特許第6073934号(P6073934)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6073934複数の酸発生剤化合物を含むフォトレジスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073934
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】複数の酸発生剤化合物を含むフォトレジスト
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20170123BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20170123BHJP
   C08F 220/00 20060101ALI20170123BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   G03F7/004 503A
   G03F7/039 601
   C08F220/00
   C09K3/00 K
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-1174(P2015-1174)
(22)【出願日】2015年1月6日
(62)【分割の表示】特願2013-190011(P2013-190011)の分割
【原出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-92271(P2015-92271A)
(43)【公開日】2015年5月14日
【審査請求日】2015年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/701,588
(32)【優先日】2012年9月15日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591016862
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Rohm and Haas Electronic Materials LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ダブリュー.サッカレー
(72)【発明者】
【氏名】チン・ウク・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ.ラボーム
(72)【発明者】
【氏名】ビプル・ジェイン
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−173642(JP,A)
【文献】 特開2012−093398(JP,A)
【文献】 特開2012−173479(JP,A)
【文献】 特開2013−250431(JP,A)
【文献】 特開2014−058511(JP,A)
【文献】 特開2013−250433(JP,A)
【文献】 特開2009−080161(JP,A)
【文献】 特開2014−040406(JP,A)
【文献】 特開2014−058664(JP,A)
【文献】 特開2014−010269(JP,A)
【文献】 特開2013−061477(JP,A)
【文献】 特開2012−113143(JP,A)
【文献】 特開2010−077377(JP,A)
【文献】 特開2010−250290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリマーであって、それに結合された酸発生剤を含むポリマー、および
(b)前記ポリマーに結合されておらずかつ1つ以上の酸不安定基を含む酸発生剤化合物、
を含むフォトレジスト組成物であって、
前記(a)結合された酸発生剤および/または前記(b)酸発生剤化合物が、ジベンゾチオフェン部分を含み
前記ポリマーの繰り返し単位の構造中の前記(a)結合された酸発生剤のカチオン成分が酸不安定基を含む、フォトレジスト組成物。
【請求項2】
前記(b)酸発生剤化合物が、前記(a)結合された酸発生剤を含むポリマーに対して10〜50重量パーセントの量で存在する、請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項3】
(a)ポリマーであって、それに結合された酸発生剤を含むポリマー、および
(b)前記ポリマーに結合されておらずかつ1つ以上の酸不安定基を含む酸発生剤化合物、
を含むフォトレジスト組成物であって、
前記(a)結合された酸発生剤および/または前記(b)酸発生剤化合物が、ジベンゾチオフェン部分を含み
前記(b)酸発生剤化合物が、前記(a)結合された酸発生剤を含むポリマーに対して10〜50重量パーセントの量で存在するフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記(a)結合された酸発生剤が、前記ポリマーに共有結合されたアニオン成分を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記(b)酸発生剤化合物の前記酸不安定基が、前記酸発生剤化合物のカチオン成分に存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
a)請求項1〜5のいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物のコーティング層を基体上に適用し、および
b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線に露光し、そして前記露光されたフォトレジスト組成物コーティング層を現像すること
を含む、フォトレジストレリーフ像を提供する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種以上の異なる酸発生剤化合物、特に、(a)ポリマーに結合された酸発生剤を含むポリマー;および(b)前記ポリマーに結合されておらずかつ1つ以上の酸不安定基を含む酸発生剤化合物を含む新規フォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストは、基体に像を転写するための感光性フィルムである。それらは、ネガ型像またはポジ型像を形成する。フォトレジストを基体上にコーティングした後、そのコーティングが、パターン形成されたフォトマスクを通して紫外線などの活性化エネルギー源に露光されることにより、そのフォトレジストコーティングに潜像が形成される。そのフォトマスクは、その下にある基体に転写されるべき所望の像を画定する活性化放射線に対して不透明である領域および透明である領域を有する。レジストコーティングにおける潜像パターンを現像することによって、レリーフ像が提供される。
【0003】
既知のフォトレジストは、多くの既存の商業的応用のために十分な解像度および寸法を有するフィーチャを提供することができる。しかしながら、他の多くの応用のために、ミクロン未満の寸法の高解像度の像を提供できる新規フォトレジストが必要とされている。
【0004】
機能特性の性能を改善するためにフォトレジスト組成物の構成を変化させる様々な試みが行われている。とりわけ、種々の光活性化合物をフォトレジスト組成物において使用することについて報告されている。米国特許出願公開第2007/0224540号および欧州特許出願公開第1906241号を参照のこと。極紫外線(EUV)およびe−ビーム像形成技術もまた使用されている。米国特許第7,459,260号を参照のこと。EUVは、短波長放射線(典型的には1nm〜40nm)を使用するものであり、13.5nmの放射線が使用されることが多い。
【0005】
EUVフォトレジストの開発は、EUVリソグラフィー(EUVL)技術の実施にとって引き続き困難な課題である。低いライン幅ラフネス(LWR)を含む高解像度の微細なフィーチャおよびウエハスループットを提供するのに十分な感度を提供し得る材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0224540号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1906241号明細書
【特許文献3】米国特許第7,459,260号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、複数の異なる酸発生剤化合物を使用する酸発生剤成分を含む新規フォトレジスト組成物を見いだした。特に、本発明者らは、(a)ポリマーであって、それに結合された酸発生剤を含むポリマー;および(b)前記ポリマーに結合されておらずかつ1つ以上の酸不安定基を含む酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0008】
好ましい態様において、本発明の酸発生剤化合物およびフォトレジスト組成物は、特にEUV像形成にとって有用である。
【0009】
1つの好ましい態様において、(a)ポリマーであって、これに結合された酸発生剤を含むポリマー;および(b)前記ポリマーに結合されておらずかつ1つ以上の酸不安定基を含む酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物が提供される。そのような態様において、そのフォトレジスト組成物は、好適には、(a)ポリマーに結合された酸発生剤を含むポリマーとは異なるさらなるポリマーを含む必要はない。つまり、(a)ポリマーであって、これに結合された酸発生剤を含むポリマーは、本フォトレジスト組成物のマトリックスポリマーであり得る。したがって、例えば、ポジ型フォトレジストの場合、(a)ポリマーであって、これに結合された酸発生剤を含むポリマーは、酸不安定基、例えば、酸不安定エステル基または酸不安定アセタール基を含む繰り返し単位をさらに含んでもよい。
【0010】
別の好ましい態様において、(a)ポリマー、並びに(b)酸発生剤成分を含むフォトレジスト組成物であって、前記(b)酸発生剤成分が(i)1つ以上の共有結合された酸不安定基を含む第1の非ポリマー系酸発生剤化合物、並びに(ii)第2のポリマー系酸発生剤化合物であって、前記第1の酸発生剤化合物および前記(a)ポリマーとは異なる第2のポリマー系酸発生剤化合物を含む、フォトレジスト組成物が提供される。化学増幅型ポジ型フォトレジストの場合、(a)ポリマーは、好適には、酸不安定基、例えば、酸不安定エステル基または酸不安定アセタール基を含む。第2のポリマー系酸発生剤化合物も、酸不安定基、例えば、酸不安定エステル基または酸不安定アセタール基を含んでよい。
【0011】
上記ポリマー系および非ポリマー系酸発生剤化合物は、好適には、種々のイオン性および非イオン性酸発生剤、例えば、オニウム化合物、スルホネート化合物、ジスルホン、ジアゾスルホン、α,α−メチレンジスルホンまたはジスルホニルヒドラジンであることができ、オニウム化合物が通常好ましく、特に、スルホニウムおよび/またはヨードニウム基を含む酸発生剤が好ましい。ジベンゾチオフェン部分および/またはチオキサントン部分を含む酸発生剤化合物が、特に好ましい場合がある。
【0012】
ポリマー系酸発生剤化合物がイオン性である場合、好適には、その酸発生剤化合物のカチオン成分ではなくアニオン成分がポリマーに共有結合されうるか、またはその酸発生剤のアニオン成分ではなくカチオン成分がポリマーに共有結合されうるか、またはその酸発生剤のアニオン成分およびカチオン成分の各々が、ポリマーに共有結合されることがある。
【0013】
好ましくは、ポリマー系酸発生剤化合物と非ポリマー系酸発生剤化合物の一方または両方が、共有結合された酸不安定基を含む。ある特定の好ましい態様において、非ポリマー系酸発生剤はイオン性であり、かつ酸発生剤化合物のカチオン成分に共有結合された酸不安定部分を含む。
【0014】
本発明者らは、相対的に高重量の非ポリマー系酸発生剤を使用することにより、形成されるレジストレリーフ像の優良なラインエッジラフネスおよびコントラストを含むリソグラフィー結果が向上され得ることも見出した。
【0015】
本発明の特に好ましいフォトレジストは、像形成に有効な量の本明細書中に開示されるような1種以上の酸発生剤化合物および好適なポリマー成分を含み得る。
【0016】
本明細書中に開示されるような2つ以上の異なる酸発生剤化合物の混合物またはブレンドも提供され、それには、(i)1つ以上の共有結合された酸不安定基を含む非ポリマー系酸発生剤化合物;および(ii)ポリマー系酸発生剤化合物を含むブレンドまたは混合物が挙げられる。
【0017】
本発明のフォトレジスト組成物のレリーフ像(例えば、50nm未満または20nm未満の寸法を有するパターン形成されたライン)を形成するための方法も提供される。本発明のフォトレジスト組成物がその上にコーティングされたマイクロエレクトロニクスウエハなどの基体も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
酸発生剤化合物
本明細書中で言及されるとき、酸発生剤化合物は、活性化放射線、例えば、EUV放射線、e−ビーム放射線、または193nmの波長の放射線などの他の放射線源に露光されると、酸を生成し得る。本明細書中で言及される酸発生剤化合物は、光酸発生剤化合物としても言及され得る。
【0019】
本発明のフォトレジストの好ましいポリマー系および非ポリマー系酸発生剤化合物は、式(I)の構造を含むことができる:
【化1】
式中:Zは、対アニオンであり;
Rは、非水素置換基であり;
Xは、>C=O;>S(O);>S(O)2;−C(=O)O−;−C(=O)NH−;−C(=O)−C(=O)−;−O−;CHOH;CH2;もしくはSであるか、またはXは、単結合であり(それにより5員環を提供し);各Tおよび各T’は、同じまたは異なる非水素置換基であり;
各Lおよび各L’は、同じまたは異なる酸不安定基であり、T、L、T’およびL’の非水素基は、一体となって環を形成してもよく;
mおよびm’は、各々独立して、0(この場合、TまたはT’の代わりに水素が存在する)、1、2、3または4であり;nおよびn’は、各々独立して、0(この場合、LまたはL’の代わりに水素が存在する)、1、2、3または4であり、ここで、Rが、酸不安定基を含まない場合、nおよびn’のうちの少なくとも1つが、0より大きく、それにより、この酸発生剤化合物は、少なくとも1つの酸不安定基を含む。ある特定の好ましい態様において、好ましくは、mおよびm’の一方または両方が、0である。
【0020】
本発明のフォトレジスト組成物の特に好ましいポリマー系および非ポリマー系酸発生剤化合物は、以下の式(IA)の構造を含む化合物を含み:
【化2】
式中:Zは、対アニオンであり;
Xは、>C=O;>S(O);>S(O)2;−C(=O)O−;−C(=O)NH−;−C(=O)−C(=O)−;−O−;CHOH;CH2;もしくはSであるか、またはXは、単結合であり(それにより5員環を提供し);各T、各T’および各T”は、同じまたは異なる非水素置換基であり;各L、各L’および各L”は、同じまたは異なる酸不安定基であり、T、L、T’、L’、T”およびL”の非水素基は、一体となって環を形成してもよく;
mおよびm’は、各々独立して、0(この場合、TまたはT’の代わりに水素が存在する)、1、2、3または4であり;m”は、0(この場合、T”の代わりに水素が存在する)、1、2、3、4または5であり;nおよびn’は、各々独立して、0(この場合、LまたはL’の代わりに水素が存在する)、1、2、3または4であり;n”は、独立して、0(この場合、L”の代わりに水素が存在する)、1、2、3、4または5であり;n、n’およびn”のうちの少なくとも1つは、0以外である。ある特定の好ましい態様において、好ましくは、m、m’およびm”のうちの1つ以上が、0である。
【0021】
本発明のフォトレジスト組成物のさらなる好ましいポリマー系および非ポリマー系酸発生剤化合物は、以下の式(IB)の構造を含む化合物を含み:
【化3】
式中:
Zは、対アニオンであり;
Rは、非水素置換基であり;
各Tおよび各T’は、同じまたは異なる非水素置換基であり;
各Lおよび各L’は、同じまたは異なる酸不安定基であり、T、L、T’およびL’の非水素基は、一体となって環を形成してもよく;
mおよびm’は、各々独立して、0(この場合、TまたはT’の代わりに水素が存在する)、1、2、3または4であり;nおよびn’は、各々独立して、0(この場合、LまたはL’の代わりに水素が存在する)、1、2、3または4である。ある特定の好ましい態様において、好ましくは、mおよびm’の一方または両方が、0である。
【0022】
上記の式(I)、(IA)および(IB)ならびに下記の式(II)および(III)において、好適な非水素置換基は、例えば、ハロ(F、Cl、BrまたはI)、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、場合により置換されるC1−20アルキル、場合により置換されるC1−20アルコキシ、例えば、場合により置換されるアルキル(例えば、場合により置換されるC1−10アルキル)、場合により置換されるアルケニルまたはアルキニル(好ましくは、2〜約20個の炭素原子を有するもの(例えば、アリル));好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する場合により置換されるケトン;好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する場合により置換されるアルキルチオ;好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する場合により置換されるアルキルスルフィニル;好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する場合により置換されるアルキルスルホニル;好ましくは1〜約20個の炭素原子を有する場合により置換されるカルボキシ(それは、実質的に光酸と非反応性であるエステルを含む−COOR’(式中、R’はHまたはC1−8アルキルである)などの基を含む);場合により置換されるアルカリール、例えば、場合により置換されるベンジル、場合により置換される炭素環式アリール、例えば、場合により置換されるフェニル、ナフチル、アセナフチルまたは場合により置換されるヘテロ脂環式基もしくはヘテロ芳香族基、例えば、ピリジル、フラニル、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、フランザン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ジチアゾール、テラゾール、ピラン、チオピラン、ジアジン、オキサジン、チアジン、ジオキシン、ジチンおよびトリアジン、並びにそのような部分の1つ以上を含む多環芳香族基であり得る。さらに、複数の置換基、例えば、上記の式のいずれかにおける隣り合う炭素上に存在する2つのTまたはT’置換基が、一体となって、場合により置換される縮合フェニル環などの環を形成してもよい。
【0023】
上記の式(I)および(IA)において、好ましいX基としては、>C=O;>S(O);>S(O)2;−C(=O)O−;−C(=O)NH−;−C(=O)−C(=O)−;−O−;CHOH;もしくはSまたは単結合が挙げられ;より好ましくは、Xは、C=O;>S(O);>S(O)2;−C(=O)O−;−C(=O)NH−;−C(=O)−C(=O)−;−O−;もしくはSまたは単結合であり得;なおもより好ましくは、Xは、C=O;>S(O);>S(O)2;−C(=O)O−;もしくは−C(=O)−C(=O)−;または単結合のうちのいずれか1つであり得る。>C=Oおよび単結合が、上記の式(I)および(IA)の特に好ましいX基である。
【0024】
上で述べたように、好ましくは、第1および第2の酸発生剤化合物の一方または両方が、共有結合された酸不安定基を含む。酸発生剤化合物の好適な酸不安定基は、種々の部分例えば、酸不安定エステルおよび酸不安定アセタール、例えば、場合により置換されるエチルシクロペンチルエステル、メチルアダマンチルエステル、エチルアダマンチルエステル、t−ブチルエステル、フェニルエステル、ナフチルエステルなどであり得る。本明細書中で言及されるとき、酸不安定部分または酸不安定基(例えば、酸不安定エステルおよび酸不安定アセタール)は、放射線露光後の熱暴露をはじめとする典型的なリソグラフィー処理中に、(レジスト中の酸発生剤化合物から)生成される酸の存在下において反応を起こす。本明細書中で言及される酸不安定基は、光酸不安定基のことも言及し得る。
【0025】
本発明のフォトレジストの酸発生剤の好ましい酸不安定基は、酸不安定エステル部分、例えば、式−C(=O)O(CH)n(C=O)O−ALGの基を含むことができ、式中、nは、1〜12の整数であり、好ましくは、nは、1、2、3または4であり、ALGは、酸不安定部分をもたらす基(例えば、そのエステルに結合される第四級炭素を提供する基)であり、例えば、t−ブチル、または結合する第四級炭素を有する環系、例えば、1−エチルシクロペンチルまたはメチルアダマンチルである。
【0026】
特定の態様において、本発明のフォトレジストの酸発生剤化合物は、式(II):
【化4】
の酸不安定エステル結合を含むことができ、式(II)において、Rは、酸不安定部分を提供する非水素置換基、例えば、カルバメート、酸不安定エステル基または酸不安定アセタール基である。例えば、例示的な好ましいR基としては、t−ブチル、またはより好ましくは、さらなるエステル結合、例えば、この場合、Rは、−(CH2)n(C=O)O−ALGであり、式中、nは、1〜12の整数であり、好ましくは、nは、1、2、3または4であり、ALGは、酸不安定部分をもたらす(例えば、そのエステルに結合される第四級炭素を提供する)基であり、例えば、t−ブチル、または結合する第四級炭素を有する環系、例えば、1−エチルシクロペンチルまたはメチルアダマンチルが挙げられる。
【0027】
別の特定の態様において、本発明のフォトレジストの酸発生剤化合物は、式(III):
【化5】
の酸不安定エステル結合を含むことができ、式(III)において、XおよびYは、独立して、水素または非水素置換基、例えば、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、C1−10アルキル、C1−10アルコキシであり;Rは、酸不安定部分を提供する非水素置換基、例えば、カルバメート、酸不安定エステル基または酸不安定アセタール基であり;nは、正の整数、例えば、1〜20のいずれかであり、より典型的には、nは、1〜10または1〜4のいずれかである。例示的な好ましいR基としては、t−ブチル、またはより好ましくは、さらなるエステル結合、例えば、この場合、Rは、−(CH2)n(C=O)O−ALGであり、式中、nは、1〜12の整数であり、好ましくは、nは、1、2、3または4であり、ALGは、酸不安定部分をもたらす(例えば、そのエステルに結合される第四級炭素を提供する)基であり、例えば、t−ブチル、または結合する第四級炭素を有する環系、例えば、1−エチルシクロペンチルまたはメチルアダマンチルが挙げられる。
【0028】
そのようなエステル含有酸不安定基(例えば、式IIの基)またはエーテル含有酸不安定基(例えば、式IIIの基)は、酸発生剤化合物の任意の様々な利用可能な位置における置換基であり得る。ある特定の好ましい態様において、エステル含有酸不安定基は、酸発生剤化合物の炭素環式アリール基、例えば、フェニル、または多環式芳香環、例えば、ナフチルまたはアントラセニル環の環置換基であり得る。
【0029】
ある特定の態様において、酸発生剤化合物は、複数の酸不安定基、例えば、複数の異なる酸不安定基を含むことができ、例えば、少なくとも1つのエステル含有酸不安定基(例えば、式IIの基)ならびに少なくとも1つのエーテル含有酸不安定基(例えば、式IIIの基)を含む酸発生剤化合物が挙げられる。
【0030】
本フォトレジスト組成物の酸発生剤化合物の例示的な特に好ましいカチオン成分としては、以下のものが挙げられる:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【0031】
本フォトレジスト組成物の酸発生剤化合物の例示的な特に好ましいアニオン成分としては、以下のものが挙げられる:
【化10】
【0032】
適切に重合されることにより本明細書中に開示されるような第1の酸発生剤化合物を提供し得る例示的な好ましい酸発生剤アニオン成分としては、以下のものが挙げられる:
【化11】
【0033】
本発明の酸発生剤化合物は、容易に調製することができる。例示的な好ましい合成法は、後掲の実施例に示される。したがって、例えば、ジベンゾチオフェンオキシドは、好適にはイートン試薬の存在下での置換フェニル試薬との反応などによってスルホニウム塩を提供するように官能化され得る。このように形成されるスルホニウム塩は、1つ以上の共有結合された酸不安定基を提供するなど所望のとおりさらに官能化され得る。ポリマー系酸発生剤化合物は、例えば、反応性の酸発生剤化合物またはその成分(例えば、オニウムカチオン成分と結合した上に示されたアクリレートアニオン成分)を重合することによって、容易に調製することができる。
【0034】
述べたように、酸発生剤化合物および他の材料の様々な部分が、場合により置換され得る。「置換される」置換基は、1つ以上の利用可能な位置、典型的には、1、2または3つの位置において、1つ以上の好適な基、例えば、ハロゲン(特に、F、ClまたはBr);シアノ;ニトロ;C1−8アルキル;C1−8アルコキシ;C1−8アルキルチオ;C1−8アルキルスルホニル;C2−8アルケニル;C2−8アルキニル;ヒドロキシル;ニトロ;アルカノイル、例えば、C1−6アルカノイル、例えば、アシル、ハロアルキル、特に、C1−8ハロアルキル、例えば、CF;−CONHR、−CONRR’(式中、RおよびR’は、場合により置換されるC1−8アルキルである);−COOH、COC、>C=O;などによって置換され得る。
【0035】
フォトレジスト組成物
本発明のフォトレジストは、典型的には、本明細書に開示されるようなポリマーおよび複数の酸発生剤化合物を含む。好ましくはポリマーは、レジスト組成物に水性アルカリ現像性を付与する官能基を有する。例えば、極性官能基、例えばヒドロキシルまたはカルボキシレートまたはリソグラフィ処理時にこうした極性部分を放出できる酸不安定基を含むポリマーが好ましい。好ましくはポリマーは、アルカリ水溶液によりレジストを現像可能にするのに十分な量でレジスト組成物において使用される。
【0036】
本発明のフォトレジストはまた、芳香族基、例えば、場合により置換されたフェニル、例えば、フェノール、場合により置換されたナフチル、および場合により置換されたアントラセンを含有する繰り返し単位を含むポリマーを含むことができる。場合により置換されたフェニル(例えば、フェノール)含有ポリマーは、EUVおよびeビーム放射線により像形成されたものをはじめとする、多くのレジストシステムに特に好適である。ポジ型レジストに関して、ポリマーはまた、好ましくは、酸不安定基を含む1種以上の繰り返し単位を含有する。例えば、場合により置換されたフェニルまたは他の芳香族基を含有するポリマーの場合、ポリマーは、1つ以上の酸不安定部分を含有する繰り返し単位を含んでいてもよく、例えば酸不安定エステルを含むアクリレートまたはメタクリレート化合物のモノマー(例えばt−ブチルアクリレートまたはt−ブチルメタクリレート)の重合によって形成されるポリマーである。こうしたモノマーは、芳香族基、例えば場合によりフェニル、例えばスチレンまたはビニルフェノールモノマーを含む1種以上の他のモノマーと共重合されてもよい。
【0037】
こうしたポリマーの形成のために使用される好ましいモノマーとしては:以下の式(V)を有する酸脱保護可能なモノマー、式(VI)のラクトン含有モノマー、アルカリ現像剤において溶解速度を調節するための式(VII)の塩基可溶性モノマー、および式(VIII)の光酸発生モノマー、または少なくとも1種の前述のモノマーを含む組み合わせが挙げられる:
【化12】
式中、各Rは、独立に、H、F、−CN、C1−10アルキルまたはC1−10フルオロアルキルである。式(V)の酸脱保護可能なモノマーにおいて、Rは、独立にC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、各Rは互いに結合していないか、または少なくとも1つのRは隣のRに結合されて環式構造を形成している。式(VI)のラクトン含有モノマーにおいて、Lは、単環式、多環式、または縮合多環式C4−20ラクトン含有基である。式(VII)の塩基可溶性モノマーにおいて、Wは、12以下のpKaを有する、ハロゲン化されたまたはハロゲン化されていない、芳香族または非芳香族C2−50ヒドロキシル含有有機基である。式(VIII)の光酸発生モノマーにおいて、Qは、エステル含有またはエステル非含有であり、およびフッ素化されているかまたはフッ素化されておらず、かつC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキル基である。Aは、エステル含有またはエステル非含有であり、およびフッ素化されているかまたはフッ素化されておらず、かつC1−20アルキル、C3−20シクロアルキル、C6−20アリール、またはC7−20アラルキルであり、Zはカルボキシレート、スルホネート、スルホンアミドのアニオン、またはスルホンイミドのアニオンを含むアニオン性部分であり、並びにGは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0038】
例示的な酸脱保護性モノマーとしては、以下のもの、またはそれらの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない:
【化13】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルである。
【0039】
好適なラクトンモノマーは、以下の式(IX)のものであってよい:
【化14】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルであり、Rは、C1−10アルキル、シクロアルキル、またはヘテロシクロアルキルであり、wは0〜5の整数である。式(IX)において、Rは、ラクトン環に直接結合しており、もしくはラクトン環および/または1つ以上のR基に共通して結合しており、エステル部分は、ラクトン環に直接、またはRを介して間接的に結合している。
【0040】
例示的なラクトン含有モノマーとしては、以下のものまたはそれらモノマーの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる:
【化15】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−10アルキルまたはC1−10フルオロアルキルである。
【0041】
好適な塩基可溶性モノマーは、以下の式(X)のものであってよい:
【化16】
式中、各Rは、独立に、H、F、−CN、C1−10アルキルまたはC1−10フルオロアルキルであり、Aは、ヒドロキシル含有またはヒドロキシル非含有で、エステル含有またはエステル非含有で、フッ素化されているかまたはフッ素化されていないC1−20アルキレン、C3−20シクロアルキレン、C6−20アリーレン、またはC7−20アラルキレンであり、並びにxは0〜4の整数であり、ここでxが0である場合、Aはヒドロキシル含有C6−20アリーレンである。
【0042】
例示的な塩基可溶性モノマーとしては、以下の構造を有するものまたはそれらの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる:
【化17】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルである。
【0043】
好ましい光酸発生モノマーとしては、以下の式(XI)または(XII)のものが挙げられる:
【化18】
式中、各Rは、独立に、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルであり、Aは、フッ素置換されたC1−30アルキレン基、フッ素置換されたC3−30シクロアルキレン基、フッ素置換されたC6−30アリーレン基、またはフッ素置換されたC7−30アルキレン−アリーレン基であり、並びにGはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0044】
好ましくは、式(XI)および(XII)において、Aは、−[(C(RC(=O)O]−C((R(CF−基、またはo−、m−もしくはp−置換された−C−基であり、ここで各RおよびRは、それぞれ独立にH、F、−CN、C1−6フルオロアルキルまたはC1−6アルキルであり、bは0または1であり、xは1〜10の整数であり、yおよびzは独立に0〜10の整数であり、並びにy+zの合計は少なくとも1である。
【0045】
例示的に好ましい光酸発生モノマーとしては、以下のまたはそれらの少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる:
【化19】
式中、各Rは、独立に、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルであり、kは好適には0〜5の整数であり、並びにGはスルホニウムまたはヨードニウムカチオンである。
【0046】
好ましい光酸発生モノマーは、スルホニウムまたはヨードニウムカチオンを含んでいてもよい。好ましくは、式(IV)において、Gは式(XIII)のものである:
【化20】
式中、XはSまたはIであり、各Rは、ハロゲン化されているかもしくはハロゲン化されておらず、かつ独立にC1−30アルキル基、多環式もしくは単環式C3−30シクロアルキル基、多環式もしくは単環式C4−30アリール基または前述のものの少なくとも1種を含む組み合わせであり、ここでXがSである場合、R基の1つは場合により、単結合によって1つの隣のR基に結合されており、並びにaは2または3であり、ここでXがIである場合、aは2であり、またはXがSである場合、aは3である。
【0047】
例示的な酸発生モノマーとしては、以下の式を有するものが挙げられる:
【化21】
式中、Rは、H、F、−CN、C1−6アルキルまたはC1−6フルオロアルキルである。
【0048】
本発明のポジ型化学増幅型フォトレジストに使用するための酸不安定脱ブロック基を有する特に好適なポリマーは、欧州特許出願公開第0829766A2号(アセタールおよびケタールポリマーを有するポリマー)および欧州特許出願公開第EP0783136A2号((1)スチレン、(2)ヒドロキシスチレン、および(3)酸不安定基、特にアルキルアクリレート酸不安定基の単位を含むターポリマーおよび他のコポリマー)に開示されている。
【0049】
本発明のフォトレジストに使用するためのポリマーは、分子量および多分散度が好適には広範囲に変動し得る。好適なポリマーとしては、約1,000〜約50,000、より典型的には約2,000〜約30,000のMを有し、約3以下の分子量分布、より典型的には約2以下の分子量分布を有するものが挙げられる。
【0050】
本発明の好ましいネガ型組成物は、酸への曝露時に硬化、架橋または硬質化する材料および本発明の光活性成分の混合物を含む。好ましいネガ型組成物は、ポリマーバインダー、例えばフェノール系または非芳香族ポリマー、架橋剤成分および本発明の光活性成分を含む。こうした組成物およびそれらの使用は、欧州特許出願公開第0164248号および米国特許第5,128,232号(Thackerayらへの)に開示されている。ポリマーバインダー成分として使用するのに好ましいフェノール系ポリマーとしては、ノボラックおよびポリ(ビニルフェノール)、例えば上記で議論されたようなものが挙げられる。好ましい架橋剤としては、アミン系材料、例えば、メラミン、グリコールウリル、ベンゾグアナミン系材料および尿素系材料が挙げられる。メラミン−ホルムアルデヒドポリマーは、多くの場合特に好適である。こうした架橋剤は市販されており、例えばメラミンポリマー、グリコールウリルポリマー、尿素系ポリマーおよびベンゾグアナミンポリマー、例えば商品名Cymel 301、303、1170、1171、1172、1123および1125、並びにBeetle 60、65および80でCytecによって販売されるものがある。
【0051】
本発明のフォトレジストはまた、他の材料を含有できる。例えば他の任意成分である添加剤としては、化学線およびコントラスト染料、アンチストリエーション剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤、光破壊性塩基などが挙げられる。このような任意成分である添加剤は、典型的にはフォトレジスト組成物中に半分未満の濃度で存在し得る。
【0052】
塩基材料、好ましくは光分解性カチオンのカルボキシレートまたはスルホネート塩を含むことにより、酸分解性基からの酸を中和するための機構を提供し、光発生した酸の拡散を制限し、それによってフォトレジストの改善されたコントラストを提供する。
【0053】
光破壊性塩基としては、光分解性カチオン、好ましくは弱酸(pKa>2)のアニオンと対になった酸発生剤化合物を調製するのに有用なもの、例えばC1−20カルボン酸が挙げられる。例示的なこうしたカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、コハク酸、シクロヘキシルカルボン酸、安息香酸、サリチル酸、およびその他のこうしたカルボン酸が挙げられる。
【0054】
代替的にまたは追加的に、他の添加剤としては、非光破壊性塩基であるクエンチャー、例えば水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミンおよびアミドに基づくものを挙げることができる。好ましくはこうしたクエンチャーとしては、C1−30有機アミン、イミン、もしくはアミドが挙げられ、または強塩基(例えばヒドロキシドまたはアルコキシド)または弱塩基(例えばカルボキシレート)のC1−30第四級アンモニウム塩であってもよい。例示的なクエンチャーとしては、アミン、例えばトリプロピルアミン、ドデシルアミン、1,1’,1’’−ニトリロトリプロパン−2−オール、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オール;アリールアミン、例えばジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノールおよび2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、トレーガー塩基、ヒンダードアミン、例えばジアザビシクロウンデセン(DBU)またはジアザビシクロノネン(DBN)、またはイオン性クエンチャー、例えば、第四級アルキルアンモニウム塩、例えばテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)またはテトラブチルアンモニウムラクテートが挙げられる。
【0055】
界面活性剤としては、フッ素化および非フッ素化界面活性剤が挙げられ、かつ好ましくは非イオン性である。例示的なフッ素化非イオン性界面活性剤としては、ペルフルオロC界面活性剤、例えば3M Corporationから入手可能なFC−4430およびFC−4432界面活性剤;およびフルオロジオール、例えばPOLYFOX PF−636、PF−6320、PF−656およびFC−6520フルオロ界面活性剤(Omnova製)が挙げられる。
【0056】
フォトレジストは好適には、フォトレジスト中に使用される成分を溶解、分配およびコーティングするのに一般に好適な溶媒をさらに含む。例示的な溶媒としては、アニソール、アルコール、例えば、エチルラクテート、1−メトキシ−2−プロパノール、および1−エトキシ−2プロパノールなど、エステル、例えば、n−ブチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、メトキシエトキシプロピオネート、エトキシエトキシプロピオネートなど、ケトン、例えば、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンなど、並びに前述の溶媒の少なくとも1種を含む組み合わせが挙げられる。
【0057】
こうしたフォトレジストは、固形分の全重量に基づいて50〜99重量%、具体的に55〜95重量%、より具体的には60〜90重量%、さらにより具体的には65〜90重量%の量のコポリマーを含んでいてもよい。光破壊性塩基は、固形分の全重量に基づいて0.01重量%〜5重量%、具体的に0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量でフォトレジストに存在してもよい。界面活性剤は、固形分の全重量に基づいて0.01重量%〜5重量%、具体的に0.1〜4重量%、さらにより具体的には0.2〜3重量%の量で含まれてもよい。クエンチャーは、固形分の全重量に基づいて0.03〜5重量%の比較的少量で含まれていてもよい。他の添加剤は、固形分の全重量に基づいて30重量%以下、具体的には20重量%以下、またはより具体的には10重量%以下の量で含まれてもよい。フォトレジスト組成物の全固形分含有量は、固形分および溶媒の全重量に基づいて、0.5〜50重量%、具体的には1〜45重量%、より具体的には2〜40重量%、さらにより具体的には5〜30重量%であってもよい。
【0058】
酸発生化合物は、レジストのコーティング層に潜像を作成するのに十分な量で存在すべきである。より詳細には、酸発生化合物は、典型的には、レジストの全固形分の約1〜60重量パーセントの量で存在し得る。フォトレジスト組成物におけるポリマー系酸発生剤および非ポリマー系酸発生剤の含有量は、好適には大きく変動することができ、典型的には、フォトレジストの酸発生剤成分の全含有量の少なくとも約2または5重量パーセントが、ポリマー系酸発生剤または非ポリマー系酸発生剤であり、より好適には、フォトレジストの酸発生剤成分の全含有量の少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55または60重量パーセントが、ポリマー系酸発生剤または非ポリマー系酸発生剤である。
【0059】
上で述べたように、好ましい態様において、相対的に高重量の非ポリマー系酸発生剤を使用することにより、形成されるレジストレリーフ像の優良なラインエッジラフネスおよびコントラストを含むリソグラフィー結果が向上させることができる。そのような態様において、非ポリマー系酸発生剤は、好適には、結合された酸発生剤を有するすべてのポリマーに対して、少なくとも約1、5、10、20、30、40、50または60重量パーセントの量で存在し得る。好ましくは、すべての非ポリマー系酸発生剤成分が、結合された酸発生剤を有するすべてのポリマーに対して5〜60重量パーセント、より好ましくは、10〜50重量パーセント、最も好ましくは、約15〜40重量パーセントの量で存在する。
【0060】
本明細書中で言及されるようなフォトレジストの固形分には、溶媒以外の、コポリマー、光分解性塩基、クエンチャー、界面活性剤、あらゆる加えられるPAG、およびあらゆる任意成分の添加剤が含まれることが理解されるであろう。
【0061】
コーティングされた基体は、レジストおよび酸発生剤化合物のコーティング層に潜像の発生を可能にするのに十分な量で存在すべき酸発生剤化合物を含有するフォトレジストから形成されてもよい。こうしたコーティングされた基体は(a)その表面上にパターン形成される1以上の層を有する基体、および(b)前記パターン形成される1以上の層上の、酸発生剤化合物を含むフォトレジスト組成物の層を含む。EUVまたはeビーム像形成のために、フォトレジストは、好適には酸発生剤化合物の相対的に高い含有量を有していてもよく、例えばこの2種以上の酸発生剤化合物は、レジストの全固形分の5から10〜約65重量パーセントを構成する。典型的には、光活性成分の量が少ないことは、化学増幅型レジストに好適であろう。
【0062】
本発明のフォトレジストは、本発明の1種以上の酸発生剤化合物が、こうしたフォトレジストの形成に使用される従来の光活性化合物と置き換えられる以外は、一般に、以下の既知の手順に従って調製される。本発明のフォトレジストは、既知の手順に従って使用できる。
【0063】
基体は、どのような寸法および形状であってもよく、好ましくはフォトリソグラフィに有用なものであり、例えばケイ素、二酸化ケイ素、シリコン−オン−インシュレーター(SOI)、ストレインドシリコン、ガリウムヒ素、コーティングされた基体、例えば、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化チタン、窒化タンタル、極薄ゲート酸化物、例えば酸化ハフニウムでコーティングされたものなど、金属または金属コーティングされた基体、例えば、チタン、タンタル、銅、アルミニウム、タングステン、それらの合金でコーティングされたものなど、並びにこれらの組み合わせである。好ましくは、本明細書の基体の表面は、例えば半導体製造のための基体上に1つ以上のゲートレベル層または他の限界寸法層をはじめとするパターン形成されるべき限界寸法層を含む。こうした基体は、好ましくはケイ素、SOI、ストレインドシリコン、および他のこうした基体材料、例えば直径20cm、30cmまたはそれより大きい寸法、またはウェハ製作製造に有用な他の寸法を有する円形ウェハとして形成されるものであってもよい。
【0064】
さらに、電子デバイスを形成する方法は、(a)基体の表面上にフォトレジスト組成物の層を適用し、(b)前記フォトレジスト組成物層を活性化放射線にパターン様露光し、および(c)露光されたフォトレジスト組成物層を現像して、レジストレリーフ像を提供することを含む。
【0065】
適用は、どのような好適な方法、例えば、スピンコーティング、噴霧コーティング、浸漬コーティング、ドクターブレーディングなどによって達成されてもよい。フォトレジストの層を適用することは、好ましくは、コーティングトラックを用いて、溶媒中のフォトレジストをスピンコーティングすることによって達成され、ここでフォトレジストは、回転するウェハ上に分配される。分配中、ウェハは、4,000rpmまで、好ましくは約500〜3,000rpm、より好ましくは1,000rpm〜2,500rpmの速度にて回転されてもよい。コーティングされたウェハは、回転されて溶媒を除去し、ホットプレートにてベークされ、フィルムから残留溶媒および自由体積を除去して、均一に稠密にする。
【0066】
次いでパターン様露光は、ステッパのような露光ツールを用いて行われ、ここでフィルムはパターンマスクを通して照射され、それによってパターン様に露光される。この方法は、好ましくは、極紫外線(EUV)またはeビーム放射線をはじめとする高解像度が可能な波長にて活性化放射線を発生させる先進的な露光ツールを使用する。活性化放射線を用いる露光は、露光された領域にてPAGを分解し、酸および分解副生成物を生じ、次いで酸は、ポリマー中の化学的変化をもたらすことが理解される(酸感受性基を脱ブロックし、塩基可溶性基を生じ、あるいは露光された領域において架橋反応を触媒する)。こうした露光ツールの解像度は30nm未満であってもよい。
【0067】
露光されたフォトレジスト層の現像は、次いでフィルムの露光された部分を選択的に除去できる好適な現像剤で、露光された層を処理して(フォトレジストがポジ型トーンである場合)またはフィルムの露光されていない部分を除去して(フォトレジストが露光された区域において架橋性である、すなわちネガ型トーン)達成される。好ましくはフォトレジストは、酸感受性(脱保護性)基を有するポリマーに基づくポジ型トーンであり、現像剤が、好ましくは金属−イオンフリーのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド溶液、例えば水性0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシドである。パターンは、現像によって生じる。
【0068】
さらに、ポジ型レジストに関して、未露光区域が、ネガ型トーンの現像のために好適な非極性溶媒での処理によって選択的に除去されうる。ポジ型フォトレジストのネガ型トーン現像のための好適な手順に関して、米国特許出願公開第2011/0294069号を参照のこと。ネガ型トーン現像のために典型的な非極性溶媒は、有機現像剤、例えばケトン、エステル、炭化水素、およびこれらのブレンドから選択される溶媒、例えばアセトン、2−ヘキサノン、メチルアセテート、ブチルアセテート、およびテトラヒドロフランである。
【0069】
フォトレジストは、1つ以上のこうしたパターン形成プロセスに使用される場合、電子および光電子デバイス、例えばメモリデバイス、プロセッサチップ(CPU)、グラフィックスチップ、および他のこうしたデバイスを製作するために使用されてもよい。
【実施例】
【0070】
実施例1〜18:酸発生剤化合物の合成
【0071】
実施例1:5−フェニル−5H−ジベンゾ[b,d]−チオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネートの合成
【0072】
【化22】
【0073】
5−フェニル−5H−ジベンゾ[b,d]−チオフェニウムブロミド(28.0g、82.04mmol)、3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネートナトリウム塩(35.68g、83.7mmol)をジクロロメタン(500mL)および水(500mL)に溶解し、室温で16時間撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×300mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×500mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して残留水をアセトニトリル(2×350mL)との共沸により除去し、標題化合物(54.00g、99%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.55(d,J=8Hz,2H),8.41(d,J=8Hz,2H),8.02(dt,J=7.5,0.5Hz,2H),7.77−7.84(m,5H),7.67(t,J=7.5Hz,2H),4.31(t,J=6.5Hz,2H),3.63(s,1OH),2.71(tt,J=14,6.5Hz,2H),1.52−1.80(m,12H)。
【0074】
実施例2:5−フェニル−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネートの合成
【0075】
【化23】
【0076】
5−フェニル−5H−ジベンゾ[b,d]−チオフェニウムブロミド(80.0g、234mmol)およびトリエチルアンモニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート(78.5g、238mmol)をHO(750mL)およびジクロロメタン(750mL)中に溶解し、室温で18時間撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×500mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(3×1L)で洗浄し、減圧下で濃縮して標題化合物(109g、95%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.56(dd,J=7.5,1Hz,2H),8.42(d,J=8Hz,2H),8.05(dt,J=8,1Hz,2H),7.77−7.87(m,5H),7.69(dt,J=8,1Hz,2H),6.14−6.16(m,1H),5.66−5.69(m,1H),4.75(dd,J=15,15Hz,2H),1.93−1.94(m,3H)。
【0077】
実施例3:1−エチルシクロペンチル2−ブロモアセテートの合成
【0078】
【化24】
【0079】
ピリジン(67.5g、0.854mol)を、エチルシクロプロパノール(75.0g、675mmol)の無水ジクロロメタン(750mL)の溶液に、N下、0℃で滴下し、5分間撹拌した。ジクロロメタン(75mL)中のブロモアセチルブロミド(172g、74.4mL、854mmol)を滴下し、この溶液を0℃で20時間撹拌した。ピリジニウムブロミドを濾過し、ジクロロメタン(2×300mL)で洗浄し、固体のビリジニウムブロミドを廃棄した。合わせた有機層を水(4×750mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗油をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(TEAで中和、1:0〜99:1のヘプタン:エチルアセテート)を介して精製した。濃縮後、油を濾過し、標題化合物(130g、84%)を淡橙色油として得た。NMR(500MHz,(CDSO)δ:3.93(s,2H),2.07−2.14(m,2H),2.00(q,J=7Hz,2H),1.59−1.77(m,4H),0.89(t,J=7Hz,3H)。
【0080】
実施例4:5−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミドの合成
【0081】
【化25】
【0082】
Eaton試薬(100mL)を、ジベンゾチオフェンオキシド(15.0g、74.9mmol)および2,6−ジメチルフェノール(9.15g、74.9mmol)のジクロロメタン(200mL)の溶液に、0℃で滴下した。反応を室温まで加温し、4時間撹拌し、次いで0℃に冷却し、水(200mL)を徐々に添加してクエンチし、反応温度を20℃未満に維持した。水相をエチルアセテート(3×100mL)で抽出し、水(50mL)中の臭化カリウム(17.9g、0.150mmol)を激しく撹拌しながら水層に添加した。スラリーを室温で1時間撹拌し、濾過し、水(3×200mL)、MTBE(3×200mL)で洗浄し、残渣を減圧下で乾燥させ、標題化合物(10.1g、35%)をオフホワイト色の固体として得た。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:9.77(brs,1OH),8.52(d,J=8.1Hz,2H),8.27(8.1Hz,2H),7.95(t,J=7.8Hz,2H),7.74(t,J=7.8Hz,2H),7.20(s,2H),2.12(s,6H)。
【0083】
実施例5:5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミドの合成
【0084】
【化26】
【0085】
1−エチルシクロペンチル2−ブロモアセテート(4.03g、17.1mmol、1.1当量)を、5−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(6.00g、15.6mmol)およびセシウムカーボネート(10.15g、31.1mmol、2当量)のジメチルホルムアミド(150mL)の溶液に、N下、0℃で滴下した。溶液を徐々に室温まで加温し、16時間撹拌した。反応ブレンドを水(400mL)およびジクロロメタン(400mL)で希釈した。有機層を分離させ、水層を、ジクロロメタン(4×150mL)で抽出した。合わせた有機層を水(2×300mL)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、濃縮し、残留DMF(約100mL)まで濃縮した。この非粘稠溶液を徐々にMTBE(700mL)に激しく撹拌しながら注いだ。沈殿物を濾過し、MTBE(3×200mL)で洗浄し、残渣を減圧下で乾燥させ、標題化合物(7.92g、94%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,d−DMSO)δ:8.51(d,J=8Hz,2H),8.32(d,J=7.5Hz,2H),7.96(t,J=7.5Hz,2H),7.75(t,J=7.5Hz,2H),7.31(s,2H),4.51(s,2H),2.21(s,6Hz),1.93−2.03(m,2H),1.92(q,J=7Hz,2H),1.49−1.69(m,6H),0.79(t,J=7Hz,3H)。
【0086】
実施例6:5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネートの合成
【0087】
【化27】
【0088】
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(2.00g、3.71mmol)およびナトリウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート(1.61g、3.78mmol)をジクロロメタン(100mL)および水(100mL)中に溶解し、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×100mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×200mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して残留水をアセトニトリル(2×200mL)との共沸により除去し、標題化合物(2.90g、91%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.52(d,J=8Hz,2H),8.34(d,J=8.5Hz,2H),8.01(t,J=7.5Hz,2H),7.08(d,J=7.5Hz,2H),7.51(s、2H),4.55(s,2H),4.32(t,J=6.5Hz,2H),3.60(brs,OH),2.72(tt,J=14.65Hz,2H),2.29(s,6H),2,12−2.20(m,2H),2.00(q,J=7Hz,2H),1.50−1.82(m,12H),0.84(t,J=7Hz,3H)。
【0089】
実施例7:5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム4−((4R)−4−((8R,9S,10S,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン1−スルホネートの合成
【0090】
【化28】
【0091】
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(4.20g、7.79mmol)およびナトリウム4−((4R)−4−((8R,9S,10S,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン1−スルホネート(4.78g、7.56mmol)をジクロロメタン(225mL)および水(225mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×250mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×250mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して残留水をアセトニトリル(2×250mL)との共沸により除去し、標題化合物(6.48g、80%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.53(d,J=8Hz,2H),8.37(d,J=8Hz,2H),8.04(t,J=7.5Hz,2H),7.85(t,J=7.5Hz,2H),7.52(s,2H),4.57(s,2H),4.32(t,J=7Hz,2H),3.06−3.17(m,3H),2.95(t,J=12.5Hz,1H),2.66−2.83(m,3H),2,2−2.54(m,8H),1.57−2.14(m,13H),1.48(s,3H),1.25−1.41(m,7H),1.90−1.12(m,6H),0.82−0.89(m,9H)。
【0092】
実施例8:5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネートの合成
【0093】
【化29】
【0094】
5−(4−(2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(20.0g,37.1mmol)およびトリエチルアンモニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート(1.1当量、40.8mmol、13.5g)をジクロロメタン(250mL)および水(250mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×250mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×250mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して残留水をアセトニトリル(2×250mL)との共沸により除去し、標題化合物(23.8g、93%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:8.53(d,J=7.8Hz,2H),8.36(d,J=7.8Hz,2H),8.04(t,J=7.5Hz,2H),7.83(t,J=7.8Hz,2H),7.51(visual s,2H),6.14−6.16(m,2H),5.66−5.69(m,2H),4.75(dd,J=15.6,15.6Hz,2H),4.57(s,2H),2.30(s,6H),2,03−2.11(m,2H),2.02(q,J−7.8Hz,2H),1.93−1.95(m,3H),1.55−1.6(m,6H),0.84(t,J=7.5Hz,3H)。
【0095】
実施例9:5−(5−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムヨージドの合成
【0096】
【化30】
【0097】
ジベンゾチオフェンオキシド(57g、285mmol)および4−メトキシ安息香酸(47.7g、314mmol、1.1当量)をジクロロメタン(400mL)中に懸濁させ、0℃に冷却し、ここでEaton試薬(285mL)を滴下した。この溶液が氷から取り出され、室温で一晩撹拌した。反応ブレンドを0℃に冷却して戻し、水(800mL)を徐々に添加しながらクエンチし、続いてエチルアセテート(500mL)を添加した。沈殿物を濾過し、層を分離させた。水層をエチルアセテート(2×500mL)で抽出し、合わせた有機層を水(500mL)で洗浄した。水(500mL)中のヨウ化ナトリウム(341.6g、2.28mmol、4当量)を、この合わせた水層に徐々に注いだ。追加の水を、粘稠油の沈澱が停止するまで徐々に添加した。粗油をアセトンから再結晶させ、標題化合物(72.0g、55%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz,(d−DMSO)δ:12.0−13.0(brs,1H),8.54(d,J=7.8Hz,2H),8.35(d,J=8.1Hz,2H),8.21(dd,J=8.7,2.1Hz,1H),7.99(t,J=7.8Hz,2H),7.79(t,J=7.8Hz,2H),7.51(d,J=8.7Hz,1H),7.44(d,J=2.1Hz,1H),4.08(s,3H)。
【0098】
実施例10:5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムヨージドの合成
【0099】
【化31】
【0100】
5−(5−カルボキシ−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムヨージド(40.7g、88.0mmol)およびセシウムカーボネート(39.1g、0.120mmol、1.5当量)をジメチルホルムアミド(500mL)中に懸濁させ、0℃に冷却し、ここで1−エチルシクロペンチル2−ブロモアセテート(22.8g、96.8mmol、1.1当量)を滴下した。反応系を氷から取り外し、4時間撹拌し、水(1L)で希釈し、ジクロロメタン(4×500mL)で抽出した。水層を廃棄した。合わせた有機層を水(3×500mL)で洗浄し、合わせた水性抽出物をジクロロメタン(2×400mL)で逆抽出した。合わせた有機層を残留ジメチルホルムアミドまで濃縮し、MTBE(1.75L)上に徐々に注ぎ、激しく撹拌して、沈殿物を形成し、これを濾過し、MTBE(2×500mL)で洗浄し、標題化合物(52.9g、97%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz,(CDCO)δ:8.52−8.59(m,4H),8.38(dd,J=8.7,2.1Hz,1H),8.05(t,J=8.1Hz,2H),7.96(d,J=2.1Hz,1H),7.85(t,J=8.1Hz,2H),7.60(d,J=8.1Hz,1H),4.75(s,2H),4.12(s,3H),2,02−2.12(m,2H),1.97(q,J=6.6Hz,2H),1.55−1.70(m,6H),0.86(t,J=6.6Hz,3H)。
【0101】
実施例11:5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート
【0102】
【化32】
【0103】
5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムヨージド(10.0g、16.2mmol)およびナトリウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート(7.26g、17.0mmol、1.05当量)をジクロロメタン(200mL)および水(200mL)中に溶解させ、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相を、ジクロロメタン(3×250mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(3×250mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、アセトニトリル(2×100mL)と共に共沸させ、標題化合物(13.3g、92%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.56(d,J=8Hz,2H),8.44(d,J=8Hz,2H),8.40(dd,J=9,2Hz,1H),8.06(t,J=8Hz,2H),7.99(d,J=2Hz,1H),7.86(t,J=8Hz,2H),7.60(d,J=9Hz,1H),4.76(s,2H),4.31(t,J=6.5Hz,2H),4.10(s,3H),3.56(s,1H),2.69(tt,J=18.5,7Hz,2H),2.01−2.07(m,2H),1.97(q,J=7.5Hz,2H),1.55−1.81(m,18H),0.86(t,J=7.5Hz,3H)。
【0104】
実施例12:5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム4−((4R)−4−((8R,9S,10S,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン1−スルホネートの合成
【0105】
【化33】
【0106】
5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムヨージド(5.00g、8.80mmol)およびナトリウム4−((4R)−4−((8R,9S,10S,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン1−スルホネート(5.84g、9.24mmol)をジクロロメタン(250mL)および水(250mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×250mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×250mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して残留水をアセトニトリル(2×250mL)との共沸により除去し、標題化合物(8.10g、84%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.56(d,J=7.5Hz,2H),8.44(d,J=8.5Hz,2H),8.40(dd,J=8.2Hz,1H),8.06(t,J=8Hz,2H),7.99(vis s,1H),7.86(t,J=8Hz,2H),7.60(d,J=8.5Hz,1H),4.75(s,2H),4.31(t,J=6.5Hz,2H),4.10(s,3H),3.06−3.17(m,2H),2.94(t,J=13Hz,1H),2.64−2.82(m,4H),2.20−2.52(m,7H),1.73−2.10(m,14H),1.55−1.69(m,7H),1.48(s,3H),1.28−1.39(m,5H),1.11(s,3H),0.83−0.89(m,6H)。
【0107】
実施例13:5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート
【0108】
【化34】
【0109】
5−(5−((2−(1−エチルシクロペンチルオキシ)−2−オキソエトキシ)カルボニル)−2−メトキシフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムヨージド(10.0g、16.2mmol)およびトリエチルアンモニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネート(5.64g、17.0mmol、1.05当量)をジクロロメタン(200mL)および水(200mL)中に溶解させ、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相を、ジクロロメタン(3×250mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(3×250mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、アセトニトリル(2×100mL)と共に共沸させ、標題化合物(10.1g、86%)を白色の含水固体として得た。H NMR(300MHz,(d−DMSO)δ:8.52(d,J=7.8Hz,2H),8.35(d,J=7.8Hz,2H),8.27(dd,J=8.1,2.1Hz,1H),7.98(t,J=7.8Hz,2H),7.78(t,J=7.8Hz,2H),7.55(d,J=2.1Hz,1H),7.54(d,J=7.8Hz,1H),6.09−6.13(m,1H),5.76−5.79(m,1H),4.74(s,2H),4.62(dd,J=15.6,15.6Hz,2H),4.05(s,3H),1.83−1.98(m,7H),1.45−1.65(m,6H),0.79(t,J=6.6Hz,3H)。
【0110】
実施例14:2−フェニルプロパン−2−イル2−ブロモアセテート
【0111】
【化35】
【0112】
ピリジン(3.84mL、47.7mol)、続いてブロモアセチルブロミド(4.16mL、47.7mmol)を、2−フェニルプロパン−2−オール(5.00g、36.7mmol)のジクロロメタン(100mL)溶液に、0℃にて添加し、室温に加温し、一晩撹拌した。反応ブレンドを、水(3×100mL)、飽和水性重炭酸ナトリウム(3×100mL)、水(2×100mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。粗残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィ(TEAで中和,ヘプタン)によって精製し、標題化合物(2.8g(最適化されていない)、30%)を無色の油として得た。H NMR(300MHz,((CDCO)δ:7.44(d,J=7.2Hz,2H),7.34(t,J=7.2Hz,2H),7.25(t,J=7.2Hz,1H),4.01(s,2H),1.78(s,6H)。
【0113】
実施例15:5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド
【0114】
【化36】
【0115】
2−フェニルプロパン−2−イル2−ブロモアセテート(1.96g、7.63mmol)を、5−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]−チオフェニウムヨージド(3.00g、6.94mmol)およびセシウムカーボネート(2.94g、9.02mmol)のDMF(40mL)の溶液に0℃で添加し、室温まで加温し、一晩撹拌した。反応ブレンドを水(200mL)で希釈し、DCM(3×200mL)で洗浄した。有機層を水(3×300mL)で洗浄し、濃縮し、MTBE上に注いだ。沈殿物を濾過し、乾燥して標題化合物(3.80g、97%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz,((CDSO)δ:8.52(d,J=7.5Hz,2H),8.33(d,J=7.5Hz,2H),7.96(t,J=7.2Hz,2H),7.5(d,J=7.9Hz,2H),7.20−7.39(m,5H),4.61(s,2H),2.19(s,6H),1.71(s,6H)。
【0116】
実施例16:5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート
【0117】
【化37】
【0118】
5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(1.8g、3.21mmol)およびナトリウム3−ヒドロキシアダマンタン−アセトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネート(1.44g、3.37mmol)をジクロロメタン(100mL)および水(100mL)中に溶解させ、室温にて一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×100mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(6×200mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、標題化合物(2.44g、86%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,((CDSO)δ:8.53(d,J=8Hz,2H),8.35(d,J=8Hz,2H),8.03(t,J=7Hz,2H),7.83(d,J=8Hz,2H),7.51(s,2H),7.40(d,J=8Hz,2H),7.31(dt,J=8,0.5Hz,2H),7.24(dt,J=7.5,1Hz,1H),4.65(s,2H),4.31(t,J=6.5Hz,2H),2.80−2.82(m,2H),2.65(tt,J=14,6.5Hz,2H),2.29(s,6H),1.72−1.81(m,10H),1.65−1.67(m,4H),1.56−1.59(m,2H)。
【0119】
実施例17:5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム4−((4R)−4−((8R,9S,10S,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン−1−スルホネートの合成
【0120】
【化38】
【0121】
5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(1.8g、3.21mmol)およびナトリウム4−((4R)−4−((8R,9S,10S,13R,14S,17R)−10,13−ジメチル−3,7,12−トリオキソヘキサデカヒドロ−1H−シクロペンタ[a]フェナントレン−17−イル)ペンタノイルオキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロブタン1−スルホネート(2.13g、3.37mmol)をジクロロメタン(50mL)および水(50mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×50mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×100mL)で洗浄し、減圧下で濃縮して残留水をアセトニトリル(2×100mL)との共沸により除去し、標題化合物(2.77g、79%)を白色固体として得た。H NMR(500MHz,(CDCO)δ:8.53(d,J=8Hz,2H),8.35(d,J=8Hz,2H),8.04(t,J=7.5Hz,2H),7.83(t,J=7.5Hz,2H),7.50(s,2H),7.40(d,J=8Hz,2H),7.31(t,J=8Hz,2H),7.24(t,J=8Hz,1H),4.65(s,2H),4.32(t,J=6.5Hz,2H),3.05−3.17(m,2H),2.94(t,J=12.5Hz,1H),2.64−2.82(m,5H),2.21−2.53(m,12H),1.72−2.10(m,17H),1.56−1.65(m,1H),1.47(s,3H),1.28−1.38(m,5H),1.10(s,3H),0.83−0.87(m,3H)。
【0122】
実施例18:5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホネートの合成
【0123】
【化39】
【0124】
5−(3,5−ジメチル−4−(2−オキソ−2−(2−フェニルプロパン−2−イルオキシ)エトキシ)フェニル)−5H−ジベンゾ[b,d]チオフェニウムブロミド(7.00g、12.5mmol)およびトリエチルアンモニウム1,1−ジフルオロ−2−(メタアクリロイルオキシ)エタンスルホネート(4.21g、12.7mmol)をジクロロメタン(100mL)および水(100mL)中に溶解させ、室温にて一晩撹拌した。ジクロロメタン層を分離させ、水相をジクロロメタン(3×100mL)で洗浄した。合わせた有機層を水(4×100mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、残留水をアセトニトリル(2×100mL)と共に共沸により除去し、標題化合物(7.07g、80%)を白色固体として得た。H NMR(300MHz,(CDCO)δ8.53(d,J=7.8Hz,2H),8.37(d,J=7.8Hz,2H),8.03(t,J=7.8Hz,2H),7.82(t,J=7.8Hz,2H),7.52(s,2H),7.40(d,J=8.1Hz,2H),7.32(t,J=8.1Hz,2H),7.26(t,J=8.1Hz,1H),6.12−6.19(m,1H),5.68−5.71(m,1H),4.76(t,J=15.6Hz,2H),4.66(s,2H),2.28(s,6H),1.94(s,3H),1.77(s,6H)。
【0125】
実施例19:酸発生剤単位を有するポリマーの調製
ヒール溶液は、2−フェニルプロパン−2−イルメタクリレート(0.39g)、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルメタクリレート(0.33g)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリレート(0.57g)および実施例8のモノマー(0.31g)を、12.81gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2/1 v/v)に溶解させることによって製造された。フィード溶液は、2−フェニルプロパン−2−イルメタクリレート(185.54g、0.967mol)、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルメタクリレート(204.27、1.26mol)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒロドキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリレート(127.98g、0.29mol)および実施例8のモノマー(81.5g、0.132mol)を606gのエチルラクテート:γ−ブチルラクトン(30/70v/v)中に溶解させることによって調製された。開始剤溶液は、65.96gの開始剤(V−65)を66gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2/1v/v)中に溶解させることによって調製した。重合を、水冷却器およびフラスコ中の反応をモニターするための温度計を備えた2Lの3ッ口丸底フラスコにて行った。内容物をオーバーヘッド攪拌機を用いて撹拌した。反応器に、ヒール溶液を充填し、内容物を75℃で加熱した。フィード溶液および開始剤溶液をシリンジポンプを用いて4時間の期間にわたって反応器に供給した。次いで内容物をさらに2時間撹拌し、それによって反応をヒドロキノン(2.0g)を用いてクエンチした。内容物を室温まで冷却し、10×(重量による)のIPE/MeOH95/5(w/w)から2回沈澱させた。得られたポリマーを各沈澱工程の後に減圧下、50℃で24時間乾燥させ、500gのポリマーを得た。
【0126】
実施例20:酸発生剤単位を有するポリマーのさらなる調製
実施例8のモノマーの代わりに実施例2のモノマーを用いることを使用した以外、ポリマーの調製において、実施例19で使用されたのと同じプロセスを使用した。
【0127】
実施例21:酸発生剤単位を有するポリマーのさらなる調製
実施例8のモノマーの代わりに、実施例13のモノマーを用いることを使用した以外、ポリマーの調製において、実施例19で使用されたのと同じプロセスを使用した。
【0128】
実施例22:酸発生剤単位を有するポリマーの調製
ヒール溶液は、2−フェニルプロパン−2−イルメタクリレート(1.94g)、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルメタクリレート(1.7g)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒドロキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリレート(2.81g)を、72gのエチルラクテート:γ−ブチルラクトン(30/70v/v)中に溶解させることによって製造された。フィード溶液は、2−フェニルプロパン−2−イルメタクリレート(33.08g)、2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルメタクリレート(35.97)、3,5−ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−ヒロドキシプロパン−2−イル)シクロヘキシルメタクリレート(23.91g)を、94gのエチルラクテート:γ−ブチルラクトン(30/70v/v)中に溶解させることによって調製された。開始剤溶液は、11gの開始剤(V−65)を11gのアセトニトリル/テトラヒドロフラン(2/1v/v)中に溶解させることによって調製した。重合を、水冷却器およびフラスコ中の反応をモニターするための温度計を備えた2Lの3ッ口丸底フラスコにて行った。内容物をオーバーヘッド攪拌機を用いて撹拌した。反応器にヒール溶液を充填し、内容物を75℃に加熱した。フィード溶液および開始剤溶液をシリンジポンプを用いて4時間の期間にわたって反応器に供給した。次いで内容物をさらに2時間撹拌し、それによって反応をヒドロキノン(1.0g)を用いてクエンチした。内容物を室温まで冷却し、10×(重量による)のIPE/MeOH95/5(w/w)から2回沈澱させた。得られたポリマーを各沈澱工程の後に減圧下、50℃で24時間乾燥させ、100gのポリマーを得た。
【0129】
実施例23:フォトレジスト組成物の調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例20のポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液21.088g、上記実施例1の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液18.979g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル)テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液1.898g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.422g、47.342gのエチルラクテートおよび29.250gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0130】
実施例24:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例19からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液24.038g、上記実施例6の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液40.865gの、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液5.288gの、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.481gの、21.302gのエチルラクテートおよび38.025gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0131】
実施例25:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例19からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液6.997g、上記実施例6の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液11.889g、1,1’,1’’−ニトリロトリプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液9.232gの、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.140g、0.041gのエチルラクテートおよび11.705gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0132】
実施例26:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例19からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液4.757g、上記実施例7の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液10.021g、1,1’,1’’−ニトリロトリプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液6.279g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.095g、0.060gのエチルラクテートおよび8.788gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0133】
実施例27:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例19からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液8.012g、上記実施例11の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液9.690gの、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.833g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.160gの、9.604gのエチルラクテートおよび11.700gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0134】
実施例28:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例21からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液4.815g、上記実施例11の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液13.002g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液1.589g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.096g、1.723gのエチルラクテートおよび8.775gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0135】
実施例29:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例19からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液5.198g、上記実施例17の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液11.173g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液1.247g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.104g、3.503gのエチルラクテートおよび8.775gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0136】
実施例30:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例19からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液4.938g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.148g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.099g、15.964gのエチルラクテートおよび8.852gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0137】
実施例31:フォトレジスト組成物のさらなる調製および処理
ポジ型トーンフォトレジスト組成物は、実施例22からのポリマーのエチルラクテート中の10重量%溶液19.979g、上記実施例6の酸発生剤化合物のエチルラクテート中の2重量%溶液42.755g、1,1’,1’’,1’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル))テトラプロパン−2−オールのエチルラクテート中の0.5重量%溶液3.996g、フッ素化界面活性剤(OmnovaPF656)のエチルラクテート中の0.5重量%溶液0.400g、21.233gのエチルラクテートおよび36.638gの2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステルを一緒にすることによって調製された。配合されたレジストは、0.01μmPTFEフィルターを通された。こうして調製されたレジストは、シリコンウェハ上にスピンコーティングされ、ソフトベークされて、キャリア溶媒を除去し、フォトマスクを通してEUV放射線に露光される。次いで像形成されたレジスト層は、110℃で60秒間ベークされ、次いで水性アルカリ性組成物で現像される。
【0138】
実施例32:LWR分析
上に記載されたフォトレジスト組成物の現像されたレリーフ像は、ライン幅ラフネス(LWR)について評価され、その結果を以下の表1に示す。LWR値は、800ボルト(V)の加速電圧、8.0ピコアンペア(pA)のプローブ電流にて操作し、1.0デジタルズームで200K×倍率を用いて、64に設定されたフレーム数を用いてHitachi9380CD−SEMを用いるトップダウン型走査電子顕微鏡観察(SEM)によって決定された。LWRは、40nmのステップにて2μmのライン長さにわたって測定され、測定された領域について平均LWRとして報告された。
【0139】
【表1】