特許第6073376号(P6073376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073376
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】熱処理用の装置
(51)【国際特許分類】
   F27D 1/00 20060101AFI20170123BHJP
   F27D 11/12 20060101ALI20170123BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20170123BHJP
   H05B 3/44 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   F27D1/00 D
   F27D1/00 N
   F27D11/12
   H05B3/10 B
   H05B3/44
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-556940(P2014-556940)
(86)(22)【出願日】2013年1月12日
(65)【公表番号】特表2015-513058(P2015-513058A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】EP2013000074
(87)【国際公開番号】WO2013120571
(87)【国際公開日】20130822
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】102012003030.4
(32)【優先日】2012年2月17日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593129320
【氏名又は名称】ヘレーウス ノーブルライト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Noblelight GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヴェーバー
(72)【発明者】
【氏名】フランク ディール
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン リノフ
【審査官】 光本 美奈子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−515053(JP,A)
【文献】 実開昭59−017587(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/00−1/18
F27D 7/00−15/02
H05B 3/02−3/18
H05B 3/40−3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英ガラスから成る炉ライニングによって取り囲まれた、加熱すべき加熱素材が導入されるプロセス室と、加熱装置と、熱放射線を反射させる反射体とを備えた熱処理用の装置であって、
前記炉ライニングは、複数の壁エレメントを有し、該壁エレメントは、プロセス室に面した側と、プロセス室とは反対に向けられた側とを有し、前記壁エレメントのうちの少なくとも1つの壁エレメントは、複数の石英ガラス管を有しており、該石英ガラス管はSiO含有の結合材料を介して互いに結合されており、
前記石英ガラス管のうち少なくとも1つの石英ガラス管内に、加熱装置の部品である加熱エレメントが配置されていることを特徴とする、熱処理用の装置。
【請求項2】
前記SiO含有の結合材料は、同時に反射体としても結合手段としても機能する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記SiO含有の結合材料は、壁エレメントの、前記プロセス室に面した側に塗布されている、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記SiO含有の結合材料は、壁エレメントの、前記プロセス室とは反対の側に塗布されている、請求項1または2記載の装置。
【請求項5】
前記石英ガラス管は、円形の横断面を有しており、該石英ガラス管の外径は、4〜50mmの範囲にある、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
1つの壁エレメントの全ての石英ガラス管に加熱エレメントが割り当てられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記加熱エレメントは、放射器管と加熱フィラメントとを有している赤外線放射器である、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記加熱エレメントは、中波の赤外線放射のために設計されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記壁エレメントは直方体形の中空体を形成していて、該中空体の内部にプロセス室が存在している、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記直方体形の中空体は、底部プレートを形成する壁エレメントと、カバープレートを形成する壁エレメントと、中空体の側壁を形成する4つの壁エレメントとを有している、請求項9記載の装置。
【請求項11】
少なくとも2つの壁エレメントは、2つの壁エレメントが角部においてほぞ継ぎによって互いに結合されており、かつ/または第1および第2の壁エレメントの石英ガラスシリンダが角部において交互に突出していることによって、ブロック構造形式で互いに結合されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
突出している前記壁エレメントは、該壁エレメントを位置固定するために、前記炉ライニングを取り囲む炉ケースに結合されている、請求項11記載の装置。
【請求項13】
前記炉ライニングは、円筒状に形成されており、円筒周面を形成する、環状に湾曲された複数の石英ガラス管を備える壁エレメント、バープレートを形成する壁エレメントおよび部プレートを形成する壁エレメントを有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記底部プレートおよび/または前記カバープレートは、複数の石英ガラスシリンダを有しており、該石英ガラスシリンダは、SiO含有の結合材料により互いに結合されている、請求項10または13記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石英ガラスから成る炉ライニング(炉心管)により取り囲まれたプロセス室、加熱装置および反射体を含む熱処理用の装置に関する。
【0002】
このような装置は、特に600℃よりも高い温度に基板を加熱するために適している。
【0003】
先行技術
加熱素材を600℃よりも高い温度に加熱するために使用される産業用電気加熱炉では、加熱エレメントとしてしばしば赤外線放射器が使用される。赤外線放射器は、短波、中波および/または長波の赤外線を放射する。赤外線放射器は、しばしばプロセス室の内部に配置されていて、したがって高温にさらされている。それゆえに、赤外線放射器は制限された寿命を有している。
【0004】
高いプロセス温度および小さなエネルギ損失を保障するためには、これらの炉に断熱性の炉ライニングが設けられている。炉ライニングは、たとえば多くの古典的な炉において耐火粘土から成る耐熱煉瓦から成っている。しかし、耐火粘土から成る炉ライニングは比較的に高い熱容量を有している。炉のスイッチオン後に、まず炉ライニングを温める必要があるので、ライニングの高い熱容量は、炉の比較的長い昇温時間と同時に高いエネルギ損失をもたらす。さらに、耐火粘土から成る炉ライニングの使用は、プロセス室内の清浄性条件も制限する。耐火粘土から成る炉ライニングを有する炉は、高い重量を有しており、したがって制限された可動性でしか使用可能ではない。
【0005】
耐火粘土から成る炉ライニングを備えた、電気的に加熱されたマッフル焼成炉は、たとえば独国実用新案第1973753号明細書から公知である。マッフル焼成炉は、加熱装置として、石英によって取り囲まれた加熱ピラーを備えた赤外線放射器を有している。赤外線放射器は、プロセス炉のカバー壁の領域に配置されている。赤外線放射器をプロセス室内に配置することによって、たしかに短い昇温時間と、焼成素材の均一な加熱とが達成されるだろう。しかし、この炉においても、炉ライニングによって昇温時間および冷却時間は延長される。
【0006】
この場合、プロセス室内の均一な温度を達成するためには、まず炉ライニングを運転温度にまで加熱しなければならない。さらに耐火粘土から成る炉ライニングを有する炉は、小さな熱衝撃耐性しか有していないので、炉の早すぎる開放時に炉ライニングに亀裂が生じることがある。炉ライニングの長い寿命を保障するためには、プロセス室が400℃よりも低い温度に冷却されている場合にはじめて、炉が開放されることが望ましい。
【0007】
耐火粘土の他にも、別の耐火性の材料、典型的には600℃を越える使用温度を有するセラミック製品またはセラミック材料が炉ライニングとして使用される。
【0008】
特別な要求、たとえば高い清浄性を要求するプロセスのためには、石英ガラスから成る炉ライニングが使用される。石英ガラスから成る炉ライニングを備えた、基板を熱処理するための装置は、たとえば米国特許第4883424号明細書から公知である。炉ライニングは、加熱素材の迅速な加熱と冷却とを可能にする。炉ライニングは円筒状に形成されており、反射体を備えた被覆体によって冷却のために取り囲まれている。炉ライニングの内部には、ニクロム合金から成る加熱装置が配置されている。
【0009】
しかし、石英ガラスから成る炉ライニング、特に比較的大きな寸法を有する炉ライニングは、製造に手間がかかる。炉ライニングは、通常は円筒形を有しており、したがって電気加熱炉が使用される多くの用途のためには、制限されてしか適していない。
【0010】
技術的な課題設定
本発明の根底を成す課題は、炉ライニングを備えた熱処理用の装置を改良して、簡単かつ多様な形式で製造することができ、加熱素材の迅速な加熱および冷却ならびに短いプロセス時間を可能にし、長い寿命により優れている熱処理用の装置を提供することである。
【0011】
発明の概要
冒頭で述べた特徴を有する熱処理用の装置を起点として、上記課題を解決した本発明による構成によれば、炉ライニングが複数の壁エレメントを有しており、該壁エレメントは、プロセス室に面した側と、プロセス室とは反対に位置する側とを有しており、前記複数の壁エレメントのうちの少なくとも1つの壁エレメントは、複数の石英ガラス管を有しており、該石英ガラス管は、SiO含有の結合材料を介して互いに結合されている。
【0012】
石英ガラスから成る炉ライニングを備えた公知の装置に比べて、本発明による態様は、2つの重要な付加的特徴を有している。すなわち、第1には炉ライニングが複数の壁エレメントを有しており、第2には、複数の壁エレメントのうちの少なくとも1つの壁エレメントが複数の石英ガラス管を有していて、これらの石英ガラス管はSiO含有の結合材料で互いに結合されている。
【0013】
複数の壁エレメントから成る炉ライニングの構造により、炉ライニングは可変の形状、たとえば直方体、球、円筒、角錐または立方体の形状で製造され得る。炉ライニングの形状は、加熱すべき加熱素材に適合されていてもよい。個別の壁エレメントは、着脱可能に、または固定的に互いに対して結合されている。結合は、たとえば純粋に機械的な形状接続式の、つまり形状に基づく束縛による組立て、壁エレメントの圧着、圧入または接着を含む接合部を介して行われ得る。
【0014】
さらに、複数の壁エレメントのうちの少なくとも1つの壁エレメントは、複数の石英ガラス管を有している。石英ガラス管は、簡単かつ廉価に製造され得る。石英ガラス管は、中空室を有しており、該中空室は、炉ライニングの断熱に寄与する。この場合、石英ガラス管は真っ直ぐ延びていても、湾曲されていてもよい。複数の石英ガラス管をSiO含有の結合材料を用いて結合することにより、1つの壁エレメントが得られ、該壁エレメントは主に石英ガラスから成っている。このような壁エレメントは、高い耐熱性を有している。このことは、1000℃を越える高い運転温度を可能にする。
【0015】
本発明に係る炉コーティングは、耐火粘土から成る炉ライニングに比べて小さな重量、ひいては小さな熱容量を有している。これによって、装置の迅速な昇温および冷却が可能にされる。さらに装置は、高い熱衝撃耐性により優れているので、装置は高温時にも開放され得る。装置の寿命は、頻繁で速い温度変化によっても損なわれない。本発明による装置は、バッチ運転のためにも、連続運転のためにも適している。
【0016】
本発明に係る装置の有利な態様では、SiO含有の結合材料は、同時に反射体としても結合手段としても機能する。
【0017】
石英ガラス管を結合するために、SiO含有の結合材料が使用される。このSiO含有の結合材料は、たとえばスラリの形態で結合すべき石英ガラス管に塗布され、乾燥され、場合によっては焼結される。有利には、SiO含有の結合材料は、石英ガラスから成る、不透明、拡散性、高反射かつ多孔性の層である。この層は、反射特性を有しており、したがって同時に反射体として機能する。結合材料の反射特性により、装置のよりエネルギ効率的な運転が可能にされる。さらに、加熱素材は、設けられた反射層により迅速に加熱されるので、バッチ運転プロセスにおいてプロセス時間も短縮される。
【0018】
SiO含有の結合材料が、壁エレメントの、プロセス室に面した側に塗布されていると有利であることが判った。
【0019】
SiO含有の結合材料は、高い温度安定性と、熱衝撃耐性とを有している。SiO含有の結合材料が、壁エレメントの、プロセス室に面した側に塗布されていることによって、加熱素材の、エネルギ効率のよい熱処理が可能にされる。この場合、発生するエネルギ損失が最小限にされるだけでなく、壁エレメントへのエネルギ導入も減じられるので、加熱装置によりプロセス室に導入されたエネルギは、一層、加熱素材の熱処理のために使用することができる。
【0020】
択一的な実施の形態では、SiO含有の結合材料は、壁エレメントの、プロセス室とは反対に位置する側に塗布されている。
【0021】
プロセス室とは反対に位置する側に塗布されたSiO含有の結合材料も、発生するエネルギ損失の減少をもたらす。壁エレメントの、プロセス室とは反対に位置する側にコーティングが塗布されていることにより、コーティングは、比較的低い温度および温度変動にさらされている。プロセス室に面した側に塗布されているコーティングに比べて、プロセス室とは反対に位置する側に塗布されたこのようなコーティングはより高い寿命を有している。
【0022】
石英ガラス管が円形の横断面を有しており、かつ石英ガラス管の外径が、4mm〜50mmの範囲にあると有利であることが判った。
【0023】
円形の直径を有する石英ガラス管は、簡単かつ廉価に製造することができる。4mmよりも小さな外径を有する石英ガラス管は、比較的に小さな中空室しか有していないので、プロセス室の断熱に関する中空室の作用は、失われる。50mmよりも大きな外径を有する石英ガラス管は、加工に手間がかかり、装置のコンパクトな構図形式を損なう。
【0024】
本発明に係る装置の有利な態様では、複数の石英ガラス管のうちの少なくとも1つの石英ガラス管内に、加熱装置の部品である加熱エレメントが配置されている。
【0025】
石英ガラス管の内部には、1つまたは複数の加熱エレメントが配置されていてよく、複数の石英ガラス管に加熱エレメントが装備されていてよい。石英ガラス管内に加熱エレメントが配置されていることにより、照射強度の品質を損なうことなく、加熱エレメントと加熱素材との間の小さな間隔が達成される。
【0026】
1つの壁エレメントの全ての石英ガラス管に加熱エレメントが装填されていると有利である。
【0027】
1つの壁エレメントの全ての石英ガラス管に加熱エレメントが装填されていることによって、加熱素材が高い照射強度でできるだけ均質に照射されることが保障され得る。
【0028】
加熱エレメントが、放射器管と加熱フィラメントとを有する赤外線放射器であると有利であることが判った。
【0029】
赤外線放射器の形態の加熱エレメントにより、加熱素材が直接に加熱され、これにより加熱素材の迅速かつ均一な加熱が達成される。使用される赤外線放射器は、たとえば短波、中波および/または長波の赤外線放射のために設計されていてよい。赤外線放射器は、少なくとも1つの加熱フィラメントを有している。この加熱フィラメントは、たとえば石英ガラス管から成る放射器管により取り囲まれている。
【0030】
石英ガラス管が、赤外線放射器の放射器管であると有利である。
【0031】
壁エレメントの石英ガラス管が同時に赤外線放射器の放射器管であることによって、加熱エレメントと照射すべき加熱素材との間のできるだけ小さな間隔が達成され得る。さらに、石英ガラス管および放射器管において発生する放射損失が最小限にされるので、装置のエネルギ効率が改善される。
【0032】
有利な態様では、加熱エレメントが中波の赤外線放射のために設計されている。
【0033】
加熱フィラメントの保護のために不活性ガスを充填され、したがって閉じられている、短波のIR波長領域のための赤外線放射器に比べて、中波の加熱放射器の放射器管は開いていて良い。片側または両側で開いた放射器管では、加熱フィラメントには直接に手が届き、したがって特に容易かつ廉価に交換され得る。したがって本態様は、装置の組立ておよびメンテナンスを容易にする。
【0034】
本発明に係る装置の有利な態様では、壁エレメントが直方体形の中空体を形成する。
【0035】
壁エレメントは、炉ライニングの一部である。壁エレメントは、該壁エレメントが直方体形の中空体を形成するように配置されていると有利である。たとえば、直方体形の中空体は、全ての側で本発明による壁エレメントにより取り囲まれている。このような中空体は特に、断続的な運転で使用される炉のための炉コーティングとして適している。さらに、直方体形の中空体は、1つまたは2つの側で開放して形成されていてもよい。特に、2つの側で開放している炉ライニングは、継続的な連続運転における使用のために適している。
【0036】
有利な態様では、直方体形の中空体が、底部プレートを形成する壁エレメント、カバープレートを形成する壁エレメントおよび中空体の側壁を形成する4つの壁エレメントを含んでいる。
【0037】
底部プレート、カバープレートおよび4つの壁エレメントを有する直方体形の中空体の形態の炉ライニングは、特に断続的な運転において使用される炉のための炉ライニングとして適している。壁エレメントは、プロセス室を取り囲んでいて、これにより、炉ライニングは、清浄性要求が高い用途のためにも適している。炉ライニングは石英ガラスから製造されているので、プロセス条件下で炉ライニングによる重大な汚染は見込まれない。
【0038】
少なくとも2つの壁エレメントがブロック構造式に互いに結合されていると有利であることが判った。このことは、有利には2つの壁エレメントが角部において、ほぞ継ぎ(Verzinkung)により互いに結合されていて、かつ/または第1および第2の壁エレメントの石英ガラスシリンダが角部において交互に突出していることにより行われる。
【0039】
炉ライニングの壁エレメントは、たとえばほぞ継ぎまたはかみ合わせによりブロック構造形式で互いに結合されている。壁エレメントは、角部において交互に突出するか、または角部において面一に終わっている。ブロック構造形式での壁エレメントの結合により、高い機械的な負荷に耐え、同時に個別の壁エレメントの交換を可能にする接合部が得られる。
【0040】
突出している壁エレメントは、該壁エレメントの位置固定のために、炉ライニングを取り囲む炉ケースに結合されていると有利である。
【0041】
炉ケースは、たとえば鉱物繊維マットの形態の断熱材および金属薄板被覆部を有している。突出している壁エレメントは、該壁エレメントの位置固定のために着脱可能にまたは固定的に炉ケースに結合されていてよい。最も簡単な場合、壁エレメントの位置固定は、壁エレメントが断熱材および金属薄板被覆部により取り囲まれていることによって既に実現される。
【0042】
本発明に係る装置の別の有利な実施の形態では、炉ライニングが円筒形に形成されていて、円筒周面を形成する壁エレメントは、環状に湾曲された複数の石英ガラス管、カバープレートを形成する壁エレメントおよび底部プレートを形成する壁エレメントを含んでいる。
【0043】
中空円筒状の炉ライニングは、特に、加熱素材が同様に円筒形を有している場合に、加熱素材の全ての側での均一な照射を可能にする。さらに炉ライニングは、底部プレートおよびカバープレートの形態の壁エレメントを有している。
【0044】
底部プレートおよび/またはカバープレートが複数の石英ガラスシリンダを有していて、該石英ガラスシリンダがSiO含有の結合材料により互いに結合されていると有利である。
【0045】
石英ガラスシリンダから成る底部プレートおよび/またはカバープレートは、簡単かつ廉価に製造され得る。石英ガラスシリンダはさらに中空室を有している。中空室は、装置の断熱のために寄与する。さらに、複数の石英ガラスシリンダから成る底部プレートおよび/またはカバープレート内には、複数の加熱エレメントが配置されていてよく、これにより加熱素材に関してできるだけ均一な照射強度が達成される。
【0046】
有利な態様では、炉ライニングが耐火性の耐熱マットにより取り囲まれている。
【0047】
以下に本発明を実施の形態および図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】熱処理用の本発明に係る装置の壁エレメントの第1の実施の形態を示す三次元図である。
図2】熱処理用の本発明に係る装置の壁エレメントの第2の実施の形態を示す側面図である。
図3図1に示した、互いに結合された4つの壁エレメントを示す平面図である。
図4】互いに結合された4つの壁エレメントを示す三次元図である。
図5】本発明に係る装置内に位置決めされた試料の温度-時間経過を示す図である。
【0049】
図1は、本発明に係る熱処理用の装置の壁エレメントを概略的に示している。該壁エレメントには全体として符号「1」が割り当てられている。壁エレメント1は、透明な石英ガラスから成る4つの石英ガラス管4a−4dから成っている。個別の石英ガラス管4a−4dは、長さ×幅×高さ(L×B×H)で350mm×34mm×14mmの寸法を有している。面状の壁エレメントを構成するためには、石英ガラス管4a−4dは、相並んで配置されていて、SiO含有の結合材料5を介して互いに結合されている。壁エレメント1には、石英ガラス管4a−4dは平面において交互に、50mmだけ互いに対してずらされて配置されているので、石英ガラス管4aおよび4cが一方の側で、石英ガラス管4bおよび4dが他方の側で結合体から突出している。全体的な壁エレメント1は140mmの幅で400mmの長さである。
【0050】
以下に、壁エレメント1の製造を詳しく説明する。石英ガラス管4a−4dを結合させるために、SiO含有の結合材料5として、石英粉末および水から成る懸濁液が使用される。この懸濁液により4つの石英ガラス管4a−4dは順々に片面をコーティングされる。石英ガラス管4a−4dの表面に懸濁液を塗布することは、室温で自動化された噴射法により行われる。コーティングの厚さは約1ミリメートルである。乾燥の前に、片側でコーティングされた石英ガラス管4a−4dは、コーティングされた面を上方に向けて、石英ガラスから成る耐熱性の平坦な載置プレートに載置される。コーティングの直後に、石英ガラス管4a−4dは、軸方向で互いに対して押圧されるので、連続的な組付けで、材料接続式の平坦な結合体がプレートの形態で生じる。
【0051】
互いに対して圧着された石英ガラス管4a−4dは、コーティング後に脆弱な未焼成状態にある。したがって、石英ガラス管4a−4は、引き続き載置プレートと一緒に焼結炉に移送される。未焼成品の焼結は、約1240℃で2時間、空気雰囲気中で行われる。焼結後に、石英ガラス管4a−4dは互いに機械的に安定的に結合されているおり、これにより、99.9%以上の石英ガラス(SiO)から成る壁エレメント1が得られる。完成した壁エレメント1において、コーティングは、壁エレメント1の、プロセス室とは反対の側の側3に被着されている。コーティングは不透明であり、同時に反射層として働く。
【0052】
図1から図4において同一の符号が使用されている限り、それらの符号によって、図1に示した壁エレメントの実施の形態の説明につき上記で詳しく説明されたものと構造が同一または比類する構成部材および構造部分が示されている。
【0053】
壁エレメントの第2の実施の形態は、図2に概略的に示されている。図2は、壁エレメント20の側面図を示している。壁エレメント20は、4つの石英ガラスシリンダ21a,21b,21c,21dを有している。これらの石英ガラスシリンダ21a,21b,21c,21dは、SiO含有の結合材料5により互いに結合されている。石英ガラスシリンダは、相並んでかつ交互に50mmだけ互いに対してずらされて配置されている。壁エレメント20の一方の側22も、反対に位置する側(図示せず)も、結合部の領域だけがSiO含有の結合材料5でコーティングされている。個別の石英ガラスシリンダ21a,21b,21c,21dは、350mm×34mm×14mm(L×B×H)の寸法を有している。壁エレメント20全体は、140mmの幅で400mmの長さである。
【0054】
実施例1
第1の実施の形態では、熱処理用の装置(図示せず)は、直方体形の中空体の形態の炉ライニングを有している。炉ライニングは、石英ガラスから成る複数の壁エレメント1と、底部プレートと、カバープレートとを有している。
【0055】
図3は、鉛直方向に設置され、接合部を介して互いに結合された4つの壁エレメント1を上から見た平面図である。結合体には全体として符号30が割り当てられている。壁エレメント1は、壁エレメント1の、交互に互いに対して50mmずらされた端部が互いに内外に嵌め込まれてブロック構造形式で互いに結合されているように、組み立てられている。各壁エレメント1は、プロセス室31とは反対の側2と、プロセス室31に面した側3とを有している。プロセス室31に面した側3は、SiO含有の結合材料5でコーティングされている。ブロック構造で互いに結合された壁エレメント1の三次元図は図4に示されている。
【0056】
結合体30は、矩形のカバープレート(図示せず)によりカバーされている。カバープレートは、石英ガラスから成る11本の管から成っている。これらの管は、400mmの長さと、34mmの幅と、14mmの高さとを有している。これらの管は、SiO含有の結合材料5を介して互いに対して結合されている。結合は、既に壁エレメント1のために図1に関して説明したように行われる。カバープレートの個別の管は相並んで配置されている。壁エレメント1に対する差異は、カバープレートの個別の管が互いに対してずらされないで配置されていることである。矩形のカバープレートの、プロセス室に面した側は、SiO含有の結合材料5によりコーティングされている。プロセス室とは反対の側では、カバープレートはコーティングを有していない。矩形のカバープレートは、400×400×14mm(L×B×H)の寸法を有している。カバーの面積は、0.16mである。
【0057】
底部プレート(図示せず)は、同様に石英ガラスから成る複数の丸管から製造されている。該丸管は、SiO含有の結合材料5を介して互いに結合されている。底部プレートの製造のためには、10mmの外径および400mmの長さを有する10本の丸管が互いに結合されている。丸管は、1つの平面において相並んで、しかし互いに対してずらされずに配置されている。底部プレートの幅は、約100mmであり、400×100mm=0.04mの面積を有している。
【0058】
底部プレートの10本の丸管のそれぞれには、350mmの長さの加熱コイル(フィラメント)が引き込まれている。丸管の両端部は、セラミック製口金で閉じられている。各フィラメントは、400ワットの電気出力を有している。総出力は4キロワット(kW)である。底部プレートの加熱領域の面積は350×100mmの大きさであるので、4kW/0.035m=114kW/mの面出力が生じる。
【0059】
カバープレートに対する底部プレートの面積差(0.12m)が、管区分により作られている。管区分の上面には、不透明な、拡散性の高反射性の石英ガラスがコーティングされている。コーティングは、約10ナノメートル〜50マイクロメートルの直径を有する極めて多数の小さな石英小球から成っている。固く焼結された、相応して多孔性であるSiO材料の孔には空気が充填されており、該SiO材料は、極めて小さな構造に基づいて、材料のグラムあたり約5mである巨大な表面を有している。ここで説明する構造では、約670グラムの不透明な材料が固く被着されるので、約3350mの炉内室の表面が生じる。この大きな表面は、赤外線を介した石英ガラスの直接的な加熱を介した、孔内の空気の迅速で間接的な加熱を促進する。
【0060】
炉ライニングは、一層の断熱材により取り囲まれている。断熱材は、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素をベースとする耐火性の高温用マットから成っており、該マットは、25mmの厚さを有している。断熱材の外側は、金属薄板被覆部で取り囲まれている。上面を介した炉への装入を可能にするために、カバーは開放され得る。放射装置全体は、約10キログラムであり、可動性の使用のために適している。
【0061】
炉ライニングにより取り囲まれたプロセス室31内には、加熱すべき加熱素材が導入される。プロセス室31は、320mmの長さ、320mmの幅および145mmの高さを有している。
【0062】
図5には、本願に係る装置のプロセス室31の中心に位置決めされた試料の温度−時間経過が示されている。試料は、10mmの外径と、50mmの長さを有する石英ガラスの丸管である。測定試料の温度を検出するために、石英ガラスの丸管の内部にセラミック接着剤で位置固定されたNiCrNi−サーモエレメントが設けられている。測定結果が、石英ガラス管の内部への加熱フィラメントの直接的な放射によって歪曲されることを防ぐために、石英ガラスの丸管の外面は、丸管を巡って延びる金コーティングを有している。試料は、加熱領域から30mmの間隔を置いた、石英ガラスから成る置き台に載置されている。
【0063】
試料の温度を特定するために、装置は室温で運転を開始され(いわゆるコールドスタート)、電気的な全出力(4kW)にスイッチオンされた。2分後に、加熱素材の温度は260℃に達し、4分後に540℃が生じた。900℃には約17.5分後に達し、最高温度である950℃には22分後に達した。
【0064】
石英構成部品を損傷しないために、最高温度は950℃に制限され、次いで昇温段階は終了される。石英ガラス構成部分および加熱コイルが持続的に1000℃よりも下方の温度で運転される場合、炉ライニングの、10000運転時間以上のメンテナンス不要な寿命が達成される。
【0065】
次いで、800℃の保持温度を調節するために、電気的な出力は持続的な1.6kWにまで下げられる。この温度は、ガラスから成る基板に指向性の反射体、たとえば金のような金属層を被着するために適している。閉じられた構造により、放射エネルギが使用されるのではなく、加熱された空気の、発生する対流熱も、全体的な加熱のために寄与する。直線的な領域(260℃〜560℃)における温度勾配は、昇温時には約2.3k/minであり、必要となる加熱時間は最小限にされる。
【0066】
加熱プロセス後に、給電の遮断直後に構造体のカバーが取り外され、試料がトングを用いて取り出される。この場合に、試料は600℃よりも高い温度を有している。純粋な石英ガラスから成る炉の内側ライニングの優れた熱衝撃耐性に基づいて、時間を消耗する冷却段階は不要である。従来のマッフル炉に比べて総プロセス時間は数時間だけ短くされる。比較例1を参照。試料は、即座に交換されるので、プロセスは直接に再び新しく開始され得る。
【0067】
炉の新規の内側ライニングが石英ガラスから成っていて、材料および放射器自体は持続的に約1000℃までの温度に耐えるので、ベンチレータまたは冷却液による個別の構成要素の冷却は不要である。
【0068】
実施例2
装置の構造は、実施例1の装置の構造とは、互いに反対の側に位置する2つの壁エレメント1が完全に取り除かれている点で異なっている。2つの開口は、加熱すべき加熱素材を連続的に導入するための供給部である。カバーと底部とを備えた残りの両壁部として形成された新規の内側ライニングを備えた炉は、高温の、かつスイッチオンされた状態で(電気的な持続出力1.5kW)で中心に部材を装填される。置き台は、加熱領域(底部)から60mmの間隔を有している。
【0069】
実施例1で説明したような石英ガラスから成る試料は、室温から開始して、約9K/minの勾配で昇温し、3分後に600℃の温度に達し、14分後に740℃の最高温度に達する。実施例1の800℃の最高温度に対する差異は、側方の2つの開口を通じた対流熱損失により、かつ放射源と加熱素材との間の幾らか大きな間隔により説明される。
【0070】
実施例3
実施例3による炉の構造は、実施例2による装置に相当する。炉は、高温の、スイッチオンされた状態(電気的な継続出力1.5kW)で運転され、連続的な焼結プロセスのために使用される。このためには、上面に金をコーティングされた構成部材、たとえばL×B×H=1000mm×34mm×14mmの寸法を有する石英管が、コーティングの焼付けのために炉を通じてガイドされ、構成部材は200mm/minの速度で炉の高温のプロセス室を通じて運動し、反対の側から再び導出される。構成部材は、炉の外側に位置する保持体によって手動で炉を通じて運動させられる。管は底部プレートの加熱領域に対して60mmの間隔で運動する。
【0071】
炉の通過後に、管のコーティングは、極めて良好な表面密着性を有する視覚的に均質な表面を有している。表面への金の密着は、接着テープ引き剥がしテストにより求められる。このテストは、市場で自由に入手可能な接着テープ、たとえば3M社のScotch−接着テープを金めっきされた表面に被着し、再び一気に引き剥がすことを含む。金の密着性が不十分であると、金属の付着物がテープの粘着面に残る。金属をコーティングされた表面は、粒子又は異物によって汚染されていることはない。なぜならば、SiOから成る新規の炉ライニングは、汚染なしにかつ粒子発生なしに作業するからである。
【0072】
比較例1
従来のマッフル焼成炉は、24kWの電気的な皮相電力と、煉瓦張りの形態の炉ライニングと、プロセス室とを有し、該プロセス室は、L×B×H=1000mm×500mm×300mmの有効空間寸法を有している。このマッフル焼成炉内に、長さ300mm、幅34mm、高さ14mmの、一方の側で金属をコーティングされた石英管がコーティングの焼付けのために導入され、試料の温度−時間経過が求められる。昇温曲線(図示せず)は、700℃〜1000℃の間で6.6K/minの勾配を有している。炉温度は、最大1000℃に維持される。炉のスイッチオフ後、温度が600℃に達して試料の取出しのために最も早く炉が開放され得るまで5.5時間かかる。煉瓦張りの長い寿命(>1年)を亀裂形成無しに保障するために、炉は400℃以下でようやく開放されることが望ましい。なぜならば煉瓦張りの石は高い温度衝撃耐性を有していないからである。
【0073】
実施例4
装置の構成は、実施例1の装置とは、面状放射器として相並んで配置された3つの底部プレートが設けられている点で異なっている。各底部プレートは、10本の丸管を有している。該丸管は400ワットの出力を有するそれぞれ1つの加熱フィラメントを備えている。装置の電気的な総出力は、12kWである。丸管の両端部にはセラミック製口金が設けられている。3つの面状放射器(底部プレート)は、全体で400×300mm=0.12mの面積を占めている。対峙して位置するカバーの面積(0.16m)との差異は、個別の、一方の側で上面においてコーティングされた管片より設計される。
【0074】
鋼プレート(L×B×H=200mm×120mm×0.75mm)を加熱する場合、鋼プレートの表面はわずかに酸化されている。プレートと面状放射器との間の最も短い間隔は30mmである。20℃の室温から開始して、800℃の目標温度は、4分後に達成される。昇温勾配は、直線状の範囲で約4.5K/sである。
【0075】
比較例2
実施例4に示した同一の寸法および品質を有する鋼プレートを従来の赤外線モジュールを用いて短波の9つの放射線で側方から加熱する。赤外線モジュールは、100kW/mの出力密度と、38kWの電気総出力とを有している。赤外線モジュールの加熱領域は、L×B=700mm×500mmの面積を有している。加熱素材に対する加熱領域の間隔は120mmである。
【0076】
昇温勾配は、最初は約14K/sであり、急激に平坦になる。640℃の最大温度は約2分後に達成される。全ての面への高い対流損失と、高い反射性とに基づいて鋼プレートの比較的高い温度は、放射線による加熱のみでは不可能であり、800℃の目標温度を達成することはできない。プレートと加熱領域との間の比較的小さな間隔は、非現実的である。なぜならば放射器を含む周囲が、たとえ冷却したとしても、上記の温度範囲に許容不応なように加熱されるからである。
【0077】
比較例3
比較例2と同一の寸法および同一の品質を有する鋼プレートを、2つの対流赤外線モジュールを介して短波の放射線で2つの側から加熱する。赤外線モジュールは、それぞれ100kW/mの出力密度を有している。電気的な出力は、合計で75kWである。モジュールの加熱領域は、それぞれL×B=700m×500mmの面積を有している。加熱領域と加熱素材との間の間隔は120mmである。
【0078】
昇温勾配は、当初は約25K/s−30K/sである。約680℃の最大温度は、約1.5分後に生じ、800℃の目標温度には到達することができない。500℃から、周囲の著しい加熱(煙発生)が観察される。
【0079】
実施例5
択一的な実施の形態では、壁エレメントは、それ自体が加熱放射体として機能し、複数の側から同時に加熱素材を加熱するように形成されている。875mmの長さ、34mmの幅および14mmの高さを有する、石英ガラスから成る個別の5つのツイン管は、環状に湾曲され、その後に外面をコーティングされて、互いに結合されている。このようにして得られたプロセス室の内側曲率半径は、約120mmである。円弧は、間隙(約30mm)をあけている。この間隙を通じて、電気的な接続部が給電のためにプロセス室の外側の領域にガイドされる。環状の5つのツイン管は、それぞれ70cmの長さのそれぞれ2つの加熱コイルを有している。これらのツイン管は、垂直方向に上下に重なって直接に接触して1つの結合体を形成する。各加熱コイルは、0.9kWの出力を有している。装置の総出力は、9kWである。底部プレートおよびカバープレートは、実施例1に記載されるように加熱エレメントを有しない接合された個別の管から成っている。
【0080】
実施例4または比較例2または3において記載されるような鋼プレートは、中心で室内に垂直方向に位置決めされている。内壁に対する鋼プレートの平均間隔は約120mmである。約65℃であるスタート温度を起点として、約30K/sの昇温勾配で約35秒後に1000℃を越える温度が達成される。約800℃の保持温度のために、電気的な出力は1.6kWに絞られる。
【0081】
実施例6
別の実施の形態では、炉コーティングが、実施の形態1による炉コーティングとは異なっている。つまり、1つの壁エレメント1が省略されている。これによって、開いた側を通じたプロセス室への装填が有利である。装填は自動的にロボットアームにより行われる。ロボットは、加熱すべき構成部材を規定された期間だけ高温領域に、目標温度が達成されるまで保持する。その後に、構成部材は、成形工具内に入れられる。次いで、再び次の構成部材が赤外線炉内で目標温度に達するまでもたらされる。
【0082】
炭素繊維により強化されたプラスチック(CFK)、ここでは熱塑性プラスチックPPS(ポリフェニレンスルフィド)が加熱される。CFKから成るプレートは、L×B×H=180mm×85mm×4mmの寸法を有している。プレートに対する面状放射器の間隔は55mmである。
【0083】
スイッチオン後に、面状放射器は、4kWの給電で作動する。プロセス室は、CFKが高温領域に保持される前に、最初の5分で加熱される。線形の加熱範囲における昇温勾配は、CFKの放射器とは反対の側で約4.8K/sである。高温領域への加熱素材の導入後に約10秒で、電気的な加熱はスイッチオフされ、CFK表面の早期の過熱を阻止することができる。炉の内側ライニングに基づいて、壁の放射により暖かい空気(対流)に支援され、内部の温度は側面が開いているにもかかわらずさらに上昇し、CFKをプロセス室に導入してから約85秒後に、放射器とは反対の側で260℃の目標温度が達成される。続く100秒間で、温度は約0.2K/sの勾配で280℃にまでさらに上昇し、温度は数分後まで保持される。260℃への均質な加熱によりPPSは軟化するので、材料の変形は容易に可能である。
図1
図2
図3
図4
図5