特許第6073911号(P6073911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073911
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】導線搬送装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
   H01B13/00 A
   H01B13/00 F
   H01B13/00 555
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-540623(P2014-540623)
(86)(22)【出願日】2012年11月9日
(65)【公表番号】特表2014-535149(P2014-535149A)
(43)【公表日】2014年12月25日
(86)【国際出願番号】IB2012056303
(87)【国際公開番号】WO2013068984
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年10月21日
(31)【優先権主張番号】01809/11
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】599122503
【氏名又は名称】シュロニガー ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルトマン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ ピーター
【審査官】 和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−173363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線(8)を把持する把持部(3)を備えており、前記把持部(3)は、ガイド(1)に沿って第1の位置(5)と第2の位置(6)との間で変位可能である、ワイヤ、ケーブル、導線束、光ファイバなどの電線または光導線(8)を搬送するための搬送装置であって、前記把持部(3)は双安定の機構を有し、前記第1の位置(5)の領域と前記第2の位置(6)の領域とのそれぞれに、前記把持部(3)が前記2つの位置(5、6)のうちの1つに位置するときに前記把持部(3)を閉位置または開位置に導くように構成された、前記把持部(3)に能動的に作用する1つの手段が設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、前記把持部(3)に能動的に作用する手段はそれぞれ、前記把持部(3)を機械的に作動するように構成された前記把持部(3)用の駆動部として能動的機械的作動装置を備えていることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の搬送装置であって、前記把持部(3)に能動的に作用する少なくとも1つの手段(11、16)は、前記把持部(3)を閉位置または開位置に導くために、シリンダ−ピストンユニット(17)、好ましくは空気圧シリンダを備え、前記シリンダ−ピストンユニット(17)への供給圧力がコントローラ(18)によって変更可能に調整できることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の搬送装置であって、前記搬送装置が前記把持部(3)と共に前記ガイド(1)に沿って変位可能な前記把持部(3)用の把持部駆動部を備え、前記把持部(3)に能動的に作用する手段は前記把持部駆動部に動力を供給するための動力供給源として構成され、好ましくは、前記把持部(3)に能動的に作用する手段は電気接触子および/または圧縮空気継手であることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記把持部(3)は双安定の機構を備え、安定した開位置と安定した閉位置との間に死点が設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記把持部(3)は少なくとも閉塞した状態においてバネ力によって閉塞状態に保持されることを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記第1の位置(5)は前記導線(8)を受け取るための受取場所であり、前記第2の位置(6)は前記導線(8)を分配するための分配場所であることを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項1から7のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記把持部(3)に能動的に作用する手段は前記ガイド(1)に対して不動であることを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項1から8のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記把持部(3)は互いに対して可動な少なくとも2つの把持部顎部(15)で構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記第1の位置(5)の領域および/または前記第2の位置(6)の領域に、前記導線(8)を前記把持部(3)に移送するまたは前記導線を受け取る、移送または受取把持部が設けられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項1から10のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記搬送装置は導線処理装置、特にケーブルツイスタに用いる引き込み把持部ユニットであることを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
請求項1から11のうちのいずれか1つに記載の搬送装置であって、前記搬送装置(7)は少なくとも2つの部分(19a、19b)を含むベース(19)を備えており、前記ベース(19)の第2の部分(19b)は前記ベース(19)の第1の部分(19a)に対して、前記ガイド(1)に沿った前記把持部(3)の変位の方向に略平行である方向に沿って変位可能であり、前記ガイド(1)は前記把持部(3)と共に前記ベース(19)の前記第1の部分(19a)上に配置され、前記把持部(3)に能動的に作用する手段(16)は前記ベース(19)の前記第2の部分(19b)上に配置され、前記ベース(19)の前記第1の部分(19a)に対する前記ベース(19)の前記第2の部分(19b)の変位のために、前記把持部(3)を、好ましくは前記把持部(3)に能動的に作用する手段(16)を介して、前記ベース(19)の前記第2の部分(19b)に結合でき、前記ガイド(1)に沿った変位の間に前記把持部(3)が前記ベース(19)の前記第2の部分(19b)を前記ベース(19)の前記第1の部分(19a)に対して駆動することを特徴とする搬送装置。
【請求項13】
ワイヤ、ケーブル、導線束、光ファイバなどの電線または光導線(8)を第1の位置(5)と第2の位置(6)との間で搬送し、導線(8)を把持する把持部(3)を備え、前記把持部(3)は前記導線(8)と共に前記第1の位置(5)と前記第2の位置(6)との間でガイド(1)に沿って変位される搬送方法であって、前記把持部(3)は、双安定の機構を有し、前記第1の位置(5)の領域において、前記把持部(3)に能動的に作用する手段によって前記把持部(3)を閉位置に導き、それにより前記導線(8)を把持し、その後前記把持部(3)を前記第2の位置(6)に変位させて、前記第2の位置(6)の領域において、前記把持部(3)に能動的に作用する手段によって前記把持部(3)を開位置に導き、それにより前記導線(8)を解放し、前記把持部(3)は、前記把持部(3)に能動的に作用する手段によって機械的に作動され、前記把持部(3)に能動的に作用する手段はそれぞれ、前記把持部(3)用の駆動部として機械的作動装置をそれぞれ備えている、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記方法が請求項1から11のうちの1つに記載の搬送装置によって実行されることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13または14に記載の方法であって、前記把持部(3)に能動的に作用する少なくとも1つの手段(11、16)は前記ガイド(1)に沿った前記把持部(3)の変位の方向に略平行である方向に沿って前記ガイド(1)に対して変位可能であり、前記把持部(3)に能動的に作用する手段(16)の前記ガイド(1)に対する位置決めのために、前記把持部(3)は前記把持部(3)に能動的に作用する手段(16)に直接的または間接的に結合され、前記結合された把持部(3)は、前記把持部(3)に能動的に作用する手段(16)が前記把持部(3)によって前記ガイド(1)に対して駆動されて所望の位置に導かれるように、前記ガイド(1)に沿って変位されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ、ケーブル、導線束、光ファイバなどの電線または光導線の搬送装置および搬送方法に関するものであり、搬送装置は導線を把持する把持部を備えており、前記把持部はガイドに沿って第1の位置と第2の位置との間で変位可能である。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第4104597A1号は、傾斜したガイドレールに沿って、2つの終端位置の間で変位可能な回転把持部を有する巻き戻し装置を開示している。終端位置スイッチが終端位置に設けられている。把持部は、終端位置スイッチに到達すると、開かれる。終端位置スイッチは、トリガ信号を生成するだけである。また、この巻き戻し装置は導線の搬送には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第4104597A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
変位可能な把持部を備えた搬送装置において、先行技術では空気圧で作動する把持部が用いられている。動力供給は、ここではドラグチェーンを介して持続的に行われている。すなわち、把持部はその駆動部と共に変位可能であり、且つ継続的に動力供給源に接続されている。
【0005】
かかる搬送装置の欠点は、共動するドラグチェーンにより質量が付加され、この付加質量によりさらなる駆動要件が必要となり、結果として、それに対応して駆動列全体の寸法を大きくする必要がある点である。
【0006】
さらに、システムのクロック周波数が高いため、ドラグチェーンの摩耗が早まり、それによる休止時間の発生が想定され得る。ドラグチェーンのための追加の配置スペースが必要となることにより、それに対応して機械が嵩高になる。
【0007】
本発明は、それらの問題を解決し、完成した導線の端部を包み、それを受取位置から分配位置までできるだけ速く移動させる搬送装置を提供することを目的とする。この分配位置は受取位置から1メートル未満、数メートル、または10メートルを超える距離とすることができる。これにかかわらず、高い移送原動力が得られると同時に、機械構築費用の低減も得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述のような搬送装置により上記目的を達成し、それによれば、第1の位置の領域と第2の位置の領域とのそれぞれに、把持部に動作可能に連通して、把持部が上記2つの位置のうちの1つに位置するときに把持部を閉位置または開位置に導くように構成された1つの能動インタフェースが設けられている。
【0009】
把持部がそれぞれの終端位置の領域に位置するときのみに把持部に動作可能に連通する外部の能動インタフェースを配置することにより、シンプル且つ省スペースの設計が可能となる。すなわち、外部の能動インタフェースの移動範囲は第1または第2の位置周辺の領域に制限されている。
【0010】
能動インタフェースは、例えば、外部機械的把持部駆動部または把持部駆動部用の外部動力供給装置(把持部と共に変位可能なように構成されている場合)等の把持部に能動的に作用する手段として理解され、把持部駆動部は把持部の開閉動作に影響を与える駆動部として理解される。能動インタフェースは局部的、すなわち、第1または第2の位置の領域において作用する。
【0011】
搬送は、把持部を介して導線を能動的に引く工程を含む。したがって、導線は好ましくは長手方向、すなわち実質上、導線の縦伸びによって付与される方向に沿って引かれる。
【0012】
この場合、把持部は(外部作動の結果)導線の端部を包み、好ましくはそれを第1の位置から第2の位置へ、好ましくは直線的に、できるだけ速く移動させる。把持部はこの場合、連続共動ドラグチェーンを用いずに低質量で設計可能であるため、高い移送原動力が達成される。特に、把持部の持続的動力供給(例えばドラグチェーンを介した)もまた不要になり得、一方で変位可能な把持部の作動は、それぞれ第1の位置および第2の位置に配置された外部機械的作動装置または外部動力供給源によって達成される。
【0013】
把持部の低移動質量により、より小さく且つ高い動的駆動が可能となる。先行技術のドラグチェーンによる解決手段に比べて、クロック周波数を増加させることができる。ドラグチェーンのための追加の配置スペースを必要としないため、機械をよりコンパクトに設計することができる。これらの利点全てによって著しいコスト削減がもたらされる。
【0014】
1つの実施形態において、能動インタフェースはそれぞれ、把持部を機械的に作動させるように構成された把持部用駆動部として能動的機械的作動装置を備えている。ガイドに沿った把持部の移動から独立した確実な開閉動がこのようにして達成される。把持部の開閉を時間的に正確に(他の工程に)一致させ且つ制御することができる。
【0015】
1つの実施形態において、少なくとも1つの能動インタフェースは、把持部を閉位置または開位置にするために、シリンダ−ピストンユニット、好ましくは空気圧シリンダを備えており、シリンダ−ピストンユニットへの供給圧はコントローラによって可変調整可能である。
【0016】
この方法は、能動インタフェース、特に把持部閉塞器の作動力を最適化するために用いられる。これにより、(空気)圧力の供給がプログラムによって調整可能になり、それにより把持部の把持部顎部の閉塞力もプログラムによって調整可能になる。このように閉塞力が調整可能であることにより、細く傷つきやすい導線を優しく把持できる。作用力の付与は好ましくは空気圧シリンダによって達成される。
【0017】
1つの実施形態において、搬送装置は、ガイドに沿って把持部と共に変位可能な把持部用把持部駆動部を備え、能動インタフェースは把持部駆動部への動力供給のために動力供給源として構成されている。この場合、把持部駆動部は把持部と共に変位可能である(すなわち一体に構成される)が、動力供給は外部の能動インタフェースを介して達成される。把持部駆動部はしたがって、終端位置のみで動力供給される。1つの位置から他の位置への移動中に、把持部駆動部への動力供給が切断される。
【0018】
1つの実施形態において、能動インタフェースは電気接触子および/または圧縮空気継手である。かかる手段は把持部駆動部への外部動力供給源を提供し、これは特に容易に達成される。
【0019】
1つの実施形態において、把持部は双安定の機構を備え、安定した開位置と安定した閉位置との間に死点が設けられている。これにより、把持部の位置が確定され、各作動状態に安定させることができる。把持部は終端位置においてのみ能動インタフェースを介して作動される。これらにより、把持部は、1つの安定した位置から死点を介して他方の安定した位置へ案内される。
【0020】
1つの実施形態において、把持部は少なくとも閉塞した状態において、バネ力によって閉塞状態に保持される。これにより、把持力が増大し且つガイドに沿った変位中に把持された導線端部を確実に固定する。
【0021】
1つの実施形態において、第1の位置は導線を受け取るための受取場所であり、第2の位置は導線を分配するための分配場所である。かかる装置は一定の長さの導線を処理機械に断続的に引き入れるのに適している。
【0022】
1つの実施形態において、能動インタフェースはガイドに対して不動である。これによりシンプル且つ確実な設計が可能となる。
【0023】
1つの実施形態において、把持部は、少なくとも2つの互いに対して可動な把持部顎部で構成されている。
【0024】
1つの実施形態において、第1の位置の領域および/または第2の位置の領域に、導線を把持部に移送するまたは導線を受け取る、移送または受取把持部が設けられている。移送または受取把持部はこれにより処理工程に従って正確に導線の端部を配置することができる。
【0025】
1つの実施形態において、搬送装置は導線処理装置、特にケーブルツイスタに用いる引き込み把持部ユニットである。搬送装置は長い距離にも適しているため、これに対応して長い導線、特にケーブルを、それらを固定してツイストヘッドで捻じ曲げるケーブルツイスタに引き込むことができる。
【0026】
1つの実施形態において、少なくとも1つの能動インタフェースはガイドに対して、把持部のガイドに沿った変位の方向に略平行である方向に沿って変位可能であり、ガイドに対する能動インタフェースの位置決めのために、把持部は、把持部のガイドに沿った変位の間に能動インタフェースが把持部によってガイドに対して駆動されて所望の位置に導かれるように、能動インタフェースに対して直接的または間接的に結合される。
【0027】
1つの実施形態において、搬送装置は少なくとも2つの部分を含むベースを備えており、ベースの第2の部分はベースの第1の部分に対して、ガイドに沿った把持部の変位の方向に略平行である方向に沿って変位可能であり、ガイドは把持部と共にベースの第1の部分上に配置され、能動インタフェースはベースの第2の部分上に配置され、ベースの第1の部分に対するベースの第2の部分の変位のために、把持部を、好ましくは能動インタフェースを介して、ガイドに沿った変位の間に把持部がベースの第2の部分をベースの第1の部分に対して駆動するように、ベースの第2の部分に結合することができる。
【0028】
この方法により、能動インタフェース間または受取場所と分配場所との間の距離を、例えば搬送装置を処理対象の導線の長さに適合させるために、容易に変更することができる。このように、能動インタフェースのうちの1つを把持部によってプログラム可能な方法で所望の位置に変位させる。この結合機能によって位置決め軸を完全に省くことができる。位置決めは、いずれの場合にも既に制御が行われている把持部が行う。
【0029】
本発明はまた、ワイヤ、ケーブル、導線束、光ファイバなどの電線または光導線を第1の位置と第2の位置との間で搬送する方法にも関するものであり、導線を把持する把持部を備えており、把持部はガイドに沿って第1の位置と第2の位置との間で導線と共に変位され、第1の位置の領域には、把持部を閉位置にして、それにより導線を把持する能動インタフェースが設けられ、第2の位置の領域には、把持部を第2の位置に変位して開位置にして、それにより導線を解放する能動インタフェースが設けられている。
【0030】
1つの実施形態において、能動インタフェースはそれぞれ、把持部を機械的に作動させる把持部用駆動部として機械的作動装置を備えている。
【0031】
1つの実施形態において、少なくとも1つの能動インタフェースは、ガイドに沿った把持部の変位の方向に略平行である方向に沿って、ガイドに対して変位可能であり、ガイドに対して能動インタフェースの位置決めを行うために、把持部は能動インタフェースに直接的または間接的に結合され、結合された把持部は、能動インタフェースが把持部によってガイドに対して駆動されて所望の位置に導かれるように、ガイドに沿って変位される。
【0032】
それ自体の位置決め軸を導入する必要が無いため、したがって搬送装置は搬送または処理の対象となる導線の長さに適合させることができる。
【0033】
本発明のさらなる実施形態を、図面および従属する特許請求項に示す。符号の説明は本開示の一部を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の搬送装置を示す図である。
図2図1の搬送装置が受取位置にある状態を示す図である。
図2a】受取場所における、ガイドを横断する把持部を示す図である。
図3図1の搬送装置が分配位置にある状態を示す図である。
図3a】分配場所における、ガイドを横断する把持部を示す図である。
図4】搬送装置の1つの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、直線ガイド1と、その上に2つの位置5および6の間を変位可能に配置された搬器2とを備えた、導線8の搬送装置7を示している。搬器2に、開位置および閉位置(把持位置)の状態にできる把持部3が固定されている。把持部3の直線ガイド1に沿った受取場所(第1の位置5に相当する)への移動方向14が図1の矢印によって示されている。図示の実施形態では、搬器駆動部4がガイド1の下側に配置され、搬器2と共に、例えば、連続ケーブル、ベルトまたはバンド駆動部と協働することができる。
【0036】
かかる搬送装置7は、導線8を導線処理装置、特にケーブルツイスタに引き込むための、引き込み把持部ユニットとすることができる。
【0037】
搬器2に、2つの把持部顎部15を備えた把持部3が固定されている。把持部3は、把持部顎部15の双安定の固定を可能とする機構を有している。すなわち、把持部3は開状態か閉状態かのいずれかである。閉状態では、所定の力が把持部顎部15に印加されている。好ましい実施形態においては、この力は、把持部レバーを介して把持部顎部15に作用するあらかじめ張力をかけられたバネによって印加される。
【0038】
本発明によれば、第1の位置5と第2の位置6とに、それぞれ1つの能動インタフェースが配置されている。すなわち、把持部3と動作可能に連通されて、把持部3が2つの位置5、6のうちの1つに位置するときに把持部を能動的に閉位置または開位置に導くように構成されている。例示の実施形態において、能動インタフェースはそれぞれ、把持部クローザ11および把持部オープナ16を含む機械的作動装置を備えている。これにより把持部3用の駆動部が構成され、把持部3を開位置または閉位置に導く。能動インタフェースはガイド1に対して不動であるため、把持部3が1つの位置5から他の位置6へ変位するときに、把持部3と共に動かない。搬送装置7の一定の全体的な柔軟性を達成するために、能動インタフェースがそれぞれの位置5、6周りの小さな領域内でそれぞれの場合に限られた範囲で移動可能とすることも基本的に可能である。しかしながら、それぞれの場合において、把持部3が、位置5、6のうちの1つの領域内の変位によってそれぞれの能動インタフェースの能動領域内に到達するだけであること、すなわち、能動インタフェースの能動領域が位置5、6の領域内に局地的に限定されていることは事実である。
【0039】
図2aは、把持部3の、受取場所における把持部顎部15を開いたままの状態を示している。把持部クローザ11の閉動作10によって1つの部品(例えば空気圧で作動するボルト)で把持部3の能動表面を押圧し、把持部顎部15を把持部レバーを介して閉位置に導く。
【0040】
図3aは、把持部3の、分配場所における把持部顎部15を閉じて導線8を把持している状態を示している。把持部オープナ16の開動作13によって、1つの部品で把持部3の能動表面を引っ張り、把持部顎部15を把持部レバーを介して開位置に導く。
【0041】
把持部クローザ11と把持部オープナ16は、把持部3に直接作用して、したがって開閉動作に影響を与える、変位可能な把持部3のための外部の能動的駆動部である。
【0042】
図2および3は、各種作動状態における搬送装置7を示している。導線8を受け取るために、把持部3は導線8を受け取るための受取場所を構成する第1の位置5へ移動する。そこで搬送対象の導線8は、開状態の把持部顎部15の間へ案内される。これは、例えば導線端部を把持部3の把持領域内へ案内する移送把持部によって達成される。把持部顎部15は把持部クローザ11として構成され、機械的伝送機構を介して外側から把持部顎部15を押圧する、固定された能動インタフェースによって閉じられる。その後、把持部3は導線8を分配するための分配場所である第2の位置6へ搬送方向9に移動する(図3)。第2の位置6において能動インタフェースは、把持部オープナ16として構成される。ここで、導線8は他の操作機構(例えば受取把持部)によって把持され、把持部オープナ16は把持部顎部15のバネのプレテンションに抗して把持部3を開く。
【0043】
把持部3は双安定機構であるため、外部の作動がなくても開状態を維持する。さらなる操作機構によって導線端部を分配場所(第2の位置6)から取り外す。本実施形態において導線8は分配移動12の方向に下方に分配される。
【0044】
開状態の把持部3はさらに、受取場所である第1の位置5へ移動し、そこで新たな導線8を取得する。導線8は長手方向、すなわち実質的に導線の縦伸びの方向に搬送される。
【0045】
例示の実施形態において、把持部3は外部の空気圧で駆動される作動装置11、16によって作動される。電気駆動装置および/または油圧変換装置による作動を行うこともできる。これらの場合は、能動インタフェースが把持部3用の駆動部の機能を行う。したがって、1つまたは複数の駆動部は、ガイド1に沿って把持部3と共には変位しない。各位置5、6は、把持部3がそれぞれの位置5、6において作動可能に連通する、それぞれの駆動部を有している。
【0046】
これに代わり、開閉のための駆動部を把持部3または変位可能な搬器2自体に取り付けることも可能である。動力(例えば電流または圧縮空気)の供給は終端位置5および6、すなわち、受取場所および分配場所のみで行われる。この場合、例えば、電気の場合は電気的接触子によって、空気圧の場合は、空気圧/圧縮空気継手によって結合を行い、把持部3または搬器2が重なり合う(接触、結合)。
【0047】
図4は、図1と比較して簡素化された模式図を示しており、少なくとも1つの能動インタフェース16が、把持部3のガイド1に沿った移動の方向に略平行である方向に沿ってガイド1に対して変位可能である、本発明の好ましい実施形態を示している。
【0048】
本実施形態では把持部オープナ16である能動インタフェースのガイド1に対する位置決めのために、把持部3を能動インタフェースに直接的または間接的に結合することができる。本実施形態において、能動インタフェース16は、事前にこの位置に移動していた把持部3に対して直接的に結合する。結合した把持部3は、能動インタフェース16が把持部3によってガイド1に対して駆動されて所望の位置に導かれるように、ガイド1に沿って移動する。当然のことながら、把持部オープナ16の代わりに、またはそれに加えて、把持部クローザ11も、把持部3によって変位可能にすることもできる。
【0049】
例示の実施形態において、上記の方法は、少なくとも2つの部分19a、19bを含むベース19を有する搬送装置7によって実施され、ベース19の第2の部分19bはベース19の第1の部分19aに対して、把持部3のガイド1に沿った変位の方向に略平行である方向に沿って変位可能である。ガイド1は把持部3と共に、ベース19の第1の部分19aの上に配置され、本実施形態では把持部オープナ16である変位可能な能動インタフェースは、ベース19の第2の部分19bの上に配置されている。ベース19の第2の部分19bをベース19の第1の部分19aに対して位置決めするために、把持部3は、好ましくは能動インタフェース16を介して直接的に、図4に示すように、ベース19の第2の部分19bに結合されることができ、それにより把持部3は、ガイド1に沿った変位の間に、ベース19の第2の部分19bをベース19の第1の部分19aに対して駆動して所望の位置に導く。その後、把持部3は再度切り離される。ベースの第2の部分19bを所望の位置に固定するためにブレーキ20が設けられる。
【0050】
すなわち、機械を所望の導線の長さにセットするために、変位可能な部分19bの位置変更を行わなければならない。そのため、把持部3はまず、対応する能動インタフェースに導線無しで移動する。この位置で結合を行う。その後、変位可能な部分19bのブレーキ20が分配される。把持部3の第2の部分19bへの(間接的な)結合によって、把持部3の直線軸を用いて部分19bを新たな位置に変位させることが可能となる。そこで、第2の部分19bのブレーキ20が再度固定され、把持部3が切り離される。それにより把持部3を備えた搬送装置7は、捻じ曲げ対象の新たな導線を引き込む準備が完了する。
【0051】
好ましくは、ベース19の第1の部分19aは、例えば枠組みに固定された下部構造などの固定部品であり(図4の左側)、第2の部分19bは、例えば能動インタフェース間の距離を変更することができ、導線の処理される長さに応じて位置決めされて固定される、ワゴンまたは搬器などの、長さ方向に変位可能な部品である。移動方向は、図4において両方向矢印で示されている。ベース19の変位可能な部分19bは、ブレーキ20によってベース19の不動部に固定することができ、すなわち、所望の位置に固定することができる。
【0052】
図4の実施例では、ベースの第2の部分19bはベースの第1の部分19aの上に直接載置されている。代わりに、ベースの第2の部分19bをガイド1の上に載置して、ガイド1に沿って変位可能とし、ロック可能とすることもできる。したがって、「ベースの第1および第2の部分」という記載は、広義に解釈するべきである。
【0053】
図4に示すように、好ましくは少なくとも1つの能動インタフェースが、把持部3を閉位置または開位置に導くために、シリンダ−ピストンユニット17、好ましくは空気圧シリンダを備え、シリンダ−ピストンユニット17への供給圧力が制御部18によって変更可能に調整できる。
【0054】
以下の出願:S124PWO、S126PWO、S127PWO、およびS141PWO(出願人の国内出願参照番号)は、全て2012年11月9日に国際事務局(IB)に提出されたものであり、その開示は、本願の完全な構成要素を構成するものであり、これらの独立した出願はそれぞれ同じ機械の異なる態様に関連しているので、本願と組み合わせて参照されるべきである。本願によりさらなる相乗効果が得られる。
【符号の説明】
【0055】
1 ガイド、 2 搬器、 3 把持部、 4 搬器駆動部、 5 第1の位置(把持部クローザを備える)、6 第2の位置(把持部を備える)、7 搬送装置、8 導線、9 搬送方向、10 把持部クローザの閉動作、11 把持部クローザ、12 導線端部の分配移動の方向、13 把持部オープナの開動作、14 把持部の受取場所への移動方向、15 把持部顎部、16 把持部オープナ、17 シリンダ−ピストンユニット、18 制御部、19 ベース、19a ベース19の第1の部分、19b ベース19の第2の部分、20 ブレーキ。
図1
図2
図2a
図3
図3a
図4