特許第6073925号(P6073925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073925
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】防水通音シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20170123BHJP
   B32B 3/24 20060101ALI20170123BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20170123BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H04R1/00 311
   B32B3/24 Z
   B32B5/26
   B32B27/30 D
   H04R1/00 321
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-552144(P2014-552144)
(86)(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公表番号】特表2015-510711(P2015-510711A)
(43)【公表日】2015年4月9日
(86)【国際出願番号】KR2013011497
(87)【国際公開番号】WO2014092462
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2014年7月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0143372
(32)【優先日】2012年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0154025
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511302024
【氏名又は名称】アモグリーンテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソ, イン−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ, スン−フン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ジュン−シク
(72)【発明者】
【氏名】チョン, ヨン−シク
(72)【発明者】
【氏名】キム, ギョン−ス
【審査官】 千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−502561(JP,A)
【文献】 特開2010−247547(JP,A)
【文献】 特開2009−137181(JP,A)
【文献】 特開2009−279930(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/164799(WO,A1)
【文献】 特表2012−525063(JP,A)
【文献】 特開2006−074696(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0123713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
B32B 3/24
B32B 5/26
B32B 27/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の多孔性部材で形成される支持層を用意するステップと、
高分子物質で形成される放射溶液を製造するステップと、
前記放射溶液を前記支持層の一面に直接電気放射し、防水層を形成するステップとを含み、
前記防水層は、複数の微細繊維糸条が交差積層された多孔性ナノウェブで形成されることを特徴とする、防水通音シートの製造方法。
【請求項2】
前記支持層は、不織布またはメッシュ層で形成されることを特徴とする、請求項に記載の防水通音シートの製造方法。
【請求項3】
前記高分子物質は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;Polyinylidene difluoride)を含む物質で形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の防水通音シートの製造方法。
【請求項4】
前記防水層を形成するステップの後に、
前記防水層において前記支持層の形成された面の反対面に、フィルム状の多孔性部材で形成される外部支持層を形成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の防水通音シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水通音シートおよびその製造方法に関するものであって、厚さ調節が容易であり、音伝達効率を高め、かつ防水性を向上させた防水通音シートおよびその製造方法に関するものである。本発明は、2012年12月11日付で出願された韓国特許出願第10−2012−0143372号、および2013年12月11日付で出願された韓国特許出願第10−2013−0154025号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用端末、デジタルカメラ、ノートパソコンなどのようなモバイル電子機器の使用がますます増加している。このようなモバイル電子機器は、携帯しながら使用することから、防水機能を有することが要求されている。しかし、スピーカやマイクなどが設けられる部分には、音を放出させる音響ホールが形成され、この音響ホールを通して水や埃が電子機器の内部に侵入する。
【0003】
したがって、音響ホールには、音は通過させ、水や埃を遮断する防水通音シートが設けられる。このような防水通音シートは、防水性および音伝達効率をすべて考慮して製造されなければならない。
【0004】
防水通音シートに関連して、特許文献1は、ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜で形成された構成を開示している。しかし、従来の防水通音膜は、ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜だけで構成されるため、使用期間が長くなるにつれ、外部から加えられる衝撃や音の圧力などによって多孔質膜の微細孔が次第に大きくなり、これにより、防水性能が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許第10−2010−0041839号公報(2010年4月22日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の点に鑑みてなされたものであって、防水性能がより向上した防水通音シートおよびその製造方法を提供するものである。同時に、本発明は、ハンドリングが容易な防水通音シートを提供することを目的とする。
【0007】
そして、本発明は、全体的な厚さ調節が容易な防水通音シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための、本発明にかかる防水通音シートは、ケースの音響ホールに付着する防水通音シートにおいて、フィルム状の多孔性部材で形成され、前記ケースの内部側に形成される支持層と、前記支持層の一面に形成され、複数の微細繊維糸条が交差積層された多孔性ナノウェブで形成され、前記ケースにおいて外部側に露出する防水層とを含むことを特徴とする。
【0009】
この時、前記支持層は、不織布またはメッシュ層で形成されてよい。
【0010】
この時、前記防水層は、高分子物質を前記支持層に電気放射して形成されてよい。
【0011】
この時、前記防水層は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;Polyinylidene difluoride)を含む物質で形成されてよい。
【0012】
この時、フィルム状の多孔性部材で形成され、前記防水層において前記支持層の形成された面の反対面に形成され、前記ケースにおいて外部側に露出する外部支持層をさらに含むことができる。
【0013】
また、上記の目的を達成するための、本発明にかかる防水通音シートの製造方法は、フィルム状の多孔性部材で形成される支持層を用意するステップと、高分子物質で形成される放射溶液を製造するステップと、前記放射溶液を前記支持層の一面に電気放射し、防水層を形成するステップとを含み、前記防水層は、複数の微細繊維糸条が交差積層された多孔性ナノウェブで形成されてよい。
【0014】
この時、前記支持層は、不織布またはメッシュ層で形成されてよい。
【0015】
この時、前記高分子物質は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;Polyinylidene difluoride)を含む物質で形成されてよい。
【0016】
この時、前記防水層を形成するステップの後に、前記防水層において前記支持層の形成された面の反対面に、フィルム状の多孔性部材で形成される外部支持層を形成するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、防水層がケースの外部側に露出し、防水性能がより向上した防水通音シートを提供することができる。同時に、本発明は、防水層の一面に多孔性の支持層が形成され、ハンドリングが容易である。
【0018】
そして、本発明は、防水層を電気放射で形成し、防水通音シートの全体的な厚さ調節が容易である。したがって、本発明によれば、小型化される電子機器に適した薄い厚さの防水通音シートを提供することができる。同時に、本発明は、防水通音シートの厚さ調節が容易であるため、空気透過度の調節が容易であり、このため、優れた音響特性を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態にかかる防水通音シートの構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態にかかる防水通音シートの機器ケースへの適用例を示す図である。
図3】本発明の他の実施形態にかかる防水通音シートの構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態にかかる防水通音シートの製造方法を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の実施形態にかかる防水通音シートが適用された電子機器の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を添付した図面を参照して詳細に説明する。ここで、繰り返される説明、本発明の要旨を不明にする可能性がある公知の機能、および構成に関する詳細な説明は省略する。本発明の実施形態は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状および大きさなどは、より明確な説明のために誇張されることがある。
【0021】
以下では、本発明の実施形態にかかる防水通音シートの構成について説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態にかかる防水通音シートの構成を示す図である。図2は、本発明の実施形態にかかる防水通音シートの機器ケースへの適用例を示す図である。
【0023】
図1を参照すれば、本発明の実施形態にかかる防水通音シート100は、支持層10と、防水層20とを含んで構成される。
【0024】
支持層10は、フィルム状の多孔性部材である。このような支持層10は、不織布またはメッシュ層で形成されてよい。このような支持層10は、防水層20より相対的に強固で、全体的な防水通音シート100のハンドリングを容易にする。このような支持層10は、機器ケースの音響ホールに防水通音シート100が結合される時、機器ケースCの内部側に形成される。
【0025】
防水層20は、支持層10の一面にフィルム状に形成される。そして、防水層20は、複数の微細繊維糸条が交差積層された多孔性ナノウェブで形成されてよい。より具体的には、防水層20は、高分子物質を支持層10の一面に電気放射して形成されてよい。この時、高分子物質は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;Polyinylidene difluoride)を含む物質であってよい。また、防水層20において外部に露出する面には、オレオフォビック処理がさらに施されてよいことを特徴とする。
【0026】
同時に、高分子物質は、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのような芳香族ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジフェノキシホスファゼン、ポリ{ビス[2−(2−メトキシエトキシ)ホスファゼン]}のようなポリホスファゼン類、ポリウレタンおよびポリエーテルウレタンを含むポリウレタン共重合体、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどを使用することができる。また、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリ(ビニリデンフルオライド−コ−ヘキサフルオロプロピレン)、パーフルオロポリマー、ポリビニルクロライドまたはポリビニリデンクロライドおよびこれらの共重合体、およびポリエチレングリコールジアルキルエーテルおよびポリエチレングリコールジアルキルエステルを含むポリエチレングリコール誘導体、ポリ(オキシメチレン−オリゴ−オキシエチレン)、ポリエチレンオキサイドおよびポリプロピレンオキサイドを含むポリオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリ(ビニルピロリドン−ビニルアセテート)、ポリスチレンおよびポリスチレンアクリロニトリル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルメチルメタクリレート共重合体を含むポリアクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート共重合体およびこれらの混合物で形成されてもよい。
【0027】
このような防水層20は、電気放射で形成され、厚さ調節が容易である。特に、電気放射工程を用いて防水層20の厚さを薄く形成しやすいため、全体的な防水通音シート100の通音性を優れたものとする。
【0028】
また、防水層20は、機器ケースCの音響ホールにおいて、外部空間に露出するように形成される。すなわち、機器の音響ホールに外部から水が弾くなどの場合、防水層20が直接的に水の機器内側への侵入を抑制する。
【0029】
このような構成により、本発明にかかる防水通音シート100は、多孔性の支持層10を機器ケースCの内部側に位置させることで、防水通音シート100のハンドリングを容易にし、多孔性繊維ウェブの構造に形成される防水層20を機器ケースCの外部側に露出させることで、防水性能を高めたことを特徴とする。
【0030】
そして、防水通音シート100とケースCとは、両面粘着テープで形成される粘着層30によって結合されてよい。この時、粘着層30は、基材の両面に粘着物質を電気放射して形成された両面粘着テープであってよい。
【0031】
以下では、本発明の他の実施形態にかかる防水通音シートの構成について説明する。
【0032】
図3は、本発明の他の実施形態にかかる防水通音シートの構成を示す図である。
【0033】
図3を参照すれば、本発明の他の実施形態にかかる防水通音シート200は、外部支持層40と、前記外部支持層40の上部に形成される防水層20と、前記防水層20の上部に形成される支持層10とを含んで構成される。この時、防水層20の両面に形成される支持層10および外部支持層40は、不織布を含んで形成される。すなわち、本発明の他の実施形態にかかる防水通音シートは、図1による防水通音シート100とは異なって、3layerに形成される。
【0034】
この時、防水層は、図1による防水通音シート100の防水層20と同様に形成された層である。すなわち、図3の防水層20は、電気放射で高分子物質を放射して形成された多孔性ナノウェブ層である。
【0035】
図3による支持層10および外部支持層40は、図1による防水通音シート100の支持層10の役割を果たす。このような支持層10および外部支持層40は、他の多孔性部材によって形成されてもよい。また、防水層20の一面には不織布が、他面には不織布でない多孔性部材が形成され、防水通音シートをなすことができる。
【0036】
以下では、本発明の実施形態にかかる防水通音シートの製造方法について説明する。
【0037】
図4は、本発明の実施形態にかかる防水通音シートの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0038】
図4を参照すれば、本発明の実施形態にかかる防水通音シートの製造方法は、まず、フィルム状の多孔性部材で形成される支持層を用意する(S10)。この時、支持層は、不織布またはメッシュ層で形成されてよい。
【0039】
そして、高分子物質で形成される放射溶液を製造する(S20)。この時、前記高分子物質は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF;Polyinylidene difluoride)を含む物質で形成されてよい。
【0040】
その後、支持層に、S20ステップの放射溶液を電気放射し、防水層を形成する(S30)。
【0041】
そして、支持層および防水層で構成された防水通音シートに対してオレオフォビック処理することができる(S40)。
【0042】
この後には、防水層において前記支持層の形成された面の反対面に、フィルム状の多孔性部材で形成される外部支持層を形成するステップをさらに含むことができる。
【0043】
図5は、本発明の実施形態にかかる防水通音シートが適用された電子機器の一例を概略的に示す図である。
【0044】
図5を参照すれば、電子機器、すなわち、モバイル端末のケースCの内部が示されている。この場合、モバイル端末のケースCにおいて、音響ホール、すなわち、マイクまたはスピーカホール側に、本発明の実施形態にかかる防水通音シート100a、100bが適用される。この時、防水通音シート100aには、形状支持のための支持フォーム100a’が防水通音シート100aの外側端部側に形成されてよい。図5のケースC内部の説明されていない実線は、モバイル端末の内部に形成可能な回路またはケースなどを示す。
【0045】
以上、本発明にかかる防水通音シートおよびその製造方法は、上記のように説明された実施形態の構成および方法が限定されて適用されるのではなく、上記の実施形態は、多様な変形が可能となるように各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わされて構成されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
C 機器ケース
10 支持層
20 防水層
30 粘着層
40 外部支持層
100 防水通音シート
100a 防水通音シート
100a’ 支持フォーム
100b 防水通音シート
200 防水通音シート
図1
図2
図3
図4
図5