(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.実施の形態の概要
まず、本願において開示される代表的な実施の形態についてその概要を説明する。代表的な実施の形態の概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号は、それが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0026】
[1]代表的な実施の形態によるモータ駆動制御装置は、差分制御部(100)とドライバ出力部(102)と駆動電流検出増幅器(103)と負荷短絡検出回路(108)とを具備する。
【0027】
前記ドライバ出力部(102)の出力端子には、モータ(VCM)と検出抵抗(Rs)との直列接続が接続可能とされる。
【0028】
前記差分制御部(100)は、駆動電流指令値(VCMCRNT)と駆動電流検出信号(DIVCM)に応答して駆動電圧指令信号(DDRV、ADRV)を生成して前記ドライバ出力部(102)の入力端子に供給する。
【0029】
前記ドライバ出力部(102)は、前記差分制御部(100)から生成される前記駆動電圧指令信号(DDRV、ADRV)に応答して、前記モータ(VCM)と前記検出抵抗(Rs)との前記直列接続を駆動する駆動出力信号を生成する。
【0030】
前記駆動電流検出増幅器(103)は、前記検出抵抗(Rs)に流れる駆動電流(Ivcm)に応答して、前記差分制御部(100)にフィードバックされる前記駆動電流検出信号(DIVCM)を生成する。
【0031】
前記差分制御部(100)と、前記ドライバ出力部(102)と、前記モータ(VCM)と前記検出抵抗(Rs)との前記直列接続と、前記駆動電流検出増幅器(103)とを含むフィードバックループのいずれかの回路ノードに、前記負荷短絡検出回路(108)の入力端子が接続される。
【0032】
前記負荷短絡検出回路(108)は、前記モータ(VCM)の両端間の短絡状態に起因して前記いずれかの回路ノードに発生する異常発振波形信号を検出することを特徴とするものである(
図1参照)。
【0033】
前記実施の形態によれば、モータ(VCM)の両端間の短絡の検出と両端間の短絡による異常発振の検出を可能とすることができる。
【0034】
好適な実施の形態では、前記負荷短絡検出回路(108)は、一方の入力端子に前記いずれかの回路ノードに発生する前記異常発振波形信号が供給され、他方の入力端子に第1しきい値情報(ITH)が供給される第1比較器(1081)を含む。
【0035】
前記異常発振波形信号が前記第1しきい値情報(ITH)よりも大きな値になることに応答して、前記第1比較器(1081)の出力端子から前記異常発振波形信号を検出した第1比較出力信号が生成されること特徴とするものである(
図1参照)。
【0036】
他の好適な実施の形態では、前記負荷短絡検出回路(108)は、カウント入力端子に前記第1比較器(1081)の前記出力端子から生成される前記第1比較出力信号が供給されるカウンタ(1082)を更に含む。
【0037】
前記カウンタ(1082)は、前記異常発振波形信号の周期で前記第1比較器(1081)の前記出力端子から生成される前記第1比較出力信号のパルス信号に応答してカウントアップ動作を実行することによってカウントアップ値を生成することを特徴とするものである(
図1参照)。
【0038】
更に他の好適な実施の形態では、前記負荷短絡検出回路(108)は、一方の入力端子に前記カウンタ(1082)によって生成される前記カウントアップ値が供給され、他方の入力端子に第2しきい値情報(NTH)が供給される第2比較器(1083)を含む。
【0039】
前記カウントアップ値が前記第2しきい値情報(NTH)よりも大きな値になることに応答して、前記第2比較器(1083)の出力端子から前記異常発振波形信号を検出した第2比較出力信号が生成される。
【0040】
前記負荷短絡検出回路(108)は、前記第2比較器(1083)の前記出力端子から生成される前記第2比較出力信号を負荷短絡検出信号(STH_DET)として出力すること特徴とするものである(
図1参照)。
【0041】
より好適な実施の形態によるモータ駆動制御装置は、外部インターフェース(107)と、デジタル・アナログ変換器(101)と、アナログ・デジタル変換器(104)とを更に具備する。
【0042】
前記外部インターフェース(107)は、外部から供給されるデジタル情報である前記駆動電流指令値(VCMCRNT)を、前記差分制御部(100)の指令入力端子に供給する。
【0043】
前記デジタル・アナログ変換器(101)は、前記差分制御部(100)から供給されるデジタル信号である前記駆動電圧指令信号(DDRV)に応答してアナログ駆動電圧指令信号(ADRV)を生成して、前記アナログ駆動電圧指令信号(ADRV)を前記ドライバ出力部(102)の前記入力端子に供給する。
【0044】
前記駆動電流検出増幅器(103)は、前記検出抵抗(Rs)に流れる前記駆動電流(Ivcm)に応答して、駆動電流アナログ増幅信号を生成する。
【0045】
前記アナログ・デジタル変換器(104)は、前記駆動電流検出増幅器(103)から生成される前記駆動電流アナログ増幅信号に応答して、前記差分制御部(100)の帰還端子にフィードバックされるデジタル検出信号である前記駆動電流検出信号(DIVCM)を生成することを特徴とするものである(
図1参照)。
【0046】
他のより好適な実施の形態では、前記ドライバ出力部(102)は、プリドライバ(1021)と第1ドライバ出力増幅器(1025)と第2ドライバ出力増幅器(1026)とを含む。
【0047】
前記プリドライバ(1021)の入力端子には、前記デジタル・アナログ変換器(101)から生成される前記アナログ駆動電圧指令信号(ADRV)が供給される。
【0048】
前記プリドライバ(1021)の出力端子は前記第1ドライバ出力増幅器(1025)の入力端子と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)の入力端子に接続され、前記第1ドライバ出力増幅器(1025)の出力端子と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)の出力端子とは前記モータ(VCM)と前記検出抵抗(Rs)の前記直列接続の一端と他端とにそれぞれ接続可能とされる。
【0049】
パルス駆動動作モードでは、前記第1ドライバ出力増幅器(1025)と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)とは、前記プリドライバ(1021)の前記出力端子の電圧レベルに比例するパルス幅を有する駆動パルスを生成する。
【0050】
前記パルス駆動動作モードと異なったリニア駆動モードでは、前記第1ドライバ出力増幅器(1025)と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)とは、前記プリドライバ(1021)の前記出力端子の電圧レベルに比例する増幅出力信号を生成することを特徴とするものである(
図1参照)。
【0051】
更に他のより好適な実施の形態によれば、前記パルス駆動動作モードでは、前記第1ドライバ出力増幅器(1025)と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)とがD級増幅動作を実行するように前記第1ドライバ出力増幅器(1025)と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)の各トランジスタには所定のバイアス電圧が供給される。
【0052】
前記リニア駆動モードでは、前記第1ドライバ出力増幅器(1025)と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)とがAB級増幅動作を実行するように前記第1ドライバ出力増幅器(1025)と前記第2ドライバ出力増幅器(1026)の前記各トランジスタには前記所定のバイアス電圧よりも大きなバイアス電圧が供給されることを特徴とする(
図1参照)。
【0053】
別のより好適な実施の形態では、前記デジタル・アナログ変換器(101)は、ΣΔ型デジタル・アナログ変換器であることを特徴とするものである(
図1参照)。
【0054】
更に別のより好適な実施の形態では、前記アナログ・デジタル変換器(104)は、オーバー・サンプリングΣΔ型アナログ・デジタル変換器であることを特徴とするものである(
図1参照)。
【0055】
具体的な実施の形態によるモータ制御装置は、前記オーバー・サンプリングΣΔ型アナログ・デジタル変換器(104)の出力端子と前記差分制御部(100)の前記帰還端子との間に接続されたデシメーションフィルタ(105)を更に具備する。
【0056】
前記デシメーションフィルタ(105)は、前記オーバー・サンプリングΣΔ型アナログ・デジタル変換器の変換出力信号の間引き処理と前記オーバー・サンプリングΣΔ型アナログ・デジタル変換器の高周波領域の量子化雑音を抑圧するローパスフィルタ処理とを実行することを特徴とするものである(
図1参照)。
【0057】
他の具体的な実施の形態によるモータ制御装置は、前記デシメーションフィルタ(105)の出力端子と前記差分制御部(100)の前記帰還端子との間に接続されたオフセットキャリブレーション部(106)を更に具備する。
【0058】
前記オフセットキャリブレーション部(106)は、校正レジスタ(1061)とオフセットデジタル減算器(1062)とを含む。
【0059】
前記検出抵抗(Rs)の前記駆動電流(Ivcm)が実質的にゼロに設定された状態で、前記駆動電流検出増幅器(103)と前記アナログ・デジタル変換器(104)と前記デシメーションフィルタ(105)との誤差情報が、前記校正レジスタ(1061)に格納される。
【0060】
通常動作では、前記オフセットデジタル減算器(1062)は、前記デシメーションフィルタ(105)の前記出力信号から前記校正レジスタ(1061)に格納された前記誤差情報を減算することで、前記差分制御部(100)の前記帰還端子にフィードバックされる前記デジタル検出信号である前記駆動電流検出信号(DIVCM)を生成することを特徴とする(
図1参照)。
【0061】
より具体的な実施の形態では、前記モータは、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘッドを移動するボイスコイルモータ(VCM)であることを特徴とするものである(
図1参照)。
【0062】
他のより具体的な実施の形態では、前記差分制御部(100)は、前記差分制御部(100)の前記指令入力端子に供給される前記駆動電流指令値(VCMCRNT)と前記差分制御部(100)の前記帰還端子にフィードバックされる前記駆動電流検出信号(DIVCM)とのデジタル減算を実行するデジタル減算器(1002)を含む。
【0063】
前記デジタル減算器(1002)の出力端子から、前記デジタル・アナログ変換器(101)に供給される前記デジタル信号である前記駆動電圧指令信号(DDRV)が生成されることを特徴とする(
図1参照)。
【0064】
他のより具体的な実施の形態では、前記負荷短絡検出回路の前記第1比較器の前記一方の入力端子が接続される前記いずれかの回路ノードは、前記差分制御部の前記デジタル減算器と前記第1ドライバ出力増幅器と前記第2ドライバ出力増幅器と前記デジタル・アナログ変換器と前記駆動電流検出増幅器とのいずれかの出力端子であることを特徴とする。
【0065】
最も具体的な実施の形態では、前記差分制御部と前記デジタル・アナログ変換器と前記ドライバ出力部と前記駆動電流検出増幅器と前記アナログ・デジタル変換器と前記デシメーションフィルタと前記オフセットキャリブレーション部は、半導体集積回路の半導体チップに集積化されたことを特徴とする(
図1参照)。
【0066】
〔2〕別の観点の代表的な実施の形態は、差分制御部(100)とドライバ出力部(102)と駆動電流検出増幅器(103)と負荷短絡検出回路(108)とを具備するモータ駆動制御装置の動作方法である。
【0067】
前記ドライバ出力部(102)の出力端子には、モータ(VCM)と検出抵抗(Rs)との直列接続が接続可能とされる。
【0068】
前記差分制御部(100)は、駆動電流指令値(VCMCRNT)と駆動電流検出信号(DIVCM)に応答して駆動電圧指令信号(DDRV、ADRV)を生成して前記ドライバ出力部(102)の入力端子に供給する。
【0069】
前記ドライバ出力部(102)は、前記差分制御部(100)から生成される前記駆動電圧指令信号(DDRV、ADRV)に応答して、前記モータ(VCM)と前記検出抵抗(Rs)との前記直列接続を駆動する駆動出力信号を生成する。
【0070】
前記駆動電流検出増幅器(103)は、前記検出抵抗(Rs)に流れる駆動電流(Ivcm)に応答して、前記差分制御部(100)にフィードバックされる前記駆動電流検出信号(DIVCM)を生成する。
【0071】
前記差分制御部(100)と、前記ドライバ出力部(102)と、前記モータ(VCM)と前記検出抵抗(Rs)との前記直列接続と、前記駆動電流検出増幅器(103)とを含むフィードバックループのいずれかの回路ノードに、前記負荷短絡検出回路(108)の入力端子が接続される。
【0072】
前記負荷短絡検出回路(108)は、前記モータ(VCM)の両端間の短絡状態に起因して前記いずれかの回路ノードに発生する異常発振波形信号を検出することを特徴とするものである(
図1参照)。
【0073】
前記実施の形態によれば、モータ(VCM)の両端間の短絡の検出と両端間の短絡による異常発振の検出を可能とすることができる。
【0074】
2.実施の形態の詳細
次に、実施の形態について更に詳述する。尚、発明を実施するための最良の形態を説明するための全図において、前記の図と同一の機能を有する部品には同一の符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0075】
[実施の形態1]
《半導体集積回路の構成の概要》
図1は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘッドを移動するボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバと呼ばれる実施の形態1による半導体集積回路ICの構成を示した図である。尚、半導体集積回路ICは、モータ駆動制御装置を構成する。
【0076】
具体的には、
図1に示す半導体集積回路IC(ドライバIC)は、磁気ディスクを高速回転するスピンドルモータを駆動するためのスピンドルモータドライバとボイスコイルモータを駆動するためのボイスコイルモータドライバとを集積化したコンボ(COMBO)ドライバと呼ばれる高集積密度の半導体集積回路である。
【0077】
図1に示した半導体集積回路ICの半導体チップには、デジタル差分生成・位相補償制御部100とデジタル・アナログ変換器101とドライバ出力部102と駆動電流検出増幅器103とアナログ・デジタル変換器104とデシメーションフィルタ105とオフセットキャリブレーション部106とシリアル入出力インターフェース107と負荷短絡検出回路108とが集積化されている。
【0078】
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのために、コイルLと寄生抵抗RLを有するボイスコイルモータ(VCM)と電流検出抵抗Rsが、ドライバ出力部102の第1および第2VCMドライバ出力端子VCMP、VCMNに接続される。
【0079】
《半導体集積回路の詳細な構成》
以下に、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの詳細な構成について、説明する。
【0080】
《デジタル差分生成・位相補償制御部》
デジタル差分生成・位相補償制御部100は、デジタル乗算器により構成されたデジタル増幅器1001と、デジタル減算器1002と、2個のデジタル乗算器1003、1004と、デジタル積分器1005と、デジタル加算器1006とを含んでいる。
【0081】
デジタル差分生成・位相補償制御部100は、コントローラから供給されるデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報と駆動電流検出増幅器103のボイスコイルモータ駆動電流情報から生成されるデジタル駆動電流検出信号DIVCMのフィードバック情報との電流差分情報IERRを生成してドライバ出力部102の入力に供給される駆動電圧指令信号DDRV、ADRVを生成する。
【0082】
デジタル乗算器により構成されたデジタル増幅器1001は、シリアル入出力インターフェース107を介して外部のマイクロコンピュータ等のコントローラから供給されるデジタル駆動電流指令値VCMCRNTをデジタル増幅する。デジタル増幅器1001によってデジタル増幅されたデジタル駆動電流指令値VCMCRNTはデジタル減算器1002の一方の入力端子に供給され、オフセットキャリブレーション部106のデジタル増幅器1063から生成されるデジタル駆動電流検出信号DIVCMはデジタル減算器1002の他方の入力端子に供給される。その結果、デジタル減算器1002の出力端子から生成されるデジタル差分駆動電流情報IERRが、デジタル乗算器1003の一方の入力端子とデジタル乗算器1004の一方の入力端子とに供給される。
【0083】
シリアル入出力インターフェース107の2個の制御レジスタには外部のマイクロコンピュータ等のコントローラから積分ゲイン情報IGAINと比例ゲイン情報PGAINとが事前に格納されている。従って、シリアル入出力インターフェース107からデジタル乗算器1003の他方の入力端子とデジタル乗算器1004の他方の入力端子とには、積分ゲイン情報IGAINと比例ゲイン情報PGAINとがそれぞれ供給される。その結果、デジタル乗算器1003はデジタル減算器1002のデジタル差分駆動電流情報IERRとシリアル入出力インターフェース107の積分ゲイン情報IGAINとの乗算を実行して、その乗算結果をデジタル積分器1005の入力端子に供給する。更にデジタル乗算器1004はデジタル減算器1002のデジタル差分駆動電流情報IERRとシリアル入出力インターフェース107の比例ゲイン情報PGAINの乗算を実行して、その乗算結果をデジタル加算器1006の一方の入力端子に供給する。またデジタル加算器1006の他方の入力端子にはデジタル積分器1005の出力端子からデジタル差分駆動電流積分情報が供給され、デジタル加算器1006の一方の入力端子にデジタル乗算器1004の出力端子からデジタル差分駆動電流比例情報が供給されている。従って、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル加算器1006の出力端子から生成されるデジタル駆動電圧指令信号DDRVとしてのデジタル差分駆動電流比例積分情報(比例積分情報)は、デジタル・アナログ変換器101の入力端子に供給される。
【0084】
《デジタル・アナログ変換器》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICでは、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル加算器1006の出力端子から生成されるデジタル駆動電圧指令信号DDRVは、デジタル・アナログ変換器101によってアナログ駆動電圧指令信号ADRVに変換されドライバ出力部102の入力端子に供給される。
【0085】
このデジタル・アナログ変換器101には、高速で高分解能のD/A変換が可能なΣΔ型デジタル・アナログ変換器が使用されている。ΣΔ型デジタル・アナログ変換器の構成回路の大部分がデジタル回路であるので、半導体集積回路ICの微細化半導体製造プロセスによって、低消費電力と高速化とを実現することが可能である。更にΣΔ型デジタル・アナログ変換器では、ΣΔ変調によって変換出力信号と入力信号の差分が生成され、この差分が積分され、この積分値が最小となるようにフィードバック処理が実行される。その結果、ノイズ・シェーピング効果と呼ばれるように、ΣΔ型デジタル・アナログ変換器の比較器の出力に含まれる量子化雑音は高周波数へシフトするので、高いS/N比を実現することが可能である。
【0086】
《ドライバ出力部》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICでは、ドライバ出力部102はデジタル・アナログ変換器101からのアナログ駆動電圧指令信号ADRVに応答して、第1VCMドライバ出力端子VCMPと第2VCMドライバ出力端子VCMNの間に接続された電流検出抵抗Rsとボイスコイルモータ(VCM)とを駆動するものである。尚、ボイスコイルモータ(VCM)は、コイルLと寄生抵抗RLとを直列に含んだものである。
【0087】
図1に示すように、ドライバ出力部102は、プリドライバ1021と帰還容量1022と帰還抵抗1023とPWM変調器1024と第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026と帰還増幅器1027とによって構成されている。
【0088】
プリドライバ1021の非反転入力端子+にはデジタル・アナログ変換器101からのアナログ駆動電圧指令信号ADRVが供給されて、プリドライバ1021の反転入力端子−には帰還容量1022と帰還抵抗1023とを介して帰還増幅器1027の帰還出力信号が供給される。プリドライバ1021の出力信号はPWM変調器1024の入力端子に接続され、PWM変調器1024の出力端子は第1VCMドライバ出力増幅器1025の第1入力端子In1と第2VCMドライバ出力増幅器1026の第1入力端子In1とに接続されている。更にプリドライバ1021の出力信号は、第1VCMドライバ出力増幅器1025の第2入力端子In2と第2VCMドライバ出力増幅器1026の第2入力端子In2とに供給される。
【0089】
また、第1VCMドライバ出力増幅器1025の出力端子は第1VCMドライバ出力端子VCMPと帰還増幅器1027の反転入力端子−とに接続され、第2VCMドライバ出力増幅器1026の出力端子は第2VCMドライバ出力端子VCMNと帰還増幅器1027の非反転入力端子+に接続されている。
【0090】
更に、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026には、シリアル入出力インターフェース107を介して外部のマイクロコンピュータ等のコントローラからPWM動作イネーブル信号PWMENAが供給される。
【0091】
ハイレベルのPWM動作イネーブル信号PWMENAが供給される場合に、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とは、PWM変調器1024から第1入力端子In1に供給される三角波PWMキャリア信号とプリドライバ1021から第2入力端子In2に供給されるプリドライバ出力信号に応答する。従って、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とは、プリドライバ1021のプリドライバ出力信号の電圧レベルに比例するパルス幅を有する駆動パルス出力信号を生成する。その際に、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026の増幅トランジスタにハイレベルのPWM動作イネーブル信号PWMENAに応答して小さなバイアス電圧が供給されるので、増幅トランジスタはD級増幅動作を実行して増幅トランジスタの消費電力が低減されることが可能となる。
【0092】
尚、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とから逆位相の駆動パルス出力信号が生成され、ボイスコイルモータ(VCM)の両端子はこの逆位相の駆動パルス出力信号により駆動される。この駆動パルス幅が変化するPWM制御によるパルス駆動モードは、例えばシーク動作等の磁気ヘッドの移動駆動量の大きい場合に好適なものとなる。
【0093】
ローレベルのPWM動作イネーブル信号PWMENAが供給される場合には、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とは、プリドライバ1021のプリドライバ出力信号の電圧レベルに比例する増幅出力信号を生成するリニア駆動モードを実行する。従って、この場合には、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とは、PWM変調器1024から第1入力端子In1に供給される三角波PWMキャリア信号に対して、非応答となる。その際に、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026の増幅トランジスタにはローレベルのPWM動作イネーブル信号PWMENAに応答して大きなバイアス電圧が供給され、増幅トランジスタはAB級増幅動作を実行して増幅トランジスタの増幅信号歪みが低減されることが可能となる。
【0094】
尚、第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とからは逆位相の線形増幅出力信号が生成されて、ボイスコイルモータ(VCM)の両端子はこの逆位相の線形増幅出力信号によって駆動される。この増幅振幅が変化するアナログ制御によるリニア駆動モードは、例えばトラックフォロー動作等の磁気ヘッドの移動駆動量の小さい場合に好適なものとなる。
【0095】
図1に示したドライバ出力部102に含まれたプリドライバ1021と帰還容量1022と帰還抵抗1023と帰還増幅器1027とは、ドライバ出力部102の増幅精度を向上する負帰還ループとして機能する。第1VCMドライバ出力増幅器1025と第2VCMドライバ出力増幅器1026とがパルス駆動モードとリニア駆動モードとのいずれで動作する場合も、この負帰還ループが機能する。すなわち、帰還増幅器1027は第1VCMドライバ出力増幅器1025の出力端子と第2VCMドライバ出力増幅器1026の出力端子との間の端子間増幅電圧を検出して、検出した端子間増幅電圧をプリドライバ1021の反転入力端子−に供給する。プリドライバ1021の非反転入力端子+にはデジタル・アナログ変換器101からのアナログ駆動電圧指令信号ADRVが供給されているので、プリドライバ1021の反転入力端子−の電圧情報はプリドライバ1021の非反転入力端子+の電圧情報と一致するように負帰還ループが機能する。従って、プリドライバ1021の非反転入力端子+のアナログ駆動電圧指令信号ADRVとプリドライバ1021の反転入力端子−に伝達される第1および第2のVCMドライバ出力増幅器1025、1026の両出力端子間増幅電圧とが一致するものとなる。尚、帰還容量1022と帰還抵抗1023とは、負帰還ループの安定性を向上するための位相補償回路として機能するとともにPWM動作時において帰還増幅器1027のパルス波形状態の出力信号を平滑化するためのフィルタとして機能する。
【0096】
《駆動電流検出増幅部》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICでは、駆動電流検出増幅器103の差動入力端子に2個の電流検出端子RSINP、RSINNを介して電流検出抵抗Rsの両端子間電圧が供給される。一方の電流検出端子RSINPは抵抗1032を介して駆動電流検出増幅部103の差動増幅器1031の非反転入力端子+に接続され、この非反転入力端子+には抵抗1033を介して基準電圧V
REFが供給される。他方の電流検出端子RSINNは抵抗1034を介して駆動電流検出増幅部103の差動増幅器1031の反転入力端子−に接続され、この反転入力端子−は抵抗1035を介して差動増幅器1031の出力端子に接続される。
【0097】
従って、駆動電流検出増幅器103は、ボイスコイルモータ(VCM)に直列接続された電流検出抵抗Rsに流れるコイル駆動電流Ivcmの電流値を検出する。このボイスコイルモータ(VCM)の駆動電流情報は、デジタル差分生成・位相補償制御部100へのデジタル駆動電流検出信号DIVCMのフィードバック情報として使用される。
【0098】
《アナログ・デジタル変換器》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICでは、駆動電流検出増幅器103の出力端子からのアナログ増幅出力信号はアナログ・デジタル変換器104によってデジタル電流検出信号に変換されてデシメーションフィルタ105の入力端子に供給される。
【0099】
このアナログ・デジタル変換器104には、折り返し雑音と量子化雑音とを低減でき、更に回路規模の小さいと言う特徴を持ったオーバー・サンプリングΣΔ型アナログ・デジタル変換器が使用されている。このΣΔ型アナログ・デジタル変換器は、アナログ減算器とアナログ積分器と比較器と遅延回路と1ビットローカルデジタル・アナログ変換器によって構成できるので、回路規模を低減することが可能となる。更にΣΔ型アナログ・デジタル変換器でも、差分生成と差分積分と積分値フィードバック処理とが実行されるので、ノイズ・シェーピング効果によって高いS/N比を実現することが可能である。
【0100】
《デシメーションフィルタ》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのデシメーションフィルタ105は、上述したオーバー・サンプリングΣΔ型アナログ・デジタル変換器104によって高くなったサンプリングレートを適度なサンプリングレートまで落とすための間引き処理を実行する。またこのデシメーションフィルタ105は、ΣΔ型アナログ・デジタル変換器104によるノイズ・シェーピング効果により低周波領域の量子化雑音が減少した分、増大した高周波領域の量子化雑音を抑圧するためのローパスフィルタとして機能する。従って、このデシメーションフィルタ105は、デジタルフィルタによって構成されるが、ローパスフィルタと間引き回路とから構成される。
【0101】
《オフセットキャリブレーション部》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのオフセットキャリブレーション部106は、上述したデジタル差分生成・位相補償制御部100によるフィードバック制御に先行して駆動電流検出増幅器103とアナログ・デジタル変換器104とデシメーションフィルタ105の誤差を低減するためのキャリブレーション動作を実行する。この動作を実行するために、ボイスコイルモータ(VCM)の駆動電流Ivcmの電流値がゼロに制御され、電流検出抵抗Rsの両端子間電圧が2個の電流検出端子RSINP、RSINNを介して駆動電流検出増幅器103の差動入力端子に供給される。この状態での駆動電流検出増幅器103の誤差とアナログ・デジタル変換器104の誤差とデシメーションフィルタ105の誤差の全誤差情報は、オフセットキャリブレーション部106の校正レジスタ1061に格納される。キャリブレーションイネーブル信号CALENAに応答して、上述の全誤差情報はデシメーションフィルタ105からオフセットキャリブレーション部106の校正レジスタ1061に格納され保持される。
【0102】
その後の駆動電流検出動作では、オフセットキャリブレーション部106の校正レジスタ1061に保持された誤差情報がデジタル減算器1062に供給されて、デジタル減算器1062において全ての通常検出情報から校正レジスタ1061の誤差情報が減算される。この全ての通常検出情報は、駆動電流検出増幅器103の通常出力信号とアナログ・デジタル変換器104の通常変換信号とデシメーションフィルタ105の通常出力信号の全てを含んでいる。オフセットキャリブレーション部106のデジタル減算器1062の減算出力信号は、デジタル乗算器によって構成されたデジタル増幅器1063によってデジタル増幅されることによって、デジタル増幅器1063の出力からデジタル駆動電流検出信号DIVCMが生成される。従って、オフセットキャリブレーション部106のデジタル増幅器1063の出力から生成されるデジタル駆動電流検出信号DIVCMに含まれる誤差成分を、十分に低減することが可能となる。
【0103】
《負荷短絡検出回路》
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108は、第1比較器1081とカウンタ1082と第2比較器1083とを含んでいる。
【0104】
デジタルコンパレータとして構成された第1比較器1081の非反転入力端子+と反転入力端子−には、デジタル減算器1002から生成されるデジタル差分駆動電流情報IERRとシリアル入出力インターフェース107から生成されるデジタル電流しきい値ITHとがそれぞれ供給される。カウンタ1082のカウント入力端子にはデジタルコンパレータとして構成された第1比較器1081の比較出力信号が供給され、カウンタ1082のリセット入力端子rstnには略一定の時間間隔でハイレベルの遮断許可信号SHTD_ENAが供給される。デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の非反転入力端子+と反転入力端子−には、カウンタ1082のカウント出力信号とシリアル入出力インターフェース107から生成されるデジタルカウントしきい値NTHとがそれぞれ供給される。更に、デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の出力端子からは、負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETが生成される。
【0105】
《正常動作状態での負荷短絡検出回路の動作》
次に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108の動作を、以下に説明する。
【0106】
磁気ヘッドのシーク動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ハイレベルの場合)とトラックフォロー動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ローレベルの場合)のいずれの場合も、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡されていない場合を想定する。この場合には、ハードディスク装置(HDD)のボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmをフィードバック制御するデジタル差分生成・位相補償制御部100の動作によってデジタル駆動電流指令値VCMCRNTとデジタル駆動電流検出信号DIVCMとの電流差分情報IERRが略ゼロとなる。すなわち、デジタル差分生成・位相補償制御部100の動作によって、コントローラから供給されるデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報と駆動電流検出増幅器103のボイスコイルモータ駆動電流情報から生成されるデジタル駆動電流検出信号DIVCMのフィードバック情報との電流差分情報IERRが略ゼロとなるように、フィードバック制御される。その結果、デジタル差分生成・位相補償制御部100のこのようなフィードバック動作によって、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値が設定される。
【0107】
上述したようにボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態においては、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル減算器1002から生成される電流差分情報IERRが略ゼロとなる。従って、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の非反転入力端子+に供給されるデジタル差分駆動電流情報IERRのデジタル値は、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の反転入力端子−に供給されるデジタル電流しきい値ITHよりも小さな値となる。その結果、カウンタ1082は、カウントアップ動作することなくリセット入力端子rstnに略一定の時間間隔で供給されるハイレベルの遮断許可信号SHTD_ENAに応答してカウント初期値のゼロの値に維持される。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の非反転入力端子+に供給されるカウンタ1082の出力のカウント初期値のゼロの値は、第2比較器1083の反転入力端子−に供給されるデジタルカウントしきい値NTHよりも小さな値となる。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ローレベルとなる。その結果、
図1に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータ等のコントローラは、ローレベルの遮断検出信号SHT_DETから、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態で正常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を継続する。
【0108】
《異常動作状態での負荷短絡検出回路の動作》
次に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108の動作を、以下に説明する。
【0109】
磁気ヘッドのシーク動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ハイレベルの場合)とトラックフォロー動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ローレベルの場合)のいずれの場合も、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態の場合を想定する。この場合には、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡によってボイスコイルモータドライバが超軽負荷状態となって、ボイスコイルモータのコイルの駆動電流をフィードバック制御する際に位相余裕が不足して異常発振が発生する。この異常発振によって、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル減算器1002の出力端子からデジタル減算器1002の一方の入力端子までのフィードバックループのいずれかの回路ノードで比較的大きな振幅を有する異常発振波形信号が生成される。
【0110】
この異常発振が発生する状態では、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmをフィードバック制御するデジタル差分生成・位相補償制御部100の動作によっても、デジタル駆動電流指令値VCMCRNTとデジタル駆動電流検出信号DIVCMとの電流差分情報IERRを略ゼロに制御することが不可能となる。すなわち、デジタル差分生成・位相補償制御部100が動作したとしても、コントローラから供給されるデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報と駆動電流検出増幅器103のボイスコイルモータ駆動電流情報から生成されるデジタル駆動電流検出信号DIVCMのフィードバック情報の電流差分情報IERRが略ゼロとなるように、フィードバック制御を実行することが不可能となる。
【0111】
このように、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態においては、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル減算器1002から生成される電流差分情報IERRが略ゼロとならない。従って、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の非反転入力端子+に供給されるデジタル差分駆動電流情報IERRのデジタル値は、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の反転入力端子−に供給されるデジタル電流しきい値ITHよりも異常発振周波数で決定される異常発振周期で大きな瞬時値となる。その結果、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の出力端子からは、上述した異常発振周期でハイレベルの比較出力パルス信号が生成される。従って、異常発振周期で生成されるハイレベルの比較出力パルス信号に応答してカウンタ1082はカウントアップ動作を実行して、カウンタ1082のカウントアップ値はカウント初期値のゼロ値から増加する。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の非反転入力端子+に供給されるカウンタ1082のカウントアップ値は、第2比較器1083の反転入力端子−に供給されるデジタルカウントしきい値NTHよりも大きな値となる。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ハイレベルとなる。その結果、
図1に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETからボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態で異常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を終了する。例えば、マイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答してドライバ出力部102の動作を停止する。それによって、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が、終了されるものである。
【0112】
上述した
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態において、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が終了されることが可能である。従って、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡状態においてボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバの発煙もしくは発火を防止することが可能となるものである。
【0113】
更に、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICでは、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態であるか否かの負荷短絡検出動作は、ハードディスク装置(HDD)でリード/ライト動作を実行するためにホストからの命令に従ってロード動作によって磁気ヘッドをランプ機構の退避位置からディスク媒体表面に移動する以前に実行される。他の方法では、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態であるか否かの負荷短絡検出動作は、上述したロード動作の以降で、磁気ヘッドの移動駆動量の大きいシーク動作の以前に実行される。
【0114】
《正常動作状態における特性》
図2は、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICがボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値をフィードバック制御する動作を実行する際に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態における特性を示す図である。
【0115】
図2(A)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICにより駆動されるボイスコイルモータ(VCM)の負荷の周波数特性を示したものである。
【0116】
図2(A)に示すようにボイスコイルモータ(VCM)のコイルLと寄生抵抗R
Lとで決定されるポール周波数fp=R
L/(2πL)よりも十分に低い周波数帯域では、電流検出抵抗Rsと寄生抵抗R
Lとによってボイスコイルモータ(VCM)のゲインGain=1/(RsR
L)が決定されるものである。このポール周波数fp=R
L/(2πL)よりも十分に高い周波数帯域では、ボイスコイルモータ(VCM)のゲインGainは、1次の積分特性に従って周波数の増加に応答して減少する。尚、ポール周波数fp=R
L/(2πL)と等しい周波数では、ボイスコイルモータ(VCM)のゲインGainを決定する伝達関数の分母が略ゼロとなり、この周波数はポール(極)と呼ばれる。
【0117】
図2(B)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのデジタル差分生成・位相補償制御部100の周波数特性を示したものである。
【0118】
図2(B)に示したように、デジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainは周波数の増加に従って低下して、デジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainを決定する伝達関数の分子が略ゼロとなる周波数は零点と呼ばれる。特に、デジタル差分生成・位相補償制御部100の零点周波数fzは、
図2(A)に示したボイスコイルモータ(VCM)のゲインGainのポール周波数fp=R
L/(2πL)と実質的に等しく設定されている。従って、
図2(B)に示したように、零点周波数fz(ポール周波数fp)よりも十分に低い周波数帯域では、デジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainはデジタル積分器1005の積分ゲイン情報IGAINに依存する1次の積分特性に従い周波数の増加に応答して減少する。またこの零点周波数fz(ポール周波数fp)よりも十分に高い周波数帯域では、デジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainは、デジタル乗算器1004の比例ゲイン情報PGAINに従って周波数の変化に対して実質的に無関係の値に維持される。
【0119】
図2(C)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのその他の回路部分の合成周波数特性を示したものである。尚、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのその他の回路部分は、デジタル・アナログ変換器101とドライバ出力部102と駆動電流検出増幅器103とアナログ・デジタル変換器104とデシメーションフィルタ105とオフセットキャリブレーション部106とを含むものである。
【0120】
図2(C)に示すようにボイスコイルモータ(VCM)のコイルLと寄生抵抗R
Lとで決定されるポール周波数fp=R
L/(2πL)よりも相当高い周波数帯域まで、その他の回路部分のゲインGainは周波数の変化に対して実質的に無関係の値に維持される。しかし、相当高い周波数帯域より更に高い周波数帯域では、その他の回路部分のゲインGainは高次の積分特性に従って周波数の増加に応答して急激に減少する。
【0121】
図2(D)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態である正常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの全体の周波数特性を示したものである。尚、
図2(D)に示す実施の形態1による半導体集積回路ICの全体の周波数特性は、
図2(A)に示したボイスコイルモータ(VCM)の負荷の周波数特性と
図2(B)に示したデジタル差分生成・位相補償制御部100の周波数特性と
図2(C)に示したその他の回路部分の合成周波数特性とを重畳した周波数特性である。
【0122】
図2(D)に示したように
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの全体の周波数特性では、
図2(A)に示したボイスコイルモータ(VCM)のゲインGainのポールと
図2(B)に示したデジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainの零点とは打ち消される。その結果、
図2(D)に示した半導体集積回路ICの全体の周波数特性は、低周波帯域からゲインGainが0dBとなるカットオフ周波数f0まで1次の積分特性となって、ゲインGainが0dBとなるカットオフ周波数f0での位相は−180°に対して十分な位相余裕を持ち、閉ループ特性は安定するものとなる。
【0123】
《異常動作状態における特性》
図3は、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICがボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値をフィードバック制御する動作を実行する際に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における特性を示す図である。
【0124】
図3(A)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICにより駆動されるボイスコイルモータ(VCM)の負荷の周波数特性を示したものである。
【0125】
図3(A)に示すように、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡によってコイルLと寄生抵抗R
Lとがそれぞれ略ゼロとなるので、大きなゲインGain=1/(Rs)となるとともにゲイン周波数特性でポール(極)が消失して、極めて高い周波数まで大きなゲインGain=1/(Rs)が維持される。
【0126】
図3(B)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのデジタル差分生成・位相補償制御部100の周波数特性を示したものである。
【0127】
図3(B)に示した短絡状態の異常動作状態におけるデジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainは、
図2(B)に示した非短絡状態の正常動作状態におけるゲインGainと同様に周波数の増加に従って低下する。すなわち、
図3(B)に示したように、零点周波数fzよりも十分に低い周波数帯域では、非短絡状態の正常動作状態におけるデジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainはデジタル積分器1005の積分ゲイン情報IGAINに依存する1次の積分特性に従い周波数の増加に応答して減少する。またこの零点周波数fzよりも十分に高い周波数帯域では、非短絡状態の正常動作状態におけるデジタル差分生成・位相補償制御部100のゲインGainは、デジタル乗算器1004の比例ゲイン情報PGAINに従って周波数の変化に対して実質的に無関係の値に維持される。
【0128】
図3(C)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのその他の回路部分の合成周波数特性を示したものである。尚、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICのその他の回路部分は、デジタル・アナログ変換器101とドライバ出力部102と駆動電流検出増幅器103とアナログ・デジタル変換器104とデシメーションフィルタ105とオフセットキャリブレーション部106とを含むものである。
【0129】
図3(C)に示すように零点周波数fzよりも相当高い周波数帯域まで、短絡状態の異常動作状態におけるその他の回路部分のゲインGainは、周波数の変化に対して実質的に無関係の値に維持される。しかし、相当高い周波数帯域よりも更に高い周波数帯域では、短絡状態の異常動作状態におけるその他の回路部分のゲインGainは高次の積分特性に従って周波数の増加に応答して急激に減少する。
【0130】
図3(D)は、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの全体の周波数特性を示したものである。尚、
図3(D)に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの全体の周波数特性は、
図3(A)に示したボイスコイルモータ(VCM)の負荷の周波数特性と
図3(B)に示したデジタル差分生成・位相補償制御部100の周波数特性と
図3(C)に示したその他の回路部分の合成周波数特性とを重畳した周波数特性である。
【0131】
図3(D)に示したように
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの短絡状態の異常動作状態における全体の周波数特性では、零点周波数fzと
図2(D)に示したカットオフ周波数f0よりも高い周波数のカットオフ周波数f0´との間で、比較的大きなゲインGainを持つものとなる。その結果、ゲインGainが0dBとなる高い周波数のカットオフ周波数f0´での位相は−180°に対して十分な位相余裕を持たなくなって、閉ループ特性は不安定となり、異常発振が発生するものである。
【0132】
《異常動作状態における異常発振波形》
図4は、
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICがボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値をフィードバック制御する動作を実行する際に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態となることに起因して発生する異常発振における波形を示す図である。
【0133】
図4の上部にはドライバ出力部102の第1VCMドライバ出力端子電圧VCMPと第2VCMドライバ出力端子電圧VCMNの電圧波形が示され、
図4の下部にはボイスコイルモータ(VCM)に直列接続された電流検出抵抗Rsに流れるコイル駆動電流Ivcmの電流波形が示されている。
【0134】
図4に示す左側の期間T_openは、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が非短絡状態(オープン状態)である正常動作状態を示すものであり、ドライバ出力部102の第1VCMドライバ出力端子電圧VCMPと第2VCMドライバ出力端子電圧VCMNが安定な電圧に維持され、コイル駆動電流Ivcmが安定な電流に維持されるものである。
【0135】
図4に示した中央と右側の期間T_shortは、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態(ショート状態)である異常動作状態を示し、ドライバ出力部102の第1VCMドライバ出力端子電圧VCMPと第2VCMドライバ出力端子電圧VCMNが大振幅の発振電圧で変化して、コイル駆動電流Ivcmが大振幅の発振電流で変化するものである。
【0136】
このように
図4に示した期間T_shortで発生する異常発振に応答して
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICの負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ハイレベルとなる。その結果、
図1に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETからボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態で異常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を終了する。例えば、コントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答してドライバ出力部102の動作を停止する。それによってボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が、終了されるものである。従って、
図1に示す実施の形態1による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡状態においてボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバの発煙もしくは発火を防止することが可能となるものである。
【0137】
[実施の形態2]
図5は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘッドを移動するボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバと呼ばれる実施の形態2による半導体集積回路ICの構成を示した図である。
【0138】
図5に示した実施の形態2による半導体集積回路ICが
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICと相違するのは、下記の点である。
【0139】
すなわち、
図5に示した実施の形態2による半導体集積回路ICの負荷短絡検出回路108は、第1比較器1081とカウンタ1082と第2比較器1083とを含んでいる。
【0140】
アナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の非反転入力端子+と反転入力端子−には、ドライバ出力部102の第2VCMドライバ出力端子電圧VCMNとアナログ電圧しきい値V
THとがそれぞれ供給される。カウンタ1082のカウント入力端子にはアナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の比較出力信号が供給され、カウンタ1082のリセット入力端子rstnには略一定の時間間隔でハイレベルの遮断許可信号SHTD_ENAが供給される。
【0141】
デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の非反転入力端子+と反転入力端子−には、カウンタ1082のカウント出力信号とシリアル入出力インターフェース107から生成されるデジタルカウントしきい値NTHとがそれぞれ供給される。更に、デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の出力端子からは、負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETが生成される。
【0142】
《異常動作状態での負荷短絡検出回路の動作》
次に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図5に示した実施の形態2による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108の動作を、以下に説明する。
【0143】
磁気ヘッドのトラックフォロー動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ローレベルの場合)の場合において、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態の場合を想定する。この場合には、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡によってボイスコイルモータドライバが超軽負荷状態となって、ボイスコイルモータのコイルの駆動電流をフィードバック制御する際に位相余裕が不足して異常発振が発生する。この異常発振によって、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル減算器1002の出力端子からデジタル減算器1002の一方の入力端子までのフィードバックループのいずれかの回路ノードで比較的大きな振幅を有する異常発振波形信号が生成される。
【0144】
この異常発振が発生する状態では、
図4で説明したように、ドライバ出力部102の第1VCMドライバ出力端子電圧VCMPと第2VCMドライバ出力端子電圧VCMNが大振幅の発振電圧で変化する。
【0145】
従って、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の非反転入力端子+に供給されるドライバ出力部102の第2VCMドライバ出力端子電圧VCMNのアナログ電圧は、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の反転入力端子−に供給されるアナログ電圧しきい値V
THよりも異常発振周波数で決定される異常発振周期で大きな瞬時値となる。その結果、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の出力端子からは、上述した異常発振周期でハイレベルの比較出力パルス信号が生成される。従って、異常発振周期で生成されるハイレベルの比較出力パルス信号に応答してカウンタ1082はカウントアップ動作を実行して、カウンタ1082のカウントアップ値はカウント初期値のゼロ値から増加する。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の非反転入力端子+に供給されるカウンタ1082のカウントアップ値は、第2比較器1083の反転入力端子−に供給されるデジタルカウントしきい値NTHよりも大きな値となる。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ハイレベルとなる。その結果、
図5に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETからボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態で異常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を終了する。例えば、マイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答してデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報のデジタル値をゼロ値に設定する。それによって、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が、終了されるものである。
【0146】
尚、他の動作終了方法としては、負荷短絡検出回路108のハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答して、デジタル差分生成・位相補償制御部100の動作を停止したりデジタル・アナログ変換器101の動作を停止したりドライバ出力部102の動作を停止することも可能である。更に、
図5に示した実施の形態2による半導体集積回路ICでは、アナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の非反転入力端子+に、ドライバ出力部102の第1VCMドライバ出力端子電圧VCMPを供給することが可能である。
【0147】
上述した
図5に示した実施の形態2による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態において、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が終了されることが可能である。従って、
図5に示した実施の形態2による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡状態においてボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバの発煙もしくは発火を防止することが可能となるものである。尚、シーク動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ハイレベルの場合)の場合においては、第2VCMドライバ出力増幅器1026の出力端子電圧VCMN自体が正常状態においてはPWM動作によって大振幅動作が実行される。従って、この実施の形態2による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108は、シーク動作における短絡検出は困難な構成となるものである。
【0148】
[実施の形態3]
図6は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘッドを移動するボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバと呼ばれる実施の形態3による半導体集積回路ICの構成を示した図である。
【0149】
図6に示した実施の形態3による半導体集積回路ICが
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICと相違するのは、下記の点である。
【0150】
すなわち、
図6に示した実施の形態3による半導体集積回路ICの負荷短絡検出回路108は、第1比較器1081とカウンタ1082と第2比較器1083とを含んでいる。
【0151】
アナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の非反転入力端子+と反転入力端子−には、デジタル・アナログ変換器101の変換出力信号であるアナログ駆動電圧指令信号ADRVとアナログ電圧しきい値V
THとがそれぞれ供給される。カウンタ1082のカウント入力端子にはアナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の比較出力信号が供給され、カウンタ1082のリセット入力端子rstnには略一定の時間間隔でハイレベルの遮断許可信号SHTD_ENAが供給される。
【0152】
デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の非反転入力端子+と反転入力端子−には、カウンタ1082のカウント出力信号とシリアル入出力インターフェース107から生成されるデジタルカウントしきい値NTHとがそれぞれ供給される。更に、デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の出力端子からは、負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETが生成される。
【0153】
《異常動作状態での負荷短絡検出回路の動作》
次に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図6に示した実施の形態3による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108の動作を、以下に説明する。
【0154】
磁気ヘッドのシーク動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ハイレベルの場合)とトラックフォロー動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ローレベルの場合)のいずれの場合も、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態の場合を想定する。この場合には、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡によってボイスコイルモータドライバが超軽負荷状態となって、ボイスコイルモータのコイルの駆動電流をフィードバック制御する際に位相余裕が不足して異常発振が発生する。この異常発振によって、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル減算器1002の出力端子からデジタル減算器1002の一方の入力端子までのフィードバックループのいずれかの回路ノードで比較的大きな振幅を有する異常発振波形信号が生成される。
【0155】
この異常発振が発生する状態では、デジタル・アナログ変換器101の変換出力信号であるアナログ駆動電圧指令信号ADRVが大振幅の発振電圧で変化する。
【0156】
従って、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の非反転入力端子+に供給されるデジタル・アナログ変換器101のアナログ駆動電圧指令信号ADRVのアナログ電圧は、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の反転入力端子−に供給されるアナログ電圧しきい値V
THよりも異常発振周波数によって決定される異常発振周期で大きな瞬時値となる。その結果、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の出力端子から上述した異常発振周期でハイレベルの比較出力パルス信号が生成される。従って、異常発振周期で生成されるハイレベルの比較出力パルス信号に応答してカウンタ1082はカウントアップ動作を実行して、カウンタ1082のカウントアップ値はカウント初期値のゼロ値から増加する。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の非反転入力端子+に供給されるカウンタ1082のカウントアップ値は、第2比較器1083の反転入力端子−に供給されるデジタルカウントしきい値NTHより大きな値となる。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ハイレベルとなる。その結果、
図6に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータのコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETからボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態で異常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を終了する。例えば、マイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答してデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報のデジタル値をゼロ値に設定する。それによって、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が、終了されるものである。
【0157】
尚、他の動作終了方法としては、負荷短絡検出回路108のハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答して、デジタル差分生成・位相補償制御部100の動作を停止したりデジタル・アナログ変換器101の動作を停止したりドライバ出力部102の動作を停止することも可能である。
【0158】
上述した
図6に示した実施の形態3による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態において、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が終了されることが可能である。従って、
図6に示した実施の形態3による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡状態においてボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバの発煙もしくは発火を防止することが可能となるものである。
【0159】
[実施の形態4]
図7は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘッドを移動するボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバと呼ばれる実施の形態4による半導体集積回路ICの構成を示した図である。
【0160】
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICが
図1に示した実施の形態1による半導体集積回路ICと相違するのは、下記の点である。
【0161】
すなわち、
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICの負荷短絡検出回路108は、第1比較器1081とカウンタ1082と第2比較器1083とを含んでいる。
【0162】
アナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の非反転入力端子+と反転入力端子−には、駆動電流検出増幅器103からのボイスコイルモータ駆動電流情報としての増幅出力電圧とアナログ電圧しきい値V
THとがそれぞれ供給される。カウンタ1082のカウント入力端子にアナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の比較出力信号が供給され、カウンタ1082のリセット入力端子rstnには略一定の時間間隔でハイレベルの遮断許可信号SHTD_ENAが供給される。
【0163】
デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の非反転入力端子+と反転入力端子−には、カウンタ1082のカウント出力信号とシリアル入出力インターフェース107から生成されるデジタルカウントしきい値NTHとがそれぞれ供給される。更に、デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の出力端子からは、負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETが生成される。
【0164】
《異常動作状態での負荷短絡検出回路の動作》
次に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108の動作を、以下に説明する。
【0165】
磁気ヘッドのシーク動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ハイレベルの場合)とトラックフォロー動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ローレベルの場合)のいずれの場合も、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態の場合を想定する。この場合には、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡によってボイスコイルモータドライバが超軽負荷状態となって、ボイスコイルモータのコイルの駆動電流をフィードバック制御する際に位相余裕が不足して異常発振が発生する。この異常発振によって、デジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル減算器1002の出力端子からデジタル減算器1002の一方の入力端子までのフィードバックループのいずれかの回路ノードで比較的大きな振幅を有する異常発振波形信号が生成される。
【0166】
この異常発振が発生する状態では、駆動電流検出増幅器103からのボイスコイルモータ駆動電流情報としての増幅出力電圧が大振幅の発振電圧で変化する。
【0167】
従って、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の非反転入力端子+に供給される駆動電流検出増幅器103からのボイスコイルモータ駆動電流情報のアナログ増幅出力電圧は、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の反転入力端子−に供給されるアナログ電圧しきい値V
THよりも異常発振周波数によって決定される異常発振周期で大きな瞬時値となる。その結果、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の出力端子からは、上述した異常発振周期でハイレベルの比較出力パルス信号が生成される。従って、異常発振周期で生成されるハイレベルの比較出力パルス信号に応答してカウンタ1082はカウントアップ動作を実行して、カウンタ1082のカウントアップ値はカウント初期値のゼロ値から増加する。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の非反転入力端子+に供給されるカウンタ1082のカウントアップ値は、第2比較器1083の反転入力端子−に供給されるデジタルカウントしきい値NTHより大きな値となる。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ハイレベルとなる。その結果、
図7に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータのコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETからボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態で異常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を終了する。例えば、マイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答してデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報のデジタル値をゼロ値に設定する。それによって、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が、終了されるものである。
【0168】
尚、他の動作終了方法としては、負荷短絡検出回路108のハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答して、デジタル差分生成・位相補償制御部100の動作を停止したりデジタル・アナログ変換器101の動作を停止したりドライバ出力部102の動作を停止することも可能である。
【0169】
上述した
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態において、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が終了されることが可能である。従って、
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡状態においてボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバの発煙もしくは発火を防止することが可能となるものである。
【0170】
[実施の形態5]
図8は、ハードディスク装置(HDD)の磁気ヘッドを移動するボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバと呼ばれる実施の形態5による半導体集積回路ICの構成を示した図である。
【0171】
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICが
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICと相違するのは、下記の点である。
【0172】
すなわち、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICでは、
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICのデジタル差分生成・位相補償制御部100は、アナログ差分生成・位相補償制御部109に置換されている。この理由からデジタル・アナログ変換器101はシリアル入出力インターフェース107とアナログ差分生成・位相補償制御部109の間に接続され、デジタル・アナログ変換器101にはコントローラからシリアル入出力インターフェース107に供給されるデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報が供給される。デジタル・アナログ変換器101の出力のアナログ駆動電流指令値は、アナログ差分生成・位相補償制御部109の抵抗1092の一端に供給される。
【0173】
更に、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICの駆動電流検出増幅器103は、
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICの駆動電流検出増幅器103と異なる回路接続とされている。
【0174】
すなわち、
図8に示した駆動電流検出増幅器103では、一方の電流検出端子RSINPは抵抗1032を介して駆動電流検出増幅部103の差動増幅器1031の非反転入力端子+に接続され、この非反転入力端子+には抵抗1033を介して差動増幅器1031の出力端子に接続される。他方の電流検出端子RSINNは抵抗1034を介して駆動電流検出増幅部103の差動増幅器1031の反転入力端子−に接続され、この反転入力端子−は抵抗1035を介して基準電圧V
REFが供給される。従って、
図8に示した駆動電流検出増幅器103は、ボイスコイルモータ(VCM)に直列接続された電流検出抵抗Rsに流れるコイル駆動電流Ivcmに応答した反転増幅電圧を生成する。
図8に示した駆動電流検出増幅器103のボイスコイルモータ(VCM)の駆動電流反転増幅電圧の情報は、アナログ差分生成・位相補償制御部109の抵抗1093の一端に供給される。
【0175】
従って、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICのアナログ差分生成・位相補償制御部109の抵抗1092と抵抗1093とは、デジタル・アナログ変換器101の出力のアナログ駆動電流指令値と駆動電流検出増幅器103のボイスコイルモータ(VCM)の駆動電流反転増幅電圧のアナログ加算を実行する。すなわち、抵抗1092、1093は、デジタル・アナログ変換器101の出力のアナログ駆動電流指令値と駆動電流検出増幅器103のボイスコイルモータ(VCM)の駆動電流非反転増幅電圧とのアナログ減算AIERRを実行する。
【0176】
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICのアナログ差分生成・位相補償制御部109では、抵抗1092の他端と抵抗1093の他端はコンダクタンス増幅器1091の非反転入力端子+に接続され、コンダクタンス増幅器1091の非反転入力端子−に基準電圧Vrefが供給される。更にコンダクタンス増幅器1091の出力端子と基準電圧Vrefの間には、半導体集積回路ICの外部部品で構成される積分抵抗1094と成分容量1095とが直列接続されている。
【0177】
その結果、コンダクタンス増幅器1091は2個の抵抗1092、1093でのアナログ減算電圧AIERRに応答する出力電流を生成するので、この出力電流は積分抵抗1094と成分容量1095の直列接続に流れて、コンダクタンス増幅器1091の出力端子からアナログ減算積分電圧が生成される。従って、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICのアナログ差分生成・位相補償制御部109は、
図7に示した実施の形態4による半導体集積回路ICのデジタル差分生成・位相補償制御部100のデジタル信号処理と等価なアナログ信号処理を実行する。
【0178】
一方、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICの負荷短絡検出回路108は、第1比較器1081とカウンタ1082と第2比較器1083とを含んでいる。
【0179】
アナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の非反転入力端子+と反転入力端子−には、アナログ差分生成・位相補償制御部109の2個の抵抗1092、1093のアナログ減算電圧AIERRとアナログ電圧しきい値V
THとがそれぞれ供給される。カウンタ1082のカウント入力端子にアナログコンパレータとして構成された第1比較器1081の比較出力信号が供給され、カウンタ1082のリセット入力端子rstnには略一定の時間間隔でハイレベルの遮断許可信号SHTD_ENAが供給される。
【0180】
デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の非反転入力端子+と反転入力端子−には、カウンタ1082のカウント出力信号とシリアル入出力インターフェース107から生成されるデジタルカウントしきい値NTHとがそれぞれ供給される。更に、デジタルコンパレータとして構成された第2比較器1083の出力端子からは、負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETが生成される。
【0181】
《異常動作状態での負荷短絡検出回路の動作》
次に、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態における
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICに含まれた負荷短絡検出回路108の動作を、以下に説明する。
【0182】
磁気ヘッドのシーク動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ハイレベルの場合)とトラックフォロー動作(PWM動作イネーブル信号PWMENAが、ローレベルの場合)のいずれの場合も、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態の場合を想定する。この場合には、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡によってボイスコイルモータドライバが超軽負荷状態となって、ボイスコイルモータのコイルの駆動電流をフィードバック制御する際に位相余裕が不足して異常発振が発生する。この異常発振によって、アナログ差分生成・位相補償制御部109のコンダクタンス増幅器1091の出力端子からコンダクタンス増幅器1091の非反転入力端子+までのフィードバックループのいずれかの回路ノードで比較的大きな振幅を有する異常発振波形信号が生成される。
【0183】
このように、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態においては、アナログ差分生成・位相補償制御部109の2個の抵抗1092、1093のアナログ減算電圧AIERRが略ゼロとならない。従って、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の非反転入力端子+に供給されるアナログ差分生成・位相補償制御部109のアナログ減算電圧AIERRは、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の反転入力端子−に供給されるアナログ電圧しきい値V
THよりも異常発振周波数により決定される異常発振周期で大きな瞬時値となる。その結果、負荷短絡検出回路108の第1比較器1081の出力端子からは、上述した異常発振周期でハイレベルの比較出力パルス信号が生成される。従って、異常発振周期で生成されるハイレベルの比較出力パルス信号に応答してカウンタ1082はカウントアップ動作を実行して、カウンタ1082のカウントアップ値はカウント初期値のゼロ値から増加する。その結果、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の非反転入力端子+に供給されるカウンタ1082のカウントアップ値は、第2比較器1083の反転入力端子−に供給されるデジタルカウントしきい値NTHより大きな値となる。従って、負荷短絡検出回路108の第2比較器1083の出力端子から生成される負荷短絡検出信号としての遮断検出信号SHT_DETは、ハイレベルとなる。その結果、
図8に示した半導体集積回路ICのシリアル入出力インターフェース107に外部接続されたマイクロコンピュータのコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETからボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態で異常動作状態であることを認識してボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmのフィードバック制御動作を終了する。例えば、マイクロコンピュータ等のコントローラは、ハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答してデジタル駆動電流指令値VCMCRNTの指令情報のデジタル値をゼロ値に設定する。それによって、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が、終了されるものである。
【0184】
尚、他の動作終了方法としては、負荷短絡検出回路108のハイレベルの遮断検出信号SHT_DETに応答して、デジタル・アナログ変換器101の動作を停止したりドライバ出力部102の動作を停止することも可能である。
【0185】
上述した
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間が短絡状態である異常動作状態において、ボイスコイルモータ(VCM)のコイルの駆動電流Ivcmの電流値のフィードバック制御動作が終了されることが可能である。従って、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICによれば、ボイスコイルモータ(VCM)の両端間の短絡状態においてボイスコイルモータ(VCM)を駆動するためのボイスコイルモータドライバの発煙もしくは発火を防止することが可能となるものである。
【0186】
以上、本発明者によってなされた発明を種々の実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0187】
例えば、
図5の実施の形態2と
図6の実施の形態3と
図7の実施の形態4の各形態による半導体集積回路ICにおいて、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICと同様にデジタル差分生成・位相補償制御部100をアナログ差分生成・位相補償制御部109に置換することが可能である。その際には、
図5の実施の形態2と
図6の実施の形態3と
図7の実施の形態4の各形態による半導体集積回路ICの駆動電流検出増幅器103は、
図8に示した実施の形態5による半導体集積回路ICの駆動電流検出増幅器103の回路接続に変更されるものである。
【0188】
更に本発明によるモータ駆動制御装置は、ハードディスク装置(HDD)で使用されるボイスコイルモータ(VCM)を駆動するボイスコイルモータドライバにのみ限定されるものではない。例えば、超精密加工作業を行うための工業用ロボットのアームを駆動するためのモータドライバにも、本発明を適用することが可能である。