特許第6073791号(P6073791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073791
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】画像増強管に取り付けられたハウジング
(51)【国際特許分類】
   G02B 23/12 20060101AFI20170123BHJP
   G02B 23/16 20060101ALI20170123BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G02B23/12
   G02B23/16
   H04N7/18 N
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-530208(P2013-530208)
(86)(22)【出願日】2011年9月19日
(65)【公表番号】特表2013-539870(P2013-539870A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011052105
(87)【国際公開番号】WO2012040087
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】12/887,904
(32)【優先日】2010年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512067159
【氏名又は名称】エクセリス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(72)【発明者】
【氏名】スコット ジョセフ アダムズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム エリック ガリス
(72)【発明者】
【氏名】ケビン シュリルフ
(72)【発明者】
【氏名】トッド ネフ
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−200074(JP,A)
【文献】 特表2009−515220(JP,A)
【文献】 特表2009−540389(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0043322(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0103796(US,A1)
【文献】 特表2003−521849(JP,A)
【文献】 国際公開第01/006761(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0007826(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/12
G02B 23/16
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学システムであって、
取付面を画成する光学台と、
該光学台に取り付けられた対物レンズと、
(i)内部領域及び取付面を画成するハウジングと(ii)面板表面を画成するガラス面板に結合された光電陰極とを有する画像増強管であって、前記光電陰極が前記ハウジングの前記内部領域内に配置され、前記ハウジングの前記取付面が前記面板表面と同一平面にある画像増強管と、を具備し、
前記光学台の前記取付面は、前記光学台の前記取付面が前記面板表面と同一平面にあり、前記ガラス面板の前記面板表面が前記対物レンズの最も近くに位置する前記ガラス面板の表面であるように前記画像増強管のハウジングの前記取付面に取り付けられた光学システム。
【請求項2】
前記画像増強管のハウジングの内部内に充填された充填材を更に具備する請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記画像増強管のハウジングに取り付けられたカバーを更に具備する請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記光学台又は前記画像増強管のハウジングのいずれかに取り付けられた配置ピンと、他方の前記光学台及び前記画像増強管のハウジングに配置された穴と、を更に具備し、前記穴が前記配置ピンを受容するようにサイズ化され、前記配置ピン及び前記穴が前記対物レンズに対して前記画像増強管を配置するために使用される請求項1に記載の光学システム。
【請求項5】
前記画像増強管のハウジングを前記光学台に取り付けるための3つの締結具を更に具備する請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記面板表面及び前記光電陰極が、前記ガラス面板の対向する側部に位置する請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記対物レンズの光軸が、前記面板表面に対して略垂直な請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記対物レンズの光軸及び前記画像増強管が、略一直線上にある請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
光学システムであって、
画像増強管であって、
内部領域及び取付面を画成するハウジングであって該ハウジングの前記取付面が対応する光学台の取付面と接合するように構成されたハウジングと、
面板表面を画成するガラス面板に結合された光電陰極であって、前記ガラス面板が前記ハウジングの前記内部領域内に位置するとともに、前記面板表面がガラス面板の対向する側部にある、光電陰極と、
前記ハウジングに取り付けられたカバーと、を有する画像増強管を具備し、
前記ハウジングの前記取付面が、前記ガラス面板の前記面板表面と同一平面にある光学システム。
【請求項10】
前記画像増強管のハウジングの前記内部領域内に充填された充填材を更に具備する請求項9に記載の前記光学システム。
【請求項11】
前記ハウジングの前記取付面が、前記面板表面と同一平面である請求項9に記載の光学システム。
【請求項12】
前記ガラス面板の前記面板表面が、前記カバーを通して露出される請求項9に記載の光学システム。
【請求項13】
光学システムを組み立てる方法であって、
対物レンズを光学台の取付面に隣接した前記光学台に取り付けるステップと、
面板に結合された光電陰極を有する前記面板を、画像増強管のハウジングの取付面が面板表面と同一平面となるように前記画像増強管のハウジングに取り付けるステップと、
前記画像増強管のハウジングの前記取付面を、前記光学台の前記取付面が前記面板表面と略同一平面であり、前記面板の前記面板表面が前記対物レンズの最も近くに位置する前記面板の表面であり、且つ、前記対物レンズの光軸が前記面板表面に対して略垂直となるように、前記光学台の前記取付面と結合するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システム、画像増強管、及び、画像増強管を光学システムに取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像装置は、光学システムの所定の視線、画像位置調整及び解像度要求に適合させるため、光学システム内に適切に配置されなければならない。光学システムは、例えばカメラ、カムコーダー、暗視ゴーグル又は暗視スコープであってもよい。画像装置は、例えばCCD(電荷結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)のような画像増強管又は画像装置であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光学システムのハウジングにより生じる画像装置とその対物レンズとの間の不整合は、光学システム及びその光学システムの使用者によって観察される画像を歪ませる。画像装置、画像装置を組み立てるための方法、及び、光学システムの視線、画像位置調整及び解像度要求に適合するために画像装置を光学システムのハウジング又は構成要素へと組み立てるための方法の更なる改良及び改善のための継続的な必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る態様によれば、光学システムは、取付面を画成する光学台と、光学台に取り付けられた対物レンズと、画像増強管と、を具備する。画像増強管は、i)内部領域及び取付面を画成するハウジングと、(ii)面板表面を画成するガラス面板に結合された光電陰極と、を有し、光電陰極は、ハウジングの内部領域内に位置し、ハウジングの取付面は、面板表面と同一平面にある。光学台の取付面は、光学台の取付面が面板表面と同一平面にあり、面板の面板表面が対物レンズの最も近くに位置する面板の表面となるように画像増強管のハウジングの取付面に取り付けられている。
【0005】
本発明に係る別の態様によれば、光学システムは、画像増強管であって、(i)内部領域及び取付面を画成するハウジングであって、ハウジングの取付面が、光学システムの取付面と接合するように構成されたハウジングと、(ii)面板表面を画成するガラス面板に結合された光電陰極であって、面板がハウジングの内部領域内に位置する光電陰極と、(iii )ハウジング及び面板に取り付けられたカバーと、を有する画像増強管を具備する。ハウジングの取付面は、面板表面と同一平面にある。
【0006】
本発明に係る別の態様によれば、光学システムの組立方法が開示される。方法は、(i)対物レンズを光学台の取付面に隣接した光学台に取り付けるステップと、(ii)面板に結合された光電陰極を有する面板を画像増強管のハウジングの取付面が面板表面と同一平面となるように画像増強管のハウジングに取り付けるステップと、(iii )画像増強管のハウジングの取付面を、光学台の取付面が面板表面と略同一平面であり、面板の面板表面が対物レンズの最も近くに位置する面板の表面であり、且つ、対物レンズの光軸が面板表面に対して略垂直となるように、光学台の取付面と結合するステップと、を含む。
【0007】
本発明に係るこれらの態様及び他の態様は、図面と共に考慮することにより以下の詳細な説明から明白になる。当然のことながら、以下の説明は、単に本発明に係る好適な実施形態を示したものにすぎない。しかしながら、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によってこの詳細が限定されるにすぎない。
【0008】
本発明は、添付の図面と共に参照することにより、詳細な説明から最もよく理解される。当然のことながら、一般的な方法に従い、図面の様々な形状は、原寸ではない。図面に含まれるのは、以下の図である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明に係る例示的実施形態による暗視単眼鏡の斜視図を示す。
図1B】本発明に係る例示的実施形態による暗視単眼鏡の正面図を示す。
図1C】本発明に係る例示的実施形態による暗視単眼鏡の側面図を示す。
図1D】線1D−1Dに沿った図1Bの単眼鏡の断面図を示し、単眼鏡のいくつかの部品は省略されている。
図1E】線1E−1Eに沿った図1Bの単眼鏡の断面図を示し、単眼鏡のいくつかの部品は省略されている。
図2A図1D及び図1Eの単眼鏡の画像増強管組立体の分解図を示す。
図2B図2Aの画像増強管組立体の上面斜視図を示す。
図2C図2Aの画像増強管組立体の底面斜視図を示す。
図3A】線3A−3Aに沿った図2Bの画像増強管組立体の断面図を示す。
図3B図3Aに示された画像増強管組立体と比較するための別の画像増強管組立体の断面図を示す。
図4A図3Aの画像増強管のハウジングの底面側斜視図を示す。
図4B図3Aの画像増強管のハウジングの上面側斜視図を示す。
図4C図4Aのハウジングの部分上面図を示す。
図4D図4Aのハウジングの側面図を示す。
図5A図1Aから図1Eの単眼鏡の光学台の前面側斜視図である。
図5B図1Aから図1Eの単眼鏡の光学台の背面側斜視図である。
図5C】線5C−5Cに沿った図5Bの光学台の断面図を示す。
図6A図2Aの画像増強管組立体を組み立てるための治具の上面図を示す。
図6B図2Aの画像増強管組立体を組み立てるための治具の側面図を示す。
図6C】線6C−6Cに沿った図6Aの治具の断面図を示し、図2Aの画像増強管組立体は、治具内に位置して示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aから図1Eは、暗視単眼鏡10を示す。単眼鏡10は、対物レンズ組立体16及び光学台14にそれぞれ取り付けられた赤外線(IR)チャンネル23の赤外線焦点面アレイを有する。接眼レンズ21は、対物レンズ組立体16に対向して位置する。図1Dに最もよく示されたように、画像増強管組立体12は、対物レンズ組立体16と同一線上の光学台14に取り付けられる。基準面「A」によって画成された画像増強管組立体12の取付面22は、基準面「B」によって画成された画像光学台14の取付面37に直接取り付けられる。
【0011】
画像増強管組立体12は、ハウジング20内に取り付けられた6つの基本構成要素、すなわち、ガラス面板50、ガラス面板50に結合された光電陰極61、マイクロチャンネルプレート(MCP)60、蛍光スクリーン63、光ファイバーインバーター62、及び、電源57を有する。面板50、光電陰極61、MCP60、蛍光スクリーン63及び光ファイバーインバーター62は、画像増強管13を形成するため、共に組み立てられる。
【0012】
ここで、単眼鏡10の作用について説明すると、単眼鏡10の対物レンズ16は、可視光を集め、その光を画像増強管組立体12にフォーカスする。対物レンズ16の最も近くに位置する画像増強管組立体12の光電陰極61は、像平面であり、こうして、対物レンズ16から光画像を検出し、光画像を対応する電子パターンに変換する。光電陰極61は、感光性化合物で覆われている負電荷を帯びた電極である。光電陰極61が、光をあてられると、吸収されたエネルギーは、光電効果によって電子放出を生じさせる。画像増強管組立体12のMCP60は、電子放出を増幅させる。画像増強管組立体12の光ファイバーの蛍光スクリーン63は、増幅された電子放出を改良された(enhanced)光画像へと変換する。ビームコンバイナ19の最も近くに位置する画像増強管組立体12の光ファイバーインバーター62は、改良された光画像(画像はあらかじめ対物レンズ16によって反転される)を、右側を上にして反転させる。ビームコンバイナ19は、画像増強管13及び赤外線(IR)チャンネル23の赤外線焦点面アレイによって生成された画像を1つの結合された(single fused)画像へと結合する。
【0013】
1つの改良された画像は、単眼鏡10の使用者によって、視認するための接眼レンズ21を通して表示される。それとは別に、改良された画像は、表示器にデジタル的に示されてもよく、例えば使用者の眼の前に位置するコンピュータのモニター又はマイクロディスプレイであってもよい。基本構造及び画像増強管組立体の作用の更なる詳細は、トーマスらの米国特許出願公開第7482571号明細書に開示されており、その全体は、参照によってここに組み込まれる。
【0014】
図2Aから図2C及び図3Aは、画像増強管組立体12の詳細図を示す。画像増強管組立体12は、ハウジング20内に取り付けられた画像増強管13と、ハウジング20の底部端に取り付けられたカバー24と、を有する。図1D及び図1Eに示されたように、全体として取付面22と呼ばれるハウジング20の取付面22Aから22Cは、3つの締結具30(図1Eでは1つの締結具が示される)によって光学台14に取り付けられる。カバー24は、ハウジング20の取付面22に隣接した位置でハウジング20の底部端に取り付けられる。画像増強管組立体12の単眼鏡10への組み立てにおいて、カバー24は、物理的に光学台14に接触しない。
【0015】
ここで図3Aを参照すると、画像増強管組立体12の設計は、単眼鏡10の視線及び解像度を低下させるチルト誤差、アライメント誤差及び変位誤差を低減する。これらの利点を実現するため、ガラス面板50の面板表面51は、画像増強管組立体12の取付面22としての同じ基準面「A」に位置する。参考のため、面板表面51は、(i)光電陰極61に対向して配置され、(ii)カバー24を通して露出され(図2C参照)、(iii )対物レンズ16の最も近くに位置する(図1D参照)、面板50の表面である。
【0016】
画像増強管組立体12の取付面22は、光学台14の取付パッド37に直接取り付けられ、対物レンズ16は、光学台14に直接取り付けられる。画像増強管組立体12の取付面22と対物レンズ16との両方が光学台14に直接取り付けられるように結合された面板表面51と取付面22との共平面性のため、対物レンズ16に対する画像増強管組立体12の位置は、厳密に制御され得る。これは、画像増強管組立体12と対物レンズ16との間の少々の不整合であっても、単眼鏡10の接眼レンズを通して或いはマイクロディスプレイを通して使用者に表示される画像を歪ませかねないため、重要となる。
【0017】
ディスプレイビームコンバイナ19を管スクリーンに直接取り付けることによって、増強管組立体12は、前方に寄せる(front-loaded)ことができる。面板表面51を取付面22と同じ基準面「A」に配置すると、画像増強管組立体12は「前方に寄る」。画像増強管組立体12を前方に寄せることは、先端傾きを顕著に低減し、フィールド湾曲の要求を適合させるために画像増強管を「後方に寄せる(back-load)」ことを不要とする。
【0018】
図3Bは、図3Aの画像増強管組立体12との比較のための別の画像増強管組立体150の断面図を示す。図3Bの画像増強管組立体150は、図3Aの画像増強管組立体12と類似しており、すなわち、両方の組立体は、ハウジングで覆われた画像増強管と、ハウジングの底部端に取り付けられたカバーと、を有する。しかしながら、図3Bの画像増強管組立体150において、画像増強管組立体150の面板表面151は、カバー156の取付面153と同一平面ではない。図示されていないが、カバー156の取付面153は、光学システムの光学台に取り付けられており、対物レンズもその光学台に取り付けられている。
【0019】
取付面153光学台から離間した面板表面151は、カバー156の寸法許容差及びカバー156と面板表面151との間に充填された充填材の存在によって変化する。従って、面板表面151及びそれによる画像増強管152の位置は、充填材158の存在及びカバー156の寸法変化のため移動し得る。こうした変化は、画像増強管組立体150と光学システム(図示せず)の対物レンズとの間に不整合を生じさせ、光学システムの使用者に表示された画像を歪ませる。
【0020】
図4Aから図4Dは、画像増強管組立体12のハウジング20の詳細図を示す。ハウジング20は、3つの取付面22A、22B及び22Cを有する(全体として取付面22と呼ばれる)。それぞれの取付面22は、ハウジング20の長手方向軸線から径方向外方へと延在する。図4Cに最もよく示されるように、表面22Aは、締結具30を受容するための貫通孔25(図1Eでは1つの締結具のみが示される)と、配置ピン35を受容するためだけにサイズ化された円状の貫通孔27A(図5Bに示される)と、を画成する。
【0021】
表面22Bは、締結具30(図1Eでは1つの締結具のみ示される)を受容するための貫通孔25を画成し、且つ、配置ピン35(図5Bに示す)を受容するためだけにサイズ化され、貫通孔27Aに対して平行に配置された(oriented)オーバル状(ovular)の通しスロット27Bを画成する。通しスロット27Bは、過度の応力を生じさせることなく積み上げ許容差の低減及び熱膨張率の差を可能とする。
【0022】
表面22Cは、締結具30を受容するための貫通孔25を画成するが、配置ピンを受容するためにサイズ化された孔又はスロットを有さない。
【0023】
図5Aから図5Cは、単眼鏡10の光学台14の詳細図を示す。光学台14は、取り付け可能に対物レンズ組立体16を受容するための対物レンズ孔31と、赤外線(IR)チャンネルのために取り付け可能に別のレンズ組立体を受容するためのレンズ孔39と、を有する。光学台14は、画像増強管組立体12が取り付けられる3つの取付パッド37Aから37C(全体としてパッド37と呼ばれる)と、と、IRカメラが取り付けられる4つの取付パッド43Aから43Dと、を有する。全ての7つの取付パッド(すなわちパッド37Aから37C及びパッド43Aから43D)は同一平面にあり、基準面「B」を画成する。
【0024】
それぞれの画像増強管取付パッド37は、締結具30を受容するためのねじ穴33を有する(図1Eでは、1つの締結具のみが示される)。2つの配置ピン35は、取付パッド37A及び37B上に画成された穴に固定して配置される。単眼鏡10の組み立てられた形式において、取付パッド37Aの配置ピン35は、ハウジング20の貫通孔27Aを通して配置され、取付パッド37Bの配置ピン35は、ハウジング20の通しスロット27Bを通して配置され、画像増強管組立体12を光学台14に正確に配置する。配置ピン35は、光学台の製造プロセスにおける対物レンズ孔31の配置のための第2の基準及び第3の基準としても機能する。
【0025】
図6Aから図6Cは、画像増強管組立体12を組み立てるための治具40を示す。治具40は、画像増強管のハウジング20に対するX軸、Y軸及びZ軸に沿って画像増強管13を位置決めする(orient)ために構成される。図6Cに最もよく示されるように、治具40は、基準面「C」を画成する上面41を有する底板42を有する。表面41は、基準面「C」を画成する2つの同一表面から構成され、すなわち、外部表面41Aは、画像増強管のハウジング20の取付面22Aから22Cを支持する一方で、内部表面41Bは、画像増強管面板50を支持する。
【0026】
2つのピン44(一方が示される)は、底板42の外部表面41Aに画成された穴に固定して配置される。ピン44は、底板42の上面41の上方に延在する。配置ピン44は、画像増強管のハウジング20の貫通孔27A及び通しスロット27B内に配置されるようにサイズ化される。配置ピン44は、X軸及びY軸に沿って画像増強管13の位置を制御する。
【0027】
環状凹部46は、充填プロセス中にカバー24を収容し且つ支持するために底板42の上面41から延在する。環状凹部46は、画像増強管のハウジング20の取付面22がカバー24の受容の間、画像増強管13の面板表面51と同一平面(すなわち基準面「C」)に位置するのを可能とするので重要である。図3Bを参照して前述したように、カバーと面板との間に充填材の充填を可能とする従来の設計は、配列に、好適ではない傾き及び変位を生じさせる。
【0028】
環状凹部46は、カバー24が物理的に底板42の上面41と接触しないように、カバー24を受容すべくサイズ化される。言い換えれば、凹部46は、画像増強管カバー24が、基準面「C」の下方の高さに位置することを可能とする。環状の発泡体パッド49は、画像増強管組立体12の組立プロセス中のカバー24の損傷を防ぐために凹部46内に配置される。発泡体パッド49は、カバー24及び面板50間における充填材の充填も制限する。
【0029】
第2の凹部48は、ガラス面50と底板42の上面41との間の表面領域接触を低減するため、底板42の上面41から延在し、それによって、画像増強管13の機能領域(active area)におけるひっかき傷を防ぐ。内部表面41Bを形成する環状リングは、画像増強管13の機能領域の外側にある。
【0030】
ここで画像増強管組立体12の組立の例示的方法について参照すると、面板50、光電陰極61、MCP60及び光ファイバーインバーター62は、画像増強管組立体12の画像増強管13を形成するため、ろう付け(brazing)作用によって共に結合される。次いで、ろう付けされた画像増強管13は、電源57を含む画像増強管のハウジング20の内側に配置される。画像増強管カバー24は、画像増強管のハウジング20に取り付けられ、それによって、画像増強管13を覆う。
【0031】
次いで、部分的に組み立てられた画像増強管組立体12は、画像増強管のハウジング20の貫通孔47A及び通しスロット27Bを通して配置ピン44(図6C参照)によって治具40の底板42へと付勢される。画像増強管のハウジング20の取付面22及び面板50の面板表面51は、共に底板42の表面41A及び41Bにそれぞれ配置される。言い換えれば、画像増強管のハウジング20の取付面22及び面板50の面板表面51は、共に底板42の基準面「C」に配置される。
【0032】
治具40のピストン55は、画像増強管組立体12へと下方に駆動される。治具40のピストン55の環状区分56は、ハウジング20の壁と光ファイバーインバーター62の円筒状外部表面とを分離する環状空間へと移動させられる。ピストン55が下方に駆動される一方で、治具40のピストン55の環状区分56は、ハウジング20の配置ピン44及び貫通孔/通しスロット27に対するX軸及びY軸(軸については図6Cを参照)に沿って画像増強管13を配置させる。ピストン55及び配置ピン44の環状区分56の相対位置は、精度よく制御される。厳格な配置が要求される場合は、アクティヴ配置システム(図示せず)が、光学的な閉じたフィードバックループを用いることによって、貫通孔/通しスロット27に対して画像増強管13を移動させるために用いられてもよい。
【0033】
更にピストン55は、画像増強管のハウジング20及び画像増強管13を、画像増強管のハウジング20の取付面22と画像増強管組立体12の面板表面51との両方が等しい平面(すなわち同一平面)となるように、上面41(すなわち基準面「C」)に対してZ方向下方に押し出し、等しい基準面「C」上に配置する。
【0034】
次いで、充填材は、電源57、画像増強管のハウジング20、カバー24及び画像増強管13間に画成された円筒状凹部53内へと充填される。充填材は硬化し、それによって画像増強管組立体12の組立プロセスが完了する。図示されないが、更に少量の充填材がカバー24の内部上面と面板表面51との間に充填されるが、この充填は、ハウジング20の取付面22に対する画像増強管13の位置に影響しない。
【0035】
図1D及び図1Eに戻ると、画像増強管組立体12が上述されたように充填されると、単眼鏡10の光学台14に取り付けられることが可能となる。光学台14のピン35は、画像増強管組立体12の長手方向軸線が対物レンズ16の光軸7と略一直線上に配置される(図1D参照)ようにハウジング20の貫通孔27A及び通しスロット27Bを通し、(逆も同様)滑動して設置される。次いで、光学台14及び画像増強管のハウジング20は、面板表面51(図1D及び図1Eの基準面「A」に相当)が、光学台14の取付パッド37と同じ面(図1D及び図1Eの基準面「B」に相当)となり、且つ、面板表面51が、対物レンズ16の光軸7に対して略垂直となるように、画像増強管組立体12の取付面22が光学台14の取付パッド37に当接するまで互いに移動させられる。
【0036】
配置ピン35、貫通孔27A及び通しスロット27Bは、単眼鏡10の所定の解像度及び画像配置要求を満たすべく、X軸及びY軸に沿った光学台14に対する画像増強管組立体12の正確な配置を確実とするため、それぞれサイズ化される。締結具30は、ハウジング20の貫通孔25を通して挿入され、画像増強管のハウジング20(且つ、こうして画像増強管組立体)を光学台14へと設置するため、その相補的なねじ穴33へとねじ込まれる。次いで、サーマルカメラブラケット17が、画像増強管組立体12と類似の方法で光学台14の取付パッド43に取り付けられる。
【0037】
総じて、対物レンズ組立体16に対する画像増強管13の配置は、対物レンズ16が係合された対物レンズ孔31が配置ピン35に対して配置されるため、X軸及びY軸に沿って厳密に制御されることができ、配置ピン35は、ハウジング20の貫通孔27A及び通しスロット27Bに配置され、且つ、画像増強管13は、(図6Cで示したように)ハウジング20の貫通孔27A及び通しスロット27Bに対して配置される。
【0038】
本発明は、ここで、詳細な実施形態を参照しつつ示され且つ説明されたが、本発明は、示された詳細に限定されるものではない。むしろ、様々な変形例が、請求項の均等物の範囲及び領域内で、本発明の精神から逸脱することなく詳細に作られてもよい。例えば、本発明に係る詳細は、単眼鏡に限定されず、例えばカメラ、カムコーダー、暗視ゴーグル及び暗視スコープといった任意の光学システムに適用してもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C