特許第6073926号(P6073926)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073926
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】複素環式化合物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 211/60 20060101AFI20170123BHJP
   A61K 31/4468 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20170123BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20170123BHJP
   C07D 471/04 20060101ALN20170123BHJP
   C07D 491/052 20060101ALN20170123BHJP
   C07D 401/04 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/437 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/436 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/445 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALN20170123BHJP
   A61K 31/454 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   C07D211/60CSP
   A61K31/4468
   A61P29/00
   A61P25/00
   A61P35/00
   A61P19/08
   A61P25/02
   !C07D471/04 103S
   !C07D491/052
   !C07D401/04
   !A61K31/437
   !A61K31/436
   !A61K31/445
   !A61K31/4545
   !A61K31/454
【請求項の数】15
【全頁数】90
(21)【出願番号】特願2014-553582(P2014-553582)
(86)(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公表番号】特表2015-504901(P2015-504901A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】AU2013000062
(87)【国際公開番号】WO2013110135
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2015年12月4日
(31)【優先権主張番号】2012900285
(32)【優先日】2012年1月25日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー トーマス デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ネイラー アラン
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−016466(JP,A)
【文献】 特開昭58−055451(JP,A)
【文献】 特開昭56−092270(JP,A)
【文献】 特開2008−101015(JP,A)
【文献】 特開2000−327594(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/055951(WO,A1)
【文献】 西独国特許出願公開第03302126(DE,A)
【文献】 J. Med. Chem.,1983年,26,1267−1277
【文献】 J. Heterocyclic Chem.,1981年,18,909−915
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 211/60
C07D 401/04
C07D 471/04
C07D 491/052
A61K 31/436〜4545
A61P 19/08
A61P 25/00
A61P 25/02
A61P 29/00
A61P 35/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】
式中、
は、−C(=O)CHRであり;
は、−OR、−N(R、−NHR、または−W−ヘテロシクリルであり;
3bは、水素であり、かつR3aは、カルボン酸であり;
は、水素であり;
およびRは独立して、アリールであり;
各Rは、−C1〜8アルキル、−C2〜8アルキニル、−C1〜8アルキレンアリール、および−C2〜8アルキニレンアリールから独立して選択され;
Wは、共有結合であり;かつ
ここで、各アリールおよびヘテロシクリルは場合によってハロゲンおよびフェニルから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【請求項2】
が、
−W−ヘテロシクリル、ここでWが、共有結合である;
−OR、ここでRが、C1〜3アルキレンアリール、またはC2〜3アルキニレンアリールである;または
−N(R、ここでRの一方がCHであり、他方がC2〜8アルキニル、C1〜3アルキレンアリール、およびC2〜3アルキニレンアリールから選択される;
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、−OCHフェニル、−OCHCHCHフェニル、−OCHCCフェニル、−N(CH)(3−フェニルプロピン−1−イル)、−N(CH)(フェネチル)、−N(CH)(ベンジル)、−N(CH)(CHC≡CCH)、−N(CH)(CHCCCH(CH、−N(CH)(CHCC−4−フルオロフェニル)、−OCHCC−4−フルオロフェニル、−N(CH)(CHCC−C(CH、または−3−フェニルピペリジンである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、−C(=O)CH(フェニル)(フェニル)である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
3aはS立体化学を有する、請求項4に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
(2S)−4−(ベンジルオキシ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−ベンジルオキシ−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(フェニルプロピル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【化2】
2S,4S)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェニルプロプ−2−イン−1イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【化3】
2S,4R)−4−(ベンジル(メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4S)−4−(ベンジル(メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−フェニルプロプ−2−イン−イル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−フェニルプロピル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸
【化4】
2S,4)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル)(メチル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル)(メチル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2S,4R)−4−((4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)(メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸;
(2'S,3S,4'R)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸;
(2'S,3S,4'S)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸;および
(2'S,3R,4'R)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸;
から選択される請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における神経障害性疼痛を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における神経過敏を特徴とする状態を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における炎症性疼痛を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における神経伝導速度低下を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象において痛覚消失をもたらすための医薬組成物。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における細胞増殖性障害を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項15】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、対象における異所性神経再生に関連する障害を治療するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は概してアンジオテンシンII2型(AT)受容体の拮抗に有用である化合物に関する。さらに詳細には、本発明は、式(I)の複素環式化合物、およびAT受容体拮抗薬としてのその使用に関する。化合物を含む医薬組成物、ならびにAT受容体の調節におけるその使用およびAT受容体の調節を必要とする治療法におけるその使用を記載する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
AT受容体は1980年代から知られているが、その生物学的機能については、血管収縮およびアルドステロン放出および心臓血管成長に対するその機能的効果について研究されているアンジオテンシンII1型(AT)受容体ほど知られていない[Wexler et al., 1996]。しかしながら、最近では、AT受容体は神経組織の分化および再生[Steckelings et al., 2005; Chakrabarty et al., 2008]、細胞増殖および血管形成[Clere et al., 2010]ならびに骨量の維持[Izu et al., 2009]に関係するとされている。
【0003】
AT受容体拮抗薬はさらに、最近になって疼痛、特に、治療または緩和するのが困難である2種類の疼痛である、炎症性疼痛[国際公開公報第2007/106938号]および神経障害性疼痛[国際公開公報第2006/066361号]の治療にも関連付けられている。神経伝導速度低下も神経損傷に関連付けられ、末梢性ニューロパシー、手根管症候群、尺骨神経障害、ギラン・バレー症候群、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(fascioscapulohumeral muscular dystrophy)および脊椎椎間板ヘルニア(spinal disc herneation)に関係するとされる。神経伝導速度低下は、反射応答の減弱および末梢感覚の改変、例えば感覚異常(parathesia)および場合によっては疼痛をもたらす可能性があり、AT受容体拮抗薬は神経伝導速度を回復させることが示されている[国際公開公報第2011/088504号]。
【0004】
侵害受容性疼痛を治療するための有効な治療法はあるが、炎症性および神経障害性疼痛はこれらの治療法に対して耐性を示すことが多い。加えて、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、神経伝導速度低下および治療するのが困難な他の種類の疼痛の現行の治療法は、重篤な副作用、例えば認知変化、鎮静、吐き気、そして麻薬の場合は許容性および依存性がある。神経障害性疼痛、炎症性疼痛、神経伝導速度低下および現在治療するのが困難である他の疼痛状態を治療または予防するさらなる治療法が必要とされる。
【0005】
細胞増殖および血管形成は正常な組織における重要な生物学的機能である。しかしながら、制御されない細胞増殖および血管形成は腫瘍および他の増殖性障害に至る可能性がある。腫瘍に利用可能ないくつかの有効な化学療法があるが、多くは不快な副作用をもたらす、および/または正常細胞に対して毒性が高い。制御された方法で異常な細胞増殖を減少または予防するためのさらなる治療法が必要とされ、AT受容体拮抗薬は抗増殖作用を有することが示されている[Clere et al., 2010]。
【0006】
骨粗鬆症は高齢者集団で、特に閉経後の女性で深刻な問題である。骨粗鬆症のための現行の治療法は、カルシウム補充に依存する。しかしながら、骨形成および骨吸収の制御は複雑であり、骨量を改善するためのさらなる治療法が必要とされ、AT受容体拮抗薬は骨量を増加させることが示されている[Izu et al., 2009]。
【0007】
ニューロン成長の調節におけるAT受容体の役割およびニューロンの成長の減少に対するAT受容体拮抗薬の関連する効果は、AT受容体拮抗薬が異所性神経再生を特徴とする疾患における有用な治療法であり得ることを示す[Chakrabarty et al., 2008]。
【0008】
本発明は、一部にはAT受容体拮抗薬活性を有する複素環式アゼチジンおよびピロリジン化合物の発見に基づく。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される:
式中、Rは、−C(=O)CHR、−C(=O)NR、−C(=O)CHCHR、−C(=O)CH=CR、−C(=S)CHR、−C(=S)NR、−C(=S)CHCHR、−C(=S)CH=CR、−C(=NR)CHR、−C(=NR)NR、−C(=NR)CHCHRおよび−C(=NR)CH=CRであり;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)N(R、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)N(R、−N(R)SO、−SON(R、−N(R)SON(R、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルまたは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCHCHR10CH10または−OCHC(R10)=CHR10であり;
3aおよびR3bの一方は水素であり、かつもう一方は、カルボン酸、−CHCOH、−C(=O)NH、−CHC(=O)NH、−CN、−CHCN、−C(=O)C(=O)OH、−CHOH、カルボン酸バイオアイソスターまたは−CH−カルボン酸バイオアイソスターであり;
は、水素、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)N(R、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)N(R、−N(R)SO、−SON(R、−N(R)SON(R、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルもしくは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCHCHR10CH10もしくは−OCHC(R10)=CHR10であるか、またはRおよびRは一緒になって、インドリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、インダゾリル、クマラニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキサンベンゼン、テトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、チアゾリル、ピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、ピラジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルから選択される、1つ以上のRで置換されていてもよい縮合ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環系を形成し;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−C1〜6アルキレンR10、−C2〜6アルケニレンR10、−C2〜6アルキニレンR10、−OCF、−OCHF、−OR、NHR、−OC1〜6アルキレンR10、−OC2〜6アルケニレンR10、−OC2〜6アルキニレンR10、−SONHR、−NHSO、−NHC(=O)NHR、−NHC(=O)OR、−CH(OH)CH(OH)R、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHFまたは−CNから選択され;
およびRは独立して、水素、−C1〜6アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CHアリール、−CHシクロアルキル、−CHシクロアルケニル、−CHヘテロシクリルまたは−CHヘテロアリールであり;ただし、RおよびRが両方とも水素であることはなく;
は、水素、−C1〜8アルキル、−C2〜8アルケニル、−C2〜8アルキニル、アリール、−C1〜8アルキレンアリール、−C2〜8アルケニレンアリール、−C2〜8アルキニレンアリール、−C1〜8アルキレンシクロアルキル、−C1〜8アルキレンシクロアルケニル、−C1〜8アルキレンヘテロシクリル、−C1〜8アルキレンヘテロアリール、−C1〜8アルキレンCF、−C2〜8アルケニレンシクロアルキル、−C2〜8アルケニレンシクロアルケニル、−C2〜8アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルケニレンCF、−C2〜8アルキニレンシクロアルキル、−C2〜8アルキニレンシクロアルケニル、−C2〜8アルキニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルキニレンヘテロアリールおよびC2〜8アルキニレンCFであり;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールシクロアルキル−、アリールシクロアルケニル−、アリールアリール−、アリールヘテロシクリル−またはアリールヘテロアリール−であり;
Wは、共有結合、−O−、−S−、−SO−、−SO− −N(R)−、−C(=O)−、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C1〜4アルキレン−、−C2〜4アルケニレン−、−C2〜4アルキニレン−、−C1〜3アルキレンQC1〜3アルキレン−、−QC1〜4アルキレン−、−QC2〜4アルケニレン−、−QC2〜4アルキニレン−、−C1〜4アルキレンQ−、−C2〜4アルケニレンQ−、−C2〜4アルキニレンQ− −QC1〜4アルキレンQ−、−QC2〜4アルケニレンQ−または−OC2〜4アルキニレンQ−であり;
Qは、−O−、−S−、−SO−、−SO− −N(R)−、−C(=O)−、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−であり、
Zは、−シクロアルキル−、−シクロアルケニル−、−アリール−、−ヘテロシクリル−または−ヘテロアリール−であり;
Jは、共有結合、または−C1〜6アルキレン−、−C2〜6アルケニレン−もしくは−C2〜6アルキニレンであり、ここで、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基中の1つの−CH−基は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)− −N(R)−、−C(=O)−、−C(=O)NH−または−NHC(=O)−で置換されていてもよく;
10は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり;かつ
ここで、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは場合によって置換されていてもよい。
【0010】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0011】
本発明のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経障害性疼痛を治療または予防する方法が提供される。
【0012】
本発明のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経過敏を特徴とする状態を治療または予防する方法が提供される。
【0013】
本発明のさらに別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における炎症性疼痛を治療または予防する方法が提供される。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経伝導速度低下を治療または予防する方法を提供する。
【0015】
本発明のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象において痛覚消失をもたらす方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における細胞増殖性障害を治療または予防する方法が提供される。
【0017】
さらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害を治療または予防する方法を提供する。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における異所性神経再生に関連する障害を治療する方法を提供する。
[本発明1001]
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
式中、R1は、−C(=O)CHR67、−C(=O)NR67、−C(=O)CH2CHR67、−C(=O)CH=CR67、−C(=S)CHR67、−C(=S)NR67、−C(=S)CH2CHR67、−C(=S)CH=CR67、−C(=NR8)CHR67、−C(=NR8)NR67、−C(=NR8)CH2CHR67および−C(=NR8)CH=CR67であり;
2は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR8、−SR8、−N(R82、−C(=O)R8、−C(=O)N(R82、−N(R8)C(=O)R8、−N(R8)C(=O)N(R82、−N(R8)SO28、−SO2N(R82、−N(R8)SO2N(R82、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルまたは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCH2CHR10CH210または−OCH2C(R10)=CHR10であり;
3aおよびR3bの一方は水素であり、かつもう一方は、カルボン酸、−CH2CO2H、−C(=O)NH2、−CH2C(=O)NH2、−CN、−CH2CN、−C(=O)C(=O)OH、−CH2OH、カルボン酸バイオアイソスターまたは−CH2−カルボン酸バイオアイソスターであり;
4は、水素、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR8、−SR8、−N(R82、−C(=O)R8、−C(=O)N(R82、−N(R8)C(=O)R8、−N(R8)C(=O)N(R82、−N(R8)SO28、−SO2N(R82、−N(R8)SO2N(R82、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルもしくは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCH2CHR10CH210もしくは−OCH2C(R10)=CHR10であるか、またはR4およびR2は一緒になって、インドリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、インダゾリル、クマラニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキサンベンゼン、テトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、チアゾリル、ピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、ピラジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルから選択される、1つ以上のR5で置換されていてもよい縮合ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環系を形成し;
5は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−C1〜6アルキレンR10、−C2〜6アルケニレンR10、−C2〜6アルキニレンR10、−OCF3、−OCHF2、−OR9、NHR9、−OC1〜6アルキレンR10、−OC2〜6アルケニレンR10、−OC2〜6アルキニレンR10、−SO2NHR9、−NHSO29、−NHC(=O)NHR9、−NHC(=O)OR9、−CH(OH)CH(OH)R9、ハロゲン、−CF3、CHF2、−CH2Fまたは−CNから選択され;
6およびR7は独立して、水素、−C1〜6アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CH2アリール、−CH2シクロアルキル、−CH2シクロアルケニル、−CH2ヘテロシクリルまたは−CH2ヘテロアリールであり;ただし、R6およびR7が両方とも水素であることはなく;
8は、水素、−C1〜8アルキル、−C2〜8アルケニル、−C2〜8アルキニル、アリールまたは−C1〜8アルキレンアリール、−C2〜8アルケニレンアリール、−C2〜8アルキニレンアリール、−C1〜8アルキレンシクロアルキル、−C1〜8アルキレンシクロアルケニル、−C1〜8アルキレンヘテロシクリル、−C1〜8アルキレンヘテロアリール、−C1〜8アルキレンCF3、−C2〜8アルケニレンシクロアルキル、−C2〜8アルケニレンシクロアルケニル、−C2〜8アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルケニレンCF3、−C2〜8アルキニレンシクロアルキル、−C2〜8アルキニレンシクロアルケニル、−C2〜8アルキニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルキニレンヘテロアリールおよびC2〜8アルキニレンCF3であり;
9は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールシクロアルキル−、アリールシクロアルケニル−、アリールアリール−、アリールヘテロシクリル−またはアリールヘテロアリール−であり;
Wは、共有結合、−O−、−S−、−SO−、−SO2− −N(R8)−、−C(=O)−、−N(R8)C(=O)−、−C(=O)N(R8)−、−C1〜4アルキレン−、−C2〜4アルケニレン−、−C2〜4アルキニレン−、−C1〜3アルキレンQC1〜3アルキレン−、−QC1〜4アルキレン−、−QC2〜4アルケニレン−、−QC2〜4アルキニレン−、−C1〜4アルキレンQ−、−C2〜4アルケニレンQ−、−C2〜4アルキニレンQ− −QC1〜4アルキレンQ−、−QC2〜4アルケニレンQ−または−OC2〜4アルキニレンQ−であり;
Qは、−O−、−S−、−SO−、−SO2− −N(R8)−、−C(=O)−、−N(R8)C(=O)−、−C(=O)N(R8)−であり、
Zは、−シクロアルキル−、−シクロアルケニル−、−アリール−、−ヘテロシクリル−または−ヘテロアリール−であり;
Jは、共有結合、または−C1〜6アルキレン−、−C2〜6アルケニレン−もしくは−C2〜6アルキニレンであり、ここで、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基中の1つの−CH2−基は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)2− −N(R8)−、−C(=O)−、−C(=O)NH−または−NHC(=O)−で置換されていてもよく;
10は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり;かつ
ここで、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは場合によって置換されていてもよい。
[本発明1002]
1が、−C(=O)CH(アリール)(アリール)、−C(=O)CH(アリール)(シクロアルキル)、−C(=O)CH(シクロアルキル)(シクロアルキル)、−C(=O)N(アリール)(アリール)、−C(=O)N(アリール)(シクロアルキル)または−C(=O)N(シクロアルキル)(シクロアルキル)である、本発明1001の化合物。
[本発明1003]
1が、−C(=O)CH(フェニル)(フェニル)、−C(=O)CH(フェニル)(シクロヘキシル)、−C(=O)CH(シクロヘキシル)(シクロヘキシル)、−C(=O)N(フェニル)(フェニル)、−C(=O)N(フェニル)(シクロヘキシル)または−C(=O)N(シクロヘキシル)(シクロヘキシル)であり、ここで、各フェニルまたはシクロヘキシルが、−C1〜3アルキル、−OC1〜3アルキルおよびハロから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい、本発明1002の化合物。
[本発明1004]
2が、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアリール、−ヘテロシクリルC1〜4アルキレンアリール、−ヘテロアリールC1〜4アルキレンアリール、−C1〜4アルキレンシクロアルキル、−C1〜4アルキレンシクロアルケニル、−C1〜4アルキレンアリール、−C1〜4アルキレンヘテロシクリル、−C1〜4アルキレンヘテロアリール、−C2〜4アルケニレンシクロアルキル、−C2〜4アルケニレンシクロアルケニル、−C2〜4アルケニレンアリール、−C2〜4アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜4アルケニレンヘテロアリール、−C2〜4アルキニレンシクロアルキル、−C2〜4アルキニレンシクロアルケニル、−C2〜4アルキニレンアリール、−C2〜4アルキニレンヘテロシクリル、−C2〜4アルキニレンヘテロアリール、−Oシクロアルキル、−Oシクロアルケニル、−Oアリール、−Oヘテロシクリル、−Oヘテロアリール、−OC1〜3アルキレンシクロアルキル、−OC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−OC1〜3アルキレンアリール、−OC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−OC1〜3アルキレンヘテロアリール、−OC2〜3アルケニレンシクロアルキル、−OC2〜3アルケニレンシクロアルケニル、−OC2〜3アルケニレンアリール、−OC2〜3アルケニレンヘテロシクリル、−OC2〜3アルケニレンヘテロアリール、−OC2〜3アルキニレンシクロアルキル、−OC2〜3アルキニレンシクロアルケニル、−OC2〜3アルキニレンアリール、−OC2〜3アルキニレンヘテロシクリル、−OC2〜3アルキニレンヘテロアリール、−C1〜3アルキレンOシクロアルキル、−C1〜3アルキレンOシクロアルケニル、−C1〜3アルキレンOアリール、−C1〜3アルキレンOヘテロシクリル、−C1〜3アルキレンOヘテロアリール、−OC1〜3アルキレンシクロアルキルアリール、−OアリールOアリール、−OアリールOC1〜3アルキレンアリール、−NHシクロアルキル、−NHシクロアルケニル、−NHアリール、−NHヘテロシクリル、−NHヘテロアリール、−NHC1〜3アルキレンシクロアルキル、−NHC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−NHC1〜3アルキレンアリール、−NHC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−NHC1〜3アルキレンヘテロアリール、−NHC2〜3アルケニレンシクロアルキル、−NHC2〜3アルケニレンシクロアルケニル、−NHC2〜3アルケニレンアリール、−NHC2〜3アルケニレンヘテロシクリル、−NHC2〜3アルケニレンヘテロアリール、−NHC2〜3アルキニレンシクロアルキル、−NHC2〜3アルキニレンシクロアルケニル、−NHC2〜3アルキニレンアリール、−NHC2〜3アルキニレンヘテロシクリル、−NHC2〜3アルキニレンヘテロアリール、−N(CH3)(C1〜8アルキル)、−N(CH3)(C2〜8アルケニル)、−N(CH3)(C2〜8アルキニル)、−N(CH3)(C1〜3アルキレンCF3)、−N(CH3)(C2〜8アルケニルCF3)、−N(CH3)(C2〜3アルキニレンCF3)、−N(CH3)シクロアルキル、−N(CH3)シクロアルケニル、−N(CH3)アリール、−N(CH3)ヘテロシクリル、−N(CH3)ヘテロアリール、−N(CH3)C1〜3アルキレンシクロアルキル、−N(CH3)C1〜3アルキレンシクロアルケニル、−N(CH3)C1〜3アルキレンアリール、−N(CH3)C1〜3アルキレンヘテロシクリル、−N(CH3)C1〜3アルキレンヘテロアリール、−N(CH3)C2〜3アルケニレンシクロアルキル、−N(CH3)C2〜3アルケニレンシクロアルケニル、−N(CH3)C2〜3アルケニレンアリール、−N(CH3)C2〜3アルケニレンヘテロシクリル、−N(CH3)C2〜3アルケニレンヘテロアリール、−N(CH3)C2〜3アルキニレンシクロアルキル、−N(CH3)C2〜3アルキニレンシクロアルケニル、−N(CH3)C2〜3アルキニレンアリール、−N(CH3)C2〜3アルキニレンヘテロシクリル、−N(CH3)C2〜3アルキニレンヘテロアリール、−OCH2CH(フェニル)CH2(フェニル)、−OCH2C(フェニル)=CH(フェニル)、−CHC(=O)NHCH2シクロアルキル、−CHC(=O)NHCH2シクロアルケニル、−CHC(=O)NHCH2アリール、−CHC(=O)NHCH2ヘテロシクリル、−CHC(=O)NHCH2ヘテロアリール、−C(=O)NHC1〜3アルキレンシクロアルキル、−C(=O)NHC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−C(=O)NHC1〜3アルキレンアリール、−C(=O)NHC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−C(=O)NHC1〜3アルキレンヘテロアリール、−CH2SO21〜3アルキレンシクロアルキル、−CH2SO21〜3アルキレンシクロアルケニル、−CH2SO21〜3アルキレンアリール、−CH2SO21〜3アルキレンヘテロシクリル、−CH2SO21〜3アルキレンヘテロアリール、−CH2OC1〜3アルキレンシクロアルキル、−CH2OC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−CH2OC1〜3アルキレンアリール、−CH2OC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−CH2OC1〜3アルキレンヘテロアリールまたは−NHC(=O)N(アリール)2であり、ここで、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールが置換されていてもよい、本発明1001〜1003のいずれかの化合物。
[本発明1005]
2が、−CH2フェニル、−CH2CH2フェニル、−CH2CH2CH2フェニル、−OCH2フェニル、−OCH2CH2フェニル、−OCH2CH2CH2フェニル、−CH2CH=CHフェニル、−OCH2CH=CHフェニル、−OCH2C≡Cフェニル、−CH2C≡Cフェニル、−CH2OCH2フェニル、−CH2Oフェニル、−N(CH32−フェニルプロピル)、−N(CH3)(3−フェニルプロピン−1−イル)、−N(CH3)(フェネチル)、−3−ベンジルモルホリン、−N(CH3)(ベンジル)、−N(CH3)(CH2C≡CCH3)、−N(CH3)(CH2C≡CCH(CH32、−N(CH3)(CH2C≡C−4−フルオロフェニル)、−N(CH3)(CH2−4−フェニル−5−テトラゾリル)、−N(CH3)(CH2−2−フェニル−1−シクロペント−1−エニル)、−OCH2C≡C−4−フルオロフェニル、−N(CH3)(CH2C≡CCF3)、−N(CH3)(CH2C≡C−C(CH33、−3−フェニルピペリジン、−N(CH3)(CH2C≡Cフェニル);2−(5−フェニル)オキサゾリルおよび2−(5−ベンジル)オキサゾリルなどのアリールまたはアルキルアリール置換されたオキサゾリルである、本発明1004の化合物。
[本発明1006]
3bが水素であり、かつR3aが、−CO2H、−CH2CO2H、−C(=O)C(=O)OH、−C(=O)NH2、−CN、テトラゾリル −C(=O)NHSO2N(C1〜6アルキル)2、−C(=O)NHSO21〜6アルキル、−C(=O)NHSO2フェニル、−C(=O)NHSO2CF3 −SO3Hまたは−PO32である、本発明1001〜1005のいずれかの化合物。
[本発明1007]
3aが−CO2Hである、本発明1006の化合物。
[本発明1008]
4がHである、本発明1001〜1007のいずれかの化合物。
[本発明1009]
2およびR4が一緒になって
から選択されるアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環を形成し、式中、は縮合結合を示し、かつR5は、アリール、−C1〜3アルキレンアリール、−Oアリール、−OC1〜3アルキレンアリール、−C1〜3アルキレンOアリール、−C1〜3アルキレンOC1〜3アルキレンアリール、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリルアリール、−ヘテロシクリルC1〜3アルキレンアリール、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールアリールおよび−ヘテロアリールC1〜3アルキレンアリールから選択される、本発明1001〜1003および本発明1006〜1008のいずれかの化合物。
[本発明1010]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
[本発明1011]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経障害性疼痛を治療または予防する方法。
[本発明1012]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経過敏を特徴とする状態を治療または予防する方法。
[本発明1013]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における炎症性疼痛を治療または予防する方法。
[本発明1014]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経伝導速度低下を治療または予防する方法。
[本発明1015]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象において痛覚消失をもたらす方法。
[本発明1016]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における細胞増殖性障害を治療または予防する方法。
[本発明1017]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害を治療または予防する方法。
[本発明1018]
本発明1001〜1009のいずれかの式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における異所性神経再生に関連する障害を治療する方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の説明
定義
別段の定義がない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の通常の技術を有するものによって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験では使用することができるが、好ましい方法および材料を記載する。本発明の目的に関して、以下の用語を以下で定義する。
【0020】
冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は本明細書中で用いられる場合、1つ、または1つより多く(すなわち少なくとも1つ)のその冠詞の文法上の対象物を指す。一例として、「1つの要素(an element)」は1つの要素または1つより多い要素を意味する。
【0021】
本明細書中で用いられる場合、「約」という用語は、基準の数量(quantity)、レベル、値、寸法、サイズ、もしくは量(amount)に対して30%、25%、20%、15%もしくは10%も異なる数量、レベル、値、寸法、サイズ、または量を指す。
【0022】
本明細書中で用いられる場合、「AT受容体」という用語は、アンジオテンシンIIおよび/または1つ以上の他のリガンドと結合することができるアンジオテンシンII2型(AT)受容体ポリペプチドを意味する。「AT受容体」という用語は、限定されるものではないが、ほ乳動物、は虫類および鳥類ホモログをはじめとするAT受容体ファミリーメンバーの脊椎動物ホモログを包含する。AT受容体ファミリーメンバーの代表的なほ乳動物ホモログとしては、限定されるものではないが、ネズミおよびヒトホモログが挙げられる。
【0023】
「拮抗薬」という用語は、本明細書中で用いられる場合、AT受容体に対する結合およびアンジオテンシンIIへの接近の阻害、AT受容体を発現する遺伝子の阻害、またはその遺伝子の発現産物の阻害をはじめとする、AT受容体の生物学的活性および/または機能を低下させるまたは阻害する化合物を指す。「選択的」という用語は、化合物がAT受容体に結合するおよびAT受容体を阻害するよりも大幅にAT受容体に結合するおよび/またはその活性を阻害することを意味する。ある場合には、選択的とは、AT受容体での結合がほとんどまたは全くなく、AT受容体に結合するおよび/またはAT受容体を阻害することを指す。
【0024】
「異痛」という用語は、本明細書中で用いられる場合、非侵害刺激から生じる疼痛、すなわち通常疼痛を誘発しない刺激による疼痛を指す。異痛の例としては、限定されるものではないが、冷感異痛、接触性異痛(軽い圧力または触覚による疼痛)などが挙げられる。
【0025】
「痛覚消失」という用語は、本明細書中では、痛覚がないことならびに侵害刺激に対する感受性が低下したもしくはない状態を含む、疼痛知覚が低下した状態を記述するために用いられる。そのような疼痛知覚が低下したまたは存在しない状態は、当該技術分野で通常理解されるように、疼痛制御剤の投与によって誘発され、意識を失うことなく起こる。痛覚消失という用語は、「抗侵害受容」という用語を包含し、これは動物モデルにおける痛覚消失または疼痛感受性低下の定量的尺度として使用される。
【0026】
「抗異痛」という用語は、本明細書中では、痛覚がないことならびに非侵害刺激に対する感受性が低下したまたは無い状態を含む、疼痛知覚が低下した状態を記述するために用いられる。そのような疼痛知覚が低下したまたは存在しない状態は、当該技術分野で通常理解されるように、疼痛制御剤の投与によって誘発され、意識を失うことなく起こる。
【0027】
「灼熱痛」という用語は本明細書中で用いられる場合、多くの場合、血管運動および汗腺運動機能不全ならびに後の栄養変化を伴う、焼灼痛、異痛、および外傷性神経病変後の痛覚過敏を指す。
【0028】
「複合性局所疼痛症候群」は、限定されるものではないが、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、交感神経依存性疼痛などを含む疼痛を意味する。
【0029】
「神経過敏を特徴とする状態」は、神経過敏および/または異痛に関連する疼痛の症状を有する状態を意味する。この種類の状態の例としては、線維筋痛症および過敏性腸症候群が挙げられる。
【0030】
「異所性神経再生に関連する障害」は、ニューロンにおいて異常な軸索成長がある障害を意味する。この異常な成長は、乳房痛、間質性膀胱炎、外陰部痛、およびがん化学療法によって誘発されるニューロパシーをはじめとする疼痛状態と関連し得る。
【0031】
本明細書全体にわたって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む(comprise、comprisesおよびcomprising)」という語は、明示されたステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を包含することを意味するが、他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群の排除を意味しないと理解される。
【0032】
「痛覚過敏」は、通常痛みを伴う刺激に対する応答の増加を意味する。痛覚過敏状態は、通常は痛みを伴わない刺激によって引き起こされる疼痛に関連するものである。
【0033】
「神経障害性疼痛」は、末梢もしくは中枢神経系における原発病変または機能不全によって開始または引き起こされる任意の疼痛症候群を意味する。神経障害性疼痛の例としては、温熱性または機械的痛覚過敏、温熱性または機械的異痛、糖尿病に伴う疼痛、絞扼性疼痛(entrapment pain)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
「侵害受容性疼痛」という用語は、感作の非存在下で損傷を受けていない皮膚、内臓および他の臓器に位置する侵害受容器の活性化によって引き起こされる通常の急性痛覚を指す。
【0035】
本明細書中で用いられる場合、「炎症性疼痛」は、炎症によって誘発される疼痛を指す。そのような種類の疼痛は急性または慢性であり得、そして限定されるものではないが、化学的熱傷、摩擦熱傷または温熱性熱傷をはじめとする熱傷、関節リウマチ、骨関節炎、ならびにクローン病および大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患などの自己免疫疾患、ならびに心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎および膠原血管病をはじめとする他の炎症性疾患を含む炎症を特徴とする多数の状態に起因する可能性がある。
【0036】
本明細書中で用いられる「疼痛」という用語は、その最も広い意味を与えられ、実際もしくは潜在的な組織損傷に関連するか、またはそのような損傷に関して表現される不快な感覚的および精神的な経験を含み、分化した神経終末の刺激から生じる、多少限局性の不快感、苦痛感、または苦悶感を含む。限定されるものではないが、電撃痛、幻痛、刺痛、急性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛、複合性局所疼痛、神経痛、ニューロパシーなどをはじめとする多くの種類の疼痛がある(Dorland's Illustrated Medical Dictionary, 28th Edition, W. B. Saunders Company, Philadelphia, Pa.)。疼痛の治療の目標は、治療対象によって感じられる疼痛の厳しさの程度を低減することである。
【0037】
「低下したNCV」または「低下した神経伝導速度」などの熟語は、正常な神経シグナル伝導について評価されるパラメータのいずれか1つに明らかに異常がある任意の神経伝導を意味する。NCVの様々なパラメータが正常であるかどうかは、典型的には関連する訓練された臨床医によって評価される。NCVを評価するための当業者に知られている一般的背景、専門用語および手順は、"Proper performance and interpretation of electrodiagnostic studies" Muscle Nerve. (2006) 33(3):436-439および"Electrodiagnostic medicine listing of sensory, motor, and mixed nerves." Appendix J of Current Procedural Terminology (CPT) 2007, authored by The American Association of Neuromuscular & Electrodiagnostic Medicine and published by the American Medical Associationに記載されている。神経伝導速度低下または異常は、神経機能障害または損傷の症状であり、多数の疾患または障害、特に低下した反射応答を示すおよび知覚異常をはじめとする改変された末梢感覚を示す疾患または障害と因果関係が有り得るかまたはその症状であり得る。本明細書中で用いられる場合、「知覚異常」は、対象の皮膚におけるうずき、ちくちくする痛み、脱力感または無感覚の感覚を指す。それは「ピリピリする感覚」または手足の「しびれ」としても知られる。知覚異常は一過性、急性または慢性であり得、単独で起こり得るか、または疼痛などの他の症状を伴う可能性がある。
【0038】
本明細書中で用いられる場合、「細胞増殖性障害」という用語は、不要なもしくは損傷した細胞が正常細胞プロセスによって除去されない疾患もしくは状態、または細胞が異常な、不要なもしくは不適切な増殖を経験する疾患もしくは状態を指す。不適切な細胞増殖を特徴とする障害としては、例えば急性肺傷害をはじめとする急性組織傷害から生じる炎症などの炎症状態、腫瘍を特徴とするがんを含むがん、自己免疫障害、組織肥大などが挙げられる。
【0039】
「骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害」には、再形成の際に骨量の不十分な発達、過度の骨吸収および不十分な骨形成がある障害が含まれる。骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害の一例は骨粗鬆症である。
【0040】
本明細書中で用いられる場合、「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝飽和炭化水素基を指す。適切な場合には、アルキル基は、指定された数の炭素原子を有し得、例えば、C1〜6アルキルは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を線状または分枝配置で有するアルキル基を含む。好適なアルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、4−メチルブチル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、5−メチルペンチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられる。
【0041】
本明細書中で用いられる場合、「アルケニル」という用語は、炭素原子間に1つ以上の二重結合を有し、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭化水素基を指す。適切な場合には、アルケニル基は、指定された数の炭素原子を有し得る。例えば、「C〜Cアルケニル」におけるようなC〜Cは、2、3、4、5または6個の炭素原子を直線状または分枝配置で有する基を含む。好適なアルケニル基の例としては、限定されるものではないが、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニルおよびデセニルが挙げられる。
【0042】
本明細書中で用いられる場合、「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を有し、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝炭化水素基を指す。適切な場合には、アルキニル基は指定された数の炭素原子を有し得る。例えば、「C〜Cアルキニル」におけるようなC〜Cは、直線状または分枝配置で2、3、4、5または6個の炭素原子を有する基を含む。好適なアルキニル基の例としては、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルが挙げられる。
【0043】
本明細書中で用いられる場合、「シクロアルキル」という用語は、飽和環状炭化水素を指す。シクロアルキル環は、指定された数の炭素原子を含み得る。例えば、3〜8員シクロアルキル基は、3、4、5、6、7または8個の炭素原子を含む。好適なシクロアルキル基の例としては、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。
【0044】
本明細書中で用いられる場合、「シクロアルケニル」という用語は、不飽和環状炭化水素を指す。シクロアルケニル環は指定された数の炭素原子を含み得る。例えば、5〜8員シクロアルケニル基は5、6、7または8個の炭素原子を含む。シクロアルケニル基は、1つ以上の二重結合を有し、1つより多い二重結合が存在する場合、二重結合は非共役または共役であり得るが、シクロアルケニル基は芳香族でない。好適なシクロアルケニル基の例としては、限定されるものではないが、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニルおよびシクロオクタトリエニル環が挙げられる。
【0045】
本明細書中で用いられる場合、「アリール」という用語は、最大7個までの原子を各環中に有する任意の安定な単環式、二環式または三環式炭素環系であって、少なくとも1つの環が芳香族であるものを意味するものである。そのようなアリール基の例としては、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、フルオレニル、フェナントレニル、ビフェニルおよびビナフチルが挙げられる。
【0046】
本明細書中で用いられる場合、「アルキレン」という用語は、1〜8個の炭素原子を有する二価飽和炭化水素鎖を指す。適切な場合には、アルキレン基は指定された数の炭素原子を有し得、例えばC1〜6アルキレンは1、2、3、4、5または6個の炭素原子を直線的配置で有するアルキレン基を含む。好適なアルキレン基の例としては、限定されるものではないが、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−および−CHCHCHCHCHCH−が挙げられる。
【0047】
本明細書中で用いられる場合、「アルケニレン」という用語は、2〜8個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を有する二価不飽和炭化水素鎖を指す。適切な場合には、アルケニレン基は指定された数の炭素原子を有し得、例えばC2〜6アルケニレンは、2、3、4、5または6個の炭素原子を直線的配置で有するアルケニレン基を含む。二重結合はEまたはZ立体配置のいずれかであり得る。好適なアルケニレン基の例としては、限定されるものではないが、−CH=CH−、−CH=CHCH−、−CHCH=CH−、−CH=CHCHCH−、−CHCH=CHCH−、−CHCHCH=CH−、−CH=CHCHCHCH−、−CHCH=CHCHCH−、−CHCHCH=CHCH−、−CHCHCHCH=CH−、−CH=CHCHCHCHCH− −CHCH=CHCHCHCH−、−CHCHCH=CHCHCH−、−CHCHCHCH=CHCH−および−CHCHCHCHCH=CH−が挙げられる。
【0048】
本明細書中で用いられる場合、「アルキニレン」という用語は、2〜8個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合を有する二価不飽和炭化水素鎖を指す。適切な場合には、アルキニレン基は、指定された数の炭素原子を有し得、例えばC2〜6アルキニレンには、2、3、4、5または6個の炭素原子を直線的配置で有するアルキニレン基が含まれる。好適なアルキニレン基の例としては、限定されるものではないが、−C≡C−、−C≡CCH−、−CHC≡C−、−C≡CCHCH−、−CHC≡CCH−、−CHCHC≡C−、−C≡CCHCHCH−、−CHC≡CCHCH−、−CHCHC≡CCH−、−CHCHCHC≡C−、−C≡CCHCHCHCH− −CHC≡CCHCHCH−、−CHCHC≡CCHCH−、−CHCHCHC≡CCH−および−CHCHCHCHC≡C−が挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態において、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基中の1つ以上の「−CH−」基は、ヘテロ原子またはヘテロ原子を含有する基(−O−、−S−、−NH−、−NR−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=O)−、−C(=O)NH−および−NHC(=O)−を含む)で置換されていてもよい。
【0050】
「ベンジル」という用語は、本明細書中で用いられる場合、フェニルメチレン基、CCH−を指す。
【0051】
本明細書中で用いられる場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素(フルオロ)、塩素(クロロ)、臭素(ブロモ)およびヨウ素(ヨード)を指す。
【0052】
「複素環式」または「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書中で用いられる場合、1〜4個の炭素原子が、N、N(R)、S、S(O)、S(O)およびOからなる群から独立して選択されるヘテロ原子で置換された環状炭化水素を指す。複素環は飽和または不飽和で有り得るが、芳香族でない。複素環式基はさらに、1,2または3個の環であって、そのうちの2つは「スピロ」配置であるものを含有するスピロ環状基の一部でもあり得る。好適なヘテロシクリル基の例としては、アゼチジン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、2−オキソピロリジニル、ピロリニル、ピラニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、2−オキソピペリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、チアゾリニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサニル、ジオキシニル、ジオキサゾリル、オキサチオゾリル(oxathiozolyl)、オキサゾロニル、ピペラジニル、モルホリノ、チオモルホリニル、3−オキソモルホリニル、ジチアニル、トリチアニルおよびオキサジニルが挙げられる。
【0053】
「ヘテロアリール」という用語は本明細書中で用いられる場合、最大7個までの原子を各環中に有する安定な単環式、二環式、または三環式環であって、少なくとも1つの環が芳香族であり、少なくとも1つの環がO、NおよびSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有するものを表す。この定義内に含まれるヘテロアリール基としては、限定されるものではないが、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ピラゾリル、インドリル、イソインドリル、1H,3H−1−オキソイソインドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサン、ベンゾジオキシン、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,5−トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,4,5−テトラジニル、テトラゾリル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルが挙げられる。ピラゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、インドリル、イソインドリル、1H,3H−1−オキソイソインドリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリルならびに1,2,4−オキサジアゾリルおよび1,2,4−チアジアゾリルなどの特定のヘテロアリール基は5員または6員環を有する。
【0054】
各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、個々のものであるか、またはさらに大きなものの一部であるかどうかに関わらず、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、オキソ(=O)、−OH、−SH、C1〜6アルキルO−、C2〜6アルケニルO−、C3〜6シクロアルキルO−、C1〜6アルキルS−、C2〜6アルケニルS−、C3〜6シクロアルキルS−、−COH、−CO1〜6アルキル、−NH、−NH(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)、−NH(フェニル)、−N(フェニル)、オキソ、−CN、−NO、−ハロゲン、−CF、−OCF、−SCF、−CHF、−OCHF、−SCHF、−フェニル、−ヘテロシクリル、−ヘテロアリール、−Oヘテロアリール、−Oヘテロシクリル、−Oフェニル、−C(O)フェニル、−C(O)C1〜6アルキルからなる群から選択される1つ以上の任意の置換基で場合によって置換されていてもよい。好適な置換基のとしては、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ビニル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、ニトロ、−COH、−COCH、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、ジフルオロメチルチオ、モルホリノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、フェニル、フェノキシ、フェニルカルボニル、ベンジルおよびアセチルが挙げられる。
【0055】
「カルボン酸バイオアイソスター」という用語は、カルボン酸またはカルボキシレート基に生理化学的または位相的に類似している基を指す。好適なカルボン酸アイソスターまたはカルボキシレートアイソスターの例としては、限定されるものではないが、テトラゾール、テトラゾレート、−CONH−テトラゾール、オキサジアゾール、ホスフェート(−PO)、−C(OH)(CF、N−(アリールまたはヘテロアリール)−スルホンアミド、アシルスルホンアミドおよびスルホン酸(−SOH)が挙げられる[Patani and LaVoie, 1996を参照のこと]。カルボキシ基のスルホンアミドアイソスター等価物の例としては、−C(=O)NHSO、−C(=O)NHSONH(R)、−C(=O)NHSON(R、−SONHC(=O)R、−SONHC(=O)NHR、−SONHRおよび−NHSOが挙げられ、ここで、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜8シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリールおよび−CFからなる群から選択される。
【0056】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態であり得る。しかしながら、薬学的に許容されない塩も本発明の範囲内に含まれると理解される。なぜなら、これらは薬学的に許容される塩の調製で中間体として有用であり得るか、または保管もしくは輸送中に有用であり得るからである。好適な薬学的に許容される塩としては、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、および臭化水素酸などの薬学的に許容される無機酸の塩、または酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸および吉草酸などの薬学的に許容される有機酸の塩が挙げられる。
【0057】
塩基塩としては、限定されるものではないが、薬学的に許容されるカチオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよびアルキルアンモニウムで形成されるものが挙げられる。
【0058】
塩基性窒素含有基は、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピル、およびブチルなどの低級アルキルハロゲン化物;硫酸ジメチルおよびジエチルのような硫酸ジアルキル;などの薬剤で四級化してもよい。
【0059】
本発明の化合物が不斉中心を有し得、したがって2つ以上の立体異性体形態を示すことができることも認められるであろう。本発明はこのように、1つ以上の不斉中心で実質的に純粋な異性体形態、例えば約90%ee超、例えば約95%もしくは97%eeまたは99%ee超の異性体形態の化合物、ならびにラセミ混合物を含むその混合物にも関する。そのような異性体は、例えばキラル中間体を使用した不斉合成によって、またはキラル分割によって調製することができる。本発明の化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明はさらに、実質的に純粋なシス(Z)もしくはトランス(E)の化合物またはそれらの混合物にも関する。
【0060】
本発明の化合物
本発明の第1の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される:
式中、Rは、−C(=O)CHR、−C(=O)NR、−C(=O)CHCHR、−C(=O)CH=CR、−C(=S)CHR、−C(=S)NR、−C(=S)CHCHR、−C(=S)CH=CR、−C(=NR)CHR、−C(=NR)NR、−C(=NR)CHCHRおよび−C(=NR)CH=CRであり;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)N(R、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)N(R、−N(R)SO、−SON(R、−N(R)SON(R、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルまたは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCHCHR10CH10または−OCHC(R10)=CHR10であり;
3aおよびR3bの一方は水素であり、かつもう一方は、カルボン酸、−CHCOH、−C(=O)NH、−CHC(=O)NH、−CN、−CHCN、−C(=O)C(=O)OH、−CHOH、カルボン酸バイオアイソスターまたは−CH−カルボン酸バイオアイソスターであり;
は、水素、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)N(R、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)N(R、−N(R)SO、−SON(R、−N(R)SON(R、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルもしくは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCHCHR10CH10もしくは−OCHC(R10)=CHR10であるか、またはRおよびRは一緒になって、インドリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、インダゾリル、クマラニル、フラニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキサンベンゼン、テトラヒドロフラニル、ベンゾテトラヒドロフラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、チアゾリル、ピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、ピラジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルから選択される、1つ以上のRで置換されていてもよい縮合ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環系を形成し;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−C1〜6アルキレンR10、−C2〜6アルケニレンR10、−C2〜6アルキニレンR10、−OCF、−OCHF、−OR、NHR、−OC1〜6アルキレンR10、−OC2〜6アルケニレンR10、−OC2〜6アルキニレンR10、−SONHR、−NHSO、−NHC(=O)NHR、−NHC(=O)OR、−CH(OH)CH(OH)R、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHFまたは−CNから選択され;
およびRは独立して、水素、−C1〜6アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CHアリール、−CHシクロアルキル、−CHシクロアルケニル、−CHヘテロシクリルまたは−CHヘテロアリールであり;ただし、RおよびRが両方とも水素であることはなく;
は、水素、−C1〜8アルキル、−C2〜8アルケニル、−C2〜8アルキニル、アリール、−C1〜8アルキレンアリール、−C2〜8アルケニレンアリール、−C2〜8アルキニレンアリール、−C1〜8アルキレンシクロアルキル、−C1〜8アルキレンシクロアルケニル、−C1〜8アルキレンヘテロシクリル、−C1〜8アルキレンヘテロアリール、−C1〜8アルキレンCF、−C2〜8アルケニレンシクロアルキル、−C2〜8アルケニレンシクロアルケニル、−C2〜8アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルケニレンCF、−C2〜8アルキニレンシクロアルキル、−C2〜8アルキニレンシクロアルケニル、−C2〜8アルキニレンヘテロシクリル、−C2〜8アルキニレンヘテロアリールおよびC2〜8アルキニレンCFであり;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールシクロアルキル−、アリールシクロアルケニル−、アリールアリール−、アリールヘテロシクリル−またはアリールヘテロアリール−であり;
Wは、共有結合、−O−、−S−、−SO−、−SO− −N(R)−、−C(=O)−、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C1〜4アルキレン−、−C2〜4アルケニレン−、−C2〜4アルキニレン−、−C1〜3アルキレンQC1〜3アルキレン−、−QC1〜4アルキレン−、−QC2〜4アルケニレン−、−QC2〜4アルキニレン−、−C1〜4アルキレンQ−、−C2〜4アルケニレンQ−、−C2〜4アルキニレンQ− −QC1〜4アルキレンQ−、−QC2〜4アルケニレンQ−または−OC2〜4アルキニレンQ−であり;
Qは、−O−、−S−、−SO−、−SO− −N(R)−、−C(=O)−、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−であり、
Zは、−シクロアルキル−、−シクロアルケニル−、−アリール−、−ヘテロシクリル−または−ヘテロアリール−であり;
Jは、共有結合、または−C1〜6アルキレン−、−C2〜6アルケニレン−もしくは−C2〜6アルキニレンであり、ここで、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基中の1つの−CH−基は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)− −N(R)−、−C(=O)−、−C(=O)NH−または−NHC(=O)−で置換されていてもよく;
10は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり;かつ
ここで、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは場合によって置換されていてもよい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、式(IA)の化合物またはその薬学的に許容される塩である:
式中、Rは、−C(=O)CHR、−C(=O)NR、−C(=O)CHCHR、−C(=O)CH=CR、−C(=S)CHR、−C(=S)NR、−C(=S)CHCHR、−C(=S)CH=CR、−C(=NR)CHR、−C(=NR)NR、−C(=NR)CHCHRおよび−C(=NR)CH=CRであり;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)N(R、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)N(R、−N(R)SO、−SON(R、−N(R)SON(R、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルまたは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCHCHR10CH10または−OCHC(R10)=CHR10であり;
3aおよびR3bの一方は水素であり、かつもう一方は、カルボン酸、−CHCOH、−C(=O)C(=O)OHまたはカルボン酸バイオアイソスターであり;
は、水素、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、−OR、−SR、−N(R、−C(=O)R、−C(=O)N(R、−N(R)C(=O)R、−N(R)C(=O)N(R、−N(R)SO、−SON(R、−N(R)SON(R、−W−シクロアルキル、−W−シクロアルケニル、−W−アリール、−W−ヘテロシクリル、−W−ヘテロアリール、−W−Z−W−シクロアルキル、−W−Z−W−シクロアルケニル、−W−Z−W−アリール、−W−Z−W−ヘテロシクリルもしくは−W−Z−W−ヘテロアリール、=CH−C(=O)−J−R10、=CHC(=O)NH−J−R10、−OCHCHR10CH10もしくは−OCHC(R10)=CHR10であるか、またはRおよびRは一緒になって、インドリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、インダゾリル、クマラニル、ベンゾフラニル、ベンゾジオキサニル、ベンゾジオキサンベンゼン、テトラヒドロフラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、チアゾリル、ピラニル、ジオキサニル、ピペラジニル、ピラジニル、1,3−オキサジニル、1,4−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、アゼピニル、オキセピニルおよびチエピニルから選択される、Rで置換されていてもよい縮合ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環系を形成し;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−C1〜6アルキレンR10、−C2〜6アルケニレンR10、−C2〜6アルキニレンR10、−OCF、−OCHF、−OR、−NHR、−OC1〜6アルキレンR10、−OC2〜6アルケニレンR10、−OC2〜6アルキニレンR10、−SONHR、−NHSO、−NHC(=O)NHR、−NHC(=O)OR、−CH(OH)CH(OH)R、ハロゲン、−CF、−CHF、−CHFまたは−CNから選択され;
およびRは独立して、水素、−C1〜6アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、−CHアリール、−CHシクロアルキル、−CHシクロアルケニル、−CHヘテロシクリルまたは−CHヘテロアリールであり;ただし、RおよびRが両方とも水素であることはなく;
は、水素、−C1〜6アルキル、アリールまたは−C1〜6アルキレンアリールであり;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリールシクロアルキル−、アリールシクロアルケニル−、アリールアリール−、アリールヘテロシクリル−またはアリールヘテロアリール−であり;
Wは、共有結合、−O−、−S−、−SO−、−SO− −N(R)−、−C(=O)−、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、−C1〜4アルキレン−、−C2〜4アルケニレン−、−C2〜4アルキニレン−、−C1〜3アルキレンQC1〜3アルキレン−、−QC1〜4アルキレン−、−QC2〜4アルケニレン−、−QC2〜4アルキニレン−、−C1〜4アルキレンQ−、−C2〜4アルケニレンQ−、−C2〜4アルキニレンQ− −QC1〜4アルキレンQ−、−QC2〜4アルケニレンQ−または−OC2〜4アルキニレンQ−であり;
Qは、−O−、−S−、−SO−、−SO− −N(R)−、−C(=O)−、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−であり、
Zは、−シクロアルキル−、−シクロアルケニル−、−アリール−、−ヘテロシクリル−または−ヘテロアリール−であり;
Jは、共有結合、または−C1〜6アルキレン−、−C2〜6アルケニレン−もしくは−C2〜6アルキニレンであり、ここで、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレン基中の1つの−CH−基は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)− −N(R)−、−C(=O)−、−C(=O)NH−または−NHC(=O)−で置換されていてもよく;
10は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり;かつ
ここで、各シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは場合によって置換されていてもよい。
【0062】
式(I)の特定の実施形態において、以下の1つ以上が当てはまる:
は、−C(=O)CHR、−C(=O)NR、特に−C(=O)CH(アリール)(アリール)、−C(=O)CH(アリール)(シクロアルキル)、−C(=O)CH(シクロアルキル)(シクロアルキル)、−C(=O)CH(アリール)(アルキル)、−C(=O)N(アリール)(アリール)、−C(=O)N(アリール)(シクロアルキル)、−C(=O)N(シクロアルキル)(シクロアルキル)または−C(=O)N(アリール)(アルキル)であり、ここで、各アリールまたはシクロアルキル基は、置換されていてもよく;さらに詳細には、−C(=O)CH(フェニル)(フェニル)、−C(=O)CH(フェニル)(シクロヘキシル)、−C(=O)N(フェニル)(フェニル)または−C(=O)N(フェニル)(シクロヘキシル)であり、ここで、各フェニルまたはシクロヘキシル基は、−C1〜3アルキル、−OC1〜3アルキルおよびハロ、特にメチル、メトキシおよびフルオロから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい;特に、Rは−C(=O)CH(フェニル)(フェニル)および−C(=O)N(フェニル)(フェニル)である;
は、−C1〜6アルキル、−C2〜6アルケニル、−C2〜6アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアリール、−ヘテロシクリルC1〜3アルキレンアリール、−ヘテロアリールC1〜4アルキレンアリール、−C1〜4アルキレンシクロアルキル、−C1〜4アルキレンシクロアルケニル、−C1〜4アルキレンアリール、−C1〜4アルキレンヘテロシクリル、−C1〜4アルキレンヘテロアリール、−C2〜4アルケニレンシクロアルキル、−C2〜4アルケニレンシクロアルケニル、−C2〜4アルケニレンアリール、−C2〜4アルケニレンヘテロシクリル、−C2〜4アルケニレンヘテロアリール、−C2〜4アルキニレンシクロアルキル、−C2〜4アルキニレンシクロアルケニル、−C2〜4アルキニレンアリール、−C2〜4アルキニレンヘテロシクリル、−C2〜4アルキニレンヘテロアリール、−Oシクロアルキル、−Oシクロアルケニル、−Oアリール、−Oヘテロシクリル、−Oヘテロアリール、−OC1〜3アルキレンシクロアルキル、−OC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−OC1〜3アルキレンアリール、−OC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−OC1〜3アルキレンヘテロアリール、−OC2〜3アルケニレンシクロアルキル、−OC2〜3アルケニレンシクロアルケニル、−OC2〜3アルケニレンアリール、−OC2〜3アルケニレンヘテロシクリル、−OC2〜3アルケニレンヘテロアリール、−OC2〜3アルキニレンシクロアルキル、−OC2〜3アルキニレンシクロアルケニル、−OC2〜3アルキニレンアリール、−OC2〜3アルキニレンヘテロシクリル、−OC2〜3アルキニレンヘテロアリール、−C1〜3アルキレンOシクロアルキル、−C1〜3アルキレンOシクロアルケニル、−C1〜3アルキレンOアリール、−C1〜3アルキレンOヘテロシクリル、−C1〜3アルキレンOヘテロアリール、−OC1〜3アルキレンシクロアルキルアリール、−OアリールOアリール、−OアリールOC1〜3アルキレンアリール、−NHシクロアルキル、−NHシクロアルケニル、−NHアリール、−NHヘテロシクリル、−NHヘテロアリール、−NHC1〜3アルキレンシクロアルキル、−NHC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−NHC1〜3アルキレンアリール、−NHC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−NHC1〜3アルキレンヘテロアリール、−NHC2〜3アルケニレンシクロアルキル、−NHC2〜3アルケニレンシクロアルケニル、−NHC2〜3アルケニレンアリール、−NHC2〜3アルケニレンヘテロシクリル、−NHC2〜3アルケニレンヘテロアリール、−NHC2〜3アルキニレンシクロアルキル、−NHC2〜3アルキニレンシクロアルケニル、−NHC2〜3アルキニレンアリール、−NHC2〜3アルキニレンヘテロシクリル、−NHC2〜3アルキニレンヘテロアリール、−N(CH)(C1〜8アルキル)、−N(CH)(C2〜8アルケニル)、−N(CH)(C2〜8アルキニル)、−N(CH)(C1〜3アルキレンCF)、−N(CH)(C2〜8アルケニルCF)、−N(CH)(C2〜3アルキニレンCF)、−N(CH)シクロアルキル、−N(CH)シクロアルケニル、−N(CH)アリール、−N(CH)ヘテロシクリル、−N(CH)ヘテロアリール、−N(CH)C1〜3アルキレンシクロアルキル、−N(CH)C1〜3アルキレンシクロアルケニル、−N(CH)C1〜3アルキレンアリール、−N(CH)C1〜3アルキレンヘテロシクリル、−N(CH)C1〜3アルキレンヘテロアリール、−N(CH)C2〜3アルケニレンシクロアルキル、−N(CH)C2〜3アルケニレンシクロアルケニル、−N(CH)C2〜3アルケニレンアリール、−N(CH)C2〜3アルケニレンヘテロシクリル、−N(CH)C2〜3アルケニレンヘテロアリール、−N(CH)C2〜3アルキニレンシクロアルキル、−N(CH)C2〜3アルキニレンシクロアルケニル、−N(CH)C2〜3アルキニレンアリール、−N(CH)C2〜3アルキニレンヘテロシクリル、−N(CH)C2〜3アルキニレンヘテロアリール、−OCHCH(フェニル)CH(フェニル)、−OCHC(フェニル)=CH(フェニル)、−CHC(=O)NHCHシクロアルキル、−CHC(=O)NHCHシクロアルケニル、−CHC(=O)NHCHアリール、−CHC(=O)NHCHヘテロシクリル、−CHC(=O)NHCHヘテロアリール、−C(=O)NHC1〜3アルキレンシクロアルキル、−C(=O)NHC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−C(=O)NHC1〜3アルキレンアリール、−C(=O)NHC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−C(=O)NHC1〜3アルキレンヘテロアリール、−CHSO1〜3アルキレンシクロアルキル、−CHSO1〜3アルキレンシクロアルケニル、−CHSO1〜3アルキレンアリール、−CHSO1〜3アルキレンヘテロシクリル、−CHSO1〜3アルキレンヘテロアリール、−CHOC1〜3アルキレンシクロアルキル、−CHOC1〜3アルキレンシクロアルケニル、−CHOC1〜3アルキレンアリール、−CHOC1〜3アルキレンヘテロシクリル、−CHOC1〜3アルキレンヘテロアリールもしくは−NHC(=O)N(アリール)、特に−CHフェニル、−CHCHフェニル、−CHCHCHフェニル、−OCHフェニル、−OCHCHフェニル、−OCHCHCHフェニル、−CHCH=CHフェニル、−OCHCH=CHフェニル、−OCHC≡Cフェニル、−CHC≡Cフェニル、−CHOCHフェニル、−CHOフェニル、−N(CH)(2−フェニルプロピル)、−N(CH)(3−フェニルプロピン−1−イル)、−N(CH)(フェネチル)、−3−ベンジルモルホリン、−N(CH)(ベンジル)、−N(CH)(CHC≡CCH)、−N(CH)(CHC≡CCH(CH、−N(CH)(CHC≡C−4−フルオロフェニル)、−N(CH)(CH−4−フェニル−テトラゾリル)、−N(CH)(CH−2−フェニル−1−シクロペント−1−エニル)、−OCHC≡C−4−フルオロフェニル、−N(CH)(CHC≡CCF)、−N(CH)(CHC≡C−C(CH、−3−フェニルピペリジン、−N(CH)(CHC≡Cフェニル);2−(5−フェニル)オキサゾリルおよび2−(5−ベンジル)オキサゾリルなどのアリールまたはアルキルアリール置換されたオキサゾリルである;
3aおよびR3bのうち、一方は水素であり、かつもう一方は、−COH、−CHCOH、−C(=O)NH、−CHC(=O)NH−CN、−CHCN、−C(=O)C(=O)OH、−C(=O)NHSON(C1〜6アルキル)、−C(=O)NHSO1〜6アルキル、−C(=O)NHSOフェニル、−C(=O)NHSOCF、テトラゾリル、−CHテトラゾリル、−SOHまたは−PO、特に−COH、−CHCOH、−C(=O)NH、−CN、テトラゾリル、−C(=O)NHSO1〜4アルキル、−C(=O)NHSON(C1〜4アルキル)、−C(=O)NHSOフェニルまたは−C(=O)NHSOCF、より特には−COH;特にR3bが水素であり、R3aは−COH、−CHCOH、−C(=O)C(=O)OH、−C(=O)NH、−CHC(=O)NH、−CN、−C(=O)NHSO1〜6アルキル、−C(=O)NHSON(C1〜6アルキル)、−C(=O)NHSOフェニル、−C(=O)NHSOCF、−C(=O)NHSON(CH、−C(=O)NHSON(CH、テトラゾリル、−CHテトラゾリル −SOHまたは−PO、特に−COH、−CHCOH、テトラゾリル、−C(=O)NHSO1〜4アルキル、−C(=O)NHSON(C1〜4アルキル)、−C(=O)NHSOフェニル、−C(=O)NHSOCF、−C(=O)NHSON(CH、−C(=O)NHまたは−CN、より特には−COHである;
は水素であるか、またはRと一緒になって
から選択されるアリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環を形成し、式中、は縮合結合を示し、かつRは、アリール、−C1〜3アルキレンアリール、−Oアリール、−OC1〜3アルキレンアリール、−C1〜3アルキレンOアリール、−C1〜3アルキレンOC1〜3アルキレンアリール、−ヘテロシクリル、−ヘテロシクリルアリール、−ヘテロシクリルC1〜3アルキレンアリール、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールアリールおよび−ヘテロアリールC1〜3アルキレンアリール、特にフェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、−CHCHフェニル、−CHCHCHフェニル、−CHOCHフェニル、−OCHCHフェニル、−CHOフェニル、2−(5−フェニル)オキサゾールおよび2−(5−ベンジル)オキサゾールから選択され;
およびRは独立して、フェニルおよびシクロヘキシルから選択され、特にRおよびRは両方ともフェニルであり;かつ
は、水素、メチル、エチル、フェニル、−プロピルフェニル、−プロピニルフェニル、−エチルフェニル、−CHフェニル、−ブチニル、−4−メチルプロピン−2−イル、−プロピニル−4−フルオロフェニル、−CH−(4−フェニル−テトラゾリル)、−CH−(2−フェニルシクロペンテニル)、−CHC≡C−CFまたは−CHC≡C−C(CHである。
【0063】
いくつかの実施形態において、特にR3aがカルボン酸、CHCOH、−C(=O)C(=O)OH、−CONH、−CNまたはカルボン酸バイオアイソスターである場合、R3aはS立体化学を有する。
【0064】
式(II)の特定の化合物は次のとおりである:
【0065】
式(II)の特定の化合物としては、化合物1、9、26、30、32、35、40、41、44、45、46、52、54、55、56および58、特に30、35、41および54が挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は選択的AT受容体拮抗薬である。特定の実施形態において、選択的AT受容体拮抗薬は、生物学的実施例1および2で記載されるアッセイ法を用いて、AT受容体に対して100nM以下のIC50およびAT受容体に対して100,000nM(10μM)超のIC50を有する。
【0067】
本発明の化合物は、当該技術分野で公知の方法によって商業的に入手可能な出発物質から作製される。
【0068】
およびRが一緒になって縮合ヘテロアリール環系を形成する式(I)の化合物は、ピペリジン環をヘテロアリールまたはヘテロシクリル基上に構築することで調製できる。例えば、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール基は、適切な位置で誘導体化され、アルデヒド基を含んでいてもよい。これは、当該技術分野で公知の通り、第一級アルコールからの酸化またはカルボン酸の還元によってなされてよく、または、アルデヒドを、例えばn−ブチルリチウムおよびジメチルホルムアルデヒドとの処理によって、アリール環上に直接導入してもよい。
【0069】
ピペリジン環の水素原子はカルボン酸基と一緒に、ウィッティヒ反応またはホーナーエモンズ反応を使用して、好適なリンイリドまたはホスホン酸イリドとアルデヒドの反応によって、導入されてもよい。結果として得られた二重結合は、水素の存在下でキラル触媒を使用して立体選択的に還元されてもよい。好適なキラルリガンドおよび触媒としては、BoPhoz(商標)、P−ホス(P−Phos)、キシリル−P−ホス(Xylyl−P−Phos)、キシリル−フェーンホス(Xylyl−phanePhos)、Me−BoPhozが挙げられ、これらはRおよびS立体配置の双方、Rh(COD)BF、(S)−パラホスRuCl(R,R)−DPEN、(R)−キシリル−P−ホスRuCl(R,R)−DPEN、[(S)−パラホスRh(NBD)]BFおよび(R)−P−ホスRu(acac)で入手可能である。適切なキラルリガンドおよび触媒の選択を、ピペリジン環上のカルボン酸基の立体化学を決定するために使用することができる。
【0070】
最後に、ピペリジン環は、酸性溶液内で、例えばリン酸の存在下で、ホルムアルデヒドと反応させることでアミノ基の塩から形成されてもよい。この反応は、ピペリジン窒素原子とヘテロシクリルまたはヘテロアリール基の間に−CH−基を挿入する。
【0071】
置換ピペリジンを、商業的に入手可能、または、公知文献の手順で合成される、好適に保護された置換ピペリジンから調製してよい。例えば、4−オキソ置換2−カルボキシメチルN−Boc−ピペリジンが調製されてよく、ケト基を使ってRまたはRを導入する。
【0072】
例えば、ケト基はヒドロキシ基に還元することができ、続いて当該技術分野で公知の方法でアリール化またはアルキル化することができる。1つのアプローチでは、アルキルまたはアリール基は、トリフェニルホスフィン(PPh)およびDBADの存在下でヒドロキシ基をフェノールといった好適なアルコールと反応させることでRまたはRに導入されてもよい。他のアプローチでは、ヒドロキシ基は、メシレートの形成によってなどで活性化されてもよく、またはヒドロキシ基はハライド原子で置換されてもよく、好適なアルキルまたはアリール基との反応が行われる。カルボン酸に隣接した基のエピマー化が問題であるいくつかの場合では、酸化銀が関与するアルキル化を用いることができる。ケト基はリンまたはホスホン酸イリドと処理して、場合によって還元されてもよい、二重結合で環に結合した官能化基を導入することができる。アミノ置換基は、イミン、イミニウム塩、オキシムまたはヒドラゾンのケト基からの形成および続く反応によって導入され、アミノ基、置換アミノ基、アミド、スルホンアミドなどを提供し得る。
【0073】
は、RもしくはRの導入前もしくはRもしくはRの導入後のいずれか、または、縮合ピペリジニル環の形成後に導入することができる。RがRの導入前に導入される場合、アルキル化反応の間、環窒素を保護する必要があり得る。好適な窒素保護基は当該技術分野で公知であり、例えば、Greene & Wutz, Protective Groups in Organic Synthesis, Third Edition, John Wiley & Sons, 1999が挙げられる。好適な窒素保護基はt−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0074】
は、好適なカルボン酸および環窒素でのアミド形成によって導入することができる。アミド形成は当該技術分野で周知であり、カルボン酸の活性化を含み得、例えばカルボキシ基は、酸クロリド、カルボジイミド、トリアゾールまたは非求核性アニオンのウロニウムもしくはホスホニウム塩の形成によって活性化される。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1−ヒドロキシ−7−アザ−ベンゾトリアゾール(HOAt)、エチル−2−シアノ−2−シアノ−2−(ヒドロキシイミノ)アセテート(Oxyma Pure)、O−ベンゾトリアゾール−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、O−(6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホスフェート(HCTU)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N'N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP);(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)−ジメチルアミノ−モルホリノ−カルベニウムヘキサフルオロホスフェート(COMU)およびO−[(エトキシカルボニル)−シアノメチレンアミノ]−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)をはじめとする好適な活性化基は、当該技術分野で周知である。
【0075】
任意の合成手順の間、所望されない反応を避け、特定の位置での反応を確実にするために、反応性官能基は保護される必要があり得る。好適な保護基は当該技術分野で公知であり、Greene&Wutz(同上)で見つかり得る。
【0076】
本発明の方法
本発明の1つの態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経障害性状態の症状を治療または予防する方法が提供される。
【0077】
式(I)の化合物は、原発性および続発性神経障害性状態を含む神経障害性状態の症状の予防または軽減に有効である。本発明によると、式(I)の化合物は、限定されるものではないが知覚過敏、痛覚過敏、異痛および/または自発性焼灼痛をはじめとする神経障害性状態に関連する1つ以上の症状を治療、予防または軽減するように作用することができる。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物を使用して、末梢性神経障害性状態に関連する1つ以上の症状を予防または軽減し、この状態の実例としては、無感覚、脱力感、焼灼痛、刺痛、および反射の消失が挙げられる。疼痛は重篤かつ機能障害を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、予防および/または軽減の対象である症状は神経障害性疼痛である。従って、関連する態様において、本発明は、疼痛の予防または軽減に有効な量のAT受容体拮抗薬を、好適には医薬組成物の形態で、個体に投与することを含む、個体における神経障害性疼痛を予防および/または軽減するための方法を提供する。
【0078】
ニューロパシーおよび神経障害性疼痛の可能性のある原因は数多くあり、本発明は原因に関係なく任意の神経障害性状態の症状の治療または予防を企図すると理解されるであろう。いくつかの実施形態において、神経障害性状態は、神経の疾患の結果(原発性ニューロパシー)および全身性疾患に起因するニューロパシー(続発性ニューロパシー)、例えば限定されるものではないが、糖尿病性ニューロパシー;帯状疱疹(帯状ヘルペス)関連ニューロパシー;尿毒症関連ニューロパシー;アミロイド症ニューロパシー;HIV感覚性ニューロパシー;遺伝性運動感覚性ニューロパシー(HMSN);遺伝性感覚性ニューロパシー(HSN);遺伝性感覚性自律神経性ニューロパシー;潰瘍断節を伴う遺伝性ニューロパシー(hereditary neuropathies with ulcero−mutilation);ニトロフラントインニューロパシー;ソーセージ様ニューロパシー;栄養失調に起因するニューロパシー、腎不全および複合性局所疼痛症候群に起因するニューロパシーである。他の原因としては、タイピングまたは組み立てラインでの作業などの反復活動、いくつかの抗レトロウイルス薬ddC(ザルシタビン)およびddI(ジダノシン)、抗生物質(メトロニダゾール、クローン病のために用いられる抗生物質、結核のために用いられるイソニアジド)、金化合物(関節リウマチのために用いられる)、いくつかの化学療法薬(例えばビンクリスチンその他)および多くの他のものなど、末梢性ニューロパシーを引き起こすことが知られている薬剤が挙げられる。アルコール、鉛、ヒ素、水銀および有機リン農薬をはじめとする化合物はさらに、末梢性ニューロパシーを引き起こすことも知られている。一部の末梢性ニューロパシーは感染プロセスと関連する(例えばギラン・バレー症候群)。ある特定の実施形態において、神経障害性状態は末梢性神経障害性状態であり、これは好適には機械的神経損傷に続発する疼痛であるか、または有痛性糖尿病性ニューロパシー(PDN)であるか、または関連する状態である。
【0079】
神経障害性状態は急性または慢性であり得、これに関して、当業者にはニューロパシーの時間経過がその根本原因に基づいて変化することは理解されるであろう。外傷があれば、症状の発現は急性すなわち突然である;しかしながら、最も重篤な症状は時間とともに発現する可能性があり、数年間持続する可能性がある。炎症性および一部の代謝性ニューロパシーは数日から数週間に及ぶ亜急性の経過をたどる。数週間から数か月に及ぶ慢性経過は通常、中毒性または代謝性ニューロパシーを示す。長年にわたる慢性緩徐進行性ニューロパシーなどは、有痛性糖尿病性ニューロパシーまたはほとんどの遺伝性ニューロパシーまたは慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー(CIDP)と称する状態を併発する。再発しかつ寛解する症状を有する神経障害性状態には、ギラン・バレー症候群が含まれる。
【0080】
本発明の別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経過敏を特徴とする状態を治療または予防する方法が提供される。
【0081】
いくつかの実施形態において、神経過敏を特徴とする状態は、痛覚過敏状態、例えば線維筋痛症である。他の実施形態において、状態は、腸における神経過敏を特徴とする過敏性腸症候群である。
【0082】
本発明の別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、異所性神経再生に関連する障害を治療または予防する方法が提供される。
【0083】
いくつかの実施形態において、異所性神経再生に関連する障害には、神経過敏も含まれる。異所性神経再生に関連する障害の例としては、乳房痛、間質性膀胱炎および外陰部痛が挙げられる。他の実施形態において、障害はがん化学療法誘発性ニューロパシーである。
【0084】
本発明の別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における炎症性疼痛を治療または予防する方法が提供される。
【0085】
炎症に関連する疼痛は、急性または慢性であり得、限定されるものではないが、化学的、摩擦もしくは化学的熱傷などの熱傷、関節リウマチおよび骨関節炎などの自己免疫疾患、クローン病および大腸炎などの炎症性腸疾患、ならびに炎症性腸疾患、心臓炎、皮膚炎、筋炎、神経炎および膠原血管病などの他の炎症性疾患をはじめとする炎症を特徴とする多くの状態によるものであり得る。
【0086】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における神経伝導速度低下を治療または予防する方法を提供する。
【0087】
ニューロン伝導速度低下は、神経機能障害または損傷の症状であり、多数の疾患または障害、特に症状として知覚異常を示す疾患または障害の症状として存在し得る。いくつかの実施形態において、神経伝導速度低下は前述のような神経障害性状態と関連する。他の実施形態において、神経伝導速度低下は、手根管症候群、尺骨神経障害、ギラン・バレー症候群、顔面肩甲上腕筋ジストロフィーおよび脊椎椎間板ヘルニアと関連する。
【0088】
神経伝導速度は体内の運動および感覚神経の電気伝導を評価することによって判断される。運動神経伝導速度は、末梢神経の刺激および電気的刺激が神経と関連して筋肉で検出されるのにかかる時間を測定することによって測定される。かかった時間はミリ秒で測定され、移動した距離を考慮することによって速度(m/s)に変換される。感覚神経伝導は、末梢神経の刺激と同様の方法で、指または肉球などの感覚部位で記録して評価される。
【0089】
本発明のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象において痛覚消失をもたらす方法が提供される。
【0090】
いくつかの実施形態において、対象は、神経障害性状態、炎症性状態、神経伝導速度低下、神経過敏を特徴とする状態または異所性神経再生に関連する障害を有する対象である。他の実施形態において、対象は、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、神経伝導速度低下に関連する疼痛、神経過敏を特徴とする状態または異所性神経再生に関連する障害を発症する危険性がある対象である。
【0091】
本発明のさらに別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における細胞増殖性障害を治療または予防する方法が提供される。
【0092】
いくつかの実施形態において、細胞増殖性障害はがんであり、特にこの場合、がんは、白血病、黒色腫、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、基底細胞がん、扁平上皮がん、サルコイドーシス(sarquoides)、線維肉腫、結腸がん、肺がんおよび他の固形腫瘍がんから選択される。
【0093】
他の実施形態において、細胞増殖性障害は非がん性増殖性障害である。そのような非がん性増殖性障害の例としては、皮膚科障害、例えば疣、ケロイド、乾癬、肉芽組織障害そしてさらには瘢痕組織の縮小および美容再形成が挙げられる。
【0094】
さらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、対象における骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害を治療または予防する方法を提供する。
【0095】
いくつかの実施形態において、骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害は骨粗鬆症である。
【0096】
治療される対象、個体または患者は、限定されるものではないが、ヒト、霊長類、家畜動物、例えばヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ロバおよびヤギ;実験室試験の動物、例えばマウス、ラット、ウサギおよびモルモット;ペット、例えばネコおよびイヌまたは捕獲された野生動物、例えば動物園で飼育されているものをはじめとする哺乳動物対象である。特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0097】
「有効量」は、所望の応答を少なくとも部分的に達成するために、あるいは治療される特定の状態の開始を遅らせるため、または進行を阻害するため、または開始もしくは進行を停止させるために必要な量を意味する。量は、治療される個体の健康および身体状態、治療される個体の分類群、所望の保護の程度、組成物の処方、医学的状況の評価、および他の関連する因子に応じて変化する。量は日常的な試行によって決定することができる相対的に広い範囲内にあることが予想される。ヒト患者に関する有効量は、例えば、1回の投薬量あたり体重1kgあたり約0.1ngから体重1kgあたり1gの範囲にあり得る。投薬量は好ましくは1回の投薬量あたり体重1kgあたり1μg〜1gの範囲内であり、例えば1回の投薬量あたり体重1kgあたり1mg〜1gの範囲内である。1つの実施形態において、投薬量は1回の投薬量あたり体重1kgあたり1mg〜500mgの範囲内である。別の実施形態において、投薬量は1回の投薬量あたり体重1kgあたり1mg〜250mgの範囲内である。さらに別の実施形態において、投薬量は1回の投薬量あたり体重1kgあたり1mg〜100mgの範囲内、例えば1回の投薬量あたり体重1kgあたり50mgまでである。さらに別の実施形態において、投薬量は、1回の投薬量あたり体重1kgあたり1μg〜1mgの範囲内である。投薬計画は最適の治療効果を提供するために調節することができる。例えば、数回に分割された量を、毎日、毎週、毎月、もしくは他の好適な時間間隔で投与してもよいし、または用量を状況の要件によって示されるように比例して減らしてもよい。
【0098】
「治療」および「予防」に関する本明細書中の言及は、その最も広い文脈で考慮される。「治療」という用語は、対象が完全に回復するまで治療することを必ずしも意味しない。「治療」はまた、既存の状態の重篤度を低減し得る。「予防」という用語は、対象が最終的に疾患状態に罹らないことを必ずしも意味しない。「予防」という用語は、特定の状態の開始を遅らせると考えられ得る。従って、治療および予防には、特定の状態の症状の改善または特定の状態を呈するリスクを防止またはそうでなければ低減することが含まれる。
【0099】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を別の治療法とあわせて投与してもよい。単一の組成物で投与してもよいし、または両化合物または治療が体内で同時に活性であるように別の組成物を同時もしくは連続して投与してもよい。
【0100】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、神経障害性もしくは炎症性疼痛または神経障害性もしくは炎症性疼痛を誘発する基礎疾患を治療するための別の治療法あるいは神経過敏を特徴とする状態、異所性神経再生に関連する障害、増殖性障害または骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害を治療するための別の治療法とあわせて投与される。第2薬物の量は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と一緒に投与される場合に減らすことができる。
【0101】
疼痛を治療するための好適なさらなる薬物としては、モルヒネ、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、アセチルジヒドロコデイン、オキシコドン、オキシモルホンおよびブプレノルフィン、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ジフルニサル、サルサレート、フェナセチン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、ナブメトン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブ、パレコキシブ、ルマリコキシブ(lumaricoxib)、エトリコキシブ、フィロコキシブ、リメスリド(rimesulide)およびリコフェロンなどのアヘン剤が挙げられる。
【0102】
ニューロパシーを治療するための薬物の例としては、デュロキセチン、プレガバリン、ガバペンチン、フェニトイン、カルバマゼビン(carbamazebine)、レボカルニチン、アミトリプチリン(amitryptiline)などの三環系抗うつ薬およびリドカインなどのナトリウムチャンネル遮断薬が挙げられる。
【0103】
増殖性障害のための化学療法薬の例としては、シスプラチン、カルボプラチン、カンプトテシン、カルムスチン、シクロホスファミド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デキサメタゾン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エトポシド、エピルビシン、エベロリムス、ゲムシチビン(gemcitibine)、ゴセレリン、トラスツズマブ(Herceptin(ハーセプチン)(登録商標))、イダルビシン、インターフェロン−アルファ、イリノテカン、メトトレキサート、マイトマイシン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、アビラテロン、フルオロウラシル、デノスマブ、イマチニブ、ゲフチニブ(geftinib)、ラパチニブ、パゾパニブ、リツキシマブ、スニチニブ、エルロチニブおよびボリニスタット(vorinistat)が挙げられる。
【0104】
骨形成と骨吸収との間の不均衡に関連する障害を治療するための薬物の例としては、ビスホスホネート、例えばアンドロン酸ナトリウム、リセドロン酸ナトリウムおよびイバンドロン酸ナトリウム、ラロキシフェン、カルシトニン、テリパラチド、ラネル酸ストロンチウムまたはカルシウムサプリメントが挙げられる。
【0105】
過敏性腸症候群などの神経過敏を特徴とする状態を治療するために用いられる薬物の例には、アロセトロン(Lotronex(ロトロネックス)(登録商標))などの5HT受容体拮抗薬が含まれる。
【0106】
本発明のAT受容体拮抗薬はがん患者において放射線治療法と組み合わせても有用である。
【0107】
本発明の組成物
治療法における使用に関して、本発明の化合物をそのままの化学物質として投与し得るが、活性成分を医薬組成物として提示することが好ましい。
【0108】
したがって、本発明のさらなる態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1つの薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物が提供される。
【0109】
担体は、組成物の他の成分と適合性であるという意味で「許容され」なければならず、その受容者に対して有害であってはならない。
【0110】
医薬処方物には、経口、直腸、経鼻、局所(口腔および舌下を含む)、経膣もしくは非経口(筋肉内、皮下および静脈内を含む)投与に好適であるか、または吸入もしくは吹送による投与に好適な形態のものが含まれる。本発明の化合物はしたがって、通常のアジュバント、担体、賦形剤、または希釈剤とあわせて、医薬組成物の形態およびその単位投与形態中に入れてもよく、そのような形態には、固体、例えば錠剤もしくは充填カプセル、または液体、例えば溶液、懸濁液、エマルジョン、エリキシル、またはこれで満たされたカプセルなどを使用してもよく、全て経口使用のためであり、直腸投与のために坐剤の形態で;あるいは非経口(皮下を含む)使用のために無菌注射溶液の形態で使用してもよい。そのような医薬組成物およびその単位投与形態は、通常の成分を通常の割合で、さらなる活性化合物または成分と共にまたは無しで含み得、そのような単位投与形態は、用いられることが意図される1日投与量範囲に相応する好適な有効量の活性成分を含み得る。10ミリグラムの活性成分またはさらに広範には、1錠あたり0.1〜200ミリグラムを含有する処方物はしたがって好適な代表的な単位投与形態である。本発明の化合物は、多種多様の経口および非経口投与形態で投与することができる。以下の投与形態が、活性成分として、本発明の化合物または本発明の化合物の薬学的に許容される塩もしくは誘導体のいずれかを含み得ることは当業者には明らかであろう。
【0111】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容される担体は固体または液体のいずれかであり得る。固体形態製剤としては、粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、坐剤、および分散性顆粒が挙げられる。固体担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
【0112】
粉末において、担体は微粉活性成分との混合物である微粉固体である。
【0113】
錠剤では、活性成分を、好適な割合で必要な結合能を有する担体と混合し、所望の形状およびサイズに圧縮する。
【0114】
粉末および錠剤は、好ましくは5または10〜約70パーセントの活性化合物を含有する。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。「製剤」という用語は、カプセルを提供する担体としての封入材料を有する活性化合物の処方を包含するものであり、カプセル中で活性成分は、担体の有無にかかわらず担体によって取り囲まれ、したがって担体と結びつく。同様に、カシェ剤およびロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤、およびロゼンジは、経口投与に好適な固体形態として使用することができる。
【0115】
坐剤の調製のために、脂肪酸グリセリドまたはカカオバターの混合物などの低融点ワックスをまず融解させ、撹拌などによって活性成分をその中に均一に分散させる。融解した均一混合物を次いで好都合なサイズの型中に注ぎ、冷却させ、それによって凝固させる。
【0116】
膣投与に好適な処方物は、活性成分に加えて、当該技術分野で適切であるとわかっている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーとして提供してもよい。
【0117】
液体形態製剤は、溶液、懸濁液、およびエマルジョン、例えば、水または水−プロピレングリコール溶液を含む。例えば、非経口注射液体製剤は、水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として処方することができる。
【0118】
本発明による化合物は、したがって、(例えば、注射、例えばボーラス注射または持続注入による)非経口投与のために処方してもよく、アンプル、充填済シリンジ、少容量注入または多剤容器中、防腐剤を添加した単位投与形態で提供することができる。組成物は、油性もしくは水性ビヒクル中懸濁液、溶液、またはエマルジョンなどの形態をとってもよく、処方剤(formulatory agent)、例えば懸濁剤、安定剤および/または分散剤を含有してもよい。別法として、活性成分は、滅菌固体の無菌単離によるかまたは溶液からの凍結乾燥によって得られる、滅菌パイロジェンフリー水などの好適なビヒクルで使用前に復元されるための粉末形態であり得る。
【0119】
経口使用に好適な水溶液は、水中に活性成分を溶解させ、好適な着色剤、香味料、安定剤および増粘剤を要望どおりに添加することによって調製することができる。
【0120】
経口使用に好適な水性懸濁液は、微粉活性成分を、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知懸濁剤などの粘稠性材料などとともに水中に分散させることによって作製することができる。
【0121】
使用直前に経口投与のための液体形態製剤に変えることを意図される固体形態製剤も含まれる。そのような液体としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。これらの製剤は、活性成分に加えて、着色剤、香味料、安定剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有し得る。
【0122】
上皮への局所投与のために本発明の化合物を軟膏、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして処方することができる。軟膏およびクリームは、例えば、好適な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して水性または油性基剤と配合してもよい。ローションは、水性もしくは油性基剤と処方することができ、概して1つ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤も含有する。
【0123】
口中への局所投与に好適な処方物としては、風味付けされた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に活性剤を含むロゼンジ;不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア中に活性成分を含むトローチ;ならびに好適な液体担体中に活性成分を含む洗口剤が挙げられる。
【0124】
溶液または懸濁液を常法によって、例えばスポイト、ピペットまたはスプレーで鼻腔に直接適用する。処方物は単一または多剤投与形態で提供してもよい。スポイトまたはピペットの後者の場合、これは、適切なあらかじめ決められた容積の溶液または懸濁液を投与する患者によって達成することができる。スプレーの場合、これは例えば計量噴霧スプレーポンプによって達成することができる。鼻送達および保持を改善するために、本発明の化合物をシクロデキストリンでカプセル化してもよいし、または送達および鼻粘膜中の保持を増強することが期待されるそれらの薬剤と配合してもよい。
【0125】
気道への投与は、活性成分がクロロフルオロ炭素(CFC)例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、もしくはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスなどの好適な噴霧剤とともに加圧包装中で提供されるエアロゾル処方物によって達成することもできる。エアロゾルは好都合にはレシチンなどの界面活性剤も含有し得る。薬物の用量は、計量式バルブを提供することによって制御してもよい。
【0126】
あるいは、活性成分は、乾燥粉末の形態で、例えば好適な粉末基剤、例えばラクトース、デンプン、デンプン誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)中の化合物の粉末ミックスの形態で提供してもよい。
【0127】
好都合には、粉末担体は鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、単位投与形態で、例えばゼラチンのカプセルもしくはカートリッジ、または粉末がそこから吸入具によって投与され得るブリスターパック中で提供してもよい。
【0128】
鼻内処方物をはじめとする気道への投与を対象とした処方物では、化合物は概して例えば1〜10ミクロン以下程度の小粒子サイズを有する。そのような粒子サイズは、当該技術分野で公知の手段によって、例えば微粒子化によって得ることができる。
【0129】
望ましい場合、活性成分の持続放出を得るために適用される処方物を用いてもよい。
【0130】
医薬品は好ましくは単位投与形態である。そのような形態で、製剤は適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分割される。単位投与形態はパッケージ化された製剤であり得、パッケージはパック入り錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末などの製剤の個別量を含有する。さらに、単位投与形態はカプセル、錠剤、カシェ剤、もしくはロゼンジ自体であり得るか、またはパッケージ化形態の適切な数のこれらのいずれかであり得る。
【0131】
本発明の組成物は、神経障害性もしくは炎症性疼痛、または神経障害性もしくは炎症性疼痛を誘発する基礎疾患を治療するための治療薬、あるいは神経伝導速度低下、神経過敏を特徴とする状態、異所性神経再生に関連する障害、増殖性障害、または骨吸収と骨形成との間の不均衡に関連する障害を治療するための治療薬といった、さらなる活性成分を含んでいてもよい。
【0132】
本発明を、本発明のいくつかの好ましい態様を示す以下の実施例を参照して説明する。しかしながら、本発明の以下の説明の詳細は本発明の前述の説明の一般性に優先しないことは理解されるべきである。
【実施例】
【0133】
略語:
【0134】
合成例で使用される一般的方法
LC−MS(Agilent):
1.LC:Agilent Technologies 1200シリーズ、バイナリーポンプ、ダイオードアレイ検出器。Ultimate AQ−C18、3μm、2.1×50mmカラム。移動相:B(MeOH)およびA(0.07%HCOOH水溶液)。流速:25℃で0.4mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間、5分。タイムテーブル:
【0135】
2.MS:G6110A、Quadrupole LC/MS、イオン源:ES−API、TIC:50〜900m/z、フラグメンター:60、乾燥ガス流:10L/分、ネブライザー圧:35psi、乾燥ガス温度:350℃、Vcap:3500V。
【0136】
3.試料調製:試料をメタノール中に1〜10μg/mLで溶解させ、次いで0.22μMフィルター膜を通して濾過した。注入量:1〜10μL。
【0137】
LC−MS(Waters):
1.LC:Waters 2695、クォータナリーポンプ、Waters 2996フォトダイオードアレイ検出器、Xbridge−C18、3.5μm、2.1×50mmカラム。移動相:B(MeOH)およびA(0.07%HCOOH水溶液)。流速:30℃で0.3mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間、10分。タイムテーブル:
【0138】
2.MS:Micromass QZ、TIC:100〜900m/z、イオン源:ES、キャピラリー:3kV、コーン:3V、抽出器:3V、乾燥ガス流:600L/時、コーン:50L/時、脱溶媒和温度:300℃、ソース温度:100℃。
【0139】
3.試料調製:試料をメタノール中に1〜10μg/mLで溶解させ、次いで0.22μMフィルター膜を通りて濾過した。注入量:1〜10μL。
【0140】
LC−MS(Agilent、P−2)(陽イオンモード)またはLC−MS(Agilent、N−2)(陰イオンモード):
1.LC:Agilent Technologies 1200シリーズ、バイナリーポンプ、ダイオードアレイ検出器。Xbridge−C18、2.5μm、2.1×30mmカラム。移動相:B(MeOH)およびA(0.07%HCOOH水溶液)。流速:30℃で0.5mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間、5分。タイムテーブル:
【0141】
4.MS:G6110A、Quadrupole LC/MS、イオン源:ES−API、TIC:50〜900m/z、フラグメンター:60、乾燥ガス流:10L/分、ネブライザー圧:35psi、乾燥ガス温度:350℃、Vcap:3500V。
【0142】
5.試料調製:試料をメタノール中に1〜10μg/mLで溶解させ、次いで0.22μMフィルター膜を通して濾過した。注入量:1〜10μL。
【0143】
LC−MS(Agilent、P−1)(陽イオンモード)またはLC−MS(Agilent、N−1)(陰イオンモード)(低極性試料):
1.LC:Agilent Technologies 1200シリーズ、バイナリーポンプ、ダイオードアレイ検出器、Xbridge−C18、2.5μm、2.1×30mmカラム。移動相:B(MeOH)およびA(0.07%HCOOH水溶液)。流速:30℃で0.4mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間、6分。タイムテーブル:
【0144】
2.MS:G6110A、Quadrupole LC/MS、イオン源:ES−API、TIC:50〜900m/z、フラグメンター:60、乾燥ガス流:10L/分、ネブライザー圧:35psi、乾燥ガス温度:350℃、Vcap:3500V。
【0145】
3.試料調製:試料をメタノール中に1〜10μg/mLで溶解させ、次いで0.22μMフィルター膜を通して濾過した。注入量:1〜10μL。
【0146】
分析的HPLC:
1.(「Aligent」と称するもの)Agilent Technologies 1200シリーズ、クォータナリーポンプ、ダイオードアレイ検出器。Ultimate AQ−C18、5μm、4.6×250mmカラム。移動相:B(MeOH)およびA(0.07%TFA水溶液)。流速:30℃で1.00mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間:20分。タイムテーブル:
【0147】
2.試料調製:試料をメタノール中に約1mg/mLで溶解させ、次いで0.22μmフィルター膜を通して濾過した。注入量:1〜10μL。
【0148】
「JULY−L」または「SYN−001」と称するもの
1.Agilent Technologies 1200シリーズ、クォータナリーポンプ、ダイオードアレイ検出器。Waters Nova−pak C18、4μm、3.9×150mmカラム。移動相:C(MeOH)およびD(0.07%TFA水溶液)。流速:30℃で1.00mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間:15分。タイムテーブル:
方法名:SYN−001(高極性)
【0149】
方法名:JULY−L(平均および低極性)
【0150】
2.試料調製:試料をメタノール中に約1mg/mLで溶解させ、次いで0.22μmフィルター膜を通して濾過した。注入量:1〜10μL。
【0151】
「ZSJ−2」と称するもの
1.Agilent Technologies1200シリーズ、クォータナリーポンプ、ダイオードアレイ検出器。Waters Nova−pak C18、4μm、3.9×150mmカラム。移動相:C(MeOH)およびD(0.07%TFA水溶液)。流速:30℃で1.00mL/分。検出器:214nm、254nm。勾配停止時間:30分。タイムテーブル:
方法名:ZSJ−2
【0152】
2.試料調製:試料をメタノール中に約1mg/mLで溶解させ、次いで0.22μmフィルター膜を通して濾過した。注入量:1〜10μL。
【0153】
実施例1:化合物1 (S)−5−ベンジル−2−(2,2−ジフェニルアセチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−ピリド[3,4−b]インドール−3−カルボン酸
【0154】
1.化合物1bの調製のための手順
無水THF(10mL)中のLiAlH(0.25g、6.5ミリモル)の撹拌懸濁液に、化合物1a(1.0g、6.2ミリモル)を0℃でゆっくりと添加した。添加後、混合物を25℃で一晩撹拌し、次いで2時間還流加熱し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を−5℃まで冷却し、1MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化し、EA(10mL×2)で抽出した。合わせた有機層を塩水(10mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、1b(0.8g、88%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 4.38分;CNOについて計算したm/z[M+H] 148.1、[M+Na] 170.1、測定値[M+H] 148.1、[M+Na] 170.1。
【0155】
2.化合物1cの調製のための手順
CHCl(10mL)中の化合物1b(0.4g、2.7ミリモル)の撹拌溶液に、MnO(0.95g、10.9ミリモル)を0℃でゆっくりと添加した。添加後、混合物を一晩還流加熱し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。クロマトグラフィー(PE:EA=10:1)によって精製して、1c(0.25g、62%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 4.59分;CNOについて計算したm/z[M+H] 146.1、[M+Na] 168.1、測定値[M+H] 146.1、[M+Na] 168.0。
【0156】
3.化合物1dの調製のための手順
無水DMF(10mL)中の化合物1c(1.0g、6.9ミリモル)の撹拌溶液に、NaH(60%w/w鉱油中分散液、0.3g、7.6ミリモル)を0℃でゆっくりと添加した。添加後、混合物を0℃で0.5時間撹拌し、BnBr(1.3g、7.6ミリモル)を添加し、撹拌を0℃で10分間続けた。TLC(EA:PE=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。反応を冷水(50mL)でクエンチし、EA(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層を塩水(20mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=20:1)によって精製して、1d(1.3g、80%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 5.15分;C1613NOについて計算したm/z[M+Na] 258.1、測定値[M+Na] 258.1。
【0157】
4.化合物1fの調製のための手順
無水THF(10mL)中の化合物1d(1.0g、4.25ミリモル)およびホスホネート1e(1.33g、4.47ミリモル)の撹拌溶液に、テトラメチルグアニジン(0.59g、5.1ミリモル)を0℃でゆっくりと添加した。混合物を次いで室温で一晩撹拌し、TLC(EA:PE=1:4)は出発物質が消費されたことを示した。反応を冷水(20mL)でクエンチし、EA(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層を塩水(20mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=20:1)によって精製し、1f(1.5g、86%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 5.23分;C2426について計算したm/z[M+H] 407.2、[M+Na] 429.2、測定値[M+H] 407.2、[M+Na] 429.1。
【0158】
5.化合物1gの調製のための手順
MeOH(15mL)中のBophoz(商標)(23mg、0.038ミリモル)およびRh(COD)BF(15mg、0.037ミリモル)の混合物をN雰囲気下で15分、透明溶液が得られるまで撹拌した。化合物1f(1.0g、2.46ミリモル)を次いで添加し、混合物をH(×3)でパージし、次いでH雰囲気下(50psi)の室温で14時間撹拌した。TLC(EA:PE=1:4)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=20:1)によって精製し、1g(0.6g、60%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 5.29分;C2428について計算したm/z[M+H] 409.2、[M+Na] 431.2、測定値[M+H] 409.2、[M+Na] 431.1。
【0159】
6.化合物1hの調製のための手順
THF(10mL)中の化合物1g(600mg、1.47ミリモル)の撹拌溶液に、水(4mL)中のLiOH・HO(123mg、2.94ミリモル)の溶液を0℃で添加した。添加後、混合物を室温で5時間撹拌し、TLC(EA:PE=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を0℃まで冷却し、1MのHClでpH3〜4に酸性化した。混合物をEA(5mL×2)で抽出し、有機相を塩水(5mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残留物を次のステップで直接使用した。4MのHCl/ジオキサン(10mL)を残留物に添加し、結果として得られた溶液を室温で一晩撹拌し、TLC(MeOH:DCM=1:10+1滴のAcOH)は反応が完了したことを示した。混合物を蒸発乾固させ、1h(0.45g、93%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 4.69分;C1818について計算したm/z[M+H] 295.1、[M+Na] 371.1、測定値[M+H] 295.1、[M+Na] 317.1。
【0160】
7.化合物1iの調製のための手順
水(6mL)中の化合物1h(400mg、1.36ミリモル)の撹拌懸濁液に、パラホルムアルデヒド(170mg、2.04ミリモル)およびHPO(251mg、2.18ミリモル)を室温で添加した。添加後、混合物を60℃で一晩撹拌し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、水性NaOAcでpH3〜4に塩基性化し、濾過して、生成物を集めた。生成物を冷水(1mL×2)で洗浄し、乾燥させて、1i(350mg、83%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.44分;C1918について計算したm/z[M+H] 307.1、測定値[M+H] 307.1。
【0161】
8.化合物1の調製のための手順
DCM(4mL)中の化合物1i(40mg、0.13ミリモル)およびEtN(27mg、0.26ミリモル)の撹拌溶液にジフェニルアセチルクロリド(45mg、0.20ミリモル)を0℃で添加した。添加後、混合物をゆっくりと室温まで温め、10分間撹拌し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。反応をより大きなバッチの化合物1i(150mg、0.49ミリモル)で繰り返し、2つの反応混合物を組み合わせ、水(20mL)で希釈した。有機層を分離し、塩水(3×10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、次いで濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:EA=20:1〜10:1)によって精製して、1(150mg、48%)を淡黄色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.77分;C3328について計算したm/z[M+H] 501.2、測定値[M+H] 501.2。HPLC(214および254nm):R 14.08分。
【0162】
実施例2:化合物9 (S)−3−(2,2−ジフェニルアセチル)−1,2,3,4−テトラヒドロベンゾ[5,6][1,4]ジオキシノ[2,3−f]イソキノリン−2−カルボン酸
【0163】
1.化合物9cの調製のための手順
化合物9cをJ. Chem. Soc. (Perkin 1) 1990, 1071に従って調製した。
無水HMPA(60mL)中の9b(5.9g、53.6ミリモル)の撹拌懸濁液にカリウム金属(3.8g、96.5ミリモル)を20℃にてN雰囲気下でゆっくりと添加した。全てのカリウム金属が溶解した際に、化合物9a(4.5g、26.8ミリモル)を添加し、混合物を110℃で4時間加熱し、TLC(EA:PE=1:4)は化合物9aが完全に消費されたことを示した。混合物を0℃まで冷却し、冷水(300mL)でクエンチし、EA(50mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(50mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE)によって精製し、9c(2.0g、41%)を灰白色固体として得た。
【0164】
2.化合物9dの調製のための手順
化合物9dをJ. Org. Chem. 1990, 55, 438に従って調製した。
無水EtO(30mL)中の化合物9c(1.4g、7.6ミリモル)の撹拌溶液にn−BuLi(3.7mL、9.1ミリモル)を室温でゆっくりと添加した。添加後、混合物を室温で1時間撹拌した。DMF(0.84g、11.4ミリモル)を混合物に添加し、撹拌を室温で10分間続け、TLC(PE:EA=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。反応を冷水(30mL)で、0℃でクエンチした。有機層を分離し、塩水(15mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE)によって精製し、9d(1.1g、68%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 5.16分;C13について計算したm/z[M+H] 213.1、[M+Na] 235.0、測定値[M+H] 213.0、[M+Na] 235.0。
【0165】
3.化合物9fの調製のための手順
無水THF(20mL)中の化合物9d(1.3g、6.13ミリモル)およびホスホネート9e(1.93g、6.43ミリモル)の撹拌溶液にテトラメチルグアニジン(0.85g、7.36ミリモル)を0℃でゆっくりと添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(EA:PE=1:4)は出発物質が消費されたことを示した。反応を冷水(30mL)で、0℃でクエンチし、EA(20mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(20mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)によって精製し、9f(1.5g、64%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Waters):R 6.67分;C2121NOについて計算したm/z[M−Boc+H] 284.1、[M+Na] 406.1、測定値[M−Boc+H] 284.0、[M+Na] 405.9。
【0166】
4.化合物9gの調製のための手順
MeOH(25mL)中のBophoz(商標)(41mg、0.067ミリモル)およびRh(COD)BF(23mg、0.064ミリモル)の混合物をN雰囲気下で15分間、透明溶液が得られるまで撹拌した。化合物9f(1.7g、4.43ミリモル)を添加し、混合物をH(×3)でパージした。混合物を次いで室温のH雰囲気(50psi)下で40時間撹拌し、TLC(EA:PE=1:4)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)によって精製し、9g(1.5g、88%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.88分;C2123NOについて計算したm/z[M−Boc+H] 286.1、[M+Na] 408.1、測定値[M−Boc+H] 286.1、[M+Na] 408.1。
【0167】
5.化合物9hの調製のための手順
THF(15mL)中の化合物9g(1.5g、3.89ミリモル)の撹拌溶液に水(4mL)中のLiOH(330mg、7.78ミリモル)の溶液を0℃で添加し、混合物を室温で5時間撹拌し、TLC(EA:PE=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物をEA/水(10mL/5mL)の間で分配し、水層を1MのHClでpH3〜4に酸性化した。有機層を分離し、塩水(5mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。4MのHCl/ジオキサン(10mL)を残留物に添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は反応が完了したことを示した。混合物を真空中で濃縮し、9h(0.95g、80%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.88分;C1513NOについて計算したm/z[M+H] 272.1、測定値[M+H] 272.1。
【0168】
6.化合物9iの調製のための手順
水(8mL)中の化合物9h(500mg、1.63ミリモル)の撹拌懸濁液に、パラホルムアルデヒド(200mg、2.44ミリモル)およびHPO(300mg、2.61ミリモル)を室温で添加し、混合物を60℃で一晩加熱し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、水性NaOAcでpH3〜4に塩基性化し、生成物を濾過によって集め、冷水(1mL×2)で洗浄し、乾燥させて、9i(380mg、82%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.00分;C1613NOについて計算したm/z[M+H] 284.1、測定値[M+H] 284.1。
【0169】
7.化合物9の調製のための手順
DCM(4mL)中の化合物9i(40mg、0.14ミリモル)およびEtN(28mg、0.28ミリモル)の撹拌溶液にジフェニルアセチルクロリド(48mg、0.21ミリモル)を0℃で添加した。混合物を次いで室温までゆっくりと温め、10分間撹拌し、TLC(MeOH:DCM=1:10)は出発物質が消費されたことを示した。反応をさらに大きなバッチの化合物9i(200mg、0.71ミリモル)で繰り返し、反応混合物を組み合わせ、水で希釈した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:EA=20:1〜10:1)によって精製し、9(100mg、45%)を灰白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.60分;C3023NOについて計算したm/z[M+H] 478.2、[M+Na] 500.1、測定値[M+H] 478.1、[M+Na] 500.1。HPLC(214および254nm):R 14.27分。
【0170】
実施例3:化合物26 (2S)−4−(ベンジルオキシ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸
【0171】
1.化合物26bの調製のための手順
ケトピペリジン26aをTetrahedron, 1997, 53(46), 15671−15680に従って調製した。0℃のTHF(10mL)中の化合物26a(500mg、1.93ミリモル)の撹拌溶液に、NaBH(80mg、2.13ミリモル)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は反応が完了したことを示した。反応をNHCl飽和水溶液(10mL)、次いで0.5MのHCl水溶液(5mL)でクエンチし、EA(20mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮し、26b(450mg、90%)を無色油状物として得、これを次のステップで直接使用した。
【0172】
2.化合物26cの調製のための手順
DMF(10mL)中の化合物26b(440mg、1.69ミリモル)およびBnBr(347mg、2.03ミリモル)の撹拌溶液をN雰囲気下で−30℃まで冷却した。t−BuO−K(225mg、1.09ミリモル)を数回に分けて添加し、混合物を次いで室温までゆっくりと温め、一晩撹拌した。水(20mL)、次いで0.5MのHCl水溶液(10mL)を添加し、混合物をEA(30mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EtOAc=1:0〜10:1)によって精製し、26c(100mg、17%)を粘稠性無色油状物として得た。
【0173】
3.化合物26dの調製のための手順
MeOH(2mL)中の化合物26c(200mg、0.57ミリモル)の撹拌溶液に4MのHCl/EtOH溶液(10mL)を添加し、混合物を室温で7時間撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は反応が完了したことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物をDCM(20mL)と水(20mL)との間で分配した。水層をKCO飽和水溶液でpH7〜8に塩基性化し、有機層を分離し、塩水(20mL×1)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をDCM(10mL)中に溶解させ、ジフェニル酢酸(131mg、0.61ミリモル)、EDCI・HCl(128mg、0.67ミリモル)および触媒量のDMAPを添加した。混合物を次いで室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は反応が完了したことを示した。混合物を水(20mL)で洗浄し、水層をDCM(20mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=100:1〜10:1)によって精製し、26d(170mg、67%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.52分;C2829NOについて計算したm/z[M+H] 444.2、測定値[M+H] 444.2。
【0174】
4.化合物26の調製のための手順
THF/水(10mL/3mL)中の化合物26d(160mg、0.36ミリモル)の混合物にLiOH・HO(15mg、0.72ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(20mL)中に溶解させ、ヘキサン(20mL)で洗浄した。水層を0℃まで冷却し、1MのHCl水溶液でpH4に酸性化した。結果として得られた沈殿物を濾過によって集め、水で洗浄し、45℃で一晩乾燥させ、26(105mg、68%)を白色固体として得た。分析的HPLC分析によって、トランス/シス異性体29および30の約9:1混合物であることが明らかになった。LC−MS(Agilent):R 3.43分;C2727NOについて計算したm/z[M+H] 430.2、測定値[M+H] 430.2。HPLC(214および254nm):R 8.26分。HPLC(ZSJ−2)(214nm)R 20.97分(主)および21.38分(副)。
【0175】
実施例4:化合物30 (2S,4S)−4−ベンジルオキシ−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸(主異性体)
【0176】
1.30bの調製のための手順
MeOH(5mL)中の30a(1.00g、3.86ミリモル)の溶液に4MのHCl/MeOH溶液(10mL)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が完全に消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、30b(730mg)を灰色固体として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。LC−MS(Agilent):R 0.70分;C13NOについて計算したm/z[M+Na] 182.1、測定値[M+H] 182.1。
【0177】
2.30cの調製のための手順
0℃の水/EA(10mL/10mL)中の30b(0.73g、3.86ミリモル)およびKCO(0.9g、6.56ミリモル)の混合物に、EA(10mL)中のジフェニルアセチルクロリド(1.07g、4.63ミリモル)の溶液を添加し、混合物を室温で1.5時間撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は新しい主生成物が形成されたことを示した。層を分離し、水層をEA(15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜2:1)によって精製し、30c(830mg、60%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 4.07分;C2123NOについて計算したm/z[M+H] 354.2、[M+Na] 376.2、測定値[M+H] 354.2、[M+Na] 376.2。
【0178】
3.30dの調製のための手順
DCM(15mL)中の30c(220mg、0.62ミリモル)およびベンジル2,2,2−トリクロロアセトイミデート(234mg、0.95ミリモル)の溶液にTfOH(2滴)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を塩水(10mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜4:1)によって精製し、30d(130mg、47%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 4.46分;C2829NOについて計算したm/z[M+H] 444.2、[M+Na] 466.2、測定値[M+H] 444.2、[M+Na] 466.2。
【0179】
4.30の調製のための手順
THF/水(8mL/2mL)中の30d(130mg、0.29ミリモル)およびLiOH・HO(37mg、0.88ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。THFの大部分を真空中で除去し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH4〜5に酸性化し、EA(10mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、生成物(70mg、56%)を白色固体として得た。分析的HPLC分析によって、シス/トランス異性体30および29の約7:3混合物であることが明らかになった。LC−MS(Agilent):R 4.17分;C2727NOについて計算したm/z[M+H] 430.2、[M+Na] 452.2、測定値[M+H] 430.2、[M+Na] 452.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 9.21分。HPLC(ZSJ−2)(214nm):R 20.97分(副)および21.37分(主)。
【0180】
実施例5:化合物31 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(フェニルプロピル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0181】
1.化合物31bの調製のための手順
MeOH(10mL)中の31a(100mg、0.27ミリモル)および3−フェニルプロパナール(55mg、0.40ミリモル)の撹拌溶液に1滴のAcOHを添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。NaCNBH(25mg、0.40ミリモル)を添加し、撹拌を室温で一晩続け、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。MeOHの大部分を真空中で除去し、残留物を水(20mL)中に溶解させ、EA(15mL×2)で溶解させた。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=150:1〜50:1)によって精製し、31b(80mg、61%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.75分;C3136について計算したm/z[M+H] 485.3、測定値[M+H] 485.3。
【0182】
2.31の調製のための手順
THF/水(6mL/2mL)中の31b(80mg、0.16ミリモル)およびLiOH・HO(14mg、0.32ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。THFの大部分を真空中で除去し、残留物を水(20mL)中に溶解させ、EtO(15mL)で洗浄した。DCM(15mL)を添加し、水層を1MのHCl水溶液でpH2〜3に酸性化した。層を分離し、水層をさらにDCM(15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製し、31(35mg、46%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.84分;C3034について計算したm/z[M+H] 471.3、測定値[M+H] 471.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.83分。
【0183】
実施例6:化合物32 (2S,4R)−4−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェニルプロプ−2−イン−1−イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0184】
1.32aの調製のための手順
DMF(15mL)中の31a(240mg、0.66ミリモル)、1−(3−ブロモプロプ−1−イニル)ベンゼン(153mg、0.78ミリモル)およびCsCO(255mg、0.78ミリモル)の混合物を35℃で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。水(50mL)を添加し、混合物をEA(20mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜5:1)で精製し、32a(120mg、39%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.97分;C3132について計算したm/z[M+H] 481.2、測定値[M+H] 481.2。
【0185】
2.32の調製のための手順
THF/水(6mL/2mL)中の32a(120mg、0.25ミリモル)の混合物にLiOH・HO(21mg、0.5ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。THFの大部分を真空中で除去し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、エーテル(10mL)で洗浄した。DCM(15mL)を添加し、水層を1MのHCl水溶液でpH2〜3に酸性化した。層を分離し、水層をさらにDCM(15mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製し、32(70mg、60%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.91分;C3030について計算したm/z[M+H] 467.2、測定値[M+H] 467.2。HPLC(214および254nm):R 8.28分。
【0186】
実施例7:化合物33 (2S,4S)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェニルプロプ−2−イン−1イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0187】
1.33bの調製のための手順
DMF(10mL)中の33a(170mg、0.46ミリモル)、1−(3−ブロモプロプ−1−イニル)ベンゼン(109mg、0.57ミリモル)およびCsCO(181mg、0.57ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を氷水(200mL)中に注ぎ、EA(30mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(40mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=8:1〜1:1)で精製し、33b(94mg、42%)を淡黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 4.28分;C3132について計算したm/z[M+H] 481.2、測定値[M+H] 481.2。
【0188】
2.33の調製のための手順
THF/水(6mL/2mL)中の33b(94mg、0.20ミリモル)およびLiOH・HO(25mg、0.59ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。THFの大部分を真空中で除去し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、EtO(10mL)で洗浄した。水層を3MのHCl水溶液でpH4〜5に酸性化し、EA(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(30mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCで精製し、33(23mg、57%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.81分;C3030について計算したm/z[M+H] 467.2、測定値[M+H] 467.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.74分。
【0189】
実施例8:化合物34 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェネチル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0190】
1.31aの調製のための手順
イソプロパノール(10mL)中の34a(250mg、0.55ミリモル)の溶液に10%Pd(OH)/C(25mg)を添加し、混合物を30℃にてH雰囲気(1気圧)下で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、31a(200mg、99%)を無色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。LC−MS(Agilent):R 3.39分;C2226について計算したm/z[M+H] 367.2、測定値[M+H] 367.2。
【0191】
2.34bの調製のための手順
MeOH(10mL)中の31a(100mg、0.27ミリモル)およびフェニルアセトアルデヒド(50mg、0.40ミリモル)の撹拌溶液に2滴のAcOHを添加し、混合物を室温で40分間撹拌した。NaCNBH(25mg、0.40ミリモル)を添加し、撹拌を室温で2日間続け、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のMeOHを真空中で除去し、残留物を水(15mL)とEA(15mL)との間で分配した。層を分離し、水層をさらにEA(20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=120:1〜50:1)によって精製し、34b(80mg、63%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.70分;C3034について計算したm/z[M+H] 471.3、測定値[M+H] 471.3。
【0192】
3.34の調製のための手順
THF/水(6mL/2mL)中の34b(80mg、0.17ミリモル)の混合物にLiOH・HO(14mg、0.34ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。THFの大部分を真空中で除去し、残留物を水(20mL)中に溶解させ、エーテル(15mL)で洗浄した。DCM(15mL)を添加し、水層を1MのHCl水溶液でpH2〜3に酸性化した。層を分離し、水層をさらにDCM(15mL)で抽出した。有機相を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、34(40mg、52%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.77分;C2932について計算したm/z[M+H] 457.3、測定値[M+H] 457.3。HPLC(214および254nm):R 8.72分。
【0193】
実施例9:化合物35 (2S,4S)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェネチル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0194】
1.33aの調製のための手順
イソプロパノール(20mL)中の39d(320mg、0.70ミリモル)の溶液に10%Pd(OH)/C(25mg)を添加し、混合物を室温のH雰囲気(1気圧)下で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質の一部が残存したことを示した。混合物を次いで30℃で一晩加熱し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、33a(290mg、100%超)を無色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。LC−MS(Agilent):R 3.39分;C2226について計算したm/z[M+H] 367.2、測定値[M+H] 367.2。
【0195】
2.35aの調製のための手順
0℃のMeOH(5mL)中の33a(88mg、0.24ミリモル)およびフェニルアセトアルデヒド(43mg、0.36ミリモル)の撹拌溶液に2滴のAcOHを添加し、混合物を0℃で1時間撹拌した。NaCNBH(23mg、0.36ミリモル)を添加し、混合物を室温まで温め、一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のMeOHを真空中で除去し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、EA(15mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(10mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=1:0〜10:1)によって精製し、35a(60mg、53%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.34分;C3034について計算したm/z[M+H] 471.3、測定値[M+H] 471.3。
【0196】
3.35の調製のための手順
THF/水(5mL/1.5mL)中の35a(60mg、0.13ミリモル)の混合物にLiOH・HO(16mg、0.38ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、EtO(10mL)で洗浄した。水層を3MのHCl水溶液でpH4〜5に酸性化し、DCM(15mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、35(25mg、43%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.77分;C2932について計算したm/z[M+H] 457.2、測定値[M+H] 457.2。HPLC(214および254nm):R 8.68分。
【0197】
実施例10:化合物38 (2S,4R)−4−(ベンジル(メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸
【0198】
1.38bの調製のための手順
室温のMeOH(3mL)中の38a(800mg、2.2ミリモル)の溶液に、4MのHCl/MeOH溶液(5mL)を添加し、混合物を一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(20mL)で溶解させ、EtO(15mL)で洗浄した。DCM(15mL)を添加し、水層をKCOでpH8に塩基性化し、DCM(15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮して、38b(400mg、69%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 0.55分;C1522について計算したm/z[M+H] 263.2、測定値[M+H] 263.2。
【0199】
2.34aの調製のための手順
0℃のDCM(10mL)中の38b(400mg、1.5ミリモル)およびEtN(187mg、1.8ミリモル)の溶液にジフェニルアセチルクロリド(421mg、1.8ミリモル)を添加し、混合物を0℃で15分間撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜3:1)によって精製し、34a(600mg、87%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.61分;C2932について計算したm/z[M+H] 457.2、測定値[M+H] 457.2。
【0200】
3.38の調製のための手順
THF/水(6mL/2mL)中の34a(50mg、0.1ミリモル)の混合物にLiOH・HO(10mg、0.2ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(20mL)中に溶解させ、EtO(15mL)で洗浄した。DCM(15mL)を添加し、水層を1MのHCl水溶液でpH2〜3に酸性化した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。分取HPLCによる精製によって、38(10mg、23%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.73分;C2830について計算したm/z[M+H] 443.2、測定値[M+H] 443.2。HPLC(214および254nm):R 8.57分。
【0201】
実施例11:化合物39 (2S,4S)−4−(ベンジル(メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸
【0202】
1.26aの調製のための手順
0℃のDMF(130mL)中の39a(16.0g、65.8ミリモル)の溶液に、KCO(13.6g、98.7ミリモル)、次いでCHI(11.4g、78.9ミリモル)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を氷水(600mL)中に注ぎ、エーテル(100mL×4)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(200mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜4:1)によって精製し、26a(8.0g、47%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.20分;C1219NOについて計算したm/z[M+H−boc] 158.1、測定値[M+H−boc] 158.1。
【0203】
2.39bの調製のための手順
MeOH(50mL)中の26a(4.00g、15.5ミリモル)の溶液に、CHNHBn(2.06g、17.1ミリモル)、次いで2滴のAcOHを添加し、混合物を室温で1時間撹拌し、次いで0℃まで冷却した。NaCNBH(1.17g、18.6ミリモル)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のMeOHを真空中で除去し、残留物をEA(60mL)と塩水(60mL)との間で分配した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜4:1)で精製し、38a(0.82g、15%)、次いで39b(1.3g、23%)を無色油状物として得た。38aについてのLC−MS(Agilent):R 3.47分;C2030について計算したm/z[M+H] 363.2、測定値[M+H] 363.2。39bについてのLC−MS(Agilent):R 3.47分;C2030について計算したm/z[M+H] 363.2、測定値[M+H] 363.2。
【0204】
3.39cの調製のための手順
MeOH(4mL)中の39b(1.00g、2.76ミリモル)の溶液に4MのHCl/MeOH溶液(5mL)を加え、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のMeOHを真空中で除去し、残留物を水中に溶解させ、エーテルで洗浄した。水層をKCOでpH7〜8に塩基性化し、DCMで3回抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮し、39c(220mg、30%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 0.61分;C1522について計算したm/z[M+H] 263.2、測定値[M+H] 263.2。
【0205】
4.39dの調製のための手順
DCM(15mL)中の39c(310mg、1.18ミリモル)、ジフェニルアセチルクロリド(326mg、1.42ミリモル)およびTEA(144mg、1.42ミリモル)の溶液を0℃で20分間撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水(15mL×2)で洗浄し、有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=6:1〜3:1)によって精製し、39d(420mg、78%)を黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent):R 3.31分;C2932について計算したm/z[M+H] 457.2、測定値[M+H] 457.2。
【0206】
5.39の調製のための手順
THF/水(7mL/2mL)中の39d(46mg、0.10ミリモル)の混合物にLiOH・HO(13mg、0.30ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH5〜6に酸性化し、EA(10mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。得られた白色固体を分取HPLCによって精製し、39(15mg、34%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent):R 3.68分;C2830について計算したm/z[M+H] 443.2、測定値[M+H] 443.2。HPLC(214および254nm):R 8.52分。
【0207】
実施例12:化合物40 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−フェニルプロプ−2−イン−イル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0208】
1.30aの調製のための手順
−78℃のTHF(15mL)中の26a(2.00g、7.77ミリモル)の溶液にL−セレクトライド(THF中1Mの溶液、11.7mL、11.7ミリモル)を滴加し、混合物を−78℃で1時間撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。反応をNHCl飽和水溶液でクエンチし、次いで水(20mL)とEA(30mL)との間で分配した。有機層を分離し、塩水(20mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮して、30a(1.80g、89%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.84分;C1221NOについて計算したm/z[M+H] 260.1測定値[M+H] 260.1。
【0209】
2.30cの調製のための手順
MeOH(2mL)中の40a(1.80g、6.94ミリモル)の溶液に4MのHCl/MeOH溶液(10mL)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、0℃まで冷却した。KCO(1.92g)を添加し、次いでEA(15mL)中のジフェニルアセチルクロリド(1.92g、8.33ミリモル)の溶液を滴加し、混合物を室温で一晩撹拌した。層を分離し、有機相を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜3:2)で精製し、生成物(254mg、10%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.75分;C2123NOについて計算したm/z[M+H] 354.2、[M+Na] 376.1、測定値[M+H] 354.2、[M+Na] 376.1。
【0210】
3.40aの調製のための手順
DCM(20mL)中の3−フェニルプロプ−2−イン−1−オール(1.00g、7.57ミリモル)の溶液にDBU(115mg、0.757ミリモル)を添加し、混合物を室温で10分間撹拌し、次いで0℃まで冷却した。トリクロロアセトニトリル(2.20g、15.1ミリモル)を添加し、混合物を次いで10分間還流加熱し、TLC(PE:EA=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜20:1)によって精製し、40a(1.50g、72%)を無色油状物として得た。
【0211】
4.40bの調製のための手順
DCM(15mL)中の30c(254mg、0.72ミリモル)および40a(298mg、1.08ミリモル)の溶液にCFSOH(1滴)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質の一部が残存したことを示し、新しい生成物が形成された。混合物を塩水(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜5:1)によって精製し、40b(54mg、16%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.83分;C3029NOについて計算したm/z[M+H] 468.2、[M+Na] 490.2、測定値[M+H] 468.2、[M+Na] 490.2。
【0212】
5.40の調製のための手順
THF/水(10mL/2mL)中の40b(54mg、0.12ミリモル)およびLiOH・HO(15mg、0.35ミリモル)の混合物を室温で48時間撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(5mL)中に溶解させ、EtO(8mL×2)で洗浄した。水層を4MのHCl水溶液でpH4〜5に酸性化し、DCM(10mL×2)で抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、40(15mg、29%)を白色固体として得た。分析的HPLCおよびNMR分析は、シス/トランス異性体の約87:13混合物の存在を明らかにした。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.03分;C2927NOについて計算したm/z[M+H] 454.2、[M+Na] 476.2、測定値[M+H] 454.2、[M+Na] 476.2。HPLC(ZSJ−2)(214および254nm):R 21.88分(副)および22.35分(主)。
【0213】
実施例13:化合物41 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−フェニルプロピル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸
EA(10mL)中の40(10mg、0.02ミリモル)および10%Pd/C(3mg)の混合物を室温にてH雰囲気(1気圧)で2時間撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、41(8mg、80%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.99分;C2931NOについて計算したm/z[M+H] 471.3、[M+Na] 480.2、測定値[M+H] 471.3、[M+Na] 480.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R9.37分。
【0214】
実施例14:化合物42 (2S,4R)−4−((ブト−2−イン−1−イル)メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸
【0215】
1.42aの調製のための手順
DMF(10mL)中の31a(300mg、0.81ミリモル)、1−ブロモ−2−ブチン(130mg、0.98ミリモル)およびCsCO(320mg、0.98ミリモル)の混合物を50℃にて密封された試験管中で一晩加熱し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、氷水(30mL)中に注ぎ、EA(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜4:1)によって精製し、42a(120mg、35%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.65分;C2630について計算したm/z[M+H] 419.2、測定値[M+H] 419.2。
【0216】
2.42の調製のための手順
THF/水(3mL/1mL)中の42a(120mg、0.28ミリモル)およびLiOH・HO(36mg、0.86ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(20mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化し、DCM(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、42(80mg、71%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.72分;C2528について計算したm/z[M+H] 405.2、測定値[M+H] 405.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.38分。
【0217】
実施例15:化合物43 (2S,4S)−4−((ブット−2−イン−1−イル)メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸
【0218】
1.43aの調製のための手順
DMF(10mL)中の33a(180mg、0.49ミリモル)、1−ブロモ−2−ブチン(72mg、0.54ミリモル)およびCsCO(175mg、0.54ミリモル)の混合物を40℃にて密封した試験管中で一晩加熱し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、氷水(30mL)に注ぎ、EA(15mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜2:1)によって精製し、43a(70mg、34%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.94分;C2630について計算したm/z[M+H] 419.2、測定値[M+H] 419.2。
【0219】
2.43の調製のための手順
THF/水(3mL/1mL)中の43a(65mg、0.15ミリモル)およびLiOH・HO(19mg、0.45ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化し、DCM(10mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、43(20mg、33%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.66分;C2528について計算したm/z[M+H] 405.2、測定値[M+H] 405.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 9.06分。
【0220】
実施例16:化合物44 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((メチル(4−メチルペント−2−イン−1−イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0221】
1.44aの調製のための手順
−65CのN下のTHF(30mL)中の3−メチル−ブチン(3.00g、43.9ミリモル)の溶液にn−BuLi(ヘキサン中2.5M、19.3mL、48.2ミリモル)を添加し、混合物を−65℃で1時間撹拌した。パラホルムアルデヒド(1.97g、65.8ミリモル)を次いで数回に分けて添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を0℃まで冷却し、反応をNHCl飽和水溶液でクエンチし、次いでエーテルと塩水の間で分配した。層を分離し、有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮し、44a(4.0g、93%)を黄色油状物として得、これを次のステップで直接使用した。
【0222】
2.44bの調製のための手順
0℃のN下のDCM(30mL)中の44a(2.5g、25.5ミリモル)およびEtN(2.84g、28.1ミリモル)の溶液にMsCl(2.92g、25.5ミリモル)を添加し、混合物を0℃で1時間撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水(20mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮して、44b(2.0g、44%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.52分;C12Sについて計算したm/z[M+Na] 199.0、測定値[M+H] 199.0。
【0223】
3.44cの調製のための手順
DMF(5mL)中の31a(300mg、0.82ミリモル)、44b(187mg、1.06ミリモル)およびCsCO(345mg、1.06ミリモル)の混合物を40℃にて密封した試験管中で一晩加熱し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、氷水(30mL)に注ぎ、EA(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜3:1)によって精製し、44c(90mg、24%)を濃厚な、黄色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.72分;C2834について計算したm/z[M+H] 447.3、測定値[M+H] 447.3。
【0224】
4.44の調製のための手順
THF/水(3mL/1mL)中の44c(90mg、0.20ミリモル)およびLiOH・HO(25mg、0.60ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。THFの大部分を真空中で除去し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH3に酸性化し、DCM(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=1:0〜50:1)、次いで分取HPLCによって精製し、44(20mg、23%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.87分;C2732について計算したm/z[M+H] 433.2、測定値[M+H] 433.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.71分。
【0225】
実施例17:化合物45 (2S,4S)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((メチル(4−メチルペント−2−イン−1−イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0226】
1.45aの調製のための手順
DMF(5mL)中の33a(180mg、0.49ミリモル)、44b(113mg、0.63ミリモル)およびCsCO(204mg、0.63ミリモル)の混合物を40℃にて密封した試験管中で一晩加熱し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、氷水(30mL)中に注ぎ、EA(15mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜2:1)によって精製し、45a(50mg、23%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.73分;C2834について計算したm/z[M+H] 447.3、測定値[M+H] 447.3。
【0227】
2.45の調製のための手順
THF/水(3mL/1mL)中の45a(50mg、0.11ミリモル)およびLiOH・HO(14mg、0.33ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH5に酸性化し、DCM(10mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、45(15mg、31%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.85分;C2732について計算したm/z[M+H] 433.2、測定値[M+H] 433.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.63分。
【0228】
実施例18:化合物47 (2S,4S)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル)(メチル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0229】
1.47aの調製のための手順
−65℃のN雰囲気下のTHF(30mL)中の4−フルオロフェニルアセチレン(5.0g、41.7ミリモル)の撹拌溶液にn−BuLi(ヘキサン中2.5M、18.3mL、45.8ミリモル)を添加し、混合物を−65℃で1時間撹拌した。パラホルムアルデヒド(2.5g、83.3ミリモル)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。水を添加し、混合物をEA(30mL)で抽出した。有機抽出物を水(20mL×2)、塩水(20mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、47a(6.5g、100%)を褐色油状物として得、次のステップで直接使用した。
【0230】
2.47bの調製のための手順
THF(15mL)中の47a(1.0g、6.67ミリモル)の溶液にPPh(1.92g、7.34ミリモル)、次いでCBr(2.21g、6.67ミリモル)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。PE(30mL)を添加し、混合物を濾過した。濾液を真空中で濃縮し、残留物をクロマトグラフィー(100%PE)によって精製し、47b(1.5g、100%)を無色油状物として得た。
【0231】
3.47cの調製のための手順
DMF(5mL)中の33a(80mg、0.22ミリモル)の溶液にKCO(46mg、0.33ミリモル)および47b(45mg、0.22ミリモル)を添加し、混合物を30℃で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:2)は出発物質が消費されたことを示した。混合物をEA(30mL)とHO(30mL)との間で分配し、有機層を分離し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜1:2)によって精製し、47c(50mg、45%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.964分;C3131FNについて計算したm/z[M+H] 499.3、測定値[M+H] 499.3。
【0232】
4.47の調製のための手順
THF/HO(5mL/0.2mL)中の47c(50mg、0.1ミリモル)およびLiOH・HO(17mg、0.4ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:2)は出発物質が消費されたことを示した。大部分のTHFを真空中で除去し、水性残留物を3MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化した。結果として得られた沈殿物を濾過によって集め、次いで分取HPLCによって精製し、47(25mg、51%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.933分;C3029FNについて計算したm/z[M+H] 485.3、測定値[M+H] 485.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.749分。
【0233】
実施例19:化合物46 ((2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル)(メチル)アミノ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0234】
1.46aの調製のための手順
DMF(5mL)中の31a(200mg、0.54ミリモル)の撹拌溶液にKCO(90mg、0.65ミリモル)、次いで47b(116mg、0.54ミリモル)を添加し、混合物を30℃で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を0〜5℃まで冷却し、氷水(40mL)に注ぎ、EA(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜1:1)によって精製し、46a(84mg、31%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.08分;C3131FNについて計算したm/z[M+H] 499.2、測定値[M+H] 499.3。
【0235】
2.46の調製のための手順
THF/HO(3mL/1mL)中の46a(84mg、0.17ミリモル)およびLiOH・HO(27mg、0.64ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH約3に酸性化し、DCM(10mL×3)で抽出した。有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、46(57mg、69%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.00分;C3029FNについて計算したm/z[M+H] 485.2、測定値[M+H] 485.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.83分。
【0236】
実施例20:化合物52 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−((3−(4−フルオロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル)オキシ)ピペリジン−2−カルボン酸
【0237】
1.52aの調製のための手順
0〜5℃のDCM(20mL)中の47a(1.00g、6.66ミリモル)の溶液にDBU(101mg、0.66ミリモル)を添加し、混合物を0〜5℃で10分間撹拌した。トリクロロアセトニトリル(1.92g、13.3ミリモル)を次いで加え、撹拌をさらに10分間続け、TLC(PE:EA=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜20:1)によって精製し、52a(1.2g、63%)を黄色油状物として得た。
【0238】
2.52bの調製のための手順
−10℃のN雰囲気下のDCM(10mL)中の30c(200mg、0.56ミリモル)および52a(333mg、1.13ミリモル)の溶液にTMSトリフラート(37mg、0.17mol)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質の大部分が消費されたことを示した。混合物を塩水(5mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜4:1)によって精製し、52b(30mg、11%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.25分;C3028FNOについて計算したm/z[M+H] 486.2、[M+Na] 508.2、測定値[M+H] 486.2、[M+Na] 508.2。
【0239】
3.52の調製のための手順
THF/HO(5mL/0.5mL)中の52b(30mg、0.062ミリモル)およびLiOH・HO(11mg、0.25ミリモル)の混合物を室温で3日間撹拌し、TLC(PE:EA=3:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(5mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化し、DCM(15mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、残留物を分取HPLCによって精製し、52(16mg、50%)を白色固体として得た。分析的HPLCおよびNMR分析によって、シス/トランス異性体の約87:13混合物であることが明らかになった。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.18分;C2926FNOについて計算したm/z[M+H] 472.2、測定値[M+H] 472.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 9.55分。HPLC(ZSJ−2)(214および254nm):R 25.25分。
【0240】
実施例21:化合物57 (2'S,3S,4'R)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸
【0241】
1.57aの調製のための手順
0℃のN下のMeOH(10mL)中の26a(500mg、1.94ミリモル)および(S)−3−フェニルピペリジン(376mg、2.33ミリモル)の溶液に2滴のAcOHを添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。NaCNBH(158mg、2.52ミリモル)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。溶媒を真空中で除去し、残留物をEA/塩水の間で分配した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜1:2)によって精製し、57a(248mg、32%)を第1溶出生成物として得、次いで57b(191mg、24%)を得、それぞれ無色油状物として得た。57aについてのLC−MS(Agilent、P−2):R 2.715分;C2334について計算したm/z[M+H] 403.3、測定値[M+H] 403.3。57bについてのLC−MS(Agilent、P−2):R 2.756分;C2334について計算したm/z[M+H] 403.3、[M+Na] 425.3、測定値[M+H] 403.3、[M+Na]425.3。
【0242】
2.57cの調製のための手順
4MのHCl/MeOH(10mL)中の57a(248mg、0.62ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、エーテルで洗浄し、次いでKCOでpH9〜10に塩基性化し、クロロホルム/イソプロパノール(3/1、v/v、10mL×6)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、残留物をDCM(5mL)中に溶解させた。EtN(102mg、0.74ミリモル)を得られたDCM溶液に0℃で添加し、次いでジフェニルアセチルクロリド(171mg、0.74ミリモル)を添加し、混合物を室温まで温め、10分間撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水(5mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜2:1)によって精製し、57c(93mg、30%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.75分;C3236について計算したm/z[M+H] 497.3、測定値[M+H] 497.3。
【0243】
3.57の調製のための手順
THF/HO(3mL/1mL)中の57c(93mg、0.187ミリモル)およびLiOH・HO(24mg、0.562ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(3mL)中に溶解させ、4MのHCl水溶液でpH4〜5に酸性化した。結果として得られた沈殿物を濾過によって集め、フィルターケーキをEA/エーテルから結晶させ、57(38mg、42%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.05分;C3134について計算したm/z[M+H] 483.3、測定値[M+H] 483.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.65分。
【0244】
実施例22:化合物58 (2'S,3S,4'S)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸
【0245】
1.58aの調製のための手順
4MのHCl/MeOH(15mL)中の57b(191mg、0.47ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(10mL)中に溶解させ、エーテル(10mL)で洗浄し、次いでKCOでpH9〜10に塩基性化し、IPA/CHCl(1/3、v/v、10mL×5)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をDCM(5mL)中に溶解させ、0℃まで冷却し、EtN(79mg、0.57ミリモル)、次いでジフェニルアセチルクロリド(131mg、0.57ミリモル)を添加した。混合物を室温まで温め、10分間撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水(5mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜1.5:1)によって精製し、58a(40mg、17%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 3.05分;C3236について計算したm/z[M+H] 497.3、測定値[M+H] 497.3。
【0246】
2.58の調製のための手順
THF/HO(3mL/1mL)中の58a(40mg、0.080ミリモル)およびLiOH・HO(10mg、0.241ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:2)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(8mL)中に溶解させ、4MのHCl水溶液でpH4〜5に酸性化し、DCM(10mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(15mL×2)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、58(30mg、78%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.83分;C3134について計算したm/z[M+H] 483.3、測定値[M+H] 483.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.70分。
【0247】
実施例23:化合物54 (2S,4R)−4−((4,4−ジメチルペント−2−イン−1−イル)(メチル)アミノ)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)ピペリジン−2−カルボン酸
【0248】
1.54aの調製のための手順
−65℃のN雰囲気下のTHF(30mL)中の3,3−ジメチルブト−1−イン(6.0g、24.4ミリモル)の溶液にn−BuLi(ヘキサン中2.5M、10.7mL、26.8ミリモル)をゆっくりと添加し、混合物を−65℃で1時間撹拌した。パラホルムアルデヒド(1.46g、48.8ミリモル)を次いで数回に分けて添加し、混合物を室温まで温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。反応を水でクエンチし、混合物をEA(50mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を水、次いで塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、54a(6.0g、74%)を無色油状物として得、これを次のステップで直接使用した。
【0249】
2.54bの調製のための手順
0℃のDCM(10mL)中の54a(1.0g、8.9ミリモル)の溶液にトリエチルアミン(1.08g、10.7ミリモル)を添加し、混合物を0℃で10分間撹拌した。MsCl(1.1g、9.8ミリモル)を次いで添加し、混合物を0℃で30分間撹拌し、TLC(PE:EA=4:1)は出発物質が消費されたことを示した。反応を水でクエンチし、有機層を集め、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=20:1〜5:1)によって精製し、54b(850mg、50%)を無色油状物として得た。
【0250】
3.54cの調製のための手順
DMF(10mL)中の31a(300mg、0.82ミリモル)の溶液に、KCO(226mg、1.64ミリモル)および54b(186mg、0.98ミリモル)を添加し、混合物を60℃で一晩加熱し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、EA(30mL)とHO(40mL)との間で分配した。層を分離し、水層をEA(20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=10:1〜2:1)によって精製し、54c(100mg、26%)を無色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.943分;C2936について計算したm/z[M+H] 461.3、測定値[M+H] 461.3。
【0251】
4.54の調製のための手順
THF/HO(3mL/0.5mL)中の54c(100mg、0.22ミリモル)およびLiOH・HO(37mg、0.87ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(3mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化した。結果として得られた沈殿物を濾過によって集め、エーテル/ヘキサンから再結晶し、次いで分取HPLCによって精製し、54(40mg、41%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.92分;C2834について計算したm/z[M+H] 447.3、測定値[M+H] 447.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 9.06分。
【0252】
実施例24:化合物55 (2'S,3R,4'R)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸
【0253】
1.55bの調製のための手順
4MのHCl/MeOH(5mL)中の55a(350mg、0.87ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水中に溶解させ、KCOでpH9〜10に塩基性化し、DCM(30mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をDCM(10mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(0.13g、1.31ミリモル)および2,2−ジフェニルアセチルクロリド(0.24g、1.04ミリモル)を添加し、混合物を室温で10分間撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。反応を水でクエンチし、DCM層を分離し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=5:1〜1:2)によって精製し、55b(250mg、57%)を褐色油状物として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.84分;C3236について計算したm/z[M+H] 497.3、測定値[M+H] 497.3。
【0254】
2.55の調製のための手順
THF/HO(5mL/0.5mL)中の55b(250mg、0.5ミリモル)およびLiOH・HO(84mg、2.0ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH3〜4に酸性化した。結果として得られた沈殿物を濾過によって集め、EA/エーテルから再結晶し、55(105mg、43%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.82分;C3134について計算したm/z[M+H] 483.3、測定値[M+H] 483.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.59分。
【0255】
実施例25:化合物56 (2'S,3R,4'R)−1'−(2,2−ジフェニルアセチル)−3−フェニル−[1,4'−ビピペリジン]−2'−カルボン酸
【0256】
1.56aの調製のための手順
0℃のN下のMeOH(10mL)中の26a(500mg、1.94ミリモル)および(R)−3−フェニル−ピペリジン(376mg、2.33ミリモル)の溶液に2滴のAcOHを添加し、混合物を0℃で30分間撹拌した。NaCNBH(158mg、2.52ミリモル)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(PE:EA=2:1)は出発物質が消費されたことを示した。溶媒を真空中で除去し、残留物を水(30mL)で希釈し、混合物をDCM(20mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜1:1)によって精製し、55a(340mg、43%)を第1溶出生成物として得、次いで56a(113mg、14%)を得、それぞれ無色油状物として得た。55aについてのLC−MS(Agilent、P−2):R 2.742分;C2334について計算したm/z[M+H] 403.3、[M+Na] 425.3、測定値[M+H] 403.3、[M+Na] 425.3。56aについてのLC−MS(Agilent、P−2):R 2.749分;C2334について計算したm/z[M+H] 403.3、[M+Na] 425.3、測定値[M+H] 403.3、[M+Na] 425.3。
【0257】
2.56bの調製のための手順
4MのHCl/MeOH(10mL)中の56a(113mg、0.28ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(PE:EA=1:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(30mL)中に溶解させ、KCOでpH10に塩基性化し、DCM(20mL×2)、次いでクロロホルム/イソプロパノール(3/1、v/v、15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、残留物をDCM(20mL)中に溶解させた。EtN(42mg、0.42ミリモル)を得られたDCM溶液に添加し、次いでジフェニルアセチルクロリド(71mg、0.31ミリモル)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜1:2)によって精製し、56b(70mg、50%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.79分;C3236について計算したm/z[M+H] 497.3、測定値[M+H] 497.3。
【0258】
3.56の調製のための手順
THF/HO(3mL/1mL)中の56b(70mg、0.14ミリモル)およびLiOH・HO(23mg、0.56ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を水(15mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH約3に酸性化し、DCMで抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物を分取HPLCによって精製し、56(40mg、59%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.85分;C3134について計算したm/z[M+H] 483.3、測定値[M+H] 483.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.68分。
【0259】
実施例26:化合物59 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェニルプロプ−2−イン−1−イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボキサミド
DMF(10mL)中の32(550mg、1.17ミリモル)の溶液にEtN(141mg、1.40ミリモル)およびHATU(530mg、1.40ミリモル)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。27%のNHOH水溶液(110mg、1.75ミリモル)を次いで添加し、撹拌を室温で一晩続け、TLC(DCM:MeOH=10:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を氷水(80mL)に注ぎ、EA(30mL×3)で抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、粗59(530mg)を黄色油状物として得た。この粗生成物の一部(150mg)をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=1:0〜50:1)によって2回精製し、純粋な59(50mg、33%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.84分;C3031について計算したm/z[M+H] 466.2、測定値[M+H] 466.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.87分。
【0260】
実施例27:化合物60 (2S,4R)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(メチル(3−フェニルプロプ−2−イン−1−イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボニトリル
0〜5℃のN雰囲気下のDCM(10mL)中の粗59(350mg、0.75ミリモル)の溶液にEtN(114mg、1.13ミリモル)、次いでトリフリック無水物(296mg、1.05ミリモル)を添加し、混合物を室温までゆっくりと温め、一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。反応を塩水(10mL)でクエンチし、有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、そして真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(PE:EA=1:0〜2:1)によって精製し、60(140mg、2ステップにわたって41%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.57分;C3029Oについて計算したm/z[M+H] 448.2、測定値[M+H] 448.2。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 9.05分。
【0261】
実施例28:化合物61 (2S,4R)−4−(メチル(3−フェニルプロプ−2−イン−1−イル)アミノ)−2−(1H−テトラゾール−5−イル)ピペリジン−1−イル)−2,2−ジフェニルエタノン
DMF(1mL)中の60(78mg、0.17ミリモル)の溶液に、NaN(56.6mg、0.87ミリモル)およびNHCl(62.5mg、1.17ミリモル)を添加した。反応器を密閉し、混合物を100℃で一晩加熱し、TLC(DCM:MeOH=50:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物を室温まで冷却し、水(15mL)中に溶解させ、3MのHCl水溶液でpH4〜5に調節し、EA(10mL×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を塩水(10mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:1〜10:1)、次いで分取HPLCによって精製し、61(36mg、43%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.951分;C3030Oについて計算したm/z[M+H] 491.3、測定値[M+H] 491.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 8.947分。
【0262】
実施例29:化合物62 (2S,4R)−N−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1−(2,2−ジフェニルアセチル)−4−(3−フェニルプロプ−2−イン−1−イル)アミノ)ピペリジン−2−カルボキサミド
DCM(1mL)中の32(50mg、0.107ミリモル)、N,N−ジメチルスルファミド(16mg、0.128ミリモル)、DMAP(4mg、0.032ミリモル)およびDCC(26mg、0.128ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌し、TLC(DCM:MeOH=20:1)は出発物質が消費されたことを示した。混合物をDCM(20mL)で希釈し、塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。残留物をクロマトグラフィー(DCM:MeOH=1:0〜50:1)で精製し、62(36mg、59%)を白色固体として得た。LC−MS(Agilent、P−2):R 2.66分;C3233Sについて計算したm/z[M+H] 573.2、測定値[M+H] 573.3。HPLC(JULY−L)(214および254nm):R 9.12分。
【0263】
生物学的実施例1:AT受容体結合
培地および溶液
1.トリプシン−EDTA(100mLの調製につき)
トリプシン 0.25g
2%EDTA 2mL
PBS 98mL
トリプシンを2%EDTAおよびPBS中に完全に溶解させる;溶液を0.20μM膜フィルターに通すことによって滅菌する;4℃で保管する。
2.DMEM培地(1Lの調製につき)
粉末を950mLの蒸留水中に穏やかに撹拌しながら溶液が透明になるまで溶解させた。
DMEM培地に対してNaHCO1.176gを添加する。
培地のpHを、1MのNaOHまたは1MのHClを使用して最終作業pHよりも0.2〜0.3低い値に調節する。撹拌しながらゆっくり添加する。
ddHOで1リットルに希釈する。
濾過によって培地を直ちに滅菌する。
4℃で保管する。
3.TE緩衝液
20mM Tris−HCl、pH7.4、
5mM EDTA
4.結合アッセイ緩衝液
50mM Hepes、pH7.4
5mM MgCl
1mM CaCl
0.2% BSA
5.洗浄緩衝液
50mMのHepes、pH7.4
【0264】
HEK293/AT受容体一過性細胞のための手順
トランスフェクション
・一過性トランスフェクションのために、細胞を150mmシャーレ中に50%の密度で播いた。細胞は一晩のインキュベーション後にトランスフェクションができる状態になった(コンフルエンスは約80%に達する)。
・6.25mLのOptiMEM I低血清培地中で希釈した75μLのLipofectamine(商標)2000を穏やかに混合し、そして室温で5分間インキュベートした。血清を含まない6.25mLのOptiMEM I低血清培地中で希釈した50μgの発現プラスミドDNAを穏やかに混合した。
・5分間のインキュベーション後、希釈したDNAを希釈したLipofectamine(商標)2000と合わせた(総体積は12.5mLである)。混合物を穏やかに混合し、30分間室温でインキュベートして、DNA−Lipofectamine(商標)2000複合体を形成させた。
・12.5mLのDNA−Lipofectamine(商標)2000複合体を150mmシャーレ中に添加し、シャーレを前後に揺らすことによって穏やかに混合した。
・細胞を37℃にて5%COで48時間インキュベートした。
・細胞を集め、−80℃で凍結保管した。
【0265】
HEK293/AT受容体細胞膜調製のための手順
・凍結HEK293/AT受容体(一過性にトランスフェクトした)細胞を氷冷TE緩衝液中で10秒間ホモジナイズした。
・ホモジネートを25,000gで30分間遠心分離した。
・ペレットを氷冷組織緩衝液中に再懸濁させた。
・標準としてBSAを使用したBradfordアッセイ法を用いてタンパク質濃度を測定した。
・膜タンパク質を−80℃より低い温度で凍結した。
【0266】
化合物調製
全ての化合物の溶液をJanusまたはPrecision2000などのマイクロプレート液体取扱い装置によって調製した。DMSO中に溶解させた化合物をフリーザー中で保管した。化合物を100%DMSO中30mMの溶液から調製した。
【0267】
ステップ1:用量プレート調製(96ウェルプレート)
・3μL[30mM]の化合物ストックをプレート上のカラム1に添加する。
・15μLの100%DMSOをカラム1に添加する。
・10.81μLの100%DMSOをカラム2〜12に添加する。
・カラム1から5μLをカラム2に移す(100.5倍希釈(half log dilution))。
・カラム2から5μLをカラム3に移す(100.5倍希釈)。
・カラム3から5μLをカラム4に移す(100.5倍希釈)。
・カラム4から5μLをカラム5に移す(100.5倍希釈)。
・カラム5から5μLをカラム6に移す(100.5倍希釈)。
・カラム6から5μLをカラム7に移す(100.5倍希釈)。
・カラム7から5μLをカラム8に移す(100.5倍希釈)。
・カラム8から5μLをカラム9に移す(100.5倍希釈)。
・カラム9から5μLをカラム10に移す(100.5倍希釈)。
・カラム10から5μLをカラム11に移す(100.5倍希釈)。
・カラム11から5μLをカラム12に移す(100.5倍希釈)。
全ての化合物を、Precision2000マイクロプレート液体取扱い装置を用いて希釈した。化合物の最高濃度は100%DMSOで5mMであった。
【0268】
ステップ2:作業プレート調製(96ウェルプレート)
・化合物を緩衝液で50倍に希釈した。
・49μLの緩衝液を96ウェルプレートのウェルに添加した。
・用量プレートから1μLの化合物溶液を作業プレートの対応するウェルに移した。
・化合物の最高濃度は2%DMSOで100μMであった。
【0269】
ステップ3:アッセイプレート調製(96ウェルプレート)
15μLの化合物溶液を作業プレートの各ウェルからアッセイプレートのウェルにJanusによって移した。各化合物を各プレートにおいて二つ組で分析し、プレートごとに4つの化合物があった。
【0270】
AT受容体結合アッセイのための手順
・120μLの膜(5mgタンパク質/ウェル)を15μLの[125I]−CGP42112Aおよび15μLの化合物とともに室温にて1.5時間インキュベートした。
・Unifilter GF/Cプレート(0.3%(v:v)BSA中に予浸)を通して迅速に濾過することによって結合反応を停止させた。
・プレートを氷冷洗浄緩衝液で3回洗浄した。
・濾過プレートを37℃で一晩乾燥させた。
・50μLのシンチレーションカクテルを各ウェルに添加した。
・MicroBetaTriluxマイクロプレートシンチレーションカウンターを用いて放射活性を測定した。
【0271】
データ解析
データを、Prism 5.0ソフトウェアを用いて4パラメータロジックにより解析した。
【0272】
結果を以下の表に示す:
【0273】
生物学的実施例2:AT受容体結合
トランスフェクトしたHEK−293細胞におけるヒトアンジオテンシンII AT受容体についての試験化合物の親和性の評価を、放射リガンドアッセイで測定した(Le, et al., Eur. J. Pharmacol., 2005, 513:35)。
【0274】
細胞膜ホモジネート(8μgタンパク質)を、50mMのTris−HCl(pH7.4)、5mMのMgCl、1mMのEDTAおよび0.1%のBSAを含有する緩衝液中の試験化合物の非存在下または存在下で、0.005nMの[125][Sar1−Ile8]アンジオテンシンIIとともに37℃で120分間インキュベートした。10mMのアンジオテンシンIIの存在下で非特異的結合を測定した。
【0275】
インキュベーションに次いで、試料を0.3%PEIで予浸したグラスファイバーフィルター(GF/B、Packard)を通して真空下で迅速に濾過し、96−試料細胞ハーベスター(Unifilter、Packard)を使用して氷冷50mMのTris−HClで数回リンスした。フィルターを乾燥させ、次いでシンチレーションカクテル(Microscint 0、Packard)を使用してシンチレーションカウンター(Topcount、Packard)において放射活性を測定した。結果を対照放射性リガンド特異的結合の阻害パーセントとして表した。
【0276】
標準基準化合物はサララシンであり、これを各実験中に複数の濃度で試験して競合曲線を得、競合曲線からそのIC50を計算した。
【0277】
アッセイを200μLの体積で96ウェルプレートにおいて実施した。使用した試験化合物は、化合物26、30、32および33であった。
【0278】
どの化合物も、AT受容体がIC50を決定できるほど十分な結合活性を有さなかった。使用した試験化合物の最高濃度は10μMであった。
【0279】
参考文献