(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
移動通信機器や伝送通信機器に用いる周波数デバイスである圧電発振器の一例として、恒温槽付圧電発振器がある。
恒温槽付圧電発振器は、周囲の温度が変化しても規定の出力周波数に対して周波数偏差が少ないといった周波数温度特性が求められる状況、例えば、携帯端末用基地局の基準信号源として用いられている。
【0003】
図3に示すように、恒温槽付圧電発振器200は、基部232の所定の一面から二つ一対で突出している保持部233に接続固着された圧電振動素子234が基部232と金属カバー部235とで気密封止された状態で構成されている圧電振動子本体部231と、保持部233が突出している面に対向する基部232の面からと保持部233とは反対方向に突出している二つ一対のリード部236と、からなる圧電振動子230を備えており、ヒータ部240が搭載されているプリント基板部220に圧電振動子230が搭載されている。
このとき、圧電振動子本体部231の金属カバー部235はプリント基板部220に搭載されているヒータ部240に当接されており、圧電振動子本体部231から突出している二つ一対のリード部236はプリント基板部220の搭載される面と平行に延びてからプリント基板部220の所定の位置に向かって折り曲げられて接着固定されている。
また、プリント基板部220には、圧電振動子230と電気的に接続して少なくとも発振回路を構成する共に、ヒータ部240の温度制御をするための電子回路を構成する複数の電子素子250が搭載されており、また、各構成要素間を電気的に接続するように配線パターン(図示せず)が設けられている。
【0004】
前記の構成を少なくとも備えた恒温槽付圧電発振器200は、ヒータ部240により金属カバー部235を加熱したとき、ヒータ部240の熱が金属カバー部235へ移動し、金属カバー部235内を移動した熱が圧電振動素子234の存在する雰囲気中へ輻射され、圧電振動素子234が存在している雰囲気中の温度を高くすることができる構成となっている。
つまり、このような恒温槽付圧電発振器200は、圧電振動子本体部231の金属カバー部235と基部232とが恒温槽の役割を果たしており、金属カバー部235を加熱するヒータ部240の温度を制御することで、圧電振動素子234が存在する雰囲気中の温度がなるべく一定となるようにし、周囲の温度が変化しても規定の出力周波数に対して周波数偏差量が少なくなるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したような恒温槽付圧電発振器200では、ヒータ部240の熱がヒータ部240に当接されている金属カバー部235とヒータ部240を搭載しているプリント基板部220とへ移動する。
金属カバー部235へ移動したヒータ部240の熱は、金属カバー部235内部を移動し圧電振動素子234が存在する雰囲気中へ輻射され、圧電振動素子234及び保持部233へと移動している。さらに、保持部233へ移動した熱は、保持部233内部を移動した後、電気的に接続されているリード部236へと移動する。
プリント基板部220へ移動したヒータ部240の熱は、プリント基板部220内部を移動し、プリント基板部220に接続固着されているリード部236へ移動する。
従って、恒温槽付圧電発振器200では、圧電振動子本体部231とプリント基板部220との間に存在するリード部236の内部の温度が保持部233と一定の温度となるまで、圧電振動素子234が存在する雰囲気中の熱がリード部236へ移動しつづける構成となっている。
このため、恒温槽付圧電発振器200では、圧電振動子本体部231とプリント基板部220との間のリード部236の温度が保持部233と一定の温度となるまで熱が移動しつづけてしまい、圧電振動素子234が存在する雰囲気中の温度を一定に保つことが困難となる恐れがある。
その結果、恒温槽付圧電発振器200は、圧電振動素子234の周波数を高い精度で一定に制御することが難しく、出力信号の周波数値が変動しやすくなる恐れがある。
【0007】
また、恒温槽付圧電発振器200では、圧電振動子本体部231とプリント基板部220との間のリード部236の内部の温度が保持部233の温度と一定となるまで、ヒータ部240で加熱し続けなければならず、電力を多く消費してしまうといった問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、従来の恒温槽付圧電発振器と比較して、圧電振動素子が存在する雰囲気中からリード部へ熱が移動する時間を短縮させることで、圧電振動素子の周波数を高い精度で一定に制御でき、かつ、ヒータ部の消費電力を抑えることができる恒温槽付圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した解題を解決するために、本発明に係る恒温槽付圧電発振器は、底板部材と、前記底板部材の一方の主面上に、前記底板部材から所定の間隔をあけて設けられたプリント基板部と、前記プリント基板部に設けられた圧電振動子と、前記プリント基板部に設けられ前記圧電振動子を加熱するヒータ部と、前記プリント基板部に設けられ、前記圧電振動子と電気的に接続し少なくとも発振回路を構成するとともに、前記ヒータ部の温度制御するための電子回路を構成する複数の電子素子と、前記電子素子と電気的に接続し、かつ前記プリント基板部を前記底板部材の一方の主面上に保持しつつ、前記底板部材を貫通して前記底板部材の他方の主面側まで突出して設けられた複数の接続ピンと、前記プリント基板部、前記圧電振動子、前記ヒータ部、及び前記電子素子とを覆うように前記底板部材に取り付けられた蓋部材と、を備えた恒温槽付圧電発振器であって、前記圧電振動子は、圧電振動子本体部と、二つ一対のリード部と、からなり、前記圧電振動子本体部は、基部と、前記基部の一方の主面から突出している二つ一対の保持部と、前記保持部に接続固着されている圧電振動素子と、前記圧電振動素子を前記基部とで気密封止している金属カバー部と、を備えており、前記リード部は、前記基部の内部にて前記保持部と電気的に接続された状態で前記基部の他方の主面から突出しており、前記リード部と所定の前記電子素子と電気的に接続されるように、前記リード部と前記プリント基板部とが前記リード部より細くかつ熱伝導性の高い線材部により電気的に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る恒温槽付圧電発振器は、リード部とプリント基板部とをリード部より熱伝導性の高い線材部により電気的に接続しているので、従来の恒温槽付圧電発振器と比較して、線材部の分だけリード部の長さを短くすることができ、かつ、線材部内を熱が移動する時間を短くすることができる。
従って、本発明に係る恒温槽付圧電発振器では、従来の恒温槽付圧電発振器における圧電振動子本体部とプリント基板部との間に存在するリード部の温度が保持部と一定の温度となるまでの時間と比較して、圧電振動子本体部とプリント基板部との間に存在するリード部及び線材部の温度が保持部と一定の温度となるまでの時間を短縮することができる。
このため、本発明に係る恒温槽付圧電発振器は、圧電振動素子が存在する雰囲気中の熱がリード部へ移動する時間を従来の恒温槽付圧電発振器と比較して短縮することができ、圧電振動素子が存在する雰囲気中の温度を一定に保つことができる。
その結果、本発明に係る恒温槽付圧電発振器は、圧電振動素子の周波数を高い精度で一定に制御することができ、出力信号の周波数値が変動することを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る恒温槽付圧電発振器では、圧電振動素子が存在する雰囲気中の熱がリード部へ移動する時間を短縮することができるので、従来の恒温槽付圧電発振器と比較してヒータ部の加熱時間を短縮することができる。
従って、本発明に係る恒温槽付圧電発振器は、従来の恒温槽付圧電発振器と比較してヒータ部で消費する電力を抑えることができる。
【0012】
また、本発明に係る恒温槽付圧電発振器では、リード部より細くかつ熱伝導性の高い線材部によりリード部とプリント基板部を接続しているので、従来の恒温槽付圧電発振器における圧電振動子本体部とプリント基板部との間に存在するリード部の表面積と比較して、圧電振動子本体部とプリント基板部との間の面積を小さくし輻射される熱量を抑えることができ、かつ、従来の恒温槽付圧電発振器における圧電振動子本体部とプリント基板部との間の熱容量と比較して、圧電振動子本体部とプリント基板部との間の熱容量を小さくすることができる。
このため、本発明に係る恒温槽付圧電発振器では、従来の恒温槽付圧電発振器と比較してヒータ部で消費する電力を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがあり、また、寸法比率は現実のものと必ずしも一致しない。
【0015】
(恒温槽付圧電発振器の基本構成)
図1に示すように、恒温槽付圧電発振器100は、底板部材110とプリント基板部120と圧電振動子130とヒータ部140と複数の電子素子150と接続ピン160と蓋部材170とを少なくとも備えている。
【0016】
底板部材110の材料としては、例えば、真鍮が用いられている。
また、底板部材110は、例えば、矩形形状の平板状の底板部と底板部の一方の主面の端部に沿って底板部と一体となって設けられている側壁部とから構成されている。
【0017】
ここで、底板部に接する面と反対側の側壁部の面を底板部材110の一方の主面とし、底板部の他方の主面を底板部材110の他方の主面とする。
【0018】
プリント基板部120は、底板部材110の一方の主面上に、底板部材110から所定の間隔をあけて設けられている
また、プリント基板部120には、後述する各構成要素を搭載するためのパッド(図示せず)及び各構成要素間を電気的に接続するための配線パターン(図示せず)が形成されている。
また、プリント基板部120は、パッド及び配線パターンが形成されている面の大きさが底板部材110の一方の主面より小さくなっている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、圧電振動子130は、プリント基板部120に搭載され、圧電振動子本体部131と二つ一対のリード部136とから構成されている。
【0020】
圧電振動子本体部131は、基部132と二つ一対の保持部133と圧電振動素子134と金属カバー部135とから構成されている。
【0021】
基部132は、例えば、略直方体形状となっている。
【0022】
二つ一対の保持部133は、例えば、材料としてコバールが用いられており、基部132とは絶縁した状態で、基部132の所定の一面から同一方向に並んで突出している。
【0023】
ここで、保持部133が突出している基部132の面を基部132の一方の主面とし、基部132の一方の主面とは反対側の面を基部132の他方の主面とする。
【0024】
圧電振動素子134は、例えば、圧電片134aと励振電極134bと引出電極134cとから構成されている。
圧電片134aは、例えば、円形形状の平板状の圧電材料である水晶が用いられる。
励振電極134bは、例えば、二つ一対となっており、圧電片134aの両主面に互いが対向するように形成されている。
引出電極134cは、例えば、二つ一対となっており、一方の端部が励振電極134bに接続されつつ他方の端部が圧電片134aの端部に位置するように形成されている。
上述されたような圧電振動素子134は、引出電極134cに電圧が印加されると圧電効果及び逆圧電効果により励振電極134bで挟まれた圧電片134aが振動を開始する。また、このような圧電振動素子134は、圧電振動素子134が存在する雰囲気中の温度に依存して振動するときの周波数が異なるという性質を有している。
また、圧電振動素子134は、例えば、二つ一対の引出電極134cが二つ一対の保持部133に導電性接着剤(図示せず)により接続固着されており、保持部133によって保持された状態となっている。
【0025】
金属カバー部135は、例えば、略直方体形状のコバールが用いられ、圧電振動素子134及び保持部133を収納することができる大きさの圧電振動素子収納空間135aが形成されている。
また、金属カバー部135は、圧電振動素子収納空間135aの開口部を保持部133に保持されている圧電振動素子134に向けた状態で、圧電振動素子134及び保持部133を圧電振動素子収納空間135a内に収納しつつ、基部132と冷間圧接接合されている。このとき、圧電振動素子134及び保持部133は、金属カバー部135の圧電振動素子収納空間135a内を向く面と接触しない構造となっている。
【0026】
前述した構成で圧電振動子本体部131が構成されており、圧電振動子本体部131は、保持部133に保持されている圧電振動素子134が圧電振動素子収納空間135a内に気密封止された状態となっている。
【0027】
リード部136は、例えば、直径が約0.8mmのコバールが用いられ、基部132と絶縁した状態で、圧電振動子本体部131の基部132の他方の主面から二つ一対で突出している。
また、リード部136は、特に図示しないが、基部132の内部で保持部133と電気的に接続された状態となっている。
また、リード部136は、後述する線材部180の分だけ従来の恒温槽付圧電発振器200のリード部236と比較すると短くなっている。
【0028】
上述したような構成で圧電振動子130は構成されており、圧電振動子本体部131に圧電振動素子134が気密封止されており、励振電極134bが引出電極134c及び保持部133を介してリード部136と電気的に接続された状態となっている。
【0029】
図1に示すように、ヒータ部140は、プリント基板部120の所定のパッドに接続固着されて、搭載されている。
プリント基板部120に接する面に対向するヒータ部140の面には、圧電振動子130の金属カバー135が当接されており、ヒータ部140により圧電振動子130を加熱することができる構成となっている。
従って、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、ヒータ部140により金属カバー部135を加熱することで、金属カバー部135及び基部132で気密封止されている圧電振動素子134が存在する雰囲気中の温度を高くすることができる構成となっている。つまり、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、圧電振動子本体部131の金属カバー部135及び基部132が恒温槽の役割を果たしているとみなすことができる。
【0030】
複数の電子素子150は、プリント基板部120の所定のパッドに接続固着されて、搭載されている。
また、所定のいくつかの電子素子150は、圧電振動子130と電気的に接続された状態となっており、発振回路を構成している。
また、所定の他のいくつかの電子素子150は、ヒータ部の温度制御をするための電子回路を構成している。
【0031】
接続ピン160は、プリント基板部120を貫通した状態で接続固着されており、配線パターンにより電子素子150と電気的に接続された状態となっている。
また、接続ピン160は、プリント基板部120を底板部材110の一方の主面上に保持しつつ、底板部材110を貫通して底板部材110の他方の主面から突出して設けられている。このとき、接続ピン160は、底板部材110と絶縁された状態となっている。
底板部材110の他方の主面側へ突出した接続ピン160は、恒温槽付圧電発振器100の実装端子の役割をはたす。
また、接続ピン160の材料としては、例えば、コバールが用いられる。
【0032】
蓋部材170は、プリント基板部120、圧電振動子130、ヒータ部140、及び電子素子150を覆うように底板部材110に取り付けられる。このとき、蓋部材170は、プリント基板部120、圧電振動子130、ヒータ部140、及び電子素子150に接触しない。
また、蓋部材170は、例えば、直方体形状の真鍮が用いられ、底板部材110の一方の主面より大きい開口部を有したプリント基板部収納空間が形成されている。
また、蓋部材170は、例えば、底板部材110の側壁部にネジ穴(図示せず)が形成されており、ネジ(図示せず)により底板部材110に固定される。
【0033】
(リード部へ熱が移動する時間を短縮ための構成)
本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、以上の基本的な構成に加えて、圧電振動素子134が存在する雰囲気中からリード部136へ熱が移動する時間を短縮するためにリード部136とプリント基板部120とが線材部180により電気的に接続された構成となっている。
【0034】
図1に示すように、線材部180は、一方の端部がリード部136に接続固着されつつ他方の端部がプリント基板部120の所定のパッドに接続固着されており、リード部136とプリント基板部1320の所定のパッドとを電気的に接続している。
従って、線材部180の分だけ、従来の恒温槽付圧電発振器200のリード部236と比較してリード部136の長さを短くすることが可能となる。
【0035】
また、線材部180は、その太さがリード部136より細く、例えば、直径約0.3mmのものが用いられる。
リード部136より細い線材部180を用いることで、従来の恒温槽付圧電発振器200における圧電振動子本体部231とプリント基板部220とを接続しているリード部236の表面積と比較し、圧電振動子本体部130とプリント基板部130を接続しているリード部136及び線材部180の表面積を小さくすることができる。このため、圧電振動子本体部131とプリント基板部120とを接続しているリード部136及び線材部180の表面からの熱の輻射(放射)を従来と比較して少なくすることができ、消費する電力を抑えることができる。
ここで、太さがリード部136より細いとは、リード部136の断面積と比較して線材部186の断面積が小さい状態を指す。
【0036】
また、線材部180は、その熱伝導性がリード部136より高い。
ここで、熱伝導性とは、熱の伝わりやすさを示しており、熱伝導性が高いとは、同じ長さで比較したときに、一方の端部から他方の端部までの熱が移動する時間が短い状態を示している。
線材部180の熱伝導性がリード部136より高くすることで、従来の恒温槽付圧電発振器200における圧電振動子本体部231とプリント基板部220との間に存在するリード部236の温度がほぼ一定となる時間と比較すると、圧電振動子本体部131とプリント基板部120との間に存在するリード部136及び線材部180の内部の温度がほぼ一定となる時間を短くすることが可能となる。
【0037】
このような線材部180として、例えば、洋白が用いられる。
また、洋白は、半田のぬれ性もよく、柔軟性に優れている。このため、洋白を用いると、リード部とプリント基板部とにそれぞれ接続固着しやすく、かつ、容易に変形させることができるので、接続固着するときに作業効率を向上させることができる。
また、洋白は、耐食性が優れており、さびにくい性質を有している。このため、洋白を用いることで、多湿な環境で使用されても、鉄などの耐食性の優れないものを用いた場合と比較して長い時間使用することができる。
【0038】
前述したような構成で構成されている本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100では、熱が高い温度のところから低い温度のところへ移動する性質を有していることから、ヒータ部140により加熱したとき、ヒータ部140の熱がヒータ部140の接触している金属カバー部135及びプリント基板部120へと移動する。
【0039】
金属カバー部135へ移動したヒータ部140の熱は、金属カバー部135内部を移動し、圧電振動素子134が存在する雰囲気中、つまり、圧電振動素子収納空間135a内へ輻射されることで圧電振動素子収納空間135a内へ移動した後、圧電振動素子収納空間135a内に存在する圧電振動素子134及び保持部133へと移動する。その後、圧電振動素子134及び保持部133へ移動した熱は、保持部133と電気的に接続されているリード部136へと移動し、リード部136内を線材部180及びプリント基板部120側へ移動する。
【0040】
プリント基板部120へと移動したヒータ部140の熱は、プリント基板部120内部を移動し、プリント基板部120に接触している線材部180へ移動する。プリント基板部120から線材部180へ移動した熱は、線材部180内をリード部136及び圧電振動子本体部131側へと移動する。なお、ここでは、線材部180へ移動している場合のみについて説明しているが、プリント基板部120に搭載されている複数の電子素子150へも熱は移動している。
【0041】
このような本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100では、リード部136とプリント基板部120とを線材部180により電気的に接続しているので、従来の恒温槽付圧電発振器200のリード部236と比較してリード部136の長さを短くすることができる。
また、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、リード部136とプリント基板部120とをリード部136より熱伝導性の高い線材部180により電気的に接続しているので、従来の恒温槽付圧電発振器200における圧電振動子本体部231とプリント基板部220との間に存在するリード部236の温度が保持部233と一定の温度となるまでの時間と比較して、圧電振動子本体部131とプリント基板部120との間に存在するリード部136及び線材部180の温度が保持部133と一定の温度となるまでの時間を短縮することができる。
このため、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、圧電振動素子134が存在する雰囲気中の熱がリード部136へ移動する時間を従来の恒温槽付圧電発振器200と比較して短縮することができ、圧電振動素子134が存在する雰囲気中の温度をほぼ一定に保つことができる。
その結果、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、存在する雰囲気中の温度により周波数が変動する圧電振動素子134の周波数を高い精度で一定に制御することができ、出力信号の周波数値が変動することを防ぐことができる。
【0042】
また、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100では、圧電振動素子134が存在する雰囲気中の熱がリード部136へ移動する時間を短縮することができるので、従来の恒温槽付圧電発振器200と比較してヒータ部140の加熱時間を短縮することができる。
従って、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100は、従来の恒温槽付圧電発振器200と比較してヒータ部140で消費する電力を抑えることができる。
【0043】
また、本発明の実施形態に係る恒温槽付圧電発振器100では、リード部136とプリント基板部120とをリード部136より細い線材部180により電気的に接続し、かつ、従来の恒温槽付圧電発振器200のリード部236と比較してリード部136の長さを短くすることができるので、従来の恒温槽付圧電発振器200における圧電振動子本体部231とプリント基板部220との間に存在するリード部236の表面積と比較して、ことができる。
このため、本発明に係る恒温槽付圧電発振器100は、従来の恒温槽付圧電発振器200におけるリード部236から輻射される熱量と比較して、リード部136及び線材部180から輻射される熱量を抑えることができ、従来の恒温槽付圧電発振器200と比較しておけるヒータ部で消費する電力を抑えることができえる。
【0044】
なお、線材部が洋白からなる場合について説明しているが、リード部より細くかつ熱伝導性が高い材質であれば、例えば、銀、銀化合物、金、銅、銅化合物からいずれか一つを選択し用いてもよい。