077】
本発明の例示的な実施の形態が図3に開示される。プラスチックトレイ(図示されない)がフィルム26によって覆われている。プラスチックフィルムには、半円形スリットの形態である開口16がフィルム26を通って形成されている。バルブ71は、プラスチックフィルム26の上部に矩形のバルブメンブレン52を配置することによって形成され、バルブメンブレンは開口16を完全に覆っている。バルブメンブレンは、この実施の形態では、1層のメンブレンであるが、1又は複数の層が、ユーザの選択やユーザの特定の必要性に応じて使用されることができる。バルブメンブレンには、製造中、その全体領域一帯に接着剤が与えられ、接着剤は、プラスチックフィルムにバルブメンブレンを取り付ける。フィルム26に弱い接着力を有する第1の領域160を形成するために、管路が形成されるようにパッケージ内からの空気と蒸気とを方向付け開放圧力を低下させ制御するために、管路60が形成されることができ、剥離剤コーティングが、フィルムに対する接着力を減少させるために第1の領域160で接着剤上に配置される。本発明の例示的な実施の形態では、これは、バルブメンブレンの所望の領域に剥離剤コーティングをプリントすることによって達成される。その後、バルブメンブレンは、開口16を構成するスリットの打ち抜き加工後にフィルム26上に配置される。以下の工程では、結果として生じるバルブ61を備えたフィルムは、トレイ65に配置されて固定されることができる。
【0078】
この実施の形態では、剥離剤コーティングは、プリントされるか、そうでなければバルブメンブレン上に配置され、これにより、第1の領域160、及び管路60が、バルブメンブレンの、矢印Bで示される縦方向にほぼ垂直な方向に、開口16からバルブメンブレンの縁部まで延びている。第1の領域の外側のバルブメンブレンの領域には、プラスチックフィルムへのバルブメンブレンの信頼できる固定を確実にするために、いかなる剥離剤コーティングも与えられていない。
【0079】
第1の領域は、いくつかのサブ領域160a、160bに分けられることができ、各サブ領域には、異なる量の剥離剤コーティングが与えられることができる。例えば、プラスチックフィルムのスリット16に最も近いサブ領域160aには、スリットから最も遠い第1の領域のサブ領域160bよりも多くの剥離剤コーティングが与えられることができる。これによって、容易に開き、同時に、信頼できる閉鎖を与えるバルブが達成されることができる。
【0080】
バルブメンブレンがフィルム上に配置される前に、フィルム26の所望の領域に他の適切なやり方で剥離剤コーティングが代わってプリントされるか塗布されることが考えられる。これによって、バルブメンブレンがフィルムに貼付されたとき、バルブメンブレン上の接着剤が剥離剤コーティングと接触するようになる。また、剥離剤コーティングを塗布するこの方法では、異なるサブ領域には異なる量の剥離剤コーティングが与えられることができる。さらに、バルブの所望の領域に剥離剤コーティングを塗布する2つの例示的な実施の形態を組み合わせることが考えられる。従って、バルブメンブレン52とフィルム26との両方に剥離剤コーティングをプリントすることが可能である。
【0081】
図5は、本発明の他の例示的な実施の形態を説明する図である。この実施の形態では、バルブ81は、2層バルブである。プラスチックトレイを覆っているプラスチックフィルム26とバルブメンブレン62との間に第1の接着層57が設けられている。第1の接着層57には、プラスチックフィルム26に向けられているその表面全体に接着剤が与えられ、プラスチックフィルムへの第1の接着層の信頼できる固定を確実にする。第1の接着層は、プラスチックフィルムで形成された開口16を囲んでいる星形スリットの形態の開口58が設けられている。バルブメンブレンに向けられている第1の接着層の表面には、接着剤が与えられていない。代わって、バルブメンブレン62には、図3に関連して説明される例示的な実施の形態と同様にして、その全体領域一帯に接着剤が与えられている。また、図3に開示される実施の形態と同様にして、バルブメンブレン62の選択された第1の領域160には、第1の接着層57に対するバルブメンブレン62の接着力を低減させるために、剥離剤コーティングが与えられている。食品パッケージが熱に晒されて蒸気が生成されたとき、管路60は、剥離剤コーティングが塗布されている領域160で第1の接着層とバルブメンブレンとの間に形成される。また、この実施の形態では、第1の領域160の延長部、及び管路60が、バルブメンブレンの縦方向Bにほぼ垂直である。
【0082】
第1の領域160は、異なる接着特性を有する異なるサブ領域160a、160bを有することができる。例えば、図3に関して説明されるものと同様に、プラスチックフィルムのスリット16に最も近いサブ領域160aには、スリットから最も遠い第1の領域のサブ領域160bよりも多くの剥離剤コーティングが与えられることができる。
【0083】
バルブメンブレンが第1の接着層上に配置される前に、剥離剤コーティングが、代わって第1の接着層57の所望の領域に他の適切なやり方でプリントされるか塗布されることが考えられる。また、バルブの所望の領域に剥離剤コーティングを塗布する2つの例示的な実施の形態を組み合わせることが考えられる。従って、バルブメンブレン62と第1の接着層57との両方に剥離剤コーティングをプリントすることが可能である。
【0084】
上の例示的な実施の形態におけるバルブメンブレン62は、接着剤によってプラスチックフィルム26及び第1の層57に固定されている。これは、これらが貼付されるプラスチックフィルムと一緒に接合される従来技術のバルブと対照的である。バルブの第1の領域とポリマ材料の縦方向との間の斜めの関係によって与えられるバルブの改良された閉鎖により、それぞれ、より信頼できる閉鎖が達成される。この改良された閉鎖により、バルブメンブレンと、バルブメンブレンが貼付される表面との間の接着力は、従来技術のバルブに対してよりも弱いことができる。これは、従来技術のバルブと比較して、より接着力の弱い接着剤の使用により、又は、より多くの剥離剤コーティングを与えることにより達成されることができる。このより弱い接着力により、バルブを開くのに必要な圧力はより少なく、それ故、バルブメンブレンとプラスチックフィルム、第1の層との間の固定は、従来技術のバルブでの状況のような高い圧力に耐えることができる必要はない。
【0085】
図3並びに図5に示されるバルブ71、81は、それぞれ、一定の温度で、第1の領域での接着剤の強さを超える臨界超過圧力にいったん到達すると、必然的に開く。開放圧力は、代表的には、70〜100℃で10〜200mbarである。バルブがいったん開くと、代表的には5〜50gの蒸気が、プロセス全体にわたって管路10を通って逃げる。熱弾性のバルブ材料は、パッケージ内の食品の調理プロセスの最後に生じる上昇した温度で、代表的には90〜100℃で、その弾性状態にある。これは、材料の弾性が、パッケージ65のフィルム26に向かってバルブメンブレンを戻させることを意味する。管路を開いたまま維持するためには、所定の超過圧力が必要とされる。この超過圧力がいったん閾値レベル以下に、代表的には3〜5mbarに低下すると、プラスチックのバルブメンブレン材料の弾性力が管路を閉じ、バルブメンブレンが温度降下と同じくしてシールする。
【0086】
バルブメンブレン52、62に使用される材料は、好ましくは、低い結晶度及び25℃よりも高いが100℃よりも低いガラス転移温度を備えた結晶材料である。このような材料の一例は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)である。上に述べられるような特性を有する材料は、室温中で、即ち、材料がその弾性のない状態であるとき、バルブメンブレンが加工処理される、例えば、プリントされる、ダイカットされる、ラベル付けされることが可能である。食品の調理プロセス中に、バルブメンブレンはその弾性状態に変形し、バルブとして機能し始める。また、例えば、ポリウレタンゴムのような、同様の特性を有する他の材料を使用することが考えられる。
【0087】
本発明の例示的な実施の形態がここに説明されてきたが、ここに説明されるような本発明の変更、修正又は変形がなされることができることが当業者に自明である。従って、本発明のさまざまな実施の形態及び添付図面の上の記載は、本発明の非限定的な例と見なされるべきであり、保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0088】
例えば、プラスチックフィルム及び第1の接着層の開口は、特定の形状を有する必要がないとき、例えば、半円形スリット、星形スリット、円形孔又は複数の小さな孔であることができる。
【0089】
第1の接着層57は、バルブメンブレンと同様にして形成される、即ち、ロールツーロール製造方式で加工されることができる。しかしながら、これはまた、熱弾性材料から打ち抜かれてもよい。
【0090】
図示される実施の形態では、第1の層及びバルブメンブレンはほぼ同じサイズを有するとして説明されてきた。しかしながら、第1の層がバルブメンブレンよりも大きな領域を覆っていることが考えられる。
【0091】
さらに、特許請求の範囲のいかなる参照符号も範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2
図3
図4a
図4b
図5