(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱反応速度定数を、前記割り当てるためのユニット(38)によって割り当てられた機構に対して該定数を表す式に基づいて計算するためのユニットを含み、前記式が、少なくとも測定された一次の振幅(A1sin、A1cos)に依存していることを特徴とする請求項12に記載のデバイス。
【背景技術】
【0003】
反応機構の適切な知識は、研究室規模又は産業規模において行われる反応の条件を最適化することを可能にする。これは、例えば、生成物の生成速度を速めるようにしたり、生産量を改善したりするように試薬及び反応条件を選択することを可能にする。また、これは、治療をより効果的にしたり、検出方法をより高感度にしたりするという観点において分子間の反応速度を最適化することも可能にする。
【0004】
また、こうした知識は、特定の活量や、他の分子に対する結合可能性や、表面上の活性サイトを有する分子を選択又はスクリーニングして、こうした分子の治療適応性や、こうした分子又は表面の触媒適応性を決定することも可能にする。また、こうした知識は、我々の周りの世界を理解するのに用いられる化学反応モデルを向上させる。
【0005】
一般的に、反応の反応機構を決定することは、困難な作業である。これには、複雑な実験方法と、理論的で実践的な研究プロトコルとを用いることが必要とされ、時間がかかり、試薬のコストがかかる。
【0006】
一般的に、二種類の化学種AとBとの間の相互作用は、一組の基本的反応によって同定される。大抵の場合、その一組の基本的反応を、所定のタイムスケールにおけるA及びBの混合物の動力学を十分に表す限られた数の反応に減らすことができる。そして、反応機構が得られる。
【0007】
【数1】
という一意的なタイプの反応を用いたモデル化が、化学及び生物学の多くの場合において生じる。そして、AとBとの間の相互作用は、主に化学量論比(係数a、b、cによって与えられる)により、臨界定数k
+1及びk
−1と、熱反応速度定数K
1とによって同定される。これら三つの定数に、活性化エネルギーE
±1と、反応エンタルピーΔ
1H=E
+1−E
−1とを加えて、これら全体が、検討されている反応に関連した一組の熱反応速度定数を形成する。
【0008】
しかしながら、A及びBは多様な機構に従って相互作用し得て(例えば、A+B=Cという単純なタイプの機構や、2A+B=C、A+B=2C、A+B+C=2C等のより複雑なタイプの機構)、区別することが難しい場合がある。
【0009】
反応速度定数を決定するために、試薬を混合して、時間に対する反応の進行を測定する測定装置が知られている。
【0010】
既知の装置の一番目のタイプは、“ストップトフロー”型であり、均一な相において動作する。試薬を含む多様な溶液を、チャネル及び流体素子のシステムに通して、形成された混合物を皿に集めて、その皿において、測定デバイスを用いて、多様な特性を測定する。
【0011】
こうした装置は、満足のいくものではない。実際、こうした装置は、顕著な量の試薬を必要とするが、これは、常に入手可能とは限らず、特に、少量の分子のみが入手可能である場合や、試薬が非常に高価な場合が挙げられる。小型化が試みられてきたが、そうすると、低レイノルド数における混合物の管理が問題となる。更に、反応媒体が流体ではない場合、例えば、反応がゲルや固体を生成する場合には、こうしたデバイスを使用することができない。
【0012】
更に、この方法を実現するのに必要な流体運動が、反応を乱し得て、特に、複雑で脆弱な反応媒体(例えば、生体物を含む媒体)について、反応を乱し得る。
【0013】
既知の装置の二番目のタイプは、表面プラズモン共鳴(SPR,surface plasmon resonance)型であり、不均一相において動作する。試薬の一方を表面上に固定して、他方の試薬を含む溶液を、流体チャンバ内に注入する。反応の進行が連続的に監視される。
【0014】
しかしながら、分子/表面相互作用により、このような装置は、最も一般的に生じる状況である均一相において反応が行われる場合に生じる実際の状態を反映していない。
【0015】
更に、既知の装置の三番目のタイプは、“Tジャンプ”型であり、温度ジャンプを行って、このような温度ジャンプに対する系の応答を決定することによって反応速度の測定を行う。このタイプの装置は、静的ではない測定を行うので、一般的には、十分な分解能で反応の進行を変化を監視することができるように系の顕著な乱れを必要とし、モデル化現象がデリケートなものになり得る。更に、一般的な、顕著な量の試薬で作動させる必要がある。
【0016】
四番目のタイプの装置では、反応速度に影響を与える実験制御パラメータの周期的変化を生じさせて、異なる周波数(頻度)において試薬の濃度を表す特性を測定する。このタイプの装置は、市販されていない。
【0017】
ここで、非特許文献1には、化学緩和時間(この場合、τ=1/(k
+1+k
−1))を決定する方法が記載されている。この場合、反応に影響を与える制御パラメータは、温度である。熱励起に対する多様な遅延で得られた試薬濃度についての実験データは、化学的系の応答の振幅及び相を測定して、対応するボード線図を求めることを可能にする。緩和時間は、デジタル調整によってこれらの線図から決定される。
【0018】
用いられる方法にかかわらず、反応速度定数を計算するため、所定の機構を反応に割り当てて、割り当てられた機構に基づいて反応速度定数を決定することが一般的に知られている。これは、特に、四番目のタイプの装置の場合に当てはまり、非特許文献1において実証されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の一課題は、生成種を形成するように反応する少なくとも一つの試薬を含む化学反応の機構及び熱反応速度パラメータを決定することを確実で精度よく可能にする方法を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そのため、本発明は、上記タイプの方法に関し、以下のステップを更に含むことを特徴としている:
(a4)推定反応機構を選択するステップと、
(a5)その推定反応機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の少なくとも一つの第一特性関数(その第一特性関数は、少なくとも一つの種の濃度の一次の振動振幅から少なくとも計算される)を選択するステップと、
(a6)ステップ(a2)における周期的励起の複数の周波数から実験的に得られた一次の振動振幅から第一特性関数の複数の値を計算するステップと、
(a7)第一特性関数の計算値を分析して、その計算値に基づいて第一特性関数が一定であるかどうかを決定するステップと、
(a8)第一特性関数が一定である場合に、推定機構をその反応に割り当てるステップ。
【0022】
本発明に係る方法は、以下の特徴のうちの一つ以上を単独で又は技術的に可能な組み合わせで備え得る:
【0023】
‐ 反応に影響を与える制御パラメータは温度であり、ステップ(a1)が、所定の周波数における温度の周期的変化を含み、ステップ(a2)が、複数の温度変化の周波数を走査することを含む;
【0024】
‐ 角周波数に対して、本方法は、少なくとも一つの種の濃度の二次の振動振幅を決定することを含み、ステップ(a5)で選択される第一特性関数は、一次の振動振幅及び二次の振動振幅に基づいて計算される;
【0025】
‐ 第一特性関数は、気体定数かけるサンプルの平均温度に対する活性化エネルギーの比の無次元形に基づいて計算される;
【0026】
‐ 本方法は、推定機構に対する振動の周波数に対して不変な第二熱反応速度特性の少なくとも一つの第二特性関数を選択することを含み、その第二特性関数は、少なくとも一つの種の濃度の少なくとも一次の振動振幅から計算され、更に、本方法は、周期的励起の複数の周波数に対してステップ(a3)で得られた一次の振動振幅の測定結果から第二特性関数の複数の値を決定することと、第二特性関数の計算値を分析して、第二特性関数が一定であるかどうかを決定することとを含む;
【0027】
‐ 第二特性関数は、推定反応機構の緩和時間に基づいて計算される;
【0028】
‐ 第二特性関数は、推定反応機構の反応エンタルピーに基づいて計算される;
【0029】
‐ 本方法は、推定反応機構に対して一定ではない二次的な特性関数を選択することを含み、その二次的な特性関数は、推定反応機構に対する振動の周波数に関わらず一定の符号を有し、更に、本方法は、ステップ(a3)において得られた一次の振動振幅の測定結果から二次的な特性関数の複数の値を決定することと、それらの値の符号を分析して、符号が一定であるかどうかを決定することとを含む;
【0030】
‐ 第一特性関数は、種の濃度変化の一定項A
0、係数A
1sin、A
1cos、任意で係数A
2sin、A
2cos(それぞれ、種の濃度の一次、二次の振動振幅に対応している)、角周波数ω、及び、反応開始前の種Aの濃度の値Nの中から選択された少なくとも一つのパラメータに基づいて表現される;
【0031】
‐ 推定機構は、A+B=C、A+B=2C、2A+B=C、A+B+C=2C、A+B=C=D=A+Bというタイプの機構の中から選択される;
【0032】
‐ 本方法は、少なくとも一つの熱反応速度定数を、ステップ(a8)において割り当てられた機構に対してその定数を表す式に基づいて計算するためのステップを含み、その式は、測定された一次の振幅に依存している;
【0033】
‐ ステップ(a7)において第一特性関数が一定ではない場合、本方法は、他の推定反応機構を選択して、該他の推定反応機構に対してステップ(a5)から(a8)を繰り返すことを含む。
【0034】
また、本発明は、少なくとも一つの試薬が少なくとも一つの生成物に変換される反応の反応機構を決定するためのデバイスにも関し、そのデバイスは、
‐ 所定の実験条件下において第一試薬を第一生成物に変換する反応を生じさせるためのアセンブリであって、所定の周波数において反応に影響を与える制御パラメータの周期的変化用のユニットを備えたアセンブリと、
‐ 反応に影響を与える制御パラメータの周期的変化の複数の所定の周波数を走査するための手段と、
‐ 各周波数に対して、周期的変化の影響下で少なくとも一つの種の濃度を表す特性を測定して、種の濃度の少なくとも一次の振動振幅を決定するためのユニットと、を含み、本デバイスは、分析アセンブリを更に含み、その分析アセンブリは、
‐ 推定反応機構を選択するためのユニットと、
‐ その推定反応機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の少なくとも一つの第一特性関数(その第一特性関数は、少なくとも一つの種の濃度の一次の振動振幅から少なくとも計算される)を選択するためのユニットと、
‐ ユニットを用いて発生させた周期的励起の複数の周波数に対して実験的に得られた一次の振動振幅の測定結果から第一特性関数の複数の値を計算するためのユニットと、
‐ 第一特性関数の計算値を分析して、その計算値に基づいて第一特性関数が一定であるかどうかを決定するためのユニットと、
‐ 第一特性関数が一定である場合に、推定機構をその反応に割り当てるためのユニットと、を備えることを特徴とする。
【0035】
本発明に係るデバイスは以下の特徴を備え得る:
‐ 本デバイスは、熱反応速度定数を、割り当てユニットによって割り当てられた機構に対してその定数を表す式に基づいて計算するためのユニットを含み、その式は、少なくとも測定された一次の振幅に依存している。
【0036】
本発明は、添付図面を参照して、単に一例として与えられる以下の説明を読むことでより良く理解されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明に係る決定方法の主要ステップを示す。
【0039】
本発明に係る方法は、特に第二試薬BがAと反応する場合に、少なくとも一つの第一試薬Aが少なくとも一つの第一生成物Cに変換される反応の反応機構を決定するように設計される。
【0040】
第二試薬Bは、有利には、反応中に過剰に存在して、その濃度変化は小さい。従って、第二試薬の濃度は、有利には、第一試薬Aの濃度の2倍以上であり、特に、第一試薬Aの濃度の5倍以上である。
【0041】
種A、B、Cは任意の種類のものであり得る。これらは、例えば、液体、気体又は固体状であり、また、純粋なもの又は溶液中のものである。
【0042】
種A、B、Cは、例えば、生体分子(特に、核酸、タンパク質、薬剤、医薬品)、有機合成又は無機合成又は鉱物合成の結果の試薬、天然物、金属錯体、触媒、ナノ粒子、又は、界面における吸着サイトである。
【0043】
生じる化学反応は以下のタイプのものである:
【数2】
【0044】
AとBとの間の反応機構は、本方法を実施する前において事前にはわかっていない。本発明の目的はこれを決定することである。代わりに、AとBとの間の反応機構が推定されて、本発明の方法は、それを確かめるように設計される。
【0045】
また、本発明に係る方法は、特に、反応の進行を最適化するために又は調査されている化学的又は生物学的現象の理解を深めるために、反応機構がわかると、計算によってその反応の熱反応速度定数を決定することも目的としている。更に、反応速度定数を決定することは、工業生産に関して、分子の治療可能性又は触媒可能性の評価に関して、特に一連の分子のスクリーニングに関して、反応の容易性、及びその実施の利用可能性についての指標を提供する。
【0046】
本発明に係る方法は、有利には、
図2に示されるデバイス10で実施される。
【0047】
デバイス10は、試薬AとBとの間の反応を生じさせて、生成物Cを形成するためのアセンブリ12を含む。また、デバイス10は、アセンブリ12で生じた各反応の間に得られた結果を分析するためのアセンブリ14を含む。
【0048】
図2に示されるように、アセンブリ12は少なくとも一つの反応器16を含み、その反応器16の中において、所定の実験条件下で、第一試薬Aを第一生成物Cに変換させる(任意で、第二試薬Bが過剰に存在している)。
【0049】
更に、アセンブリ12は、反応速度に影響を与える制御パラメータを周期的に変化させるためのユニット18を含み、そのユニット18は、複数の周波数において制御パラメータを周期的に変化させることができる。
【0050】
また、アセンブリ12は、反応器16内の種A、B、Cの濃度を表す測定結果の少なくとも一次の振動振幅を測定することができる測定ユニット20も備える。有利には、測定ユニット20は、反応媒体中の第一試薬Aの濃度を表す代表的な特性の周期的変化を監視することができる。
【0051】
有利には、その代表的な特性は、反応媒体中の第一試薬Aの濃度に比例する。従って、測定ユニット20を用いて、AとBとの間の反応の進行を監視することができる。
【0052】
反応器16は、少なくとも一つのボリューム部22を含み、そのボリューム部の中に、試薬A、Bが置かれて、生成物Cが得られる。
【0053】
図8に示される特定の例では、反応器16は、互いに並列に配置された複数のボリューム部22を含み、例えば、異なる角周波数ωで同じ種に対して、又は異なる試薬に対して、複数の並列反応を生じさせる。
【0054】
ボリューム部22は、例えば、
図9に概略的に示される導管によって形成され、その導管の中に、第一試薬A、及び第二試薬B(存在する場合)が置かれる。
【0055】
この例では、各ボリューム部22は、例えば、支持プレート24上に配置されたプラスチック材料製のマトリクス23によって形成される。
【0056】
使用可能な反応アセンブリの一例は、非特許文献2に記載されている。
【0057】
この例では、支持プレート24は、各ボリューム部22の内容物に対する光学測定を可能にするように透明である。
【0058】
各ボリューム部22は、1nmから100μmの間のサイズを有し、例えば、ボリューム部が1nL以下の体積を有するようにする。
【0059】
より一般的には、ボリューム部22は、反応に影響を与える制御パラメータの角周波数の逆数よりも短い熱緩和時間を有する必要がある。
【0060】
例えば、反応ボリューム部22は、必ずしも物理的に囲まれている必要がない。つまり、反応体積部22は、反応媒体(例えば、マイクロ波によって加熱された金属コロイド表面上の液体リングや、レーザにより光エネルギーが熱に変換される集束ボリューム部)の一部で形成され得る。
【0061】
他の代替例では、ボリューム部22は、液滴を形成する。
【0062】
有利な一実施形態では、反応に影響を与える制御パラメータは、温度である。
【0063】
代わりに、反応に影響を与える制御パラメータは、圧力、種B又は他の化合物(タンパク質、塩、変性剤)の濃度、粒子流(光子、イオン)、場(電場、磁場)の中から選択される。
【0064】
制御パラメータが温度である場合、周期振動ユニット18は、各ボリューム部22の内容物を加熱するための部材26と、所定の角周波数ωに対して、加熱振幅βで、平均振幅T0周辺に対してボリューム部22内で
T=T
0・[1+β・sin(ωt)] (2)
というタイプの正弦波関数の温度振動を生成するように各加熱部材26を制御するためのモジュール28とを備える。
【0065】
温度振動は、例えば、10
−3Hzから10
9Hzの周波数範囲内に対して、0.1Kから1Kの間で変動する。加熱角周波数は、有利には、特に5rad/sから376rad/sの間である。
【0066】
図8及び
図9に示される例では、各加熱部材26は、金属導電性又は半導体性又は液体の加熱ブレードによって形成されて、そのブレードを通して電流が流される。
【0067】
このブレードは、例えば、インジウム錫酸化物等の透明抵抗材料の層で形成される。この層は、基板24の上に堆積されている。
【0068】
この層は、1マイクロメートル未満、特に、200nmから600nmの間の厚さを有し、電気化学反応の発現を防止するためにシリカコーティングによって覆われている。
【0069】
加熱部材26は、チャンバ22の表面上に均一な熱励起を生じさせることができる。
【0070】
代わりに、加熱は、レーザビーム若しくはマイクロ波電磁場の印加によって、又は、導電性である場合には反応媒体に電流を流すこと(それによってジュール効果による加熱を生じさせる)によって行われる。
【0071】
制御モジュール28は、例えば、米国のAgilent社製の33220A‐20MGHz型の発電機である。発電機は、温度に対する所望の角周波数ωの半分に等しい角周波数ω/2での正弦波交流を生じさせることができる。
【0072】
測定ユニット20は、反応に影響を与える制御パラメータの周期的変化に起因した少なくとも一つの種A、B、Cの濃度を表す特性の振動、特に、試薬Aの濃度を表す特性の少なくとも一つの振動を測定することができる。
【0073】
ユニット20は、平均温度T
0における濃度を表す代表的な特性の平均値を決定することもできるが、重要なのは、信号の他の非周期的な変化は検出が非常に困難であるという点である。逆に、同期検出増幅部が存在することによって、一次及び二次の調波に対して、温度、振幅及び位相の励起に対する化学系からの応答を比較的簡単に特性評価することができる。
【0074】
次に、較正によって、その代表的な特性の振動を濃度の振動に関連付ける。特に、その代表的な特性は濃度に比例する。
【0075】
有利には、ユニット20は、種Aの濃度変化の光学検出用のデバイスを含む。
【0076】
一実施形態では、その濃度が監視される種Aは、所定の波長において蛍光発光する一方で、Cはあまり蛍光発光しない。光学検出デバイスは、種を蛍光発光させることができる光を放出する部材と、蛍光顕微鏡等の蛍光測定装置とを含む。
【0077】
検出デバイスの一例は、非特許文献3に記載されている。
【0078】
このようなデバイスは、時間の関数として、試薬Aの濃度に比例する特性を測定して、その特性から、種Aの濃度の周期的振動、並びに関連する一定項A
0を導出することができる。
【0079】
有利には、顕微鏡には、ボリューム部22内の時間及び位置の関数として、蛍光強度を測定及び記録することができるカメラが設けられる。
【0080】
次に、上記文献に記載されているように、較正によって、蛍光強度の振動を、濃度の振動に関連付ける。
【0081】
代わりに、光電子増倍管、光ダイオード、他の光電子素子、機械的共振器、プラズモンセンサ、電気センサ、電気化学センサ等の検出器を備えた他のタイプの測定ユニット20が用いられる。
【0082】
測定ユニット20によって検出される特性は、有利には、特に、蛍光、質量、屈折率、振動線の強度、吸光度等から選択される。この特性は、測定ユニット内に存在している適切な検出器によって測定される。
【0083】
分析アセンブリ14は、測定ユニット20に接続され、例えば、コンピュータ等の計算機及びメモリを含むユニットによって形成される。
【0084】
分析アセンブリ14は、複数の推定反応機構の中から一つの推定反応機構を選択するユニット30と、ユニット30によって推定反応機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の少なくとも一つの特性関数を選択して、ユニット12に反応を生じさせるユニット32と、反応を生じさせるアセンブリ12において実験的に得られた一次の振動振幅と、任意で二次の振動振幅とから特性関数の複数の値を計算するためのユニット34とを含む。
【0085】
更に、分析アセンブリ14は、特性関数の計算値を分析して、その関数が一定であるかどうかを決定するためのユニット36と、特性関数が一定である場合に推定機構をその反応に割り当て、関数が一定ではない場合に代わりの機構を探すように方針転換するためのユニット38と含む。
【0086】
更に、分析アセンブリ14は、ユニット38によって割り当てられた反応機構に基づいて少なくとも一つの熱反応速度定数を計算するためのユニット40を含む。
【0087】
ユニット30は、以下の反応機構等の考えられる複数の反応機構を含むデータベースを含む:
A+B=C、 A+B=2C、 2A+B=C、 A+B+C=2C、 A+B=C=D=A+B等。
【0088】
ユニット30のデータベース内に存在している各機構に対して、ユニット32は、反応に影響を与える特性の振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の特性関数のデータベースを含む。
【0089】
以下の説明において、こうした特性関数をF(ω)、G(ω)、H(ω)と指称する。これらについては以下で詳細に説明する。しかしながら、重要なのは、これらが、従来探されていた関数、例えば、一次の振動の振幅及び位相(ボード線図)とは異なるという点である。何故ならば、推定機構が有効である場合、一定値は、デジタル調整なしで熱反応速度特性を得ることを可能にするからである。
【0090】
不変な熱反応速度特性は、反応の活性化エネルギーE
±1であり得て、又は、以下のその無次元形:
ε
±1=E
±1/RT
0 (3)
(ここで、Rは気体定数であり、T
0は温度である)、
又は、活性化エネルギー同士、又は無次元形同士を互いに関連付ける式であり得る。
【0091】
一実施形態では、第一特性関数F(ω)は、以下の熱反応速度特性に対応する:
ε
−1・(ε
−1−2)−ε
+1・(ε
+1−2) (4)
【0092】
第二特性関数G(ω)は、反応の緩和時間である熱反応速度特性τ
1に対応する。
【0093】
第三特性関数H(ω)は、以下の熱反応速度特性に対応する:
Δ
1H/(R・T
0) (5)
ここで、Δ
1Hは、反応エンタルピーである。
【0094】
ユニット30のデータベース内に存在している推定反応機構の各々は、少なくとも一つ、有利には少なくとも三つの対応する特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)をユニット32のデータベース内に有し、その表現は、推定反応機構に依存したものである。
【0095】
ユニット32のデータベース内に存在している各特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)は、種Aの濃度の振動の一定項A
0、係数A
1sin、A
1cos、任意で係数A
2sin、A
2cos(これらはそれぞれ、同相、直角位相における角周波数ωでの種Aの一次、二次の振動の振幅に対応している)の中から選択された少なくとも一つのパラメータの関数として表される。
【0096】
各特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)は、更に有利には、反応開始前の種Aの濃度の値N、及び/又は、角周波数ωの関数として表される。
【0097】
特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)は、以下の方法を用いて得られ、A+B=Cという機構について例示する。
【0098】
各所定の機構について、推定反応機構の化学反応速度論の式が求められる。
【0099】
上記A+B=Cという機構の場合、第二試薬Bが過剰にあると、その式は以下のように書かれる:
(dA/dt)=U・A+V (6)
U= −[k
+1・B+k
−1] (7)
V=k
−1・N (8)
ここで、Nは、ボリューム部22内に導入された試薬Aの量に等しい。
【0100】
そして、質量保存方程式を用いて、生成された種Cの濃度が得られる:
C=N−A (9)
【0101】
次に、種Aの濃度の二次までの展開で以下のようになる:
A=A
0+βA
1+β
2A
2 (10)
ここで、
A
1=A
1sin・sin(ωt)+A
1cos・cos(ωt)
A
2=A
2sin・sin(2ωt)+A
2cos・cos(2ωt) (11)
【0102】
同様に、係数U及びVを二次まで展開して以下のようになる:
U=U
0+βU
1+β
2U
2 (12)
V=V
0+βV
1+β
2V
2 (13)
【0103】
反応速度定数も二次まで展開して以下のようになる:
k
±1=k
±10+βk
±11+β
22k
±12 (13の2)
k
±10=r
±1exp(−ε
±1)
k
±11=k
±10ε
±1sin(ωt) (13の3)
k
±12=k
±10[ε
±1(ε
±1−2)]×[1−cos(2ωt)]/4 (13の4)
ここで、r
±1は、アレニウスの式に現れる指数の前の因数である。
【0104】
そして、微分方程式を異なる複数の次数まで解いて、反応速度定数の関数として、係数A
0、A
1sin、A
1cos、A
2sin、A
2cosを表す。
【0105】
0次では、以下のようになる:
【数3】
【0106】
1次では、微分方程式を解いて、以下のように係数A
1sin、A
1cosを計算することができる:
【数4】
【0107】
2次では、微分方程式から以下のようになる:
【数5】
【0108】
時間に依存しない項もあり得るが、振動の平均値に対するその寄与は、係数β
2によって重み付けされて、A
0に対して無視できる。
【0109】
得られた式(14)から(19)を直接用いて、以下のように得られる:
【数6】
【0110】
式(22)は、第三特性関数H(ω)の定義に対応している。第二特性関数は、上記の式から以下のように導出される:
【数7】
【0111】
第一特性関数F(ω)は、特に式(18)及び(19)から、以下の式で得られる:
【数8】
【0112】
同じ方法で、他の推定機構A+B=2C、2A+B=C、A+B+C=2C、A+B=C=D=A+B等に関連する特性関数を得ることができる。
【0113】
従って、上述のパラメータA
0、A
1sin、A
1cos、A
2sin、A
2cos、N、ωの関数として表される少なくとも一つの特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)は、その機構を同定するための各推定反応機構に関連している。
【0114】
反応の反応機構を決定するための本発明に係る第一の方法を、
図1を参照して以下説明する。
【0115】
本方法は、反応アセンブリ12で行われる実験段階60と、実験段階60中に測定されたデータに基づいて分析アセンブリ14で行われる分析段階62とを含む。
【0116】
実験段階60において、本方法は、反応に影響を与える制御パラメータを所定の周波数(角周波数ωに対応する)で周期的に変化させる複数の異なる実験条件下で試薬A及びBを生成物Cに変換させる反応を生じさせるためのステップ64と、周期的な変化の複数の所定の周波数を走査するためのステップ66とを含む。
【0117】
更に、本方法は、各所定の周波数に対して、種A、B、Cのうちの少なくとも一つの濃度を表す特性の少なくとも一次の振動振幅を同相及び直角位相で測定するためのステップ68を備える。そして、これによって、周期的励起に対する化学系の応答の少なくとも振幅A
1sin、A
1cosを得ることができる。
【0118】
分析段階62は、複数の推定反応機構の中から一つの推定反応機構を選択するためのステップ70と、選択された機構の振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の少なくとも一つの特性関数を選択するためのステップ72と、次に、複数の周波数について適用される周期的励起に対する化学系の周期的応答に対して行われた実験測定から選択された関数の複数の値を計算するためのステップ74とを含む。
【0119】
次に、本方法は、計算された値を分析して、関数が一定であるかどうかを決定するためのステップ76を含む。
【0120】
関数が一定である場合、本方法は、実験的に行われた反応に推定機構を割り当てるためのステップ78と、有利には、その反応に対して割り当てられた反応機構に基づいて、熱反応速度定数を計算するためのステップ80とを含む。
【0121】
関数が一定ではない場合、機構を識別するための本方法は、ステップ70に戻り、新たに推定反応機構が選択されて、全試験手順が行われる。
【0122】
最初に、ステップ64において、化学反応を、所定の実験条件下で生じさせる。こうした実験条件には、第一試薬Aの開始濃度、第一試薬Aに対して相対的に過剰な第二試薬Bが追加される可能性、平均温度T
0(その温度周囲で温度を振動させる)の決定が含まれる。
【0123】
“過剰”とは、第二試薬の濃度が第一試薬Aの濃度よりも高く、特に、試薬Aの濃度の2倍、更には3倍よりも高い。
【0124】
第一試薬A及び第二試薬B(存在する場合)がボリューム部22に導入されて、角周波数ωに対応する所定の周波数で反応に影響を与える制御パラメータの時間変調が行われる。
【0125】
有利には、反応に影響を与える制御パラメータは、温度である。反応ボリューム部22の温度を、以下の式に従って角周波数ωで温度T
0付近において変調させる:
T=T
0・[1+β・sin(ωt)] (2)
【0126】
この温度の時間変調は、ユニット18によって制御されて、例えば、加熱部材26によって引き起こされる。
【0127】
ステップ66において、反応に影響を与える制御パラメータの振動の周波数の複数のバリエーションの周波数を直列で又は並列で走査する。
【0128】
走査された周波数は、角周波数の単位で表され、例えば、5rad/sから376rad/2の間である。
【0129】
走査される周波数の数は、2以上であり、特に5以上、更には10以上、例えば2から100の間である。走査点の数が多くなるほど、ユニット40によって行われるサーモスタット定数の決定の精度が高くなる。
【0130】
測定は、調べられる角周波数が少なくとも二つの対数単位(log
10)をカバーするような間隔で行われる。更に、この間隔は、調査される反応の推定化学緩和時間の逆数周辺に中心がなければならない。対象となる間隔は、例えばボード線図のトレースに基づいたτ
1の評価の後に設定され得る。
【0131】
代わりに、関数発生器を用いて、複数の角周波数ωで同時にユニット18による励起を行い得る。ユニット20によって提供される信号の分析も、特にフーリエ分析によって並列で行われ得る。従って、“走査”との用語は、必ずしも、逐次的に行われる実験プロトコルを意味するものではない。
【0132】
各角周波数について、ステップ64で決めた変換反応を、同じ外部条件、同じ平均温度T
0、有利には同じ振幅βで行い、角周波数ωのみを変数とする。
【0133】
代わりに、振幅βを、測定毎に変化させる。しかしながら、測定された振幅は、異なる周波数で行われる異なる測定間のβの相対値の関数として補正される。
【0134】
ステップ68では、少なくとも一つの種A、B、C、特に第一試薬Aの濃度を表す特性の振動を、各所定の周波数に対して測定する。
【0135】
特に、βが略10
−2未満であり、βT
0が有利には温度K程度である場合、第一試薬Aの濃度振動を、以下の式を用いて二次まで展開することができる:
A=A
0+β[A
1sin・sin(ωt)+A
1cos・cos(ωt)]
+β
2[A
2sin・sin(2ωt)+A
2cos・cos(2ωt)] (24)
【0136】
ステップ68において、ユニット20が、各振動の周波数に対して種Aの濃度を表す特性の振動を測定して、種Aの濃度の一次の振動に対応する係数A
1cos、A
1cosを少なくとも決定し、任意で二次の振動に対応する係数A
2sin、A
2cosを決定する。
【0137】
この決定は、例えば、Zrelli等の文献に記載されている光学的方法を用いて、測定された光学信号に基づいて行われる。
【0138】
ステップ66及び68を、異なる角周波数、例えば、5rad/sから376rad/sの間の周波数で繰り返す。そして、各角周波数ωに対して一定項A
0と、i=1、任意でi=2に対して振幅A
isin、A
icosとを得ることができる。
【0139】
段階60において、これらのデータが実行アセンブリ12によって収集されると、デバイス14における分析段階62を開始する。
【0140】
この段階は、まず、対象としている反応に対する推定反応機構を選択するためのステップ60を含む。有利には、推定機構は、A+B=Cというタイプの機構である。
【0141】
代わりに、上述のように、機構のストレージユニット30に備わった他の機構を検討することができる。
【0142】
そして、ステップ72において、推定機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の少なくとも一つの特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)を選択する。
【0143】
有利には、第一特性関数F(ω)の不変熱反応速度特性は、反応の活性化エネルギーE±1であり得て、又は、以下のその無次元形:
ε
±1=E
±1/RT
0 (3)
又は、
ε
−1・(ε
−1−2)−ε
+1・(ε
+1−2) (4)
等の活性化エネルギーを互いに関連付ける表現に依存する。
【0144】
そして、熱反応速度特性の第一特性関数F(ω)が上述のように計算される。A+B=Cという機構に従うと、関数F(ω)は以下の形式で書かれる:
【数9】
ここで、Nは、試薬Aの初期濃度であり、他の項は、同相及び直角位相における種Aの濃度の一次及び二次の振動の振幅である。
【0145】
この関数F(ω)は、
図3の理論的な描写に例示されるように、A+B=Cという機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性を表す。
【0146】
逆に、A+B=2C、2A+B=C、A+B=C=D=A+B、A+B+C=2C等の他の機構に対しては、式(25)で定義される関数F(ω)は、周波数に対して不変な熱反応速度特性の表さず、周波数の関数として変化する。
【0147】
有利には、少なくとも一つの第二特性関数G(ω)は、例えば、緩和時間τ
1によって形成される振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性から計算される。
【0148】
A+B=Cという機構について上述したように、関数G(ω)は以下の形をとる:
G(ω)=−A
1cos/(ω・A
1sin) (26)
【0149】
図4に示されるように、関数G(ω)は、特定の反応機構(A+B=C、A+B+C=2C、2A+B=C、A+B=2C)に対して理論的に一定である一方、他の反応機構(A+B=C=D=A+B)に対して変化する。
【0150】
また、有利には、その反応機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性の第三特性関数H(ω)が、反応エンタルピーΔ
1Hと、気体定数R及び平均温度T
0の積R・T
0との間の比に基づいて、選択される。
【0151】
A+B=Cという機構に従うと、この関数H(ω)は以下のように書かれる:
【数10】
【0152】
図5に示されるように、関数H(ω)は、複数の機構(A+B=2C、2A+B=C、A+B+C=2C)に対して理論的に一定である一方、A+B=C=D=A+Bという機構に対して一定ではない。
【0153】
ステップ74では、一定項A
0と、一次、任意で二次まで実験的に決定された振動振幅A
1sin、A
1cos、A
2sin、A
2cosの測定結果を用いて、反応に影響を与える特性の周期的変化の複数の測定された周波数において、ステップ72で選択された各特性関数の複数の値を計算する。
【0154】
そして、実験的に測定された各周波数に対して、その周波数に対して実験的に決定された係数A
0、A
1sin、A
1cos、A
2sin、A
2cosの値を、上記式(25)から(27)に代入する。これによって、各周波数に関連した特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)の値を計算することができる。
【0155】
複数の周波数に対して、実験的に得られた一次、任意で二次の振動振幅の測定結果から、各関数F(ω)、G(ω)、H(ω)の複数の値を計算する。
【0156】
関数G(ω)、H(ω)の実験値の曲線の例が
図6、
図7に与えられている。
【0157】
そして、ステップ74において、各関数F(ω)、G(ω)、H(ω)の計算値を分析して、関数F(ω)、G(ω)、H(ω)が一定であるかどうかを決定する。
【0158】
例えば、関数の複数の値から計算され補正された実験的な標準偏差は、各角周波数に対して、測定又は評価された関数の値に対する実験的不確定性の平均値よりも低くなければならない。
【0159】
そして、特性関数F、G、Hの値が、各測定周波数において決定されて、n組のF(ω
i)、G(ω
i)、H(ω
i)の値が得られる。各値に対する不確定性が測定又は評価されて、σ
F(ω
i)、σ
G(ω
i)、σ
H(ω
i)の組が得られる。
【0160】
次に、異なる周波数に対して得られた特性関数の値の平均値を計算する: <F>=1/nΣ
iF(ω
i)、 <G>=1/nΣ
iG(ω
i)、 <H>=1/nΣ
iH(ω
i)。これによって、測定が行われた複数の周波数における関数の値からなるデータセットに対する補正された実験的標準偏差を決定することができる: E
F=√(1/(n−1)Σ
i[F(ω
i)−<F>]
2)、 E
G=√(1/(n−1)Σ
i[G(ω
i)−<G>]
2)、 E
H=√(1/(n−1)Σ
i[H(ω
i)−<H>]
2)。
【0161】
最後に、不確定性に対する平均値を計算する: <σ
F>=1/nΣ
iσ
F(ω
i)、 <σ
G>=1/nΣ
iσ
G(ω
i)、 <σ
H>=1/nΣ
iσ
H(ω
i)。
【0162】
一定であると示される関数については、 E
F≦<σ
F>、 E
G≦<σ
G>、E
H≦<σ
H>が満たされる。
【0163】
他の具体的な例では、関数に対して求められた値の補正された実験的標準偏差が、所定の閾値未満、例えば、平均値の30%未満である場合に、関数F(ω)、G(ω)、H(ω)が一定であるとされる。
【0164】
所定の機構に対して一定であると推定された各特性関数F(ω)、G(ω)、H(ω)が、ステップ74において一定であるとされた場合、ステップ78において、推定機構が反応に割り当てられる。
【0165】
特に、ステップ76後に、関数F(ω)が一定である場合、A+B=Cという反応機構が反応に割り当てられる。何故ならば、その機構が、唯一、F(ω)の一定値をもたらすことができるからである。
【0166】
一つの機構が反応に割り当てられた場合、関数G(ω)及びH(ω)によって、問題としている機構の割り当てを確かめることができる。
【0167】
逆に、ステップ76後に、推定機構に対して一定であると仮定された関数F(ω)が一定ではない場合、本方法は、ステップ70に戻り、他の推定反応機構を選択して、新たな推定反応機構に対する振動の周波数に対して不変な熱反応速度特性を表す関数の新たな表現を選択する。
【0168】
そして、ステップ74を繰り返して、新たな特性関数が実際に一定であるかどうかを決定する。
【0169】
一代替例では、特性関数G(ω)、H(ω)では、複数の推定機構を区別することが不可能な場合、割り当てステップは、その機構に対して一定ではない二次的な特性関数I(ω)の特定の値を計算して、その計算に基づいて複数の特性関数を区別する基準を決定するステップを備え得る。
【0170】
特に、特性関数F(ω)が一定ではないが、関数G(ω)及びH(ω)が一定である場合、その機構は、A+B=2C、2A+B=C、又はA+B+C=2Cというタイプのものであり得る。例えば、関数I(ω)は、角周波数ω>>1/τ
1における値F(ω)と、周波数ゼロにおける漸近値F(0)との間の差として計算される。
【0171】
その差が負である場合、2A+B=Cという機構を割り当てることができ、一方、その差が正である場合、A+B=2Cという機構と、A+B+C=2Cという機構との間での選択を行わなければならない。
【0172】
外部機構がステップ78において割り当てられると、計算ステップ80を行う。
【0173】
このステップは、熱反応速度特性の実験的な振動の振幅A
1sin、A
1cos、A
2sin、A
2cosから、活性化エネルギーE
+1、E
−1(それぞれ生成物の形成及び解離に関係している)、反応エンタルピーΔ
1H,緩和時間τ
1等を直接計算することを可能にする。
【0174】
例えば、A+B=Cという機構に対して、上記式(22)から(24)によって、多様な定数を計算することができる。
【0175】
従って、熱反応速度論的パラメータの単純で正確な評価を行うことができる。このような決定によって、特に、反応方法を最適化したり、対象(例えば、治療や触媒)としている活性を有し得る分子をスクリーニングしたりすることができる。
【0176】
本発明に係る方法は、少量の試薬で有利に実施可能であり、コストが削減される。更に、単一のサンプルのみが、変調周波数の変化に対して必要とされて、これは、本方法を単純化する。
【0177】
特定の一実施形態では、ユニット14は、決定した反応機構と、計算された熱反応速度特性を表示するためのディスプレイ手段(図示せず)を含む。