(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明装置は、発光面から前記被検査物までの距離と前記発光領域の幅方向長さの比が1:1〜1:4になるように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の外観検査装置。
前記画像合成部は、複数の集積画像データの各画素の値を加算して1つの合成画像データとすることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の外観検査装置。
前記照明装置は、前記被検査物を挟んで前記リニア撮像素子と対向する位置に、前記リニア撮像素子の光軸方向に光を照射するように配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載の外観検査装置。
さらに、前記被検査物を挟んで前記リニア撮像素子と対向する位置に、前記リニア撮像素子の光軸方向に対して斜め方向から光を照射するように配置されている第2照明装置を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1つに記載の外観検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係る外観検査装置について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる外観検査装置の構成を示す模式図である。
図2は、
図1の外観検査装置の光学系の例を示す模式図である。
【0027】
本実施形態にかかる外観検査装置1は、搬送装置(
図4符号11参照)によって搬送される被検査物100の搬送経路の途中に配置されたリニア撮像素子の一例としてのCCDラインセンサカメラ2によって被検査物を撮像し、撮像された画像データに基づいて被検査物100の傷や異物混入などを判断するための装置である。
【0028】
CCDラインセンサカメラ2による被検査物100の撮影用照明として、第1照明装置3及び第2照明装置4が設けられている。第1照明装置3及び第2照明装置4は、共にLEDを直線的に配列した線状光源であり、被検査物100を挟んでCCDラインセンサカメラ2と対向する位置に配置されている。第1照明装置3及び第2照明装置4から被検査物100に対して照射された光は、被検査物100を透過し、CCDラインセンサカメラ2に到達する。
【0029】
図2に示すように、第1照明装置3は、CCDラインセンサカメラ2の光軸L方向に沿って光を照射し、第2照明装置4は、CCDラインセンサカメラ2の光軸L方向に対して斜め方向から光を照射するように配置されている。すなわち、第1照明装置3は、CCDラインセンサカメラ2の撮像視野に対し、直接的に光を照射する明視野としての光源であり、第2照明装置4は、CCDラインセンサカメラ2に、被検査物100の投射拡散光を照射する暗視野としての光源として機能する。
【0030】
第1照明装置3は、例えば、LED発光素子を一列に配列して構成されており、それぞれのLED発光素子を区画に分割することで、
図3に示すように、延在方向に沿っての第1から第3の発光領域3a,3b,3cが順番に配置されるように構成されている。それぞれの発光領域3a,3b,3cは後述するように、照明制御部6により、それぞれ独立して点灯及び消灯が可能に構成されている。なお、各発光領域3a,3b,3cの幅寸法Wは、被検査物100の大きさや被検査物と第1照明装置3の発光面との距離などに応じて適宜決定すればよく、一定幅に固定されていてもよいし、変更可能に構成されていてもよい。
【0031】
図4は、本実施形態にかかる外観検査装置の機能ブロック図である。外観検査装置1は機能ブロックとして、制御演算部5、照明制御部6,撮像制御部7を備えている。制御演算部5は、外観検査装置1全体の動作処理を制御するものであり、後述する個別の動作を行なうために画像処理部8,画像合成部9,画像判定部10を内包する。
【0032】
照明制御部6は、制御演算部5からの指示を受けて、第1の照明装置3及び第2の照明装置4の点灯制御をする。第1の照明装置3は、上記のように、複数の発光領域3a,3b,3cを備えているため、当該発光領域ごとに点灯制御が行われる。
【0033】
撮像制御部7は、制御演算部5からの指示を受けて、搬送装置11の被検査物100の搬送速度又はCCDラインセンサカメラ2のデータ転送速度を制御する。
【0034】
図2に示す光学系について詳細に説明する。CCDラインセンサカメラ2は、1次元CCD撮像素子2a(
図4参照)を搭載したスチルカメラである。CCDラインセンサカメラ2は、所定の画角で被検査物100を撮影可能であり、その光軸Lの撮影方向は、
図2(a)に示すように被検査物100の法線に等しくなるように配置されている。
CCDラインセンサカメラ2の光軸Lの方向は、被検査物100に対して若干傾斜するように構成されていてもよいが、あまりに大きくなると第1照明装置3の明視野を確保しにくくなることから、30度程度までにすることが好ましい。本実施形態のCCDラインセンサカメラ2に使用されているCCD撮像素子2aは、カラーCCDである必要はなく、カラーフィルタが設けられていないものが使用されている。
【0035】
本実施形態にかかる1次元CCD2a(以下、端にCCDという場合がある。)は、撮像制御部7からの制御により、スキャンレートが変更可能に構成されている。すなわち、被検査物から発せられた光の露光による電荷の蓄積と1次元CCD2aの各セルに蓄積された電荷の転送までに要する時間を変更することができる。なお、スキャンレートが変更になった場合でも、光の露光時間は一定であることが好ましい。ただし、画像全体の明度の調整などを行なうために、特定の光源に対する撮像処理では、他の光源との比較において、露光時間を調整してもよい。
【0036】
搬送装置11は、被検査物100をCCDラインセンサカメラ2の1次元CCD2aのセル列に対して直交する方向(矢印91)に移動させるものであり、例えばベルトコンベアなどが挙げられる。CCDラインセンサカメラ2による撮像を行なっている間に、搬送装置11により被検査物100が移動することで、CCDラインセンサカメラ2の撮像領域が逐次変更され、結果的に被検査物の平面画像を撮像することができる。
【0037】
搬送装置11は、
図4に示すように、撮像制御部7によってその搬送速度を変更可能に構成されており、後述のように制御演算部5からの制御により所定の搬送速度に変更可能に構成されている。
【0038】
第1照明装置3及び第2の照明装置4は、被検査物100の搬送方向91に対して直交するように、すなわち、CCDラインセンサカメラ2の1次元CCD2aのセル列に対して直交するように設けられる線状光源であり、照明制御部6によって点灯のタイミングが制御されている。照明制御部6は、第1照明装置3については発光領域ごとに、第2照明装置4については全体として点灯のタイミング制御を行う。
【0039】
第1照明装置3及び第2の照明装置4から照射される光は、単一波長のものでもよいし、白色光であってもよい。また、照明装置ごとに波長帯異なるものが用いられていてもよい。LED照明を用いることで、点灯消灯の応答性がよく、また、ごく短時間の点灯消灯の切り替えをすることができる。また、発光に指向性を強く持たせており、一定方向に向けてスポット的に光を照射することができる。
【0040】
なお、第1照明装置3は、図示しないリフト機構によって、被検査物100との距離が変更可能に配置されていてもよい。被検査物100との距離を異ならせることで発光面から前記被検査物までの距離が近くなると視野が明るくなり、傷による光の散乱が判別しにくくなる一方で、照射される光の傾斜角度の差が各発光領域間で大きくなるため、光学的に敏感な検査が可能となる。すなわち、距離が遠くなると各発光領域からの光の幅方向の傾斜角度が小さくなり、方向性を有する傷の判別を行いにくくなる。なお、これらの観点から、第1照明装置3の発光面から被検査物100までの距離は、発光領域の幅方向長さとの比が1:1〜1:4になるようにすることが好ましい。
【0041】
第2照明装置4は、
図2(a)に示すように共に照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ2に拡散反射光として入力されるように配置される。被検査物100に対する光の入射角は、第2照明装置4の入射角θ
2は、例えば、入射角θ
2が30〜60°程度とすることができる。
【0042】
第1照明装置3は上記のように幅方向に異なる発光領域3a,3b,3cが順番に点灯するため、
図2(b)に示すように、被検査物100の特定部位100aについては、点灯する発光部位によって光の幅方向の入射角度が異なる。すなわち、特定部位100aの直下に位置するある任意の発光領域3dが点灯しているときは、第1照明装置3から照射された光Ldは、ほぼ法線方向に特定部位100aに入射する。一方で、特定部位100aから幅方向にずれた位置に存在する発光領域3eが点灯しているときは、第1照明装置3から照射された光Leは、幅方向に傾斜角θeをもつように傾斜して当該特定部位100aに入射する。このため、光Leは、法線方向から入る光Ldに対して方向性が悪く撮像されにくい傷などについても光を散乱させてCCDラインセンサカメラ2で撮像されやすくすることができる。
【0043】
次に本実施形態にかかる外観検査装置の動作について説明する。
図5は、本実施形態にかかる外観検査装置の動作フローを示す図である。
【0044】
本実施形態にかかる外観検査装置は、
図5に示すように、まず、被検査物100を時分割で撮像し(#1)、撮像した画像データを集積してそれぞれの集積画像データを作成し(#2)、それぞれの集積画像データを合成し、合成画像データを作成し(#3)、合成画像データに基づいて、異物の混入や表面の傷などの判定処理(#4)を行なう。
【0045】
上記の構成を有する本実施形態にかかる外観検査装置では、
図6に示すように、搬送装置11によって被検査物100をCCDラインセンサカメラ2のCCD2aに対して垂直方向91に移動させる構造となっている。被検査物100が搬送方向91に移動することにより、CCD2aにより撮像される撮影領域102が移動し、複数の撮影領域102における撮像データを組み合わせることにより被検査物100を平面的に撮像した2次元画像を得ることができる。
【0046】
また、被検査物100の移動中のある撮影領域102を撮像するタイミングにおいて、第1照明装置の各発光領域及び第2の照明装置の点灯のタイミングをずらすことで、それぞれ光学特性が異なった画像を時分割で撮像することができ、それぞれの画像の撮影角度及び画像中の被検査物の大きさが画素レベルで完全に同一の画像を得ることができる。
【0047】
したがって、画像の画素と被検査物の特定領域の対応関係が画像間で完全に一致した複数の画像を用いて合成画像を作成するため、簡単かつ高精度に画像の合成処理を行なうことができる。なお、以下の説明では、第1照明装置及び第2の照明装置の点灯を4つの発光タイミングに分けて点灯する例について説明する。ただし、例えば、第1照明装置3の発光領域は3つに限定されるものではなく、2つ又は4つ以上とした場合も同様に処理することができる。
【0048】
図7は、
図5に示す時分割撮像動作のサブフローチャートである。
図8は、時分割撮像動作中の照明装置と一次元CCD2aのデータ転送のタイミングを示すタイミングチャートである。
【0049】
時分割撮像処理動作(#1)においては、まず、搬送装置11により被検査物100の搬送を開始する(#101)。時分割撮像処理の動作中は、搬送装置11によって被検査物100を移動させながらCCDラインセンサカメラ2で撮影することで被検査物100の2次元画像データを撮像することができる。
【0050】
被検査物100全体をCCDラインセンサカメラ2で撮像する場合、実際には搬送装置11が連続的に動作しているため、被検査物100の撮像領域が漸次変化するが、本実施形態では理解のため、仮想的にその撮像領域を搬送方向に連続する列として分割し、当該列ごとに撮像動作が行なわれるものとして説明する。
【0051】
被検査物100がCCDラインセンサカメラ2の撮像領域に搬送された瞬間から1列目の撮像が開始する(#102)。1列目の撮像が行なわれる期間中は、2つの照明装置3,4の各発光領域、すなわち、第1照明装置3の発光領域3a,3b,3c及び第2発光装置4の全体点灯が行われ、CCDラインセンサカメラ2中のCCD2aのデータ転送が点灯のタイミングと同期するように4回行なわれる。これにより、1列あたり第1照明装置3の3つの発光領域3a,3b,3c及び第2発光装置4の照射に応じた撮像データを得ることができる。
【0052】
具体的には、n列目(初期値1〜最大値n
max)の撮像(#102)の期間中にm番目(初期値1〜最大値m
max)の装置(第1照明装置3の発光領域3a,3b,3c及び第2発光装置4)が順番に点灯する(#103)。本実施形態では上記の通り、1列あたりの発光回数は4つであり、1から4番目の発光領域及び照明装置(以下端に発光領域等と略記する。)は、それぞれ第1照明装置3の発光領域3a,3b,3c及び第2発光装置4に相当する。
【0053】
m番目の照明装置が点灯することにより、CCDラインセンサカメラ2のCCD2aが露光し、所定の電荷蓄積時間が経過するとデータ転送を行なう(#104)。データ転送が終了したタイミングでm番目の照明装置を消灯させ(#105)、m+1番目の照明装置を点灯させる(#107)。
【0054】
この動作を
図8のタイミングチャートを用いてより具体的に説明する。上記の通り、搬送装置の搬送速度は一定で、被検査物100は連続的に移動しているため、微少時間でも経過すると撮像領域102は順次変化する。この撮像領域102の変化量がCCD2aの1画素分の撮像範囲を超えないうちに、4回のCCD2aからのデータ転送を行なう。
【0055】
例えば、あるタイミングt
0で特定の撮像領域102を撮像したものとする。なお、t
0はどのようなタイミングでもよいが、理解の容易のため、当該撮像の対象となっている撮像領域102の前の列の撮像において第2照明装置4が消灯したタイミングとする。
【0056】
t
0で第1照明装置3の第1発光領域3aが点灯を開始する。これにより、CCD2aが露光され、CCD2aに電荷が蓄積される。所定時間が経過すると露光が終了し、受光した光量に応じた情報がCCDからデータ転送される(t
1)。そのタイミングで、第1発光領域3aが消灯し、第2発光領域3bが点灯する。
【0057】
以下、同様にt
2で2回目のデータ転送、t
3で第3発光領域3cからの光により露光された画像情報が3回目のデータ転送、t
4で第2照明装置からの光により露光された4回目のデータ転送が完了する。なお、各発光領域等の点灯切り替えのタイミングをCCDのデータ転送の終了時にしているのは、発光領域等の応答性を考慮したものであり、複数の照明が点灯した状態でそれぞれの撮像期間(t
0〜t
1、t
1〜t
2、t
2〜t
3、t
3〜t
4)中に露光が行なわれないようにしたものである。すなわち、発光領域等の消灯はデータ転送の開始時、照明装置の消灯はデータ転送の終了時とすることで、2重露光の問題を解消することができる。
【0058】
以上のように、4つの発光領域等の切り替え及びCCDのデータ転送のタイミングによって、搬送装置の搬送速度を制御することができる。すなわち、例えば、点灯させる発光領域等の数を少なくしたり、CCDのスキャンレートを短くすれば、1つの列に対して必要なデータ転送を完了させるまでの時間を短くすることができるため、被検査物の搬送速度を早くすることができる。
【0059】
一方、点灯させる発光領域等を少なくした場合であっても、搬送速度を一定に保ち、1つの列に対してそれぞれの領域の切り替えを複数回ずつ行ない、領域ごとのデータ転送を複数回にわたって確保するようにしてもよい。
【0060】
すなわち、点灯させる発光領域等の数と同数又は好ましくは整数倍の回数のデータ転送が1つの列に対して行なわれるように搬送速度を制御すればよく、このデータ転送を確保可能な搬送速度に搬送装置11を制御することができる。
【0061】
上記の動作をm
max番目の発光領域等まで行なうことで、n列目の撮像が終了する。その後、mを初期値1にリセット(#109)し、n+1列目の撮像動作を繰り返し(#110)、最終列であるn
max列目まで同様の処理を行なう。なお、最終列であるn
max列目は、必ずしも被検査物の搬送方向終端の撮像領域を意味するものではなく、被検査物の特定領域であってもよい。例えば、長尺物のフィルムなど、例えば、特定の長さに区切って撮像を行ない、当該区切られた領域ごとに時分割撮像処理を終了させるようにしてもよい。
【0062】
n
max列目の撮像が終了すると時分割撮像処理が終了し、集積画像データ作成処理を行なう(#2)。集積画像データの作成は、画像処理部8がその処理を司る。
図9に示すように、時分割撮像処理では、k
1番目、k
2番目などの1つの画素の撮像に時分割撮影された4つの画像データが出力される。また、被検査物100を撮像するために複数列の撮像処理が行なわれ、それぞれが4つに時分割されたデータ転送を行なうため、各列の同じタイミングの画像を抜き出して集積することにより、集積画像データを作成する。
【0063】
具体的には、n
1列目のk
1番目の画素(D
n1kと表記する)からの出力には、1から4番の発光領域等に対応する転送データ(D
n1k1-1、D
n1k1-2、D
n1k1-3、D
n1k1-4)が蓄積されている。このように、すべての画素について、照明に対応するデータが存在するため、これらの情報を各照明に応じた画素データとして集積し、集積画像データを作成する。
【0064】
このようにして作成された集積画像データは、各照明の光学特性に応じた画像となっている。例えば、第1照明装置3の第1の発光領域3aに対応する画像は、上記のように、明視野の関係にある光源のうち、一部分のみが光った状態で露光された画像データであるため、被検査物表面が平滑である場合は、点灯している発光領域3aの直状の部分については、幅方向に垂直な光により明るく撮像され、点灯していない発光領域の部分は幅方向に傾斜した光により撮像されて暗くなるような画像となる。点灯していない発光領域の部分は,幅方向に傾斜した光により撮像されるため、幅方向に方向性を有する傷について撮像されやすくなっている。
【0065】
また、第2照明装置4に対応する画像は、被検査物の幅方向全体が搬送方向に傾斜した方向に照射された光によって露光された画像データであるため、被検査物表面が平滑である場合は、正常な部分が暗く、異物などにより光の正反射が妨げられた部分が明るくなるような画像となる。また、光の入射角度が第1照明装置3と搬送方向に異なることで搬送方向に方向性を有する傷についても撮像されやすくなる。
【0066】
次に複数の集積画像データを用いて合成画像データを作成する(#3)。合成画像データの作成は、画像合成部9がその処理を司る。合成画像データを作成するための集積画像データは任意のものを組み合わせて作成することができるが、異物が存在する部分の撮像結果が異なるような特徴を持つ集積画像データ同士を用いて作成することが好ましい。
【0067】
作成する合成画像データの数は特に制限されるものではなく、必要に応じて複数作成してもよいし、また、一次的に作成された第1次合成画像データ同士あるいは第1次合成画像データと集積画像データを用いて第2次合成画像データを作成してもよい。
【0068】
本実施形態では、合成画像データとして、第1から第3の発光領域がそれぞれ発光した状態で撮像された3つの集積画像データを加算合成した第1合成画像、及び、異なる発光領域が点灯している状態の複数の集積画像データのうち、CCDラインセンサカメラ2のCCD2aの特定の領域に存在する一部の画素のみの情報を切り出して1つに合成した第2合成画像を作成する。
【0069】
まず、第1合成画像の作成について説明する。第1合成画像データの作成においては、使用する複数の集積画像データのそれぞれ対応する各画素の数値(例えば明度)を加算し、当該各画素の加算値に応じて画像を作成することができる。
【0070】
図10に第1合成画像データの作成の処理の模式図を示す。第1から第3の発光領域がそれぞれ発光した状態で撮像された3つの集積画像データを加算合成した
ものであり、
図10の例では、集積画像データに鮮明にn2列K2番及びn3列K3番の部分に傷が存在するものとする。上記の通り、第1の集積画像データでは、当該傷は方向性により撮像されにくく傷が判別しにくいが、第2の集積画像データでは、幅方向に斜めから照射される光により、当該部分に傷が撮像されている。高くなる。
【0071】
したがって、各集積画像データの各部分の対応する明度の加算値を取ると異物が撮像されている部分の画素の明度の幅が増幅され、周囲の正常な部分との際が際だつこととなる。
【0072】
次に第2合成画像の作成について説明する。
図11は第2合成画像データの作成を模式的に示す図である。上記のように第2合成画像は、異なる発光領域が点灯している状態の複数の集積画像データのうち、CCDラインセンサカメラ2のCCD2aの特定の領域に存在する一部の画素のみの情報を切り出して1つに合成したものである。
【0073】
本実施形態においては、切り出される画素は、点灯していない発光領域3a,3b,3cに対応する画素であり、具体的には、第1から第3の集積画像データから、幅方向に斜めに照射された光により撮像された部分に相当する画素のみを切り出した画像を合成し
て作成している。すなわち、
図11に示す第1照明装置3の発光領域3a,3b,3cのうち、○印を付した点灯している発光領域の周囲を除いた部分2pを撮像した画素の画像データのみを各集積画像データから集めて1つの画像として合成したものが第2合成画像である。
【0074】
なお、合成画像データの作成に用いる集積画像データの組み合わせ及び作成する合成画像データの数は、特に制限されるものではなく、検査する被検査物100の性状に応じて適宜自由に選択することができる。このように合成画像データを作成することで、被検査物の性状により適応した画像の作成ができ、後述の判定処理における判定を確実にすることができる。
【0075】
このようにして作成された合成画像データは、幅方向に照射方向が異なる複数の集積画像データを用いて作成されているため、方向性により撮像されにくい傷がより明確に視認できるようになる。
【0076】
その後、合成画像に基づいて、画像判定部10が判定処理を行なう。本実施形態では、上記のように画像合成部9により作成された第1及び第2の合成画像データ及び第2発光装置4の点灯時に撮像された集積画像データの3つの撮像データを用いて欠陥判定を行う。
【0077】
本実施形態にかかる外観検査装置によれば、単一のカメラを用いて幅方向及び搬送方向に照射角度が異なる光を照射された被検査物を一度の搬送で画素レベルの精細度を持って時分割撮像するため、異なる光学特性を有する複数の画像データの画角及び撮像領域を画素レベルで同じにできる。したがって、合成画像の作成が容易であり、それぞれの画像では十分に判別できないような細かな傷を検査することができる。
【0078】
(第2実施形態)
図12は、本発明の第2実施形態にかかる外観検査装置の光学系の例を示す模式図である。
図13は、第2実施形態にかかる外観検査装置の機能ブロック図である。
【0079】
本実施形態にかかる外観検査装置20は、搬送装置21によって搬送される被検査物100の搬送経路の途中に配置されたCCDラインセンサカメラ22によって被検査物を撮像し、撮像された画像データに基づいて被検査物100の傷や異物混入などを判断するための装置である。
【0080】
第2実施形態にかかる外観検査装置20は、おおむね第2実施形態にかかる外観検査装置1と処理内容については共通するが、設置されている光学系が異なる。以下、異なる光学系について中心に説明する。
【0081】
CCDラインセンサカメラ22による被検査物100の撮影用照明として、第1照明装置23及び第2照明装置24が設けられている。
【0082】
第1照明装置23及び第2照明装置24は、被検査物に到達してCCDラインセンサカメラ22に入射する光の光学特性を異ならせるために、照射する光の射出方向が異なるように配置されている。
【0083】
第1照明装置23は、例えば、異なる波長域をピークとする3つの波長の光を照射することができるLED発光素子をブロックに区分して一列に配列して構成されており、各色のLED発光素子を区画に分割することで、
図14に示すように、延在方向に沿って3つの発光領域23R,23B,23Gが順番に配置されるように構成されている。それぞれの発光領域23R,23B,23Gは後述するように、照明制御部6により、それぞれ独立して点灯及び消灯が可能に構成されている。
【0084】
図12に示す光学系について詳細に説明する。CCDラインセンサカメラ22は、1次元CCD撮像素子3a(
図13参照)を搭載したスチルカメラである。CCDラインセンサカメラ3は、所定の画角で被検査物100を撮影可能であり、その撮影方向は、被検査物100の法線に対して角度θ
1となるように配置されている。角度θ
1はごく小さく構成され、5〜15度程度であることが好ましい。本実施形態のCCDラインセンサカメラ22に使用されているCCD撮像素子22aは、カラーCCDである必要であり、それぞれの画素に第1照明装置23の各色の波長域の光のみを透過する、カラーフィルタ22bが設けられている。
【0085】
第1照明装置23及び第2照明装置24は、被検査物100の搬送方向に対して直交するように設けられる線状光源であり、照明制御部9によって点灯のタイミングが制御されている。第1照明装置24から照射される光は、上記の通り、異なる3つの波長域をピークとする光であり、照明制御部9による制御によって、それぞれの波長の光を切り替えて照射することができるようになっている。第2照明装置24から照射される光は、白色光が用いられている。
【0086】
第1照明装置23は、
図12に示すように、照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ22に正反射光として入力されるように配置される。被検査物100に対する光の入射角θ
1は、カメラの撮影方向と同じに構成されている。
【0087】
なお、第1照明装置23は、図示しないリフト機構によって、被検査物100との距離が変更可能に配置されていてもよい。被検査物100との距離を異ならせることで発光面から前記被検査物までの距離が近くなると視野が明るくなる一方で、距離が遠くなると照射される光の傾斜角度が大きくなるため光学的に敏感な検査が可能となる。なお、第1照明装置23の発光面から被検査物100までの距離は、発光領域の幅方向長さとの比が1:1〜1:4になるようにすることが好ましい。
【0088】
第2照明装置24は、
図12に示すように共に照射された光が被検査物100の表面に反射してCCDラインセンサカメラ23に拡散反射光として入力されるように配置される。第2照明装置24の入射角θ
2は、例えば、30〜60°程度とすることができる。
【0089】
次に本実施形態にかかる外観検査装置の動作について説明する。第2実施形態にかかる外観検査装置の動作は、光を照射する第1照明装置23及びCCDラインセンサカメラ22のデータ転送のタイミングの切り替えが異なり、他の処理動作はおおむね第1実施形態にかかる外観検査装置の動作と共通である。
【0090】
本実施形態にかかる外観検査装置20においても被検査物100の移動中のある撮影領域102を撮像するタイミングにおいて、第1照明装置23の各発光領域23R,23G,23B及び第2の照明装置24の点灯のタイミングをずらすことで、それぞれ光学特性が異なった画像を時分割で撮像することができ、それぞれの画像の撮影角度及び画像中の被検査物の大きさがほぼ同一の画像を得ることができる。
【0091】
本実施形態にかかる外観検査装置においては、第1照明装置23のすべての発光領域の点灯及び第2の照明装置24の点灯を2つの発光タイミングに分けて点灯する。
【0092】
図15は、時分割撮像動作中の照明装置と一次元CCD22aのデータ転送のタイミングを示すタイミングチャートである。搬送装置21の搬送速度は一定で、被検査物100は連続的に移動しているため、微少時間でも経過すると撮像領域102は順次変化する。本実施形態においては、この撮像領域102の変化量がCCD22aの1画素分の撮像範囲を超えないうちに、2回のCCD22aからのデータ転送を行なう。
【0093】
例えば、あるタイミングt
0で特定の撮像領域102を撮像したものとする。なお、t
0はどのようなタイミングでもよいが、理解の容易のため、当該撮像の対象となっている撮像領域102の前の列の撮像において第2照明装置24が消灯したタイミングとする。
【0094】
t
0で第1照明装置23の3つの発光領域23R,23G,23Bが同時に点灯を開始する。上記のように、本実施形態においては、CCDの各画素にカラーフィルタ22bが設けられているため、CCD22aの各画素は、それぞれの発光領域からの各色の波長域のみを判別してCCD22aの各画素で撮像する。各発光領域からの光の光量に応じた情報がCCDからデータ転送される(t
1)。そのタイミングで、3つの発光領域23R,23G,23Bが消灯し、第2発光領域24が点灯する。以下、同様にt
2で2回目のデータ転送し、2回目のデータ転送が完了する。
【0095】
以上のように、4つの発光領域等の切り替え及びCCDのデータ転送のタイミングを同期させることにより、搬送装置の搬送速度を制御することができる。また、1つの画素に対するデータ転送のタイミングを2つにすることにより、1画素あたりの露光時間を短くし高速に搬送させることが可能になる。
【0096】
一方、1つの列に対してそれぞれの領域の切り替えを複数回ずつ行ない、領域ごとのデータ転送を複数回にわたって確保するようにしてもよい。また、3つの発光領域を1度に点灯させる場合の他、光領域の点灯のタイミングを、CCD22aのデータ転送動作ごとに行うように制御すれば点灯のタイミングは特に問わない。たとえば、1つの発光領域ごとに点灯させてもよいし、2つと1つの発光領域に分けて点灯させてもよい。
【0097】
以下、被検査物100に対するすべての列の撮像が終了すると時分割撮像処理が終了し、集積画像データ作成処理及び判定処理を行なう。
【0098】
以上説明したように、本実施形態にかかる外観検査装置によれば、単一のカメラを用いて幅方向及び搬送方向に照射角度が異なる光を照射された被検査物を一度の搬送で高度の精細度を持って時分割撮像することができる。また、第1照明装置23の各発光領域からの光は、CCD22aの各画素に付されたカラーフィルタ22bにより判別して撮像されるため、3つの発光領域を同時に点灯することにより、1画素あたりの撮像時間を短くすることができる。
【0099】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、
図16に示すように、第1実施形態において、第1照明装置3を一体的に発光するように構成し、第2照明装置4を複数の発光領域4a,4b,4cに分割して、照明制御部により、それぞれ独立して点灯及び消灯が可能に構成してもよい。
【0100】
また、例えば、本実施形態では、いずれも集積画像データに基づいて合成画像データを作成し、当該合成作成データにより欠陥を判定しているが、撮像条件によっては、修正画像データを用いて欠陥判定を行うようにしてもよい。