特許第6073923号(P6073923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073923肺動脈高血圧症(PAH)および関連障害の治療のためのIP受容体アゴニストとしての縮合ピロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073923
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】肺動脈高血圧症(PAH)および関連障害の治療のためのIP受容体アゴニストとしての縮合ピロール
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20170123BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   C07D487/04 140
   C07D487/04CSP
   A61K31/4985
   A61P7/02
   A61P7/00
   A61P9/10
   A61P11/06
   A61P11/00
   A61P3/10
   A61P29/00
   A61P43/00 105
【請求項の数】14
【全頁数】100
(21)【出願番号】特願2014-551714(P2014-551714)
(86)(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公表番号】特表2015-503609(P2015-503609A)
(43)【公表日】2015年2月2日
(86)【国際出願番号】IB2013050271
(87)【国際公開番号】WO2013105057
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2015年12月21日
(31)【優先権主張番号】61/586,546
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】アドコック,クレア
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−527368(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/017096(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/008864(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/163527(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/005672(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0280041(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/4985
A61P 3/10
A61P 7/00
A61P 7/02
A61P 9/10
A61P 11/00
A61P 11/06
A61P 29/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で表される化合物または薬学的に許容されるその塩:
【化1】

式中、
Aは、Nであり
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または
は−X−Yであり、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または
は−X−Yであり、
2aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または
とR2aは一緒になってオキソであり、
ここで、RおよびRの1つは−X−Yであり、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲン;−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリール;−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリール;−C(=O)H;−C(=O)OH;−C(=O)NR1921およびC〜Cシクロアルキルから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、
3aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または、
とR3aは一緒になってオキソであり、
およびR、それぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されているフェニルであり
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり、
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり、
qは0、1または2であり
Zは独立に、OH、アリール、O−アリール、ベンジル、O−ベンジル、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、NR18(SO)R21、(SO)NR1921、(SO)R21、NR18C(O)R21、C(O)NR1921、NR18C(O)NR1921、NR18C(O)OR19、NR1921、C(O)OR19、C(O)R19、SR19、OR19、オキソ、CN、NO、ハロゲンまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
18は独立にHまたはC〜Cアルキルであり、
19およびR21はそれぞれ独立に、H;C〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル;C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−カルボキシ;C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−アリール;(C〜Cアルキル)−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、オキソ、C〜CアルキルおよびC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている];C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−O−アリール;ならびに(C〜Cアルキル)−O−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている]であり、ここで、前記アルキル基は1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C(O)NH、C(O)NHC〜CアルキルまたはC(O)N(C〜Cアルキル)で任意に置換されているか;または、
19とR21は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5〜10員ヘテロシクリルを形成しており、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリルは、OH;ハロゲン;アリール;N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロシクリル;S(O)−アリール;S(O)−C〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびC(O)OC〜Cアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリル置換基はそれら自体がC〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されている。
【請求項2】
およびRの1つは、−X−Yであり
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり、
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり、
qは2であり
19およびR21は、それぞれ独立にH;C〜Cアルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRの1つは−(CH−C(O)OR”であり、
mは3、4、5またはであり、
R”は、H;またはC〜Cアルキルである、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
は、H;1つ以上のハロゲン原子、C〜Cアルコキシ、またはHで任意に置換されているC〜Cアルキルであり、
存在する場合、R2aはHである;または
とR2aが一緒になってオキソである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
およびRは、OH、1つ以上のOH基またはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;NR1921;C(O)OR19;C(O)R19;SR19;OR19;CN;NO;およびハロゲンで任意に置換されているフェニルから独立に選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
治療有効量の請求項1からのいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および
1つ以上の薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項7】
治療有効量の請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および
第2の活性薬剤
を含む医薬組成物
【請求項8】
医薬品として使用するための、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療において使用するための、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項11】
PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療のための、請求項1からのいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項12】
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−メトキシ−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;および
7−(6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
から選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
以下の式を有する7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化2】
【請求項14】
以下の式を有する7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化3】


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロスタサイクリン(またはPGI2)は、エイコサノイドとして公知の脂質分子ファミリーのメンバーである。これは、IP受容体のアゴニストとしてのその効果を媒介する強力な血管拡張性、抗増殖性の抗血栓剤である。IP受容体は、プロスタサイクリンによる活性化によって、環状アデノシン一リン酸(cAMP)の生成を刺激するGタンパク質共役受容体である。プロスタサイクリンは、エンドセリンの血管収縮および血栓形成促進活性を中和する。
【0002】
肺動脈高血圧症(PAH)は、右心室肥大をもたらす進行性肺血管障害を特徴とする生命にかかわる疾患である。IP受容体のアゴニストの外因的投与は、PAHの治療における重要な戦略となってきている(例えば、Tuderら、Am. J. Respir. Crit. Care. Med., 1999, 159:1925-1932;Humbertら、J. Am. Coll. Cardiol., 2004, 43:13S-24S;Rosenzweig, Expert Opin. Emerging Drugs, 2006, 11:609-619;McLaughlinら、Circulation, 2006, 114:1417-1431;Rosenkranz, Clin. Res. Cardiol., 2007, 96:527-541;Driscollら、Expert Opin. Pharmacother., 2008, 9:65-81を参照されたい)。
【0003】
プロスタサイクリン類似体のエポプロステノール(フローラン(flolan))は、生存に関しては少なくとも移植と同じくらい有効である。それにもかかわらず、これは、重大な認容性、利便性およびコストの問題のため最先端の治療法としては用いられていない。その代わりに、PAHを有する患者はしばしば、エンドセリン受容体アンタゴニスト(例えば、ボセンタン)か、および/またはPDE5阻害剤(例えば、シルデナフィル)でまず治療されるが、これらは、耐性は高いが効能は限られている。プロスタサイクリン類似体は、疾患の重症度が増悪し、認容性および利便性がそれほど問題にならなくなってきたときに、アドオン型の治療として主に使用される。
【0004】
2つの主要問題が、現在、プロスタサイクリン類似体が、PAHにおける最先端の治療法として使用されることを妨げている。第一に、これらは極めて短い半減期を有する非常に不安定なものであり、これは、患者にとって不都合であり、感染症や敗血症の重大なリスクも伴う静脈留置カテーテルを通して、絶えず注入する必要があることを意味する。次に、これらは、吐き気、あごの痛み、頭痛および全身性低血圧による他の副作用を含む重大な副作用を伴う。
【0005】
これらの問題に対する1つの解決策は、認容性の問題は小さいが、短い半減期のため日に6〜9回の投与計画を要する結果となる、噴霧処方物として利用することができるイロプロストである。より最近では、研究者によって、安定で経口使用できるIP受容体アゴニストを得る努力がなされている。これらのリガンドは、患者の利便性およびコンプライアンスを改善することになりそうだが、肺内での薬力学的効果を獲得するためには高濃度の全身薬が必要となり、したがってi.v.でのフローランで見られるものと同じような副作用を生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、経口および吸入送達に適した安定で高度に選択的なIP受容体アゴニストを説明する。本発明は、既存のプロスタサイクリン類似体を凌ぐ顕著な改善を提供し、比較的軽度の患者におけるそれらの使用を可能にする。さらに、IP受容体の長期にわたる活性化はPAHに伴うリモデリングを逆転させることが分かっており、したがって、本発明でのより早い介入は、疾患の増悪に対して有意な効果をもたらすことができ、好転を示し得る可能性がある。
【0007】
さらに、薬学研究では、肺線維症の治療のためのIP受容体アゴニストの開発に相当な興味が示されている。IP欠損マウスは、野生型動物よりブレオマイシン誘導肺線維症にかかりやすいことが示されており(Lovgren AKら(2006)Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 291:L144-56)、IP受容体アゴニストのイロプロストはブレオマイシン治療されたマウスにおける生存率を増大させる(Zhuら(2010)Respir Res. 11(1):34)。
【0008】
さらに、IP受容体シグナル伝達は、動物モデルおよび患者における種々の器官の線維化状態において有益な効果を発揮することが示されている。IP受容体アゴニストの利益は、心臓、肺、皮膚、膵臓および肝臓の線維症ならびに全身性硬化症において示されている(Gayraud M(2007)Joint Bone Spine. 74(1):e1-8;Hirata Yら(2009)Biomed Pharmacother. 63(10):781-6;Kaneshige Tら(2007)J Vet Med Sci. 69(12):1271-6;Sahsivar MOら(2009)Shock 32(5):498-502;Sato Nら(2010)Diabetes 59(4):1092-100;Shouval DSら(2008)Clin Exp Rheumatol. 26(3 Suppl 49):S105-7;Spargias Kら(2009)Circulation. 120(18):1793-9;Stratton Rら(2001)J Clin Invest. 108(2):241-50;Takenaka Mら(2009)Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 80(5-6):263-7;Watanabe Mら(2009)Am J Nephrol. 30(1):1-11;Yano Tら(2005)Am J Pathol. 166(5):1333-42;Zardi EMら(2007)Expert Opin Biol Ther. 7(6):785-90;Zardi EMら(2006)In Vivo 20(3):377-80;Rehberger Pら(2009)Acta Derm Venereol. 89(3):245-9)。線維化状態は、全身にわたって、慢性炎症の症状後に大部分の器官において起こる可能性があり、共通する原因を共有しているようである。したがって、本発明のIP受容体アゴニストなどの抗線維化剤は、線維化組織リモデリングに関係するすべての症状において潜在的に有益である。
【0009】
アテローム血栓症、子癇前症など、他の疾患の治療における使用のためのIP受容体アゴニストの開発に相当な興味が持たれている。PAH管理の改善をもたらすことができる、安定で吸入されるIP受容体アゴニストの開発が非常に望ましい。
【0010】
本発明は、本明細書で説明する化合物、それらの使用方法およびその使用に関する。本発明の化合物の例は、式Iのいずれかによる化合物または薬学的に許容されるその塩および実施例化合物を含む。
【0011】
第1の態様では、下記式で表される化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する:
【0012】
【化1】

式中、
AはNまたはCR’であり;
R’は、H;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または
は−X−Yである;または
は−W−R−X−Yである;または
は−S(O)−X−Yである;または
は−S(O)−W−R−X−Yであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または
は−X−Yである;または
は−W−R−X−Yである;または
は−S(O)−X−Yである;または
は−S(O)−W−R−X−Yであり;
2aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または
とR2aは一緒になってオキソであり;
ここで、RおよびRの1つは−X−Y、−W−R−X−Y、−S(O)−X−Y;または−S(O)−W−R−X−Yであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;OR’;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲン;−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリール;−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリール;−C(=O)H;−C(=O)OH;−C(=O)NR1921およびC〜Cシクロアルキルから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており;
3aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または、
とR3aは一緒になってオキソであり;
およびRは、−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリールおよび−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されており;
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、前記Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは0、1または2であり;
は、−O−、−S−、−NHC(O)−、−CH=CH−、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはO、S、NHであるかまたは存在せず;
Zは独立に、OH、アリール、O−アリール、ベンジル、O−ベンジル、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、NR18(SO)R21、(SO)NR1921、(SO)R21、NR18C(O)R21、C(O)NR1921、NR18C(O)NR1921、NR18C(O)OR19、NR1921、C(O)OR19、C(O)R19、SR19、OR19、オキソ、CN、NO、ハロゲンまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、ここで、該ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
18は独立にHまたはC〜Cアルキルであり;
19およびR21はそれぞれ独立に、H;C〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル;C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−カルボキシ;C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−アリール;(C〜Cアルキル)−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、オキソ、C〜CアルキルおよびC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている];C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−O−アリール;ならびに、(C〜Cアルキル)−O−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている]であり;ここで、前記アルキル基は、1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C(O)NH、C(O)NHC〜CアルキルまたはC(O)N(C〜Cアルキル)で任意に置換されているか;または、
19とR21は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5〜10員ヘテロシクリルを形成しており、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリルは、OH;ハロゲン;アリール;N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロシクリル;S(O)−アリール;S(O)−C〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびC(O)OC〜Cアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリル置換基はそれら自体がC〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されている。
【0013】
本発明の種々の実施形態を本明細書で説明する。各実施形態において特定された特徴を、他の特定された特徴と一緒にして別の実施形態を提供できることを理解されよう。
【0014】
定義
本明細書で使用する用語は以下の意味を有する:
「任意に置換されている(optinally substituted)」とは、その参照された基が、以下にあげる基のいずれか1つまたはその任意の組合せによって、1つ以上の位置で置換されていてもよいことを意味する。
【0015】
「1つ以上のZ基によって任意に置換されている」とは、その関連する基が、それぞれがZの定義に含まれる基から独立に選択される1つ以上の置換基を含むことができることを表す。したがって、2つ以上のZ基置換基が存在する場合、これらは同じであっても異なっていてもよい。
【0016】
本明細書で用いる「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0017】
本明細書で用いる「C〜C−アルキル」は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルを表す。CまたはCなどのような異なる数の炭素原子が指定されている場合、その定義はそれに応じて修正されるべきである。例えば、「C〜C−アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを表すことになる。
【0018】
本明細書で用いる「C〜C−アルコキシ」は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルコキシを表す。CまたはCなどのような異なる数の炭素原子が指定されている場合、その定義はそれに応じて修正されるべきである。例えば、「C〜C−アルコキシ」はメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシを表すことになる。
【0019】
本明細書で用いる「C〜Cハロアルキル」は、少なくとも1個の水素がハロゲンで置換されている、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキルを表す。CまたはCなどのような異なる数の炭素原子が指定されている場合、その定義はそれに応じて修正されるべきである。例えば、「C〜Cハロアルキル」は、少なくとも1個の水素がハロゲンで置換されているメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、例えばそのハロゲンがフッ素である場合:CFCF−、(CFCH−、CH−CF−、CFCF−、CF、CFH−、CFCFCHCFまたはCFCFCFCF−を表すことになる。
【0020】
「アルキレン」という用語は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキレン(二価アルキル鎖)、例えばメチレン、エチレン、1−メチルエチレン、2−メチルエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレンおよびオクタメチレンである。
【0021】
本明細書で用いる「C〜C15シクロアルキル」は、3〜15個の環炭素原子を有する飽和または部分飽和の炭素環基、例えばC〜Cシクロアルキルを表す。C〜C15炭素環基の例には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルもしくはシクロオクチルまたは二環式基、例えばビシクロオクチル、インダニルおよびインデニルを含むビシクロノニルならびにビシクロデシルが含まれる。Cなどのような異なる数の炭素原子が指定されている場合、その定義はそれに応じて修正されるべきである。
【0022】
本明細書で用いる「アリール」または「C〜C15芳香族炭素環基」は、6〜15個の環炭素原子を有する芳香族基を表す。C〜C15芳香族炭素環基の例には、これらに限定されないが、フェニル、フェニレン、ベンゼントリル、ナフチル、ナフチレン、ナフタレントリルまたはアントリレンが含まれる。C10などのような異なる数の炭素原子が指定されている場合、その定義はそれに応じて修正されるべきである。
【0023】
「4〜8員ヘテロシクリル」、「5〜6員ヘテロシクリル」、「3〜10員ヘテロシクリル」、「3〜14員ヘテロシクリル」、「4〜14員ヘテロシクリル」および「5〜14員ヘテロシクリル」は、それぞれ、窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、飽和、部分飽和または不飽和(芳香族)であってもよい4〜8員、5〜6員、3〜10員、3〜14員、4〜14員および5〜14員の複素環式環を指す。ヘテロシクリルには、単環基、縮合環基および架橋基が含まれる。そうしたヘテロシクリルの例には、これらに限定されないが、フラン、ピロール、ピロリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、イソトリアゾール、テトラゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピペリジン、ピラジン、オキサゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリジノン、モルホリン、トリアジン、オキサジン、テトラヒドロフラン(tetrahyrofuran)、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、1,4−オキサチアン、インダゾール、キノリン、インダゾール、インドール、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、2,3−ジヒドロベンゾフランまたはチアゾールが含まれる。
【0024】
「ヘテロアリール」はヘテロシクリルのサブセットであり、完全に不飽和なものである(芳香族性の)。そうした基の例は、ピリジンおよびピラジンである。
【0025】
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語は−OHを有する基を含む。
【0026】
「ヘテロ原子」という用語は、炭素または水素以外の任意の元素からなる原子を含む。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、硫黄およびリンである。一実施形態では、「ヘテロ原子」は窒素、硫黄および酸素を含む。
【0027】
「カルボキシ」という用語はカルボン酸を指す。
【0028】
「アルコキシカルボキシ」という用語はエステルを指す。
【0029】
「カルバモイル」という用語は−C(O)NHである。「モノアルキルカルバモイル」および「ジアルキルカルバモイル」という用語は、その水素または窒素上の水素が上述したようなC〜Cアルキルで置換されているカルバモイルである。
【0030】
第1の態様の実施形態(i)では、
およびRのうちの1つは−X−Y、−W−R−X−Y、−S(O)−X−Yまたは−S(O)−W−R−X−Yであり;
Wはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yはカルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは2であり;
は−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOであり;
19およびR21はそれぞれ独立にH;C〜Cアルキルである。
【0031】
第1の態様の実施形態(ii)では、
およびRのうちの1つは−X−Yまたは−W−R−X−Yであり;
Wはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yはカルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは2であり;
は−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOであり;
19およびR21はそれぞれ独立にH;C〜Cアルキルである。
【0032】
第1の態様の実施形態(iii)では、
およびRのうちの1つは−X−Yまたは−W−R−X−Yであり;
Wはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは−C(O)OHであり;
は−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOである。
【0033】
第1の態様の実施形態(iv)では、
およびRの1つは−(CH−C(O)OR”または−(CH−R−(CH−C(O)OR”であり;
mは1、2、3、4、5、6、7または8であり;
nは0、1、2または3であり;
R”はH;または1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
は、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOである。
【0034】
第1の態様の実施形態(v)では、
およびRの1つは−(CH−C(O)OR”であり;
mは3、4、5、6、7または8であり;
R”はH;または1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルである。
【0035】
第1の態様の実施形態(vi)では、
およびRの1つは−(CH−C(O)OR”であり;
R”はHであり;
mは4、5または6である。
【0036】
第1の態様の実施形態(vii)では、
およびRの1つは、
【0037】
【化2】

である。
【0038】
第1の態様の実施形態(viii)では、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、OHまたはOR’で任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
2aはHである;または
とR2aは一緒にオキソであり;
R’はH、C〜Cアルキルである。
【0039】
第1の態様の実施形態(ix)では、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、OHまたはOR’で任意に置換されているC〜Cアルキルである。
【0040】
第1の態様の実施形態(x)では、
は、H;1つ以上のハロゲン原子またはC〜Cシクロアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキルである。
【0041】
第1の態様の実施形態(xi)では、
はHである。
【0042】
第1の態様の実施形態(xii)では、
およびR3aは、H;1つ以上のハロゲン原子またはOHで任意に置換されているC〜Cアルキル;−C(=O)HおよびOHから独立に選択される;またはRとR3aは一緒になってオキソである。
【0043】
第1の態様の実施形態(xiii)では、
およびRは、C〜C14アリールおよび5〜6員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記ヘテロアリールはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、1つ以上のZ置換基で任意に置換されている。
【0044】
第1の態様の実施形態(xiv)では、
およびRは、フェニル;2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジルから独立に選択され、ここで、前記フェニル、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルはそれぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されている。
【0045】
第1の態様の実施形態(xv)では、
およびRは、OH、1つ以上のOH基またはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;NR1921;C(O)OR19;C(O)R19;SR19;OR19;CN;NO;およびハロゲンによって任意に置換されているフェニルから独立に選択される。
【0046】
第1の態様の実施形態(xvi)では、
およびRは、1つ以上のOH基またはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびハロゲンによって任意に置換されているフェニルから独立に選択される。
【0047】
第1の態様の実施形態(xvii)では、
およびRは、C〜Cアルコキシまたはハロゲンおよび1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルで任意に置換されているフェニルから独立に選択される。
【0048】
第1の態様の実施形態(xviii)では、
およびRは、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはハロゲンで任意に置換されているフェニルから独立に選択される。
【0049】
第1の態様の実施形態(ixx)では、
は、
【0050】
【化3】

であり;
は、
【0051】
【化4】

である。
【0052】
第1の態様の実施形態(xx)では、AはNである。
【0053】
第1の態様の実施形態(xxi)では、AはCR’である。
【0054】
第1の態様の実施形態(xxii)では、R’はHである。
【0055】
第1の態様の実施形態(xxiii)では、式Ibは以下の立体化学:
【0056】
【化5】

を有する。
【0057】
第1の態様の実施形態(xxiv)では、その化合物は、
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
エチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
エチル7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル;
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;3
7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
エチル7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
エチル7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−メトキシ−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
エチル7−(2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)−ペンタン酸;
2−(5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)酢酸;
7−(6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(4−メトキシ−フェニル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(2,3−ビス(4−クロロフェニル)−6−シクロプロピル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(4−エチルフェニル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−m−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(4−エチルフェニル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(4−メトキシフェニル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(m−トリル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(m−トリル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
5−(6−シクロプロピル−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ペンタン酸;
6−(6−シクロプロピル−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘキサン酸;
7−(7−(メトキシメチル)−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−オキソ−2,3−dip−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(2,3−dip−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;および
7−(6,7−ジエチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
または薬学的に許容されるその塩から選択される。
【0058】
第2の態様では、本発明は、第1の態様で定義された化合物、または医薬品として使用するために本明細書のどこかで定義されるような薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0059】
IP受容体を活性化させることは、有益な効果を有する、または以下の疾患または障害、すなわち:
特発性PAH;家族性PAH;強皮症、CREST症候群、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、関節リウマチ、高安動脈炎、多発性筋炎および皮膚筋炎から選択される膠原血管病に付随するPAH;個体における心房中隔欠損症(ASD)、心室中隔欠損症(VSD)および動脈管開存症から選択される先天性心疾患に付随するPAH;門脈高血圧症に付随するPAH;HIV感染症に付随するPAH;薬物または毒素の摂取に付随するPAH;遺伝性出血性毛細血管拡張症に付随するPAH;脾臓摘出に付随するPAH;重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAH;肺静脈閉塞性疾患(PVOD)に付随するPAH;ならびに肺毛細管血管腫症(PCH)に付随するPAHから選択されるPAH;レイノー病およびレイノー症候群を含むレイノー現象;肺線維症、全身性硬化症/強皮症、肝臓線維症/肝硬変症、腎臓線維症を含む線維症;過剰な血小板凝集に付随する血栓性疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、狭心症、脳梗塞、虚血再かん流傷害、再狭窄、心房性細動、血塊の形成、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、ぜんそく、ぜんそくの症状、糖尿病関連障害、糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、緑内障または異常眼圧を有する目の他の疾患、高血圧症、子癇前症、炎症、COX−1、COX−2および非選択的COX阻害剤の望ましくない副作用の予防、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、クローン病、移植片拒絶反応、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、潰瘍性大腸炎、虚血再かん流傷害、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、座瘡、1型糖尿、2型糖尿、敗血症ならびに慢性閉塞性肺障害(COPD)を治療することが知られている。
【0060】
したがって、本発明の第3の態様では、上記疾患または障害から選択される障害の治療において使用するための、第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0061】
本発明の第3の態様の一実施形態では、上述したようなPAHの治療において使用するための、第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0062】
本発明の第4の態様では、肺動脈高血圧症の治療用の医薬品を製造するための、第1の態様および上記実施形態のいずれかにおいて定義したような化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0063】
本発明の第4の態様の一実施形態は、特発性PAH;家族性PAH;強皮症、CREST症候群、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、関節リウマチ、高安動脈炎、多発性筋炎および皮膚筋炎から選択される膠原血管病に付随するPAH;個体における心房中隔欠損症(ASD)、心室中隔欠損症(VSD)および動脈管開存症から選択される先天性心疾患に付随するPAH;門脈高血圧症に付随するPAH;HIV感染症に付随するPAH;薬物または毒素の摂取に付随するPAH;遺伝性出血性毛細血管拡張症に付随するPAH;脾臓摘出に付随するPAH;重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAH;肺静脈閉塞性疾患(PVOD)に付随するPAH;ならびに肺毛細管血管腫症(PCH)に付随するPAHから選択されるPAHの治療用の医薬品を製造するための、第1の態様および上記実施形態のいずれかにおいて定義したような化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0064】
第5の態様では、本発明は、そうした治療を必要とする対象に有効量の本明細書で説明される少なくとも1つの化合物を投与することを含む、IP受容体によって媒介される状態または疾患、特にPAHを予防または治療するための方法を提供する。そうしたIP受容体によって媒介される状態または疾患は、特発性PAH;家族性PAH;強皮症、CREST症候群、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、関節リウマチ、高安動脈炎、多発性筋炎および皮膚筋炎から選択される膠原血管病に付随するPAH;個体における心房中隔欠損症(ASD)、心室中隔欠損症(VSD)および動脈管開存症から選択される先天性心疾患に付随するPAH;門脈高血圧症に付随するPAH;HIV感染症に付随するPAH;薬物または毒素の摂取に付随するPAH;遺伝性出血性毛細血管拡張症に付随するPAH;脾臓摘出に付随するPAH;重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAH;肺静脈閉塞性疾患(PVOD)に付随するPAH;ならびに肺毛細管血管腫症(PCH)に付随するPAHから選択される。
【0065】
IP受容体によって媒介される他の状態または疾患は、血小板凝集、冠動脈疾患、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、狭心症、脳梗塞、虚血再かん流傷害、再狭窄、心房性細動、血餅の形成、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、ぜんそく、ぜんそくの症状、糖尿病関連障害、糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、緑内障または異常眼圧を有する目の他の疾患、高血圧症、炎症、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、クローン病、移植片拒絶反応、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、潰瘍性大腸炎、虚血再かん流傷害、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、座瘡、1型糖尿、2型糖尿、敗血症および慢性閉塞性肺障害(COPD)から選択される。
【0066】
本明細書を通して、また以下の請求項において、文脈により異なった形で求められない限り、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形体は、言及された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むが、他の任意の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を排除するものではないことを意味すると理解すべきである。
【0067】
本明細書で用いる「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性および特性を保持し、一般に、生物学的にまたはそれ以外で望ましくないということのない塩を指す。多くの場合、第1の態様で定義された化合物は、アミノおよび/またはカルボキシル基またはそれらに類似した基の存在によって、酸および/または塩基塩を形成することができる。
【0068】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸で形成させることができ、例えば酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシレート、ブロミド/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、クロリド/塩酸塩、クロロテオフィリン酸塩(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨージド、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシレート、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩であってもよい。
【0069】
塩を誘導できる無機酸には、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。
【0070】
塩を誘導できる有機酸には、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ(naphtoic)酸およびスルホサリチル酸が含まれる。
【0071】
薬学的に許容される塩基付加塩は無機および有機塩基で形成させることができる。
【0072】
塩を誘導できる無機塩基には、例えばアンモニウム塩および周期律表の縦列I〜XIIからの金属が含まれる。特定の実施形態では、塩はナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛および銅から誘導され;特に適切な塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が含まれる。
【0073】
塩を誘導できる有機塩基には、例えば第一、第二および第三アミン、天然由来の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる。具体的な有機アミンには、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リシン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが含まれる。
【0074】
本発明の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学的手法によって、親化合物、塩基性または酸性部分から合成することができる。一般に、そうした塩は、遊離酸形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、MgまたはKの水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩または同様のもの)と反応させる、または遊離塩基形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な酸と反応させることによって調製することができる。そうした反応は、一般に、水もしくは有機溶媒中またはこの2つの混合液中で実施される。実施可能な場合、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、アセトンまたはアセトニトリルのような非水性媒体の使用が望ましい。適切な追加的塩のリストは、例えばStahl and Wermuth(Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)による「Remington’s Pharmaceutical Sciences」, 20th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa.,(1985);および「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use」に見ることができる。
【0075】
さらに、それらの塩を含む第1の態様で定義された化合物は、それらの水和物の形態で得ることもでき、または、それらの結晶化に使用された他の溶媒を含むこともできる。
【0076】
水素結合のための供与体および/または受容体として作用できる基を含む第1の態様で定義された化合物は、適切な共結晶形成物質(co-crystal former)と共結晶を形成することができる。これらの共結晶は、公知の共結晶形成手順で第1の態様で定義された化合物から調製することができる。そうした手順は、粉砕、加熱、共昇華、共溶融、または溶液中での第1の態様で定義された化合物と共結晶形成物質の結晶化条件での接触およびそれによって形成される共結晶の単離を含む。適切な共結晶形成物質には、WO2004/078163に記載されているものが含まれる。したがって、本発明は、第1の態様で定義された化合物を含む共結晶をさらに提供する。
【0077】
本明細書で用いる「光学異性体」または「立体異性体」という用語は、本発明の所与の化合物について存在することができる種々の立体的異性体配置のいずれかを指し、それには、幾何異性体が含まれる。置換基は炭素原子のキラル中心で結合していてもよいことを理解すべきである。したがって、本発明は、その化合物の鏡像異性体、ジアステレオマーまたはラセミ化合物を含む。「鏡像異性体」は、お互いに重ね合わせ不可能な鏡像である立体異性体の対である。鏡像異性体の対の1:1混合物は「ラセミ」混合物である。この用語は、適切な場合に、ラセミ混合物を指定するのに使用される。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2個の非対称原子を有するが、それらが互いの鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン・インゴルド・プレローグR−Sシステムにしたがって指定される。ある化合物が純粋な鏡像異性体である場合、各キラル炭素での立体化学はR型かまたはS型で特定することができる。それらの絶対配置が未知である分割化合物は、それらが、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させるその方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)型または(−)型で指定することができる。本明細書で説明する化合物のいくつかは1つ以上の非対称中心または軸を含み、したがって、絶対立体化学に関して、(R)型または(S)型のような、定義することができる鏡像異性体、ジアステレオマーおよび他の立体異性形態をもたらすことができる。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間体混合物を含むそうした可能な異性体すべてを含むことを意味するものとする。光学的に活性な(R)型および(S)型異性体は、キラルシントンもしくはキラルな試薬を用いて調製するか、または慣用的技術を用いて分割することができる。化合物が二重結合を含む場合、その置換基はE型配置であってもZ型配置であってもよい。化合物が二置換シクロアルキルを含む場合、そのシクロアルキル置換基はcis型配置またはtrans型配置を有することができる。すべての互変異性形態も含まれるものとする。
【0078】
本発明の化合物の任意の非対称原子(例えば、炭素または同様のもの)は、ラセミ配置または鏡像異性体的に濃縮された、例えば(R)型、(S)型または(R,S)型配置で存在することができる。特定の実施形態では、各非対称原子は、(R)型または(S)型配置において、少なくとも50%の鏡像異性体過剰率、少なくとも60%の鏡像異性体過剰率、少なくとも70%の鏡像異性体過剰率、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率または少なくとも99%の鏡像異性体過剰率を有する。不飽和結合を有する原子での置換基は、可能であれば、cis−(Z)型またはtrans−(E)型の形態で存在することができる。
【0079】
したがって、本明細書で使用するように、本発明の化合物は、例えば実質的に純粋な幾何(cisまたはtrans)異性体、ジアステレオマー、光学異性体(対掌体)、ラセミ化合物またはその混合物のような、可能な異性体、回転異性体、アトロプ異性体、互変異性体またはその混合物の1つの形態であってもよい。
【0080】
異性体の得られる任意の混合物は、構成要素の物理化学的差異に基づいて、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって、純粋なもしくは実質的に純粋な幾何または光学異性体、ジアステレオマー、ラセミ化合物に分離することができる。
【0081】
最終生成物または中間体の得られる任意のラセミ化合物は、公知の方法、例えば、光学的に活性な酸または塩基で得られるそのジアステレオマー塩の分離、および光学的に活性な酸性または塩基性化合物の遊離によって、光学的対掌体に分割することができる。具体的には、塩基性部分を、例えば、光学的に活性な酸、例えば酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジ−O,O’−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸またはカンファー−10−スルホン酸で形成される塩の分別結晶化によって、第1の態様で定義された化合物をそれらの光学的対掌体に分割するのに用いることができる。ラセミ生成物は、キラルクロマトグラフィー、例えばキラル吸着剤を用いた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)で分割することもできる。
【0082】
第1の態様で定義された化合物は医薬組成物における使用を目的としているので、それらは、それぞれ実質的に純粋な形態、例えば少なくとも60%の純度、より適切には少なくとも75%の純度、好ましくは少なくとも85%、特に少なくとも98%の純度(%は重量ベースでの重量にもとづく)で提供されることを容易に理解されよう。これらの化合物の不純な調製物は、医薬組成物で使用されるより純粋な形態を調製するのに使用することができ;これらの化合物のより純度の低い調製物は、少なくとも1%、より適切には少なくとも5%、好ましくは10〜59%の本発明の化合物を含むはずである。
【0083】
第1の態様で定義された化合物は、その塩としてまたはそのプロドラッグ誘導体として遊離形態で得られる。
【0084】
塩基性基と酸性基の両方が同じ分子中に存在する場合、第1の態様で定義された化合物は、内部塩、例えば両性分子を形成することもできる。
【0085】
本発明は、インビボで第1の態様で定義された化合物に転換される第1の態様で定義された化合物のプロドラッグも提供する。プロドラッグは、対象へのプロドラッグの投与に続いて、加水分解、代謝などのインビボでの生理学的作用によって本発明の化合物に化学的に改変される活性または不活性な化合物である。プロドラッグを作製し使用するのに関係する適合性および技術は当業者に周知である。プロドラッグは、概念的に、非排他的なカテゴリーの生物前駆体(bioprecursor)プロドラッグと担体プロドラッグに分けることができる。The Practice of Medicinal Chemistry, Ch. 31-32(Ed. Wermuth, Academic Press, San Diego, Calif., 2001)を参照されたい。一般に、生物前駆体プロドラッグは、1つ以上の保護基を含み代謝または加溶媒分解によって活性形態に転換される、対応する活性薬物化合物と比較して不活性であるかまたは低い活性しかもたない化合物である。活性薬物形態と放出された任意の代謝産物のどちらも許容される低い毒性を有していなければならない。
【0086】
担体プロドラッグは輸送部分を含む、例えば摂取および/または作用部位への局所的送達を改善する薬物化合物である。薬物部分と輸送部分の結合は共有結合であり、プロドラッグが不活性であるかまたはその薬物化合物より活性が小さく、放出されるいずれの輸送部分も許容される非毒性であることが、そうした担体プロドラッグにとって望ましい。輸送部分が摂取を増進させるためのものであるプロドラッグのためには、一般に、その輸送部分の放出は急速でなければならない。他の場合では、遅延放出を提供する部分、例えば特定のポリマーまたはシクロデキストリンなどの他の部分を利用することが望ましい。担体プロドラッグは、例えば以下の特性:高い親油性、薬理学的効果の期間の増大、高い部位特異性、低い毒性および有害反応の1つ以上を改善するため、かつ/または製剤における改善(例えば、安定性、水溶性、望ましくない感覚刺激性または生理化学的特性の抑制)に使用することができる。例えば、親油性は、(a)親油性カルボン酸(例えば、少なくとも1つの親油性部分を有するカルボン酸)を有するヒドロキシル基、または(b)親油性アルコール(例えば、少なくとも1つの親油性部分を有するアルコール、例えば脂肪族アルコール)を有するカルボン酸基のエステル化によって増大させることができる。
【0087】
プロドラッグの例は、例えば遊離カルボン酸のエステルならびにチオールのS−アシル誘導体およびアルコールまたはフェノールのO−アシル誘導体である。ここで、アシルは本明細書で定義する意味を有する。適切なプロドラッグは、しばしば、生理学的条件下での加溶媒分解によって親カルボン酸に転換可能な薬学的に許容されるエステル誘導体、例えば低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、モノ−もしくはジ−置換低級アルキルエステル、例えばω−(アミノ、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ−低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル、例えばピバロイルオキシメチルエステルならびに当技術分野で慣用的に使用される同様のものである。さらに、アミンは、インビボでエステラーゼによって切断され、遊離薬物およびホルムアルデヒドを放出する、アリールカルボニルオキシメチル置換誘導体としてマスキングされている(Bundgaard, J. Med. Chem. 2503(1989))。さらに、イミダゾール、イミド、インドールなどの酸性NH基を含む薬物は、N−アシルオキシメチル基でマスキングされている(Bundgaard, Design of Prodrugs, Elsevier(1985))。ヒドロキシ基はエステルおよびエーテルとしてマスキングされている。欧州特許第039,051号(SloanおよびLittle)は、マンニッヒ塩基ヒドロキサム酸プロドラッグ、それらの調製および使用を開示している。
【0088】
本明細書で示す任意の式は、それらの化合物の標識されていない形態ならびに同位体で標識された形態も表すものとする。同位体で標識された化合物は、1つ以上の原子が選択された原子質量または質量数を有する原子で置き換えられていること以外は、本明細書で示す式によって表される構造を有する。第1の態様で定義された化合物中に取り込むことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、11C、13C、14C、15N、1831P、32P、35S、36Cl、125Iが含まれる。本発明は、種々の同位体で標識された本明細書で定義する化合物、例えばその中にH、13Cおよび14Cなどの放射性同位体が存在するものを含む。そうした同位体で標識された化合物は、代謝研究(14Cを用いて)、反応速度論研究(例えばHまたはHを用いて)、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放射断層撮影法(PET)または単光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)などの検出または画像技術、または患者の放射線治療において有用である。特に、18Fまたは標識された化合物はPETまたはSPECT試験に特に望ましい可能性がある。同位体で標識された本発明の化合物およびそのプロドラッグは、一般に、同位体で標識されていない試薬を、容易に利用できる同位体で標識された試薬で置き換えて、以下で説明するスキームまたは実施例および調製例で開示される手順を実施することによって調製することができる。
【0089】
さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわち、HまたはD)での置換は、より高い代謝安定性によりもたらされる特定の治療上の利点、例えばインビボでの半減期の増大、必要用量の減少または治療指数の改善を提供することができる。この関連での重水素は、第1の態様で定義された化合物の置換基と見なされることを理解すべきである。そうしたより重い同位体、特に重水素の濃度は同位体濃縮係数で規定することができる。本明細書で用いる「同位体濃縮係数」という用語は、特定の同位体の同位体存在度と天然存在度の比を意味する。本発明の化合物中の置換基が重水素と表示されている場合、そうした化合物は、各指定重水素原子について、少なくとも3500(指定された各重水素原子での52.5%の重水素取り込み)、少なくとも4000(60%の重水素取り込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素取り込み)、少なくとも5000(75%の重水素取り込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素取り込み)、少なくとも6000(90%の重水素取り込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素取り込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素取り込み)、少なくとも6600(99%の重水素取り込み)または少なくとも6633.3(99.5%の重水素取り込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0090】
同位体で標識された第1の態様で定義された化合物は、一般に、それまでに使用した同位体で標識されていない試薬の代わりに同位体で標識された適切な試薬を用いて、当業者に公知の慣用的な技術または添付の実施例および調製例に記載されているものと類似したプロセスによって調製することができる。
【0091】
本発明による薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化の溶媒が同位体で置換されていてもよいもの、例えばDO、d−アセトン、d−DMSOを含む。
【0092】
合成
一般的に、式Iによる化合物または薬学的に許容されるその塩は、スキーム1〜5および実施例に記載する経路で合成することができる。
【0093】
【化6】
【0094】
スキーム1はステップ1の臭素化で開始される。ステップ2は園頭カップリングである。ステップ3は環化である。ステップ4はアルキル化である。ステップ5および6は後続する鈴木反応である。ステップ7は、必要に応じて、エステル加水分解である。A、R、R、RおよびRは、発明を列挙した節(consistory clauses)の実施形態1に定義されている通りである。
【0095】
【化7】
【0096】
スキーム2はステップ1のヨウ素化で開始される。ステップ2は鈴木カップリングである。ステップ3は臭素化である。ステップ4は園頭カップリングである。ステップ5は環化である。ステップ6はアルキル化である。ステップ7は、必要に応じて、エステル加水分解である。A、R、R、RおよびRは、発明を列挙した節の実施形態1に定義されている通りである。
【0097】
【化8】
【0098】
スキーム3はステップ1のヨウ素化で開始される。ステップ2は鈴木カップリングである。ステップ3は臭素化である。ステップ4は園頭カップリングである。ステップ5は環化である。ステップ6はアルキル化である。ステップ7は、フィルスマイヤーホルミル化(Vilsmeyer formylation)、続く還元的アミノ化か;または酸化および続くカップリング;または還元、必要に応じて、続くアルキル化;または臭素化、続くアルキル化、または鈴木カップリングもしくはグリニャールであり、ステップ8は、必要に応じて、エステル加水分解である。A、R、R、R、RおよびRは、発明を列挙した節の実施形態1に定義されている通りである。
【0099】
【化9】
【0100】
スキーム4はステップ1のヨウ素化で開始される。ステップ2は鈴木カップリングである。ステップ3は臭素化である。ステップ4は園頭カップリングである。ステップ5は環化である。ステップ6はアルキル化である。ステップ7は水素化であり、ステップ8は、必要に応じて、エステル加水分解である。
【0101】
【化10】
【0102】
スキーム5はステップ1のヨウ素化で開始される。ステップ2は鈴木カップリングである。ステップ3は臭素化である。ステップ4は園頭カップリングである。ステップ5は環化である。ステップ6はアルキル化である。ステップ7は、必要に応じて、エステル加水分解である。ステップ8は臭素化(NBS)、続く水素化である。
【0103】
当業者は、上記に詳述した概略的合成経路は、要求に応じて出発原料を変換するための一般的反応を示していることを理解されよう。具体的な反応条件は提供されていないが、これらは当業者に周知のものであり、適切な条件は、当業者の一般的な知見の範囲内であるものと考えられる。
【0104】
出発原料は市販されている化合物かまたは公知の化合物であり、有機化学技術分野で記載されている手順により調製することができる。
【0105】
遊離形態の第1の態様で定義された化合物を、当業者に理解されている慣用的な方法で塩形態に転換させることができ、その逆も可能である。遊離形態または塩形態の化合物は、結晶化に使用された溶媒を含む水和物または溶媒和物の形態で得ることができる。第1の態様で定義された化合物を、慣用的な方法で、反応混合物から回収し精製することができる。立体異性体などの異性体は、慣用的な方法、例えば分別結晶化、またはそれに応じて非対称的に置換された、例えば光学的に活性な出発原料から非対称合成によって得ることができる。
【0106】
第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩は、例えば以下および実施例において説明する反応および技術を用いて調製することができる。反応は、使用する試薬および材料に適合しており、その変換が行われるのに適している溶媒中で実施することができる。有機合成分野の技術者は、分子上に存在する官能基が、提起されている変換と合致するものでなければならないことを理解されよう。これによって、所望の本発明の化合物を得るために、合成ステップの順番を改変する、または他のものを凌ぐ特定の1つのプロセススキームを選択するための判断が必要となることがある。
【0107】
以下の反応スキームに示した合成中間体および最終生成物上の種々の置換基は、当業者に理解されるように状況によって適切な保護基を用いてそれらが十分変化した(elaborated)形態か、または、当業者に周知の方法で、後でそれらの最終形態に変化し得る前駆体形態で存在することができる。置換基は、合成シーケンスを通じて様々な段階で、または合成シーケンスの完了後に添加することもできる。多くの場合、一般的に使用される官能基の操作を、1つの中間体を別の中間体に、または、第1の態様に定義したような1つの化合物を第1の態様に定義したような別の化合物に変換するために用いることができる。そうした操作の例は、エステルまたはケトンのアルコールへの転換;エステルのケトンへの転換;エステル、酸およびアミドの相互転換;アルコールおよびアミンのアルキル化、アシル化およびスルホニル化;その他の多くのものである。アルキル化、アシル化、ハロゲン化または酸化などの一般的な反応を用いて、置換基を付加させることもできる。そうした操作は当技術分野で周知であり、多くの参考資料にそうした操作のための手順および方法がまとめられている。多くの官能基操作のための有機合成の例および主要文献への参照ならびに有機合成の技術分野で一般的に使用される他の変換を示すいくつかの参考資料は、March’s Organic Chemistry, 5th Edition, Wiley and Chichester, Eds.(2001);Comprehensive Organic Transformations, Larock, Ed., VCH(1989);Comprehensive Organic Functional Group Transformations, Katritzkyら(series editors), Pergamon(1995);およびComprehensive Organic Synthesis, Trost and Fleming(series editors), Pergamon(1991)である。本分野での任意の合成経路の計画における他の主要な考慮すべき事項は、本発明で説明する化合物中に存在する反応性官能基の保護のために用いられる保護基の慎重な選択であることも理解されよう。同じ分子内の複数の保護基は、同じ分子中の他の保護基を取り外すことなくこれらの保護基のそれぞれを取り外すか、または、複数の保護基を、所望する結果に応じて、同じ反応ステップを用いて取り外すことができるように選択することができる。熟練実務者への多くの代替案を記載している信頼すべき報告はGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley and Sons, 4th Edition(2006)である。
【0108】
薬理学的活性
本明細書で開示する化合物はIP受容体を活性化するものであり、いくつかの疾患または障害の治療およびその症状の改善において有用である。これらは以下のものを含むが、これらに限定されない:
【0109】
肺動脈高血圧症(PAH)
PAHは多因子性の病理生物学を有する。血管収縮、肺血管壁のリモデリングおよび血栓症は、PAHにおける肺血管抵抗性の増進をもたらす(Humbertら、J. Am. Coll. Cardiol., 2004, 43:13S-24S)。本明細書で開示される第1の態様で定義された化合物は、肺動脈高血圧症(PAH)およびその症状の治療に有用である。PAHは、2003年の世界保健機関(WHO)の肺動脈高血圧症の臨床的分類に記載されている以下の形態の肺動脈高血圧症:すなわち、特発性PAH(BPAH);家族性PAH(FPAH);他の状態に付随するPAH(APAH)、例えば膠原血管病に付随するPAH、先天性全身−肺シャント(congenital systemic-to-pulmonary shunt)に付随するPAH、門脈高血圧症に付随するPAH、HTV感染症に付随するPAH、薬物または毒素に付随するPAH、またはその他に付随するPAH;および重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。特発性PAHは原因が未確定なPAHを指す。家族性PAHはそのために遺伝的継承が疑われるまたは確認されているPAHを指す。膠原血管病に付随するPAHは、強皮症に付随するPAH、CREST(皮膚石灰沈着症、レイノー現象、食道機能不全、手指硬化症および毛細血管拡張症)症候群に付随するPAH、全身性紅斑性狼瘡(SLE)に付随するPAH、関節リウマチに付随するPAH、高安動脈炎に付随するPAH、多発性筋炎に付随するPAH、および皮膚筋炎に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。先天性全身−肺シャント(congenital systerruc-to-pulmonary shunt)に付随するPAHは、心房中隔欠損症(ASD)に付随するPAH、心室中隔欠損症(VSD)に付随するPAHおよび動脈管開存症に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。
【0110】
薬物または毒素に付随するPAHは、アミノレックスの摂取に付随するPAH、フェンフルラミン化合物の摂取に付随するPAH(例えば、フェンフルラミンの摂取に付随するPAHまたはデクスフェンフルラミンの摂取に付随するPAH)、特定の有毒油の摂取に付随するPAH(例えば、菜種油の摂取に付随するPAH)、ピロリジジンアルカロイドの摂取に付随するPAH(例えば、ブッシュティーの摂取に付随するPAH)およびモノクロタリンの摂取に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。その他に付随するPAHは、甲状腺障害に付随するPAH、グリコーゲン貯蔵症に付随するPAH、ゴーシェ病に付随するPAH、遺伝性出血性毛細血管拡張症に付随するPAH、異常血色素症に付随するPAH、骨髄増殖性障害に付随するPAHおよび脾臓摘出に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAHは、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)に付随するPAHおよび肺毛細管血管腫症(PCH)に付随するPAHを包含するものと理解すべきである(例えば、Simonneauら、J. Am. Coll. Cardiol., 2004, 43:5S-12S;McGoonら、Chest, 2004, 126:14S-34S;Rabinovitch, Annu. Rev. Pathol. Mech. Dis., 2007, 2:369-399;McLaughlinら、Circulation, 2006, 114:1417-1431;Straussら、Clin. Chest. Med., 2007, 28:127-142;Taichmanら、Clin. Chest. Med., 2007, 28:1-22を参照されたい)。
【0111】
PAHの強皮症との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果は、Badeschら(Badeschら、Ann. Intern. Med., 2000, 132:425-434)によって示されている。PAHと膠原血管病混合結合組織病(MCTD)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、シェーグレン症候群およびCREST症候群との関連についての証拠ならびにPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はHumbertら(Eur. Respir. J., 1999, 13:1351-1356)によって示されている。PAHとCREST症候群との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はMiwaら(Int. Heart J., 2007, 48:417-422)によって示されている。PAHとSLEとの関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はRobbinsら(Chest, 2000, 117:14-18)によって示されている。PAHとHIV感染症との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益性はAguilarら(Am. J. Respir. Crit. Care Med., 2000, 162:1846-1850)によって示されている。PAHと先天性心臓欠陥(ASD、VSDおよび動脈管開存症を含む)との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はRosenzweigら(Circulation, 1999, 99:1858-1865)によって示されている。
【0112】
PAHとフェンフルラミンおよびデクスフェンフルラミン、食欲抑制因子との関連についての証拠はArcherら(Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1998, 158:1061-1067)によって示されている。PAHと遺伝性出血性毛細血管拡張症との関連についての証拠はMcGoonら(Chest, 2004, 126:14-34)によって示されている。PAHと脾臓摘出との関連についての証拠はHoeperら(Ann. Intern. Med., 1999, 130:506-509)によって示されている。PAHと門脈高血圧症との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はHoeperら(Eur. Respir. J., 2005, 25:502-508)によって示されている。
【0113】
PAHの症状には、呼吸困難、狭心症、失神および浮腫が含まれる(McLaughlinら、Circulation, 2006, 114:1417-1431)。本明細書で開示する第1の態様で定義された化合物はPAHの症状の治療に有用である。
【0114】
抗血小板治療(血小板凝集に関係する状態)
抗血小板剤(抗血小板物質)は様々な状態に対して処方される。例えば、冠動脈疾患において、これらは、閉塞性血塊を増進させるリスクがある(例えば、冠状動脈血栓症)患者における心筋梗塞または脳梗塞を予防する助けとなるように使用される。
【0115】
心筋梗塞において、冠状動脈血管における閉塞の結果として、心筋は、酸素リッチな血液を十分に受けられない。もし、発作が進行中であるかまたはその直後(好ましくは30min以内)である場合、抗血小板物質は、心臓への損傷を軽減することができる。
【0116】
一過性脳虚血発作(「TIA」または「ミニ脳梗塞」)は、通常、閉塞性の血塊による、動脈を通る血流量の低下に起因した脳への酸素流の短期的中断である。抗血小板性薬物は、TIAを予防するのに効果的であることが分かっている。狭心症は、心臓のある部分への不十分な酸素リッチな血流(虚血)によって引き起こされる、一時的でしばしば再発する胸痛、圧迫または不快症状である。狭心症を有する患者において、抗血小板療法は、狭心症の影響および心筋梗塞のリスクを低減することができる。
【0117】
脳梗塞は、通常血塊による脳血管の閉塞に起因して、脳が酸素リッチな血液を十分受けられない事象である。ハイリスク患者において、抗血小板物質を定期的に取ると、初回または2回目の脳梗塞を引き起こす血塊の形成が予防されることが分かっている。血管形成術は、血塊によって塞がれた動脈を広げるために用いられるカテーテルをベースとした技術である。動脈を広げたままにしておくためのこの手順の直後に、ステント留置を実施してもしなくても、抗血小板物質は、その手順の後の追加的な血塊形成のリスクを低減させることができる。
【0118】
冠状動脈バイパス術は、体内のよその部位から動脈または静脈を取り、閉塞した冠状動脈に移植して、閉塞部を迂回し、新たに取り付けた血管を通して、血液を別の経路で送る外科的手順である。この手順の後、抗血小板物質は二次的な血塊のリスクを低減させることができる。
【0119】
心房性細動は、最も一般的なタイプの持続性の不規則心拍リズム(不整脈)である。心房性細動は毎年約2百万人のアメリカ人に影響を及ぼしている。心房性細動では、心房(心臓の上方室)は、正常な収縮よりむしろ震えを引き起こす電気信号を急激に発する。それによって、異常に速く非常に不規則な心拍がもたらされる。心房性細動のエピソード後に投与された場合、抗血小板物質は、心臓内で血塊が形成され、脳へ移動するリスク(塞栓症)を低減させることができる。
【0120】
IP受容体アゴニストは血小板凝集を阻害することになり、したがって抗血小板療法としての潜在的処置法である証拠がある(例えば、Moncadaら、Lancet, 1977, 1:18-20を参照されたい)。マウスにおけるIP受容体の遺伝的欠損は、血栓症へのかかり易さ(propensity)の増大をもたらすことが示されている(Murataら、Nature, 1997, 388:678-682)。
【0121】
IP受容体アゴニストは、例えば、跛行または末梢動脈疾患ならびに心血管系の合併症、動脈血栓症、アテローム性動脈硬化症、セロトニンによって引き起こされる血管収縮、虚血再かん流傷害および血管形成術またはステント留置術の後の動脈の再狭窄を治療するのに使用することができる(例えば、Fetalveroら、Prostaglandins Other Lipid Mediat., 2007, 82:109-118;Arehartら、Curr. Med. Chem., 2007, 14:2161-2169;Daviら、N. Engl. J. Med., 2007, 357:2482-2494;Fetalveroら、Am. J. Physiol. Heart. Circ. Physiol., 2006, 290:H1337-H1346;Murataら、Nature, 1997, 388:678-682;Wangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2006, 103:14507-14512;Xiaoら、Circulation, 2001, 104:2210-2215;McCormickら、Biochem. Soc. Trans., 2007, 35:910-911;Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6を参照されたい)。
【0122】
IP受容体アゴニストは、単独で使用するか、または血栓溶解治療法、例えば組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)と組み合わせて使用して、それらからもたらされる合併症を含む、MIまたは虚血後心筋機能障害の後の心臓保護または経皮冠状動脈インターベンションの際の虚血性傷害からの保護などを提供することもできる。IP受容体アゴニストは、例えばαトコフェロール(ビタミンE)、エキスタチン(ディスインテグリン)と組み合わせて、または凝固性亢進の状態においてヘパリンと組み合わせて、抗血小板療法において使用することもできる(例えば、Chan., J. Nutr., 1998, 128:1593-1596;Mardlaら、Platelets, 2004, 15:319-324;Bernabeiら、Ann. Thorac. Surg., 1995, 59:149-153;Gainzaら、J. Nephrol., 2006, 19:648-655を参照されたい)。
【0123】
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、例えば、それらに限定されないが、上記の合併症において、凝集血小板の血管収縮物質をアンタゴナイズすることによって、抗血小板療法を必要とする患者に微小循環における有益な改善を提供することができる。
【0124】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における血小板凝集を低減させる方法であって、本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物をその患者に投与することを含む方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における冠動脈疾患、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、狭心症、脳梗塞、心房性細動または上記のいずれかの症状を治療する方法であって、本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物をその患者に投与することを含む方法を提供する。
【0125】
他の実施形態では、本発明は、血管形成術もしくは冠状動脈バイパス術の患者または心房性細動に苦しむ患者における血塊の形成のリスクを低減させる方法であって、本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物をそうしたリスクが存在する時点でその患者に投与することを含む方法を提供する。
【0126】
アテローム性動脈硬化症
アテローム性動脈硬化症は、炎症、脂肪蓄積、細胞死および線維症を特徴とする複雑な疾患である。これは、米国を含む多くの国における死亡の主要原因である。この用語を本明細書で使用する場合、アテローム性動脈硬化症は、平滑筋の細胞および脂質の内膜内での漸進的蓄積をもたらす大動脈および中動脈の障害を包含するものと理解されるべきである。
【0127】
IP受容体のアゴニストは、アテローム血栓症などのアテローム性動脈硬化症からの保護を与えることができることが示されている(Arehartら、Curr. Med. Chem., 2007, 14:2161-2169;Stithamら、Prostaglandins Other Lipid Mediat., 2007, 82:95-108;Friesら、Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program, 2005,:445-451;Eganら、Science, 2004, 306:1954-1957;Kobayashiら、J. Clin. Invest, 2004, 114:784-794;Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6)。欠陥のあるIP受容体シグナル伝達はヒトにおけるアテローム血栓症を加速するようである、すなわち、IP受容体のアゴニストはヒトにおけるアテローム血栓症からの保護を与えることができることが示されている(Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6)。
【0128】
本明細書で開示する第1の態様で定義された化合物は、アテローム性動脈硬化症の治療およびその症状の治療において有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。他の実施形態では、治療を必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症の症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0129】
ぜんそく
ぜんそくは、気道好酸球増加、杯細胞による粘液産生の増加および気道壁の構造的リモデリングを特徴とするリンパ球媒介性炎症性気道障害である。ぜんそくの有病率は、世界的に最近数十年で劇的に増加している。マウスにおけるIP受容体の遺伝的欠損は、アレルギー性気道炎症を増大させることが示されている(Takahashiら、Br J Pharmacol, 2002, 137:315-322)。IP受容体のアゴニストは、感作相の間に与えられた場合のぜんそくの増悪の抑制だけでなく、惹起相の間に与えられた場合の実験的ぜんそくの主要な特性も、少なくとも一部において気道内の抗原提示樹状細胞(dendnuc cell)の機能を著しく妨害することによって(Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-72, Nagaoら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 2003, 29:314-320)抑制できることが示されている(Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-472;Zhouら、J. Immunol., 2007, 178:702-710;Jaffarら、J. Immunol., 2007, 179:6193-6203;Jozefowskiら、Int. Immunopharmacol., 2003, 3:865-878)。これらの細胞は、アレルギー性ぜんそくの開始相と維持相の両方に極めて重要である。その理由は、感作マウスにおいて、二次惹起の間の気道樹枝状細胞が枯渇するとぜんそくのすべての特徴的な特性が消失されており、これは、野生型樹枝状細胞の養子免疫伝達によって完全に回復できる可能性のある効果であるからである(van Rijtら、J. Exp. Med., 2005, 201:981-991)。IP受容体のアゴニストは、ヒト肺胞マクロファージによる炎症性サイトカイン分泌を阻害できることも示されている(Raychaudhuriら, J. Biol. Chem., 2002, 277:33344-33348)。本明細書で開示する第1の態様で定義された化合物は、ぜんそくの治療およびその症状の治療において有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者におけるぜんそくを治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0130】
他の実施形態では、治療を必要とする患者におけるぜんそくの症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0131】
慢性閉塞性肺疾患
IP受容体の活性化は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)にも有益である可能性がある。IP受容体アゴニストであるタプロステンは、インビトロで、ヒト気道上皮細胞からのCD8T細胞化学誘引物質CXCL9およびCXCL10の産生を抑制した(Ayer, L. M., S. M. Wilson, S. L. Traves, D. Proud, M. A. Giembycz. 2008. J. Pharmacol. Exp. Ther. 324:815-826)。IP受容体アゴニストであるベラプロストは、実験的なたばこ煙誘発気腫の発現に対してラットを保護しているが、これは多分、肺胞上皮細胞アポトーシス、酸化的負荷、マトリックスメタロプロテアーゼ発現および炎症性サイトカイン産生に対する協奏的阻害作用によるものである(Chen, Y., M. Hanaoka, P. Chen, Y. Droma, N. F. Voelkel, K. Kubo. 2009. Am. J. Physiol. 296:L648-L656)。
【0132】
他の実施形態では、治療を必要とする患者におけるCOPDを治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0133】
高血糖症
高血糖症は糖尿病性末梢神経障害(DPN)、糖尿病性ネフロパシー(DN)および糖尿病性網膜症(DR)などの糖尿病性合併症発症の主原因であるが、糖尿病患者における亢進した血管収縮および血小板凝集も、疾患の増悪において役割を果たすのに関与している(Cameronら、Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 2003, 367:607-614)。IP受容体のアゴニストは血管拡張を促進し、血小板凝集を阻害する。微小血管の血流を改善すると、糖尿病性合併症に利益をもたらすことができる(Cameron, Diabetologia, 2001, 44:1973-1988)。
【0134】
IP受容体のアゴニストは、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおいて、運動および感覚末梢神経伝達異常を予防し逆転させることができることが示されている(Cotterら、Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 1993, 347:534-540)。糖尿病性末梢神経障害の治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての他の証拠が、Hottaら(Diabetes, 1996, 45:361-366)、Uenoら(Jpn. J. Pharmacol., 1996, 70:177-182)、Uenoら(Life Sci., 1996, 59:PL1O5-PL110)、Hottaら(Prostaglandins, 1995, 49:339-349)、Shindoら(Prostaglandins, 1991, 41:85-96)、Okudaら(Prostaglandins, 1996, 52:375-384)およびKoikeら(FASEB J., 2003, 17:779-781)によって示されている。
【0135】
糖尿病性ネフロパシーの治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての証拠が、Owadaら(Nephron, 2002, 92:788-796)およびYamashitaら(Diabetes Res. Clin. Pract., 2002, 57:149-161)によって示されている。糖尿病性網膜症の治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての証拠が、Yamagishiら(Mol. Med., 2002, 8:546-550)、Burnetteら(Exp. Eye Res., 2006, 83:1359-1365)およびHottaら(Diabetes, 1996, 45:361-366)によって示されている。IP受容体のアゴニストは、糖尿病患者における高い腫瘍壊死因子−[α](TNF−[α])レベルを低下させることができることが示されており、これは、IP受容体のアゴニストが糖尿病性合併症の進行の阻止に寄与する可能性を示している(Fujiwaraら、Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes, 2004, 112:390-394)。
【0136】
ウサギおよびイヌにおいてIP受容体のアゴニストを局所投与すると眼圧(IOP)を低下させることができ、それによって緑内障の治療において有益な効果があるという証拠がHoyngら(Hoyngら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 1987, 28:470-476)によって示されている。
【0137】
IP受容体のアゴニストは、血管緊張の調節、血管拡張および肺高血圧症の改善に対して活性を有していることが示されている(例えば、Straussら、Clin Chest Med, 2007, 28:127-142;Driscollら、Expert Opin. Pharmacother., 2008, 9:65-81を参照されたい)。高血圧症の治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての証拠が、Yamadaら(Peptides, 2008, 29:412-418)によって示されている。IP受容体のアゴニストは脳虚血を保護することができるという証拠が、Doganら(Gen. Pharmacol., 1996, 27:1163-1166)およびFangら(J. Cereb. Blood Flow Metab., 2006, 26:491-501)によって示されている。
【0138】
抗炎症
抗炎症剤は様々な状態のために処方される。例えば、炎症性疾患において、これらは内在する有害作用を妨害し、それによってその有害作用を低減させるのに用いられる。
【0139】
IP受容体アゴニストは炎症を阻止することができ、したがって抗炎症治療としての潜在的な治療法であるという証拠がある。IP受容体のアゴニストは、炎症促進性のサイトカインおよびケモカイン(インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子−[α](TNF−[α])、DL−l[α]、EL−6、マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP−l[α])、単球走化性タンパク質−1(MCP−I))の産生および樹枝状細胞のT細胞刺激機能を阻害できることが示されている(Jozefowskiら、Int. Immunopharmacol., 2003, 865-878;Zhouら、J. Immunol., 2007, 178:702-710;Nagaoら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 2003, 29:314-320;Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-472)。IP受容体のアゴニストは、マクロファージによる炎症促進性サイトカイン(TNF−[α]、IL−1/3、EL−6、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF))の産生を阻害できることが示されている(Raychaudhuriら、J. Biol. Chem., 2002, 277:33344-33348;Czeslickら、Eur. J. Clin. Invest., 2003, 33:1013-1017;Di Renzoら、Prostaglandin Leukot. Essent. Fatty Acids, 2005, 73:405-410;Shinomiyaら、Biochem. Pharmacol., 2001, 61:1153-1160)。IP受容体のアゴニストは、樹枝状細胞による抗炎症性サイトカイン(DL−IO)の産生を刺激できることが示されている(Jozefowskiら、Int. Immunopharmacol., 2003, 865-878;Zhouら、J. Immunol., 2007, 178:702-710)。IP受容体のアゴニストは、マクロファージによる抗炎症性サイトカイン(DL−10)産生を刺激できることが示されている(Shinomiyaら、Biochem. Pharmacol., 2001, 61:1153-1160)。IP受容体のアゴニストは、白血球(CD4<+>Th2 T細胞)のケモカイン(CCL17)誘発走化性を阻害できることが示されている(Jaffarら、J. Immunol., 2007, 179:6193-6203)。IP受容体のアゴニストは、アテローム血栓症などのアテローム性動脈硬化症からの保護を与えることができることが示されている(Arehartら、Curr. Med. Chem., 2007, 14:2161-2169;Stithamら、Prostaglandins Other Lipid Mediat., 2007, 82:95-108;Friesら、Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program, 2005,:445-451;Eganら、Science, 2004, 306:1954-1957;Kobayashiら、J. Clin. Invest., 2004, 114:784-794;Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6)。IP受容体のアゴニストは、ぜんそくを減弱させることができることが示されている(Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-472;Jaffarら、J. Immunol., 2007, 179:6193-6203;Nagaoら、Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol., 2003, 29:314-320)。IP受容体のアゴニストは、2型糖尿病患者におけるTNF−[α]産生を低下させることができることが示されている(Fujiwaraら、Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes, 2004, 112:390-394;Goyaら、Metabolism, 2003, 52:192-198)。IP受容体のアゴニストは、虚血再かん流傷害を阻害できることが示されている(Xiaoら、Circulation, 2001, 104:2210-2215)。IP受容体のアゴニストは、再狭窄を阻害できることが示されている(Chengら、Science, 2002, 296:539-541)。IP受容体のアゴニストは、敗血症性ショックのラットモデルにおいて、肺血管損傷およびショックを減弱させることができることが示されている(Haradaら、Shock, 2008, Feb 21)。IP受容体のアゴニストは、関節リウマチを有する患者において、インビボでTNF−[α]の血清中濃度を低下させることができ、これは、この疾患の臨床経過における改善と関係していることが示されている(Gaoら、Rheumatol. Int., 2002, 22:45-51;Boehmeら、Rheumatol. Int., 2006, 26:340-347)。
【0140】
本明細書で開示する第1の態様で定義された化合物は炎症の有益な低減をもたらす。本明細書で開示する第1の態様で定義された化合物は、炎症性疾患に付随する有害な炎症反応の有益な低減をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における炎症を低減させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者におけるIL−12、TNF−[α]、IL−l[α]、IL−IjS、BL−6、MIP−IaまたはMCP−Iの産生を減少させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者におけるTNF−[α]の産生を減少させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者におけるEL−IOの産生を増大させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における炎症性疾患に付随する有害な炎症反応を低減させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における炎症性疾患またはその症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における炎症性疾患またはその症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における炎症性疾患またはその症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。ここでその炎症性疾患は、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、クローン病、移植片拒絶反応、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、潰瘍性大腸炎、虚血再かん流傷害、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、座瘡、糖尿病(1型糖尿病および2型糖尿病を含む)、敗血症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびぜんそくからなる群から選択される。
【0141】
線維症
PGI2シグナル伝達は、腎臓、心臓、肺、皮膚、膵臓および肝臓を含む様々な器官の線維症ならびに全身性硬化症および関連病理において有益な役割を果たすことが示されている。IP受容体のアゴニストは、心臓線維症を改善できることが示されている(Chan ECら(2010)J Mol Cell Cardiol. Apr 18;Hirata Yら(2009)Biomed Pharmacother. 63(10):781-6;Kaneshige Tら(2007)J Vet Med Sci. 69(12):1271-6)。IP受容体のアゴニストは、腎臓線維症を減弱させることができることが示されている(Takenaka Mら(2009)Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 80(5-6):263-7)。IP受容体のアゴニストは、ブレオマイシンモデルにおいて肺線維症に対して保護できることが示されている(Zhu Yら(2010)Respir Res. 20;11(1):34)。IP受容体のアゴニストは、強皮症患者における線維症の主要メディエーターである結合組織成長因子の産生を抑制できることが示されている(Stratton Rら(2001)J Clin Invest. 108(2):241-50)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症を有する患者における指潰瘍の発生率を低下させることができることが示されている。M. Vayssairat(1999)J Rheumatol 26:2173-2178。IP受容体のアゴニストは、難治性のレイノー症候群(Renaud’s phenomenon)を有する幼児における指先の壊死を低減できることが示されている(Shouval DSら(2008)Clin Exp Rheumatol. 26(3 Suppl 49):S105-7)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症を有する患者における内皮活性化のマーカーを減少させることができることが示されている(Rehberger Pら(2009)Acta Derm Venereol. 89(3):245-9)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症を有する患者におけるレイノー発作の重症度、頻度を低減し、期間を短縮させることができることが示されている(Torlayら(1991)Ann Rheum Dis 50, 800-804)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症およびレイノー現象を有する患者における門脈血行動態を改善できることが示されている(Zardiら(2006) In Vivo 20(3):377-80)。IP受容体のアゴニストは、肥満したズッカーラットにおいて、膵臓線維症の進行を阻止できることが示されている(Satoら(2010) Diabetes 59(4):1092-100)。
【0142】
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、例えば、特発性であっても慢性炎症に続発するものであってもよい腎臓、心臓、肺、皮膚、膵臓および肝臓の線維症ならびに全身性硬化症(上記の適応症に限定されない)に苦しむ患者に、有益な抗線維化効果をもたらし得る。
【0143】
さらに、IP受容体のアゴニストが、急性および慢性の腎不全において腎臓機能を改善できる実質的な証拠がある。IP受容体のアゴニストは、内毒血症関連の急性腎不全において腎機能を回復させることができることが示されている(Johannes Tら(2009)Crit Care Med. 37(4):1423-32)。IP受容体のアゴニストは、腎虚血/再かん流傷害のモデルにおいて腎機能を改善できることが示されている。Sahsivar MOら(2009)Shock 32(5):498-502)。IP受容体のアゴニストは、心臓手術を受けた腎機能障害を有する患者における造影剤誘発性腎症を予防できることが示されている(Spargias Kら(2009)Circulation 3;120(18):1793-9)。IP受容体のアゴニストは、糖尿病性ネフロパシーについてのモデルにおいて、腎機能を改善し、腎臓の炎症および硬化性変化を低減させることができることが示されている。Watanabe Mら(2009)Am J Nephrol. 2009;30(1):1-11)。
【0144】
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、例えば、染料造影剤に続発する急性および慢性の腎臓損傷および腎症、虚血再かん流傷害、全身性炎症ならびに糖尿病(上記の適応症に限定されない)を有する患者における腎機能の有益な改善をもたらし得る。
【0145】
子癇前症の発症におけるプロスタサイクリン欠損の因果的役割についての相当な証拠が存在する(Mills JLら(1999)JAMA 282:356-362;Walsh SW(2004)Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 70:223-232)。子癇前症のラットモデルにおいて、IP受容体のアゴニストの投与は血圧を低下させることが示されている(Zlatnik MGら(1999)Am J Obstet Gynecol. 180(5):1191-5)。
【0146】
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、子癇前症を有する患者における血行動態の有益な改善をもたらし得る。
【0147】
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、嚢胞性線維症の有益な治療を提供し得る。
【0148】
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは化学的予防を提供し得る。化学的予防は、癌の発症またはその再発のリスクを低下させるための、薬物、ビタミンまたは栄養補給剤の使用の実践である。経口イロプロスト(Ventavis)、プロスタサイクリンの類似体は、肺癌のための化学抗癌剤として有望である。IP受容体アゴニストによる化学的予防を支持するデータは、米国癌学会(American Association for Cancer Research)の第102回年次大会での国際肺癌学会(International Association for the Study of Lung Cancer)の事務局長(executive Director)であるPaul Bunn Jr. MDによって示されており、喫煙経験者における気管支内異形成が著しく改善されていることが示されている。
【0149】
第1の態様で定義された化合物を含むPGI2および他のIP受容体アゴニストは、第2の薬剤、例えば有機硝酸塩およびNO−供与体、例えばニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入性NO;環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えばホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのPDE5阻害剤;特にWO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載されている化合物などの、グアニル酸シクラーゼのNO非依存性であるがヘム依存性であるスティミュレーター;特にWO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載されている化合物などの、グアニル酸シクラーゼのNOおよびヘム非依存性活性化因子;シベレスタットまたはDX−890(レルトラン(Reltran))などのヒト好中球エラスターゼを阻害する化合物;チロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、特にイマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブおよびスニチニブなどのシグナル伝達カスケードを阻害する化合物;心臓のエネルギー代謝に影響を及ぼす化合物、例えば、好ましくはエトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン;例えば、好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質を含む群からの抗血栓剤;例えば、好ましくはカルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルドステロンシンターゼ阻害剤、α受容体遮断剤、β受容体遮断剤、電解質コルチコイド受容体アンタゴニスト、Rho−キナーゼ阻害剤および利尿剤を含む群からの血圧を低下させるための活性物質;および/または、例えば、好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成の阻害剤、例えば、好ましくはHMG−CoA−レダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成の阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、高分子胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストを含む群からの脂質代謝を修飾する活性物質と組み合わせて、特に、PAHまたは上記にあげたものなどの疾患もしくは障害の治療において、例えばそうした薬物の治療活性の増強物質として、またはそうした薬物の所要投薬量もしくは潜在的副作用を低減させる手段として使用するための共治療剤としても有用である。
【0150】
特に、本発明の実施形態は、第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩および第2の薬剤を含む医薬的組合せであって、その第2の薬剤がPDEV阻害剤または中性エンドペプチダーゼ阻害剤である医薬的組合せである。
【0151】
第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩は、一定の医薬組成で第2の薬剤と混合することができ、また、他の薬物(drug substance)の前、それと同時またはその後に別個に投与することができる。
【0152】
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体活性と、浸透圧性薬剤(高張食塩水、デキストラン、マンニトール、キシリトール)、ENaC遮断剤、抗炎症性、気管支拡張性の抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質および/またはDNase薬物の組合せを含む。ここで、IP受容体アゴニストおよび他の薬物は、同じ医薬組成物であっても異なる医薬組成物であってもよい。
【0153】
適切な抗生物質には、マクロライド抗生物質、例えばトブラマイシン(TOBI(商標))が含まれる。
【0154】
適切なDNase薬物には、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme(商標))、DNAを選択的に切断する、組み換え型ヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の高度に精製された溶液が含まれる。ドルナーゼアルファは嚢胞性線維症を治療するのに使用される。
【0155】
IP受容体アゴニストと抗炎症性薬物の他の有用な組合せは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えばCCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering−PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D;Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミン−イウムクロリド(TAK−770);ならびにUSP6,166,037(特に請求項18および19)、WO00/66558(特に請求項8)、WO00/66559(特に請求項9)、WO04/018425およびWO04/026873に記載されているCCR−5アンタゴニストとの組合せである。
【0156】
適切な抗炎症性薬物には、ステロイド、例えばコルチコステロイドが含まれる。適切なステロイドには、ブデソニド、ベクラメタゾン(beclamethasone)(例えば、ジプロピオネート)、ブチキソコート(例えば、プロピオネート)、CHF5188、シクレソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン(例えば、プロピオネートまたはフロエート)、GSK−685698、GSK−870086、LAS40369、メチルプレドニゾロン、モメタゾン(例えば、フロエート)、プレドニゾロン、ロフレポニドおよびトリアムシノロン(例えば、アセトニド)が含まれる。特定の好ましい実施形態では、ステロイドは、ブデソニド、シクレソニド、フルチカゾンまたはモメタゾンなどの長時間作用型のコルチコステロイドである。
【0157】
適切な第2の活性構成要素にはβアゴニストが含まれる。適切なβアゴニストには、アルホルモテロール(例えば、タートレート)、アルブテロール/サルブタモール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特に硫酸塩)、AZD3199、バンブテロール、BI−171800、ビトルテロール(例えば、メシレート)、カルモテロール、クレンブテロール、エタンテロール、フェノテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特に臭化水素酸塩)、フレルブテロール、フォルモテロール(例えば、ラセミ化合物または単一のジアステレオマー、例えばR,R−ジアステレオマーまたはその塩、特にフマル酸塩またはフマル酸塩二水和物)、GSK−159802、GSK−597901、GSK−678007、インダカテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特にマレイン酸塩、酢酸塩またはキシナホ酸塩)、LAS100977、メタプロテレノール、ミルベテロール(例えば、塩酸塩)、ナミンテロール、オロダテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特に塩酸塩)、PF−610355、ピルブテロール(例えば、酢酸塩)、プロカテロール、レプロテロール、サルメファモール、サルメテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特にキシナホ酸塩)、テルブタリン(例えば、硫酸塩)およびビランテロール(またはその塩、特にトリフェナテートが含まれる。特定の好ましい実施形態では、βアゴニストは、超長時間作用型βアゴニスト、例えばインダカテロールまたは潜在的にカルモテロール、LAS−100977、ミルベテロール、オロダテロール、PF−610355またはビランテロールである。第2の活性構成要素の好ましい実施形態の1つは、インダカテロール(すなわち、(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン)またはその塩である。これは、特に長い作用期間(すなわち、24時間超)および短期の作用発現(すなわち、約10分間)を有するβアドレナリン受容体アゴニストである。この化合物は、国際特許出願WO2000/75114およびWO2005/123684に記載されている方法で調製される。これは、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンの好ましい塩はマレイン酸塩である。他の好ましい塩は(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン酢酸塩である。他の好ましい塩は(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンキシナホ酸塩である。
【0158】
適切な気管支拡張性薬物には、抗コリン作用剤または抗ムスカリン剤、例えばアクリジニウム(例えば、ブロミド)、BEA−2108(例えば、ブロミド)、BEA−2180(例えば、ブロミド)、CHF−5407、ダリフェナシン(例えば、ブロミド)、ダロトロピウム(例えば、ブロミド)、グリコピロレート(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体もしくはその塩、特にブロミド)、デキシピロニウム(例えば、ブロミド)、iGSK−202405、GSK−203423、GSK−573719、GSK−656398、イプラトロピウム(例えば、ブロミド)、LAS35201、LAS186368、オチロニウム(例えば、ブロミド)、オキシトロピウム(例えば、ブロミド)、オキシブチニン、PF−3715455、PF−3635659、ピレンゼピン、レバトロペート(revatropate)(例えば、ヒドロブロミド)、ソリフェナシン(例えば、スクシネート)、SVT−40776、TD−4208、テロジリン、チオトロピウム(例えば、ブロミド)、トルテロジン(例えば、タートレート)およびトロスピウム(例えば、クロリド)が含まれる。特定の好ましい実施形態では、ムスカリン性アンタゴニストは、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト、例えばダロトロピウムブロミド、グリコピロレートまたはチオトロピウムブロミドである。
【0159】
適切な二重抗炎症性および気管支拡張性薬物には、二重β−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリン性アンタゴニスト、例えばGSK−961081(例えば、スクシネート)ならびにUSP2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に開示されているものが含まれる。
【0160】
適切な抗ヒスタミン薬物には、セチリジン塩酸塩、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジン塩酸塩、アクチバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジン(tefenadine)ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841に開示されているものが含まれる。
【0161】
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストとSmad2およびSmad3のALK5および/またはALK4リン酸化を阻害する薬剤の併用を含む。
【0162】
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストとRho−キナーゼ阻害剤である第2の薬剤の併用を含む。
【0163】
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストとトリプトファンヒドロキシラーゼ1(tryptophan hydroylase 1)(TPH1)阻害剤である第2の薬剤の併用を含む。
【0164】
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストと、多標的キナーゼ阻害剤、例えばイマチニブミシレート(imatinib mysilate)、グリベック(Gleevec)である第2の薬剤の併用を含む。イマチニブは、多くのチロシンキナーゼ酵素の特異的阻害剤として機能する。これはTK活性部位を占有し、活性の低下をもたらす。体内のTK酵素にはインスリン受容体が含まれる。イマチニブは、エーベルソンプロトオンコジーン、c−kitおよびPDGF−R(血小板由来の成長因子受容体)中のTKドメインに対して特異的である。
【0165】
本発明の実施形態では、本発明のIP受容体アゴニストは、ホスホジエステラーゼV阻害剤、中性エンドペプチダーゼ1阻害剤、THP1阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、利尿剤、アルドステロン受容体遮断剤およびエンドセリン受容体遮断剤から選択される第2の活性薬剤と併用して投与される。
【0166】
本発明の実施形態では、本発明のIP受容体アゴニストは、ホスホジエステラーゼV阻害剤、中性エンドペプチダーゼ1阻害剤、THP1阻害剤、および多標的キナーゼ阻害剤、例えばPDGFRまたはc−Kitから選択される第2の活性薬剤と併用して投与される。
【0167】
他の態様では、本発明は、IP受容体アゴニスト活性に応答する状態、特にPAHの治療用の医薬品の製造において使用するための第1の態様で定義される化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0168】
本発明の薬剤は、適切な任意の経路により、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で;非経口で、例えば静脈内で;例えば閉塞性気道疾患の治療において吸入により;例えばアレルギー性鼻炎の治療において鼻腔内で;皮膚へ局所で;または経直腸で投与することができる。他の態様では、本発明は、任意に、薬学的に許容されるそのための賦形剤または担体と一緒に、第1の態様で定義された化合物を遊離形態または薬学的に許容される塩の形態で含む医薬組成物も提供する。組成物は、上述したような抗炎症性、気管支拡張性の抗ヒスタミン剤または鎮咳薬物などの共治療剤を含むことができる。そうした組成物は、慣用的な賦形剤または添加剤およびガレヌス分野(galenic art)で公知の技術を用いて調製することができる。したがって経口剤形は錠剤およびカプセル剤を含むことができる。局所投与用の処方物は、クリーム剤、軟膏剤、ジェル剤または経皮送達系、例えばパッチ剤の形態をとることができる。吸入用の組成物は、エアゾールもしくは他の噴霧可能な処方物または乾燥粉末処方物を含むことができる。
【0169】
組成物がエアゾール処方物を含む場合、それは、例えば、HFA134aもしくはHFA227またはこれらの混合物などのヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤を含むことが好ましく、エタノール(最大で20重量%)などの当技術分野で公知の1つ以上の共溶媒および/またはオレイン酸もしくはトリオレイン酸ソルビタンなどの1つ以上の界面活性剤および/またはラクトースなどの1つ以上の充てん剤を含むことができる。組成物が乾燥粉末処方物を含む場合、それは、例えば、最大で10ミクロンの粒径を有する第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩を、所望粒径分布のラクトースなどの賦形剤または担体、および水分に起因する製品性能低下に対する保護を助ける化合物、例えばステアリン酸マグネシウムと、任意に、一緒に含むことが好ましい。組成物が噴霧処方物を含む場合、それは、例えば、第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩を、水、エタノールまたはプロピレングリコールなどの共溶媒、および界面活性剤であってもよい安定剤を含むビヒクル中に溶解または懸濁して含むことが好ましい。
【0170】
本発明の他の態様は:
(a)吸入可能な形態、例えばエアゾールもしくは他の噴霧可能な組成物または吸入可能な微粒子、例えば微粉化された形態の第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩;
(b)吸入可能な形態で第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩を含む吸入可能な医薬品;
(c)吸入可能な形態の第1の態様で定義された化合物を、吸入デバイスと一緒に含む医薬製品;および
(d)第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩を吸入可能な形態で含む吸入デバイス
を含む。
【0171】
本発明の実施において、使用される第1の態様で定義された化合物または薬学的に許容されるその塩の投薬量は、もちろん、治療を受ける患者の具体的な状態、所望される効果および投与方法に応じて変化することになる。一般に、吸入による投与のための適切な1日投薬量は0.005〜10mg程度であり、経口投与のための適切な1日投与量は0.05〜100mg程度である。
【0172】
薬剤としての使用およびアッセイ
以下代替的に「本発明の薬剤」と称する化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は医薬品として有用である。特に、これらの化合物は適切なIP受容体アゴニストであり、以下のアッセイで試験することができる。
【0173】
IP受容体(IP受容体)での化合物の活性は、PerkinElmer ΑlphaScreenアッセイを用いて、IP受容体(CHO−IP)を安定的に発現するCHO細胞におけるcAMP蓄積を測定することによって評価される。この技術は、非放射性ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイで、cAMPの体内産生を測定するものである。生物学的反応が、ストレプトアビジンコートドナービーズ、ビオチン化cAMPおよび抗cAMPアクセプタービーズの間で起こり、ドナービーズとアクセプタービーズを十分近接させると、結果として、励起されて蛍光シグナルが発生する。内生cAMPが産生されると、ビオチン化cAMPと細胞由来のcAMPとの競合は蛍光シグナルの減少を引き起こす。そのシグナルの減少は、産生されるcAMPの量に比例する。したがって、アゴニストによる刺激によって産生されたcAMPの量を定量化することができる。
【0174】
試験化合物および参照化合物を、100%DMSO中に100×[最終]で調製し、Biomek Fx(Beckman Coulter)を用いて1:3に希釈する。続いて、中間体をアッセイ緩衝液(5mM HEPES、0.1%(w/v)BSAを含むHBSS)中に5×[最終]で希釈する。次いで5μLの5×[最終]試験化合物、参照化合物および緩衝液/DMSO対照を、20μLのCHO−IP細胞懸濁液(15,000細胞/ウェル、凍結したものから調製)を入れた384ウェル白色OptiPlateに移し、プレートを室温で1時間インキュベートする。cAMP標準曲線を各実験用に構築し(アッセイ緩衝液中に10000nM〜0.001nMの濃度範囲)、25μLの各濃度液を、アッセイプレートの最後の2つのカラムに加える。アッセイプレートの添加の直前に溶解緩衝液に加えられた、20単位mL−1のストレプトアビジンコートドナービーズおよびビオチン化cAMP(30分間プレインキュベートした)ならびに20単位mL−1の抗cAMPアクセプタービーズを含む溶解緩衝液(dHO;0.3%(v v−1)Tween−20)を添加して、インキュベーションを完了させる。次いでアッセイプレートを暗所中、室温で緩やかに振とうさせながら60分間インキュベートし、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)で読み取る。
【0175】
参照化合物、試験化合物および対照の生データを、GraphPadPrism(GraphPad Software Inc)でcAMP標準曲線を用いて、cAMP濃度に変換する。EC50ならびにアゴニスト曲線の最大値を、4パラメーターロジスティック方程式を用いて決定する。すべての試験化合物の最大応答値%を、トレプロスチニル濃度−応答曲線の頂点を用いて決定する。
【0176】
本明細書における以下の実施例化合物は、一般に、上述したデータ測定で5μM未満のEC50値を有する。表1は、それらのEC50値を有する代表的な化合物のリストを提供する。
【0177】
【表1】
【0178】
最終化合物の調製
一般的条件:
質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化を用いてLCMSシステムで実行した。これらのシステムは、Agilent 1100HPLC/Micromass Platform質量分析計の組合せかまたはSQD質量分析計を備えたWaters Acquity UPLCであった。[M+H]はモノアイソトピック分子量を指す。
【0179】
NMRスペクトルは、ICON−NMRを用いてオープンアクセス型のBruker AVANCE 400NMR分光計で実行した。スペクトルを298Kで測定し、溶媒ピークを用いて参照した。以下の実施例は、本発明の例示を目的とするものであるが、それらに限定されるものと解釈すべきではない。温度は摂氏温度で示す。別段の言及がなされていない場合、すべての蒸発は減圧下、好ましくは約15mmHg〜100mmHg(=20〜133ミリバール)で実施される。最終生成物、中間体および出発原料の構造は、標準的な分析方法、例えば微量分析および分光学的同定、例えばMS、IR、NMRで確認する。使用する略語は当技術分野で慣用的なものである。定義されていない場合、その用語は、それらの一般的に受け入れられている意味を有する。
略語:
AcOH 酢酸
br 幅広い
BuOH ブタノール
conc. 濃縮された
d 二重項
DCM ジクロロメタン
DCE 1,2−ジクロルエタン
DEAD ジエチルアゾジカルボキシレート
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtO ジエチルエーテル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
KOtBu カリウムtert−ブトキシド
LCMS 液体クロマトグラフィーおよび質量分析
MeOH メタノール
MeCN アセトニトリル
MS 質量分析
m 多重項
min 分間
ml ミリリットル
m/z 質量対電荷比
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMR 核磁気共鳴
PdCl(dppf)−CHCl−付加体 [1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン
Pd(PPhCl ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド
ppm パーツパーミリオン
PS ポリマー担持された
Rt 保持時間
RT 室温
s 一重項
sat. 飽和した
SCX−2 強カチオン交換(例えば、BiotageからのIsolute(登録商標)SCX−2カラム)
t 三重項
tBuOH tert−ブタノール
TBME メチル−tert−ブチルエーテル
TEA トリエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
【0180】
以下の実施例に関して、好ましい実施形態の化合物は、本明細書で説明する方法または当技術分野で公知の他の方法を用いて合成した。
【0181】
好ましい実施形態の種々の出発原料、中間体および化合物は、必要に応じて、沈澱、ろ過、結晶化、蒸発、蒸留およびクロマトグラフィーなどの慣用的な技術を用いて、単離し精製することができる。別段の記述のない限り、すべての出発原料は商業的供給業者から入手されたものであり、さらに精製することなく使用される。塩は、公知の塩作製手順によって化合物から調製することができる。
【0182】
好ましい実施形態による有機化合物は、互変異性の現象を示し得ることを理解すべきである。本明細書での化学構造は、可能性のある互変異性型のうちの1つだけしか表すことができないが、好ましい実施形態は、表記した構造の任意の互変異性型を包含するものと理解すべきである。
【0183】
別段の指定のない限り、分析的LCMS条件は以下の通りである:
方法 2minLC_v003
カラム Waters BEH C18 50×2.1mm、1.7。
カラム温度 50℃
溶離液 A:HO、B:アセトニトリル、どちらも0.1%TFAを含む
流量 0.8ml/min
勾配 0.20min 5%B;1.30minで5%〜95%B、0.25min 95%B
2minLowpH
カラム: Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度: 50℃
移動相: A:水+0.1%ギ酸B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量: 1.0mL/min
勾配: 0.0min 5%B、0.2〜1.3min 5〜98%B、1.3〜1.55min 98%B、1.55〜1.6min 98〜5%B
2minLowpHv01
カラム: Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度: 50℃
移動相: A:水 +0.1%ギ酸B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量: 1.0mL/min
勾配: 0.0min 5%B、0.2〜1.55min 5〜98%B、1.55〜1.75min 98%B、1.75〜1.8min 98〜5%B
2minLowpH50v01
カラム: Waters Acquity CSH 1.7μm、2.1×50mm
温度: 50℃
移動相: A:水+0.1%ギ酸B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量: 1.0mL/min
勾配: 0.0min 50%B、0.2〜1.55min 50〜98%B、1.55〜1.75min 98%B、1.75〜1.8min 98〜50%B
10minLowpH
カラム: Waters Acquity CSH1.7μm、2.1×100mm
温度: 50℃
移動相: A:水+0.1%ギ酸B:アセトニトリル+0.1%ギ酸
流量: 0.7mL/min
勾配: 0.0min 2%B、0.5〜8.0min 2〜98%B、8.0〜9.0min 98%B、9.0〜9.1min 98〜2%B
【0184】
本発明の実施例化合物には以下のものが含まれる:
【0185】
最終化合物の調製
実施例1:
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0186】
【化11】
【0187】
ステップ1:6−クロロ−5−ヨードピラジン−2−アミン
DMSO(100ml)中の6−クロロピラジン−2−アミン(10.0g、77mmol)の溶液を1−ヨードピロリジン−2,5−ジオン(20.84g、93mmol)で処理した。反応混合物をRTで2日間撹拌し、次いで水(800ml)に加えた。pHをNaHCO飽和溶液でpH8〜9に調節し、得られた懸濁液をろ過し、水(×3)で洗浄し、真空下で乾燥して表題化合物をオレンジ色固体として得た。
LC−MS Rt=0.83min;[MeCN+H]296.0、方法 2minLowpH。
【0188】
ステップ2:5,6−ジ−p−p−トリルピラジン−2−アミン
ジオキサン(300ml)中の6−クロロ−5−ヨードピラジン−2−アミン(ステップ1)(13.74g、53.8mmol)の溶液をNで脱ガスし、p−トリルボロン酸(17.55g、129mmol)、KCO(22.30g、161mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(4.39g、5.38mmol)で処理した。オレンジ色の懸濁液を110℃で2日間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製混合物をシリカ上に吸収させ、イソヘキサン中の0〜60%EtOAcで溶出させて、クロマトグラフィーで精製して表題化合物をベージュ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.09min;[M+H]277.3、方法 2minLowpH。
【0189】
ステップ3:3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン
DMSO(40ml)中の5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(ステップ2)(4.94g、17.94mmol)の溶液をN−ブロモスクシンイミド(3.19g、17.94mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、ベージュ色懸濁液を得た。懸濁液を水(700ml)で希釈し、pHをNaHCO飽和溶液でpH8〜9に調節した。懸濁液をろ過し、水(×3)で洗浄し、真空下で乾燥して表題化合物をベージュ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.39min;[M+H]356.3、方法 2minLowpH。
【0190】
ステップ4:3−(シクロプロピルエチニル)−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン
ジオキサン(5ml)中の3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(ステップ3)(440mg、1.24mmol)の溶液をNで脱ガスし、トリエチルアミン(1.558ml、11.18mmol)、エチニルシクロプロパン(0.210ml、2.484mmol)、ヨウ化銅(I)(71.0mg、0.373mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(101mg、0.124mmol)で処理した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮し、DCM(10ml)を用いてシリカ上にドライロードした。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物をベージュ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.28min;[M+H]340.5、方法 2minLowpH。
【0191】
ステップ5:6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
tert−BuOH(10ml)中の3−(シクロプロピルエチニル)−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(ステップ4)(279mg、0.822mmol)をカリウムtert−ブトキシド(184mg、1.644mmol)で処理し、還流下で6時間加熱した。混合物を水で希釈し、DCM(×3)で抽出した。一緒にした有機抽出物を減圧下で濃縮し、粗生成物を、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物をベージュ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.20min;[M+H]340.5、方法 2minLowpH。
【0192】
ステップ6:エチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
で脱ガスした無水DMF(3ml)中の6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(ステップ5)(189mg、0.557mmol)を、NaH(鉱油中に60%)(24.50mg、0.612mmol)で処理した。RTで30分間撹拌した後、エチル7−ブロモヘプタノエート(0.119ml、0.612mmol)を加え、2時間撹拌を続行した。混合物を水(50ml)で希釈し、pHを2M HClでpH1に調節した。得られた混合物をDCM(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜10%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物を黄色油状物として得た。
Rt 1.47min MS m/z 496.5 [M+H];方法 2minLC_v003
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ 7.27 - 7.19 (4H, m), 7.12 - 7.06 (4H, m), 6.31 (1H, s), 4.39 (2H, t), 4.02 (2H, m), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.21 (3H, m), 1.84 (2H, m), 1.49 (2H, m), 1.38 - 1.27 (4H, br m), 1.17 - 1.09 (5H, br m), 0.91 - 0.85 (2H, m).
【0193】
ステップ7:7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
EtOH(4ml)中のエチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(ステップ6)(230mg、0.464mmol)を2M NaOH(0.696ml、1.392mmol)で処理し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を水(50ml)に加え、2M HClを加えてpHをpH1に調節した。得られた懸濁液をろ過し、水(×3)で洗浄し、真空下で乾燥した。得られた残留物をEtOH(最少量)に溶解し、過剰の水を加えた。次いで得られた水溶液をDCM(×3)で抽出し、有機溶媒を減圧下で除去した。次いで得られた残留物をジエチルエーテルに取り、超音波処理し、溶媒を減圧下で除去した。さらにジエチルエーテルを加え、超音波処理し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残留物をEtOAc(最少量)に溶解し、過剰のイソヘキサンを加えた。得られた懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをイソヘキサン(×4)で洗浄し、乾燥して表題化合物を淡黄色固体として得た。
LC−MS Rt=1.32min;[M+H]468.6、方法 2minLowpH。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ11.97 (1H, br s), 7.27 - 7.19 (4H, m), 7.14 - 7.06 (4H, m), 6.32 (1H, s), 4.40 (2H, t), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.20 (1H, m), 2.16 (2H, t), 1.85 (2H, m), 1.48 (2H, m), 1.38 - 1.29 (4H, br m), 1.14 (2H, m), 0.89 (2H, m)
【0194】
以下の表にした実施例(表1)の化合物を、エチニルシクロプロパン(ステップ4)を適切な市販のアルキンで置き換えて、実施例1と同様の方法で調製した。酸は実施例1のステップ1〜7と同様の方法で調製し、エステルはステップ1〜6と同様の方法で調製した。
【0195】
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】
【0196】
実施例1.4:
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル
【0197】
【化12】
【0198】
表題化合物を、2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(中間体A)から、エチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリルジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(実施例1ステップ6)と同様にして調製した。
LC−MS Rt=1.44min;[M+H]456.4、方法 2minLC_v003。
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ7.99 (1H, m), 7.26 (4H, m), 7.12 (4H, m), 6.69 (1H, d), 4.29 (2H, t), 4.01 (2H, q), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.22 (2H, t), 1.85 (2H, br m), 1.49 (2H, br m), 1.36-1.22 (4H, br m), 1.15 (3H, t).
【0199】
実施例1.5:
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸
【0200】
【化13】
【0201】
表題化合物を、7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル(中間体B)から、7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリルジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸(実施例1ステップ7)と同様にして調製した。
LC−MS Rt=1.28min;[M+H]429.4、方法 2minLC_v003。
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ11.97 (1H, br s), 7.99 (1H, d), 7.30 - 7.22 (4H, m), 7.15 - 7.08 (4H, m), 6.69 (1H, d), 4.30 (2H, t), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.16 (2H, t), 1.86 (2H, m), 1.47 (2H, m), 1.36 - 1.22 (4H, br m)
【0202】
実施例2.1:
7−(7−ホルミル−2,3ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0203】
【化14】
【0204】
表題化合物を、エチル7−(7−ホルミル−2,3ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(中間体C)から、7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸(実施例1ステップ7)と同様にして調製した。
LC−MS Rt=1.22min;[M+H]456.5、方法 2minLowpH。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ11.96 (1H, s), 10.12 (1H, s), 8.84 (1H, s), 7.32 - 7.27 (4H, m), 7.17 - 7.13 (4H, m), 4.39 (2H, t), 2.32 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.17 (2H, t), 1.92 (2H,m), 1.48 (2H, m), 1.40 - 1.23 (4H, br m)
【0205】
実施例2.2:
7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0206】
【化15】
【0207】
EtOH(1ml)中の7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸(実施例2.1)(42mg、0.092mmol)をNで脱ガスし、水素化ホウ素ナトリウム(5.23mg、0.138mmol)で処理した。RTで16時間撹拌した後、混合物を水(30ml)に加え、pHを2M HClでpH1に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、一緒にした抽出物を減圧下で濃縮した。粗生成物をEtOAc/イソヘキサンで摩砕して表題化合物をオレンジ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.18min;[M+H]458.6、方法 2minLowpH。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ11.83 (1H, br s), 7.89 (1H, s), 7.29 - 7.21 (4H, br m), 7.15 - 7.09 (4H, m), 4.97 (1H, br m), 4.73 (2H, m), 4.27 (2H, m), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.14 (2H, m), 1.84 (2H, m), 1.47 (2H, m), 1.37 - 1.22 (4H, br m)
【0208】
実施例3:
エチル7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
【0209】
【化16】
【0210】
EtOH(2ml)中のエチル7−(7−ホルミル−2,3−ジ−−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(中間体C)(47mg、0.097mmol)をNで脱ガスし、添加した水素化ホウ素ナトリウム(5.52mg、0.146mmol)で処理した。RTで3時間撹拌した後、混合物を水(30ml)で希釈し、pHを2M HClでpH1に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、一緒にした抽出物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜40%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
LC−MS Rt=1.32min;[M+H]486.6、方法 2minLowpH。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.89 (1H, s), 7.29 - 7.23 (4H, m), 7.14 - 7.09 (4H, m), 4.95 (1H, t), 4.72 (2H, d), 4.27 (2H, t), 4.02 (2H, m), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.23 (2H, t), 1.84 (2H, m), 1.49 (2H, m), 1.37 - 1.22 (4H, br m), 1.51 (3H, t).
【0211】
実施例4.1:
エチル7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
【0212】
【化17】
【0213】
DCE(1ml)中のエチル7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(中間体C)(50mg、0.103mmol)をイソプロピルアミン(0.027ml、0.310mmol)で処理し、RTで30分間撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(65.7mg、0.310mmol)を加え、RTで16時間撹拌を続行した。混合物をDCM(30ml)で抽出し、有機抽出物を水(×2)で洗浄し、減圧下で濃縮して表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
LC−MS Rt=1.06min;[M+H] 527.7、方法 2minLowpH。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ8.61 (1H, br m), 8.12 (1H, s), 7.30 - 7.25 (4H, m), 7.16 - 7.11 (4H, m), 4.35 - 4.28 (4H, m), 4.02 (2H, m), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.26 - 2.20 (3H, m), 1.86 (2H, m), 1.49 (2H, m), 1.36 - 1.23 (10H, br m), 1.15 (3H, t).
【0214】
実施例4.2:
7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0215】
【化18】
【0216】
EtOH(1ml)中のエチル7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリルジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(実施例4.1)(53mg、0.101mmol)を2M NaOH(0.151ml、0.302mmol)で処理し、RTで16時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を水に溶解し、pHを2M HClでpH1に調節した。混合物をDCM(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を減圧下で濃縮してオレンジ色固体を得た。固体をジエチルエーテルに懸濁し、超音波処理し、次いでろ過し、ろ過ケーキをジエチルエーテル(×3)で濯いだ。得られた固体を大気圧下で乾燥して表題化合物をオレンジ色固体として得た。
LC−MS Rt=0.95min;[M+H] 499.7、方法 2minLowpH。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ11.95 (1H, br s), 8.77 (1H, br m), 8.16 (1H, s), 7.31 - 7.26 (4H, m), 7.17 - 7.12 (4H, m), 4.39 - 4.31 (4H, m), 3.39 (1H, m), 2.32 (3H, s), 2.32 (3H, s), 2.17 (2H, t), 1.87 (2H, m), 1.47 (2H, m), 1.37 - 1.25 (10H, br m)
【0217】
実施例5:
7−(6−メトキシ−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸
【0218】
【化19】
【0219】
ステップ1:エチル7−(7−ブロモ−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
DCM(5ml)中の7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル(中間体B)(135mg、0.296mmol)をN−ブロモスクシンイミド(52.7mg、0.296mmol)で処理し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。混合物をDCM(50ml)で希釈し、水(×2)、ブライン(×1)で洗浄し、有機溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜10%EtOAcの勾配を用いて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物をオレンジ色油状物として得た。
LC−MS Rt=1.62min;[M+H]536.4、方法 2minLowpH。
【0220】
ステップ2:7−(6−メトキシ−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸
無水MeOH(1ml)中にエチル7−(7−ブロモ−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(ステップ1)(50mg、0.094mmol)を含む混合物をNで脱ガスし、ナトリウム(10.75mg、0.468mmol)で処理した。室温で30分間撹拌した後、混合物をマイクロ波放射線を用いて120℃で1時間加熱した。混合物を水(20ml)で希釈し、pHを2M HClでpH1に調節した。水性部分(the aqueous)をDCM(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜100%EtOAc、続いてEtOAc中の10%MeOHで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物をオレンジ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.29min;[M+H]458.4、方法 2minLC_v003
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ11.96 (1H, br s), 7.22 (4H, m), 7.09 (4H, m), 5.95 (1H, s), 4.12 (2H, m), 4.10 (3H, s), 2.29 (3H, s), 2.29 (3H, s), 2.15 (2H, t), 1.75 (2H, br m), 1.46 (2H, br m), 1.35 - 1.23 (4H, br m)
【0221】
実施例6:
エチル7−(2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
【0222】
【化20】
【0223】
窒素下、RTでの無水EtOH(1ml)中の7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル(中間体B)(35mg、0.077mmol)をギ酸アンモニウム(24.22mg、0.384mmol)、続いてカーボン担持Pd(8.18mg、7.68μmol)で処理した。得られた黒色懸濁液を終夜、還流下で16時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、次いでCelite(登録商標)(フィルター材)カラムにロードした。カラムを1:1のMeOH/DCMで溶出させ、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残留物をDCM(50ml)に溶解し、水(×2)で洗浄し、有機溶媒を減圧下で除去した。イソヘキサン中の0〜30%EtOAcで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt 1.36min MS m/z 458.4 [M+H];方法 2minLC_v003
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ7.15 (2H, d), 7.1 - 7.05 (4H, m), 7.0 (2H, d), 4.05 (2H, m), 3.65 (2H, m), 3.35 (2H, m), 3.1 (2H, m), 2.3 (3H, s), 2.25 (3H, s), 1.6 (2H, m), 1.5 (2H, m), 1.35 - 1.2 (6H, m), 1.15 (3H, t).
【0224】
実施例7:
5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)−ペンタン酸
【0225】
【化21】
【0226】
ステップ1:7−(3−アミノ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−イル)ヘプタ−6−イン酸
で脱ガスした無水ジオキサン(10ml)中の3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(実施例1、ステップ3)(200mg、0.565mmol)をトリエチルアミン(0.708ml、5.08mmol)、ヘプタ−6−イン酸(0.179ml、1.129mmol)、ヨウ化銅(I)(32.3mg、0.169mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(46.1mg、0.056mmol)で処理した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。得られた混合物をDCM(10ml)で希釈し、シリカ上にドライロードした。イソヘキサン中の0〜100%EtOAc、次いでEtOAc中の20%MeOHで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS:Rt1.25min MS m/z 401.3 [M+H];方法 2minLC_v003
【0227】
ステップ2:5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタン酸
tert−BuOH(3ml)中の7−(3−アミノ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−イル)ヘプタ−6−イン酸(ステップ1)(137mg、0.343mmol)をカリウムtert−ブトキシド(154mg、1.372mmol)で処理し、還流下で3時間撹拌した。混合物を水(50ml)に加え、DCM(×3)で抽出した。有機溶媒を減圧下で除去し、この粗製物質をEtOH(最少量)に溶解し、過剰の水を加えた。得られた懸濁液を超音波処理し、ろ過し、ろ過ケーキを水(×3)で濯いだ。粗生成物を、DCM中の0〜1%MeOHで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt 1.10min MS m/z 400.2 [M+H];方法 2minLC_v003
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ12.03 (1H, br s), 11.92 (1H, br s), 7.23 (4H, m), 7.10 (4H, m), 6.41 (1H, m), 2.84 (2H, t), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.28 (2H, m), 1.77 (2H, br m), 1.59 (2H, br m)
【0228】
実施例8:
2−(5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)酢酸
【0229】
【化22】
【0230】
ステップ1:メチル2−(5−(2,3−ジ−p−トリルジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)アセテート
DMF(1ml)中の5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタン酸(実施例7)(25mg、0.063mmol)をDIPEA(0.055ml、0.313mmol)およびHATU(57.1mg、0.150mmol)で処理した。RTで15分間撹拌した後、混合物をグリシンメチルエステル塩酸塩(9.43mg、0.075mmol)で処理し、RTで2時間撹拌した。得られた混合物を水で希釈し、得られた懸濁液を超音波処理し、ろ過し、ろ過ケーキを水(×3)で濯いだ。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜50%EtOAc、続いてEtOAc中の10%MeOHで溶出させ、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt 1.10min MS m/z 471 [M+H];方法 2minLC_v003
【0231】
ステップ2:2−(5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)酢酸
THF(1ml)および水(0.5ml)の中のメチル2−(5−(2,3−ジ−p−トリルジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)アセテート(ステップ1)(17mg、0.036mmol)をLiOH一水和物(8.12mg、0.108mmol)で処理した。室温で3時間撹拌した後、反応混合物を水(20ml)で処理し、pHを2M HClでpH2に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を減圧下で濃縮した。水(0.1%TFA)中の0〜30%MeCNで溶出させて、逆相(C18)クロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt 1.05min MS m/z 457.4 [M+H];方法 2minLC_v003
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ12.51 (1H, br s), 11.92 (1H, s), 8.16 (1H, m), 7.24 (4H, m), 7.1 (4H, m), 6.41 (1H, m), 3.73 (2H, d), 2.84 (2H, t), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.20 (2H, t), 1.76 (2H, br m), 1.59 (2H, br m)
【0232】
実施例9:
7−(6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0233】
【化23】
【0234】
ステップ1:3,5−ジブロモ−6−クロロピラジン−2−アミン
水浴を用いて冷却したMeOH(2000ml)中の6−クロロピラジン−2−アミン(100g、772mmol)を、反応温度を15〜20℃に保持しながら、30minかけて分割してN−ブロモスクシンイミド(151.2g、170mmol)で処理した。1.5時間撹拌した後、混合物を、氷冷水(4リットル)が撹拌されている容器中に、注意深く注し込んだ。得られた懸濁液を氷浴中で2時間撹拌し、ろ取し、ろ過ケーキを水(800ml)で濯ぎ、真空オーブン中で乾燥して表題化合物を得た。
LC−MS Rt 0.99min;方法 2minLowpH
【0235】
ステップ2:5−ブロモ−6−クロロ−3−(3−(トリメチルシリル)プロパ−1−イニル)ピラジン−2−アミン
無水THF(10ml)中の3,5−ジブロモ−6−クロロピラジン−2−アミン(ステップ1)(400mg、1.392mmol)を窒素で脱ガスし、トリメチル(プロパ−2−イニル)シラン(0.218ml、1.462mmol)、TEA(0.582ml、4.18mmol)、CuI(26.5mg、0.139mmol)およびPd(PPhCl(98mg、0.139mmol)で処理した。室温で2時間撹拌した後、反応混合物を水(100ml)およびブラインで希釈し、DCM(×3)で抽出した。一緒にした有機抽出物を減圧下で濃縮した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt=1.25min;[M+H]318/320 方法 2minLowpH。
【0236】
ステップ3:2−ブロモ−3−クロロ−6−メチル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
RTのtert−ブタノール(4ml)中の5−ブロモ−6−クロロ−3−(3−(トリメチルシリル)プロパ−1−イニル)ピラジン−2−アミン(ステップ2)(280mg、0.879mmol)をKOtBu(217mg、1.933mmol)で処理し、60℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、pHを2M HClでpH1に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、有機溶媒を減圧下で除去して表題化合物を得た。
LC−MS Rt=0.97min;[M+H]246/248:方法 2minLowpH。
【0237】
ステップ4:6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
ジオキサン(5ml)中の2−ブロモ−3−クロロ−6−メチル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(ステップ3)(183mg、0.742mmol)をNで脱ガスし、p−トリルボロン酸(242mg、1.782mmol)、KCO(308mg、2.227mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(60.6mg、0.074mmol)で処理した。反応混合物を還流下で3時間加熱した。RTに冷却した後、さらなる分量のp−トリルボロン酸(242mg、1.782mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(60.6mg、0.074mmol)を加え、加熱を還流下で2時間続行した。RTに冷却した後、混合物を水(50ml)で希釈した。得られた懸濁液を超音波処理し、ろ過し、ろ過ケーキを水(×3)で濯いだ。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜30%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製し表題化合物を得た。
LC−MS Rt=1.15min;[M+H]314/315 方法 2minLowpH。
【0238】
ステップ5:7−(6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
表題化合物を、6−メチル−2,3−ジ−p−トリルジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(実施例9;ステップ4)から、7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸(実施例1のステップ6およびステップ7)と同様にして調製した。
LC−MS:Rt1.28min MS m/z 442.7/443.4 [M+H];方法 2minLC_v003
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ11.94 (1H, br s), 7.28 - 7.21 (4H, m), 7.13 - 7.07 (4H, m), 6.47 (1H, s), 4.25 (2H, t), 2.57 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.15 (2H, t), 1.76 (2H, m), 1.46 (2H, m), 1.36 - 1.25 (4H, br m).
【0239】
実施例10:
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸
【0240】
【化24】
【0241】
ステップ1:7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル
で脱ガスした1,4−ジオキサン(8ml)中に7−(2−ブロモ−3−クロロ−6−シクロプロピル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル(中間体D)(400mg、0.933mmol)を含む混合物を、フェニルボロン酸(120mg、0.980mmol)、炭酸カリウム(284mg、2.052mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(76mg、0.093mmol)で処理した。反応混合物を60℃で12時間撹拌した。RTに冷却し、Nで脱ガスした後、フェニルボロン酸(171mg、1.399mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(76mg、0.093mmol)を加え、撹拌を110℃で24時間続行した。混合物を氷冷水で処理し、水性部分をジエチルエーテルで抽出した。有機部分を脱水し(NaSO)、減圧下で濃縮した。粗生成物を、イソヘキサン中の5%EtOAcで溶出させて、シリカを用いて精製して表題化合物を得た。
HPLC Rt 5.74min:MS m/z 428.1
【0242】
ステップ2:7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸:
THF(6ml)および水(2ml)の中の7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル(ステップ1)(250mg、0.535mmol)をLiOH一水和物(45mg、1.069mmol)で処理し、室温で12時間撹拌し、続いて60℃で10時間加熱した。混合物を減圧下で濃縮した。残留物を水に溶解し、ジエチルエーテル(×1)で洗浄した。水性部分をクエン酸で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機溶媒を脱水し(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。生成物を、DCM中の1%MeOHで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製し、続いて以下の条件による分取HPLCでさらに精製して表題化合物を得た。
カラム: ZORBAX−15021.2MM
移動相: A:水中の10mmol 酢酸アンモニウム;B:1:1 MeOH:アセトニトリル
流量: 30ml/min.
時間 %B 流量(ml/min)
0.0 60.0 20.0
2.0 60.0 20.0
10.0 90.0 20.0
LCMS:Rt1.27min MS m/z 440.0 [M+H]:方法 2minLowpH
【0243】
以下の表にした実施例(表2)の化合物を、フェニルボロン酸(ステップ1および2)を適切な市販のボロン酸で置き換えて、実施例10と同様の方法で調製した。
【0244】
【表3-1】

【表3-2】
【0245】
実施例11:
7−(6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0246】
【化25】
【0247】
ステップ1:4−(3−アミノ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−オール
表題化合物を、ヘプタ−6−イン酸をブタ−3−イン−1−オールで置き換えて、7−(3−アミノ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−イル)ヘプタ−6−イン酸(Ex7ステップ1)と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.11min MS m/z 344 [M+H]+方法 2minLowpH
【0248】
ステップ2:2−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)エタノール
表題化合物を、4−(3−アミノ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−イル)ブタ−3−イン−1−オール(ステップ1)から、5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタン酸(Ex7、ステップ2)と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.04min MS m/z 344 [M+H]+:方法 2minLowpH
【0249】
ステップ3:2−(2,3−Dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)エチルアセテート
RTでの無水THF(2ml)中の2−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)エタノール(ステップ2)(73mg、0.213mmol)をDIPEA(0.082ml、0.468mmol)および塩化アセチル(0.018ml、0.255mmol)で処理した。RTで16時間撹拌した後、混合物を水(30ml)に加え、DCM(×3)で抽出した。一緒にした有機抽出物を相分離カラムに通し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、0〜40%EtOAc/イソヘキサンで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製して表題化合物、2−(2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)エチルアセテートを得た。
LCMS:Rt1.15min MS m/z 386.6 [M+H]+方法 2minLowpH
2−(5−アセチル−2,3−d−ip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)エチルアセテートも副生成物として単離した。
【0250】
ステップ4:エチル7−(6−(2−アセトキシエチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
2−(2,3−Dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)エチルアセテート(ステップ3)(12mg、0.031mmol)をRTで無水DMF(1ml)に溶解し、KCO(12.91mg、0.093mmol)およびエチル7−ブロモヘプタノエート(0.012ml、0.062mmol)で処理した。得られた褐色懸濁液をRTで16時間撹拌した。次いで混合物を60℃で5時間加熱し、RTに冷却した後、終夜撹拌した。混合物を水(30ml)に加え、DCM(×3)で抽出した。一緒にした有機抽出物を相分離カラムに通し、減圧下で濃縮して表題化合物を得た。
LCMS:Rt1.40min MS m/z 542.7 [M+H]+;方法 2minLowpH
【0251】
ステップ5:7−(6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
RTでのEtOH(1ml)中のエチル7−(6−(2−アセトキシエチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(ステップ4)(17mg、0.031mmol)を2M NaOH(0.047ml、0.094mmol)で処理し、RTで4時間撹拌した。さらなる2M NaOH(0.047ml、0.094mmol)を加え、混合物をRTで終夜にわたって16時間撹拌した。さらなる2M NaOH(0.047ml、0.094mmol)を加え、オレンジ色RMをRTで終夜撹拌した。得られた混合物を水(30ml)に加え、2M HClを加えてpHをpH1に調節した。水性部分をDCM(×4)で抽出し、一緒にした抽出物を相分離カラムに通し、減圧下で濃縮してオレンジ色油状物を得た。この油状物をEtOAcに溶解し、過剰のイソヘキサンを加えた。得られた懸濁液を超音波処理し、ろ別した。ろ液を減圧下で濃縮し、粗生成物をDCM(最少量)に溶解し、Si 20mm×20mm分取TLCプレートにロードした。DCM(200ml)中の10%MeOHの溶媒系を用いて、TLCプレートを溶出させ、プレート上のSiの適切な細長い断片をプレートから掻き取った(scrapped off)。このSiを10%MeOH/DCM中に懸濁させ、超音波処理した。懸濁液をろ過し、固体を10%MeOH/DCMで濯いだ。ろ液を減圧下で濃縮して表題化合物を得た。
LCMS:Rt1.16min MS m/z 472.1/473.4 [M+H]+方法 2minLowpH
1H NMR (400MHz, d-DMSO) δ11.96 (1H, br s), 7.28-7.20 (4H, br m), 7.14-7.08 (4H, br m), 6.52 (1H, s), 4.91 (1H, br m), 4.29 (2H, m), 3.83 (2H, m), 3.05 (2H, m), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.16 (2H, m), 1.81-1.73 (2H, br m), 1.52-1.43 (2H, br m), 1.37-1.27 (4H, br m)
【0252】
実施例12:
5−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ペンタン酸
【0253】
【化26】
【0254】
表題化合物を、エチル7−ブロモヘプタノエート(ステップ6)をエチル5−ブロモペンタノエートで置き換えて、実施例1と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.42min MS m/z 441.5 [M+H]+;方法 2minLowpHv01
1H NMR (400MHz, d-DMSO) δ12.01 (1H, br s), 7.28-7.19 (4H, br m), 7.13-7.07 (4H, br m), 6.32 (1H, s), 4.41 (2H, m), 2.34-2.27 (2H, br m), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.23-2.16 (1H, br m), 1.92-1.83 (2H, br m), 1.58-1.49 (2H, br m), 1.16-1.10 (2H, br m), 0.91-0.87 (2H, br m)
【0255】
実施例13:
6−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘキサン酸
【0256】
【化27】
【0257】
表題化合物を、エチル7−ブロモヘプタノエート(ステップ6)をエチル6−ブロモヘキサノエートで置き換えて、実施例1と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.43min MS m/z 454.2/455.5 [M+H]+:方法 2minLowpHv01。
1H NMR (400MHz, d-DMSO) δ11.98 (1H, br s), 7.28-7.19 (4H, br m), 7.13-7.07 (4H, br m), 6.32 (1H, s), 4.40 (2H, m), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s), 2.23-2.17 (3H, br m), 1.90-1.82 (2H, br m), 1.62-1.54 (2H, br m), 1.38-1.29 (2H, br m), 1.16-1.11 (2H, br m), 0.91-0.87 (2H, br m).
【0258】
実施例14:
7−(7−(メトキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0259】
【化28】
【0260】
窒素下での無水DMF(1ml)中のエチル7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(実施例3)(50mg、0.103mmol)をNaH(鉱油中に60%)(4.53mg、0.113mmol)で処理し、得られた混合物をRTで15分間撹拌した。ヨウ化メチル(7.08μl、0.113mmol)を加え、撹拌をRTで終夜続行した。混合物を水(30ml)に加え、2M HClを加えてpHをpH1に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、一緒にした有機部分を相分離カラムに通し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、0〜50%EtOAc/イソヘキサンで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製した。生成物をDCM(最少量)に溶解し、20cm×20cmの分取TLCプレートにロードして、さらなる精製を実施した。イソヘキサン(300ml)中の67%EtOAcの溶媒系を用いてプレートを実働させ、シリカの適切な細長い断片をプレートから掻き取った。Siを10%MeOH/DCMに懸濁させ、超音波処理した。懸濁液をろ過し、固体を10%MeOH/DCMで濯いだ。ろ液を減圧下で濃縮して表題化合物を得た。
LCMS:Rt1.43min MS m/z 473.8 [M+H]+:方法 2minLowpHv01
1H NMR (400MHz, d-DMSO) δ12.03 (1H, br s), 8.01 (1H, s), 7.29-7.22 (4H, br m), 7.14-7.10 (4H, br m), 4.62 (2H, s), 4.28 (2H, m), 3.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.14 (2H, m), 1.88-1.82 (2H, br m), 1.49 (2H, br m), 1.36-1.21 (4H, br m)
【0261】
実施例15:
7−(6−オキソ−2,3−dip−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0262】
【化29】
【0263】
ステップ1:7−(7,7−ジブロモ−6−オキソ−2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
tert−ブタノール(3ml)および水(0.5ml)の中の7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸(実施例1.5)(90mg、0.211mmol)をNBS(112mg、0.632mmol)で処理し、得られた褐色混合物をRTで18時間撹拌した。混合物を水(50ml)で希釈し、2M HClを用いてpHをpH1に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、有機部分を相分離カラムに通した。有機溶媒を減圧下で除去して、表題化合物をモノブロモ化合物と非ブロム化化合物の混合物として得た。
LCMS:Rt1.54min MS m/z 602.1 [M+H]+;方法 2minLowpHv01
【0264】
ステップ2:7−(6−オキソ−2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
窒素下での無水THF(5ml)中の7−(7,7−ジブロモ−6−オキソ−2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸(ステップ1からの混合物)(127mg、0.211mmol)を10%Pd(C)(22.48mg、0.021mmol)で処理し、混合物を水素雰囲気下、RTで16時間撹拌した。得られた混合物をCelite(登録商標)でろ過し、DCMで洗浄した。ろ液を減圧下で濃縮し、精製を、イソヘキサン中の0〜100%EtOAcで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで実施した。生成物をDCM(最少量)に溶解し、20cm×20cmの分取TLCプレートにロードして、さらなる精製を実施した。イソヘキサン(300ml)中の75%EtOAcの溶媒系を用いてプレートを実働させ、Siの適切な細長い断片をプレートから掻き取った。シリカを10%MeOH/DCMに懸濁させ、超音波処理した。懸濁液をろ過し、固体を10%MeOH/DCMで濯いだ。ろ液を減圧下で濃縮して表題化合物を得た。
LCMS:Rt1.34min MS m/z 444.5 [M+H]+ 方法 2minLowpHv01
1H NMR (400MHz, d-DMSO) δ11.96 (1H, br s), 7.25 (2H, m), 7.20 (2H, m), 7.16-7.09 (4H, br m), 3.83 (2H, m), 3.74 (2H, m), 2.30 (3H, s), 2.29 (3H, s), 2.18 (2H, m), 1.73-1.64 (2H, br m), 1.52-1.44 (2H, br m), 1.36-1.28 (4H, br m)
【0265】
実施例16:
7−(2,3−Dip−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0266】
【化30】
【0267】
ステップ1:5,6−Dip−トリル−3−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−イニル)ピラジン−2−アミン
窒素でバブリングされているジオキサン(4ml)中の3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(Ex1、ステップ3)(200mg、0.565mmol)の溶液を、トリブチル(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−イニル)スタンナン(238mg、0.621mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(46.1mg、0.056mmol)で処理した。得られた混合物を140℃で1時間マイクロ波放射線で加熱した。RTに冷却した後、混合物を減圧下で濃縮した。粗製残留物をDCMに溶解し、25gのシリカカラムにロードした。イソヘキサン中の0〜5%EtOAcで溶出させて、シリカを用いてクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LCMS:Rt1.51min MS m/z 368.5 [M+H]+;方法 2minLowpHv01
【0268】
ステップ2:2,3−ジ−p−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
表題化合物を、5,6−ジ−p−トリル−3−(3,3,3−トリフルオロプロパ−1−イニル)ピラジン−2−アミン(ステップ1)から、Ex1ステップ5と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.45min MS m/z 368.3 [M+H]+方法 2minLowpHv01
【0269】
ステップ3:エチル7−(2,3−dip−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
表題化合物を、2,3−ジ−p−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(ステップ2)から、Ex1ステップ6と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.73min MS m/z 524.4 [M+H]+:方法 2minLowpHv01
【0270】
ステップ4:7−(2,3−ジ−p−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
表題化合物を、エチル7−(2,3−ジ−p−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(ステップ3)から、Ex1ステップ7と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.57min MS m/z 496.6 [M+H]+;方法 2minLowpHv01
【0271】
実施例17:
7−(6,7−ジエチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
【0272】
【化31】
【0273】
ステップ1:6,7−ジエチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
参照:J Org Chem., Vol. 63, No. 22, 1998, 7652
窒素でバブリングされているDMF(1ml)中の3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(Ex1、ステップ3)(20mg、0.056mmol)の溶液を、ヘキサ−3−イン(0.013ml、0.113mmol)、酢酸パラジウム(0.634mg、2.82μmol)、塩化リチウム(2.393mg、0.056mmol)およびKCO(39.0mg、0.282mmol)で処理した。得られた混合物を120℃で30min、マイクロ波放射線で加熱した。並行して、別個の同じ反応混合物を調製し、120℃で1時間熱的に加熱した。RTに冷却した後、2つの反応混合物を水(50ml)中で一緒にした。水性部分をEtOAc(×3)で抽出した。一緒にした有機抽出物を水(×1)およびブライン(×1)で逐次洗浄し、脱水し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜10%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LCMS:Rt1.50min MS m/z 356.3 [M+H]+方法 2minLowpHv01
【0274】
ステップ2:エチル7−(6,7−ジエチル−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
窒素下での無水DMF(1ml)中の6,7−ジエチル−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(ステップ1)(14mg、0.039mmol)の溶液をNaH(1.733mg、0.043mmol)で処理した。得られた混合物をRTで20分間撹拌し、エチル7−ブロモヘプタノエート(8.44μl、0.043mmol)で処理した。RTで3時間撹拌した後、混合物を水に加え、2M HClを用いてpHをpH1に調節した。水性部分をEtOAc(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を水(×1)およびブライン(×1)で逐次洗浄し、脱水し(MgSO4)、ろ過し、減圧下で濃縮して表題化合物を得た(微量の加水分解酸生成物が存在した)。
LCMS:Rt1.57min MS m/z 514.6 [M+H]+方法 2minLowpH50v01
【0275】
ステップ3:7−(6,7−ジエチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
表題化合物を、エチル7−(6,7−ジエチル−2,3−dip−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(ステップ2)から、Ex1ステップ7と同様にして調製した。
LCMS:Rt1.63min MS m/z 484.6 [M+H]+方法 2minLowpHv01
1H NMR (400MHz, d-DMSO) δ11.98 (1H, br s), 7.27-7.21 (4H, br m), 7.14-7.08 (4H, br m), 4.26-4.20 (2H, br m), 2.95-2.87 (2H, br m), 2.81-2.74 (2H, br m), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.17-2.12 (2H, br m), 1.81-1.73 (2H, br m), 1.52-1.43 (2H, br m), 1.35-1.21 (10H, br m).
【0276】
中間体の調製:
中間体A:
2,3−ジ−p−トリル5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
【0277】
【化32】
【0278】
ステップ1:6−クロロ−5−ヨードピラジン−2−アミン
DMSO(100ml)中の6−クロロピラジン−2−アミン(10.0g、77mmol)の溶液を1−ヨードピロリジン−2,5−ジオン(20.84g、93mmol)で処理した。反応混合物をRTで2日間撹拌し、次いで水(800ml)に加えた。NaHCO飽和溶液を用いてpHをpH8〜9に調節し、得られた懸濁液をろ過し、水(×3)で洗浄し、真空下で乾燥して表題化合物をオレンジ色固体として得た。
LC−MS Rt=0.83min;[MeCN+H]296.0、方法 2minLowpH。
【0279】
ステップ2:5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン
ジオキサン(300ml)中の6−クロロ−5−ヨードピラジン−2−アミン(ステップ1)(13.74g、53.8mmol)の溶液をNで脱ガスし、p−トリルボロン酸(17.55g、129mmol)、KCO(22.30g、161mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(4.39g、5.38mmol)で処理した。オレンジ色の懸濁液を110℃で2日間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗製混合物をシリカ上に吸収させ、イソヘキサン中の0〜60%EtOAcで溶出させて、クロマトグラフィーで精製して表題化合物をベージュ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.09min;[M+H]277.3、方法 2minLowpH。
【0280】
ステップ3:3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン
DMSO(40ml)中の5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(ステップ2)(4.94g、17.94mmol)の溶液をN−ブロモスクシンイミド(3.19g、17.94mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌してベージュ色の懸濁液を得た。懸濁液を水(700ml)で希釈し、NaHCO飽和溶液を用いてpHをpH8〜9に調節した。懸濁液をろ過し、水(×3)で洗浄し、真空下で乾燥して表題化合物をベージュ色固体として得た。
LC−MS Rt=1.39min;[M+H]356.3、方法 2minLowpH。
【0281】
ステップ4:5,6−ジ−p−トリル−3−((トリメチルシリル)エチニル)ピラジン−2−アミン
無水ジオキサン(10ml)中の3−ブロモ−5,6−ジ−p−トリルピラジン−2−アミン(ステップ3)の溶液をNで脱ガスし、トリエチルアミン(1.062ml、7.62mmol)、エチニルトリメチルシラン(0.239ml、1.694mmol)、ヨウ化銅(I)(48.4mg、0.254mmol)およびPdCl(dppf)−CHCl付加体(69.2mg、0.085mmol)で処理した。室温で5時間撹拌した後、反応混合物を水(50ml)に加え、DCM(×3)で抽出した。有機抽出物を相分離カラムに通し、分離を支援するためにブラインを加えた。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、イソヘキサン中の0〜5%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt=1.50min;[M+H]372、方法 2minLC_v003。
【0282】
ステップ5:2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
RTでのtert−BuOH(5ml)中の5,6−ジ−p−トリル−3−((トリメチルシリル)エチニル)ピラジン−2−アミン(ステップ4)(170mg、0.458mmol)をカリウムtert−ブトキシド(205mg、1.830mmol)で処理し、還流下で3時間加熱した。RTに冷却した後、濃HCl(0.5ml、16.46mmol)を加え、混合物を還流下で3時間加熱し、RTで終夜撹拌した。混合物を水(100ml)に加え、2M NaOHを用いてpHをpH10に調節した。水性部分をDCM(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を相分離カラムに通した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、イソヘキサン中の0〜20%EtOAcで溶出させて、シリカを用いたクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
LC−MS Rt=1.17min;[M+H]300、方法 2minLC_v003。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ12.06 (1H, br s), 7.91 (1H, m), 7.25 (4H, m), 7.11 (4H, m), 6.67 (1H, d), 2.30 (3H, s), 2.30 (3H, s)
【0283】
中間体B:
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル
【0284】
【化33】
【0285】
表題化合物を、2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(中間体A)から、エチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート(実施例1ステップ6)と同様にして調製した。
LC−MS Rt=1.44min;[M+H]456、方法 2minLC_v003。
1H NMR (400 MHz, d-DMSO) δ7.99 (1H, m), 7.26 (4H, m), 7.12 (4H, m), 6.69 (1H, d), 4.29 (2H, t), 4.01 (2H, q), 2.31 (3H, s), 2.31 (3H, s), 2.22 (2H, t), 1.85 (2H, br m), 1.49 (2H, br m), 1.36-1.22 (4H, br m), 1.15 (3H, t).
【0286】
中間体C
エチル7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
【0287】
【化34】
【0288】
ステップ1:エチル7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート
無水DMF(1ml)中に7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル(中間体B)(479mg、1.051mmol)を含む混合物をNで脱ガスし、POCl(0.147ml、1.577mmol)を滴下添加して処理した。混合物を室温で3時間撹拌し、追加分量のPOCl(0.147ml、1.577mmol)で処理した。RTで16時間撹拌した後、混合物を水(100ml)とEtOAc(20ml)に分配させ、NaHCO飽和溶液を用いて2相溶液のpHをpH8〜9に調節した。水性部分をEtOAc(×3)で抽出し、一緒にした有機抽出物を水(×1)、ブライン(×1)で洗浄し、MgSOで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮して表題化合物を褐色油状物として得た。
LC−MS Rt=1.37min;[M+H] 484.6、方法 2minLowpH。
【0289】
中間体D:
7−(2−ブロモ−3−クロロ−6−シクロプロピル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル
【0290】
【化35】
【0291】
ステップ1:2−ブロモ−3−クロロ−6−シクロプロピル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン
表題化合物を、トリメチル(プロパ−2−イニル)シラン(ステップ2)をエチニルシクロプロパンで置き換えて、6−クロロピラジン−2−アミン(市販品)から、2−ブロモ−3−クロロ−6−メチル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(実施例9ステップ1〜ステップ3)と同様にして調製した。
【0292】
ステップ2:7−(2−ブロモ−3−クロロ−6−シクロプロピル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル
0℃に冷却され、アルゴンで脱ガスされたDMF(10ml)中の2−ブロモ−3−クロロ−6−シクロプロピル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン(ステップ1)(1.0g、3.696mmol)を炭酸カリウム(1.53g、10.88mmol)で処理し、5分間撹拌した。次いで反応混合物をエチル7−ブロモヘプタノエート(960mg、4.066mmol)で処理し、室温で16時間撹拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液を0℃で徐々に添加し、混合物をジエチルエーテルで抽出した。有機部分を脱水し(NaSO)、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、イソヘキサン中の0〜2%EtOAcで溶出させて、中性アルミナを用いてクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
MS:m/z [M+H]428
HPLC:Rt5.77min
【0293】
予測化合物
以下の化合物を、本明細書で開示したのと同様の方法にしたがって調製することができる。
【0294】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】

【表4-4】
【0295】
発明の列挙
実施形態1:下記式で表される化合物または薬学的に許容されるその塩:
【0296】
【化36】

式中、
AはNまたはCR’であり;
R’は、H;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または
は−X−Yである;または
は−W−R−X−Yである;または
は−S(O)−X−Yである;または
は−S(O)−W−R−X−Yであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または
は−X−Yである;または
は−W−R−X−Yである;または
は−S(O)−X−Yである;または
は−S(O)−W−R−X−Yであり;
2aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または
とR2aは一緒になってオキソであり;
ここで、RおよびRの1つは−X−Y、−W−R−X−Y、−S(O)−X−Y;または−S(O)−W−R−X−Yであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;OR’;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲン;−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリール;−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリール;−C(=O)H;−C(=O)OH;−C(=O)NR1921およびC〜Cシクロアルキルから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており;
3aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される;または、
とR3aは一緒になってオキソであり;
およびRは、−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリールおよび−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されており;
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは0、1または2であり;
は、−O−、−S−、−NHC(O)−、−CH=CH−、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはO、S、NHであるかまたは存在せず;
Zは独立に、OH、アリール、O−アリール、ベンジル、O−ベンジル、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、NR18(SO)R21、(SO)NR1921、(SO)R21、NR18C(O)R21、C(O)NR1921、NR18C(O)NR1921、NR18C(O)OR19、NR1921、C(O)OR19、C(O)R19、SR19、OR19、オキソ、CN、NO、ハロゲンまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
18は独立にHまたはC〜Cアルキルであり;
19およびR21はそれぞれ独立に、H;C〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル;C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−カルボキシ;C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−アリール;(C〜Cアルキル)−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、オキソ、C〜CアルキルおよびC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている];C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−O−アリール;ならびに、(C〜Cアルキル)−O−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている]であり;ここで、前記アルキル基は1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C(O)NH、C(O)NHC〜CアルキルまたはC(O)N(C〜Cアルキル)で任意に置換されているか;または、
19とR21は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5〜10員ヘテロシクリルを形成しており、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリルは、OH;ハロゲン;アリール;N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロシクリル;S(O)−アリール;S(O)−C〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびC(O)OC〜Cアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、前記アリールおよびヘテロシクリル置換基は、それら自体がC〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されている。
【0297】
実施形態2:
およびRの1つは、−X−Y、−W−R−X−Y、−S(O)−X−Y;または−S(O)−W−R−X−Yであり;
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは2であり;
は、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOであり;
19およびR21は、それぞれ独立にH;C〜Cアルキルである、実施形態1による化合物。
【0298】
実施形態3:
およびRの1つは、−X−Y;または−W−R−X−Yであり;
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは2であり;
は、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOであり;
19およびR21は、それぞれ独立にH;C〜Cアルキルである、実施形態1または2による化合物。
【0299】
実施形態4:
およびRの1つは、−X−Y;または−W−R−X−Yであり;
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、−C(O)OHであり;
は、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOである、実施形態1〜3のいずれか1つによる化合物。
【0300】
実施形態5:
およびRの1つは、−(CH−C(O)OR”または−(CH−R−(CH−C(O)OR”であり;
mは1、2、3、4、5、6、7または8であり;
nは0、1、2または3であり;
R”は、H;または1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
は、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOである、実施形態1による化合物。
【0301】
実施形態6:
およびRの1つは、−(CH−C(O)OR”であり;
mは3、4、5、6、7または8であり;
R”は、H;または1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルである、実施形態5による化合物。
【0302】
実施形態7:
およびRの1つが−(CH−C(O)OR”であり;
R”はHであり;
mは4、5または6である、実施形態5または6のいずれか1つによる化合物。
【0303】
実施形態8:
およびRの1つが、
【0304】
【化37】

である、実施形態1による化合物。
【0305】
実施形態9:
は、H;1つ以上のハロゲン原子、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
存在する場合、R2aはHである;または
とR2aが一緒になってオキソであり;
R’は、H、C〜Cアルキルである、実施形態1〜8のいずれか1つによる化合物。
【0306】
実施形態10:
がH、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキルである、実施形態9による化合物。
【0307】
実施形態11:
がH、シクロプロピル、イソプロピル、メトキシまたはメチルである、実施形態10による化合物。
【0308】
実施形態12:
およびR3aが、H;1つ以上のハロゲン原子またはOHで任意に置換されているC〜Cアルキル;−C(=O)H;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびOHから独立に選択される;またはRとR3aが一緒になってオキソである、上記実施形態のいずれか1つによる化合物。
【0309】
実施形態13:
およびR3aが、H;1つ以上のハロゲン原子またはOHで任意に置換されているC〜Cアルキル;−C(=O)HおよびOHから独立に選択される;またはRとR3aが一緒になってオキソである、上記実施形態のいずれか1つによる化合物。
【0310】
実施形態14:
およびRが、C〜C14アリールおよび5〜6員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、1つ以上のZ置換基で任意に置換されている、上記実施形態のいずれか1つによる化合物。
【0311】
実施形態15:
およびRが、フェニル;2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジルから独立に選択され、前記フェニル、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルはそれぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されている、実施形態1〜13のいずれか1つによる化合物。
【0312】
実施形態16:
およびRが、OH、1つ以上のOH基またはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;NR1921;C(O)OR19;C(O)R19;SR19;OR19;CN;NO;およびハロゲンで任意に置換されているフェニルから独立に選択される、実施形態1〜13のいずれか1つによる化合物。
【0313】
実施形態17:
およびRが、1つ以上のOH基またはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびハロゲンで任意に置換されているフェニルから独立に選択される、実施形態1〜13のいずれか1つによる化合物。
【0314】
実施形態18:
およびRが、C〜Cアルコキシまたはハロゲンおよび1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルで任意に置換されているフェニルから独立に選択される、実施形態1〜13のいずれか1つによる化合物。
【0315】
実施形態19:
およびRが、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはハロゲンで任意に置換されているフェニルから独立に選択される、実施形態1〜13のいずれか1つによる化合物。
【0316】
実施形態20:
が、
【0317】
【化38】

であり;
が、
【0318】
【化39】

である、実施形態1〜13のいずれか1つによる化合物。
【0319】
実施形態21:AがNである、いずれかの上記実施形態による化合物。
【0320】
実施形態22:AがCR’である、実施形態1〜21による化合物。
【0321】
実施形態23:R’がHである、実施形態22による化合物。
【0322】
実施形態24:式Ibが以下の立体化学:
【0323】
【化40】

を有する、実施形態1〜23のいずれか1つによる化合物。
【0324】
実施形態25:式(Ia)
【0325】
【化41】

で表される化合物または薬学的に許容されるその塩である、実施形態1〜23のいずれか1つによる化合物。
【0326】
実施形態26:式(Ia)で表される化合物である実施形態1による化合物、または薬学的に許容されるその塩:
【0327】
【化42】

式中、
Aは、NまたはCR’であり;
R’は、H;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルであり;
は−X−Yである;または
は−W−R−X−Yである;または
は−S(O)−X−Yである;または
は−S(O)−W−R−X−Yであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;OR’;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲン;−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリール;−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリール;−C(=O)H;−C(=O)OH;−C(=O)NR1921およびC〜Cシクロアルキルから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており;
およびRは、−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリールおよび−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されており;
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり;
qは0、1または2であり;
は、−O−、−S−、−NHC(O)−、−CH=CH−、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはO、S、NHであるかまたは存在せず;
Zは独立に、OH、アリール、O−アリール、ベンジル、O−ベンジル、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、NR18(SO)R21、(SO)NR1921、(SO)R21、NR18C(O)R21、C(O)NR1921、NR18C(O)NR1921、NR18C(O)OR19、NR1921、C(O)OR19、C(O)R19、SR19、OR19、オキソ、CN、NO、ハロゲンまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
18は独立にHまたはC〜Cアルキルであり;
19およびR21はそれぞれ独立に、H;C〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル;C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−カルボキシ;C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−アリール;(C〜Cアルキル)−3〜14員ヘテロシクリル[ここで、該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、オキソ、C〜CアルキルおよびC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている];C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−O−アリール;ならびに、(C〜Cアルキル)−O−3〜14員ヘテロシクリル[ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている]であり;前記アルキル基は、1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C(O)NH、C(O)NHC〜CアルキルまたはC(O)N(C〜Cアルキル)で任意に置換されているか;または、
19とR21は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5〜10員ヘテロシクリルを形成しており、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリルは、OH;ハロゲン;アリール;N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロシクリル;S(O)−アリール;S(O)−C〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびC(O)OC〜Cアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリル置換基は、それら自体がC〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されている。
【0328】
実施形態27:式(Ia)で表される化合物である実施形態1による化合物、または薬学的に許容されるその塩:
【0329】
【化43】

式中、
AはNであり;
は−X−Yである;または
は−S(O)−X−Yであり;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OHまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;およびC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲン;−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリール;−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリール;−C(=O)H;−C(=O)OH;−C(=O)NR1921およびC〜Cシクロアルキルから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており;
およびRは、−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリールおよび−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されており;
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
Yは、カルボキシまたはC〜C−アルコキシカルボニルであり;
Zは独立に、OH、アリール、O−アリール、ベンジル、O−ベンジル、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、NR18(SO)R21、(SO)NR1921、(SO)R21、NR18C(O)R21、C(O)NR1921、NR18C(O)NR1921、NR18C(O)OR19、NR1921、C(O)OR19、C(O)R19、SR19、OR19、オキソ、CN、NO、ハロゲンまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み;
18は独立にHまたはC〜Cアルキルであり;
19およびR21はそれぞれ独立に、H;C〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル;C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−カルボキシ;C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つも以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−アリール;C〜Cアルキル)−3〜14員ヘテロシクリル[ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、オキソ、C〜CアルキルおよびC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている];C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−O−アリール;ならびに、(C〜Cアルキル)−O−3〜14員ヘテロシクリル[ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている]であり;前記アルキル基は、1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C(O)NH、C(O)NHC〜CアルキルまたはC(O)N(C〜Cアルキル)で任意に置換されているか;または、
19とR21は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5〜10員ヘテロシクリルを形成しており、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリルは、OH;ハロゲン;アリール;N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロシクリル;S(O)−アリール;S(O)−C〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびC(O)OC〜Cアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、前記アリールおよびヘテロシクリル置換基は、それら自体がC〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されている。
【0330】
実施形態28:式(Ia)で表される化合物である実施形態1による化合物、または薬学的に許容されるその塩:
【0331】
【化44】

式中、
AはNであり;
は−X−Yである;または
はH;1つ以上のハロゲン原子、OHまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;およびC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲンから独立に選択され;
およびRは−(C〜Cアルキル)−フェニルから独立に選択され、フェニルは1つ以上のZ置換基で任意に置換されており;
Xはヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり;
YはカルボキシまたはC〜C−アルコキシカルボニルであり;
Zは独立に、OH、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシである。
【0332】
実施形態29:式(Ia)で表される化合物である実施形態1による化合物、または薬学的に許容されるその塩:
【0333】
【化45】

式中、
AはNであり;
は−X−Yである;または
はH;1つ以上のハロゲン原子、OHまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されているたC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;およびC〜Cシクロアルキルから選択され;
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲンから独立に選択され;
XはC〜Cアルキレンであり;
YはカルボキシまたはC〜C−アルコキシカルボニルである。
【0334】
実施形態30:
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
エチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
エチル7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル;
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;3
7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
エチル7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
エチル7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−メトキシ−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
エチル7−(2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)−ペンタン酸;
2−(5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)酢酸;
7−(6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(4−メトキシ−フェニル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(2,3−ビス(4−クロロフェニル)−6−シクロプロピル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(4−エチルフェニル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−m−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(4−エチルフェニル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(4−メトキシフェニル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(m−トリル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(m−トリル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジp−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
5−(6−シクロプロピル−2,3−ジp−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ペンタン酸;
6−(6−シクロプロピル−2,3−ジp−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘキサン酸;
7−(7−(メトキシメチル)−2,3−ジp−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−オキソ−2,3−ジp−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(2,3−ジp−トリル−6−(トリフルオロメチル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;および
7−(6,7−ジエチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸
から選択される化合物または薬学的に許容されるその塩である、実施形態1による化合物。
【0335】
実施形態31:
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
エチル7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
エチル7−(6−イソプロピル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸エチルエステル;
7−(2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;3
7−(7−ホルミル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
エチル7−(7−(ヒドロキシメチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
エチル7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
7−(7−((イソプロピルアミノ)メチル)−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−メトキシ−2,3−ジ−p−トリル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
エチル7−(2,3−ジ−p−トリル−6,7−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタノエート;
5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)−ペンタン酸;
2−(5−(2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)ペンタンアミド)酢酸;
7−(6−メチル−2,3−ジ−p−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジフェニル−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)−ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(4−メトキシ−フェニル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(2,3−ビス(4−クロロフェニル)−6−シクロプロピル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(4−エチルフェニル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2,3−ジ−m−トリル−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(4−エチルフェニル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(4−メトキシフェニル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−3−(m−トリル)−2−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
7−(6−シクロプロピル−2−(m−トリル)−3−(p−トリル)−5H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−5−イル)ヘプタン酸;
または薬学的に許容されるその塩である、実施形態1による化合物。
【0336】
実施形態32:医薬品として使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0337】
実施形態33:IP受容体によって媒介される障害または疾患の治療において使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0338】
実施形態34:PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療において使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0339】
実施形態35:PAH、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症および線維症から選択される障害または疾患の治療において使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0340】
実施形態36:PAH、ぜんそく、COPDおよび嚢胞性線維症から選択される障害または疾患の治療において使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0341】
実施形態37:PAHまたはCOPDから選択される障害または疾患の治療において使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0342】
実施形態38:PAHの治療において使用するための、実施形態1〜31のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容されるその塩。
【0343】
実施形態39:治療有効量の請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0344】
実施形態40:治療有効量の請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩および第2の活性薬剤を含む医薬的組合せ。
【0345】
実施形態41:IP受容体によって媒介される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜26のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0346】
実施形態42:PAH、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症および線維症から選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0347】
実施形態43:PAH、ぜんそく、COPDおよび嚢胞性線維症から選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0348】
実施形態44:PAHまたはCOPDから選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0349】
実施形態45:PAHの治療のための医薬品の製造における、請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0350】
実施形態46:肺動脈高血圧症の治療のための請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【0351】
実施形態47:IP受容体の活性化によって影響を受ける状態の予防または治療のための方法であって、そうした治療を必要とする患者に、IP受容体を活性化させるのに有効な量の請求項1〜31のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を投与することを含む方法。
【0352】
実施形態48:それを必要とする患者におけるPAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項1〜31のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 下記式で表される化合物または薬学的に許容されるその塩:
【化46】

式中、
Aは、NまたはCR’であり、
R’は、H;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルであり、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または
は−X−Yである、または
は−W−R−X−Yである、または
は−S(O)−X−Yである、または
は−S(O)−W−R−X−Yであり、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;C〜Cアルコキシ;−(C〜Cアルキル)−NR1921およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または
は−X−Yである、または
は−W−R−X−Yである、または
は−S(O)−X−Yである、または
は−S(O)−W−R−X−Yであり、
2aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または
とR2aは一緒になってオキソであり、
ここで、RおよびRの1つは−X−Y、−W−R−X−Y、−S(O)−X−Y、または−S(O)−W−R−X−Yであり、
は、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;−OH;OR’;−(C〜Cアルキル)−NR1921;CN;ハロゲン;−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリール;−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリール;−C(=O)H;−C(=O)OH;−C(=O)NR1921およびC〜Cシクロアルキルから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールは、OH、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲンおよびC〜Cハロアルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、
3aは、H;1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C〜CシクロアルキルまたはC〜Cシクロアルキルオキシで任意に置換されているC〜Cアルキル;およびC〜Cシクロアルキルから選択される、または、
とR3aは一緒になってオキソであり、
およびRは、−(C〜Cアルキル)−C〜C14アリールおよび−(C〜Cアルキル)−4〜14員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ1つ以上のZ置換基で任意に置換されており、
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり、
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり、
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり、
qは0、1または2であり、
は、−O−、−S−、−NHC(O)−、−CH=CH−、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはO、S、NHであるかまたは存在せず、
Zは独立に、OH、アリール、O−アリール、ベンジル、O−ベンジル、1つ以上のOH基もしくはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル、1つ以上のOH基で任意に置換されているC〜Cアルコキシ、1つ以上のハロゲンで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ、NR18(SO)R21、(SO)NR1921、(SO)R21、NR18C(O)R21、C(O)NR1921、NR18C(O)NR1921、NR18C(O)OR19、NR1921、C(O)OR19、C(O)R19、SR19、OR19、オキソ、CN、NO、ハロゲンまたは3〜14員ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、
18は独立にHまたはC〜Cアルキルであり、
19およびR21はそれぞれ独立に、H;C〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル;C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル;−(C〜Cアルキル)−カルボキシ;C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−アリール;(C〜Cアルキル)−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、オキソ、C〜CアルキルおよびC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている];C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシおよびハロゲンから選択される1つ以上の基で任意に置換されている(C〜Cアルキル)−O−アリール;ならびに(C〜Cアルキル)−O−3〜14員ヘテロシクリル[該ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、ハロゲン、C〜CアルキルまたはC(O)C〜Cアルキルから選択される1つ以上の基で任意に置換されている]であり、ここで、前記アルキル基は1つ以上のハロゲン原子、OH、C〜Cアルコキシ、C(O)NH、C(O)NHC〜CアルキルまたはC(O)N(C〜Cアルキル)で任意に置換されているか;または、
19とR21は、それらが結合している窒素原子と一緒になって5〜10員ヘテロシクリルを形成しており、前記ヘテロシクリルはN、OおよびSから選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含み、前記ヘテロシクリルは、OH;ハロゲン;アリール;N、OおよびSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロシクリル;S(O)−アリール;S(O)−C〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;およびC(O)OC〜Cアルキルから選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ここで、前記アリールおよびヘテロシクリル置換基はそれら自体がC〜Cアルキル、C〜CハロアルキルまたはC〜Cアルコキシで任意に置換されている。
[2] RおよびRの1つは、−X−Y、−W−R−X−Y、−S(O)−X−Y;または−S(O)−W−R−X−Yであり、
Wは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり、
Xは、ヒドロキシ、ハロゲンまたはC〜Cアルキルで任意に置換されているC〜Cアルキレンであり、
Yは、カルボキシ、C〜C−アルコキシカルボニル、テトラゾリル、−C(=O)NR1921または−CONH−S(O)−Rであり、ここで、Rはフェニル、ベンジルまたは−NR1921であり、
qは2であり、
は、−C〜C14アリール−D−;−3〜14員ヘテロシクリル−D−で表される二価部分であり、ここで、前記ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、DはOであり、
19およびR21は、それぞれ独立にH;C〜Cアルキルである、
[1]に記載の化合物。
[3] RおよびRの1つは−(CH−C(O)OR”であり、
mは3、4、5、6、7または8であり、
R”は、H;または1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキルである、
[1]または[2]に記載の化合物。
[4] Rは、H;1つ以上のハロゲン原子、C〜Cアルコキシ、OHまたはOR’で任意に置換されているC〜Cアルキルであり、
存在する場合、R2aはHである;または
とR2aが一緒になってオキソであり、
R’はH、C〜Cアルキルである、
[1]から[3]のいずれかに記載の化合物。
[5] RおよびRは、C〜C14アリールおよび5〜6員ヘテロアリールから独立に選択され、ここで、前記ヘテロアリールはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、前記アリールおよびヘテロアリールはそれぞれ、1つ以上のZ置換基で任意に置換されている、
[1]から[4]のいずれかに記載の化合物。
[6] RおよびRは、OH、1つ以上のOH基またはNH基で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のハロゲン原子で任意に置換されているC〜Cアルキル;1つ以上のOH基またはC〜Cアルコキシで任意に置換されているC〜Cアルコキシ;NR1921;C(O)OR19;C(O)R19;SR19;OR19;CN;NO;およびハロゲンで任意に置換されているフェニルから独立に選択される、[1]から[5]のいずれかに記載の化合物。
[7] AがNである、[1]から[6]のいずれかに記載の化合物。
[8] 治療有効量の[1]から[7]のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および
1つ以上の薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物。
[9] 治療有効量の[1]から[7]のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および
第2の活性薬剤
を含む医薬的組合せ。
[10] 医薬品として使用するための、[1]から[7]のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
[11] PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療において使用するための、[1]から[7]のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
[12] PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療のための医薬品の製造における、[1]から[7]のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
[13] PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害または疾患の治療のための、[1]から[7]のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
[14] PAH、抗血小板療法を必要とする障害、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症、炎症性疾患および線維症から選択される障害および疾患の予防または治療のための方法であって、有効量の少なくとも1つの[1]から[7]のいずれかに記載の化合物をそうした治療を必要とする対象に投与することを含む方法。