【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一般に材料のレーザ加工に関する。さらに詳細には、本発明は、レーザ加工用途において加工品質を改善しスループットを高めるために特に属性が決定された
連続レーザパルス
列を用いる方法及び装置に関するものである。また、本発明は、
連続レーザパルス
列を用いて様々な材料に孔を形成することに関するものでもある。ただし、本発明は、より広い適用可能性を有しており、他の用途や材料にも適用できる。
【0005】
Nd:YAGなどのパルスレーザ源は、マーキング、エングレービング、微細加工、切断、及び穿孔などの用途のためのレーザをベースにした材料加工を行うために用いられてきた。レーザが一般に使用されるそのようなプロセスの1つは、材料に小孔を形成することである。これらの小孔は「ビア」と呼ばれることがある。これらの孔は、材料を完全に貫通する貫通孔であることもあれば、一方の側で開始するが、材料の内部のある点で終了する止まり孔であることもある。レーザは、例えばシリコンのような半導体、銅のような金属、シリカのようなセラミックス、ガラス、及び他の多様な材料を含む種々の材料に孔を形成するために使用することができる。また、レーザは、例えば誘電体と銅とが交互に層をなす電気回路基板などの異なる材料の複数の層からなる試料に孔を形成するためにも使用される。
【0006】
レーザを使用して試料に孔を形成するための1つの手法はパーカッションドリルである。パーカッションドリルでは、レーザからの1以上の光のパルスが、孔を形成しようとしている材料の位置にその焦点が合わされ、結像され、又は方向付けられる。その材料にその焦点を合わされ、結像され、又は方向付けられた光は、ここではレーザスポットと呼ばれるスポットを形成する。各パルスは、所望の深さに孔が達するまで、あるいは孔が材料を完全に貫通するまで、一部の材料を取り除く。パーカッションドリルに使用されるレーザは、典型的には、等しいエネルギー及び繰返し率の連続したレーザパルスを送る(
連続パルス列内の各パルスは、先行するパルス及び後続のパルスから時間的に等しく離れている)。パーカッションドリルを用いて複数の孔を形成するとき、レーザパルスを材料に送ることができる3つの方式が名目上存在する。これらの方式には、(i)第1の孔が完成するまで第1の
連続パルス
列を第1の孔に方向付け、次いで第2の孔が完成するまで第2の
連続パルス
列を方向付け、以降すべての孔が完成するまで同様に行う方式と、(ii)第1の孔に第1のパルスを方向付け、次いで第2の孔に第2のパルスを方向付け、次いで第3の孔に第3のパルスを方向付け、以降それぞれの孔に1つのパルスが方向付けられるまで同様に行い、その後すべての孔が完成するまでこの
連続パルス列を繰り返す方式と、(iii)第1の孔に第1の
連続パルス
列を方向付け、次いで第2の孔に第2の
連続パルス
列を方向付け、以降
連続パルス
列がそれぞれの孔に方向付けられるまで同様に行い、その後すべての孔が完成するまでこれらの
連続パルス列を繰り返す方式がある。方式(i)は、単一パス穿孔プロセスと呼ばれ、方式(ii)及び(iii)は複数パスプロセスと呼ばれる。レーザからの1つのパルスだけで非常に薄い材料を貫通する孔を形成することができる場合もあるが、典型的には、レーザ穿孔は2以上の
連続レーザパルス
列を必要とする。
【0007】
レーザは穿孔に対して数多くの利点を有している。レーザビームの焦点を非常に小さいスポットに合わせて小孔を形成し、それぞれの孔を非常に早く形成することができる。レーザ穿孔は、レンズや鏡、その他の方向付け手段を含む光学系を使って離れたところからレーザビームを方向付けることができ、あるいは、試料自体を移動させることができる非接触プロセスである。そのような方向付け手段は、ビームの再位置決めを1秒に何回も行うことができるように、コンピュータ制御され得る。したがって、短い期間内にレーザを使用して多くの孔を形成することができる。パルスエネルギー、パルス幅(パルス長とも呼ばれる)、時間的パルス形状、ピークパワー、平均パワー、繰返し率などのレーザのパラメータは、典型的には、所望の用途に対して最も望ましい孔属性を得るのに最適な値となるように選択される。多くのレーザについては、通常、レーザのパラメータは広範囲にわたって調整することもできなければ、互いに独立して調整することもできないので、これは、用途ごとに異なるレーザを選択することを意味することが多い。
【0008】
レーザパラメータには、パルス間の時間間隔を決定するパルス繰返し率が含まれる。多くのレーザについては、繰返し率が変化すると、パルスエネルギーも変化することとなる。このパルスエネルギーの変化は、形成されている孔の質やスループット、その他の特性に影響を与えることがある。ただし、パルス間の間隔自体は、多くの場合、パルス間の間隔が変更してしまった場合に同時に生じるパルスエネルギーの変化ほど重要ではない。したがって、多くの場合、複数の孔を形成する際にはある程度の柔軟性があり、孔を形成するために
連続パルス
列が必要とされる場合に、レーザパルスの他のパラメータを所望のものにできるのであれば、個々のパルス間の実際の時間間隔は関係ないことがあり得る。X個のパルス
からなるN個の
連続パルス列をN個の孔に送ることができる順列は膨大な数あり、任意の1つの特定の孔に方向付けられる
連続パルス列の個々のパルス間の時間間隔は、それらの順列の一部において非常に不規則になることがあることは、当業者であれば理解できるであろう。
【0009】
パルスレーザを用いて孔を形成する一例は、シリコンウェハにおけるスルービアの穿孔である。シリコンウェハにおけるビアホールの必要とされる直径は5μmと小さいことがあり、場合によっては(例えば太陽電池など)、毎秒数百個のスルービアを形成することが必要とされるため、レーザはこの特定の用途において好都合である。ほとんどの場合、シリコンウェハにおけるビアのレーザ穿孔は、電子機器を作るための製造プロセスにおける1つの工程である。このプロセスの他のステップは、多くの場合、ビアホールが筒形状又はテーパ形状など所定の形状を有し、側壁が平滑であり、切溝が孔入口で最大高さを有し、孔入口近傍でのデブリ及び残留物が最小限に抑えられるなどといった品質要件、及び他の特定の要件をビアホールに対して課す。これらの品質要件を満たすために、特定の用途に適するように、最適なパルスエネルギー、パルス幅、パルス繰返し率、ピークパワー又はピークエネルギー、及び時間的パルス形状をはじめとするレーザパルスの最適特性を予め決定し、選択することができることが望ましい。
【0010】
1パルスあたり0.1mJより大きいパルスエネルギーによって特徴付けられる多くの既存の高パワーパルスレーザは、光パルスを生成するためにQ−スイッチング及びモード同期などの手法に依存している。そのようなレーザは、空洞形状や鏡面反射率などによって予め決められた特徴を有する光パルスを生成する。そのようなレーザを用いると、一般には、手元の用途のために最適のパルス幅又はパルス形状を得ることが難しい。同様に、
連続パルス
列の中間
連続パルス列でパルスエネルギーや繰返し率などのレーザパルスの1以上の特性を変更すると、スーパーパルスと呼ばれるパルスエネルギーの突然の増加や
連続パルス列内の数多くのパルスに対する間欠パルスエネルギー変動などの望ましくない摂動につながることがある。したがって、多くの場合、孔のレーザ穿孔は欠点を有している。
【0011】
本発明は、
連続レーザパルス
列を用いて材料に孔を形成するための方法に関し、その孔に対する穿孔プロセスを最適化するために、1以上のレーザパルスの1以上の特性がその
連続パルス列内で変更される。
図1に模式的に示されている一実施形態においては、材料に孔を形成するために
連続レーザパルス
列S1が提供され、ここで
連続パルス列S1は、パルス間時間間隔がT1でエネルギーE1の多数のパルスを含み、その後にパルス間時間間隔L1が続き、その後にパルス間時間間隔T2でエネルギーE2のさらに多くのパルスが続く。値E1、E2、L1、T1、T2の選択は、孔を形成する速度だけではなく孔の所定の重要な特性を最適化するために予め決定しておいてもよい。本発明の他の実施形態では、材料に孔を形成するために
連続レーザパルス
列が提供され、その
連続レーザパルス
列は、穿孔プロセスを最適化するために予め決定された、異なるエネルギー又はパルス間時間間隔又はパルス幅又はパルス形状を有するパルスを含んでいてもよい。パルス幅は、光パルスの半値全幅FWHMとして定義される。孔を形成するための
連続パルス
列における各パルスに対して選択される特徴は、
連続パルス列内の各パルスの特性が
連続パルス列内の他のすべてのパルスの特性と同一である
連続パルス
列を用いて得られる結果と比較して、形成された孔及び孔の穿孔速度の改善された特性を提供するために予め決定される。
【0012】
ここに記載されている本発明の実施形態は、孔のレーザ穿孔において数多くの利点をもたらす。
図2aは、レーザによりシリコンウェハに形成されたビアホールの概略断面図を示す。材料に形成された孔は、多くの属性により特徴付けることができる。例えば、ビアホールは、入口及び出口がほぼ等しい寸法を有する筒形状を有していてもよい。あるいは、ビアホールは、
図2aに示されるように入口が出口よりも大きいテーパ形状を有していてもよい。本発明の実施形態においては、
連続パルス
列を使用して孔を形成し、これにより、結果として生じる孔の形状が特定のテーパ状プロファイルを有するように、エネルギー及びパルス間時間間隔を含む1以上のパルス特性が
連続パルス列内の1以上のパルスについて変更される。同様に、本発明のさらなる実施形態においては、
連続パルス
列が提供され、これにより、結果として生じる孔の形状が特定の筒形状をしたプロファイルを有するように、エネルギー及びパルス幅を含む1以上のパルス特性が
連続パルス列内の1以上のパルスについて変更される。本発明のさらなる実施形態においては、
連続パルス
列が提供され、これにより、孔出口の形状が滑らかな端縁を有する円形となり、孔の側壁は滑らかになるように、エネルギー、パルス間時間間隔、パルス幅、及び時間的パルス形状を含む1以上のパルス特性が変更される。レーザ穿孔は、本来アブレーションを起こしやすいので、孔入口のすぐ近隣の表面は、切溝と呼ばれる基板に付着した盛り上がった材料の領域を有することがある。孔の入口の近くの表面上に飛散して、基板に付着するか、あるいは付着されないで残っているデブリや残留物が生じることがある。本発明の他の実施形態では、爆発的アブレーション効果を低減するように
連続パルス列内の最初の所定数のパルスの特性を選択し、孔がシリコンウェハの内部で深くなるにつれて穿孔速度が上がるように
連続パルス列内の後続のパルスを選択し、その結果として、孔のデブリや残留物、切溝は削減され、
連続パルス列内の各パルスの特性が変更されないままであるときに得られる孔と比較して孔を形成する速度が速くなるように、
連続パルス
列が提供され、材料に孔を形成する。シリコンウェハに孔を形成するプロセスにおいては、パルス特性が
連続パルス列を通してすべて同一である
連続パルス
列を使用するのではなく、各パルスの特性が穿孔プロセスを最適化するように予め決められている
連続パルス
列を使用することによって、形成される孔の品質及び製造される装置の信頼性において大きな改善が得られ、また穿孔速度の大幅な改善が得られ、これにより製造の次の段階に送ってもよい装置の数である歩留まりにおいても大きな改善が得られる。
【0013】
本発明の他の実施形態においては、レーザシステムは、材料に孔を形成するために
連続レーザパルス
列を生成し、材料における穿孔を最適化するために
連続パルス列内の1以上のパルスの1以上の特性を変更する。パルスレーザ源は、シード信号を発生させるように適合されたシード源と、シード源に結合された第1のポートと第2のポートと第3のポートとを有する光サーキュレータを含んでいる。また、パルスレーザ源は、整形された電気波形を生成するように適合された変調器ドライバと、変調器ドライバに結合され、整形された電気波形を受け入れるように適合された振幅変調器とを含んでいる。振幅変調器は、光サーキュレータの第2のポートに結合された第1の側と第2の側により特徴付けられている。パルスレーザ源は、入力端及び反射端により特徴付けられる第1の光増幅器をさらに含んでいる。入力端は、振幅変調器の第2の側に結合される。さらに、パルスレーザ源は、光サーキュレータの第3のポートに結合される第2の光増幅器を含んでいる。
【0014】
N個の孔を形成するために、レーザシステムは、N個の所定の
連続レーザパルス列S
1,S
2,...S
Nを提供し、それぞれの
連続パルス列間の時間間隔を十分に長くして、孔が形成されている試料のある領域から次の孔が形成されることになる試料の隣接する領域にレーザビームを位置決めし直すことを可能にしている。シリコンウェハなどの均一な材料に同一の孔を形成するように設計された特定の実施形態においては、形成されるそれぞれの孔を他のそれぞれの孔とほぼ同一にすべく、
各連続パルス列が他の
連続パルス列と同一となるように、レーザシステムが
連続レーザパルス
列を生成するように提供される。レーザシステムは、形成されるそれぞれの孔にレーザビームを照射し、穿孔プロセスを制御するための手段を含む加工システムに含まれる。シリコンウェハなどの均一な材料に同一の孔を形成するように設計された特定の実施形態においては、形成されるそれぞれの孔が、他のそれぞれの孔とほぼ同一であり、かつ所定の好ましい特性を有するべく、それぞれの
連続パルス列内の所定のパルスが、同一の
連続パルス列内の他のレーザパルスと著しくかつ意図的に異なるレーザパラメータを有するように、レーザシステムが
連続レーザパルス
列を生成するように提供される。レーザシステムは、形成されるそれぞれの孔にレーザビームを照射し、穿孔プロセスを制御するための手段を含む加工システムに含まれる。シリコンウェハなどの均一な材料にN個の異なる孔を形成するように設計された特定の実施形態においては、形成されるN個の孔のうち所定のものが、ウェハ内の他の孔の特性とは異なる所定の好ましい特性を有するべく、1以上の
連続パルス列内の所定のパルスが、同一の
連続パルス列内の他のレーザパルスと著しくかつ意図的に異なるレーザパラメータを有し、かつ、所定の
連続パルス列は他の
連続パルス列内に含まれているものと異なるレーザパラメータを有するパルスを含むように、レーザシステムがN個の所定の
連続レーザパルス
列S
1,S
2,...S
Nを生成するように提供される。レーザシステムは、形成されるそれぞれの孔にレーザビームを照射し、穿孔プロセスを制御するための手段を含む加工システムに含まれる。
【0015】
他の実施形態においては、レーザシステムは、ビーム位置決めシステムを用いて
連続レーザパルス
列を生成するために提供される。
連続パルス
列S
1の第1のパルスが第1の孔に方向付けられ、次いで
連続パルス列S
1の第2のパルスが第2の孔に方向付けられ、以降
連続パルス
列S
1内の最後のパルスが最後の孔に方向付けられるまで同様に行われる。その後、
連続パルス
列S
2の第1のパルスが第1の孔に方向付けられ、次いで
連続パルス列S
2の第2のパルスが第2の孔に方向付けられ、以降
連続パルス
列S
2の最後のパルスが最後の孔に方向付けられるまで同様に行われる。以下、孔のそれぞれにすべての
連続パルス
列が照射されるまで同様に行われる。全体的なパルスシーケンスにおける任意の2つの連続パルス間の時間間隔は、ビーム位置決めシステムが1つの孔から次の孔へビームを方向付けるのに十分な期間であるが、レーザパルスパラメータを変更するための休止に対する追加の要件はない。同様に、第2のパスが孔ごとに
連続パルス列S
2からの2個のパルスを含み得ることは言うまでもない。マルチパス穿孔プロセスは、典型的には、例えばそれぞれの孔の途中でまで結像光学系に対して調整が行われるとき、あるいは第2の層を貫通する孔を形成するために第2のパスで異なるレーザが使用される場合に、(それぞれの孔が連続的に形成される)単一パスプロセスの代わりに使用される。上記に概説された2つの簡単な構成以外に、X個のパルス
からなるN個の
連続パルス列をN個の孔に送ることができる数多くの順列があることは、当業者であれば理解できるであろう。本発明の他の実施形態においては、これらの順列のうち1以上のものに対応している。本発明のある実施形態によれば、1つの
連続パルス
列から次の
連続パルス
列にレーザパルスパラメータを変更するためにこのパルスシーケンス中に非常に長い休止は必要とされない。
【0016】
さらに他の実施形態においては、レーザシステムは、ビーム位置決めシステムを用いて
連続レーザパルス
列を生成するために提供され、パルスシーケンスS
1の第1のパルスは第1の孔に方向付けられ、次いでシーケンスS
2の第1のパルスは第2の孔に方向付けられ、以降パルスシーケンスS
N内の最初のパルスがN番目の孔に方向付けられるまで同様に行われる。その後、パルスシーケンスS
1の第2のパルスは第1の孔に方向付けられ、次いでシーケンスS
2の第2のパルスは第2の孔に方向付けられ、以降パルスシーケンスS
Nの第2のパルスがN番目の孔に方向付けられるまで同様に行われる。以下、孔のそれぞれに
完全な連続パルス
列S
xが照射されるまで同様に行われる。全体的なパルスシーケンスにおける任意の2つの連続パルス間の時間間隔は、ビーム位置決めシステムが1つの孔から次の孔へビームを方向付けるのに十分な期間である。上記に概説された2つの簡単な構成以外に、X個のパルスのN個のシーケンスをN個の孔に送ることができる数多くの順列があることは、当業者であれば理解できるであろう。本発明の他の実施形態では、そのようなすべての順列に対応している。
【0017】
さらなる実施形態においては、レーザシステムは、N個の所定の
連続パルス列S
1,S
2,...S
Nを生成するために提供され、それぞれの
連続パルス列間の時間間隔を十分に長くして、それぞれの孔に対して事前穿孔を行うために、ある孔から次の孔にレーザビームを方向付けし直すことを可能にしている。そして、レーザは、それぞれの孔の穿孔を完了するために
、N個の所定の
連続レーザパルス列R
1,R
2,......R
Nを提供することとしてもよい。この実施形態においては、少なくとも1つの
連続パルス列の少なくとも1個のパルスのレーザパルス特性は、その
連続パルス列内の他のパルスのレーザパルス特性とは異なっている。レーザシステムは、形成されるそれぞれの孔にレーザビームを方向付け、穿孔プロセスを制御することができる加工システムに含まれる。レーザシステムは、形成されるそれぞれの孔にレーザビームを方向付け、穿孔プロセスを制御するための手段を含む加工システムに含まれる。したがって、これは、例えば異なる材料の2つの層からなる試料に貫通孔を形成するために使用される2ステップ穿孔プロセスである。この2ステップ穿孔プロセスのさらなる実施形態においては、2つの異なるレーザ、すなわち
連続パルス列S
1,S
2,...S
Nを生成する第1のレーザと、
連続パルス列R
1,R
2,......R
Nを生成する第2のレーザを使用してもよい。
【0018】
本発明の実施形態によれば、複数のレーザパルスを使用して材料(例えば半導体やシリコンなど)に孔を形成する方法が提供される。この方法は、それぞれのレーザパルスが、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、第1のパルス形状、第1の波長、及び第1のパルス間時間間隔により特徴付けられる第1組のレーザパルスを提供する。また、この方法は、それぞれのレーザパルスが、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、第2のパルス形状、第2の波長、及び第2のパルス間時間間隔により特徴付けられる第2組のレーザパルスを提供し、第2のパルスエネルギーが第1のパルスエネルギーと異なる、第2のパルス幅が第1のパルス幅と異なる、第2のパルス形状が第1のパルス形状と異なる、又は第2の波長が第1の波長とは異なる、のうち少なくとも1つに該当する。さらに、この方法は、第1組のレーザパルスをレーザスポットに当たるように方向付け、第2組のレーザパルスをレーザスポットに当たるように方向付け、材料に孔を形成する。例として、複数のレーザパルスを単一のレーザによって提供することができ、第1の波長が第2の波長と等しくてもよく、第1の波長及び第2の波長が1064nmであってもよい。他の実施形態においては、第1の波長又は第2の波長のうち少なくとも1つが1064nm未満である。
【0019】
一実施形態においては、第1組のレーザパルスの最後のパルスと第2組のレーザパルスの最初のパルスとの間の時間は、第1のパルス間時間間隔又は第2のパルス間時間間隔のうち大きい方の5倍未満である。また、この方法は、第1組のレーザパルスを提供する前に、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、及び第1のパルス形状を決定し、第2組のレーザパルスを提供する前に、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、及び第2のパルス形状を決定してもよく、第2のパルスエネルギーが第1のパルスエネルギーに等しくない、第2のパルス幅が第1のパルス幅に等しくない、又は第2のパルス形状が第1のパルス形状と同一ではない、のうち少なくとも1つに該当してもよい。
【0020】
一実施形態によれば、第1組のレーザパルスは単一のレーザパルスを含み、第2組のレーザパルスは単一のレーザパルスを含む。第1のパルス幅が第2のパルス幅と等しくてもよく、第1のパルス形状が第2のパルス形状と同一であってもよい。第1のパルスエネルギーが第2のパルスエネルギーと同一であってもよく、第1のパルス形状が第2のパルス形状と同一であってもよい。第1のパルスエネルギー及び第2のパルスエネルギーはそれぞれ0.05mJより高く2mJよりも低い。第1のパルス幅及び第2のパルス幅はそれぞれ20nsより大きく5000nsよりも小さい。第1組のレーザパルスの最後のパルスと第2組のレーザパルスの最初のパルスとの間の時間が、第1のパルス間時間間隔とほぼ同一であってもよい。第1組のレーザパルスの最後のパルスと第2組のレーザパルスの最初のパルスとの間の時間が、第2のパルス間時間間隔とほぼ同一であってもよい。
【0021】
他の実施形態によれば、この方法は、さらに、第1組のレーザパルスを提供する前に、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、第1のパルス形状、第1の波長、及び第1のパルス間時間間隔を決定し、第2組のレーザパルスを提供する前に、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、第2のパルス形状、第2の波長、及び第2のパルス間時間間隔を決定する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、それぞれが波長により特徴付けられる
連続光パルス
列を用いて材料(例えば半導体やシリコンなど)に孔を形成する方法が提供される。この方法は、第1組のパルスとして1以上の第1の光パルスを提供し、第1の光パルスのそれぞれは、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、及び第1のパルス形状により特徴付けられ、第2組のパルスとして1以上の第2の光パルスを提供し、第2の光パルスのそれぞれは、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、及び第2のパルス形状により特徴付けられる。また、この方法は、第3組のパルスとして1以上の第3の光パルスを提供し、第3の光パルスのそれぞれは、第3のパルスエネルギー、第3のパルス幅、及び第3のパルス形状により特徴付けられ、第1組のパルスをある位置で材料に当たるように方向付け、第2組のパルスを当該位置で材料に当たるように方向付け、第3組のパルスを当該位置で材料に当たるように方向付け、当該位置で材料に孔を形成する。
【0023】
他の実施形態によれば、この方法は、さらに、第1組のパルスを提供する前に、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、及び第1のパルス形状を決定し、第2組のパルスを提供する前に、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、及び第2のパルス形状を決定し、第3組のパルスを提供する前に、第3のパルスエネルギー、第3のパルス幅、及び第3のパルス形状を決定する。第2のパルスエネルギーが第1のパルスエネルギーに等しくない、第2のパルス幅が第1のパルス幅に等しくない、又は第2のパルス形状が第1のパルス形状と同一ではない、のうち少なくとも1つに該当する。第2のパルスエネルギーが第3のパルスエネルギーに等しくなくてもよく、第2のパルス幅が第3のパルス幅に等しくなくてもよく、あるいは第2のパルス形状が第3のパルス形状と同一ではなくてもよい。
【0024】
第1のパルスエネルギーが0.05mJから2mJの間であってもよく、第2のパルスエネルギーが0.05mJから2mJの間であってもよく、第3のパルスエネルギーが0.05mJから2mJの間であってもよい。第1のパルス幅が20nsから5μsの間であってもよく、第2のパルス幅が20nsから5μsの間であってもよく、第3のパルス幅が20nsから5μsの間であってもよい。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、
連続レーザパルス
列を用いて材料(例えば半導体やシリコンなど)に孔を形成する方法が提供される。この方法は、2以上のパルスを含む
連続レーザパルス
列を提供する。
連続レーザパルス
列内の少なくとも1個のパルスは、波長、パルスエネルギー、パルス幅、又はパルス形状のうちの少なくとも1つにおいてこの
連続パルス
列内の他のパルスと異なっている。また、この方法は、
連続レーザパルス
列をある穿孔位置で材料に当たるように方向付け、この穿孔位置で孔を形成する。上記1個のパルスと他のパルスは、パルスエネルギーにおいて異なっていてもよい。上記1個のパルスと他のパルスは、パルス幅において異なっていてもよい。上記1個のパルスと他のパルスは、パルス形状において異なっていてもよい。
【0026】
本発明の他の実施形態によれば、それぞれが波長(例えば〜1064nm)、パルスエネルギー、パルス幅、及び時間的パルス形状により特徴付けられる
連続レーザパルス
列を用いて材料を貫通する孔(例えば筒形状)を形成する方法が提供される。この方法は、
連続パルス列内の連続
するパルス間の時間間隔が0.01秒以下である連続パルス間の時間間隔により特徴付けられる
連続レーザパルス
列を提供し、
連続パルス列内の少なくとも1個のパルスのパルスエネルギーが、
連続パルス列内の他のパルスのパルスエネルギーよりも低くなるようにし、レーザパルスの組をあるレーザスポットに当たるように方向付け、材料を貫通する孔を形成する。この材料は半導体材料又はシリコンを含んでいてもよい。
【0027】
一実施形態においては、
連続パルス列内の最初のパルスのエネルギーは、
連続パルス列内の他の少なくとも1つのパルスのエネルギーよりも低い。他の実施形態においては、
連続パルス列内の最初のパルスのエネルギーは50μJよりも高く400μJよりも低い。ある実施形態においては、
連続パルス列内の最後のパルスのエネルギーは、
連続パルス列内の他の少なくとも1つのパルスのエネルギーより高い。例として、
連続パルス列内の最後のパルスのエネルギーは400μJよりも高く1000μJよりも低い。
連続パルス列内のすべてのパルスの時間的パルス形状がほぼ正方形であってもよい。
【0028】
本発明の特定の実施形態によれば、それぞれが波長、パルスエネルギー、パルス幅、及び時間的パルス形状により特徴付けられる
連続レーザパルス
列を提供する1つのレーザを用いて材料を貫通する孔を形成する方法が提供される。この方法は、
連続パルス列内の連続
するパルス間の時間間隔が0.01秒以下である連続パルス間の時間間隔により特徴付けられる
連続レーザパルス
列を提供し、
連続パルス列内の少なくとも1個のパルスのパルス幅が、
連続パルス列内の他のパルスのパルス幅よりも短くなるようにし、レーザパルスの組をあるレーザスポットに当たるように方向付け、材料を貫通する孔を形成する。
【0029】
この材料は半導体材料又はシリコンを含んでいてもよい。波長は、約1064nmであってもよい。孔は、テーパ形状を有していてもよい。
連続パルス列内の最初のパルスのパルス幅は、
連続パルス列内の他のパルスのパルス幅よりも短くてもよい。
連続パルス列内の最初のパルスのパルス幅は、20nsFWHMよりも大きく、200nsFWHMよりも小さくてもよい。
連続パルス列内の最後のパルスのパルス幅は、
連続パルス列内の他のパルスのパルス幅よりも長くてもよい。
連続パルス列内の最後のパルスのパルス幅は、400nsFWHMよりも大きく、1000nsFWHMよりも小さくてもよい。
連続パルス列内のすべてのパルスの時間的パルス形状がほぼ正方形であってもよい。
【0030】
本発明の他の特定の実施形態によれば、それぞれが波長(例えば1064nm)、パルスエネルギー、パルス幅、及び時間的パルス形状により特徴付けられる
連続レーザパルス
列を提供する1つのレーザを用いて材料(例えば半導体又はシリコン)を貫通する孔を形成する方法が提供される。この方法は、
連続パルス列内の連続パルス間の時間間隔が0.01秒以下である連続パルス間の時間間隔により特徴付けられる
連続レーザパルス
列を提供し、
連続パルス列内の少なくとも1個のパルスの時間的パルス形状が、
連続パルス列内の他のパルスの時間的パルス形状と実質的に異なるようにし、レーザパルスの組をあるレーザスポットに当たるように方向付け、材料を貫通する孔を形成する。
【0031】
一実施形態においては、孔の出口側は明確に画定され、孔の側壁は滑らかである。他の実施形態においては、
連続パルス列内の少なくとも1個のパルスの時間的パルス形状は正方形プロファイルを有している。
連続パルス列内の少なくとも1個のパルスの時間的パルス形状は、パワースパイクとそれに続くパルス平坦部を有していてもよい。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、
連続レーザパルス
列を用いて材料に複数の孔を形成する方法が提供される。この方法は、第1の波長、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、及び第1のパルス形状により特徴付けられる第1組のレーザパルスと、第2の波長、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、及び第2のパルス形状により特徴付けられる第2組のレーザパルスとを含む
連続レーザパルス
列を提供する。第1の
連続レーザパルス
列は、波長、パルスエネルギー、パルス幅、又はパルス形状のうちの少なくとも1つにおいて第2の
連続レーザパルス
列と異なっている。また、この方法は、第1組のレーザパルスの第1のパルスを第1の穿孔位置で材料に当たるように方向付け、第1組のレーザパルスの後続のパルスを後続の穿孔位置で材料に当たるように方向付ける。さらに、この方法は、第2組のレーザパルスの第1のパルスを第1の位置で材料に当たるように方向付け、第2組のレーザパルスの後続のパルスを後続の穿孔位置で材料に当たるように方向付ける。
【0033】
ある実施形態によれば、この方法は、さらに、第3の波長、第3のパルスエネルギー、第3のパルス幅、及び第3のパルス形状により特徴付けられる第3組のレーザパルスを提供し、第3の
連続レーザパルス
列は、波長、パルスエネルギー、パルス幅、又はパルス形状のうちの少なくとも1つにおいて少なくとも第1の
連続レーザパルス
列又は第2の
連続レーザパルス
列と異なっており、第3組のレーザパルスの第1のパルスを第1の穿孔位置で材料に当たるように方向付け、第3組のレーザパルスの後続のパルスを後続の穿孔位置で材料に当たるように方向付ける。
【0034】
第3の
連続レーザパルス
列は、パルス幅、パルス形状、又はパルスエネルギーにおいて少なくとも第1の
連続レーザパルス
列又は第2の
連続レーザパルス
列と異なっていてもよい。第2の
連続レーザパルス
列は、パルス幅、パルス形状、又はパルスエネルギーにおいて第1の
連続レーザパルス
列と異なっていてもよい。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、
連続レーザパルス
列を用いて材料に孔を形成する方法が提供される。この方法は、第1の波長、第1のパルスエネルギー、第1のパルス幅、及び第1のパルス形状により特徴付けられる第1のレーザパルスと、第2の波長、第2のパルスエネルギー、第2のパルス幅、及び第2のパルス形状により特徴付けられる第2のレーザパルスと、第3の波長、第3のパルスエネルギー、第3のパルス幅、及び第3のパルス形状により特徴付けられる第3のレーザパルスとを備える
連続レーザパルス
列を提供し、第1のレーザパルスは、波長、パルスエネルギー、パルス幅、又はパルス形状のうちの少なくとも1つにおいて第2のレーザパルスと異なっており、第3のレーザパルスは、波長、パルスエネルギー、パルス幅、又はパルス形状のうちの少なくとも1つにおいて第1のレーザパルス又は第2のレーザパルスのうちの少なくとも1つと異なっている。また、この方法は、第1のレーザパルスをある穿孔位置で材料に当たるように方向付け、第2のレーザパルスを当該穿孔位置で材料にあたるように方向付け、第3のレーザパルスを当該穿孔位置で材料に当たるように方向付ける。
【0036】
一実施形態においては、この方法は、上記
連続レーザパルス
列の後続の組を提供し、後続の穿孔位置に
連続レーザパルス
列の上記後続の組を方向付ける。第3のレーザパルスは、パルス幅、パルス形状、又はパルスエネルギーにおいて少なくとも第1のレーザパルス又は第2のレーザパルスと異なっていてもよい。第2のレーザパルスは、パルス幅、パルス形状、又はパルスエネルギーにおいて第1のレーザパルスと異なっていてもよい。
【0037】
従来の手法よりも優れた本発明を用いることにより数多くの利点が得られる。例えば、本発明に係る一実施形態においては、同様の性能特性を有するレーザと比較して安価であるコンパクトな構成を利用した、材料に孔を形成するのに好適な高パワーパルスレーザが提供される。さらに、本発明に係る一実施形態においては、材料における穿孔プロセスを最適化するために
連続パルス
列内の1以上の光パルスの1以上の特性を変更できるようにレーザに対する調整を行うことができるような、材料に孔を形成するのに好適なパルスレーザが提供される。パルス特性には、パルスエネルギー、隣接するパルス間の時間間隔、パルス幅、パルスプロファイル及びピークパワーが含まれるが、これらに限定されるものではない。実施形態によっては、例えば形成される孔の品質や処理された物の歩留まりの改善をはじめとした数多くの利点が存在する。これらの利点及び他の利点は、本明細書を通して、そして以下により詳細に説明される。本発明の様々な付加的な目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照することにより、より完全に理解することができる。