【実施例】
【0081】
実施例1:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697の単独及び組み合わせ使用の、様々な酵母及びカビによるコンタミネーションの阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはフレッシュチーズの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0082】
全脂肪(3.5%w/w)均質化乳を79±1℃で20分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS CHN−19)を0.1μ/lで播種し、当該播種された乳を220mlボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及び/又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697を、合計で5x10
6CFU/mlの濃度で播種し、そして1つのボトルを、前記出発培養物のみ播種された参照物とした。更に、酸性化の速度の指標とするため、そして標的の酵母及びカビをより容易に検出出来る青緑色の培地を得るため、pH表示薬のブロムクレゾールパープル及びブロムクレゾールグリーンが5%添加された。全てのボトルを29±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。そして、当該発酵乳を温度が40℃に達するまで加熱し、一度溶解させて60℃に冷却した5%滅菌寒天溶液を40ml添加した。この発酵乳と寒天の溶液を滅菌ペトリ皿に注ぎ、これらのプレートをLAFベンチで30分間乾燥させた。
【0083】
選択された酵母及びカビを、クライヴェロマイケス・マルキシアヌス(Klyveromyces marxianus)、ピキア・フェルメンタンス(Pichia fermentans)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)及びカンジダ・サケ(Candida sake)について、それぞれ10
4、10
3、及び10
2CFU/スポットで滴下した。十分に出芽した胞子の懸濁物を、1000、100、10倍に希釈し、ペニシリウム・ナルギオヴェンス(Penicillium nalgiovense)ムコール亜種(Mucor ssp.)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)及びクラジオスポリウム亜種(Cladiosporium ssp.)については希釈されなかった。当該プレートを7±1℃でインキュベートし、これらが、酵母及びカビの増殖の為に主に試験された。
【0084】
寒天アッセイの結果を
図1に示す。出発培養株のみで発酵させた乳から作製した寒天プレート(参照)上では、全ての試験された酵母及び株は、活発な増殖を示した。しかしながら、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697が乳発酵の過程で存在したとき、得られたプレートにおいて、全ての濃度のK.マルキシアヌス(K. marxianus)及びY.リポリティカ(Y. lipolytica)の増殖が阻害された。更に、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697が乳発酵の過程で存在していたとき、それらのプレート上に滴下した全てのカビにおいて、顕著な阻害が観察された。Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697のいずれも、単独の株として添加した場合、P.フェルメンタンス(P. fermentans)又はC.サケ(C. sake)株に対して阻害効果を引き起こさなかった。しかしながら、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697の両方の存在下で乳を発酵させた場合、10
3、及び10
2CFU/スポットの低目の濃度で滴下されたP.フェルメンタンス(P. fermentans)の増殖の阻害が観察され、そしてクラディオスポリウム亜種(Cladiosporium ssp.)及びムコール亜種(Mucor ssp.)は、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697が単独で添加された場合よりも強力に増殖を阻害した。これらの結果は、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697の2つの株が、一定の相乗的抗真菌効果を有することを示している。
【0085】
実施例2:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697の単独及び組み合わせ使用の、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)に対する阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはフレッシュチーズの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0086】
全脂肪(3.5%w/w)均質化乳を79±1℃で20分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS CHN−19)を0.1μ/lで播種し、当該播種された乳を1lボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及び/又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697を、合計で5x10
6CFU/mlの濃度で播種し、そして1つのボトルを、前記出発培養物のみ播種された参照物とした。更に、2つのボトルには、CHN−19出発培養株と共に、HOLDBAC(商標) YM−B (50DCU/100L; Danisco A/S, Denmark)又はHOLDBAC(商標) YM−C (20 DCU/100L; Danisco A/S, Denmark)を播種した。全てのボトルを29±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。
【0087】
各ボトルの内容物をより小さいプラスチックカップに分注し、フレッシュチーズ製品のコンタミナントとして単離されたヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)を播種した。2つの別個のカップに、1% (v/w)の体積で、最終的なY.リポリティカ(Y. lipolytica)の発酵乳製品中のコンタミネーションレベルが1x10
2CFU/gとなるように播種された。前記プラスチックカップを目張りし、8±1℃で保管した。当該発酵乳製品を、酵母グルコースクロラムフェニコール(YGC)寒天上に生理食塩水ペプトンで10倍に希釈してプレーティングし、有酸素インキュベーションで5日間25℃で培養することにより、Y.リポリティカ(Y. lipolytica)のコンタミネーションレベルを判定した。更に、発酵乳資料のpHは、保管の期間を通して測定された。
【0088】
図2に記載されたように、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697のいずれも、発酵前に出発培養株CHN−19と共に単独の株として使用されたとき、Y.リポリティカ(Y. lipolytica)の増殖は阻害された。いずれの株も、HOLDBAC(商標) YM−B及びHOLDBAC(商標) YM−Cよりも顕著な阻害を引き起こした。更に、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697が組み合わせて使用されたとき、各株が単独で使用された場合と比較して、相乗的な阻害効果が認められた。Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC12697は、組み合わせて使用されるとき、前記発酵乳中のY.リポリティカ(Y. lipolytica)の誘導期及び定常期のいずれにおいても細胞カウントに影響を及ぼし、この相乗効果は、これらの種類の製品の棚寿命の延長に貢献し得る。
【0089】
実施例3:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせ使用の、様々な酵母及びカビのコンタミナントに対する阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはフレッシュチーズの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0090】
全脂肪(3.5%w/w)均質化乳を79±1℃で20分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(F−DVS CHN−19)を0.1μ/lで播種し、当該播種された乳を220mlボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及び/又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226を、合計で5x10
6CFU/mlの濃度で播種し、そして1つのボトルを、前記出発培養物のみ播種された参照物とした。更に、酸性化の速度の指標とするため、そして標的の酵母及びカビをより容易に検出出来る青緑色の培地を得るため、pH表示薬のブロムクレゾールパープル及びブロムクレゾールグリーンが5%添加された。全てのボトルを29±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。そして、当該発酵乳を温度が40℃に達するまで加熱し、一度溶解させて60℃に冷却した5%滅菌寒天溶液を40ml添加した。この発酵乳と寒天の溶液を滅菌ペトリ皿に注ぎ、これらのプレートをLAFベンチで30分間乾燥させた。
【0091】
選択された酵母及びカビを、クライヴェロマイケス・マルキシアヌス(Klyveromyces marxianus)、ピキア・フェルメンタンス(Pichia fermentans)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)及びカンジダ・サケ(Candida sake)について、それぞれ10
4、10
3、及び10
2CFU/スポットで滴下した。十分に出芽した胞子の懸濁物を、1000、100、10倍に希釈し、ペニシリウム・ナルギオヴェンス(Penicillium nalgiovense)ムコール亜種(Mucor ssp.)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)及びクラジオスポリウム亜種(Cladiosporium ssp.)については希釈されなかった。当該プレートを7±1℃でインキュベートし、これらが、酵母及びカビの増殖の為に主に試験された。
【0092】
寒天アッセイの結果を
図3に示す。出発培養株のみで発酵させた乳から作製した寒天プレート(参照)上では、全ての試験された酵母及び株は、活発な増殖を示した。しかしながら、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777が乳発酵の過程で存在したとき、得られたプレートにおいて、全ての濃度のK.マルキシアヌス(K. marxianus)及びY.リポリティカ(Y. lipolytica)の増殖が阻害された。Lb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226においても、得られたプレートにおいて、全ての濃度のK.マルキシアヌス(K. marxianus)及び最低濃度から2番目までのY.リポリティカ(Y. lipolytica)の増殖が阻害された。Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が単一の株として添加された場合であっても、それらは低濃度のP.フェルメンタンス(P. fermentans)に対して僅かな阻害効果を示した。しかしながら、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が乳発酵の過程で両方とも存在している場合、10
2CFU/spotの最低の濃度で添加されたP.フェルメンタンス(P. fermentans)の増殖が阻害された。カビにおいて、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が乳発酵の過程で存在する場合、顕著な阻害が認められた。Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の組み合わせが使用された場合、クラディオスポリウム亜種(Cladiosporium ssp.)の増殖は、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が単独で添加された場合と比較して、より強力に阻害された。これらの結果は、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の2つの株が一定の相乗的抗真菌効果を有することを示す。
【0093】
実施例4:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせ使用の、クリヴェロマイケス・マルキシアヌス(Klyveromyces marxianus)に対する阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはフレッシュチーズの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0094】
全脂肪(3.5%w/w)均質化乳を79±1℃で20分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(F−DVS CHN−19)を0.1μ/lで播種し、当該播種された乳を1lボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及び/又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226を、合計で5x10
6CFU/mlの濃度で播種し、そして1つのボトルを、前記出発培養物のみ播種された参照物とした。更に、2つのボトルには、CHN−19出発培養株と共に、HOLDBAC(商標) YM−B (50DCU/100L)又はHOLDBAC(商標) YM−C (20 DCU/100L)を播種した。全てのボトルを29±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。
【0095】
各ボトルの内容物をより小さいプラスチックカップに分注し、フレッシュチーズ製品のコンタミナントとして単離されたクリヴェロマイケス・マルキシアヌス(Klyveromyces marxianus)を播種した。2つの別個のカップに、1% (v/w)の体積で、最終的なクリヴェロマイケス・マルキシアヌス(Klyveromyces marxianus)の発酵乳製品中のコンタミネーションレベルが1x10
2CFU/gとなるように播種された。前記プラスチックカップを目張りし、8±1℃で保管した。当該発酵乳製品を、酵母グルコースクロラムフェニコール(YGC)寒天上に生理食塩水ペプトンで10倍に希釈してプレーティングし、有酸素インキュベーションで3〜5日間25℃で培養することにより、クリヴェロマイケス・マルキシアヌス(Klyveromyces marxianus)のコンタミネーションレベルを判定した。更に、発酵乳資料のpHは、保管の期間を通して測定された。
【0096】
図4に示すように、K. マルキシアヌス(K.marxianus)の増殖は、発効前にCHN−19出発培養株と共にLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の両方が単一の株として使用されて存在するとき、阻害された。実施例2に見られるように、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777は、HOLDBAC(商標) YM−B及びHOLDBAC(商標) YM−Cよりも顕著に強力なK. マルキシアヌス(K.marxianus)の阻害を引き起こしたが、Lb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226により引き起こされる阻害は、HOLDBAC(商標)培養株と同等であった。Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が組み合わせて使用されるとき、各株が単独で使用された場合の阻害効果と比較して、協調的な阻害効果が認められた。組み合わせて使用されるとき、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226は、発酵乳中でのK. マルキシアヌス(K.marxianus)の増殖を遅延させ、この種類の製品の棚寿命の延長に貢献し得る。
【0097】
実施例5:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC5366の単独及び組み合わせ使用の、様々なカビのコンタミナントに対する阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC5366の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはヨーグルトの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0098】
均質化乳(1.5%w/w)を95℃で5分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark 製F−DVS YC−350)を0.02%で播種し、当該播種された乳を220mlボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676、Lb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC5366、及びそれらの2つの組み合わせを、合計で1x10
7CFU/mlの濃度で播種した。前記出発培養物のみ播種された1つのボトルを、参照物とした。更に、酸性化の速度の指標とするため、そして標的の酵母及びカビをより容易に検出出来る青緑色の培地を得るため、pH表示薬のブロムクレゾールパープル及びブロムクレゾールグリーンが全てのボトルに5%添加された。全てのボトルを43±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。そして、当該発酵乳を温度が40℃に達するまで加熱し、一度溶解させて60℃に冷却した5%滅菌寒天溶液を40ml添加した。この発酵乳と寒天の溶液を滅菌ペトリ皿に注ぎ、これらのプレートをLAFベンチで30分間乾燥させた。
【0099】
選択されたカビのペニシリウム・ナルギオヴェセ(Penicillium nalgiovese)(1Ox)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)(1OOx)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(Aspergillus versicolor)(1OOx)及びペニシリウム・クルストスム(Penicillium crustosum)(1OOx)の完全に出芽した胞子懸濁物を、前記プレート上に滴下した。これらのプレートを7℃でインキュベートし、適切な通常のインターバル後、カビの増殖を試験した。
【0100】
寒天アッセイの結果を、
図5に示す。試験された全てのカビは、出発培養株(参照)のみで発酵させた乳から作製した寒天プレート上で、極めて良好に増殖した。しかしながら、乳発酵の過程でLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC5366が存在していたプレートは、全てのカビの増殖を抑制した。更に、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC5366が乳発酵の過程で組み合わせて存在していたプレート上に滴下された、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(Aspergillus versicolor)及びペニシリウム・クルストスム(Penicillium crustosum)の増殖は、顕著な阻害が認められた。
【0101】
実施例6:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせ使用の、様々なカビのコンタミナントに対する阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはヨーグルトの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0102】
均質化乳(1.5%w/w)を95℃で5分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark 製F−DVS YoflexR Mild)を0.02%で播種し、当該播種された乳を220mlボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676、Lb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226、及びそれらの2つの組み合わせを、合計で1x10
7CFU/mlの濃度で播種した。前記出発培養物のみ播種された1つのボトルを、参照物とした。更に、酸性化の速度の指標とするため、そして標的の酵母及びカビをより容易に検出出来る青緑色の培地を得るため、pH表示薬のブロムクレゾールパープル及びブロムクレゾールグリーンが全てのボトルに5%添加された。全てのボトルを43±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。そして、当該発酵乳を温度が40℃に達するまで加熱し、一度溶解させて60℃に冷却した5%滅菌寒天溶液を40ml添加した。この発酵乳と寒天の溶液を滅菌ペトリ皿に注ぎ、これらのプレートをLAFベンチで30分間乾燥させた。
【0103】
選択されたカビのペニシリウム・ナルギオヴェセ(Penicillium nalgiovese)(1Ox)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)(1OOx)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(Aspergillus versicolor)(1OOx)及びペニシリウム・クルストスム(Penicillium crustosum)(1OOx)の完全に出芽した胞子懸濁物を、前記プレート上に滴下した。これらのプレートを7℃でインキュベートし、適切な通常のインターバル後、カビの増殖を試験した。
【0104】
寒天アッセイの結果を、
図6に示す。試験された全てのカビは、出発培養株(参照)のみで発酵させた乳から作製した寒天プレート上で、極めて良好に増殖した。しかしながら、乳発酵の過程でLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が存在していたプレートは、全てのカビの増殖を抑制した。更に、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC14676及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が乳発酵の過程で組み合わせて存在していたプレート上に滴下された、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(Aspergillus versicolor)及びペニシリウム・クルストスム(Penicillium crustosum)の増殖は、顕著な阻害が認められた。
【0105】
実施例7:Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせ使用の、様々なカビのコンタミナントに対する阻害効果の半定量的判定
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226の単独及び組み合わせの阻害効果の半定量的試験のために、寒天アッセイが使用され、これはヨーグルトの製造プロセス及び製品を模倣するものである。
【0106】
均質化乳(1.5%w/w)を95℃で5分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark 製F−DVS YoflexR Mild)を0.02%で播種し、当該播種された乳を220mlボトルに分注した。これらのボトルにLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777、Lb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226、及びそれらの2つの組み合わせを、合計で1x10
7CFU/mlの濃度で播種した。前記出発培養物のみ播種された1つのボトルを、参照物とした。更に、酸性化の速度の指標とするため、そして標的の酵母及びカビをより容易に検出出来る青緑色の培地を得るため、pH表示薬のブロムクレゾールパープル及びブロムクレゾールグリーンが全てのボトルに5%添加された。全てのボトルを43±1℃のウォーターバスでインキュベートし、これらの条件で、pHが4.60±0.1に達するまで発酵させた。発酵後、これらのボトルを氷上で急冷し、凝塊を破壊するように強く振り混ぜた。そして、当該発酵乳を温度が40℃に達するまで加熱し、一度溶解させて60℃に冷却した5%滅菌寒天溶液を40ml添加した。この発酵乳と寒天の溶液を滅菌ペトリ皿に注ぎ、これらのプレートをLAFベンチで30分間乾燥させた。
【0107】
選択されたカビのペニシリウム・ナルギオヴェセ(Penicillium nalgiovese)(1Ox)、ペニシリウム・コミューン(Penicillium commune)(1OOx)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(Aspergillus versicolor)(1OOx)及びペニシリウム・クルストスム(Penicillium crustosum)(1OOx)の完全に出芽した胞子懸濁物を、前記プレート上に滴下した。これらのプレートを7℃でインキュベートし、適切な通常のインターバル後、カビの増殖を試験した。
【0108】
寒天アッセイの結果を、
図7に示す。試験された全てのカビは、出発培養株(参照)のみで発酵させた乳から作製した寒天プレート上で、極めて良好に増殖した。しかしながら、乳発酵の過程でLb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777又はLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が存在していたプレートは、全てのカビの増殖を抑制した。更に、Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)CHCC14226が乳発酵の過程で組み合わせて存在していたプレート上に滴下された、全てのカビの増殖は、顕著な阻害が認められた。
【0109】
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777を用いて作製したサワークリームでのチャレンジ試験
Lb.パラカゼイ(Lb. paracasei)CHCC12777を単一株として用いた場合の、P・コミューン(P. commune)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(A. versicolor)、P・ブレヴィコンパクツム(P. brevicompactum)、P・クルストスム(P. crustosum)及びペニシリウム・グラブルム(P. glabrum)に対する阻害作用を視覚的に試験するために、サワークリームを調製した。
【0110】
滅菌した高脂肪乳に、市販の異発酵(heterofermentative)出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS DSG−2000)を0.01%で播種した。当該乳に、更にOLDBAC(商標) YM−B ( 10DCU/100L)又はラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777 (5x10
6 CFU/g)を播種した。1つのバッチは、参照として出発培養株のみ播種した。
【0111】
当該乳を、pHが4.60±0.05に達するまで28±1℃で発酵させ、サワークリームが後処理された。当該サワークリームを撹拌して20±1℃まで冷まし、7℃±1℃で保管した。
【0112】
サワークリームを調製した翌日、サワークリームの表面コンタミナントとして様々なカビがサワークリームの表面上にスポットあたり胞子100個となるように播種された。カビの増殖は、45日間7℃±1℃での保管後に視覚的に評価された。
【0113】
サワークリームの試験の結果を、
図8に示す。P・コミューン(P. commune)(M6)、A・ヴェルシコロール(A. versicolor)(M7)、P・ブレヴィコンパクツム(P. brevicompactum)(M1)、P・クルストスム(P. crustosum)(M10)及びペニシリウム・グラブルム(P. glabrum)(M8)は、出発細胞株のみ(上段)、又は出発培養株及びHOLDBAC(商標) YM−B培養株(中段)で発酵させた乳から作製したサワークリーム上で、活発に増殖した。対照的に、乳発酵の過程でラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777が存在していた場合、試験されたカビの全てにおいて、増殖が阻害された。
【0114】
実施例9:ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697を用いて作製したトバログでのチャレンジ試験
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697を単一株として用いた場合の、ムコール亜種(mucor ssp.)に対する阻害作用を視覚的に試験するために、トバログを調製した。
【0115】
滅菌した低脂肪乳に、市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS CHN−19)を0.01%で播種した。当該乳に、更にOLDBAC(商標) YM−B (5DCU/100L)又はラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697 (5x10
6 CFU/g)を播種した。1つのバッチは、参照として出発培養株のみ播種した。
【0116】
当該乳を、pHが4.60±0.05に達するまで28±1℃で発酵させた。湯浸温度(scalding temperature)は、38〜40℃とした。吸引後、カードを1barで30分間与圧した。
【0117】
トバログを調製した翌日、トバログ(100g)の表面上に、表面コンタミナントとしてムコール亜種(mucor ssp.)が、ピペットで2回、スポットあたり胞子100個となるように播種された。カビの増殖は、18日間7℃±1℃での保管後に視覚的に評価された。
【0118】
トバログ試験の結果を、
図9に示す。出発培養株CHN−19のみを用いて発酵させた乳から作製されたトバログ上では、ムコール亜種(mucor ssp.)は活発に増殖したことを示す。当該カビは、出発培養株とHOLDBAC(商標) YM−B培養株を用いて培養した乳から作製したトバログでも活発に増殖し、それには及ばないが出発培養株とHOLDBAC(商標) YM−C培養株を用いて培養した乳から作製したトバログでも増殖した。しかしながら、乳の発酵の過程でラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697が存在していた場合、ムコール亜種(mucor ssp.)増殖の顕著な阻害が確認された。
【0119】
実施例10:ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226を用いて作製したヨーグルトでのチャレンジ試験
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226を単一株として用いた場合の、P・ブレヴィコンパクツム(P. brevicompactum)、P・コミューン(P. commune)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(A. versicolor)及びP・クルストスム(P. crustosum)に対する阻害作用を視覚的に試験するために、脂肪分1.5%のヨーグルトを調製した。
【0120】
均質化した乳(脂肪分1.5%)を、ウォーターバス中の1Lボトル中で、95±1℃で5分間加熱処理し、そして急速に冷却した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS YF−L901)が0.02%で播種された。当該乳に、更にHOLDBAC(商標) YM−B (20DCU/100L)又はラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226(1x10
7 CFU/g)を播種した。1つのボトルは、参照として出発培養株のみ播種した。
【0121】
当該乳を、pHが4.60±0.05に達するまで43±1℃で発酵させた。形成されたヨーグルトをカップに注ぎ(100g)、7±1℃で保存した。
【0122】
ヨーグルトを調製した翌日、2つのヨーグルトのカップ中の表面コンタミナントとして様々なカビがヨーグルトの表面上にスポットあたり胞子100個となるように播種された。カビの増殖は、45日間7℃±1℃での保管後に視覚的に評価された。
【0123】
ヨーグルト試験の結果を、
図10に示す。P・ブレヴィコンパクツム(P. brevicompactum)(M1)、P・コミューン(P. commune)(M6)、アスペルギルス・ヴェルシコロール(A. versicolor)(M7)P・クルストスム(P. crustosum)(M10)は、
出発培養株YF−L901のみ(上段)、又は出発培養株及びHOLDBAC(商標) YM−B培養株(中段)を用いて発酵させた乳から作製されたヨーグルト上で、活発に増殖したことを示す。対照的に、乳の発酵の過程でラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226が存在していた場合、試験された全てのカビにおいて、増殖の阻害が確認された。
【0124】
実施例11:トバログ中のK.ラクティス(K. lactis)に対するラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777の阻害効果の定量的判定
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777を単一株として用いた場合の、K.ラクティス(K. lactis)に対する阻害効果を定量的に試験するため、トバログが調製された。
【0125】
滅菌した低脂肪乳に、市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS CHN−19)を0.01%で播種した。当該乳に、更にOLDBAC(商標) YM−B (20DCU/100L)又はラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777 (5x10
6 CFU/g)を播種した。1つのバッチは、参照として出発培養株のみ播種した。
【0126】
当該乳を、pHが4.60±0.05に達するまで28±1℃で発酵させた。湯浸温度(scalding temperature)は、38〜40℃とした。吸引後、カードを1barで30分間与圧した。
【0127】
トバログを調製した翌日、約10gのトバログの試料ブロックを切り出し、それらをストマッカーバッグ(stomacher bag)中に納めた。当該ブロックに、細い針を用いて内部に酵母を10.000 CFU/mlで2回接種した。当該バッグは当該トバログを覆い、テープで密封された。
【0128】
当該試料を7±1℃で保存し、適切な間隔で、K.ラクティス(K. lactis)のコンタミネーションのレベルが解析された。解析は、1gのトバログ、更にサリンペプトンの適切な1倍希釈液を、Yeast Glucose Chloramphenicol (YGC)寒天上にプレーティングし、それを25℃で5日間好気的にインキュベーションすることにより行われた。
【0129】
図11に示すように、発酵前に出発培養株CHN−19と共にラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777が存在していたトバログにおいて、K.ラクティス(K. lactis)のの増殖は阻害された。ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777は、市販の培養株HOLDBAC(商標) YM−Bよりも顕著に高い阻害を引き起こした。
【0130】
実施例12:トバログ中のK.ラクティス(K. lactis)に対するラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697の阻害効果の定量的判定
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697を単一株として用いた場合の、K.ラクティス(K. lactis)に対する阻害効果を定量的に試験するため、トバログが調製された。
【0131】
滅菌した低脂肪乳に、市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark製F−DVS CHN−19)を0.01%で播種した。当該乳に、更にOLDBAC(商標) YM−B (5DCU/100L)又はラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697 (5x10
6 CFU/g)を播種した。1つのバッチは、参照として出発培養株のみ播種した。
【0132】
当該乳を、pHが4.60±0.05に達するまで28±1℃で発酵させた。湯浸温度(scalding temperature)は、38〜40℃とした。吸引後、カードを1barで30分間与圧した。
【0133】
トバログを調製した翌日、約10gのトバログの試料ブロックを切り出し、それらをストマッカーバッグ(stomacher bag)中に納めた。当該ブロックに、細い針を用いて内部に酵母を10.000 CFU/mlで2回接種した。当該バッグは当該トバログを覆い、テープで密封された。
【0134】
当該試料を7±1℃で保存し、適切な間隔で、K.ラクティス(K. lactis)のコンタミネーションのレベルが解析された。解析は、1gのトバログ、更にサリンペプトン中の適切な1倍希釈物を、Yeast Glucose Chloramphenicol (YGC)寒天上にプレーティングし、それを25℃で5日間好気的にインキュベーションすることにより行われた。
【0135】
図11に示すように、発酵前に出発培養株CHN−19と共にラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697が存在していたトバログにおいて、K.ラクティス(K. lactis)のの増殖は阻害された。ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697は、市販の培養株HOLDBAC(商標) YM−Bよりも顕著に高い阻害を引き起こした。
【0136】
実施例13:ヨーグルト中のデバロマイケス・ハンセニイ(Debaromyces hansenii)に対するラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226の阻害効果の定量的判定
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226を単一株として用いた場合の、デバロマイケス・ハンセニイ(Debaromyces hansenii)に対する阻害効果を定量的に試験するため、ヨーグルトが調製された。
【0137】
均質化乳(1.5%w/w)を1Lボトル中のウォーターバスで95℃で5分間熱処理し、そして急冷した。市販の出発培養株(Chr. Hansen A/S, Denmark 製F−DVS YF−L901)を0.02%で播種した。当該乳に、更に、HOLDBAC(商標) YM−B (20DCU/100L)又はラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226(1x10
7CFU/ml)を播種した。前記出発培養物のみ播種された1つのボトルを、参照物とした。
【0138】
当該乳を、pHが4.60±0.1に達するまで、43℃±1℃で発酵させた。作製されたヨーグルトをカップ(100g)に注ぎ、7℃±1℃で保存した。
【0139】
ヨーグルトを調製した翌日、2つのヨーグルトのカップ中に、20CFU/gとなるように、カップあたり1mlの酵母を播種した。当該酵母は、ヨーグルト中に均一に分散させられた。当該カップに蓋をして、7℃で保存し、適切な間隔でD.ハンセニイ(D. hansenii)のコンタミネーションが解析された。解析は、1gのヨーグルト、更にサリンペプトンの適切な1倍希釈液を、Yeast Glucose Chloramphenicol (YGC)寒天上にプレーティングし、それを25℃で5日間好気的にインキュベーションすることにより行われた。
【0140】
図12に示すように、D.ハンセニイ(D. hansenii)の増殖は、発酵前に出発培養株YF−L901と共にラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226が存在していた場合、阻害された。当該株は、市販の培養株HOLDBAC(商標) YM−Bよりも顕著に高度な阻害を引き起こした。
【0141】
供託及び当業者の解決法
出願人は、下記の供託された微生物の試料が、当該特許が登録査定を受けるまでに、必ず当業者に利用可能となっているべきことを要求する。
【0142】
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC12697は、2011年3月1日に、Microorganisms and Cell Cultures (Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH; DSMZ), Inhoffenstr. 7B, D−38124 Braunschweigに、受入番号DSM24616で、供託された。
【0143】
ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)CHCC14226は、2011年3月15日に、Microorganisms and Cell Cultures (Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH; DSMZ), Inhoffenstr. 7B, D−38124 Braunschweigに、受入番号DSM24652で、供託された。
【0144】
ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)CHCC12777は、2011年3月15日に、Microorganisms and Cell Cultures (Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH; DSMZ), Inhoffenstr. 7B, D−38124 Braunschweigに、受入番号DSM24651で、供託された。
【0145】
以上の供託は、特許手続を目的とする微生物の供託の国際的承認についてのブダペスト条約に従い行われた。
【0146】
参考文献
US 2005/0095318 (Schwenninger et al.)
WO 2004/041305 (Valio Ltd)
Tharmaraj, N. & Shah, N.P. (2009) Antimicrobial effects of probiotic bacteria against selected species of yeasts and molds in cheese−based dips. International Journal of Food Science & Technology. 44: 1916− 1926.