特許第6073852号(P6073852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073852
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】デジタルセンサー用適応色フィルター
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/07 20060101AFI20170123BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20170123BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H04N9/07 A
   H04N5/222 B
   H04N5/225 C
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-256846(P2014-256846)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-122747(P2015-122747A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】13199039.2
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511103672
【氏名又は名称】スイスタイミング・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・リシャール
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・ブロンドー
【審査官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−048408(JP,A)
【文献】 特開2008−022521(JP,A)
【文献】 特開2005−018723(JP,A)
【文献】 特開2008−268456(JP,A)
【文献】 特表2007−535213(JP,A)
【文献】 特開2013−236658(JP,A)
【文献】 特開2014−017615(JP,A)
【文献】 特表2013−524664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/04 − 9/11
H04N 5/222− 5/257
G02B 5/20 − 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルセンサー(6)用の色フィルター(60)であって、
前記色フィルター(60)は、2次元ピクセルアレーで形成されており、
各ピクセルは、所与の色に対応し、
前記ピクセルは、所与の表面にわたって繰り返される少なくとも1つの基礎パターンを形成するように構成し、
前記基礎パターンは、3つの異なる色の少なくとも3つのピクセルを有し、
前記色フィルター(60)は、複数の別個の基礎パターンを有し、それら基礎パターンのそれぞれは、感度(S)、前記基礎パターンの行数に反比例する色品質(Q)、及び前記基礎パターンの列の数と等しい分解能(N)の所定の光学的性質を有し、
前記色フィルター(60)は、複数の別個の領域(600)に細分化されており、その各領域は、ピクセルの二次元サブアレーに対応し、
前記基礎パターンのそれぞれは、対応する領域(600)の全体にわたって前記二次元サブアレーの各寸法に沿って複数回繰り返され、
さらに、前記色フィルター(60)は、天候条件又は競技種類の競争パラメーターに応じて選択された所望の光学的性質を有する基礎パターンを有す
ことを特徴とする色フィルター(60)。
【請求項2】
前記領域(600)のそれぞれは、前記フィルター(60)のピクセルの行(62)すべてにわたって延在する
ことを特徴とする請求項1に記載の色フィルター(60)。
【請求項3】
前記領域(600)の複数の別個の領域は、それぞれ異なる幅を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の色フィルター(60)。
【請求項4】
前記基礎パターンはすべて、1つの青ピクセル(B)、1つの緑ピクセル(G)及び1つの赤ピクセル(R)を少なくとも有し、
少なくとも一部の基礎パターンが、さらに、少なくとも1つの白ピクセル(W)を有する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の色フィルター(60)。
【請求項5】
前記フィルター(60)は、互いに異なる数の白ピクセル(W)を有する複数の基礎パターンを有する
ことを特徴とする請求項4に記載の色フィルター(60)。
【請求項6】
前記基礎パターンのピクセル数は3〜6である
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の色フィルター(60)。
【請求項7】
前記基礎パターンはそれぞれ、最大4つのピクセル行及び最大4つのピクセル列にわたって延在する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の色フィルター(60)。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の色フィルター(60)と、デジタルアレーセンサー(6)とを有する写真判定用カメラ(3)であって、
当該写真判定用カメラ(3)は、3つの回転自由度(R1、R2、R3)及び競争の方向の1つの移動方向自由度(T)を有するようなボールソケット型継手(8)を中心に回転するように取り付けられる
ことを特徴とする写真判定用カメラ(3)。
【請求項9】
競争パラメーターに応じて予め定められる感度(S)、色品質(Q)及び分解能(N)の光学的性質を有する基礎パターンを選択する第1のステップ(E1)と、
時間が計られる競争のゴール線(2)が、選択された基礎パターンに対応する領域に対向するように位置するように、前記写真判定用カメラ(3)を動かす第2のステップ(E2)と、
ソフトウェアによって隣接する列群を調整する第3のステップ(E3)とを有し、
前記列群における列の数が、前記ゴール線(2)上の前記選択された基礎パターンの幅に対応する
ことを特徴とする請求項8に記載の写真判定用カメラ(3)を調整する方法。
【請求項10】
前記隣接した列群の選択は、前記選択された基礎パターンの幅を決めるピクセル数のみに依存する
ことを特徴とする請求項9に記載の写真判定用カメラ(3)を調整する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真判定カメラに特に適しているデジタルアレーセンサー用適応色フィルター、及びこのようなカメラに関連づけられた特定の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
感光性センサーは、ピクセルがモザイク状に集まって形成され、これは、デジタル写真の分野で長く知られている。デジタルカメラ用に最も広く使用されているセンサーは、例えば、CCD(電荷結合素子)又はCMOS(相補型金属酸化膜半導体)技術を使用している。色画像を作るために、これらのデジタルセンサーに色フィルターが適用される。このような色フィルターは、複数の異なる色のアレーの形態を有する。その各色は、重ね合わされるセンサーのピクセル用に専用となっている。得られる画像の各ピクセルに関連づけられる必要がある色が、画像処理アルゴリズムを通して得られる。
【0003】
最も広く知られた色フィルターの1つとしてBayerフィルターがあり、これは、最も伝統的な形態のRGBフィルターである(Rは赤、Gは緑、及びBは青を表し、これらの3つの色は、これらどうしの加算的な合成の組み合わせによっていずれの他の色をも得ることができるような基礎色である)。このようなフィルターは、4ピクセルをカバーする基礎パターンを用い、これは、センサーの表面全体にわたって繰り返され、2つの緑ピクセルが対角に配置され、他に、青ピクセルと赤ピクセルがある。
【0004】
この種の色フィルターの課題は、関連づけられたデジタルセンサーの感度が相当に減少してしまうということである。これは、センサーに到達する光が相当に減少することによって発生する。実際に、波長の良い部分が、複数のフィルターによって吸収されてしまう。これらの理由のために、Bayerフィルターの複数の変種が提案されており、これは、具体的には、センサーの感度を改善するために、2つの緑ピクセルの1つを1つの白ピクセルで置き換えるものである。この場合においても、変更された基礎パターンが、フィルター全体にわたって繰り返される。
【0005】
スポーツ競技の分野において、画像認識に基づく補助的タイミング装置が知られている。これは、「写真判定」装置とも一般に呼ばれている。このようなシステムによって、正確にゴール線に中心に合わされた、高解像度カメラによって撮影された連続画像を見ることによって、ゴール線をまたがる競技者どうしをオペレーターが区別することが可能になる。所与の連続的な時間において撮影され、したがって、異なる測定時間に対応する、画像シーケンスを分析することによって、事象の後でゴールの後非常に早い時間に、各競技者がゴール線をまたがった正確な時間、例えば、1000分の1秒までの時間、を判断し、それによって、信頼できる手法で競技者達の順位を決めることができる。
【0006】
これらの写真判定装置によって用いられるカメラは、しばしば、線走査式CCDセンサー(一般的に略語LS−CCDによって知られている)を有し、その画像捕捉レートは標準的CCDカメラよりも高く、それによって、1万分の1秒までの時間的分解能が可能になる。このようなカメラに用いられる第1のセンサーは、非常に特有な棒状のアレー構造を有している。これは、すなわち、ゴール線で非常に正確に整列した単一のピクセル列の形態である。最近になって、標準的な2次元アレーセンサーが用いられることが多くなってきており、ゴール線上で整列する列の選択がソフトウェアによって行われている。
【0007】
このようなLS−CCDセンサーを装備した写真判定用カメラにおいて、もちろん、上記のようなRGBフィルターを、色画像を得るために使用することができる。しかし、このようなフィルターは、すべての競争状況において十分な品質を提供するようには適していない。実際、例えば、競技の時間や天候状況に依存して、周囲の明度が著しく変わり、これによって、得られる画像品質を大きく害してしまう。これと同じことが、競争の種類についての考察にも当てはまる。競争の種類によっては、事象に応じて競争者のスピードに影響を与えてしまい、したがって、露出時間のような撮影パラメーターにも影響を与えてしまう。
【0008】
このように、上記の既知の制限がないようなデジタルセンサー用の色フィルターの必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、光学的性質を改善したデジタルセンサー用の色フィルターを提供することを目的にする。
【0010】
本発明は、このようなセンサーを使用する写真判定用カメラを調整する効率的な方法を提供することを別の目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的などが、以下の色フィルターによって達成される。すなわち、デジタルセンサー(6)用の色フィルター(60)であって、色フィルター(60)は、2次元ピクセルアレーで形成されている。各ピクセルは、所与の色に対応し、ピクセルは、所与の表面にわたって繰り返される少なくとも1つの基礎パターンを形成するように構成する。基礎パターンは、3つの異なる色の少なくとも3つのピクセルを有し、色フィルター(60)は、複数の別個の基礎パターンを有し、それら基礎パターンのそれぞれは、感度(S)、色品質(Q)、及び分解能(N)の所定の光学的性質を有し、フィルターは、複数の別個の領域(600)に細分化されており、その各領域は、ピクセルの二次元サブアレーに対応する。基礎パターンのそれぞれは、対応する領域(600)の全体にわたって二次元サブアレーの各寸法に沿って複数回繰り返される。
【0012】
上記目的などが、以下の写真判定用カメラを調整する方法によって達成される。すなわち、競争パラメーターに応じて予め定められる感度、色品質及び分解能の光学的性質を有する基礎パターンを選択する第1のステップと、時間が計られる競争のゴール線が、選択された基礎パターンに対応する領域に対向するように位置するように、写真判定用カメラを動かす第2のステップと、及びソフトウェアによって隣接する列群を調整する第3のステップとを有し、列群における列の数が、ゴール線上の選択された基礎パターンの幅に対応することを特徴とする写真判定用カメラを調整する方法である。
【0013】
本発明の特定の実施形態は従属請求項において定められている。
【0014】
本発明の利点の1つは、使用条件にかかわらず、このようなフィルターを使用して得られたカラー写真の光学的性質を永久に最適化することができるということである。
【0015】
提案する解決法の別の利点は、撮影のために選択された光学パラメーターの実装が容易な調整が可能になるということである。
【0016】
以下の説明及び図面において、本発明の好ましい実装例が与えられている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、ゴール線上で整列した本発明の範囲内で使用される写真判定用カメラの平面図を示す。
図2図2は、本発明の好ましい一実施形態に係るフィルターの図を示す。
図3図3は、本発明の好ましい一実施形態に係るフィルター及び複数の領域において繰り返されるフィルターの様々な基礎パターンを示す。
図4図4は、本発明の範囲内で使用される写真判定用カメラの調整のための方法の様々なステップの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明に従って使用される写真判定用カメラのブロック図を示す。好ましくはLS−CDDである写真判定用カメラ3は、トラック1のゴール線2上に軸合わせされており、このトラック1には、好ましくは、複数の競技者5が移動するいくつかのレーン10を有している。なお、この競技用トラック1の例は、単なる説明用であって、これによって限定されるものではなく、写真判定用カメラ3は、自転車レース、自動車レース、競馬などにおいても用いることができる。
【0019】
写真判定用カメラ3は、好ましくは、以下の4つの自由度を有する。すなわち、回転のために3つの自由度、そして、平行移動のために1つの自由度である。図1では、横方向の自由度T及び垂直軸を中心にする第1の回転自由度R1のみが示されている。しかし、カメラは、好ましくは、ボールソケット継手8を中心に回転可能に取り付けられており、これは、付加的な第2及び第3の回転自由度R2、R3を同時に有する。これによって、カメラ3の光学軸4をゴール線2上に軸合わせするように管理することができる。写真判定用カメラ3は、ピクセルアレーで形成するデジタルセンサー6を有し、さらに、センサー6によって検出される画像に対応するデジタル出力信号9を提供する画像処理デバイス7を有する。色画像を形成するために、写真判定用カメラ3は、さらに、固有色フィルター60を有する。固有色フィルター60の光学的性質を、以下において議論する様々な予め定められたパラメーターに応じて調整することができる。好ましい一実施形態によると、この色フィルター60は、デジタルセンサー6のピクセルに直接添付されて、これによって、用語「ピクセル」が、フィルターに対しても広い意味で用いられ、この場合、デジタルセンサー6の各ピクセルをカバーする複数の色を意味する。
【0020】
図2において、本発明の好ましい実施形態に係る色フィルター60を概略的に示した。これは、ピクセルの列61及び行62をすべてカバーする複数の領域600を示しており、そして、これは、色フィルター60の幅及び全高に対応する。図3についての下の説明でわかるように、これらの複数の領域600それぞれは、別個の固有な光学的性質を有する基礎パターンを有し、これによって、領域600に応じた撮影パラメーターを適応させることが可能になり、したがって、選ばれた対応する基礎パターンに適合されることが可能になる。図示した好ましい一実施形態によると、各領域は、ピクセルの行62のすべてにわたって延在する。すなわち、センサーの全高にわたって延在し、典型的には、2048ピクセルである。この種の色フィルター60の構成は、最大高さの列を除いて、ゴール線上に軸合わせされた高々2、3のピクセル列を使用する写真用判定カメラに対して特に好ましい。なぜなら、この高さが、撮影された画像の高さを定めるからである。しかし、本発明の範囲内で、二次元アレーで作られた領域600に細分化することを想起することができ、この二次元アレーの高さはソフトウェアの支援を受けて選ぶことができ、したがって、フィルターの全高、すなわち、ピクセルの行62のすべてにわたっては延在しないことができる。この好ましい一実施形態によると、色フィルター60は、さらに、1024〜2048のピクセル列を有することが好ましい。
【0021】
図3は、ここでは7つの対応する固有な基礎パターンが関連づけられている複数の異なる領域を有するような、本発明の好ましい一実施形態に係るフィルターを示す。このようにして、第1のパターンM1は、2つの緑ピクセルGとこれを補助する赤ピクセルR及び青ピクセルBを有するような従来の第1のパターンRGBに対応し、これが、第1の領域601全体で繰り返され、第2のパターンM2は、第2の領域602全体で繰り返され、第7の領域607における第7のパターンまでこれが続く。
【0022】
図3において観察することができるように、領域601〜607のそれぞれは、ピクセルの行62のすべてにわたって延在する。すなわち、フィルター全体の高さにわたって延在する。これらの領域それぞれの幅は、好ましくは、100〜200ピクセルであり、列61の合計数に対応する色フィルター60の全幅は、好ましくは、1024〜2048ピクセルである。これらの領域幅には、第1の領域601の幅611、第2の領域602の幅612、第3の領域603の幅613、第4の領域604の幅614、第5の領域605の幅615、第6の領域606の幅616、第7の領域607の幅617のように符号を付している。図2及び3に示す好ましい実施形態によると、領域600のそれぞれは、同じ幅を有し、これによって、幅611〜617は同一である。しかし、別の好ましい実施形態によれば、経験的に又は統計的に判断される、可能性が高い使用形態に応じてフィルターの複数の領域それぞれの幅を調整することを想起することができる。したがって、通常の使用条件においては、繰り返される基礎パターンが最適な光学的性質を有するような領域に対して、より大きな幅を与えることができる。毎秒約1000行の速さを決めるような競技大会のために、このような色フィルター60を用いる写真判定用カメラ3に対して、例えば、平均的な昼間及び夜間の光に関連づけられたパターンを定めたり、これらのパターンが繰り返される領域の幅を大きくしたりすることができ、これによって、これらの領域の1つ上にゴール線2が軸合わせされると、カメラの物理的な運動を最小化することができる。
【0023】
図3のフィルター60によって用いられるパターンそれぞれに対して詳細な解析を行うと、基礎パターンのそれぞれが、少なくとも1つの赤R、緑G及び青Bのピクセルを系統的に含む特徴があり、以下の特徴も有する。
【0024】
− 第1の基礎パターンM1が4ピクセルで形成され、その中の2つが緑であって、2×2ピクセルのアレーで配置される(第1の高さL1が2ピクセルで、第1の幅N1も2ピクセル)。
【0025】
− 第2の基礎パターンM2が4ピクセルで形成され、その中の2つが同様に緑であるが、1×4ピクセルのアレーで構成する(第2の高さL2が4ピクセルであるが、第2の幅N2が1ピクセルである)。
【0026】
− 第3の基礎パターンM3が3ピクセルのみで形成され、1×3ピクセルのアレーで構成する(第3の高さL3が3ピクセルで、第3の幅N3が1ピクセル)。
【0027】
− 第4の基礎パターンM4が4ピクセルで形成され、第1のパターンM1のように2×2ピクセルのアレーで構成するが、これによって、緑の1ピクセルが、1つの白ピクセルWに置き換えられている(第4の高さL4が2ピクセルで、第4の幅N4も2ピクセル)。
【0028】
− 第5の基礎パターンM5が4ピクセルで形成されるが、第2のパターンM2も同様に、1×4ピクセルのアレーで構成し、これにおいて、1つの緑ピクセルが、1つの白ピクセルWに置き換えられている(第5の高さL5が4ピクセルで、第5の幅N5が1ピクセル)。
【0029】
− 第6の基礎パターンM6も、6ピクセルで形成され、2×3ピクセルのアレーを構成する(第6の高さL6が3ピクセルで、第6の幅N6が2ピクセル)。これは、実際、1つの白ピクセルWの列が加えられている第3の基礎パターンM3である。
【0030】
− 最後に、第7の基礎パターンM7が、4ピクセルで形成され、これは、4×1ピクセルのアレーにおいて1行を構成する(第7の高さL7が1ピクセルであるが、第7の幅N7が4ピクセルである)。
【0031】
各基礎パターンによって得られる光学的性質は、他のものに加えて、以下の3つのパラメーターによって決まる。
【0032】
− 感度S
これは、本発明の範囲内で、ピクセル当たりの平均光量に対応するようにモデル化されており、これにおいて、青ピクセルB当たり20%の量が利用可能になり、赤ピクセルR当たりでは30%であり、緑ピクセルG当たりでは50%であり、白ピクセルW当たりでは100%である。したがって、このパラメーターは、一方では、白ピクセルWの数によって、また、他方では、各パターンM1〜M7の対応するピクセル数P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7によって強く影響を受ける。これらによって、フィルターの全ピクセルの全体の感度が分割される。したがって、感度の極致は、第3の基礎パターン3の値(最も良くない)とパターン6の値(最も良い)である。
【0033】
− 色品質Q
これは、本発明の範囲内で、画像処理アルゴリズムによる各ピクセルの色の計算値を得るのに必要なパターンにおける行の数に反比例するようにモデル化される。使用される様々な基礎パターンに対して、第7の基礎パターンM7の支援を受けて最良の色品質Qが得られ、最もよくないものが第2及び第4パターンM2、M4の支援を受けて得られることがわかる。
【0034】
− 分解能N
これは、各基礎パターンの列数N1〜N7と等しいようにモデル化される。したがって、ゴール線2における分解能は、各基礎パターンM1〜M7の対応する列数N1〜N7が減少するに応じて改善する。このように、第2、第3及び第5の基礎パターンM2、M3、M5によって最良の分解能が与えられる。
【0035】
各パターンの全体の光学性能を評価するためには、上記のパラメーターS、Q及びNのそれぞれに対して得られるスコアを乗算することが好ましい。しかし、パターンの選択においては、いずれの重み付け、特に、感度パラメーターSに対する重み付けをも考慮することができる。
【0036】
なお、図示した7つのパターンのうち、少なくとも2つの基礎パターンが、異なる数の白ピクセルWを有することに留意するべきである。これは、例えば、第4のパターンM4及び第6のパターンM6である。これによって、白ピクセルWをいずれも含まず、したがって、低いレベルの光には適していないような基礎パターンを数えることによって、少なくとも3つの別個のレベル(高−中−低)に感度を調整することができる。また、基礎パターンM1〜M7のピクセル数P1〜P7が、図3に示す好ましい実施形態によると、3〜6の非常に小さい数であるということは、4ピクセルを備えた標準BayerRGBフィルターの複雑さに匹敵するような複雑な画像処理プロセスを促進する。最後に、基礎パターンM1〜M7のそれぞれが、最大4つの列又は4つの行にわたって延在するということによって、得られる画像の色品質Qと分解能Nの間で良好な折り合いのものを選ぶことが可能になる。これは、基礎パターンを選択できる数を大きな数に、好ましくは、6より大きい数に維持しながらである。これによって、レースの種類や天候状況の可能性がある最も大きな数を、少なくとも3つの基礎シナリオに適応させることを可能にし、あるいは光に関して各競技種類に適応させることを可能にする。ここにおける光は、典型的には、晴天の場合は好ましく、曇りの場合は中間で、夜間の場合は好ましくない状況を与える。
【0037】
図3に示した本発明の好ましい実施形態によって選択された様々な基礎パターンM1〜M7の特に好ましい特徴の1つは、これらの基礎パターンが同一の感度S、色品質Q及び分解能Nの光学的性質に対して、隣接した列群のランダムな選択を可能にすることであり、したがって、領域の特定の列群にわたってのソフトウェア調整を必要としない。実際に、パターンM1〜M7のいずれにおいても、いくつかのピクセルそれぞれの幅N1〜N7のみが、選択された列群の感度Sの性質を決定するものであって、その時点において以下のような他のパラメーターは既に決められていることを確認することができる。
【0038】
− 第1のパターンM1に対応する第1の列群C1、第4の基礎パターンM4に対応する第4の列群C4、及び第6の基礎パターンM6に対応する第6の列群C6はそれぞれ、隣接した2つの列を形成するように構成し、この2つの列は、第1の領域601、第4の領域604及び第6の領域606にわたってまったくランダムな手法でそれぞれ選ぶことができる。図3では、3つの異なる可能性のみが4列の幅で示されている。
【0039】
− 第2の基礎パターンM2に対応する第2の列群C2、第3の基礎パターンM3に対応する第3の列群C3、及び第5の基礎パターンM5に対応する第5の列群C5は、1列のみを形成するように構成し、この1列は、それぞれの領域におけるどこからも、すなわち、第2の領域602、第3の領域603、第5の領域605(4列の幅に対して4つの等価な可能性が示されている)からも選ぶことができる。
【0040】
− 第7の基礎パターンM7に対応する第7の列群C7は、4列を形成するように構成し、これは、第7の領域607におけるどこからでも選ぶことができる。
【0041】
この性質は、写真判定用カメラ3に装備される色フィルター60の使用に対して、特に有利であり、これにおいては、使用されるパターンの決定の後の細密調整ステップ、及びしたがって対応する領域の決定を省くことができる。
【0042】
図4は、本発明の好ましい一実施形態に係る写真判定用カメラ3を調整するステップのシーケンスを示す。
【0043】
天候条件や競技種類(秒当たりのピクセル行数の運動の速さは、陸上競技での毎秒1000行から自動車レースでの毎秒10,000行超、自転車競技や競馬の速さでは毎秒約3,000行の値まで変わりうる)のような競技パラメーターに応じて予め定められた感度S、色品質Q及び分解能Nの光学的性質を有する基礎パターンを選ぶ第1のステップE1が行われ、この後に、第2のステップE2において、時間が計られた競技のゴール線2が、選択された基礎パターンに対応する領域に面するように位置するように、写真判定用カメラ3が物理的に移動される。関連する自由度、すなわち、移動Tにおける自由度及び回転R1、R2、R3における3つの自由度、を考えると、この問題の解決策は複数あるので、逆運動アルゴリズムをこのために使用することができる。例えば、ロボット工学において、可能な限り長く永久にセットされることを要求されるような特定の自由度に重み付けをして最小の操作を求めるために使用されるようなものである。
【0044】
最後に、欧州特許EP0898249に記載の手法のように、例えば、レチクルで補助して、選択された領域の基礎パターンに依存して、隣接した列群をソフトウェアによって調整する第3のステップE3を行うことができる。しかし、これは、パターンM1〜M7の中から選択される基礎パターンの幅Nに対応するいくつかの列を選び、対応する領域の列の中からはいずれの特定の列をも選択しないことを単に意味する。理論上、隣接した列群をゴール線2上に整列させるためには、列の数が奇数であれば、列群の中央の列がゴール線2上に整列するべきで、偶数であれば、ゴール線2上が2列の間になるように整列するべきである。しかし、この後の整列ステップは、上記のようにグラティキュールが使用される場合、及びレチクルによって横断される列がデフォルトで選択される場合に、実際上非常に単純である。レチクルによって横断されるこの列は、単純に、選択されたパターンの幅に対応する所望数が得られるまで、隣接する列によってランダムに補われなければならない。
【0045】
しかし、基礎パターンM1〜M4は、特に好ましい実施形態を説明するために単に例として与えたということを理解できるであろう。しかし、例えば、挿入された白ピクセルWの列を備えたRGB 2×2パターンのような、他の基礎パターンも、極めて好ましくない照明状態に対応するために想起することができる。その基礎パターンは、従来のRGBパターンのように、2列ではなく4列の2つの行で形成される(2つの白ピクセルWの1つ、赤−緑のR−Gピクセルの1つ、2つの白ピクセルWの他方、2つの緑−青のG−Bピクセルの1つの順である)。しかし、このようなパターンは、使用しなければならない大きな数のピクセル列によって、分解能問題を有する。同様に、寸法が2倍になったRGBフィルターの更なる別のパターンの16ピクセル(4×4)を形成することができる。すなわち、赤ピクセルRと青ピクセルBの2×2アレー、及び4×4アレーの反対の2つの隅にある緑ピクセルの2×2アレーのアレーである。このようなパターンは「ビニング(binning)」の点から長所を有する。すなわち、増幅とデジタル化に先立ち、同じ色の隣接ピクセルどうしのグループ化によるノイズ低減効果の点である。しかし、同時に、分解能が減ることをもたらし、上記の第3のステップE3におけるように、いくらかの隣接した列のランダムな選択を可能としない。
【0046】
また、各ピクセルの色を合成するために別の色の3組を想起することができる。赤、緑及び青の代わりに、例えば、シアン、マゼンタ及び黄色のようにである。
【符号の説明】
【0047】
1 トラック
2 ゴール線
3 写真判定用カメラ
6 デジタルセンサー
8 ボールソケット型継手
60 色フィルター
62 ピクセル行
R1、R2、R3 回転自由度
T 移動方向自由度
図1
図2
図3
図4