(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073663
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】受電装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20170123BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20170123BHJP
【FI】
H02J50/10
H02J50/80
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-266851(P2012-266851)
(22)【出願日】2012年12月6日
(65)【公開番号】特開2013-201881(P2013-201881A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-39011(P2012-39011)
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000134257
【氏名又は名称】NECトーキン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】牧田 和政
【審査官】
杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−134049(JP,A)
【文献】
特開2012−39707(JP,A)
【文献】
特開2012−196031(JP,A)
【文献】
特表2014−502132(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/090904(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00
H04B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信信号の伝送と電力の伝送を行う受電アンテナと、
前記電力を直流電圧に変換する整流回路と、
前記通信信号を処理する通信部と、
前記通信部を保護するスイッチ部と、
前記整流回路の出力に応じて前記スイッチ部を制御するスイッチ制御部とを少なくとも備え、
前記スイッチ制御部の切り替えの閾値は、通信から充電に切り替える時の第1の閾値と充電から通信に切り替える第2の閾値が異なることを特徴とする受電装置。
【請求項2】
前記第1の閾値の絶対値は、充電時における前記整流回路の出力電圧の絶対値より大であり、充電開始直後における前記整流回路の出力電圧の絶対値より小であることを特徴とする、請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記第2の閾値の絶対値は、充電時における前記整流回路の出力電圧の絶対値未満であることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載の受電装置。
【請求項4】
前記受電アンテナより通信信号を送信する場合には前記第1の閾値を第3の閾値に切り替え、
前記第3の閾値の絶対値は前記第1の閾値の絶対値よりも大であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の受電装置。
【請求項5】
前記受電アンテナから負荷変調を行うことにより通信を行う場合、もしくは受信する場合の閾値は、
前記第1の閾値であり、
前記受電アンテナより通信信号を送信する場合には、前記第1の閾値を第3の閾値に切り替え、
前記第3の閾値の絶対値は前記第1の閾値の絶対値よりも大であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の受電装置。
【請求項6】
前記第1の閾値と前記第3の閾値の切り替えは、前記通信部からの制御信号により行われることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の受電装置。
【請求項7】
さらに前記整流回路に接続され、負荷に電力を供給するDC/DCコンバータを備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の受電装置。
【請求項8】
前記スイッチ部は、少なくとも前記受電アンテナと前記通信部とを結ぶライン上に設けられたラインスイッチ部と、各ラインとグランドとの間に設けられたグランドスイッチ部により構成されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の受電装置。
【請求項9】
前記ラインスイッチ部と前記グランドスイッチ部は、NchのFETにより構成されることを特徴とする、請求項8に記載の受電装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載の受電装置を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で電力を受電する受電装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非接触電力伝送装置は、送電装置と受電装置から構成される。送電装置は、少なくとも受電装置との信号の通信や電力の伝送を制御する制御回路と、送電アンテナを有し、受電装置は、少なくとも受電アンテナと、送電装置から送信される通信信号を処理する通信部と、受電した交流電力を直流電力に変換する整流回路と、DC/DCコンバータを有する。電力伝送は、送電装置から受電した交流電力は整流回路により直流に変換され、DC/DCコンバータを通過して負荷に電力を供給することで行うことができ、その際、送電装置と受電装置との間で互いに通信を行う。これらの動作は、信号の通信と電力の伝送を時分割で制御することにより、一対の送電アンテナと受電アンテナで実施することもできる。
【0003】
特許文献1では、信号の通信と電力の伝送を一対のアンテナで行う際に、通信回路を保護するためのバイパス回路を通信回路の入力部に設ける技術が開示されている。すなわち、バイパス回路を設けることで、RFID部に接続される整流回路に流れる電流と機能部に接続される整流回路に流れる電流の比を適宜調整する。より具体的には、整流回路の出力電圧のレベルを検出することで信号の通信と電力の伝送を区別し、必要に応じてバイパス回路を動作させ、通信回路と切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−134049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、信号の通信と電力の伝送を一対のアンテナで行う場合、電力を伝送するときの整流回路の出力電圧は、信号を通信するときの整流回路の出力電圧よりも高い。しかし、リーダライタの仕様によっては、信号を通信するときと電力を伝送するときの整流回路の出力が同等(例えば、両者の出力の差が1ボルト以下)もしくは電圧の大小関係が逆転する場合があり、電圧の大小だけでは信号の通信か電力の伝送かを判別することが難しいという課題がある。
【0006】
すなわち、本発明の目的は、信号を通信するときと電力を伝送するときで整流回路の出力が同等もしくは大小関係が逆転するとき、整流回路の出力電圧の大小によらずに、信号の通信と電力の伝送の判別が可能な受電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明による受電装置は、信号の通信と電力の伝送を時分割で行う受電アンテナと、交流電力を直流電力に変換する整流回路と、整流回路に接続され、負荷に電力を供給するDC/DCコンバータと、通信信号を処理する通信部と、通信部を保護するスイッチ部と、整流回路の出力に応じてスイッチ部を制御するスイッチ制御部とを少なくとも備え、スイッチ制御部の切り替えの閾値は、信号の通信から電力の伝送に切り替える時の第1の閾値と電力の伝送から信号の通信に切り替える第2の閾値が異なることを特徴とする。
【0008】
すなわち、信号の通信と電力の伝送の切り替え動作にヒステリシスを有することにより、信号を通信するときの整流回路の出力電圧と電力を伝送するときの整流回路の出力電圧が同等もしくは大小関係が逆転するときであっても、整流回路の出力電圧の大小によらずに信号の通信と電力の伝送の判別が可能な受電装置が得られる。
【0009】
また、本発明による受電装置のスイッチ部は、少なくともアンテナと通信部とを結ぶライン上に設けられたラインスイッチ部と、各ラインとグランドとの間に設けられたグランドスイッチ部により構成されることを特徴とする。
【0010】
また、ラインスイッチ部およびグランドスイッチ部は、Nチャネル(以下、Nchと表記する)の電界効果トランジスタ(以下、FETと表記する)により構成されることを特徴とする。
【0011】
また、第1の閾値の絶対値は、充電時における整流回路の出力電圧の絶対値より大であり、充電開始直後における整流回路の出力電圧の絶対値よりで小であることを特徴とする。
【0012】
また、第2の閾値の絶対値は、充電時における整流回路の出力電圧の絶対値未満であることを特徴とする。
【0013】
また、前記受電アンテナより通信信号を送信する場合には前記第1の閾値を第3の閾値に切り替え、前記第3の閾値の絶対値は前記第1の閾値の絶対値よりも大であることを特徴とする。
【0014】
また、前記受電アンテナから負荷変調を行うことにより通信を行う場合、もしくは受信する場合の閾値は、前記第1の閾値であり、前記受電アンテナより通信信号を送信する場合には、前記第1の閾値を第3の閾値に切り替え、前記第3の閾値の絶対値は前記第1の閾値の絶対値よりも大であることを特徴とする。
【0015】
また、前記第1の閾値と前記第3の閾値の切り替えは、前記通信部からの制御信号により行われることを特徴とする。
【0016】
また、本発明による電子機器は、上記の特徴を有する受電装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、信号の通信から電力の伝送に切り替える第1の閾値と、電力の伝送から信号の通信に切り替える第2の閾値で異なる閾値を持つことにより、信号を通信するときと電力を伝送するときで整流回路の出力電圧が近い、もしくは電圧の大小関係が逆転する場合でも、信号の通信と電力の伝送の判別が可能となる。すなわち、信号の通信時における整流回路の出力電圧と電力の伝送時における整流回路の出力電圧の大小によらずに信号の通信と電力の伝送の判別が可能な受電装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による受電装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明による受電装置におけるスイッチ部の具体的な回路構成を示す図である。
【
図3】本発明による受電装置におけるスイッチ部の第1の変形例を示す図である。
【
図4】本発明による受電装置におけるスイッチ部の第2の変形例を示す図である。
【
図5】本発明による受電装置におけるスイッチ部の第3の変形例を示す図である。
【
図6】本発明による受電装置におけるスイッチ部の第4の変形例を示す図である。
【
図7】本発明による受電装置の構成を示すブロック図であり、
図1の変形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明による受電装置の実施形態を、図を参照して説明する。
【0020】
(実施の形態)
図1は、本発明による受電装置の構成を示すブロック図である。
図1において、送電装置10は、少なくとも一次側制御部11と、受電装置20へ電力を供給するための送電アンテナ12を有する。受電装置20は、受電アンテナ21と、整流回路22と、スイッチ制御部23と、DC/DCコンバータ24と、スイッチ部26と、通信部27から構成される。スイッチ制御部23にはヒステリシス回路28を含み、DC/DCコンバータ24の出力には負荷25が接続される。スイッチ部26は、電力伝送時に受電アンテナ21及び整流回路22と、通信部27との接続を遮断することで過電圧から通信部27を保護する。
【0021】
受電アンテナ21は、送電装置10から磁気的な結合により送電された電力を交流電力として受電し、整流回路22に供給するとともに、一次側制御部11と信号を通信する際にも使用される。即ち、本実施の形態による受電アンテナ21は、電力の伝送と信号の通信とで共用される。
【0022】
整流回路22は、受電アンテナ21で受電した交流電力を直流電力に変換する。DC/DCコンバータ24は、整流回路22で整流した直流電力の電圧を変換して負荷25に電力として供給する。
【0023】
スイッチ制御部23は、ヒステリシス回路28を含み、整流回路22で整流した直流電力の電圧に応じて、スイッチ部26を導通状態にするか遮断状態にするかを制御する。
【0024】
以下、本発明による受電装置の動作を説明する。
【0025】
受電装置20が、一次側制御部11と通信可能な領域に置かれると、一次側制御部11と受電装置20の間でIDによる認証が行われる。このとき、スイッチ制御部23は、スイッチ部26を導通させ、受電アンテナ21と通信部27が電気的に接続されるよう制御する。
【0026】
認証が成功すると、一次側制御部11は受電装置20に対し、電力の伝送を開始する。受電アンテナ21で受電装置20に受電された電力は整流回路22で整流される。このとき、スイッチ制御部23は、後述の手順により整流後の電圧に応じてスイッチ部26を制御する。
【0027】
充電開始直後からDC/DCコンバータ24が動作するまでの間は、DC/DCコンバータ24の出力インピーダンスが一時的に高い状態になるため、整流回路22の出力電圧も一時的に上昇する。本発明による受電装置20は、この整流回路22の出力電圧が一時的に第1の閾値を越えるとスイッチ制御部23およびスイッチ部26を動作させる。第1の閾値は、充電開始直後の整流回路22の出力電圧と充電時の整流回路22の出力電圧の中間であればよい。
【0028】
すなわち、整流回路22の出力電圧が第1の閾値に達すると、スイッチ制御部は受電装置が信号を通信する状態から電力を伝送する状態に移行したとみなし、スイッチ部26を遮断する。すると、通信部27に電力は流れ込まない。
【0029】
充電開始直後に一時的に上昇した整流回路22の出力電圧は、DC/DCコンバータ24が動作し始めるとともに出力インピーダンスが下がるため、整流回路22の出力電圧も下がる。受電アンテナ21で受電装置20に受電された電力は整流回路22で整流される。整流された電力はDC/DCコンバータ24を通して負荷25へ供給される。
【0030】
所定の時間電力が伝送されると、一次側制御部11は充電を停止する。このとき、整流回路22の出力電圧はグランドレベルまで下降する。整流回路22の出力電圧が第2の閾値に到達したところで、受電装置20は一次側制御部が電力を伝送する状態から信号を通信する状態に移行したとみなし、スイッチ部26を導通させる。第2の閾値は、例えば、充電時の出力電圧の90%以下とすることができる。
【0031】
従って、整流回路22の出力電圧のレベルをスイッチ制御部23で検出し、整流回路の出力電圧が第1の閾値より大であればスイッチ部26を遮断することで通信部27を保護し、電力の受電を待機する。また、第2の閾値未満であれば電力伝送が終了したと判断し、通信部27の保護を解除するという動作を繰り返すことにより、信号の通信時の受電電圧と電力の伝送時の受電電圧の大小によらずに信号の通信と電力の伝送の判別が可能となる。
【0032】
図2は、本発明による受電装置における、スイッチ部26の具体的な回路構成を示す図である。
図2において、スイッチ部26は、受電アンテナ21と通信部27とを結ぶライン上に設けられたラインスイッチ部52と、各ラインとグランドとの間に設けられたグランドスイッチ部54とを備えている。ラインスイッチ部52及びグランドスイッチ部54は、NchのFETからなる。スイッチ部を構成するFETのドレインは、受電アンテナ21のコイルの一端に接続され、ソースは通信部27に接続され、ゲートはスイッチ制御部23に接続されている。グランドスイッチ部54を構成するFETのドレインは対応するラインに接続され、ソースはグランドに接続され、ゲートはスイッチ制御部23に接続されている。ツェナーダイオードZDは、対応するラインに接続されたカソードと、グランドに接続されたアノードとを有する。
【0033】
かかる構成を有するスイッチ部によれば、ラインスイッチ部52を導通させると共にグランドスイッチ部54を遮断することで、受電アンテナ21と通信部27とを接続できる。また、スイッチ部を遮断すると共にグランドスイッチ部54を導通させることで、通信部27の入力をグランドレベルで短絡させることができ、受電アンテナ21から確実に切り離すことができる。
【0034】
また、グランドスイッチ部54と並列に接続されたツェナーダイオードを設けても良い。ツェナーダイオードZDを備えることで、スイッチ部を導通状態から遮断状態へ移行するときも通信部27への入力電圧が一定レベル以上になることを防ぐことができる。すなわち、ツェナーダイオードZDは、スイッチ部に対して通信部27の入力保護機能を付加する。
【0035】
図3は、本発明による受電装置におけるスイッチ部の第1の変形例を示す図である。スイッチ部26は、上述したものには限られず、スイッチ制御部23の制御に従って受電アンテナ21と通信部27との間を導通または遮断できるものであればよい。例えば、
図2に示されるスイッチ部26においては、各ライン上にラインスイッチ部52を設けることとしていたが、
図3に示されるスイッチ部26のように、一方のライン上に双方向スイッチ部56を設けてもよい。
【0036】
図4は、本発明による受電装置におけるスイッチ部の第2の変形例を示す図である。
図3において、スイッチ部26は、通信部27の入力を保護する入力保護部として双方向スイッチ部56が設けられたラインとグランドとの間に接続されたツェナーダイオードZDを有しているが、
図4に示されるスイッチ部26のように、ツェナーダイオードZDを省略してもよい。
図3に示されるスイッチ部26や
図4に示されるスイッチ部26においても、信号時は双方向スイッチ部56を導通させる一方でグランドスイッチ部54を遮断することで、スイッチ部26を導通状態とし、電力伝送時は双方向スイッチ部56を遮断とする一方でグランドスイッチ部54を導通させることで、スイッチ部26を遮断状態とするように、スイッチ制御部23はスイッチ部26を制御する。
【0037】
図5は、本発明による受電装置におけるスイッチ部の第3の変形例を示す図である。上述したスイッチ部26において、通信部27の入力を保護する入力保護部55はツェナーダイオードZDで構成されていたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、
図5に示されるスイッチ部26は、ダイオードからなる入力保護部55−1を備えている。入力保護部55−1を構成するダイオードのアノードは、対応するラインに接続されており、同ダイオードのカソードはグランドに接続されている。かかる構成によれば、ダイオードの順電圧Vf以上の電圧が対応するラインに印加されると、ダイオードが導通し、通信部27が保護される。
【0038】
図6は、本発明による受電装置におけるスイッチ部の第4の変形例を示す図である。
図6に示されるスイッチ部26のように、複数のダイオードを直列接続して入力保護部55−2を構成してもよい。
【0039】
図6で図示されているように、直列接続された複数のダイオードの一端を構成するダイオードのアノードは対応するラインに接続されている一方、直列接続された複数のダイオードの他端を構成するダイオードのカソードはグランドに接続されている。同構成のダイオードを用いて入力保護部55−2を構成する場合、ダイオードの順電圧Vf×ダイオードの個数(直列数)で決まる電圧が入力保護部55−2の動作電圧となる。
【0040】
また、複数種のダイオードを用いて入力保護部55−2を構成する場合、個々の入力保護部55−2の順電圧Vfの合計で決まる電圧が入力保護部55−2の動作電圧となる。このように、複数のダイオードを用いて入力保護部55−2を構成すると、入力保護部55−2の動作電圧を細かく設定することができる。
【0041】
このようにして設定された動作電圧以上の電圧がラインに印加されると、入力保護部55−2に電流が流れ、通信部27が保護される。
【0042】
図7は、本発明による受電装置の構成を示すブロック図であり、
図1の変形例を示している。
図1とは、受電アンテナ21と整流回路22の間にスイッチ部261を設け、通信部27からスイッチ制御部23への制御信号経路29を有している点が異なる。
【0043】
受電装置20が他のICカードやICタグと通信するような、受電装置20からの通信を行う場合がある。この場合は受電装置20がリーダライタのような機能を有することとなり、送電装置10が通信先のICカードやICタグ等に該当する。
【0044】
このような受電装置20から送電装置10への通信を行う場合には、受電アンテナ21から通信信号を発信することになるため、整流回路22の出力電圧が、受電アンテナ21が通信信号を受信することを基に想定していた第1の閾値を超えてしまうことがある。
【0045】
受電装置20から送電装置10への通信を行っている最中に整流回路22の出力電圧が第1の閾値を超してしまうと、スイッチ部26を遮断するため、受電アンテナ21から通信信号を出力できなくなってしまう。
【0046】
そこで、スイッチ制御部に予め第3の閾値を設定しておき、受電装置20から送電装置10への通信を行う場合のみ通信部27からスイッチ制御部23へ制御信号経路29を介して制御信号を伝達し、第1の閾値を第3の閾値に切り替えるよう構成すれば、受電装置20から送電装置10への通信を行っている最中にスイッチ部26による通信信号の遮断が起こらないため、上記のような問題が起こらない。
【0047】
なお、第3の閾値は通信部27を保護できる上限の電圧と、受電装置20から送電装置10への通信による整流回路22の出力電圧の上限値の中間であればよい。
【0048】
また、受電装置20と送電装置10の間で通信を行う場合に、DC/DCコンバータ24から負荷25に通信信号の電力が消費されることで充分な通信信号レベルを確保できない場合には、整流回路22とDC/DCコンバータ24の間に設けたスイッチ部261により、通信時のみ遮断するよう構成してもよい。
【0049】
他に、スイッチ部261の開閉により負荷25への送電電力を変調することで、受電アンテナ21へ受電する際に負荷変調通信を行うこともできる。ここで、ICカードのようにスイッチ部261による負荷変調通信を行う場合は第1の閾値を採用し、ICカードに対するリーダライタのように通信部27からの通信信号の送受信を行う場合は第1の閾値を第3の閾値に変更することとしてもよい。
【0050】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は本実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、非接触充電機能を有する携帯電話機やデジタルカメラ等のような電子機器に適用可能であり、更に、それらを備えるシステムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 送電装置
11 一次側制御部
12 送電アンテナ
20 受電装置
21 受電アンテナ
22 整流回路
23 スイッチ制御部
24 DC/DCコンバータ
25 負荷
26、261 スイッチ部
27 通信部
28 ヒステリシス回路
29 制御信号経路
52 ラインスイッチ部
54 グランドスイッチ部
55、55−1、55−2 入力保護部
56 双方向スイッチ部
D ドレイン
G ゲート
S ソース
ZD ツェナーダイオード