特許第6073309号(P6073309)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073309デュアル鋳込みノズルを有する溶融金属の保持及び鋳込みボックス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073309
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】デュアル鋳込みノズルを有する溶融金属の保持及び鋳込みボックス
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/50 20060101AFI20170123BHJP
   B22D 41/16 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B22D41/50 530
   B22D41/16
   B22D41/50 520
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-518921(P2014-518921)
(86)(22)【出願日】2012年6月26日
(65)【公表番号】特表2014-518162(P2014-518162A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】US2012044219
(87)【国際公開番号】WO2013003359
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月25日
(31)【優先権主張番号】61/501,235
(32)【優先日】2011年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591029943
【氏名又は名称】インダクトサーム・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INDUCTOTHERM CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】サティエン・エヌ・プラブ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・アール・プルーク
(72)【発明者】
【氏名】マルセロ・アルバノ・パイヴァ
(72)【発明者】
【氏名】グラハム・クーパー
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0282784(US,A1)
【文献】 特開平10−058100(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/084654(WO,A1)
【文献】 特開2003−164961(JP,A)
【文献】 特開2005−028429(JP,A)
【文献】 特表2002−524262(JP,A)
【文献】 特開平11−245017(JP,A)
【文献】 実開昭56−080864(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 41/00−41/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の溶融金属を保持するための溶融金属の保持及び鋳込みボックスであり、
前記溶融金属の保持及び鋳込みボックスの上方側の矩形状部分における閉鎖可能な開口を通って前記所定量の溶融金属を受け取るための当該上方側の矩形状部分と、
下方側の逆ピラミッド状部分と、
前記下方側の逆ピラミッド状部分の底部領域収納される一対のノズルを有する単一のデュアルノズル・アセンブリであって、当該単一のデュアルノズル・アセンブリが、熱伝導性材料で構成されるとともに、前記下方側の逆ピラミッド状部分との接触から熱的に遮断され、かつ、前記一対のノズルを通じて鋳込む期間及び鋳込まない期間にわたって、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックス内に含まれる溶融金属と熱接触するものであり、前記一対のノズルが、前記一対のノズルのそれぞれを通って注がれる前記溶融金属の流れのため、前記一対のノズルと嵌合する一対のストッパーロッドにより制御されるものであり、前記上方側の矩形状部分が、前記一対のノズルを通る前記溶融金属の流れの方向に直交する断面で矩形状を有し、それにより、前記溶融金属の保持及び鋳込みボックス内に含まれる前記溶融金属の量の75%が、前記一対のノズルを通って鋳込まれるとき、前記溶融金属の流量が30%未満低下する単一のデュアルノズル・アセンブリ
を備える、溶融金属の保持及び鋳込みボックス。
【請求項2】
当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスが、外側構造支持層と、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックス内の溶融金属の温度を維持するための少なくとも一の内側断熱材料層とを更に備える、請求項に記載の溶融金属の保持及び鋳込みボックス。
【請求項3】
前記単一のデュアルノズル・アセンブリが、アルミナ及びシリカからなるグループから選択される材料で構成される、請求項1又は2に記載の溶融金属の保持及び鋳込みボックス。
【請求項4】
前記一対のノズルのそれぞれが、円錐漏斗状の注入口を有するものとし、前記一対のストッパーロッドのそれぞれのノズル挿入端部が、前記一対のノズルの前記円錐漏斗状の注入口に挿入されて、前記一対のノズルを通る溶融金属の流れが停止されたとき、前記一対のノズルのそれぞれにおける前記円錐漏斗状の注入口の一部が、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックス内の溶融金属に接触するように、前記一対のストッパーロッドのそれぞれのノズル挿入端部が構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶融金属の保持及び鋳込みボックス。
【請求項5】
前記単一のデュアルノズル・アセンブリ内の前記一対のノズルの各々の排出口の周囲で、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスの前記下方側の逆ピラミッド状部分の底部領域に取外し可能に固定される単一のデュアルノズル保持プレート
前記下方側の逆ピラミッド状部分の底部領域に固定される一対の保持支柱と、
前記単一のデュアルノズル保持プレートの下部で前記一対の保持支柱の各々を通過する保持接続具と、
当該単一のデュアルノズル・アセンブリの周囲を取り囲む断熱材料、並びに、前記単一のデュアルノズル・アセンブルを前記下方側の逆ピラミッド状部分との接触から熱的に遮断する前記一対のノズルの各々の前記排出口の周りに取り付けた断熱スタンドオフの組み合わせであって、前記断熱スタンドオフが、単一のノズル・アセンブリの底部と前記単一のデュアルノズル保持プレートの上側との間に配置される当該組み合わせと
を更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の溶融金属の保持及び鋳込みボックス。
【請求項6】
融金属の保持及び鋳込みボックス内の所定量の溶融金属から、一対以上のモールド内へと溶融金属を鋳込む方法であって、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスが、上方側の矩形状部分及び下方側のピラミッド状部分を有し、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスが、熱伝導性材料で構成されるとともに前記下方側のピラミッド状部分の底部収納される単一のデュアルノズル・アセンブリを有それにより、当該単一のデュアルノズル・アセンブリが、前記下方側の逆ピラミッド状部分との接触から熱的に遮断されるものであり、前記単一のデュアルノズル・アセンブリが、一対のノズルを有し、上方側の矩形状部分が、前記一対のノズルを通る溶融金属流れの方向に直交する断面で矩形状を有するものであり、該方法が、
前記上方側の矩形状部分における閉鎖可能な開口を通じて前記所定量の溶融金属を鋳込むこと、
前記一対以上のモールドの一つを、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスとの溶融金属の受取り関係に搬送すること、
前記単一のデュアルノズル・アセンブリを、前記溶融金属と常に接触させることにより、前記単一のデュアルノズル・アセンブリを、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックス内の前記所定量の溶融金属と同じ温度で保持すること、及び
前記溶融金属を、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスから、前記単一のデュアルノズル・アセンブリの前記一対のノズルのそれぞれに通過させて鋳込み、それにより、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックス内に含まれる前記溶融金属の量の75%が鋳込まれるとき、前記溶融金属の流量30%未満低すること
を備える、方法。
【請求項7】
溶融金属を第一の一対のモールドに鋳込むための、上方側の矩形状部分及び下方側のピラミッド状部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックスにおける既存の単一のデュアルノズル・アセンブリを交換する方法であって、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスが所定量の溶融金属を保持するためのものであり前記第一の一対のモールドが、第一距離で離れたスプルーカップを有し、前記上方側の矩形状部分が、前記一対のノズルを通る前記溶融金属の流れの方向に直交する断面で矩形状を有し、それにより、前記溶融金属の保持及び鋳込みボックス内に含まれる前記溶融金属の量の75%が、前記一対のノズルを通って鋳込まれるとき、前記溶融金属の流量が30%未満低下し、前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリが、前記下方側のピラミッド状部分の底部収納されるとともに、互いに第一ノズル離隔距離で離れて間隔をおく一対のノズルを有するものであり、断熱材料が、前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの周囲を取り囲んでおり、単一のデュアルノズル保持プレートが、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスの前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの底部を保持しており、該方法が、
単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートを当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスの底部に支持する一対の保持支柱から、一対の保持接続具を取り外すことにより、当該単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートを、前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの前記底部から取り外すステップ、
前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの側部を取り囲む断熱材料を取り外し、前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリを、当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスから解放するステップ、
当該溶融金属の保持及び鋳込みボックスの底部内に、新たな単一のデュアルノズル・アセンブリを挿入するステップであって、前記新たな単一のデュアルノズル・アセンブリが、前記既存の単一のデュアルノズル・アセンブリと同様の全体寸法を有し、前記新たな単一のデュアルノズル・アセンブリが、互いに第二ノズル離隔距離で離れて間隔をおく一対の新たなノズルを有し、前記第二ノズル離隔距離が前記第一ノズル離隔距離とは異なり、それにより、第二距離で離れて間隔をおくスプルーカップを有する第二の一対のモールドを調整するステップ、
前記新たな単一のデュアルノズル・アセンブリの側部の周囲に、前記断熱材料を取り付けるステップ、及び、
前記一対の保持接続具を、前記一対の保持支柱に挿入し、前記単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートを、前記新たな単一のデュアルノズル・アセンブリの底部に対して支持することにより、前記単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートを、前記新たな単一のデュアルノズル・アセンブリの底部に取り付けるステップ
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2011年6月26日に出願された米国仮出願第61/501,235号から優先権を主張するものであり、それにより、その全体を参照により組み込む。
【0002】
本発明は、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の鋳込み及び保持ボックスに関するものである。その下方側部分は、デュアルノズル・アセンブリを取り囲む底部領域を有し、このデュアルノズル・アセンブリは、当該デュアルノズル・アセンブリ内の二個のノズルを通過する溶融金属の流れを制御する一対のストッパーロッドとともに、当該ボックスから二個の鋳造モールドへの溶融金属の外部流動を独立して制御するものである。
【背景技術】
【0003】
鋳造所の設備では、溶融金属は様々な装置によって処理されており、その中のいくつかは、米国特許第2264740号(Brown)、第2333113号(Martin et al.)、第3395840号(Gardner),第3549061号(Piene)、第3801083号(Mantey et al.)、第3848072号(Dershem et al.)、第4638980号(Beele)、及び、第4953761号(Fishman et al.)、米国特許出願公開第2010/0282784A1号(Pavia et al.)、並びに、英国特許出願公開第GB2229384A号(Fishman et al.)に開示されている。
【0004】
そのような鋳造所の設備では、溶融金属はたびたび、矩形状または他の平底の保持ボックスから鋳造モールドに鋳込まれる。そのような保持ボックスは、一般に、溶融金属の外部流動を制御する一個だけのノズルを取り囲む底部領域を有する。溶融金属を鋳込む前記保持ボックスは、取鍋(ladles)と称されることがあり、通常は、ボックス内で溶融金属を通過して鉛直に延びるストッパーロッドによって制御される一個の底部注ぎ口を有する、実質的に囲まれた容器を備えるものである。米国特許出願公開第2010/0282784A1号には、桶内のデュアルノズルを使用することが開示されている。取鍋ないしボックスから鋳造モールドへの溶融金属の流れを制御することは、金属部分の鋳造の成功にとって極めて重要である。また、ノズル温度を維持して、溶融金属のそれにほぼ対応させることは、効率的な鋳込みプロセスの重要な側面である。さらに、液体、金属の溶融状態を維持することは、特に、鋳込みプロセスで、比較的長い期間にわたって続くことのある予想外の中断が生じた場合に重要な検討事項である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2264740号明細書
【特許文献2】米国特許第2333113号明細書
【特許文献3】米国特許第3395840号明細書
【特許文献4】米国特許第3549061号明細書
【特許文献5】米国特許第3801083号明細書
【特許文献6】米国特許第3848072号明細書
【特許文献7】米国特許第4638980号明細書
【特許文献8】米国特許第4953761号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2010/0282784A1号明細書
【特許文献10】英国特許出願公開第2229384A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
原則として、矩形ボックスから鋳込まれている溶融金属の流量は、当該ボックス内の溶融金属の高さの平方根に正比例する。この高さは通常、「ヘッド」パラメーターと称される。ヘッドパラメーター(H)は、ボックスに関する流量(Q)を直接的に支配し、いずれも下記の関係によって相関している。
【0007】
【数1】
【0008】
ここで、Qは、ボックスから鋳込まれている溶融金属の流量に相当し、また、Hは、ボックス内の溶融金属のヘッドに相当する。
【0009】
式(1)の流量(Q)で鋳込まれる溶融金属の量はまた、ボックスそれ自体の内部の溶融金属の体積によって決まる。この体積(L×W×Hの結果に等しい)は、ボックスの長さ(L)及び幅(W)の寸法によって決定されるものであり、それらは一定である。さらに、この体積はまた、ボックス内の溶融金属の高さないしヘッドパラメーター(H)に依存する。ボックスの当該長さ及び幅寸法が一定であるので、ヘッドパラメーター(H)が減少するにつれて、ボックス内の溶融金属の体積(V)、流量(Q)も減少する。実際に、この関係は、矩形状ボックスの中に含まれる溶融金属の体積における75%の低下が、ヘッドパラメーター(H)における75%の低下、及び、流量(Q)における約50%の低下に相当することを決定づける。デュアルノズルを、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックス内に利用するとき、ヘッドパラメーター(H)にそれほど直接的に依存しない流量(Q)を生じさせる手段を設けることが望ましい。
【0010】
一対のノズルを介してボックスから出て一対の隣接した鋳造モールドに受け取られる溶融金属の、相対的に一定の流れをもたらす手段を、鋳込みボックスに設けることが望ましい。そのような対策は、小さな開口を有するデュアルノズルを使用することを可能とし、それによって、ノズルの目詰まりの一因となるスラグの生成を減らすことができる。また、この一定の流れは、金属部分の鋳造に寄与する。
【0011】
従来型の鋳込みボックスは、鋳込みを行わない遅延期間にノズル温度が低下することに起因するノズル目詰まりの問題が起こり得る。それらの遅延期間は一般に、連続鋳造を調整するため、ボックスと鋳造モールドとの間での溶融金属の鋳込みが中断することとして生じる。これらの連続的な遅延期間に、ノズルは冷え始めるので、特定の溶融金属に含まれる液化したスラグ及び、金属それ自体は、鋳込みノズルの内面に硬化する傾向にあり、最終的にはノズルの目詰まりを引き起こす。
【0012】
更なる目詰まり問題は、従来型の鋳込みノズルが、耐熱性材料で作られることがあり、また、鋳込みボックスのノズルの周囲に配置されるスチール外郭及び補強プレートの両方に接触する構成を有することによって起こり得る。この接触は、通常いずれも金属である外郭及び補強プレートを、鋳込みノズルから熱を引き離すヒートシンクとして機能させ、それにより、ノズルの温度を低下させる。かかるヒートシンク問題は、シンクによる熱の除去を相殺するノズルへの溶融金属の連続的な流れをもたらすことによって補うことができる。しかしながら、溶融金属の鋳込みが連続的ではない場合、そのようなノズル構成は、ノズルに沿って異なる温度を引き起こし、このことにより、ノズルが、目詰まりの一因となる冷却効果に晒されるという不都合がある。
【0013】
ピラミッド状の下方側部分を有する鋳込みボックスを設け、この下方側部分が、溶融金属との熱交換関係が維持されるデュアルノズルを有するものとし、それにより、ノズルの一定温度をもたらすものとすることが望ましい。そのような構成により、鋳込みノズルが、ボックス内で溶融金属に近い温度で維持されることが可能になり、目詰まり問題の一因となり得る外部装置から引き起こされる冷却効果が無効になる。
【0014】
二個(もしくはデュアル)の底部ノズル鋳込みボックスは、二個のモールドが、(縦一列に)並んで、又は隣り合って、同時に溶融金属で満たされる鋳造ラインに用いることができる。たとえば、図7に示すような二個の個別のノズル20は、ボックスのピラミッド状の下方側部分の底部内における固定された別個のノズル開口によって設けることができる。しかしながら、これは、ノズルが、固定された距離で離れており、鋳造ラインのスプルーカップ間の当該距離が変化し得るので好ましくない。また、二個の個別のノズルの交換は、多くの時間を要するとともに、ボックスが極めて高温である間に、ノズルの変更を成し遂げるので困難な事項である。高温の溶融金属は、ノズル交換前にボックスから流し出されるが、ボックスが周囲の平常の室温に冷えるのを待つことは、一般に実行可能なことではない。
【0015】
本発明の一の目的は、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックス内の交換可能な一つ(単一)のデュアル(ツイン)ノズル(ブロック)・アセンブリであって、鋳造ラインを調整することが可能で、二個のノズルを通じて流れる溶融金属で満たされる二個のモールドのスプルーカップ間の距離を変化させることのできるものを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックス内の交換可能な単一のデュアルノズル・アセンブリであって、二個の別個のノズルに比してより容易に交換されるものを提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、取り替え可能な単一のデュアルノズル・アセンブリから形成されるデュアル鋳込みノズルとともに、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックスであって、当該アセンブリ内の一対のノズル間の間隔を、同一の全体寸法を有するノズル鋳造の選択に基いて変更することができ、また、そのような溶融金属の保持及び鋳込みボックスを、当該アセンブリ内の二個のノズルのそれぞれからの流れを独立して制御する、二本の別個のストッパーロッドの位置調整及び制御装置と組み合わせて用いることができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一の側面では、本発明は、上方側の矩形状部分及びピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックスである。単一のデュアルノズル・アセンブリは、前記下方側部分の底部領域内に配置される。
【0019】
他の側面では、本発明は、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックスであって、その下方側部分に、単一のデュアルノズル・アセンブリを有し、二個の鋳造モールド内への溶融金属の同時鋳込みに用いられるものである。上記のピラミッド状の下方側部分は、ボックスから、単一のデュアルノズル・アセンブリ内の二個のノズルのそれぞれを通って鋳込まれる溶融金属の、相対的に一定の流れをもたらす。
【0020】
他の側面では、本発明は、上方側の矩形状部分及び下方側の逆ピラミッド状部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックスであり、単一のデュアルノズル・アセンブリが、一対のノズルとともに取り囲まれるものである。単一のデュアルノズル・アセンブリは、下方側の逆ピラミッド状部分の底部領域内に配置されており、熱伝導材料で構成されるとともに、一対のノズルを通じて鋳込む期間及び鋳込まない期間にわたって、ボックス内に含まれる溶融金属との熱接触しつつ、下方側の逆ピラミッド状部分との接触が遮断されている。一対のストッパーロッドは、一対のノズルと嵌合し、一対のノズルのそれぞれを通じて鋳込まれる溶融金属の流れを制御する。一対のストッパーロッドのそれぞれは、一対のストッパーロッドのノズル挿入端部が、一対のノズルの円錐漏斗状の注入口に挿入されて、一対のノズルを通る溶融金属の流れが停止したとき、一対のノズルのそれぞれの円錐漏斗状の注入口の一部が、ボックス内の溶融金属と接触するように構成することができる。単一のデュアルノズル保持プレートは、単一のデュアルノズル・アセンブリ内の一対のノズルのそれぞれの排出口の周囲で、ボックスのピラミッド状の下方側部分の底部に取外し可能に固定することができる。
【0021】
他の側面では、本発明は、溶融金属を、上方側の矩形状部分及び下方側のピラミッド状部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックスから、一対のモールドに鋳込む方法である。ボックスは、下方側のピラミッド状部分の底部に位置する単一のデュアルノズル・アセンブリを有し、単一のデュアルノズル・アセンブリは、一対のノズルを有する。一対のモールドは、ボックスとの溶融金属の受取り関係に搬送され、また、単一のデュアルノズル・アセンブリはボックス内の溶融金属と同じ温度とし、そして、溶融金属は、ボックスから単一のデュアルノズル・アセンブリの一対のノズルのそれぞれを通って鋳込まれ、ここでは、ボックス内に含まれる溶融金属の75%が、溶融金属の流量における30%未満の低下で、一対のモールドに鋳込まれる。
【0022】
他の側面では、本発明は、溶融金属を一対のモールドに鋳込むための、上方側の矩形状部分及び下方側のピラミッド状部分を有する溶融金属の保持及び鋳込みボックス内における既存の単一のデュアルノズル・アセンブリを交換する方法である。上記の既存の単一のデュアルノズル・アセンブリは、下方側のピラミッド状部分の底部に配置されており、互いに第一距離で離れて間隔をおく一対のノズルを有する。断熱材料は、既存の単一のデュアルノズル・アセンブリを取り囲み、また、単一のデュアルノズル保持プレートは、ボックス内で既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの底部を保持する。単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートをボックスの底部に支持する一対の保持支柱から、一対の保持接続具を取り外すことにより、単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートは、既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの底部から取り外される。既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの側部を取り囲む断熱材料は取り外されて、既存の単一のデュアルノズル・アセンブリをボックスから解放する。新たな単一のデュアルノズル・アセンブリは、ボックスの底部に挿入される。かかる新たな単一のデュアルノズル・アセンブリは、既存の単一のデュアルノズル・アセンブリと同一の全体寸法を有し、互いに第二距離で離れて間隔をおく一対のノズルを有するものであり、この距離は、既存の単一のデュアルノズル・アセンブリの第一距離とは異なるものである。断熱材料は、新たな単一のデュアルノズル・アセンブリの側部の周囲に取り付けられ、そして、保持接続具を一対の保持支柱に挿入して、単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートを、新たな単一のデュアルノズル・アセンブリに対して支持させることにより、単一のデュアルノズル・アセンブリ保持プレートは、新たな単一のデュアルノズル・アセンブリの底部に取り付けられる。
【0023】
この発明の上記の側面及び他の側面は、この明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの一例の、図3のA―A線を通る単純化した断面図であり、当該ボックスのピラミッド状の下方側部分に設置される単一のデュアルノズル・アセンブリを示す。
図2】溶融金属の鋳込み及び保持ボックスから取り出した単一のデュアルノズル・アセンブリを含む図1の断面図である。
図3】本発明の溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの一例を、当該ボックスのピラミッド状の下方側部分(lower section)における底部の単一の鋳込み用デュアルノズル・アセンブリとともに示す上方斜視図である。
図4図3に示す溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの下方斜視図である。
図5図3に示す溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの側面図である。
図6図3に示す溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの底面図である。
図7】シングルノズルの斜視図である。
図8】本発明の溶融金属の鋳込み及び保持ボックス内における単一のデュアルノズル・アセンブリを保持するための、本発明に使用される単一のデュアルノズル保持プレートの一例の斜視図である。
図9図9(a)は、図8に示す単一のデュアルノズル保持プレートを、溶融金属の鋳込み及び保持ボックス上の位置に取り付けるための、本発明に使用される支柱の一例の斜視図であり、図9(b)は、図9(a)に示す支柱に取り付けられた際に、図8に示す保持プレートを溶融金属の鋳込み及び保持ボックスに対して保持するために用いられる接続具の一例の斜視図である。
図10図10(a)は、本発明のピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの一例に使用される単一のデュアルノズル・アセンブリの一例の等角図であり、図10(b)は、図10(a)に示す単一のデュアルノズル・アセンブリの平面図であり、図10(c)は、図10(b)におけるC―C線を通る単一のデュアルノズル・アセンブリの断面立面図であり、図10(d)は、図10(a)におけるD―D線を通る単一のデュアルノズル・アセンブリの断面立面図である。
図11】二個のストッパーロッドの位置調整及び制御装置と使用される本発明の底部の単一の鋳込み用デュアルノズル・アセンブリを備えるとともに、本発明のピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の鋳込み及び保持ボックスの部分断面立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明を説明するため、現在好ましいとされる形態を図面に示し、それを理解することができるが、この発明は、図示の明確な構成や手段に限定されるものではない。
【0026】
図面を参照すると、類似の数字は類似の要素を意味するところにおいて、図中に、単一のデュアルノズル・アセンブリ12とともに、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の鋳込み及び保持ボックス10の一例が示されている。ここで、単一のデュアルノズル・アセンブリ12は、鋳造所内に見られる自動鋳型システムに用いることができる。典型的な自動鋳型システムは、隣接する複数のモールドを、鋳造ステーションに搬送する従来型のコンベヤーラインを備え、ここでは、ボックス10から単一のデュアルノズル・アセンブリ内のノズル12b及び12cを通過する溶融金属によって、鋳造に供される隣接する二個のモールドを充満させる。通常は、二個のモールドを同時に充満させるとき、モールド・コンベヤーラインが、それらのモールドの二個を、一定の速度で、一列に又は隣合せに並べて、一度に進行させる。溶融金属の保持及び鋳込みボックス10は、モールドでの鋳造に用いられる溶融金属の源を与える。
【0027】
溶融金属の保持及び鋳込みボックス10では、それのピラミッド状の底部領域に、少なくとも一の単一のデュアルノズル・アセンブリ12が配置される。溶融金属の保持及び鋳込みボックス10は、たとえば、図11に示すように、一対の鋳造モールド80上に直接的に位置させることができる。特定の配置のために必要であれば、たとえば、英国特許出願公開第GB2229384A号に開示されるような一対の台車アセンブリを、X方向及びY方向に直角に配置し、それにより、溶融金属が注がれるモールド80内のスプルーカップ80aに対して、二個のノズルの位置を調整することが可能になる。
【0028】
溶融金属の保持及び鋳込みボックス10は、上方の矩形状部分10a及び、下方のピラミッド状部分10bを備える。外郭構造14は、少なくとも耐熱材料層16を含むものであり、これは、内側の、溶融金属を保持する矩形及びピラミッド状の体積をなす。従来技術にあるように、ボックス10は、矩形状部分10aの上方部を横切って延びるボックスカバーを有するものとすることができる。溶融金属は、前記ボックスカバー内の閉鎖可能な開口を通じて、ボックス10に供給することができる。ボックス10は、たとえば、英国特許出願公開第GB2229384A号に開示されるように、ボックスが傾斜されたときにボックスから溶融金属を注ぐため、部分10内に形成される排出ポート92を有するものとすることができる。
【0029】
従来技術にあるように、ボックス10は選択的に、たとえば、英国特許出願公開第GB2229384A号にさらに開示されるように、耐熱材料の垂直バッフルによって、鋳込み部分と補充部分とに分割されるものとすることができる。
【0030】
上記のボックスカバーは、単一の、又は一対の独立した開口を有するものとすることができ、これにより、ボックス10内の二本のストッパーロッド94を挿入するための通路が形成される。それらのストッパーロッドと、関連する位置調整及び制御装置は、米国特許第4953761号又は米国特許出願公開第2010/0282784A1号に開示されており、それらをいずれも、参照によりそのままここに組み込む。ストッパーロッド94は単独で、ストッパーロッド先端94aを、ノズル12b及び12cの注入口12b’及び12c’上に配置(嵌合)させて位置させることができ、それにより、溶融金属の流れを阻止し、又は、上述したような関連位置調整及び制御装置によって独立して上昇させて、一方もしくは両方のノズルを介して、溶融金属が流れるようにする。
【0031】
特定の使用のために必要であれば、溶融金属の保持及び鋳込みボックス10は、たとえば、英国特許出願公開第GB2229384A号に開示されるような、自身を傾斜させるための手段を含むことができ、それにより、未使用の溶融金属を、排出ポート92を通じてボックスから除去することができる。
【0032】
単一のデュアルノズル・アセンブリ12は、熱伝導性材料で構成されて、ボックス10内で上向きに延びる。それにより、その上方周縁の注入口表面12a及び12a’は、ストッパーロッドが、アセンブリ12内でノズルの一方又は両方と嵌合しているか否かに関わらず、常に、ボックス10内に保持される溶融金属(M)との接触状態が維持される。単一のデュアルノズル・アセンブリ12は、アルミナ/シリカ材料又は、その他の適切な低い熱抵抗の耐熱材料で構成されることが好ましく、また、それに用いるノズルは、円錐漏斗状の注入口12b’及び12c’並びに、円筒状の排出口12b’’及び12c’’とともに、円形の内側寸法を有することが好ましい。単一のデュアルノズル・アセンブリ12のこの構造は、それ自身が、ボックス10の内部、特にノズル間のアセンブリの中央領域12a’で溶融金属と常に接触することをもたらす。このように常に接触することにより、アセンブリ12内の二個のノズルの、溶融金属との熱交換関係が絶えず維持されることになる。二個のノズルの目詰まりは、ノズルが晒されることのあるどのような冷却状態の間にも起こり得るが、上記の熱交換関係は、このようなノズルの目詰まりを抑制する。
【0033】
また、単一のデュアルノズル・アセンブリ12の上記の構成は、ボックス10自体の金属組織(英国特許出願公開第GB2229384A号に開示されているように、鋳込みノズルの支持に用いられる補強プレート及び、外郭14)が、鋳込みノズルから熱エネルギーを引き出すというヒートシンクの問題を取り除く。本発明では、単一のデュアルノズル・アセンブリ12が、以下に詳説するような、デュアルノズル・アセンブリの支持プレート70上の断熱スタンドオフ70a(insulation standoffs 70a)に沿って、当該デュアルノズル・アセンブリをヒートシンクから断熱する断熱材料18(図1に示す)によって取り囲まれている。
【0034】
単一のデュアルノズル・アセンブリ12は、たとえば、図11に、ピラミッド状の下方側部分を有する溶融金属の鋳込み及び保持ボックス内に取り付けられるものとして示されている。本発明に用いることのできる単一のデュアルノズル・アセンブリ22の一例の詳細は、図10(a)〜図10(d)に示されている。単一のデュアルノズル・アセンブリ22は、米国特許出願公開第2010/0282784A1号に記載されているような平底桶(a flat bottom launder)にも用いることができる。図10(a)では、特定の単一のデュアルノズル・アセンブリ22の全体寸法は、溶融金属が単一のデュアルノズル・アセンブリ内のノズルを通って注がれる一対のモールド上のスプルーカップ間の最大スペースに基づいて選定される。図10(a)では、ノズル中央部間の上記最大スペースを、単一のデュアルノズル・アセンブリ内で、鋳造その他で形成されるノズル24a及び24b間のx1として定義する。図10(a)に示すような単一のデュアルノズル・アセンブリ22を配置して使用した後、図10(b)の、ノズル中央部間が間隔x2であるノズルペア24a’及び24b’のように、狭まった間隔のノズルが、図10(a)に示す単一のデュアルノズル・アセンブリと同様の全体寸法を有する単一のデュアルノズル・アセンブリ内に鋳造その他によって形成され、それにより、最大間隔より小さいスプルーカップ中央部間の距離が調整される。
【0035】
ノズル・アセンブリは、耐熱性材料で形成されるが、使用期間にわたって溶融金属の流れに晒されて消耗し、交換が必要になる。典型的には、交換は、ノズル・アセンブリを取り囲む鋳込みボックス構造体を冷却させることなしに行われ、それ故に、ノズル・アセンブリの交換は、可能な限り迅速に、かつ効率良く行うことが好ましい。二重鋳込みの適用に当って、図10(a)〜図10(d)のデュアルノズル・アセンブリ12もしくは22のような単一のデュアルノズル・アセンブリは、この要求を達成する。また、本発明の単一のデュアルノズル・アセンブリは、交換されたデュアルノズル・アセンブリがもともと鋳造その他によって形成されたときに、当該デュアルノズル・アセンブリ内の各ノズルの開口間の距離が変化することを可能にする。図10(b)に示すように、たとえば、第一デュアルノズル・アセンブリ内に鋳造される(実線で示す)ノズルペア24a及び24bのノズル開口の中心間の距離x1は、当該第一デュアルノズル・アセンブリと同様の全体寸法を有する第二デュアルノズル・アセンブリ内に鋳造される(破線で示す)ノズルペア24a’及び24b’のノズル開口の中心間の距離x2に変化することができる。それにより、同様の全体寸法を有する単一のデュアルノズル・アセンブリ内の各ノズル間の距離及び、関連する位置における大幅な変化を実現することができる。比較すれば、二個の単一交換ノズル・アセンブリを用いた場合、ノズル開口の中心間の距離は、熱鋳込みボックスの底部で、二個の単一交換ノズル・アセンブリを実際に装着する間に実現する必要がある。二個の別個のノズル開口の中心間の長さを変化させる能力は、たとえば、図11に示すように、デュアル鋳込み自動モールドライン内で隣接するモールドのスプルーカップ80a間の長さ(もしくは位置)に関連する。すなわち、ピラミッド状の下方側部分を有する単一の溶融金属の保持及び鋳込みボックスを利用するデュアル鋳込みプロセスでは、モールドの自動ライン内における隣接するモールドのスプルーカップの相対位置が変化した場合、その後、ノズル・アセンブリの交換により、デュアルノズルの相対位置もまた変える必要がある。米国特許出願公開第2010/0282784A1に開示されるような、ストッパーロッド位置調整及び制御装置10のストッパーロッドの位置調整機構は、各装置のストッパーロッド位置を迅速に調整するために用いることができ、それにより、新たに取り付けられた単一のデュアルノズル・アセンブリ内のノズルの位置を変化させることができる。
【0036】
図8に、本発明の溶融金属の鋳込み及び保持ボックス内に取り付けられたデュアルノズル・アセンブリの支持をもたらすために用いることのできる単一のデュアルノズル保持プレート70の例を示す。保持支柱72(図9(a))は、ボックス10の底部に、直接的に、又は、中間連結オフセット・ブラケット72aによって、適切に連結することができる。保持プレート70上の環状オフセット70aは、ボックスの底部に対して、各ノズルの排水口12b’’及び12c’’の周囲の開口70cとともに、保持プレート内で開口70bを通過する保持支柱72の長さで取り付ける。接続具74は、たとえば、図9(b)に示すように、保持支柱のそれぞれの開口72’内に挿入されて、単一のデュアルノズル保持プレートを所定の位置に固定する。デュアルノズル・アセンブリを交換するには、接続具74を保持支柱から取り外して当該プレートを解放し、それにより、設置された単一のデュアルノズル・アセンブリを迅速に取り外す手段をもたらす。断熱材料18を取り外した後、設置された単一のデュアルノズルは、ボックス10から取り外され、新たな単一のデュアルノズル・アセンブリに、その周囲を包む新たな断熱材料とともに交換することができ、そして、単一のデュアルノズル保持プレートを再び取り付ける。それにより、本発明では、単一のデュアルノズル・アセンブリ12が、当該単一のデュアルノズル・アセンブリ上の断熱材料18及び断熱環状オフセット70aによって実質的に取り囲まれていることから、従来技術のヒートシンクの問題が実質的に取り除かれる。この構成は、デュアルノズルの領域12a及び12a’がボックス内で常に、溶融金属と接触していることと相まって、先述した目詰まりの問題を効果的に取り除く。
【0037】
図示のように、ボックス10は、単一のデュアルノズル・アセンブリ12をその底部領域で取り囲む上方側の矩形状部分10a及び下方側の逆ピラミッド状部分10bを備える。上方側の矩形状部分10aは、溶融金属の体積V1を含むものとすることができ、これは次のように表すことができる。
【0038】
【数2】
【0039】
ここで、W及びLはそれぞれ、ボックス10の幅及び長さの寸法を表し、また、Hは、ヘッド(H)の次元を表す。
【0040】
下方側の逆ピラミッド状部分10bは、溶融金属の体積V2を含むものとすることができ、これは次のように表すことができる。
【0041】
【数3】
【0042】
ボックス10の全体積VTは、溶融金属で満たされたとき、次のように表すことができる。
【0043】
【数4】
【0044】
ボックス10の形状、特に、ピラミッド形部分10bは、デュアルノズル・アセンブリ内の各ノズルから鋳造モールドに向けた溶融金属の(式(1)で先述したような)相対的に一定の流れ(Q)をもたらすので有利である。先述したように、相対的に一定の流量(Q)は、モールド鋳造プロセスそれ自体にとって有利であることのみならず、ボックス10からの溶融金属の流出を正確に制御する負担を緩和する小さな開口を有するノズルを使用することが可能になる。特に、ピラミッド形部分10bは、ボックス10内に含まれる溶融金属の体積(VT)の約75%を利用可能なものとする鋳込み形態を実現し、それにより、デュアルノズルから一対の鋳造モールド内に、圧力ヘッド(H)の50%のみに対応する滴下で、かつ、流量(Q)の約30%のみの滴下で注がれる。本発明により与えられる流量(Q)及び圧力ヘッドパラメーター(H)は、相対的に一定の態様で、それぞれのデュアル鋳込みノズルを介して溶融金属を押し出す。
【0045】
この発明のいくつかの例では、単一のデュアルノズル・アセンブリ内の一対のノズルは、同一の寸法であることを要しない。
【0046】
たとえば、米国特許第4744407号に開示されるように、溶融金属が、単一のデュアルノズル・アセンブリ内で開いたノズルから満たされる二個のスプルーカップのそれぞれにおける必要なレベルに達した時を決定するための画像装置を設置するべく、図に示すような溶融金属の保持及び鋳込みボックス10の外部に、窪み10cを設けることができる。
【0047】
好ましい例および実施形態の観点から本発明について説明した。これらの明示的な説明の他、この発明の範囲内において、均等物、代替手段および改良形態が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図10(c)】
図10(d)】
図11