特許第6073457号(P6073457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073457電子装置、とくにはサージアレスタの異常インジケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073457
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】電子装置、とくにはサージアレスタの異常インジケータ
(51)【国際特許分類】
   H01T 4/02 20060101AFI20170123BHJP
   H01H 85/30 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H01T4/02 G
   H01H85/30
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-502172(P2015-502172)
(86)(22)【出願日】2013年3月1日
(65)【公表番号】特表2015-511761(P2015-511761A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2013054149
(87)【国際公開番号】WO2013143802
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年12月17日
(31)【優先権主張番号】102012006102.1
(32)【優先日】2012年3月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012011072.3
(32)【優先日】2012年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507059923
【氏名又は名称】デーン+シェーネ ゲーエムベーハ+ツェオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、ベルンハルド
(72)【発明者】
【氏名】ヒールル、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】アイヒェンシーア、ローランド
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭46−041122(JP,B1)
【文献】 特開平10−041045(JP,A)
【文献】 米国特許第06256183(US,B1)
【文献】 独国特許出願公開第102006000919(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102009022069(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102006034404(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 37/76
H01H 69/02
H01H 85/00 − 85/62
H01H 87/00
H01T 4/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる故障または過負荷の状態に応答する少なくとも2つの熱動式の過電流保護装置を備え、前記少なくとも2つの熱動式の過電流保護装置の各々が、故障信号の伝達を生じさせるための機械的な駆動装置を有し、その機械的な駆動装置が、故障信号伝達要素に作用するスタッドまたはピンの形態である電子装置、とくにはサージアレスタのための異常インジケータであって、
前記少なくとも2つの過電流保護装置が、前記スタッドまたはピンの方向ベクトルがその移動経路の仮想の延長と交差するように互いに対して配置され、前記それぞれのスタッドまたはピンが、移動可能なアンカのそれぞれの側面に作用し、前記アンカは、移動経路において可変の位置を有、さらに前記アンカが、アンカの移動の場合に、前記故障信号伝達要素に対して移動および力の伝達が作用するさらなる側面を有し、このために、このさらなる側面が、前記スタッドまたはピンのうちの1つのスタッドまたはピンの移動に起因する力の方向の変化を得るための少なくとも1つのくさび斜面を含むことを特徴とする異常インジケータ。
【請求項2】
前記アンカの移動が、横移動または枢動運動であることを特徴とする請求項1に記載の異常インジケータ。
【請求項3】
前記過電流保護装置が、それぞれに隣接する機械的な駆動装置が互いに対して実質的に垂直に向くように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の異常インジケータ。
【請求項4】
前記アンカの横移動を、スイッチ装置または同様の手段を作動させるための枢動運動へと変換するために、前記アンカ上にレバーアームが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異常インジケータ。
【請求項5】
前記アンカが、該アンカの前記さらなる側面に、前記故障信号伝達要素と相互作用する2つの対向するくさび斜面を備えており、前記故障信号伝達要素が、その故障信号伝達要素の移動の方向に案内される態様で取り付けられ、2つの相補的なくさび斜面を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の異常インジケータ。
【請求項6】
前記アンカが、振り子式の物体として構成され、該振り子式の物体の往復運動にて可動且つその往復運動に対して垂直に可動であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の異常インジケータ。
【請求項7】
前記それぞれの過電流保護装置または前記電子装置の状態に関する正確な損傷の特定が可能であるように、前記アンカが、非作用の側面にマーキングを備え、そのマーキングを、前記過電流保護装置のうちの1つの過電流保護装置の作動時に実行される前記アンカの移動に応じて、前記電子装置の窓にて視認できることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の異常インジケータ。
【請求項8】
前記アンカが、前記故障信号伝達要素の、請求項5に記載の前記相補的なくさび斜面によって所定の位置に保持され、このために前記故障信号伝達要素が機械的に付勢されていることを特徴とする請求項5または7に記載の異常インジケータ。
【請求項9】
多極の過電圧保護装置に使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の異常インジケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる故障または過負荷の状態に応答する少なくとも2つの熱動式の過電流保護装置を備える電子装置、とくにはサージアレスタのための異常インジケータであって、前記少なくとも2つの熱動式の過電流保護装置の各々が、故障信号の伝達を生じさせるための機械的な駆動装置を有し、この機械的な駆動装置が、故障信号伝達要素に作用するスタッドまたはピンの形態である請求項1に記載の異常インジケータに関する。
【背景技術】
【0002】
文献DE 10 2006 000 919.3は、1つまたは幾つかのサージ保護素子を備える差し込み式のサージアレスタを開示している。サージ保護素子は、視覚による故障インジケータを備える構造ユニット内に配置されている。さらに、故障を知らせるためにリモート信号接点を作動させるための機械的な駆動装置を備える熱動式の過電流保護装置が設けられている。
【0003】
この引用の先行技術の装置によれば、リモート信号接点として好ましく使用されるマイクロスイッチの誤った作動を回避するための一定の公差の連なりに基づく革新的な構造を生み出すことによって、故障を知らせるためのリモート信号接点の確実な作動が達成される。この文献で導入された構造は、不都合な揺動を回避し、アレスタの差し込み方向に対して垂直なスライド移動を専ら実行するためのものである。この目的のため、アレスタの差し込み方向を横切る方向に可動で、ストッパとして作用する弾性舌を備える直線的に案内されたスライダが設けられる。前記弾性舌の自由端は、ロック要素により阻止される。熱動式の過電流保護装置は、作動時に前記舌の自由端に作用し且つその自由端を阻止位置から移動させる駆動ピンに合うよう作られている。スライダは、アレスタのハウジングの対応する開口を貫く自由なウェブ状の部位を有する。スライダは、駆動ピンが舌の自由端に作用するとすぐに解放され、長手方向の変位を実行できる。この文献に記載の好ましい実施形態によれば、熱動式の過電流保護装置が、円柱形を有し、ばねによって付勢された駆動ピンが一体化されている。上述の舌の自由端の枢動の方向および熱動式の過電流保護装置の駆動ストライカピンの移動の方向は1つの軸上に配置され、即ちその2つの方向は実質的に一致する。
【0004】
スライダの一つの実施形態では、スライダのインジケータ面が、色によるマーキングを備えることができ、或いは着色されていてもよい。サージアレスタを覆うためのキャップは、視覚による異常インジケータの一部として、その上面側の観察窓を含む。
【0005】
この引用文献DE 10 2006 000 919.3の教示によれば、視覚によるインジケータおよびリモート信号装置の各々を確実に作動できるストライカピンヒューズに基づく機械的な駆動装置が、簡単な方式で作製される。しかしながら、動作の挙動の監視を必要とする幾つかの要素がサージアレスタに設けられる場合には、舌および関連の駆動機構を含む幾つかのスライダが必要になり、結果として機械的および構造的に極めて複雑な技術的解決策となる。
【0006】
少なくとも1つのアレスタ素子を有するサージアレスタが、DE 10 2009 022 069 A1からすでに知られている。加えて、はんだで固定された熱動式の切り離し点が、アレスタ素子へと接続されて設けられている。さらに、故障状態を表示するための損傷表示装置が設けられ、この損傷表示装置は、熱動式の切り離し装置(とくには、ヒューズ)の状態も照会し、アレスタ素子および切り離し装置の故障状態(故障であれば)を適切な視覚的手法にてOR動作にて機械的に提示する。熱動式の切り離し装置は、表示ピンワイヤで固定されてそのワイヤの溶融または破壊後に解放される可動部品を備える。
【0007】
この教示によって実現される目的は、生じうる全ての故障状態のための損傷インジケータを可能な限り少数の部品にて提供することにある。この目的のため、圧縮ばねまたは同様の力蓄積装置のための案内部が、アレスタのハウジングの表面または内部に設けられる。第1のばね端は、切り離しプランジャまたは切り離しシリンダによって直接的または間接的に熱動式の切り離し点に作用し、力蓄積装置の前記第1の端とは反対側の第2のばね端が、案内リングによって直接的または間接的にスライダに作用する。
【0008】
スライダの第1の側には、変位方向の力が、さらなるばねによって直接的に作用し、あるいは損傷表示装置によって間接的に作用する。スライダの前記第1の側とは反対側の第2の側は、圧縮ばねからの力の作用下で可動部品の解放の運動に従うように、熱動式の切り離し装置の可動部品と作動可能に接続されている。
【0009】
スライダの前記第1の側とは反対側の第2の側は、圧縮ばねからの力の作用下で可動部品の解放の運動に従うように、熱動式の切り離し装置の可動部品と作動可能に接続されている。
【0010】
この従前のスライドの第2の側は、熱動式の切り離し点が作動され、熱動式の切り離し装置の部品が固定され、さらにスライダと案内部との間で位置が不変である状態で、さらなるばねの力の結果として長手方向にスライド移動でき、そのうえ後の長手方向のスライド移動において、インジケータワイヤが解放された状態で、熱動式の切り離し装置の可動部品と一緒に、案内部に対して往復運動できるように設計されている。スライダおよび損傷表示装置をアレスタの適切な状態に固定するために、ばねの第2の端または案内リングの少なくとも一部分が、スライダの切り欠きまたは窪みに係合する。一つの実施形態によれば、案内部は、圧縮ばねならびに切り離しプランジャまたは切り離しシリンダの少なくとも一部分を受け入れるための内側円柱形領域を含む。案内部は、ハウジングの一体的な一部分であってよい。損傷表示装置は、枢動可能であってよく、ハウジングに組み合わせられたベアリングジャーナルにおいて案内される。損傷インジケータは、信号色が設けられた表面部分をさらに備える。ハウジングキャップの窓部の内側での損傷表示装置の移動によって、色の変化を視覚的に検出することができ、例えば緑色から赤色など、生じうる故障状態を判断することができる。さらに、損傷表示装置には、枢動可能な端部のうちの一方に、リモート信号インジケータを作動させるように機能する延長部またはレバーアームを設けることができる。
【0011】
熱動式の切り離し装置は、2つの反対側のキャップを有する円柱形のヒューズとして設計され、インジケータによって固定された可動部品が一方のキャップに配置される。
【0012】
上述の先行技術によれば、一方の熱動式の切り離し点および切り離し装置の可動部品と、他方の損傷表示装置の運動のための力蓄積装置の機能の機能的分離が提供される。これは、異なる機械的要素の結合を必要とする両方のユニットの別々の監視を可能にするが、全体として、極めて複雑な構造を必要とする。
【0013】
DE 10 2006 034 404 A1による好ましくはストライカピンとして構成された追加の機械的な作動装置を備える過電圧保護設備に使用するための過電流保護装置は、機械的な作動装置に加えて第1の溶融可能要素を含んだ第1の機能ユニットを備える。第2の機能ユニットが、過負荷保護として構成され、第2の溶融可能要素を有する。各々の機能ユニットはハウジングに配置され、それぞれのハウジングにおいて、側端キャップが両側に位置して、溶融可能な導体または溶融可能要素が、ハウジングの内部にそれぞれ位置し且つ端部キャップに電気的に接触する。第1および第2の機能ユニットは電気的に並列に接続され、この並列接続が実際の過電圧保護装置と直列に接続される。機能ユニットは、共通の機械的グループを形成する。ばねで付勢されたストライカピンを収容するための部屋が第1の機能ユニットの端部キャップに配置され、ストライカピンは第1の溶融可能要素によって非作動位置に保持される。第1の溶融可能要素は、高い引張強度と、第2の溶融可能要素の材料と比べて明らかに小さいIt値とを有するワイヤで形成される。
【0014】
この公知の過電流保護装置は、経年劣化の少ない大きいパルス電流の通電容量、機械的な表示機能、或いは、そのような表示および信号伝達の機能のサポート、ならびに大きな開閉能力を有する。ストライカピンは、視覚によるインジケータおよび/または電気式のインジケータを機械的に作動させるように機能しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006000919号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102009022069号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102006034404号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
以上に基づき、本発明の目的は、異なる故障または過負荷の状態に応答する少なくとも2つの熱動式の過電流保護装置を備える電子装置、とくにはサージアレスタのための異常インジケータであって、異なる作動基準、好ましくは表示ピンを備えるヒューズ要素を、例えばリモート信号装置などの単一の表示要素においてOR動作として表示できるとともに、個々の過電流保護装置またはヒューズ要素に関してより正確で且つより簡単な損傷の特定を可能にできる、さらに発展した異常インジケータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的に対する解決策は、請求項1の教示による特徴の組み合わせにより達成される。従属請求項は、少なくとも有用な実施形態とさらなる発展を定めている。
【0018】
したがって、異なる故障または過負荷の状態に応答する少なくとも2つの熱動式の過電流保護装置を備える電子装置、とくにはサージアレスタのための異常インジケータが提案される。熱動式の過電流保護装置は、好ましくは内部の表示ピン機能を有するヒューズ要素として構成される。過電流保護装置の各々は、故障信号の伝達を生じさせるための機械的な駆動装置を有し、この機械的な駆動装置は、故障信号伝達要素に作用するスタッドまたはピンの形態である。この故障信号伝達要素は、色分けされたスライダであってよく、あるいは他の視覚によるインジケータ要素であってよい。また、電気スイッチ装置または光カプラにおいて動作できる手段であってもよい。
【0019】
本発明によれば、前記スタッドまたはピンの方向ベクトルが、そのスタッドまたはピンの移動経路の仮想の延長と交差するように、前記少なくとも2つの過電流保護装置(基本的に、任意の数の過電流保護装置が可能である)が互いに対して配置される。
【0020】
前記それぞれのスタッドまたはピンは、移動可能なアンカのそれぞれの側面に作用し、前記アンカは、移動経路において可変の位置を有する。前記アンカは、前記それぞれのスタッドまたはピンの機械的な移動の力を受け取って伝達でき、妥当であれば移動の方向の反転を許容する、構造的に形成された平たい物体である。さらに、アンカそのものを、スタッドまたはピンの作用によるアンカの位置の変化に関するインジケータとして使用できる。
【0021】
前記アンカは、アンカの移動の場合に前記故障信号伝達要素に対して移動および力の伝達が作用するさらなる側面を備える。この目的のために、このさらなる側面は、作動した過電流保護装置の前記スタッドまたはピンのうちの1つの移動に起因する力の方向の変化を得るための少なくとも1つのくさび斜面を含む。
【0022】
前記アンカの移動は、横移動すなわち直線的な移動、ならびに枢動運動すなわち回転運動の両方としてそれぞれ実行されてよい。
【0023】
好ましくは、前記過電流保護装置が、前記機械的な駆動装置が互いに対して実質的に垂直に向くように配置される。
【0024】
一つの実施形態では、横移動を、スイッチ装置の作動を可能にするための枢動運動へと変換するために、前記アンカ上にレバーアームを形成できる。
【0025】
好ましい実施形態では、前記アンカが、そのアンカの前記さらなる側面に、先端を切り落とした円錐に似た凹所を定めるように、2つの対向するくさび斜面を備えることができる。この対向配置のくさび斜面は前記故障信号伝達要素と相互作用し、前記故障信号伝達要素は、その故障信号伝達要素の移動の方向に案内される態様で取り付けられ、2つの相補的なくさび斜面を有する。かかる実施形態において、アンカの横移動は、故障信号伝達要素に関する移動方向の変換をもたらし、その位置をアンカの横移動に対して垂直な方向に変化させる。
【0026】
しかしながら、往復運動における移動およびその往復運動に対して垂直な移動の両方を行い、故障信号の伝達をそれぞれ生じさせる振り子式の物体として、アンカを構成することも可能である。
【0027】
一つの実施形態においては、前記それぞれ問題のある過電流装置に関する正確な損傷の特定が可能となるように、前記アンカが、前記スタッドまたはピンあるいは前記故障信号伝達要素の作用に関して非作用である側面にマーキングを備え、これらのマーキングが、前記過電流保護装置のうちの1つの過電流保護装置の作動時に実行される前記アンカの移動に応じて、前記電子装置の窓にて視認可能または視認不可能になる。
【0028】
前記アンカは、前記故障信号伝達要素の上述の相補的なくさび斜面によって所定の位置に保持され、このために前記故障信号伝達要素が機械的に付勢される。
【0029】
さらに、本発明によれば、上述の異常インジケータが、とくには多極の過電圧保護装置において使用される。
【0030】
本発明を、典型的な実施の形態によって、図面を参照しながら、以下でさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】アンカと合計3つの熱動式の過電流保護装置とを備え、熱動式の過電流保護装置の各々が、故障信号の伝達を生じさせるための機械式の駆動装置を有し、アンカが、過電流保護装置のスタッドの対応する移動を故障信号伝達要素へと伝達する異常インジケータの概略図を示す。
図2】例えば表示ピン1〜3として構成された過電流保護装置の作動時のアンカの移動の状況または移動の変化の詳細図を示す。
図3】例えば表示ピン1〜3として構成された過電流保護装置の作動時のアンカの移動の状況または移動の変化の詳細図を示す。
図4】例えば表示ピン1〜3として構成された過電流保護装置の作動時のアンカの移動の状況または移動の変化の詳細図を示す。
図5】回転軸を定めるためにレバーアームが組み合わせられたアンカの設計の概略斜視図を示す。
図6】アンカの直線的な移動方向を示した、図1と同様の斜視図を示す。
図7】往復移動を実行するアンカについて、互いに実質的に垂直に向けられた過電流保護装置をそれらの機能の状態に関して監視し、生じうる故障を共通のインジケータ要素へと伝えるために、振り子式の行程に対して垂直なアンカの移動も追加で実現することができる発展的に実現された典型的な技術的解決策を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この実施形態に反映される本発明の基本的な思想は、互いに対して配置され、例えば表示ピンを備えるヒューズ要素として構成され、OR動作によって共通のインジケータに対して作用する幾つかの(少なくとも2つの)過電流保護装置の組み合わせに基づくものである。
【0033】
図面に示されたアンカの位置は、アンカに作用する力によって動かされ、とくには表示ピンのストライカピンの力によって動かされる。
【0034】
アンカ本体の幾何学的な実現の故に、どの表示ピンがその位置に対して移動したのかは原則として問題とされない。
【0035】
図1は、本発明による技術的解決策の概略平面図を示す。アンカ4は、直線的に移動可能な平たい物体である。全部で3つの表示ピン1〜3が、アンカ4の周囲に配置されている。スタッド10として設計されたそれぞれの表示ピン1〜3のそれぞれの駆動装置が、移動可能なアンカ4のそれぞれの側面に作用する。即ち、表示ピン1がアンカ4の側面11に作用し、表示ピン2が側面12に作用し、表示ピン3が側面13に作用する。
【0036】
状態表示6を表わすマーキングが、大文字A〜Dによって指定され、観察窓が中央の領域(A)に設けられている。したがって、アンカ4の横移動(図2図4を参照)を、観察窓および認知可能な信号伝達の意匠によって観測できる。視認可能な文字(例えば、図2のB)が、表示ピン1の作動を知らせる。
【0037】
図1〜6による実施形態において、アンカ4は、アンカ4に円錐台形状の凹所を協働してもたらす2つの対向するくさび面14および15を備えている。
【0038】
例えばインジケータまたはスイッチとして形成された故障信号伝達要素5が、相補的なくさび斜面16および17を備えている。アンカの横移動(図2および図3を参照)も、故障信号伝達要素5の位置の変化をもたらす。
【0039】
故障信号伝達要素5には力F1を予め加えておくことができ、力F2は、力F1よりも大きく、作動した機械的な駆動装置に由来する。
【0040】
移動の方向に関して、故障信号伝達要素5は、力ベクトルF1およびF2に沿って移動できるように案内される。
【0041】
図2に示されるように、表示ピン1が作動される場合は、スタッド10の作動力が表面4aを介してアンカ4へと伝えられ、アンカ4が寸法x1だけ直線的に移動する。特定の角度(図1を参照)に配置された斜面(くさび面)14は要素5(図1の表面16)に力を伝え、その結果として要素5が寸法Yの直線移動を被る。
【0042】
図3による表示ピン2が作動される場合は、表面4bを介して力がアンカ4に伝えられる。その結果、アンカ4は寸法x2だけ移動する。次いで、要素5(表面17、図1を参照)への移動および力の伝達がくさび斜面15(図1を参照)を介して行われ、要素5が寸法Yだけ移動する。
【0043】
図4によれば、表示ピン3が作動されている。対応する作動力が、表面4cを介してアンカ4に伝えられ、その結果、アンカ4が寸法x3だけ移動する。(寸法x3)に沿って動かされたアンカ4は、その移動力を要素5(表面19、図1を参照)に伝え、要素5は距離Yだけ移動する。
【0044】
図5および図6に示した描写によれば、アンカ4は直線的に(図6)取り付けてもよいし、回転可能な態様(図5)で取り付けてもよく、それによって、スイッチまたは表示装置22のための回転運動を得るために、レバーアーム20によってアンカ4の横移動を枢動運動、すなわち回転軸21に対する運動へと変換できる。
【0045】
また、故障信号伝達要素5を作動させるためにレバーアーム20を図の平面から前方に傾けることも可能である。この目的のためにフィルムヒンジを使用してもよく、或いはレバーアームが可撓であってもよい。
【0046】
振り子方式の行程の方向に対して垂直なアンカ4の撓みを伴う往復運動を実現する実施形態が、図7の例による技術的に発展的な実施にて示されている。
【0047】
図6によれば、図示の矢印に沿ったアンカ4の直線的な横移動が想定されている。この場合は、アンカ4を同時に表示装置として構成でき、或いは上述した先行技術による表示要素と作用可能に接続することができる。
【0048】
図例は、表示ピン要素の数、すなわち過電圧保護装置の数が、基本的に無制限であることを示す。表面4a〜4c(図1によれば、それぞれ11〜13)を広げることによって、各々がアンカに同様に作用する多数の表示ピンを配置できる。
【0049】
アンカは、例えばマイクロスイッチとして構成された電気リモート信号ユニットに作用するものでもよく、さらには観察窓と相互作用するものでもよく、動作中の(即ち、作動した)過電流保護装置を大文字A〜Dにより表わして知らせることができる。
【0050】
このようにして、作動した表示ピンまたは過電流保護装置を示すことが可能である。これは、多極の過電圧保護装置における個々の経路の状態表示を可能にする。この状態表示は、遠方への信号伝達の形態で視覚的に表わすことができ、それと同時に装置上に直接視覚的に表わすこともできる。
【0051】
或いは、本発明による原理の使用は、過電圧保護装置の段階的な既存の損傷の表示も可能にする。先行技術と対照的に、2または3段階だけでなく、4段階の表示機構を実現することができる。
【0052】
図7が、往復運動を実行できるアンカを使用する発展的に実現された典型的な解決策を示している。さらに、機能上の状態に関して互いに垂直に向けられた過電流保護装置を監視し、生じうる故障を共通の表示要素へと伝えるために、振り子方式の行程に対して垂直なアンカの移動を実行することが可能である。過電流保護装置は、図7に参照番号3および21で指し示されている。図7に示される他の構成要素は、上述した実施形態による機能要素に対応する参照番号によって指し示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7