(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記インプラントが、前記フレームが引っ込められた位置にあるときには弛緩していて、前記フレームが伸長位置にあるときにはぴんと張っている請求項1に記載のインプラント送達装置。
前記フレームが前記伸長位置にあるときに、前記固定具を駆動し、それによって前記インプラントを患者の組織に固定する固定具駆動装置をさらに具備する請求項1に記載のインプラント送達装置。
前記インプラントが組織に固定された後、前記フレームが、前記伸長位置から前記引っ込められた位置まで移動するときに前記インプラントから離れる請求項6に記載のインプラント送達装置。
前記フレームが、前記引っ込められた位置から前記伸長位置まで移動するときに前記チューブ状部分の前記遠位開口部を通って遠位方向に移動する請求項9に記載のインプラント送達装置。
前記チューブ状部分を通って延びる複数の固定用アームをさらに具備し、該複数の固定用アームの各々が、引っ込められた位置と伸長位置とを有する請求項8に記載のインプラント送達装置。
前記複数の固定用アームが伸長位置にあるとき、前記フレームは、前記引っ込められた位置から前記伸長位置まで移動する際にその複数の固定用アームに沿って滑ることができる請求項11に記載のインプラント送達装置。
前記固定用アームの各々の遠位部は、前記フレームが前記伸長位置にあるときに該フレームを受容し且つ保持するように構成された湾曲した座部を有する請求項12に記載のインプラント送達装置。
前記固定用アームの各々の前記湾曲した座部が、前記少なくとも1つの固定具を駆動することによって前記固定用アームの遠位開口部を通過させて前記フレームによって支持された前記インプラントに打ち込むことのできる位置に前記フレームを保持する請求項13に記載のインプラント送達装置。
前記固定用アームの各々が、前記少なくとも1つの固定具のうちの1つを同時に駆動して、前記フレームによってぴんと張った状態に保持されている前記インプラントに打ち込むように構成された請求項14に記載のインプラント送達装置。
前記固定用アームの各々の遠位端が、該固定用アームが前記引っ込められた位置にあるときには前記チューブ状部分の長軸に隣接して配置され、該固定用アームが遠位方向に移動して前記伸長位置に到達するときには前記チューブ状部分の長軸から径方向外側に延在する請求項11に記載のインプラント送達装置。
前記フレームが所望の前記使用可能位置にあるとき、前記固定具駆動装置が固定具を駆動して前記インプラントに打ち込み、それによって前記インプラントを下にある組織に固定する請求項20に記載のインプラント送達装置。
インプラントを担持するように構成された一時的フレームであって、該一時的フレームが、引っ込められた位置と、前記一時的フレームが所定の形状に広がって、前記インプラントの周辺部を前記所定の形状の当該一時的フレームの周辺部の形状に合わせる使用可能位置との間を選択的に移動することができ、前記インプラントが、前記引っ込められた位置にあって前記一時的フレームに担持されているときには弛緩した状態であり、前記使用可能位置にあって前記一時的フレームに担持されているときにはぴんと張っている一時的フレームと、
内腔を備えた固定用アームと、
前記固定用アームの前記内腔に配置された少なくとも1つの固定具と、
前記固定用アームの前記内腔に配置された固定具駆動装置であって、前記内腔から組織内へ遠位方向に前記固定具を駆動するように構成された固定具駆動装置と、を具備する医用装置。
前記固定具駆動装置が、前記内腔を介して軸方向に延び、前記固定具に回転力を伝えて、前記内腔から組織内へ遠位方向に前記固定具を駆動するように構成された駆動用シャフトをさらに具備する請求項1に記載のインプラント送達装置。
前記固定具駆動装置が、前記固定具に軸方向力を伝えて、前記内腔から組織内へ遠位方向に前記固定具を駆動するように構成された押し棒をさらに具備する請求項1に記載のインプラント送達装置。
前記押し棒が、外側にネジ山があり、前記固定具駆動装置が、前記外側にネジ山がある前記押し棒と係合するように構成された内側にネジ山がある押し棒の駆動装置をさらに具備し、
前記内側にネジ山がある押し棒の駆動装置の回転が、前記押し棒を遠位方向に押して軸方向力を前記固定具に伝えて、前記内腔から組織内へ遠位方向に前記固定具を駆動する請求項29に記載のインプラント送達装置。
前記フレームが、前記インプラントの周辺部に沿ってスライド可能に引っ込むことによって前記インプラントから取り外すように構成されている請求項1に記載のインプラント送達装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため操作が簡単で、1つの組織又は複数の組織の一方の側にだけアクセスすればよい閉鎖機構と閉鎖方法が必要とされている。さらに、場所を正確に特定できる信頼性のある閉鎖が必要とされている。
【0009】
さらに、組織の欠陥の中には、メッシュを埋め込まねばならないものがある(例えば何らかの心臓の欠陥や鼠径ヘルニア)。鼠径ヘルニアの例では、メッシュは、欠陥を通り抜けて腹膜と鼠径管から突起している腹腔の中身に対する障壁を作り出すことを目的としている。このようなヘルニアに対する既知の1つの治療法は、1つの係留具をメッシュ(例えば正方形のメッシュ)に付着させ、次いでメッシュをぴんと引っ張った後、第2の係留具をメッシュに付着させる操作を含んでいる。付着させてぴんと引っ張るこの一連の操作を、メッシュが欠陥の上にしっかりと固定されるまで繰り返す。この方法は、手術コストと時間がかかるが、メッシュが適切に、又は十分にぴんと張った状態にならないリスクがある。すると腹腔の中身が鼠径管を通って突起するのをメッシュが有効に阻止できない可能性がある。
【0010】
したがって、組織の欠陥を修復するためメッシュを迅速かつ信頼性よく固定できる(例えば複数の固定具を同時に適用できる)埋め込み機構と埋め込み方法も必要とされている。
【0011】
さらに、手術のコストを減らすとともに解剖学的に到達することの難しい場所にアクセスできる機構と方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態によると、医用装置は、インプラントを担持する一時的フレームを備えていて、その一時的フレームは、引っ込められた位置と使用可能位置の間を選択的に移動でき、インプラントは、フレームによって担持されて引っ込められた位置にあるときには弛緩していて、フレームによって担持されて使用可能位置にあるときにはぴんと張っている。
【0013】
インプラントは、メッシュ、グラフト、フィルムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態によると、インプラント送達装置は、装置本体と、インプラントと、装置本体の中を延びていてインプラントを担持するフレームを備えていて、そのフレームは、そのフレームがつぶれている引っ込められた位置と、そのフレームが広がっている伸長位置の間を選択的に移動できる。
【0015】
インプラントとしてメッシュが可能である。インプラントとしてグラフトが可能である。インプラントとしてフィルムが可能である。
【0016】
装置は、フレームが伸長位置にあるときにインプラントを患者の組織に固定する固定具駆動装置をさらに備えることができる。
【0017】
インプラントが組織に固定された後、フレームは、伸長位置から引っ込められた位置まで移動するときにインプラントから離れることができる。
【0018】
装置は、遠位開口部を有するチューブ状部分を備えることができる。
【0019】
チューブ状部分としてカテーテルが可能である。
【0020】
フレームは、引っ込められた位置から伸長位置まで移動するとき、チューブ状部分の遠位開口部を通って遠位方向に移動することができる。
【0021】
装置は、チューブ状部分を通って延びる複数の固定具駆動装置をさらに備えることができ、その複数の固定具駆動装置のそれぞれは、引っ込められた位置と伸長位置を有する。
【0022】
複数の固定具駆動装置が伸長位置にあるとき、フレームは、引っ込められた位置から伸長位置まで移動する際にその複数の固定具駆動装置に沿って滑ることができる。
【0023】
各固定具駆動装置の遠位部は、フレームが伸長位置にあるときにそのフレームを受け入れて保持する湾曲した座部を備えることができる。
【0024】
各固定具駆動装置は遠位開口部を備えることができ、その遠位開口部を通じてその各固定具駆動装置が固定具を駆動する。
【0025】
各固定具駆動装置の湾曲した座部は、固定具を駆動することによって固定具駆動装置の遠位開口部を通過させてフレームによって支持されたインプラントの中に入れることのできる位置にそのフレームを保持することができる。
【0026】
固定具駆動装置は、それぞれの固定具を同時に駆動して、フレームによってぴんと張った状態に保持されているインプラントの中に入れることができる。
【0027】
各固定具駆動装置の遠位端は、その固定具駆動装置が引っ込められた位置にあるときにはチューブ状部分の長軸に隣接して配置されていて、その固定具駆動装置が遠位方向に移動して伸長位置に到達するときにはチューブ状部分の長軸から径方向外側に延びているようにできる。
【0028】
フレームは形状記憶合金で構成することができる。フレームはニチノールで構成することができる。フレームはバネ鋼で構成することができる。
【0029】
本発明の実施形態によると、インプラント送達装置は、装置本体と、その装置本体の遠位端から延びている複数の固定具駆動装置と、インプラントと、そのインプラントを担持するフレームを備えていて、そのフレームは装置本体から伸長可能であって、そのフレームがつぶれている引っ込められた位置と、そのフレームが伸長している使用可能位置(展開位置)の間を、複数の固定具駆動装置に沿ってガイドされて滑ることができ、インプラントは、そのフレームがつぶれているときには弛緩していて、そのフレームが使用可能位置にあるときにはぴんと張っている。
【0030】
インプラントとしてメッシュが可能である。インプラントとしてグラフトが可能である。インプラントとしてフィルムが可能である。
【0031】
フレームが所望の使用可能位置にあるとき、固定具駆動装置が固定具を駆動してインプラントの中に入れ、そのことによってそのインプラントを下にある組織に固定する。
【0032】
本発明の実施形態によると、方法は、一時的フレームを使用可能な状態にしてインプラントをぴんと張った状態で支持するステップと、インプラントを組織に対して所定の位置に配置するステップと、インプラントを、そのインプラントが一時的フレームによってぴんと張った状態で支持されたまま、前記所定の位置で組織に固定するステップを含んでいる。
【0033】
インプラントは、メッシュ、グラフト、フィルムのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0034】
方法は、インプラントを固定した後に一時的フレームを引っ込めるステップをさらに含むことができる。
【0035】
フレームは形状記憶材料で構成することができる。形状記憶材料としてニチノールが可能である。
【0036】
固定ステップは、複数の固定具を同時に駆動してインプラントの中に入れる操作を含むことができる。
【0037】
複数の固定具をインプラントの周辺部に沿って同時に駆動することができる。
【0038】
本発明の実施形態によると、方法は、一時的フレームを用いてインプラントを支持するステップと、その一時的フレームと支持されたインプラントを、組織に対してある場所に配置するステップと、複数の固定具を、その固定具が前記フレームの除去を妨げないように前記インプラントを通じて組織の中に挿入することにより、そのインプラントをその組織に固定するステップを含んでいる。
【0039】
方法は、固定具を挿入した後に一時的フレームを除去する操作をさらに含むことができる。
【0040】
インプラントとしてメッシュが可能である。
【0041】
本発明の実施形態によると、外科用インプラント位置決め装置は、内部チャンバーと組織に孔を開ける鋭い先端部とを有する中空の針と、その針の内部チャンバーの中に配置できる外科用インプラントと、その外科用インプラントを用いて針を駆動して組織内の所定の位置に入れるアクチュエータを備えており、針は、外科用インプラントを組織の中に残したまま駆動された位置から引っ込めることができる。
【0042】
針は1つ以上のスリットを備えることができ、そのスリットによりその針の遠位端が広がることが可能になり、針を引っ込めるときインプラントが遠位端を通過できる。
【0043】
インプラントは、そのインプラントの遠位方向への移動に抵抗するフィラメントを有する遠位部を備えることができる。
【0044】
インプラントは、外側にネジ山のある近位部を備えることができる。
【0045】
装置は、内側にネジ山のある近位ヘッドと、近位ヘッドをインプラントの近位部に接続してその近位ヘッドをその近位部に対して回転させるヘッド駆動装置をさらに備えることができ、内側のネジ山と外側のネジ山の間の係合によって近位ヘッドがインプラントの長軸に沿って移動する。
【0046】
装置は、近位ヘッドと、その近位ヘッドをインプラントの近位部に接続してその近位ヘッドをそのインプラントの長軸に沿って移動させるヘッド駆動装置をさらに備えることができる。
【0047】
ヘッド駆動装置が近位ヘッドから離れた後、その近位ヘッドは軸方向の位置を維持することができる。
【0048】
装置はチューブ状ハウジングをさらに備えることができ、針がそのチューブ状ハウジングの中を通って延びている。
【0049】
チューブ状ハウジングとしてカテーテルが可能である。
【0050】
針として、チューブ状ハウジングの中を延びる複数の針のうちの1本が可能であり、インプラントは、針の中に配置できる対応する複数のインプラントのうちの1つである。
【0051】
装置は、埋め込み可能なプレートをさらに備えることができ、そのプレートの中を複数の針が延びている。
【0052】
装置は、複数の針に対応する複数の近位ヘッドと、その近位ヘッドのそれぞれを各インプラントの近位部に接続し、その接続された近位ヘッドを各インプラントの長軸に沿って遠位方向に移動させるヘッド駆動装置をさらに備えることができる。
【0053】
近位ヘッドの駆動によって前記プレートをインプラントに対して遠位方向に移動させることができる。
【0054】
装置は、針に沿って延びるプランジャをさらに備えることができ、針が引っ込められたときにインプラントがその針とともに引っ込められることをそのプランジャが阻止する。
【0055】
針は形状記憶材料で構成することができる。形状記憶材料としてニチノールが可能である。形状記憶材料としてバネ鋼が可能である。
【0056】
本発明の実施形態によると、カテーテルは遠位開口部を有するハウジングを備えている。カテーテルは、ハウジングに沿って延びる複数の固定用アームを備えていて、その固定用アームは、引っ込められた位置と、固定用アームが径方向に互いに離れている遠位方向に延びた位置の間を移動することができる。固定用アームは、固定具を駆動してその固定用アームの遠位開口部を通過させる。カテーテルは、曲げることのできるフレームと、そのフレームにカップルしていてそのフレームよって支持できるメッシュを備えている。フレームは、伸長した固定用アームに沿って、引っ込められた位置から、メッシュの周辺部が径方向に広がって固定用アームの遠位開口部を超える遠位方向に延びた位置まで移動することができる。そのため固定具を駆動してメッシュの中に入れることができる。
【0057】
フレームは、形状記憶金属(例えばニチノールやバネ付き鋼)から形成することができる。
【0058】
本発明の実施形態によると、フレーミング機構は、組織の欠陥の上でメッシュを引っ張ってぴんと張った状態にし、複数の固定具又は係留具を駆動してそのメッシュを通過させて組織の中に入れる。
【0059】
2つ以上(例えばすべて)の係留具を同時に、又は実質的に同時に駆動することができる。
【0060】
係留具は複数のセットで駆動することができ、係留具の各セットが、同時に、又は実質的に同時に駆動される。
【0061】
本発明の実施形態のさらに別の特徴と側面は、添付の図面を参照して以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1A】ヒトの心臓の右心房に挿入されたときのカテーテルを示している。
【
図1B】ヒトの心臓の右心房に挿入されたときのカテーテルを示している。
【
図1C】ヒトの心臓の右心房に挿入されたときのカテーテルを示している。
【
図2A】カテーテルの遠位端から固定用アームを伸長させる操作を順番に示している。
【
図2B】カテーテルの遠位端から固定用アームを伸長させる操作を順番に示している。
【
図2C】カテーテルの遠位端から固定用アームを伸長させる操作を順番に示している。
【
図3A】フレームとメッシュをカテーテルの遠位端から固定用アームの端部に向かう遠位位置に配備する操作を順番に示している。
【
図3B】フレームとメッシュをカテーテルの遠位端から固定用アームの端部に向かう遠位位置に配備する操作を順番に示している。
【
図3C】フレームとメッシュをカテーテルの遠位端から固定用アームの端部に向かう遠位位置に配備する操作を順番に示している。
【
図3D】フレームとメッシュをカテーテルの遠位端から固定用アームの端部に向かう遠位位置に配備する操作を順番に示している。
【
図3E】フレームとメッシュをカテーテルの遠位端から固定用アームの端部に向かう遠位位置に配備する操作を順番に示している。
【
図3F】フレームとメッシュをカテーテルの遠位端から固定用アームの端部に向かう遠位位置に配備する操作を順番に示している。
【
図4A】固定用アームのうちの一本の遠位端部に固定されたフレームを示している。
【
図4B】固定用アームのうちの一本の遠位端部に固定されたフレームを示している。
【
図5A】組織内の穴の上にメッシュを配置して固定した後、カテーテルを引っ込める操作を順番に示している。
【
図5B】組織内の穴の上にメッシュを配置して固定した後、カテーテルを引っ込める操作を順番に示している。
【
図5C】組織内の穴の上にメッシュを配置して固定した後、カテーテルを引っ込める操作を順番に示している。
【
図5D】組織内の穴の上にメッシュを配置して固定した後、カテーテルを引っ込める操作を順番に示している。
【
図5E】組織内の穴の上にメッシュを配置して固定した後、カテーテルを引っ込める操作を順番に示している。
【
図5F】組織内の穴の上にメッシュを配置して固定した後、カテーテルを引っ込める操作を順番に示している。
【
図6A】メッシュが固定されることになる組織の背面図を示している。
【
図6B】メッシュが固定されることになる組織の背面図を示している。
【
図7A】駆動機構からの第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図7B】駆動機構からの第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図7C】駆動機構からの第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図7D】駆動機構からの第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図7E】駆動機構からの第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図7F】駆動機構からの第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図8A】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図8B】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図8C】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図8D】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図8E】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図8F】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図9A】固定具を組織の中に打ち込む前後のその組織の断面図を示している。
【
図9B】固定具を組織の中に打ち込む前後のその組織の断面図を示している。
【
図10A】駆動機構から第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図10B】駆動機構から第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図10C】駆動機構から第1の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を順番に示している。
【
図11A】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を組織の中に打ち込む操作を順番に示している。
【
図11B】駆動機構を再度位置決めした後、第2の固定具を組織の中に打ち込む操作を順番に示している。
【
図12A】固定具を組織の中に打ち込む前後のその組織の断面図を示している。
【
図12B】固定具を組織の中に打ち込む前後のその組織の断面図を示している。
【
図14A】固定具を駆動して組織の中に入れる操作を示している。
【
図14B】固定具を駆動して組織の中に入れる操作を示している。
【
図14C】固定具を駆動して組織の中に入れる操作を示している。
【
図15A】第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を示している。
【
図15B】第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を示している。
【
図15C】第2の固定具を駆動して組織の中に入れる操作を示している。
【
図16A】埋め込み装置のインプラント搬送針又はスリーブを組織の中に挿入する操作を順番に示している。
【
図16B】埋め込み装置のインプラント搬送針又はスリーブを組織の中に挿入する操作を順番に示している。
【
図16C】埋め込み装置のインプラント搬送針又はスリーブを組織の中に挿入する操作を順番に示している。
【
図17A】スリーブを組織から引っ込める操作を順番に示すとともに、そのスリーブによって搬送されるインプラントを示している。
【
図17B】スリーブを組織から引っ込める操作を順番に示すとともに、そのスリーブによって搬送されるインプラントを示している。
【
図17C】スリーブを組織から引っ込める操作を順番に示すとともに、そのスリーブによって搬送されるインプラントを示している。
【
図17D】スリーブを組織から引っ込める操作を順番に示すとともに、そのスリーブによって搬送されるインプラントを示している。
【
図18A】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図18B】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図18C】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図18D】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図18E】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図18F】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図18G】以前に挿入したインプラント又は固定具にインプラント用のプレート又はワッシャーを取り付けて固定する操作を順番に示している。
【
図19A】組織の欠陥を修復するために埋め込み装置を使用する操作を順番に示している。
【
図19B】組織の欠陥を修復するために埋め込み装置を使用する操作を順番に示している。
【
図19C】組織の欠陥を修復するために埋め込み装置を使用する操作を順番に示している。
【
図19D】組織の欠陥を修復するために埋め込み装置を使用する操作を順番に示している。
【
図21A】駆動機構を備える外科用インプラントの図である。
【
図21B】駆動機構を備える外科用インプラントの図である。
【
図22】駆動機構を備える外科用インプラントの図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1A〜
図1Cは、ヒトの心臓900の右心房910に挿入されたときのカテーテル1000を示している。心臓900はヒトの心臓だが、ヒト又は他の動物(例えば哺乳動物)の適切な他の臓器にカテーテル1000でアクセスして手術できることを理解すべきである。カテーテル1000は、心臓900の1つ以上の壁部に例えばトロカールによって作った切り込み又は穴を通じて挿入することができる。カテーテル1000は、遠位端部1005に向かって曲がった部分又は湾曲した部分を有する。その部分により、カテーテル1000が心臓900の壁部の中に入る方向に対して遠位端部1005を横向きにすることができる。この点に関し、カテーテル1000は、例えばカテーテル1000の長さに沿って延びる1本以上のケーブル又はガイド・ワイヤによって操縦することができる。こうすることで、
図1A〜
図1Cに示してあるように、遠位端部1005を例えば組織の修復すべき部分905に対して実質的に垂直な方向な向きにすることができる。組織のこの部分905は、心房中隔910の組織弁であり、この組織弁によって血液が左心房と右心房の間の心房中隔910を通過することができる。例えば
図1A〜
図1Cに示した心臓900には、心房中隔欠損(ASD)がある。
【0064】
図2A〜
図2Cは、カテーテル1000の遠位端から固定用アーム又は固定用指状部1100を伸長させる操作を順番に示している。ASDその他の欠陥を修復するため、カテーテル1000は、遠位端部1105を有する複数の固定用アーム1100を使用可能な状態にする。5本の固定用アームを図示してあるが、任意の数の固定用アーム1100を用意できることを理解すべきである。
図2Aは、アーム1100を使用可能な状態にする前のカテーテル1000を示している。この構成では、カテーテル1000は身体を通過させて(例えば心臓900の中で)操作されるのが一般的である。これは、操作中に固定用アーム1100の遠位端部1105が患者の組織を捕獲したり損傷したりするのを防止するのに有効であろう。
【0065】
図2Bは、固定用アーム1100がカテーテル1000の遠位端から突起し始めるときの固定用アーム1100の端部1105を示している。この状態では、固定用アームは、カテーテル1000の長軸に平行又は実質的に平行である。固定用アーム1100は、
図2Bに示してあるようにカテーテル1000の遠位端から突起するため、(例えば実質的に固定された状態に保持できる)カテーテルに対して矢印1001で示した遠位方向に移動する。
【0066】
固定用アーム又は伸長アーム1100がカテーテル1000の遠位端から遠位方向外側に向かってさらに移動し続けると、その伸長アームは、カテーテル1000の遠位端部1005の長軸1006に対して径方向外側に向かって湾曲し始め、次いでカテーテル1000の遠位端部1005の長軸1006に対して平行又はほぼ平行な状態に戻っていく。したがって伸長アーム1100は、カテーテル1000の遠位端から遠位方向に離れていくにつれ、最初は径方向外側に湾曲し、次いで滑らかかつ連続的に曲がって平行又はほぼ平行な方向に戻る滑らかな曲率を有する。この点に関し、固定用アーム1100は、滑らかなS字形をしている。それぞれの固定用アーム1100について、“S”字状の輪郭線は、カテーテル1000の遠位端部1005の長軸1006を含む各平面内にある。
【0067】
固定用アーム又は枝状部材1100は、形状記憶合金(例えばニチノールやバネ付き鋼)で形成される。この点に関し、伸長アームはバネ力又は形状記憶によって例えば
図2Cに示した相対的に広がった状態になる。したがって固定用アーム1100が曲げられてカテーテル1000の中に引っ込められた状態になっているとき、固定用アームは実質的にカテーテル1000の長軸に沿って延びていて(例えば固定用アームは、カテーテル1000がまっすぐである場所ではまっすぐ、又は実質的にまっすぐであり)、しかも可撓性と適応性があるため、望むのであればカテーテル1000の中で可撓性を持つことができる。その後固定用アーム1100がカテーテル1000の端部から遠位方向に前進するにつれて、バネ又は形状記憶力によって所望の広がった状態になる。
【0068】
固定用アーム1100は、カテーテル1000の遠位端部1005の長軸1006に対して円周上に等間隔に配置されている。すなわち約72度互いに離れている(360度を5本の固定用アーム1100で割る)。しかし軸1006のまわりに適切な任意の規則的な角度間隔、又は不規則な角度間隔で配置してもよいことを認識すべきである。さらに、それぞれの固定用アーム1100は軸1006から同じ又は実質的に同じ間隔にされて同じ又は実質的に同じように湾曲しているが、1本以上の固定用アーム1100の曲率及び/又は間隔を他の固定用アーム1100の任意の1本以上とは変えてもよいことを認識すべきである。
【0069】
固定用アーム又はチューブ1100は中空であるため、例えばシャフト、インプラント、固定具、エレクトロニクス、センサー、駆動機構などをアーム1100の中に配置することができる。こうすることで、この明細書に記載してあるように例えば固定具をアーム1100から発射することができる。
【0070】
図2Cを参照すると、固定用アーム1100は十分に広がった状態にあり、この状態では、遠位端部1105はすべて、平行又はほぼ平行になって遠位方向に向かって長手方向に延びている。
【0071】
固定用アーム1100が
図2Cに示した十分に広がった状態になると、例えば形状記憶合金(例えばニチノールやバネ付き鋼)で形成された一時的グラフト/フレーム1200とメッシュ1300(例えばコラーゲン、合成メッシュ、それ以外の非浸透性組織インプラント材料)を例えば
図3A〜
図3Fに図示したようにして遠位方向に配備する。これらの図面は、フレーム1200とメッシュ1300をカテーテル1000の遠位端から固定用アーム1100の端部に向かう遠位位置に配備する様子を順番に示している。メッシュ1300として、例えば極薄のウシの心膜又は合成グラフトが可能である。フレーム1200は、そのフレーム1200がチューブ又はカテーテル1000の内部に配置されているときに実質的に平坦にされている(すなわちループ部1210によって囲まれる領域が最小である)ループ部1210を備えている。
図3Aと
図3Bに示してあるように、フレーム1200がカテーテル1000の遠位端を超えて遠位方向に延び始めると、ループ部1210は開いて広がり始め、より丸い形になる。そのときメッシュ1300は、ループ部1210の延びた部分に沿って解放可能に固定されている。
【0072】
図3Cと
図3Dは、メッシュ1300とループ部1210が遠位方向に移動し続けて径方向外側に広がり続けているときのメッシュ1300とループ部1210を示している。例えば
図3Dと
図3Eからわかるように、形状記憶ループ部1210が径方向外側に広がると、固定用アーム1100の曲線部と接触してその曲線部に沿って滑るため、ループ部1210は遠位方向に向かう。ループ部1210が遠位方向に移動するのに合わせ、ループ部1210を用いて連続的に形成されるフレーム1200の延長部1205を少しずつ外側に供給することができる。この遠位方向の供給により、フレームを遠位方向で外側に向けやすくなる。フレーム1200の形状記憶ループ部1210は、適切な任意の形状記憶機構(例えばバネ力、及び/又は熱、及び/又は電流の印加)によって開いた状態又は径方向外側を向いた状態にできる。
【0073】
図3Eは、ループ部1210が固定用アーム1100の遠位端に近づくときのループ部1210を示している。
図3Eに示した状態では、ループ部1210は、(その形状記憶機構によって)バネのようになって径方向に十分に広がった状態に向かい、ループ部1210が径方向にさらに広がらないよう拘束している固定用アーム1100に径方向外向きの力を及ぼす。この状態では、ループ部1210は、
図3Eに示してあるように周辺部に沿って不規則な曲線形又は波形を持つ。
【0074】
フレーム1200を遠位方向にさらに伸長させると、
図3F、
図4A、
図4Bに示してあるように、フレーム1200のループ部1210がそれぞれの固定用アーム1100の端部リップ又はエッジ1108を超えて遠位方向に進むことでループ部1210は径方向外側に広がり、それぞれの固定用アームの遠位端で湾曲した保持用指状部1110と係合することが可能になる。これは、ループ部1210にとって最も外側の位置である。この位置では、湾曲した指状部1110は、一部がループ部1210のワイヤのまわりに広がってループ部1210をその湾曲した指状部1110の中の固定位置に拘束する。それぞれの固定用アーム1100は2つの湾曲した指状部1110を備えているが、任意の数の湾曲した指状部1110を設けることができる(その中には、単一の湾曲した指状部1110が含まれる)。さらに、いくつかの実施形態によれば、固定用アーム1100のすべてに指状部1110が設けられているわけではないことを認識すべきである。
【0075】
フレーム1200のループ部1210が例えば
図3F、
図4A、
図4Bに示してあるように最も外側の位置にあるとき、ループ部1210に取り付けられているメッシュ1300はループ部1210によって径方向に引っ張られ、そのことによってメッシュ1300は広がった状態、又はぴんと張った状態になる。メッシュ1300は、十分に広がった状態では、ぴんと張っていて、平坦又は実質的に平坦である。なぜなら組織900の修復すべき特定の部分は平坦だからである。しかし組織の表面の輪郭が平坦でなかったり不規則だったりする場所では、固定用アーム1100の遠位端を、例えばメッシュ1300がぴんと張った状態を相変わらず維持しつつ、メッシュ1300が組織のその不規則な形状又は面に合うように配置することができる。これは、例えばそれぞれの固定用アーム1100に関する圧力フィードバック及び/又はビデオ/画像データや組織形状データを利用した例えばコンピュータ制御によって実現できる。
【0076】
固定用アーム1100とリング又はループ部1210の相対的な形状は、ループ部1210が広がって固定用アーム1100の遠位端においてそれぞれの指状部1110と確実に遭遇できるように選択すべきである。さもないとループ部1210が指状部1110の中にうまく収まらない可能性がある。さらに、ループ部1210とメッシュ1300の形状は、さまざまな用途にとって望ましい適切な任意の形状(例えば楕円形、多角形、それ以外の不規則な形)にしてもよいことを理解すべきである。しかし上に指摘したように、ループ部1210の形状と固定用アーム1100の位置決めは、固定用アーム1100の遠位端においてループ部1210が指状部1110の中にうまく収まるように決めねばならない。
【0077】
例えば
図4Aと
図4Bからわかるように、フレーム1200は、固定用アーム1100のうちの一本の遠位端部1105において湾曲した指状部1110のうちの2つの中に固定される。この点に関し、ループ部1210のワイヤの曲率は、湾曲した指状部1110でループ部1210と接触する部分の曲率に非常に近いか同じにすることができる。しかし適切な任意の形状にしてループ部1210を拘束してもよいことを理解すべきである。しかし指状部1110の形状は、ループ部1210が固定用アーム1100の遠位端から遠位方向に離れるのを阻止又は防止するため、ループ部1210に対していくらか近位方向を向いた力を及ぼすべきである。
【0078】
さらに、フレーム1200のループ部1210が最も外側にある、すなわち十分に広がった状態にあるとき、フレーム1200の延長部1205はループ部1210から連続的に延びていて、カテーテルの中に入っている。延長部1205は、カテーテル1000の中を適切な任意の長さにわたって延びることができる。例えばカテーテルの全長にわたって延びて、フレーム1200を遠位方向に前進させる機構及び/又はフレーム1200の形状記憶の挙動を作動させる機構に到達していてもよい。
【0079】
図5A〜
図5Fは、心臓900の穴930の上にメッシュ1300を配置して固定した後、カテーテル1000を引っ込める操作を順番に示している。穴930は、上記のASDの開口部や、例えば開存卵円孔(PFO)又は鼠径ヘルニアの開口部を表わすことができる。さらに、穴930として、メッシュを当てる必要がある任意の臓器の適切な任意の部分が可能である。例えば組織の一部が弱くなっているが貫通している穴は持たない場合、メッシュを当てるとその弱くなった領域が強化される。
【0080】
メッシュ1300は、適切な任意の材料(例えばコラーゲンなどの生体適合性材料や合成材料)にすることができる。例えばメッシュ1300の材料として、生体吸収性材料を選択することができる。そのため時間が経過すると(例えば患者の組織がメッシュ1300の上に成長した後は)メッシュは患者の体内に完全に吸収される。例えばメッシュはポリグリコール酸(PGA)又はPGAコポリマーで形成することができる。メッシュ1300は、ポリエステル及び/又はナイロン及び/又は他のポリマーで形成することもできる。
【0081】
図5Aと
図5Bに順番に示してあるように、カテーテルは、固定用アーム1100、フレーム1200、メッシュ1300とともに移動し、メッシュ1300が完全に穴930の上に載った状態にされる。この状態では、メッシュ1300は固定用アーム1100によって穴930の上に平坦な状態及び/又はぴんと張った状態で心臓900の周囲の組織又はそれ以外の組織に接して保持される。
図5Bに示した状態において、固定具1400の第1のセットが同時に適用され、各固定具が各固定用アーム1100の遠位端から発射される。
【0082】
フレーム1200が指状部1110の中にうまく収容されると、フレーム1200のループ部1210を、固定具が通過する固定用アーム1100のアパーチャを超えて径方向に配置することが可能になる。すなわち保持用指状部1110が固定用アーム1100の各遠位開口部を向ける方向は、その開口部を通って発射又は駆動された固定具がメッシュ1300にぶつかり、リング又はループ1210にはぶつからない方向である。したがって固定具は、ワイヤ製フレーム1200に邪魔されることなく、ぴんと張ったメッシュ1300に確実に侵入する。
【0083】
固定具1400の第1のセットを発射した後、カテーテル1000の遠位端1005の長軸1006のまわりに固定用アーム1100を(
図5Cに示した)矢印1011の向きに回転させることで、それぞれの固定用アーム1100を、以前に適用した固定具1400の各ペアの間に位置させ、次いで固定具1400の第2のセットを同時に組織の中に発射する。固定具1400の第2のセットを適用する前に、固定具1400の隣り合った各ペアの間の角度の半分(すなわち約36度。これは、5本の固定用アーム1100の間の約72度の半分である)だけ固定用アーム1100を回転又は実質的に回転させる。しかし任意の回転量にしてもよいこと、又は固定用アーム1100の遠位端同士が十分に近い間隔である場合には、回転させた後に固定具1400の第2のセットを適用できることを理解すべきである。
【0084】
固定具1400の第1のセットを同時に発射し、固定具1400の第2のセットを同時に発射することは、例えば単一の固定具をメッシュの中に配置した後、メッシュをぴんと引っ張りって追加の固定具を駆動することを繰り返す操作を含む手続きと比べると、時間の節約と合併症の可能性を減らす上で有利である可能性がある。しかし本発明の実施形態の駆動機構により、例えばメッシュ1300のまわりに順番に発射すること、及び/又は発射を任意の組み合わせ又は順番にすることといった柔軟性が可能になることを理解すべきである。
【0085】
固定用アーム1100の回転はカテーテル1000とメッシュ1300の両方に対して起こるが、カテーテルがメッシュ1300に対して固定用アーム1100とともに回転する構成にしてもよいことを理解すべきである。さらに、
図5Bに示した状態から
図5Cに示した状態への回転は反時計回りだが、時計回りの回転にしてもよいことを理解すべきである。さらに、例えば固定具のそれぞれの位置の間の角度が、固定具1400の隣り合った各ペア間の角度を固定具1400のセット数で割った値に実質的に等しいかほぼ等しい場合には、3セット以上の固定具1400を適用することができる。このようにすると、複数の実質的に等間隔になった固定具1400を順番にセットで適用することができる。
【0086】
固定具1400を用いてメッシュ1300を十分に固定した後、
図5Dと
図5Eに順番に示してあるようにフレーム1200を引っ込めることができる。フレーム1200は、完全に引っ込められて例えばカテーテル1000の中に入るまで、ループ部1210の周囲に沿ってと延長部1205に沿って矢印1012で示した時計回りの方向に引っ張られることがわかる。フレーム1200は、例えばメッシュ1300の周囲のループを通じてメッシュ1300に取り付けることができる。そのためフレーム1200を引っ込めるとそのループから引っ張られ、そのことによってフレーム1200とメッシュ1300の間の接続が切れる。
【0087】
フレーム1200が十分に引っ込められてメッシュ1300から離れると、
図5Fに示してあるように、カテーテル1000と固定用アーム1100を近位方向に引っ張り、固定具又はインプラント1400とその下にある心臓900の組織の間の係合を通じて穴930の上にメッシュ1300が取り付けられている手術部位から離すことができる。
【0088】
図6Aと
図6Bは、インプラント又は固定具1400によってメッシュ1300を固定した組織900の背面図を示している。固定具1400が組織900の裏面を通って侵入したことがわかる。しかし固定具1400が十分な量の組織と係合してその固定具1400を固定された状態に維持するのであれば、組織に完全に侵入する必要はないことを理解すべきである。
【0089】
図7A〜
図7Fは、第1の固定具1400を発射又は駆動のための装置又は機構1500から発射して組織900(例えば心臓900)の中に入れる操作を順番に示している。この発射機構1500は、固定用アーム1150のスリーブ1170の内部を軸方向に滑ることのできる発射ピン1510を備えている。スリーブ1170は、そのスリーブ1170の残部に対して位置が固定されていて固定具を駆動するのに適した特徴(例えば固定具を収容する穴と、遠位壁部1175と、カム又は傾斜部1180)を備えている。しかしこれらの特徴のうちの1つ以上がスリーブ1170の他の部分に対して移動可能になっていてもよいことを認識すべきである。
【0090】
固定用アーム1150は、固定用アーム1100と特徴を共有しているが、湾曲した指状部1110がない点が異なっている。したがって固定具1400を固定用アーム1150から駆動/発射するための上記の機構は、固定用アーム1100の場合と実質的に同じである。さらに、この固定具駆動機構は、異なる構成で使用すること、例えばカテーテル1000と同様にカテーテルとして操作できる単一の固定用アーム1150を備える構成で使用することができる。
【0091】
発射ピン1510は、バネ1520の近位端に取り付けられていてその近位端と係合するヘッド1515を備えている。バネ1520の遠位端は、スリーブ1170の遠位壁部1175と係合した状態でその遠位壁部に取り付けられている。遠位壁部1175はアパーチャを備えていて、
図7Aに示した位置にあるときに遠位発射部1525が延びてそのアパーチャを通過する。
【0092】
ループの形状になった第1のフック要素1530が、発射ピン1510のヘッドから近位方向に延びている。例えば
図7Aと
図7Bに示してあるように、第1のフック要素1530は、トリガー要素1540の第2のフック要素1535に解放可能に係合している。トリガー要素1540は、発射用のシャフト又はケーブル1545に接続されている。発射用ケーブル1545は、可撓性があってもよいし、堅固でもよいし、可撓性のある部分と堅固な部分の組み合わせでもよい。トリガー要素1540は、ピボット式接続部1550の位置で発射用ケーブル1545に回転可能に取り付けられている。シャフト又はケーブル1545の遠位端は、ピボット式接続部1550の両側を支持するUリンクを備えている。
【0093】
図7Aに示した状態では、発射ピン1510とバネ1520は待機状態にある。すなわちバネ1520は、軸方向の圧縮力も引っ張り力もまったく受けていないか、実質的にほとんど受けていない。発射用ケーブル1545によって発射ピン1510が第1のフック要素1530と第2のフック要素1535の間の係合を通じて(
図7Bに矢印1152で示した)近位方向に引っ張られると、バネ1520は引っ張られて軸方向に延びるため、張力バネとして作用して発射ピン1510に軸方向で遠位方向に向かうバネ力を加える。しかし
図7Aに示した初期位置においてバネをすでにいくらか張力を受けた状態にできること、すなわち発射ピン1510の待機状態を
図7Aに示した初期位置よりも遠位にできることを理解すべきである。
【0094】
図7Cと
図7Dに示してあるように、発射ピン1510は、トリガー要素1540の近位部(すなわちピボット式接続部1550に対して近位側の部分)が、スリーブ1170に対して軸方向に固定されるか実質的に固定されたカム又は傾斜部1180と接触してその部分に沿って滑るようになるまで、近位方向にさらに引っ張られる(その結果としてバネ1520はさらに引き伸ばされ、発射ピン1510に遠位方向を向いたより大きな軸方向力を及ぼす)。すると
図7Dに示してあるように、第2のフック要素1535が軸回転して第1のフック要素1530から離れるまでトリガー要素1540がピボット式接続部1550のまわりを回転し、発射ピン1510を解放する。そのため発射ピン1510は、バネ1520の中にたまった張力(すなわち蓄えられたエネルギーの解放)が原因で
図7Eに矢印1151で示した遠位方向に素早く前進し、
図7Eに示した遠位方向に十分に伸長した位置に到達する。
【0095】
発射ピン1510が
図7Dの十分に引っ込められた位置と
図7Eの十分に伸長した位置の間を移動するとき、発射ピン1510の発射部1525の遠位端は、インプラント又は固定具1400の最も近位側にある近位面又は近位ヘッド1405にぶつかって運動量を与える。最も近位側の固定具1400とその遠位側に隣り合っている固定具1400は軸方向につながっている(すなわち近位固定具1400の遠位部又は遠位面が、遠位固定具1400の近位部又は近位面と接触している)ため、力と運動量は遠位固定具1400にも与えられ、そのことにより、例えば
図7Eに示してあるように、遠位固定具1400は固定用アーム1150の遠位端から外側に向けて発射される。発射された遠位固定具1400の運動量によってその遠位固定具1400は組織900の中に入る。固定具1400は素早く発射されるため、上記の固定具100、200、300、500、700と多くの特徴を共有する固定具1400は、組織900に孔を開けて内部まで十分に延びる。さもないと固定具1400の先端部が組織を遠位方向に押すだけで十分に遠位方向に侵入しない可能性がある。
【0096】
バネ1520のサイズ、バネ定数、移動距離と、発射ピン及び固定具1400の相対質量は、発射速度が最適になるように選択することができる。発射ピンが近位方向に移動するときバネ1520は発射ピンに張力を及ぼすが、バネ1520は、近位方向に移動するときには圧縮され、発射ピンが待機位置を超えて遠位方向に移動するときには伸長できるようにしてもよいことを理解すべきである。さらに、2つ以上のバネを設け、そのうちの1つ以上を引っ張られた状態にし、他のバネを圧縮された状態にすることができる。
【0097】
図7Fに示してあるように、発射ピン1510とバネ1520は、近位方向に移動して待機位置に戻っている。この点に関し、固定具1400の発射は、パチンコ台の発射機構といくらか似ている。発射ピン1510は十分に引っ込められた位置から十分に伸長した位置まで移動するため、待機位置を通過し、そのことによって圧縮状態に入ることに注意されたい。発射ピン1510を十分に伸長した位置から
図7Fに示した待機位置に向けて戻すのは、バネ1520のこの圧縮力である。
【0098】
遠位インプラント又は遠位固定具1400が発射されている間に、近位固定具1400は、遠位固定具1400が発射される前に位置していた位置に移動する。遠位固定具を適切な任意の機構(例えば摩擦や解放可能な発射機構)によって発射している間は近位固定具1400が固定用アーム1150の遠位端から出ないようにすることができる。例えば近位固定具1400を発射させるため、スリーブ1170は、発射機構1500に付随するあらゆる部品(例えばスリーブ1170の遠位壁部1175とカム又は傾斜部1180、バネ1520、発射ピン1510、フック要素1530、トリガー要素1540、フック要素1545)とともに固定具1400のほぼ全長に沿って遠位方向に移動する。
【0099】
図8A〜
図8Fは、駆動機構の再位置決めと、第2のインプラント又は固定具1400を発射して組織の中に入れる操作を順番に示している。スリーブ1170と発射機構1500に付随する部品の遠位方向への移動を
図8Aと
図8Bに順番に示してある。
図8Aと
図8Bに示したそれぞれの初期位置において、発射ピン1510の遠位部1525が近位固定具1400の近位ヘッド1405に直接接触していることに注意されたい。しかし発射ピン1510と近位固定具1400は、初期位置で互いに離れていてもよいことを理解すべきである。そのような構成では、発射中の発射ピン1510の前向きすなわち遠位方向の運動量によって発射ピン1510は初期位置を超えて遠位方向に移動し、近位固定具1400と接触することになろう。
【0100】
スリーブ1170と発射機構の他の部品が固定用アーム1150に対して遠位方向に移動することに加え、トリガー要素1540がスリーブ1170に対して遠位方向に移動するため、例えば
図8Aに示してあるように第2のフック要素1535が再び第1のフック要素1530と解放可能に係合する。その目的で第2のフック要素1535は、その第2のフック要素1535と第1のフック要素1530が一緒になって移動するとき第1のフック要素1530と接触してその第1のフック要素1530に沿って滑る傾斜した遠位面を備えている。この接触と滑りによってトリガー要素1540がピボット式接続部1550のまわりを回転することで、第1のフック要素1530が第2のフック要素1535から離れることが可能になる。トリガー要素1540の回転位置は、
図7Fに示したトリガー要素1540の回転位置と同じかほぼ同じである。第2のフック要素1535を第1のフック要素1530のほうに(及び/又はその逆)さらに移動させると、トリガー要素1540は回転して例えば
図8Aに示した位置に戻ることができる。そのとき第1のフック要素1530は第2のフック要素1535によって捕獲されるか第2のフック要素1535と係合し、再び解放可能な状態で引っ掛かるかロックされた構成になる。トリガー要素1540は、例えばバネの力によって例えば
図8Aに示した回転位置に向かうことができる。
【0101】
第2の固定具又は近位固定具1400を発射する前に、固定用アーム1150を例えば
図8Cに示したように再度位置決めする。この再位置決めは、例えば
図5Bと
図5Cに順番に示した再位置決めに対応するであろう。
【0102】
次に、近位インプラント又は近位固定具1400は、遠位固定具1400に関して上に説明したのと同様にして発射される。特に
図8Cと
図8Dに順番に示してあるように、発射ピン1510は、発射用ケーブル1545により、第1のフック要素1530と第2のフック要素1535の間の係合を通じて矢印1152で示した近位方向に引っ張られる。したがってバネ1520は引っ張られて軸方向に引き伸ばされるため、張力バネとして機能し、発射ピン1510に軸に沿って遠位方向に向かうバネ力を及ぼす。
図8Dに示してあるように、発射ピン1510を近位方向に引っ張ってトリガー要素1540の近位部(すなわちピボット式接続部1550に近い部分)をカム又は傾斜部1180と接触させ、さらにそのカム又は傾斜部1180に沿って滑らせる。発射ピン1510をさらに近位方向に引っ張るとトリガー要素1540がピボット式接続部1550のまわりを回転することで、第2のフック要素1535が軸回転して第1のフック要素1530から離れ、発射ピン1510が解放される。そのため発射ピン1510は、バネ1520の中に蓄えられた張力によって
図8Eに矢印1151で示した遠位方向に再び迅速に前進し、
図8Eに示した十分に遠位方向に伸長した位置に到達する。上に指摘したように、カム又は傾斜部1180はスリーブ1170に対して軸方向に固定又は実質的に固定されているため、トリガー前にバネが引っ張られる距離は実質的に一定であり、そのことによってチューブと駆動部品の軸方向の位置に関係なく一定のバネ力が提供される。しかしバネが引っ張られる距離が変化する構成にしてもよいことを理解すべきである。
【0103】
発射ピン1510が、十分に引っ込められた位置から
図8Eの十分に伸長した位置に移動するとき、発射ピン1510の遠位端又は発射部1525は、近位固定具1400の近位面又は近位ヘッド1405にぶつかって運動量を与える。近位固定具1400に与えられる力と運動量により、近位固定具1400は、例えば
図8Fに示してあるように固定用アーム1150の遠位端から外側に向かって発射される。発射された近位固定具1400の運動量によって近位固定具1400は組織900の中に入る。遠位固定具1400の発射と同様、近位固定具1400は迅速に放出されるため、近位固定具1400が組織900を押すだけで遠位方向に十分に侵入しないことはなく、組織900に孔を開けて十分に中に入ることが保証される。
【0104】
固定具1400の近位ヘッド1405は、発射ピン1510の遠位部1525と合致する凹部1410を備えている(例えば
図8Fに図示)。この点に関し、凹部1410は、相補的な形状(例えば丸くなった形状、及び/又は多角形、及び/又は同様のサイズ)にすることができる。凹部は、ぶつかるときに発射ピン1510の遠位部1525が径方向で適切な位置にあることを維持するとともに、近位ヘッド1405の近位面に沿ってそれる可能性を小さくするのに役立つ。こうすることで、運動量と力が発射ピン1510からインプラント又は固定具1400に適切に伝わることが保証される。さらに、凹部1410は、インプラント又は固定具1400の遠位端部1415(例えば
図9Aと
図9Bに図示)と相補的な形状(例えば丸くなった形状、及び/又は多角形、及び/又は同様のサイズ)にすることができる。したがって2つ以上の固定具1400が例えば
図7Aに示したように端部同士を突き合わせて配置されるとき、近位固定具の遠位端部1415は隣の遠位固定具1400の凹部1410と係合して嵌まり、以下同様になる。さらに、形状は、2つ以上の隣り合った固定具1400を互いに固定することで、各固定具1400が隣りの固定具1400に対して回転することを阻止するか回転範囲を制限するように選択できる。
【0105】
図9Aと
図9Bは、インプラント又は固定具1400を組織900の中に発射する前と後の組織900の断面を示している。固定具1400の遠位端部1415は、上に固定具100、200、300、500、700に関して説明したように鋭く(すなわち針様に)なっている。そのためインプラント又は固定具1400が最初に組織に孔を開けるときに組織900の中に侵入しやすく、その組織の中を前進し続ける。固定具1400は、例えば固定具100、200のフィラメント115、215と同様に機能する複数の歯1420を周辺部に備えている。これについては以下により詳しく説明する。この点に関し、それぞれの歯1420の遠位面は近位方向に向かって傾斜しているため、固定具1400が組織900の中を遠位方向に前進するとき、歯1420は隣接している組織900に沿って遠位方向に移動又は滑動しやすい。しかし近位面は平坦である。あるいは近位面も近位傾斜面を持っている。こうすることで、固定具が近位方向に移動するとき、歯1420の径方向外側部分が隣接している組織900を捕捉するかその中に食い込みやすくすることができる。したがって歯1420は、フィラメント115、215と同様、固定具1400を挿入された遠位位置に固定する機能を持つ。これについては以下により詳しく説明する。歯1420は一定の直径を持つが、異なる直径の歯1420(例えば遠位方向及び/又は近位方向に向かってテーパ状になった歯1420のセット)を設けてもよいことを理解すべきである。さらに、歯1420は丸い必要はなく、適切な任意の断面形状にすることができる。
【0106】
過剰な挿入を阻止又は防止するため、ヘッド部1405の遠位面も平坦又は実質的に平坦にしてヘッド部1405が組織900の中に侵入するときに抵抗を受けるようにする。ヘッド部1405には、遠位方向に向かって傾斜した遠位面、すなわち凹形遠位面を設けることができる。この遠位面により、組織900の中へのヘッド部1405の挿入及び/又は侵入にさらに抵抗することができる。
【0107】
図9Aと
図9Bは、組織900に完全に侵入する、すなわち組織900の背面に侵入する固定具1400を示しているが、固定具1400は、組織の一部を貫通するほど延びていなくてもよいことを認識すべきである。さらに、
図7A〜
図9Bの駆動又は発射するための装置又は機構では、上記のインプラント又は固定具100、200、300、500、700、又は適切な他の任意のインプラント又は固定具を利用できることを理解すべきである。
【0108】
所望の固定具1400をすべて駆動した後、固定用アーム1150を挿入部位から引っ込めることができる。
【0109】
図10A〜
図10Cは、第1のインプラント又は固定具1600を駆動機構1700から駆動して組織900の中に入れる操作を順番に示している。駆動機構1700は、固定用アーム1150の中に配置されている。この点に関し、駆動機構1700は、ある固定用アーム1150に関して上に説明した駆動機構1500と取り替えることができるため、1つの医用装置が多機能になる。
【0110】
図10Aに示してあるように、固定用アーム1150を操作して組織900の近くのある場所まで来させる。その場所は、端部同士を突き合わせた2つの固定具1600のうちの遠位インプラント又は遠位固定具1600を駆動することになる場所である。遠位固定具1600を駆動する前は、遠位先端部1615の先端部が
図10Aに示した位置で組織900と接触していてもいなくてもよい。同じことが、固定具100、200、300、500、700、1400、又はこの明細書に記載した他の任意のインプラント又は固定具を駆動するための上記の構成に当てはまる。固定用アーム1150を
図10Aに示した位置にした後、遠位固定具1600を駆動して組織900の中に入れる。
【0111】
固定具1600を駆動して組織900の中に入れるため、駆動機構1700は、固定用アーム1150の長さに沿って軸方向に延びる駆動用シャフト1710を備えている。駆動用シャフト1710は、近位に位置するアクチュエータ(例えば手で保持する装置の電動モータ)からの回転力を固定具1600に伝える一方で、固定具1600が固定用アーム1150の長軸に沿って前進するときに遠位方向に進んでもいく。したがって駆動用シャフト1710は、固定具1600とともに矢印1151で示した遠位方向に同時に移動し、固定用アーム1150と駆動用シャフト1710の長軸のまわりを回転する。回転方向は矢印1153で示してある。固定具1600を駆動するには、それらの固定具を時計回り又は反時計回りに回転させること、しかも異なる固定具1600が同じシステムの中で異なるそれぞれの方向に回転する必要があることを理解すべきである。
【0112】
遠位インプラント又は遠位固定具1600が回転して遠位方向に前進するにつれ、例えば
図10Bに示してあるように先端部が最初に組織に接触してその組織に孔を開け、次いで外側のネジ山1620が組織と係合する。遠位方向の前進速度と回転速度は、例えばネジ山1620のサイズとピッチに対応する。ネジ山1620が組織と係合すると、ネジ山1620がさらに回転することで、組織900を遠位方向に押すことを阻止又は防止しながら固定具1600を引っ張ってその固定具が組織900を通過するのを助ける。
【0113】
駆動用シャフト1710からの回転と回転力を近位インプラント又は近位固定具1600に伝えるため、近位ヘッド1605は、駆動用シャフト1710の遠位端部又は駆動用ヘッド1715の断面形状に合っていて駆動用シャフト1710に対する近位固定具1600の回転を阻止又は実質的に阻止する凹部1610を備えている。したがって駆動用シャフト1710の駆動用ヘッド1715を凹部1610に挿入すると、近位固定具1600が回転するための駆動インターフェイスが提供される。同様に、1つの固定具1600から隣の固定具1600に回転と回転力を伝えるため、固定具1600は、やはり凹部1610に合った形状になっていて回転を阻止又は実質的に阻止する遠位端部1615を備えている。したがって
図10A〜
図10Cに示した構成では、駆動用シャフト1710は近位固定具1600の凹部1610と係合し、近位固定具の遠位端部1615は遠位固定具1600の凹部1610と係合することで、駆動用シャフト1710からの回転と回転力を近位固定具1600と遠位固定具1600の両方に伝える。
【0114】
さらに、駆動用ヘッド1715が近位固定具1600の凹部1610と係合し、近位固定具の遠位端部1615が遠位固定具1600の凹部1610と係合することで遠位駆動インターフェイスも提供され、そのことによって駆動用シャフト1710が遠位方向に移動すると近位固定具1600と遠位固定具1600の両方が遠位方向に移動する。
【0115】
凹部1610、遠位端部1615、駆動ヘッド1715はすべて、対応する長方形の断面を有するが、他の適切な係合形状又は係合機構を用意してもよいことを理解すべきである。
【0116】
図10Cは、遠位インプラント又は遠位固定具1600が十分に挿入された位置を示している。この段階で固定用アーム1150は近位方向に移動し、(固定用アーム1150にカップルしたままの)近位固定具1600の遠位端部1615を遠位固定具1600の凹部1610から離す。次に、
図11Aに示してあるように固定用アーム1150の再位置決めを行なって第2の固定位置にする。この再位置決めは、例えば
図5Bと
図5Cに順番に示した再位置決めに対応するであろう。
【0117】
図11Bに示してあるように、次に、遠位固定具1600に関して上に説明したのと同様にして近位固定具1600を駆動する。しかし近位固定具1600の駆動は、駆動用シャフト1710が近位固定具1600を直接駆動し(すなわち直接回転させて遠位方向に並進させ)、中間の固定具1600を通じた回転の伝達と遠位方向の並進はないという点で、遠位固定具1600の駆動とは異なっている。
【0118】
図12Aと
図12Bは、固定具1600を組織900の中に発射する前と後の組織900の断面を示している。固定具1600の遠位端部1615は、上に固定具100、200、300、500、700、1400に関して説明したように鋭く(すなわち針様に)なっている。そのため固定具1600が最初に組織に孔を開けるときに組織900の中に侵入しやすく、その組織の中を前進し続ける。上に指摘したように、固定具1600は、その固定具1600が組織900の中に侵入するのを助けるネジ山1620を備えている。さらに、ネジ山1620は、固定具1600を、挿入された遠位位置に固定する機能を有する。さらに、固定具1600には逆ネジ山を設け、固定具1600を設置したときの方向とは逆方向の回転が原因で固定具1600が戻るのを阻止しやすくすることができる。ネジ山1620は一定の直径とピッチを持っているが、一定でない直径とピッチを持つネジ山1620(例えば遠位方向/近位方向に向かってテーパ状になったネジ山1620)を設けてもよいことを理解すべきである。
【0119】
過剰な挿入を阻止又は防止するため、ヘッド部1605の遠位面を平坦又は実質的に平坦にしてヘッド部1605が組織900の中に侵入するときに抵抗を受けるようにする。ヘッド部1605には、遠位方向に向かって傾斜した遠位面、すなわち凹形遠位面を設けることができる。この遠位面により、組織900の中へのヘッド部1605の挿入及び/又は侵入にさらに抵抗することができる。
【0120】
図12Aと
図12Bは、組織900に完全に侵入する、すなわち組織900の背面に侵入する固定具1600を示しているが、固定具1600は、組織の一部を貫通するほど延びていなくてもよいことを認識すべきである。
【0121】
所望の固定具1600をすべて駆動した後、固定用アーム1150を手術部位から引っ込めることができる。
【0122】
図7A〜
図12Bに示した駆動装置は、
図21A〜
図22に関してあとで説明する駆動装置やこの明細書に記載する他の任意の駆動装置と同様、インプラントを駆動して一方の側だけから組織の中に入れることができるため、組織の反対側にアクセスする必要がない。こうすると手術が簡単になり、例えば手術者のエラーや、ツールを操作して組織の反対の第2の側にアクセスすることで生じる可能性のある他の合併症のリスクを最小にするのに役立つ可能性がある。
図7A〜
図9Bの駆動装置を参照すると、組織の第2の側にアクセスするツールの必要性は、インプラント1400に十分な速度と運動量を与えるとともに、尖った針様の先端部と、インプラント1400のテーパ状前部を組み合わせることによってなくなる。インプラントは、50m/秒よりも大きな速度で駆動することが好ましく、50〜350m/秒の範囲で駆動することがより好ましく、350m/秒で駆動することが最も好ましい。しかしインプラントは、組織に孔を開けるのに十分な適切な任意の速度で駆動してよいことを理解すべきである。
【0123】
図10A〜
図12Bの駆動装置を参照すると、組織の第2の側にアクセスするツールの必要性は、最初にインプラント1600の尖った針様の先端部を用いて組織に孔を開けた後、インプラント1600のネジ山1620を組織と係合させ、インプラント1600を遠位方向に前進させているときにネジ山1620が回転することによってなくなる。
【0124】
例えば
図7A〜
図12Bに示した駆動装置又は駆動機構は2つのインプラント又は固定具1400、1600を発射する構成だが、駆動機構は適切な任意の数のインプラント1400、1600(その中には、3つ以上のインプラント1400、1600、又は単一のインプラント1400、1600が含まれる)を発射する構成にできることを理解すべきである。
【0125】
さらに、この明細書に記載した駆動機構は、適切な任意の方法で作動させることができる。例えば電気機械的作動法及び/又は手でパワーを与える作動法などがある。
【0126】
固定具1400、1600は、固定具100、200、300、500、700と同様、例えば個々の手術に応じて患者の体内に吸収されるように、又は吸収されないようにすることができる。
【0127】
図13Aは、例えば
図3Aに示したような固定用アーム1100のうちの1つを示しており、この固定用アーム1100は湾曲した指状部1100を備えている。
図13Bは、
図13Aの固定用アーム1100の断面図である。
図13Bに示してあるように、固定用アーム1100のハウジングは、インプラント又は固定具100を収容している。ハウジングは
図20にも示してあり、
図20に関連してより詳しく説明する。
【0128】
固定用アーム1100をやはり断面図で示した
図14Aと
図14Bからわかるように、固定用アーム1100は、2つのインプラント又は固定具100を収容している。
図14Aと
図14Bは、遠位固定具100を駆動して組織900の中に入れる操作を順番に示している。
図14Aを参照すると、固定用アーム1100の遠位端は、組織900と接触する位置、又は組織900に近い位置にある。この位置では、遠位固定具100の遠位先端部110は、組織900と接触するか、組織900の近くにある。
【0129】
固定具1100を駆動して組織900の中に入れるため、駆動機構1900は、遠位ヘッド1905に接続されたネジ山付き押し棒1905を備えている。押し棒1905が、例えば内側にネジ山のある駆動装置を外側にネジ山のある押し棒1905に対して回転させることによって遠位方向に押されると、遠位ヘッド1905も遠位方向に押される。遠位ヘッド1910と近位固定具100の近位ヘッド125の間の接触によって近位固定具100も遠位方向に押される。さらに、近位固定具100の先端部110の領域にある遠位部は、遠位固定具100の近位ヘッド125と接触する。この接触によって近位固定具100が遠位固定具100を遠位方向に押す遠位方向の運動が起こる。そのため遠位ヘッド1910が遠位方向に移動することによって近位固定具100と遠位固定具100の両方が押される。このようにして、
図14Bに示してあるように、遠位固定具100が駆動されて組織900の中に入る。
【0130】
押し棒1905はネジ山付きシリンダだが、ネジ山なしの押し棒及び/又は非円形の押し棒にしてもよいことを認識すべきである。さらに、押し棒は適切な任意の機構によって遠位方向に作動させてもよい。
【0131】
図14Cは、組織900の断面と、組織900の厚みを貫通して延びる固定具100を示している。固定具100は、近位ヘッド125が組織900の外面と接触するまで遠位方向に駆動される。したがって固定具100をさらに遠位方向に移動させると近位ヘッド125の抵抗を受けるのに対し、近位方向の移動は、係留用フィラメント115が近位方向に向かって傾斜していることによって抵抗を受ける。
【0132】
遠位固定具100を駆動している間に、近位固定具100の先端部110は、遠位固定具100の近位ヘッド125の凹部145(例えば
図15Aに図示)の中に入る。針様の先端部110が損傷することを阻止するため、凹部は、近位固定具100と遠位固定具の近位ヘッド125の間の負荷を伴った接触が、近位固定具100の先端部110に近い位置(例えば近位固定具100の遠位テーパ部にあってより脆弱な先端部110の近く又は後方の位置にある環状接触領域)で起こるような形状にすることができる。これは、例えば凹部145の深さを凹部145の開口部のサイズと比べて十分に大きくすることによって実現できる。さらに、開口部のエッジを丸くするか面取りすることで、操作中に固定具100が損傷するあらゆる機会をさらに少なくできる。この明細書に記載した端部同士を突き合わせた固定具の別の構成に同様の特徴が含まれていてもよい。
【0133】
図15A〜
図15Cは、固定用アーム1100の再位置決めと、近位固定具100を駆動して組織900の中に入れる操作を示している。固定用アーム1100の再位置決めは、例えば
図5Bと
図5Cに順番に示した再位置決めに対応するであろう。近位固定具100は、遠位固定具100を駆動している間に遠位方向に移動するため、今や固定用アーム1100の遠位端の位置(例えば遠位固定具100が駆動される前に存在していたのと同じか実質的に同じ位置)にある。
【0134】
図15Aに示したように再位置決めがなされると、押し棒1905と遠位ヘッド1910は、
図15Bに示してあるように、近位固定具100が駆動されて組織900の中に入るまで前方に、すなわち遠位方向に押される。すべての固定具が駆動されると、固定用アーム1100は、
図15Cに示したように引っ込められる。
【0135】
図13A〜
図15Cに示した固定用アーム1100は2つの固定具を収容して駆動するが、任意の数の固定具100(その中には単一の固定具100や3つ以上の固定具100が含まれる)を設け、上に説明したのと同様にして駆動することができる。
【0136】
図16A〜
図16Cは、カテーテル又は埋め込み装置2000のインプラント搬送針又はスリーブ2100を組織900の中に挿入する操作を順番に示している。
図16Aに示してあるように、埋め込み装置2000を(例えば操縦用ケーブルを通じて)操作し、修復すべき組織900に隣接する位置に来させる。
【0137】
それぞれのインプラント搬送針2100は、遠位から近位に向かって、プレート又はワッシャー2200、それぞれのヘッド又はナット225(インプラント又は固定具200に関してあとでより詳しく説明する)、それぞれのナット駆動装置2300を順番に通過して長手方向に延びている。それぞれのインプラント搬送針2100は、カテーテル又は埋め込み装置2000の中に収容されているそれぞれのスリーブ又はチューブ2400の中をそのチューブに沿って長手方向に延びてもいる。
図16Aに示した位置では、これらの部品のすべてが、ハウジング2001(例えばカテーテルのハウジング)によって規定される内部空間の中に配置されている。
【0138】
針2100は、例えば形状記憶材料(例えばニチノールやバネ付き鋼)で形成することができる。
【0139】
それぞれの針2100の遠位部2110は、インプラント又は固定具200(ヘッド又はナット225を除く)を収容している。これについては、
図20に関連してあとで詳しく説明する。
【0140】
図16Bに示してあるように、インプラント搬送針2100は、遠位針様先端部2105がハウジング2001の遠位端2005を超えて延びて組織900と接触して孔を開けるまで、ハウジング2001と組織900に対して遠位方向に移動する。針を進ませるのに必要な圧力は、適切な任意の圧力検知機構を利用して感知することができ、その圧力は、例えば埋め込み装置がカップルしているハンドピース内のコンピュータ制御システムに伝えられる。さらに、イメージングのデータ(その中には、超音波イメージングやそれ以外のディジタル・イメージングのデータが含まれる)を取得して例えばハンドピース内のコンピュータ制御システムに伝えることができる。制御システムは、この情報(圧力、及び/又はイメージング情報、及び/又は感知された他のあらゆる情報)を利用して組織内への針2100の挿入を適切に制御することができる。例えば制御システムは、針2100の速度、位置、角度、挿入の深さを独立に制御することができる。
【0141】
インプラント搬送針2100をさらに遠位方向に移動させた後、
図16Cに示してあるように、その針2100を組織900の中に十分な深さ又は所望の深さまで到達させる。よりわかりやすくするため、
図16C〜
図18Eのそれぞれには、組織900の断面図が組み込まれていることに注意されたい。中に組み込んだその各断面図は、時間と状態が、各図の他の部分の状況に対応している。
図16Cに示してあるように、それぞれの針2100は、組織900の近位層901と遠位層902を貫通して延びている。しかし遠位層902には十分に侵入していなくてもよいこと、すなわち遠位層902には深さの一部まで侵入し、貫通に至らなくてもよいことを理解すべきである。組織900の近位層901と遠位層902は、修復に適した任意の組織に対応していてよい。例えば近位層901及び遠位層902として、
図1Bに関して上に説明した部分905と910が可能である。
【0142】
針2100は、
図16Cに示された、所望の深さに到達した後、
図17A〜
図17Dに順番に示したようにして近位方向に引っ込める。それぞれのスリーブ又は針2100が引っ込められたとき、針2100の遠位部の中に収容されていて針2100によって挿入又は駆動された位置に来た各インプラント200(あとでより詳しく説明する)は、組織900の中に留まっている。すなわち、針2100はハウジング2001の中に引っ込められるが、インプラント200はそうならない。むしろインプラントは所望の埋め込み位置に残され、フィラメント215が組織900の遠位層902と十分かつ効果的に係合し、その層の中に係留される。外側にネジ山がある近位部は、組織900の近位層901を超えて近位方向に延びている。
【0143】
インプラント200は、最初は適切な任意の機構によってハウジング2001に向かって引っ込められるのを阻止することができる。最初は例えば針2100の中の内部シャフトが、十分な数のフィラメント215が第2の層902の組織と係合できるようになるまで、インプラント200が近位方向に移動するときにぶつかる積極的な停止部を作り出すことができる。十分な数のフィラメントが層902と係合すると、インプラント200は近位方向の移動すなわち引っ込めに対して自らの位置を維持する。さらに、針2100は、引っ込める前と引っ込めている間にかなりの数のフィラメント215が組織900の第2の層902と接触できるよう、開口部(例えばスリット)を備えることができる。さらに、針2100は、遠位方向に向けて挿入している間は遠位先端部210が針様先端部を形成する構成にすることで、針2100の挿入と引っ込めの間は先端部210に隣接する多数のフィラメントが組織に対して露出するようにできる。別の機構が、インプラント200の直径よりも小さい直径の穴(例えばナット225の内側)を通じてスリーブ又は針2100を近位方向に引っ張ることができる。
【0144】
例えば
図17Dに示してあるように、ギャップ903が、組織900の2つの層901と902の間に残っている。ギャップ903は、以下に説明するようにして閉じることができる。
【0145】
針又はスリーブ2100を引っ込めた後、
図18Aに示してあるように、ハウジング2001の中でチューブ2400を、インプラント又は固定具2100の外側にネジ山のあるシャフトすなわち近位部がプレート又はワッシャー2200の開口部を通過して内側にネジ山のある各ナット225と接触するまで、遠位方向に移動させる。ナット225とインプラント200が接触すると、それぞれのチューブ2400に取り付けられたナット駆動装置2300を回転させてナット225に回転を与え、そのことによってナットの内側のネジ山をインプラント200の各近位部の外側のネジ山と回転可能に係合させる。ナット225を回転させるため、それぞれのナット駆動装置2300は、遠位方向に延びる一対の駆動用ピン2305を備えている。駆動用ピン2305は、各ナット225の対応する一対の凹部227(例えば
図20参照)の中に入ってその凹部と係合する。ナット駆動装置2300は、例えば内部にナット駆動装置2300が取り付けられた各チューブ2400を回転させることによって互いに独立に駆動することができる。回転は、例えばトルクのフィードバック、圧力のフィードバック、イメージング・データや、これら以外のフィードバック・データに基づいてナットごとにコンピュータ制御すること、及び/又は個別化することができる。
【0146】
インプラント200の外側にネジ山がある各部分のまわりをナット225がさらに回転すると、
図18Bと
図18Cに示してあるように、そのナット225はナット225の長さに沿って遠位方向に移動する。それぞれのナット225は、インプラント200の各シャフトが通過するプレート又はワッシャー2200の開口部よりも大きいため、ナット225が遠位方向に移動するとプレート2200も遠位方向に移動する。
図18Cに示してあるように、プレート2200が遠位方向に移動することによって最終的にプレート2200は組織900の近位層901の近位面と接触する。ナット225とプレート2200がさらに遠位方向に移動すると、組織の第1の層も、プレート2200との接触が原因となってインプラント200のシャフトに沿って遠位方向に移動する。そのため
図18Dと
図18Eに示してあるように、組織の遠位層902が近位方向に向かって傾斜したフィラメント215と係合することが理由で組織900の近位層901と遠位層902は引っ張られて合体し、両者の間のギャップ903が消える。
図18Eに示してあるように、埋め込み装置2000は埋め込み部位から引っ込められる。残りの部分(その中には、インプラント200、ナット225、プレート2200が含まれる)は、全体を1種類以上の生体吸収性材料で形成することができる。しかしこれら部品の1つ以上又はすべてを非吸収性材料で形成してもよいことを理解すべきである。
【0147】
図示した実施例では3つのインプラント200を使用しているが、適切な任意の数のインプラント200(単一のインプラント200を含む)を用意してプレートを支持できることを理解すべきである。さらに、プレート2200は湾曲した形状だが、例えば個々の用途に応じて適切な任意の形状及び/又はサイズにできることを理解すべきである。
【0148】
図18Fは、小さな固定用ナット225を締めることによって引っ張って合体させる前の組織の2つの層、すなわち一次中隔901と二次中隔902を示している。小さなインプラントの小さな固定用フィラメントは二次中隔と係合するため、ナット225を締めると一次中隔901と二次中隔902が引っ張られて合体することがわかる。
【0149】
針2100は、適切な任意の方法で形成することができる。例えば針は、ニチノール製チューブに例えばレーザー切断によって長手方向に延びる切れ込みを設けて形成することができる。切れ込みは、例えば針2100の近位端まで延びていてもよいし、端部に届く前に終わっていてもよい。この点に関し、切れ込みの長さ及び/又は数を選択すると、切れ込みの間に挟まれる金属バンドが及ぼす径方向のバネ力の大きさを明らかにすることができる。
【0150】
さらに、針2100は、その内部に収容される固定具よりも小さな待機時直径又は初期直径を持つように形成することが望ましかろう。例えば
図18Gを参照すると、針2101は、固定具200よりも小さな待機時直径又は初期直径を持つこと以外は針2100と特徴を共有している。したがって
図18Gに示したような針2101の中に固定具200を挿入するとき、金属バンド2102が外側に膨らんで隣り合った金属バンド2102間に広がったギャップを形成する。これは、フィラメント及び/又はそれ以外の係留機構を隣接した組織に係合させ、針2101を引っ込めるときの固定具の近位方向への移動に抵抗できるようにする上で有利である可能性がある。例えば
図18Gに示してあるように、固定具200の小さな係留用フィラメント215は、針2101の隣り合った金属バンド2102間を長手方向に延びるギャップ全体で露出するため、フィラメント215は、針2101を引っ込める初期段階でさえ周囲の組織と係合することができる。この点に関し、フィラメント215と組織が係合すれば、固定具200を埋め込まれた位置に残しつつ針2101を近位方向に引っ込められるようにする上で十分であろう。しかし針2101との関連で他の機構(例えば押し棒)を設けてもよいことを理解すべきである。
【0151】
針のこの埋め込み法は、他の用途で(例えば上に説明したようにメッシュ1300を固定するのに)利用できる。
図16A〜
図17Dに関して上に説明したのと同じか同様にして固定具1400を埋め込むため、例えばアーム1100の1本以上又はすべてに針2100、2101を設けることができる。
【0152】
図19A〜
図19Dは、組織900の欠陥904を修復する上記の手続きを順番に示している。
図19Bに示してあるように、埋め込み装置2000を操作して欠陥904の近くに来させる。
図19Cに示してあるように、組織900の弁が押されて所定の位置に来ると、上に記載したようにして固定される。そのとき、上に説明したように組織900の弁は、組織900の第1の層すなわち近位層901に対応し、その下にある組織900は、組織900の第2の層すなわち遠位層901に対応する。
図19Dに示してあるように、埋め込み装置2000は引っ込められ、プレート2200、固定具200、ナット/ヘッド225が所定の場所に残って組織900を修復された状態にする。固定具200が組織の近位層に及ぼす力はプレート2200によって比較的広い範囲に分散するため、固定具が存在している位置で組織が破れるリスクが小さくなることに注意されたい。
【0153】
図20は、2つの小さな外科用インプラント又は固定具100と200の図であり、この明細書に開示した任意の固定具(例えば固定具又はインプラント1400と1500)と同じように用いることができる。以下により詳しく説明するように、固定具100は、
図13A〜
図15Cとの関連でも図示して説明されており、固定具200は、
図16A〜
図19Dとの関連でも図示して説明されている。外科用インプラント100と200(吸収性でも非吸収性でもよい)は、隣り合った2つの内臓又は組織面の間に侵入して両者を接合する設計にされている。インプラント100と200は、迅速に配備できる制御された状態で第1の組織と第2の組織の間を通過する設計にされている。インプラントは、針と同様の所定の形状にされている。各インプラント100、200は、遠位領域で徐々に細くなって針状先端部110、210に至る細長い本体105、205を有する。各インプラント100、200は、以下により詳しく説明するように、インプラント100、200を収容した状態で正確に配置された中空針又はチューブから押すことによって使用可能な状態にできる。
【0154】
小さなインプラント100及び200とこの明細書に記載した他の任意のインプラントは、1mm又は約1mmの直径と、5mm〜10mmの範囲の長さを持つことができる。いくつかの実施形態によれば、直径は1mm未満である。いくつかの実施形態によれば、直径は0.8mm〜1.2mmの範囲である。しかし他のサイズも可能であることを理解すべきである。
【0155】
各インプラント100、200の本体105、205は、インプラント100、200のコア120、220から出て外側に延びる特別な設計の小さな係留用フィラメント115、215を有する。係留用フィラメント115、215は、インプラント100、200の本体105、205の長さの少なくとも一部に沿ってその周囲に位置している。こうなることで、インプラントは、組織の中に一旦侵入した後は抜けないように抵抗することができる。
【0156】
コア120、220は、インプラント100、200の本体105、205のかなりの長さにわたって一定の直径を持つ。例えばインプラント100のコア120は、ヘッド部125から、先端部110に向かうテーパ状の実質的な円錐形部分まで、一定の断面かつ一定の直径を持つ。しかしインプラント100と200は、より連続的なテーパ部及び/又は一定又は一定でない割合のテーパ部を持っていてもよい。
【0157】
係留用フィラメント115、215は、インプラント100、200の長軸に対してある角度で外側に向かって延びている。この点に関し、フィラメントは、長軸から外側に向かって延びていることに加え、先端部110、210から離れる近位方向へと延びている。このようになっていることで、遠位方向に駆動又は挿入しているときフィラメント115、215は孔を開けられた組織に沿って滑ることができる。しかし挿入位置から近位方向に向かうインプラント100、200の移動は、フィラメント115、215の外側自由端が比較的柔らかい組織と係合することによって阻止されるか抵抗を受ける。フィラメント115、215は可撓性があってもよいし、実質的に堅固であってもよい。しかしフィラメント115、215は、挿入位置からインプラント100、200を近位方向に引き戻すのに抵抗する十分な剛性又は強度を持たねばならない。さらに、フィラメント115、215はまっすぐなものを図示してあるが、フィラメント115、215のうちのいくつか又はすべてが少なくとも部分的に湾曲していてもよいこと、及び/又は直線部及び/又は湾曲部の間に一カ所以上の曲がった部分があってもよいことを理解すべきである。さらに、インプラント100、200のフィラメント115、215は、長さ、及び/又は径方向の延長部、及び/又はインプラント100、200の長軸に対する角度が一定でも異なっていてもよい。
【0158】
フィラメント115、215、又はこの明細書に記載した任意の係留用フィラメントは、個々の用途に応じて適切な任意の密度と相互間隔にすることができる。用途によっては、同じか同等の縫合保持力又は“引き抜き強度”となるようにしつつ、より大きな密度(すなわち単位面積あたりのフィラメントの数がより多い)でより小さなフィラメントにすることや、(場合によっては形状記憶合金(例えばニチノールやバネ付き鋼)で強化した)より小さな密度でより広いフィラメントにすることができる。オプションの強化として、形状記憶合金(例えばニチノールやバネ付き鋼)で形成した“V”字形部分が可能であろう。フィラメント115、215は、全体又は一部を吸収性又は非吸収性にすることができる。
【0159】
各インプラント100、200は、近位ヘッド125、225を備えている。ヘッド125、225は、コア120、220を超えて径方向に延びていて、コア120、220よりも大きな径方向の断面積を有する。ヘッド125、225は、インプラント100が組織の中に深く入りすぎたり組織を完全に貫通したりするのを阻止できる。インプラント100、200は長軸に沿って遠位方向に駆動されるため、コア120、220は組織に孔を開けて入って進んでいく。より大きな直径又は断面を有するヘッド125、225により、インプラント100、200の近位部が組織の中に入るのが阻止されるか抵抗を受ける。したがって組織の2つの層に孔を開けて両者を接合する場所では、組織の遠位層は、その遠位層がフィラメント115、215と係合することで組織の近位層から離れて遠位方向に移動しないように拘束され、近位層は、その近位層(例えば近位層の外側近位面)がヘッド125、225と係合することで遠位層から離れて近位方向に移動しないように拘束される。
【0160】
インプラント100では、係留用フィラメント115が先端領域から軸方向に固定された近位ヘッド125に至るまで設けられているのに対し、インプラント200では、所定の長さにわたって外側に小さなネジ山230が設けられていて、対応する内側のネジ山を有するヘッド225がインプラントのまわりを回転できるため、隣り合った2つの組織が密着するという点で、インプラント100はインプラント200と異なっている。この点に関し、インプラント200は最初に組織の中に入れることができ、組織の中を移動する距離は、例えばインプラント200と組織の間の摩擦によって制限される。この初期駆動の後、ヘッド225を例えば時計回りの方向に回転させると、ヘッド又はナット225をインプラント200の長軸に沿って遠位方向に移動させることができる。回転は、ヘッド225の駆動用凹部227と係合する突起を有する回転可能な駆動装置によって実現できる。これについては後でより詳しく説明する。ヘッド225は等間隔の配置にされた4つの凹部227を有するが、適切な任意の数の凹部227を設けてもよいことを理解すべきである。さらに、小さな固定用のナット又はヘッド225は、凹部の代わりに、又は凹部に加えて突起を備えていてもよい。その突起を駆動装置によって係合させることで、ヘッド225を回転させることができる。さらに、他の適切な任意の駆動機構を設けてもよい。例えば駆動装置は、ヘッド225の外面を把持し、摩擦を通じて回転を与えることができる。あるいはヘッド225の径方向外側を向いた面は、駆動装置によって係合させることが可能な1つ以上の平坦な面を備えることができる。
【0161】
ヘッド225の遠位面と組織の近位層の近位面が接触することで、今度は組織の近位層が、フィラメント215によって軸方向の移動を拘束されている組織の遠位層に向かって移動する可能性がある。ヘッド225は、ネジ山間の摩擦又は他の適切な任意のロック機構や固定機構(例えば戻り止め)によって逆方向に回転することを阻止される。ヘッド225を締める回転をさせている間、本体205は、フィラメント215が組織又は他の適切な任意の機構と係合することによって回転しないようにすることができる。
【0162】
各インプラント100、200は近位面135、235を持っていて、その近位面を通じて駆動力を加えることができる。インプラント100の近位面135は近位ヘッド125の近位面に対応するのに対し、インプラント200の近位面235は、コア220の直径と同じか実質的に同じ、より小さな直径を持つ。
【0163】
インプラント100、200は、円形断面のコア120、220とヘッド125、225を有するが、他の断面、例えば長方形、及び/又は三角形、及び/又は楕円形、及び/又は多角形、及び/又は他の任意の規則的な形状や不規則な形状にすることができる。さらに、係留用フィラメント115、215は、互いの間を規則的な間隔にしてもよいし、不規則な間隔にしてもよいことを理解すべきである。さらに、フィラメントの密度、すなわちコア120、220の単位面積あたりのフィラメント115、215の数は、一定でもよいし、変化してもよい。
【0164】
最新の製造方法では、ニアナノ技術を適用することができる。そうすることで、数年前には不可能だった可能性のあるサイズと複雑さを持つインプラント100、200を製造することができる。インプラント100、200は、吸収性ポリマー又は非吸収性ポリマーを射出成形した後、突起したフィラメント115、215とネジ山のある凹部227を付加することができる。インプラント200のヘッド225は許容誤差が同じか同様になるように別々に製造し、インプラントのネジ山230とインプラント200のヘッド225の間の界面が互いに正確に噛み合うようにする。
【0165】
インプラント100と200はポリマーで形成されるが、適切な任意の材料(例えば金属や複合材料)を使用できることを認識すべきである。
【0166】
インプラント100と200の材料と製造方法は、この明細書に記載した任意のインプラントに適用できる。
【0167】
遠位側が保持又は固定されていない互いに隣接した組織の中に正確に侵入するには、両方の組織層に侵入するため組織の各層に迅速に侵入する必要があろう。インプラント100、200をゆっくりと適用する場合には、十分に侵入しないまま組織がインプラント及び/又は針によって遠位方向に押しやられる可能性がある。したがっていくつかの送達機構は、インプラントを比較的高速で放出する。好ましいいくつかの実施例では、生理食塩水を用い、プランジャがインプラントを正確な速度で放出するような速度でカテーテル又は針の中のチャネルを加圧する。別の実施形態では、バネ付き機械式機構を利用してインプラントを放出させる。さらに別の実施形態では、カテーテルの長さに沿って移動する長い押し棒を用いてインプラントを押す。放出の様子はコンピュータによって制御される。しかし放出は、例えば操作者が制御してもよい。例えば放出力は、操作者(例えば外科医)が始動させる機械システム(例えばバネ付きシステム)によってあらかじめ決めて繰り返せるようにできる。
【0168】
図21Aと
図21Bは、カテーテル又は針400と600を有する駆動機構を備える外科用インプラント300と500の模式図である。この構成は、この明細書に開示した任意の固定具との関連で使用することができる。
【0169】
図21Aを参照すると、インプラント300は、インプラント100及び200と共通する特徴を多数共有している。しかしインプラント300は、逆ネジ山330と、駆動用凹部327を有する近位ヘッド325とを含む点が異なっている。駆動用凹部は、カテーテル400の回転可能な駆動装置405に対応する形状を有するため、駆動装置405を凹部327の中に挿入してインプラント300を軸のまわりに回転させることができる。この点に関し、駆動装置が第1の方向410に回転すると、駆動装置は方向410に回転する。方向410は(近位位置から見て)時計回りの向きだが、駆動装置がインプラント300を反時計回りの向きに回転させる構成(例えばネジ山が逆向きの場合)にしてもよいことを認識すべきである。駆動装置は、駆動中は、インプラントが移動する距離に合わせてその駆動装置の軸線に沿って遠位方向に徐々に移動する構成である。駆動装置405と凹部327の互いに対応する形状は、適切な任意の断面(例えば長方形又は六角形)を持つように選択できる。
【0170】
カテーテルは、遠位端部に一対の保持用タブ415を有する。保持用タブ415は、近位ヘッド325の直径よりも小さいがインプラント300のより遠位にある他の部分の直径よりも大きい内径を有する。したがって保持用タブにより、インプラント300の遠位部はカテーテルの遠位端を超えて移動して組織の中に入るが、ヘッド325はカテーテルの中に保持されるようにすることができる。インプラント300の駆動後、保持用タブを径方向外側に向けて互いに離してインプラント300のヘッドを解放することで、カテーテル400をインプラント部位から引っ込めることができる。
【0171】
図21Bを参照すると、カテーテル600は、インプラント400と共通する特徴(例えば保持用タブ615)を多数共有しているが、バネ駆動装置605を備えている点が異なっている。バネ駆動装置605は、バネ力をインプラント500の近位ヘッド525に及ぼし、最初の近位位置から、伸長した遠位位置まで迅速に移動させる。バネ駆動装置605は、インプラント500と接触していないあらかじめ負荷を与えられた初期位置を持つことができる。したがってバネ及び/又は駆動装置でバネによって駆動される部分には、インプラント500と係合する前に運動量を与えることができる。これは、インプラント500により大きな加速力を与えるのに適している。インプラントが大きな速度を迅速に獲得できると、単純に組織の外側近位面551を押すのではなく、組織の近位面551に孔を開けてその組織の厚さを横断して侵入して遠位面552に到達することができる。これは、駆動中に組織の裏側にいかなる初期構造も必要としないシステムを可能にするのに特に適している可能性がある。
【0172】
図22は、駆動機構を備える外科用インプラント700の模式図である。駆動機構は、上に説明したカテーテル400及び600と特徴(例えば保持用タブ815)を共有するカテーテル800である。保持用タブ815は、開いた状態、すなわち径方向に延びた状態が示されているため、インプラント700のヘッド725が軸に沿って遠位方向に通過することができる。
【0173】
駆動装置(例えば
図22の駆動装置又はこの明細書に開示した他の任意の駆動装置)は、この明細書に記載した任意の固定具を所定の深さまで到達させる構成にすることができる。深さの精度は、適切な任意の機構(例えば正確な水圧駆動力、フランジ又は他の同様の停止部との係合、ぴんと張った状態になって深さを制限するフィラメント/縫合糸)によって実現できる。さらに、深さは、蛍光透視法又は他の適切な任意のイメージング機構を利用してモニタすることができる。駆動機構は、加圧された生理食塩水や、内視鏡カテーテルのシャフトを通じて加圧されるそれ以外の流体を含むことができる。したがって非常に正確な制御を実現できる。
【0174】
実施形態によれば、コンピュータ・システムが2つの点の位置を明らかにし、例えばその2つの点の間の距離を決定することができる。距離は、固定具を発射して到達させる望ましい距離として利用できる。埋め込む距離は、適切な任意の調節機構(例えば調節可能な停止部又はフランジ、固定具に取り付けられた紐又は縫合糸)によって、及び/又は埋め込み中の固定具の速度と運動量を正確に制御する(例えば水圧推進力系を細かく制御する)ことによって設定することができる。深さのこのような測定及び/又は決定及び/又は制御は、この明細書に開示した任意の固定具の埋め込みとの関連で利用することができる。
【0175】
インプラント700は、上に説明したインプラント100、200、300、500と多数の特徴を共有しているが、複数のバネ付きタブ702を備えている点が異なっている。バネ付きタブ702は、例えば形状記憶合金(例えばニチノールやバネ付き鋼)で形成することができる。バネ付きタブは、針様先端部710によって近位面751を含めて組織に孔を開けた後に(閉じられた状態の)カテーテル800と組織の中を移動するが、そのタブ702の近位自由端がカテーテル800と組織の中に軸方向を向いて配置されているとき、そのタブ702は、閉じられた状態、すなわち径方向内向きの状態に維持される。しかしバネ付きタブ702の近位端が組織の遠位側752を通過すると、タブはもはや組織によって径方向に拘束されないため、径方向外側に向かって広がって開いた状態になることができる。開いた状態のインプラント700は、広がったタブ702と組織の遠位面752が接触することで、組織を通って近位方向に引っ込むことを阻止又は拘束される。そこでインプラント700のナット又はヘッド725を、インプラント200のヘッド225について上に説明したようにして回転させることで遠位方向に前進させて組織の層を合体させることができる。
【0176】
図23は、固定具又はインプラント250を示している。固定具250は、この明細書に開示した他の固定具と特徴を共有しており、この明細書に記載した固定する他の用途のどれとの関連でも利用することができる。しかし固定具250は、波形の本体251を備えている。本体251は、その本体251の長さに沿って軸方向に延びる複数の溝253を備えている。例えば複数の溝253は複数の隆起部255と交互になって本体251のまわりに広がっている。さらに、固定具本体251は、一対の割れた部分又はV状部257と258を備えている。割れた部分は、本体251に食い込むそれぞれの割れ目又は切り込み259によって形成される。この点に関し、割れ目259は、本体251の中に径方向に切り込みを入れて軸方向に延ばすことによって形成できる。したがって2つの割れた部分257と258は、遠位位置で本体251の残部に付着していて、近位方向に向かって延びて自由端になる。自由端には、湾曲面に沿って複数の鋭い突起がある。これらの突起は、波形が原因で形成される。特に隆起部255が、
図23の中の部分側面図に示してあるように、鋭い突起を形成する。鋭い突起は、固定具250が組織を把持する上で、そして遠位方向に滑るのを阻止する上で有利である。それぞれの割れた部分257と258は、図示してあるようにそのような突起を3つ備えているが、固定具250は、1つ以上の割れた部分が他の任意の数の突起(鋭い突起が1つだけも含む)を備える設計にできることを理解すべきである。例えばより多くの鋭い突起を望む場合には、本体251をより密な波形にすること(すなわちより多数の溝253と隆起部255を交互に設けること)、及び/又は切り込み又はスライスの角度を調節することができよう。さらに、突起が近位方向に延びる長さは、隆起部255に対する溝253の深さを変化させることによって調節できる。
【0177】
割れた部分257と258は、遠位方向に向かって組織の中に挿入するのに実質的に妨げとならないが、組織に引っ掛かることによって挿入位置から近位方向に移動するのに抵抗する。割れた部分257と258の尖った近位端及び/又はエッジの鋭い近位端を割れた部分の近位端にある交互になった隆起部と組み合わせると、性能が改善されることが見いだされた。
【0178】
さらに、割れた部分又は翼部257と258は、互いに軸方向にずれている。例えば割れた部分257は、x軸に沿って軸方向の位置aに位置し、割れた部分258は、x軸に沿って軸方向の位置bに位置する。こうすると、ずれていない構成と比べて本体251の他の部分の構造的強度をより大きくすることができる。特に、切り込みは、遠位方向に進むにつれて径方向内側に向かっていくため、ずれていない構成であったとしたら、切り込みの遠位端で断面内の材料の量が実質的により少なくなるであろう。その場合には、本体の軸に沿って力学的に弱い点又は領域ができ、特に小さなサイズの固定具で物理的な破損につながる可能性がある。
【0179】
固定具250の遠位先端部は、尖った点を持つピラミッド形であり、複数の面が、その尖った点に収束するエッジによって分離されている。4つの平面が設けられているが、適切な任意の数の面を設け、その面のうちの1つ以上又はすべてを非平面にしてもよいことを認識すべきである。
【0180】
固定具250は、フック状端部260も備えている。このフック状端部は、他の任意の一時的インプラント及び/又は常置インプラントとのカップリングに適している可能性がある。
【0181】
固定具250は、波形部を有する本体251を例えば射出成形又は押し出しによって最初に形成し、その後、V状部257と258を例えば本体251の側部に径方向に切り込みを入れて形成することによって製造できる。図示してあるように、切り込みは、(始まる近位点において)本体251の長軸に対してある角度で湾曲している。その角度は、最初の近位切り込み位置から固定具250の遠位端に向かって徐々に減少し、最終的に直線になる。図示した実施例の割れ目又は切り込みは本体251の長軸に対して湾曲している、又は角度が変化しているが、直線状の切り込みを含めて適切な任意の切り込みを作ってもよいことを理解すべきである。
【0182】
固定具250は、本体251の径方向周辺部のまわりに等間隔に配置された翼部又は割れた部分を備えているが、単一のV状部を含めて任意の数のV状部を径方向周辺部のまわりに適切な任意の間隔で設けてもよいことを認識すべきである。
【0183】
さらに、波形になった割れた部分の構成をこの明細書に開示した他の任意の固定具の特徴と組み合わせて利用できることを理解すべきである。例えば固定具250は、上により詳しく開示してあるような、波形の割れた遠位部と、近位ヘッドを受容する構成のネジ山付き近位部を備えること、及び/又は割れた部分に加えてフィラメントを備えることができる。
【0184】
図24は、小さな外科用インプラント又は固定具3000を示している。固定具3000は、この明細書に記載した他の固定具の多数の特徴を有する。さらに、固定具3000は、ラチェット機構を有する近位部を備えている。ラチェット機構は、小さなラチェット・ヘッド3025とラチェット歯3030を備えている。インプラント3000のラチェット機構は、上記の固定具200の小さなネジ山のある構成と似た機能を果たす。しかしヘッド225が固定具200のネジ230のまわりを回転するのとは異なり、ラチェット・ヘッド3025は、固定具本体3005に沿って例えば直線的に滑る。各ラチェット歯3030、又は周辺部の一群のラチェット歯3030は遠位方向に向かって並んでいるため、ヘッド3025を近位方向に引っ込めようとすると、ヘッド3025の近位面がラチェット歯3030の遠位面とラチェット式に係合することにより抵抗を受けるか阻止される。この点に関し、ヘッド3025が軸方向で止められる各位置において、固定具本体3005は、ラチェット・ヘッド3025と係合する配置にされた適切な任意の数のラチェット歯3030(単一のラチェット歯3030を含む)を備えることができる。さらに、単一の歯3030が固定具本体3005の径方向の周囲全体に連続的に延びていてもよい。
【0185】
固定具3000は、埋め込み後に組織の中に係留して近位方向に移動しないようにするためマイクロフィラメントを備えているが、他の任意の係留機構(例えば上記のような翼部や割れた部分)を用意してもよいことを理解すべきである。さらに、この明細書に開示した他の固定具に関して開示した特徴のうちの任意のものを固定具3000に関連して利用することができる。
【0186】
図25は、外科用インプラント3100の遠位端部の図である。この明細書に開示したどの固定具の遠位端部も、この構成の遠位端部にすることができる。この構成の遠位端部は、遠位方向で収束して尖った点3110を形成する3つの凹面3105を備えている。3つの凹面3105を分離しているのは、テーパ状になった3つの刃先3115である。テーパ状のこれら刃先3115により、組織(例えば軟組織)に容易に侵入することができる。
図25に示した端部は3つの凹面3105を備えていて、それらの凹面は対応する3つのテーパ状刃先3115によって分離されているが、適切な任意の数の凹面3105と対応する刃先3115を設けてもよいことを理解すべきである。
【0187】
上に説明したどの機構と装置も、適切な任意の圧力感知機構を利用した圧力感知(例えば針又は固定具を前進させるのに必要な圧力の感知)と組み合わせて利用することができる。圧力は、例えばこの明細書に記載した任意の実施形態の埋め込み装置とカップルしているハンドピース内のコンピュータに伝えることができる。さらに、イメージング(その中には、超音波イメージングやそれ以外のディジタル・イメージングが含まれる)のデータを取得して例えばハンドピース内のコンピュータ制御システムに伝えることができる。この情報(例えば圧力、及び/又はイメージング情報、及び/又は他の任意の感知情報)を制御システムが利用し、組織の中へのさまざまな針及び/又はインプラントの挿入を適切に制御することができる。例えば制御システムは、挿入の速度、及び/又は位置、及び/又は角度、及び/又は深さを制御することができる。このように正確な制御は、インプラントを非常に正確に位置決めする必要のある心臓の欠陥を修復するときに特に有利である可能性がある。
【0188】
この明細書に記載したさまざまな機構により、柔軟性を大きくできる組織修復システムが提供される。例えばより小さな欠陥は、単一の固定具(例えば固定具100、又はこの明細書に記載した他の任意の固定具)を用いて修復でき、より大きな欠陥は、複数の固定具を、ワッシャー又はプレート2200とともに用いて、又はワッシャー又はプレート2200なしで用いて修復できる。より大きな欠陥(例えばヘルニアや大きな穴)は、上に説明したようにメッシュ1300の使用がより適している可能性がある。
【0189】
この明細書に記載したさまざまなインプラント(例えば固定具又は係留具100、200、250、300、500、700、1400、1600、3000、3100、ナット225、725、ヘッド3025、プレート2200)は、成形(例えば射出成形)によって形成できる。
【0190】
さらに、この明細書に記載した埋め込み可能な要素(例えば固定具100、200、250、300、500、700、1400、1600、3000、3100、ナット225、725、ヘッド3025、メッシュ1300、プレート2200)のどれも、全体又は一部を、例えば具体的な用途に応じ、患者の身体が吸収できる材料、又は非吸収性材料で形成することができる。例えばこれらの要素は、ポリグリコール酸(PGA)又はPGAコポリマーで形成することができる。これらの要素は、ポリエステル及び/又はナイロン及び/又は他のポリマーのコポリマーで形成することもできる。さらに、これらの要素は、1種類以上の形状記憶合金(例えばニチノールやバネ付き鋼)を含むことができる。
【0191】
さまざまなインプラントを間違って放出したり不適切な場所に位置させたりする可能性がある場合には、吸収性材料が有利である可能性がある。例えば固定用アーム1100が固定具を予定していない位置に駆動する場合、又は組織がうまくインプラントを受容しない場合には、その固定具(例えば固定具100)は、たとえそれが必要でない場所であっても比較的無害であると考えられる。なぜならその固定具は、最終的に患者の体内に吸収されるからである。
【0192】
本発明を特定の実施例と実施形態を参照して説明してきたが、上記の説明が本発明を制限することを意図していないことを理解すべきである。さらに、この明細書に記載した特徴は、任意に組み合わせて利用できる。
なお、本発明の別の態様によれば、インプラントをぴんと張った状態で支持するために一時的フレームを使用可能な状態にすることと、前記インプラントを組織に対して所定の位置に配置することと、前記インプラントを、該インプラントが前記一時的フレームによってぴんと張った状態で支持されたまま、前記所定の位置で前記組織に固定することと、を含む方法が提供される。
前記インプラントが、メッシュ、グラフト、フィルムのうちの少なくとも1つを含む。
前記インプラントを固定した後に前記一時的フレームを引っ込めることをさらに含む。
前記一時的フレームが形状記憶材料でできている。
前記形状記憶材料がニチノールである。
前記固定することが、複数の固定具を同時に駆動して前記インプラントの中に入れることを含む。
前記複数の固定具を前記インプラントの周辺部に沿って同時に駆動する。
なお、本発明のさらに別の態様によれば、一時的フレームを用いてインプラントを支持することと、該一時的フレームと支持されたインプラントとを組織に対して所定の場所に配置することと、複数の固定具を、該固定具が前記一時的フレームの除去を妨げないように前記インプラントを通じて組織の中に挿入することにより、前記インプラントを前記組織に固定することと、を含む方法が提供される。
前記固定具を挿入した後に前記一時的フレームを除去する。
前記インプラントがメッシュである。
なお、本発明の別の態様によれば、内部チャンバーと組織に孔を開ける鋭い先端部とを有する中空の針と、該針の前記内部チャンバーの中に配置することのできる外科用インプラントと、該外科用インプラントを用いて前記針を駆動して前記組織内の所定の位置に入れるように構成されたアクチュエータと、を具備し、前記針が、前記外科用インプラントを前記組織の中に残したまま駆動された位置から引っ込めることができる外科用インプラントの位置決め装置が提供される。
前記針が1つ以上のスリットを有し、該スリットにより前記針の遠位端が広がることが可能になり、前記針を引っ込めるとき前記外科用インプラントが前記遠位端を通過できる。
前記外科用インプラントが、当該外科用インプラントの遠位方向への移動に抵抗するように構成されたフィラメントを備えた遠位部を有する。
前記外科用インプラントが、外側にネジ山のある近位部を有する。
内側にネジ山のある近位ヘッドと、前記内側のネジ山と前記外側のネジ山との間の係合によって前記近位ヘッドが前記外科用インプラントの長軸に沿って移動するように、該近位ヘッドを前記外科用インプラントの前記近位部に接続して前記近位ヘッドを前記近位部に対して回転させるように構成されたヘッド駆動装置と、をさらに具備する。
近位ヘッドと、該近位ヘッドを前記外科用インプラントの近位部に接続して前記近位ヘッドを前記外科用インプラントの長軸に沿って移動させるヘッド駆動装置と、をさらに具備する。
前記ヘッド駆動装置が前記近位ヘッドから離れた後に、前記近位ヘッドが軸方向の位置を維持する。
チューブ状ハウジングをさらに具備し、前記針がそのチューブ状ハウジングの中を通って延びている。
前記チューブ状ハウジングがカテーテルである。
前記針が、前記チューブ状ハウジングの中を延びる複数の針のうちの1本であり、前記外科用インプラントが、前記複数の針の中に配置できる対応する複数のインプラントのうちの1つである。
埋め込み可能なプレートをさらに具備し、該プレートの中を前記複数の針が延びている。
前記複数の針に対応する複数の近位ヘッドと、該近位ヘッドの各々を対応する前記外科用インプラントの近位部に接続し、接続された前記近位ヘッドを対応する前記外科用インプラントの長軸に沿って遠位方向に移動させるヘッド駆動装置をさらに具備する。
前記近位ヘッドの駆動によって前記プレートが前記外科用インプラントに対して遠位方向に移動する。
前記針に沿って延びるプランジャをさらに具備し、該プランジャは、前記針が引っ込められたときに前記外科用インプラントが前記針とともに引っ込められることを阻止するように構成される。
前記針が形状記憶材料でできている。
前記形状記憶材料がニチノールである。
前記形状記憶材料がバネ鋼である。
前記固定具駆動装置の各々が遠位開口部を有し、該遠位開口部を通じて前記固定具駆動装置の各々が固定具を駆動するように構成されている。