(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置を例示するものであって、本発明は電源装置及びこれを備える車両並びに蓄電装置を以下のものに特定しない。また、実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0022】
図1〜
図7に、本発明の実施の形態に係る電源装置として、車載用の電源装置に適用した例を説明する。これらの図において、
図1は電源装置の斜視図、
図2は
図1の電源装置を下側から見た分解斜視図、
図3は
図1の電源装置の分解斜視図、
図4は電源装置の概略水平断面図、
図5は電源装置の概略垂直断面図、
図6は電池セル1とセパレータ2の斜視図、
図7はセパレータ2の正面図をそれぞれ示している。
【0023】
この電源装置は、主としてハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両に搭載されて、車両の走行モータに電力を供給して、車両を走行させる電源に使用される。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッド自動車や電気自動車以外の電動車両に使用でき、また電動車両以外の大出力が要求される用途、例えば蓄電装置用の電源としても使用できる。
(電源装置)
【0024】
図1〜
図6に示す電源装置は、複数の電池セル1を積層してなる電池積層体9と、各電池セル1同士の間に配置された絶縁性を有するセパレータ2と、電池積層体9を積層方向に締結するための固定部材6とを備えている。図に示す電源装置は、電池積層体9を固定部材6で締結して電池ブロック11としている。
(電池セル1)
【0025】
電池セル1は、
図6に示すように、その外形を構成する外装缶1xを、厚さに比べて幅が広い、言い換えると幅よりも薄い角形としている。さらに、電池セル1は、角形で有底の外装缶1xの開口部を封口板1aで閉塞している。ここで、外装缶1xの外形を角形とする電池セル1は、有底の外装缶1xの底側の面となる底面1Dと、互いに積層される電池セル1同士の対向面となる、幅方向に広がる主面1Aと、電池積層体5の両側面を構成する面となる、電池セル1の厚さ方向に広がる外側面1Bと、外装缶1xの開口部を閉塞する封口板1aで構成される面となる天面1Cとを備えている。角形の電池セル1は、複数個が厚さ方向に積層されて電池積層体9を構成している。
なお、本明細書において、電池セル1の上下方向は、図面で示す方向、すなわち、外装缶1xの底側を下方向、封口板1a側を上方向とする。
【0026】
電池セル1は、リチウムイオン電池である。ただし、電池セル1は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の充電可能な二次電池とすることもできる。電池セル1にリチウムイオン二次電池を使用する電源装置は、電池セル全体の体積や質量に対する充電容量を大きくできる特長がある。
【0027】
さらに、電池セル1は、外装缶1xを閉塞する封口板1aの両端部に正負の電極端子1bを設けると共に、一対の電極端子1bの間に安全弁1cを設けている。安全弁1cは、外装缶1xの内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、内部のガスを放出できるように構成される。この電池セル1は、安全弁1cの開弁により、外装缶1xの内圧上昇を停止することができる。
【0028】
ここで、電池セル1は、外装缶を金属製としている。このため、隣接する電池セル1の外装缶同士が接触してショートするのを防止するために、各電池セル1の間に絶縁性のセパレータ2を介在させている。このように、セパレータ2で絶縁して積層される電池セル1は、外装缶をアルミニウムなどの金属製にできる。また、結露等による短絡を防止するために、外装缶を絶縁フィルムで覆ったり、外装缶を絶縁コーティングしたりする構成としても良い。この場合、電池セルの絶縁性をより高めて高い信頼性を実現できる。
(セパレータ2)
【0029】
セパレータ2は、互いに隣接する電池セル1を絶縁して積層するスペーサである。このセパレータ2はプラスチック等の絶縁材で製作されている。セパレータ2は、互いに隣接する電池セル1同士の間に介在されて、隣接する電池セル1を絶縁している。図のセパレータ2は、プラスチックを所定の形状に成形してなる成形体としている。このセパレータ2は、固定部材6により電池積層体9が両端から挟着されても破壊されない十分な強度に設計され、好ましくは耐熱性に優れたプラスチック製、例えば、ポリブチレンテレフタラート製とすることができる。ただ、セパレータは、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂などのプラスチック製とすることもできる。
【0030】
図6の斜視図と
図7の正面図に示すセパレータ2は、電池セル1の主面1Aとほぼ等しい大きさの本体プレート部2aを備えており、この本体プレート部2aを互いに隣接する電池セル1の間に積層して、これらの電池セル1同士を絶縁している。さらに、セパレータ2は、対向して積層される電池セル1の膨張を吸収できるように、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に穴部7を設けている。図に示すセパレータ2の穴部7は、中央部を凹状に窪ませた凹部7Aとしている。
【0031】
なお、本明細書において、穴部とは、セパレータの表面よりも内部に向かって空隙を形成するように成形されたものであって、底板の有無を問わないものとする。すなわち、穴部とは、底板を有する凹部とすることも、底板のない貫通穴とすることも、部分的に底板を有する貫通穴とすることもできる。
【0032】
図4と
図5に示すセパレータ2は、本体プレート部2aの中央部であって、両面に凹部7Aを設けている。各々の凹部7Aは、本体プレート部2aの両面に配置される電池セル1の主面1Aの中央部に対向して設けられている。ただ、詳細には後述するが、穴部7は、セパレータの中央部に貫通して設けた貫通穴とすることもできる。
なお、
図4と
図5においては、セパレータ2に設ける穴部7である凹部7Aの構造を理解しやすくするために、セパレータ2の厚さ、凹部7Aの形状や深さ等を誇張して表示している。
【0033】
ここで、本体プレート部2aの中央部に凹部や貫通穴からなる穴部7を設けるのは、電池セル1の膨張を効果的に吸収するためである。電池セル1の膨張は、充放電を繰り返すことで発生するガスに起因する内圧の上昇により、あるいは外装缶1xに収納される電極板(図示せず)が膨張することによって生じる。このような電池セル1の膨張により、外装缶1xは厚さ方向に膨らむ状態となる。厚さ方向に膨らむ外装缶1xは、主面1Aの外周部に比べて中央部が撓みやすく、これにより主面1Aの中央部における膨張量が最も大きくなる。したがって、セパレータ2は、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に凹部や貫通穴からなる穴部7を設けることで、効果的に電池セル1の膨張を吸収できる。
【0034】
さらに、膨張する電池セル1は、外装缶1xの主面1Aが外周部から中央部に向かって次第に膨らむ湾曲形状に膨張する。したがって、
図4と
図5に示すように、セパレータ2Aに設ける凹部7Aは、膨張する電池セル1の外装缶1xの表面に沿う形状となるように、好ましくは、外周部から中央部に向かって次第に深くなる湾曲形状に成形する。図に示すセパレータ2Aは、本体プレート部2aの中央部に設けた凹部7Aの断面形状を、中央凹となる湾曲面7aとしている。凹部7Aの内面を湾曲面7aとするセパレータ2Aは、電池セル1が膨張する状態において、中央凸に膨らむ外装缶1xの表面を凹部7Aの内面に密着させて、主面1Aの表面をより広い面積で均等に支持できる。
【0035】
ただ、セパレータに設ける凹部は、断面形状を必ずしも湾曲面とする必要はなく、
図8や
図9に示す形状とすることもできる。
図8に示すセパレータ2Bの凹部7Bは、中央部に向かって段階的に深くなる段差形状として中央凹の形状としている。さらに、
図9に示すセパレータ2Cの凹部7Cは、中央部の底面7cを平面状とすると共に、この底面7cに向かって次第に傾斜する傾斜面7dを外周部に設けて中央凹の形状としている。さらに、セパレータの凹部は、必ずしも断面形状を中央凹とする必要はない。
図10に示すセパレータ2Dは、均等な深さの溝型の凹部7Dを設けている。
なお、
図8〜
図10においても、セパレータ2に設ける凹部7B、7C、7Dの構造を理解しやすくするために、セパレータ2の厚さ、凹部7B、7C、7Dの形状や深さ等を誇張して表示している。
【0036】
凹部7A、7B、7C、7Dの深さは、セパレータ2の本体プレート部2aの厚さや電池セル1の主面1Aの大きさ等によって最適な深さに設定される。本体プレート部を厚くしてなるセパレータは、凹部を深く成形しながら優れた強度を維持できる。また、主面を大きくしてなる電池セルを積層する構造においては、電池セルの膨張量が大きくなりやすいので、凹部を深く成形して電池セルの膨張をより効果的に吸収できる。凹部7A、7B、7C、7Dの最大深さ(s)、言い換えると、膨張していない状態の電池セル1の主面1Aとセパレータ2の凹部7A、7B、7C、7Dの内面との間にできる隙間の最大幅(s)は、セパレータ2の本体プレート部2aの厚さ(S)の3%〜20%、好ましくは5%〜10%とすることができる。例えば、本体プレート部2aの厚さ(S)を3〜5mmとするセパレータ2と、主面1Aの大きさを90mm×150mmとする電池セル1とを積層してなる電源装置においては、凹部7A、7B、7C、7Dの最大深さ(s)を、0.1mm〜0.5mm、好ましくは、0.2mm〜0.4mmとすることができる。
【0037】
このようなセパレータ2を電池セル1同士の間に積層する電池積層体9において、例えば、本体プレート部2aの両面に設けた凹部7A、7B、7C、7Dの最大深さ(s)を0.3mmとする場合、1枚のセパレータ2で最大0.6mmの膨張を吸収できる。したがって、このセパレータ2を介して12個の電池セル1を積層してなる電池積層体9では、0.6mm×11=6.6mmとなり、電池セル1の積層方向における電池積層体9全体の膨張を6mm以上も吸収できる。このため、固定部材6、とくにバインドバー(詳細には後述する)にかかる負荷を低減して、電池セル1の膨張時におけるバインドバーに作用する引張力を低減して、バインドバーが破損する等の弊害を有効に防止できる。
【0038】
さらに、
図11に示すセパレータ2Gは、対向して積層される電池セル1の膨張を吸収できるように、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に穴部7として貫通穴7Gを開口している。このように、中央部に設ける穴部7を貫通穴7Gとするセパレータ2Gも、電池セル1が膨張する状態において、中央凸に膨らむ外装缶1xの表面を貫通穴7Gの内側に侵入させて、電池セル1の膨張を吸収する。このように、穴部7を貫通穴7Gとするセパレータ2Gは、電池セル1の膨張を、最大でセパレータ2Gの厚さに相当する量だけ吸収できる。言い換えると、セパレータ2Gを薄くしながら、吸収できる膨張量を大きくできる。ただ、セパレータに設ける穴部を貫通穴とする構造は、隣接する電池セルが膨張する状態で、貫通穴の内側において、隣接する電池セルの外装缶同士が接触するおそれがある。このとき、隣接する電池セルの外装缶に電圧差があると、接触する外装缶同士がショートがする。したがって、このような事態を阻止するために、電池セル1は、好ましくは、外装缶1xを絶縁フィルムで被覆し、あるいは外装缶1xを絶縁コーティングして絶縁構造とする。あるいは、
図11の鎖線で示すように、貫通穴7Gの内側に絶縁シートまたは薄い絶縁プレート等の絶縁部材13を介在させてもよい。このような絶縁部材13には、セパレータ2Aに対して厚さの薄いものが使用される。
【0039】
さらに、
図4〜
図7に示すセパレータ2は、電池セル1と対向する対向面の外周部を接合部8として、この接合部8を電池セル1の主面1Aの外周部に接合させている。接合部8の表面は、膨張しない状態における電池セル1の主面1Aに平行であって、互いに対向するセパレータ2と電池セル1とを積層して締結する状態では、電池セル1の主面1Aに密着するようにしている。ただ、接合部の表面は、主面に対して多少傾斜する傾斜面とすることもできる。
【0040】
図4〜
図7に示すセパレータ2は、本体プレート部2aの中央部に凹部7Aを設けると共に、外周部に接合部8を設けている。
図6と
図7に示すセパレータ2は、本体プレート部2aの外周部に設けた接合部8Aを、電池セル1の主面1Aの4辺に沿う枠形状としている。図に示す接合部8Aは、主面1Aの上下の端部、すなわち、外装缶1xの底面側と封口板1a側の端部に沿う帯状の水平接合部8aと、主面1Aの左右の端部、すなわち、外装缶1xの両側面側の端部に沿う帯状の垂直接合部8bとからなる。この形状のセパレータ2は、枠形状の接合部8Aを電池セル1の主面1Aの外周部に接合させて、電池積層体9を構成する複数の電池セル1を確実に、しかも強固に締結できる。
【0041】
ここで、
図4〜
図7に示すセパレータ2Aは、電池セル1の主面1Aの外周部に沿う枠形状の接合部8Aを設けているが、この接合部8Aは、本体プレート部2aの外周縁まで延長して設けていない。図のセパレータ2Aは、電池セル1の主面1Aの外周部と対向する部分であるが、外周縁に沿う部分を除く領域に接合部8Aを設けている。図のセパレータ2Aは、詳細には後述するが、電池セル1の封口部分(図において上端部)と対向する部分、及び電池セル1の外周縁と対向する部分に沿う部分には接合部8Aよりも薄く形成してなる薄肉部14を設けている。ただ、セパレータは、
図8〜
図10に示すように、本体プレート部2aの外周縁まで延長して接合部8Aを設けることもできる。
【0042】
図6と
図7に示すセパレータ2は、本体プレート部2aの上下の端部に位置する水平接合部8aの幅(w1)を電池セル1の上下方向の高さ(H)の5%〜15%、好ましくは8%〜12%とすると共に、枠形状の接合部8Aの左右に位置する垂直接合部8bの幅(w2)を電池セル1の左右の横幅(W)の5%〜20%、好ましくは8%〜15%としている。このセパレータ2は、本体プレート部2a全体に対する、凹部7Aの面積の割合を50%〜90%、好ましくは60%〜80%とすることができる。接合部8の面積を広くしてなるセパレータ2は、電池積層体9を構成する複数の電池セル1をより広い面積で押圧状態に支持して確実に締結できる。
【0043】
さらに、
図12に示すセパレータ2Eは、本体プレート部2aに設けた接合部8Bを、電池セル1の主面1Aの上下の端部、すなわち、外装缶1xの底面側と封口板1a側の端部に沿う帯状としている。このセパレータ2Eも、本体プレート部2aの上下の端部に設けた接合部8Bの幅(w1)を電池セル1の上下方向の高さ(H)の5%〜15%、好ましくは8%〜12%とすることができる。さらに、このセパレータ2Eは、垂直断面形状を中央凹の湾曲面7eとする凹部7Eを、本体プレート部2aの両側縁まで延長して設けている。このセパレータ2Eは、本体プレート部2aを湾曲しやすくして、膨張する電池セル1の表面を凹部7Eの内面に密着できる。この形状のセパレータ2Eは、上下の接合部8Bを電池セル1の主面1Aの上下の端縁部に接合させて、電池積層体9を構成する複数の電池セル2を確実に締結できる。
【0044】
さらに、
図4〜
図7、及び
図11に示すセパレータ2A、2Gは、電池セル1に挟まれる本体プレート部2aの端縁部であって、電池セル1の封口部分である上端部と対向する部分に沿って、接合部8よりも薄く形成している薄肉部14を設けている。セパレータ2は、好ましくは、
図7に示すように、電池セル1の主面の外周縁部と対向する部分に沿って薄肉部14を設けている。図のセパレータ2A、2Gは、接合部8と薄肉部14とを段差状に形成して、薄肉部14を接合部8よりも薄くしている。ただ、薄肉部は、電池セルの外周縁に向かって次第に薄く成形し、あるいは、階段状に薄くすることもできる。また、薄肉部と接合部の境界部分を所定の曲率半径で折曲加工し、あるいは、傾斜する形状とすることもできる。図のセパレータ2A、2Gは、本体プレート部2aの両面に薄肉部14を設けている。この構造は、電池セル1の外周縁部に応力が集中するのをバランスよく防止できる。ただ、セパレータは、本体プレート部の片面にのみ薄肉部を設けることもできる。
【0045】
このように、電池セル1の封口部分に対向して薄肉部14を設ける構造は、複数の電池セル1とセパレータ2とを積層して、その両端面から強く挟着するときに、電池セル1の封口部分に対向して設けた薄肉部14によって、電池セル1の表面が強く押圧されるのを防止して、電池セル1の上端部に応力が集中するのを防止できる。とくに、角形の電池セル1は、外装缶1xの上端部に開口部を設けて、この開口部に封口板1aをレーザー溶接して密閉していることから、電池積層体9を両側から強く締結する状態では、電池セル1の上端部が局部的にセパレータ2に接触して、この部分に応力が集中しやすくなる。さらに、電池セル1の上端部は、内側に板状の封口板1aがあって圧縮しても薄く変形しないことから、この部分をセパレータ2で強圧すると、圧力がこの領域に集中して他の領域に分散できず、局部的に極めて大きな応力が発生して電池セル1を破損させる原因にもなる。したがって、このように、電池セル1の封口部分と対向する端縁部に薄肉部14を設けることによって、セパレータ2が電池セル1の上端部を強圧して電池セル1の上端側に応力が集中するのを回避して、電池セル1の封口部分のエッジの破損や変形を防止できる。
【0046】
また、電池セル1の主面1Aの外周縁部と対向する部分に沿って薄肉部14を設ける構造は、複数の電池セル1とセパレータ2とを積層して、その両端面から強く挟着するときに、電池セルの外周縁部に応力が集中するのを防止できる。とくに、電池セル1の主面1Aの外周縁のうち、封口部分を除く3辺は、外装缶1xの側面や底面が連結された部分であって、圧縮しても薄く変形しないことから、この部分をセパレータ2で強圧すると、押圧力がこの領域に集中して大きな応力が発生して外装缶1xを破損させたり変形させる原因となる。したがって、このように、電池セル1の主面1Aの外周縁部と対向する部分に薄肉部14を設けることによって、セパレータ2が電池セル1の外周部を強圧して電池セル1の外周部に応力が集中するのを回避して、電池セル1の外周部の破損や変形を防止できる。
【0047】
以上のように、本体プレート部2aの外周縁に沿って設けられる薄肉部14は、例えば、主面1Aの大きさを90mm×150mmとする電池セル1を積層するセパレータ2においては、
図7に示すように、電池セル1の上端部に沿う薄肉部14の幅(h1)を約7mm、電池セル1の底面に沿う薄肉部14の幅(h2)を約6mm、電池セル1の両側に対向して配置する薄肉部14の幅(h3)を約10mmとし、
図5に示すように、薄肉部14の厚さ(d)を接合部8の厚さ(S)よりも0.3mm薄くする。ただし、薄肉部14の幅(h)は、たとえば2mm〜25mmとし、好ましくは3mm〜20mmとし、さらに好ましくは4mm〜15mmとすることができる。さらに、薄肉部14は、その平均厚さ(d)と、接合部8の厚さ(S)との差を、たとえば0.1mm〜1mmとし、好ましくは0.2mm〜0.8mmとし、さらに好ましくは0.3mm〜0.5mmとすることができる。
【0048】
さらに、
図6、
図7、及び
図12に示すセパレータ2は、本体プレート部2aの両面に、電池セル1を収納する収納部2xを形成している。この収納部2xは、電池セル1を定位置に嵌着できる形状として、隣接する電池セル1の位置ずれを阻止している。図のセパレータ2は、本体プレート部2aの外周縁に沿って、電池セル1の側面1Bを被覆する側壁2bと、電池セル1の天面1Cの一部を被覆する天面板2cと、電池セル1の底面1Dの両端部を被覆する突出片2dとを一体成形して設けている。このセパレータ2は、2枚のセパレータ2で電池セル1を挟み込んで、電池セル1の側面1Bを被覆している。このため、側壁2bは電池セル1の側面1Bとほぼ同じ大きさとしつつ、側壁2bのほぼ中央に本体プレート部2aを固定することで、各収納部2xにおいては、側壁2bの半分を使って電池セル1の側面1Bの約1/2を被覆している。また、収納部2xの上面は、天面板2cで電池セル1の封口板1aを部分的に覆いつつ、電極端子1bや安全弁1cを露出させるように、隣接する電池セル1同士の界面の上部を被覆している。一方で、収納部2xの底面側においては、電池セル1の底面1Dを露出させる開口部2yを設けている。
図2、
図6、及び
図12のセパレータ2は、電池セル1の底面1Dの両端部を被覆する突出片2dを、側壁2bの下端に連結して設けており、一対の突出片2dの間の部分を開口部2yとして電池セル1の底面1Dを露出させている。セパレータ2の下端に設けられる突出片2dは、収納部2xに嵌着される電池セル1の下端のコーナー部を定位置に保持すると共に、後述する冷却プレート31と電池セル1との間に介在されて、電池セル1を冷却プレート31から絶縁している。
【0049】
以上のセパレータ2は、本体プレート部2aに、側壁2bと天面板2cと突出片2dとを一体成形して収納部2xを設けている。ただ、セパレータは、必ずしも側壁や天面板や突出片を設ける必要はなく、また、収納部を設ける必要もない。側壁や天面板や突出片を設けていないセパレータは、後述するように、全体の形状を本体プレート部からなる板状として、電池セルの間に積層することができる。また、セパレータは、本体プレート部に側壁のみを設け、あるいは天面板のみを設けることもできる。さらにまた、セパレータは、本体プレート部の外周縁の一部に側壁や天面板を設けて、電池セルを定位置に配置する位置決部材とすることもできる。
【0050】
全体の形状を板状とし、あるいはシート状とするセパレータ2の例を、
図13〜
図18に示す。ここで、
図13〜
図15は、全体を板状とするセパレータ2F、2Hを示し、
図16〜
図18は、全体をシート状とするセパレータ2Iを示している。これらのセパレータ2F、2H、2Iも、
図13、
図15、
図16、及び
図18に示すように、電池セル1の間に介在される状態で積層される。これらのセパレータ2F、2H、2Iもプラスチック等の絶縁材で製作されており、互いに隣接する電池セル1同士の間に介在されて、隣接する電池セル1を絶縁している。
【0051】
図13に示すセパレータ2Fは、プラスチックを板状に成形したものである。板状のセパレータ2Fは、電池セル1の主面1Aとほぼ等しい外形の四角形状としている。図のセパレータ2Fは、対向して積層される電池セル1の膨張を吸収できるように、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に四角形状の穴部7を設けている。図に示すセパレータ2Fの穴部7は、中央部を凹状に窪ませた凹部7Fとしている。図に示す中央凹の凹部7Fは、底面7fを両側縁から中央部に向かって次第に深くなる傾斜面としている。さらに、図に示すセパレータ2Fは、電池セル1と対向する対向面の外周部を接合部8として、この接合部8を電池セル1の主面1Aの外周部に接合させている。図に示す接合部8は、電池セル1の外形に沿う長方形の枠形状としている。このセパレータ2Fは、両面に配置される電池セル1の主面1Aの中央部に対向して、両面に凹部7Fを設けている。
【0052】
図14と
図15に示すセパレータ2Hは、プラスチックを板状に成形したもので、電池セル1の主面1Aとほぼ等しい外形の四角形状とすると共に、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に穴部7として貫通穴7Hを開口している。さらに、図に示すセパレータ2Hは、電池セル1と対向する対向面の外周部を接合部8として、この接合部8を電池セル1の主面1Aの外周部に接合させている。図に示す接合部8は、電池セルの外形に沿う四角形の枠形状であって、コーナー部を湾曲させてなる長方形のリング状としている。さらに、図に示す穴部7は、外周部であって接合部8との境界部分に、接合部8から貫通穴7Hに向かって次第に薄くなる絞り部7Xを設けている。図に示す絞り部7Xは、接合部8の内周に沿うと共に、貫通穴7Hの外周に沿う四角形のリング状で、接合部8の内周縁から貫通穴7Hの開口縁に向かって次第に薄くなる形状としている。
図15に示す絞り部7Xは、表面を湾曲面7xとして内側に向かって次第に薄くしている。ただ、絞り部は、内側に向かって次第に薄くなる傾斜面とすることもできる。このように、貫通穴7Hの外周部に絞り部7Xを備える穴部7は、膨張によって中央凸に膨張する電池セル1の外装缶1xを絞り部7Xの表面に沿う状態で配置できる。さらに、図に示すセパレータ2Hは、電池セル1の封口部分を含む外周縁部と対向する部分に沿って、接合部8よりも薄く形成してなる薄肉部14を設けている。図のセパレータ2Hは、接合部8と薄肉部14とを段差状に形成して、薄肉部14を接合部8よりも薄くしている。
【0053】
さらに、
図16〜
図18に示すセパレータ2Iは、プラスチックをシート状に成形したものである。図に示すセパレータ2Iは、全体の形状を電池セル1の外形に沿う四角形の枠形状であって、コーナー部を湾曲させてなる長方形のリング状としている。図のセパレータ2Iは、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に穴部7として貫通穴7Iを開口している。さらに、図に示すセパレータ2Iは、電池セル1と対向する対向面を接合部8Aとして、この接合部8Aを電池セル1の主面1Aの外周部に接合させている。このようなシート状のセパレータ2Iは、複数枚を積層して厚さを調整することができる。ただ、このセパレータも、プラスチックを板状に成形して製造することができる。
【0054】
さらに、このセパレータ2Iは、
図17に示すように、電池セル1の外形に沿う四角形状とするが、電池セル1の主面よりも小さな外形としている。このセパレータ2Iは、
図18に示すように、隣接する電池セル1の間に介在される状態で、外周縁の外側に、隣接する電池セル1同士が接触しない非接合部16を形成している。このように、セパレータ2Iの外形を電池セル1の外形よりも小さくして、セパレータ2Iの外側に、隣接する電池セル同士が接触しない非接合部16を設ける構造は、前述の薄肉部14と同様に、複数の電池セル1とセパレータ2Iとを積層して、その両端面から強く挟着するときに、セパレータ2Iの外側に形成された非接合部16によって、隣接する電池セル1の外周縁部同士が強く押圧されるのを防止できる。このため、電池セル1の外周縁部が強く押圧されて応力が集中するのを回避して、電池セル1の外周部が破損したり変形するのを防止できる。
【0055】
以上のように、全体を板状やシート状とするセパレータ2F、2H、2Iは、接着材や接着テープ等で貼着して電池セル1の主面1Aの定位置に固定することができる。このように、全体を板状やシート状とするセパレータ2F、2H、2Iは、厚さを薄くできるので、複数の電池セル1の間に介在させて積層した状態で電池積層体の全長を短くして全体をコンパクトにできる。
【0056】
(電池積層体9)
電池積層体9は、複数の電池セル1とセパレータ2とを交互に積層している。この電池積層体9は、互いに隣接する電池セル1の間に、絶縁性を有するセパレータ2を介在する状態で積層して、隣接する電池セル1同士をセパレータ2で絶縁している。積層されて電池積層体9を構成する複数の電池セル1は、正負の電極端子1bを接続して互いに直列及び/又は並列に接続される。電池積層体9は、隣接する電池セル1の正負の電極端子1bを、バスバー12を介して互いに直列及び/又は並列に接続する。電池積層体は、隣接する電池セルを互いに直列に接続して出力電圧を高くでき、隣接する電池セルを並列に接続して充放電の電流を大きくできる。
【0057】
図3に示す電池ブロック11は、12個の電池セル1を2並6直に接続している。隣接する電池セル1同士を並列に接続し、並列接続された電池セル1を互いに直列に接続する電池ブロック11は、出力電流を大きくしながら、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただ、本発明は、電池積層体を構成する電池セルの個数とその接続状態を特定しない。電池ブロックは、並列と直列に接続する電池セルの個数を種々に変更することができ、あるいは全ての電池セルを直列に接続することも並列に接続することもできる。
【0058】
さらに、図の電源装置は、電池積層体9の両端に配置される電池セル1の外側に、エンドセパレータ4を介して、固定部材6を構成するエンドプレート3を配置している。この構造は、エンドプレート3を金属製としながら、外装缶1xを金属製とする電池セル1を、絶縁性を有するエンドセパレータ4で絶縁して積層できる。この構成によると、積層される複数の電池セル1の絶縁を確実に行うことができ、より信頼性の高い電源装置を提供できる。
(エンドセパレータ4)
【0059】
エンドセパレータ4は、
図4と
図5に示すように、電池積層体9の両端に配置される電池セル1とエンドプレート3との間に積層されて、電池セル1とエンドプレート3とを絶縁している。すなわち、電池積層体9の両端において、金属製のエンドプレート3と電池セル1とを絶縁するために、電池セル1とエンドプレート3との間に絶縁性のエンドセパレータ4を介在させている。このエンドセパレータ4は、セパレータ2と同様にプラスチック等の絶縁材、例えば、ポリブチレンテレフタラートで製作されている。このエンドセパレータ4は、
図19と
図20に示すように、電池セル1の主面1Aとほぼ等しい大きさの本体プレート部4aを備えており、この本体プレート部4aを電池セル1とエンドプレート3との間に積層してこれらを絶縁している。さらに、エンドセパレータ4は、電池積層体9の両端に積層される電池セル1の膨張を吸収できるように、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に穴部17を設けている。図に示すエンドセパレータ4は、中央部を凹状に窪ませて凹部17Aとしている。
図4と
図5に示すエンドセパレータ4は、本体プレート部4aの中央部であって、電池セル1と対向する片面に凹部17Aを設けている。この凹部17Aは、本体プレート部4aに配置される電池セル1の主面1Aの中央部に対向して設けられている。エンドセパレータ4に設けられる凹部17Aは、前述のセパレータ2に設けられる凹部7Aと同様の形状、大きさ、及び深さとすることができる。
【0060】
図4と
図5に示すエンドセパレータ4Aは、本体プレート部4aの中央部に設けた凹部17Aの断面形状を、中央凹となる湾曲面17aとしている。ただ、エンドセパレータに設ける凹部も、必ずしも断面形状を湾曲面とする必要はない。
図8に示すエンドセパレータ4Bのように、中央部に向かって段階的に深くなる段差形状の凹部17Bとし、あるいは、
図9に示すエンドセパレータ4Cのように、中央部の底面17cを平面状として、この底面17cに向かって次第に傾斜する傾斜面17dを設けた凹部17Cとし、あるいはまた、断面形状を中央凹とすることなく、
図10に示すエンドセパレータ4Dのように、均等な深さの溝型の凹部17Dとすることができる。
【0061】
このようなエンドセパレータ4を電池積層体9の両端に配置する構造は、さらに、電池積層体9全体の膨張を吸収できる。例えば、エンドセパレータ4の本体プレート部4aに設けた凹部17の最大深さ(s)を0.3mmとする場合、電池積層体9の両端に配置される2つのエンドセパレータ4によって最大0.6mmの膨張を吸収できる。したがって、前述のセパレータ2とこのエンドセパレータ4とを介して12個の電池セル1を積層してなる電池積層体9では、0.6mm×11+0.3mm×2=7.2mmとなり、電池セル1の積層方向における電池積層体9全体の膨張を約7mmも吸収できる。このため、固定部材6、とくにバインドバー5にかかる負荷をさらに低減して、電池セル1の膨張時において、バインドバーが破損する等の弊害を有効に防止できる。
【0062】
さらに、
図11、
図15、及び
図18に示すエンドセパレータ4G、4H、4Iは、電池セル1の主面1Aと対向する対向面の中央部に、穴部17として貫通穴17G、17H、17Iを開口している。このように、中央部に設ける穴部17を貫通穴17G、17H、17Iとするエンドセパレータ4G、4H、4Iも、電池セル1が膨張する状態において、中央凸に膨らむ外装缶1xの表面を貫通穴17G、17H、17Iの内側に侵入させて、電池セル1の膨張を吸収する。このように、穴部17を貫通穴17G、17H、17Iとするエンドセパレータ4G、4H、4Iは、電池セル1の膨張を、最大でエンドセパレータ4G、4H、4Iの厚さに相当する量だけ吸収できる。言い換えると、エンドセパレータ4G、4H、4Iを薄くしながら、吸収できる膨張量を大きくできる。ただ、エンドセパレータに設ける穴部を貫通穴とする構造は、隣接する電池セルが膨張する状態で、貫通穴の内側において、電池セルがエンドプレートに接触するおそれがある。このとき、エンドプレートが金属製の場合、接触する外装缶がショートし、あるいは漏電するおそれがある。したがって、このような事態を阻止するために、電池セル1は、好ましくは、外装缶1xを絶縁フィルムで被覆し、あるいは外装缶1xを絶縁コーティングして絶縁構造とする。あるいは、エンドプレートの内面を絶縁シートや絶縁コーティングして絶縁構造とし、あるいはまた、
図11の鎖線で示すように、貫通穴17Gの内側に絶縁シートまたは薄い絶縁プレート等の絶縁部材13を介在させてもよい。このような絶縁部材13には、エンドセパレータ4Gに対して厚さの薄いものが使用される。
【0063】
さらに、
図19に示すエンドセパレータ4は、本体プレート部4aの中央部に凹部17Aを設けると共に、外周部に接合部18を設けて、この接合部18を電池セル1の主面1Aの外周部に接合させている。
図19に示すエンドセパレータ4は、本体プレート部4aの外周部に設けた接合部18を、電池セル1の主面1Aの4辺に沿う枠形状としている。この形状のエンドセパレータ4は、枠形状の接合部18を電池セル1の主面1Aの外周部に接合させて、電池積層体9を構成する複数の電池セル1を確実に、しかも強固に締結できる。
【0064】
ここで、
図4、
図5、
図19に示すエンドセパレータ4Aと、
図11、
図15に示すエンドセパレータ4G、4Hは、電池セル1の主面1Aの外周部に沿う枠形状の接合部18を設けているが、この接合部18は、本体プレート部4aの外周縁まで延長して設けていない。図のエンドセパレータ4A、4G、4Hは、電池セル1の主面1Aの外周部と対向する部分であるが、外周縁に沿う部分を除く領域に接合部18を設けている。図のエンドセパレータ4A、4G、4Hは、電池セル1の封口部分(図において上端部)と対向する部分、及び電池セル1の外周縁と対向する部分に沿う部分には接合部18よりも薄く形成してなる薄肉部15を設けている。ただ、エンドセパレータは、
図8〜
図10に示すように、本体プレート部4aの外周縁まで延長して接合部18を設けることもできる。さらに、
図15に示すエンドセパレータ4Hは、接合部18から貫通穴17Hに向かって次第に薄くなる絞り部17Xを設けている。
【0065】
さらに、
図19に示すエンドセパレータ4は、本体プレート部4aの片側に電池セル1を収納する収納部4xを形成して、反対側にエンドプレート3を接合させている。エンドセパレータ4の収納部4xは、前述のセパレータ2の収納部2xと同様に、電池セル1を定位置に嵌着できる形状として、隣接する電池セル1の位置ずれを阻止している。
【0066】
図19のエンドセパレータ4は、本体プレート部4aの片側であって、電池セル1の収納部4xを形成する側に、電池セル1の側面1Bを被覆する側壁4bと、電池セル1の天面1Cの一部を被覆する天面板4cと、電池セル1の底面1Dの両端部を被覆する突出片4dとを備えている。このエンドセパレータ4は、側壁4bと天面板4cと突出片4dの幅を、電池セル1の幅の約1/2としている。このエンドセパレータ4とこれに隣接するセパレータ2とで電池積層体9の一端に位置する電池セル1を挟み込んで、エンドセパレータ4の側壁4bとセパレータ2の側壁2aとで電池セル1の側面1Bを被覆している。また、電池セル1の天面側においては、エンドセパレータ4の天面板4cとセパレータ2の天面板2cとで部分的に覆いつつ、電極端子1bや安全弁1cを露出させるように天面1Cを被覆している。また、電池セル1の底面側においては、電池セル1の底面1Dを露出させる開口部4yを設けている。
図19のエンドセパレータ4は、電池セル1の底面1Dの両端部を被覆する突出片4dを、側壁4bの下端に連結して設けており、一対の突出片4dの間の部分を開口部4yとして電池セル1の底面1Dを露出させている。この突出片4dも、収納部4xに嵌着される電池セル1の下端のコーナー部を定位置に保持すると共に、電池セル1と冷却プレート31との間に介在されて、電池セル1を冷却プレート31から絶縁している。
【0067】
さらに、
図20のエンドセパレータ4は、本体プレート部4aの反対側の面であって、エンドプレート3との対向面に、エンドプレート3の接合面に設けた嵌合凸部3cを嵌着させる嵌合凹部4zを設けている。
図20に示すエンドプレート3は、エンドセパレータ4との対向面の外周縁部を除くほぼ全面を一段高く成形して嵌合凸部3cとしている。一方、エンドセパレータ4は、嵌合凸部3cの外周縁に沿う形状の周壁4eを備えており、この周壁4eの内側を嵌合凹部4zとして、エンドプレート3の嵌合凸部3cを位置決めしながら案内できるようにしている。これにより、エンドセパレータ4は、外側面の定位置にエンドプレート3を接合できるようにしている。
(固定部材6)
【0068】
複数の電池セル1とセパレータ2とを積層してなる電池積層体9は、固定部材6を介して積層方向に締結されている。
図1〜
図3に示す固定部材6は、電池積層体9の両端に配置されたエンドプレート3と、このエンドプレート3に固定されて、エンドプレート3を介して電池積層体9を積層方向に締結するバインドバー5とからなる。ただ、固定部材は、必ずしもエンドプレートとバインドバーとに特定しない。固定部材は、電池積層体を積層方向に締結できる他の全ての構造が使用できる。
(エンドプレート3)
【0069】
エンドプレート3は、
図3に示すように、電池ブロック11の両端であって、エンドセパレータ4の外側に配置されている。エンドプレート3は、電池セル1の外形とほぼ同じ形状と寸法の四角形として、積層している電池積層体9を両端面から挟着している。
図19のエンドプレート3は、エンドセパレータ4の定位置に配置できるように、エンドセパレータ4の嵌合凹部4zに嵌着させる嵌合凸部3cを一体成形して設けている。図のエンドプレート3は、エンドセパレータ4との対向面において、外周縁部を除くほぼ全面を一段高く成形して嵌合凸部3cとしている。このエンドプレート3は、嵌合凸部3cを嵌合凹部4zに嵌着させる状態でエンドセパレータ4の定位置に連結される。
【0070】
エンドプレート3は、全体を金属で製作している。金属製のエンドプレート3は、優れた強度と耐久性を実現できる。図に示すエンドプレート3は、全体をアルミニウムまたはアルミニウム合金で製造している。金属製のエンドプレート3は、ダイキャストとして、所定の形状に成形できる。とくに、エンドプレート3をアルミダイキャストとする構造は、全体を軽量としながら、優れた加工性と耐食性を実現できる。ただ、エンドプレートは、アルミニウムやアルミニウム合金以外の金属で製造することもできる。
【0071】
電池ブロック11の両端に配置される一対のエンドプレート3は、
図1〜
図4に示すように、電池積層体9の両側面に配置される一対のバインドバー5を介して締結される。
図20に示すエンドプレート3は、バインドバー5を定位置に固定できるように、外側面にバインドバー5の連結凹部3aを設けている。図のエンドプレート3は、この連結凹部3aの形状を、バインドバー5の連結部5Bを嵌着できる形状としている。さらに、図に示すエンドプレート3は、バインドバー5の連結部5Bを固定する止ネジ19をねじ込む雌ネジ孔3bを連結凹部3aに設けている。図のエンドプレート3は、外側面の両側に設けた連結凹部3aに、上下に離して雌ネジ孔3bを開口して設けている。
【0072】
さらに、エンドプレート3は、
図3と
図20に示すように、冷却プレート31の上面に配置される電池ブロック11を冷却プレート31に固定するための連結部材であるボルト27を挿通する挿通孔3dを備えている。図に示す電池ブロック11は、エンドプレート3を、図において上下方向に貫通するボルト27を介して冷却プレート31に固定している。したがって、図のエンドプレート3は、ボルト27のネジ部を貫通させる挿通孔3dを上下に貫通して設けている。挿通孔3dは、その内径を、ここに挿通されるボルト27の外径とほぼ等しくし、あるいはやや大きくしている。
【0073】
図20のエンドプレート3は、中央部の両側に挿通孔3dを設けている。このエンドプレート3は、
図20に示すように、両側部に設けられる雌ネジ孔3bに交差しないように、雌ネジ孔3bよりも中央側に位置して挿通孔3dを開口している。
【0074】
さらに、エンドプレート3は、挿通孔3dの上端部に、ボルト27の頭部を収納する切欠凹部3eを設けている。切欠凹部3eは、ボルト27の頭部を案内しながら、ボルト27を回転できる内形としている。さらに、図の切欠凹部3eは、挿通孔3dにボルト27を挿通した状態で、ボルト27の頭部27Aがエンドプレート3の表面に突出しない深さとしている。この構造は、電池ブロック11の外形を大きくすることなくボルト27を配置できる。
(バインドバー5)
【0075】
バインドバー5は、電池積層体9の両端面に配置されたエンドプレート3に固定されて、このエンドプレート3を介して電池積層体9を積層方向に締結する。
図1〜
図4のバインドバー5は、電池積層体9の積層方向に延長されており、両端が一対のエンドプレート3に固定されて、電池積層体9を積層方向に締結する。図に示すバインドバー5は、電池積層体9の両側面に対向して配置されている。このように、バインドバー5を電池積層体9の両側面に配置して締結する構造は、複数の電池セルをより確実に積層方向に締結できる。ただ、バインドバーは、必ずしも電池積層体の両側面に配置する必要はない。バインドバーは、電池積層体の両側面に加えて上面や底面に配置することも、両側面に配置することなく、上面や底面にのみ配置することもできる。
【0076】
バインドバー5は、電池積層体9の表面に沿う所定の幅と所定の厚さを有する金属板である。このバインドバー5には、鉄などの金属板、好ましくは、鋼板が使用できる。金属板からなるバインドバー5は、
図1〜
図4に示すように、電池積層体9の側面に沿って配置される本体部5Aと、本体部5Aの両端で折曲され、エンドプレート3に固定される連結部5Bと、本体部5Aの上方で折曲されて電池積層体9の上面を保持する上面保持部5Cとを備えている。
図1〜
図3のバインドバー5は、本体部5Aを、電池積層体9の側面と略同等の面積の略長方形としている。図の本体部5Aは、開口部5Dを設けて、全体を軽量化しながら低コストにしている。また、図のバインドバー5は、その両端部を、エンドプレート3の外側面に沿うようにほぼ直角に折曲加工して、連結部5Bを設けている。このバインドバー5は、両端の連結部5Bをエンドプレート3に連結することにより、バインドバー5の連結部5Bが電池積層体9の両端に配置された一対のエンドプレート3に係止され、一対のエンドプレート3が所定の間隔となるようにして、電池積層体9を両端から挟着している。
図5のバインドバー5は、エンドプレート3の両側に設けた連結凹部3aに連結部5Bを連結して、2つのバインドバー5で一対のエンドプレート3を連結している。したがって、バインドバー5の連結部5Bは、エンドプレート3の連結凹部3aに沿うように折曲加工されている。さらに、バインドバー5は、その両端部を止ネジ19でエンドプレート3に固定している。図のバインドバー5は、連結部5Bに、止ネジ19を挿入する貫通孔を、上下に離して開口して設けている。バインドバー5は、両端の連結部5Bをエンドプレート3の連結凹部3aに嵌合させる状態で、貫通孔に止ネジ19を挿入し、この止ネジ19をエンドプレート3の連結凹部3aに設けた雌ネジ孔3dにねじ込んで一対のエンドプレート3に固定している。
【0077】
以上の電池ブロック11は、電池積層体9の両端面に配置されるエンドプレート3と両端に位置する電池セル1との間に、エンドセパレータ4を配置している。ただ、電源装置は、必ずしもエンドセパレータを配置する必要はない。例えば、エンドプレートの対向面を絶縁シートや絶縁塗料等で被覆する等の方法で絶縁することによって、エンドセパレータを不要とできるからである。
【0078】
また、上述の通り、外装缶の膨張は、充電や電池セルの劣化によって引き起こされる。とくに、充電による外装缶の膨張は、放電することでほぼ元の寸法に戻るが、電池セルの劣化による外装缶の膨張は増加する方向にのみ変化するので、寿命末期(EOL)においても、破断しない締結構造を備えた電源装置とすることが求められる。上記実施形態における電源装置は、セパレータの穴部によって、電池セルの膨張を吸収できるようになっているため、過度な締結力の増大を抑制することができ、バインドバーの破断を防止することができる。そのため、EOLにおける膨張が顕著な高容量の電池セルを用いた電源装置であっても、比較的簡単な構造で電池積層体を締結することができる。
【0079】
一方、充電率(SOC)がゼロの状態で、電池セルを放置すると過放電状態となるおそれがあるため、通常、ある程度充電した状態で電池セルを保管する必要があるが、電池セルは、SOCに応じて、外装缶が膨張する。低SOCとすることで、外装缶の膨張は、ある程度低減することができるが、外装缶の膨張を皆無とすることはできず、膨張している電池セルを積層する際に、電池セルが位置ずれすることがある。上記実施形態の電源装置は、外装缶の最も膨張する幅広面である主面の中央部分と対応する位置に、セパレータの穴部が形成されているので、組み立ての際に、電池セルが多少膨張していても、セパレータによって膨張を吸収でき、電池セルの位置ずれを防止することもできる。
(トップカバー)
【0080】
さらに、
図1と
図3の電池ブロック11は、上面にトップカバー25を配置している。このトップカバー25は、各々の電池セル1の電極端子1bをバスバー12で連結するための開口窓25aを開口して設けている。さらに、トップカバー25の内面には、電池セル1の安全弁1cと連通されたガスダクト26を設けている。ガスダクト26を各電池セル1の安全弁1cと連結し、さらに、ガスダクト26を外部に配管することで、電池セル1の内圧が上昇した際に排出されるガスを、安全に外部に排出するようにしている。また、トップカバー26の内部には、電源装置を制御するための制御回路を実装した回路基板(図示せず)を収納している。
【0081】
このトップカバー25は、電池ブロック11の上面をカバーして、電池セル1に接続されたバスバー12や回路基板(図示せず)をカバーして保護する。したがって、トップカバー25は、電池ブロック11の上面をカバーできる外形であって、内部に回路基板等を収納できる空間を有する形状にプラスチックで成形している。
図1と
図3のトップカバー25は、全体を下側開口の浅い容器形状に成形しており、中央部を周囲よりも一段深く成形して、回路基板を収納するための収納凹部を設けている。
(熱伝導シート12)
【0082】
さらに、
図2、
図3、及び
図5に示す電池ブロック11は、電池セル1の底面1Dと冷却プレート31との間に熱伝導シート29を配置している。この熱伝導シート29は、電気絶縁性を有し、かつ熱伝導性に優れた材質とし、さらに、ある程度の弾性を有するものが好ましい。このような材質としては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコーン系の樹脂等が挙げられる。このように、絶縁性と優れた熱伝導性を有する熱伝導シート29は、電池セル1と冷却プレート31との間を電気的に絶縁しつつ、冷却プレート31による冷却性能を高めることができる。また、熱伝導シート29に弾性を持たせることで、電池セル1と冷却プレート31との接触面での空隙を無くし、振動・衝撃に対して緩衝材として作用させることができる。この構造は、電池セル1と冷却プレート31との間に隙間が生じて伝熱性が低下するのを有効に防止できる。また、熱伝導シートに代えて、熱伝導ペースト等を利用することもできる。
(冷却プレート31)
【0083】
冷却プレート31は、電池セル1の熱をラジエータなどに輸送して外部に放熱するための放熱部材であり、
図2に示すように、その内部に冷媒配管32を配設している。冷却プレート31は、内部に配設された冷媒配管32を冷却機構30に連結している。冷却プレート31は、この冷媒配管32に冷却機構30から冷媒が供給されて冷却される。冷却プレート31は、冷媒を通過させる冷媒配管32として、金属製の冷却パイプ32Aを内蔵している。冷却パイプ32Aは、冷却プレート31の上面板31Aに接触させており、底板31Bとの間には断熱材38を配設して、底板31Bとの間を断熱している。冷却パイプは、図示しないが、電池ブロック11との対向面を平坦とした扁平型に形成している。このようにすることで、円筒形の冷却パイプと比べ、冷却プレート31との接触面積を増やして電池ブロック11との伝熱性を向上させることができる。また、冷却パイプ32Aは、熱伝導に優れた材質で構成する。ここではアルミニウム等の金属製としている。特に、アルミニウム製の冷却パイプは比較的柔らかいため、電池ブロック11との接触界面で押圧させることで表面を多少変形させて接触性を向上でき、高い伝熱性を実現できる。
【0084】
また、
図2の例では、冷却プレート31を電池セル1の積層方向に延長すると共に、内部に配管された冷却パイプ32Aを端縁で折り返すようにして蛇行させることで、4列の直線状冷却パイプが電池ブロック11の下面に配置されている。なお、冷却パイプを配置する構成や形状は、適宜変更することができる。
【0085】
さらに、
図2と
図3に示す冷却プレート31は、エンドプレート3を貫通するボルト27を介して電池積層体9に固定している。図に示す冷却プレート31は、エンドプレート3を貫通するボルト27をねじ込んで固定するために、ボルト27の挿通位置に連結穴39を開口しており、この連結穴39にナット部(図示せず)を設けている。冷却プレート31は、図示しないが、上面板31Aと底板31Bとの間にナット部材を固定してナット部を設けている。この冷却プレート31は、エンドプレート3を貫通するボルト27の先端部をナット部にねじ込んでエンドプレート3に固定される。このようにナット部を内部に備える冷却プレート31は、ボルト27の先端を冷却プレート31の下面に突出させることなく、エンドプレート3を連結できる。ただ、冷却プレートは、必ずしもナット部を内部に備える必要はなく、下面に固定することも、あるいは、冷却プレートを貫通するボルトがねじ込まれるナットを介して締結することもできる。このような連結構造は、冷却プレートにボルトの先端部を貫通させる貫通孔を開口すると共に、この貫通孔を貫通するボルトをナットにねじ込んで固定できる。
【0086】
さらに、電池ブロックは、図示しないが、ボルトを介して冷却プレートに連結すると共に、他の連結構造を併用して冷却プレートに連結することもできる。この構造は、たとえば、電池ブロックの中央部分において、冷却プレートの下面側にコ字状に折曲してなる締結部材を配置して冷却プレートを保持すると共に、この締結部材の両端をバインドバーの本体部に連結して冷却プレートの中央部分を電池積層体に連結することもできる。
(冷却機構30)
【0087】
冷却機構30は、冷却プレート31の冷媒配管32に冷媒を循環させて冷却プレート31を冷却する。冷却機構30は、図示しないが、冷媒配管32に、水や冷却液などの冷媒を供給して、低温の冷媒で直接に冷却プレート31を冷却する。冷媒として、水や冷却液などを循環させる冷却機構は、水や冷却液を冷媒の気化熱で冷却する構成としてもよい。とくに、車両に搭載される電源装置においては、車内冷房用に用いる既存の冷却機構を水や冷却液の冷却に利用できる。また、冷却機構は、フロン、代替フロンや炭酸ガスなどの冷媒を冷媒配管に循環させて、冷媒配管の内部で気化する気化熱で冷却プレートを冷却することもできる。さらにまた、この冷却機構は、車両に搭載している車内冷房用のコンプレッサとコンデンサとレシーバータンクを兼用して用いることもできる。この構造は、電池ブロックを冷却するために専用の冷却機構を設けることなく、車両に搭載する電源装置の電池ブロックを効率よく冷却できる。
【0088】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
(ハイブリッド自動車用電源装置)
【0089】
図21は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池セルを充電する発電機94と、エンジン96、モータ93、電源装置100、及び発電機94を搭載してなる車両本体90と、エンジン96又はモータ93で駆動されて車両本体90を走行させる車輪97とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池セルを充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池セルを充電する。
(電気自動車用電源装置)
【0090】
また、
図22は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池セルを充電する発電機94と、モータ93、電源装置100、及び発電機94を搭載してなる車両本体90と、モータ93で駆動されて車両本体90を走行させる車輪97とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池セルを充電する。
(蓄電用電源装置)
【0091】
さらに、この電源装置は、移動体用の動力源としてのみならず、定置型の蓄電用設備としても利用できる。例えば家庭用、工場用の電源として、太陽光や深夜電力等で充電し、必要時に放電する電源システム、あるいは日中の太陽光を充電して夜間に放電する街路灯用の電源や、停電時に駆動する信号機用のバックアップ電源等にも利用できる。このような例を
図23に示す。この図に示す電源装置100は、複数の電池ブロック81をユニット状に接続して電池ユニット82を構成している。各電池ブロック81は、複数の電池セル1が直列及び/又は並列に接続されている。各電池ブロック81は、電源コントローラ84により制御される。この電源装置100は、電池ユニット82を充電用電源CPで充電した後、負荷LDを駆動する。このため電源装置100は、充電モードと放電モードを備える。負荷LDと充電用電源CPはそれぞれ、放電スイッチDS及び充電スイッチCSを介して電源装置100と接続されている。放電スイッチDS及び充電スイッチCSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ84は充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをOFFに切り替えて、充電用電源CPから電源装置100への充電を許可する。また充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で負荷LDからの要求に応じて、電源コントローラ84は充電スイッチCSをOFFに、放電スイッチDSをONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷LDへの放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチCSをONに、放電スイッチDSをONにして、負荷LDの電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0092】
電源装置100で駆動される負荷LDは、放電スイッチDSを介して電源装置100と接続されている。電源装置100の放電モードにおいては、電源コントローラ84が放電スイッチDSをONに切り替えて、負荷LDに接続し、電源装置100からの電力で負荷LDを駆動する。放電スイッチDSはFET等のスイッチング素子が利用できる。放電スイッチDSのON/OFFは、電源装置100の電源コントローラ84によって制御される。また電源コントローラ84は、外部機器と通信するための通信インターフェースを備えている。
図23の例では、UARTやRS−232c等の既存の通信プロトコルに従い、ホスト機器HTと接続されている。また必要に応じて、電源システムに対してユーザが操作を行うためのユーザインターフェースを設けることもできる。
【0093】
各電池ブロック81は、信号端子と電源端子を備える。信号端子は、入出力端子DIと、異常出力端子DAと、接続端子DOとを含む。入出力端子DIは、他の電池ブロック81や電源コントローラ84からの信号を入出力するための端子であり、接続端子DOは他の電池ブロック81に対して信号を入出力するための端子である。また異常出力端子DAは、電池ブロック81の異常を外部に出力するための端子である。さらに電源端子は、電池ブロック81同士を直列、並列に接続するための端子である。また電池ユニット82は並列接続スイッチ85を介して出力ラインOLに接続されて互いに並列に接続されている。