特許第6073529号(P6073529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インヴェンサス・コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073529
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ボンドワイヤの基板外キンク形成
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20170123BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20170123BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20170123BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20170123BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H01L21/60 301D
   H01L21/60 301J
   H01L21/56 R
   H01L25/08 H
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-530188(P2016-530188)
(86)(22)【出願日】2014年11月11日
(65)【公表番号】特表2016-537812(P2016-537812A)
(43)【公表日】2016年12月1日
(86)【国際出願番号】US2014064960
(87)【国際公開番号】WO2015073409
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】14/077,597
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/297,701
(32)【優先日】2014年6月6日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309034272
【氏名又は名称】インヴェンサス・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】ハバ ベルガセム
(72)【発明者】
【氏名】コ レイナルド
(72)【発明者】
【氏名】サガ シゼク リッツァ リー
(72)【発明者】
【氏名】ゾーニ ワエル
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/126269(WO,A1)
【文献】 特開2007−066991(JP,A)
【文献】 特開2001−118876(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0020545(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447−21/449
21/60−21/607
23/12−23/15
25/00−25/07
25/10−25/11
25/16−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンポーネントの導電性リードを形成する方法であって、
ボンディングツールを用いて当該ボンディングツールの表面を越えて延出するワイヤを金属表面に接合するステップと、
前記ワイヤが前記ボンディングツールの前記表面から更に離れて延出することを許容しながら、前記ボンディングツールを前記金属表面から離れるように引くステップと、
前記ワイヤをクランプして、前記ボンディングツールの前記表面を越える前記ワイヤの更なる延出を制限するステップと、
前記ワイヤが前記ボンディングツール以外の任意の金属要素から完全に分離される位置で、前記ボンディングツールが前記ワイヤにキンクを付与するように、前記ワイヤがクランプされた状態を保持しながら前記ボンディングツールを移動させるステップと、
前記ワイヤが前記キンクにおいて破断して一端部を規定するように、前記ボンディングツールを使用して前記ワイヤに張力を加えるステップと、
を備え、
前記リードは、前記金属表面から前記一端部まで延在する前記ワイヤを含む、方法。
【請求項2】
前記ボンディングツールを引く前記ステップは、少なくとも50ミクロンという所定長さの前記ワイヤを、前記ボンディングツールの前記表面と前記金属表面との間に延在させる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワイヤの前記一端部は、前記金属表面と前記一端部との間の位置における前記ワイヤの直径よりも小さい幅を、少なくとも1つの方向において有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ワイヤの前記一端部は、前記金属表面と前記一端部との間の位置における前記ワイヤの直径よりも小さい直径を、全ての方向において有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ワイヤを接合する前記ステップは、前記金属表面に接合された前記ワイヤの第1の端部にボールボンドを形成し、
前記ボンディングツールを移動させる前記ステップは、前記ボールボンドの表面から100ミクロン以内に前記ワイヤを移動させるように実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
形成要素が、前記ボンディングツールの外側表面に設けられ、
前記ボンディングツールを移動させる前記ステップは、前記ワイヤを前記形成要素に押し付けることによって前記キンクを付与する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記形成要素は、前記外側表面に露出した縁部を含み、
前記ボンディングツールを移動させる前記ステップは、前記ワイヤを前記縁部に押し付けることによって前記キンクを付与する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記金属表面は、金属要素の表面であり、
当該方法は、
ボンディングツールを用いる前記ステップと、前記ボンディングツールを引く前記ステップと、前記ワイヤをクランプする前記ステップと、前記ボンディングツールを移動させる前記ステップと、前記ワイヤに張力を加える前記ステップと、を1回以上繰り返して、前記金属表面に接合された複数のリードを形成するステップと、
引き続いて、前記複数のリードの個々のリードを取り囲む誘電体要素を形成するステップと、
前記金属要素をパターニングして、前記誘電体要素の表面に複数の金属特徴部を形成するステップと、
を含み、
各リードは前記複数の金属特徴部のうちの1つの金属特徴部に接合される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記金属表面は、前記コンポーネントの誘電体構造の表面にある複数の金属特徴部のうちの1つの金属特徴部の表面であり、
当該方法は、
ボンディングツールを用いる前記ステップと、前記ボンディングツールを引く前記ステップと、前記ワイヤをクランプする前記ステップと、前記ボンディングツールを移動させる前記ステップと、を1回以上繰り返して、前記金属特徴部の金属表面に接合された複数のリードを形成するステップと、
引き続いて、前記複数のリードの個々のリードを取り囲む封止部を形成するステップと、
を含み、
前記リードの前記端部は前記封止部の表面において前記封止部によって覆われていない、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ボンディングツールを用いて前記ワイヤに張力を加えながら前記ボンディングツールを用いて前記ワイヤを捩るステップ、を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ワイヤを捩る前記ステップは、前記ワイヤの長さ方向の軸回りで、前記ボンディングツールと前記金属表面との間の相対回転運動を付与するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記相対回転運動は、完全な1回転以下の運動である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記相対回転運動は、完全な1回転以下の運動であって、前記相対回転運動は、最大10回まで繰り返される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記金属表面は、金属要素の表面であり、
当該方法は、
ボンディングツールを用いる前記ステップと、前記ボンディングツールを引く前記ステップと、前記ワイヤをクランプする前記ステップと、前記ボンディングツールを移動させる前記ステップと、前記ボンディングツールを用いて前記ワイヤに張力を加えながら前記ボンディングツールを用いて前記ワイヤを捩る前記ステップと、を1回以上繰り返して、前記金属表面に接合された複数のリードを形成するステップと、
引き続いて、前記複数のリードの個々のリードを取り囲む誘電体要素を形成するステップと、
前記金属要素をパターニングして、前記誘電体要素の表面に複数の金属特徴部を形成するステップと、
を含み、
各リードは前記複数の金属特徴部のうちの1つの金属特徴部に接合される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ボンディングツールを引く前記ステップは、前記ボンディングツールを前記金属表面から離れるように、少なくとも部分的に第1の横方向に移動させながら、次に、前記ボンディングツールを少なくとも部分的に前記第1の横方向とは反対の第2の横方向に移動させながら行われて、前記ワイヤに第1の屈曲が形成され、
前記第1及び第2の横方向は、前記金属表面に平行である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記ボンディングツールを引く前記ステップは、前記金属表面によって規定される基準平面から離れるように上方向に前記ボンディングツールを引くステップを含み、
前記ボンディングツールを移動させる前記ステップは、前記ボンディングツールを前記基準平面に向かって下方向に移動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ボンディングツールを引く前記ステップは、前記金属表面によって規定される基準平面から離れるように上方向に前記ボンディングツールを引くステップと、前記ボンディングツールを前記金属表面から離れるように第1の横方向に引くステップと、前記ボンディングツールを少なくとも部分的に前記第1の横方向とは反対の第2の横方向に移動させることによって前記ワイヤに第1の屈曲を形成するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ボンディングツールを引く前記ステップは、前記金属表面によって規定される基準平面から離れるように上方向に前記ボンディングツールを引くステップと、前記ボンディングツールを前記金属表面と平行に少なくとも部分的に第1の横方向に引くステップと、前記金属表面によって規定される基準平面から離れるように再度上方向に前記ボンディングツールを引くステップと、を含み、
前記ボンディングツールを移動させる前記ステップは、前記ボンディングツールを前記基準平面に向かって下方向に移動させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
複数の導電性リードを有するコンポーネントアセンブリを形成する方法であって、
ボンディングツールを用いて当該ボンディングツールの表面を越えて延出するワイヤをコンポーネントの表面の金属特徴部に接合するステップと、
前記ワイヤが前記ボンディングツールの前記表面から離れて延出することを許容しながら、前記ボンディングツールを前記金属特徴部から離れるように引くステップと、
前記ワイヤをクランプして、前記ボンディングツールの前記表面を越える前記ワイヤの更なる延出を制限するステップと、
前記ワイヤが前記ボンディングツール以外の任意の金属要素から完全に分離される位置で、前記ボンディングツールが前記ワイヤにキンクを付与するように、前記ワイヤがクランプされた状態を保持しながら前記ボンディングツールを移動させるステップと、
前記ワイヤが前記キンクにおいて破断して一端部を規定するように、前記ボンディングツールを使用して前記ワイヤに張力を加えるステップであって、前記リードは、前記金属特徴部から前記一端部まで延在する前記ワイヤを含む、というステップと、
ボンディングツールを用いる前記ステップと、前記ボンディングツールを引く前記ステップと、前記ワイヤをクランプする前記ステップと、前記ボンディングツールを移動させる前記ステップと、前記ワイヤに張力を加える前記ステップと、を複数回繰り返して、複数の前記リードを形成するステップであって、各リードの前記端部は、それが接合されている前記金属特徴部から少なくとも50ミクロンである、というステップと、
前記複数のリードの個々のリードを取り囲む封止部を形成するステップであって、前記リードの前記端部は、前記封止部の表面において前記封止部によって覆われていない、というステップと、を備える方法。
【請求項20】
前記ボンディングツールを用いて前記ワイヤに張力を加えながら前記ワイヤを捩るステップを更に備え、
前記ワイヤを捩る前記ステップは、前記ワイヤの長さ方向の軸回りで、前記ボンディングツールと前記金属特徴部との間の相対回転運動を付与するステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ボンディングツールを用いる前記ステップは、前記ワイヤが前記金属特徴部に接合される場所をボールボンドが形成するように実行され、
前記ボンディングツールを移動させる前記ステップは、前記ワイヤが前記ボールボンドの表面から20ミクロン以内に移動されるように実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ボンディングツールを引く前記ステップは、前記ボンディングツールを前記金属特徴部から離れるように、少なくとも部分的に第1の横方向に移動させながら、次に、前記ボンディングツールを少なくとも部分的に前記第1の横方向とは反対の第2の横方向に移動させながら行われ、前記ワイヤに第1の屈曲が形成され、
前記第1及び第2の横方向は、前記金属特徴部に平行であり、
前記相対回転運動は、完全な1回転以下の運動であり、
前記相対回転運動は、1〜10回実行される、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2014年6月6日に出願の米国特許出願第14/297,701号(2013年11月12日に出願の米国特許出願第14/077,597号の一部継続出願)の継続出願である。これらの出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願の主題は、超小型電子コンポーネント、パッケージ及びアセンブリの製造に関し、かかるアイテムは、少なくとも部分的にほぼ垂直方向に延在する配線として機能するボンドワイヤを有している。
【背景技術】
【0003】
半導体チップ等の超小型電子デバイスは、通常、他の電子コンポーネントへの多数の入出力接続を必要とする。半導体チップ又は他の同等のデバイスの入出力接点は、通例、デバイスの表面を実質的に覆うグリッド状のパターン(一般に「エリアアレイ」と呼ばれる)に、若しくはデバイスの前面の各縁部に平行にかつ隣接して延在することができる細長い列に、配置されるか、又は前面の中央に配置される。通常、チップ等のデバイスは、プリント回路基板等の基板上に物理的に実装されなくてはならず、デバイスの接点は、回路基板の導電性特徴部に電気的に接続されなくてはならない。
【0004】
半導体チップは一般に、チップを製造する間、及び、回路基板又は他の回路パネル等の外部基板にチップを実装する間の、そのチップの取扱いを容易にするパッケージの状態で提供される。例えば、多くの半導体チップは、表面実装に適したパッケージの状態で提供される。この一般的なタイプの多数のパッケージが種々の用途について提案されている。最も一般的には、かかるパッケージは、通常「チップキャリア」と称される誘電体要素を含み、この誘電体要素は、メッキ又はエッチングされた金属構造体として形成された端子を、その上に有する。これらの端子は通常、チップキャリア自体に沿って延在する薄いトレース等の特徴部によって、及びチップの接点と端子又はトレースとの間に延在する微細なリード又はワイヤによって、チップ自体の接点に接続される。表面実装動作において、パッケージは、そのパッケージ上の各端子が回路基板上の対応するコンタクトパッドと位置合わせされるように、回路基板上に配置される。端子とコンタクトパッドの間に、はんだ又は他の接合材が提供される。はんだを溶かすか若しくは「リフロー」させるようにアセンブリを加熱するか、又は他の方法で接合材を活性化させることによって、パッケージを所定の位置に永続的に接合することができる。
【0005】
多くのパッケージが、その端子に付着した、直径が通常約0.1mm及び約0.8mm(5ミル及び30ミル)のはんだボールの形態のはんだ塊を含む。パッケージの底面から突出するはんだボールのアレイを有するパッケージは、一般にボールグリッドアレイ又は「BGA」パッケージと呼ばれる。ランドグリッドアレイ又は「LGA」パッケージと呼ばれる他のパッケージは、はんだから形成される薄い層又はランドによって基板に固定される。このタイプのパッケージは、非常に小型にすることができる。一般に「チップスケールパッケージ」と呼ばれる特定のパッケージは、そのパッケージに組み込まれたデバイスの面積に等しいか又はそれよりも僅かしか大きくない回路基板の面積を占める。このことは、アセンブリの全体サイズを低減し、基板上のさまざまなデバイス間で短い相互接続を用いることが可能になり、ひいてはデバイス間の信号伝搬時間が限定され、このためアセンブリの高速動作が容易になるという点で有利である。
【0006】
パッケージングされた半導体チップは、多くの場合に「積層」構成の状態で提供される。この積層構成では、1つのパッケージが例えば回路基板上に設けられ、別のパッケージがその第1のパッケージの上に実装される。これらの構成によって、回路基板上の単一のプットプリント内に多数の異なるチップを実装することが可能となり、パッケージ間の短い相互接続を提供することによって、高速動作が更に容易となり得る。多くの場合、この相互接続距離は、チップ自体の厚みよりも僅かに大きいだけである。チップパッケージの積層内で相互接続を達成するために、(最上部のパッケージを除いて)各パッケージの両側において機械的接続及び電気的接続のための構造を設けることが必要である。これは、例えば、チップが実装される基板の両側にコンタクトパッド又はランドを設けることによって行われ、パッドは導電性ビア等によって、基板を貫通して接続される。下側の基板の上部の接点と次の上側の基板の底部の接点との間の間隙を埋めるのに、はんだボール等が用いられてきた。はんだボールは、接点同士を接続するために、チップの高さよりも高くなければならない。積層チップ構成及び相互接続構造の例が、米国特許出願公開第2010/0232129号(「’129号公開」)において提示されている。その開示内容は、参照により、本明細書に全て組み込まれる。
【0007】
超小型電子パッケージを回路基板に接続するために、及び超小型電子パッケージングにおける他の接続のために、細長いポスト又はピンの形態のマイクロコンタクト要素を用いることができる。幾つかの例では、マイクロコンタクトは、1つ以上の金属層を含む金属構造体をエッチングしてマイクロコンタクトを形成することによって形成される。このエッチングプロセスが、マイクロコンタクトのサイズを制限する。通常、従来のエッチングプロセスでは、本明細書において「アスペクト比」と呼ばれる最大幅に対する高さの比が大きいマイクロコンタクトを形成することができない。相当な高さと、隣接するマイクロコンタクト間の非常に小さなピッチ又は間隔を有するマイクロコンタクトのアレイを形成することは、困難又は不可能であった。更に、従来のエッチングプロセスによって形成されるマイクロコンタクトの構成は限られている。
【0008】
当該技術分野における上述したあらゆる進歩にもかかわらず、超小型電子パッケージの製造及び試験における、なお更なる改善が望ましい。
【発明の概要】
【0009】
導電性リードを、ボンディングツールを用いて形成することができる。一実施形態では、金属表面にワイヤを接合し、ボンディングツールを越えてある長さのワイヤを延ばした後、ワイヤをクランプする。ボンディングツールの移動により、ワイヤがボンディングツール以外の任意の金属要素から完全に分離される位置で、ワイヤにキンクを付与することができる。形成要素、例えば、ボンディングツールの外側表面に設けられた縁部又はブレードスカートは、ワイヤを捩るのを助けることができる。次に、ボンディングツールを用いてワイヤに張力を加えるか、又は、更に同時にワイヤを捩ることによって、ワイヤが破断し、一端部を規定してもよい。すると、リードは、金属表面から一端部まで延在する。
【0010】
ワイヤを捩る場合の1つの例では、捩ることは、ボンディングツールと金属表面との間に、ワイヤの長さ方向の軸回りで、相対回転運動を付与することを含む。1つの例では、相対的な回転運動は、完全な1回転以下であってもよい。ここで、完全な1回転とは、ワイヤの長さ方向の軸回りでの、ボンディングツール又は金属表面のお互いに対する完全な1回転を意味する。1つの特定の例では、ワイヤを切断するために、相対的な回転運動は、数回、例えば、10回繰り返してもよい。
【0011】
一例に係る方法において、あるコンポーネントの導電性リードは、ボンディングツールを用いてボンディングツールの表面を越えて延出するワイヤを金属表面に接合するステップと、ワイヤがボンディングツールの表面から離れて延出することを許容しながら、金属表面から離れるようにボンディングツールを引くステップと、ワイヤをクランプしてボンディングツールの表面を越えるワイヤの更なる延出を制限するステップと、ワイヤがボンディングツール以外の任意の金属要素から完全に分離される位置でボンディングツールがワイヤにキンクを付与するように、ワイヤがクランプされた状態を保持しながらボンディングツールを移動させるステップと、ワイヤがキンクにおいて破断して一端部を規定するように、ボンディングツールを使用してワイヤに張力を加えるステップと、を含む複数のステップによって形成することができ、リードは、金属表面から一端部まで延在するワイヤを含む。張力を加えるステップの間、ワイヤを更に捩ってもよく、これによって、ワイヤがキンクで破断するのを更に助長することができる。
【0012】
本方法が、ワイヤの捩りを含む場合は、この方法で処理され切断されたワイヤは、本明細書に記載された捩り力の徴候(ワイヤの軸の周りに捩れた表面を有するような)を示すか、又はピグテールなどの捩れた形状を有する可能性がある。この効果は、ワイヤの長さ全体に沿って起こるか、又は、ワイヤの自由端の近くなどの、ワイヤの長さの一部分若しくは一領域に限定される可能性がある。
【0013】
さまざまなコンポーネントは、本明細書で提供される方法の実施形態に従って形成されたリードを組み込むことができる。
【0014】
ボンディングツールのさまざまな動き及び導電性リードの形状は、本明細書で提供される方法の実施形態に従って、達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に従って製造されたような超小型電子パッケージを例示する断面図である。
【0016】
図2図1の超小型電子パッケージの平面図である。
【0017】
図3A】本発明の実施形態に従って製造されたようなインターポーザを例示する断面図である。
【0018】
図3B図3Aのインターポーザの平面図である。
【0019】
図4】例えば図3A図3Bのインターポーザを組み込むことができるような超小型電子アセンブリを例示する断面図である。
【0020】
図5】本発明の実施形態に係る、リードを形成する方法によるボンディングツールの動きを表す概略図である。
【0021】
図6】本発明の実施形態に係る、リードを形成する一段階を例示する。
【0022】
図7】本発明の実施形態に係る、リードを形成する更なる段階を例示する。
【0023】
図8A】本発明の実施形態に係る、リードを形成する更なる段階を例示する。
【0024】
図8B】ステッチボンド又はウェッジボンド技法を使用して、金属表面に接合した縁部をリードが有する場合の、本発明の実施形態に従って形成されたリードを例示する。
【0025】
図9A】本発明の実施形態に係る方法でワイヤにキンクを形成する(kinking a wire)一段階を例示し、ボンディングツールの特定の例を示す、断面図である。
【0026】
図9B図9Aに示すボンディングツールの対応する平面図である。
【0027】
図9C】ボンディングツールの特定の例を示す断面図である。
【0028】
図9D】ボンディングツールの特定の例を示す断面図である。
【0029】
図10A】本発明の実施形態に従って形成されたリードを例示する側面図である。
【0030】
図10B図10Aに示すリードの対応する平面図である。
【0031】
図10C】本発明の実施形態に従って形成されたリードを例示する側面図である。
【0032】
図10D図10Cに示すリードの対応する平面図である。
【0033】
図11】本発明の実施形態に係るリードを形成する方法の一段階を例示する平面図である。
【0034】
図12図11の平面図に対応する断面図である。
【0035】
図13図12に対応する詳細な部分断面図である。
【0036】
図14】かかる実施形態に係る図11図12及び図13に示す段階に続く製造方法の一段階を例示する、詳細な部分断面図である。
【0037】
図15図14に示す段階に続く製造方法の一段階を例示する断面図である。
【0038】
図16図15に対応する詳細な部分断面図である。
【0039】
図17】本発明の実施形態に係るリードを形成する方法による、ボンディングツールの動きを表す概略図である。
【0040】
図18】本発明の実施形態に係るリードを形成する一段階を例示する。
【0041】
図19】本発明の実施形態に係るリードを形成する更なる一段階を例示する。
【0042】
図20】本発明の実施形態に係るリードを形成する更なる一段階を例示する。
【0043】
図21】本発明の実施形態に係るシステムを例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1を参照すると、本明細書に記載されるプロセスを用いて、コンポーネントの表面111における金属パッド110からコンポーネント面の上面である第2面144に延在する導電性リード137を形成することができる。この第2面144では、リードは、第2のコンポーネントの対応する特徴部と相互接続するか、又はいくつかの場合には、パッド、ビア、又は再配線層のトレースと相互接続することができる。「リード」とは、システム又はそのコンポーネント(例えば、超小型電子素子、基板、インターポーザ、回路パネルなど)の表面にある接点(例えば、導電パッド)から、その表面が位置する平面の上方のある高さに位置する場所まで、電流を導くように構成された導電要素のことをいう。接点から離れた側のリードの端部は、別のコンポーネント又はシステムへの更なる接続のために、露出していてもよい。あるいは、リードは、接点とその接点よりも高いアセンブリの面との間の相互接続(例えば、ビア)として機能する。
【0045】
コンポーネント(例えば、超小型電子素子、回路パネル、基板、等)に関連して本開示で使用するとき、導電性要素がコンポーネントの表面「に」存在するという記述は、そのコンポーネントが、任意の他の要素と組み付けられていない場合に、その導電性要素が、コンポーネントの表面に垂直な方向で、コンポーネントの外側からコンポーネントの表面に向けて移動する理論的な点との接触のために、利用可能であることを示す。これにより、基板の表面に設けられている端子又は他の導電性要素は、かかる表面から突出するか、かかる表面と同一平面であるか、又はかかる表面に対して凹んで基板の孔又は凹部内にあってもよい。
【0046】
本明細書中で用いる場合、要素が「表面の上方に」配置される、又は「表面の上に」位置する、という記述は、その表面から垂直方向に離れた位置にあることを意味する。1つの要素が基準平面「の上に」又は「から上方に」という記述は、基準平面から垂直方向に離れた位置にあることを意味する。要素の「上向き」方向の移動は、表面によって規定される基準平面の上のより高い高さの方向への移動を意味する。逆に、「下向き」方向の移動は、面によって規定された基準平面の上のより低い高さの方向への移動を意味する。上記の用語の全てのかかる記述と意味は、重力を基準にするのではなく、要素自体により規定される基準系によるものである。
【0047】
図1図2に見られるように、リード137は、コンポーネント表面における金属パッド又は他の特徴部の表面に接合されたワイヤボンドのアレイとして配置することができる。ここで、リードは、少なくとも部分的に上方向に、金属パッドから離れて延在する。かかる「ボンドビアアレイ(bond via array)」は、種々のコンポーネントと超小型電子アセンブリの垂直相互接続を提供することができる。例えば、超小型電子パッケージ10は、パッケージの上面144に複数のリード137を有することができ、これらのリードは、その上に配置された追加の超小型電子パッケージ(図示せず)と相互接続するために利用することができる。各リード137は、基板102などの誘電体要素の表面111にあるパッド110又は金属特徴部の金属表面に接合された端部134を有する。リード137は、封止部142などの、誘電体材料を通って上方向に延在することができ、誘電体要素の表面144に端部138を有する。パッケージ10において、リードの縁部面136の部分は、封止部142を形成するために使用される誘電体材料によって、覆われていても、いなくてもよい。
【0048】
図1に更に見られるように、パッケージ10は、超小型電子素子121を含んでもよい。具体的には、構造10は、基板102と電気的に相互接続される超小型電子素子121を含む超小型電子アセンブリ又はパッケージとすることができる。超小型電子素子121は、接着剤(図示せず)を用いて、基板102に上向きに実装してもよく、ワイヤボンド24又は他の導電性構造が、超小型電子素子121を基板102と電気的に連結してもよい。超小型電子パッケージは、更に、パッケージの下側表面146にある端子148を備えることができ、これらは、端子148で、又はそれより下方で、別のコンポーネントの要素と接続するために利用可能である。例えば、端子148は、例えば、はんだボール(図示せず)などの導電塊(conductive masses)を介して、回路パネル又はその他の超小形電子パッケージの対応する接点に接合することができる。
【0049】
別の例において、図3A及び図3Bに示されるように、リード137は、接点の第1のセット348(例えば、インターポーザ310の誘電体要素319の第1表面314にあるパッド)を、接点の第2のセット358(例えば、インターポーザの第2表面354にあるパッド)と、電気的に連結するための相互接続を、提供することができる。誘電体要素319は、誘電体材料をリード137の上に成形して、封止部を形成することによって、形成することができる。導電性再配線層を、第1及び第2の表面314、354の一方又は両方に設けることができる。再配線層は、接点348、358及びトレース364を含むことができる。このトレース364は、表面314、354の一方又は両方に沿って延在し、接点を再配線するために設けられ、1つ以上の接点、若しくは、1つ以上のリード137、又はその双方を電気的に連結するために設けることができる。
【0050】
図4は、超小型電子アセンブリ402の例を示している。ここで、インターポーザ310は、超小型電子コンポーネント412、452と共に組み付けることができ、トレース364などの再配線層の要素を介して、超小型電子素子を電気的に連結することができる。インターポーザは、導電塊(例えば、インターポーザ310の表面314の接点348に付着したはんだボール)などの要素を介して、パッケージ基板425に電気的に連結することができる。次に、パッケージ基板425は、導電塊428(例えば、はんだボール)などを介して、回路パネル445に電気的に連結することができる。
【0051】
他の変形例においては、図4に見られるコンポーネントの1つ以上が存在しなくてもよい。例えば、アセンブリは、1つのみの超小型電子素子412又は452を含むことができる。いくつかの場合において、パッケージ基板425は省略してもよい。一例において、回路パネル445は、図4に示す以外の方法で、アセンブリ402の他のコンポーネントに電気的に連結されてもよい。
【0052】
次に、図5図8Aを参照して、上述のいずれかのコンポーネントなどのコンポーネントの導電性リードを形成する方法について説明する。この実施形態では、ボンディングツールは、図5に例示するような経路のセグメント120、130、140、150、及び160に沿った方向及び順序で、移動させることができる。図6を参照すると、リードを形成する第1の段階では、ボンディングツール104は、ワイヤ115を金属表面(例えば、基板102又は他のコンポーネントの表面のパッド110の表面112など)に接合する。1つの例では、ボンディングツール104は、キャピラリ型のボンディングツールとすることができる。このツールでは、ワイヤ115が、キャピラリの中央開口を通って、ボンディングツールの表面122に実質的に直交する方向に送り込まれる。
【0053】
ワイヤを接合する際、ボールボンド114を金属表面112に接合されたワイヤの端部に形成してもよい。このボールボンドは、ボンディングツール表面122を金属表面112に隣接するように移動するか又は位置決めしながら、表面122を越えて露出するワイヤの部分にエネルギーを加えることにより、生じ得る。エネルギーを加えて金属表面112にボンドを形成した後、ボンディングツールを金属表面112から離れるように引く。図6を参照すると、ワイヤ115の一方の端部は金属表面112と接合しているので、ボンディングツールを離れるように引くことは、ワイヤをボンディングツールの表面122を越えて更に先に延出させる。更に、ボンディングツールを金属表面から離れるように引くと、ボンディングツールを、金属面112によって規定される基準平面108から離れて、経路セグメント120に沿って上方向へ移動させることができる。一例では、経路セグメント120に沿った移動は、コンポーネントの表面111に対して実質的に直交する方向とすることができる。経路セグメント120に沿ってボンディングツールを上方へ移動させた後、経路セグメント130に沿って、表面111に実質的に平行な横方向に、ボンディングツールを移動させることができる。図5に示すように、ボンディングツールを、次に、経路140に沿って上方に移動させることができる。ボンディングツールの上述した動きにより、少なくとも50ミクロンという所定の長さのワイヤを、ボンディングツールの表面122と金属表面112との間に延在させることができる。一般的に理解されるように、本明細書で使用される「ミクロン」は、1メートルの100万分の1、即ちマイクロメートルを意味する。
【0054】
この段階で、ワイヤ115の形状及び金属表面112に対するボンディングツール104の位置は、図6に示すようになり得る。図6に示すように、クランプ125が、ワイヤ115と係合して、ボンディングツールの表面122を越えるワイヤの更なる延出を防止又は制限することができる。一例では、ワイヤは、図6に示す処理の段階でクランプされることができる。ワイヤをクランプすることは、ボンディングツールの表面122を越える方向へのワイヤの更なる延出を防止又は制限する。
【0055】
再び図5を参照すると、ワイヤ115をクランプした後、以前とは異なる方向に、経路セグメント150に沿って、ボンディングツール104を移動させることができる。このボンディングツールの移動を用いて、ワイヤ115にキンクを付与することができる。
【0056】
1つの例において、ボンディングツールを、前の経路セグメント130に沿った移動の横方向以外の横方向の経路セグメントに沿って移動させることができる。経路セグメント150に沿った移動はまた、金属表面112により規定される基準平面108に向かって、下向き方向であってもよい。経路は、基準平面に対してx、y、又はz方向の移動の任意の組み合わせを含むことができる。移動は、一連の直線又は1つ以上の曲線であってもよい。この例では、移動のうちのいくつか又は一部は、ボンディングツールの表面122のループ状又は螺旋状の動きを含んでもよい。更に、キンクを形成すること、又はワイヤの任意の部分を成形することを更に補助するために、処理中にツール及び/若しくはワイヤを回転させるか又は捩ることができる。
【0057】
1つの例において、ボンディングツールは、ツールの表面122に近接したワイヤ115のある場所にキンク116を付与することができる。以下に更に説明するように、キンクは、ワイヤの局部的に脆弱な箇所として現れ、ワイヤに長手方向の張力を加えると、この脆弱箇所でワイヤが破断する可能性がある。キンクは、少なくとも1つの方向において、ワイヤの直径又は幅の局部的な減少と一致し得る。
【0058】
図7に示すように、ワイヤ115とボンディングツールの表面122の縁部との間の接触が、ワイヤにキンク116を付与するのを助けることができる。図7に更に見られるように、ボンディングツールの移動によって、ワイヤがボンディングツール上に設けられているもの以外の任意の金属要素から完全に分離される位置で、ワイヤにキンクが形成される。即ち、キンクは、ボンディングツールと、静止しているか又はボンディングツールとは別個に移動している別の金属要素との間でワイヤを押しつぶすことなく、形成することができる。このようにして、ワイヤのキンクは、「空中で」形成されると言うことができる。図7に示す例では、キンクは、ワイヤの最下面117が、コンポーネント(例えば、基板102又は他のコンポーネント)の表面111から「h」の高さだけ分離された状態で、形成される。キンクを付与するワイヤの移動中に、ワイヤは、ワイヤと金属表面112との間のボールボンド114の表面から分離された状態もまた維持するが、この分離距離「s」は図7に示されている。
【0059】
特定の実施例では、ワイヤが、ボールボンド114によって金属表面112に接合されている場合、キンクを形成する際に、ワイヤがボールボンド114に接触することなしに、ワイヤ115を金属表面112に接合するボールボンド114の表面から100ミクロン以内で、ワイヤを移動させることができる。更なる実施例では、キンクを形成する際に、ワイヤがボールボンド114に接触することなしに、ワイヤ115を金属表面112に接合するボールボンド114の表面から20ミクロン以内で、ワイヤを移動させることができる。
【0060】
特定の例において、ボンディングツールの表面122、又は表面122の下方に突出するワイヤ115の部分、又は表面122及び表面122の下にあるワイヤ115の双方が、ワイヤの端部を金属表面112に接合するボールボンドの厚さ寸法「t」よりも低い、コンポーネント表面111からの高さに位置するように、ボンディングツールを移動することができる。
【0061】
キンクを形成した後、ボンディングツールは、次に、ワイヤの長手方向にワイヤに張力を加えるように移動させられる。任意選択的に、1つの例では、矢印60、62によって分かるように、ワイヤの切断を更に促進するために、ワイヤに張力を加えるか又は維持しながら、ボンディングツール又は金属表面のうちの1つ又は両方を、要素112(例えば、コンポーネント又は誘電体要素102(図5))に支持されて、ワイヤの長さ方向に延在する軸回りで、金属表面又はボンディングツールの他方に対して、回転させることができる。ボンディングツールと金属表面112との間の相対的回転運動は、ワイヤを捩る、即ち、ワイヤに捩り力を加える。一例では、ワイヤを張力下においた状態で、金属表面ではなくボンディングツールを、金属表面に対して回転させてもよい。別の例では、ワイヤを張力下においた状態で、ボンディングツールではなく金属表面を、回転させることができる。更に別の例では、ボンディングツールと金属表面の各々を、ボンディングツール又は金属表面の他方に対して相対的に回転させることができる。矢印60、62によって示唆されるように、回転は、時計方向又は反時計方向のいずれにすることもできる。一実施形態では、ボンディングツールと金属表面との間の相対的な回転は、完全な1回転未満であってもよい。本明細書で使用される場合には、「完全な1回転」とは、ワイヤの長さ方向に方向づけられた軸回りの、ボンディングツール又は金属表面のお互いに対する完全な1回転を意味する。別の実施形態では、ボンディングツールと金属表面との間の相対的な回転運動は、完全な1回転未満とすることができ、数回、例えば、最大10回まで繰り返すことによってワイヤを切断し、ワイヤボンドの上方突出端部が、図8Bに見られるように、上方を向く構造を形成することができる。
【0062】
動作の具体例においては、図8Aに示すように、ボンディングツールを、金属表面112に対して及びボールボンド114に対して、上向きの方向に移動させることができる。クランプ125は、ワイヤの長手方向のワイヤの移動を防止する。任意選択で、ボンディングツールと金属面112との間の相対的な回転運動もまた、ワイヤを捩ることができる。ワイヤがキンク116の場所で脆弱化し、またキンクでのワイヤの幾何学形状は、キンクの位置で応力を集中させるため、ワイヤに張力を加えることにより(ワイヤの捩りを伴ってもよい)、キンク116の位置でワイヤは切断される。その結果、リードを形成するワイヤ115の部分が、ボンディングツール104の内部に延在するワイヤの別の部分から、キンク116の位置で切断される。
【0063】
ワイヤが捩られる場合には、この方法で処理され切断されたワイヤは、本明細書に記載された捩り力の徴候(ワイヤの軸の周りに捩れた面を有するような)を示すか、又はピグテールなどの捩れた形状を有する可能性がある。この効果は、ワイヤ115の長さ全体に沿って起こるか、又は、ワイヤの自由端の近くなどの、ワイヤの長さの一部分若しくは一領域に限定され得る。
【0064】
リードを形成した後に、リードは、リードが形成された金属と、リードを別の要素又は他のコンポーネントに更に接合するのに用いることができる接合金属(例えば、はんだ又は金)との間の拡散を低減又は回避するために、導電性バリア材料でめっきしてもよい。一例では、導電性バリアは、パラジウムとすることができる。他の例では、バリア金属は、ニッケル、タングステン、チタン、リン、コバルト、及びこれらの導電性化合物のうちの1つ以上を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
上述の実施形態の変形例においては、キンクを形成した後のある時点で、しかし、ボンディングツールを用いてワイヤに張力を加える前に、金属表面に対するボンディングツールの相対的な回転運動によって、ワイヤを捩ることができる。別の変形例では、ワイヤの捩りは、ワイヤに張力を加える前に開始し、ボンディングツールがワイヤに張力を加えるときまで、継続することができる。
【0066】
図8Bを参照すると、図5図8Aに関連して提示して説明した方法の変形例では、図8Bに示したリードは、ワイヤ115と金属表面112との間の異なる種類の接合によって、形成することができる。この場合、ワイヤ115の縁部127が金属表面112に接合されているステッチボンド又はウェッジボンドによって、ワイヤは金属表面と接合することができ、ワイヤ115は、金属表面112から離れるように上方に曲がっている。この場合、図1に示すリードの接合端部134は、金属表面にステッチボンディングされたワイヤの一部である。ワイヤと金属表面112との間のステッチボンド又はウェッジボンドの形成は、2012年2月24日に出願された米国特許出願第13/404,408号に更に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。更に別の例では、ボンディングツールは、キャピラリ型ツールではなく、ウェッジボンディングツールとすることができ、ワイヤと金属表面との間のウェッジボンドを形成するように使用することができる。
【0067】
図9A図9Bは、リードを形成する上述の方法に従って使用することができる特定のボンディングツールの構成を示している。この例では、ボンディングツール104は、その外側表面332に形成要素334を含むことができる。図9Aに示す例では、形成要素334は、ボンディングツールの外側のほぼ円筒状又は円錐台形状の壁面332に設けることができる。ここで、壁面332は、ワイヤがその中を通って延在する、ボンディングツールの中央開口124を囲んでいる。この場合、形成要素は、中央開口124の入口323からある距離だけ離れて配置することができる。図5から図7に関して上記に提示された説明に従ってワイヤがクランプされた後、ボンディングツールを移動させる際に、形成要素はキンクを付与するのを助けることができる。ボンディングツールの移動によって、ワイヤは形成要素334に押し付けられる。
【0068】
特定の実施形態では、形成要素334は、ボンディングツールの移動中にワイヤが押し付けられる縁部338を含むことができる。図9Cから分かるように、形成要素の縁部338は、形成要素の内部を通過する180度未満の角度340で交差する2つの面の接合部に存在する。1つの例では、縁部342は、「ナイフエッジ」、即ち、90°未満となる内角344で交差する2つの面の接合部における縁部とすることができる。別の例では、縁部342を形成する2つの面の内角344は、より小さいものとなる。いくつかの場合には、角度344を75°以下に限定することが有利な場合もあるし、他の場合には、角度344を60°以下に限定することが有利な場合もある。縁部342が「鋭角の」場合、即ち、面間の通常75°未満という比較的小さな内角を有する場合に、縁部342は、ボンディングツールの移動中に、ワイヤ115に深く押し入ることができる。しかし、かかる場合には、ボンディングツールの隣接する外側表面332の上の縁部338の高さ339は、図9Aに示す移動中に、縁部338がワイヤ115の内部に延出するが、ワイヤを切断することがないように、制限することができる。特定の例では、縁部338は、外側表面332に沿って、リードを形成するために使用されるワイヤ115の直径の少なくとも0.25倍である軸方向距離336の位置に、配置することができる。同一の例、又は、本明細書の他の例では、縁部は、ボンディングツールの隣接する外側表面332の上方の高さ339(リードを形成するために使用されるワイヤ115の直径の少なくとも0.25倍)に配置することができる。
【0069】
形成要素334は、ボンディングツールの外側表面332に適用することによって、本明細書に記載した方法を実施する際に使用されるボンディングツール104の一部を形成することができる。例えば、環状の形状を有する形成要素334を、ボンディングツールの外側表面332に設けることが可能であり、その上に取り付けるか又は装着することができる。一例では、形成要素は、外側表面332に装着された「ブレードスカート」とすることができる。別の例では、形成要素は、外側表面332と一体に形成された部分であってもよい。更に別の例では、形成要素の縁部338は、ボンディングツールから金属表面に向かって下方向に向いていてもよい。
【0070】
特定の実施例では、このようにして形成されたリードの端部は、図10A図10Bに示すような形状を有する場合がある。例えば、図10A図10Bから分かるように、金属表面から離れたリードの端部135におけるリードの直径119は、ワイヤに沿った他の位置におけるリードの通常の直径に比べて、縮小する可能性がある。この場合には、リードの通常の直径は、金属表面等の別の要素にワイヤが接合されている位置及びリードの端部135を除いて、ワイヤの長さに沿ってほとんど全ての場所に存在するワイヤの通常の直径118と、同じ又は本質的に同じとすることができる。別の例では、上述のように、図10C図10Dに見られるように、形成されたリードは、ワイヤの通常の直径と同じであり得るリードの通常の直径218に比べて、一方向に減少した幅219を有している。かかる場合には、リードの第2の方向の幅221は、端部235と金属表面112との間の位置におけるリードの通常の直径218と同じか、又はそれよりも大きい可能性がある。
【0071】
再び図1を参照すると、次に、上述の処理を繰り返して、複数のリード137を形成することができ、各リードは、コンポーネントの誘電体構造の表面にある金属特徴部の金属表面に接合された端部を有する。例えば、本プロセスを繰り返して、複数のリード137を形成することができ、複数のリードは、誘電体要素102(例えば、基板)の表面111にある各々の金属表面112(導電パッド)に接合された基部134を有する。処理の更なる段階では、誘電体要素142を、複数のリードの個々のリード137を取り囲んで形成することがで、リードの端部138は、誘電体要素の表面144において、誘電体要素142によって覆われていない。一例では、誘電体要素144は、複数のリードの個々のリード137を取り囲む封止材を成形することによって形成することができる。構造10において、リードの縁部面136の部分は、封止部を形成するために使用される誘電体材料によって、覆われても、覆われなくてもよい。
【0072】
別の例では、複数のリードを、図11図12及び図13に示すような共通の金属表面上に形成することができる。この例では、超小型電子素子222を、金属シート220に実装することができ、ワイヤが金属シートに接合され、上述の処理に従って、アセンブリ210の中で、リード237に形成することができる。図14図15を参照すると、誘電体要素242(例えば、封止部)は、アセンブリ210の複数のリードの個々のリード237を取り囲むように形成され、リードの端部238は、誘電体要素242の表面244において、誘電体242によって覆われていない。図16を参照すると、次の処理で、金属要素(例えば、金属シート220)をパターニングして、誘電体要素242の下面245に、複数の金属特徴部228を形成することができる。金属特徴部は、トレース229、ビア231などを含み、これらは、誘電体要素(例えば、封止部)の表面245のパッド228を、超小型電子素子222の表面の接点224に電気的に連結することができる。
【0073】
図17図20を参照すると、リードを形成する上述のプロセスの変形例では、ボンディングツールを、図5に見られるように実質的に垂直な経路セグメント120、140及び水平経路セグメント130に沿って移動させる必要はない。代わりに、ワイヤを金属表面112に接合した状態で、垂直方向290及び水平方向295の両方向に対してある角度をなす経路セグメント230に沿って、ボンディングツールを金属表面112から離れるように引くことができる。ボンディングツールを経路セグメント230に沿って移動させた後、ボンディングツールの表面122を越えてワイヤの更なる延出を防止又は制限するために、ワイヤをクランプすることができる。
【0074】
その後、図17図18に更に示すように、ボンディングツールは、経路セグメント240に沿って、コンポーネントの表面111に対して横方向及び下方向の両方向に移動させることができる。図18は、ボンディングツール104が、経路セグメント230に沿って移動した後に、ワイヤをクランプした後で、ボンディングツールが、経路セグメント240に沿って、横方向及び下方向に移動を開始した後の、ワイヤ115の形状を更に示すものである。図19は、ボンディングツールが、経路セグメント230、240に沿って、前述したように、キンクがワイヤに付加される位置まで移動した後のワイヤ115の形状を示している。図20を参照すると、キンクの位置でワイヤを切断する、更なるワイヤの動きは、図8Aを参照して上述したものと同様とすることができる。
【0075】
図1図4及び図16を参照して上述した超小型電子パッケージ及び超小型電子アセンブリは、図21に示すシステム1100などの、多様な電子システムの構築に利用することができる。例えば、本発明の更なる実施形態に係るシステム1100は、他の電子コンポーネント1108及び1110と共に、上述したような超小型電子パッケージ及び/又は超小型電子アセンブリなどの、複数のモジュール又はコンポーネント1106を含む。
【0076】
示された例示的なシステム1100では、システムは、フレキシブルプリント回路板などの、回路パネル、マザーボード、又はライザーパネル1102を含むことができ、回路パネルは、モジュール又はコンポーネント1106を相互接続する多数の導体1104(そのうちの1つだけが図21に示されている)を含むことができる。かかる回路パネル1102は、システム1100内に含まれる、超小型電子パッケージ及び/又は超小型電子アセンブリの各々との間で信号を搬送することができる。しかし、これは単に例示であって、モジュール又はコンポーネント1106の間の電気的接続を行うための任意の適切な構造を使用することができる。
【0077】
特定の実施形態では、システム1100は、半導体チップ1108などのプロセッサを含むことができ、各モジュール又はコンポーネント1106は、クロックサイクルにおいて、並列データのビット数Nを伝送するように構成することができ、プロセッサは、クロックサイクルにおいて、並列データのビット数Mを伝送するように構成することができる。ここで、Mは、N以上である。図21に示す例では、コンポーネント1108は半導体チップとすることができ、コンポーネント1110はディスプレイ画面であるが、他の任意のコンポーネントをシステム1100で使用することができる。当然ながら、図21では、説明を分かりやすくするために、2つの追加コンポーネント1108及び1110しか示されていないが、システム1100は、任意の数のこのようなコンポーネントを含むことができる。
【0078】
モジュール又はコンポーネント1106、並びにコンポーネント1108及び1110は、概略的に破線で示される、共通のハウジング1101内に実装することができ、必要に応じて、互いに電気的に相互接続されることにより、所望の回路を形成することができる。ハウジング1101は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又は携帯電話で使用可能なタイプの、携帯用ハウジングとして示され、このハウジングの表面に、画面1110を露出させることができる。構造体1106が、撮像チップなどの受光素子を含む実施形態では、その構造体に光を導くために、レンズ1111又は他の光学デバイスもまた設けることができる。この場合も、図21に示す簡略化されたシステムは、単に例示的なものであり、上述の構造体を使用して、デスクトップコンピュータ、ルータなどの、通常は固定構造体と見なされるシステムを含む他のシステムを構築することができる。
【0079】
本明細書における発明は、具体的な実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本発明の原理及び適用の単なる例示に過ぎないことを理解されたい。したがって、例示的な実施形態には数多くの変更がなされてよいこと、及び添付の請求項によって定義されるとおりの本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解されたい。
【0080】
さまざまな従属請求項、及びそれらに記載される特徴は、当初の請求項で提示されるものとは異なる方式で組み合わせることができることは、理解されるであろう。個々の実施形態に関連して説明される特徴は、説明される実施形態の他の特徴と共有することができることもまた、理解されるであろう。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21