(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073361
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】直流モータによって駆動されるアクチュエータを備えた触覚式アクセルペダル、及び、触覚式アクセルペダルの制御方法
(51)【国際特許分類】
B60K 26/02 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
B60K26/02
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-546374(P2014-546374)
(86)(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公表番号】特表2015-500175(P2015-500175A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2012070722
(87)【国際公開番号】WO2013087267
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年6月12日
(31)【優先権主張番号】102011088301.0
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヴィーツェ バルケマ
(72)【発明者】
【氏名】ウド ジーバー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ヘニング
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−054860(JP,A)
【文献】
特開2010−203420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルエレメント(5)が静止位置(Pmin)から最大操作位置(Pmax)まで運動可能な信号フェーズ(tS)中、アクチュエータ(13)によって形成される操作方向(7)に対して反対向きの対抗力が前記ペダルエレメント(5)に印加される、触覚式アクセルペダル(11)の制御方法であって、
前記信号フェーズ(tS)以外では、前記ペダルエレメント(5)と前記アクチュエータ(13)との間の結合が分離されるように、前記アクチュエータ(13)を駆動し、
前記ペダルエレメント(5)の取りうるいずれの位置においても前記ペダルエレメント(5)と前記アクチュエータ(13)との間の結合が生じないアクチュエータ静止状態(P0)を、前記アクチュエータ(13)は取ることができ、
前記信号フェーズ(tS)前の準備フェーズ(tV)において、前記アクチュエータ(13)が当該アクチュエータ(13)と前記ペダルエレメント(5)との間の結合を生じない待機状態(PW)を取るが、前記待機状態(PW)から、前記アクチュエータ(13)が、前記アクチュエータ静止状態(P0)からのときに比べて短時間で前記ペダルエレメント(5)との結合に至ることができるように、前記アクチュエータ(13)を駆動する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号フェーズ(tS)後、前記アクチュエータ(13)が前記アクチュエータ静止状態(P0)を取るように、前記アクチュエータ(13)を駆動する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記待機状態(PW)は、前記ペダルエレメント(5)のその時点の位置に追従する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記触覚式アクセルペダル(11)は車両(1)用のアクセルペダルであり、
前記アクチュエータ(13)は、モータ(23)によって移動可能な操作エレメント(27)を介して前記ペダルエレメント(5)と協働することができ、前記操作エレメント(27)を介して前記操作方向(7)に対して反対向きの力を前記ペダルエレメント(5)へ作用することができ、
前記モータ(23)は、直流モータであり、かつ、トランスミッション(25)を介して前記操作エレメント(27)に結合されている、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記操作エレメント(27)及び前記ペダルエレメント(5)は、前記アクチュエータ(13)が前記操作エレメント(27)を介して前記操作方向(7)に対して反対向きの力のみを前記ペダルエレメント(5)へ作用可能なように構成されている、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記トランスミッション(25)は、2段式に構成されている、請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
車両(1)内の触覚式アクセルペダル(11)を制御するための制御装置(3)であって、
ペダルエレメント(5)が静止位置(Pmin)から最大操作位置(Pmax)まで運動可能な信号フェーズ(tS)中、アクチュエータ(13)によって形成される操作方向(7)に対して反対向きの対抗力が前記ペダルエレメント(5)に印加され、
前記信号フェーズ(tS)以外では、前記ペダルエレメント(5)と前記アクチュエータ(13)との間の結合が分離されるように、前記アクチュエータ(13)を駆動するように構成されており、
前記ペダルエレメント(5)の取りうるいずれの位置においても前記ペダルエレメント(5)と前記アクチュエータ(13)との間の結合が生じないアクチュエータ静止状態(P0)を、前記アクチュエータ(13)は取ることができ、
前記信号フェーズ(tS)前の準備フェーズ(tV)において、前記アクチュエータ(13)が当該アクチュエータ(13)と前記ペダルエレメント(5)との間の結合を生じない待機状態(PW)を取るが、前記待機状態(PW)から、前記アクチュエータ(13)が、前記アクチュエータ静止状態(P0)からのときに比べて短時間で前記ペダルエレメント(5)との結合に至ることができるように、前記アクチュエータ(13)を駆動する、
ことを特徴とする制御装置(3)。
【請求項8】
前記信号フェーズ(tS)後、前記アクチュエータ(13)が前記アクチュエータ静止状態(P0)を取るように、前記アクチュエータ(13)を駆動する、請求項7記載の制御装置(3)。
【請求項9】
前記待機状態(PW)は、前記ペダルエレメント(5)のその時点の位置に追従する、請求項7又は8記載の制御装置(3)。
【請求項10】
前記触覚式アクセルペダル(11)は車両(1)用のアクセルペダルであり、
前記アクチュエータ(13)は、モータ(23)によって移動可能な操作エレメント(27)を介して前記ペダルエレメント(5)と協働することができ、前記操作エレメント(27)を介して前記操作方向(7)に対して反対向きの力を前記ペダルエレメント(5)へ作用することができ、
前記モータ(23)は、直流モータであり、かつ、トランスミッション(25)を介して前記操作エレメント(27)に結合されている、
請求項7から9までのいずれか1項に記載の制御装置(3)。
【請求項11】
前記操作エレメント(27)及び前記ペダルエレメント(5)は、前記アクチュエータ(13)が前記操作エレメント(27)を介して前記操作方向(7)に対して反対向きの力のみを前記ペダルエレメント(5)へ作用可能なように構成されている、請求項10記載の制御装置(3)。
【請求項12】
前記トランスミッション(25)は、2段式に構成されている、請求項10又は11記載の制御装置(3)。
【請求項13】
触覚式アクセルペダル(11)と、
前記触覚式アクセルペダル(11)のアクチュエータ(13)のモータ(23)を制御する制御装置と、
を備えており、
前記制御装置は、請求項7から12までのいずれか1項に記載の制御装置(3)である、
ことを特徴とする車両(1)。
【請求項14】
前記制御装置(3)は、前記車両(1)の機関制御装置(37)内に組み込まれている、請求項13記載の車両(1)。
【請求項15】
プログラミング可能な制御装置(3)に対して請求項1から6までのいずれか1項記載の方法の実行を指示するためのコンピュータ読み出し可能な複数の命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み出し可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の触覚式アクセルペダル、及び、触覚式アクセルペダルの制御方法に関する。本発明は、さらに、相応に構成された制御装置、及び、動作時にプログラミング可能な制御装置に本発明の方法を実行させるコンピュータプログラム製品、及び、こうしたコンピュータプログラム製品を記憶したコンピュータ読み出し可能媒体に関する。
【0002】
従来技術
今日の車両では、ドライバーは車両を運転する際に供給される多数の情報によって支援される。例えば、
走行時の安全性乃至ドライバーの快適性を高め、また燃料を節約するために、求められた走行状態が信号の形態で
ドライバーにフィードバックされれば役立つはずである。こうしたフィードバックは、光学式もしくは音響式など、種々の方式で形成される。
【0003】
また、今日の車両では、付加的に車両のアクセルペダルによるドライバーへの触覚式フィードバック手段が実現されている。このためにアクセルペダルには
、アクセルペダルに意図的に所定の力を印加することのできるアクチュエータが設けられている。例えば、アクセルペダルが信号フェーズ中
にアクチュエータで形成された
変化する力によって振動され、
この振動がドライバー
によってアクセルペダルに置いた足
を介して振動ないし脈動を触覚的
として知覚
されうる。これに代えて、アクチュエータがアクセルペダルに
対向力を作用させ
てもよく、
この力は例えばアクセルペダルが所定のペダル位置以上に踏み込まれるのを
妨げ、触覚的に知覚可能な可変の圧力点を表す
。
【0004】
このように、ドライバーは
、光学信号もしくは音響信号によって例えば交通観察の注意をそらされることがなく、触覚によって示唆や警報を受け取ったり、快適性機能を利用したりすることができる
。
【0005】
DE2555429には、触覚によって知覚可能な信号(以下、触覚信号と称する)を形成する車両内の装置が記載されている。
【0006】
発明の開示
本発明の特徴によれば、車両内の触覚式アクセルペダル及びその駆動方法の有利な実施形態が得られる。この場合、各要素の構造的工夫により、本発明のアクセルペダルの重量、寸法、
及び場合により費用
を従来技術の触覚式アクセルペダルに比べて低減できる。また、触覚式アクセルペダルの動作時のエネルギ消費量及び
場合により摩耗現象も低下させることができる。
【0007】
本発明の触覚式アクセルペダルはペダルエレメントとアクチュエータとを備える。ペダルエレメントは、静止位置から操作方向で最大操作位置まで運動可能である。アクチュエータはモータによって移動可能な操作エレメントを介してペダルエレメントと協働でき、さらに、操作エレメントを介して操作方向に対して反対向きの力をペダルエレメントへ作用させることができる。ここで、アクチュエータのモータは、直流モータであり、かつ、トランスミッションを介して操作エレメントに結合されている。
【0008】
本発明で提案される触覚式アクセルペダルのコンセプトは、以下の知識に基づいている。触覚信号の形成に必要な約20Nから約100Nの大きな力をアクセルペダルのペダルエレメントへ伝達するため、従来の触覚式アクセルペダルではふつう直接駆動機構を利用していた。こうした直接駆動機構として用いられるモータは、一般に、重量及び寸法とも大きくなるか、又は、コンパクトにすると小さな空間で大きなトルクを形成しなければならないため、例えば希土類材料から成る特別な磁石を要することになる。こうした磁石は
高価である。さらに、例えば数アンペアの高い電流強度で駆動する必要がある。
【0009】
これらの欠点にもかかわらず、これまで、触覚信号の形成のための短い時間で充分に大きな力を形成するために、直接駆動機構、例えばトルクモータを利用するしかないということが基礎となっていた。
【0010】
本発明では、トルクモータを直流モータによって置換することが提案される。必要な力を形成するために、直流モータにトランスミッションが後置接続され、このトランスミッションが操作エレメントに結合される。当該操作エレメントはアクセルペダルのペダルエレメントに作用結合され、直流モータの力がペダルエレメントに伝達されるのである。
【0011】
直流モータは、トルクモータ等とは異なって、トルクを制限なしにモータ軸の回転角度全体にわたって形成できる。このため、直流モータでは、ギヤトランスミッションと対応する変換段とにより、モータトルクを
格段に大きな値へ変換することができる。このように
して、
より低い電流消費量
および重量
で、コンパクトな直流モータによって、従来の
ようにトルクモータで形成されるのと同程度のトルクを形成することができる。
【0012】
操作エレメント及びペダルエレメントは、有利には、アクチュエータが操作エレメントを介して、操作方向(ドライバーがペダルエレメントを静止位置から最大操作位置まで踏み込むことができる方向)に対して反対向きの力のみをペダルエレメントへ作用させることができるように構成される。言い換えれば、
例えば、操作エレメント及びペダルエレメントは、例えば圧力
のみもしくは
代わ
りに引張力
のみとして
、力が操作エレメントからペダルエレメントへ一方向のみに作用し、反対方向の力の伝達が生じ
えないように
のみ結合される。これにより、アクチュエータはペダルエレメントの踏み込みに対して反対向きの対抗力をペダルエレメント
に静止位置まで作用させ
ることができる一方、ペダルエレメント
はアクチュエータによって静止位置から動かさ
れることができないことが保証される。
【0013】
一方で充分な大きさの対抗力をペダルへ作用させ、他方で操作エレメントを迅速に移動させる
ことができるように、アクチュエータのトランスミッションは二段式に構成され
てよい。
【0014】
アクチュエータ内のトランスミッションを備えた直流モータの電流消費量は従来使用されている直接駆動機構に比べて格段に小さく
でき、
したがって関連する損失電力も同様に小さ
く維持できるので、アクチュエータの駆動に用いられる電子回路は、制御部、例えば自動車の既存の内燃機関制御装置に組み込むことができる。よって、触覚式アクセルペダルの駆動のためのみの付加的な制御装置を設ける必要はない。
【0015】
さらに、本発明では、触覚式アクセルペダルの制御方法が提案される。ここで、ペダルエレメントには、信号フェーズ中、アクチュエータ
によって形成される対抗力が印加される。当該対抗力とは、操作方向、すなわち、ペダルエレメントが静止位置(ゼロ位置)から最大操作位置まで運動する方向に対して反対向きに作用する力のことである。信号フェーズ以外では、アクチュエータは、ペダルエレメントとアクチュエータとの間の
作用結合が分離されるように駆動される。
【0016】
言い換えれば、ペダルエレメント及びアクチュエータは、少なくともアクチュエータが一方の方向へ操作される際にアクチュエータとペダルエレメントとの間の作用結合が分離され、アクチュエータが他方の方向へ操作される際に上記の作用結合が形成もしくは維持されてアクチュエータからペダルエレメントへの力の伝達が可能となるように構成される。
【0017】
ここで、
ペダルエレメントとアクチュエータとの間の作用結合が、
実質的に実際の信号フェーズ中のみ、すなわち、触覚信号を形成するための対抗力がペダルエレメントにかかっている期間中にのみ形成されるように
アクチュエータを駆動
する
ことが提案される。当該信号フェーズ以外の期間では、アクチュエータはペダルエレメントから切り離され、直接
に作用
し得ないようにすべきである。これにより、
信号フェーズ以外では
、ドライバーがペダルエレメントに結合されたアクチュエータによる触覚的影響を感じることなく、触覚式アクセルペダルは従来のアクセルペダルと同様にふるま
うことができることが
実現される。さらに、信号フェーズ以外では、アクチュエータ
をペダルエレメントから分離
するために短時間しかエネルギを要
さず、その後、さらなるエネルギコスト無しに静止させることができるので、アクチュエータのエネルギ消費量は小さく保つことができる。
【0018】
アクチュエータは、信号フェーズ後に静止状態を取
るように駆動され、この静止状態ではペダルエレメントの取りうる
いずれの位
置においてもペダルエレメントとアクチュエータとの作用結合が生じな
い。
【0019】
言い換えれば、アクチュエータの操作エレメントは、信号フェーズ
後、ペダルエレメントの取る位置に関係なく
、アクチュエータがペダルエレメントと協働しない
位置へ移行
される。この場合、アクチュエータは信号フェーズ後に
一度だけ静止状態へ移行
され、新たな信号フェーズが開始されてアクチュエータが再びペダルエレメントに作用結合されるまで、それ以上のエネルギ消費なしにそこに留まることができる。
【0020】
また、アクチュエータは、信号フェーズ前の準備フェーズにおいて、ペダルエレメントとアクチュエータとの間の作用結合が生じない待機状態を取
るが、
この待機状態から
、静止状態からの
ときに比べて短時間でペダルエレメントと
作用結合に至ることができるように駆動される。
【0021】
ここで、待機状態
は、例えば、アクチュエータの操作エレメントが静止状態にあるときよりもペダルエレメントの近傍に位置し、
したがってペダルエレメントとの機械的係合がより迅速に開始
可能なように選定され
うる。アクチュエータを制御する制御装置は、
例えば、近い将来、例えば次の200msのうちに、触覚信号を形成すべき
であり、この信号を形成する準備として
、できるだけ短時間でアクチュエータとペダルエレメントとの作用結合を形成可能にするために、アクチュエータを
すでに待機状態へ移行させ
ることを決定する。
【0022】
ここでの待機状態は一定に定まっている必要はなく、ペダルエレメントのその時点での位置に追従させることができる。このため、例えば、センサによってペダルエレメントのその時点での位置が検出され、適切な制御でアクチュエータの位置をペダルエレメントのその時点の位置に追従させるとよい。こうした追従制御は、準備フェーズにおいて、アクチュエータとペダルエレメントとが
未だ係合しない期間に、アクセルペダルへの障害的な影響因子
を排除
するために、アクチュエータが準備フェーズ中
にきわめて短時間
に(例えば数ミリ秒以内に)ペダルエレメントとの作用結合を形成できる位置に
つねに配されるように行われ
うる。こうして、触覚信号を迅速に形成することができる。
【0023】
本発明の方法について上述した実施形態及びこれにともなう機能は、車両内に設けられた触覚式アクセルペダルを制御するための制御装置によって実現される。
【0024】
ここで、制御装置は、適切なインタフェースを介して制御信号をアクチュエータに含まれる駆動モータへ出力するように構成される。さらに、制御装置は、例えば適切なセンサからアクチュエータもしくはアクセルペダルのその時点の位置に関する情報及び/又はアクセルペダルにかかっている力に関する情報を受信するインタフェースを備えることもできる。
【0025】
制御装置は、本発明のセンサ信号の制御及び情報評価のプロセスをハードウェア及び/又はソフトウェアとして実現できる。有利には、プログラミング可能な制御装置を上述した方法の実行のためにプログラミングできる。このために、コンピュータプログラム製品は、プログラミング可能な制御装置に上述した方法の各ステップの実行を指示するコンピュータ読み出し可能な複数の命令を含む。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み出し可能な媒体、例えばCD,DVD,フラッシュメモリ、ROM、EPROMその他に記憶される。アクチュエータによって形成される力乃至その向きを正しく制御するために、他のセンサデータの処理のほか、データベースに記憶されているか又は特性曲線の形態で記憶されている、所定の制御信号に対するアクチュエータの応働に関する情報を利用することができる。
【0026】
本発明の実施形態の特徴及び利点の一部を本発明の触覚式アクセルペダルの制御方法及び本発明の触覚式アクセルペダルの制御装置に則して説明した。当業者によれば、特に制御方法と触覚式アクセルペダルの発明の個々の特徴を任意に結合もしくは交換して、別の実施例及びさらなる相乗効果を達成できることは容易に理解されるはずである。
【0027】
以下に、本発明の実施例を図示の実施例に則して詳細に説明する。ただし明細書及び図の説明は本発明を限定するものではない。
【0028】
図は概略的なものであり、縮尺どおりに描かれていないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例の方法を実行する制御装置を備えた車両を示す図である。
【
図2】アクチュエータをペダルエレメントに対して相対的に位置づけ、本発明の実施例の方法にしたがって制御したときの時間特性を示すグラフである。
【0030】
図1には、触覚式アクセルペダル11を備えた車両1の断面図が示されている。ペダルエレメント5を踏み込むことにより、ドライバーは、ケーブル15を介して又は機関制御装置37に接続された図示されていない線路を介して、内燃機関17に車両1の加速を指示する。このためにドライバーは矢印7で示されている操作方向へペダルエレメント5を踏み込まなければならない。ペダル位置センサ21はペダルエレメント5のその時点の位置又は状態を求めることができる。ばね19は
静止状態に対して操作方向7に対して反対向きに、ペダルエレメント5
にプリテンションをかけている。
【0031】
アクセルペダル11は触覚式アクセルペダルとして構成されている。このためにアクセルペダル11にはアクチュエータ13が設けられており、このアクチュエータ13を介してペダルエレメント5が操作方向7に対して反対の所望の方向へ運動可能となり、また、当該
方向
に力を印加することができる。この場合、アクチュエータ13はペダルエレメント5を例えば揺動もしくは脈動の形態で励振でき、又は、可変の圧力点を形成できる。
【0032】
アクチュエータ13は、有利には、例えば2段式のトランスミッション25を介して操作エレメント27として用いられるディスクに結合された単純な直流モータ23によって駆動される。モータ23の操作により、操作エレメント27は矢印33で示されているように時計回りもしくは反時計回りで回転される。操作エレメント27の偏心領域にはカム31が設けられている。カム31はペダルエレメント5に設けられたタペット29と協働する。このために、タペット29は、操作エレメント27が相応の位置へ回転してきたときにカム31に係合するフォーク状の収容部35を、アクチュエータ13に向かう端部に有している。
【0033】
アクチュエータ13は機関制御装置37内に組み込まれている制御装置3によって制御される。制御装置3は、例えば危険状況を示すため、又は、燃料節約走行モードが可能であることを示すために、どの時点でアクセルペダル11を介してドライバーに触覚信号を伝達すべきかを判別する。
【0034】
制御装置3の機能を以下に
図2に関連して説明する。上方の曲線は、時間に依存するアクチュエータ13の位置もしくはアクチュエータ13の操作エレメント27の位置を示す。下方の曲線は、時間に依存するペダルエレメント5の位置もしくはタペット29の収容部35の位置を示す。ペダルエレメント5は
非操作
の静止位置P
minから最大操作位置P
maxまでの間で運動することができる。
【0035】
触覚信号が形成されない場合、制御装置3は、アクチュエータ13
を静止状態P
0へ移行し、そこにとどまるように駆動
する。モータ23は
、操作エレメント27が相応に、つまり
図1に示されているように時計回りに回転して、カム31がアクセルペダル11のタペット29に接触しない位置へ移動する
ように短時間だけ通電される。有利には、
ペダルエレメント5がその時点でどの位置を取ろうとも、カム31がタペット29と協働しない
ように、静止状態P
0は定められる。
つまり、ペダルエレメント5は、静止状態P
0にあるアクチュエータ13と係合することなく、全運動路にわたって運動可能である。
【0036】
触覚信号が形成される直前、例えば信号フェーズt
Sの開始時点t
S0の100ms前、制御装置3は準備フェーズt
V中にアクチュエータ13を駆動して待機状態P
Wへ移行させる。待機状態P
Wでは、操作エレメント27がタペット29の収容部35の近傍まで移動される。有利には、この場合、ペダルエレメント5のその時点の位置が連続的にペダル位置センサ21によって求められ、操作エレメント27がペダルエレメント5もしくは収容部35の時間的に変化する位置につねに追従するように制御される。当該追従制御は、準備フェーズt
V中、ペダルエレメント5と操作エレメント27との間の作用結合が生じ
ないが、収容部35から操作エレメント27までの距離が小さく維持されるように設定される。例えば、当該距離は、ペダルエレメント5が操作エレメント27との作用結合のために移動しなければならない角度位置を基準として、5°未満、有利には2°未満に制限される。
【0037】
触覚信号が
実際に形成されてはじめて、つまり、信号フェーズt
Sの開始時点t
S0に、制御装置3は
、操作エレメント27を回転させ、カム31がタペット29に機械的に接触するように
モータ23を対応して駆動する。制御装置3はこの場合、ペダル位置センサ21から送出されたペダルエレメント5のその時点の位置に関する情報を利用して、アクチュエータ13を意図的に駆動し、操作エレメント27が相応の位置へ回転してカム31がフォーク状の収容部35に係合するようにする。
【0038】
このようにしてアクチュエータ13がペダルエレメント5に作用結合されるとただちに、触覚信号の形成が開始され
うる。このために、例えば、制御装置3からモータ23に印加される制御電圧
は以下のように時間変化され、
すなわち、モータ23からトランスミッション25及び操作エレメント27を介して
最終的にタペット29にかかる力ひいては
ペダルエレメント5にかかる力が時間変化され、アクセルペダルが励振される
ように時間変化される。
【0039】
信号フェーズt
Sの終了
時点t
S1後、制御装置3はアクチュエータ13を再び静止状態P
0へ移行させる。なお、ペダルエレメント5は、触覚信号によって
たとえば燃料
を節約
して走行する
よう促されたドライバーによって緩められ、ばね19によって静止位置P
minへ逆方向に駆動され
る。