(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
胴部の下端側において、胴部側縁の内面と、第1シール部の上端縁近傍の内面とが接触するように折り込まれ、折り込まれた状態で固定する第2シール部を備えることにより、平坦な前記底面部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の袋体。
前記請求項1乃至6のいずれか一項に記載された袋体に流体を充填し、加圧容器内に前記袋体の底面部が鉛直方向下となり且つ前記注出チューブ末端又は当該注出チューブを延長した管の末端が加圧容器外部に引き出されるように前記袋体を配置し、加圧容器内を加圧することにより前記袋体の外部から圧力を付与して、前記袋体内の流体を加圧容器外部へ吐出することを特徴とする流体吐出方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.袋体
本発明の袋体は、可撓性フィルムで形成された袋状の容器本体、及び、当該容器本体の内部と外部を連通させる注出チューブを備える袋体であって、前記容器本体は、筒状の胴部、当該胴部の下端において容器本体を構成するフィルムの内面同士が突き合わされてシールされた第1シール部、及び当該第1シール部の上端縁を含む平坦な底面部を有し、前記注出チューブは、底面部における第1シール部において突き合わされたフィルム間に挟持され、且つ、前記第1シール部及び前記注出チューブが、平坦な底面部と略平行な平面内に配置されていることを特徴とする。
【0018】
以下、本発明の袋体について、
図1〜
図10を参照しながら説明する。なお、ここで示すのは本発明の袋体の一例であり、本発明はこれに限定されない。
尚、
図1〜
図10において、ハッチング箇所は、各構成部材のシール部(第1シール部〜第4シール部)を示している。
【0019】
図1は、本発明の袋体の一実施形態を示すものであり、袋体100の斜視図である。
図2は、袋体100の底面部の斜視図であり、
図3は、袋体100の底面図である。
図4は、袋体100の底面部の背面図であり、
図6は、袋体100の底面部のA−A断面図である。
【0020】
図1に示すように、袋体100は、袋状の容器本体10、及び当該容器本体10の内部と外部とを連通する注出チューブ20、及び注入口30を備える袋体である。
袋体100の容器本体10は、断面形状が略楕円柱形の胴部11を備え、当該胴部11の一方の端に平坦な底面部21を、当該胴部11の他方の端に平坦な上面部31を、それぞれ備える。平坦な底面部21側には注出チューブ20が設けられている。平坦な底面部21に対して、注出チューブ20及び第1シール部22が、略平行な平面内に配置され、注出チューブ20の外面が、平坦な底面部21と近接するように配置されている。
また、平坦な上面部31においては、胴部の軸方向と略平行且つ上方を向くように、注入口30が設けられている。以下、袋体100において、注出チューブが突き出している側を袋体の正面とし、反対側を背面とする。
【0021】
1−1.容器本体
本発明における袋状の容器本体は、可撓性フィルムにより形成されており、少なくとも筒状の胴部、当該胴部の下端がシールされた第1シール部、及び平坦な底面部を備える。
図1及び
図2において、袋体100における容器本体10の胴部11下側に着目すると、容器本体10の両方の胴部側縁11aの内面は、第1シール部の上端縁22a近傍の内面と接触するように折り込まれている。ここで、第1シール部の上端縁22aとは、容器本体10の内部と第1シール部22との境界線を指す。折り込まれた結果重なる部分について、第1シール部22のシール方向に略垂直となるように第2シール部23を形成することにより、折り込まれた状態が固定される。
図1及び
図2に示すように、第1シール部22と第2シール部23とが交差することにより、平坦な底面部21が形成されている。
袋体100における容器本体10の胴部11上端においては、第1シール部22のシール方向と略平行なシール方向となるように、第3シール部32が設けられている。胴部11下側の第2シール部23と同様に、胴部11上側において第4シール部33が設けられていることにより、平坦な上面部31が形成される。
底面部及び上面部の形成方法については、「1−4.袋体の製造方法」の項において詳細に説明する。
【0022】
可撓性フィルムの筒状の胴部は、継ぎ目のない一体成型のフィルムからなることが好ましい。継ぎ目のない一体成型のフィルム筒体は、好適には、インフレーション成形、ブロー成形などにより筒状に成形されたものである。このうち、本発明における袋状の容器本体には、インフレーション成形により成型されたシームレスフィルムを用いることがより好ましい。
可撓性フィルムの筒状の胴部は、一枚の可撓性フィルムの両端を接合して形成されたものであってもよい。ただし、可撓性フィルムの筒状の胴部の側部にシール部を設けた場合には、可撓性フィルムの筒状の胴部を折り畳んだ際に、側部の強度が低下するおそれがあるため、一枚の可撓性フィルムの両端を接合して筒状の胴部を形成する場合には、可撓性フィルムの筒状の胴部の側部にシール部を形成するのではなく、可撓性フィルムの筒状の胴部の背面部又は前面部にシール部を形成することが好ましい。
【0023】
容器本体を形成する可撓性フィルムの材質については、内容物を密封でき、袋を形成できるものであれば、特に限定されず、単層フィルムを用いてもよく、多層フィルムを用いてもよい。
可撓性フィルムとして単層フィルムを用いる場合には、一般的にヒートシール可能な、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂、及びこれら樹脂を主成分とする共重合体樹脂が好ましく用いられる。また、これらの樹脂を複数種類含む単層フィルムを用いてもよい。
可撓性フィルムとして多層フィルムを用いる場合には、少なくとも最内層(すなわち、流体等の内容物と接触する層)が、上記のヒートシール可能な樹脂群のいずれかであることが好ましい。本発明に用いられる多層フィルムは、共押出により異なる樹脂から成型された多層フィルムであってもよいし、又は、接着若しくはそれに類する方法により貼り合わせた多層フィルムであってもよい。
【0024】
多層フィルムを用いる場合、最外層は、注出チューブの向きを容器本体の底面部の平坦面に対して略平行に維持する観点からは、袋容器としての柔軟性を有する範囲内において、容器本体が若干の剛性を有することが好ましい。容器本体に剛性を付与する例として、具体的には、剛性の高い樹脂を使用することが挙げられ、樹脂の種類が限られる場合には、樹脂の密度、結晶化度、分子量等を高くすることによって剛性を付与することが挙げられる。
一般的に剛性が高いといわれる樹脂としては、エンジニアリングプラスチックと呼ばれるポリアセタール、ポリオキシメチレン、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタアクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリアミド等の樹脂が例示でき、これらの中では、ポリエチレンテレフタレートや、ポリアミド等が好ましい。
また、単層フィルムを用いる場合や、多層フィルムを用いる場合の最内層として袋のヒートシールに適する樹脂として使用されることが一般的な、ポリプロピレン、ポリエチレン等の場合にも、その密度、結晶化度、分子量が高いものであれば、容器本体の剛性を高めることができる。例えば、高い密度を有するポリエチレンとしては、JIS K6748:1995に定義される密度が0.942g/cm
3以上の高密度ポリエチレンが挙げられる。ポリエチレンにおいては、一般的に密度と結晶化度が正比例する関係にあり、密度が高いほどポリエチレンの結晶化度は高くなる。ポリエチレンの結晶化度は、30%以上が望ましい。
以上の材質の列挙はあくまで例示に過ぎず、本発明の容器本体に用いられる可撓性フィルムの材質は、必ずしも以上の材質のみに限定されるものではない。また、多層フィルムを用いる場合には、最外層、最内層の他に、これらの間に中間層を用いてもよい。
【0025】
本発明における容器本体を形成する可撓性フィルムの厚さには特に限定はないが、圧力をかけて流体等の内容物を吐出するに際し、耐圧、及び内容物の重量に耐えるという観点から、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。上記厚さの条件を満たすことにより、容器本体の剛性が高くなり、注出チューブの向きを底面部の平坦面に対して略平行に維持することもできる。一方、主に加圧時の変形性の観点から、可撓性フィルムの厚さは、2,000μm以下であることが好ましく、1,500μm以下であることがより好ましい。
【0026】
本発明における容器本体の胴部の断面形状は特に限定されないが、例えば、略円形状、略楕円形状、四角形等の多角形状等が挙げられる。胴部の断面形状は、胴部の軸方向に沿って変化するものであってもよい。
本発明における容器本体の胴部の軸方向長さは、用途によって適宜調節できるが、例えば100〜10,000mmとしてもよい。
本発明における容器本体の胴部の幅は、折りたたまれた胴部の幅を指す。折りたたまれた胴部の幅とは、具体的には、略円筒状の胴部の場合には、折幅により規定され、ガセット状の胴部のような側面部を有する胴部の場合には、前面部又は背面部の幅により規定される。本発明における容器本体の胴部の幅は、用途によって適宜調節できるが、例えば10〜2,000mmとしてもよい。
本発明における容器本体の容量は、上記寸法同様に適宜調節できるが、例えば、0.01〜5,000Lとしてもよい。
【0027】
(A)第1シール部
本発明における容器本体の第1シール部は、胴部の下端において容器本体を構成するフィルムの内面同士が突き合わされてシールされた部分である。さらに、後述する底面部の平坦面に対して平行に折り倒されている。
第1シール部の形状は、注出チューブ以外から内容物が漏れ出ない形状であれば特に限定されないが、例えば、直線状、波線状等が挙げられる。また、胴部の下端に第1シール部を複数本設けてもよい。
第1シール部のシール幅は、内容物の漏れを防ぐ観点から、1mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましい。一方、第1シール部のシール幅は、可撓性フィルムの歩留まりの観点から、30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。
また、第1シール部は、胴部の下端から0mm以上5mm以下の範囲において設けられていればよい。
【0028】
(B)底面部
本発明における容器本体の底面部は、上述した第1シール部の上端縁を含む平坦な部分である。
図2及び
図3に示すように、袋体100の底面部21は、相対する2つの第2シール部23と、相対する辺21a及び辺21bとから形成される四角形をなしている。ここで、辺21aは、胴部正面下部と底面部21との境界となる辺であり、辺21bは、胴部背面下部と底面部21との境界となる辺である。また、
図2及び
図3に示すように、袋体100の底面部21内に、第1シール部の上端縁22aが位置している。また、
図2及び
図3に示すように、第2シール部23のシール方向は、第1シール部22のシール方向と略垂直である。
図2及び
図4に示すように、容器本体の幅方向において底面部21の両側に、第2シール部23を挟んで、三角形の角部24が形成されている。この角部24の内部空間は、第2シール部23により、容器本体の内部空間から断絶している。
【0029】
上述したように、第2シール部のシール方向は、第1シール部のシール方向と略垂直であることが好ましい。このように、両シール部のシール方向の間に所定の角度が設けられ、これらシール部がいわば梁の役割を果たすことにより、底面部を平坦な面に保つことができる。なお、両シール部のシール方向が略垂直であるとは、両シール部のシール方向のなす角が好適には70〜110°であること、より好適には80〜100°であることを指す。
【0030】
底面部21の形状は、
図2及び
図3に示したような長方形に限定されない。
図5は、底面部の他の実施形態を示す底面図である。
図5(a)及び(b)に示すように、第2シール部23のシール方向を第1シール部22のシール方向に対して変更させて、底面部21の形状を台形としてもよい。
図5(a)に示すように、正面側の辺21aが背面側の辺21bより長い台形であってもよいし、
図5(b)に示すように、正面側の辺21aが背面側の辺21bより短い台形であってもよい。また、
図5(c)に示すように、底面部21の形状は略円形(又は略楕円形)であってもよい。底面部21を略円形(又は略楕円形)にする場合には、
図5(c)に示すように、第2シール部23の形状を円弧形状とすればよい。また、以上の例では内部空間を有している角部24を示したが、
図5(d)に示すように、角部24は第2シール部23により全面がシールされて内部空間を有していなくてもよい。
【0031】
本発明における容器本体の底面部の面積が小さいほど、内容物を吐出した後の残留物を減らすことができる。特に、後述する流体吐出方法において説明するように、本発明の袋体を加圧容器内に収納して用いる場合、袋体の底面部の面積は、加圧容器内部の底面積と同程度であることが好ましい。なお、このような場合、袋体の底面部の形状と、加圧容器内部の底の形状とが略同一であること、又は相似であることがより好ましいが、袋体の用途や底面部をその形状とするための手間及びコストによっては、形状を限定しなくともよい。
底面部の面積は、その用途にもよるが、例えば、100〜1,000,000mm
2とすることができる。
【0032】
1−2.注出チューブ
本発明における注出チューブは、容器本体の内部と外部とを連通しており、底面部における第1シール部において突き合わされたフィルム間に挟持されている。このように、注出チューブは、第1シール部によりその位置を固定された上で、袋体内部の内容物を袋体外部へ吐出する機能を果たす。底面部に残る内容物を偏りなく袋体外へ吐出できるという観点から、注出チューブが第1シール部上の袋本体幅方向の略中央に設けられていることが好ましい。
【0033】
さらに、本発明における注出チューブは、第1シール部と共に、平坦な底面部と略平行な平面内に配置されている。
図6に示すように、袋体100においては、注出チューブ20における内容物の吐出方向の中心軸20b(以下、注出チューブの中心軸ということがある。)が、底面部21の平坦面に対して略平行となっている。
なお、注出チューブが平坦な底面部と略平行な平面内に配置されているとは、容器本体の底面部の平坦面と注出チューブの中心軸とのなす角が好適には0〜30°であること、より好適には0〜10°であることを指す。
また、本発明における容器本体は可撓性フィルムで形成されているため、その底面部は必ずしも平面とならない場合がある。その場合には、底面部の接平面と注出チューブの中心軸とが略平行であればよい。
さらに、注出チューブの中心軸が、容器本体の底面部と略平行な平面内に配置されていることで、注出チューブの容器本体内部にある流路入口は、鉛直方向上向きに開口することはなく、好ましくは、上記略平行な平面に対して横向きに開口している。
【0034】
本発明においては、容器本体の第1シール部が底面部に対して略平行に折り倒され、折り癖がついていることが好ましい。このように、注出チューブを挟持した第1シール部が折り倒されていることにより、注出チューブの中心軸の向きが、底面部の平坦面に略平行な方向となるように、注出チューブが固定されている。
【0035】
注出チューブ中に残る内容物の量をできるだけ減らすという観点から、注出チューブの内径は小さい方が好ましい。吐出する内容物の種類にもよるが、注出チューブの内径は、具体的には、20.0mm以下であることが好ましい。また内容物の吐出時の抵抗を減らす観点から、5.0mm以上であることが好ましい。ここで内容物の吐出時の抵抗とは、具体的には、ハーゲンポアズイユの法則(式1)から推測されるように、内径xを1/2xとした場合、等しい流量を得るために圧力pを2
4pにしなければならない、という理論から算出される抵抗を指す。
流量Q=k×(半径の4乗)×(圧力低下)・・・(式1)
【0036】
本発明の袋体は、加圧容器内に載置して使用するのが好ましく、注出チューブの容器本体の外部に突出した部分が容器本体の底面部よりも下に配置して載置されるため、注出チューブの材質や厚さは、内容物の荷重、及び加圧容器により付与される圧力に対し耐久性を有するという観点から選択される。特に注出チューブの材質は、容器本体の内面と貼り合わせることができる材質であることが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂が挙げられる。注出チューブの厚さは、チューブ形状の保持性の点から0.2mm以上が好ましく、シール時の伝熱性の点から2.0mm以下が好ましい。
注出チューブの
図6におけるX−X断面図の形状は、略直線状であることが好ましく、本発明の効果を損なわない範囲で湾曲していてもよい。
【0037】
注出チューブが容器本体の内部に長く突出している場合、注出チューブの突出位置近傍に溜まった内容物は吐出されにくい。したがって、注出チューブは容器本体内部にできるだけ突出していないことが好ましい。具体的には、注出チューブの容器本体内部に突出している長さが、第1シール部の上端縁、すなわち第1シール部と袋体内部の境界線から0〜10mmであることが好ましい。
注出チューブの容器本体外部に突出している長さは、袋外吐出管によって吐出流路長さを適宜延長できるという観点から、特に限定されない。注出チューブの容器本体外部に突出している部分の表面は、容器本体の底面部の外面と貼り合わされて固定されていてもよい。
【0038】
注出チューブは、さらにL字管等の接続部材を介して袋外吐出管と接続することができる。このように袋外吐出管を用いて内容物の流路を適宜延長することにより、袋体を加圧容器内に設置した際にも、加圧容器外部へ内容物を吐出することができる。袋外吐出管には、可撓性チューブ及び硬質チューブのいずれも使用できる。
【0039】
1−3.袋体における注出チューブが設けられた側とは反対側の開口端
容器本体を形成する可撓性フィルムの筒状の胴部の開口端のうち、注出チューブが設けられた側とは反対側の開口端は、閉じられていればどのような形状でもよい。注出チューブが設けられた側と同様にシールしてもよいし、注出チューブが設けられた側と同様に上面部となる平坦面を設けてもよい。
注出チューブを設けた側と反対側には、
図1に示すように、袋体内に流体を注入する注入口が設けられていてもよい。注入口の形状は特に限定されず、公知の形状を採用することができる。
【0040】
1−4.袋体の製造方法
図7は、本発明の袋体の製造方法の典型例における、生産中間物の模式図である。なお、各生産中間物の構造を説明する便宜上、
図7に図示された各生産中間物の縦横比や、注出チューブ及び注入口等の縮尺等は、実際の生産中間物における縦横比及び縮尺と必ずしも一致するものではない。
袋体の製造方法としては、まず、可撓性フィルム筒体100aを準備する(
図7(a))。可撓性フィルム筒体100aは継ぎ目のない一体成形のフィルムであることが好ましい。可撓性フィルム筒体100aの形成方法としては、上述したようなインフレーション成形法等が好ましい。
続いて、可撓性フィルム筒体100aの開口端のうち、袋体の底面部に対応する一方の開口端を、第1シール部22を施すことにより閉鎖し、可撓性フィルム筒体100aが胴部となる袋状の容器本体10を形成する。その際、第1シール部22となる突き合わされたフィルム間に、注出チューブ20を挟持させて第1シール部22を形成する。注出チューブ20は、第1シール部22上の容器本体幅方向の略中央に設けられることが好ましい。また、可撓性フィルム筒体の他方の開口端近傍には注入口30を設け、さらに、当該他方の開口端を、第3シール部32を施すことにより閉鎖し、生産中間物100bを製造する(
図7(b))。注入口30は、容器本体幅方向の略中央に設けられることが好ましい。第3シール部32のシール方向は、第1シール部22のシール方向と略平行であることが好ましい。
第1シール部22の形成、第3シール部32の形成、及び注入口30の形成の順序は特に限定されない。また、本発明の袋体の製造方法においては、必ずしも生産中間物100bを経る必要はなく、底面部を形成した後に第3シール部32及び注入口30を形成してもよいし、その逆に、上面部を形成した後に第1シール部22を形成してもよい。
【0041】
第1シール部22を形成した後、底面部21を形成する。本発明における底面部は、胴部の下端側を、胴部側縁の内面と、第1シール部の上端縁近傍の内面とが接触するように折り込み、折り込まれた状態で固定する第2シール部を施すことにより平坦に形成することが好ましい。このように、本発明における底面部は、好適には、(1)折り込み工程、及び(2)第2シール部のシール工程を経て形成される。
このうち折り込み工程とは、具体的には、胴部下端の幅方向の両隅について2か所一組の位置決め点をそれぞれ設定し、これらの位置決め点が重なるように胴部下端の両隅近傍を折り込む工程である。
【0042】
図8は、生産中間物100bの胴部下側正面の部分拡大図である。
図8に示すように、まず、胴部下端の両隅において、第1シール部の末端22bから胴部の幅方向中央に向かって所定距離離れた第1シール部上の位置に、第1シール部側位置決め点22cを設定する。次に、各第1シール部の末端22bから胴部の軸方向と平行に上方に向かって、当該第1シール部の末端22bから第1シール部側位置決め点22cまでの距離と等しい距離離れた胴部側縁上の位置に、側縁側位置決め点11bを設定する。
折り込みの深さ、すなわち、第1シール部の末端22bから第1シール部側位置決め点22cまでの距離は、胴部下端の両隅で異なっていてもよいし等しくてもよい。この折り込みの深さは、第2シール部の長さ及び間隔を規定するものであり、折り込みの深さが深いほど、第2シール部を長くすることができ、且つ第2シール部間の間隔を狭くすることができる。
【0043】
図9は、
図8の生産中間物100bを、位置決め点に従って折り込んだ様子を示した胴部下側正面の部分拡大図(
図9(a))及び胴部下側の部分斜視図(
図9(b))である。
図9(a)に示すように、第1シール部側位置決め点22c近傍の内面と、側縁側位置決め点11b近傍の内面が向き合い、これら2つの位置決め点が重なるように胴部側縁を折り込むことにより、
図9(b)に示すような胴部の軸方向に対して略垂直な面を持つ平坦な六角形の平面部25が形成される。なお、この段階においては、未だ注出チューブ20は胴部の軸方向に対して平行且つ下向きである。
【0044】
図9(b)に示した六角形の平面部25から両側に2つの三角形と、その間に四角形を形成するように、幅方向の両端に三角形状の角部24を、容器本体の内部空間から仕切る第2シール部23を形成することにより、四角形の底面部21が完成する(
図2)。このとき、第1シール部側位置決め点22cと側縁側位置決め点11bとを重ね合わせた位置を通過するように第2シール部を形成してもよいし、第1シール部側位置決め点22c及び側縁側位置決め点11bよりも第1シール部の末端22b側に第2シール部を形成してもよい。第2シール部のシール方向は、
図2に示すように第1シール部と略垂直方向としてもよいし、上述した
図5(a)〜(d)に示すような底面部の形状に従って適宜選択してもよい。
【0045】
第2シール部を形成する際に、底面部と接するように第1シール部を折り倒すことにより、第1シール部を注出チューブごと底面部に対して略平行に折り倒すことができる。第1シール部及び注出チューブにおける、折り倒し前の様子を
図9(b)に、折り倒して底面部を形成した後の様子を
図2に、それぞれ示す。
第2シール部は、第1シール部と交差させて形成する。このように交差させて形成することにより、第2シール部は、第1シール部上の少なくとも1点をまたいで形成されることとなる。すると、第1シール部は、注出チューブごと、平坦な底面部の面方向に沿うように折り倒され、いわゆる折倒し癖がつく。また、第1シール部と第2シール部とを交差させることにより、シール部による上述した梁の役割がより発揮され、底面部の強度が向上する。
【0046】
一方、注入口30及び第3シール部32を形成した後、上面部31を形成する。本発明における上面部31は、底面部21と対称的に、胴部上端の両隅において、胴部側縁11aの内面と、第3シール部32の下端縁近傍の内面とが接触するように折り込まれ、折り込まれた状態で固定する第4シール部33を備えることにより平坦に形成されることが好ましい。ここで、第3シール部32の下端縁とは、容器本体10の内部と第3シール部32との境界線を指す。本発明における上面部は、好適には、底面部と同様に、(1)折り込み工程、及び(2)第4シール部のシール工程を経て形成される。
【0047】
1−5.本発明の袋体の奏する効果
このように、袋体の底面部が平坦であり、さらに注出チューブが底面部の平坦面に略平行となるように設けられていることにより、特許文献2の粘性物吐出装置のように、加圧容器内において袋体の下部に注出チューブが鉛直方向下向きに設けられるための空間を設ける必要がなく、省スペース化が図れる。さらに、内容物の残量が少なくなった際に、容器本体を形成する可撓性フィルムが注出チューブの容器本体内部にある流路入口より下方に垂れ下がって落ち込む空間がないため、特許文献2のように落ち込んだ部分に内容物が残ることがなく、袋体内の残留物を従来よりも減らすことができる。また、容器本体の平坦な底面部を利用して、袋体を加圧容器内に載置して使用することも可能である。
また、注出チューブの中心軸が容器本体の底面部の平坦面に略平行であり、容器本体内部における流路入口が上向きに開口していないため、内容物の吐出途中において、容器本体の胴部の可撓性フィルム同士が密着して、可撓性フィルムがたるむ程度まで内容物の残量が少なくなった場合であっても、注出チューブの流路入口がたるんだ可撓性フィルムにより上から塞がれることがなく内容物を吐出することができるため、吐出後の内容物の残量を減らすことができる。さらに、流体を吐出する方法として、注出チューブの容器本体外側の先端に、L字型の接続部材を接続し、当該接続部材を袋外吐出管と接続し、当該袋外吐出管により流路を加圧容器上部へ引き上げ、加圧容器上部より流体を吐出する場合、注出チューブが容器本体の底面部の平坦面に略平行となるように設けられていることにより、内容物の流路を横向きから上向きへ一度方向転換をするのみでよく、流路にて内容物が滞留しにくい。
【0048】
1−6.袋体の用途
本発明の袋体は、上述したような、液体等の流体を加圧容器内において外部圧力により吐出する方法に使用することができる。本発明の袋体は、接着剤や粘着剤等のような、装置内に残留しやすくその除去が難しい液体組成物の吐出や、医薬産業の現場における、医薬品又はその原材料の溶液の吐出による移送、及び、特に医薬品製造で使用されるフィルター等の使用後の検査用容器として特に効果を発揮する。これら液体の吐出の場合には、残留物の量が極めて厳しく判断されるからである。
加圧容器内に残留しやすい液体組成物の吐出の場合は、残留した液体組成物の乾燥、硬化等の固化により、その後の除去が極めて困難となり、削り取る等の物理的な作業が必要となる。このような場合には、本発明の袋体にこれら液体組成物を充填し、加圧容器内において当該袋体の外部から加圧することにより液体組成物を吐出させ、吐出終了後は当該袋体ごと廃棄するといったように、本発明の袋体を作業の都度取り替えて使用することはきわめて有用である。
医薬産業の現場においては、異種の医薬品を同じ装置で交互に製造する場合等において、それら異種の医薬品の混合(クロスコンタミネーション)は許されず、このことは、厳密さを要求される医薬品製造に使用されるフィルターの使用後の検査溶液においても同様であり、洗浄方法を検証(バリデーション)して、混合が起こらないことを示さなければならない。また、使い捨て容器を用いない場合には、このようなクロスコンタミネーションの回避の観点から使用の都度洗浄が必要となるが、医薬産業の現場においては、一般的に、製造される医薬品又はその原材料が高価な物質である場合が多いため、たとえ微量であっても回収することが有益であり、回収できないことは損失につながる。このように、医薬産業の現場においては、医薬品又はその原材料のロスによるプロセスコスト及び金銭的コストが極めて大きい。このような医薬産業の現場においては、加圧容器内に医薬品又はその原材料が残留することを避けなければならないため、本発明の袋体にこれら医薬品又はその原材料の溶液を充填し、加圧容器内において当該袋体の外部から加圧することによりこれら医薬品又はその原材料の溶液を吐出させ、吐出終了後は当該袋体ごと廃棄するといったように、本発明の袋体を工程ごとに取り替えて使用することはきわめて有用である。
【0049】
2.流体吐出方法
本発明の流体吐出方法は、上記袋体に流体を充填し、加圧容器内に前記袋体の底面部が鉛直方向下となり且つ前記注出チューブ末端又は当該注出チューブを延長した管の末端が加圧容器外部に引き出されるように前記袋体を配置し、加圧容器内を加圧することにより前記袋体の外部から圧力を付与して、前記袋体内の流体を加圧容器外部へ吐出することを特徴とする。
【0050】
本発明において袋体に充填される流体は、流動性を有するものであれば特に限定されず、液体や粘性体等を指す。この液体は、気体、液体、固体を含むものも含む。これら流体のうち、本発明の流体吐出方法は、特に液体、固体を含む液体、及び粘性体の吐出に使用することが好ましく、液体、及び固体を含む液体の吐出に使用することがより好ましい。
本発明において袋体に充填される流体としては、特に限定はない。例えば、接着剤、粘着剤、塗装剤、塗工剤等、工業的に使用され、加圧容器内に残留した場合の除去が難しい流体や、医薬産業の現場における医薬品又はその原材料の溶液、医薬品製造に使用されたフィルターの使用後の検査用液体等が挙げられる。
【0051】
図10は、本発明の流体吐出方法の一実施形態を示す斜視模式図である。容器本体10、注出チューブ20及び注入口30を備える袋体100は、
図1に示した袋体100に対応する。なお、特に図示してはいないが、袋体100内には液体等の流体が充填されているものとする。
【0052】
袋体100は、加圧容器40内に、袋体100の底面部が鉛直方向下となるように配置されている。なお、
図10においては、加圧容器40を破線で示す。
本発明に使用される加圧容器は、特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、オートクレーブ等の密閉可能な加圧容器を用いることができる。加圧容器は、公知の固定機構により固定された加圧容器の上蓋部(図示せず)を備えるものであってもよく、その場合に、内容物である流体を充填する袋体は、この上蓋部を開けることにより加圧容器内に収納される。
加圧容器は気体供給管(図示せず)を備え、コンプレッサー等の気体供給装置から送り込まれる気体によって加圧容器内を加圧するものであってもよい。この場合には、内部の空気圧は圧力計等を用いて確認してもよい。加圧容器内に供給する気体は特に限定されず、例えば空気等が挙げられる。
加圧容器には、袋外吐出管を加圧容器外へ導くための孔(図示せず)が設けられている。
【0053】
本発明においては、注出チューブ末端、又は当該注出チューブを延長した管(袋外吐出管)の末端が加圧容器外部に引き出されるように、袋体が配置される。
図10に示すように、袋体100の注出チューブ20の容器本体外部の末端には、L字型の接続部材60を介して、袋外吐出管70が接続されている。このように、L字型の接続部材60を介することによって、注出チューブ20により略水平方向に向いていた流体の流路を、袋外吐出管70により加圧容器上部へ導くことができ、加圧容器40の上部より流体を吐出することができる。加圧容器に袋体を設置する際や、流体を注入口30から袋体内に注入する際において、流体の漏れを防ぐ等の観点から、必要に応じて、注出チューブ以降の流路に、流体の吐出を一時的に止めるための弁、コック、及びバルブ等を設けてもよい。
【0054】
袋体を加圧容器内に設置する方法は、袋体の底面部を下方とする以外は特に限定されず、加圧容器内に載置してもよいし、加圧容器内に吊り下げてもよい。このうち、
図10に示すように、加圧容器40の上部に設けられたフック50により袋体100を吊り下げる方法が好ましい。
また、
図10に示すように、袋体の底面部21は、加圧容器40の底と接することが好ましい。この様な状態においては、内容物を充填した袋体は加圧容器の底、加圧容器内上部のフック50、及び袋外吐出管70の3箇所で加圧容器内に保持されており、加圧により内容物が吐出されても、袋体の形状、特に底面部の形状の変形を抑制できる。したがって、流体の吐出終盤において、容器本体を形成する可撓性フィルムが底面部より下方に垂れ下がることがないため、注出チューブの容器本体内部の流路入口より下方に内容物が残ることがない。また、このように、袋体の底面部を加圧容器の底と接して配置することにより、袋体の底面部よりも下に生じる余分な空間、すなわち、容器本体を形成する可撓性フィルムが垂れ下がって落ち込む空間を予め排除することができる。
袋体を吊り下げる方法も特に限定はなく、例えば、袋体上端の第3シール部に設けられた吊り下げ孔にフックを通して袋体を加圧容器内に吊り下げる方法や、
図10に示すように、袋体の上端の三角形の角部を貼り合わせて形成された取っ手にフックを通すことにより、袋体を加圧容器内に吊り下げる方法等が挙げられる。
【0055】
以上のように加圧容器内に配置された袋体に対し、加圧容器内を加圧することによって袋体の外部から圧力を付与することにより、袋体内の流体を加圧容器外部へ吐出する。加圧容器により付与される圧力は、袋体の材質や、流体の充填量及び粘度、さらには流体吐出の速度や量に従い、適宜調節できる。
本発明の袋体において、注出チューブは、平坦な底面部と略平行な平面内に配置されている。したがって、本発明の流体吐出方法においては、流体を加圧容器上部から吐出する際、流体の流路を略水平方向から鉛直方向上向きへ一度方向変換をするのみでよく、方向転換部分に流体が留まりにくいという利点を有する。
【実施例】
【0056】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
1.袋体の製造
[実施例1]
多層インフレーションフィルム成形機を用いて、最内層であるヒートシール層がポリエチレン、最外層がポリアミドからなる積層フィルム筒体を成形した。フィルム筒体の折幅は216mm、出来上がった膜厚は250μmであった。このフィルム筒体を約750mmの長さに切り取り、フィルム筒体の上部に注入口を設けた後、フィルム筒体の上端をシールし第3シール部を形成した。
フィルム筒体の下端の突き合わされたフィルム間の幅方向中央の位置に、注出チューブ(材質:ポリエチレン、内径:6.35mm、外径:9.525mm、長さ:100mm)を挟み込み、挟み込んだ部分を含むようにフィルム筒体の下端をシールして第1シール部を形成した。
【0058】
続いて、胴部の下端側を、胴部側縁の内面と、第1シール部の上端縁近傍の内面とが接触するように折り込んだ。この折り込みにより、胴部の軸方向に対して垂直な面を持つ六角形の平面部が現れた。この六角形の平面部から両側に2つの三角形と、その間に四角形を形成するように、幅方向の両端に三角形状の角部を容器本体の内部空間から仕切る第2シール部を形成することにより、四角形の平坦な底面部を形成した。底面部の形成の際、注出チューブを挟持した部分を含む第1シール部を、底面部に対して略平行に折り倒すことにより、注出チューブの向きが底面部に対して略平行な方向に向くようにした。
以上の工程を経ることにより、容器本体の底面部が平坦であり、第1シール部及び注出チューブが平坦な底面部と略平行な平面内に配置されている実施例1の袋体が製造された。
【0059】
[比較例1]
実施例1の袋体の製造に使用したものと同じ積層フィルム筒体(折幅:216mm、膜厚:250μm)を用いた。このフィルム筒体を約750mmの長さに切り取り、フィルム筒体の上部に注入口を設けた後、フィルム筒体の上端をシールし第3シール部を形成した。フィルム筒体の下部には注出チューブ(材質:ポリエチレン、内径:6.35mm、外径:9.525mm、長さ:20mm)をシール部に挟み込んでシールし、第1シール部を形成し、袋体を作製した。
すなわち、比較例1の袋体は、平坦な底面部を備えておらず、また、注出チューブはフィルム筒体の胴部の軸方向と平行な方向を向いており、容器本体内部の流路入口が上向きに開口している。
【0060】
2.液体吐出評価
上記実施例1及び比較例1の袋体にそれぞれ金コロイド溶液を充填し、加圧容器内で加圧して金コロイド溶液を吐出させ、ウィルス除去フィルター(以下、フィルターと称する場合がある。)に金コロイド溶液を通すことにより、金コロイド溶液の吐出速度(フィルターにおけるろ過速度)、及び袋体に残留した金コロイド溶液の量を評価した。なお、金コロイド溶液をフィルターでろ過するこのような試験は、バイオ製剤の製造工程で使用済みのフィルターの完全性(すなわち、フィルターの孔径が使用前後で変動しない性質)を評価する試験を模擬したものである。詳細は以下の通りである。
まず、実施例1及び比較例1の袋体の注入口よりそれぞれ金コロイド溶液4Lを充填した後、注入口及び注出チューブの容器本体外側の開口を閉じて密封した。次に、各袋体における注出チューブの容器本体外側の開口に接続部材を介して袋外吐出管を連結し、当該袋外吐出管の先端を鉛直方向上側へ導いた。このとき用いた接続部材は、実施例1の袋体についてはL字管であり、比較例1の袋体についてはU字管であった。次に、金コロイド溶液入りの各袋体を加圧容器内へ設置した。このとき、実施例1の袋体においては容器本体底面部、注出チューブ及びL字管が加圧容器内の底に触れるように、袋体を吊り下げ、比較例1の袋体においては、接続部材であるU字管が加圧容器内の底に触れるように、袋体を吊り下げた。次に、各袋体に接続した接続部材を介して袋外吐出管を連結し、当該袋体吐出管の先端を加圧容器の上部から、加圧容器外部へ導いた。
【0061】
加圧容器外部において、各袋外吐出管の先端部をフィルターと接続した。加圧容器内の圧力を上昇させ、袋体を加圧することにより、金コロイド溶液をフィルターによりろ過させた。
実施例1の袋体から吐出される金コロイド溶液のろ過速度は、ろ過の間中2.5L/min〜3.0L/minとほぼ一定であり、ろ過中に流路が閉塞されることはなかった。実施例1の袋体からの金コロイド溶液の吐出が終了した後、当該袋体内における金コロイド溶液の残留量を調べたところ、32mL(金コロイド溶液の充填量4Lに対し0.8%、袋体の容量6.5Lに対し0.5%)ときわめて微量であった。
一方、比較例1の袋体から吐出される金コロイド溶液のろ過速度は、ろ過初期においては2.5L/min〜3.0L/minであったが、ろ過の途中で速度が低下し、最終的には0.1L/minまで下がった。比較例1の袋体からの金コロイド溶液の吐出が終了した後、加圧容器内部を覗いたところ、容器本体を形成するフィルムが、注出チューブの内部の流路入口に覆いかぶさっているのが確認された。また、当該袋体内における金コロイド溶液の残留量を調べたところ、198mL(金コロイド溶液の充填量4Lに対し4.95%、袋体の容量6.5Lに対し3.05%)と無視できない量であった。
【0062】
以上より、平坦な底面部を備える実施例1の袋体は、単に注出チューブと合わせてシールされた平袋状の下端を備えるにすぎない比較例1の袋体と比較して、吐出終了後の金コロイド溶液の残留量を6分の1に減らすことができた。また、注出チューブが胴部の軸方向と平行となる比較例1の袋体においては、金コロイド溶液の吐出終了後に、フィルムが注出チューブの内部の流路入口に覆いかぶさっていたのに対し、注出チューブの向きが底面部に対して略平行な方向である実施例1の袋体においては、そのようなフィルムの垂れ下がりがなく、流路入口が塞がれることがなかった。また、加圧容器上部から流体を吐出するためには、注出チューブの容器本体外側の開口が胴部の軸方向下側を向く比較例1の袋体においては、袋体から吐出された金コロイド溶液の流れ方向を180°転換しなければならないため、流路内で金コロイド溶液が停滞し、ろ過速度がろ過初期の4%以下まで落ち込んだが、注出チューブの向きが底面部に対して略平行な方向である実施例1の袋体においては、注出チューブ出口が水平方向を向いており、袋体から吐出された金コロイド溶液の流れ方向を90℃だけ変えればよいため、金コロイド溶液が流路途中で停滞することがなく、吐出終了まで一定のろ過速度を維持できた。