(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1主面、前記第1主面に形成された複数の第1主面電極、前記第1主面とは反対側の第1裏面、および前記第1裏面に形成され、かつ前記複数の第1主面電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第1裏面電極を有する第1半導体チップと、
第2主面、前記第2主面に形成された複数の第2主面電極、および前記第2主面とは反対側の第2裏面を有し、前記第1半導体チップの前記第1裏面側に搭載された第2半導体チップと、
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に配置され、かつ、前記複数の第1裏面電極と前記複数の第2主面電極をそれぞれ電気的に接続する複数の導電性部材と、
を含み、
前記複数の第1裏面電極は、第1のパルス幅で第1信号電流が流れる第1信号用電極と、前記第1のパルス幅よりも短い第2のパルス幅で第2信号電流が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の第2主面電極は、前記第1信号電流が流れる第1信号用電極と、前記第2信号電流が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の導電性部材は、前記第1半導体チップの前記第1信号用電極と前記第2半導体チップの前記第1信号用電極とを繋ぐ第1導電性部材と、前記第1半導体チップの前記複数の第2信号用電極と前記第2半導体チップの前記複数の第2信号用電極とを繋ぐ複数の第2導電性部材と、を有し、
前記複数の第2導電性部材は互いに接続しており、かつ、前記第1導電性部材とは分離されている、半導体装置。
第1主面、前記第1主面に形成された複数の第1主面電極、前記第1主面とは反対側の第1裏面、および前記第1裏面に形成され、かつ前記複数の第1主面電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第1裏面電極を有する第1半導体チップと、
第2主面、前記第2主面に形成された複数の第2主面電極、および前記第2主面とは反対側の第2裏面を有し、前記第1半導体チップの前記第1裏面側に搭載された第2半導体チップと、
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に配置され、かつ、前記複数の第1裏面電極と前記複数の第2主面電極をそれぞれ電気的に接続する複数の導電性部材と、
を含み、
前記複数の第1裏面電極は、第1の周波数で第1信号電流が流れる第1信号用電極と、前記第1の周波数よりも高い第2の周波数で第2信号電流が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の第2主面電極は、前記第1信号電流が流れる第1信号用電極と、前記第2信号電流が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の導電性部材は、前記第1半導体チップの前記第1信号用電極と前記第2半導体チップの前記第1信号用電極とを繋ぐ第1導電性部材と、前記第1半導体チップの前記複数の第2信号用電極と前記第2半導体チップの前記複数の第2信号用電極とを繋ぐ複数の第2導電性部材と、を有し、
前記複数の第2導電性部材は互いに接続しており、かつ、前記第1導電性部材とは分離されている、半導体装置。
第1主面、前記第1主面に形成された複数の第1主面電極、前記第1主面とは反対側の第1裏面、および前記第1裏面に形成され、かつ前記複数の第1主面電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第1裏面電極を有する第1半導体チップと、
第2主面、前記第2主面に形成された複数の第2主面電極、前記第2主面とは反対側の第2裏面、前記第2主面に形成された第1回路、および前記第2主面に形成され前記第1回路よりも高い周波数で信号電流が流れる第2回路を有し、前記第1半導体チップの前記第1裏面側に搭載された第2半導体チップと、
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に配置され、かつ、前記複数の第1裏面電極と前記複数の第2主面電極をそれぞれ電気的に接続する複数の導電性部材と、
を含み
前記複数の第1裏面電極は、前記第1回路と電気的に接続される第1回路用電極と、前記第2回路と電気的に接続される複数の第2回路用電極と、を有し、
前記複数の第2主面電極は、前記第1回路と電気的に接続される第1回路用電極と、前記第2回路と電気的に接続される複数の第2回路用電極と、を有し、
前記複数の導電性部材は、前記第1半導体チップの前記第1回路用電極と前記第2半導体チップの前記第1回路用電極とを繋ぐ第1導電性部材と、前記第1半導体チップの前記複数の第2回路用電極と前記第2半導体チップの前記複数の第2回路用電極とを繋ぐ複数の第2導電性部材と、を有し、
前記複数の第2導電性部材は互いに接続しており、かつ、前記第1導電性部材とは分離されている、半導体装置。
第1主面、前記第1主面に形成された複数の第1主面電極、前記第1主面とは反対側の第1裏面、および前記第1裏面に形成され、かつ前記複数の第1主面電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第1裏面電極を有する第1半導体チップと、
第2主面、前記第2主面に形成された複数の第2主面電極、および前記第2主面とは反対側の第2裏面を有し、前記第1半導体チップの前記第1裏面側に搭載された第2半導体チップと、
前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に配置され、かつ、前記複数の第1裏面電極と前記複数の第2主面電極をそれぞれ電気的に接続する複数の導電性部材と、
を含み、
前記複数の第1裏面電極は、クロックイネーブル信号またはリセット信号が流れる第1信号用電極と、クロック信号またはデータ信号が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の第2主面電極は、前記クロックイネーブル信号または前記リセット信号が流れる第1信号用電極と、前記クロック信号または前記データ信号が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の導電性部材は、前記第1半導体チップの前記第1信号用電極と前記第2半導体チップの前記第1信号用電極とを繋ぐ第1導電性部材と、前記第1半導体チップの前記複数の第2信号用電極と前記第2半導体チップの前記複数の第2信号用電極とを繋ぐ複数の第2導電性部材と、を有し、
前記複数の第2導電性部材は互いに接続しており、かつ、前記第1導電性部材とは分離されている、半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0012】
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
【0013】
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0014】
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0015】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
【0016】
<半導体装置の回路構成例>
以下で説明する実施の形態では、半導体装置の例として、一つのパッケージ内に、メモリ回路が形成された半導体チップ(メモリチップ)とメモリ回路の動作を制御する制御回路が形成された半導体チップ(ロジックチップ、制御チップとも呼ぶ)が内蔵された半導体パッケージを取り上げて説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置を構成する部品の電気的な接続関係を模式的に示す説明図である。また、
図2は
図1に示すメモリモジュールが備える複数のメモリチップのそれぞれが有する機能ブロックを示す説明図である。また、
図3は、
図2に示すメモリチップが備える複数のチャネルのそれぞれが有する機能ブロックを示す説明図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態の半導体装置1は、複数枚のメモリチップ(半導体チップ)MCが電気的に接続されたメモリモジュールMCMと、メモリモジュールMCMと電気的に接続されたロジックチップ(半導体チップ)LCと、を有している。また、半導体装置1は、ロジックチップLCを介してメモリモジュールMCMと電気的に接続される配線基板2を有している。配線基板2は、半導体装置1を図示しない実装基板(例えばマザーボード)に実装する際に端子配列を調整するためのインタポーザ基板であって、半導体装置1が有するロジックチップLCおよびメモリモジュールMCMは、配線基板2を介して図示しない外部機器と電気的に接続される。なお、
図1では、実装基板と電気的に接続するために配線基板2に設けられた複数の外部端子は図示を省略している。
【0018】
配線基板2とロジックチップLCとの間は、様々な種類の電流が流れる複数の伝送経路(導電経路)を介して電気的に接続されている。
図1に示す例では、複数の伝送経路には、ロジックチップLCが備えるデータ信号処理回路(図示は省略)との間で、データ信号DATの入出力(入力または出力、あるいは入力および出力)を行う複数の伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、ロジックチップLCが備えるタイミング制御回路(図示は省略)にクロック信号などのタイミング制御系の信号CLKを入力する複数の伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、ロジックチップLCが備えるアナログ回路(図示は省略)との間でアナログ信号ALGの入出力を行う複数の伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、ロジックチップLCが備える各種回路(図示は省略)との間で上記以外の信号SGNの入出力を行う複数の伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、ロジックチップLCおよびメモリモジュールMCMが備える各種回路に、電源電位を供給する複数の伝送経路PWRが含まれる。また、複数の伝送経路には、ロジックチップLCおよびメモリモジュールMCMが備える各種回路に、基準電位を供給する複数の伝送経路GNDが含まれる。基準電位は、例えば接地電位である。
【0019】
また、メモリモジュールMCMが有する複数のメモリチップMCには、それぞれ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)と呼ばれる記憶回路(以下、メモリ回路DRAMと記載する)が形成されている。また、メモリモジュールMCMと電気的に接続されるロジックチップLCには、メモリチップMCのメモリ回路DRAM(
図3参照)の動作を制御する制御回路、およびデータ信号に対して演算処理を行う演算処理回路が形成されている。
【0020】
また、ロジックチップLCとメモリモジュールMCMとの間、およびメモリモジュールMCMを構成する複数のメモリチップMCの間は、様々な種類の電流が流れる複数の伝送経路(導電経路)を介して電気的に接続されている。
図1に示す例では、複数の伝送経路には、クロック信号CK、クロックイネーブル信号CKEなどのタイミング制御系信号をメモリモジュールMCMに入力する複数のタイミング系伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、チップセレクト信号CS、ロウアドレスストローブ信号RAS、カラムアドレスストローブ信号CAS、ライトイネーブル信号WEなどのコマンド系信号をメモリモジュールMCMに入力する複数の伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、アドレス信号A0〜A13、バンクアドレス信号BAなどのアドレス指定系信号をメモリモジュールMCMに入力する複数のアドレス系伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、ロジックチップLCとメモリモジュールMCMとの間で、データ信号DQ、データストローブ信号DQS、データマスク信号DMなどのデータ系信号の入出力(入力または出力、あるいは入力および出力)を行う複数のデータ系伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、リセット信号(非同期リセット信号)RSTをメモリモジュールMCMに入力する複数のリセット信号伝送経路が含まれる。また、複数の伝送経路には、コア用電源電位Vdd1、データ用電源電位VddQ、コア用基準電位Vss1、データ用基準電位VssQなどの電源を、メモリモジュールMCMを構成する各メモリチップMCが有する回路に供給する複数の電源系伝送経路が含まれる。
【0021】
また、
図2に示す例では、メモリチップMCのそれぞれは、チャネルCNa、CNb、CNc、CNdとして示す4つのチャネルCNを備えている。複数のチャネルCNのそれぞれには、
図3に示すようなメモリ回路DRAMが形成されている。また、
図2および
図3に示す例では、チャネルCNのデータバスの幅は、それぞれ128ビットであって、4つのチャネルCNのバス幅を合計すると512ビットとなる。
【0022】
また、
図3に示すメモリ回路DRAMは、例えば以下のように動作する。まず、上記した電源系伝送経路から、メモリ回路DRAMの電源制御回路PSM(
図3参照)にコア用電源電位Vdd1、データ用電源電位VddQ、コア用基準電位Vss1、データ用基準電位VssQなどの電源が供給され、メモリ回路DRAMが起動される。コア用電源電位Vdd1、コア用基準電位Vss1は、メモリ回路DRAM内の主要回路(例えば、電源制御回路PSM、クロック発振回路CKG、コマンド制御回路CMDC、アドレスバッファ回路ABFなど)に主要回路用の駆動電圧を供給する。また、データ用電源電位VddQおよびデータ用基準電位VssQは、データ信号DQの入出力用の電圧を供給する。なお、図示は省略したが、異なる駆動電圧で動作させる複数種類の回路が存在する場合には、コア用電源電位Vdd1、コア用基準電位Vss1とは異なる電源電位や基準電位を追加で供給することもできる。
【0023】
次に、メモリ回路DRAMにリセット信号RSTが入力された後、メモリ回路DRAM内のクロック発振回路CKGにクロックイネーブル信号CKEのロウレベル(クロック信号無効)、クロック信号CK、クロックイネーブル信号CKEのハイレベル(クロック信号有効)、が順番に入力され、クロックが発信される。クロック信号CKは、メモリ回路DRAMの各種電気的動作の基準となるタイミングを決定する信号である。また、クロックイネーブル信号CKEは、入出力信号に対してクロックが有効か無効かを決定する信号であって、例えば、ロウレベルの場合には、クロック信号無効、ハイレベルの場合にはクロック信号有効になる。信号のハイレベル、ロウレベルの値は、通信規格によって規定されており、入力信号の電圧がある規定値以上の場合にはハイレベルと判定され、入力信号の電圧が別の規定値以下の場合にはロウレベルと判定される。
【0024】
次に、メモリ回路DRAMのコマンド制御回路CMDCに上記したコマンド系信号が入力されて、メモリ回路DRAMがスタンバイ状態(アイドリング状態とも呼ぶ)になる。コマンド系信号には、チップセレクト信号CS、ロウアドレスストローブ信号RAS、カラムアドレスストローブ信号CAS、ライトイネーブル信号WEが含まれており、これらのコマンド系信号のロウレベル、ハイレベルを組み合わせることにより、予め設定されたコマンドの種類を指定する。ここでは、コマンドの詳細な説明は省略するが、複数のコマンドが順番に入力されることで、メモリ回路DRAMがスタンバイ状態になる。
【0025】
次に、メモリ回路DRAMへの書込み動作またはメモリ回路DRAMからの読み出し動作を行う前には、メモリ回路DRAMのコマンド制御回路CMDCに上記した複数のコマンド系信号が入力されて、メモリ回路DRAMがアクティブ状態になる。ここでは、コマンドの詳細な説明は省略するが、複数のコマンドが順番に入力されることで、メモリ回路DRAMがアクティブ状態になる。
【0026】
また、メモリ回路DRAMへの書込み動作時には、まず、コマンド制御回路CMDCに書込みコマンドが入力される。書込みコマンドの入力方法は、上記したスタンバイ状態にする時、あるいはアクティブ状態にする時と同様で、メモリ回路DRAMのコマンド制御回路CMDCに上記したコマンド系信号が入力される。また、メモリ回路DRAMのアドレスバッファ回路ABFに、アドレス信号A0〜A13およびバンクアドレス信号BAが入力されることで、書込みアドレスを指定される。続いて、メモリ回路DRAMのコマンド制御回路CMDCに、NOP(NO OPERATION)コマンドが入力され、データ入出力回路IOBを介してメモリセルMCAのバンクにデータ信号DQが入力される。データ書込み動作のタイミングは、データ入出力回路IOBから出力されるデータストローブ信号DQSによって指定される。また、データ入出力回路IOBには、データマスク信号DMが入力され、データ書込みの可否が制御される。以降、クロック信号CKのパルスに同期した状態で、データ信号DQが繰り返し入力され、書込み動作が行われる。
【0027】
また、メモリ回路DRAMからの読み出し動作時には、まず、コマンド制御回路CMDCに読み出しコマンドが入力される。読み出しコマンドの入力方法は、上記した書込みコマンドの入力方法と同様で、メモリ回路DRAMのコマンド制御回路CMDCに上記した複数のコマンド系信号が入力される。また、メモリ回路DRAMのアドレスバッファ回路ABFに、アドレス信号A0〜A13およびバンクアドレス信号BAが入力されることで、書込みアドレスを指定される。続いて、メモリ回路DRAMのコマンド制御回路CMDCに、NOP(NO OPERATION)コマンドが入力され、メモリセルMCAのバンクからデータ入出力回路IOBを介してデータ信号DQが出力される。データ読み出し動作のタイミングは、データ入出力回路IOBから出力されるデータストローブ信号DQSによって指定される。以降、クロック信号CKのパルスに同期した状態で、データ信号DQが繰り返し出力され、読み出し動作が行われる。
【0028】
本願発明者は、半導体装置1の性能を向上させる取り組みの一環として、半導体装置1に内蔵される複数の半導体チップ間の信号伝送速度(すなわち、内部インタフェースの伝送速度)を、例えば25Gbps(毎秒25ギガビット)以上に向上させる技術について検討している。複数の半導体チップ間の伝送速度を向上させる方法として、内部インタフェースのデータバスの幅を大きくして1回に伝送するデータ量を増加させる方法がある(以下、バス幅拡大化と記載する)。また、別の方法として、単位時間当たりの伝送回数を増やす方法がある(以下、高クロック化と記載する)。また、上記したバス幅拡大法とクロック数増加法を組み合わせて適用する方法がある。
【0029】
図1〜
図3に示す半導体装置1は、バス幅拡大化と高クロック化を組み合わせて適用することにより、チャネル毎の内部インタフェースの伝送速度を25Gbps以上に向上させた半導体装置である。例えば、半導体装置1は、データ信号DQ用の伝送経路として、チャネル毎に128個のデータ用伝送経路を有している。すなわち、半導体装置1は各チャネルが128ビットのバス幅を有している。また、データ信号DQ用の伝送経路の動作周波数は、例えば400MHz(400メガヘルツ)になっている。これにより、各チャンネルの伝送速度は、25.6Gbpsになる。
【0030】
ここで、上記したように、互いに異なる複数種類の信号を伝送する半導体装置1の場合、複数の伝送経路の全てを最大の周波数で動作させることもできるが、上記した複数の伝送経路のうち、最大の周波数で動作する伝送経路は、一部で良い。例えば、
図1〜
図3に示す例では、データ信号DQ、データストローブ信号DQSは、最大周波数(例えば400MHz)で動作させる。一方、データ系以外の信号伝送経路は、最大周波数よりも小さい周波数で動作させることができる。例えば、データの入出力の確定方式が、DDR(Double Data Rate)方式の場合には、外部同期クロックの立ち上がりと立ち下り時にデータ入出力を確定するのでクロック信号CKの動作周波数は、最大周波数(すなわち、データ信号DQの動作周波数)の1/2の周波数に設定することができる。言い換えれば、DDR方式の場合には、クロック信号CKのパルス幅は、データ信号DQのパルス幅に対して2倍のパルス幅にすることができる。また、クロックイネーブル信号CKEは、クロック信号CKなどと比較して入力頻度が極めて低いので、クロックイネーブル信号CKEの動作周波数は、例えば1MHz以下に設定することができる。
【0031】
また、コマンド系信号の入力頻度は、データ信号DQの入力頻度よりも低いので、例えば、コマンド系の入力信号の動作周波数は、データ信号DQの動作周波数の1/4以下の周波数に設定することができる。また、アドレス系信号の入力頻度は、データ信号DQの入力頻度よりも低いので、例えば、アドレス系の入力信号の動作周波数は、データ信号DQの動作周波数の1/4以下の周波数に設定することができる。
【0032】
本願で記載する周波数とは、単位時間当たりの入力動作または出力動作の回数の意味である。また、本願で記載するパルス幅とは、1回の入力動作または出力動作におけるパルス信号の印加時間である。したがって、周波数とパルス幅との間には、以下の関係が成り立つ。すなわち、動作周波数が大きい信号(言い換えれば高周波動作の信号)は、パルス幅は短くする必要があるが、動作周波数が小さい信号(言い換えれば低周波動作の信号)は、パルス幅は長く、あるいは短くする事ができる。
【0033】
ただし、クロック信号CKのパルス幅を基準とした信号種類毎のパルス幅は、データの入出力の確定方式に応じて、例えば
図34に例示するように、標準規格として規定されている。
図34は、JEDEC半導体技術協会の標準規格として規定されている、DRAMの信号種類とパルス幅の関係を示す説明図である。JEDEC半導体技術協会(JEDEC Solid State Technology Association)は、半導体技術の標準化を行う機関の名称である。以下では、単にJEDECと記載する。また、
図34では、行方向に信号種類(FunctionおよびSymbol)を、列方向にデータの入出力の確定方式の種類を示している。また、
図34に示す数値は、データの入出力の確定方式毎に、クロック信号CKのパルス幅を1とした時の各信号のパルス幅の長さを示している。また、「<1」の表記は、1よりも小さい値であることを示し、「10
n」の表記は、10以上の値である事を示している。また、「−」の表記は、該当する信号が無いことを意味する。
【0034】
<半導体装置の構造>
次に、
図1に示す半導体装置1の構造について説明する。
図4は
図1に示す半導体装置の斜視図、
図5は、
図4に示す半導体装置の下面図である。また、
図6は、
図4に示す封止体を取り除いた状態で配線基板上の半導体装置の内部構造を示す透視平面図である。また、
図7は
図4のA−A線に沿った断面図である。なお、
図4〜
図7では、見易さのため、端子数を少なくして示しているが、端子(ボンディングリード2f、ランド2g、半田ボール5)の数は、
図4〜
図7に示す態様には限定されない。また、
図6では、ロジックチップLCとメモリチップMC3の平面視における位置関係や平面サイズの違いを見易くするため、ロジックチップLCの輪郭を、点線により示している。
【0035】
図7に示すように、配線基板2は、複数の半導体チップ3が搭載された上面(面、チップ搭載面)2a、上面2aとは反対側の下面(面、実装面)2b、および上面2aと下面2bの間に配置された側面2cを有し、
図5および
図6に示すように平面視において四角形の外形形状を成す。
図5および
図6に示す例では、配線基板2の平面サイズ(平面視における寸法、上面2aおよび下面2bの寸法、外形サイズ)は、例えば一辺の長さが14mm程度の四角形を成す。また、配線基板2の厚さ(高さ)、すなわち、
図7に示す上面2aから下面2bまでの距離は、例えば0.3mm〜0.5mm程度である。
【0036】
配線基板2は、上面2a側に搭載された半導体チップ3と図示しない実装基板を電気的に接続するためのインタポーザであって、上面2a側と下面2b側を電気的に接続する複数の配線層(
図7に示す例では4層)を有する。各配線層には、複数の配線2dおよび複数の配線2d間、および隣り合う配線層間を絶縁する絶縁層2eが形成されている。
図7に示す配線基板2は、3つの絶縁層2eを有しており、真ん中の絶縁層2eがコア層(コア材)であるが、コアとなる絶縁層2eを有していない、所謂、コアレス基板を用いても良い。また、配線2dには、絶縁層2eの上面または下面に形成される配線2d1、および絶縁層2eを厚さ方向に貫通するように形成されている層間導電路であるビア配線2d2が含まれる。
【0037】
また、配線基板2の上面2aには、半導体チップ3と電気的に接続される端子(内部インタフェース端子)である、複数のボンディングリード(端子、チップ搭載面側端子、電極)2fが形成されている。一方、配線基板2の下面2bには、図示しない実装基板と電気的に接続するための端子、すなわち、半導体装置1の外部接続端子である複数の半田ボール5が接合された、複数のランド2gが形成されている。複数のボンディングリード2fと複数のランド2gは、複数の配線2dを介して、それぞれ電気的に接続されている。なお、ボンディングリード2fやランド2gに接続される配線2dは、ボンディングリード2fやランド2gと一体に形成されるので、
図7では、ボンディングリード2fおよびランド2gを、配線2dの一部として示している。
【0038】
また、配線基板2の上面2aおよび下面2bは、絶縁膜(ソルダレジスト膜)2h、2kにより覆われている。配線基板2の上面2aに形成された配線2dは絶縁膜2hに覆われている。絶縁膜2hには開口部が形成され、この開口部において、複数のボンディングリード2fの少なくとも一部(半導体チップ3との接合部、ボンディング領域)が絶縁膜2hから露出している。また、配線基板2の下面2bに形成された配線2dは絶縁膜2kに覆われている。絶縁膜2kには開口部が形成され、この開口部において、複数のランド2gの少なくとも一部(半田ボール5との接合部)が絶縁膜2kから露出している。
【0039】
また、
図7に示すように、配線基板2の下面2bの複数のランド2gに接合される複数の半田ボール(外部端子、電極、外部電極)5は、
図5に示すように行列状(アレイ状、マトリクス状)に配置されている。また、
図5では図示を省略するが、複数の半田ボール5が接合される複数のランド2g(
図7参照)も行列状(マトリクス状)に配置されている。このように、配線基板2の実装面側に、複数の外部端子(半田ボール5、ランド2g)を行列状に配置する半導体装置を、エリアアレイ型の半導体装置と呼ぶ。エリアアレイ型の半導体装置は、配線基板2の実装面(下面2b)側を、外部端子の配置スペースとして有効活用することができるので、外部端子数が増大しても半導体装置の実装面積の増大を抑制することが出来る点で好ましい。つまり、高機能化、高集積化に伴って、外部端子数が増大する半導体装置を省スペースで実装することができる。
【0040】
また、半導体装置1は、配線基板2上に搭載される複数の半導体チップ3を備えている。複数の半導体チップ3は、配線基板2の上面2a上に積層されている。また、複数の半導体チップ3のそれぞれは、表面(主面、上面)3a、表面3aとは反対側の裏面(主面、下面)3b、および、表面3aと裏面3bとの間に位置する側面3cを有し、
図6に示すように平面視において四角形の外形形状を成す。このように、複数の半導体チップ3を積層することにより、半導体装置1を高機能化させた場合であっても、実装面積を低減することができる。
【0041】
図6および
図7に示す例では、最下段(配線基板2に最も近い位置)に搭載される半導体チップ3は、演算処理回路(図示は省略)が形成されたロジックチップLCである。なお、ロジックチップLCには、上記した演算処理回路の他、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の主記憶回路の動作を制御する制御回路が形成されている。
【0042】
また、ロジックチップLCの上段に搭載される複数の半導体チップ3は、ロジックチップLCとの間で通信するデータを記憶するメモリ回路(主記憶回路)DRAM(
図3参照)が形成された、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3である。
図7に示す例では、ロジックチップLCの裏面3b上に、4枚のメモリチップMC(
図1参照)の積層体である、メモリモジュール(半導体チップ積層体)MCMが積層された例を示している。
【0043】
また、
図7に示すように、ロジックチップLCと配線基板2の間、およびロジックチップLCとメモリモジュールMCMとの間には、それぞれ接着材NCL(絶縁性接着材)が配置されている。接着材NCLは、上段側の半導体チップ3の表面3aと下段側の半導体チップ3の裏面3b(または、配線基板2の上面2a)の間の空間を塞ぐように配置されている。この接着材NCLは、配線基板2上にロジックチップLCを接着固定する接着材(絶縁性接着材)NCL1、およびロジックチップLC上にメモリモジュールMCMを接着固定する接着材(絶縁性接着材)NCL2を含む。また、接着材NCL1、NCL2は、それぞれ絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成り、ロジックチップLCと配線基板2の接合部、およびロジックチップLCとメモリモジュールMCMの接合部に接着材NCLを配置することで、各接合部に設けられている複数の電極間を電気的に絶縁することができる。
【0044】
また、
図7に示す例では、メモリモジュールMCMを構成する複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3は、封止体6により封止されている。言い換えれば、メモリモジュールMCMを構成する半導体チップ3の間には、封止体6が表面3aおよび裏面3bと密着するように埋め込まれている。封止体6は、絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成り、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の電気的接続部分の周囲に封止体6を配置することで、各接続部分に設けられている複数の電極間を電気的に絶縁することができる。ただし、
図7に示すようにメモリモジュールMCMのうち、最下段(最もロジックチップLCに近い位置)に搭載されるメモリチップMC0の表面3aは、封止体6から露出している。また、
図6および
図7に示すように、メモリモジュールMCMのうち、最上段(ロジックチップLCから最も遠い位置)に配置されるメモリチップMC3の裏面3bは封止体6から露出している。
【0045】
また、半導体装置1は、複数の半導体チップ3を封止する封止体4を備える。封止体4は、上面(面、表面)4a、上面4aとは反対側に位置する下面(面、裏面)4b(
図7参照)、および上面4aと下面4bの間に位置する側面4cを有し、平面視において四角形の外形形状を成す。
図4に示す例では、封止体4の平面サイズ(上面4a側から平面視した時の寸法、上面4aの外形サイズ)は配線基板2の平面サイズと同じであって、封止体4の側面4cは配線基板2の側面2cと連なっている。
【0046】
封止体4は、複数の半導体チップ3を保護する樹脂体であって、複数の半導体チップ3間、および半導体チップ3と配線基板2に密着させて封止体4を形成することで、薄い半導体チップ3の損傷を抑制することができる。また、封止体4は、保護部材としての機能を向上させる観点から例えば以下のような材料で構成される。封止体4には、半導体チップ3および配線基板2に密着させ易く、かつ、封止後には、有る程度の硬さが要求されるので、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂が含まれることが好ましい。また、硬化後の封止体4の機能を向上させるため、例えば、シリカ(二酸化珪素;SiO
2)粒子などのフィラー粒子が樹脂材料中に混合されていることが好ましい。例えば、封止体4を形成した後の熱変形による半導体チップ3の損傷を抑制する観点からは、フィラー粒子の混合割合を調整して、半導体チップ3と封止体4の線膨張係数を近づけることが好ましい。
【0047】
<半導体チップの積層構造>
次に、
図7に示すロジックチップLCおよびメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の詳細および各半導体チップ3の電気的な接続方法について説明する。
図8は
図7に示すA部の拡大断面図である。
【0048】
上記したように、本願発明者は、半導体装置の内部インタフェースの信号伝送速度を高速化させる技術について検討を行っており、本実施の形態の半導体装置1は、上記したバス幅拡大法、クロック数増加法を組み合わせて適用することにより、信号伝送速度の高速化を図っている。
【0049】
例えば
図7に示すメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3は、それぞれ512ビットのデータバスの幅を持つ、所謂、ワイドI/Oメモリである。また、
図1〜
図3を用いて説明したように、メモリ回路DRAMとの間で、データ信号DQの入出力を行う動作周波数は、例えば400MHzになっている。
【0050】
このように、高クロック化とバス幅拡大化を組み合わせて適用する場合には、多数のデータ信号DQの伝送経路を高速で動作させる必要があるため、ノイズの影響を低減する観点から、データの伝送距離を短縮する必要がある。そこで、
図7に示すように、ロジックチップLCとメモリチップMC0は、ロジックチップLCとメモリチップMC0の間に配置される導電性部材(
図8に示すチップ間接続部材7)を介して電気的に接続されている。また、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3は、それぞれ、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の間に配置される導電性部材(チップ間接続部材7)を介して電気的に接続される。言い換えれば、半導体装置1では、ロジックチップLCとメモリチップMC0の間の伝送経路には、配線基板2や図示しないワイヤ(ボンディングワイヤ)が含まれない。また、半導体装置1では、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3間の伝送経路に、配線基板2や図示しないワイヤ(ボンディングワイヤ)が含まれない。
【0051】
本実施の形態では、複数の半導体チップ3同士を、ワイヤを介さずに直接的に接続する方法として、
図8に示すように、半導体チップ3を厚さ方向に貫通する貫通電極3tsvを形成し、この貫通電極3tsvを介して積層された半導体チップ3同士を接続する技術を適用している。例えば、配線基板2上に積層される複数の半導体チップ3のうち、ロジックチップLC、メモリチップMC0、MC1、MC2のそれぞれは、表面3aに形成された複数の表面電極(電極、パッド、主面電極)3ap、および裏面3bに形成された複数の裏面電極(電極、パッド)3bpを有している。また、ロジックチップLC、メモリチップMC0、MC1、MC2のそれぞれは、表面3aおよび裏面3bのうちの一方から他方に向かって貫通するように形成され、かつ、複数の表面電極3apと複数の裏面電極3bpを電気的に接続する複数の貫通電極3tsvを有している。
【0052】
半導体チップ3が備える各種回路(半導体素子およびこれに接続される配線)は、半導体チップ3の表面3a側に形成される。詳しくは、半導体チップ3は、例えばシリコン(Si)からなる半導体基板(図示は省略)を備え、半導体基板の主面(素子形成面)に、例えばトランジスタなどの複数の半導体素子(図示は省略)が形成される。半導体基板の主面上(表面3a側)には、複数の配線と複数の配線間を絶縁する絶縁膜を備える配線層(図示は省略)が積層される。配線層の複数の配線は複数の半導体素子とそれぞれ電気的に接続されて、回路を構成する。半導体チップ3の表面3a(
図7参照)に形成される複数の表面電極3apは、半導体基板と表面3aの間に設けられている配線層を介して半導体素子と電気的に接続され、回路の一部を構成する。
【0053】
したがって、
図8に示すように、半導体チップ3を厚さ方向に貫通する貫通電極3tsvを形成し、貫通電極3tsvを介して表面電極3apと裏面電極3bpを電気的に接続することで、裏面電極3bpと表面3a側に形成された半導体チップ3の回路を電気的に接続することができる。例えば
図8に示す例では、配線基板2上に積層される複数の半導体チップ3のうち、ロジックチップLC、メモリチップMC0、MC1、MC2は、それぞれ複数の貫通電極3tsvを有している。そして、ロジックチップLC、メモリチップMC0、MC1、MC2のそれぞれが有する各種回路と複数の裏面電極3bpとは、複数の貫通電極3tsvを介して電気的に接続されている。
【0054】
また、下段側の半導体チップ3の裏面電極3bpと、上段側の半導体チップ3の表面電極とは、チップ間接続部材(突起電極、バンプ電極)7などの導電性部材を介して電気的に接続されている。つまり、下段側の半導体チップ3が有する回路と、上段側の半導体チップ3が有する回路とは、複数の貫通電極3tsvおよび複数のチップ間接続部材7を介して電気的に接続されている。
【0055】
このように、本実施の形態では、半導体チップ3を厚さ方向に貫通する貫通電極3tsvおよび積層された半導体チップ3の間に配置されるチップ間接続部材7を介して、半導体チップ3が有する回路を電気的に接続することで、伝送経路から、配線基板2や図示しないワイヤ(ボンディングワイヤ)を排除することができる。この結果、積層された複数の半導体チップ3の間の伝送経路中のインピーダンス成分を低減し、高クロック化させたことによるノイズの影響を低減することができる。言い換えれば、積層された複数の半導体チップ3の間の信号伝送速度を向上させた場合でも、伝送信頼性を向上させることができる。
【0056】
なお、
図8に示す例では、最上段に搭載されるメモリチップMC3は、メモリチップMC2と接続されれば良いので、複数の表面電極3apは形成されるが、複数の裏面電極3bpおよび複数の貫通電極3tsvは形成されていない。このように、最上段に搭載されるメモリチップMC3は、複数の裏面電極3bpおよび複数の貫通電極3tsvを備えない構造を採用することで、メモリチップMC3の製造工程を簡略化することができる。ただし、図示は省略するが、変形例としては、メモリチップMC3についても、メモリチップMC0、MC1、MC2と同様に、複数の裏面電極3bpおよび複数の貫通電極3tsvを備えた構造にすることもできる。この場合、積層される複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3を同一の構造にすることで、製造効率を向上させることができる。
【0057】
また、
図8に示すロジックチップLCやメモリチップMC0、MC1、MC2のように、貫通電極3tsvを備える半導体チップ3は、厚さ、すなわち、表面3aと裏面3bの離間距離は薄く(小さく)することが好ましい。半導体チップ3の厚さを薄くすれば、貫通電極3tsvの伝送距離が短縮されるので、インピーダンス成分を低減できる点で好ましい。また、半導体基板の厚さ方向に開口部(貫通孔および貫通しない穴を含む)を形成する場合、孔の深さが深くなるほど加工精度が低下する。言い換えれば、半導体チップ3の厚さを薄くすれば、貫通電極3tsvを形成するための開口部の加工精度を向上させることができる。このため、複数の貫通電極3tsvの径(半導体チップ3の厚さ方向に対して直交方向の長さ、幅)を揃えることができるので、複数の伝送経路のインピーダンス成分を制御し易くなる。
【0058】
図8に示す例では、ロジックチップLCの厚さは、ロジックチップLC上に配置される複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のメモリモジュールMCM(
図7参照)の厚さよりも薄い。また、ロジックチップLCの厚さは、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のうち、最上段に搭載され、貫通電極3tsvが形成されていないメモリチップMC3の厚さよりも薄い。例えば、ロジックチップLCの厚さは50μm程度である。これに対し、メモリチップMC3の厚さは80μm〜100μm程度である。また、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のメモリモジュールMCM(
図7参照)の厚さは260μm程度である。
【0059】
上記のように、半導体チップ3を薄型化する場合、半導体チップ3を露出させた状態では、半導体チップ3が損傷する懸念がある。本実施の形態によれば、
図7に示すように、複数の半導体チップ3に封止体4を密着させて封止する。このため、封止体4は半導体チップ3の保護部材として機能し、半導体チップ3の損傷を抑制することができる。つまり、本実施の形態によれば、複数の半導体チップ3を樹脂で封止することにより、半導体装置1の信頼性(耐久性)を向上させることができる。
【0060】
また、貫通電極3tsvを備える半導体チップ3を積層する半導体装置1の場合、伝送距離短縮の観点から、積層される半導体チップ3間の距離を小さくすることが好ましい。例えば、
図8に示す例では、下段側の半導体チップ3の裏面3bと上段側の半導体チップ3の表面3aとの離間距離は、5μm〜20μm程度である。また、ロジックチップLCの表面3aと配線基板2の上面2aの間隔は例えば10μm〜20μm程度である。このように、貫通電極3tsvを備える半導体チップ3を積層する半導体装置1では、半導体チップ3の厚さおよび離間距離を小さくすることで、伝送距離の短縮を図ることが好ましい。
【0061】
<半導体チップ接続部の詳細>
次に、
図8に示す半導体チップ3同士を電気的に接続する接続部の詳細構造について説明する。
図9は、
図8に示す半導体チップ間を電気的に接続する接続部の構造を示す拡大断面図である。また、
図10は、
図9に示す複数の電極と、半田材との平面的な位置関係を示すため、半導体チップが備える多数の電極のうちの一部を拡大して示す説明図である。
図10では、隣り合う半田材同士が接触している構造と隣り合う半田材同士が離間している構造とが混在している状態を示すため、表面電極または裏面電極と、半田材とを重ね合わせた状態で示している。また、
図10では、複数の電極のそれぞれに流れる信号電流の種類を明示する、円形を成す電極の中央に、下線を付して流れる信号種類を示している。例えば、下線付きでDQ1、DQ2、DQ3、DQ4、またはDQ5と記載される表面電極AP2、裏面電極BP2には、
図3を用いて説明したデータ信号DQが流れる。また、下線付きでCKEと記載される表面電極AP1、裏面電極BP1には、
図3を用いて説明したクロックイネーブル信号CKEが流れる。
【0062】
図9に示す例では、表面電極3apと裏面電極3bpとは、金属柱CPL、金属柱CPLの先端面に形成された金属膜TMF、および金属膜TMFと裏面電極3bpに接合された半田材SDBから成るチップ間接続部材7を介して電気的に接続されている。なお、
図9では、上段側の半導体チップ3の表面電極3apと下段側の半導体チップ3の裏面電極3bpとを電気的に接続する接続部分(チップ間接続部材7)の構造の一例を示しているが、チップ間接続部材7の構造には種々の変形例がある。
【0063】
表面電極3apは半導体チップ3の表面3a側に形成された金属膜であって、例えば、アルミニウム(Al)を主体とする金属材料(アルミニウムの他、銅や珪素などの元素が含まれる場合もある)から成る。半導体チップ3の表面3aは、例えば、窒化珪素(SiN)である絶縁膜(保護膜、パッシベーション膜)PFに覆われ、表面電極3apの一部は、絶縁膜PFに形成された開口部において、露出している。
【0064】
また、金属柱CPLは、表面電極3apに接合される柱形状の金属部材であって、例えば銅(Cu)から成る。銅からなる柱状の金属部材はCuピラーと呼ばれる。金属柱CPLを構成する銅は、半田材SDBよりも融点が高いので、積層される半導体チップ3同士を電気的に接続するリフロー工程において、金属柱CPLは溶融しない。したがって、積層される半導体チップ3の離間距離を制御し易くなる。また、金属柱CPLを構成する銅は、半田材SDBを構成する半田よりも電気伝導率が大きい。このため、表面電極3apと裏面電極3bpとの間に金属柱CPLを介在させることにより、半田材SDBの量を低減できれば、伝送経路中のインピーダンスを低減できる。
【0065】
また、金属柱CPLの先端面(表面電極3apとの接合面の反対側に位置する面)に形成される金属膜TMFは、例えばニッケル(Ni)から成る金属膜である。半田材SDBとの接合面に、金属膜TMFを形成することにより、半田材SDBの濡れ性を向上させることができる。また、金属柱CPLの半田材SDBとの接続部分を、ニッケルなどの金属膜TMFで覆うことにより、接続面の酸化を抑制できる。
【0066】
また、半田材SDBは、リフロー処理(加熱処理)を施すことにより溶融し、金属同士を接続する接続部材である。半田材料には種々の変形例があるが、本実施の形態では、半田材SDBは、鉛(Pb)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田から成る。鉛フリー半田と呼ばれる半田材料は、例えば錫(Sn)のみ、錫−ビスマス(Sn−Bi)、または錫−銀−銅(Sn−Ag−Cu)などである。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHs(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
【0067】
また、裏面電極3bpは、半導体チップ3の裏面3b側に形成された金属膜であって、
図9に示す例では、銅から成り、貫通電極3tsvと一体に形成されている。
【0068】
ここで、
図9に示すように本実施の形態では、複数のチップ間接続部材7のうち、一部のチップ間接続部材7は、隣り合って配置されるチップ間接続部材7の半田材SDB2同士が接触し、一体化している。このように隣り合う半田材SDB2を接触させる理由について以下で説明する。
【0069】
上記したように、本実施の形態では、バス幅拡大法、クロック数増加法を組み合わせて適用することにより、信号伝送速度の高速化を図っている。このため、積層配置される半導体チップ3同士を、チップ間接続部材7を介して電気的に接続することで、伝送距離を低減し、インピーダンスを低下させている。しかし、複数の半導体チップ3間の通信品質を安定化させる観点からは、単にインピーダンスの絶対値を低下させるのみでなく、複数の伝送経路間のインピーダンスのばらつきを考慮する必要があることが判った。
【0070】
チップ間接続部材7のように体積が小さい部材で伝送経路を構成する場合、製造上の加工精度などに由来するチップ間接続部材7の形状や体積のばらつきが、複数の伝送経路間のインピーダンスのばらつきに与える影響が大きくなる。
【0071】
特に、信号伝送経路の動作周波数を大きくすると、パルス幅を短くする必要があるので、所謂、表皮効果と呼ばれる現象を考慮する必要がある。表皮効果は、以下の原理で発生する現象である。すなわち、導体中を電荷が移動すると、電荷の移動に起因して発生する磁界の影響により、導体中に逆起電力が発生する。また、パルス幅が短くなると、導体中における上記逆起電力の分布が不均一になる。この結果、導体の表面の電流密度が導体の中心部と比較して相対的に高くなる。つまり、信号のパルス幅が短くなると、電流が流れる経路が導体の表面に集中する。言い換えれば、信号電流の周波数が大きくなると、電流が流れる経路が導体の表面に集中する。表皮効果を考慮すると、チップ間接続部材7のうち、信号電流が主として流れる部分の体積はチップ間接続部材7全体の体積よりもさらに小さくなるので、チップ間接続部材7の形状や体積のばらつきが、複数の伝送経路間のインピーダンスのばらつきに与える影響が特に大きくなる。
【0072】
また、チップ間接続部材7のうち、相対的に電気伝導率が小さい金属材料から成る半田材SDBは、金属柱CPLや金属膜TMFと比較して、インピーダンスのばらつきに与える影響が大きい。
【0073】
そこで、本実施の形態では、
図9および
図10に示すように、隣り合って配置されるチップ間接続部材7のうちの一部では、半田材SDB2同士が接触し、一体化している。言い換えれば、複数のチップ間接続部材7には、隣のチップ間接続部材7とは分離されているチップ間接続部材71と、隣り合うチップ間接続部材7同士が接触しているチップ間接続部材72と、が含まれる。
図10に示すように、隣同士で一体化している半田材SDB2の表面積は、隣の半田材SDBと接触していない半田材SDB1の表面積と比較して大きくなる。このため、加工精度などの影響により、複数の半田材SDB2の形状や体積にばらつきが生じた場合でも、複数の半田材SDB2を経由する複数の伝送経路のインピーダンスのばらつきに与える影響を低減することができる。以下、
図9および
図10に示す半田材SDB2のように、隣り合って配置されるチップ間接続部材7のうちの少なくとも一部が接触し、一体化した構造のことを隣接半田材一体化構造と記載する。一方、
図9および
図10に示す半田材SDB1のように、隣り合って配置されるチップ間接続部材7がそれぞれ分離して形成された構造のことを半田材分離構造と記載する。
【0074】
また、
図9および
図10に示すように、本実施の形態では、複数の裏面電極3bpのうち、一体化された半田材SDB2に接続される裏面電極BP2間の距離SL1は、半田材SDB1に接続される裏面電極BP1と裏面電極BP2の距離SL2よりも小さい。また、
図10に示すように、一体化された半田材SDB2に接続される裏面電極BP2間の距離SL1は、互いに異なる信号が流れる裏面電極BP2間の距離SL3や、裏面電極BP1間の距離SL4よりも小さい。
【0075】
また、
図9に示すように本実施の形態では、上段側の半導体チップ3の複数の表面電極3apは下段側の半導体チップ3の複数の裏面電極3bpとそれぞれ対向するように配置されている。したがって、上記した裏面電極BP1、BP2の位置関係は表面電極AP1、AP2も同様である。すなわち、複数の表面電極3apのうち、一体化された半田材SDB2に接続される表面電極AP2間の距離SL1は、半田材SDB1に接続される表面電極AP1と表面電極AP2の距離SL2よりも小さい。また、
図10に示すように、一体化された半田材SDB2に接続される表面電極AP2間の距離SL1は、互いに異なる信号が流れる表面電極AP2間の距離SL3や、表面電極AP1間の距離SL4よりも小さい。
【0076】
例えば
図10に示す例では、距離SL1は8μm程度であるのに対し、距離SL2、距離SL3はそれぞれ40μm程度、距離SL4は20μm程度になっている。半導体チップ3(
図9参照)を積層する工程では、半田材SDBを溶融させることにより接合する。この時、隣り合う電極間の距離が小さければ、隣り合う半田材SDB同士が接触し、一体化し易くなる。つまり、隣り合う表面電極AP2同士および裏面電極BP2同士の離間距離SL1を小さくすれば、半田材SDB2が接触し一体化し易くなる。一方、異なる信号電流が流れる電極間の距離は、短絡防止の観点から半田材SDBが接触しない程度に離しておく必要がある。したがって、本実施の形態では、
図10に示すように、距離SL1が距離SL2、距離SL3、および距離SL4のそれぞれよりも小さくなっている。
【0077】
また、
図9に示す例では、上段側の半導体チップ3の表面電極3apと裏面電極3bpの間の距離TL1は、15μm〜20μm程度である。つまり、
図9に示す例では、距離SL1が距離TL1よりも小さくなる程度まで、隣り合う電極間を近づけて配置している。これにより、半田材SDB2を一体化させ易くしている。ただし、
図9に示す例では、表面電極3apと裏面電極3bpとの間に金属柱CPLが介在するので、距離TL1よりも距離SL1が小さくなっている。しかし、チップ間接続部材7の構造は、
図9に示す以外にも種々の変形例がある。したがって、チップ間接続部材7の構造によっては、距離TL1の方が距離SL1よりも小さくなる場合もある。
【0078】
ところで、単にインピーダンスのばらつきを低減する観点からは、全ての伝送経路について、半田材SDB2のように、上記した隣接半田材一体化構造にすることも考えられる。しかし、全ての伝送経路に適用した場合には、平面視における電極配置スペースが増大し、パッケージが大型化してしまう。そこで、本実施の形態では、隣り合う半田材SDB同士が接触する、隣接半田材一体化構造を適用する優先順位を付けて、一部には隣接半田材一体化構造を適用し、他の一部には、上記した半田材分離構造(
図9および
図10に示す半田材SDB1のような構造)を適用している。
【0079】
詳しくは、
図3に示すデータ入出力回路IOBと電気的に接続される伝送経路のうち、データ信号DQを伝送する経路およびデータマスク信号DMを伝送する経路には、上記隣接半田材一体化構造を適用している。なお、
図10では、例示的にデータ信号DQの伝送経路を示しているが、データマスク信号DMの伝送経路も、
図10に示す半田材SDB2と同様な構造を成す。データ信号DQを伝送する経路およびデータマスク信号DMを伝送する経路は、
図34に示すデータの入出力の形式のそれぞれにおいて、クロック信号CKに対するパルス幅の比率が、1以下になっている。また、データ信号DQを伝送する経路を伝送する経路は、動作周波数が最大(例えば400MHz)である。したがって、上記した表皮効果が相対的に発生し易い。したがって、隣接半田材一体化構造を適用することにより、インピーダンスのばらつきを抑制する効果が特に大きい。
【0080】
また、
図3に示すクロック発振回路CKGに接続される伝送経路のうち、クロック信号CKを伝送する経路は、
図9および
図10に示す上記隣接半田材一体化構造を適用している。
図10は、多数の電極の一部を拡大した図なので、
図3に示すクロック信号CKの伝送経路は図示されていないが、クロック信号CKの伝送経路も、
図10に示す半田材SDB2と同様な構造を成す。クロック信号CKのパルス幅は、他の信号のパルス幅との比較対象になっているので
図34に示すように、パルス幅の比例関数(基準値に対する比率)は1である。また、クロック信号CKを伝送する経路は、データ信号DQを伝送する経路の次に周波数が大きい(例えば200MHz)。したがって、隣接半田材一体化構造を適用することにより、インピーダンスのばらつきを抑制する効果が得られ易い。
【0081】
本実施の形態では、上記した伝送経路以外の伝送経路、例えば、コマンド制御回路CMDCに接続される伝送経路や、アドレスバッファ回路ABFに接続される伝送経路、あるいはクロックイネーブル信号CKEを伝送する経路には、上記した半田材分離構造を適用している。また、信号伝送経路以外では、
図3に示すメモリ回路DRAMを駆動するための電源制御回路PSMに接続され、電源電位や基準電位を供給する伝送経路も、上記した半田材分離構造を適用している。すなわち、隣り合う半田材SDB同士が接触していない。
図10は、多数の電極の一部を拡大した図なので、上記した伝送経路のうち、チップセレクト信号CS、クロックイネーブル信号CKE、およびデータ用基準電位VssQを例示的に示している。したがって、以下で説明するデータ信号DQ、データマスク信号DM、およびクロック信号CK以外の伝送経路、言い換えれば、本実施の形態において半田材分離構造が適用される伝送経路には、以下の経路が含まれる。すなわち、本実施の形態において、半田材分離構造が適用される伝送経路には、
図2に示すクロックイネーブル信号CKE、チップセレクト信号CS、ロウアドレスストローブ信号RAS、カラムアドレスストローブ信号CAS、ライトイネーブル信号WE、アドレス信号A0〜A13、バンクアドレス信号BA、およびリセット信号RSTの伝送経路が含まれる。また、本実施の形態では、データストローブ信号DQSの信号伝送経路にも、半田材分離構造が適用されている。
【0082】
データ信号DQ、データマスク信号DM、およびクロック信号CK以外の伝送経路は、データ信号DQを伝送する経路、データマスク信号DMを伝送する経路、およびクロック信号CKを伝送する経路と比較してパルス幅が長い。また、データ信号DQ、データマスク信号DM、およびクロック信号CK以外の伝送経路は、データ信号DQを伝送する経路と比較して周波数が小さい(例えば100MHz以下)。したがって、本実施の形態では、相対的にパルス幅が長い伝送経路には、半田材分離構造を適用することで、平面視における電極配置スペースの省スペース化を図っている。
【0083】
次に、積み重ねられた複数の半導体チップ3それぞれの平面視における電極のレイアウトについて説明する。
図11は、
図7に示すメモリチップの表面側を示す平面図、
図12は、
図11に示すメモリチップの裏面側を示す平面図である。また、
図13は、
図7に示すロジックチップの表面側を示す平面図、
図14は、
図13に示すロジックチップの裏面側を示す平面図である。なお、
図11〜
図14では、見易さのため、電極数を少なくして示しているが、電極(表面電極3ap、裏面電極3bp、貫通電極3tsv)の数は、
図11〜
図14に示す態様には限定されない。また、
図12では、メモリチップMC0、MC1、MC2の裏面図を示すが、裏面電極3bpが形成されないメモリチップMC3(
図7参照)の裏面の構造は、
図6に示されているので、図示は省略する。
【0084】
図11に示すように、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の表面3a側(詳しくは、半導体基板の主面上)には、複数のメモリマットMMが配列されている。メモリマットMMは、
図3を用いて説明した複数のメモリセルMCAがアレイ状に配列されたメモリ回路形成領域であって、
図11に示す例では、上記した4チャンネルに対応した四つのメモリマットMMが形成されている。
【0085】
ここで、
図11に示すように、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3が備える複数の表面電極3apは、表面3aにおいて中央部に集約して配置されている。
図11に示すように、メモリチップMCが有する複数の表面電極3apを表面3aの中央部に集約して配置すれば、表面電極群が配置された領域を囲むように、4チャネル分のメモリマットMMを配置することができる。この場合、各メモリマットMMから表面電極3apまでの距離を均等化することができる。つまり、
図11のように複数の表面電極3apのそれぞれを表面3aの中央に寄せて配置すれば、複数のチャネルそれぞれの伝送距離を等長化することができる。したがって、チャネル毎の伝送速度の誤差を低減することができる点で好ましい。
【0086】
また、
図8に示すように、メモリチップMC0、MC1、MC2の複数の表面電極3apとメモリチップMC0、MC1、MC2の複数の裏面電極3bpは、それぞれが厚さ方向に重なる位置に配置され、複数の貫通電極3tsvを介して電気的に接続されている。したがって、
図12に示すように、メモリチップMC0、MC1、MC2が備える複数の裏面電極3bpは、裏面3bにおいて中央部に集約して配置されている。これにより、メモリチップMC0、MC1、MC2を貫通する伝送経路の距離を最短にすることができる。
【0087】
また、
図8に示すように、ロジックチップLCの複数の裏面電極3bpとメモリチップMC0の複数の表面電極3apとは、それぞれが厚さ方向に重なる位置に配置され、チップ間接続部材7を介して電気的に接続されている。したがって、
図14に示すように、ロジックチップLCが備える複数の裏面電極3bpは、裏面3bにおいて中央部に集約して配置されている。これにより、メモリチップMC0とロジックチップLCとを接続する伝送経路の距離を最短にすることができる。
【0088】
また、
図13に示すように、ロジックチップLCが備える複数の表面電極3apのうちの一部(複数の表面電極3ap1)は、表面3aにおいて中央部に配置されている。また、ロジックチップLCが備える複数の表面電極3apのうちの他の一部(複数の表面電極3ap2)は、表面3aの周縁部に表面3aの辺(側面3c)に沿って配置されている。
図13に示す複数の表面電極3apのうち、表面3aの中央部に配置される複数の表面電極3ap1は、
図8に示す貫通電極3tsvを介して裏面電極3bpと電気的に接続されている。つまり複数の表面電極3ap1は、内部インタフェース用の電極である。
【0089】
また、ロジックチップLCの平面サイズは、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の平面サイズよりも小さい。また、
図6に示すように半導体装置1では、平面視において、ロジックチップLCの裏面3bの中央部(中央領域)がメモリチップMC3の中心部(中央領域)と重なるように配置されている。つまり、平面視において、メモリチップMC3の四つの側面3cは、ロジックチップLCの四つの側面3cよりも外側に配置される。言い換えれば、複数の半導体チップ3は、メモリチップMC3の四つの側面3cが、ロジックチップLCの四つの側面3cと配線基板2の四つの側面2cの間に位置するように、配線基板2上に積層して搭載される。また、
図7に示すメモリチップMC0、MC1、MC2は平面視において、メモリチップMC3と重なる位置(同じ位置)に配置される。
【0090】
このため、平面視において、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の周縁部(表面3aおよび裏面3bの周縁部)は、ロジックチップLCの外側の周辺領域と重なる位置に配置される。言い換えれば、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の周縁部と配線基板2の間には、ロジックチップLCが存在しない(例えば
図7を参照)。
【0091】
そこで、
図8に示す各半導体チップ3の、内部インタフェース用の表面電極3apと裏面電極3bpを厚さ方向に重なる位置に配置するためには、少なくとも内部インタフェース用の表面電極3apと裏面電極3bpは、ロジックチップLCと厚さ方向に重なる位置に配置することが好ましい。また、ロジックチップLCの周縁部には、
図13に示すように、外部インタフェース用の複数の表面電極3ap2が配置される。したがって、ロジックチップLCの表面3aにおいて、内部インタフェース用の複数の表面電極3ap1は、表面3aの中央部に集約して配置することが好ましい。
【0092】
また、
図13に示す複数の表面電極3apのうち、表面3aの周縁部に配置される複数の表面電極3ap2は、
図7に示す配線基板2を介して図示しない外部機器と電気的に接続されている。詳しくは、表面電極3ap2は、バンプ(電極、外部端子)8を介してボンディングリード2f(
図7参照)と電気的に接合されている。つまり複数の表面電極3ap2は、外部インタフェース用の電極である。ロジックチップLCと配線基板2(
図8参照)を電気的に接続するバンプ8は、例えば柱状(例えば円柱形)に形成した銅(Cu)を主成分とする部材の先端に、ニッケル(Ni)膜、半田膜(半田材)を積層した金属部材であって、先端の半田膜を裏面電極3bpに接合させることで、電気的に接続される。
【0093】
ところで、
図13に示すロジックチップLCの表面3aの中央部に集約される表面電極3ap1を内部インタフェース専用の電極として利用する場合には、表面電極3ap1を
図8に示す配線基板2と電気的に接続しなくても機能させることができる。しかし、
図8に示すように、表面電極3ap1の一部を配線基板2のボンディングリード2fと電気的に接続した場合には、表面電極3ap1の一部を外部インタフェース用の電極として利用できる点で好ましい。
【0094】
例えば、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3には
図3に示すメモリ回路DRAMを駆動するための電源制御回路PSMが形成されるが、この電源制御回路PSMに電源電位(第1電位)や基準電位(第1電位と異なる第2電位、例えば接地電位)を供給する端子として、
図13に示す表面電極3ap1の一部を利用することが考えられる。言い換えれば、
図13に示す例では、ロジックチップLCの表面3aの中央部に配置される複数の表面電極3ap1には、例えば電源電位が供給される第1電位電極と、第1電位とは異なる第2電位(例えば接地電位)が供給される第2電位電極が含まれる。
【0095】
信号伝送速度を向上させる場合、瞬間的な電圧降下などによる動作の不安定化を抑制する観点から、電源の供給源と電源を消費する回路間の伝送距離を短くすることが好ましい。そこで、ロジックチップLCの表面電極3ap1の一部を配線基板2と電気的に接続し、第1電位(例えば電源電位)や第2電位(例えば接地電位)を供給すれば、電源を消費する回路が形成されたメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の駆動回路までの距離を短縮できる点で好ましい。また、第1電位が供給される第1電位電極と、第1電位とは異なる第2電位が供給される第2電位電極は、
図8に示すように表面電極3apと裏面電極3bpが厚さ方向に重なるように配置され、かつ貫通電極3tsvを介して電気的に接続されていることが好ましい。
【0096】
<半導体装置の製造方法>
次に、
図1〜
図8を用いて説明した半導体装置1の製造工程について説明する。半導体装置1は、
図15に示すフローに沿って製造される。
図15は、
図1〜
図8を用いて説明した半導体装置の製造工程の概要を示す説明図である。
【0097】
<基板準備工程>
まず、
図15に示す基板準備工程では、
図16に示す配線基板20を準備する。
図16は、
図15に示す基板準備工程で準備する配線基板の全体構造を示す平面図である。
【0098】
図16に示すように、本工程で準備する配線基板20は、枠部(外枠)20bの内側に複数のデバイス形成部20aを備えている。詳しくは、複数(
図16では27個)のデバイス形成部20aが行列状に配置されている。複数のデバイス形成部20aは、それぞれが、
図4〜
図8に示す配線基板2に相当する。配線基板20は、複数のデバイス形成部20aと、各デバイス形成部20aの間にダイシングライン(ダイシング領域)20cを有する、所謂、多数個取り基板である。このように、複数のデバイス形成部20aを備える多数個取り基板を用いることで、製造効率を向上させることができる。また、各デバイス形成部20aには、
図7を用いて説明した配線基板2の構成部材がそれぞれ形成されている。
【0099】
<第1接着材配置工程>
次に、
図15に示す第1接着材配置工程では、
図17および
図18に示すように、配線基板20の上面2aのチップ搭載領域2p1上に接着材NCL1を配置する。
図17は、
図16に示す配線基板の複数のデバイス形成部のそれぞれに接着材を配置した状態を示す拡大平面図である。なお、
図17ではチップ搭載領域2p1、2p2、デバイス形成部20a、およびダイシングライン20cの位置を示すため、チップ搭載領域2p1、2p2、およびデバイス形成部20aの輪郭をそれぞれ2点鎖線で示す。しかし、チップ搭載領域2p1、2p2は、それぞれ、ロジックチップLCおよびメモリモジュールMCM(
図7参照)を搭載する予定領域なので、実際に視認可能な境界線が存在する必要はない。また、デバイス形成部20aおよびダイシングライン20cについても、実際に視認可能な境界線が存在する必要はない。なお、以下、チップ搭載領域2p1、2p2、デバイス形成部20aおよびダイシングライン20cを平面図において図示する場合には、同様に実際に視認可能な境界線が存在する必要はない。
【0100】
一般に、半導体チップをフェイスダウン実装方式(フリップチップ接続方式)で配線基板上に搭載する場合、半導体チップと配線基板を電気的に接続した後で接続部分を樹脂で封止する方式(後注入方式)が行われる。この場合、半導体チップと配線基板の隙間の近傍に配置したノズルから樹脂を供給し、毛細管現象を利用して樹脂を隙間に埋め込む。
【0101】
一方、本実施の形態で説明する例では、後述する第1チップ搭載工程でロジックチップLC(
図13参照)を配線基板20上に搭載する前に、接着材NCL1をチップ搭載領域2p1に配置し、接着材NCL1上からロジックチップLCを押し付けて配線基板20と電気的に接続する方式(先塗布方式)で、ロジックチップLCを搭載する。
【0102】
上記した後注入方式の場合、毛細管現象を利用して樹脂を隙間に埋め込むので、一つのデバイス形成部20aに対する処理時間(樹脂を注入する時間)が長くなる。一方、上記した先塗布方式の場合、ロジックチップLCの先端(例えば、
図8に示すバンプ8)とボンディングリード2fの接合部が接触した時点で、既に配線基板20とロジックチップLCの間には、接着材NCL1が埋め込まれている。したがって、上記した後注入方式と比較して、一つのデバイス形成部20aに対する処理時間を短縮し、製造効率を向上させることができる点で好ましい。
【0103】
ただし、本実施の形態に対する変形例としては
図15に示す第1チップ搭載工程と第1接着材配置工程の順番を前後させて、後注入方式を適用することができる。例えば、一括して形成する製品形成領域が少ない場合には、処理時間の差は小さくなるので、後注入方式を用いた場合でも、製造効率の低下を抑制できる。
【0104】
また、先塗布方式で使用する接着材NCL1は、上記したように、絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成る。
【0105】
<第1チップ準備工程>
また、
図15に示す第1チップ準備工程では、
図13および
図14に示すロジックチップLCを準備する。
図18は、
図8に示す貫通電極を備えた半導体チップの製造工程の概要を模式的に示す説明図である。また、
図19は
図18に続く半導体チップの製造工程の概要を模式的に示す説明図である。なお、
図18および
図19では、貫通電極3tsvおよび貫通電極3tsvと電気的に接続される裏面電極3bpの製造方法を中心に説明し、貫通電極3tsv以外の各種回路の形成工程については図示および説明を省略する。また、
図18および
図19に示す半導体チップの製造方法は、
図13および
図14に示すロジックチップLCの他、
図11および
図12に示すメモリチップMC0、MC1、MC2の製造方法にも適用することができる。
【0106】
まず、ウエハ準備工程として、
図18に示すウエハ(半導体基板)WHを準備する。ウエハWHは、例えばシリコン(Si)から成る半導体基板であって、平面視において円形を成す。ウエハWHは、半導体素子形成面である表面(主面、上面)WHsおよび表面WHsの反対側の裏面(主面、下面)WHbを有する。また、ウエハWHの厚さは、
図7に示すロジックチップLCやメモリチップMC0、MC1、MC2の厚さよりも厚く、例えば数百μm程度である。
【0107】
次に、孔形成工程として、
図8に示す貫通電極3tsvを形成するための孔(穴、開口部)3tshを形成する。
図18に示す例では、マスク25をウエハWHの表面WHs上に配置して、エッチング処理を施すことにより孔3tshを形成する。なお、
図8に示すロジックチップLCやメモリチップMC0、MC1、MC2の半導体素子(半導体回路素子)が構成する各種回路は、例えば本工程の後で、かつ、次の配線層形成工程の前に形成することができる。
【0108】
次に、孔3tsh内に例えば銅(Cu)などの金属材料を埋め込んで貫通電極3tsvを形成する。次に、配線層形成工程として、ウエハWHの表面WHs上に配線層(チップ配線層)3dを形成する。本工程では、
図11や
図13に示す複数の表面電極3apを形成し、複数の貫通電極3tsvと複数の表面電極3apをそれぞれ電気的に接続する。なお表面電極3apや表面電極3apと一体に形成される最上層の配線層3dは、例えばアルミニウム(Al)から成る金属膜で形成する。
【0109】
また、本工程では、
図7に示すロジックチップLCやメモリチップMC0、MC1、MC2の半導体素子と
図11および
図13に示す複数の表面電極3apを、配線層3dを介して電気的に接続する。これにより、ロジックチップLCやメモリチップMC0、MC1、MC2の半導体素子は配線層3dを介して電気的に接続される。
【0110】
次に、外部端子形成工程として、表面電極3ap(
図11、
図13参照)上にバンプ8を形成する。本工程では、
図18に示すように、ロジックチップLCの表面電極3ap上に導体柱8bを形成した後、導体柱8bの先端に半田材8aを形成する。あるいは、
図9に示すメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の場合には、表面電極3ap上に
図9に示す金属柱CPL、金属膜TMF、半田材SDBから成るチップ間接続部材7を形成する。この半田材8aが、
図8に示す半導体チップ3を配線基板2、または下層の半導体チップ3上に搭載する際の接合材として機能する。
【0111】
次に、
図19に示す裏面研磨工程として、ウエハWHの裏面WHb(
図18参照)側を研磨し、ウエハWHの厚さを薄くする。これにより、
図7に示す半導体チップ3の裏面3bが露出する。言い換えると、貫通電極3tsvはウエハWHを厚さ方向に貫通する。また、複数の貫通電極3tsvは、ウエハWHの裏面3bにおいてウエハWHから露出する。
図19に示す例において、裏面研磨工程では、ガラス板などの支持基材26および表面WHs側に形成されたバンプ8を保護する保護層27によりウエハWHを支持した状態で、研磨治具28を用いて研磨する。
【0112】
次に、裏面電極形成工程において、裏面3bに複数の裏面電極3bpを形成し、複数の貫通電極3tsvと電気的に接続する。
【0113】
次に個片化工程として、ウエハWHをダイシングラインに沿って分割し、複数の半導体チップ3を取得する。その後、必要に応じて検査を行い、
図7に示す半導体チップ3(ロジックチップLCやメモリチップMC0、MC1、MC2)が得られる。
【0114】
<第1チップ搭載工程>
次に、
図15に示す第1チップ搭載工程では、
図20や
図21に示すように、ロジックチップLCを配線基板20上に搭載する。
【0115】
図20は
図17に示す配線基板のチップ搭載領域上にロジックチップを搭載した状態を示す拡大平面図である。また、
図21は、
図20のA−A線に沿った拡大断面図である。
【0116】
本工程では、
図21に示すように、ロジックチップLCの表面3aが配線基板20の上面2aと対向するように、所謂フェイスダウン実装方式(フリップチップ接続方式)によりロジックチップLCを搭載する。また、本工程によりロジックチップLCと配線基板20は電気的に接続される。詳しくは、ロジックチップLCの表面3aに形成された複数の表面電極3apと配線基板20の上面2aに形成された複数のボンディングリード2fは、バンプ8(
図18に示す導体柱8bおよび半田材8a)を介して電気的に接続される。
【0117】
本工程では、まず、配線基板20のチップ搭載領域2p1上にロジックチップLC(半導体チップ3)を配置する。ロジックチップLCの表面3a側にはバンプ8が形成されている。一方、配線基板20の上面2aに形成されたボンディングリード2fの接合部には、
図8に示すバンプ8と電気的に接続するための接合材である半田層(図示は省略)が形成されている。
【0118】
次に、図示しない加熱治具をロジックチップLCの裏面3b側に押し当て、配線基板20に向かってロジックチップLCを押し付ける。接着材NCL1に対して加熱処理を行う前であれば、接着材NCL1は柔らかいので、加熱治具によりロジックチップLCを押し込むと、ロジックチップLCの表面3aに形成された複数のバンプ8の先端は、ボンディングリード2fのボンディング領域(詳しくは図示しない半田層)と接触する。
【0119】
次に、図示しない加熱治具にロジックチップLCが押し付けられた状態で、加熱治具によりロジックチップLCおよび接着材NCL1を加熱する。ロジックチップLCと配線基板20の接合部では、半田材8a(
図18参照)およびボンディングリード2f上の図示しない半田層がそれぞれ溶融し、一体化する。これにより、
図8に示すように、バンプ8とボンディングリード2fとは電気的に接続される。
【0120】
また、接着材NCL1を加熱することで、接着材NCL1は硬化する。これにより、ロジックチップLCの一部が埋め込まれた状態で硬化した接着材NCL1が得られる。また、ロジックチップLCの裏面電極3bpは、硬化した接着材NCL1から露出する。
【0121】
<第2接着材配置工程>
次に、
図15に示す第2接着材配置工程では、
図22に示すように、ロジックチップLC(半導体チップ3)の裏面3b上に、接着材NCL2を配置する。
図22は
図18に示す半導体チップの裏面およびその周囲に接着材を配置した状態を示す拡大平面図、
図23は
図22のA−A線に沿った拡大断面図である。
【0122】
図8に示すように、本実施の形態の半導体装置1は、積層される複数の半導体チップ3の内、最下段(例えば第1段目)に搭載されるロジックチップLC、および下段から数えて第2段目に搭載されるメモリチップMC0は、いずれもフェイスダウン実装方式(フリップチップ接続方式)で搭載される。このため、上記した第1接着材配置工程で説明したように、一つのデバイス形成部20a(
図22、
図23参照)に対する処理時間を短縮し、製造効率を向上させることができる点で、上記した先塗布方式を適用することが好ましい。
【0123】
また、先塗布方式で使用する接着材NCL2は、上記したように、絶縁性(非導電性)の材料(例えば樹脂材料)から成る。また、接着材NCL2はエネルギーを加えることで硬さ(硬度)が硬くなる(高くなる)樹脂材料で構成され、本実施の形態では、例えば熱硬化性樹脂を含んでいる。また、硬化前の接着材NCL2は
図18に示す導体柱8bよりも柔らかく、ロジックチップLCを押し付けることにより変形させられる。
【0124】
また、硬化前の接着材NCL2は、ハンドリング方法の違いから、NCPと呼ばれるペースト状の樹脂(絶縁材ペースト)と、NCFと呼ばれる、予めフィルム状に成形された樹脂(絶縁材フィルム)に大別される。本工程で使用する接着材NCL2としては、NCPおよびNCFのいずれか一方を用いることができる。
図22および
図23に示す例では、NCPをノズル33(
図23参照)から吐出して、ロジックチップLCの裏面3b上に、接着材NCL2を配置する。
【0125】
なお、ノズル33からペースト状の接着材NCL2を吐出する点に関しては、上記第1接着材配置工程で説明した、後注入方式と共通する。しかし、本実施の形態では、
図7に示すメモリチップMC0(メモリモジュールMCM)を搭載する前に、予め接着材NCL2を搭載する。したがって、毛細管現象を利用して樹脂を注入する後注入方式と比較すると、接着材NCL2の塗布速度は大幅に向上させることができる。
【0126】
接着材NCL2は、
図15に示す第2チップ搭載工程でメモリチップMC0(
図7参照)とロジックチップLC(
図7参照)を接着固定する固定機能を有する。また、接着材NCL2は、メモリチップMC0とロジックチップLCの接合部を封止することにより保護する封止機能を有する。なお、上記封止機能には、メモリチップMC0とロジックチップLCの接合部に伝達される応力を分散させて緩和することにより接合部を保護する、応力緩和機能が含まれる。
【0127】
上記封止機能を満たす観点では、メモリチップMC0とロジックチップLCの接合部の周囲を包むように接着材NCL2を配置すれば良いので、少なくともメモリチップMC0を搭載した時に、
図8に示す複数のバンプ8が接着材NCL2に封止されていれば良い。
【0128】
<第2チップ準備工程>
また、
図15に示す第2チップ準備工程では、
図7に示すメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のメモリモジュールMCMを準備する。本実施の形態に対する変形例としては、ロジックチップLC上にメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3を順次積層することができる。しかし、本実施の形態では、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3を予め積層して、
図25に示すメモリモジュール(メモリチップ積層体、半導体チップ積層体)MCMを形成する実施態様について説明する。以下で説明するように、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のメモリモジュールMCMを形成する場合、例えば、
図15に示す第2チップ準備工程以外の工程とは別の場所で、他の工程とは独立して行うことができる。例えば、メモリモジュールMCMは、購入部品として準備することも可能である。このため、
図15に示す組立工程を簡略化し、全体として製造効率を向上させることができる点で有利である。
【0129】
図24は、
図7に示すメモリチップの積層体の組立工程の概要を模式的に示す説明図である。また、
図25は
図24に続くメモリチップの積層体の組立工程の概要を模式的に示す説明図である。なお、
図24および
図25に示す複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のそれぞれの製造方法は、
図18および
図19を用いて説明した半導体チップの製造方法を適用して製造することができるので、説明を省略する。
【0130】
まず、組立基材準備工程として、
図25に示すメモリモジュールMCMを組み立てるための基材(組立基材)34を準備する。基材34は、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3を積層する組立面34aを有し、組立面34aには、接着層35が設けられている。
【0131】
次にチップ積層工程として、メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3を基材34の組立面34a上に積層する。
図24に示す例では、積層される各半導体チップの裏面3bが基材34の組立面34aと対向するように、メモリチップMC3、MC2、MC1、MC0の順で、順次積層される。上段側の半導体チップ3の裏面電極3bpと下段側の半導体チップ3の表面電極3apは、例えばチップ間接続部材7により接合される。詳しくは、表面電極3apに接合された金属柱CPLの先端部に金属膜TMFを介して接合された半田材8aと、上段側の半導体チップ3の裏面電極3bpに形成された半田材8cとを加熱し、一体化させることで半田材SDBを形成し、積層された複数の半導体チップ3間を電気的に接続する。
【0132】
本工程では、
図9および
図10を用いて説明したように、積層されるメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3を電気的に接続する複数のチップ間接続部材7のうち、隣接半田材一体化構造を適用するチップ間接続部材72については、隣り合う半田材SDB2同士が接触し、かつ他の半田材SDBとは分離されるように半導体チップ3間を電気的に接続する。本実施の形態では、
図3に示すデータ信号DQ、データストローブ信号DQS、およびクロック信号CKを伝送する複数の伝送経路のそれぞれについて、チップ間接続部材7に隣接半田材一体化構造を適用する。
【0133】
次に、
図25に示す積層体封止工程では、積層された複数の半導体チップ3の間に、樹脂(アンダフィル樹脂)を供給し、封止体(チップ積層体用封止体、チップ積層体用樹脂体)6を形成する。この封止体6は、上記第1接着材配置工程で説明した、後注入方式により形成される。すなわち、予め複数の半導体チップ3を積層した後、ノズル36からアンダフィル樹脂6aを供給し、積層された複数の半導体チップ3の間に埋め込む。アンダフィル樹脂6aは
図15に示す封止工程で使用する封止用の樹脂よりも粘度が低く、毛細管現象を利用して複数の半導体チップ3の間に埋め込むことができる。その後、半導体チップ3の間に埋め込まれたアンダフィル樹脂6aを硬化させて封止体6を得る。
【0134】
この後注入方式で封止体6を形成する方法は、所謂、トランスファモールド方式と比較して隙間の埋め込み特性に優れているため、積層された半導体チップ3の間の隙間が狭い場合に適用して有効である。また、
図25に示すようにアンダフィル樹脂6aを埋め込む隙間が複数段に形成されている場合、複数の隙間に対して一括してアンダフィル樹脂6aを埋め込むことができる。このため、全体としては処理時間を短縮できる。
【0135】
次に、組立基材除去工程では、基材34および接着層35を、メモリチップMC3の裏面3bから剥離させて取り除く。基材34と接着層35を取り除く方法としては、例えば接着層35に含まれる樹脂成分(例えば紫外線硬化樹脂)を硬化させる方法を適用することができる。以上の工程により、複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3が積層され、各メモリチップMC0、MC1、MC2、MC3の接続部が封止体6により封止されたメモリモジュールMCMが得られる。このメモリモジュールMCMは、複数の表面電極3apが形成された表面3a(メモリチップMC0の表面3a)および表面3aの反対側に位置する裏面3b(メモリチップMC3の裏面3b)を有する一つのメモリチップと見做すことができる。
【0136】
<第2チップ搭載工程>
次に、
図15に示す第2チップ搭載工程では、
図26および
図27に示すように、メモリモジュールMCMをロジックチップLCの裏面3b上に搭載する。
図26は
図22に示すロジックチップの裏面上に積層体を搭載した状態を示す拡大平面図である。また、
図27は、
図26のA−A線に沿った拡大断面図である。
【0137】
本工程では、
図27に示すように、メモリモジュールMCMの表面3a(
図8に示すメモリチップMC0の表面3a)がロジックチップLCの裏面3bと対向するように、所謂フェイスダウン実装方式(フリップチップ接続方式)によりメモリモジュールMCMを搭載する。また、本工程により複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3とロジックチップLCは電気的に接続される。詳しくは、
図8に示すように、メモリモジュールMCM(メモリチップMC0)の表面3aに形成された複数の表面電極3apとロジックチップLCの裏面3bに形成された複数の裏面電極3bpは、チップ間接続部材7を介して電気的に接続される。
【0138】
本工程では、ロジックチップLCの複数の裏面電極3bp(
図8参照)と、メモリモジュールMCMの表面3aに形成された複数のチップ間接続部材7(
図8参照)が対向配置されるように、ロジックチップLCとメモリモジュールMCMの位置合わせを行う。
【0139】
次に、図示しない加熱治具をメモリモジュールMCMの裏面3b側に押し当て、ロジックチップLCに向かってメモリモジュールMCMを押し付ける。この時、接着材NCL2は柔らかい状態なので、メモリモジュールMCMを押し込むと、メモリモジュールMCMの表面3aに形成された複数のチップ間接続部材7(
図8参照)は、接着材NCL2を貫通して、ロジックチップLCの裏面電極3bp(
図8参照)と接触する。また、メモリモジュールMCMとロジックチップLCの間に塗布された接着材NCL2は、ロジックチップLCの裏面3bに沿って広がる。
【0140】
次に、図示しない加熱治具(熱源)によりメモリモジュールMCMおよび接着材NCL2を加熱する。メモリモジュールMCMとロジックチップLCの接合部では、チップ間接続部材7の半田材8a(
図24参照)がそれぞれ溶融し、ロジックチップLCの裏面電極3bpと接合される。つまり、加熱治具(熱源)によりメモリモジュールMCMを加熱することで、メモリモジュールMCMの複数の表面電極3ap(
図8参照)とロジックチップLCの複数の裏面電極3bp(
図8参照)は、複数のチップ間接続部材7(
図8参照)を介してそれぞれ電気的に接続される。また、接着材NCL2を加熱することで、接着材NCL2は硬化する。
【0141】
本工程では、
図9および
図10を用いて説明したように、ロジックチップLCの裏面電極3bpとメモリチップMC0の表面電極3apとを電気的に接続する複数のチップ間接続部材7のうち、隣接半田材一体化構造を適用するチップ間接続部材72については、隣り合う半田材SDB2同士が接触し、かつ他の半田材SDBとは分離されるように半導体チップ3間を電気的に接続する。本実施の形態では、
図3に示すデータ信号DQ、データストローブ信号DQS、およびクロック信号CKを伝送する複数の伝送経路のそれぞれについて、チップ間接続部材7に隣接半田材一体化構造を適用する。
【0142】
<封止工程>
次に、
図15に示す封止工程では、
図28に示すように、配線基板20の上面2a、ロジックチップLC、および複数のメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3のメモリモジュールMCMを樹脂で封止して、封止体4を形成する。
図28は
図27に示す配線基板上に封止体を形成し、積層された複数の半導体チップを封止した状態を示す拡大断面図である。
【0143】
本実施の形態では、複数のデバイス形成部20a(
図16参照)を一括して封止する封止体4を形成する。このような封止体4の形成方法は、一括封止(Block Molding)方式と呼ばれ、この一括封止方式により製造された半導体パッケージをMAP(Multi Array Package)型の半導体装置と呼ぶ。一括封止方式では、各デバイス形成部20aの間隔を小さくすることができるので、1枚の配線基板20における有効面積が大きくなる。つまり、1枚の配線基板20から取得できる製品個数が増加する。このように、1枚の配線基板20における有効面積を大きくすることで、製造工程を効率化することができる。
【0144】
また、本実施の形態では、図示しない成形金型内に加熱軟化させた樹脂を圧入して成形した後、樹脂を熱硬化させる、所謂、トランスファモールド方式により形成する。トランスファモールド方式により形成された封止体4は、例えば、
図28に示すメモリモジュールMCMを封止する封止体6のように、液状の樹脂を硬化させたものと比較して、耐久性が高いので、保護部材として好適である。また、例えば、シリカ(二酸化珪素;SiO
2)粒子などのフィラー粒子を熱硬化性樹脂に混合することで、封止体4の機能(例えば、反り変形に対する耐性)を向上させることができる。
【0145】
なお、本実施の形態では、積層される複数の半導体チップ3の接合部(電気的接続部)は、接着材NCL1、NCL2、および封止体6により封止されている。したがって、変形例としては、封止体4を形成しない実施態様に適用することができる。この場合、本封止体工程は省略することができる。
【0146】
<ボールマウント工程>
次に、
図15に示すボールマウント工程では、
図29に示すように、配線基板20の下面2bに形成された複数のランド2gに、外部端子になる複数の半田ボール5を接合する。
図29は、
図28に示す配線基板の複数のランド上に半田ボールを接合した状態を示す拡大断面図である。
【0147】
本工程では、
図29に示すように配線基板20の上下を反転させた後、配線基板20の下面2bにおいて露出する複数のランド2gのそれぞれの上に半田ボール5を配置した後、加熱することで複数の半田ボール5とランド2gを接合する。本工程により、複数の半田ボール5は、配線基板20を介して複数の半導体チップ3(ロジックチップLCおよびメモリチップMC0、MC1、MC2、MC3)と電気的に接続される。ただし、本実施の形態で説明する技術は、アレイ状に半田ボール5を接合した、所謂BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置に限って適用させるものではない。例えば、本実施の形態に対する変形例としては、半田ボール5を形成せず、ランド2gを露出させた状態、あるいはランド2gに半田ボール5よりも薄く半田ペーストを塗布した状態で出荷する、所謂LGA(Land Grid Array)型の半導体装置に適用することができる。LGA型の半導体装置の場合には、ボールマウント工程は省略することができる。
【0148】
<個片化工程>
次に、
図15に示す個片化工程では、
図30に示すように、配線基板20をデバイス形成部20a毎に分割する。
図30は
図29に示す多数個取りの配線基板を個片化した状態を示す断面図である。
【0149】
本工程では、
図30に示すように、ダイシングライン(ダイシング領域)20cに沿って配線基板20および封止体4を切断し、個片化された複数の半導体装置1(
図7参照)を取得する。切断方法は特に限定されないが、
図30に示す例では、ダイシングブレード(回転刃)40を用いてテープ材(ダイシングテープ)41に接着固定された配線基板20および封止体4を、配線基板20の下面2b側から切削加工して切断する実施態様を示している。ただし、本実施の形態で説明する技術は、複数のデバイス形成部20aを備えた、多数個取り基板である配線基板20を用いる場合に限って適用させるものではない。例えば、半導体装置1個分に相当する配線基板2(
図7参照)の上に複数の半導体チップ3を積層した半導体装置に適用することができる。この場合、個片化工程は省略することができる。
【0150】
以上の各工程により、次に、
図1〜
図8を用いて説明した半導体装置1が得られる。その後、外観検査や電気的試験など、必要な検査、試験を行い、出荷、あるいは、図示しない実装基板に実装する。
【0151】
(変形例)
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0152】
<変形例1>
例えば上記実施の形態では、
図9を用いて説明したように、積層される半導体チップ3の間を電気的に接続するチップ間接続部材7の構造として、Cuピラーなどの金属柱CPLを介在させる実施態様について説明した。しかし、変形例としては、例えば、
図31に示すように、半田材SDBと表面電極3apの間に金属柱CPL(
図9参照)を配置しない構造にすることができる。すなわち、表面電極AP1に直接、半田材SDBを接続してもよい。なお、半田材SDBと表面電極3apとの接続性を向上させたい場合は、
図31(
図9に対する変形例を示す拡大断面図)に示すように、表面電極3apの露出面に金属膜TMFを形成し、この金属膜TMFを介して半田材SDBを表面電極3apに接続することが好ましい。
図31に示す例では、金属膜TMFは、ニッケル(Ni)膜、パラジウム(Pd)膜、チタニウム(Ti)膜の積層膜になっている。
【0153】
図31に示す変形例の場合、
図9に示すように金属柱CPLを設けないことにより、半導体チップ3間の距離をさらに近付けることができる。この場合、上段側の半導体チップ3の表面電極3apと裏面電極3bpの間の距離TL2は、距離SL1と同程度、あるいは僅かに小さく、例えば3μm〜5μm程度である。
【0154】
また、図示は省略するが、チップ間接続部材7の周辺構造には種々の変形例があり、例えば、
図9や
図31に示す絶縁膜PFの露出面を、さらにポリイミドなどの有機絶縁膜で覆うこともできる。
【0155】
<変形例2>
また、上記実施の形態では、
図3に示す複数の伝送経路のうち、データ信号DQの伝送経路、データマスク信号DMの伝送経路、およびクロック信号CKの伝送経路について、隣り合う半田材SDB同士が接触する、隣接半田材一体化構造を適用し、他の伝送経路には、半田材分離構造を適用する実施態様を取り上げて説明した。しかし、隣接半田材一体化構造の適用対象となる伝送経路には上記以外に種々の変形例がある。例えば、データストローブ信号は、
図34に示すDDR方式で動作する場合には、クロック信号CKに対するパルス幅の比が1以下になっている。また、データストローブ信号DQSは、入力頻度が相対的に高い。このため、データストローブ信号の周波数は、クロック信号CKまたはデータ信号DQの周波数と同等になる。したがって、半田材一体化構造を適用する優先順位に関しては、上記したデータ信号DQ、データマスク信号DM、およびクロック信号CKの伝送経路が特に高い優先順位を有し、データストローブ信号DQSの伝送経路が上記の次に高い優先順位を有する。また、例えば、100MHz程度の周波数であっても、インピーダンスのばらつきを低減させる必要がある場合には、例えば、コマンド制御回路CMDCに接続される伝送経路などに隣接半田材一体化構造を適用することができる。
【0156】
また、信号伝送経路のノイズ影響を低減する方法として、位相の異なる信号(差動信号)が流れる一対の信号伝送経路(差動対)に信号電流を流して、一対の信号伝送経路間の電位差で信号レベルを規定する技術がある。信号伝送経路を差動化すると、信号伝送経路中のインピーダンスのばらつきによる影響を低減することができる。したがって、例えば
図3に示すクロック信号CKを差動信号とした場合、差動化された伝送経路については、半田材分離構造を適用することもできる。
【0157】
ただし、差動化された信号伝送経路であっても、上記した隣接半田材一体化構造を適用することにより、インピーダンスのばらつきによる影響をさらに低減することができる。
【0158】
<変形例3>
また、上記実施の形態では、隣接半田材一体化構造の例として、隣り合って配置される2個の半田材SDB同士を一体化させる実施態様について説明した。しかし、変形例としては3個以上の半田材SDB同士を一体化させても良い。一体化させる半田材SDBの数が増加する程、インピーダンスのばらつきを低減させることができる。
【0159】
また、3個以上の半田材SDB同士を一体化させる場合には、例えば
図32に示す変形例のように、3個以上の半田材SDBのうちの一部を、信号伝送経路としては機能しない、ダミーの表面電極3apDおよびダミーの裏面電極3bpDに接続させることができる。ここで、ダミーの電極とは、半田材SDBを形成するための電極であって、構成材料や形状は、周囲の電極と同様に形成されるが、半導体チップ3が有する回路とは直接的には接続されていない回路である。ただし、ダミーの電極は、半田材SDBを介して、半導体チップ3が有する回路に電気的に接続される。つまり、ダミーの電極は、半導体チップ3が備える回路と、電気的には接続されているが、信号伝送経路としては機能しない(信号伝送経路には含まれない)導電性部材である。言い換えれば、ダミーの電極は、半導体チップ3が備える回路と直接的には接続されない(半田材SDBを介して間接的に接続されている場合は含む)、フローティングの導電性部材である。
【0160】
図32に示す変形例のようにダミーの電極を設ける実施態様の場合、ダミーの電極の配置スペースを確保する分、半導体チップの平面サイズの小型化には不向きである。しかし、ダミーの電極を設ける場合、半導体チップ3の内部配線等を形成する必要がないので、半田材SDBの表面積を大きくし、かつ、半導体チップ3内の配線の引き回しスペースを確保できる。つまり、
図32に示す変形例は、回路設計のし易さという点では、上記実施の形態よりも好ましい。
【0161】
<変形例4>
また、上記実施の形態では、ロジックチップLC上にメモリチップMC0(言い換えればメモリモジュールMCM)を搭載する方法として、メモリチップMC0の表面3aとロジックチップLCの裏面3bとを対向させる、フェイスダウン実装方式の例を取り上げて説明した。しかし、変形例としては、下段側の半導体チップ3の裏面3bが、上段側の半導体チップ3の裏面3bと対向するように搭載されていても良い。この場合、下段側の半導体チップ3(例えばロジックチップLC)の裏面電極3bpと、上段側の半導体チップ3(例えばメモリチップMC0)の裏面電極3bpとを、チップ間接続部材7を介して電気的に接続する。また、メモリモジュールMCMを構成するメモリチップMCのうち、最上段に搭載されるメモリチップMC3の表面3aがメモリモジュールMCMの上面になるので、メモリチップMC3の表面電極3aは、封止体6から露出させる。
【0162】
<変形例5>
また、上記実施の形態では、上段側の半導体チップ3の表面電極3apの外形サイズ(言い換えれば平面積)と下段側の半導体チップ3の裏面電極3bpの外形サイズ(言い換えれば平面積)とが、同じである実施態様について説明した。しかし、変形例としては、チップ間接続部材7を介して接続される表面電極3apと裏面電極3bpのうち、どちらか一方の電極の外形サイズが、他方の電極の外形サイズよりも大きくても良い。例えば、
図33に示す変形例では、下段側の半導体チップ3の裏面電極3bpの外形サイズ(平面積)が、上段側の半導体チップ3の表面電極3apの外形サイズ(平面積)よりも大きくなっている。チップ間接続部材7を介して接続される表面電極3apと裏面電極3bpのそれぞれが異なる外形サイズを有していることで、複数の半導体チップ3を搭載(積層)する際に、下段側の半導体チップ3と上段側の半導体チップ3との位置を容易に合わせることができる。
【0163】
また、
図33に示すように、隣り合う裏面電極BP2の離間距離と、隣り合う表面電極AP2の離間距離と、が異なる場合には、上記実施の形態で説明した距離SL1と距離SL2との関係は、距離SL1が相対的に短くなる方の電極で規定される。すなわち、
図33に示す例では、隣り合う裏面電極BP2の間の距離SL1は、裏面電極BP1と裏面電極BP2の間の距離SL2よりも小さくなる。これにより、隣り合う裏面電極BP2にそれぞれ接続される半田材SDB2は接触し易くなる。
【0164】
<変形例6>
さらに、上記実施の形態で説明した技術思想の要旨を逸脱しない範囲内において、変形例同士を組み合わせて適用することができる。
【0165】
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0166】
(1)以下の工程を有する半導体装置の製造方法:
(a)第1主面、前記第1主面に形成された複数の第1主面電極、前記第1主面とは反対側の第1裏面、および前記第1裏面に形成され、かつ前記複数の第1主面電極とそれぞれ電気的に接続された複数の第1裏面電極を有する第1半導体チップを準備する工程;
(b)第2主面、前記第2主面に形成された複数の第2主面電極、および前記第2主面とは反対側の第2裏面を有する第2半導体チップを、前記第1半導体チップの前記第1裏面側に搭載し、前記第1半導体チップと前記第2半導体チップとの間に配置される複数の導電性部材を介して、前記複数の第1裏面電極と前記複数の第2主面電極をそれぞれ電気的に接続する工程;
ここで、
前記複数の第1裏面電極は、第1のパルス幅で第1信号電流が流れる第1信号用電極と、前記第1のパルス幅よりも短い第2のパルス幅で第2信号電流が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の第2主面電極は、前記第1信号電流が流れる第1信号用電極と、前記第2信号電流が流れる複数の第2信号用電極と、を有し、
前記複数の導電性部材は、前記第1半導体チップの前記第1信号用電極と前記第2半導体チップの前記第1信号用電極とを繋ぐ第1導電性部材と、前記第1半導体チップの前記複数の第2信号用電極と前記第2半導体チップの前記複数の第2信号用電極とを繋ぐ複数の第2導電性部材と、を有し、
前記(b)工程では、前記複数の第2導電性部材が互いに接触し、かつ、前記第1導電性部材とは分離されるように前記第1半導体チップの前記第1裏面側に前記第2半導体チップを搭載する。