【実施例】
【0047】
以下に実施例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。添加量の表示は、断りが無い場合は重量部である。
【0048】
[試験例1]
後述する実施例及び比較例で製造したリチウムイオン二次電池について、下記の特性を測定した。
【0049】
(初期容量測定)
初期容量を出すために0.01mAの定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、次いで4.2Vの定電圧で2時間充電した。その後、0.01mAの定電流で電圧が3Vになるまで放電した。これを3回繰り返し、3回目の放電容量を初期容量とした。
【0050】
(初期内部抵抗)
初期容量を測定したセルを4.2Vの電位にし、その電位をセンターに±20mVの電圧変化で1kHzのインピーダンスを測定した。
【0051】
(レート特性)
初期容量から放電レートを求めて、放電レート別の放電容量を測定した。充電は毎回10時間かけて定電流で4.2Vまで電圧を上げた後、4.2V定電圧で2時間充電した。その後、10時間かけて定電流で3Vになるまで放電し、このときの放電容量を0.1Cの放電容量とした。次に同様に充電した後0.1Cで求めた放電容量から1時間で放電が完了する電流値で放電しそのときの放電容量を求め1Cのときの放電容量とした。同様に、3C、10C、30Cのときの放電用量を求め、0.1Cの時の放電容量を100%としたときの容量維持率を算出した。
【0052】
(サイクル寿命)
1Cで4.2Vまで充電し、4.2Vの定電圧で2時間充電したあと1Cで放電する充放電試験を実施した。このとき、放電容量が最初の1回目の放電に対して何%になるかを計算し容量が80%をきったときの充放電回数を寿命とした。
【0053】
(フロート試験)
45℃で0.1Cで4.2Vまで充電し、4.2Vの定電圧でのインピーダンス変化をおよそ1日おきに測定した。抵抗値が2倍になった時間を寿命とした。
【0054】
(耐久試験後の電極の剥離試験)
電池を上記サイクル寿命条件で1000サイクル耐久充放電試験を行い、耐久試験後の正極及び負極から活物質層の脱離がないかを電池を分解して確認した。
【0055】
評価基準は以下の通りであった。
◎:全く脱離は見られない
○:一部脱離は見られるが、集電体は剥き出しになっていない
△:脱離が進行し、集電体の一部が剥き出しになっている
×:活物質層が完全に脱離している
【0056】
[試験例2]
後述する実施例及び比較例で製造した電気二重層型キャパシタについて、下記の特性を測定した。
【0057】
(初期容量測定)
初期容量を出すために0.01mAの定電流で電圧が2.1Vになるまで充電した。その後、0.01mAの定電流で電圧が0Vになるまで放電した。これを3回繰り返し、3回目の放電容量を初期容量とした。
【0058】
(初期内部抵抗)
初期容量を測定したセルを2.1Vの電位にし、その電位をセンターに±10mVの電圧変化で1kHzのインピーダンスを測定した。
【0059】
(レート特性)
初期容量から放電レートを求めて、放電レート別の放電容量を測定した。充電は毎回1時間かけて定電流で2.1Vまで電圧を上げ充電した。その後、1時間かけて定電流で0Vになるまで放電し、このときの放電容量を1Cの放電容量とした。次に同様に充電した後1Cで求めた放電容量から0.1時間で放電が完了する電流値で放電しそのときの放電容量を求め10Cのときの放電容量とした。同様に、30C、100C、300Cのときの放電用量を求め、1Cの時の放電容量を100%としたときの容量維持率を算出した。
【0060】
(サイクル寿命)
1Cで2.1Vまで充電したあと1Cで0Vまで放電する充放電試験を実施した。このとき、放電容量が最初の1回目の放電に対して何%になるかを計算し容量が80%を切ったときの充放電回数を寿命とした。
【0061】
(フロート試験)
60℃、1Cで2.9Vまで充電し、2.9Vの定電圧でのインピーダンス変化をおよそ1日おきに測定した。抵抗値が2倍になった時間を寿命とした。
【0062】
(耐久試験後の電極の剥離試験)
電池を上記フロート寿命条件で3000時間耐久フロート試験を行い、耐久試験後の電極集電体からの活物質層の脱離がないかを電気二重層型キャパシタを分解して確認した。
【0063】
評価基準は以下の通りであった。
◎:全く脱離は見られない
○:一部脱離は見られるが、集電体は剥き出しになっていない
△:脱離が進行し、集電体の一部が剥き出しになっている
×:活物質層が完全に脱離している
【0064】
[実施例1〜28]リチウムイオン二次電池への適応
実施例1〜28では活性水素基と結合する置換基を有する高分子と、活性水素基を有する無機粒子と、導電助剤から成る導電性アンダーコート剤組成物を正極にコートした集電体を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0065】
(導電性アンダーコート剤組成物の製造)
10Lのビーカーに水1000部を加え、25℃で攪拌しながら活性水素基と結合する置換基を有する高分子を20部加え、3時間かけて80℃まで加熱し、更に80℃で5時間均一になるまで攪拌した。25℃まで冷却した後、そこへ活性水素基を有する無機粒子を10部加え4時間かけて概ね均一になるまで攪拌した。
【0066】
上記分散液を冷却ジャケットつきのビーズミルを用いて分散した。分散を、0.3mmのジルコニアボールを充填率80%で入れ、周速15mで液温が40℃以上にならないように冷却しながら48時間連続して循環して行い、分散液を得た。
【0067】
そこへ、導電助剤としてのアセチレンブラック(電気化学工業社製;デンカブラックHS−100)を25部加え概ね均一になるまで攪拌し分散液を得た。
【0068】
上記分散液を冷却ジャケットつきのビーズミルを用いて更に分散した。分散を、0.5mmのジルコニアボールを充填率80%で入れ、周速7mで液温が30℃以上にならないように冷却しながら2回循環攪拌して行い、導電性アンダーコート剤組成物である塗工液を得た。各実施例に対応する各材料は表1に記載した通りである。
【0069】
【表1】
【0070】
※実施例で使用した表1中の材料は以下の通りである。
・シリカ(シーアイ化成株式会社製;NanoTek SiO
2=等電点のpH 1.8)
・ベーマイト(大明化学工業株式会社製;C01=等電点のpH 7.5)
・合成スメクタイト(コープケミカル株式会社製;ルーセンタイトSWN=等電点pH 10.5)
・ムライト(共立マテリアル株式会社製;KM101、等電点のpH 5.8)
・チタニア(日揮触媒化成株式会社製;PW−1010、等電点のpH 6.1 10%)
・酸化スズ(シーアイ化成株式会社製;NanoTek SnO
2、等電点のpH 6.9)
・γ−アルミナ(大明化学工業株式会社製;タイミクロンTM−300、等電点のpH 7.9)
・α−アルミナ(大明化学工業株式会社製;タイミクロンTM−D、等電点のpH 9.1)
・水酸化マグネシウム(タテホ化学工業株式会社製;エコーマグPZ−1、等電点のpH12.4)
・部分ケン化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA−235)
・変性ポリビニルアルコール1(株式会社クラレ製;クラレポバールR1130=シリル基変性ポリビニルアルコール)
・変性ポリビニルアルコール2(信越化学工業株式会社製;シアノレジンCR−S)
・カルボキシメチルセルロース(ダイセル工業株式会社製;H−CMC)
・ポリアクリルアミド(MTアクアポリマー株式会社製;アコフロックA−102)
・エポキシ樹脂(ナガセケムテックス株式会社製;EX−614)
・ポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製;エポミンP−1000 樹脂分30%)
・ポリアクリル酸エステル(MTアクアポリマー株式会社;アコフロックC−502)
・キトサン(和光純薬工業株式会社製;キトサン5)
・澱粉(日澱化学株式会社製;エステル化澱粉 乳華)
・ポリスチレンスルホン酸(東ソー有機化学株式会社製;ボリナスPS−100)
・チタンカップリング剤(株式会社マツモト交商製;オルガチックスTC−400)
・シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製;KBM−403)
【0071】
※実施例12に於いては、水1000部の代りに、水1000部とN−メチルピロリドンを500部の混合物を使用した。
※実施例16に於いては、高分子の添加量は、20部の代りに、66部とした。
※実施例21〜22に於いては、チタンカップリング剤0.5部を活性水素基を有する無機粒子を加える前に添加しプロペラ式ミキサーで25℃で均一に攪拌し、次いで無機粒子を加えた。この量は、添加したベーマイト表面に存在する活性水素基の25%と反応する量である。チタンカップリング剤添加後の等電点におけるpHは7.2であった。
※実施例23に於いては、チタンカップリング剤1部を活性水素基を有する無機粒子を加える前に添加しプロペラ式ミキサーで25℃で均一に攪拌し、次いで無機粒子を加えた。この量は、添加したベーマイト表面に存在する活性水素基の50%と反応する量である。チタンカップリング剤添加後の等電点におけるpHは7.1であった。
※実施例24に於いては、チタンカップリング剤2部を活性水素基を有する無機粒子を加える前に添加しプロペラ式ミキサーで25℃で均一に攪拌し、次いで無機粒子を加えた。この量は、添加したベーマイト表面に存在する活性水酸基の全てと反応する量である。チタンカップリング剤添加後の等電点におけるpHは7.1であった。
※実施例25に於いては、ピロメリット酸は高分子と同時に2部加えた。
※実施例26に於いては、シランカップリング剤0.8部を活性水素基を有する無機粒子を加える前に添加しプロペラ式ミキサーで25℃で均一に攪拌し、次いで無機粒子を加えた。この量は、添加したベーマイト表面に存在する活性水酸基の25%と反応する量である。シランカップリング剤添加後の等電点におけるpHは6.0であった。
※実施例27に於いては、チタンカップリング剤0.3部を活性水素基を有する無機粒子を加える前に添加しプロペラ式ミキサーで25℃で均一に攪拌し、次いで無機粒子を加えた。この量は、添加したシリカ表面に存在する活性水酸基の25%と反応する量である。チタンカップリング剤添加後の等電点におけるpHは5.9であった。
※実施例28に於いては、シランカップリング剤0.8部を活性水素基を有する無機粒子を加える前に添加しプロペラ式ミキサーで25℃で均一に攪拌し、次いで無機粒子を加えた。この量は、添加したシリカ表面に存在する活性水酸基の25%と反応する量である。シランカップリング剤添加後の等電点におけるpHは5.5であった。
【0072】
(導電コート層を形成した集電体の製造)
幅300mm、厚さ20μmの圧延アルミ箔及び幅300mm、厚さ15μmの圧延銅箔に幅200mm(銅箔への導電性アンダーコート剤組成物の塗工は実施例3のみ)、厚さ10μmで上記塗工液を塗布し、180℃温風炉で30秒乾燥させた。乾燥後の塗工膜厚はそれぞれ1μmであった。
【0073】
※実施例3に於いては、正極集電体に導電性アンダーコート剤組成物をコートする代りに、正極集電体と負極集電体の両方に導電性アンダーコート剤組成物をコートした。
【0074】
(正極の製造)
冷却ジャケット付きの10Lプラネタリーミキサーに、PVdFの15%NMP溶液(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#1120)600部、コバルト酸リチウム(日本化学工業株式会社製;C−5H)1100部、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製;デンカブラックHS−100)100部、NMP5000部を加え液温が30℃を超えないように冷却しながら均一になるまで攪拌した。これを、前記導電コート層を形成した集電体に幅180mm、厚さ200μmで塗工し、160℃温風炉で20秒乾燥させた。これを線圧400kgf/cmでロールプレスした。プレス後の正極活物質層の厚みは22μmであった。
【0075】
(負極の製造)
冷却ジャケットつきの10Lプラネタリーミキサーに、PVdFの15%NMP溶液(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#9130)600部、グラファイト(日本黒鉛株式会社製;GR−15)1150部、NMP4000部を加え液温が30℃を超えないように冷却しながら均一になるまで攪拌した。これを、前記導電コート層を形成した集電体(実施例3以外は未塗工の銅箔)に幅180mm、厚さ200μmで塗工し、120℃温風炉で2分間乾燥させた。これを線圧300kgf/cmでロールプレスした。プレス後の負極活物質層の厚みは28μmであった。
【0076】
(リチウムイオン二次電池の製造)
正極及び負極を短辺に10mmの幅で両端に活物質層が塗工されていない領域が含まれるように40mm×50mmでカットし、金属がむき出しになっている部分に正極はアルミのタブを、負極にニッケルのタブを抵抗溶接で接合した。セパレーター(セルガード株式会社製;#2400)を幅45mm、長さ120mmにカットし、3つに折り返してその間に正極及び負極が対向するように挟み込み、これを幅50mm長さ100mmのアルミラミネートセルを二つ折りにしたもので挟み、タブが当たる部分にシーラントを挟み込んだ上でシーラント部分とそれに直行する辺を熱ラミネートして袋状にした。これを100℃の真空オーブンに12時間入れて真空乾燥させ、次いでドライブローブボックス中で6フッ化リン酸リチウム/EC:DEC=1:1 1M電解液(キシダ化学株式会社製;LBG−96533)を注入し、真空含侵した後、余った電解液を扱き出し、真空シーラーで接合密封して、リチウムイオン電池を製造した。
【0077】
[実施例29〜56]電気二重層キャパシタへの適応
実施例29〜56では導電性アンダーコート剤組成物をコートした集電体を用いて電気二重層型キャパシタを製造する方法を説明する。
【0078】
(導電性アンダーコート剤組成物)
導電性アンダーコート剤組成物は実施例1〜28と同じ方法で作製し、対応する配合と製造条件を実施例29〜56とし電気二重層キャパシタを製造し、これらを用いて性能を評価した。
【0079】
(導電コート層を形成した集電体の製造)
幅300mm、厚さ20μmの圧延アルミ箔に幅200mm、厚さ10μmで実施例1〜28で作製した各種塗工液をそれぞれ塗布し、180℃温風炉で30秒乾燥させた。乾燥後の塗工膜厚は1μmであった。ただし、導電性アンダーコート剤組成物の塗工は正負極両方に対して実施したが、実施例31だけは正極にのみ塗工した。
【0080】
(電極の製造)
冷却ジャケット付きの10Lプラネタリーミキサーに、PVdFの15%NMP溶液(株式会社クレハ製;クレハKFポリマー#1120)3000部、活性炭(クラレケミカル株式会社製;クラレコールRP−20)1500部、NMP2500部を加え液温が30℃を超えないように冷却しながら均一になるまで攪拌した。これを、前記導電コート層を形成した集電体に幅180mm、厚さ200μmで塗工し、160℃温風炉で20秒乾燥させた。これを線圧400kgf/cmでロールプレスした。プレス後の電極活物質層の厚みは22μmであった。実施例31の負極に付いては、導電性アンダーコート剤組成物未塗工のアルミ箔を用いて、上記手順で電極を作製した。
【0081】
(電気二重層型キャパシタの製造)
電極を短辺に10mm活物質層が無い領域が含まれるように40mm×50mmでカットし、金属がむき出しになっている部分にアルミのタブを抵抗溶接で接合した。セパレーター(セルガード株式会社製;#2400)を幅45mm、長さ120mmにカットし、3つに折り返してその間に2枚の電極が対向するように挟み込み、これを幅50mm長さ100mmのアルミラミネートセルを二つ折りにしたもので挟み、タブが当たる部分にシーラントを挟み込んだ上でシーラント部分とそれに直行する辺を熱ラミネートして袋状にした。これを100℃の真空オーブンに12時間入れて真空乾燥させ、次いでドライブローブボックス中でホウフッ化テトラエチルアンモニウム/PC 1M電解液(キシダ化学株式会社製;CPG−00005)を注入し、真空含侵した後、余った電解液を扱き出し、真空シーラーで接合密封して、電気二重層型キャパシタを製造した。
【0082】
[比較例1]
導電性アンダーコート剤組成物をコートしていない電池集電体を用いたこと以外は実施例1と同じ方法で、リチウムイオン二次電池を製造した。
【0083】
[比較例2]
比較例2では、部分ケン化型のポリビニルアルコールと導電性助剤から成る導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方にコートした集電体を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0084】
(導電性アンダーコート剤組成物の製造)
10Lのビーカーに水1100部と部分ケン化型のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA235)を30部加え80℃で6時間均一になるまで攪拌した。そこへアセチレンブラック(電気化学工業社製;デンカブラックHS−100)を25部加え概ね均一になるまで攪拌し分散液を得た。上記分散液を冷却ジャケットつきのビーズミルを用いて分散した。分散には0.5mmのジルコニアボールを充填率80%で入れ、周速7mで液温が30℃以上にならないように冷却しながら攪拌し、導電性アンダーコート剤組成物である塗工液を得た。
【0085】
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
上記導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方の集電体にコートしたこと以外は、実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製した。
【0086】
[比較例3]
比較例3では、部分ケン化型のポリビニルアルコールとポリカルボン酸と導電性助剤から成る導電性アンダーコート剤組成物を正極にコートした集電体を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0087】
(導電性アンダーコート剤組成物の製造)
10Lのビーカーに水1000部と部分ケン化型のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA235)を20部加え80℃で6時間均一になるまで攪拌した。そこへ、ピロメリット酸を10部加え60℃で4時間均一になるまで攪拌した。そこへアセチレンブラック(電気化学工業社製;デンカブラックHS−100)を25部加え概ね均一になるまで攪拌し分散液を得た。上記分散液を冷却ジャケットつきのビーズミルを用いて分散した。分散には0.5mmのジルコニアボールを充填率80%で入れ、周速7mで液温が30℃以上にならないように冷却しながら攪拌し、導電性アンダーコート剤組成物である塗工液を得た。
【0088】
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
上記導電性アンダーコート剤組成物を正極の集電体にコートしたこと以外は、実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製した。
【0089】
[比較例4]
比較例4では、部分ケン化型のポリビニルアルコールとポリカルボン酸と導電性助剤とチタンカップリング剤から成る導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方にコートした集電体を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法を説明する。
【0090】
(導電性アンダーコート剤組成物の製造)
10Lのビーカーに水1000部と部分ケン化型のポリビニルアルコール(株式会社クラレ製;クラレポバールPVA235)を20部加え80℃で6時間均一になるまで攪拌した。そこへ、ピロメリット酸を10部加え60℃で4時間均一になるまで攪拌した。そこへアセチレンブラック(電気化学工業社製;デンカブラックHS−100)を25部加え概ね均一になるまで攪拌し分散液を得た。上記分散液を冷却ジャケットつきのビーズミルを用いて分散した。分散には0.5mmのジルコニアボールを充填率80%で入れ、周速7mで液温が30℃以上にならないように冷却しながら攪拌した。分散液にチタンカップリング剤(株式会社マツモト交商製;オルガチックスTC−400)1部を加え、室温で均一になるまで攪拌し導電性アンダーコート剤組成物である塗工液を得た。
【0091】
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
上記導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方の集電体にコートしたこと以外は、実施例1と同じ方法でリチウムイオン二次電池を作製した。
【0092】
[比較例5]
比較例5では、導電性アンダーコート剤組成物をコートしていない集電体を用いて電気二重層型キャパシタを製造する方法を説明する。
【0093】
(電気二重層型キャパシタの製造方法)
導電性アンダーコート剤組成物をコートしていない集電体を用いたこと以外は、実施例29と同じ方法で電気二重層型キャパシタを作製した。
【0094】
[比較例6]
比較例6では、比較例2で作製した導電性コート剤を正極と負極の両方にコートした集電体を用いて電気二重層キャパシタを製造する方法を説明する。
【0095】
(電気二重層型キャパシタの製造方法)
比較例2で作製した導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方にコートした集電体を用いたこと以外は、実施例29と同じ方法で電気二重層型キャパシタを作製した。
【0096】
[比較例7]
比較例7では、比較例3で作製した導電性コート剤を正極と負極の両方にコートした集電体を用いて電気二重層キャパシタを製造する方法を説明する。
【0097】
(電気二重層型キャパシタの製造方法)
比較例3で作製した導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方にコートした集電体を用いたこと以外は、実施例29と同じ方法で電気二重層型キャパシタを作製した。
【0098】
[比較例8]
比較例8では、比較例4で作製した導電性コート剤を正極と負極の両方にコートした集電体を用いて電気二重層キャパシタを製造する方法を説明する。
【0099】
(電気二重層型キャパシタの製造方法)
比較例4で作製した導電性アンダーコート剤組成物を正極と負極の両方にコートした集電体を用いたこと以外は、実施例29と同じ方法で電気二重層型キャパシタを作製した。
【0100】
[比較例9]
比較例9ではエッチング箔を用いて電気二重層型キャパシタを製造する方法を説明する。
【0101】
(電気二重層型キャパシタの製造方法)
集電体として電気二重層型キャパシタ用のアルミエッチング箔(幅300mm、厚さ20μm)を未コートで用いたこと以外は、実施例29と同じ方法で電気二重層型キャパシタを作製した。
【0102】
[リチウムイオン二次電池の特性評価]
実施例1〜28及び比較例1〜4のリチウムイオン二次電池の特性を試験例1の方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
[電気二重層キャパシタの特性評価]
実施例29〜56及び比較例5〜9の電気二重層キャパシタの特性を試験例2の方法に基づいて評価した。その結果を表3に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
【表3】