(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、エンジンの冷却効率の観点から、機械室内を下方から上方に向かう気流を生じさせること、すなわち、特許文献1に見られるように、吸気口よりも上方に排気口が形成されること、より具体的には、排気口が上壁に形成されることが望ましい。また、前記気流の確保のため、前記排気口の面積はなるべく大きく設定されることが望ましい。
【0005】
その一方で、機械室や作業アタッチメントを組み立てるときやメンテナンスするときには、機械室の上が作業者によって通路として利用される場合があり、この場合、機械室の上壁には、十分な強度が要求される。
【0006】
ここで、上記特許文献1のように、上壁に排気口が形成されている機械室は、排気口の開口面積を増やすほど、上壁の強度が低下するという問題がある。そのため、前記気流を確保するために前記排気口の開口面積を増やすことが困難である。
【0007】
本発明の目的は、騒音を低減させ、かつ、機械室の上壁の強度を低下させることなく動力源を冷却するための気流を確保することが可能な建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、建設機械であって、旋回可能なアッパーフレームと、前記アッパーフレーム上に配置された動力源と、一方向に長い形状を有するとともに前記動力源を収容する機械室と、を備え、前記機械室は、当該機械室内に前記動力源を冷却する空気を吸い込むための吸気口を有しており当該機械室の長手方向の一方側に位置する吸気側壁と、前記アッパーフレームの中央寄りに設けられており、当該機械室の外に空気を排出するための内側排気口を有して前記長手方向に長い形状の内側排気側壁と、前記アッパーフレームの外縁寄りに設けられており、当該機械室の外に空気を排出するための外側排気口を有して前記長手方向に長い形状の外側排気側壁と、前記吸気側壁、前記内側排気側壁及び前記外側排気側壁の上端に接続された上壁と、前記吸気側壁、前記内側排気側壁、前記外側排気側壁及び前記上壁で囲まれる空間内に向けて前記吸気口から空気を導く吸気流路を形成する吸気ダクトと、前記空間内の空気を前記内側排気口へ導く内側排気流路を形成する内側排気ダクトと、前記空間内の空気を前記外側排気口へ導く外側排気流路を形成する外側排気ダクトと、前記吸気ダクト内に設けられた吸気ダクト用吸音材と、前記内側排気ダクト内に設けられた内側排気ダクト用吸音材と、前記外側排気ダクト内に設けられた外側排気ダクト用吸音材と、を有し、前記内側排気口の少なくとも一部及び前記外側排気口の少なくとも一部は、前記吸気口よりも高い位置にある建設機械を提供する。
【0009】
本発明によれば、前記吸気ダクト用吸音材及び前記各排気ダクト用吸音材の双方で前記動力源から発生する音が吸収され、かつ、前記上壁の強度を低下させることなく前記動力源の冷却に有効な気流、すなわち、前記機械室内を下方から上方に向かう気流が確保される。具体的には、前記動力源から発生する騒音は、前記吸気ダクト及び各排気ダクトを通過する際に吸音材に吸収されるので、前記吸気口及び各排気口を通じて機械室外へ漏れる騒音が効果的に低減される。そして、前記内側排気口の少なくとも一部及び前記外側排気口の少なくとも一部は、前記吸気口よりも高い位置にあるので、上壁の強度を低下させることなく前記吸気口から各排気口へ、すなわち、機械室内を下方から上方へ向かう気流が確保され、これにより前記動力源が効率よく冷却される。これにより、作業者がメンテナンス等の作業時に機械室の上壁の上を通路として利用することが可能となるので、作業効率が向上する。さらに、前記吸気口を通じて機械室内に取り込まれた空気は、前記内側排気口及び前記外側排気口を介して機械室外へ排出されるので、換言すれば、前記吸気口から前記内側排気口へ向かう気流及び前記吸気口から前記外側排気口へ向かう気流が生じるので、前記吸気口を通じて前記空間内に取り込まれた空気の当該空間内での滞留が抑制される。よって、動力源の冷却に必要な風量が十分に確保される。
【0010】
具体的に、前記内側排気口の下端及び前記外側排気口の下端は、前記吸気口の上端よりも高い位置にあることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、各排気口は、その上下方向の全域にわたって吸気口よりも高いところに位置するので、機械室内を下方から上方に向かう気流がより生じやすく、これにより動力源が効率よく冷却される。また、前記機械室の下方には、下部走行体が配置される場合が多く、さらに、機械室の下方には地表面が存在することが多いが、前記各排気口の下端が前記吸気口の上端よりも高い位置に設けられているので、各排気口から機械室外に放射された騒音が各排気側壁と前記下部走行体や地表面等の反射物との間で多重反射することによる当該騒音の増大を抑制することができる。
【0012】
また、本発明において、前記内側排気口は、前記内側排気側壁の長手方向に長い形状を有し、前記外側排気口は、前記外側排気側壁の長手方向に長い形状を有することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、各排気口を前記吸気口よりも高い位置に形成しながら前記長手方向に長い大きな開口面積が確保されることにより、前記空間内の空気が前記吸気口よりも高い位置にある各排気口から機械室外へ排出されやすくなるので、前記機械室内を下方から上方へ向かう気流がさらに生じやすくなり、機械室内の温度上昇を抑制することができる。
【0014】
この場合において、前記上壁の一部と前記内側排気ダクトの上部及び前記外側排気ダクトの上部とが共通となるように構成されていることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、前記上壁を各排気ダクトの一部として利用することができるので、各排気ダクトの構造を簡素化することができる。
【0016】
この場合において、前記機械室は、前記上壁の内面に取り付けられており前記上壁を補強する上壁補強部材をさらに有し、前記内側排気ダクトは、前記内側排気流路の側部に配置された内側側板を有し、前記外側排気ダクトは、前記外側排気流路の側部に配置された外側側板を有し、前記内側側板及び前記外側側板は、前記上壁補強部材に固定されていることが好ましい。
【0017】
このようにすれば、前記上壁の補強と各排気ダクトの取付構造が簡素化との双方が達成される。すなわち、前記上壁補強部材は前記内側排気ダクト及び前記外側排気ダクトを固定可能であることから、上壁の内面に前記上壁補強部材が取り付けられることにより、前記上壁が補強され、かつ、前記吸気側壁、各排気側壁及び上壁で囲まれる空間内に各排気ダクトを固定するための専用の固定部を追加的に設けることが不要となる。
【0018】
さらにこの場合において、前記機械室は、前記内側排気側壁の内面に取り付けられており当該内側排気側壁を補強する内側側壁補強部材と、前記外側排気側壁の内面に取り付けられており当該外側排気側壁を補強する外側側壁補強部材とをさらに有し、前記内側側板は、前記内側側壁補強部材に固定されており、前記外側側板は、前記外側側壁補強部材に固定されていることが好ましい。
【0019】
このようにすれば、各排気側壁の補強と、各排気ダクトの取付強度の向上との双方を達成することができる。
【0020】
また、本発明において、前記内側排気口は、前記長手方向に沿って並ぶように設けられた複数の内側並設排気口を有し、前記外側排気口は、前記長手方向に沿って並ぶように設けられた複数の外側並設排気口を有し、前記内側排気ダクトは、各内側並設排気口に対応して前記内側排気側壁側に複数設けられており、前記外側排気ダクトは、各外側並設排気口に対応して前記外側排気側壁側に複数設けられていることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、各排気側壁の長手方向に沿って複数の排気ダクトがそれぞれ形成されるので、各排気口から放射される騒音を排気ダクト用吸音材により効率的に吸収することができる。
【0022】
この場合において、前記アッパーフレームは、前記内側排気側壁と対向しており前記作業アタッチメントを取り付けるための取付部を含み、前記内側排気口の総面積は、前記外側排気口の総面積よりも小さいことが好ましい。
【0023】
このようにすれば、作業アタッチメントの取付部が前記排気側壁に隣接した位置に形成された場合であっても、動力源の冷却に有効な気流を確保しながら、音の多重反射に起因する騒音の増大を抑制することができる。一般的に、排気側壁に隣接した位置に取付部が形成された場合、その排気側壁に形成された排気口から機械室外へ放出された音は、当該排気側壁の外面と前記取付部との間で多重反射を繰り返すおそれがあり、これに起因する騒音の増大が懸念される。これに対し、本発明では、前記内側排気口の総面積が前記外側排気口のそれよりも小さいことから、前記内側排気口から機械室外へ放出される音が前記外側排気口から機械室外へ放出される音よりも小さくなり、前記取付部は、前記外側排気側壁ではなく前記内側排気側壁に対向した位置に形成されるので、前記内側排気側壁の外面と前記取付部との間で生じる音の多重反射及びこれに起因する騒音の増大が抑制される。
【0024】
また、本発明において、前記機械室は、前記吸気ダクト内を仕切る複数の仕切板をさらに有し、前記複数の仕切板は、前記吸気ダクト内のうちの前記吸気流路の上流側に配置された外側仕切板と、前記吸気ダクト内のうちの前記外側仕切板よりも前記吸気流路の下流側に配置された内側仕切板とを有し、前記外側仕切板及び前記内側仕切板は、前記吸気流路を確保し、かつ、前記長手方向について前記機械室外から前記機械室内を見たときに互いに協働して前記吸気口を塞ぐ形状を有し、前記吸気ダクト用吸音材は、前記複数の仕切板のうち少なくとも前記空間側を向く面に取り付けられていることが好ましい。
【0025】
このようにすれば、前記吸気流路を確保しながら、前記長手方向について前記機械室外から前記機械室内を見通されるのを防止でき、さらに、前記空間内から前記吸気口に向かう音を効率よく吸収することができる。
【0026】
具体的に、前記外側仕切板は、前記長手方向に対して傾斜するとともに互いに平行な姿勢で配置された複数の外側傾斜板を有し、前記内側仕切板は、前記長手方向に対して前記複数の外側傾斜板の傾斜方向と異なる方向に傾斜するとともに互いに平行な姿勢で前記吸気流路の下流側に前記複数の外側傾斜板から離れた状態で配置された複数の内側傾斜板を有し、前記複数の内側傾斜板のそれぞれは、前記複数の外側傾斜板のうちの互いに隣接する外側傾斜板間から前記空間内へ吸い込まれる空気を当該内側傾斜板の両側に導く姿勢で配置されていることが好ましい。
【0027】
このようにすれば、互いに隣接する外側傾斜板の間から吸い込まれた空気が内側傾斜板の両側を通って前記空間内に導かれるので、前記吸気口から前記空間内へ向かう気流の圧力損失が大きくなるのを有効に抑制しながら、前記空間内から前記吸気口へ向かう音を効率よく吸収することができる。
【0028】
さらに、前記複数の外側傾斜板のそれぞれは、前記空間内から前記吸気口へ向かう音の指向性が前記吸気口に対して前記取付部側とは反対側に強くなるように前記長手方向に対して傾斜する姿勢で配置されていることが好ましい。
【0029】
このようにすれば、前記吸気口から放出された音が前記取付部に反射することによる騒音の増大が抑制される。
【0030】
また、前記外側仕切板は、前記吸気側壁と平行となる姿勢で前記吸気口の略中央に配置され、かつ、前記吸気ダクト内の上端から下端に至るように延びる形状を有し、前記内側仕切板は、前記吸気側壁と平行となる姿勢で前記吸気ダクトのうちの前記長手方向と直交する短手方向の一方側に接続され、かつ、前記吸気ダクト内の上端から下端に至るように延びる形状を有する第一仕切板と、この第一仕切板から離間するとともに前記吸気側壁と平行となる姿勢で前記吸気ダクトのうちの前記短手方向の他方側に接続され、かつ、前記吸気ダクト内の上端から下端に至るように延びる形状を有する第二仕切板と、前記吸気側壁と直交する姿勢で前記第一仕切板と前記第二仕切板との間に配置され、かつ、前記吸気流路の下流側に向かって延びるとともに前記吸気ダクト内の上端から下端に至るように延びる形状を有する第三仕切板とを有し、前記吸気ダクト用吸音材は、前記外側仕切板の内面、前記第一仕切板の両面、前記第二仕切板の両面及び前記第三仕切板の両面に取り付けられていてもよい。
【0031】
このようにしても、前記吸気口から前記空間内へ向かう気流の圧力損失が大きくなるのを有効に抑制しながら、前記空間内から前記吸気口へ向かう音を効率よく吸収することができる。具体的には、前記空間内から前記第一仕切板と前記外側仕切板との間、及び前記第二仕切板と前記外側仕切板との間に至った音を前記第三仕切板の両面に取り付けられた吸気ダクト用吸音材が吸収するので、前記吸気口から機械室外へ漏れる騒音が抑制される。
【0032】
また、本発明において、前記動力源は、前記吸気ダクトのうちの前記吸気流路の下流側の端部と前記内側排気ダクト及び前記外側排気ダクトのうちの前記長手方向について前記吸気側壁と反対側の端部との間にその全体が収まるように配置されていることが好ましい。
【0033】
このようにすれば、前記吸気口から各排気口へ向かう気流によって前記動力源が効果的に冷却される。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によれば、騒音を低減させ、かつ、上壁の強度を低下させることなく動力源を冷却するための気流の確保が可能な建設機械を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態の建設機械について、
図1〜
図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、建設機械として移動式クレーンが示されている。以下、
図1の右側を前、左側を後、紙面手前側を右、紙面奥側を左として説明する。
【0037】
図1に示されるように、この建設機械は、左走行クローラ及び右走行クローラを有する下部走行体10と、下部走行体10上に当該下部走行体10に対して旋回可能に設けられたアッパーフレーム12と、アッパーフレーム12上に設けられた動力源としてのエンジン14(
図7を参照)と、エンジン14を収容するとともに一方向(前後方向)に長い形状の機械室30と、アッパーフレーム12上の中央部に装着された作業アタッチメントであるジブ16と、ジブ16を起伏させるための起伏装置17と、下部走行体10やジブ16を操作するためのキャブ室18と、アッパーフレーム12上に設けられたカウンタウエイト20とを備えている。
【0038】
アッパーフレーム12の中央部には、ジブ16を取り付けるための取付部12aが形成されている。取付部12aは、左右方向と直交する板面を有しており、機械室30(後述の内側排気側壁34)と対向配置されている。
【0039】
ジブ16は、アッパーフレーム12の左右方向の略中央に装着されている。ジブ16の基端部は、アッパーフレーム12に回動可能に支持されており、この基端部の回動によりジブ16の先端が前記基端部を支点として上下方向に起伏する。ジブ16の先端からは、主巻上ロープ16aを介して主フック16bが吊下げられており、また、補巻上ロープ16cを介して補フック16dが吊下げられている。
【0040】
起伏装置17は、その基端部がアッパーフレーム12に回動に支持された可能なマスト17aと、マスト17aの後方でアッパーフレーム12上に立設されたガントリ17bと、ジブ16の先端とマスト17aの先端とを連結するガイライン17cと、マスト17aの先端とガントリ17bの先端との間に掛け渡された起伏ロープ17dと、起伏ロープ17dの巻き取り及び繰り出しを行うウインチ17eとを含む。ウインチ17eにより起伏ロープ17dの巻き取り又は繰り出しが行われることにより、マスト17aが回動してジブ16が起伏する。
【0041】
キャブ室18内には、下部走行体10や作業アタッチメント16等を操作するための操作部(図示略)が設けられている。キャブ室18は、機械室30の前方に配置されている。より具体的には、キャブ室18は、
図2に示されるように、機械室30のうちの後述の右側機械室30Rと前後方向に対向するように当該右側機械室30Rの前方に配置されている。
【0042】
機械室30は、
図2に示されるように、取付部12aを挟んで左右方向に並ぶように配置された右側機械室30R及び左側機械室30Lを有する。右側機械室30R及び左側機械室30Lは互いに同じ構造を有するので、以下、右側機械室30Rを例に説明する。なお、右側機械室30Rは、後述の吸気口32aが後方に位置する状態で配置されており、左側機械室30Lは、吸気口32aが前方に位置する状態で配置されている。また、各機械室30R,30L内には、エンジン14の他、図示略のラジエータや図示略のファンがそれぞれ収容されている。
【0043】
図3に示されるように、右側機械室30Rは、エンジン14及び図示略のラジエータを冷却するための空気を吸い込むための吸気口32aを有する吸気側壁32と、当該機械室外に空気を排出するための内側排気口34aを有する内側排気側壁34と、当該機械室外に空気を排出するための外側排気口36aを有する外側排気側壁36と、吸気側壁32と対向する対向側壁37と、各側壁の上端に接続された上壁38と、各側壁の下端に接続された底壁(図示せず)と、上壁38及び各排気側壁34,36の内面に取り付けられた補強フレーム40(
図5を参照)と、各側壁、上壁38及び底壁で囲まれる空間内に吸気口32aから空気を導く吸気流路を形成する吸気ダクト50と、前記空間内の空気を内側排気口34aへ導く内側排気流路を形成する内側排気ダクト61と、前記空間内の空気を外側排気口36aへ導く外側排気流路を形成する外側排気ダクト63と、吸気ダクト50内に設けられた吸気ダクト用吸音材70と、各排気ダクト61,63内に設けられた排気ダクト用吸音材80と、吸気ダクト50内を仕切る複数の仕切板90とを有している。
【0044】
吸気側壁32は、左右方向と平行となる姿勢でカウンタウエイト20と対向して配置されている。吸気側壁32は、矩形状であり、吸気口32aは、吸気側壁32の下部に形成されている。
【0045】
内側排気側壁34は、左右方向の内側(取付部12a側)に配置されている。内側排気側壁34は、前後方向と平行となる姿勢で配置されている。内側排気側壁34は、前後方向に長い矩形状、すなわち、上下方向の寸法よりも前後方向の寸法の方が大きい矩形状を呈する。内側排気側壁34は、内側排気口34aを有する。本実施形態では、内側排気口34aは、前後方向に沿って並ぶように設けられた二つの内側並設排気口34bを有している。各内側並設排気口34bの下端は、吸気口32aの上端よりも高い位置となるように設定されている。内側排気口34aは、前後方向に長い形状、すなわち、上下方向の寸法よりも前後方向の寸法の方が大きい形状を有する。ただし、この内側排気口34aは、上下方向に長い形状や、上下方向の寸法と前後方向の寸法とが同一の形状等であってもよい。この内側排気口34aの長手方向の中央は、内側排気側壁34の長手方向の中央よりも前側(吸気側壁32から遠い側)に位置している。
【0046】
外側排気側壁36は、左右方向の外側(アッパーフレーム12の外縁側)に配置されている。外側排気側壁36は、前後方向と平行となり、かつ、内側排気側壁34と対向する姿勢で配置されている。外側排気側壁36は、前後方向に長い矩形状、すなわち、上下方向の寸法よりも前後方向の寸法の方が大きい矩形状を呈する。外側排気側壁36は、外側排気口36aを有する。本実施形態では、外側排気口36aは、前後方向に沿って並ぶように設けられた四つの外側並設排気口36bを有している。各外側並設排気口36bの下端は、吸気口32aの上端よりも高い位置となるように設定されている。より具体的には、各外側並設排気口36bの下端は、各内側並設排気口34bの下端と同じ高さに設定されている。外側排気口36aは、前後方向に長い形状、すなわち、上下方向の寸法よりも前後方向の寸法の方が大きい形状を有する。ただし、この外側排気口36aは、上下方向に長い形状や、上下方向の寸法と前後方向の寸法とが同一の形状等であってもよい。内側排気口34aの総面積(内側並設排気口34bの開口面積の和)は、外側排気口36aの総面積(外側並設排気口36bの開口面積の和)よりも小さくなるように設定されている。
【0047】
なお、内側排気側壁34の内側排気口34a内及び外側排気側壁36の外側排気口36a外側には、雨等が前記空間内に至るのを抑制するルーバー(図示略)がそれぞれ取り付けられている。
【0048】
対向側壁37は、吸気側壁32と平行となる姿勢でキャブ室18の後面と対向して配置されている。
【0049】
上壁38は、各側壁32,34,36,37で囲まれる空間を上から塞ぐ形状を有する。上壁38は、アッパーフレーム12と平行となる姿勢で各側壁の上端に接続されている。この上壁38の強度は、作業者が当該上壁38の上に乗って作業アタッチメント16のメンテナンス等の作業することが可能な程度に設定されている。
【0050】
図5に示されるように、補強フレーム40は、上壁38の内面に取り付けられた上壁補強部材42と、内側排気側壁34の内面に取り付けられた内側側壁補強部材(図示略)と、外側排気側壁36の内面に取り付けられた外側側壁補強部材44とを有している。上壁補強部材42は、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法の方が長い形状を有する。具体的には、上壁補強部材42は、上壁38の右端から左端に至る長さを有する。内側側壁補強部材及び外側側壁補強部材44は、前後方向の寸法よりも上下方向の寸法の方が長い形状を有する。具体的には、各側壁補強部材は、それぞれ各排気側壁34,36の上端から下端に至る長さを有する。各側壁補強部材の上端は、上壁補強部材42の長手方向の端部とそれぞれ接続されている。本実施形態では、複数の補強フレーム40が前後方向に等間隔に並ぶように配置されている。
【0051】
吸気ダクト50は、
図3に示されるように、前後方向に開口する四角筒状を呈する。吸気ダクト50の上流側の端部は、吸気側壁32のうちの吸気口32aを取り囲む部位に接続されている。なお、吸気ダクト50の下流側の端部と対向するように図示略のラジエータが配置されている。また、吸気ダクト50内は、複数の仕切板90で仕切られている。
【0052】
図4は、吸気ダクト50が水平方向に切断された状態の平面図である。この
図4に示されるように、複数の仕切板90は、吸気流路の上流側に配置された外側仕切板92と、吸気流路の下流側に配置された内側仕切板93とを有する。外側仕切板92及び内側仕切板93は、吸気流路を確保し、かつ、前記前後方向について右側機械室30R外から当該右側機械室30R内を見たときに互いに協働して吸気口32aを塞ぐ形状を有している。本実施形態では、外側仕切板92は、吸気側壁32と平行となる姿勢で左右方向について吸気口32aの略中央に配置されており、吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有している。内側仕切板93は、吸気側壁32と平行となる姿勢で吸気ダクト50のうちの内側排気側壁34側の内面に接続された第一仕切板93aと、吸気側壁32と平行となる姿勢で吸気ダクト50のうちの外側排気側壁36側の内面に接続された第二仕切板93bと、吸気側壁32と直交する姿勢で第一仕切板93aと第二仕切板93bとの間に配置された第三仕切板93cとを有している。第一仕切板93a、第二仕切板93b及び第三仕切板93cは、互いに左右方向に離間して配置されている。第一仕切板93a及び第二仕切板93bは、ともに外側仕切板92から吸気流路の下流側に離間した状態で吸気ダクト50内に配置されており、吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有している。また、第一仕切板93a及び第二仕切板93bは、ともに前後方向についての外側仕切板92からの距離が等しい位置に配置されている。第三仕切板93cは、外側仕切板92の左右方向の中央から前後方向について吸気流路の下流側に向かって延びるとともに吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有する。第三仕切板93cは、外側仕切板92の内面から吸気ダクト50の下流側の端部に至る長さを有している。
【0053】
吸気ダクト用吸音材70は、吸気ダクト50内に設けられている。吸気ダクト用吸音材70は、例えばウレタンからなり、略直方体形状を呈する。吸気ダクト用吸音材70は、複数の仕切板90のうち少なくとも前記空間を向く面に取り付けられる。本実施形態では、吸気ダクト用吸音材70は、外側仕切板92の内面、第一仕切板93aの両面、第二仕切板93bの両面、第三仕切板93cの両面、吸気ダクト50のうちの内側排気側壁34側の内面、吸気ダクト50のうちの外側排気側壁36側の内面及び吸気ダクト50のうちの上側の内面にそれぞれ取り付けられている。
【0054】
図3に示されるように、内側排気ダクト61は、各内側並設排気口34bに対応するように内側排気側壁34側に複数設けられており、外側排気ダクト63は、各外側並設排気口36bに対応するように外側排気側壁36側に複数設けられている。各内側排気ダクト61は、前記空間内の空気を内側並設排気口34bへ導く内側排気流路を取り囲む形状を有し、各外側排気ダクト63は、前記空間内の空気を外側並設排気口36bへ導く外側排気流路を取り囲む形状を有する。各排気ダクト61,63の基本的な構造は共通しているので、以下、外側排気ダクト63を例に説明する。
【0055】
外側排気ダクト63は、
図3及び
図5に示されるように、左右方向に開口する四角筒状を呈する。
図5及び
図6に示されるように、外側排気ダクト63は、外側排気流路のうちの側部(前後方向に対向する部位)を覆う外側側板64と、外側排気流路のうちの下部を覆う底板66とを有する。外側排気流路のうちの上部は上壁38に覆われている。すなわち、本実施形態では、上壁38が外側排気ダクト63の上部を構成している。ただし、上壁38が外側排気ダクトの一部を兼ねる構成ではなく、上壁38とは別に外側排気流路の上部を覆う天板が設けられてもよい。各側板64の上端は、上壁補強部材42に固定されている。各側板64の下流側(外側排気口36a側)の端部は、外側側壁補強部材44に固定されていてもよい。なお、各側板64の上端が上壁補強部材42に固定されず、各側板64の下流側の端部のみが外側側壁補強部材44に固定されていてもよい。本実施形態では、複数の外側排気ダクト63が前後方向に隣接するように並んでいる。なお、互いに隣接する位置の外側側板64は、そのいずれか一方が省略されてもよいし、互いに前後方向に隣接していてもよい。
【0056】
排気ダクト用吸音材80は、外側排気ダクト63内に設けられている。排気ダクト用吸音材80は、例えばウレタンからなり、略直方体形状を呈する。本実施形態では、排気ダクト用吸音材80は、各側板64の内面及び上壁38の内面にそれぞれ取り付けられている。なお、
図5に示されるように、外側側板64の外面及び底板66の下面にも吸音材82が取り付けられている。なお、各内側排気ダクト61内にも排気ダクト用吸音材80が設けられている。また、
図3に示されるように、内側排気ダクト61のうちの対向側壁37に最も近い側の内側側板64の吸気側壁32からの距離は、外側排気ダクト63のうちの対向側壁37に最も近い側の外側側板64の吸気側壁32からの距離と等しくなるように設定されている。
【0057】
図7に示されるように、エンジン14は、吸気ダクト50のうちの下流側の端部と各排気ダクト61,63のうちの前後方向について吸気側壁32と反対側の端部(対向側壁37に近い側の側板64)との間にその全体が収まるように配置されている。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の建設機械によれば、吸気ダクト用吸音材70及び各排気ダクト用吸音材80の双方でエンジン14から発生する音が吸収され、しかも、上壁38の強度を低下させることなくエンジン14の冷却に有効な気流、すなわち、機械室30内を下方から上方に向かう気流が確保される。具体的には、内側排気口34aの少なくとも一部及び外側排気口36aの少なくとも一部は、吸気口32aよりも高い位置に形成されるので、上壁38の強度を低下させることなく吸気口32aから各排気口34a,36aへ、すなわち、機械室30内を下方から上方へ向かう気流が確保され、これによりエンジン14が効率よく冷却される。これにより、作業者による機械室30の上壁38の上でのメンテナンス等の作業が可能となるので、作業効率が向上する。さらに、吸気口32aを通じて機械室30内に取り込まれた空気は、内側排気口34a及び外側排気口36aを介して機械室30外へ排出されるので、換言すれば、吸気口32aから内側排気口34aへ向かう気流及び吸気口32aから外側排気口36aへ向かう気流が生じるので、吸気口32aを通じて前記空間内に取り込まれた空気の当該空間内での滞留が抑制される。よって、エンジン14の冷却に必要な風量が十分に確保される。
【0059】
また、内側排気口34aの下端及び外側排気口36aの下端は、吸気口32aの上端よりも高くなるように設定されていることから、各排気口34a,36aは、その上下方向の全域にわたって吸気口32aよりも高いところに位置するので、機械室30内を下方から上方に向かう気流がより生じやすく、これによりエンジン14が効率よく冷却される。また、機械室30の下方には、下部走行体10や、カーボディウェイトが配置されており、さらに、機械室30の下方には地表面が存在する。各排気口34a,36aの下端が吸気口32aの上端よりも高い位置に設けられているので、各排気口34a,36aから機械室30外に放射された騒音が各排気側壁34,36と下部走行体10や地表面等の反射物との間で多重反射することによる当該騒音の増大を抑制することができる。
【0060】
そして、各排気口34a,36aは、各排気側壁34,36の長手方向に長い形状を有することから、各排気口34a,36aを吸気口32aよりも高い位置に形成しながら前記長手方向に長い大きな開口面積が確保される。よって、前記空間内の空気が吸気口32aよりも高い位置にある各排気口34a,36aから機械室30外へ排出されやすくなるので、機械室30内を下方から上方へ向かう気流がさらに生じやすくなり、機械室30内の温度上昇を抑制することができる。
【0061】
さらに、上壁38は、各排気ダクト61,63のうちの各排気流路の上部を覆う部位を構成することから、当該上壁38が各排気ダクト61,63の一部として利用することができるので、各排気ダクトの構造を簡素化することができる。
【0062】
加えて、上壁38の内面に取り付けられた上壁補強部材42は、各排気ダクト61,63のそれぞれの側板64を固定可能であることから、前記空間内に各排気ダクト61,63を固定するための専用の固定部を追加的に設けることが不要となる。すなわち、上壁38の内面に上壁補強部材42を取り付けることにより、上壁38の補強を低下させないだけでなく、むしろその強度を補いながら各排気ダクト61,63の取付構造の簡素化が達成される。
【0063】
さらに、各側壁補強部材は、各排気ダクト61,63の各側板64を固定可能であることから、各排気側壁34,36の補強と、各排気ダクト61,63の取付強度の向上との双方を達成することができる。
【0064】
また、内側排気口34aは、前後方向に沿って並ぶように設けられた複数の内側並設排気口34bを有し、外側排気口36aは、前後方向に沿って並ぶように設けられた複数の外側並設排気口36bを有し、内側排気ダクト61は、各内側並設排気口34bに対応して内側排気側壁34側に複数設けられており、外側排気ダクト63は、各外側並設排気口36bに対応して外側排気側壁36側に複数設けられていることから、各排気側壁34,36の長手方向に沿って複数の排気ダクトがそれぞれ形成されるので、各排気口34b,36bから放射される騒音を排気ダクト用吸音材80により効率的に吸収することができる。
【0065】
さらに、内側排気口34aの総面積は、外側排気口36aの総面積よりも小さいため、作業アタッチメント16の取付部12aが排気側壁に隣接する位置に装着された場合であっても、エンジン14の冷却に有効な気流を確保しながら、音の多重反射に起因する騒音の増大を抑制することができる。一般的に、排気側壁に隣接した位置に取付部12aが形成された場合、その排気側壁に形成された排気口から機械室30外へ放出された音は、当該排気側壁の外面と取付部12aとの間で多重反射を繰り返すおそれがあり、これに起因する騒音の増大が懸念される。これに対し、本実施形態では、内側排気口34aの総面積が外側排気口36aのそれよりも小さいことから、内側排気口34aから機械室30外へ放出される音が外側排気口36aから機械室30外へ放出される音よりも小さくなり、しかも、取付部12aは、外側排気側壁36ではなく内側排気側壁34に隣接した位置に形成されるので、内側排気側壁34の外面と取付部12aとの間で生じる音の多重反射及びこれに起因する騒音の増大が抑制される。
【0066】
また、複数の仕切板90のうちの外側仕切板92及び内側仕切板93は、前記吸気流路を確保し、かつ、前記長手方向について機械室30外から機械室30内を見たときに互いに協働して吸気口32aを塞ぐ形状を有しており、吸気ダクト用吸音材70は、複数の仕切板90のうち少なくとも前記空間を向く面に取り付けられていることから、前記吸気流路が確保されながら、前記長手方向について機械室30外から機械室30内を見通されるのが防止され、さらに、前記空間内から吸気口32aに向かう音が効率よく吸収される。
【0067】
具体的に、外側仕切板92は、吸気側壁32と平行となる姿勢で吸気口32aの略中央に配置され、かつ、吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有し、内側仕切板93は、吸気側壁32と平行となる姿勢で吸気ダクト50のうちの内側排気側壁34側に接続され、かつ、吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有する第一仕切板93aと、吸気側壁32と平行となる姿勢で吸気ダクト50のうちの外側排気側壁36側に接続され、かつ、吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有する第二仕切板93bと、吸気側壁32と直交する姿勢で第一仕切板93aと第二仕切板93bとの間に配置され、かつ、前記吸気流路の下流側に向かって延びるとともに吸気ダクト50内の上端から下端に至るように延びる形状を有する第三仕切板93cとを有している。これにより、外側仕切板92及び第三仕切板93cの左右方向の両側から前記空間内に至る流路が確保されることから、吸気口32aから前記空間内へ向かう気流の圧力損失が大きくなるのが有効に抑制される。また、吸気ダクト用吸音材70は、外側仕切板92の内面、第一仕切板93aの両面、第二仕切板93bの両面及び第三仕切板93cの両面に取り付けられていることから、前記空間内から吸気口32aへ向かう音が当該吸気ダクト用吸音材70により効率よく吸収される。具体的には、前記空間内から第一仕切板93aと外側仕切板92との間、及び第二仕切板93bと外側仕切板92との間に至った音を第三仕切板93cの両面に取り付けられた吸気ダクト用吸音材70が吸収するので、吸気口32aから機械室30外へ漏れる騒音が抑制される。
【0068】
そして、エンジン14は、吸気ダクト50のうちの下流側の端部と各排気ダクト61,63のうちの吸気側壁32と反対側の側板64との間にその全体が収まるように配置されていることから、吸気口32aから各排気口34a,36aへ向かう気流によってエンジン14が効果的に冷却される。
【0069】
(第二実施形態)
本発明の第二実施形態について、
図8を参照しながら説明する。なお、この第二実施形態では、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第一実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0070】
本実施形態の建設機械は、
図8に示されるように、第一実施形態とは、主に機械室30における複数の仕切板90の形状及び配置が異なる。
【0071】
具体的に、本実施形態の複数の仕切板90は、外側仕切板92として複数の外側傾斜板95を有し、内側仕切板93として複数の内側傾斜板96を有する。複数の外側傾斜板95及び複数の内側傾斜板96は、前記吸気流路を確保し、かつ、前後方向について右側機械室30R外から右側機械室30R内を見たときに互いに協働して吸気口32aを塞ぐ形状を有している。
【0072】
複数の外側傾斜板95は、前後方向に対して傾斜するとともに互いに平行となる姿勢で吸気ダクト50内に配置されている。複数の外側傾斜板95は、左右方向に等間隔に並ぶように配置されている。本実施形態では、複数の外側傾斜板95のそれぞれは、前記空間内から吸気口32aを介して右側機械室30R外へ放出される音の指向性が吸気口32aに対して取付部12a側とは反対側(左右方向の外側)に強くなるように前後方向に対して傾斜する姿勢で配置されている。具体的には、各外側傾斜板95は、対向側壁37から吸気側壁32に向かう方向に対して左側(外側排気側壁36側)に45度傾斜している。複数の外側傾斜板95のそれぞれは、吸気ダクト50の上端から下端に至る形状を有している。
【0073】
複数の内側傾斜板96は、前後方向に対して各外側傾斜板95の傾斜方向とは異なる方向に傾斜するとともに互いに平行となる姿勢で吸気ダクト50内に配置されている。複数の内側傾斜板96は、左右方向に等間隔に並ぶように配置されている。具体的には、複数の内側傾斜板96のそれぞれは、各外側傾斜板95と直交し、かつ、複数の外側傾斜板95のうちの互いに隣接する外側傾斜板95間から前記空間内へ吸い込まれる空気を当該内側傾斜板96の両側に導く姿勢で配置されている。複数の内側傾斜板96のそれぞれは、吸気ダクト50の上端から下端に至る形状を有している。
【0074】
吸気ダクト用吸音材70は、複数の仕切板90のうち少なくとも前記空間を向く面に取り付けられている。本実施形態では、吸気ダクト用吸音材70は、複数の外側傾斜板95及び複数の内側傾斜板96のそれぞれの両面に取り付けられている。なお、複数の外側傾斜板95のうち最も内側排気側壁34に近い側の外側傾斜板95については、当該外側傾斜板95のうちの前記空間に面する側にのみ吸気ダクト用吸音材70が取り付けられている。
【0075】
以上説明したように、本実施形態では、外側仕切板92として複数の外側傾斜板95を有し、内側仕切板93として複数の内側傾斜板96を有し、複数の内側傾斜板96のそれぞれは、複数の外側傾斜板95のうちの互いに隣接する外側傾斜板95間から前記空間内へ吸い込まれる空気を当該内側傾斜板96の両側に導く姿勢で配置されているので、吸気口32aから前記空間内へ向かう気流の圧力損失が大きくなるのが有効に抑制される。
【0076】
そして、吸気ダクト用吸音材70は、複数の外側傾斜板95及び複数の内側傾斜板96のそれぞれの両面に取り付けられているので、前記空間内から吸気口32aへ向かう音が吸気ダクト用吸音材70により効率よく吸収される。なお、本実施形態では、外側仕切板92の内面及び内側仕切板93の両面に吸気ダクト用吸音材70が配置され、吸気ダクト50の左右の各内面に前後方向と平行な姿勢で吸気ダクト用吸音材70が配置され、そして、吸気ダクト50の上側の内面に上壁38と平行な姿勢で吸気ダクト用吸音材70が配置されている第一実施形態に比べ、前記空間内から吸気口32aへ向かう音の吸収効率が高い。
【0077】
さらに、複数の外側傾斜板95のそれぞれは、前記空間内から吸気口32aへ向かう音の指向性が吸気口32aに対して取付部12a側とは反対側に強くなるように前後方向に対して傾斜する姿勢で配置されているので、吸気口32aから放出された音が取付部12aに反射することによる騒音の増大が抑制される。
【0078】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、内側排気口34aが複数の(二個の)内側並設排気口34bを有し、外側排気口36aが複数の(四個の)外側並設排気口36bを有する例が示されたが、内側排気口34aの開口面積が外側排気口36aのそれよりも小さく設定されるのであれば、内側排気口34aが単一の排気口とされ、同様に、外側排気口36aが単一の排気口とされてもよい。