【実施例】
【0035】
試験方法
水蒸気透過速度試験(MVTR)
各々のサンプルに対する水蒸気透過速度を、ISO15496にしたがって決定したが、サンプルの水蒸気透過率(WVP)は、水蒸気透過率(WVPapp)の装置に基づいてMVTR水蒸気透過速度(MVTR)に変換されて、次の変換式を用いた。
【0036】
【数1】
【0037】
さらに、標準は85〜95mmのカップ径であるが、64mmのカップ径を用いた。さらに、酢酸カリウムの代用として塩化ナトリウムを用いた。
【0038】
摩耗耐性試験
次の例外があるが、摩耗耐性を、ASTM D3886, Standard Test Method for Abrasion Resistance of Textile Fabricsを用いて測定をした。電気接触を用いなかった。Norton P320Jの摩耗ペーパーを0エメリーの代わりに用いた。
【0039】
ブーツ全体の水蒸気透過速度試験
各々のサンプルに対するブーツ全体の水蒸気透過速度を、Department of Defense Army Combat Boot Temperate Weather Specificationsにしたがって決定をした。
詳細な内容は以下である。
4.5.4 ブーツ全体の通気性
ブーツの通気性試験は、内部環境と外部環境の水蒸気の濃度の違いによるブーツを通過する水蒸気透過速度(MVTR)を示すように設計される。
4.5.4.1 装置
a.外部試験環境の制御システムは、試験継続時間にわたって、23(±1)℃及び50%±2%の相対湿度を維持することができる。
b.質量スケールは、(±0.01)グラムの精度によって、水で充填されたブーツの質量を決定することができる。
c.保水バッグは、ブーツの中に挿入することができるように柔らかいものであり、内側の形に適合するものである。しわがエアーギャップを作り出さないように保水バッグは充分に薄い必要がある。保水バッグは、試験がされる靴生産物よりも非常に高いMVTRを有する。そして、液体である水よりも、むしろ水蒸気だけが靴生産物の内側に接触するように保水バッグは防水性である必要がある。
d.ブーツのための内部ヒーターは、35(±1)℃まで、液体の水をブーツ内で均一に制御することができる。
e.ブーツプラグは、液体である水及び水蒸気の両方に不浸透性である。
4.5.4.2 手順
a.試験環境にブーツを配置する。
b.保水バッグをブーツの開口部から挿入して、足底の内側から測定して、12.5cm(5in)の高さまで水で充填する。
c.温水器を挿入して、ブーツプラグで開口部を封印する。
d.35℃までブーツ内の水を加熱する。
e.ブーツサンプルの質量を秤量して、Wiとして記録する。
f.秤量後、最低、6時間、ブーツ内の温度を一定に保つ。
g.6時間後、ブーツサンプルを再秤量する。Wfとして質量を記録し、試験継続時間をTdとして記録する。式:MVTR=(Wi-Wf)/Tdにより、グラム/時間単位のブーツ全体のMVTRを計算する。
4.5.4.3 検査方法
各々のブーツをパラグラフ4.5.4.2.で述べられた方法にしたがって試験をする。試験をした5ブーツによる、ブーツ全体の平均MVTRは3.5グラムs/時間であり、通気性の標準レベルを満たす。
【0040】
含浸量試験
ブーツの含浸量を以下のように決定をした。メンズサイズ9のブーツを用いて、左右各々のブーツの質量を記録した。12"のプレキシガラス壁を有する、30フィート長であって、48インチ幅である特注のトラフ(槽)内を被験者は歩行した。トラフ(槽)全体にわたって2"の深さまで室温水を満たした。被験者は30分間、容器内を歩行し、その後、容器の外側にあるラバーマット(30フィート長)を15分間歩行した。
【0041】
その後、ブーツを秤量した。トラフ(槽)内を歩いた後のブーツの秤量前と秤量後の差として、含浸量を定義した。
【0042】
実施例1
下部のコンパートメント及び上部のコンパートメントを含むアッパー部の積層体材料で、ブーツを作製した。上部のコンパートメントの積層体は3層の積層体であり、その3層の積層体は、a)8.8oz.の1000Dのナイロンウィーブと、b)延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と、c)6ozの親水性ナイロン、嵩高加工のポリエステルニットと、d)同時に布帛を固定するためのホットメルト接着剤と、を有する。その接着剤は、Gore and Associates, Elkton, MD, Part Number EXQD102120AZ : EXQD102120AZから入手可能である。下部のコンパートメントの積層体は3層の積層体であり、その3層の積層体は、a)1.5oz.ナイロン トリコットニットと、b)延伸ポリテトラフルオロエチレン膜と、c)6ozの親水性ナイロン、嵩高加工のポリエステルニットと、d)同時に布帛を固定するためのホットメルト接着剤と、を有する。その接着剤は、Gore and Associates, Elkton, MD, Part Number EAAM120108AZ: EAAM120108AZから入手可能である。
【0043】
上部のコンパートメントと下部のコンパートメントとの両方の積層体を、上記で述べたMVTR試験方法を利用して試験をした。上部のコンパートメントの積層体は、1600g/m
2/24時間のMVTRを有し、下部のコンパートメントの積層体は3200 g/m
2/24時間のMVTRを有する。
【0044】
また、上部のコンパートメントと下部のコンパートメントとの両方の積層体を、上記で述べた摩耗耐性試験を利用して摩耗耐性の試験をした。下部のコンパートメント積層体は350-400サイクルで擦り切れたことを示し、上部のコンパートメント積層体は、2400-2550サイクルで擦り切れたことを示した。
【0045】
本発明の靴製品を生産する際に、上部及び下部のコンパートメントの積層体を、下部のコンパートメントの積層体の保護用のレザーカバーと共に同時に接合して、ブーツのアッパー部を形成した。アッパー部で防水性を保証するために、上部のコンパートメントと下部のコンパートメントとをステッチ縫いをして、熱可塑性接着剤テープ(Gore Seam TMテープtape、Gore and Associates, Elkton, MDから入手可能である。)を利用して、同時に接合した。
【0046】
足底ボードを、ステープルによってラストに取り付けた。アッパー部積層体をラストの周りに巻き付けて、アッパー部をつま先の領域上で引っ張った。その後、ラスティングマシンによって自動的に適用されるホットメルト接着剤を用いて、つま先領域を、ラスティングマシンを用いて、足底ボードに取り付けた。その後、第二のラスティングマシンを用いて、靴製品のサイド及びヒールの領域のラスティングを完成させた。その後、ポリウレタンポリマー樹脂をラスティングマージンに適用した。
【0047】
その後、ブーツをホットモールドに押し込んでプレスをかけた。そのモールドはホットプレート及び成形されたシリコーンラバーモールドを含んだ。シリコーンラバーモールドはブーツ底の形状にマッチした。ホットプレートを157℃まで加熱し、結果として、シリコーンラバーモールドの表面の温度分布は70〜100℃であった。一片のリリースペーパーをホットモールドの底に配置して、ブーツをソールプレスに配置した。液圧システムのソールプレスを40kg/cm
2に設定した。ソールプレスを作動させ、このようにして、60秒間、ホットモールドでブーツをプレスした。その後、ブーツをモールドから取り除き、リリースペーパーをブーツの底から取り除いた。ブーツの底の形状のガスケットを、フラッシュ活性因子で加熱して、その後ブーツの底の上に配置した。ブーツを、その後ホットモールドに戻して、60秒間、ソールプレスを作動させた。当該技術分野では標準であるように、足底を生産して、その後、フラッシュ活性因子で加熱してガスケットされたブーツが得られた。足底をブーツの底に配置して、ソールプレスでブーツにプレスをかけた。ソールプレスは足底装着のために利用される標準的な設定で構成された。ソールプレスの液圧システムを10kg/cm
2で設定し、15秒間作動させた。ブーツを冷却させて、ラストをブーツから取り除いた。
【0048】
その後、ブーツを上記で述べた防水性試験にしたがって防水試験をした。ブーツは試験に合格をした。
【0049】
実施例2
本発明にしたがって生産された標準的な8インチブーツについて、上記で述べた含浸量試験が施された。さらに、標準的なブーティ構造を利用した防水ブーティ(Belleville Shoe Manufacturing Company, Belleville,ILから入手可能である、商標名:Belleville 790)、及び非防水8インチブーツ(Belleville Shoe Manufacturing Company, Belleville, ILから入手可能である、商標名:Belleville DST105R)を試験した。結果は以下に示される。
【0050】
【表1】
【0051】
上記チャートで示されるように、本発明にしたがって生産されたブーツの吸水量は、防水ブーティ及び暑い天気用の非防水ブーツで生産されたブーツの吸水量よりも実質的に少なかった。
【0052】
実施例3
本発明にしたがって生産された、1セットが5個である4セット(トータル20個)の標準的な8インチブーツについて、上記で述べたブーツ全体の水蒸気透過速度試験が施された。さらに、標準的なブーティ構造(Belleville Shoe Manufacturing Company, Belleville,ILから入手可能である、商標名:Belleville 790)で生産された、1セットが5個である4セット(トータル20個)の標準的な8インチ防水ブーツの試験をした。さらに、標準的なブーティ構造(Wolverine Worldwide, Inc., Rockford, MIから入手可能である、商標名:Bates ICB)で生産された、1セットが5個である4セット(トータル20個)の標準的な8インチ防水ブーツの試験をした。各々のセットの平均値を測定した。結果は以下に示される。
【0053】
【表2】
【0054】
上記表で示されるように、本発明にしたがって生産されたブーツのブーツ全体の水蒸気透過速度は、標準的な防水ブーティ構造で生産されたブーツのブーツ全体の水蒸気透過速度よりも、より高い平均値の結果を示した。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[27]に記載する。
[1]
上部コンパートメントと下部コンパートメントとを含むアッパー部であって、該上部コンパートメントが、最内層と、少なくとも1つの中間層と、最外層とを含む積層体を含み、さらに、該下部コンパートメントが、最内層と、少なくとも1つの中間層と、最外層とを含む積層体を含み、該上部コンパートメントの該最外層が、該下部コンパートメントの該最外層とは異なる材料を含む、アッパー部と、
該下部コンパートメントを該上部コンパートメントに連結するための連結手段と、
該下部コンパートメントの該積層体の該最外層を覆うための通気性保護カバーと、
該アッパー部と連通する外側の足底と、
を含む、防水性、かつ、通気性の靴製品。
[2]
前記連結手段が、前記上部コンパートメントの前記最内層と前記下部コンパートメントの前記最内層とを連通させる、項目[1]に記載の製品。
[3]
前記連結手段が、テープ、シーラント、ステッチ等である、項目[1]に記載の製品。
[4]
前記連結手段が、超音波接合、シーム封印、熱接合等である、項目[1]に記載の製品。
[5]
前記上部コンパートメントの前記積層体の前記最内層が、織物、ニット、又は不織布テキスタイルである、項目[1]に記載の製品。
[6]
前記上部コンパートメントの前記積層体の前記少なくとも1つの中間層が少なくとも1つのフイルムを含む、項目[1]に記載の製品。
[7]
前記少なくとも1つのフイルムが、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル又はそれらの組み合わせである、項目[6]に記載の製品。
[8]
前記少なくとも1つのフイルムが微多孔質ポリマーである、項目[6]に記載の製品。
[9]
前記少なくとも1つのフイルムが微多孔質のポリテトラフルオロエチレンである、項目[8]に記載の製品。
[10]
前記上部コンパートメントの前記積層体の前記最外層が、織物、不織布、編物、レザー、合成レザー、パーフォレイトラバー、ポリマーメッシュ、不連続パターンの非通気性材料、それらの組み合わせ等である、項目[1]に記載の製品。
[11]
前記下部のコンパートメントの前記積層体の前記最内層が、織物、ニット、又は不織布テキスタイルである、項目[1]に記載の製品。
[12]
前記下部コンパートメントの前記積層体の前記少なくとも1つの中間層が少なくとも1つのフイルムを含む、項目[1]に記載の製品。
[13]
前記少なくとも1つのフイルムが、フルオロポリマー、ポリウレタン、ポリエステル又はそれらの組み合わせである、項目[12]に記載の製品。
[14]
前記少なくとも1つのフイルムが微多孔質ポリマーである、項目[12]に記載の製品。
[15]
前記少なくとも1つの微多孔質ポリマーが微多孔質のポリテトラフルオロエチレンである、項目[14]に記載の製品。
[16]
前記下部コンパートメントの前記積層体の前記最外層が、織物、編物、不織布、レザー、合成レザー、パーフォレイトラバー、ポリマーメッシュ、不連続パターンの非通気性材料、それらの組み合わせ等である、項目[1]に記載の製品。
[17]
前記上部コンパートメントの前記最外層の摩耗耐性が、前記下部コンパートメントの前記保護層の摩耗耐性よりも大きい、項目[1]に記載の製品。
[18]
前記上部コンパートメントの前記積層体の前記最外層の摩耗耐性が、前記下部コンパートメントの前記積層体の前記最外層の摩耗耐性よりも大きい、項目[1]に記載の製品。
[19]
前記上部コンパートメントの前記積層体が、1100g/m2/24時間を超える水蒸気透過速度を有する、項目[1]に記載の製品。
[20]
前記下部コンパートメントの前記積層体が、2200g/m2/24時間を超える水蒸気透過速度を有する、項目[1]に記載の製品。
[21]
ブーツ全体の水蒸気透過速度が8.75g/hr超である、項目[1]に記載の製品。
[22]
前記外側の足底が、ガスケット、射出成形、接着剤等によって、前記アッパー部に連結される、項目[1]に記載の製品。
[23]
吸水試験を実施した場合に、前記製品が40グラム未満の吸水量を含む、項目[1]に記載の製品。
[24]
前記保護カバーがレザーである、項目[1]に記載の製品。
[25]
前記上部コンパートメントの前記積層体が、摩耗耐性試験で約1500サイクルまで損傷を受けないものである、項目[1]に記載の製品。
[26]
前記下部コンパートメントの前記積層体が、摩耗耐性試験で約250サイクルまで損傷を受けないものである、項目[1]に記載の製品。
[27]
上部コンパートメントと下部コンパートメントとを含むアッパー部であって、該上部コンパートメントが、最内層と、少なくとも1つの中間層と、最外層とを含む積層体を含み、さらに、該下部コンパートメントが、最内層と、少なくとも1つの中間層と、最外層とを含む積層体を含み、該上部コンパートメントの該最外層が、該下部コンパートメントの該最外層とは異なる材料を含む、アッパー部と、
該下部コンパートメントを該上部コンパートメントに連結するための、テープ、シーラント、ステッチ、超音波接合、シーム封印、熱接合等と、
該下部コンパートメントの該積層体の該最外層を覆うための通気性保護カバーと、
該アッパー部と連通する外側の足底と、
を含む、防水性、かつ、通気性の靴製品。