(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような落石防止柵は、設計時に想定される落石の運動エネルギーに耐えることができるように製造されているが、大量の土石流をくい止めるように設計されていない。そのため、ネット材に土石流の土砂が堆積していき、最終的には、ネット材または防止柵全体が土砂の重量に耐えられなくなったときに、ネット材が破れたり、防止柵が倒れたりするおそれがある。
【0006】
また、ネット材に堆積していく土砂を随時掻き出すことによって防止柵の破壊を防止することも考えられるが、防止柵が接地される山の斜面で土砂を掻き出す作業は難しいという問題がある。例えば、スコップなどを用いて大量の土砂を手作業で掻き出す作業は時間及び手間がかかり、一方、パワーショベルなどの土砂を掻き出すための重機械は山の斜面の防止柵の位置まで移動することが難しいので、手作業および機械による掻き出し作業のいずれも難しいと考えられる。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、土石流による土砂の堆積を容易に除去することが可能であり、土石流をくい止めることが可能な土石流防止柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の土石流防止柵は、山の斜面に沿って下降する土石流の土砂を受け止める土石流防止柵であって、当該山の斜面の等高線の延びる方向に間隔をあけて立設された複数の支柱と、互いに隣接する支柱同士の間の空間の少なくとも上部を覆うように当該支柱に固定されたネットと、当該複数の支柱の間の空間の下部を覆って土石流の土砂を受けるように配置される土砂受け部材と、を備えており、
前記土砂受け部材は、前記土砂を堆積させることが可能な網状またはシート状の本体と、当該本体を前記土砂とともに吊り上げることが可能な位置において当該本体に対して連結された吊り上げケーブルとを有し、前記本体は、前記ネットに対して分離可能に配置されている、ことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、土砂受け部材に土石流の土砂がある程度堆積されたときに、当該土砂受け部材をネット
と分離して、クレーンなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材および土砂をまとめて吊り上げることにより、土石流防止柵に堆積する土砂を取り除くことが可能である。そのため、堆積された土砂を随時容易に除去することが可能であ
る。
具体的には、前記土砂受け部材は、前記土砂を堆積させることが可能な網状またはシート状の本体と、当該本体を前記土砂とともに吊り上げることが可能な位置において当該本体に対して連結された吊り上げケーブルとを有し、前記本体は、前記ネットに対して分離可能に配置されている。したがって、土砂受け部材の本体に土石流の土砂がある程度堆積されたときに、クレーンなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材および土砂を吊り上げる場合には、吊り上げケーブルを介して網状またはシート状の本体を吊り上げることにより、土砂受け部材の本体および土砂をまとめて容易に吊り上げることが可能である。
その結果、土石流防止柵の破損を事前に防止して、土石流をくい止めることが可能である。
【0010】
前記ネットは、前記複数の支柱の間の空間を当該支柱の全長にわたって覆っており、前記土砂受け部材は、前記土石流の上流側から前記ネットと重ね合わされた状態で、前記支柱の間の空間の下側の部分に配置されているのが好ましい。
【0011】
かかる構成によれば、土砂受け部材が土石流の上流側からネットと重ね合った状態で支柱の下側に配置されているので、土石流の圧力を土砂受け部材だけでなくネットによっても受けることが可能である。そのため、土砂受け部材の破損のおそれが低減する。換言すれば、土砂受け部材は、ネットによって補強されるので、引張強度の弱い材料で製造することが可能になる。
【0012】
前記土砂受け部材は、前記ネットよりも目の細かい網状の
前記本体を有するのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、土石流の土砂がネットと比較して土砂受け部材の本体を通過しにくくなり、防止柵の下流側への土砂の流出をさらに低減することが可能である。また、土砂受け部材として細い鋼線で編んだ目の細かい網状部材を作用しても、土砂受け部材と重なりあっているネットによって引張強度が担保されるから、網状部材が破損するおそれが低減される。
【0014】
また、前記ネットは、前記複数の支柱の間の空間のうち地面から所定の高さの範囲を開放した状態で当該支柱の間の空間の上部の部分を覆い、前記土砂受け部材は、前記ネットの下側に配置されて前記範囲を覆い、かつ、当該ネットに着脱自在に固定されているのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、複数の支柱の間の空間の上部の部分がネットによって覆われ、一方、ネットの下側の範囲が土砂受け部材によって覆われるので、ネットの面積を小さくすることが可能になり、ネットの材料費を低減することが可能になり、それによって土石流防止柵の全体の製造コストの低減が可能になる。
【0018】
また、前記本体は、前記土石流の下流側に配置された下流側端部と、当該下流側端部よりも当該土石流の上流側に配置された上流側端部とを有しており、前記吊り上げケーブルは、一方の端部が前記本体の下流側端部に固定され、かつ、他方の端部が前記ネットにおける当該本体の下流側端部よりも上方の位置に着脱自在に取り付けられた下流側吊り上げケーブルと、一方の端部が前記本体の上流側端部に固定され、かつ、他方の端部が前記本体よりも前記土石流の上流側の地面に着脱自在に取り付けられた上流側吊り上げケーブルとを備えているのが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、土砂受け部材の本体に土石流の土砂がある程度堆積されたときに、吊り上げケーブルの端部が土砂に埋もれるおそれを回避することが可能である。すなわち、一方の端部が本体の下流側端部に固定された下流側吊り上げケーブルは、その他方の端部がネットにおける当該本体の下流側端部よりも上方の位置に着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部は本体よりも上方に退避して配置されることが可能になり、土砂に埋もれるおそれが低くなる。また、一方の端部が本体の上流側端部に固定された上流側吊り上げケーブルは、その他方の端部が本体よりも土石流の上流側の地面に着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部は本体よりも上流側に退避することが可能になり、土砂に埋もれるおそれが低くなる。したがって、これら下流側吊り上げケーブルおよび上流側吊り上げケーブルのいずれの端部も土砂に埋もれるおそれが低いので、これらの端部を容易に探し出すことが可能になり、吊り上げ作業を円滑に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の土石流防止柵によれば、土石流による土砂の堆積を容易に除去することができ、その結果、土石流をくい止めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態に係る土石流防止柵について説明する。
【0023】
図1〜4に示される土石流防止柵1は、山の斜面に沿って下降する土石流の土砂Sを受け止める土石流防止柵1である。
【0024】
この土石流防止柵1は、主要な構成として、複数の支柱2と、各支柱2の上部を連結するように配索された1本の上部ケーブル3と、各支柱2の下部を連結するように配索された1本の下部ケーブル4と、上部ケーブル3および下部ケーブル4に固定された複数のネット5と、ネット5の山側M(上流側に)配置された複数の土砂受け部材6と、各支柱2の上部から山側Mに延びる複数の山側ケーブル21とを備えている。
【0025】
この土石流防止柵1では、ネット5と土砂受け部材6とが重ね合わされた二重構造であり、土砂受け部材6に土石流の土砂Sが堆積したときには当該土砂受け部材6をネット5から分離することにより、ネット5の山側M(すなわち
図2〜3の矢印Mが示す側)に堆積する土砂Sを容易に取り除くことが可能であり、ネット5および土石流防止柵1全体の破損を防止するものである。
【0026】
以下、第1実施形態の土石流防止柵1の具体的な構造について説明する。
【0027】
複数の支柱2は、当該山の斜面の等高線の延びる方向E(
図1および
図3参照)、すなわち山の斜面における山側を向く山側方向Mまたは谷側を向く谷側方向Vと直交する方向に間隔をあけて立設されている。支柱2は、H型鋼などの柱状体からなる。
【0028】
それぞれの支柱2は、
図2に示されるように、上部2aにおいて、谷側方向Vに突出する谷側取付部2cと、山側方向Mに突出する山側取付部2dとを有している。谷側取付部2cは、
図2および
図4に示されるように、上部ケーブル3を支柱2が並ぶ方向に案内して当該上部ケーブル3を所定の高さに支持する。谷側取付部2cは、上部ケーブル3を支柱2が並ぶ方向への摺動を許容しながら上部ケーブル3を支持するガイド部を有する。ガイド部は、上部ケーブル3を案内するガイド穴またはガイド溝を有するシャックルなどの部材からなる。また、山側取付部2dは、支柱2に対して山側Mに延びる山側ケーブル21の端部に連結する。山側取付部2dは、山側ケーブル21の端部に形成されたリング状の端末に連結可能なシャックルなどの連結部を有している。
【0029】
また、支柱2の下部2bは、ベースプレート22を介して地面Gに固定されている。支柱2は、下部2bにおいて、は、ベースプレート22は、下部ケーブル4を支柱2が並ぶ方向に案内して当該下部ケーブル4を所定の高さに支持するガイド部22aを備えている。
【0030】
上部ケーブル3は、ネット5の上部を支持するケーブルであり、
図1〜4に示されるように、各支柱2の上部2aに取り付けられた谷側取付部2cによって支持され、複数の支柱2のすべての上部2aに保持されて連続して配索されている。上部ケーブル3の両端部は、アンカーボルト23を介して地面Gに固定される。
【0031】
上部ケーブル3とネット5の上部とは、継ぎロープ24によって連結されている。継ぎロープ24は、細い鋼線などからなる。継ぎロープ24は、上部ケーブル3とネット5上部の縁ロープ5aとを束ねるようにこれらの周囲に螺旋状にまかれている。継ぎロープ24の端部は、ネット5に対して従来公知のワイヤクリップなどによって固定されている。
【0032】
下部ケーブル4は、ネット5の下部を支持するケーブルであり、
図1〜4に示されるように、各支柱2の下部2bにベースプレート22を介して取り付けられたガイド部22aにそれぞれ支持され、複数の支柱2のすべての下部2bに保持されて連続して配索されている。下部ケーブル4の両端部は、アンカーボルト25を介して地面Gに固定される。下部ケーブル4とネット5の下部とは、上記の上部ケーブル3とネット5の上部との連結と同様に、継ぎロープ24によって連結されている。
【0033】
山側ケーブル21は、
図2〜3に示されるように、それぞれの支柱2の上部2aから山側Mへ延び、支柱2の上部2aと山側の斜面との間を連結する。具体的には、山側ケーブル21の山側Mの端部は、地面Gに埋め込まれたアンカーボルト28に連結され、谷側Vの端部は、支柱2の上部2aの山側取付部2dに連結されている。
【0034】
ネット5は、互いに隣接する支柱2同士の間の空間7において、当該支柱2の全長にわたって覆うように配置されている。
【0035】
ネット5は、
図4に示されるように、矩形の枠体を構成する縁ロープ5aと、縁ロープ5a内部で互いに直交に交差しあう複数のネットロープ5b、5cとを備えている。縁ロープ5aは、太い鋼線からなり、ネットロープ5b、5cは、当該縁ロープ5aよりも細い鋼線からなる。ネット5の上部は、上部ケーブル3を介して支柱2の上部2aに固定されるとともに、ネット5の下部は、下部ケーブル4を介して支柱2の下部2bに固定されている。ネット5の上部および下部は、上記のように、上部ケーブル3および下部ケーブル4に対して継ぎロープ24によって結合されている。また、隣接するネット5の縁ロープ5a同士は、継ぎロープ24によって連結されている。
【0036】
土砂受け部材6は、土石流の土砂Sを受けるための部材であり、当該複数の支柱2の間の空間7の下部を覆って土石流の土砂Sを受けるように配置される。土砂受け部材6は、後述するように、ネット5及び支柱2に対して分離可能に配置されている。
【0037】
土砂受け部材6は、
図5に示されるように、土砂Sを堆積させることが可能な網状の本体8と、当該本体8を土砂Sとともに吊り上げることが可能な位置において当該本体8に対して連結された吊り上げケーブル9(具体的には、下流側吊り上げケーブル11および上流側吊り上げケーブル12)とを有し、本体8は、ネット5に対して分離可能に配置されている。
【0038】
本体8は、土砂Sを堆積させることが可能な網状の部材からなる。第1実施形態に係る本体8は、ネット5よりも目の細かい網状体からなる。本体8は、矩形の網状体からなり、土石流の下流側(すなわち、
図3の谷側V)に配置された下流側端部8aと、当該下流側端部8aよりも当該土石流の上流側(すなわち、
図3の山側M)に配置された上流側端部8bとを有している。
【0039】
本体8の幅は、ネット5の横幅(すなわち、
図1および
図3に示される等高線の延びる方向Eの幅)の半分程度の幅に設定されており、1枚のネット5に対して2枚の土砂受け部材6が支柱2が並ぶ等高線の延びる方向E(
図1参照)に並んで配置される。そして、本体8の下流側端部8aは、支柱の間の空間7の下側の部分を覆うように、ネット5の下側の部分に重なるように配置される。本体8の上流側端部8bは、支柱2よりも山側Mの地面Gの上に配置されている。
【0040】
吊り上げケーブル9は、本体8の左右両側にそれぞれ配置されている。吊り上げケーブル9は、下流側吊り上げケーブル11と、上流側吊り上げケーブル12とを備えている。下流側吊り上げケーブル11は、本体8の下流側端部8aの両端にそれぞれ配置されている。上流側吊り上げケーブル12は、本体8の上流側端部8bの両端にそれぞれ配置されている。
【0041】
具体的には、
図2〜4に示されるように、下流側吊り上げケーブル11において、一方の端部11aは、本体8の下流側端部8aに固定され、かつ、他方の端部11bは、ネット5における当該本体8の下流側端部8aよりも上方の位置に着脱自在に取り付けられている。端部11bは、ネット5に対して手作業などによって容易に分離可能な連結手段、例えば細い針金などを用いて連結されている。上記と同様に、上流側吊り上げケーブル12においては、一方の端部12aは、本体8の上流側端部8bに固定され、かつ、他方の端部12bは、本体8よりも土石流の上流側(
図2および
図3の山側M)の地面Gにアンカーボルト27に着脱自在に取り付けられている。
【0042】
アンカーボルト27は、
図2に示されるように、当該ケーブル12の端部12bが容易に着脱できるように、土石流の上流側(山側M)に延びる突出部27aを有する、いわゆるL形ピンアンカーである。
【0043】
上記のように構成された土砂受け部材6は、ネット5及び支柱2に対して分離可能に配置されている。具体的には、土砂受け部材6は、ネット5の山側Mから重ね合わされた状態で配置され、上流側吊り上げケーブル12の端部12bがネット5に着脱自在に連結されている。
【0044】
上記の構成によれば、土砂受け部材6に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときには、下流側吊り上げケーブル11の端部11bをネット5から取り外すとともに、上流側吊り上げケーブル12の端部12bをアンカーボルト28から取り外すことにより、当該土砂受け部材6をネット5および支柱2と分離して、土砂受け部材6および土砂Sをネット5の上流側から搬送可能な状態にすることができる。その後、
図6に示されるように、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材6および土砂Sをまとめて吊り上げることにより、土石流防止柵1に堆積する土砂Sを取り除くことが可能である。このとき、下流側吊り上げケーブル11の端部11bおよび上流側吊り上げケーブル12の端部12bを連結用のワイヤWを介してクレーンCのフックFに連結して、フックFを上昇させることにより、土砂受け部材6の本体8は、その四隅から吊り上げられてあたかも袋状になるので、土砂Sを本体8からこぼれる量を抑えながら、土砂Sを防止柵の設置場所からダンプカーなどの運搬車両が進入できる場所まで円滑に搬送することが可能である。
【0045】
また、土砂受け部材6は、土石流の上流側からネット5と重ね合わされた状態で、支柱2の間の空間7の下側の部分に配置されているので、土石流の圧力を土砂受け部材6だけでなくネット5によっても受けることが可能であり、土砂受け部材6の網状の本体8が破損するおそれが低減する。
【0046】
(第1実施形態の特徴)
(1)
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6がネット5及び支柱2に対して分離可能に配置されているので、土砂受け部材6に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、当該土砂受け部材6をネット5および支柱2と分離して、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材6および土砂Sをまとめて吊り上げることにより、土石流防止柵1に堆積する土砂Sを取り除くことが可能である。そのため、堆積された土砂Sを随時容易に除去することが可能であり、その結果、土石流防止柵1の破損を事前に防止して、土石流をくい止めることが可能である。
【0047】
(2)
また、第1実施形態の土石流防止柵1では、複数の支柱2の間の空間7を当該支柱2の全長にわたって覆っており、土砂受け部材6は、土石流の上流側からネット5と重ね合わされた状態で、支柱2の間の空間7の下側の部分に配置されているので、土石流の圧力を土砂受け部材6だけでなくネット5によっても受けることが可能である。そのため、土砂受け部材6の破損のおそれが低減する。換言すれば、土砂受け部材6は、ネット5によって補強されるので、引張強度の弱い材料で製造することが可能になる。
【0048】
(3)
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6は、ネット5よりも目の細かい網状の本体8を有するので、土石流の土砂Sがネット5と比較して土砂受け部材6の本体8を通過しにくくなり、防止柵1の下流側への土砂Sの流出をさらに低減することが可能である。また、土砂受け部材6として細い鋼線で編んだ目の細かい網状部材を作用しても、土砂受け部材6と重なりあっているネット5によって引張強度が担保されるから、網状部材が破損するおそれが低減される。
【0049】
(4)
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6は、土砂Sを堆積させることが可能な網状の本体8と、当該本体8を土砂Sとともに吊り上げることが可能な位置において当該本体8に対して連結された吊り上げケーブル9とを有し、本体8は、ネット5に対して分離可能に配置されている。そのため、土砂受け部材6の本体8に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材6および土砂Sを吊り上げる場合には、吊り上げケーブル9を介して網状の本体8を吊り上げることにより、土砂受け部材6の本体8および土砂Sをまとめて容易に吊り上げることが可能である。
【0050】
(5)
第1実施形態の土石流防止柵1では、土砂受け部材6の本体8に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、吊り上げケーブル9の端部が土砂Sに埋もれるおそれを回避することが可能である。すなわち、一方の端部11aが本体8の下流側端部8aに固定された下流側吊り上げケーブル11は、その他方の端部11bがネット5における当該本体8の下流側端部8aよりも上方の位置に着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部11bは本体8よりも上方に退避して配置されることが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。また、一方の端部12aが本体8の上流側端部8bに固定された上流側吊り上げケーブル12は、その他方の端部12bが本体8よりも土石流の上流側の地面Gに着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部12bは本体8よりも上流側に退避することが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。したがって、これら下流側吊り上げケーブル11および上流側吊り上げケーブル12のいずれの端部も土砂Sに埋もれるおそれが低いので、これらの端部を容易に探し出すことが可能になり、吊り上げ作業を円滑に行うことが可能になる。
【0051】
(第1実施形態の変形例)
(A)
上記の第1実施形態では、土砂受け部材6の本体8として、網状の本体8を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、シート状の本体8を採用してもよい。
【0052】
(B)
第1実施形態の土石流防止柵1では、ネット5は、単一の網状体を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の網状体を重ね合わせたものであってもよい。例えば、太い鋼線を網状に編んだ引張強度の高いネット本体と、細い鋼線を網状に編んだ目の細かい金網とを組み合わせたネットを採用してもよく、その場合、目の細かい金網によって防止柵1の下流側への土砂Sの流出をさらに低減することが可能である。
【0053】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、ネット35と土砂受け部材36とが重ね合わされた二重構造を有する土石流防止柵1を例にあげて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、支柱の間の空間においてネットと土砂受け部材とが上下方向に並んで配置した一重構造の土砂受け部材を採用してもよい。以下、本発明の第2実施形態として、このような一重構造の土砂受け部材について詳細に説明する。
【0054】
図7〜10に示される土石流防止柵31は、主要な構成として、複数の支柱32と、各支柱32の上部を連結するように配索された1本の上部ケーブル33と、各支柱32の下部を連結するように配索された1本の下部ケーブル34と、上部ケーブル3に固定された複数のネット35と、ネット35の下端部35d(
図10参照)および下部ケーブル34に固定された複数の土砂受け部材36と、各支柱32の上部から山側方向Mに延びる複数の山側ケーブル51とを備えている。
【0055】
この土石流防止柵31では、ネット35は、複数の支柱32の間の空間37のうち地面から所定の高さHの範囲を開放した状態で当該支柱32の間の空間37の上部の部分を覆い、土砂受け部材36は、ネット35の下側に配置されて前記範囲を覆い、かつ、当該ネット35に着脱自在に固定されている。すなわち、支柱32の間の空間37において、ネット35と土砂受け部材36の本体38とが上下方向に並んで配置され、ネット35と本体38とが継ぎロープ61によって連結されることによって、支柱32の間の空間37を覆う一重構造の土石流防止柵を構成している。この土石流防止柵31では、土砂受け部材36に土石流の土砂Sが堆積したときには継ぎロープ61を外して当該土砂受け部材36の本体38をネット35から分離することにより、ネット35の山側M(すなわち
図8〜9の矢印Mが示す側)に堆積する土砂Sを容易に取り除くことが可能であり、ネット35および土石流防止柵31全体の破損を防止するものである。
【0056】
以下、第2実施形態の土石流防止柵31の具体的な構造について説明する。
【0057】
複数の支柱32は、当該山の斜面の等高線の延びる方向E(
図7および
図9参照)、すなわち山の斜面における山側を向く山側方向Mまたは谷側を向く谷側方向Vと直交する方向に間隔をあけて立設されている。支柱32は、H型鋼などの柱状体からなる。
【0058】
支柱32は、第1実施形態の支柱2と同じ構造を有している。具体的には、それぞれの支柱32は、
図8に示されるように、上部32aにおいて、谷側方向Vに突出する谷側取付部32cと、山側方向Mに突出する山側取付部32dとを有している。谷側取付部32cは、
図8および
図10に示されるように、上部ケーブル33を支柱32が並ぶ方向に案内して当該上部ケーブル33を所定の高さに支持する。谷側取付部32cは、上部ケーブル33を支柱32が並ぶ方向への摺動を許容しながら上部ケーブル33を支持するガイド部を有する。ガイド部は、上部ケーブル33を案内するガイド穴またはガイド溝を有するシャックルなどの部材からなる。また、山側取付部32dは、支柱32に対して山側Mに延びる山側ケーブル51の端部に連結する。山側取付部32dは、山側ケーブル51の端部に形成されたリング状の端末に連結可能なシャックルなどの連結部を有している。
【0059】
また、支柱32の下部32bは、ベースプレート52を介して地面Gに固定されている。支柱32は、下部32bにおいて、は、ベースプレート52は、下部ケーブル34を支柱32が並ぶ方向に案内して当該下部ケーブル34を所定の高さに支持するガイド部52aを備えている。
【0060】
ネット35は、複数の支柱32の間の空間37のうち地面から所定の高さの範囲H(
図7および
図10参照)を開放した状態で当該支柱32の間の空間37の上部の部分を覆うように配置されている。
【0061】
ネット35は、
図8および
図10に示されるように、太い鋼線を網状に編んだネット本体351と、細い鋼線を網状に編んだ目の細かい金網352とを備えている。金網352は、ネット本体351よりも山側Mに配置されている。このネット35では、目の細かい金網352によって土砂Sの通過を抑えることが可能である。
【0062】
ネット本体351は、第1実施形態のネット5と同様に、矩形の枠体を構成する縁ロープ35aと、縁ロープ35a内部で互いに直交に交差しあう複数のネットロープ35b、35cとを備えている。縁ロープ35aは、太い鋼線からなり、ネットロープ35b、35cは、当該縁ロープ35aよりも細い鋼線からなる。
【0063】
第1実施形態のネット5と同様に、ネット35のネット本体351の上部は、継ぎロープ54によって上部ケーブル33に連結され、継ぎロープ54は、第1実施形態の継ぎロープ24と同様に、細い鋼線などからなり、上部ケーブル33とネット35上部の縁ロープ35aとを束ねるようにこれらの周囲に螺旋状にまかれている。継ぎロープ54の端部は、ネット35に対して従来公知のワイヤクリップなどによって固定されている。また、隣接するネット本体351の縁ロープ35a同士は、継ぎロープ54によって連結されている。ただし、ネット本体351の下端部35dは、第1実施形態のネット5の下部と異なり、後述する土砂受け部材36の本体38に対して継ぎロープ61によって連結されている。
【0064】
上部ケーブル33は、第1実施形態の上部ケーブル3と同じように配索されている。具体的には、上部ケーブル33は、ネット35の上部を支持するケーブルであり、
図7〜10に示されるように、各支柱32の上部32aに取り付けられた谷側取付部32cによって支持され、複数の支柱32のすべての上部32aに保持されて連続して配索されている。上部ケーブル33の両端部は、アンカーボルト53を介して地面Gに固定される。
【0065】
土砂受け部材36は、土石流の土砂Sを受けるための部材であり、当該複数の支柱32の間の空間37の下部を覆って土石流の土砂Sを受けるように配置される。土砂受け部材36は、ネット35及び支柱32に対して分離可能に配置されている。
【0066】
土砂受け部材36は、
図11に示されるように、土砂Sを堆積させることが可能な網状の本体38と、当該本体38を土砂Sとともに吊り上げることが可能な位置において当該本体38に対して連結された吊り上げケーブル39(具体的には、下流側吊り上げケーブル41および上流側吊り上げケーブル42)とを有し、本体38は、ネット35に対して分離可能に配置されている。
【0067】
本体38は、土砂Sを堆積させることが可能な網状の部材からなる。第2実施形態に係る本体38は、
図8に示されるように、太い鋼線を網状に編んだネット部分381と、細い鋼線を網状に編んだ目の細かい金網部分382とを備えている。金網部分382は、ネット部分381よりも山側Mに配置されている。本体38の目の細かい金網部分382によって防止柵31の下流側への土砂Sの流出をさらに低減することが可能である。しかも、本体38は、太い鋼線で編んだネット部分381によって引張強度が担保されているから、本体38が破損するおそれが低減される。本体38は、矩形の網状体からなり、土石流の下流側(すなわち、
図9の谷側V)に配置された下流側端部38aと、当該下流側端部38aよりも当該土石流の上流側(すなわち、
図9の山側M)に配置された上流側端部38bとを有している。
【0068】
本体38の幅は、ネット35の横幅(すなわち、
図7および
図9に示される等高線の延びる方向Eの幅)の半分程度の幅に設定されており、1枚のネット35に対して2枚の土砂受け部材36が支柱32が並ぶ等高線の延びる方向E(
図7参照)に並んで配置されている。そして、本体38の下流側端部38aは、支柱の間の空間37の下側の部分を覆うように、継ぎロープ61によって、ネット35の下端部35dに連結されている。一方、本体38の上流側の部分は、支柱32よりも山側Mに延び、その上流側端部38bは、支柱32よりも山側Mの地面Gの上に配置されている。
【0069】
また、
図8および
図10に示されるように、本体38の下流側端部38aと上流側端部38bとの間に位置する中間位置の部分38cは、本体38全体が下方に湾曲することにより、これら下流側端部38aおよび上流側端部38bよりも下方に位置している。この中間位置の部分38cと下部ケーブル34とは、継ぎロープ63によって連結されている。
【0070】
さらに、支柱32の間の空間37内において隣接する土砂受け部材36の本体38の側縁同士が継ぎロープ62によって連結されている。さらに、支柱32の谷側Vの側面の前方において、隣接する土砂受け部材36の本体38の側縁同士は、ネット35同士を連結する継ぎロープ54の下方に延びる部分によって、連結されている。
【0071】
吊り上げケーブル39は、本体38の左右両側にそれぞれ配置されている。吊り上げケーブル39は、下流側吊り上げケーブル41と、上流側吊り上げケーブル42とを備えている。下流側吊り上げケーブル41は、本体38の下流側端部38aの両端にそれぞれ配置されている。上流側吊り上げケーブル42は、本体38の上流側端部38bの両端にそれぞれ配置されている。
【0072】
具体的には、
図8〜10に示されるように、下流側吊り上げケーブル41において、一方の端部41aは、本体38の下流側端部38aに固定され、かつ、他方の端部41bは、ネット35における当該本体38の下流側端部38aよりも上方の位置に着脱自在に取り付けられている。端部41bは、ネット35に対して手作業などによって容易に分離可能な連結手段、例えば細い針金などを用いて連結されている。上記と同様に、上流側吊り上げケーブル42においては、一方の端部42aは、本体38の上流側端部38bのネット部分381に固定され、かつ、他方の端部42bは、本体38よりも土石流の上流側(
図8および
図9の山側M)の地面Gにアンカーボルト57に着脱自在に取り付けられている。
【0073】
アンカーボルト57は、
図8に示されるように、当該ケーブル42の端部42bが容易に着脱できるように、土石流の上流側(山側M)に延びる突出部57aを有する、いわゆるL形ピンアンカーである。
【0074】
下部ケーブル34は、土砂受け部材36の本体38の下部を支持するケーブルであり、
図7〜10に示されるように、各支柱32の下部32bにベースプレート52を介して取り付けられたガイド部52aにそれぞれ支持され、複数の支柱32のすべての下部32bに保持されて連続して配索されている。下部ケーブル34の両端部は、アンカーボルト55を介して地面Gに固定される。前述のように、土砂受け部材36の本体38の下流側端部38aと上流側端部38bとの間に位置する中間位置の部分38cは、下部ケーブル34に対して継ぎロープ63によって連結されている。
【0075】
山側ケーブル51は、第1実施形態の山側ケーブル31と同様に、
図8〜9に示されるように、それぞれの支柱32の上部32aから山側Mへ延び、支柱32の上部32aと山側の斜面との間を連結する。具体的には、山側ケーブル51の山側Mの端部は、地面Gに埋め込まれたアンカーボルト58に連結され、谷側Vの端部は、支柱32の上部32aの山側取付部32dに連結されている。
【0076】
上記のように構成された第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときには、まず、土砂受け部材36の本体38を固定している継ぎロープ54および61〜63を外して、当該本体38をネット35から分離するとともに、隣接する本体38同士を分離する。具体的には、まず、継ぎロープ63を外して、土砂受け部材36の本体38の中間位置の部分38cと下部ケーブル34とを分離する。ついで、継ぎロープ62を外して隣接する土砂受け部材36の本体38の側縁同士を分離する。さらに、継ぎロープ54の下側の部分を本体38の高さ分だけ外して支柱32の谷側Mの側面前方で隣接する土砂受け部材36の本体38の側縁同士を分離する。ついで、継ぎロープ61を外して土砂受け部材36の本体38の下流側端部38aとネット35の下端部35dとを分離する。その後、下流側吊り上げケーブル41の端部41bをネット35から取り外すとともに、上流側吊り上げケーブル42の端部42bをアンカーボルト58から取り外す。これによって、当該土砂受け部材36はネット35および支柱32から完全に分離され、土砂受け部材36および土砂Sをネット35の上流側から搬送可能な状態にすることができる。その後、上記第1実施形態の
図6に示されるクレーンCを用いて土砂Sおよび土砂受け部材36を吊り上げることにより、土砂Sを防止柵の設置場所からダンプカーなどの運搬車両が進入できる場所まで円滑に搬送することが可能である。
【0077】
(第2実施形態の特徴)
(1)
第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36がネット35及び支柱32に対して分離可能に配置されているので、土砂受け部材36に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、当該土砂受け部材36をネット35および支柱32と分離して、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材36および土砂Sをまとめて吊り上げることにより、土石流防止柵31に堆積する土砂Sを取り除くことが可能である。そのため、堆積された土砂Sを随時容易に除去することが可能であり、その結果、土石流防止柵31の破損を事前に防止して、土石流をくい止めることが可能である。
【0078】
(2)
また、第2実施形態の土石流防止柵31では、複数の支柱32の間の空間37の上部の部分がネット35によって覆われ、一方、ネット35の下側の範囲が土砂受け部材36によって覆われるので、ネット35の面積を小さくすることが可能になり、ネット35の材料費を低減することが可能になり、それによって土石流防止柵31の全体の製造コストの低減が可能になる。
【0079】
(3)
第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36は、土砂Sを堆積させることが可能な網状の本体38と、当該本体38を土砂Sとともに吊り上げることが可能な位置において当該本体38に対して連結された吊り上げケーブル39とを有し、本体38は、ネット35に対して分離可能に配置されている。そのため、土砂受け部材36の本体38に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、クレーンCなどの吊り上げ用の機械を用いて土砂受け部材36および土砂Sを吊り上げる場合には、吊り上げケーブル39を介して網状の本体38を吊り上げることにより、土砂受け部材36の本体38および土砂Sをまとめて容易に吊り上げることが可能である。
【0080】
(4)
第2実施形態の土石流防止柵31では、土砂受け部材36の本体38に土石流の土砂Sがある程度堆積されたときに、吊り上げケーブル39の端部が土砂Sに埋もれるおそれを回避することが可能である。すなわち、一方の端部41aが本体38の下流側端部38aに固定された下流側吊り上げケーブル41は、その他方の端部41bがネット35における当該本体38の下流側端部38aよりも上方の位置に着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部41bは本体38よりも上方に退避して配置されることが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。また、一方の端部42aが本体38の上流側端部38bに固定された上流側吊り上げケーブル42は、その他方の端部42bが本体38よりも土石流の上流側の地面Gに着脱自在に取り付けられているので、当該他方の端部42bは本体38よりも上流側に退避することが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれが低くなる。したがって、これら下流側吊り上げケーブル41および上流側吊り上げケーブル42のいずれの端部も土砂Sに埋もれるおそれが低いので、これらの端部を容易に探し出すことが可能になり、吊り上げ作業を円滑に行うことが可能になる。
【0081】
(第2実施形態の変形例)
(A)
上記の第2実施形態では、土砂受け部材36の本体38として、二重構造の網状体、すなわち、太い鋼線を網状に編んだネット部分381と、細い鋼線を網状に編んだ目の細かい金網部分382とを備えた網状体を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、太い鋼線を網状に編んだネット部分381と、シート状の部材とを重ね合わせることによって、本体38を構成してもよい。さらに、本体38は、太い鋼線を網状に編んだネットの単体によって構成してもよい。
【0082】
(B)
なお、上記の第2実施形態では、土砂受け部材36の本体38の上流側端部38bが支柱2から山側Mに離れた位置に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例として、たとえば、本体38の上流側の部分を短くすることにより、本体38の上流側端部38bを支柱2の下部2bに配置し、当該上流側端部38bを下部ケーブル34に連結してもよい。そのような構成の場合、土砂受け部材36の本体38を構成するネット部分および金網部分の面積を小さくすることができるので、製造コストの低減が可能になる。
【0083】
さらに、このような構成では、本体38の上流側端部38bに連結された上流側吊り上げケーブル42は、支柱32の延びる方向に沿って当該支柱32に取り付けられることが可能である。これにより、当該上流側吊り上げケーブル42の端部42bは、本体38よりも上流側でかつ上方に退避することが可能になり、土砂Sに埋もれるおそれがさらに低くなる。
【0084】
(C)
上記第2の実施形態では、
図8に示されるように、支柱32の間の空間37の上部を覆うネット35の金網352と、当該空間37の下部を覆う土砂受け部材36の金網部分382とが分離して配置された例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの金網352と金網部分382とを一体に製造してもよい。その場合、土砂受け部材36をネット35から分離するときには、金網352と金網部分382とをワイヤカッターなどの工具で分離すればよい。