(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接触ステップ(a)の前に、前記グリアジン融合タンパク質を組織トランスグルタミナーゼ(tTG)と接触させて、前記グリアジン融合タンパク質と前記tTGの間に少なくとも1つの共有結合を形成させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0016】
I.定義
本明細書で用いられる時、用語「接触させる」とは、反応できるように少なくとも2つの異なる種を接触させる過程をいう。結果として生じた反応生成物は、加えた試薬間の反応から直接に又は反応混合物中で生成できる1以上の加えた試薬の中間体から生成されたものである。
【0017】
本明細書で用いられる時、用語「体液」とは哺乳類の流体を意味し、限定されないが例として房水、胆汁、血液及び血漿、母乳、間質液、リンパ、粘液、胸膜液、膿、唾液、血清、汗、涙、尿、脳脊髄液、滑液又は細胞内液が挙げられる。他の体液も本発明において有用であることが、当業者に理解される。
【0018】
本明細書で用いられる時、用語「架橋剤」とは、2つの別個の成分を結合することができる二官能性又は多機能性の化学的又は生物学的成分を意味する。本発明において有用な架橋剤の例を後述する。
【0019】
本明細書で用いられる時、「抗体」には、特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子への言及が含まれ、それらとしてはポリクローナル及びモノクローナル抗体が挙げられる。用語には、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)及びヘテロ共役抗体(例えば、二重特異性抗体)等の遺伝子操作された形式も含まれる。用語「抗体」には、抗原結合性の形での抗体が含まれ、抗原結合能力を有する断片が含まれる。(例えば、Fab', F(ab')
2, Fab, Fv and rIgG. Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, IL)も参照。例えば、Kuby, J., Immunology, 3
rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York (1998)も参照。用語は組換え一本鎖Fv断片(scFv)も意味する。用語である抗体には、二価又二重特異性分子、ジアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)、テトラボディ(tetrabodies)をも包含される。二価又二重特異性分子は、例えばKostelny他(1992)J Immunol 148:1547, Pack and Pluckthun (1992) Biochemistry 31:1579, Hollinger他, 1993, 前掲, Gruber他、(1994) J Immunol :5368, Zhu他 (1997) Protein Sci 6:781, Hu他 (1996) Cancer Res. 56:3055, Adams他 (1993) Cancer Res. 53:4026及びMcCartney 他 (1995) Protein Eng. 8:301.で発表されている。
【0020】
特定の抗原と免疫学的に反応性である抗体は、ファージ又は同様のベクター中の組換え抗体のライブラリーの選択等の組換え方法(例えばHuse他, Science 246:1275-1281 (1989); Ward他, Nature 341:544-546 (1989);及びVaughan他, Nature Biotech. 14:309-314 (1996)を参照)により、又は抗原もしくは抗原をコードするDNAを用いて動物を免疫処置することにより産生できる。
【0021】
典型的には、免疫グロブリンは重鎖及び軽鎖を有する。各重鎖及び軽鎖は定常領域及び可変領域を含む(領域は「ドメイン」としても知られている)。軽鎖及び重鎖は、「相補性決定領域」又は「CDRs」とも呼ばれる、3つの超可変領域により中断された「フレームワーク」領域を含む。フレームワーク領域及びCDRsの範囲は定義されている。種において、異なる軽鎖又は重鎖のフレームワーク領域の配列は比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、即ち構成的な軽鎖と重鎖の結合したフレームワーク領域は、三次元空間においてCDRsを位置づけ及び整列するのに役立つ。
【0022】
CDRsは主に抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRsは典型的にCDR1、CDR2及びCDR3と称され、N末端から順番に番号が付され、特定のCDRが位置する鎖によって典型的に同定される。このため、V
H CDR3は、それが見つけられる抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、V
L CDRlは、それが見つけられる抗体の軽鎖の可変ドメインからのCDRlである。
【0023】
「V
H」又は「VH」への言及は、Fv、scFv又はFabの重鎖を含む抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を意味する。 「V
L」又は「VL」への言及は、Fv、scFv、dsFv又はFabの軽鎖を含む免疫グロブリン軽鎖の可変領域を意味する。
【0024】
「一本鎖」又は「scFv」の語句は、従来の二本鎖抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域が結合して1つの鎖を形成している抗体を意味する。通常は、二本鎖の間にリンカーペプチドが挿入され、適切なフォールディング及び活性結合部位の構築を可能にしている。
【0025】
「キメラ抗体」とは、(a)抗原結合部位(可変領域)が異なる又は変化したクラスの定常領域に、エフェクター機能に及び/又は種に、又は例えば、酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬等の新しい性質をキメラ抗体に与える完全に異なる分子に結合するように、定常領域又はその部分が変化、置換又は交換された;(b)可変領域又はその部分が変化、置換又は異なる又は変化した抗原特異性を有する可変領域と交換された、免疫グロブリン分子である。
【0026】
「ヒト化抗体」とは、非ヒト免疫グロブリンから由来する最小配列を含む免疫グロブリン分子である。ヒト化抗体には受け手の相補性決定領域(CDR)の残基が所望の特異性、親和性及び容量を有するマウス、ラット又はウサギ等の非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基により置換されたヒト免疫グロブリン(受容体抗体)が含まれる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基が対応する非ヒト残基によって置換される。ヒト化抗体は、受容体抗体又はインポートされたCDR又はフレームワーク配列中に見つからない残基を含んでいてもよい。一般的に、ヒト化ドメインは実質的に全ての可変領域のうち少なくとも1及び一般的に2つを含み、全て又は実質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのそれらと対応し、全て又は実質的に全てのフレームワーク(FR)領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のそれらである。好ましくは、ヒト化抗体は免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、一般的にはヒト免疫グロブリンのそれである(Jones他, Nature 321:522-525 (1986); Riechmann他, Nature 332:323-3279(1988);及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992))。齧歯動物CDRs又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置き換える、Winter及び共同研究者の方法(Jones他, Nature 321:522-525 (1986); Riechmann他, Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen他, Science 239:1534-1536 (1988))を用いてヒト化が基本的に行われる。よって、このようなヒト化抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、ここで実質的により少ない無傷ヒト可変領域が非ヒト種からの対応する配列に置き換えられている。
【0027】
「エピトープ」又は「抗原決定基」とは、抗体が結合する抗原上の部位を意味する。タンパク質の三次フォールディングにより並置された隣接アミノ酸又は非隣接アミノ酸の両方からエピトープを形成することができる。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは典型的に、変性溶媒に暴露しても保持されるが、三次フォールディングにより形成されたエピトープは典型的に、変性溶媒を用いた処理により失われる。典型的にエピトープは少なくとも2個、更に一般的には少なくとも5個又は8〜10個のアミノ酸を固有の空間配座中に含む。エピトープの空間配座を決定する方法として、例えば、X線結晶学及び二次元核磁気共鳴が上げられる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, Glenn E. Morris, Ed (1996)を参照。
【0028】
本明細書で用いられる時、用語「被験者」とは霊長類(例えば、ヒト)、乳牛、羊、ヤギ、馬、犬、猫、ウサギ、ラット、マウス等を含む哺乳類等の動物を意味する。
【0029】
本明細書で用いられる時、用語「固定」とは、共有結合形成、イオン結合形成、水素結合、双極子間相互作用又はファン・デル・ワールス相互作用を介したtTG、グリアジン融合タンパク質又はtTG−グリアジン融合タンパク質複合体と固相支持物質との会合を意味する。固定は一時的又は永久的なものとすることができる。
【0030】
本明細書で用いられる時、用語「抗原」とは、抗体産生による等の免疫応答を刺激することのできる分子を意味する。本発明の抗原には、固相支持体固定グリアジン融合タンパク質及び固相支持体固定tTG-グリアジン融合タンパク質複合体が含まれる。本発明のグリアジン融合タンパク質には、組換え脱アミドグリアジン及びグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)タンパク質等のタグの両方を含むことができる。
【0031】
本明細書で用いられる時、用語「バッファー」とは、pHの変化に耐え、所望の度合いでpHを維持する任意の無機又は有機酸又は塩基を意味する。本発明に有用な緩衝剤として、限定されないが、水酸化ナトリウム、無水リン酸水素二ナトリウム及びそれらの混合物が挙げられる。他の緩衝剤も本発明において有用であることが、当業者に理解される。
【0032】
本明細書で用いられる時、用語「組織トランスグルタミナーゼ(tTG)」とは、リジン残基のアミノ基及びグルタミン残基のカルボキサミド基間のタンパク質を架橋するトランスグルタミナーゼファミリーの酵素を意味する。これにより分子間又は分子内結合が生成される。セリアック病を検出するためにtTGを用いることができる。
【0033】
本明細書で用いられる時、用語「グリアジン融合タンパク質」とは、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)等のタグに結合されたグリアジンタンパク質を意味する。グリアジンタンパク質には、数ある中で組換えグリアジンタンパク質又は合成グリアジンタンパク質が含まれる。通常、タグは、精製、可溶化、クロマトグラフィーのための親和性タグ、エピトープタグ、蛍光タグ及びその他に用いることができる他のタンパク質又は化合物である。本発明において有用なタグとして、限定されないが、BCCP、c-myc-タグ、カルモジュリン-タグ、FLAG-タグ、HA-タグ、His-タグ、マルトース結合タンパク質-タグ、Nus-タグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ-タグ、緑色蛍光タンパク質-タグ、チオレドキシン-タグ、S-タグ、Streptag II、HA-タグ、Softag 1、Softag 3、T7-タグ、エラスチン様ペプチド、キチン結合ドメイン及びキシラナーゼ 1OAが挙げられる。他のタンパク質も本発明の融合タンパク質において有用であることは、当業者に理解されよう。
【0034】
本明細書で用いられる時、用語「tTG-グリアジン融合タンパク質複合体」とは、tTGとグリアジン融合タンパク質が一緒に結合された時に形成される複合体を意味する。様々な反応の下、様々な方法でtTGとグリアジン融合タンパク質が結合できる。tTGはタグ及びグリアジン融合タンパク質の組換え脱アミドグリアジンの両方又はいずれか一方に結合することができる。
【0035】
本明細書で用いられる時、用語「組換え脱アミドグリアジン」とは、遺伝子操作を介して作製された脱アミドグリアジンタンパク質を意味する。脱アミドタンパク質は、グルタミンからグルタミン酸への変換等、遊離アミド基のいくつか又は全てがカルボン酸へ加水分解されたものである。本発明において有用な組換え脱アミドグリアジンは、配列番号1又は配列番号2に対して少なくとも75%の配列同一性を有する。
【0036】
本明細書で用いられる時、用語「架橋」とは、2つの異なる化学成分の間の1以上の結合の形成を意味する。本発明において、化学的成分は、タンパク質、酵素、抗体等の生物学的種又は固相支持体物質であることができる。架橋された各化学成分を連結する化学官能性を「架橋剤」と呼ぶ。通常、架橋剤は、1つの化学成分上で1つの反応性官能基と、他の化学成分上で1つの反応性官能基と反応し、それによって2つの化学成分を互いに結合する二官能性化合物である。架橋剤は、ホモ二官能性架橋剤又はヘテロ二官能性架橋剤とすることができる。ホモ二官能性架橋剤は、各化学成分と反応するホモ二官能性架橋剤の官能基が同じである。ヘテロ二官能性架橋剤は、各化学成分と反応するヘテロ二官能性架橋剤の官能基が異なる。本発明の好ましいホモ二官能性及びヘテロ二官能性架橋剤について、以下に詳細に説明する。
【0037】
本明細書で用いられる時、2以上の核酸又はポリペプチド配列との関係において、用語「同一」又は%「同一性」とは、比較ウィンドウ又は次の配列比較アルゴリズムの1つ用いて又は手動アラインメント及び外観検査によって測定された指定領域上で最大一致となるよう比較及び整列された場合の、同じ又は同じアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定の%を有する2以上の配列又は部分配列を意味する(即ち60%同一性、好ましくは特定の領域において65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性)。このような配列は「実質的に同一」であるという。この定義は試験配列の相補鎖についても用いられる。
【0038】
2つの核酸又はポリペプチドとの関係において、語句「実質的に同一」とは、参照配列に対して少なくとも40%の配列同一性を有する配列又は部分配列を意味する。あるいは、%同一性を40%から100%のうちの任意の整数とすることができる。更に好ましい実施形態において、ここで記載されるプログラムを用いて参照配列と比較して少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%を含む。以下に記載するように標準パラメーターを用いたBLASTが好ましい。
【0039】
配列比較のために、典型的には、1つの配列が試験配列と比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを用いた場合、試験及び参照配列がコンピューターに入力され、必要である場合に部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメーターが指定される。デフォルトプログラムパラメーターを用いることができ、又は他のパラメーターを指定することができる。そして、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメーターを基にして、参照配列と比較した試験配列のパーセント配列同一性を計算する。核酸及びタンパク質の配列比較のために、以下に説明するBLAST及びBLAST2.0アルゴリズム及びデフォルトパラメーターが用いられる。
【0040】
%配列同一性及び配列同一性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例として、Altschul他, Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1977)及びAltschul他, J. MoI. Biol. 215:403-410 (1990)にそれぞれ記載されたBLAST及びBLAST2.0アルゴリズムが挙げられる。本発明の核酸及びタンパク質の%配列同一性を決定するために、ここで記載されたパラメーターを用いたBLAST及びBLAST2.0が用いられる。全米バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて、BLAST分析を実行するソフトウェアが公的に入手可能である。このアルゴリズムは最初に、データベース中の同じ長さのワードと整列した場合にいくつかの正の値の閾値スコア(positive-valued threshold score)と一致するか又は満たす、問い合わせ配列中の長さがWの短いワードを同定することによって、高スコア配列ペア(HSPs; high scoring sequence pairs)を同定する。Tは近傍ワードスコア閾値を意味する(Altschul他、前掲)。これら最初の近傍ワードヒットは、それらを含むより長いHSPを見つける検索を開始するためのシードとして作用する。このワードヒットは、累積アライメントスコアを増加させることができる限り、各配列に沿って両方向に伸ばされる。累積スコアは、ヌクレオチド配列については、パラメータM(一対の一致残基に対する報酬スコア;常に>0)及びN(不一致残基に対する罰則スコア;常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列については、スコア行列を用いて累積スコアを計算する。累積アライメントスコアが最高到達値から数量Xだけ低下した場合;負のスコアを有する残基アライメントが1つ以上累積したことにより累積スコアが0以下になった場合;又はいずれかの配列の最後に達した場合には、各方向におけるワードヒットの伸長が停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXにより、アライメントの感度および速度が決定づけられる。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)は、既定値として、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、ワード長3及び期待値(E)10を既定値として用い、BLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 (1989)を参照)は、アライメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両鎖の比較を既定値として用いる。
【0041】
BLASTアルゴリズムは2つの配列間の類似性の統計分析も実行する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性に関する1つの測定値が、最小総和確率(P(N))であって、これは2つのヌクレオチド若しくはアミノ酸配列間のマッチが偶然生じたものである確率の指標を提供する。例えば、試験核酸と参照核酸の比較における最小総和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、更に好ましくは約0.001未満である場合、核酸は参照配列に類似していると考えられる。
【0042】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であるとの指標は、以下に記載するように、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、第2の核酸によりコードされるポリペプチドに対して産生された抗体と免疫学的に交差反応性であることである。このため、ポリペプチドは通常、例えば、2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるとの他の指標は、緊縮条件の下で2つの分子又はそれらの相補鎖が互いにハイブリッド形成することである。2つの核酸配列が実質的に同一であるとの更に他の指標は、配列を増幅するのに同じプライマーを用いることができることである。
【0043】
本明細書で用いられる時、用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は同意語として用いられ、5′から3′末端まで読みとったデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本又は二本鎖ポリマーを意味する。例えば、ホスホルアミデート、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート又は0-メチルホスホロアミダイト結合(Eckstein, Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, Oxford University Pressを参照);並びにペプチド核酸骨格及び連結を含む代替の骨格を有し得る核酸類似体を時には用いてもよいが、本発明の核酸は一般的にリン酸ジエステル結合を含む。他の核酸類似体には、正骨格;非イオン性骨格及び非リボース骨格が含まれる。このため、核酸又はポリヌクレオチドはポリメラーゼによる正しい読み取りを可能とする修飾されたヌクレオチドも含んでよい。「ポリヌクレオチド配列」又は「核酸配列」には、核酸のセンス鎖とアンチセンス鎖の両方が個々の一本鎖として又は二重鎖の中に含まれる。当業者に理解されるように、一本鎖の説明によって相補鎖の配列もが定義され、このためここで記載される配列は対応する配列も提供する。他に示されない限り、特定の核酸配列は黙示的にその変異体(例えば、縮重コドン置換)、相補配列及び明確に示された配列を包含する。核酸は、DNA、ゲノムDNAとcDNAの両方、RNA又はハイブリッドでもよく、ここで核酸はデオキシリボ及びリボヌクレオチドの組み合わせ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニン等の塩基の組み合わせを含んでいてもよい。
【0044】
本明細書で用いられる時、語句「〜をコードする核酸配列」とは、rRNA、tRNA等の構造的RNAの配列情報又は特異タンパク質もしくはペプチドの一次アミノ酸配列の配列情報、並びにトランス作用調節剤の結合部位の配列情報を含む核酸を意味する。この語句は天然配列又は特定の宿主細胞におけるコドン選択と一致するように導入された配列の縮重コドン(即ち、単一のアミノ酸をコードする異なるコドン)を特に包含する。
【0045】
本明細書で用いられる時、用語「特異的に結合」とは、セリアック病の存在を表示する抗体による本発明の抗原の捕捉又は取り込みを意味する。
【0046】
II. 抗原
本発明はセリアック病を検出するための抗原及び方法を提供する。抗原には固相支持体物質上に固定されたグリアジン融合タンパク質が含まれる。グリアジン融合タンパク質には組換え脱アミドグリアジン及びタグの両方が含まれる。任意に抗原は組織トランスグルタミナーゼ(tTG)を含むことができる。存在する場合、tTG-グリアジン融合タンパク質複合体を形成するために、固相支持体に固定される前に、例えばアミノ基転移を通してグリアジン融合タンパク質とtTGとを共有結合することができる。固相支持体にtTG-グリアジン融合タンパク質を固定した後に、好適な架橋剤を用いてグリアジン融合タンパク質とtTGとを架橋することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、本発明はセリアック病を検出するための抗原を提供する。本発明の抗原には、後述する固相支持体に結合したグリアジン融合タンパク質が含まれる。
【0048】
A. グリアジン融合タンパク質
本発明において有用なグリアジン融合タンパク質は、組換え脱アミドグリアジンとタグを含む。多くの組換えグリアジンタンパク質が本発明の方法において有用であることが、当業者に認識される。いくつかの実施形態において、組換えグリアジンタンパク質はD2(Aleanzi他, Clin Chem 2001, 47 (11), 2023)、ペプチド配列:QPEQPQQSFPEQERPF(配列番号:1)を含むことができる。組換えグリアジンタンパク質は以下の式で表されるD2の変異体をも含むことができる:
X
1PX
2X
3PX
4X
5SFPX
6X
7X
8RPF
ここで、各Xはグルタミン(Q)又はグルタミン酸(E)のいずれかであって、少なくとも1つのXはグルタミンであり、少なくとも1つのXはグルタミン酸である(配列番号:6)。本発明の組換えグリアジンタンパク質は、GGGGS等のいかなる好適なスペーサーで分離されているD2又はその変異体の二量体又は三量体とすることもできる(配列番号:7)。本発明において他のスペーサーも有用であることが当業者に理解される。
【0049】
いくつかの実施形態において、組換え脱アミドグリアジンはD2二量体である。他の実施形態において、組換え脱アミドグリアジンタンパク質はD2三量体である(配列番号:2)。他のいくつかの実施形態において、本発明は、配列番号:1又は配列番号2のポリペプチドをコードする任意のヌクレオチド配列を提供する。本発明の組換え脱アミドグリアジンタンパク質は抗脱アミドグリアジン抗体に結合し、このためセリアック病等のグルテンに関連する障害を罹患している被験者を同定することができる。本発明において他の組換え脱アミドグリアジンタンパク質も有用であることが、当業者に理解される。
【0050】
グリアジン融合タンパク質にはタグも含まれる。当該技術分野において知られているいかなるタグも、本発明のグリアジン融合タンパク質において有用である。本発明の抗原に好適なタグとして、限定されないが、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、His-タグ、FLAG、 Streptag II、 HA-タグ、Softag 1、Softag 3、 c-myc、T7-タグ、S-タグ、エラスチン様ペプチド、キチン結合ドメイン、チオレドキシン、キシラナーゼ 1OA、マルトース結合タンパク質及びNusAが挙げられる。本発明において他のタグが有用であることが、当業者に理解される。
【0051】
他の実施形態において、タグはグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)タンパク質である。GSTタンパク質(配列番号:3)は、組換えグリアジンタンパク質の精製を可能にすることや、組換えグリアジンタンパク質にて表されるエピトープの提示等、様々な機能を果たす。
【0052】
グリアジン融合タンパク質がGSTを含み、組換え脱アミドグリアジンがD2三量体である場合、グリアジン融合タンパク質は配列番号4で表される。いくつかの実施形態において、本発明は、配列番号4のポリペプチドをコードするいずれか任意のヌクレオチド配列を提供する。本発明のグリアジン融合タンパク質は、記載した方法等の組換え方法を含む様々な方法で作製することができる。
【0053】
グリアジン融合タンパク質の固相支持体上への固定は、当該技術分野で知られているいかなる方法でも達成できる。グリアジン融合タンパク質の固相支持体への固定は、共有又はイオン結合形成、水素結合、ファンデルワールス力及び抗体−抗原相互作用を通じて行うことができる。他の固定方法が本発明に有用であることが、当業者に理解される。
【0054】
いくつかの実施形態において、抗原は組織トランスグルタミナーゼ(tTG)も含む。tTGが存在する場合、tTGとグリアジン融合タンパク質はtTG-グリアジン融合タンパク質複合体を形成する。共有結合の形成、イオン結合、水素結合又はファンデルワールス相互作用等の様々な方法で、tTGとグリアジン融合タンパク質を結合することができる。tTGとグリアジン融合タンパク質が共有結合で結合された場合、アミド基転移等のさまざまな反応で共有結合を形成することができる。Ca
2+の存在中等、様々な条件下でアミド基転移が起こりうる。tTGは、タグ及びグリアジン融合タンパク質の組換え脱アミドグリアジンのいずれか一方又は両方に結合することができる。グリアジン融合タンパク質の固定と同じ条件下で同時に、tTGが固相支持体に固定される。組織トランスグルタミナーゼは当業者に知られており、以前に発表されている。NCBI RefSeq NP
004604及びNP
945189 (2008年4月13日)を参照。
【0055】
他の実施形態において、tTGとグリアジン融合タンパク質は架橋剤により共有結合されている。 イオン結合、水素結合又はファンデルワールス力等を通して他の架橋方法も利用できることが、当業者に理解される。本発明においていかなる架橋剤も好適であることが、当業者に認識される。いくつかの実施形態において、架橋剤はヘテロ二官能性架橋剤及びホモ二官能性架橋剤からなる群より選ばれるメンバーである。更に他の実施形態において、架橋剤はホモ二官能性架橋剤である。更に他の実施形態において、架橋剤は、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、エチレングリコールビス[スクシンイミジルスクシネート](EGS)、エチレングリコールビス[スルホスクシンイミジルスクシネート] (スルホ-EGS)、ビス[2-(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、ジチオビス(スクシンイミジル)プロピオネート (DSP)、3,3'-ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート(DTSSP)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ジスクシンイミジルグルタレート(DSG)、メチルN-スクシンイミジルアジペート(MSA)、ジスクシンイミジルタータレート(DST)、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン (DFDNB)、1-エチル-3-[3-ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC又はEDAC)、スルホスクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸(スルホ-SMCC)、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド (スルホ-NHS)、ヒドロキシルアミン及びスルホ-LC-SPDP (N-スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオネート)及びスルホスクシンイミジル6-(3'-[2-ピリジルジチオ]-プロピオアミド)ヘキサン酸(スルホ-LC-SPDP)からなる群より選ばれるメンバーである。他の実施形態において、架橋剤はビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)である。
【0056】
更なる実施形態において、組換え脱アミドグリアジンは配列番号:2に対して95%同一性を有する。比較ウィンドウ又は指定領域上で最大一致となるように比較及び整列された際に、特定の領域に対して60%同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一性等の他のパーセント同一性が可能であることが、当業者に理解される。このような配列を「実質的に同一」であるという。配列番号:2に対していくつかの%同一性を有する本発明の組換え脱アミドグリアジンは、セリアック病を検出するために、サンプル中の抗グリアジン抗体と結合することができる。いくつかの他の実施形態において、脱アミドグリアジンは、配列番号:2を有する。
【0057】
B. 固相支持体
本発明の使用のための固相支持体物質は、次の性質によって特徴づけられる:(1)スクリーニングに用いられる液層中での不溶性;(2)他の全ての支持体から独立した三次元の移動性;(3)グリアジン融合タンパク質又はtTG-グリアジン融合タンパク質複合体の多数のコピーを含むこと;(4)スクリーニング検定条件への適合;及び(5)検定条件への不活性。好ましい支持体は、限定されないが、ヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、チオール、アルデヒド、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミド、尿素、炭酸塩、カルバミン酸塩、イソシアネート、スルホン、スルホン酸塩、スルホンアミド、スルホキシド等の反応性官能基をグリアジン融合タンパク質とtTGの結合のために有する。
【0058】
本明細書で用いられる時、固相支持体物質は特定のタイプの支持体に限定されない。むしろ多数の支持体が利用でき、当業者に知られている。固相支持体として、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラス又はプラスチックビーズ等のビーズ、コットン、アルミナゲル、セファロース等の多糖類が挙げられる。他の固相支持体はELISAマイクロタイタープレートとすることができる。好適な固相支持体は、所望の最終使用及び様々な合成プロトコルへの適合を基に選ぶことができる。例えば、ポリアミド合成において、有用な固相支持体は、ポリスチレン(例えば、Bachem Inc., Peninsula Laboratories等から得られるPAM−樹脂)、POLYHYPE(商標)樹脂(Aminotech, Canadaから得られる)、ポリアミド樹脂(Peninsula Laboratoriesから得られる)、ポリエチレングリコールに接合されたポリスチレン樹脂(TentaGel(商標), Rapp Polymere, Tubingen, Germany)、ポリジメチル−アクリルアミド樹脂(Milligen/Biosearch, Californiaから入手可能)又はPEGAビーズ(Polymer Laboratoriesから得られる)等の樹脂とすることができる。特定の合成のための好ましい固相合成支持体は後述する。いくつかの実施形態において、固相支持体はビーズである。本発明において様々な種類の固相支持体が有用であることが、当業者に認識される。
【0059】
C. 組換え脱アミドグリアジン抗原の作製方法
いくつかの実施形態において、本発明は、固相支持体を、タグに共有結合された組換え脱アミドグリアジンを有するグリアジン融合タンパク質に接触させて、タグを介してグリアジン融合タンパク質が修飾固相支持体に固定された修飾固相支持体を形成することを含む方法により作製された、セリアック病を検出するための抗原を提供する。このため、セリアック病を検出するための抗原が作製される。
【0060】
タグは上述した通りである。いくつかの実施形態において、タグはGST又はHis-タグである。他の実施形態において、タグはGSTである。
【0061】
tTGが存在する場合、当該方法には、tTG-グリアジン融合タンパク質複合体を形成するために、接触段階の前にグリアジン融合タンパク質とtTGの間に共有結合を形成することも含むことができる。グリアジン融合タンパク質とtTGの間に共有結合を形成する方法は、接触段階中及び/又はその後に行うこともできる。グリアジン融合タンパク質とtTGの錯形成は、当該技術分野で知られているいかなる方法によっても生じることができる。いくつかの実施形態において、共有結合を形成するために錯体形成はアミノ基転移によって起きる。
【0062】
他の実施形態において、当該方法は、修飾固相支持体を架橋剤と接触させて、グリアジン融合タンパク質とtTGを架橋することを更に含む。他のいくつかの実施形態において、架橋剤はGSTタンパク質をtTGに架橋する。上述したもの等いかなる架橋剤も本発明において有用であることが、当業者に理解される。架橋は、水素結合、共有結合又はイオン結合形成を通じて生じる。
【0063】
1.一般的な組換え方法
組換え脱アミドグリアジンポリペプチドを作製するために、本発明は組換え遺伝学の分野におけるルーチン技術を用いることができる。本発明の使用の一般的な方法を開示する基本的な教科書として、Sambrook & Russell, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (第3版, 2001); Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);及びCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., 1994-1999)が挙げられる。
【0064】
組換え脱アミドグリアジン又は例えば、組換え脱アミドグリアジンとGSTとを含む融合タンパク質は当該技術分野においてよく知られている技術を用いて発現することができる。動物細胞、昆虫細胞、細菌、真菌及び酵母等の真核及び原核宿主細胞を用いてもよい。単離核酸を発現させる際の宿主細胞の使用方法は当業者によく知られており、例えば前掲の一般参照文献中に見つけることができる。よって、本発明は、宿主細胞及び本願明細書に記載された核酸配列を含む発現ベクターのためにも提供する。
【0065】
組換え脱アミドグリアジンをコードする核酸、又は融合タンパク質は、標準的な組換え又は合成技術を用いて作製することができる。核酸はRNA、DNA又はそれらのハイブリッドでもよい。当業者は、同じポリペプチドをコードする核酸等の機能的に等価な核酸を含む様々なクローンを構築することができる。これら目的を達成するクローニング方法及び核酸の配列を確認する配列決定方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0066】
いくつかの実施形態において、核酸はインビトロで合成される。デオキシヌクレオチドは、例えばNeedham-VanDevanter他, Nucleic Acids Res. 12:6159-6168 (1984)に記載された自動合成装置を用いて、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Letts. 22(20): 1859-1862 (1981)に記載された固相ホスホロアミダイトトリエステル法に従って、化学合成することができる。他の実施形態において、例えばPCR等の増幅反応によって、所望のタンパク質をコードする核酸を得てもよい。
【0067】
与えられたポリペプチド配列の改変体又は変異体を作製する他の多くの方法を、当業者は認識するだろう。通常、ポリペプチド配列は、対応する核酸配列を変化させて、ポリペプチドを発現させることにより改変せしめられる。
【0068】
当業者は、本発明の所望の核酸又はポリペプチドを、ここで参照される配列及び組換え脱アミドグリアジン構造及び機能に関する容易に利用できる知識を基にして選ぶことができる。これらタンパク質の物理的特性及び一般的な性質は、当業者に知られている。
【0069】
組換え脱アミドグリアジン及び組換え脱アミドグリアジン−GST融合タンパク質の高レベルな発現を得るために、転写を指令するプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位等のような要素を含む発現ベクターが構築される。好適な細菌プロモーターは当該技術分野においてよく知られており、例えば、上記で引用された発現クローニング法及びプロトコルを提供する参照文献に記載されている。リボヌクレアーゼを発現するための細菌発現系は、例えばE.コリ、バチルス種及びサルモネラ中で利用可能である(Palva他, Gene 22:229-235 (1983); Mosbach他, Nature 302:543-545 (1983)も参照)。このような発現システムのためのキットが市販されている。哺乳動物細胞、酵母及び昆虫細胞のための真核発現系が当該技術分野において知られており、市販もされている。
【0070】
プロモーターに加えて、発現ベクターは通常、転写ユニット又は宿主細胞における核酸の発現に必要な追加の要素を全て含有する発現カセットを含む。このため、典型的な発現カセットは、組換え脱アミドグリアジンをコードする核酸配列に作用可能に結合したプロモーター、組換え脱アミドグリアジン−GST融合タンパク質、転写産物の効率的ポリアデニル化、リボソーム結合部位及び翻訳終結に必要なシグナルを含む。発現系によっては、組換え脱アミドグリアジン、組換え脱アミドグリアジン−GST融合タンパク質をコードする核酸配列は、形質転換細胞によるコードされたタンパク質の分泌を促進するために、開裂可能なシグナルペプチド配列に結合してもよい。
【0071】
上述したように、効率的な終結に備えるために、構造遺伝子の下流に転写終結も含むべきである。プロモーター配列と同じ遺伝子又は異なる遺伝子から終結領域を得てもよい。
【0072】
遺伝情報を細胞に輸送するために用いられる特定の発現ベクターは、特に重要でない。真核又は原核細胞での発現に用いられる、従来のいかなるベクターを用いてもよい。標準的な細菌発現ベクターには、pBR322系プラスミド, pSKF, pET15b, pET23D, pET-22b(+)等のプラスミド及び、GST及びLacZ等の融合発現系が含まれる。例えば6-his等の単離の便利な方法を提供するために、エピトープタグを組換えタンパク質に加えることもできる。コード配列を含む発現カセットに加えて、これらのベクターはT7プロモーター、転写イニシエーター及びターミネーター、pBR322ori部位、blaコード配列及びlaclオペレーターを含む。
【0073】
RNAase分子又は融合タンパク質をコードする核酸配列を含むベクターは、E.コリ、他の細菌細胞、酵母、及びCOS、CHO及びHeLa細胞系及び骨髄腫細胞系等の様々なより高等な真核細胞を含む様々な宿主細胞で発現させてもよい。細胞に加えて、ベクターは、トランスジェニック動物、好ましくは、羊、ヤギ及び畜牛によって発現させてもよい。通常、この発現系では、組換えタンパク質はトランスジェニック動物の乳に発現せしめられる。
【0074】
本発明の発現ベクター又はプラスミドは、E.コリのための塩化カルシウム形質転換及びリン酸カルシウム処理、リポソーム融合又は哺乳動物細胞のためのエレクトロポレーション等のよく知られた方法で、選ばれた細胞に運搬することができる。プラスミドによって形質転換された細胞は、amp、gpt、neo及びhyg遺伝子等のプラスミド上に含まれる遺伝子によって与えられた抗生物質に対する耐性によって選択することができる。
【0075】
一度発現すると、硫安分画、カラムクロマトグラフィー(親和性クロマトグラフィーを含む)、ゲル電気泳動等の当該技術分野の標準的な手法にしたがって、発現したタンパク質を精製することができる(R. Scopes, Protein Purification, Springer −Verlag, N. Y. (1982), Deutscher, Methods in Enzymology Vol.182: Guide to Protein Purification., Academic Press, Inc. N.Y. (1990); Sambrook & Ausubel, 共に前掲を一般的に参照。
【0076】
いくつかの実施形態において、本発明は、組換えグリアジンタンパク質D2三量体配列をコードする配列番号:5を含む単離された核酸を提供する。他の実施形態において、単離された核酸は発現ベクター内にある。他のいくつかの実施形態において、発現ベクターは宿主細胞内にある。
【0077】
2. 固相支持体上の固定
本発明のグリアジン融合タンパク質は、当該技術分野において知られている任意の有用な固定方法で、任意の有用な固相支持材に固定することができる。固相支持体へのグリアジン融合タンパク質の固定は、共有又はイオン結合形成、水素結合、ファンデルワールス力、及び抗体−抗原相互作用を介することができる。本発明において他の固定方法が有用であることが、当業者に理解される。
【0078】
抗体に似た方法での固定を可能にする他の化合物が開発されている。特定のこれらの「抗体模倣体」は、抗体の可変領域のための代替タンパク質フレームワークとして、非免疫グロブリンタンパク質の骨組を用いる。
【0079】
例えば、Ladnerら(米国特許第5,260,203)は、凝集されているが分子的に離れている抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のものと似た結合特異性を有する単一ポリペプチド鎖結合分子について記載している。単一鎖結合分子は、ペプチドリンカーによってつながれた抗体の重鎖及び軽鎖可変領域の両方の抗原結合部位を含み、2つのペプチド抗体のものと似た構造に折りたたまれる。単一鎖結合分子は、より小さな大きさ、より高い安定性、より簡単に修飾できるなど、従来の抗体を上回るいくつかの利点を有する。
【0080】
Kuら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 92(14):6552-6556 (1995))は、シトクロムb
562を基にした抗体の代替を開示する。Kuら(1995)は、ウシ血清アルブミンに対して結合するためにシトクロムのループの2つが無作為化され選択されるライブラリーを構築した。各変異体が抗BSA抗体に似てBSAに選択的に結合することが分かった。
【0081】
Lipovsekら(米国特許第6,818,418及び7,115,396号)は、フィブロネクチン又はフィブロネクチン様タンパク質の骨組及び少なくとも1つの可変ループを特徴とする抗体模倣体を開示する。アドネクチンとして知られているように、これらのフィブロネクチン系抗体模倣体は、標的とされるいずれかのリガンドに対する高親和性及び特異性等、天然又は改変抗体と同じ特徴の多くを呈する。新規又は向上した結合タンパク質を進化させる任意の方法を抗体模倣体と共に用いてもよい。
【0082】
これらフィブロネクチン系抗体模倣体の構造は、IgG重鎖の可変領域の構造と似ている。このため、これら模倣体は天然のものと似た抗原結合性質及び自然抗体のものに対する親和性を呈する。更に、これらフィブロネクチン系抗体模倣体は、抗体及び抗体断片を上回る特定の利点を呈する。例えば、これら抗体模倣体は、生来の折りたたみ安定性のためにジスルフィド結合に依存せず、このため、抗体が通常破壊される条件下において安定である。更に、これらフィブロネクチン系抗体模倣体の構造がIgG重鎖のものと似ていることから、インビボでの抗体の親和性成熟のプロセスに似た、ループ無作為化及びシャッフリングのためのプロセスをインビトロで用いてもよい。
【0083】
Besteら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96(5):1898-1903 (1999))は、リポカリン骨格を基にした抗体模倣体を開示する(ANTICALIN(登録商標))。リポカリンは、タンパク質の末端で4つの超可変ループを有するβ−バレルからなる。Beste(1999)は、ランダム変異導入法にループをさらし、例えばフルオレセインとの結合について選択した。これらの変異体はフルオレセインとの特異的結合を呈し、1つの変異体は抗フルオレスセイン抗体のものと似たい結合を示した。更なる分析によって、全ての無作為化位置は可変的であることが明らかになり、ANTICALIN(登録商標)は抗体の代替として用いるのに好適であることを示す。
【0084】
ANTICALIN(登録商標)は、通常160から180残基の小さな単一鎖ペプチドであり、生産のコスト削減、貯蔵における安定性の増大、免疫学的反応の低下等、抗体に対していくつかの利点を提供する。
【0085】
Hamiltonら(米国特許第5,770,380)は、結合部位として用いられる複数の可変ペプチドループに結合した、カリックスアレーンの強固な非ペプチド有機骨格を用いた合成抗体模倣体を開示する。ペプチドループは全て、カリックスアレーンからお互いに対して幾何学的に同じ側面から突出している。この幾何学的な確認によって、全てのループは結合に用いることができ、リガンドに対する結合親和性が増大する。しかし、他の抗体模倣体と比較して、カリックスアレーン系抗体模倣体はペプチドのみからならず、よってプロテアーゼ酵素による攻撃に対して強い。骨格が純粋にペプチド、DNA又はRNAからならない意味とは、この抗体模倣体が極限環境条件下で比較的安定であり、長い寿命を有するということである。更に、カリックスアレーン系抗体模倣体が比較的小さいことから、免疫原性反応があまり生じない傾向にある。
【0086】
Muraliら(Cell MoI Biol 49(2):209-216 (2003))は、抗体をより小さなペプチド模倣薬に縮小する方法について検討し、抗体に対する代替としても有用である「抗体様結合ペプチド模倣薬」(ABiP)と称した。
【0087】
非免疫グロブリンタンパク質フレームワークに加えて、抗体性質はRNA分子及び非天然オリゴマーを含む化合物にも模倣されている(例えば、プロテアーゼ阻害剤、ベンゾジアゼピン、プリン誘導体及びベータ−ターン模倣体)。また、グリアジン融合タンパク質を固相支持体に結合させるために、例えば、ストレプトアビジン及びビオチン間の既知の結合相互作用を用いることができる。
【0088】
グリアジン融合タンパク質を固相支持体に結合させる更なる方法には、ホモ二官能性及びヘテロ二官能性リンカーの使用が含まれる。ゼロ長架橋試薬は、いかなる外部物質も導入しないで、2つのリガンドの直接結合を誘導する。ジスルフィド結合の形成を触媒する試薬はこのカテゴリーに属する。他の例は、カルボキシ及び第1級アミノ基の縮合を誘導して、アミド結合を形成する、カルボジイミド、エチルクロロホルマート、Woodward試薬K1、カルボニルジイミダゾール等の試薬である。ホモ二官能性試薬は2つの同一の官能基を担持し、一方へテロ二官能性試薬は2つの似ていない官能基を含む。ヘテロ二官能性架橋剤の大多数は、第1級アミン反応基及びチオール反応基を含む。ホルミルからチオールへの結合のための新規へテロ二官能性リンカーは、Heindel, N. D.他, Bioconjugate Chem. 2, 427-430 (1991)で開示された。好ましい実施形態において、共有結合性架橋剤は、ジスルフィド(-S-S-)、グリコール(-CH(OH)-CH(OH)-)、アゾ(-N=N-),、スルホン(-S(=O2)-)、又はエステル(-C(=O)-O-)ブリッジを形成することができる試薬から選ばれる。
【0089】
ルミネックス染料で内面的に染色された、常磁性ラテックスビーズの表面上に存在するカルボン酸基は、N-シクロヘキシル-N'-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメソ-p-トルエンスルホネート(CMC) 及び N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)の作用を通して、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルに変換することができる。磁気分離及び洗浄後、グリアジン融合タンパク質及びtTGの混合物を、界面活性剤及びpH7.4で1OmM CaCl
2を含有する緩衝食塩水に加える。懸濁液を室温で振盪しながら1時間インキュベートする。洗浄後、非特異的結合を減らすためビーズはブロッキングされ、そして粒子希釈剤に保存される。
【0090】
III.被験者がセリアック病に罹患しているか否かを決定する方法
本発明は、被験者がセリアック病に罹患しているか否かを決定する方法を提供する。方法には、上述したように、被験者からの体液のサンプルを、固相支持体に固定されたグリアジン融合タンパク質を有する抗原と接触させることを含む。該方法には、抗原に特異的に結合するようになったいかなる抗体を検出することをも含み、これにより被験者におけるセリアック病の存在が示される。
【0091】
本発明のサンプルは、任意の体液とすることができる。いくつかの実施形態において、サンプルは、房水、胆汁、血液及び血漿、母乳、間質液、リンパ、粘液、胸膜液、唾液、血清、汗、涙、尿、脳脊髄液、滑液又は細胞内液とすることができる。いくつかの実施形態において、サンプルは血液サンプルとすることができる。
【0092】
本発明の被験者は任意の哺乳類とすることができる。いくつかの実施形態において、被験者は霊長目(例えば、ヒト)、乳牛、羊、ヤギ、馬、犬、猫、ウサギ、ラット、マウス等とすることができる。他の実施形態において、被験者はヒトである。
【0093】
固相支持体に固定されたグリアジン融合タンパク質又はtTG-グリアジン融合タンパク質複合体に結合した抗体の存在は、当該技術分野において知られているいかなる方法でも検出することができる。いくつかの実施形態において、検出ステップは、ELISA、RIA又は免疫蛍光測定法等の測定法を用いて行うことができる。他の実施形態において、検出ステップは、酵素法を用いて行うことができる。検出ステップで用いることができる免疫測定法として、例えば、ウエスタンブロット法、放射免疫測定法、ELISA(酵素免疫測定法)、「サンドイッチ」免疫測定法、免疫沈降測定法、沈降素反応、ゲル内沈降素反応、免疫拡散測定法、凝集測定法、補体結合測定法、免疫放射定量測定法、蛍光免疫測定法、プロテインA免疫測定法等の競争的及び非競争的測定法システムが挙げられる(例えば、Harlow&Lane, Using Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1999)を参照)。
【0094】
抗原に特異的な抗体は、任意の好適な抗体とすることができる。いくつかの実施形態において、抗体はIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMとすることができる。他の実施形態において、抗体はIgG又はIgAとすることができる。本発明において他の抗体も有用であることが、当業者に理解される。
【0095】
IV. キット
いくつかの実施形態において、本発明は、上述された抗原、検出試薬及びバッファー、塩、安定剤及び説明書のうち任意に少なくとも1つを含むキットを提供する。
【0096】
本発明において有用なバッファー、塩及び安定剤は、当業者に知られているものを含み、Gennaro編, Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Co. (Easton, Pa.) 1990で見つけることができる。
【0097】
V. 実施例
実施例1:D2三量体を用いたグリアジン融合タンパク質の作製
この実施例は、D2三量体を用いて本発明のグリアジン融合タンパク質を作製する方法を提供する。
【0098】
配列番号:4のグリアジン融合タンパク質の発現のために、配列番号:2のD2三量体をコードするDNA配列が作製され、制限酵素で消化され、GSTのC末端位置でGSTをコードするDNA断片を含む発現ベクターに挿入された。
【0099】
実施例2:tTGを用いない固定抗原の作製
この実施例は、一般的に固相支持体にグリアジン融合タンパク質(GST-D2三量体)を固定することを含む、tTGの非存在下で本発明の抗原を調製する方法を提供する。
【0100】
グリアジン融合タンパク質の固定
8mgのカルボキシル修飾電磁ビーズを超遠心チューブに入れる。70%EtOH(エタノール)中でpH6.1の50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)800μLをチューブに加える。撹拌し、磁力的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう1度繰り返す。
【0101】
70%EtOH中の5OmM MES pH6.1中の100mM N-シクロヘキシル-N'-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメソ-p-トルエンスルホナート(CMC)を400μLチューブに加え、撹拌する。室温で30分間撹拌する。
【0102】
上清からビーズを分離し、800μLの5mM MES pH 6.1を加える。撹拌し、磁気的に分離し、上清をピペットで取り、捨てる。もう1度繰り返す。
【0103】
洗浄した粒子を、200μLの5mM MESをチューブに加えることにより懸濁し、撹拌する。600μLの界面活性剤を含む緩衝食塩水中の、実施例1で作製したグリアジン融合タンパク質(GST-D2三量体)の混合物を加える。室温で60分間撹拌する。インキュベーションが終わった後、磁気的に分離し、上清をピペットで取り、捨てる。
【0104】
800μLのポスト−コーティング洗浄バッファー(界面活性剤、保存料及び塩化カルシウムを含む緩衝食塩水)をチューブに加え、撹拌し、磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう3回繰り返す。
【0105】
ビーズブロッキング
800μLのブロッキングバッファー(界面活性剤、保存料及びブロッカーを有する高タンパク質含有緩衝食塩水)をチューブに加える。2°〜8℃で60分間撹拌する。磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。
【0106】
800μLの粒子希釈剤(界面活性剤、塩化カルシウム、保存料及びブロッカーを含む緩衝食塩水)をチューブに加える。撹拌し、磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう3回繰り返す。
【0107】
800μLの粒子希釈剤(lOOμL/mg分子)をチューブに加え、このバッファー中で2°〜8℃で保存する。
【0108】
実施例3:tTGを用いた固定抗原の作製
この実施例は、アミノ基転移反応を通してtTGとグリアジン融合タンパク質が複合体となるように、グリアジン融合タンパク質(GST-D2三量体)及びtTGが固相支持体に固定されることを含む、tTGを用いた本発明の抗原を作製する方法を提供する。次いで、tTGとグリアジン融合タンパク質は架橋される。
【0109】
グリアジン融合タンパク質-tTG複合体の固定
8mgのカルボキシル修飾電磁ビーズを超遠心チューブに入れる。70%EtOH(エタノール)中でpH6.1の50mM 2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)800μLをチューブに加える。撹拌し、磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう1度繰り返す。
【0110】
70%EtOH中の5OmM MES pH 6.1中の120mM N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)400μLをチューブに加え、撹拌する。70%ETOH中の5OmM MES pH 6.1中の100mM N-シクロヘキシル-N'-(2-モルホリノエチル)カルボジイミドメソ-p-トルエンスルホナート(CMC)を400μLチューブに加え、撹拌する。室温で30分間撹拌する。
【0111】
上清からビーズを分離し、800μLの5mM MES pH 6.1を加える。撹拌し、磁気的に分離し、上清をピペットで取り、捨てる。もう1度繰り返す。
【0112】
洗浄した分子を、200μLの5mM MESをチューブに加えることにより懸濁し、撹拌する。600μLの界面活性剤及びカルシウムを含む緩衝食塩水中の、上記で作製したグリアジン融合タンパク質(GST-D2三量体)とtTGの混合物を加える。室温で60分間撹拌する。インキュベーションが終わった後、磁気的に分離し、上清をピペットで取り、捨てる。
【0113】
800μLのポスト−コーティング洗浄バッファー(界面活性剤、保存料及び塩化カルシウムを含む緩衝食塩水)をチューブに加え、撹拌し、磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう3回繰り返す。
【0114】
800μLの塩化カルシウムpH7.4を含む緩衝食塩水をチューブに加え、撹拌し、磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう3回繰り返す。
【0115】
塩化カルシウムを含む緩衝食塩水pH7.4中の32mMスベリン酸ビススルホ(n-ヒドロキシスクシンイミド(BS3)800μLをチューブに加え、撹拌する。室温で30分間撹拌する。インキュベーションが終わった後、磁気的に分離し、上清をピペットで取り、捨てる。
【0116】
800μLのポスト−コーティング洗浄バッファー(界面活性剤、保存料及び塩化カルシウムを含む緩衝食塩水)をチューブに加え、撹拌し、磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう3回繰り返す。
【0117】
ビーズブロッキング
800μLのブロッキングバッファー(界面活性剤、塩化カルシウム、保存料及びブロッカーを有する緩衝食塩水を含む高タンパク質)をチューブに加える。2°〜8℃で60分間撹拌する。磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。
【0118】
800μLの粒子希釈剤(界面活性剤、塩化カルシウム、保存料及びブロッカーを含む緩衝食塩水)をチューブに加える。撹拌し、そして磁気的に分離する。上清をピペットで取り、捨てる。もう3回繰り返す。
【0119】
800μLの粒子希釈剤(lOOμL/mg粒子)をチューブに加え、このバッファー中で2°〜8℃で保存する。
【0120】
実施例4:抗原を用いたセリアック病の検出
この実施例は、本発明の組換え脱アミドグリアジン抗原を用いたセリアック病を検出する方法を提供する。
【0121】
胃腸のIgA及びIgG法の概要は以下の通りである。
・機器(Bio-Rad Laboratoriesが製造したBioPlex 2200(登録商標))がサンプルチューブから5μLのサンプルを吸引し、45μLの洗浄バッファー(界面活性剤と保存料を含むリン酸緩衝食塩水)に追跡される反応槽(RV)に供給する。
・100μLのサンプル希釈剤(界面活性剤、保存料及びブロッカーを含む緩衝食塩水)と150μLの洗浄バッファーをRVに加える。
・RVを37℃で130秒間(2.2分)インキュベートする。
・100μLの分子試薬(それぞれ実施例2及び3で作製された組換え脱アミドグアリジン抗原被膜ビーズ及びグリアジン融合タンパク質-tTG複合体抗原被膜ビーズの溶液、及び分子希釈剤)をRVに加える。最終サンプル希釈率は1/80である。
・時々撹拌しながら、混合物を37℃で1180秒間(19.7分)インキュベートする。
・ビーズを600、300、600μLの洗浄バッファーで3回洗浄する。
・50μLの結合試薬をRVに加える(結合希釈剤(界面活性剤、保存料及びブロッカーを含む緩衝食塩水)中の非ヒトIgA−フィコエリトリンの混合物)。
・時々撹拌しながら、混合物を37℃で600秒間(10分)インキュベートする。
・ビーズを600、300、600μLの洗浄バッファーで3回洗浄する。
・50μLの洗浄バッファーをRVに加える。
・ルミネックス検出器モジュール(LDM)にビーズ懸濁液を吸引し、各特定されたビーズ領域の粒子のメジアン蛍光を測定する。
【0122】
実施例5:セリアック病試験における感度
研究には、122人のセリアックサンプル(毎日の食事からグルテンを摂取している)、30人の他のIBDサンプル及び194人の通常の健康サンプルが含まれた。
【表1】
【表2】
【0123】
第2の研究には、125人のセリアックサンプル(毎日の食事からグルテンを摂取している)及び198人の通常の健康サンプルが含まれた。
【表3】
【0124】
実施例6:D2三量体対D2単量体の比較データ
実施例2の手順にしたがって、D2三量体を含む第1の抗原とD2ペプチドモノマーを含む第2の抗原が作製された。2つの抗原を試験したところ、D2三量体抗原はDEペプチドモノマーよりも高い最大シグナルを達成した。
図1を参照。
【表4】
【0125】
D2三量体抗原がD2ペプチド抗原よりも良い臨床感度を有することも分かった。
【表5】
【0126】
明確に理解する目的のために、説明及び実施例を用いて上述した本発明を幾分詳しく説明したが、本請求項の範囲内において特定の変化及び修正が行われてもよいことが当業者に理解される。更に、各参照文献があたかも各々参照により引用されたのと同じように、本願明細書で提供された各参照文献は全体として参照により引用されたものとする。
【表6】