(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073458
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】不均質な入力ガスを有するガスタービン発電プラント
(51)【国際特許分類】
F02C 3/30 20060101AFI20170123BHJP
F02C 3/34 20060101ALI20170123BHJP
F23R 3/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
F02C3/30 D
F02C3/34
F23R3/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-502225(P2015-502225)
(86)(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公表番号】特表2015-512484(P2015-512484A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2013055991
(87)【国際公開番号】WO2013143975
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】12161146.1
(32)【優先日】2012年3月24日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ギューテ
(72)【発明者】
【氏名】マダヴァン ナラシムハン ポイヤパクカム
(72)【発明者】
【氏名】フランク グラーフ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ スフアマンス
(72)【発明者】
【氏名】エリベアト ベンツ
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−153624(JP,A)
【文献】
特開2011−94573(JP,A)
【文献】
特開2012−13258(JP,A)
【文献】
特開2011−247265(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/30, 3/34
F23R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の入口領域を有する圧縮機(1)と、少なくとも2つのバーナと、燃焼器(4,14,15)と、タービン(7,16,17)とを備えるガスタービン(6)を作動させる方法において、前記圧縮機の吸入流の平均酸素濃度よりも低い酸素濃度を有する酸素減少ガス(21)から成る少なくとも1つの第1の部分的な吸入流と、新鮮空気(2)から成る少なくとも1つの第2の部分的な吸入流とを、前記入口領域の周方向で交互に前記圧縮機(1)へ供給することを特徴とする、ガスタービン(6)を作動させる方法。
【請求項2】
前記酸素減少ガス(21)および前記新鮮空気(2)の交互の供給を、前記圧縮機(1)の回転軸線に関して入口横断面の内側セクタ(3”)を通じて行い、前記新鮮空気(2)を、前記圧縮機(1)の回転軸線に関して入口横断面の外側セクタ(3’)を通じて供給する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酸素減少ガス(21)および前記新鮮空気(2)の交互の供給を、前記圧縮機(1)の回転軸線に関して入口横断面の内側セクタ(3”)を通じて行い、前記酸素減少ガス(21)を、前記圧縮機(1)の回転軸線に関して入口横断面の外側セクタ(3’)を通じて供給する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記酸素減少ガス(21)から成る第1の部分的な吸入流を、前記圧縮機(1)の下流において、それぞれ1つのバーナへ、または一体的な複数の隣接するバーナへ方向付ける、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記新鮮空気(2)から成る前記第2の部分的な吸入流を、前記圧縮機(1)の下流において、それぞれ1つのバーナへ、または一体的な複数の隣接するバーナへ方向付ける、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記新鮮空気(2)が供給されるバーナへの燃料供給と比較して、前記酸素減少ガス(21)が供給されるバーナへの燃料供給を減じ、これにより、バーナの出口における高温燃焼ガスが、同じ酸素濃度を有するようにする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮機(1)の流れ通路が接続された圧縮機入口(3)を、少なくとも1つの第1のセグメント(51)と、少なくとも1つの第2のセグメント(52)とに分割し、前記第1のセグメントおよび前記第2のセグメントの出口を、周方向で圧縮機入口の周囲に交互に配置し、交互に、前記新鮮空気(2)をそれぞれ前記少なくとも1つの第1のセグメント(51)を通じて供給し、前記酸素減少ガス(21)を前記少なくとも1つの第2のセグメント(52)を通じて供給する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記ガスタービン(6)の煙道ガスを、前記ガスタービン(6)の吸入流(3)への再循環のための第1の煙道ガス流(21)と、環境への放出のための第2の煙道ガス部分流(20)とに分割し、前記酸素減少ガス(21)は、前記ガスタービンの再循環された前記第1の煙道ガス流(21)を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
圧縮機入口(3)を有するガスタービン(6)と、環状の入口領域を有する圧縮機(1)と、少なくとも2つのバーナと、燃焼器(4)と、タービン(7)とを備えるガスタービン発電プラントにおいて、
前記圧縮機(1)の流れ通路が接続された圧縮機入口(3)は、周方向に圧縮機入口の周囲に交互に配置された少なくとも1つの第1のセグメント(51)および少なくとも1つの第2のセグメント(52)を有しており、前記ガスタービン(6)の作動中に圧縮機吸入流の平均酸素濃度よりも低い酸素濃度を有する酸素減少ガス(21)用の供給部は、前記圧縮機入口(3)の前記少なくとも1つの第1のセグメント(51)に接続されており、新鮮ガス供給部は、前記圧縮機入口(3)の前記少なくとも1つの第2のセグメント(52)に接続されていることを特徴とする、ガスタービン発電プラント。
【請求項10】
前記圧縮機(1)の流れ通路が接続された圧縮機入口(3)は、前記圧縮機(1)の回転軸線に関する内側セクタ(3”)と、前記圧縮機(1)の回転軸線に関する外側セクタ(3’)とを有しており、交互の第1のセグメント(51)および第2のセグメント(52)は、前記圧縮機(1)の回転軸線に関する入口横断面の前記内側セクタ(3”)に配置されている、請求項9記載のガスタービン発電プラント。
【請求項11】
前記圧縮機(1)の流れ通路が接続された圧縮機入口(3)は、前記圧縮機(1)の回転軸線に関する内側セクタ(3”)と、前記圧縮機(1)の回転軸線に関する外側セクタ(3’)とを有しており、交互の第1のセグメント(51)および第2のセグメント(52)は、前記圧縮機(1)の回転軸線に関する入口横断面の前記外側セクタ(3’)に配置されている、請求項9記載のガスタービン発電プラント。
【請求項12】
一体の複数のバーナが前記圧縮機の前記第1のセグメント(51)ごとに配置されており、一体の複数のバーナが前記第2のセグメント(52)ごとに配置されている、請求項9から11までのいずれか1項記載のガスタービン発電プラント。
【請求項13】
制御エレメントを備え、該制御エレメントによって、前記圧縮機(1)の流れ通路への前記少なくとも1つの第2のセグメント(52)の接続面積の合計に対する、前記圧縮機(1)の流れ通路への前記少なくとも1つの第1のセグメント(51)の接続面積の合計の面積比を、該面積比を、供給される新鮮空気(2)と酸素減少ガス(21)との比の変化に適応させるために、変化させることができる、請求項10から12までのいずれか1項記載のガスタービン発電プラント。
【請求項14】
酸素減少ガス(21)の導入のための、前記圧縮機(1)の軸受支持体(48)における供給穴(49)からの複数の供給通路(39)が、前記圧縮機入口(3)に、前記ガスタービン(6)の軸線に対して同心に、周方向に分配されて配置されている、請求項9記載のガスタービン発電プラント。
【請求項15】
前記ガスタービン発電プラントは、前記ガスタービン(6)の煙道ガス流を、前記ガスタービン(6)の吸入流への再循環のための第1の煙道ガス部分流(21)と、環境へ排出するための第2の煙道ガス部分流(20)とに分割するための排ガス分割装置(29)を有し、さらに、該排ガス分割装置(29)を前記圧縮機入口(3)の少なくとも1つの第1のセグメント(51)に接続する再循環ラインを有する、請求項10から14までのいずれか1項記載のガスタービン発電プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異なるガス組成の2つの吸入流によってガスタービンを作動させる方法および分割された圧縮機入口を有するガスタービンに関する。
【0002】
従来技術
従来、できるだけ均質なガスが、圧縮のためにガスタービンの圧縮機に供給される。異なる組成を有するガスが提供される用途において、これらのガスはまず混合され、次いで圧縮機に供給される。例えば、煙道ガスの再循環の場合、新鮮空気の組成とは異なるガス組成を有する煙道ガスが利用される。再循環は、基本的に、例えばエミッションを制御するため、煙道ガス体積を減じるため、二酸化炭素分離のためなどの、広い様々な目的でガスタービンにおいて使用することができる技術である。ガスタービンにおける煙道ガスの再循環の間、煙道ガス流全体から、煙道ガスのかなりの割合が分岐させられ、冷却およびスクラビングの後、通常、タービンの吸入質量流またはタービンの圧縮機へ再び供給される。煙道ガス組成は、新鮮な周囲空気の組成とは明らかに異なる。再循環された煙道ガス流は、従来、環境からの新鮮空気と混合され、次いで、この混合物が圧縮機に供給される。
【0003】
煙道ガス再循環によって、煙道ガスにおける二酸化炭素の部分圧力を有利には増大させることができ、これにより、二酸化炭素分離を有する発電プラントの電力損失および効率損失を減じる。加えて、煙道ガス再循環は、ガスタービンの吸入ガスにおける酸素濃度を減じ、これにより、NOxエミッションを減じるという目的で提案されてきた。
【0004】
従来技術で、燃焼可能ガスの低い酸素含有量の場合に満足できる燃焼を保証するために、燃焼器入口において均質なガス混合物を提供するために、新鮮空気が、再循環された煙道ガスとできるだけ十分に混合される。例えば、再循環された煙道ガスとの新鮮空気の、圧力損失の小さな混合に適した混合装置が、国際公開第2010/142573号より公知である。
【0005】
運転条件に応じて、安定性の問題、特に脈動(熱音響振動とも呼ばれる)が、予混合バーナを備えるガスタービンにおける燃焼中に生じ得る。脈動を減じるために、個々のバーナに燃料を絞られた状態で供給することが国際公開第2005/095864号より公知であり、その結果、該当する予混合バーナは、全ての他の絞られていない予混合バーナの燃焼温度とは異なる燃焼温度を有する。これは、予混合バーナ配列の温度分布における非対称性につながり、その結果、燃焼器内部の脈動の発生を有効に阻止することができる。
【0006】
絞られるバーナは、平均的な高温ガス温度と比較してより低い高温ガス温度で作動することができるが、これは、不完全燃焼につながり得る。加えて、絞られないバーナは、より高い高温ガス温度で作動し、これは、より大きなNOxエミッションにつながり、寿命に対する望ましくない効果を有し得る。
【0007】
不完全燃焼は、ガスタービンの吸入ガスが新鮮空気と比較してより低い酸素濃度を有する、特に煙道ガス再循環を有するプラントにおいて、より高いCOエミッション(一酸化炭素エミッション)につながり得る。
【0008】
開示の概要
本開示の目的は、ガスタービンの信頼性の高い、クリーンな、低脈動運転のための方法、およびこの方法を実施するためのガスタービンを明示することである。開示された方法において、燃焼を安定させるために部分吸入流の異なる酸素濃度が用いられる、異なるガス組成の少なくとも2つの部分吸入流を有するガスタービンプラントが提案されている。
【0009】
開示された方法は、酸素減少ガスから成る少なくとも1つの第1の部分吸入流と、新鮮空気から成る少なくとも1つの第2の部分吸入流とが、入口領域の周方向で交互に圧縮機に供給されるように、酸素減少ガスと新鮮空気とがガスタービンにおいて別々に供給されるということによって特徴付けられる。
【0010】
ガスタービンは、入口横断面を有する圧縮機と、圧縮機の下流に接続された燃焼器であって、この燃焼器において圧縮ガスが燃料とともに燃焼させられる燃焼器と、タービンであって、このタービンにおいて高温の燃焼ガスが膨張させられるタービンと、を備える。
【0011】
圧縮機吸入流の平均的な酸素濃度よりも低い酸素濃度を有するガスは、この場合、酸素減少ガスと呼ばれる。酸素減少ガスの酸素濃度は、典型的には、圧縮機入口流の平均的な酸素濃度よりも少なくとも1%だけ低い。酸素減少ガスの酸素濃度は、好適には、圧縮機吸入流の平均的な酸素濃度よりも少なくとも2%だけ低い。
【0012】
新鮮空気および酸素減少ガスを周方向で交互に供給した結果、燃焼器の隣り合うバーナにおける燃料の反応度が変化させられる。新鮮空気における燃料の反応度は、酸素減少ガスにおける燃料の反応度よりも高いので、酸素減少ガスが流入する燃焼器(または燃焼器セクション)における火炎位置は、新鮮空気が供給される燃焼器と比較して下流へずらされる。異なる反応速度、特にずらされた火炎位置は、火炎の熱音響特性を変化させ、火炎の熱音響特性を安定させることができ、これは、特に脈動の減少または抑制につながる。
【0013】
方法の1つの実施の形態によれば、酸素減少ガスおよび新鮮空気の交互の供給は、圧縮機の回転軸線に関して入口横断面の内側セクタを介して行われ、加えて、新鮮空気は、圧縮機の回転軸線に関して入口横断面の外側セクタを介して供給される。
【0014】
外側セクタに供給される新鮮空気は、少なくとも部分的に燃焼器の周囲に冷却空気として案内される。したがって、外側セクタへの酸素減少ガスの供給は、燃焼に対して影響を有さないか、またはほとんど影響を有さない。内側セクタへの酸素減少ガスの供給を制限することにより、燃焼への影響を、少量の酸素減少ガスによって最適化することができる。したがって、より少ない酸素減少ガスが、所望の効果のために提供されなければならない。この提供および供給のためのプラントサイズおよびコストが対応して減じられる。
【0015】
方法の代替的な実施の形態によれば、酸素減少ガスおよび新鮮空気の交互の供給は、圧縮機の回転軸線に関して入口横断面の内側セクタを介して行われ、加えて、酸素減少ガスは、圧縮機の回転軸線に関して入口横断面の外側セクタを介して供給される。この方法は、煙道ガスにおける酸素濃度をできるだけ低くする場合に特に有利である。外側セクタを通って供給される酸素減少ガスは、少なくとも部分的に燃焼器の周囲に冷却空気として案内され、冷却空気としての高温の可燃性ガスと混合され、これは、冷却ガスとしての新鮮空気の従来の混合と比較して、煙道ガスにおける酸素含有量の減少につながるまたは酸素含有量の増大にはつながらない。
【0016】
方法の1つの実施の形態によれば、酸素減少ガスから成る第1の部分吸入流は、圧縮機の下流において、それぞれ1つのバーナへ、または一体的な複数の隣接するバーナへ方向付けられる。
【0017】
方法の別の実施の形態によれば、新鮮空気から成る第2の部分吸入流は、圧縮機の下流において、それぞれ1つのバーナへ、または一体的な複数の隣接するバーナへ方向付けられる。
【0018】
隣接するバーナへの酸素減少ガスおよび新鮮空気の方向付けられた交互の導入の結果、ガスにおける酸素含有量の可能な限り大きな差が実現される。部分吸入流が導入されているとき、圧縮機における流れは一般的に回転させられる、すなわち、圧縮機の回転軸線を中心として所定の角度だけ回転させられて圧縮機から排出されるということが考慮される。
【0019】
発明の別の実施の形態によれば、新鮮空気の第2の部分吸入流は圧縮機の下流の2つのそれぞれに隣接したバーナへそれぞれ方向付けられるおよび/または酸素減少ガスの第1の部分吸入流は圧縮機の下流の2つのそれぞれに隣接したバーナにそれぞれ方向付けられる。
【0020】
燃焼器における2つの隣接するバーナからの高温ガスの混合は、一般的に、燃焼器からの排出ガスがほぼ均質になるために十分である。
【0021】
方法のさらに別の実施の形態によれば、新鮮空気が供給されるバーナへの燃料供給と比較して、酸素減少ガスが供給されるバーナへの燃料供給がそれぞれ減じられ、これにより、燃焼器の出口における高温燃焼ガスが、同じ酸素濃度を有する。この方法は、隣接するバーナの高温ガスの混合が妨げられる場合または異なる酸素濃度を有する部分吸入流が3つ以上の隣接するバーナへ方向付けられる場合に特に有利である。
【0022】
個々のバーナへの燃料供給を絞るために、少なくとも1つのバーナへの燃料質量流量を決定する固定または可変の絞りエレメントを、バーナのうちの少なくとも1つの上流の燃料分配システムに配置することができる。これは、例えばオリフィスプレートまたは弁であってよい。この場合、例えば、絞りエレメントの横断面減少は、個々のバーナへの燃料質量流量に関する燃料分配システムにおける所望の不一致が達成されるように選択することができる。
【0023】
加えて、燃焼器の個々のバーナ(例えば予混合バーナ)またはバーナ群への燃料供給のために、それぞれ各個々のバーナの燃料ラインに接続された環状主管を設けることができる。この場合、バーナの第1の群であって、その数が好適にはバーナ配列に設けられた数の合計の半分未満であるように選択されているバーナの第1の群において、燃料ラインの少なくとも1つに、制御ユニット、例えば、燃料供給に影響する絞り弁またはオリフィスプレートが設けられている。バーナの選択された群に関する燃料供給の制御された絞りにより、一方では、非対称の熱供給を、環状のバーナ配列に沿って、方向付けられた形式で、例えば環状の燃焼器配列の制限内で生じることができ、これにより、バーナによって誘発される熱音響振動を有効に阻止することができる。加えて、制御可能な燃料絞りにより、燃焼プロセスに影響する基本的に全てのパラメータに、バーナの動作を個々に適合させることができる。酸素減少ガスおよび新鮮空気の、対応して適合された供給と組み合わせることにより、燃焼に対する望ましい効果を高めることができ、NOxエミッションを低く維持することができ、必要な場合に、燃焼器出口における均質な酸素濃度を実現することができる。
【0024】
新鮮空気と酸素減少ガスとの混合をできるだけ防止するために、1つの実施の形態によれば、圧縮機の流れ通路が接続された圧縮機入口は、少なくとも1つの第1のセグメントと、少なくとも1つの第2のセグメントとに分割されており、これらのセグメントの出口は、周方向で圧縮機入口の周囲に交互に配置されている。この場合、交互に、新鮮空気はそれぞれ少なくとも1つの第1のセグメントを通じて供給され、酸素減少ガスは少なくとも1つの第2のセグメントを通じて供給される。
【0025】
方法の代替的な実施の形態によれば、酸素減少ガスは、圧縮機の回転軸線に対して同心に入口ダクトの直径において周方向に分配されるように圧縮機入口の上流に配置された供給部を通じて導入され、新鮮空気は実際の圧縮機入口を通じて導入される。これにより、入口横断面を分割する剛性ジオメトリの結果として、圧縮機への入口における流れ場が強く影響されることなく、酸素減少ガスの供給される質を制御することができる。
【0026】
作動コンセプトおよびガスタービンに応じて、酸素減少ガスの供給は、ガスタービンの始動のためにおよび部分負荷時に遮断されるまたは減じられる。これは、例えば、安定した、CO(一酸化炭素)欠乏燃焼を保証するために必要である。入口横断面の新鮮ガスおよび酸素減少ガスの供給の分離に応じて、酸素減少ガスの減少の結果、圧縮機の不十分な流入が生じる恐れがある。この不十分な流入を回避するために、方法の別の実施の形態によれば、新鮮空気は、制御エレメントを介して、ガスタービンの部分負荷時および/または始動の間、酸素減少ガスから成る第1の部分吸入流へ方向付けられる。
【0027】
信頼できる酸素減少ガス源は、ガスタービン自体である。方法の1つの実施の形態によれば、ガスタービンの煙道ガスは、ガスタービンの吸入流への再循環のための第1の煙道ガス流と、環境へ排出するための第2の煙道ガス流とに分割される。この場合、圧縮機に供給される酸素減少ガスは、ガスタービンの再循環された第1の煙道ガス流を含む。
【0028】
方法の別の実施の形態によれば、圧縮機の流れ通路への内側セクタの接続面積に対する、圧縮機の流れ通路への外側セクタの接続面積の面積比は、制御エレメントによって変化させられる。この場合、面積比は、面積比が、供給される新鮮空気と再循環される第1の煙道ガス流との比の変化に適応させられるように変化させられる。
【0029】
方法に加え、方法を実施するためのガスタービン発電プラントが開示の主体である。このようなガスタービン発電プラントは、圧縮機入口を有するガスタービンと、環状の入口領域を有する圧縮機と、少なくとも2つのバーナと、燃焼器と、タービンとを備える。開示によれば、圧縮機の流れ通路が接続された圧縮機入口は、周方向に圧縮機入口の周囲に交互に配置された少なくとも1つの第1のセグメントおよび少なくとも1つの第2のセグメントを有しており、酸素減少ガス用の供給部は圧縮機入口の少なくとも1つの第1のセグメントに接続されており、新鮮ガス供給部は圧縮機入口の少なくとも1つの第2のセグメントに接続されている。この場合、酸素減少ガスは、ガスタービンの作動中に圧縮機吸入流の平均酸素濃度よりも低い酸素濃度を有するガスである。
【0030】
ガスタービン発電プラントの1つの実施の形態では、圧縮機の流れ通路が接続された圧縮機入口は、加えて、圧縮機の回転軸線に関する内側セクタと、圧縮機の回転軸線に関する外側セクタとに分割されている。この場合、交互の第1のセグメントおよび第2のセグメントは、圧縮機の回転軸線に関する入口横断面の内側セクタに配置されている。
【0031】
加えて、新鮮空気供給ラインは圧縮機入口の外側セクタに接続することができるまたはこれに代えて酸素減少ガス用の供給部を圧縮機入口の外側セクタに接続することができる。
【0032】
ガスタービン発電プラントの代替的な実施の形態では、圧縮機の流れ通路が接続された圧縮機入口は、圧縮機の回転軸線に関する内側セクタと、圧縮機の回転軸線に関する外側セクタとを有しており、交互の第1のセグメントおよび第2のセグメントは、圧縮機の回転軸線に関する入口横断面の外側セクタに配置されている。
【0033】
加えて、新鮮空気供給ラインは圧縮機入口の内側セクタに接続することができるまたはこれに代えて酸素減少ガス用の供給部を圧縮機入口の内側セクタに接続することができる。
【0034】
ガスタービン発電プラントの1つの実施の形態では、圧縮機入口の第1のセグメントごとに一体の複数のバーナが配置されており、第2のセグメントごとに一体の複数のバーナが配置されている。この場合、バーナは、好適には、作動中に圧縮機軸線を中心として生ぜしめられる流れの回転を考慮して、バーナが、それぞれ圧縮機入口の第1または第2のセグメントの下流に位置するように配置されている。
【0035】
ガスタービン発電プラントの1つの典型的な実施の形態では、少なくとも1つの第1のセグメントおよび少なくとも1つの第2のセグメントは、入口逸らせ板によって分離されている。
【0036】
別の典型的な実施の形態によれば、ガスタービン発電プラントは、制御エレメントを有しており、制御エレメントによって、圧縮機の流れ通路への第1のセグメントの接続面積に対する、圧縮機の流れ通路への第2のセグメントの接続面積の面積比を変化させることができ、面積比を、供給される新鮮空気と酸素減少ガスとの比の変化に適応させる。
【0037】
別の典型的な実施の形態では、酸素減少ガスを導入するための複数の供給通路は、ガスタービンの軸線と同心の、周方向に分配された形式で配置されている。これらの供給通路は、特に管として構成することができる。1つの例において、これらの供給通路は、圧縮機入口の内側セクタに配置されている。管を個々にまたは管束として配置することができる。管は、好適には、低い流れ抵抗を有する流れ動的形状を有する輪郭によって取り囲まれることもできる。その配列のために、圧縮機軸受の軸受支持体などの、圧縮機入口における既存のエレメントを利用することができる。
【0038】
個々の管または管束群を通じた導入は、圧縮機への入口における流れ場が、入口横断面を分割する剛性のジオメトリによって強く影響されることなく、酸素減少ガスの制御を可能にする。
【0039】
ガスタービン発電プラントのもう一つの実施の形態は、制御エレメントを有しており、制御エレメントによって、圧縮機の流れ通路への内側セクタの接続面積に対する、圧縮機の流れ通路への外側セクタの接続面積の面積比を変化させることができるまたは調節することができる。これに代えて、または組み合わせて、ガスタービン発電プラントは、制御エレメントを有しており、制御エレメントによって、圧縮機の流れ通路への少なくとも1つの第1のセグメントの接続面積の合計に対する、圧縮機の流れ通路への少なくとも1つの第2のセグメントの接続面積の合計の面積比を、変化させることができる。この変化または調節の結果、面積比を、供給される新鮮空気と酸素減少ガスとの比の変化に適応させることができる。供給される新鮮空気と酸素減少ガスとの体積流量の比に関して面積比を制御することは特に有利である。
【0040】
1つの典型的な実施の形態によれば、ガスタービン発電プラントは、ガスタービンの煙道ガス流を、ガスタービンの作動中にガスタービンの吸入流へ再循環される第1の煙道ガス部分流と、ガスタービンの作動中に環境へ排出される第2の煙道ガス部分流とに分割するための、排ガス分割装置を有している。加えて、このようなガスタービン発電プラントは、排ガス分割装置から圧縮機入口の少なくとも1つの第1のセグメントへ通じた再循環ラインを有している。
【0041】
全ての説明した利点は、それぞれに明記した組合せにおいて適用可能であるのみならず、開示の範囲から逸脱することなく、その他の組合せにおいてまたは単独で使用することもできる。この開示は、1つの燃焼器を有するガスタービンに限定されずに、例えば欧州特許第0718470号明細書より公知のように、連続燃焼を行うガスタービンにも適用可能である。
【0042】
開示の好適な実施の形態は、純粋に説明のために機能し、制限するものとして解釈されるべきでない図面を参照する、以下の文章において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】従来技術による、煙道ガスの再循環を行うガスタービン発電プラントの概略図を示している。
【
図2】煙道ガスの再循環と、入口領域の周方向で交互に供給される、圧縮機への煙道ガスおよび新鮮空気の導入とを行う、ガスタービン発電プラントの概略図を示している。
【
図3】周方向で交互に、再循環された煙道ガスおよび新鮮空気を導入するための、分割された圧縮機入口の斜視図を示している。
【
図4】煙道ガスの再循環と、入口領域の周方向で交互の形式および半径方向で段階的な形式の両方で供給される、圧縮機への煙道ガスおよび新鮮空気の導入とを行う、ガスタービン発電プラントの概略図を示している。
【
図5】周方向で交互に配置された、新鮮空気および酸素減少ガスの供給のためのセグメントを有する、圧縮機入口の断面図の概略図である。
【
図6】周方向で交互に配置された、新鮮空気および酸素減少ガスの供給のためのセグメントと、半径方向での段階的な導入とを有する、圧縮機入口の断面図の概略図である。
【
図7】ガスタービン軸線を中心にして交互に圧縮機入口に配置された複数の供給通路を通じて煙道ガスの再循環を行う、ガスタービン発電プラントの圧縮機入口および圧縮機の概略図である。
【
図8】圧縮機の上流の軸受支持体に配置された複数の供給通路を通じて煙道ガスの再循環を行う、ガスタービン発電プラントの圧縮機入口および圧縮機の概略図である。
【0044】
詳細な説明
図1は、ガスタービン発電プラントの基本的な要素を概略図で示している。ガスタービン6は、圧縮機1を有しており、圧縮機1において圧縮された燃焼用空気は、燃焼器4へ供給され、そこで燃料5とともに燃焼させられる。高温の燃焼ガスは、次いで、タービン7において膨張させられる。次いで、タービン7において発生された有効エネルギは、例えば同じ軸37に配置された第1の発電機25によって電気エネルギに変換される。
【0045】
タービン7から排出された高温の煙道ガス8は、そこにまだ含まれているエネルギの最適な利用のために、蒸気タービン13またはその他のプラントのための生蒸気30を発生するための排熱回収ボイラ(HRSG)9において利用される。次いで、蒸気タービン13において発生された有効エネルギは、例えば同じ軸37に配置された第2の発電機26によって電気エネルギに変換される。水−蒸気サイクルは、例においては単純化されており、概略的にのみ示されている。様々な圧力段、給水ポンプなどは、本発明の主体ではないので図示されていない。
【0046】
このようなプラントでは、排熱回収ボイラ9からの煙道ガス19は、排熱回収ボイラ9の下流において、制御することができる排ガス分割装置29において、第1の煙道ガス部分流21と、第2の煙道ガス部分流20とに分割される。第1の煙道ガス部分流21は、ガスタービン6の入口ダクトへ再循環され、そこで新鮮空気2と混合される。再循環されない第2の煙道ガス部分流20は、環境へ排出されるか、またはこの例のように、煙道ガス再循環冷却器23によって付加的に冷却され、CO
2分離システム18へ供給される。ここから、CO
2欠乏煙道ガス22が、排出煙突32を通じて環境中へ排出される。CO
2分離システム18と、煙道ガスダクトとの圧力損失を克服するために、煙道ガスファン10を設けることができる。CO
2分離システム18において分離されたCO
231は、一般的に、圧縮され、貯蔵のためにまたはさらなる処理のために排出される。CO
2分離システム18には、蒸気抽出設備を介して蒸気タービン13から取り出された蒸気が供給される。
【0047】
第2の煙道ガス部分流は、バイパスフラップ12を備える煙道ガスバイパス24を通じて排気煙突32へ直接に送ることもできる。
【0048】
再循環された第1の煙道ガス流21は、凝縮器を備えることができる煙道ガス再循環冷却器27において、周囲温度よりも僅かに高い温度にまで冷却される。この煙道ガス再循環冷却器27の下流に、再循環流21のためにブースタまたは煙道ガスファン11を配置することができる。この再循環された煙道ガス流21は新鮮空気2と混合された後、混合物は、吸入流として圧縮機入口3を通じてガスタービン6へ供給される。
【0049】
連続燃焼を行うガスタービンが
図2に示されている。方法は、1つの燃焼器を有するガスタービンにも、連続燃焼を行うガスタービンにも適用可能である。したがって、1つの燃焼器を有するガスタービンおよび連続燃焼を行うガスタービンのための実施の形態が可能である。
【0050】
図2は、少なくとも2つのセグメントに分割された圧縮機入口3を有するガスタービン発電プラントの典型的な実施の形態を概略的に示しており、煙道ガス流21用の供給部は、示された側面図に見ることができる圧縮機入口3の第1のセグメント51に通じている。加えて、新鮮空気2用の供給部は、圧縮機入口において圧縮機入口3の第2のセグメント52を介して通じており、この第2のセグメント52は、図示された平面の外側に位置している。
【0051】
2つのセグメント51,52は、圧縮機に面した圧縮機入口3の側において、圧縮機1の流れ通路にできるだけ直接に接続されている。再循環された煙道ガス用の第1のセグメント51と、新鮮空気用の第2のセグメント52とは、この場合、流れ通路の環状領域に交互に通じている。断面v−vにおける圧縮機入口3の周方向でのセグメントの対応する分割が、
図5に示されている。
【0052】
図3は、周方向で交互に配置された、新鮮空気2及び酸素減少ガス21の供給用のセグメント51,52を有する分割された圧縮機入口の概略図を斜視図で示している。
【0053】
図示した例では、新鮮空気2は一方の側から圧縮機入口3の領域へ供給され、圧縮機入口3において水平方向に逸らされ、ガスタービン軸線の方向にさらに逸らされた後、圧縮機へ供給される。加えて、酸素減少ガス21、例えば再循環された第1の煙道ガス部分流21は、ガスタービンの主流れ方向に逆らうように軸方向に圧縮機入口3の上流の平面まで方向付けられ、圧縮機入口3の別の領域において逸らされ、ガスタービン軸線の上方の側から、入口の上流においてガスタービン内へ方向付けられる。2回目の逸らせによって、酸素減少ガス21は、ガスタービン軸線のレベルの方向へ方向付けられ、さらなる逸らせの後、圧縮機へ供給される。圧縮機入口3の2つの領域は、圧縮機入口の上流において圧縮機入口3を酸素減少ガス21の供給用の第1のセグメント51と、新鮮空気2の供給用の第2のセグメント52とに分割する隔壁または入口逸らせ板45によって分離されている。セグメント51,52は、ガスタービンの軸の周囲に環状の形式で配置されている。
【0054】
1つの実施の形態によれば、供給部は、ちょうど圧縮機入口3の領域内へ到達しており、この領域では、圧縮機によって生ぜしめられる流れの速度により、静圧が減じられており、これにより、酸素減少ガス21は圧縮機1内へ吸い込まれ、煙道ガス再循環を行うプラントの場合には、例えば、煙道ガス再循環用のファンを省略することができる。
【0055】
図4の典型的な実施の形態は、
図2の実施の形態に基づく。新鮮空気2の供給用および再循環された煙道ガス21の供給用のセグメント52,51に周方向で交互に分割することに加え、この例では、入口は入口セクタ3’,3”に分割されている。これらのセクタ3’,3”は、圧縮機に面した圧縮機入口3の側において圧縮機1の流れ通路に直接に接続されている。外側セクタ3’は、付加的に細分されていない。新鮮空気供給部は、この場合、流れ通路の外側環状領域に通じている。内側セクタ3”は、交互のセグメント51,52に分割されており、再循環された煙道ガス用の第1のセグメント51と、煙道ガス再循環のための新鮮空気用の第2のセグメント52とは、流れ通路の内側環状領域に接続されている。
【0056】
内側セクタ3”および外側セクタ3’の2つのセグメント51,52は、圧縮機に面した圧縮機入口3の側において、圧縮機1の流れ通路にできるだけ直接に接続されている。再循環された煙道ガス用の第1のセグメント51と、新鮮空気用の第2のセグメント52とは、この場合、圧縮機入口3の内側セクタ3”において流れ通路の環状領域に交互に通じている。示された側面図では、圧縮機入口3の第1のセグメント51への煙道ガス流21用の供給部を見ることができる。加えて、新鮮空気2用の供給部は、圧縮機入口3の第2のセグメント52を介して圧縮機入口に通じており、この第2のセグメント52は、図示された平面の外側に位置している。
【0057】
断面vi−viにおける圧縮機入口3のセグメント51,52およびセクタ3’,3”の対応する分割が、
図6に示されている。
【0058】
低圧および中圧の冷却ガス33,34は、圧縮機1の半径方向外側壁部から分岐させられて、冷却のためにガスタービンの高温ガス部分へ供給される。加えて、圧縮機の端部において、高圧冷却ガス28は、圧縮機または隣接するディフューザの半径方向外側壁部から分岐させられて、冷却のためにガスタービンの高温ガス部分へ供給される。
図2及び
図4において、単純にするために、高圧タービン16への1つの冷却ガス供給と、低圧タービン17への2つの冷却ガス供給のみが示されている。単純にするために、燃焼器14,15への冷却ガス供給は示されておらず、高圧燃焼器14は一般的に高圧冷却空気28によって冷却され、低圧燃焼器15は一般的に中圧冷却空気34によって冷却される。酸素濃度が高い新鮮空気が圧縮機の外側領域へ方向付けられるので、新鮮空気は、大部分が冷却ガス33,34,28として燃焼器14,15の周囲へ案内されるのに対し、圧縮機出口までの、圧縮機1の中央の領域における、酸素の少ない再循環された煙道ガスは、圧縮され、高圧燃焼器14へ進む。圧縮機入口3におけるガス供給の分離の結果、酸素が少ない再循環された煙道ガスの大部分が、高圧燃焼器14へ方向付けられる。
【0059】
再循環される煙道ガス21の割合の変化と、それに関連する圧縮機入口体積の変化とにより、ガスタービンの異なる作動状態の間、圧縮機への流入における均一な速度分布を実現するために、
図2から
図6に示された典型的な実施の形態において、制御エレメント42を設けることができ、この制御エレメント42によって、第1の煙道ガス部分流21が第1のセグメント51を通じて圧縮機1へ導入される前に、この第1の煙道ガス部分流21に新鮮空気2を加えることができる。
【0060】
図5は、周方向で交互に配置された、新鮮空気2および酸素減少ガス21の供給のためのセグメント51,52を有する圧縮機入口3の断面図の概略図である。第1のセグメント51はそれぞれ酸素減少ガス21の供給のために設けられており、第2のセグメント52はそれぞれ新鮮空気2の供給のために設けられている。セグメント51,52は、ガスタービンの軸37の周囲に環状に配置されており、入口逸らせ板45によって互いに分離されている。
【0061】
図6は、半径方向で段付けされた圧縮機入口3の断面図の概略図を示している。内側セクタ3”および外側セクタ3’は、それぞれ第1のセグメント51に沿って内側逸らせ板45によって分離されている。外側セクタ3’を通じて、新鮮空気が全周に亘って供給される。内側セクタ3”を通じて、新鮮空気および酸素減少ガスが周方向で交互に供給される。酸素減少ガスはそれぞれ第1のセグメント51を通じて供給され、新鮮空気はそれぞれ第2のセグメント52を通じて供給される。第1および第2のセグメント51,52は周方向で入口逸らせ板45によって分離されている。内側セクタ3”および外側セクタ3’は、それぞれ第2のセグメント52の領域において機械的に分離されていない。セクタ境界は、例示だけのために破線で示されている。
【0062】
図7は、酸素減少ガス21用の代替的な供給を示している。板によって隔離された圧縮機入口3の第2のセグメント52を通じた再循環された煙道ガス21の別個の供給の代わりに、分割されていない圧縮機入口3が使用されている。酸素減少ガス21は、リング状に軸方向に配置されかつ圧縮機入口3に達する複数の供給通路39を通じて導入され、その場合、隣接する供給通路39の間の距離は、新鮮空気が供給される圧縮機入口3の第2のセグメント52が、それぞれ2つの隣接する供給通路39の間にとどまるように、十分に大きく選択されている。供給通路39としては、管または管スタブが適しており、その出口端部は、圧縮機入口の方向に主流に対して平行に向けられている。示された例では、管スタブは、新鮮空気2との混合をできるだけ減じるためにちょうど圧縮機1の入口ノズル(ベルマウス)内へ達している。酸素減少ガス21と新鮮空気2との周方向で交互の供給を、断面A−Aにおいて見ることができる。
【0063】
管スタブは、実際の圧縮機入口3において終わっていることもできるまたは圧縮機入口3の壁部において終わっていることもできる。好適には、端部は、ガスタービンの軸線の周囲に環状に配置されているべきである。
【0064】
複数の供給通路39を有する実施の形態は、圧縮機入口3の分離のための入口逸らせ板45を必要としないという利点を有する。
【0065】
作動中、これは、再循環された煙道ガスに対する新鮮空気の比を、入口セクタの面積比とは無関係に変化させることができるという利点を有する。
【0066】
別個の供給通路39を通じた酸素減少ガス21の供給の代わりに、
図8に概略的に示したように、圧縮機1の軸受支持体48を介した導入も可能である。軸受支持体48は、詳細
図Bに示したように、少なくとも1つの供給穴49を有しており、この供給穴49から、酸素減少ガス21は、圧縮機入口の方向で主流に対して平行な排出通路47を流過する。酸素減少ガス21と新鮮空気2との周方向で交互の供給が、断面C−Cにおいて見られる。
【0067】
酸素減少ガス21の導入のために使用される軸受支持体48の間隔は、この場合、新鮮空気2が供給される圧縮機入口3の第2のセグメントがそれぞれ2つの隣接する供給部の間にとどまるのに十分に大きく選択される。
【符号の説明】
【0068】
1 圧縮機
2 新鮮空気
3 圧縮機入口
3’ 外側セクタ
3” 内側セクタ
4 燃焼器
5 燃料
6 ガスタービン
7 タービン
8 ガスタービンの高温の煙道ガス
9 排熱回収ボイラ(HRSG)
10 (CO
2分離システムへの)第2の部分的な煙道ガス流用の煙道ガスファン
11 第1の煙道ガス部分流(煙道ガス再循環)用の煙道ガスファン
12 バイパスフラップまたは弁
13 蒸気タービン
14 高圧燃焼器
15 低圧燃焼器
16 高圧タービン
17 低圧タービン
18 CO
2分離システム
19 排熱回収ボイラからの煙道ガス
20 第2の煙道ガス部分流(CO
2分離システムへの煙道ガスダクト)
21 第1の煙道ガス部分流(煙道ガス再循環)
22 CO
2の少ない煙道ガス
23 (第2の煙道ガス部分流用の)煙道ガス再循環冷却器
24 排気煙突への煙道ガスバイパス
25 第1の発電機
26 第2の発電機
27 (第1の煙道ガス部分流用の)煙道ガス再循環冷却器
28 高圧冷却ガス
29 排ガス分割装置
30 生蒸気
31 分離されたCO
2
32 排気煙突
33 低圧冷却ガス
34 中圧冷却ガス
37 軸(ロータとも呼ばれる)
39 供給通路
42 新鮮空気制御エレメント
43 圧縮機静翼
44 圧縮機動翼
45 入口逸らせ板
47 排出通路
48 軸受支持体
49 供給穴
51 第1のセグメント
52 第2のセグメント