(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記移動体通信網において通信端末装置が在圏しているセルで利用可能なパケットデータ網を介した音声通信が、110番への通報や119番への火災・救急の通報などの緊急呼発信の通話に対応していない場合がある。このような場合に、パケットデータ網を介した音声通信の通話中に緊急呼発信を要求する操作を行うと、音声通信の通信経路(ベアラ)をLTEのパケットデータ網からW−CDMAやCDMA2000などの第3世代(3G)の通信方式における回線交換網へ自動的に切り替えるCSFB(回線交換フォールバック)と呼ばれる通信制御が行われる(非特許文献2〜4参照)。このようなCSFBによる通信制御が行われると、上記緊急呼発信の操作時に通話中であったパケットデータ網を介した最初の音声通信は、通信端末装置が在圏していたセルの圏外に移動したとみなす圏外扱いで切断される。このように圏外扱いで音声通信が切断される場合、通信相手が所定時間(例えば最大で10秒間)通信網から切断されず、通信相手において音声通話中の状態が継続されてしまう。このため、通話相手にとっては、音声通信中の状態が継続されているにもかかわらず、それまで通話していた相手の通話中の音声が突然聞こえなくなり、困惑するという課題がある。また、通話相手が所定時間通信網から切断されないため、通信網の負荷が増大するおそれがある。
【0004】
また、上記課題は、上記パケットデータ網を介した緊急発信の音声通信と上記CSFB機能による緊急呼発信の音声通信とを混在して利用可能な通信端末装置でも起こり得る。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、移動体通信網におけるパケットデータ網を介した音声通信の通話中にCSFB機能による緊急呼発信を行う場合に通話相手にとって音声通信中の状態が継続されているにもかかわらず通話中の音声が突然聞こえなくなる状態が発生するのを防止し、かつ通信網の負荷増大を抑制することができる通信端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る通信端末装置は、回線交換網とパケットデータ網とを有する移動体通信網を介して通信可能な通信端末装置であって、前記回線交換網を介して音声通信を行う第1の音声通信手段と、前記パケットデータ網を介して音声通信を行う第2の音声通信手段と、前記第2の音声通信手段による前記パケットデータ網を介した通話中に緊急呼発信を要求する操作があったとき、前記第2の音声通信手段による前記パケットデータ網を介した通話中の音声通信を強制的に切断し、前記緊急呼発信の処理を開始するように制御する通信制御手段と、を備える。
前記通信端末装置において、前記通信制御手段は、当該通信端末装置が在圏する在圏セルが前記パケットデータ網を介した緊急呼発信に対応しないセルである場合、前記第2の音声通信手段による前記パケットデータ網を介した通話中の音声通信を強制的に切断し、前記パケットデータ網を介した通信経路を前記回線交換網を介した通信経路に切り替え、前記第1の音声通信手段による前記回線交換網を介した緊急呼発信の処理を開始するように制御してもよい。
また、前記通信端末装置において、前記通信制御手段は、当該通信端末装置が在圏する在圏セルが前記パケットデータ網を介した緊急呼発信に対応するセルである場合、前記第2の音声通信手段による前記パケットデータ網を介した通話中の音声通信を強制的に切断し、前記第2の音声通信手段による緊急呼発信の処理を開始するように制御してもよい。
また、前記通信端末装置において、前記通信制御手段は、前記第2の音声通信手段による音声通信中に緊急呼発信を行う操作があったとき、当該通信端末装置が在圏する在圏セルが前記パケットデータ網を介した緊急呼発信に対応するセルか否かを判断してもよい。
また、前記通信端末装置において、前記パケットデータ網を介した音声通信は、IMS(IP・マルチメディア・サブシステム)におけるSIP(セッション・イニシエーション・プロトコル)によって呼制御され、RTP(リアルタイム・トランスポート・プロトコル)によって音声データが送受信される音声通信であってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体通信網におけるパケットデータ網を介した音声通信の通話中にCSFB機能による緊急呼発信を行う場合に、通信相手との通話中の状態を速やかに解除できるので、通信相手にとって音声通話中の状態が継続されているにもかかわらず通話中の音声が突然聞こえなくなる状態が発生するのを防止し、かつ通信網の負荷増大を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る通信端末装置によって通話(音声通信)や各種メッセージのメール送受信が可能な通信システム全体の概略構成の一例を示す説明図である。本実施形態の通信システムでは、複数の通信端末装置10から電話サービスやメール送受信等のメール通信サービスを利用することができる。
【0010】
本実施形態の通信端末装置10は、LTE/LTE−Advancedに準拠した移動体通信網上でパケットデータ網を介した音声通信であるVoLTEに対応した通信端末装置であり、ユーザ装置(UE)とも呼ばれる。また、本実施形態の通信端末装置10は、3Gの移動体通信網上で回線交換網を介した通話機能も有し、VoLTEに対応していない通信端末装置との間では回線交換網を介して通話を行うことができる。
【0011】
更に、本実施形態の通信端末装置10は、他の通信端末装置との間でVoLTEによる通話を行っている通話中に、VoLTEに対応していない警察機関への110番の通報(以下「110番通報」という。)や消防署への119番の火災・救急通報(以下「119番通報」という。)などの緊急呼発信の通話を行うことができる。このVoLTE通話中の緊急呼発信時の処理については後述する。
【0012】
移動体通信網20は、基地局や無線ネットワーク制御装置等を含む無線アクセスネットワーク(RAN)210と、W−CDMA(広帯域符号分割多重アクセス)等の3G(第3世代)無線通信方式に対応したコアネットワーク220と、LTE/LTE−Advanced無線通信方式に対応したコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)240とを備えている。更に、移動体通信網20は、PDN(パケットデータ網)として、移動体通信網20内に構築された専用パケットデータ網230とIMS網250とを備えている。
【0013】
また、移動体通信網20は、
図1において図示が省略されているが、各利用者による通信サービスの利用を管理する通信サービス利用管理装置としてのRADIUS(リモート認証ダイヤルイン ユーザー サービス)サーバを備えている。RADIUSサーバは、通信端末装置10を用いた通信サービスの利用者を識別する認証処理、認証済みの利用者に対して通信サービスを提供するか否かを判断する処理、実際の通信サービスの利用情報を記録するアカウンティング等を行う。
【0014】
無線アクセスネットワーク210は、W−CDMA等の3G無線通信方式の基地局(NodeB)211と、LTE/LTE−Advanced無線通信方式の基地局(eNodeB)212とを備えている。各基地局211、212はそれぞれ、管轄対象のセルごとに設けられ、移動体通信網20内の有線回線からのデータを無線インタフェースに合うデータフォーマットに変換し、管轄対象のセル内に在圏している通信端末装置10に所定の無線周波数で送信する。逆に無線周波数で送信される通信端末装置10からのデータを受信して有線インタフェースに合うデータフォーマットに変換し、移動体通信網20内の有線回線部分に転送する。
【0015】
3Gのコアネットワーク220は、回線交換網、パケット交換網、位置登録管理装置としてのHLR(ホーム・ロケーション・レジスタ)221、図示しない認証センター等を備え、各通信端末装置10間の通信等を中継するように通信制御を行う。更に、コアネットワーク220は、各通信端末装置10と、移動体通信網20内の構成要素との間における通信を中継するように通信制御を行う。また、コアネットワーク220は、各通信端末装置10と他の通信網との間における通信を中継するように通信制御を行う。
【0016】
また、3Gのコアネットワーク220に含まれるパケット交換網は、SGSN(サービング・GPRS・サポート・ノード)222やGGSN(ゲートウェイ・GPRS・サポート・ノード)223等のノードを有している。SGSN222は、基地局211が接続されているRNC(無線ネットワーク制御装置)215とコアネットワーク220側のパケット交換網との間のゲートウェイ機能と、各通信端末装置10の位置管理、セキュリティ管理及びアクセス制御を行う機能とを有している。また、GGSN223は、コアネットワーク220側のパケット交換網と専用パケットデータ網230との間のゲートウェイ機能を有している。
【0017】
また、3Gのコアネットワーク220に含まれる回線交換網は、MSC(モバイル交換機)224と、GMSC(ゲートウェイMSC)225等のノードを有している。交換機224は、通信端末装置10が在圏するセルで通信端末装置10の位置情報を登録し管理するVLR(在圏・ロケーション・レジスタ)の機能と、呼制御機能とサービス制御機能との間で行なわれるインタラクションのための一連のプロセスを実行するSSF(サービス交換機能の機能も有している。また、外部の回線交換電話網60との間の音声通信などは関門交換機225を介して行うことができる。
【0018】
専用パケットデータ網230は、プロキシ(Proxy)サーバ231、ゲートウェイ(GW)サーバ232、WEBサーバ233、図示しない加入者情報データベース等を備えている。プロキシサーバ231は、通信端末装置10と、専用パケットデータ網230内に設けられたWEBサーバ233等の各種サーバ及びインターネット70上のWEBサーバやダウンロードサーバ等の各種サーバ71との間の通信を中継する処理を行う。また、プロキシサーバ231は、3Gコアネットワーク220における通信プロトコルと専用パケットデータ網230やインターネット70における通信プロトコルが異なる場合に、両通信プロトコルを合わせるためのプロトコル変換機能も有している。ゲートウェイサーバ232は、移動体通信網20内の専用パケットデータ網230とインターネット70との間のゲートウェイ機能とファイヤウォール機能とを有している。
【0019】
LTEのコアネットワーク(EPC)240は、HSS(ホーム加入者サーバ)241と、MME(モビリティ・管理・エンティティ)242と、SGW(サービング・ゲートウェイ)243と、PGW(パケットデータ網・ゲートウェイ)244と、ポリシー課金制御装置であるPCRF(ポリシー課金ルール機能)245とを備えている。HSS241は、加入者情報の管理やサービス制御などを行うサーバである。MME242は、基地局(eNodeB)212を収容し、モビリティ制御などを提供する論理ノードである。また、SGW243は、MME242とPGW244との間でユーザデータを中継したり3Gのコアネットワーク220側にユーザデータを転送したりする在圏パケットゲートウェイ(在圏パケット交換機)である。また、PGW244は、IMS網250やインターネット70との接続点に設置され、IPアドレスの割当てやSGW243へのパケット転送などを行うゲートウェイである。また、PCRF245は、ユーザデータ転送のQoS(通信サービス品質)及び課金のための制御を行う論理ノードである。
【0020】
IMS網250は、音声セッション制御を行うことができるパケットデータ網であり、P−CSCF(プロキシ−呼/セッション・制御機能)251と、S−CSCF(サービング−呼/セッション・制御機能)252と、I−CSCF(問い合わせ・呼/セッション・制御機能)253、AS(アプリケーション・サーバ)254を備える。P−CSCF251は、コアネットワーク(EPC)240との接続点に設置されるSIP中継サーバであり、SIP信号の転送だけでなく、コアネットワーク(EPC)240と連携してQoS制御を起動させる機能を有している。また、S−CSCF252は、端末のセッション制御及びユーザ認証を行うSIPサーバである。また、I−CSCF253は、相互接続・ローミングの際、外部の他のIMS網80から接続する最初の関門SIPサーバであり、S−CSCF252を特定する機能と信号を中継する機能を有している。
【0021】
AS254は、IMS等のサービスを提供するためのサーバであり、ユーザのログイン登録により加入者識別情報に基づいて、音声やビデオなどのマルチメディア・アプリケーションを各通信端末装置10に提供する。また、AS254は、通信端末装置10からのIMSサービスの登録解除要求や登録要求を受信する手段、登録解除要求に基づき利用者の利用登録を解除する処理を実行する手段、登録要求に基づき利用者の利用登録の処理を実行する手段、これらの処理が完了した旨の情報を含む登録解除完了応答又は登録完了応答を通信端末装置10に送信する手段等の機能を備えている。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係る通信端末装置10の概略構成の一例を示すブロック図である。本実施形態の通信端末装置10は、主制御部110と無線通信部111とベースバンド処理部112と音入出力部113と表示部114と操作手段としての操作部115とを備える。また、通信端末装置10は、装置本体に対して着脱可能な加入者情報記憶媒体であるICモジュールとしてのUSIM15が装着されている。
【0023】
主制御部110は、MPU(マイクロ・プロセッサ・ユニット)やRAM、ROM等からなる記憶装置を備え、所定の基本OSやミドルウェア等のプログラムが実行されることにより、ベースバンド処理部112等の各部を制御したり、ソフトウェア構成上のネイティブプラットフォーム環境やアプリケーション実行環境を構築したりする。
【0024】
主制御部110の記憶装置は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置、及び光ディスク装置のうちの少なくともいずれか一つを有する。この記憶装置は、各部での処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶装置は、ドライバプログラムとして、IEEE802.11規格の無線通信方式や移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式を実行する通信ドライバプログラム、操作部115を制御する入力デバイスドライバプログラム、表示部114を制御する出力デバイスドライバプログラム等を記憶する。また、記憶装置は、オペレーティングシステムプログラムとして、例えば、Android(登録商標)OS、iOS(登録商標)等の基本OSや、移動体通信(セルラー通信)の無線通信方式での認証等を行う接続制御プログラム等を記憶する。また、記憶装置は、アプリケーションプログラムとして、ウェブ認証を行う認証プログラム、時間を計時する計時プログラム、ウェブページを取得及び表示するウェブブラウザプログラム、電子メールを送信及び受信する電子メールプログラム等を記憶する。また、記憶装置は、各種のテキストデータ、映像データ、画像データ等を記憶したり、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶したりしてもよい。また、記憶装置は、無線LANのアクセスポイントに接続するための各種情報を記憶している。
【0025】
無線通信部111は、図示しない無線LANのアクセスポイントを介して通信する無線LAN通信手段及びセルラー通信の基地局210を介して通信する移動体通信手段として機能し、例えばシンセサイザ、周波数変換器,高周波増幅器、アンテナなどにより構成されている。無線通信部111は、基地局210との間で3GやLTEなどの所定の通信方式により無線通信するための高周波信号処理を実行する。
【0026】
ベースバンド処理部112は、他の携帯電話機やスマートフォン等の通信端末装置や各種サーバとの間で音声通信やデータ送受信の通信を行うためのデジタル処理を実行する。このベースバンド処理部112と上記無線通信部111との間はD/A変換器やA/D変換器を介して接続されている。
【0027】
音入出力部113は、マイク、スピーカ、音信号処理部等で構成されている。マイクから出力されるアナログの音声信号は、音信号処理部でデジタル信号に変換され、主制御部110やベースバンド処理部112等に送られる。スピーカは、音信号処理部でデジタル信号から変換されたアナログ信号が入力され、通話中の音声を出力したり、メールの着信音、電話の呼び出し音、音楽などを出力したりする。なお、スピーカは、通話中の音声を聞くための受話器用スピーカ(レシーバ)と、着信音や音楽などを出力する外部出力用スピーカとを別々に設けて構成してもいいし、これらの受話器用スピーカ及び外部出力用スピーカを兼用するように一つのスピーカで構成してもよい。
【0028】
表示部114は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)ディスプレイ等で構成され、主制御部110からの指令に基づいて各種画像を表示する。
【0029】
操作部115は、表示部114に組み込まれたタッチパネルや、各種の操作キーやボタン、電源ON/OFF手段としての電源スイッチなどで構成されている。この操作部115は、利用者が、通信端末装置10の本体電源をON/OFFしたり、通話開始、終話、メニュー選択、画面切り換え等を指示したり、情報を入力したりするときに用いられる。
【0030】
また、通信端末装置10は、位置情報取得手段としてのGPS(全地球測位システム)部117、撮像手段としてのカメラ部118、センサー部119、電源供給手段としての電源供給部120、図示しない時計部等も備えている。
【0031】
GPS部117は、GPS受信モジュールやGPSアンテナ等で構成され、地球の周りに配置されている複数のGPS衛星から電波を受信し、その受信結果に基づいて通信端末装置10が位置する緯度、経度及び高度のデータを算出する。
【0032】
カメラ部118は、レンズや撮像デバイス等で構成され、人物や風景等を撮影する時に用いられる。撮像デバイスとしては、CCDカメラやCMOSカメラを用いることができる。
【0033】
センサー部119は、加速度センサー及び/又は地磁気センサー等で構成されている。加速度センサーは、1軸の加速度センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の加速度センサーであってもよい。また、地磁気センサーも、1軸の地磁気センサーであっていいし、2軸や3軸等の複数軸の地磁気センサーであってもよい。このセンサー部119の出力に基づいて、通信端末装置10の位置、向き、姿勢及び動きを示すデータを算出することができる。また、センサー部119の出力に基づいて、所定高度における基準位置から利用者の通信端末装置10が移動したときの加速度データや地磁気データの時間変化の情報である履歴情報から、通信端末装置10が位置している高度、角度等を示すデータを算出することができる。
【0034】
電源供給部120は、充電可能なバッテリー、バッテリーから各部に所定電圧の電力を供給する電力供給回路、バッテリーを充電する充電回路などを備えている。時計部はクロック回路等で構成され、正確な日時を計数し、各種情報の更新処理等のための時刻情報を生成する。
【0035】
本実施形態において、通信端末装置10の主制御部110は、所定のプログラムが実行されることにより、他の無線通信部111などと協働して次の(1)〜(3)の各手段としての機能を実現可能である。
(1)移動体通信網20における3Gの回線交換網を介して音声通信を行う第1の音声通信手段。
(2)移動体通信網20におけるLTEのパケットデータ網としてのIMS網(パケットデータ網)250を介してVoLTEの音声通信を行う第2の音声通信手段。
(3)第2の音声通信手段によるIMS網250を介した音声通信中に緊急呼発信を要求する操作があったとき、第2の音声通信手段によるIMS網250を介した通話中の音声通信を強制的に切断し、緊急呼発信の処理を開始するように制御する通信制御手段。
【0036】
上記(3)の通信制御は、例えば、通信端末装置10が在圏する在圏セルがIMS網250を介した緊急呼発信に対応しないセルである場合、第2の音声通信手段によるIMS網250を介した通話中の音声通信を強制的に切断し、CSFB機能により、IMS網250を介した通信経路を3Gの回線交換網を介した通信経路に切り替え、第1の音声通信手段による3Gの回線交換網を介した緊急呼発信の処理を開始するように行う。
【0037】
また、上記(3)の通信制御は、通信端末装置10が在圏する在圏セルがIMS網250を介した緊急呼発信に対応するセルである場合、CSFB機能による緊急呼発信を行う場合との間でユーザビリティを合わせるために、第2の音声通信手段によるIMS網250を介した通話中の音声通信を強制的に切断し、第2の音声通信手段によるIMS網250を介した緊急呼発信の処理を開始するように行ってもよい。
【0038】
次に、発側端末である通信端末装置10Sと着側端末である通信端末装置10Rとの間でVoLTEによる通話中に通信端末装置10Sから警察(110番)や救急(119番)などへの緊急呼発信を行う場合の制御について説明する。ここでは、緊急呼発信の音声通信がVoLTEの音声通信に対応していない場合を想定する。この場合、LTEによる通話中に通信端末装置10Sから緊急呼発信を行うと、通信端末装置10Sは、前述のCSFB(回線交換フォールバック)機能により、音声通信の通信経路(ベアラ)をLTEのパケットデータ網から3G通信方式における回線交換網へ自動的に切り替える。このようにCSFBで3G通信方式における回線交換網に遷移する際に、最初の通話中であったVoLTEによる音声通信は、通信端末装置10Sが在圏していたセルの圏外に移動したとみなす圏外扱いで切断される。このように圏外扱いで音声通信が切断される場合、通信中の相手が所定時間(例えば最大で10秒間)通信網から切断されず、通話中の状態が継続されてしまう。このため、通話中の相手にとっては、通話中の状態が継続されているにもかかわらず、それまで音声通信を行っていた相手の通話中の音声が突然聞こえなくなるたので、困惑してしまう。また、通話中の相手は所定時間、通信網から切断されないため、通信網の負荷が増大するおそれがある。そこで、本実施形態の通信端末装置10では、以下に示すように、VoLTEの通話中に緊急呼発信を行った場合には、通話中のVoLTEの音声通信を強制的に切断し、3Gの回線交換網を介した緊急呼発信の処理を実行することにより、通話中の相手を困惑させることなく、緊急呼発信の通話を開始している。
【0039】
図3は、本実施形態に係る通信端末装置においてVoLTEの通話中に緊急呼発信を行う場合の処理手順の一例を示すシーケンス図である。また、
図4はその処理手順を実行するときの在圏セルの遷移の様子を示す説明図である。なお、通信端末装置におけるCSFB機能による通常の音声通信を行うときの処理、IMS網を介したVoLTEの音声通信が可能になるまでの処理、及びVoLTEによる通常の音声通話を行うときの処理については、公知の処理などの各種処理を適用できるため、説明を省略する。
【0040】
図3において、通信端末装置10SがVoLTEによる通話中(S301)に、緊急呼発信の操作(S302)を行うと、通信端末装置10Sは通話中のVoLTEの音声通信を強制的に切断する(S303)。その後、通信端末装置10Sは、自身が在圏しているLTEのセル212Aの基地局212を介して、LTEのコアネットワーク240のMME242に、緊急呼発信要求を送信する(S304)。
【0041】
MME242は、通信端末装置10Sから緊急呼発信要求を受信すると、音声通信に用いるセルを通信端末装置10Sが在圏するLTEのセル212Aから3Gのセル211Aに遷移させるハンドオーバー要求を、通信端末装置10Sに送信する(S305)。通信端末装置10Sは、MME242から受信したハンドオーバー要求に基づき、必要に応じてセルサーチを行い、LTEの基地局(eNodeB)212及び3Gの基地局(NodeB)211との間で所定のハンドオーバー手順を実行する(S306)。これにより、通信端末装置10Sで音声通信に用いるセルがLTEのセル212Aから3Gのセル211Aに遷移する(
図4参照)。
【0042】
次に、通信端末装置10Sは、3Gの基地局211を介してコアネットワーク220のMSC224に緊急呼発信要求を送信し(S307)、緊急受信側の電話機11との間で通常の3Gの音声発信手順(コールセットアップ手順)を実行する(S308)。これにより、通信端末装置10Sのユーザは、3Gの回線交換網を介して緊急受信側の電話機11との間で通話することができるようになる(S309)。
【0043】
以上、本実施形態によれば、VoLTEの通話中にCSFB機能による緊急呼発信を行った場合には、通話中のVoLTEの音声通信を強制的に切断し、3Gの回線交換網を介した緊急呼発信の処理を実行している。これにより、最初の通話中であったVoLTEによる音声通信が、通信端末装置10Sが在圏していたセルの圏外に移動したとみなす圏外扱いで切断される場合であっても、そのVoLTEの通信相手にとって音声通話中の状態が維持されることなく速やかに解除され、CSFB機能による緊急呼発信の通話のみを行うことができる。従って、VoLTEの通信相手にとって音声通話中の状態が継続されているにもかかわらず通話中の音声が突然聞こえなくなる状態が発生するのを防止することができ、かつ、通信網の負荷増大を抑制することができる。
【0044】
なお、上記実施形態の
図3、4の例では、緊急呼発信の音声通信がVoLTEの音声通信に対応していない場合について説明したが、本発明は、VoLTEによる緊急呼発信の音声通信と上記CSFB機能による緊急呼発信の音声通信とを混在して利用可能な場合にも同様に適用できる。VoLTEによる緊急呼発信の音声通信では、最初の通話中であったVoLTEによる音声通信が圏外扱いで切断される場合はないが、ユーザビリティを合わせるために、VoLTEの音声通信中にVoLTEによる緊急呼発信を行うとき、最初の通話中であったVoLTEの通話中の音声通信を強制的に切断し、VoLTEによる緊急呼発信の処理を開始するように制御してもよい。この制御により、VoLTEによる緊急呼発信を行う場合と上記CSFB機能による緊急呼発信を行う場合との間でユーザビリティを合わせることができる。
【0045】
また、上記実施形態において、VoLTEの音声通信中に緊急呼発信を行う操作があったとき、通信端末装置10Sが在圏する在圏セルがパケットデータ網を介したVoLTEの緊急呼発信に対応するセルか否かを判断してもよい。この場合、通信端末装置10Sの在圏セルがVoLTEの緊急呼発信に対応するセルの場合は前述のCSFB機能を実行せず、通信端末装置10Sの在圏セルがVoLTEの緊急呼発信に対応しないセルの場合は前述のCSFB機能を実行するように制御する。この制御により、通信端末装置10Sの在圏セルがVoLTEの緊急呼発信に対応するセルか否かに応じて、無駄なCSFB機能の実行を回避しつつ、緊急呼発信を確実に行うことができる。