特許第6073662号(P6073662)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073662
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】ディフューザ及びディフューザセット
(51)【国際特許分類】
   G03B 15/05 20060101AFI20170123BHJP
   G03B 15/02 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G03B15/05
   G03B15/02 Q
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-255772(P2012-255772)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2014-102447(P2014-102447A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】512302267
【氏名又は名称】高山 泰幸
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】高山 泰幸
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0259588(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3166748(JP,U)
【文献】 [撮影機材レビュー]クリップオン・ポップアップストロボ用ディフューザ 13種比較,foo−bar−baz,2011年 2月22日,<URL:http://www.foobarbaz.jp/2011/02/review-diffuser.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 15/05
G03B 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射方向可変型のクリップオンストロボの発光部筐体に装着されるディフューザであって、乳白色の可撓性樹脂を素材とする中空な箱状をなし、内部の空間を挟んで縦幅方向に対向する二面のうち一方の面が第1の開口部として開放され、前記二面のうち他方の面における横幅方向の中央に前記発光部筐体の厚みよりも小さい厚みと前記発光部筐体の横幅よりも大きい横幅とを持った第2の開口部であって前記発光部筐体を挿入する第2の開口部が設けられ
前記空間を包囲する複数個の壁面のうち前記第2の開口部を挟んで横幅方向に離間した2つ壁面における前記第2の開口部側の端部に前記第2の開口部内に挿入された発光部筐体を支持する一対の支持部が設けられ、
前記一対の支持部の各々の先端部は略W字状をなしており、
前記複数個の壁面は、前記空間を挟んで厚み方向に対面する第1及び第2の壁面と、前記空間を挟んで横幅方向に対面する第3及び第4の壁面であって前記第1及び第2の壁面における横幅方向の端辺と直交する第3及び第4の壁面と、前記第1、第2、及び第3の壁面における前記第2の開口部側の端辺と直交する第5の壁面と、前記第1、第2、及び第4の壁面における前記第2の開口部側の端辺と直交する第6の壁面とからなり、
前記第2、第3、第4、第5、及び第6の壁面の外面が黒く着色されていることを特徴とするディフューザ。
【請求項2】
照射方向可変型のクリップオンストロボの発光部筐体に装着される第1のディフューザであって、乳白色の可撓性樹脂を素材とする中空な箱状をなし、内部の空間を挟んで縦幅方向に対向する二面のうち一方の面が第1の開口部として開放され、前記二面のうち他方の面における横幅方向の中央に前記発光部筐体の厚みよりも小さい厚みと前記発光部筐体の横幅よりも大きい横幅とを持った第2の開口部であって前記発光部筐体を挿入する第2の開口部が設けられ、前記空間を包囲する複数個の壁面のうち前記第2の開口部を挟んで横幅方向に離間した2つ壁面における前記第2の開口部側の端部に前記第2の開口部内に挿入された発光部筐体を支持する一対の支持部が設けられている第1のディフューザと、 前記第1のディフューザに装着される第2のディフューザであって、乳白色の可撓性樹脂を素材とする中空な箱状をなし、内部の空間を挟んで縦幅方向に対向する2面のうち一方の面が前記第1のディフューザにおける前記第1の開口部側の端部に嵌合する第3の開口部として開放されている第2のディフューザと
を具備することを特徴とするディフューザセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリップオンストロボに装着されるディフューザに関する。
【背景技術】
【0002】
バウンス撮影に好適なクリップオンストロボの一つに照射方向可変型と称されるものがある。図5(A)及び図5(B)は、この種のクリップオンストロボSTの構成例を示す図である。クリップオンストロボSTの本体部81の下部には同部81をカメラのアクセサリーシューに連結する部材であるクリップオンコネクタ82が設けられている。本体部81の上部には左右方向に延在する軸83が設けられている。この軸83の左右両端には発光部筐体84の一端をなす脚85L及び85Rが回動自在に連結されている。この脚85L及び85Rは半円状に湾曲している。また、発光部筐体84の他端には矩形状の窓86が設けられている。この窓86にはフレネルレンズ87が嵌め込まれている。また、発光部筐体84内には、キセノン管(Xe管)及び反射笠等からなる発光部がその光照射方向をフレネルレンズ87に向けて収められている。このクリップオンストロボSTをカメラのアクセサリーシューに搭載した状態において、クリップオンストロボSTの発光部筐体84は、本体部81に対する傾斜角度を発光部筐体84の発光部の光軸方向がカメラの撮影レンズの光軸方向と一致する角度(図5(A))と発光部の光軸方向が真上を向く角度(図5(B))の間の所望の角度となるように調整することができる。この種のクリップオンストロボに関わる技術を開示した文献として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−72301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にも記載されているように、クリップオンストロボの発光筐体部を天井に向け、ストロボの照射光を天井に当ててそのバウンス光(反射光)を被写体に当てるようにすると、被写体を照らす光が柔らかいものとなり、撮影写真にきつい影が出にくくなる。しかしながら、バウンス光の光質は撮影場所における天井までの高さや天井の色などに依存すため、撮影被写体を照らす光がバウンス光だけであると、被写体のメリハリが無くなって自然な感じが損なわれてしまう場合がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、バウンス撮影においてより自然な感じの写真を撮影できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、照射方向可変型のクリップオンストロボの発光部筐体に装着されるディフューザであって、乳白色の可撓性樹脂を素材とする中空な箱状をなし、内部の空間を挟んで縦幅方向に対向する二面のうち一方の面が第1の開口部として開放され、前記二面のうち他方の面における横幅方向の中央に前記発光部筐体の厚みよりも小さい厚みと前記発光部筐体の横幅よりも大きい横幅とを持った第2の開口部であって前記発光部筐体を挿入する第2の開口部が設けられ、前記空間を包囲する複数個の壁面のうち前記第2の開口部を挟んで横幅方向に離間した2つ壁面における前記第2の開口部側の端部に前記第2の開口部内に挿入された発光部筐体を支持する一対の支持部が設けられ、前記一対の支持部の各々の先端部は略W字状をなしており、前記複数個の壁面は、前記空間を挟んで厚み方向に対面する第1及び第2の壁面と、前記空間を挟んで横幅方向に対面する第3及び第4の壁面であって前記第1及び第2の壁面における横幅方向の端辺と直交する第3及び第4の壁面と、前記第1、第2、及び第3の壁面における前記第2の開口部側の端辺と直交する第5の壁面と、前記第1、第2、及び第4の壁面における前記第2の開口部側の端辺と直交する第6の壁面とからなり、前記第2、第3、第4、第5、及び第6の壁面の外面が黒く着色されていることを特徴とするディフューザを提供する。
【0007】
本発明では、ディフューザをクリップオンストロボの発光部筐体に装着した状態において、ストロボを天井に向けてストロボを発光させると、ストロボの閃光は、第1の開口部から天井側に拡散されて天井に到達し、天井を経由したバウンス光が被写体に当たる。また、ストロボの閃光は、ディフューザの壁面の内面を乱反射し、この乱反射した光が被写体の側を向いた壁面における発光部筐体の発光面(フレネルレンズ)よりも上の部分を透過し、この透過光が被写体に当たる。この透過光は、乳白色の可撓性樹脂を透過した光であるため、バウンス光と同様に柔らかな光質のものとなる。よって、本発明によると、ディフューザの保持位置の上げ下げを通じて被写体を照らす光に占める透過光の割合を簡単に調整することができる。従って、本発明によると、撮影位置における天井の高さ等の撮影環境の如何に拘らず自然な感じの写真を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態であるディフューザとこのディフューザが装着されたクリップオンストロボ及びカメラの斜視図である。
図2】同ディフューザの斜視図である。
図3】同ディフューザの効果を説明するための図である。
図4】本発明の第2実施形態であるディフューザセットとこのディフューザセットが装着されたクリップオンストロボ及びカメラの斜視図である。
図5】ディフューザの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1(A)は、本発明の第1実施形態であるディフューザDFとこのディフューザDFが装着されたクリップオンストロボST(照射方向可変型クリップオンストロボ)及びカメラCMを正面左側から見た斜視図である。図1(A)に示すように、ディフューザDFは、クリップオンストロボSTの発光部筐体84に装着される。
【0010】
図2(A)は、ディフューザDFの斜視図である。図2(B)は、図2(A)のディフューザDFを図2(A)の視点と反対側の視点(裏側)から見た斜視図である。図2(C)は、図2(A)のディフューザDFを矢印C方向に見た斜視図である。ディフューザDFは、乳白色の可撓性樹脂(例えば、ポリプロピレン)を素材とし、この樹脂を中空な箱状に成形したものである。
【0011】
ディフューザDFは、発光部筐体84の縦幅L1(発光部筐体84における発光部の光軸方向と同じ方向の幅、図5(B)参照)と略同じ縦幅L2(例えば、L2=95mm)、発光部筐体84の横幅W1(発光部筐体84における回転軸83と平行で発光部の光軸方向と直交する方向の幅、図5(B)参照)よりも十分に大きな横幅W2(例えば、W2=190mm)、及び発光部筐体84の厚さT1(発光部筐体84における回転軸83及び発光部の光軸方向と直交する方向の厚さ、図5(B)参照)よりも小さい厚さT2(例えば、T2=25mm)の寸法を有している。
【0012】
ディフューザDFにおける内部の空間SPを挟んで縦幅L2方向に対向する2面のうち一方の面の全面は開口部C1(第1の開口部)として開放されている。また、ディフューザDFにおける内部の空間SPを挟んで縦幅L2方向に対向する2面のうち他方の面のほぼ中央には、発光部筐体84の厚みT1よりも小さい厚みT2(T2=25mm)と発光部筐体84の横幅W1よりも大きい横幅W3(例えば、W3=100mm)とを持った開口部C2(第2の開口部)が設けられている。ディフューザDFをクリップオンストロボSTに装着する際は、クリップオンストロボSTの発光部筐体84をこの開口部C2からディフューザDF内に挿入する。
【0013】
より詳細に説明すると、ディフューザDFにおける内部の空間SPを包囲する外郭は6つの壁面3F、3B、3L、3R、3DL、及び3DRからなる。壁面3F(第1の壁面)及び壁面3B(第2の壁面)は、同寸法(縦幅L2及び横幅W2)の矩形状をなしている。壁面3F及び3Bは、空間SPを挟んで厚みT2方向に平行対面している。
【0014】
壁面3L(第3の壁面)及び壁面3R(第4の壁面)は、同寸法(縦幅L2及び厚さT2)の矩形状をなしている。壁面3L及び3Rは、空間SPを挟んで横幅W2方向に平行対面している。壁面3Fにおける横幅W2方向の両端辺は壁面3L及び3Rにおける厚みT2方向の一端辺と直交している。壁面3Bにおける横幅W2方向の両端辺は壁面3L及び3Rにおける厚みT2方向の他端辺と直交している。
【0015】
壁面3DL(第5の壁面)及び壁面3DR(第6の壁面)は、同寸法(横幅W4(W4=(W2−W3)/2、例えば、W4=45mm)及び厚さT2)の矩形状をなしている。壁面3DL及び3DRは、開口部C2を挟んで横幅W2方向に離間している。壁面3Fにおける開口部C2の側の端辺は、壁面3DL及び3DRにおける厚みT2方向の端辺と直交している。壁面3Bにおける開口部C2の側の端辺は、壁面3DL及び3DRにおける厚みT2方向の端辺と直交している。壁面3Lにおける開口部C2の側の端辺は、壁面3DLにおける横幅W2方向の端辺と直交している。壁面3Rにおける開口部C2の側の端辺は、壁面3Rにおける横幅W2方向の端辺と直交している。
【0016】
壁面3DL及び3DRの各々における開口部C2側の端部には一対の支持部4L及び4Rが設けられている。支持部4L及び4Rは、開口部C2内に挿入された発光部筐体84を横幅W2方向の両側から支持する役割を果たす。
【0017】
より詳細に説明すると、支持部4Lは、壁面3DLにおける開口部C2側の端部から開口部C2に向かって壁面3DLと平行に延在している。支持部4Lの先端部は略W字状になっている。支持部4Lの先端部には、僅かな間隔をあけて厚みT2方向に離れた2つの突起PL1、PL2がある。支持部4Rは、壁面3DRにおける開口部C2側の端部から開口部C2に向かって壁面3DRと平行に延在している。支持部4Rの先端部は略W字状になっている。支持部4Rの先端部には、僅かな間隔をあけて厚みT2方向に離れた2つの突起PR1、PR2がある。支持部4Lの先端部(突起PL1、PL2)と支持部4Rの先端部(突起PR1、PR2)との間の距離は発光部筐体84の横幅W1(図5(B))よりも小さくなっている。支持部4L及び4Rは壁面3F、3B、3L、3R、3DL、及び3DRと同じ可撓性樹脂からなり、支持部4L及び4Rの基端は壁面3DL及び壁面3DRの各々と一体化されている。このため、支持部4L及び4Rの先端部を手指により把持して内部の空間SPの側と反対側の方向に力を加えると、支持部4L及び4Rはその方向に撓(しな)り、支持部4L及び4Rの先端部間の距離が広がる。
【0018】
図2(D)は、図2(A)のディフューザDFにおける壁面3Fを除去したものの斜視図である。ディフューザDFの壁面3F、3B、3L、3R、3DL、及び3DRの内面(空間SPに臨む面)は乳白色になっている。また、ディフューザDFにおける壁面3F以外の壁面3B、3L、3R、3DL(支持部4Lを含む)、及び3DR(支持部4Rを含む)の外面は黒く着色されている。壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRの着色は、壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRの外面に塗料を塗布することにより行ってもよいし、壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRの外面に黒色の紙やフィルムを貼着することにより行ってもよい。
【0019】
このディフューザDFのクリップオンストロボSTへの装着は次のようにして行う。まず、クリップオンストロボSTにおける発光部筐体84の本体部81に対する傾斜角度を発光部の光軸方向が真上を向く角度(図5(B)に示す角度)にする。次に、ディフューザDFの壁面3F及び3Bにおける開口部C2に臨む部分を空間SPの外側に撓ませてこの部分における壁面3F及び3B間の距離を広げるとともに、支持部4L及び4Rを空間SPの側と反対側に撓ませて支持部4L及び4Rの先端部間の距離を広げる。
【0020】
次に、ディフューザDFの壁面3FをカメラCMの撮影レンズの光軸方向と同じ方向に向け、ディフューザDFの開口部C2を発光部筐体84に上方から被せるようにして開口部C2内に発光部筐体84を挿入し、ディフューザDFにおける壁面3F及び3Bを撓ませていた力と支持部4L及び4Rを撓ませていた力を弱める。
【0021】
開口部C2内に発光部筐体84を挿入した状態において、壁面3F、壁面3B、支持部4L、及び支持部4Rを撓ませていた力が弱まると、壁面3F、壁面3B、支持部4L、及び支持部4の撓みを解消する方向の復元力が働き、壁面3F、壁面3B、支持部4Lの先端部(突起PL1、PL2)、支持部4Rの先端部(突起PR1、PR2)が発光部筐体84の側壁に弱い摩擦力をもって接する。これの摩擦力の作用により、ディフューザDFはその開口部C2内に発光部筐体84を挿入したまま発光部筐体84の周囲に保持される。
【0022】
ディフューザDFが発光部筐体84の周囲に保持された状態において、ディフューザDFを上に押すと、壁面3F、壁面3B、支持部4Lの先端部、支持部4Rの先端部が発光部筐体84の側壁を上方向に摺動して保持位置が上に動き、ディフューザDFを下に押すと、壁面3F、壁面3B、支持部4Lの先端部、支持部4Rの先端部が発光部筐体84の側壁を下方向に摺動して保持位置が下に動く。
【0023】
以上が、本実施形態の構成の詳細である。本実施形態によると、次の効果が得られる。
第1に、本実施形態では、ディフューザDFを発光部筐体84に装着した状態において、ストロボSTを天井に向けてストロボSTを発光させると、ストロボSTの閃光は、開口部C1から天井側に拡散されて天井に到達し、天井を経由したバウンス光が被写体に当たる。また、ストロボSTの閃光は、ディフューザDFの壁面3F、3B、3L、3R、3DL、及び3DRの内面を乱反射し、この乱反射した光が壁面3Fにおける発光部筐体84の発光面(フレネルレンズ)よりも上の部分を透過し、この透過光が被写体に当たる。この透過光は、乳白色の可撓性樹脂を透過した光であるため、バウンス光と同様に柔らかな光質のものとなる。よって、本実施形態によると、ディフューザDFの保持位置の上げ下げを通じて被写体を照らす光に占める透過光の割合を簡単に調整することができる。従って、本実施形態によると、撮影位置における天井の高さ等の撮影環境の如何に関わらず自然な感じの写真を撮影することができる。
【0024】
第2に、本実施形態では、ディフューザDFの開口部C2が横幅W2方向の中央に設けられている。よって、カメラCMを縦位置に構えて撮影を行う場合における自然なライティングをより簡単に行うことができる。図3は、カメラCMを縦位置に構えて撮影を行う場合におけるディフューザDFの利用の態様を示す図である。周知のように、人物を被写体とする撮影においては、被写体である人物の全身や半身を収める必要があるため、カメラを縦位置に構えることが多い。この場合において、ストロボSTの発光部筐体84の傾斜角度を90度にして発光部筐体84の発光面(フレネルレンズ)を被写体に向けると、発光部筐体84の光は被写体に真横から当たってしまい、被写体に不自然な影ができてしまう。これに対し、本実施形態では、図3に示すように、ストロボSTの発光部筐体84を本体部81に対して時計回り方向(または半時計回り方向)に90度回転させて発光部筐体84の発光面(フレネルレンズ)を天井に向け、発光部筐体84の先端部に装着したディフューザDFを発光部筐体84に対して時計回り方向(または半時計回り方向)に90度回転させて壁面3Fを被写体に向ける。このようにしてディフューザDFを回転させると、ディフューザDFの壁面3F及び3Bの間隔が広がり、ディフューザDFの壁面3F及び3Bによって発光部筐体84の横幅W1方向の両側壁が支持される。また、ディフューザDFの支持部4Lの先端部(突起PL1、PL2)及び支持部4Rの先端部(突起PR1、PR2)の間隔が縮まり、ディフューザDFの支持部4Lの先端部(突起PL1、PL2)及び支持部4Rの先端部(突起PR1、PR2)によって発光部筐体84の厚みT1方向の両側壁が支持される。そして、この状態において、ストロボSTを発光させると、ディフューザDFの発光面である壁面3Fから放出された透過光が被写体の上方から被写体に当たる。このため、被写体に不自然な影ができることがなくなり、被写体の写真も自然なものとなる。
【0025】
第3に、本実施形態では、支持部4L及び4Rの各々の先端部は略W字状になっており、支持部4Lの先端部に2つの突起PL1、PL2があり、支持部4Rの先端部に2つの突起PR1、PR2がある。ここで、照射方向可変型のクリップオンストロボSTの中には、発光部筐体84の横幅W1方向の両側壁が外側に湾曲した曲面になっているものがある。このようなクリップオンストロボSTの発光部筐体84にディフューザDFを装着する場合において、支持部4L及び4Rの各々の先端部が平らになっていると、支持部4L及び4Rの先端部は発光部筐体84の側壁に一点でのみ接し、ディフューザDFを発光部筐体84の周囲に保持するのに十分な摩擦力を確保し難くなる。これに対し、本実施形態のように、支持部4L及び4Rの各々の先端部が略W字状になっていると、支持部4L及び4Rの先端部は常に発光部筐体84の側壁に2点で接する。よって、本実施形態によると、ディフューザDFの装着対象の発光部筐体84の側面が曲面状になっているか否かに関わらず、ディユーザDFを発光部筐体84の周囲に保持するのに十分な摩擦力を確保することができる。
【0026】
第4に、本実施形態では、ディフューザDFにおける壁面3Fの除く壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRの外面が黒く着色されている。周知のように、黒は光を最も吸収し易い色であるため、壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRを透過した光が黒色の着色部位の外側に漏れることはない。よって、ディフューザDFを装着したカメラCMにより撮影を行うカメラマンの後方に別のカメラマンが居る場合において、そのカメラマンの絵作りがディフューザDFの壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRから漏れた光により妨げられる、という事態の発生を防ぐことができる。また、カメラCMの多くには、被写体を照らす光の明るさをセンサにより検出し、被写体に当たる光の明るさが基準値に達するようにストロボSTの閃光の強さを自動調整する機能が搭載されている。本実施形態によると、ストロボSTの閃光の拡散方向が壁面3B、3L、3R、3DL、及び3DRの黒色の着色部位により限定されるため、同じ明るさの光を被写体に当てるのに必要な閃光の強さが黒色の着色のないものよりも小さくて済む。従って、本実施形態によると、この種のカメラCMにおけるバッテリの消耗を少なくすることができる。
【0027】
第5に、本実施形態では、ディフューザDFの縦幅L2がクリップオンストロボSTの発光部筐体84の縦幅L1と同じになっている。このため、図1(B)に示すように、ディフューザDFの保持位置をディフューザDFの開口部C1とストロボSTの発光面(フレネルレンズ)が略面一になるまで下げると、ディフューザDFの支持部4L及び4Rの先端部が発光部筐体84の下端部(脚85L及び85Rの下端部)と本体部81の上端部の間の隙間に嵌まり込む。ディフューザDFの支持部4L及び4Rの先端部が発光部筐体84の下端部と本体部81の上端部の間の隙間に嵌まり込むと、ディフューザDFは本体部81側に落ち難くなる。よって、本実施形態によると、バウンス光だけを被写体に当てるライティングとバウンス光及び透過光の両方を被写体に当てるライティングを交えた撮影を行う場合におけるディフューザDFの保持位置の切換操作を円滑に行うことができる。
【0028】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態であるディフューザセットDFSとこのディフューザセットDFSが装着されたクリップオンストロボST(照射方向可変型クリップオンストロボ)及びカメラCMを正面左側から見た斜視図である。図4に示すように、このディフューザセットDFSは、2つのディフューザDF及びDF’からなる。ディフューザDFは、第1実施形態におけるディフューザDFと同じものである。ディフューザDF’は、ディフューザDFに装着されるものである。ディフューザDF’は、ディフューザDFと同様に、乳白色の可撓性樹脂を素材とする中空な箱状をなしており、内部の空間SPを挟んで縦幅方向に対向する2面のうち一方の面がディフューザDFの開口部C1に嵌合する開口部C3(第3の開口部)として開放されている。
【0029】
より詳細に説明すると、ディフューザDF’は、ディフューザDFと同じ縦幅L2、ディフューザDFの横幅W2よりも僅かに大きい横幅W2’、及びディフューザDFの厚さT2よりも僅かに大きい厚さT2’の寸法を有している。ディフューザDF’の外郭は、厚さT2’方向に平行対面する壁面3F’及び壁面3B’、横幅W2’方向に平行対面する壁面3L’及び壁面3R’、壁面3F’、3B’、3L’、及び3R’における開口部C3と反対側の端辺と直交する壁面3U’の5つの壁面からなる。ここで、図4では、簡便のため、L2’、W2’、及びT2’の各寸法線と壁面3B’及び3R’の符号の図示を割愛する。ディフューザDF’における壁面3F’を除く壁面3B’、3L’、3R’、及び3U’の外面は黒色に着色されている。このディフューザDF’は、開口部C3をディフューザDFの開口部C1側の部分に被せるようにしてその部分を開口部C3内に挿入することにより、ディフューザDFに装着される。
【0030】
以上が、本実施形態の構成の詳細である。本実施形態では、ディフューザDFにディフューザDF’を連結すると、透過光の発光面積が略2倍になる。よって、本実施形態によると、天上が高すぎるなどの事情によってバウンス光による十分な照明効果が得られない場合であっても、自然な感じの写真を撮影することができる。
【0031】
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、かかる実施形態に以下の変形を加えてもよい。
(1)上記実施形態における寸法値はあくまで例示に過ぎず、これと異なる寸法値を採用してもよい。
(2)上記実施形態では、支持部4L及び4Rの先端は略W字状をなしていた。しかし、支持部4L及び4Rの先端部を3つ以上の複数個の突起ができるような凹凸形状にしてもよい。
【0032】
(3)上記実施形態では、開口部C2を挟んで横幅W2方向に離間した2つの壁面3DR及び3DLにおける開口部C2側の端部に、開口部C2内に挿入された発光部筐体84を支持する一対の支持部4L及び4Rが設けられていた。しかし、この支持部4L及び4Rを設けなくてもよい。開口部C2の横幅W3が発光部筐体84の横幅W1よりも大きくなっており且つ開口部C2の厚みT2が発光部筐体84の厚みT2よりも小さくなっていれば、支持部4L及び4Rを無くしたとしても、開口部C2内に挿入された発光部筐体84は壁面3F及び3Bにおける開口部C2の上の部分によって挟持される。よって、このような変形例によっても、ディユーザDFを発光部筐体84の周囲に保持することができる。
【符号の説明】
【0033】
3F、3B、3L、3R、3DL、3DR…壁面、C1、C2…開口部、DF…ディフューザ、ST…クリップオンストロボ、CM…カメラ、81…本体部、82…クリップオンコネクタ、83…軸、84…発光部筐体、85…脚、86…窓、87…フレネルレンズ。




図1
図4
図5
図2
図3