特許第6073335号(P6073335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073335ハイブリッド流体力学的及び流体静力学的軸受ブシュ及び圧延機用の潤滑システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073335
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ハイブリッド流体力学的及び流体静力学的軸受ブシュ及び圧延機用の潤滑システム
(51)【国際特許分類】
   B21B 31/07 20060101AFI20170123BHJP
   F16N 7/24 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   B21B31/07 E
   B21B31/07 F
   F16N7/24
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-533608(P2014-533608)
(86)(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公表番号】特表2014-528841(P2014-528841A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012056020
(87)【国際公開番号】WO2013048836
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年8月17日
(31)【優先権主張番号】13/248,354
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316012658
【氏名又は名称】プライメタルズ テクノロジーズ ユーエスエー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Primetals Technologies USA LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】モーティマー ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】トマス シー. ウォイトコウスキー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ロバート メイズ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター エヌ. オズグッド
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−263108(JP,A)
【文献】 特表2000−515231(JP,A)
【文献】 特開昭62−282715(JP,A)
【文献】 特開平4−331816(JP,A)
【文献】 特表2007−533916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 27/00−35/14
F16C 13/02、32/06、33/10
F16N 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールネックを有するタイプの圧延機用のハイブリッド流体力学的/流体静力学的流体軸受ブシュにおいて、該ブシュは、
圧延機ロールネックを回転可能に捕捉するための内径面を有する概して環状のブシュシェルと、
前記内径面に形成された複数の流体静力学的パッド凹所と、
各それぞれの流体静力学的パッドと流体連通した別個の隔離された潤滑剤通路と、を備え、各それぞれの潤滑剤通路は、別個の隔離された加圧潤滑剤源に接続されるように適応されており、該隔離された加圧潤滑剤源は、いずれか1つの潤滑剤通路内の圧力の変化が、他の潤滑剤通路への圧力供給を妨害しないように構成されていることを特徴とする、圧延機用のハイブリッド流体力学的/流体静力学的流体軸受ブシュ。
【請求項2】
各潤滑剤通路は、前記ブシュシェル内に形成されている、請求項1記載の軸受ブシュ。
【請求項3】
それぞれの潤滑剤通路は、前記ブシュシェルの外面と連通している、請求項2記載の軸受ブシュ。
【請求項4】
それぞれの潤滑剤通路は、前記ブシュシェルの軸方向端部と連通している、請求項2記載の軸受ブシュ。
【請求項5】
前記ブシュシェルは、2つの軸方向端部を有し、各軸方向端部はそれぞれ、少なくとも1つのそれぞれの潤滑剤通路のうちの異なる1つと連通している、請求項4記載の軸受ブシュ。
【請求項6】
各荷重ゾーンにおいて、一対の流体静力学的パッド凹所と、一対のそれぞれの隔離された潤滑剤通路とを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の軸受ブシュ。
【請求項7】
一対の流体静力学的パッド凹所と、一対のそれぞれの隔離された潤滑剤通路とを有し、流体力学的軸受が前記内径面に形成されている、請求項6記載の軸受ブシュ。
【請求項8】
流体力学的軸受は前記内径面に形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の軸受ブシュ。
【請求項9】
ロールネックを有するタイプの圧延機用のハイブリッド流体力学的及び流体静力学的流体軸受システムにおいて、該システムは、
軸受ブシュであって、
圧延機ロールネックを回転可能に捕捉するための内径面を有する概して環状のブシュシェルと、
前記内径面に形成された複数の流体静力学的パッド凹所と、
各それぞれの流体静力学的パッドと流体連通した別個の隔離された潤滑剤通路と
を有する、軸受ブシュと、
各それぞれの隔離された潤滑剤通路に接続された別個の隔離された加圧潤滑剤源と、
を備え、前記隔離された加圧潤滑剤源は、いずれか1つの潤滑剤通路内の圧力の変化が、他の潤滑剤通路への圧力供給を妨害しないように構成されていることを特徴とする、圧延機用のハイブリッド流体力学的及び流体静力学的流体軸受システム。
【請求項10】
各潤滑剤通路は、前記ブシュシェル内に形成されておりかつ該ブシュシェルの軸方向端部と連通している、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
一対の流体静力学的パッド凹所と、一対のそれぞれの隔離された潤滑剤通路とを有し、前記内径面に形成された流体力学的軸受をさらに備える、請求項9又は10記載のシステム
【請求項12】
隔離された加圧潤滑剤源が、潤滑剤加圧ポンプ出口である、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
各それぞれの潤滑剤通路に接続された別個のそれぞれの独立したポンプをさらに備える、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
各それぞれの潤滑剤通路にそれぞれ接続された複数の隔離された出口を有するポンプをさらに備える、請求項12記載のシステム。
【請求項15】
前記ポンプは、ボールチェックバルブを用いるポンプである、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
各それぞれがそれぞれの圧延機ロールネックを捕捉する一対の軸受ブシュを有する圧延機スタンドであって、前記一対の軸受ブシュは集合的に4つの別個の潤滑剤通路を有する、圧延機スタンドと、
4つのそれぞれの前記潤滑剤通路のそれぞれにそれぞれ接続された少なくとも4つの隔離された出口を有する、ボールチェックバルブを用いるポンプと、
をさらに備える、請求項11記載のシステム。
【請求項17】
圧延機スタンドのロールネック用の軸受システム内で流体静力学的軸受を潤滑する方法において、該方法は、
軸受ブシュであって、
圧延機ロールネックを回転可能に捕捉するための内径面を有する概して環状のブシュシェルと、
前記内径面に形成された複数の流体静力学的パッド凹所と、
各それぞれの流体静力学的パッドと流体連通した別個の隔離された潤滑剤通路と
を有する、軸受ブシュを提供し、
該軸受ブシュを圧延機スタンドに取り付け、
各隔離された潤滑剤通路のための別個の隔離された加圧潤滑剤源を提供し、該隔離された加圧潤滑剤源は、いずれか1つの潤滑剤通路内の圧力の変化が、他の潤滑剤通路への圧力供給を妨害しないように構成されており、
各それぞれの潤滑剤通路と前記加圧潤滑剤源とをそれらの間に流体連通が生じるように接続する
ことを含むことを特徴とする、圧延機スタンドのロールネック用の軸受システム内で流体静力学的軸受を潤滑する方法。
【請求項18】
前記加圧潤滑剤源は、潤滑剤通路に接続された潤滑剤加圧ポンプ出口、潤滑剤通路に接続された別個の独立した1つの出口潤滑剤加圧ポンプ、それぞれの潤滑剤通路に接続された複数の隔離された出口を有する潤滑剤加圧ポンプ、又はそれぞれの潤滑剤通路に接続された複数の隔離された出口を有するボールチェックバルブを用いるポンプ、から成るグループから選択されている、請求項17記載の方法。
【請求項19】
一対の軸受ブシュであって、各それぞれのブシュは、一対の流体静力学的パッド凹所と、一対のそれぞれの隔離された潤滑剤通路とを有し、内径面に形成された流体力学的軸受をさらに備える一対の軸受ブシュを、圧延機スタンドに提供することをさらに含み、
前記加圧潤滑剤源は、それぞれの潤滑剤通路に接続された複数のそれぞれの隔離された出口を有する少なくとも1つのボールチェックバルブを用いるポンプである、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記取付けステップの前に既存の軸受ブシュを取り外すことをさらに含み、
前記加圧潤滑剤源は、それぞれの潤滑剤通路に接続された複数のそれぞれの隔離された出口を有する少なくとも1つのボールチェックバルブを用いるポンプである、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
1.分野
本発明の実施の形態は、金属を延長したウェブに圧延するために使用される回転ローラのロールネックを支持する、圧延機スタンドの流体潤滑される軸受に関する。特に、本発明の実施の形態は、流体力学的軸受ブシュ内の流体静力学的流体軸受パッドと、各軸受パッドに、隔離された加圧潤滑剤源を提供する潤滑システムとを有する、ハイブリッド軸受に関する。
【0002】
2.従来技術の説明
図1は、ロールネックセクション14と、相補的な回転する軸受スリーブ16とによって、回転する圧延機ロール12を回転可能に支持する、公知の圧延機スタンド軸受アセンブリ10を示している。軸受アセンブリ10は、軸受チョック18によって支持されており、この軸受チョック18自体は、圧延機スタンド(図示せず)に支持されている。軸受ブシュ20は、ロールネック14/軸受スリーブ16と、軸受チョック18との間に配置されており、チョックに固定されている。軸受ブシュ20は、ローラ回転速度、加えられる半径方向荷重及び潤滑剤粘度作動設計パラメータ内で完全な流体力学的潤滑のための流体力学的軸受面(すなわち、軸受ブシュと軸受スリーブ16との間の自己発生される加圧流体潤滑膜層)を提供する。これらの作動パラメータのうちのいずれかが設計パラメータから外れた場合、例えば、圧延機スタンド始動段階、又は特定の冶金学的特性を達成するための高い荷重での低速の圧延の間、軸受10は、所望の作動のための十分な流体力学的流体膜を発生しないことがあり得る。流体膜が存在しないと、軸受ブシュと、ロールネック14/軸受スリーブ16との間の望ましくない金属対金属の接触の可能性、及び潜在的な軸受摩耗又は故障の可能性が高まる。過去には、軸受ブシュ20において1つ又は2つ以上の流体静力学的軸受パッド30,40が形成された。流体静力学的軸受パッド30,40は、軸受ブシュ20と、ロールネック14/軸受スリーブ16との間に付加的な潤滑剤流体膜を形成するために、加圧流体潤滑剤源50に接続されている。流体力学的特徴及び流体静力学的特徴とともに作動する油膜軸受は、ハイブリッド油膜軸受である。このような軸受は、0RPMの速度においては"純粋な"流体静力学的軸受としてのみ機能し、その他の速度においては、流体静力学的及び流体力学的軸受が組み合わされたハイブリッドな特徴とともに機能する。
【0003】
図1及び図2を参照すると、加圧潤滑剤源50は、それぞれの上流通路32,42に分岐した、軸受ブシュ20の軸方向端部に形成された共通の潤滑剤通路22と、流れ制限器34,44と、下流通路36,46とによって、それぞれの軸受パッド30,40に供給される。流れ制限器34,44は、通常、パッドのうちの1つにおける予期しない流体膜破壊の際にそれぞれの軸受パッド30,40を互いに隔離するビスコ・ジェットであり、前記流体膜破壊は、破壊領域を通る潤滑剤の急速な流れを促進し、他の、さもなければ正常に機能する軸受パッドへの潤滑剤流の潜在的な枯渇を促進する。圧延機ロールスタンドにおける複数の軸受ブシュ20は、1つ又は2つ以上の加圧ポンプ60に接続された共通の加圧されたフィードマニホルド52を共有している。ポンプ60は、ポンプ入口62を通じて、条件が整えられた流体潤滑剤(例えば、所望の粘度範囲を有する冷却されかつろ過された油)を受け取り、より高い圧力に加圧された油を、ポンプ出口64を通じて共通の油フィードマニホルド52へ排出する。公知の圧延機スタンド軸受は、米国特許第5000584号明細書及び米国特許第6468194号明細書に示されかつ説明されており、各明細書の内容は全て、引用したことにより、本明細書に完全に記載されたものとして、本明細書に組み込まれる。
【0004】
前述のように、共通の加圧された潤滑剤源(例えば共通のマニホルド52)を共有する複数の流体静力学的軸受パッド30,40を有する1つ又は2つ以上の圧延機ブシュ20は、共通の潤滑剤源における漏れにより油圧を同時に損失するという危険性を低減し、フィードパイプ50とブシュ通路42及び32との接合部(図示せず)における逆止め弁によって各軸受パッド30,40からの流れ損失を制限する。流れ制限器34,44の上流における油圧降下の際には、部分圧力は、それぞれの上流の潤滑剤通路32,42において維持され、これにより、対応する軸受パッドは、少なくとも短時間の間、加圧流体膜を維持することができる。同様に、流れ制限器34,44は、圧力損失を生じたそれぞれの軸受パッド30,40内への加圧潤滑剤流を減速させる。例えば、流れ制限器を使用しない場合、流体静力学的軸受パッド30は、流体静力学的流体膜を維持せず、急速な圧力降下を生じ、その軸受パッドへの加圧潤滑剤流量が増大し、共通の加圧油供給源を共有する他のパッド40又は他の軸受への加圧油供給を枯渇させる恐れがある。
【0005】
流れ制限器34,44はその性質により、流速が高まると、流れ制限器を通る油流に抵抗してこれを妨げ、したがって、制限を克服するために付加的な流体圧が必要となる。通常の圧延機用途において、ビスコ・ジェット流れ制限器を克服するためには、付加的な3000psi(20700KPa)の油圧が発生されなければならない。付加的な圧力要求は、必要とされるシステムポンピング能力、及びポンプの作動に関連するエネルギコストを増大させる。
【0006】
概要
したがって、本発明の実施の形態は、それぞれの流体静力学的パッド凹所を備えた圧延機ハイブリッド流体力学的/流体静力学的軸受を有し、流体静力学的パッド凹所は、他のパッド凹所に関連した潤滑剤圧力損失によって影響されることのない、それぞれの隔離された加圧潤滑剤源の受入れを提供する。
【0007】
本発明の圧延機軸受は、流体静力学的パッド凹所に関連した流れ制限器の排除を許容し、ひいては、流れ制限器に関連した流れ抵抗を克服するために必要なより高い圧力の潤滑剤供給の必要性を排除する。流れ制限器を有さない本発明の軸受の作動は、より低圧出力の潤滑剤ポンプの購買及び使用により資本コストを低下させることができ、また、低圧能力ポンプを作動させるために必要なエネルギ消費を低減することができる。
【0008】
本発明の典型的な実施の形態は、ロールネックを有するタイプの圧延機用のハイブリッド流体力学的/流体静力学的流体軸受ブシュを有する。ブシュは、圧延機ロールネックを回転可能に捕捉するための内径面を有する、概して環状のブシュシェルを有する。内径面には、複数の流体静力学的パッド凹所が形成されている。軸受ブシュは、各それぞれの流体静力学的パッドと流体連通した、別個の隔離された潤滑剤通路を有する。各それぞれの潤滑剤通路は、別個の隔離された加圧潤滑剤源に接続されるように適応されている。
【0009】
本発明の別の実施の形態は、ロールネックを有するタイプの圧延機用のハイブリッド流体力学的/流体静力学的流体軸受システムを有する。システムは、概して環状のブシュシェルを有する軸受ブシュを含み、ブシュシェル自体は、圧延機ロールネックを回転可能に捕捉するための内径面を有する。軸受ブシュは、内径面に形成された複数の流体静力学的パッド凹所と、各それぞれの流体静力学的パッドと流体連通した、別個の隔離された潤滑剤通路とを有する。別個の隔離された加圧潤滑剤源は、隔離された各潤滑剤通路に接続されている。
【0010】
本発明の付加的な実施の形態は、圧延機スタンドのロールネック用の軸受システム内で流体静力学的軸受を潤滑する方法に関する。この方法は、概して環状のブシュシェルを有する軸受ブシュを提供することを含み、ブシュシェル自体は、圧延機ロールネックを回転可能に捕捉するための内径面を有する。提供された軸受ブシュはまた、内径面に形成された複数の流体静力学的パッド凹所と、各それぞれの流体静力学的パッドと流体連通した、別個の隔離された潤滑剤通路とを有する。軸受ブシュは圧延機スタンドに取り付けられている。別個の隔離された加圧潤滑剤源は、隔離された各潤滑剤通路のために設けられている。各それぞれの潤滑剤通路及び潤滑剤源は、それらの間に潤滑剤流体の連通を提供するように接続されている。
【0011】
本発明の圧延機ハイブリッド流体力学的/流体静力学的軸受は、複数の流体静力学的パッド凹所を備えた軸受ブシュを有する。各凹所は、別個の隔離された加圧潤滑剤源に接続されるように適応された隔離された潤滑剤通路を有する。本発明における幾つかの実施の形態では、隔離された加圧潤滑剤源は、圧力ポンプの専用の出口によって供給される。この形式において、各流体静力学的パッドは、圧延機システム内の他の軸受パッドにおける潤滑剤圧力の損失によって妨害されることのない、専用の加圧潤滑剤供給部を有する。
【0012】
本発明の特徴は、当業者によって、あらゆる組合せ又は部分的組合せにおいて共同で又は複数で適用されてよい。本発明の実施の形態の別の特徴、及びそれによって提供される利点は、添付の図面に例示された特定の実施の形態を参照して以下により詳細に説明される。
【0013】
図面の簡単な説明
本発明の教示は、添付の図面に関連した以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】流体静力学的軸受パッド凹所を有する、公知の圧延機ハイブリッド流体力学的/流体静力学的軸受の横断立面図である。
図2】ハイブリッド流体力学的/流体静力学的軸受用の、公知の流体静力学的パッド加圧油供給システムの概略図である。
図3】本発明の典型的な実施の形態による圧延機ハイブリッド軸受ブシュの斜視図である。
図4図3の4−4に沿って見た、本発明の典型的な実施の形態による、ハイブリッド軸受ブシュの流体静力学的パッドに、隔離された加圧潤滑剤源を供給するための、隔離された潤滑剤通路の代替的な実施の形態のそれぞれの断面図を示す図である。
図4A図3の4−4に沿って見た、本発明の典型的な実施の形態による、ハイブリッド軸受ブシュの流体静力学的パッドに、隔離された加圧潤滑剤源を供給するための、隔離された潤滑剤通路の代替的な実施の形態のそれぞれの断面図を示す図である。
図5】本発明の典型的な実施の形態によるハイブリッド軸受ブシュの流体力学的軸受部分のための、隔離された加圧潤滑剤供給システムの代替的な実施の形態の概略図を示す図である。
図6】本発明の典型的な実施の形態によるハイブリッド軸受ブシュの流体力学的軸受部分のための、隔離された加圧潤滑剤供給システムの代替的な実施の形態の概略図を示す図である。
図7】本発明の典型的な実施の形態によるハイブリッド軸受ブシュの流体力学的軸受部分のための、隔離された加圧潤滑剤供給システムの代替的な実施の形態の概略図を示す図である。
図8】本発明の典型的な実施の形態による、ハイブリッド軸受ブシュと、隔離された加圧潤滑剤供給システムとを有する圧延機スタンドハウジングを示す図である。
【0015】
理解を容易にするために、複数の図面に共通の同じエレメントを示すために、可能である場合には、同じ参照符号が使用されている。
【0016】
詳細な説明
以下の説明を考慮した後、当業者は明らかに、本発明の教示を、圧延機スタンドハイブリッド流体力学的/流体静力学的軸受システム、及びこのような軸受用の加圧潤滑剤供給システムにおいて容易に利用することができることを明らかに理解するであろう。
【0017】
圧延機スタンド、及び流体静力学的軸受パッドと、複数の軸受パッドによって共有された加圧油供給システムとを含むその関連したローラ支持軸受、の概略的な構造及び作動は、図1及び図2を参照して本明細書において、及び引用したことにより既に組み込まれた米国特許第5000584号明細書及び米国特許第6468194号明細書において既に説明されている。図3図4及び図4Aは、本発明のハイブリッド軸受ブシュ20の実施の形態を示している。軸受ブシュ20は、内径面24を有する概して環状のブシュシェルを有し、内径面24は、回転する軸受スリーブ16と協働して自己発生流体力学的潤滑剤膜を形成することができる、公知のバビット軸受ライニング材料を備える(図1参照)。軸受ブシュの流体力学的部分のための潤滑剤フィード及びサプライ特徴は、公知の構成のものであり、簡略化のために、ここでは詳細に説明しない。ブシュシェルは、複数の油フィードインテーク通路22を有し、それぞれ、内径面24に形成された各流体静力学的軸受パッド凹所30,40に対応している。
【0018】
図4の実施の形態では、それぞれの別個の隔離された潤滑剤通路136,146は、軸受ブシュ20シェル内に形成されており、各それぞれの流体静力学的パッド30,40と流体連通している。各それぞれの潤滑剤通路136,146は、油フィード通路22と連通しており、この油フィード通路22は、そのそれぞれの軸受パッド30,40の近位の、軸受ブシュ20シェルの軸方向端部に形成されている。各それぞれの潤滑剤通路22/136及び22/146は、油供給ラインとして示されている別個の隔離された加圧潤滑剤源50に接続されるように適応されている。
【0019】
図4Aの実施の形態では、それぞれの潤滑剤通路22/236及び22/246は、軸受ブシュシェル20の同じ軸方向端部に出口を有し、図4の実施の形態のように、油供給ライン50として示されている、別個のそれぞれの隔離された加圧潤滑剤源に接続されるように適応されている。
【0020】
図5図7は、それぞれの別個の軸受パッド30,40に別個の隔離された加圧潤滑剤源50を供給する流体静力学的軸受パッド潤滑剤供給システムの代替的な実施の形態を概略的に示している。パッドと、圧延機ロールネック14/軸受スリーブ16との間の流体静力学的軸受膜における油ライン漏れ又は妨害によって生ぜしめられるような、いずれか1つの流体静力学的パッド30,40への潤滑剤供給流又は圧力の妨害は、それ自体は、1つ又は2つ以上の潤滑剤ポンプ作動妨害によって生ぜしめられる一般的な加圧不足が存在しない限り、圧延機システムにおける他の流体静力学的パッドへの供給を妨害しない。
【0021】
図5において、軸受ブシュ20内の各流体静力学的軸受パッド30,40には、専用の別個の独立したポンプ60によって加圧潤滑剤が供給され、ポンプ60のそれぞれの出口64は、それぞれの油ライン50及び油通路236,246によって、流体静力学的軸受パッドに接続されている。図6において、複数の出口を有するポンプ160は、加圧潤滑剤を、別個の専用の出口164を通じて、別個のそれぞれの油ライン50及び油通路236,246のそれぞれに供給する。ポンプ160は、流体静力学的軸受パッド30,40へのいずれか1つの潤滑剤供給回路内の圧力の変化が、他のポンプ出口164に接続された他の潤滑剤供給回路への圧力供給を妨害しないように構成されている。本発明を実施するために使用するのに適した、適切なタイプの独立した複数出口ポンプは、ボールチェックバルブを用いるポンプである。図7において、4出口又は排出のボールチェックバルブを用いるポンプ260は、同時に、加圧潤滑剤を、4つの独立した隔離された出口264を通じて、4つの別個の流体静力学的軸受パッドへ供給する。本発明の典型的な実施の形態は、ボールチェックバルブを用いるポンプを利用しているが、あらゆる1つのポンプ出口回路が、別の出口回路における流れ体積の出口圧力の変化によって影響されない限り、1つ又は2つ以上の隔離された出口を提供するあらゆるタイプのポンプが使用されてよい。
【0022】
図8は、圧延機ロールのそれぞれのロールネックを回転可能に支持する一対の流体力学的及び流体静力学的軸受10を有する圧延機スタンドハウジング70の概略図である。1つのスタンドハウジング70は、それぞれの隔離されかつ加圧された潤滑剤供給ライン50に接続された、それぞれの独立しかつ隔離された油通路136,146をそれぞれ備えた一対のハイブリッド流体力学的及び流体静力学的軸受を有する。集合的に、各スタンドハウジングは、全部で4つの供給ライン50のための、2つの軸受10のそれぞれのための、対を成した4つの流体静力学的凹所パッド30,40を有する。各供給ライン50は、ボールチェックバルブを用いる4つの排出出口ポンプ260の出口に接続されている。条件が整えられた潤滑剤(例えば、ろ過されている、冷却されているなど)が、ポンプインテーク62へ供給される。すなわち、各圧延機スタンドハウジング70は、1つの独立した加圧潤滑剤供給ポンプ260を具備することができる。
【0023】
本発明の教示を含んだ様々な実施の形態がここに詳細に図示及び説明されているが、当業者は、さらにこれらの教示を含んだ多くのその他の変更された実施の形態を容易に考え出すことができる。
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8