特許第6073459号(P6073459)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073459
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】加温療法装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 11/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   A61G11/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-502252(P2015-502252)
(86)(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公表番号】特表2015-511516(P2015-511516A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2013056167
(87)【国際公開番号】WO2013144039
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年3月27日
(31)【優先権主張番号】13/430,921
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】308011030
【氏名又は名称】ドレーゲルヴェルク アクチェンゲゼルシャフト ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Draegerwerk AG & Co.KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ヨヒム コッホ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ ティメ
【審査官】 金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06213935(US,B1)
【文献】 国際公開第2009/073443(WO,A1)
【文献】 米国特許第06290643(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加温療法装置において、
幼児を支持するための床面を備えているケアユニットと、
前記ケアユニットを覆う閉鎖位置と前記ケアユニットの上部を清掃する際の開放位置との間で移動可能なフードと、
前記フードの前記開放位置において前記床面を放射加温するように配置されている放射ヒータと、
対流ヒータと、
前記放射ヒータ及び前記対流ヒータを制御するように構成されている複数の制御ユニットとが設けられており、
前記制御ユニットは、前記フードが前記閉鎖位置にあるときには、前記対流ヒータの主たるヒータとしての運転を制御し、前記フードが開放位置にあるときには、前記放射ヒータの主たるヒータとしての運転を制御するように構成されており、
前記制御ユニットは更に、
前記対流ヒータの前記主たるヒータとしての運転と、前記放射ヒータの前記主たるヒータとしての運転との間の切り替えを迅速にするために、前記フードが閉鎖位置にあるときには、前記放射ヒータをスタンバイモードで運転させ、前記フードが開放位置にあるときには、前記対流ヒータをスタンバイモードで運転させ、
前記フードの開放が開始されると、前記放射ヒータを、所定の最大放射加温出力で所定の昇温期間にわたり運転させ、前記昇温期間の経過後には、前記放射ヒータを被制御運転に切り替え、
前記フードの閉鎖の開始後に、前記対流ヒータを、高められた対流加温出力で所定の昇温期間にわたり運転させ、前記昇温期間の経過後には、前記対流ヒータを被制御運転に切り替える、
ように構成されていることを特徴とする、加温療法装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは更に、前記対流ヒータの昇温期間よりも短いフード昇温期間にわたり、前記放射ヒータを高められたフード加温出力で運転させ、前記フードの温度を上昇させ、前記フード昇温期間の経過後に前記放射ヒータに供給される電力を低下させ、残りの昇温期間にわたり前記対流ヒータを所定の最大対流加温出力で運転させるように構成されている、請求項1に記載の加温療法装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは更に、前記放射加温出力と前記対流加温出力の合計が所定の閾値を超過しないように、前記放射ヒータの昇温期間中に前記対流ヒータに供給される電力を低減するように構成されている、請求項1に記載の加温療法装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは更に、前記対流加温出力と前記放射加温出力の合計が所定の閾値を超過しないように、前記対流ヒータの昇温期間中に前記放射ヒータに供給される電力を低減するように構成されている、請求項2に記載の加温療法装置。
【請求項5】
前記対流ヒータには、加温された空気を分散させるためのファンが設けられており、
前記制御ユニットは更に、前記放射ヒータの昇温期間中に前記ファンに供給される電力を低減するように構成されている、請求項1に記載の加温療法装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは更に、前記放射加温出力と前記対流加温出力の合計が所定の閾値を超過しないように、前記放射ヒータの昇温期間中に前記対流ヒータに供給される電力を低減するように構成されている、請求項2に記載の加温療法装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは更に、前記対流加温出力と前記放射加温出力の合計が所定の閾値を超過しないように、前記対流ヒータの昇温期間中に前記放射ヒータに供給される電力を低減するように構成されている、請求項3に記載の加温療法装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加温療法装置に関する。この加温療法装置は、幼児を支持するための床面を備えているケアユニットと、ケアユニットを覆う閉鎖位置とケアユニットの上部を清掃する際の開放位置との間で移動可能なフードと、フードの開放位置において床面を放射加温することができるように配置されている放射加温部と、対流加温部と、放射加温部及び対流加温部の運転を制御するように構成されている複数の制御ユニットとを有している。複数の制御ユニットは、フードが閉鎖位置にあるときには、主たる加温部としての対流加温部の運転を制御し、またフードが開放位置にあるときには、主たる加温部としての放射加温部の運転を制御するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
その種の加温療法装置はDE 20 2005 021 580 U1から公知である。この加温療法装置は、幼児を支持するための床面を備えているケアユニットを有している。更に、ケアユニットを覆う閉鎖位置とケアユニットの上部を清掃する際の開放位置との間で移動可能なフードが設けられている。更に、フードの開放位置においてケアユニットの床面を放射加温することができる放射加温部が設けられている。また、フードが閉鎖位置にあるときに、ケアユニット内の温度を所望のレベルに維持するために使用される対流加温部が設けられている。放射加温部及び対流加温部の運転は複数の制御ユニットによって制御される。複数の制御ユニットは、フードが閉鎖位置にあるときには、対流加温部の運転が主たる加温部として制御されるように、またフードが開放位置にあるときには、放射加温部の運転が主たる加温部として制御されるように構成されている。更には、フード解放後に所望の温度に迅速に達するようにするために、フードの開放ステップが開始される前に、放射加温の温度が上げられることが言及されている。U.S. 2002/0161276 A1からは、フードが閉鎖される前に対流加温の予熱を行うように構成されている加温療法装置が公知である。
【0003】
その種の加温療法装置は、フードが閉鎖位置にあるときには保温器として運転させることができ、またフードが開放位置にあるときにはオープンケアでの運転を行えることから「ハイブリッド型」とも称される。
【0004】
クローズドケア、つまりフードが閉鎖された状態でのケアから、オープンケア、つまりフードが開放された状態でのケアへの移行中、又はその逆の移行中の幼児の熱平衡の解析調査により、フードが開放されている間に気温及び空気湿度が急速に低下し、また温かい保護壁としてのフードが外されることから、幼児の体温が低下することが分かった。
【0005】
EP 1 124 403 B1には加温療法装置が開示されている。フードが閉鎖位置にある場合(保育器として運転される場合)、放射加温部が自動的にスイッチオフされる。それとは逆に、フードが持ち上げられると、対流加温部が自動的にスイッチオフされる。更に、放射加温部は、最初にスイッチオンされたときに、ランプの100%の定格電力よりも高い値まで高められた電力で所定の昇温期間にわたり運転される。それによって放射加温部の寿命が縮まるまで、そのような高い電力での運転は不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、オープンケアモードからクローズドケアモードへの移行中、又はその逆の移行中に幼児の体温低下が最小限となるように、上述のような加温療法装置を適合させることである。
【0007】
この課題は、本発明による加温療法装置によって解決される。
【0008】
本発明によれば、フードが閉鎖されると、放射加温部(ヒータ)がスタンバイモードで運転され、フードが開放されると対流加温部(ヒータ)がスタンバイモードで運転されるように、制御ユニットが構成されている。このようにして、主たる加温部としての対流加温部と放射加温部の運転が切り替えられることによって、効果的な加温出力及び運転温度が非常に迅速に達成される。対流加温から放射加温への迅速な移行、又はその逆に放射加温から対流加温への迅速な移行を更に加速させるために、本発明によれば、フードの開放が開始されると放射加温部が所定の最大加温出力で所定の昇温期間にわたり運転されるが、その昇温期間の経過後には、放射加温部の被制御運転に移行されるように、制御ユニットが構成及び適合されている。それとは逆に、フードの閉鎖が開始されると、制御ユニットによって、対流加温部が所定の最大対流加温出力で所定の昇温期間にわたり運転され、昇温期間の経過後には、主たる加温部としての対流加温部の被制御運転への移行が行われる。
【0009】
いずれにせよ、最大放射加温出力及び最大対流加温出力は、最大定格加温出力を超過することはないが、それらの各加温部の定格出力以下である。
【0010】
このようにして、主たる加温部(オープンケアモードにおいては放射加温部、またクローズドケアモードにおいては対流加温部)の出力が非常に迅速に所望の加温出力にされ、この昇温期間又はブースト期間の終了後に、主たる加温部は、所望の温度に応じた主たる加温部の制御が行われる閉ループ制御での運転に移行される。本発明による加温療法装置でもって、ケアモードの変更後の温度変化を±0.5℃以下にすることができる。従って、従来技術による加温療法装置に比べた際の新生児の体温低下は少なくなっている。
【0011】
一つの有利な実施の形態においては、対流加温部の昇温期間よりも短いフード昇温期間にわたり、放射加温部を高められたフード加温出力で運転させ、フードの温度を迅速に上昇させ、フード昇温期間の経過後に放射加温部に供給される電力を低下させ、残りの昇温期間にわたり対流加温部を所定の最大対流加温出力で運転させるように、制御ユニットは構成及び適合されている。このようにして、フードが閉鎖位置に達したときに、既にフードが加温されているように、冷たくなったフードが閉鎖されている間に加温される。フード昇温期間は、フードを閉鎖するために必要とされる時間と同じで良いが、それより長くても良い。
【0012】
一つの有利な実施の形態においては、放射加温出力と対流加温出力の合計が所定の閾値を超過しないように、放射加温部の昇温期間中に対流加温部に供給される電力を低減するように制御ユニットは構成及び適合されている。
【0013】
一つの別の有利な実施の形態においては、対流加温出力と放射加温出力の合計が所定の閾値を超過しないように、対流加温部の昇温期間中に放射加温部に供給される電力を低減するように制御ユニットは構成及び適合されている。
【0014】
一つの有利な実施の形態においては、対流加温部には、加温された空気を分散させるためのファンが設けられており、その場合、制御ユニットは放射加温部の昇温期間中にファンに供給される電力を低減するように構成及び適合されている。
【0015】
本明細書において、所定の加温ストラテジを実行するために、制御ユニットが「構成及び適合されている」と記載されている場合、このことは、ハードワイヤード制御回路又は上述のオプションの組み合わせをプログラミング又は提供することによる適合も含んでいる。
【0016】
本発明を特徴付ける新規性の種々の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されており、またそれらは本発明の一部をなすものである。本発明のより良い理解のために、また本発明を使用することにより達成されるオペレーション上の利点及び特定の対象のより良い理解のために、本発明の有利な実施の形態が示されている添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】加温療法装置の概略的なブロック図を示す。
図2】フードが閉鎖された状態の保育器運転からフードが開放された状態のオープンケアへと移行する間の時間にわたる、加温出力の経過のグラフを示す。
図3】加温療法装置のオープンケアからフードが閉鎖された状態の保育器運転へと移行する間の時間にわたる、加温出力の経過のグラフを示す。
図3a図3に示した時間にわたる加温出力の代替的な実施の形態に関するグラフを示す。
図4】保育器運転からオープンケアへと移行し、その後再び保育器運転へと戻るまでの移行時間にわたる、ファンの回転数の経過のグラフを示す。
図5】保育器運転からオープンケアへと移行し、その後再び保育器運転へと戻るまでの移行時間にわたる、エバポレータの加温出力の経過のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に示されている加温療法装置はマットレス5を有しており、このマットレス5は床面を表し、また側壁によって周囲が囲まれている。側壁間の上部開放部をフード1によって閉鎖することができる。図1において、フード1は閉鎖位置と開放位置の両位置で示されており、両向き矢印でもって保育器運転からオープンケアへの移行、またその逆の移行が示唆されている。
【0019】
フードが閉鎖されると、対流加温部(ヒータ)2が主たる加温源となる。対流加温部2は温度コントローラ60によって制御される。気温入力ユニット62及び気温センサ24は気温コントローラ60に接続されている。フード1が閉鎖されると、気温コントローラ60はフード内の気温を、入力された所望の気温値に制御する。
【0020】
更に、放射加温部(ヒータ)4が設けられており、この放射加温部4はマットレス5の床面上方の中央柱に取り付けられている。放射加温部4の運転は皮膚温コントローラ80によって制御される。皮膚温入力ユニット82及び温度センサ26は皮膚温コントローラ80に接続されている。フード1が開放位置にあるとき、皮膚温コントローラ80は所望の温度が維持されるように放射加温部4を制御する。
【0021】
更にマットレス5内にはマットレス加温部6が設けられており、このマットレス加温部6はマットレス温度コントローラ40によって制御される。マットレス温度入力ユニット42及びマットレス温度センサ30はマットレス温度コントローラ40に接続されている。
【0022】
更に、加湿器7が設けられており、この加湿器7は湿度コントローラ50によって制御される。湿度入力ユニット52及び湿度センサ22は湿度コントローラ50に接続されている。
【0023】
皮膚温コントローラ80は、対流加温部2及び放射加温部4に接続されており、またそれら二つの加温部の運転を調整し、更には皮膚温センサ26の測定値並びに皮膚温入力ユニット82からの入力値が供給される。
【0024】
更に、対流加温部にはファン8が設けられており、このファン8はベントコントローラ70によって制御される。
【0025】
制御ユニットは、(フードが閉鎖された状態の)保育器運転からオープンケアへの移行中、又はその逆の移行中の加温運転を制御するために、以下に説明するように構成及び適合されている。
【0026】
図2には、加温出力の制御が先ず保育器モードにおいて行われ、続いて、昇温期間中にフード1が開放され、後続のオープンケアの段階では放射加温部4の加温出力が制御される様子が示されている。本発明によれば、放射加温部4は(フードが閉鎖された状態の)保育器運転中にスイッチオフされずに、スタンバイモードにおいて所定の低加温出力で運転される。保育器運転中、対流加温部2の出力は一定であり、これは破線で示されている。続いて、保育器運転からオープンケア運転への移行が実行される。このために、フード1がその閉鎖位置から床面の上方にむかって移動し、それにより放射加温部4の放射円錐がマットレス5へと向けられ、またこれはフードによって遮断されない。図2に示されているように、フード1の開放運転が開始されると、放射加温部4は所定の昇温期間にわたり所定の最大放射加温出力で運転される。この昇温期間においては、対流加温部2に供給される電力が低減され、それにより、低減された対流加温部の出力と最大放射加温出力の合計は、所定の最大総電力Pmaxを上回らない。昇温期間はフード1の開放運転よりも長く続く。昇温期間の終了後に、放射加温部4は皮膚温コントローラ80によって制御される。この期間中に放射加温出力は緩慢に低下し、その後、固定の運転値に達する。それと同時に、対流加温部2の加温出力はスタンバイモードのレベルまで緩慢に上昇する。
【0027】
図3には、加温出力の制御が先ずオープンケアフェーズで行われ、このオープンケアフェーズでは対流加温部がスタンバイモードにおいて低レベルで運転され、その一方で、主たる加温出力は放射加温部4によって提供されている様子が示されている。保育器運転への移行中に、フード1は閉鎖位置に移動される。それと同時に、フードが閉鎖位置への移動の開始でもって、対流加温部は所定の昇温期間にわたり所定の最大対流加温出力でもって運転される。この実施例においては、昇温期間はフードの閉鎖に要する時間よりも多少長い。対流加温部が最大対流加温出力でもって運転されている間、放射加温部は低減された電力で運転され、その結果、対流加温部と放射加温部によって供給される総加温出力は所定の値Pmaxを超過しない。昇温期間の終了後に、コントローラは対流加温部の被制御運転を再開する。この制御運転においては、対流加温部の出力が皮膚温コントローラ80によって制御される。その後、対流加温部の加温出力は、その加温出力を制御することによって最終的な値にまで緩慢に低下し、その一方で、放射加温部4の加温出力はスタンバイモードのための所定の値まで緩慢に上昇する。
【0028】
図示されている実施の形態において、放射加温部4の加温出力を、加温出力入力部92を備えている放射加温コントローラ90によって制御することもできる。同様に、気温入力部62を介して温度コントローラ60に気温を設定し、その温度だけを基礎として対流加温部の制御を行うことができる。
【0029】
加温療法装置は更に、保育器モードからオープンケアモードへの移行中のファンの回転数を、図4においてrpmtrans-stdbyで示されている所定のスタンバイモード値へと低減するように構成及び適合されている。オープンケアフェーズの終了後に、対流加温部は最大加温出力での昇温期間に再び移行し、それと同時にファンの回転数が図4に示されているように運転値にまで上昇する。
【0030】
加温療法装置は更に、スタンバイレベルについての所望の空気湿度を提供するために、エバポレータ7の加温出力を低減するように適合されている。保育器運転への移行中にフードの閉鎖運転が開始されると、続いてエバポレータ7は提供される湿度を可能な限り迅速に所望の値にするために所定時間にわたり最大加温出力で運転される。エバポレータ7が所定時間にわたり最大加温出力で運転された後、湿度コントローラ50はエバポレータ7の制御を担うが、その場合、所望の湿度が湿度入力部52に入力されている。保育器運転からオープンケアモードへの移行中の、又はその逆の移行中のこのエバポレータの運転モードは図5に示されている。
【0031】
図3aには、オープンケアモードから保育器運転への移行中の、加温療法装置に関する加温出力の時間にわたる経過の代替的な実施の形態が示されている。図3の実施の形態とは異なり、この実施の形態では、対流加温部の出力が、フード昇温期間の経過後にのみ最大対流加温出力にされる。フードの閉鎖運転の開始と同時に始まるフード昇温期間の間に、放射加温部は、保育器運転への移行中にフードの温度を直接的に上昇させるために、高められた加温出力で運転される。この実施の形態において、フード昇温期間は、フードの閉鎖運転に必要とされる期間よりも長い。フード昇温期間中は、放射加温部及び対流加温部からの総加温電力が最大加温出力を超過しないように、対流加温部はスタンバイモードに比べて僅かに低減された値に調整される。
【0032】
本発明の原理の用途を記述するために、本発明を特定の実施の形態に関連させて詳細に図示及び説明したが、そのような原理から逸脱することなく、本発明をそれらとは異なるように実施できると解される。
【符号の説明】
【0033】
1 フード
2 対流加温部
4 放射加温部
5 マットレス
6 マットレス加温部
7 加湿器
8 ファン
22 湿度センサ
24 気温センサ
26 温度センサ
30 マットレス温度センサ
40 マットレス温度コントローラ
42 マットレス温度入力ユニット
50 湿度コントローラ
52 湿度入力ユニット
60 気温コントローラ
62 気温入力ユニット
80 皮膚温コントローラ
82 皮膚温入力ユニット
90 放射加温コントローラ
92 加温出力入力部
図1
図2
図3
図3a
図4
図5