特許第6073655号(P6073655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073655中心位置検出方法および中心位置検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073655
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】中心位置検出方法および中心位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20170123BHJP
   H01L 21/52 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G01B11/00 A
   !H01L21/52 F
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-248414(P2012-248414)
(22)【出願日】2012年11月12日
(65)【公開番号】特開2014-95661(P2014-95661A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】圖司 憲嗣
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−194737(JP,A)
【文献】 特開平07−260445(JP,A)
【文献】 特開2007−017283(JP,A)
【文献】 特開2012−084659(JP,A)
【文献】 特開平07−107876(JP,A)
【文献】 特開平04−047477(JP,A)
【文献】 特開平08−204096(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0109454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G06T 1/00− 1/40
G06T 3/00− 9/40
H01L 21/52
H01L 21/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに対し、予め決まった大きさの四角枠を移動させ、被検出部位を含む状態となったこの四角枠に囲まれた領域に対応する指定領域から被検出部位の中心の位置を検出する方法であって、
指定領域を二値化して二値化画像を得る二値化工程と、
この二値化工程の後で、この二値化工程で得た二値化画像のうち、最も広い領域を被検出部位として検索する検索工程と、
この検索工程の後で、この検索工程で検索した最も広い領域に対して、内接する最大の矩形ないし正方形を演算する演算工程とを備え、
この演算工程の後で、この演算工程で演算した最大内接矩形ないし正方形の中心位置を、被検出部位の中心位置とし、
被検出部位が、半導体ウエハのチップが取り付けられるアイランドであり、
最大内接矩形ないし正方形の全ての角が、アイランドの円弧部に内接することを特徴とする中心位置検出方法。
【請求項2】
指定領域の指定と二値化工程の間に、指定領域の平均輝度を算出し、この算出した平均輝度に基づいて二値化工程で二値化画像を得るための閾値を設定する閾値設定工程を備える請求項1に記載の中心位置検出方法。
【請求項3】
指定領域の指定と閾値設定工程の間に、指定領域を平滑化する平滑化工程を備えた請求項2に記載の中心位置検出方法。
【請求項4】
検索工程で、指定領域の面積に対して40〜90%の面積を有する領域を最も広い領域として検索する請求項1〜3の何れか1項に記載の中心位置検出方法。
【請求項5】
画像データに対し、予め決まった大きさの四角枠を移動させ、被検出部位を含む状態となったこの四角枠に囲まれた領域に対応する指定領域から被検出部位の中心の位置を検出する装置であって、
画像データを取得するための画像取得手段と、画像データを処理するための画像処理手段とを備え、
画像処理手段は、指定領域を二値化して二値化画像を得る二値化手段と、
この二値化手段で二値化画像を得た後に、この二値化手段で得た二値化画像のうち、最も広い領域を被検出部位として検索する検索手段と、
この検索手段で最も広い領域を検索した後に、この検索手段で検索した最も広い領域に対して、内接する最大の矩形ないし正方形を演算する演算手段とを有し、
この演算手段で最大内接矩形ないし正方形を演算した後に、この演算手段で演算した最大内接矩形ないし正方形の中心位置を、被検出部位の中心位置とし、
被検出部位が、半導体ウエハのチップが取り付けられるアイランドであり、
最大内接矩形ないし正方形の全ての角が、アイランドの円弧部に内接することを特徴とする中心位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体ウエハのチップが取り付けられるアイランドにおける中心位置を検出するために使用される中心位置検出方法および中心位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LSI等の半導体装置の製造工程では、半導体ウエハの表面上に複数のチップが形成された後、ダイシングによって、チップごとに分離される。そして、これらの分離されたチップのうちダイシング前の電気的検査で良品とされたものをピックアップし、リードフレーム等に対してボンディングする。
【0003】
この製造工程のうち、ボンディング工程では、ピックアップされたチップがリードフレーム等のアイランドと呼ばれる部位に銀ペースト等によって接着される。この際に、チップの中心位置とアイランドの中心位置を合わせる必要がある。このために、チップの中心位置やアイランドの中心位置が画像データから自動で算出(検出)される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−313013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、半導体装置の製造中にボンディング工程でアイランドの中心位置を連続して検出しなければならない状況と異なり、アイランドの中心位置の検出を数回だけ行なう状況では、アイランドの中心位置の検出が作業者によって実施される場合がある。これは、上述のような自動検出を行なうためには、予めアイランドのモデルを登録しなければならず、このための作業が煩雑なためである。
【0006】
このアイランドの中心位置の作業者による検出は、作業者がモニター等の画面を見ながら次のように行なう。例えば、図7に示すように、モニター等の画面上にリードフレームL’のアイランドI’の画像が表示されている場合、点線で示すカーソルC’の中心(十字の交差部)をアイランドI’の中心位置に合わせる。
【0007】
しかしながら、この作業者による検出は、目視による合わせ作業なので、作業者の感覚により位置合わせ誤差が生じ、また、目合わせによる時間が掛かる。これは次のような理由によるものである。設計上はアイランドが正確な点対称の形状(例えば矩形状)であっても、製造時の誤差のために、正確な点対称の形状となることは少なく、目合わせがし難い。また、画像自体が分解能を有しているので、作業者によって1画素の誤差を生じ易い。このため、精度を求める場合には、何度も目合わせ位置を修正する必要がある。
【0008】
このような問題は、リードフレーム等のアイランドの中心位置に限らず、その他の部材における被検出部位の中心位置を作業者によって検出する場合にも生じる。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、被検出部位の中心位置の検出について、どの作業者でも同じ条件下であれば同じ結果を得ることと、検出を短時間で終えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための本発明は、画像データに対し、予め決まった大きさの四角枠を移動させ、被検出部位を含む状態となったこの四角枠に囲まれた領域に対応する指定領域から被検出部位の中心の位置を検出する方法であって、指定領域を二値化して二値化画像を得る二値化工程と、この二値化工程の後で、この二値化工程で得た二値化画像のうち、最も広い領域を被検出部位として検索する検索工程と、この検索工程の後で、この検索工程で検索した最も広い領域に対して、内接する最大の矩形ないし正方形を演算する演算工程とを備え、この演算工程の後で、この演算工程で演算した最大内接矩形ないし正方形の中心位置を、被検出部位の中心位置とし、被検出部位が、半導体ウエハのチップが取り付けられるアイランドであり、最大内接矩形ないし正方形の全ての角が、アイランドの円弧部に内接することを特徴とする中心位置検出方法である。
【0011】
この方法では、検索工程で検索した最も広い領域は、被検出部位に対応するものである。そして、演算工程で演算した最大内接矩形ないし最大内接正方形の中心位置は、被検出部位の中心位置に対応するので、これを被検出部位の中心位置としている。従って、二値化工程、検索工程、演算工程によって、指定領域から被検出部位の中心位置を検出することができる。
【0012】
そして、作業者が入力する情報は、被検出部位を含む指定領域のみで、パラメータ等を不要とすることができる。そして、指定領域を指定した後は、自動で二値化工程、検索工程、演算工程を実行して被検出部位の中心位置を検出することができる。
【0013】
二値化工程、検索工程、演算工程を自動で行なえば、被検出部位の中心位置の検出について、手動で指定領域を指定しても、一定の結果となり、また、検出に要する時間を短縮できる。
【0014】
また、作業者が、指定領域を指定する際には、被検出部位を含むだけでよいので、精度を必要とせず、領域指定に要する時間も短いものとなる。また、作業者は、指定領域を指定する以外には情報を入力する必要が無いので、作業時間を抑制できる。
【0015】
すなわち、本発明の中心位置検出方法では、被検出部位の中心位置の検出について、どの作業者でも同じ条件下であれば同じ結果を得ることができ、検出を短時間で終えることができる。
【0016】
また、被検出部位の中心位置として、被検出部位に対応する最も広い領域に対する最大内接矩形ないし正方形の中心位置を使用している。このように最大内接矩形ないし正方形を使用すると、被検出部位の製造時に生じた形状誤差にある程度対応できる。また、最大内接矩形ないし正方形を使用すると、矩形状以外の形状を有する被検出部位にある程度対応できる。
【0017】
上記の方法において、指定領域の指定と二値化工程の間に、指定領域の平均輝度を算出し、この算出した平均輝度に基づいて二値化工程で二値化画像を得るための閾値を設定する閾値設定工程を備えてもよい。
【0018】
この閾値設定工程で設定した閾値を、二値化工程で二値化画像を得るのに使用すれば、適切な二値化画像を得ることができる。また、この閾値設定工程も自動化が可能であり、全体の検出時間が増大することを抑制できる。
【0019】
更に、指定領域の指定と閾値設定工程の間に、指定領域を平滑化する平滑化工程を備えれば、平滑化によりノイズを減少させることができ、より正確な検出結果を得ることができる。また、この平滑化工程も自動化が可能であり、全体の検出時間が増大することを抑制できる。なお、平滑化とは、移動平均フィルタ等を使用することによって、画像に生じたノイズを除去したり、画素ごとの輝度値の変化を少なくしたりする処理のことをいう。
【0020】
上記何れかの方法において、検索工程で、指定領域の面積に対して40〜90%の面積を有する領域を最も広い領域として検索してもよい。
【0021】
この検索であれば、自動化した時のアルゴリズムを簡素にすることでき、これにより処理時間を短縮できる。従って、中心位置の検出に要する時間を更に短縮できる。
【0024】
また、前記課題を解決するための本発明は、画像データに対し、予め決まった大きさの四角枠を移動させ、被検出部位を含む状態となったこの四角枠に囲まれた領域に対応する指定領域から被検出部位の中心の位置を検出する装置であって、画像データを取得するための画像取得手段と、画像データを処理するための画像処理手段とを備え、画像処理手段は、指定領域を二値化して二値化画像を得る二値化手段と、この二値化手段で二値化画像を得た後に、この二値化手段で得た二値化画像のうち、最も広い領域を被検出部位として検索する検索手段と、この検索手段で最も広い領域を検索した後に、この検索手段で検索した最も広い領域に対して、内接する最大の矩形ないし正方形を演算する演算手段とを有し、この演算手段で最大内接矩形ないし正方形を演算した後に、この演算手段で演算した最大内接矩形ないし正方形の中心位置を、被検出部位の中心位置とし、被検出部位が、半導体ウエハのチップが取り付けられるアイランドであり、最大内接矩形ないし正方形の全ての角が、アイランドの円弧部に内接することを特徴とする中心位置検出装置である。
【0025】
この装置では、冒頭で説明した方法を実施することができるので、この方法と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、被検出部位の中心位置の検出について、どの作業者でも同じ条件下であれば同じ結果を得ることができ、検出を短時間で終えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態に係る中心位置検出装置を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る中心位置検出方法のフローチャートを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る中心位置検出方法による画面を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る中心位置検出方法による画面を示す図である。
図5】被検出部位を示す模式図で(A)が正常な状態、(B)が形状誤差が大きい状態である。
図6】被検出部位の他例を示す模式図で、(A)が楕円形状の場合、(B)が真円形状の場合、(C)が正方形状の場合である。
図7】従来の中心位置検出方法による画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図に基づき説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施形態に係る中心位置検出装置を模式的に示す。この中心位置検出装置1は、本実施形態では、リードフレームLの画像データに対して被検出部位としてのアイランドの中心位置を検出するものである。
【0030】
中心位置検出装置1は、リードフレームLの画像データを取得するためのカメラ等の画像取得手段2と、パーソナルコンピュータ等の画像処理手段3と、モニター等の画像表示手段4と、作業者によって操作されるマウス等の領域指定手段5とを主要な構成要素とする。
【0031】
また、画像処理手段3は、画像制御手段3aと、平滑化手段3bと、閾値設定手段3cと、二値化手段3dと、検索手段3eと、矩形演算手段3fと、中心位置演算手段3gと、記憶制御手段3hと、記憶手段3iとを備える。
【0032】
画像制御手段3aは、画像表示手段4に表示させる画像を制御する。平滑化手段3bは、取得した画像データに対して作業者が指定した領域を平滑化する。閾値設定手段3cは、平滑化手段3bによって平滑化された指定領域の平均輝度を算出し、この算出した平均輝度に基づいて二値化手段3dで二値化画像を得るための閾値を設定する。二値化手段3dは、平滑化手段3bによって平滑化された指定領域を、閾値設定手段3cによって設定された閾値で二値化して二値化画像を得る。
【0033】
検索手段3eは、二値化手段3dで得られた二値化画像を分割し、このうち、最も広い領域を検索する。矩形演算手段3fは、この検索手段3eで検索した最も広い領域に対して、内接する最大の矩形を演算によって求める。そして、中心位置演算手段3gは、この矩形演算手段3fによって求められた最大内接矩形の中心位置を演算によって求める。記憶制御手段3hは、この中心位置演算手段3gによって求められた最大内接矩形の中心位置を、アイランドの中心位置として、記憶手段3iに記憶させる。
【0034】
これらの画像処理手段3が備える手段は、例えば、パーソナルコンピュータ等内のソフトウエア(プログラム)、メモリ等で構成することができる。
【0035】
次に、上記の中心位置検出装置1で使用される中心位置検出方法について説明する。
【0036】
図2に示すように、本実施形態の中心位置検出方法は、画像表示工程S1と、領域指定工程S2と、平滑化工程S3と、閾値設定工程S4と、二値化工程S5と、検索工程S6と、矩形演算工程S7と、中心位置演算工程S8と、中心位置処理工程S9とを備え、図2の矢印で示す順番で実行される。
【0037】
画像表示工程S1では、画像取得手段2によって取得されたリードフレームLの画像データが、画像制御手段3aによって、図3に示すように、画像表示手段4に表示される。なお、本実施形態では、リードフレームLのアイランドIは、角が少し丸まった矩形状であり、プレス加工によって(図3で紙面の表側に)隆起している。
【0038】
次に、領域指定工程S2では、画像表示工程S1で画像表示手段4に表示された画像に対して、作業者が、アイランドIが存在する領域を指定する。具体的には、作業者が、領域指定手段5を操作することによって、図3に一点鎖線で示す十字と点線で示す四角から構成されるカーソルC1を移動させる。そして、カーソルC1の四角枠(点線部分)が、アイランドIを含む状態となったら、その位置を確定する操作を行なう。これによって、カーソルC1の四角に囲まれた領域が作業者に指定された指定領域Rとなる。この際には、カーソルC1の中心を示す十字(一点鎖線)の位置は、アイランドIの中心でなくてもよい。なお、カーソルC1の画像表示手段4への表示等は、画像制御手段3aが行なう。
【0039】
領域指定工程S2で、作業者が、カーソルC1の位置を確定する操作を行なう(指定領域Rの指定を確定する)と、平滑化工程S3〜中心位置処理工程S9が自動で以下のように順番に実行される。
【0040】
平滑化工程S3では、平滑化手段3bが、指定領域Rの画像データを平滑化し、この平滑化によって、ノイズを除去する。
【0041】
閾値設定工程S4では、閾値設定手段3cが、平滑化工程S3で平滑化した指定領域Rの画像データの平均輝度を算出し、この算出した平均輝度に基づいて二値化工程S5で二値化画像を得るために使用する閾値を設定する。
【0042】
二値化工程S5では、二値化手段3dが、閾値設定工程S4で設定した閾値を使用して、平滑化した指定領域Rの画像データを二値化して二値化画像データを得る。
【0043】
検索工程S6では、検索手段3eが、二値化工程S5で得た二値化画像データとしての指定領域Rを複数に分割し、この分割された領域のうち、図5(A)に示すような最も広い領域Dを検索する。検索された最も広い領域Dは、アイランドIに対応したものである。本実施形態では、検索手段3eは、指定領域Rの面積に対して40〜90%の面積を有する領域を最も広い領域Dとして検索する。つまり、検索手段3eは、指定領域Rの面積の40%未満あるいは90%を超える面積の領域を除去する。
【0044】
矩形演算工程S7では、矩形演算手段3fが、検索工程S6で検索した最も広い領域Dに対して、図5(A)に点線で示すように、内接する最大の矩形Pを演算して求める。
【0045】
中心位置演算工程S8では、中心位置演算手段3gが、図5(A)に示すように、矩形演算工程S7で求めた最大内接矩形の中心位置Oを演算して求める。この最大内接矩形Pの中心位置Oは、アイランドIの中心位置に対応するものである。
【0046】
中心位置処理工程S9では、画像制御手段3aが、中心位置演算工程S8で求めた最大内接矩形Pの中心位置Oを、アイランドIの中心位置として、図4に示すように、画像表示手段4に十字のカーソルC2で表示する。また、中心位置処理工程S9では、記憶制御手段3hが、中心位置演算工程S8で求めた最大内接矩形Pの中心位置OをアイランドIの中心位置として、記憶手段3iに記憶させる。
【0047】
そして、以上の作業を繰り返して1つのリードフレームLに対して、複数のアイランドIの中心位置を記憶手段3iに記憶させる。この記憶された複数のアイランドIの中心位置は、例えば、次のように他のアイランドIの中心位置を算出するために利用される。リードフレームLが矩形状であり、アイランドIが、リードフレームLの長辺方向と短辺方向に沿って等ピッチでマトリックス状に配置されている場合を考える。この場合、マトリックス全体が矩形状で4つの角が存在するが、このうちの3つの角に配置されているアイランドIの中心位置を記憶手段3iに記憶させる。すると、ピッチ間隔と、この記憶された3つのアイランドIの中心位置から、他のアイランドIの中心位置を全て算出できる。
【0048】
以上に説明した本実施形態の中心位置検出装置1および中心位置検出方法では、作業者が入力する情報は、アイランドIを含む指定領域Rのみで、パラメータ等を必要としない。そして、指定領域Rを指定(確定)した後は、ソフトウエア等が自動で平滑化工程S3〜中心位置処理工程S9を実行してアイランドIの中心位置を検出する。
【0049】
平滑化工程S3〜中心位置処理工程S9を自動で行なっているので、アイランドIの中心位置の検出について、作業者が手動で指定領域Rを指定しても、一定の結果となり、また、検出に要する時間を短縮できる。
【0050】
また、作業者が、画像表示手段4の画面上で指定領域Rを指定する際には、アイランドIを含むだけでよいので、精度を必要とせず、指定領域Rの指定に要する時間も短いものとなる。また、作業者は、指定領域Rを指定する以外にはパラメータ等の情報を入力する必要が無いので、作業時間を抑制できる。
【0051】
すなわち、本実施形態の中心位置検出装置1および中心位置検出方法では、アイランドIの中心位置の検出について、どの作業者でも同じ条件下であれば同じ結果を得ることができ、検出を短時間で終えることができる。
【0052】
また、アイランドIの中心位置として、アイランドIに対応した最も広い領域Dに対する最大内接矩形Pの中心位置Oを使用している。このように最大内接矩形Pを使用すると、アイランドIの製造時に生じた形状誤差にある程度対応できる。例えば、図5(B)のように、リードフレームLの製造時の形状誤差によって、アイランドIの角が丸まった場合でも、図5(A)の場合と、中心位置Oが略同じ最大内接矩形Pが得られる。従って、形状誤差によってアイランドIの中心位置の検出精度が悪化することを抑制できる。
【0053】
また、最大内接矩形Pを使用すると、矩形状以外の形状を有するアイランドIにある程度対応できる。例えば図6(A)に示す楕円形状のアイランドIに対しても、最大内接矩形Pの中心位置Oは、アイランドIの中心位置となる。また、図6(B)に示す真円形状のアイランドIに対しても、最大内接矩形Pの中心位置Oは、アイランドIの中心位置となる。また、図6(B)に示す真円形状のアイランドIや図6(C)に示す正方形状のアイランドIに対しては、内接する最大の正方形P’を演算して求めて、その中心位置OをアイランドIの中心位置とすることができる。
【0054】
また、平滑化工程S3で、指定領域Rの画像データを平滑化しているので、平滑化によりノイズを減少させることができ、より正確な検出結果を得ることができる。
【0055】
また、二値化工程S5で二値化画像を得るための閾値として、平滑化工程S3で平滑化した指定領域Rの画像データから算出した平均輝度に基づいたものを使用している。従って、二値化工程S5で適切な二値化画像を得ることができる。
【0056】
また、検索工程S6で、指定領域Rの面積に対して40〜90%の面積を有する領域を最も広い領域として検索する。これによって、アルゴリズムが簡素なものになり、これにより検索工程S6に要する時間を短縮できる。従って、中心位置の検出に要する時間を更に短縮できる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されること無く、その技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、リードフレームのアイランドの中心を検出していたが、リードフレーム以外の部材における被検出部位の中心を検出してもよい。また、上記実施形態では、領域指定工程は、作業者が手動で行なっていたが、自動化してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 中心位置検出装置
3b 平滑化手段
3c 閾値設定手段
3d 二値化手段
3e 検索手段
3f 矩形演算手段
D 最も広い領域
I アイランド(被検出部位)
O 中心位置
P 最大内接矩形
P’ 最大内接正方形
R 指定領域
S3 平滑化工程
S4 閾値設定工程
S5 二値化工程
S6 検索工程
S7 矩形演算工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7