(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断手段は前記電源群に含まれる複数の前記検出手段において所定の数以上の前記検出手段で異常を検出したときに前記電源群で異常が発生していると判断することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
前記第2の切替手段が複数備えられ、前記第2の切替手段と並列している前記電源群に含まれる前記電源部の数がいずれの前記電源群においても同じであることを特徴とする請求項2または3に記載の電源装置。
前記第2の切替手段が複数備えられ、前記第2の切替手段と並列している前記電源群に含まれる前記電源部の数が、前記電源群によって異なることを特徴とする請求項2または3に記載の電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態について
図1を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態の電源装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の電源装置は、定電流電源11と、切替部12と、検出部13と、電源部14とを備えている。電源部14は複数備えられており、電源部14ごとに切替部12と検出部13が1つずつ備えられている。また、電源部14から装置システム60へ電源が供給されている。
【0015】
定電流電源11は、外部電源から出力電流が一定の直流電流を生成して出力する機能を有する。外部電源は交流電源と直流電源との場合があるが、交流電源の場合には直流に変換される。また、出力電流の設定値が可変の定電流電源11が用いられることもある。
【0016】
切替部12はスイッチ機能を有しており、検出部13からの信号に応じて電流を流す状態(オン状態)と遮断する状態(オフ状態)とに切り替えることができる。
【0017】
検出部13は電源部14の入力部の電位を計測する機能を有する検出回路を備えている。電源部14の入力部の電位は接地された状態を基準電位として測定される。検出部13は電源部14に異常が発生し、電源部14の回路がオープン状態、すなわちインピーダンスが無限大となったことを検出したときに、切替部12に対してオン状態とする信号を送る。また、検出部13は、電源回路14の電位が正常であるときは、切替部12に対してオフ状態とする信号を送る。
【0018】
電源部14は定電流電源11からの電流を元に、装置システム60に電源を供給する電源機能を有している。電源部14は複数備えられおり、電源部14は直列接続された状態で定電流電源11からの電流が流れる構成となっている。また、電源部14は異常が発生した際に、電源部14の内部回路を電流が導通しない状態にする保護機能を有している。電源部14の内部回路は異常が発生した際にはオープン状態、すなわちインピーダンス無限大の状態となる。電源部14の内部回路の保護機能により電流が流れない状態となったとき、定電流電源11による電流を維持しようとする働きのため、入力部の電位が一時的に高い状態となる。計測した電位が所定の範囲から外れた場合に、検出部13は電源部14の異常を検出する。
【0019】
装置ユニット60は本発明の各実施形態の電源装置から電源の供給を受けて稼働する外部の装置である。装置ユニット60は、例えば情報装置や通信用の伝送装置などのことをいう。
【0020】
本実施形態の電源装置の通常運用時の動作について説明する。外部電源から電力の供給を受けた定電流電源11は出力電流が一定となるように出力を行う。定電流電源11から出力された電流は回路を通り、
図1で最上部に示した1段目の電源部14へと入力される。
図1で示した最上段の電源部14を1段目の電源部14とよび、1段目の電源部14に直列に接続された次の電源部14を2段目の電源部14とよぶこととする。2段目以降に直列に接続された電源部14も、順次、数字を増やして同様のよび方とする。また、切替部12および検出部13についても、同様のよび方とする。例えば、1段目の電源部14に備えられた切替部12、検出部13は、それぞれ1段目の切替部12、1段目の検出部13とよぶこととする。また、他の図面を参照した説明や、他の実施形態の説明においても同様のよび方をする。
【0021】
1段目の電源部14へ電流が入力されると、1段目の検出部13は、1段目の電源部14の電位の測定を行う。1段目の検出部13は測定した電位が所定の範囲内であり1段目の電源部14が正常と判断したときは、1段目の切替部12へスイッチ機能をオフ状態とする信号を送る。電流が入力され正常に動作している1段目の電源部14は装置システム60へ電源を供給する。
【0022】
1段目の電源部14から再び回路側へと出力された電流は
図1の上部から2番目に示す2段目の電源部14へと入力される。その際に、2段目の検出部13は2段目の電源部14に入力される電位の測定を行う。2段目の検出部13は測定した電位が所定の範囲内であり2段目の電源部14が正常と判断したときは、2段目の切替部12へスイッチ機能をオフ状態とする信号を送る。電流が入力された2段目の電源部14は装置システム60へ電力を供給する。また、2段目の電源部14からは再び、回路へ電流が出力される。
【0023】
電源装置がn個の切替部12、検出部13および電源部14とで構成されている場合は、n段目まで上記の動作が繰り返される。n段目の電源部14から回路へ出力される電流は定電流電源11へと戻る。
【0024】
次に電源部14のうちの1台に異常が発生した場合の動作について説明する。1段目の電源部14で異常が発生したとする。1段目の電源部14は異常が発生すると保護機能により、オープン状態となる。1段目の検出部13は電源部14の電位の計測を行い、電位が所定の範囲内かを判断する。1段目の検出部13は1段目の電源部14の電位の変動から異常を検知すると、1段目の切替部12にスイッチ機能をオン状態とする信号を送る。1段目の切替部12は、スイッチ機能をオン状態とする信号を受信すると、スイッチ機能を切り替えて電流を通す設定とする。このときの、スイッチ状態を
図2に模式的に示した。
図2では1段目の切替部12のスイッチがオン状態、すなわち電流が流れる状態となっている。
図2のように1段目の切替部12がオン状態となると、通常時は1段目の電源部14を経由して、2段目の電源部14へと送られていた電流の経路が、1段目の切替部12を経由して、2段目の電源部14へと送られる経路へと変わる。すなわち、異常の発生している1段目の電源部14を通らずに、2段目の電源部14以降の電源部14に対して電流が供給される。2段目の電源部14以降の動作は1段目の電源部14が正常に動作しているときと同様である。
【0025】
他の電源部14で異常が発生した際も、1段目の場合と同様に異常が発生した段の検出部13で電位の変動が検出され、異常が発生した段の切替部12を経由する。各段でのフローの概要を
図3に示した。各段の検出部13は電源部14の電位を計測する(ステップ101)。検出部13は電位の計測を行うと、電位が所定の範囲内か判断する(ステップ102)。検出部13は電源部14の電位が所定の範囲内と判断すると(ステップ102でYes)、切替部12のスイッチをオフ状態とする信号を送る(ステップ103)。切替部13のスイッチがオフ状態のとき、その段において電流は電源部14を通る経路で流れる。このとき、該当する段の電源部14から装置システム60へ電源が供給される。また、ステップ102でNoと判断されたとき、検出部13は切替部12のスイッチをオン状態とする信号を送る(ステップ104)。切替部12のスイッチがオン状態になると、その段では切替部12を通る経路で電流が流れる。このとき、電源部14に異常が発生しており、また、電流が切替部12を流れるので電源部14から電源は供給されない。以上のように動作する結果、異常が発生した段の電源部14を通らずに、次の段以降の正常動作をしている電源部14に電流が供給される。ある電源部14で異常が発生したときに切替部12を通る電流経路に変更して電源部14を通さないことにより、他の電源部14では装置システム60への電源供給を継続することができる。よって、複数台備えられた電源部14の一部に異常が発生した際に、電源装置全体で障害が発生することをさけることができる。
【0026】
本実施形態の電源装置では、電源部ごとに電位を測定して異常の有無を判断し、異常がある場合には異常のある電源部を通らない経路で下流の電源部へと電流を送っている。よって、異常のある電源部が他の電源部に及ぼす影響を低く抑えることができる。そのため、ある電源部に異常が生じた際も、他の正常な電源装置は外部装置への電源供給を行うことができる。よって、本実施形態の電源装置では電源部に異常が発生した際に電源装置全体として障害が発生することはなく、信頼性の高い電源供給が可能となる。
【0027】
本発明の第2の実施形態について
図4を参照して詳細に説明する。
図4は本実施形態の電源装置の構成の概要を示したものである。第1の実施形態の電源装置では電源部で異常が生じた際に、異常が生じた電源のみを電流の経路から除外した。本実施形態では、さらに電源部を複数台ごとのグループに分けて管理を行う。
【0028】
本実施形態の電源装置は定電流電源21と、複数の電源群30とからなる。また、電源群30から装置システム60へと電源が供給される。
【0029】
電源群30は複数の電源部24を備え、電源部24と同数の第1の切替部22および検出部23を備える。電源部24は直列に接続されており、ある電源群30の最下流の電源部24と次の電源群30の最上流の電源部24も直列に接続されている。また、電源群30は多数決回路25と第2の切替部26とを備える。
図4は各電源群30が3台の電源部24と、電源部24と同数の第1の切替部22と検出部23とを備えている例を示した。各電源群30が備える電源部24の数は2台でもよく、また、3台よりも多くてもよい。
【0030】
定電流電源21および電源部24には第1の実施形態の同一名称の部位と構成および機能が同様のものを用いる。第1の切替部22には、第1の実施形態の切替部と同様の構成および機能のものを用いる。検出部23には第1の実施形態の検出部と同様の機能を有するものを用いる。また、検出部23は第1の切替部22と同時に多数決回路25へもスイッチをオン状態またはオフ状態とする信号を送る機能を有する。
【0031】
多数決回路25は、所定の数以上の検出部23からオン状態とする信号が送られてきたときに、第2の切替部26にオン状態とする信号を送信する機能を有する。例えば、本実施形態の電源群30を3台の電源部24で構成した場合には2つ以上の検出部22からオン状態とする信号が出力されたときに、多数決回路25は第2の切替部26へオン状態とする信号を送る。所定の数は、例えば、その数以上の台数の電源部24に異常が発生すると電源群30が対応する装置システム60の稼働を維持できない数として設定することができる。
【0032】
第2の切替部26は第1の切替部22と同様に電流のスイッチ機能を有しており、多数決回路25からの信号に応じて電流を流す状態(オン状態)と遮断する状態(オフ状態)とに切り替える機能を有する。
【0033】
電源部24に異常が発生していない通常時の動作について説明する。外部電源から電力の供給を受けた定電流電源21は出力電流が一定となるように出力を行う。定電流電源21から出力された電流は回路を通り、
図4で最上部に示した1ブロックの1段目の電源部24へと入力される。
図4で最上部に示した電源群30を1ブロックとよぶこととする。また、1段目の電源群30の次に接続されている電源群を2ブロックとよび、以降は順次、数字をつけてよぶこととする。
【0034】
1ブロックの1段目の電源部24に電流が入力されると、1段目の検出部23は、電源部24の電位の測定を行う。1段目の検出部23は測定した電位が所定の範囲内であり電源部14が正常と判断したときは、1段目の第1の切替部22へスイッチ機能をオフ状態とする信号を送る。また、1段目の検出部23は1ブロックの多数決回路25へもオフ状態とする信号を送る。電流が入力された1段目の電源部24は装置システム60へ電力を供給する。
【0035】
電源部24から再び回路側へと出力された電流は2段目の電源部24へと入力される。その際に、2段目の検出部23は2段目の電源部24の電位の測定を行う。2段目の検出部23は測定した電位が所定の範囲内であり2段目の電源部24が正常と判断したときは、2段目の第1の切替部22へスイッチ機能をオフ状態とする信号を送る。また、2段目の検出部23は1ブロックの多数決回路25へもオフ状態とする信号を送る。電流が入力された2段目の電源部24は装置システム60へ電源を供給する。2段目の電源部24から再び回路側へと出力された電流は、3段目の電源部24へと入力される。3段目の電源部24でも1段目や2段目と同様の動作が行われ、3段目の電源部24から電流が回路に再び出力される。1ブロックの3段目の電源部24から出力された電流は、次のブロックの1段目の電源部24に入力される。
【0036】
電源装置がm個の電源群30で構成されていて、電源群30が1ブロックからmブロックまでであるとき、上記の動作がmブロックの3段目まで繰り返される。mブロックの3段目の電源部24からの電流は定電流電源21へと戻る。電源部24が全て正常動作をしている場合には、全ての電源群30において第2の切替部26は全てオフ状態であり、第2の切替部26を通る経路には電流は流れない。
【0037】
本実施形態の電源装置において1台の電源部24に異常が発生した場合について説明する。電源群30の1ブロックの2段目の電源部24で障害が発生したとして説明する。定電流電源21から出力された電流は1ブロック目の1段目の電源24へと入力される。1ブロックの1段目の電源部24は正常であるから、1段目の検出部23での電位は所定の範囲内となる。よって、1段目の検出部23は1段目の第1の切替部22に対してオフ状態とする信号を送る。1段目の第1の切替部22は1段目の検出部22からオフ状態とする信号を受けると、オフ状態、すなわちスイッチが開いていて電流が流れない状態を維持する。また、1段目の検出部は1ブロックの多数決回路25へオフ状態とする信号を送る。1段目の電源部24は正常であるので、電流が供給されている場合には、1段目の電源部24は装置システム60に電源の供給を行う。
【0038】
1ブロックの1段目の電源部24から回路に戻った電流は、2段目の電源部24へと入力される。2段目の電源部24は異常が発生しているため内部回路はオープン状態、すなわちインピーダンスは無限大となっている。2段目の検出部23は、2段目の電源部24の電位が所定の値の範囲外となっていて異常が発生していることを検出する。2段目の検出部23は2段目の電源部24での異常を検出すると、2段目の第1の切替器22をオン状態にする信号を送る。また、2段目の検出部22は多数決回路25に対しても、オン状態にする信号を送る。2段目の電源部24では異常が発生しているので、2段目の電源部24から装置システム60への電源の供給は行われない。
【0039】
2段目の第1の切替部22が2段目の検出部23からオン状態にする信号を受けると、2段目の第1の切替部22はオン状態、すなわち電流が流れる状態にスイッチの切り替えが行われる。2段目の第1の切替部22のスイッチがオン状態になると、1段目の電源部24から出力された電流は、2段目の第1の切替部22を通り、3段目の電源部24へと入力される。
【0040】
1ブロックの3段目の電源部24に電流が入力され際に、3段目の検出部22は3段目の電源部24の電位の検出を行う。3段目の電源部24が正常に稼働しているとすると、3段目の検出部22は所定の範囲内の電位を検出する。3段目の検出部22は、3段目の電源部24の電位が所定の範囲内であることを検出すると、3段目の第1の切替部22および多数決回路25にオフ状態とする信号を送る。3段目の第1の切替部22はオフ状態とする信号を3段目の検出部22から受信すると、オフ状態、すなわち電流が流れない状態を維持する。3段目の電源部24は正常であるので、3段目の電源部24は装置システム60に電力供給を行う。3段目の電源部24から回路へ出力される電流は、次のブロックの1段目の電源部24へと入力される。このときの回路の状態を
図5に模式的に示した。
図4では1ブロックの2段目の第1の切替部22がオン状態となっている。他の段の第1の切替部22および第2の切替部26はオフ状態である。
【0041】
以降、電源部24が正常に動作している場合と同様にmブロックの3段目の電源部24まで電流が送られ、各々の電源部24から装置システム60に電源が供給される。また、mブロックの3段目の電源部24から回路へ出力される電流は定電流電源21へと戻る。
【0042】
1ブロックの多数決回路25は1段目の検出部23からオフ状態、2段目の検出部23からオン状態、3段目の検出部23からオフ状態の信号を受信する。本実施形態では2つ以上の電源部24で異常が発生したとき、すなわち2つ以上の検出部23からオン状態の信号を受けた時に、第2の切替器26をオン状態とする設定とした。よって、検出部23からの信号は2つがオフ状態、1つがオン状態なので、多数決回路25は第2の切替部26にオフ状態とする信号を送る。第2の切替部22は、多数決回路25からオフ状態とする信号を受けると、オフ状態、すなわち電流が流れない状態を維持する。よって、定電流電源21から1ブロック目の電源群30に入力された電流は、1段目の電源部24、2段目の第1の切替部22および3段目の電源部24を通って、2ブロック目の電源群30に入力される。
【0043】
次に同じ電源群30において2台の電源部24に異常が発生した場合について説明する。電源群30のうち1ブロックの1段目および3段目の電源部24に異常が発生したとする。
定電流電源21から出力された電流は1ブロック目の1段目の電源部24の入力部への経路を進む。いま、1ブロックの1段目の電源部24は異常が発生している状態であるから、
1段目の電源部24の内部回路はオープン状態となっており、電源部24には電流が流れない。このとき、1段目の検出部23は電源部24の電位が所定の値の範囲外にあり異常が発生していることを検出する。1段目の検出部23は1段目の電源部24の異常を検出すると、1ブロックの多数決回路25および1段目の第1の切替部22にオン状態とする信号を送る。1段目の第1の切替部22はオン状態とする信号を1段目の検出部23から受けると、スイッチを切り替えて第1の切替部22を電流が通過する状態とする。
【0044】
定電流電源21から電源群30の1ブロックへと進んだ電流は第1の切替部22を通り、2段目の電源部24の入力部への経路を進む。1段目の電源部24がオープン状態であり、電流は1段目の第1の切替部22の経路と通るため、電流は1段目の電源部24は経由しない。電流は2段目の電源部24への入力部への経路を進むと、2段目の電源部24が正常稼働しているので、電流は2段目の電源部24へと入力される。このとき、2段目の検出部23は、2段目の電源部24での電位を計測する。2段目の電源部24は正常であるので、2段目の検出部23は所定の範囲の電位を検出する。検出した電位が所定の範囲内であるので、2段目の検出部23は1ブロックの多数決回路25および2段目の第1の切替部22にオフ状態とする信号を送る。2段目の第1の切替部22は2段目の検出部22からオフ状態とする信号を受信すると、スイッチをオフ状態、すなわち電流を流さない状態とする。2段目の電源部24から回路側へ出力された電流は3段目の電源部24へと進む。
【0045】
3段目の電源部24は異常が発生しているので、3段目の検出部23は3段目の電源部24の電位が所定の値の範囲外であることを検出する。3段目の検出部23は3段目の電源部24の電位が所定の値の範囲外であることを検出すると、1ブロックの多数決回路25および3段目の第1の切替部22にオン状態とする信号を送る。3段目の第1の切替部22は3段目の検出部23からオン状態とする信号を受けると、スイッチを切り替えて電流が流れる状態とする。3段目の第1の切替部22のスイッチがオン状態となると、1ブロックの電源群30に入力された電流は1段目の第1の切替部22、2段目の電源部24および3段目の第1の切替部22を通るようになる。
【0046】
多数決回路25は1段目の第1の切替部22からオン状態、2段目からオフ状態、3段目からオン状態とする信号を受ける。このとき多数決回路25は第2の切替部26に対しオン状態とする信号を送る。第2の切替部26はオン状態とする信号を受けると、スイッチを切り替えて電流が流れる状態とする。このときの、1ブロックの第1の切替部22、第2の切替部26の状態を
図6に模式的に示した。
図6に示したように、第1の切替部22の1段目と3段目のスイッチがオフ状態、第2の切替部26がオン状態となっている。多数決回路25は第2の切替部26をオン状態とすると判断したとき、各段の検出部23を介して、各段の第1の切替部22を全てオフ状態することもある。電源群30の1ブロックに入力された電流は第2の切替部26の経路を通って、次の電源群30へと進む。すなわち、1ブロックに入力された電流は、各段の第1の切替部2や電源部24を通過しない。よって、1ブロックのいずれの電源部24からも装置システム60へ電源は供給されない。
【0047】
1ブロックの次の電源群30に入力された電流は1段目の電源部24へと入力される。電源群30の次のブロックへと進んだときも、1ブロックと同様に次のブロックでも、異常が発生した電源部24の数により電流の経路が切り替えられる。このときのフローの概略を
図7に示した。電源群30の各段の電源部24において、検出部23は電源部24の電位を測定する(ステップ111)。検出部23により電位が所定の範囲と判断されると(ステップ112でYes)、第1の切替部23のスイッチはオフ状態に設定される(ステップ113)。また、ステップ112でNoと判断されると、第1の切替部のスイッチはオン状態に設定される(ステップ114)。次に多数決回路25において各検出部23からの信号に基づいて、障害の発生した電源部24が所定の数以下かの判断が行われる(ステップ115)。異常の発生した電源部24の数が所定の数以下であるとき(ステップ115でYes)、第2の切替部26のスイッチはオフ状態として設定される(ステップ116)。このとき、この電源群30では正常箇所では電源部24を電流が流れ、異常発生個所では第1の切替部22を電流が流れる。そのため、正常な電源部24から装置システム60へ電源の供給が行われる。ステップ115でNoと判断されると、第2の切替部26のスイッチはオン状態として設定される(ステップ117)。第2の切替部26のスイッチがオン状態になると、電流は第2の切替部26を通る経路で流れる。よって、異常が発生していない電源部24を含め、電源部24から電源は供給されない。
【0048】
電源群30がm個のブロックで構成されているとき、上記の動作がmブロックの最後の段まで繰り返される。mブロックの最後の段から出力される電流は定電流電源21へと戻る。
【0049】
本実施形態のように電源部24ごとに備えられた第1の切替部22と電源群30ごとに備えられた第2の切替部26とを用いることにより、電源装置30の信頼性がより向上する。例えば、ある電源部24でその電源部24に備えられた検出部23に異常が発生した際に、後段の電源部24に電流が流れなくなったとする。そのとき、後段の検出部24が異常が発生したと検知し多数決回路25へとオン状態とする信号を送る。後段以降の検出部24からは全てオン状態とする信号が送られてくるため、多数決回路25において第2の切替部26をオン状態とする判断される可能性が高い。そのとき、異常が発生した電源部24が含まれる電源群30では第2の切替部26を通る経路で電流が流れる。よって、各段ごとに異常が発生したことが検知できなかった場合においても、電源装置全体として障害が発生することを避けることができるため、電源装置の信頼性が向上する。
【0050】
本実施形態では電源群30が3つの電源部24で構成されている例を示したが、3つに限定されるわけではなく、2つまたは4つ以上の電源部24で構成されていてもよい。そのとき、各ブロックに含まれる電源部24の数が同数でなくてもよい。
【0051】
本実施形態の電源装置では、電源部ごとに電位を測定して異常の有無を判断し、さらに複数の電源部を電源群として監視している。1つの電源群の中で所定の数よりも異常の発生した電源部の数が多くなったときは、電源群を迂回する経路で電流が下流の電源部等へと送られる。このような構成とすることにより、電源部ごとの監視機能に障害があった際に、異常のあった電源部を迂回できずに電源装置全体の電源部からの電源供給が行われなくなることを避けることができる。そのため、電源部ごとのみを監視する構成の電源装置に比べてより信頼性が向上している。
【0052】
本発明の第3の実施形態について
図8を参照して詳細に説明する。
図8は第3の実施形態の電源装置の構成の概要を示したものである。第1の実施形態では各電源部の異常の対応は個別に実施された。また、第2の実施形態では異常の発生した際の対応は各電源部での個別の対応と複数の電源部ごとでの対応との組み合せにより実施された。本実施形態の電源装置では、個別に管理される電源部と複数での管理も行われる電源部とが併存する形で備えられている。
【0053】
本実施形態の電源装置は定電流電源41と、切替部42と、検出部43と、電源部44と、電源群50とを備えている。電源群50は第1の切替部52と、検出部53と、電源部54と、多数決回路55と、第2の切替部56とを備えている。電源群50には複数の電源部54が備えられていて、電源部54ごとに第1の切替部52と検出部53が備えられている。電源部44についても、電源部44ごとに切替部42と検出部43が備えられている。また、電源部44および電源群50の電源部54から、装置システム60へ電源が供給される。
【0054】
本実施形態の電源装置の電源部44、切替部42および検出部43の組の数は単数でもよく、また複数でもよい。電源群50の数も単数でもよく、複数でもよい。電源群50に含まれる電源部54、第1の切替部52および検出部53の組の数は電源群50ごとに異なっていてもよく、すべての電源群50で同数でもよい。これらの数は電源の供給先の装置システム60を含めた全体の設計に応じて設定することができる。
【0055】
電源部44と電源群50の電源部54は直列に接続されているが、このとき、
図8に示すように電源部44が複数設置されたあとに電源部54を含む電源群50が設置される構成とすることができる。また、電源部44が単数または複数接続された後に、電源群50の電源部54が接続され、さらに電源部44が接続される形としてもよく、電源装置や装置システム60などの設計に応じた構成とすることもできる。
【0056】
定電流電源41、切替部42、検出部43、電源部44は第1の実施形態の同一名称の部位と同様の構成および機能を有するものを用いることができる。また、第1の切替部52と、検出部53と、電源部54と、多数決回路55及び第2の切替部56は、第2の実施形態の同一名称の部位と同様の構成および機能のものを用いることができる。
【0057】
本実施形態では定電流電源41からの電流が電源部44、切替部42および検出部43で構成されている部分に入力されたときには、第1の実施形態と同様の方法で動作する。すなわち、電源部44が正常である場合は電源部44を通る経路で、電源部44に異常が発生している場合は切替部42を通る経路で下流へと電流が送られる。また、電源部44が正常であるところでは、装置システム60への電源の供給が行われる。電流が電源群50へと入力されたときには、第2の実施形態と同様の方法で動作する。すなわち、電源部54が正常であるときには電源部54を電流が流る経路で、電源部54に障害が発生しているときには第1の切替部52を電流が流れる経路で下流へと電流が送られる。また、1つの電源群50の中に含まれる電源部54のうち所定の数以上で異常が発生したときには、電流は第2の切替部56を流れ、電源部54や第1の切替部52の経路を通らない。よって、ある電源部54から装置システム60に電源が供給されるのは、その電源部54が正常で、かつ、電源群50内で異常の発生している電源部54の数が所定の数未満のときとなる。
【0058】
本実施形態の電源装置では、第2の実施形態と同様に電源部ごとの異常の検出機能に障害が発生したときに、一定範囲の電源群を迂回するため電源装置全体からの電源供給が停止することを避けることができる。その結果、信頼性が向上している。また、供給先の装置に応じて、管理する電源部の数を変えることにより、効率的に電源部の管理を行いつつ信頼性の向上の効果を得ることができる。
【0059】
第1から第3の実施形態において、電源部ごとに検出部を備える構成を示したが検出部は複数の電源部からの入力が1つの素子で形成された検出部で行われ、各切替部または各第1の切替部に信号が送られる構成としてもよい。また、第2および第3の実施形態においては多数決回路と検出部を一体のものとし、電位の検出、スイッチ切り替えの判断、第1の切替部および第2の切替部への信号の送信を同一素子で行う構成としてもよい。
【0060】
本発明の第4の実施形態について
図9を参照して詳細に説明する。
図9は本実施形態の電源装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の電源装置は、複数の電源部71と、検出手段72と、第1の切替手段73とを備えている。
【0061】
電源部71は直列に電流が供給されるように接続されている。検出手段72は電源部71ごとに備えられ、電源部の異常の有無を検出する。第1の切替手段73は、電源部71ごとに電源部71と並列に接続されて備えられており、検出手段72により検出された電源部71の異常の有無により電流の導通の有無を切り替えられる。また、第1の切替手段73は、検出手段72によって電源部71の異常が検出された場合に、電流が導通する状態に切り替えられる。第1の切替手段73は電流が導通状態であるとき、検出部72により異常が検出された電源部71に直列に接続された次の電源部71または第1の切替手段73へ電流を送る。
【0062】
本実施形態の電源装置では、電源部ごとに異常の有無を検出し、異常がある場合には異常のある電源部を通らない経路で下流の電源部へと電流を送っている。よって、異常のある電源部が他の電源部に及ぼす影響を低く抑えることができる。そのため、ある電源部に障害が生じた際も、他の正常な電源装置は外部装置への電源供給を行うことができる。その結果、本発明の電源装置では電源部に異常が発生した際に、電源装置全体として障害が発生することはなく、信頼性の高い電源供給が可能となる。