特許第6073476号(P6073476)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエムエス メーア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6073476管の内部を光学式に測定する方法及び装置
<>
  • 特許6073476-管の内部を光学式に測定する方法及び装置 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073476
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】管の内部を光学式に測定する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   G01B11/24 B
   G01B11/24 R
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-525782(P2015-525782)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公表番号】特表2015-531063(P2015-531063A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】EP2013002375
(87)【国際公開番号】WO2014023430
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年4月9日
(31)【優先権主張番号】102012015807.6
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502056226
【氏名又は名称】エスエムエス メーア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SMS Meer GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クラウハウゼン
(72)【発明者】
【氏名】リューディガー ノイゲバウアー
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート コルベ
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート トピュート
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト ペッシュ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー シュルツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン フォクセン
(72)【発明者】
【氏名】ハインリヒ オーバーヴェラント
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−322513(JP,A)
【文献】 特開平11−324560(JP,A)
【文献】 特開平04−282411(JP,A)
【文献】 特開昭61−294310(JP,A)
【文献】 特開2009−300441(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102005012107(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0084558(US,A1)
【文献】 特開2010−029938(JP,A)
【文献】 実開平03−093706(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01C 1/00 − 1/14
G01C 5/00 − 11/34
G01C 13/00 − 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延により製造されたシームレス管、或いはハーフシェルを形成するように変形された複数の金属薄板又は変形された1つの金属薄板又はコイルから繰り出された金属帯材から製造された、縦シーム溶接された管の内部を光学式に測定する方法であって、管(3)の内部でレーザビーム(10)を送出するセンサ手段(9)と、レーザトラッカー(12)とを設け、前記センサ手段(9)を、前記管(3)を通して水平方向に移動させるものにおいて、
移動経路終端部において固定位置で前記センサ手段(9)に直線上で対向して位置するように設けられたレーザトラッカー(12)が、そのレーザ光線(13)でもって前記管(3)の空間内の前記センサ手段(9)のその時々の位置を追跡し且つ前記センサ手段(9)の真直からのずれを検出し、前記センサ手段(9)のレーザ測定との組み合わせに基づいて、前記管(3)の内部輪郭(15)を測定し、該測定に際して、前記レーザ光線(13)は、前記センサ手段(9)に配置されたリフレクタ(14)により反射されて前記レーザトラッカー(12)に戻され
前記センサ手段(9)が、前記管(3)を通って移動する搬送手段(5)に配置されており、前記搬送手段(5)は、駆動される摺動手段(7)を介して移動可能であることを特徴とする、管の内部を光学式に測定する方法。
【請求項2】
縦シーム溶接された管(3)では、移動可能な前記センサ手段(9)により内部溶接シームの輪郭と、隙間のない一貫性を測定する、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延により製造されたシームレス管、或いはハーフシェルを形成するように変形された複数の金属薄板又は変形された1つの金属薄板又はコイルから繰り出された金属帯材から製造された、縦シーム溶接された管の内部を光学式に測定する方法及び装置であって、管の内部でレーザビームを送出するセンサ手段を有しているものに関する。
【0002】
管の真直度、直径及び真円度を測定するためには、無接触式の測定装置、例えばレーザ測定システムを使用することが知られており、レーザ測定システムは、所定の間隔を置いて配置された複数のレーザ(管の長さにわたって配分され、この場合は10又はそれ以上のレーザセンサが用いられる)を用いて管を外側から測定する。
【0003】
このためには管を、所定の回転方向に回転させる必要がある。真直度及び可能性のある楕円率は、求められた測定値から算出される。それゆえ、複雑なレーザセットを、手間をかけて形成せねばならない若しくは必要とすることは別として、管の内部輪郭と、縦シーム溶接された管の場合は付加的に既存の内部溶接シームとを、管の全長にわたって測定することは不可能である。
【0004】
DE102011009660B4に基づき提供される、平形製品をスリット管又は管一次製品に変形加工する装置及び方法は、変形加工しようとする平形製品の厚さ及び材料特性とは概ね無関係に、変形加工工程の常時の検査を可能にし、最終的には変形加工工程自体の自動化も可能にする。
【0005】
この場合、光源及び少なくとも1つの受光器が、少なくとも1つの内部変形加工工具に結合されていて、スリット管又は管一次製品の内部輪郭を測定するために用いられる。この場合、好適にはレーザ源とレーザ検出器とが使用される。
【0006】
これにより得られる装置は、正確に作動する手段でもって、各変形加工段階の検査から、スリット管横断面の内部輪郭の最終的な検査に至る、精密な検査を可能にする。この場合、検出された測定結果に関連して、あらゆる局所的、段階的な変形加工又は変形加工プロセス全体を、好適にはオンライン式に且つ自動化して直ちに検査することができ、場合によっては加工機の調節パラメータの後調整が行われる。
【0007】
このようにレーザ支援される内部測定によって、段階的な変形加工工程を監視することができる、即ち1つの特定の位置において、スリット管の内側を、管の長さにわたって測定することができる。しかしながら、これは平形製品を半径方向に変形加工することによりスリット管を生ぜしめる、内部工具を備えた管成形プレスにおいてだけである、ということは明らかである。
【0008】
鋼片がマンドレル及び/又は圧延ロッドを介して圧延されるシームレス管の製造、又は例えば金属薄板から変形加工された2つのハーフシェルが互いに溶接される、縦シーム溶接される管の製造では、レーザ支援される前記公知の内部測定は、使用することができない。
【0009】
なぜならば、一方では自由空間が存在しておらず、且つ当然極度に高い温度に基づいて、圧延過程中に常時内部測定することは不可能だからであり、且つ他方では、両ハーフシェルの接合と、引き続く相互溶接とに際して、内部変形加工工具は一切使用されないからである。
【0010】
よって本発明の課題は、1つのステーションにおいて簡単に、管の楕円率及び真直度を正確に測定して結像することのできる、シームレス管又は縦シーム溶接された管の内部を測定するための、冒頭で述べた形式の方法及び装置を提供することにある。
【0011】
この課題は、本発明による方法に基づき、センサ手段を、管を通して水平方向に移動させ、その際に、移動経路終端部に位置決めされたレーザトラッカーが、そのレーザ光線でもって管空間内のセンサ手段のその時々の位置を追跡し且つセンサ手段の真直からのずれを検出することで、管の内部輪郭を測定することにより、解決される。
【0012】
センサ手段、好適には固有の軸線を中心として持続的に回動若しくは回転するセンサヘッドは、レーザ源とレーザ検出器とを有しており、これらのレーザ源とレーザ検出器とを介して、センサ手段が管内で水平方向に前進又は後退した場合に、内部輪郭を断続的に、又は連続的にも検出し、延いては管の真円度若しくは楕円率を測定し、この場合、管の内部輪郭は、三角測量法又は到達時間法を用いて求めることができる。
【0013】
レーザ源とレーザ検出器とを装備したセンサ手段が管を通って移動すると、レーザトラッカーのレーザ光線がその都度自動的に、センサ手段の目下の位置を追跡する一方で、レーザトラッカーの向きは、回転センサにより2つの角度で測定される。レーザトラッカーは常に、空間内のセンサ手段の正確なX方向位置、Y方向位置、Z方向位置を検知しているので、センサ手段の中心はどこに位置しているのかが判っている。
【0014】
例えば管の周面に関して楕円率が存在する場合、又は管の長手方向軸線に対して管の曲率若しくは湾曲が存在する場合、又はセンサ手段がその理想的な経路からそれた場合に、センサ手段に対する内壁の間隔が変化すると、このような間隔変化はレーザ手段により測定され、このレーザ手段は、レーザ距離測定と組み合わせることにより、レーザトラッカーの固定位置に対するセンサ手段の位置を精密に検出する。
【0015】
これにより、1つの測定ステーションにおける管の完全な3D測定が、特に大型管の横断面全体及び長手方向形状を検出することにより達成され得る。
【0016】
上述した方法により、管内部の幾何学形状の精密な測定に加えて付加的に、好適には縦シーム溶接された管の内部溶接シームの輪郭と、特に隙間のない一貫性をも点検することができる。
【0017】
本発明の根底を成す課題を解決する装置は、センサ手段が、管を通って移動する搬送手段に配置されており、該搬送手段の進入側に対向して位置する管端面に、レーザトラッカーが設けられており、該レーザトラッカーのレーザ光線は、センサ手段に設けられたリフレクタに入・反射することを特徴としている。
【0018】
例えばワゴン又はキャリッジとして形成された搬送手段は、好適には液圧/空圧を供給されるシリンダ又はモータによって作動可能な摺動手段としてのスラストロッドを介して、測定されるべき管の内部へと水平に進入させられ、このとき管は、管直径部に対して相補的なフロアスタンド上に定置で載置されている。センサ手段としては、本発明では回転型センサヘッド、任意で複数のレーザ光切断センサが好適である。
【0019】
センサヘッドが装備された搬送手段の直線的な前進移動中に、レーザ源及びレーザ検出器を備えて形成されたセンサヘッドは、その固有軸線を中心として持続的に回転し、このとき、レーザ源から放出されたレーザビームは連続的に、管の内側横断面全体と、場合によっては既存の溶接シームの表面全体とを通過する。レーザ光線は、リフレクタの位置を連続して追跡する。これにより、管内でのセンサヘッドの座標位置測定が行われ、これに基づき一方ではセンサヘッドに対して変化する内部輪郭の間隔が測定され、且つ他方ではレーザトラッカーと、搬送手段を介して水平方向に前進及び後退するセンサヘッド若しくはセンサ手段との間の、変化する位置が測定される。
【0020】
管の内部輪郭及び/又は溶接シームから散乱し戻されたレーザビームの検出及び評価は、受光器及び好適には変換ユニットにより行われ、これにより内部輪郭が結像され得る。
【0021】
センサ手段によるレーザ測定と、レーザトラッカーによる座標位置測定との組み合わせに基づいて、管内部輪郭の3D測定が達成され、管内部輪郭はスクリーンに表示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】シームレスに圧延された、又は縦シーム溶接された管の内部を測定する測定ステーション1が、製造ラインの後方に接続されているところを示した図である。
【0023】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【0024】
測定ステーション1は、2つのフロアスタンド2を有しており、これらのフロアスタンド2の受容部は、フロアスタンド2上に固定的に載置される、測定されるべき管3の外径に適合されている。
【0025】
管3の右側の端面4には搬送キャリッジ5が位置しており、この搬送キャリッジ5は、モータ6により駆動されるスラストロッド7を介して、水平方向に移動可能である。搬送キャリッジ5上には、レーザ測定装置8が配置されており、レーザ測定装置8は、本実施形態では固有の軸線を中心として回転するセンサヘッド9を有している。回転式のセンサヘッド9は、好適にはレーザポイント光若しくはレーザビーム光10を送出するレーザダイオードでもって作業する。更に、センサヘッド9内には受光器(図示せず)が組み込まれている。
【0026】
管3の左側の端面11には、高さ調節可能なレーザトラッカー12が固定的に配置されており、レーザトラッカー12は、追跡干渉計を介してレーザ光線13を送出し、このレーザ光線13は、センサヘッド9に配置されたリフレクタ14により反射されて、矢印16で示すようにレーザトラッカー12に戻される。
【0027】
管3の内部輪郭15を光学式且つ無接触式に測定するために、レーザ測定装置8が装備された搬送キャリッジ5は、モータ6により駆動されるスラストロッド7を介して、管3の内部に水平方向に進入させられる。これと共に、センサヘッド9はその固有の軸線を中心として回転し、その際にレーザダイオードから放出されたレーザビーム光10が連続的又は断続的に、例えば縦シーム溶接された管の内部溶接シームをスキャンするために、内部輪郭15の表面を全体的に通過する。内壁延いては内部輪郭15から反射されたレーザポイント光又はレーザビーム光10は、センサヘッド9内の位置検出器により受光され且つ測定される。
【0028】
受光され且つ測定されたレーザポイント光若しくはレーザビーム光10は次いで、例えば光学式の画像取り込みユニットにおいて結像され、これにより、管3の内部輪郭15の表示が可能になる。
【0029】
回転式のセンサヘッド9を連続して追跡するため、及び管3の内部における、センサヘッド9の座標位置測定のために、固定位置においてセンサヘッド9に直線上で対向して位置するレーザトラッカー12が設けられており、このレーザトラッカー12のレーザ光線13が、センサヘッド9のリフレクタ14を追跡して、センサヘッド9の真直からのずれを検出する。
【0030】
センサヘッド9の連続的な目標追跡(トラッキング)及びレーザトラッカー12に対するセンサヘッド9の距離の連続的な検出により、光学的な画像取り込みユニットにおける管3の3次元測定及び表示が可能になり、これにより、管3の真直度若しくは曲率及び真円度若しくは楕円率に関する情報が得られる。
【符号の説明】
【0031】
1 測定ステーション
2 フロアスタンド
3 管
4 右側の端面
5 搬送手段/搬送キャリッジ又は同様の車両
6 モータ
7 摺動手段/スラストロッド
8 レーザ測定装置
9 センサ手段/センサヘッド
10 レーザビーム光
11 左側の端面
12 レーザトラッカー
13 レーザ光線
14 リフレクタ
15 内部輪郭
16 矢印
図1