(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る放射線計測装置100,100Aについて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の放射線計測装置を示し、(a)は全体斜視図、(b)は計測器を備えた遮蔽体を示す断面図である。
図1(a)に示すように、放射線計測装置100は、ローラコンベア(搬送コンベア)2と、被検体の放射線量を計測する計測器3を具備した遮蔽体4A,4Bと、遮蔽体4A,4Bを動作させる駆動装置5と、ローラコンベア2および駆動装置5を制御する制御装置6(
図3参照)と、を備えて構成されている。この放射線計測装置100は、被検体として、放射能汚染物を収容したフレキシブルコンテナバッグ(いわゆるフレコンバッグ、包材)1の放射線量を計測するものである。このフレコンバッグ1は、例えば、直径が1100mm、高さ1100mmで1t用であり、袋体1aと吊りベルト(吊り手)1bと、によって構成されている。
【0011】
袋体1aは、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどの化学繊維で織られたシートを袋状にした折り畳み可能なものであり、上部に内容物を投入可能な開口部(不図示)が形成されたものである。また、袋体1aは、例えば、放射能汚染物を収容したときに、円筒形状になるように構成されている。なお、第1実施形態では、円筒型の袋体1aを例に挙げて説明するが、角筒形状の袋体など他の形状であってもよい。
【0012】
吊りベルト1bは、例えば、袋体1aと同様の材料で形成された帯状のものであり、袋体1aの上部に引掛け部1b1,1b1を備えている。なお、引掛け部1b1の構成は、第1実施形態に限定されるものではない。また、吊りベルト1bは、可撓性を有するものであり、吊りベルト1bを吊っていないときには自重によって撓み、袋体1a上に撓んだ状態で接している。
【0013】
ローラコンベア2は、搬送方向(進行方向)Sの搬送途中においてフレコンバッグ1を回転(自転)させる回転部21を備えている。この回転部21は、ローラコンベア2の幅方向Wの中央において分割して設けられる第1分割コンベア22と第2分割コンベア23とを備えて構成されている。つまり、第1分割コンベア22と第2分割コンベア23とが、別個(正方向と逆方向)に動作できるように構成されている。
【0014】
また、ローラコンベア2は、回転部21(第1分割コンベア22と第2分割コンベア23)より上流側(S1方向)に、フレコンバッグ1を回転部21に向けて搬入する搬入側コンベア24を備えている。また、ローラコンベア2は、回転部21(第1分割コンベア22と第2分割コンベア23)よりも下流側(S2方向)に、フレコンバッグ1を回転部21から搬出する搬出側コンベア25を備えている。
【0015】
第1分割コンベア22、第2分割コンベア23、搬入側コンベア24および搬出側コンベア25は、それぞれ幅方向Wの両側に設けられたガイド板26,27に支持されている。
【0016】
計測器3は、例えば、γ線などの電離放射線に照射された場合に光(蛍光)を放つ性質を有する物質であるシンチレータと、シンチレータから放出された蛍光を受けて電気信号(パルス電流)に変換する光電子倍増管と、光電子増倍管内で電子を安定に増幅するための高電圧電源と、光電子倍増管により生成されたパルス出力量から電離放射線量を算出するための線量演算部と、を備えて構成されている(いずれも図示せず)。なお、計測器3において利用されるシンチレータとしては、例えば、ヨウ化ナトリウム(NaI)、臭化ランタン(LaBr)、臭化セシウム(CeBr)などが挙げられるが、電離放射線に照射された場合に蛍光を放つ性質を有する物質であれば、前記した物質に限定されるものではない。
【0017】
遮蔽体4A(第1遮蔽体)および遮蔽体4B(第2遮蔽体)は、計測器3を収容する四角箱型のものであり、駆動装置5に設けられたフレーム51に固定されている。なお、遮蔽体4A,4Bの形状は、四角箱型に限定されるものではなく、円筒状など他の様々な形状を採用できる。
【0018】
また、
図1(b)に示すように、遮蔽体4Aは、例えば、鉄製や鉛製の50mm厚の板材で形成された遮蔽部4sと、ステンレス製やアルミニウム製の1mm厚の板材で形成された放射線導入部4tと、を有して構成されている(遮蔽体4Bも同様に構成されている)。また、遮蔽体4A内には、円柱状の計測器3が収容され、計測器3の軸方向の端面が放射線導入部4tと対向するようにして配置されている。なお、前記した放射性導入部4tが、検出面4a(
図7参照)として構成されている。このように、計測器3を遮蔽体4A,4B内に収容することで、遮蔽体4A,4Bの外部から計測器3に入射するバックグラウンド(周辺環境)の放射線がカウントされることが抑制され、より正確な被検体の線量計測が可能となる。また、計測器3の全体を遮蔽体4A,4B(遮蔽部4sおよび放射線導入部4t)で囲むことで、雨水などの異物の侵入を防止することができ、耐候性を高めることができ、長期間安定して線量を計測することが可能になる。
【0019】
また、計測器3を具備した遮蔽体4A,4Bは、左右のフレーム51にそれぞれ2個ずつ水平方向に間隔を空けて固定されている。このように、計測器3を水平方向に複数備えることで、フレコンバッグ1の周方向の線量を一度に複数箇所計測することができ、迅速かつ精度よく線量の計測が可能となる。なお、第1実施形態では、計測器3を具備した遮蔽体4A,4Bが片側2個の場合を例に挙げて説明したが、片側1個であっても、片側3個以上であってもよく、適宜変更することができる。また、計測器3を具備した遮蔽体4A,4Bが水平方向に並んで設けられた場合を例に挙げて説明したが、鉛直方向に並べるようにしてもよく、水平方向と鉛直方向の双方に並べるようにしてもよい。
【0020】
駆動装置5は、フレーム51に固定された遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1に接離可能となるように駆動させるものであり、油圧機構52と、油圧機構52を支持固定する固定部53と、を備えている。また、油圧機構52および固定部53は、一方のフレーム51に2つ設けられている。駆動装置5は、油圧に限定されるものではなく、空気圧などを利用するものであってもよい。
【0021】
図2は、第1実施形態の放射線計測装置を示す上面図である。
図2に示すように、フレーム51は、平面視において、凹面が内側を向くように湾曲した形状を有している。遮蔽体4A,4Bは、平面視において、その一部がフレーム51から内側に突出するようにしてフレーム51に固定されている。これにより、フレーム51に邪魔されることなく、遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1に接触させる(密着させる)ことができる。
【0022】
油圧機構52は、シリンダ52aと、ピストン52bと、ロッド52cとを備えて構成されている(
図2の一部にのみ図示)。また、油圧機構52は、フレーム51の湾曲部の両側に位置するように配置されている。シリンダ52aは、固定部53に固定され、内部にピストン52bが摺動可能に挿入されている。シリンダ52aから突出するピストン52bには、ロッド52cが固定されている。ロッド52cは、フレーム51に軸gを中心にして回転自在に取り付けられている。
【0023】
第1分割コンベア22は、ガイド板26,27間の長さ(幅)の略半分の長さL1のローラ22aが搬送方向Sに複数本並んで構成されている。各ローラ22aは、アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属製、または合成樹脂製の材料で形成されている(後記するローラ23a,24a,25aについても同様)。また、各ローラ22aには、軸方向のガイド板26側の端部に歯車22bが固定され、ローラ22aの回転中心と歯車22bの回転中心とが同軸となるように構成されている。
【0024】
第2分割コンベア23は、ガイド板26,27間の長さ(幅)の略半分の長さL1のローラ23aが搬送方向Sに複数本並んで構成されている。各ローラ23aには、軸方向のガイド板27側の端部に歯車23bが固定され、ローラ23aの回転中心と歯車23bの回転中心とが同軸となるように構成されている。
【0025】
搬入側コンベア24は、ガイド板26,27間の長さ(幅)L2のローラ24aが搬送方向Sに複数本並んで構成されている。各ローラ24aには、軸方向の端部に歯車24bが固定され、ローラ24aの回転中心と歯車24bの回転中心とが同軸となるように構成されている。
【0026】
搬出側コンベア25は、ガイド板26,27間の長さ(幅)L2のローラ25aが搬送方向Sに複数本並んで構成されている。各ローラ25aには、軸方向の端部に歯車25bが固定され、ローラ25aの回転中心と歯車25bの回転中心とが同軸となるように構成されている。
【0027】
第1分割コンベア22では、各ローラ22aの歯車22bにチェーン22cが巻き掛けられている。第2分割コンベア23では、各ローラ23aの歯車23bにチェーン23cが巻き掛けられている。
【0028】
また、第1分割コンベア22において最も端部に位置するローラ22aには、電動機M1が接続されている。電動機M1が駆動することで、最も下流側の端部のローラ22aが回転し、チェーン22cを介してすべてのローラ22aが回転するように構成されている。
【0029】
また、第2分割コンベア23において最も端部に位置するローラ23aには、電動機M2が接続されている。電動機M2が駆動することで、最も下流側の端部のローラ23aが回転し、チェーン23cを介してすべてのローラ23aが回転するように構成されている。
【0030】
なお、本実施形態では、第1分割コンベア22に一つの電動機M1を接続してすべてのローラ22aを駆動し、また、第2分割コンベア23に一つの電動機M2を接続してすべてのローラ23aを駆動した場合を例に挙げて説明したが、各ローラ22a,23aに電動機を接続する構成であってもよい。
【0031】
また、搬入側コンベア24のローラ24aには、電動機M3(
図3参照)が接続されている。電動機M3が駆動することで、最も端部のローラ24aが回転し、チェーン(不図示)を介してすべてのローラ24aが回転するように構成されている。
【0032】
また、搬出側コンベア25のローラ25aには、電動機M4(
図3参照)が接続されている。電動機M4が駆動することで、最も端部のローラ25aが回転し、チェーン(不図示)を介してすべてのローラ25aが回転するように構成されている。
【0033】
図3は、
図2のA−A線断面図である。
図3に示すように、ローラ22aとローラ23aには、1本のシャフト21aが挿通され、シャフト21aの両端部がガイド板26,27に固定されている。また、ローラ22aの両端とシャフト21aとの間には、一対のベアリング22d,22dが設けられている。また、ローラ23aの両端とシャフト21aとの間にもベアリング23d,23dが設けられている。これにより、ローラ22a,23aは、それぞれ独立してシャフト21aを中心に回転自在に動作するように構成されている。
【0034】
制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、インタフェース回路などを備え、メモリ(ROM)に記憶された制御プログラムにしたがってモータM1,M2,M3,M4および駆動装置5を制御する。
【0035】
次に、放射線計測装置100の動作について
図4ないし
図10を参照して説明する。
図4は第1実施形態の放射線計測装置の動作を示すフローチャート、
図5はフレコンバッグが回転部まで送られるときの搬送コンベアの動作を示す説明図、
図6はフレコンバッグの1回目計測時の状態を示す斜視図、
図7は
図6のB方向矢視図、
図8はフレコンバッグ回転時の搬送コンベアの動作を示す説明図、
図9はフレコンバッグの2回目計測時の状態を示す上面図、
図10はフレコンバッグの2回目計測後の搬送コンベアの動作を示す説明図である。
【0036】
図4に示すように、搬入側コンベア24にフレコンバッグ1が載せられると、ステップS10において、制御装置6は、搬入側コンベア24のローラ24aが正方向に回転するように制御する。これにより、フレコンバッグ1が搬送方向Sに搬送される。
【0037】
ステップS11において、制御装置6は、第1動作モードを実行する。すなわち、制御装置6は、電動機M1を駆動して第1分割コンベア22のローラ22aが正方向、電動機M2を駆動して第2分割コンベア23のローラ23aが正方向にそれぞれ回転するように制御する。これにより、搬入側コンベア24から搬送されたフレコンバッグ1が、第1分割コンベア22および第2分割コンベア23に送られる。
【0038】
ステップS12において、制御装置6は、フレコンバッグ1の全体が回転部21(第1分割コンベア22および第2分割コンベア23)上に到達したか否かを判定する。なお、フレコンバッグ1が回転部21に到達したか否かは、位置センサ(不図示)によって検知することができる。ステップS12において、制御装置6は、フレコンバッグ1が回転部21に到達していないと判定した場合には(No)、ステップS11の処理に戻り、フレコンバッグ1が回転部21に到達したと判定した場合には(Yes)、ステップS13の処理に進む。
【0039】
ステップS13において、制御装置6は、電動機M1,M2を停止して、第1分割コンベア22と第2分割コンベア23を停止させる。これにより、フレコンバッグ1は、回転部21上で停止する。
【0040】
ステップS14において、制御装置6は、駆動装置5,5を動作させる。すなわち、シリンダ52aに油圧を送る油圧ポンプ(不図示)を作動させて、シリンダ52aからピストン52bが突出する方向に動作させることで、計測器3を備えた遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1に向けて前進させる。これにより、回転部21の両側に設けられた検出器3を備えた遮蔽体4A,4Bがフレコンバッグ1に向けて移動する。
【0041】
ステップS15において、制御装置6は、遮蔽体4A,4Bがフレコンバッグ1に接触したか否かを判定する。なお、遮蔽体4A,4Bがフレコンバッグ1に接触したかどうかは、接触センサなどを利用して判定できる。例えば、各遮蔽体4A,4A,4B,4Bの各検出面4aに接触センサを設けることによって、各遮蔽体4A,4A,4B,4Bがフレコンバッグ1に接触したか否かを判定できる。ステップS15において、制御装置6は、遮蔽体4A,4A,4B,4Bがフレコンバッグ1に接触していないと判定した場合には(No)、ステップS14の処理に戻り、遮蔽体4A,4A,4B,4Bがフレコンバッグ1に接触したと判定した場合には(Yes)、ステップS16の処理に進む。
【0042】
ステップS16において、制御装置6は、駆動装置5を停止させる。すなわち、制御装置6は、シリンダ52aに油圧を送る油圧ポンプ(不図示)を停止する。これにより、遮蔽体4A,4A,4B,4Bがフレコンバッグ1に密着(接触)した状態で停止する。このように遮蔽体4A,4A,4B,4Bの各検出面4a(
図7参照)をフレコンバッグ1に密着させることで、放射線を計測する際のバックグラウンド(周辺環境)の影響を排除することができる。
【0043】
ステップS17において、制御装置6は、放射線を計測する。このとき、遮蔽体4A,4A,4B,4Bの各検出面4aがフレコンバッグ1に密着して計測されることで、フレコンバッグ1内の放射線量を精度よく計測することができる。なお、フレコンバッグ1の重量を計測するロードセル(不図示)を備えることで、線量情報に加えて、フレコンバッグ1の重量の情報や、単位質量当たりの線量の情報を取得できるようになり、フレコンバッグ1の管理精度をより高めることができる。
【0044】
ステップS18において、制御装置6は、計測後に駆動装置を動作させる。すなわち、油圧ポンプ(不図示)を動作させて、シリンダ52a内にピストン52bが収容される方向に動作させることで、計測器3を備えた遮蔽体4A,4Bを退避させる。なお、遮蔽体4A,4Bを退避させる位置は、遮蔽体4A,4Bがガイド板26,27の外側に位置する初期位置であってもよく、フレコンバッグ1を回転させる際に邪魔にならない位置(初期位置よりも短い位置)であってもよい。退避させる位置を短くすることで、次回計測を開始するまでの時間を短縮できる。
【0045】
ステップS19において、制御装置6は、放射線の計測を所定回数実行したか否かを判定する。なお、以下では、所定回数として、2回実行する場合について説明する。ステップS19において、制御装置6は、計測を所定回数実行していない(1回目の計測であると判定した)場合には(No)、ステップS20の処理に進み、計測を所定回数実行した(2回目の計測であると判定した)場合には(Yes)、ステップS22の処理に進む。
【0046】
ステップS20において、制御装置6は、第2動作モードを実行する。すなわち、制御装置6は、電動機M1を駆動して第1分割コンベア22のローラ22aを正方向に回転するとともに、電動機M2を駆動して第2分割コンベア23のローラ23aを第1分割コンベア22のローラ22aとは反対方向(逆方向)に回転させる。また、このとき第1分割コンベア22と第2分割コンベア23とを同時に回転させる。これにより、フレコンバッグ1がその場で回転し、フレコンバッグ1の位置が変わらずにフレコンバッグ1の向きが変化する。
【0047】
ステップS21において、制御装置6は、フレコンバッグ1が所定角度回転したか否かを判定する。なお、所定角度とは、フレコンバッグ1を1回目の計測位置とは異なる位置となる角度であり、例えば90度に設定される。フレコンバッグ1を所定角度に回転させるには、第1分割コンベア22と第2分割コンベア23を所定時間動作させることによって可能になる。なお、所定時間は、事前の試験によって求めることができる。
【0048】
ステップS21において、制御装置6は、フレコンバッグ1が所定角度回転していないと判定した場合には(No)、ステップS20の処理に戻り、フレコンバッグ1が所定角度回転したと判定した場合には(Yes)、ステップS13の処理に進む。すなわち、制御装置6は、第1分割コンベア22と第2分割コンベア23を停止し(ステップS13)、遮蔽体4A,4Bを前進させる(ステップS14)。そして、遮蔽体4A,4Bがフレコンバッグ1に接触したときに(ステップS15、Yes)、駆動装置5を停止して(ステップS16)、放射線の計測を開始し(ステップS17)、計測後に遮蔽体4A,4Bを後退させる(ステップS18)。
【0049】
制御装置6は、放射線の計測が2回目であると判定した場合には(ステップS19、Yes)、ステップS22に進み、第1動作モードを実行する。すなわち、制御装置6は、電動機M1,M2を駆動して、第1分割コンベア22のローラ22a、第2分割コンベア23のローラ23aをそれぞれ正方向に回転するように制御する。これによって、フレコンバッグ1が搬送方向Sに向けて搬送され、搬送側コンベア25に送られる。
【0050】
そして、ステップS23において、制御装置6は、搬送側コンベア25のローラ25aを正方向に動作させる。これによって、フレコンバッグ1が回転部21から搬出側コンベア25に送られ、搬送終了位置まで送られる。
【0051】
また、放射線計測装置100の動作について、
図5ないし
図10を参照して説明する。
すなわち、
図5に示すように、搬送開始位置U1において、搬入側コンベア24のローラ24aが正方向(回転矢印R1参照)に回転することで、フレコンバッグ1が搬送方向Sに向けて送られる。そして、フレコンバッグ1が移動して搬入側コンベア24から第1分割コンベア22と第2分割コンベア23に送られると、第1分割コンベア22のローラ22aおよび第2分割コンベア23のローラ23aの双方が正方向(回転矢印R2参照)に回転することで、フレコンバッグ1の全体が第1分割コンベア22および第2分割コンベア23上に移動する。
【0052】
そして、フレコンバッグ1の全体が第1分割コンベア22および第2分割コンベア23上(回転部21上)に載置されると、その状態を図示しない位置センサが検知して、第1分割コンベア22のローラ22aおよび第2分割コンベア23のローラ23aの回転が停止する。
【0053】
そして、
図6に示すように、両側の駆動装置5,5を駆動させて、フレーム51に固定された遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1に接触するまで駆動させる。
【0054】
図7に示すように、遮蔽体4A,4Bの各検出面4aがフレコンバッグ1の周面1sに接触(密着)した状態で、駆動装置5を停止させる。なお、遮蔽体4A,4Bは、各検出面4aがフレーム51から内側に突出して固定されるとともに、各検出面4aがフレコンバッグ1の周面1sの接線に直交する方向から当接するようにして接触している。なお、第1実施形態では、平面視(上面視)においてフレーム51がフレコンバッグ1の周面1sと同様の方向に沿うように湾曲して形成されているが、平面視(上面視)においてフレーム51が搬送方向Sに沿って直線状に形成されていてもよい。
【0055】
また、フレーム51は、軸g(
図2参照)を支点として駆動装置5のロッド52cと回転自在に連結されているので、遮蔽体4A,4Bの向きを変えることができる。よって、フレコンバッグ1の停止位置が前後にずれたときに、駆動装置5のロッド52cの突出量を制御することで、遮蔽体4A,4Bの検出面4aをフレコンバッグ1の周面1sに確実に接触(密着)させることができる。なお、本実施形態では、フレーム51がロッド52cに回動自在に連結された場合を例に挙げて説明したが、遮蔽体4A,4Bがフレーム51に回動自在に支持されていてもよい。
【0056】
また、回転部21(第1分割コンベア22と第2分割コンベア23)によって構成される面積Q(
図7の一点鎖線参照)は、必要かつ十分な大きさに設定されている。すなわち、回転部21の面積Qは、フレコンバッグ1の全体を載置でき、かつ、フレコンバッグ1を回転させたときにフレコンバッグ1が第1分割コンベア22と第2分割コンベア23からはみ出さない面積を有するように構成されている。また、回転部21の進行方向の長さL10(
図2参照)は、回転部21の幅W10(
図2参照)よりも大きい。さらに、回転部21の幅W10(
図2参照)は、フレコンバッグ1より大きいことが好ましい。
【0057】
このように、第1実施形態では、遮蔽体4A,4Bの検出面4aをフレコンバッグ1の周面1sに接触(密着)するようにして放射線を計測することで、遮蔽体4A,4Bの周辺環境の放射線の影響を排除することができる。さらに、第1実施形態では、フレコンバッグ1内の放射能廃棄物から発生する放射線を、接触した検出面4aのみから取り込むように構成することで、フレコンバッグ1内の放射線を精度よく計測することができる。
【0058】
そして、1回目の放射線計測を実行して遮蔽体4A,4Bを退避させた後、
図8に示すように、第1分割コンベア22のローラ22aを正方向(回転矢印R2参照)に回転させるとともに、第2分割コンベア23のローラ23aを第1分割コンベア22とは反対の逆方向(回転矢印R3参照)に回転させることで、フレコンバッグ1が軸G(径方向の中心)を支点として回転する。このようにローラ22aを正方向、ローラ23aを逆方向に同時に回転させることで、フレコンバッグ1がその場で回転するようになる。
【0059】
そして、
図9に示すように、平面視においてフレコンバッグ1を時計回り方向に90度回転させることで、1回目の放射線計測位置P1,P2,P3,P4とは異なる位置において、フレコンバッグ1の周面1sに遮蔽体4A,4Bの検出面4aを対向させることができる。そして、遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1の周面1sに接触(密着)する位置まで移動させ、2回目の放射線計測を実行する。これにより、1回目の放射線計測位置P1,P2,P3,P4とは異なる位置P5,P6,P7,P8において2回目の放射線計測を実行できる。このように、フレコンバッグ1内の放射性廃棄物に偏りが生じていたとしても、フレコンバッグ1の全周において検出できるので、フレコンバッグ1内の放射線量を精度よく計測することが可能になる。
【0060】
なお、
図9とは逆に、第1分割コンベア22のローラ22aを逆方向に回転するとともに第2分割コンベア23のローラ23aを正方向に回転することで、平面視においてフレコンバッグ1を反時計回り方向に90度回転させるようにしてもよい。また、第1実施形態では、放射線計測を2回実行する場合を例に挙げて説明したが、放射線計測を3回以上実行する構成であってもよい。放射線計測を3回実行する場合には、1回の放射線計測が終わる毎に60度回転させればよい。このように、フレコンバッグ1を回転させる角度は、180度/測定回数によって求めることができる。
【0061】
そして、
図10に示すように、2回目の放射線計測が終了した後、各遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1から退避させ、第1分割コンベア22のローラ22aおよび第2分割コンベア23のローラ23aをそれぞれ正方向(回転矢印R2参照)に回転することで、フレコンバッグ1が搬送方向Sに向けて送られる。そして、フレコンバッグ1が移動して回転部21から搬出側コンベア25に送られると、搬出側コンベア25が正方向(回転矢印R4参照)に回転することで、フレコンバッグ1が回転部21から搬出側コンベア25に送られ、フレコンバッグ1の全体が搬出側コンベア25上に送られる。
【0062】
搬出側コンベア25の搬送終了位置U2まで送られたフレコンバッグ1は、計測された放射線量に応じて仕分けされ、その後の処理に移行する。その後の処理とは、例えば、放射線量が所定閾値より高い場合には、フレコンバッグ1のまま貯蔵し、また放射線量が所定閾値より低い場合には、土として転用する処理である。
【0063】
以上説明したように、第1実施形態では、ローラコンベア2と、フレコンバッグ1の放射線量を計測する計測器3と、ローラコンベア2を制御する制御装置6と、を備え、ローラコンベア2が、搬送途中にフレコンバッグ1を回転させる回転部21を備えている。また、回転部21は、ローラコンベア2の幅方向Wの中央において分割して設けられる第1分割コンベア22および第2分割コンベア23を備えている。また、制御装置6は、第1分割コンベア22と第2分割コンベア23とをローラコンベア2の搬送方向Sと同じ方向に動作させる第1動作モードと、第1分割コンベア22を搬送方向Sと同じ方向に動作させるとともに第2分割コンベア23を搬送方向Sと逆方向に動作させる第2動作モードと、を有する。これによれば、第2動作モードによってフレコンバッグ1を前後方向(搬送方向S)に移動させることなくその場で回転させることができるので、フレコンバッグ1の回転角度を精度よく制御することが可能になる。これにより、フレコンバッグ1の計測位置を高精度に制御できるようになり、フレコンバッグ1の放射線量の検出精度を高めることができる。また、第1実施形態では、放射能汚染物の放射線量の計測とフレコンバッグ1の移動を同じ工程上で行うことができる。このため、放射能汚染物を、第1管理区域から第2管理区域に、放射線量を計測してから移動する際、これまでのように、フレコンバッグ1の放射線計測工程と移動工程とを別工程で行う必要がなく、一連の工程で実現することができ、作業時間とコストを大幅に削減することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、計測器3が収納された遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1に向けて進退自在に駆動させる駆動装置5を備え、制御装置5によって駆動装置5を制御することで遮蔽体4A,4Bの検出面4aをフレコンバッグ1に接触させた状態で放射線量を計測する。これによれば、フレコンバッグ1の周囲の環境の放射線の影響を遮断できるので、フレコンバッグ1内の放射線量を精度よく検出することが可能になる。
【0065】
また、第1実施形態では、回転部21の幅方向Wの両側において遮蔽体4Aと遮蔽体4Bとを備えて構成され、遮蔽体4Aの検出面4aと遮蔽体4Bの検出面4aとが向かい合うように配置されている(
図7参照)。これによれば、フレコンバッグ1の放射線計測において、1回の計測で複数箇所を検出することができ、線量を短時間で精度よく計測することが可能になる。これにより、フレコンバッグ1内の放射能汚染部の汚染状況に偏りが生じていたとしても、精度よく計測することが可能になる。
【0066】
ところで、回転部21の面積が小さ過ぎると、フレコンバッグ1を回転させる際の回転力を十分に与えることができなくなり、逆に回転部21の面積が大き過ぎると回転部21の製造コストが高くなる。そこで、第1実施形態では、回転部21を構成する第1分割コンベア22と第2分割コンベア23とが、フレコンバッグ1を時計回り方向または反時計回り方向に回転するのに必要かつ十分な面積Qを有している。また、回転部21の幅W10(
図2参照)は、フレコンバッグ1を安定して載置するため、運搬されるフレコンバッグ1の径よりも大きいことが好ましい。さらに回転部21の進行方向の長さL10(
図2参照)は、幅方向の長さよりも大きい。これによれば、製造コストを抑えつつ、フレコンバッグ1を円滑に動作(回転)させることができる。
【0067】
また、第1実施形態では、第1分割コンベア22と第2分割コンベア23が、それぞれ幅方向Lの長さが同じである(
図2参照)。これによれば、フレコンバッグ1の底面に対して第1分割コンベア22のローラ22aと第2分割コンベア23のローラ23aを均等な面積で接触させることができるので、フレコンバッグ1を軸Gを中心に安定して回転させることができ、放射線計測を精度よく計測することが可能になる。
【0068】
また、第1分割コンベア22および第2分割コンベア23は、ローラコンベアで構成されている。これによれば、フレコンバッグ1の底面とローラ22a,23aとの間に過度な摩擦力が発生しなくなるので、フレコンバッグ1を破損させることなく円滑に回転させることが可能になる。
【0069】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態の放射線計測装置を示す斜視図である。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、第2実施形態は、図示しない第1実施形態の制御装置6を備えている。
図12に示すように、第2実施形態の放射線計測装置100Aは、ベルトコンベア2A(搬送コンベア)と、フレコンバッグ1(被検体)の放射線量を計測する計測器3を具備した遮蔽体4A,4Bと、ベルトコンベア2Aを制御する制御装置(図示省略)と、を備え、ベルトコンベア2Aは、搬送途中にフレコンバッグ1を回転させる回転部21Aを備えている。
【0070】
回転部21Aは、第1分割コンベア22Aと、第2分割コンベア23Aとを備えて構成されている。また、回転部21Aの上流側(S1側)には、搬入側コンベア24Aが設けられ、回転部21Aの下流側(S2側)には、搬出側コンベア25Aが設けられている。
【0071】
第1分割コンベア22Aは、ベルト22gと、このベルト22gが巻き掛けられる回転体22h,22iと、を備えて構成されている。ベルト22gは、ゴム、金属などの材質で幅広形状のもので構成されている。また、回転体22iには、電動機M10が接続され、電動機M10が回転することで、ベルト22gが駆動するようになっている。
【0072】
第2分割コンベア23Aは、ベルト23gと、このベルト23gが巻き掛けられる回転体23h,23iと、を備えて構成されている。ベルト23gは、ゴム、金属などの材質で幅広形状のもので構成されている。また、回転体23iには、電動機M20が接続され、電動機M20が回転することで、ベルト23gが駆動するようになっている。
【0073】
また、回転体22h,22iは、その両側に設けられた支持プレート28a、28bに回転自在に支持されている。回転体23h,23iは、その両側に設けられた支持プレート28b,28cに回転自在に支持されている。なお、支持プレート28bは、第1分割コンベア22Aと第2分割コンベア23Aとが共有のものとして構成されているが、別体で構成されていてもよい。
【0074】
このように構成された放射線計測装置100Aは、第1実施形態と同様に、第1分割コンベア22Aと第2分割コンベア23Aをそれぞれ正方向(搬送方向と同じ方向)に回転させることでフレコンバッグ1を搬送方向Sに搬送させる第1動作モードと、第2分割コンベア22Aを正方向(搬送方向と同じ方向)に回転させるとともに第2分割コンベア23Aを逆方向(搬送方向と逆方向)に回転させてフレコンバッグ1を回転させる第2動作モードと、を備えている。
【0075】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、第2動作モードによってフレコンバッグ1を前後方向(搬送方向S)に移動させることなく回転させることができるので、フレコンバッグ1の回転角度を精度よく制御することが可能になる。これにより、フレコンバッグ1の計測位置を高精度に制御できるようになり、フレコンバッグ1の放射線量を精度よく計測できるようになる。また、第1実施形態では、放射能汚染物の放射線量の計測とフレコンバッグ1の移動が同じ工程上で行うことができる。このため、放射能汚染物を、第1管理区域から第2管理区域に、放射線量を計測してから移動する際、これまでのように、フレコンバッグ1の放射線計測工程と移動工程とを別工程で行う必要がなく、一連の工程で実現することができ、作業時間とコストを大幅に削減することができる。
【0076】
また、第2実施形態では、計測器3が収納された遮蔽体4A,4Bをフレコンバッグ1に向けて進退自在に駆動させる駆動装置5が備えられ、制御装置によって駆動装置5を制御することで遮蔽体4A,4Bの検出面4aをフレコンバッグ1に接触させた状態で放射線量を計測している。これによれば、フレコンバッグ1の周囲の環境の放射線の影響を遮断できるので、フレコンバッグ1内の放射線量を精度よく検出することが可能になる。
【0077】
また、第2実施形態では、回転部21Aの幅方向Wの両側において遮蔽体4Aと遮蔽体4Bとを備えて構成され、遮蔽体4Aの検出面4aと遮蔽体4Bの検出面4aとが向かい合うように配置されている。これによれば、フレコンバッグ1の放射線計測において、1回の計測で複数箇所を検出することができ、短時間で複数の位置の放射線を計測することが可能になる。これにより、フレコンバッグ1内の放射能汚染部の汚染状況に偏りが生じていたとしても、迅速に精度よく計測することが可能になる。
【0078】
また、第2実施形態では、回転部21Aを構成する第1分割コンベア22Aと第2分割コンベア23Aとが、フレコンバッグ1を時計回り方向または反時計回り方向に回転するのに必要かつ十分な面積を有している。これによれば、製造コストを抑えつつ、フレコンバッグ1を円滑に回転させることができる。
【0079】
また、第2実施形態では、第1分割コンベア22Aと第2分割コンベア23Aは、それぞれ幅方向Wの長さが同じである。これによれば、フレコンバッグ1の底面に対して第1分割コンベア22Aのベルト22gと第2分割コンベア23Aのベルト23gを均等な面積で接触させることができるので、フレコンバッグ1を軸Gを中心に安定して回転させることができ、放射線計測を精度よく計測することが可能になる。
【0080】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々設計変更することができる。例えば、前記した各実施形態では、搬送コンベアの全体がローラコンベア2、ベルトコンベア2Aである場合を例に挙げて説明したが、回転部21をローラコンベアとし、搬入側コンベア24と搬出側コンベア25をベルトコンベアとして、ローラコンベアとベルトコンベアを組み合わせて構成してもよい。
【解決手段】ローラコンベア2と、フレコンバッグ1の放射線量を計測する計測器3と、ローラコンベア2を制御する制御装置と、を備える。ローラコンベア2は、搬送途中にフレコンバッグ1を回転させる回転部21を備える。回転部21は、ローラコンベア2の幅方向Wで分割して設けられる第1分割コンベア22および第2分割コンベア23を備える。制御装置は、記第1分割コンベア22と第2分割コンベア23とをローラコンベア2の搬送方向Sと同じ方向に動作させる第1動作モードと、第1分割コンベア22を搬送方向Sと同じ方向に動作させるとともに第2分割コンベア23を搬送方向Sと逆方向に動作させる第2動作モードと、を有する。