特許第6073953号(P6073953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60739532軸ベント式押出機及びゴム製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073953
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】2軸ベント式押出機及びゴム製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/50 20060101AFI20170123BHJP
   B29C 47/76 20060101ALI20170123BHJP
   B29B 7/42 20060101ALI20170123BHJP
   B29B 7/84 20060101ALI20170123BHJP
   B29C 45/48 20060101ALI20170123BHJP
   B29C 45/63 20060101ALI20170123BHJP
   B29K 21/00 20060101ALN20170123BHJP
【FI】
   B29C47/50
   B29C47/76
   B29B7/42
   B29B7/84
   B29C45/48
   B29C45/63
   B29K21:00
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-67250(P2015-67250)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185684(P2016-185684A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2016年9月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(74)【代理人】
【識別番号】100198247
【弁理士】
【氏名又は名称】並河 伊佐夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】大浦 正聖
(72)【発明者】
【氏名】大島 司
(72)【発明者】
【氏名】青井 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】住田 弘志
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−134063(JP,A)
【文献】 特開平03−051115(JP,A)
【文献】 特開平10−235714(JP,A)
【文献】 特開平08−258115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/50
B29B 7/42
B29B 7/84
B29C 45/48
B29C 45/63
B29C 47/76
B29K 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つの単軸のスクリューを重なり合うように交差して設け、上流側の1軸目の第1スクリューは、交差部に隣接した上流部位に堰を有して該堰により押出材料の狭小通路を形成するとともに、該交差部には、スクリュー軸部の外周面に該堰の最外径よりも小径となる該押出材料の受渡し部を有し、該受渡し部の外周側にベント孔を通じ真空吸引される脱気室を形成するものとなしてあり、
下流側の第2スクリューは、該第2スクリューの軸方向視において該第2スクリューのフライト部が前記受渡し部に向けて前記堰の外周端よりも前記第1スクリューの径方向内方に入り込んだ状態となる位置に、前記第1スクリューに近接して配置してあり、
前記第1スクリューの、前記狭小通路を通じて前記受渡し部に流れ込んだ押出材料を、該受渡し部に対して交差する前記第2スクリューが前記フライト部で掻き取って前進送りするようになしてあることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項2】
請求項1において、前記押出材料がゴム材料であることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記受渡し部が、前記第1スクリューの軸方向において前記堰から前記第2スクリューの径方向の中心に向って小径となる形状となしてあることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項4】
請求項3において、前記受渡し部が、軸方向両端から中間部に向って小径化するくびれ形状をなしており、前記第2スクリューのフライト部が、該第2スクリューの前記軸方向視において、該くびれ形状の外周側に形成される溝空間に入り込んだ状態に位置している
ことを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記第1スクリューの前記受渡し部がフライト部を有していないことを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかにおいて、前記狭小通路が、前記堰の外周部に形成された複数の小溝からなっており、該小溝が、前記第1スクリューの軸方向に対して、前記交差部の前記受渡し部側に進むに連れて該第1スクリューに対する前記押出材料の相対回転方向に移行する形状の傾斜形状とされていることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項7】
請求項6において、前記第1スクリューの外周部には、前記堰に隣接した上流部位に該堰に向って大径化する案内部が設けてあることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかにおいて、前記第1スクリューと第2スクリューとがそれぞれ水平方向に配向されていることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかにおいて、前記第2スクリューは、外周部における前記第1スクリュー側の部位が、該第1スクリューによる前記押出材料の送り方向に回転するものとなしてあることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項10】
請求項1〜9の何れかにおいて、前記第1スクリューは、軸方向の両端部が回転可能に支持されていることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかにおいて、前記第1スクリューは、前記第2スクリューよりも短いものであることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項12】
請求項1〜11の何れかにおいて、前記第1スクリューのフライト部の外径が、前記第2スクリューのフライト部の外径よりも大径であることを特徴とする2軸ベント式押出機。
【請求項13】
請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料を成形型のキャビティに注入し、該成形型で加硫してゴム製品を得ることを特徴とするゴム製品の製造方法。
【請求項14】
請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料の押し出しを行い、押出し後の脱気状態のゴムを加硫してゴム製品を得ることを特徴とするゴム製品の製造方法。
【請求項15】
請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料の連続押出しを行い、押出し後の脱気状態のゴム押出し品を無加圧の状態で加硫して長尺ゴム製品を得ることを特徴とするゴム製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2つの単軸のスクリューを有する2軸ベント式押出機及びゴム製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム製品や樹脂製品の製造方法として、従来、射出成形による方法や、押出成形による方法が広く行われている。
射出成形による方法では、押出機でスクリューの回転により加熱下で可塑化,流動化させたゴム材料,樹脂材料等の押出材料を射出機の射出チャンバ内に押し出し、そして射出チャンバ内に設定したチャージ量で押出材料がチャージされたところで、押出機による押出しを停止した上、射出プランジャの前進により射出チャンバ内の材料を成形型のキャビティ内に射出し、所定形状に成形して製品とする。
一方押出成形による方法、例えばゴム製品を押出成形にて製造する方法では、ゴム材料を押出機から連続押出しし、その後これを加硫処理して製品とする。
【0003】
ところで、押出材料(つまり成形材料)中にはエア等のガス成分(以下単にエアとする)が含まれていたり、また押出機に材料供給したときに、エアが材料中に巻き込まれるといったことが生じ、この場合、そのエアが製品中に入り込むと発泡を生じるなどして製品の特性が悪化したり、或いは製品不良の原因となる。
【0004】
例えばゴム製品の1種として防振ゴム品があり、この防振ゴム品は通常射出成形にて製造されるが、この防振ゴム品にあってはエアが製品中に入り込むと、これが気泡となって外観やばね特性等を悪化させる原因となる。
また、ゴム製品にはOA機器関連製品としてのロール品等もあり、このロール品等も製造過程でエアが製品中に入り込むと、これが気泡となって外観やばね特性等を悪化させる原因となる。
【0005】
一方押出成形にて製造される製品、例えば代表例としてのゴムホースにあっても、未加硫の押出し品中に一般にエアが含まれているため、押出後においてこれを加硫成形する際に加圧加硫、具体的には蒸気加硫缶の内部に未加硫状態の押出し品を入れて、蒸気による
圧力の作用下でこれを加熱加硫するといったことが必要であった。
圧力を加えない無加圧状態で加硫すると、未加硫のゴム中に含まれているエアが膨張し、発泡を生じてしまうからである。
しかしながら蒸気を用いた加硫設備は、その設置のために多大なコストがかかる問題がある。
このような問題は、押出機から押出材料を押し出したときにエアを十分に除去できれば解決することが可能である。
【0006】
従来、このようなエアを押出材料から除去するための押出機としてベント式押出機が知られている。
このベント式押出機としては、スクリューが1本の単軸(1軸)式のものが一般的である。
この単軸のベント式押出機では、軸方向の中間部にベントゾーンを設け、そのベントゾーンにおいてスクリューとシリンダとの間に脱気室を形成するとともに、シリンダの対応する位置にベント孔を設け、そのベント孔を通じて脱気室内部を真空吸引することで、押出材料に含まれているエアを吸引除去する。
【0007】
ところでこの単軸ベント式押出機の場合、押出材料の種類や性質によって最適なスクリュー形状が異なってくる。
以下この点を具体的に説明する。
図8は、単軸ベント式押出機の一例を示している。
図において202は1軸のベント式押出機200のシリンダで、前端部に押出口204を有している。
206は、シリンダ202の内部に回転可能に配置されたスクリューで、スクリュー軸部208(以下単に軸部208とする)と、螺旋を巻くようにして軸部208から突出したフライト部210と、隣接するフライト部210と210との間に形成される溝212とを有している。
【0008】
図中215は軸方向の中間部に設けられたベントゾーンで、このベントゾーン215において、スクリュー206とシリンダ202との間に脱気室214が形成され、またシリンダ202にはこの脱気室214に連通するベント孔216が設けられている。
脱気室214は、このベント孔216を通じ真空ポンプにより真空引きされる。
このベントゾーン215に位置するスクリュー206の溝212aは、他の溝よりも溝深さが深くされている。
この溝212aの溝空間は脱気室214の一部を形成している。
【0009】
スクリュー206にはまた、ベントゾーン215に隣接した上流部位に、フライト部210の外周端と同じ高さの堰218が設けられており、この堰218とシリンダ202の内面との間に、押出材料を通過させる狭小通路220が形成されている。
【0010】
この押出機200を用いて押出材料を押し出す際、押出材料は堰218を乗り越えて、即ち狭小通路220を通って脱気室214に流入することで表面積が増大せしめられ、その状態で脱気室214がベント孔216を通じ真空吸引されることで、押出材料中のエアが吸引除去される。
【0011】
ところで、例えばゴム材料を例にとった場合、柔らかいゴム材料の場合には、図8(A)に示すように堰218が高い場合であっても(つまり狭小通路220が狭い場合(例えばシリンダ202内面との間の隙間が0.25mm程度)であっても)、ある程度容易にこれを乗り越えて脱気室214へと流入することができる。従って、スクリュー1回転当りの脱気室214への流入量は多い。
一方押出機200の前端部においては、柔らかいゴム材料の場合にはスクリュー206の回転に対して滑りを生じ易いことから、スクリュー1回転当りの押出口204からの流出量は少ない。
結果として、柔らかいゴム材料の場合には、脱気室214への流入量に対して押出口204からの流出量は少なくなる傾向となり、この場合、上記のように堰218が高い場合には押出口204からの押出量が不足し易い。
【0012】
この場合、押出口204からの押出量を多くしようとして堰218を低くし、ベントゾーン215即ち脱気室214へのゴム材料の流入量を多くすると、堰218を乗り越える際のゴムの膜が厚くなって脱気効率が低下するとともに、ベントゾーン215へのゴム材料の流入量と、ベントゾーン215から押出口204に向けてのゴム材料の流出量とのアンバランス(流出量に対して流入量が多い)によって、脱気室214がゴム材料で拡く占められるようになり、真空引きに必要なベントゾーン215を十分に確保できないことから、更なる脱気効率の低下を招き、最悪の場合ベント孔216が塞がって真空脱気できない状態、即ちベントアップを生じてしまう。
【0013】
これに対して、図8(B)に示すように硬いゴム材料の場合、スクリュー回転に対して相対的にゴム材料が滑り難くなるため、スクリュー1回転当りの押出口204からの流出量は多い。
一方で堰218が高いと、ゴム材料の流動性が悪いために、堰218を乗り越えてベントゾーン215に流入するゴム材料の流入量は少ない。
従って堰218が高いと押出機からのゴム材料の押出量が不足し易い。
そこで堰218の高さを低くすると、ゴム材料が堰218を乗り越えてベントゾーン215内に流入する際の表面積の増大が不十分となり易い。
【0014】
以上のように柔らかいゴム材料と硬いゴム材料とでは、ベントゾーン215即ち脱気室214へのゴム材料の流入量と、脱気室214からのゴム材料の流出量との大小関係が逆の関係となる。
【0015】
従って柔らかいゴム材料の場合の最適なスクリュー形状と、硬いゴム材料の場合の最適なスクリュー形状とは自ずと異なったものとなる。
それ故、同一のスクリューを用いて必要な押出量を確保しつつ、脱気室214へのゴム材料の流入量と、脱気室214からのゴム材料の流出量とのバランスを最適のバランスとすることは実際上困難であり、そこで従来にあっては、ゴム材料の性質が異なるごとに専用のスクリューを用いて対応していたのが実情である。
以上ゴム材料の場合を例にとったが、この点は樹脂材料の場合においても基本的に同様である。
【0016】
従来、2軸ベント式押出機も知られている。
例えば下記特許文献1にその一例が開示されている。
この特許文献1に開示のものでは、第1押出機と第2押出機とを上下に離隔して配置してそれらをベント室(脱気室)にて連絡し、第1押出機から糸状に押し出した材料をカッターの回転により切断してペレット状となし、これを下方の第2押出機に供給して、第2押出機により押し出すようにした点が開示されている。
【0017】
他方、下記特許文献2には「2段4軸式真空押出機」についての発明が示され、そこにおいて、2つの押出機を上下に離隔して配置するとともに、上段の押出機の排出口と下段の押出機の供給口とを連結管で繋いで、その連結管に真空装置を接続し、上段の押出機から糸状に押し出されて垂れ下った材料を、連結管の内部で真空装置による真空引きして材料中の気泡を吸引除去し、その上で糸状の材料を下段の押出機に供給して、その下段の押出機の前端部から押し出すようになした点が開示されている。
【0018】
このように2つの押出機を用いたものにあっては、上流側の第1の押出機と下流側の第2の押出機との間でスクリュー回転数を調節することで、上流側の第1の押出機から脱気室への材料の押出量即ち流入量と、脱気室から第2の押出機への材料の流出量とのバランスを調整することが可能と考えられる(但し特許文献1,特許文献2にはそのような点は開示されてはいない)。
【0019】
しかしながら第1の押出機から脱気室に流入した材料が、第2の押出機に上手く食い込まれて行かない場合、つまり脱気室内の材料が円滑に下流側の第2の押出機へと流出して行かない場合も考えられ、この場合には脱気室内で材料が次第に溜まってしまい、それによりベント孔が塞がれてベントアップを生じてしまう問題が依然として残る。
また脱気室内に滞留した材料が長時間高温状態に置かれることによってスコーチを生じたり(ゴム材料の場合)、或いは熱劣化(樹脂材料の場合)を生じたりしてしまう問題も内在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開昭59−123638号公報
【特許文献2】特開昭60−124232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は以上のような事情を背景とし、性質の異なった押出材料であっても、脱気室への押出材料の流入量と、脱気室からの押出材料の流出量とを最適にバランスさせ得て、同一の押出機にて性質の異なった押出材料を押し出すことができ、更に十分な押出量と脱気室での十分な脱気を行うことができるとともに、脱気室に押出材料が累積して、その累積により材料がスコーチや熱劣化を生じたりする問題を解決することのできる2軸ベント式押出機を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
而して請求項1のものは2軸ベント式押出機に関するもので、2つの単軸のスクリューを重なり合うように交差して設け、上流側の1軸目の第1スクリューは、交差部に隣接した上流部位に堰を有して該堰により押出材料の狭小通路を形成するとともに、該交差部には、スクリュー軸部の外周面に該堰の最外径よりも小径となる該押出材料の受渡し部を有し、該受渡し部の外周側にベント孔を通じ真空吸引される脱気室を形成するものとなしてあり、下流側の第2スクリューは、該第2スクリューの軸方向視において該第2スクリューのフライト部が前記受渡し部に向けて前記堰の外周端よりも前記第1スクリューの径方向内方に入り込んだ状態となる位置に、前記第1スクリューに近接して配置してあり、前記第1スクリューの、前記狭小通路を通じて前記受渡し部に流れ込んだ押出材料を、該受渡し部に対して交差する前記第2スクリューが前記フライト部で掻き取って前進送りするようになしてあることを特徴とする。
【0023】
請求項2のものは、請求項1において、前記押出材料がゴム材料であることを特徴とする。
【0024】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記受渡し部が、前記第1スクリューの軸方向において前記堰から前記第2スクリューの径方向の中心に向って小径となる形状となしてあることを特徴とする。
【0025】
請求項4のものは、請求項3において、前記受渡し部が、軸方向両端から中間部に向って小径化するくびれ形状をなしており、前記第2スクリューのフライト部が、該第2スクリューの前記軸方向視において、該くびれ形状の外周側に形成される溝空間に入り込んだ状態に位置していることを特徴とする。
【0026】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記第1スクリューの前記受渡し部がフライト部を有していないことを特徴とする。
【0027】
請求項6のものは、請求項1〜5の何れかにおいて、前記狭小通路が、前記堰の外周部に形成された複数の小溝からなっており、該小溝が、前記第1スクリューの軸方向に対して、前記交差部の前記受渡し部側に進むに連れて該第1スクリューに対する前記押出材料の相対回転方向に移行する形状の傾斜形状とされていることを特徴とする。
【0028】
請求項7のものは、請求項6において、前記第1スクリューの外周部には、前記堰に隣接した上流部位に該堰に向って大径化する案内部が設けてあることを特徴とする。
【0029】
請求項8のものは、請求項1〜7の何れかにおいて、前記第1スクリューと第2スクリューとがそれぞれ水平方向に配向されていることを特徴とする。
【0030】
請求項9のものは、請求項1〜8の何れかにおいて、前記第2スクリューは、外周部における前記第1スクリュー側の部位が、該第1スクリューによる前記押出材料の送り方向に回転するものとなしてあることを特徴とする。
【0031】
請求項10のものは、請求項1〜9の何れかにおいて、前記第1スクリューは、軸方向の両端部が回転可能に支持されていることを特徴とする。
【0032】
請求項11のものは、請求項1〜10の何れかにおいて、前記第1スクリューは、前記第2スクリューよりも短いものであることを特徴とする。
【0033】
請求項12のものは、請求項1〜11の何れかにおいて、前記第1スクリューのフライト部の外径が、前記第2スクリューのフライト部の外径よりも大径であることを特徴とする。
【0034】
請求項13はゴム製品の製造方法に関するもので、請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料を成形型のキャビティに注入し、該成形型で加硫してゴム製品を得ることを特徴とする。
【0035】
請求項14の製造方法は、請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料の押し出しを行い、押出し後の脱気状態のゴムを加硫してゴム製品を得ることを特徴とする。
【0036】
請求項15の製造方法は、請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料の連続押出しを行い、押出し後の脱気状態のゴム押出し品を無加圧の状態で加硫して長尺ゴム製品を得ることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0037】
以上のように本発明は、2つの単軸のスクリューを重なり合うように交差して設け、上流側の1軸目の第1スクリューを、交差部に隣接した上流部位に堰を有して、その堰により押出材料の狭小通路を形成するとともに、交差部には、スクリュー軸部の外周面に上記堰の最外径よりも小径となる押出材料の受渡し部を有し、その受渡し部の外周側に脱気室を形成するものとなし、一方下流側の第2スクリューは、第2スクリューの軸方向視において第2スクリューのフライト部が受渡し部に向けて堰の外周端よりも第1スクリューの径方向内方に入り込んだ状態となる位置に、第1スクリューに近接して配置し、そして第1スクリューの、上記の狭小通路を通じて受渡し部に流れ込んだ押出材料を、受渡し部に対して交差する第2スクリューがフライト部で掻き取って前進送りするようになしたものである。
【0038】
本発明によれば、上流側の1軸目の第1スクリューと、下流側の2軸目の第2スクリューとの回転数(回転速度)を調節することにより、脱気室への押出材料の流入量と、脱気室からの押出材料の流出量とのバランスを最適なバランスとすることが可能である。
【0039】
これにより、シリンダ前端部の押出口からの押出量を十分に確保しつつ、脱気室内の押出材料の量を適正な一定量に保持し得、押出材料の性質が異なることによって脱気室内での脱気量がばらつく問題を解決し得て、脱気室内での脱気量を一定となし得、且つ脱気効率を効果的に高めることができる。
また脱気室への押出材料の流入量(流入速度)が、脱気室からの押出材料の流出量(流出速度)よりも多い(速い)ことによって脱気室内に押出材料が累積し、そのことによってベント孔が塞がれるベントアップの発生を良好に防ぐことが可能となる。
【0040】
また、脱気室への押出材料の流入量と脱気室からの押出材料の流出量とがバランスするように設定してあっても、脱気室内の押出材料が下流側の第2スクリューに良好に食い込まれて行かないと、脱気室内に押出材料が滞留し累積して最終的にベントアップの問題を生じる恐れがあるが、本発明では、第2スクリューとの交差部において、第1スクリューのスクリュー軸部の外周面に堰の最外径よりも小径となる押出材料の受渡し部が設けてあるとともに、下流側の第2スクリューは、そのフライト部が上記受渡し部に向けて堰の外周端よりも第1スクリューの径方向内方に入り込んだ状態に位置させてあるため、第2スクリューのフライト部を可及的に受渡し部に、詳しくは受渡し部を構成するスクリュー軸部の外周面に近接させることができ、受渡し部に流入した押出材料を第2スクリューのフライト部が近い位置でこれを掻き取って脱気室から流出させることができる。
これにより第2スクリューへの脱気室内の押出材料の食込みが良好に行われないことによって、脱気室内に押出材料が滞留し累積するのを防ぐことができ、そのことによってベント孔が押出材料で塞がれるベントアップをより一層良好に防ぐことができる。
【0041】
更に受渡し部から第2スクリューへの押出材料の受渡しが良好に行われ、脱気室内に押出材料が滞留し累積することが防がれるため、脱気室内が累積した押出材料で広く占められることで、脱気室内での脱気量が不十分となってしまう問題も解決でき、脱気品質、脱気効率を一定且つ高効率に保つことができる。
【0042】
本発明は、押出材料としてのゴム材料を押し出す押出機に適用して特に好適である(請求項2)。
このようなゴム押出機に適用することで、脱気室内でのゴム材料の滞留によるスコーチを防ぎ、焼けゴムが正規のゴム材料中に混ざり込み、そのままゴム製品中に入り込むことによってゴム製品の不良をもたらす問題を良好に解決することができる。
またゴム押出機に適用した場合、第1スクリューにおける受渡し部のゴム材料を第2スクリューのフライト部で掻き取って行く際に、ゴム材料を引張して引き伸ばし、表面積を増大させることができるために、そのことによって脱気効率を高めることができる利点が得られる。
【0043】
本発明では、上記の受渡し部を、第1スクリューの軸方向において上記の堰から第2スクリューの径方向中心に向って小径となる形状となしておくことができる(請求項3)。
このようにした場合、第2スクリューのフライト部が受渡し部にある押出材料をより良好に掻き取って行くことができ、脱気室内に押出材料が累積し滞留するのをより効果的に防ぐことができるようになる。
【0044】
特に請求項4に従って、受渡し部の形状を、軸方向両端から中間部に向って小径化するくびれ形状となし、第2スクリューのフライト部が、くびれ形状の外周側に形成される溝空間に入り込んだ状態に位置するようになしておいた場合、受渡し部の押出材料を第2スクリューのフライト部にてより確実に掻き取るようにして脱気室から流出させるようになすことができる。
【0045】
本発明ではまた、第1スクリューの受渡し部をフライト部を有していない構成とすることができる(請求項5)。
このようにすることで、受渡し部において第1スクリューと第2スクリューとをより接近させること、詳しくは、第1スクリューの受渡し部に対して、第2スクリューのフライト部を上記堰の外周端よりも第1スクリューの径方向内方により深く入り込んだ状態となる位置に接近させることができ、より効率高く押出材料を第2スクリューのフライト部にて掻き取ることができる。
【0046】
本発明では、上記の狭小通路を、堰の外周部に形成された複数の小溝にて形成し、そしてその小溝を、第1スクリューの軸方向に対して、上記の溝側に進むに連れて第1スクリューに対する押出材料の相対回転方向に移行する形状の傾斜形状となしておくことができる(請求項6)。
このようにすることで、堰の上流側直前に到った押出材料を円滑に小溝内に導き且つ小溝に沿って流動させることができ、押出材料が小溝を通じて堰を円滑に越流できないことによって堰の直前で滞留するのを改善することができる。
【0047】
この場合において、堰に隣接した上流部位には、堰に向って大径化する案内部を設けておくことができる(請求項7)。
このようにすることで、押出材料を案内部で堰の外周側の小溝に向けて流動案内することができ、堰の上流直前位置で押出材料が滞留してしまうのを更に有効に改善することができる。
この場合においてその案内部はテーパ形状となし、また最大径部が堰の外周面に一致して繋がる形状となしておくことができる。
【0048】
本発明では、第1スクリューと第2スクリューとをそれぞれ水平方向に配向し、両者を交差させるように配置しておくことができる(請求項8)。
例えば上流側の1軸目のスクリューが上下向きに配向されていた場合、押出材料の供給口を最適位置に設けることが難しいが、第1スクリューと第2スクリューとを水平方向に配向した場合、供給口を近くの通路側の適宜の位置に配置することが容易であり、押出作業に際しての作業性を良くすることができる。
【0049】
本発明では、第2スクリューを、その外周部における第1スクリュー側の部位が、第1スクリューによる押出材料の送り方向に回転するものとなしておくことができる(請求項9)。
このようにすると、堰によって形成された狭小通路を通過して交差部の受渡し部に送り込まれて来た押出材料を、第2スクリューの回転によりその送り方向に良好に引張することができ、そのことにより押出材料の表面積をより大きくして脱気効率を高めることができる。
【0050】
本発明では、上流側の第1スクリューを軸方向の両端部において回転可能に支持すること、即ち第1スクリューを両持ちとしておくことができる(請求項10)。
通常、スクリューは軸方向の一端側でのみ回転可能に支持されること、つまり片持ちとされることが多いが、請求項10に従って第1スクリューを両持ちとした場合、第1スクリューを剛性高くしっかりと支持することができ、第1スクリューの芯振れによって第2スクリューとの間のクリアランスが変動してしまうのを良好に防ぐことができる。
またそのことによって、第2スクリューのフライト部と第1スクリューの受渡し部との位置関係を設定した適正な位置関係に保つことができ、受渡し部に流れ込んで来た押出材料に対する第2スクリューのフライト部による良好な掻取りを確保することができる。
【0051】
本発明では、上記の第1スクリューを、第2スクリューよりも短いものとなしておくことができる(請求項11)。
このようにすることで第1スクリューの剛性をより一層高剛性とすることができ、そのことによって第1スクリューの芯振れをより一層効果的に防ぐことができる。
【0052】
更にこの第1スクリューのフライト部の外径は、第2スクリューのフライト部の外径よりも大径となしておくことができる(請求項12)。

【0053】
加えてこのように第1スクリューを第2スクリューよりも大径となした場合、狭小通路における径方向の通路幅を小さくして、押出材料がその通路を通過する際の表面積の拡大を効果的に大きくしつつ、回転方向の周長を長くできることによって、狭小通路全体の通路面積を広く確保することができる。
これにより押出材料を効果的に薄肉化しつつ交差部の受渡し部即ち脱気室内に流入させることができるとともに、その流入量を多くすることができる。
従って、脱気室内への押出材料の流入量を多くできないことによって、シリンダ前端部の押出口からの押出量を多くできないといった問題を良好に解決でき、脱気室内に流入する押出材料の表面積を大きくすることで脱気効率を高めながら、十分な押出量を確保し易くなる。
【0054】
尚、射出成形装置における押出機等、成形装置に組み込まれている既設の押出機のスクリューを現状よりも大径化するとなると、多大なコストがかかってしまうが、上記の第1スクリューはその既設のスクリューに対して付加するように設けることができ、この場合には既設の押出機のスクリューをそのまま用いながら本発明の押出機を構成することが可能となるため、低コストで請求項12の押出機を構築することができる。
【0055】
次に請求項13はゴム製品の製造方法に関するもので、この製造方法では、請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料を成形型のキャビティに射出等により注入し、成形型で加硫してゴム製品を得るもので、この請求項13の製造方法によれば、気泡の無い良好なゴム製品を製造することができる。
【0056】
この請求項13の製造方法は、防振ゴム品やOA機器関連のロール品の製造方法として好適に適用することができ、これにより防振ゴム品やOA機器関連のロール品が加硫処理の際にゴム材料中のエアによって発泡するといった現象を防ぐことができ、気泡の無い品質の良好な防振ゴム品やOA機器関連のロール品を製造することができる。
【0057】
尚この場合の押出機はゴム製品の加硫成形装置に組み込まれたものとしておくことができる。
この場合には押出機の供給口(投入口)にゴム材料を供給する際、スクリューがゴム材料を噛み込む際に巻き込んだエアや、予めゴム材料中に含まれているエア等を良好に押出機にて除去し、エアを十分に除去した状態でゴム材料を成形型に供給することができる。
【0058】
次の請求項14もゴム製品の製造方法に関するもので、この製造方法では、請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料の押出しを行い、押出し後の脱気状態のゴムを加硫してゴム製品を得るもので、この請求項14の製造方法によれば、気泡の無い良好なゴム製品を製造することができる。
【0059】
請求項15もまたゴム製品の製造方法に関する。
但しこの請求項15の製造方法では、請求項2〜12の何れかに記載の2軸ベント式押出機を用いてゴム材料の連続押出しを行い、その後無加圧の状態で加硫して長尺ゴム製品を製造する。
この請求項15のゴム製品の製造方法では、押出機からゴム材料を連続押出しした段階で、ゴム材料中のエアを十分に取り除いておくことができるため、その後において連続押出しした未加硫の押出し品を加硫処理するに際し、蒸気加硫設備を用いなくても、電気式オーブン等の加硫設備を用いて無加圧で加硫処理を行うことが可能となる。
連続押出しした未加硫のゴム成形品中にエアが含まれていると、これを無加圧状態で加硫した場合、含まれているエアによって加硫品が発泡してしまう。
【0060】
しかるにこの請求項15の製造方法では、押出機から押し出したゴム材料からエアを十分に除去しておくことができるため、無加圧で加硫処理を行ってもそのような発泡を防ぐことができ、無発泡の良好な製品を得ることが可能となる。
而して無加圧で、即ち蒸気を用いないで加硫処理することができるため、容易に連続加硫を実現することができるとともに、蒸気による加硫のための高価な設備設置費やランニングコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】本発明の一実施形態である2軸ベント式押出機を有する射出成形装置の図である。
図2図1の2軸ベント式押出機を図1とは異なる方向から示した図である。
図3図1の要部を拡大して示した図である。
図4】同実施形態における脱気室及び周辺部を切り欠いて示した斜視図である。
図5】同実施形態における連結ブロックの図である。
図6】同実施形態における第1スクリューと第2スクリューとの交差部分を周辺部とともに拡大して示した図である。
図7】本発明の他の実施例の製造方法の説明図である。
図8】従来の単軸のベント式押出機の一例をその問題点とともに説明するために示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
次に本発明を、ゴム製品(この例では防振ゴム品)の射出成形装置の押出機に適用した場合の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10は射出成形装置で、キャビティ13を内部に備えた成形型12と、射出機14と、押出機16とを有している。
射出機14は、射出シリンダ17内部に射出チャンバ18を有しており、この射出チャンバ18内に設定チャージ量でチャージされたゴム材料を、射出プランジャ20の図中下向きの前進により、射出シリンダ17の前端部のノズル21から成形型12のキャビティ13内に一挙に射出する。
尚射出シリンダ17には、射出チャンバ18内のゴム材料を加熱する加熱手段としての加熱媒体の流路22が設けられている。
また射出シリンダ17には、射出チャンバ18に続いてノズル21に到るストレート形状の射出通路24が形成されている。
【0063】
一方押出機16は、図2にも示しているように上流側の第1押出機26、及びこれに連結された下流側の第2押出機28を有している。
この押出機16では、図2に示す供給口30から内部に供給されたテープ状の未加硫のゴム材料が、第1スクリュー32の回転により加熱下で可塑化され、流動化されつつ図2中下向きに前進送りされ、その後第2押出機28の第2スクリュー34(図1参照)に受け渡される。
そして第2スクリュー34に受け渡されたゴム材料が、図1において左向きに前進送りされ、そして第2押出機28の前端部の押出口36から押出通路38を通じて、射出機14の射出チャンバ18内に押し出される。
【0064】
このとき、射出機14においては射出チャンバ18内に押し出されたゴム材料により、射出プランジャ20が図中上向きに後退移動させられ、そして射出チャンバ18内に設定チャージ量でゴム材料がチャージされたところで、押出機16による押出し及び射出プランジャ20の後退が停止し、その後射出プランジャ20が図中下向きに前進移動して、射出チャンバ18内のゴム材料を射出通路24及びノズル21を通じて成形型12内に射出する。
【0065】
成形型12のキャビティ13内に射出されたゴム材料は、そこで一定時間加熱保持されて加硫処理される。
そして一定時間かけての加硫処理が終了したところで成形型12が開かれて、内部のゴム製品が外部に取り出される。
尚、上記の押出通路38上には逆止弁(逆流防止弁)40が設けられており、射出チャンバ18から第2押出機28内へのゴム材料の逆流が防止されている。
【0066】
第1押出機26は第1シリンダ42を有しており、その内側に第1スクリュー32が回転可能に保持されている。
また第2押出機28は第2シリンダ44を有しており、その内側に第2スクリュー34が回転可能に保持されている。
これら第1シリンダ42と第2シリンダ44とには、加熱手段としての熱媒体の流路22が設けられている。
【0067】
第1押出機26及び第2押出機28は、何れも水平方向に配向されており、それらが直角に交差する状態で連結ブロック46にて連結されている。
尚連結ブロック46は、第1スクリュー32及び第2スクリュー34のそれぞれの基端側の共通のハウジングをなしている。
即ち第1押出機26及び第2押出機28の共通の構成要素をなしている。
【0068】
上記下流側の第2押出機28における第2シリンダ44は、この連結ブロック46に対して、固定ブロック68及び締結ボルト70にて固定されており、また上流側の第1押出機26における第1シリンダ42は、連結ブロック46に対し、大径のフランジ部72において締結ボルト70にて締結固定されている。
尚、第1押出機26は第2押出機28の上側に配置されており、従って第1押出機26の第1スクリュー32は、第2押出機28の第2スクリュー34の上側に配置されている。
【0069】
下流側の第2押出機28の第2スクリュー34は、図1において右端側での片持ち支持とされており、そしてその右端側が駆動モータ48に作動的に連結されている。
第2スクリュー34は、この駆動モータ48により回転駆動される。
【0070】
第2スクリュー34は、図1に示しているようにスクリュー軸部50(以下単に軸部50とする)と、軸部50から突出し、軸部50の外周面周りに螺旋形状をなすフライト部52と、隣接するフライト部52と52との間に形成される溝(スクリュー溝)54とを有している。
図2に示しているように、第2押出機28には、第2スクリュー34の回転数(回転速度)を検出するセンサ56が設けられており、このセンサ56がコントローラ58に電気的に接続されている。そしてセンサ56からの回転数の情報がコントローラ58へと送られるようになっている。
【0071】
一方第1押出機26の第1スクリュー32は、軸方向の両端部がベアリング60,62を介して回転可能に支持されている。
即ち第1スクリュー32は、軸方向の両端部で両持ち支持されている。
この第1スクリュー32は、図2中下端側で駆動モータ64に作動的に連結され、第1スクリュー32がこの駆動モータ64にて回転駆動されるようになっている。
【0072】
この第1押出機26においても、第1スクリュー32の回転数(回転速度)を検出するセンサ66が設けられている。センサ66はコントローラ58に電気的に接続され、センサ66による第1スクリュー32の回転数の情報がコントローラ58へと送られるようになっている。
このコントローラ58にはまた、第2押出機28の駆動モータ48と第1押出機26の駆動モータ64とが電気的に接続され、それぞれがコントローラ58にて回転数制御されるようになっている。
【0073】
以上は駆動モータ48,64が電気モータである場合であるが、駆動モータ48,64が油圧モータである場合には、それぞれに作動油を供給する油圧回路上に、各駆動モータ48,64への作動油の供給流量を調節する電磁比例弁等から成る流量制御弁が設けられて、それら流量制御弁がコントローラ58に接続される。
この場合には流量制御弁の弁開度が制御されることで、各駆動モータ48及び64の回転数制御がなされる。
【0074】
以下では駆動モータ48,64が電気モータである場合について説明する。
尚、第1スクリュー32の外径D1は、第2スクリュー34の外径D2よりも大径とされている。
またこの第1スクリュー32は、第2スクリュー34よりも短く構成されている。
上流側の第1スクリュー32もまた、図2に示しているように、スクリュー軸部74(以下単に軸部74とする)と、軸部74の外周面から突出し、軸部74の外周面周りに螺旋形状をなすフライト部76と、隣接するフライト部76と76との間に形成される溝(スクリュー溝)78とを有している。
【0075】
図6に示しているように、第1スクリュー32と第2スクリュー34とは、第1スクリュー32が上側に、第2スクリュー34が下側に位置する状態で、重なり合うように直角に交差している。
第1スクリュー32には、第2スクリュー34との交差部に隣接した上流部位に、フライト部76と同じ外径を有する堰80が全周に亘り設けられている。
【0076】
この堰80の外周部には、堰80を図6中左端から右端に到るまで堰80を幅方向に貫通した小溝84が周方向に一定ピッチで多数設けられており、それら小溝84にて、ゴム材料を通過させる狭小通路86が構成されている。
この実施形態において、ゴム材料はこれら小溝84を図6中右向きに通過して流れることで、糸状となって堰80の下流側に隣接した、即ち交差部に形成された受渡し部88に流入する。
【0077】
ここで小溝84のそれぞれは、第1スクリュー32の軸方向と平行方向に対し、受渡し部88側に進むに連れて、図6(A)中矢印P1で示す第1スクリュー32回転方向と反対方向、つまり第1スクリュー32に対して相対的に反対方向に回転するゴム材料の回転方向に移行する傾斜形状且つストレート形状とされている。
つまり小溝84のそれぞれは、第1スクリュー32の軸方向に対して、図6(A)中軸直角方向視においてフライト部76と同じ側に傾斜した形状をなしている。
【0078】
第1スクリュー32は、この堰80と、図2に示す基端側の大径部92に続く円形の中径部94(中径部94はフライト部76及び堰80と同じ外径を有する)との間において、スクリュー軸部74の外周面に受渡し部88を有している。
ここで受渡し部88はその外周側に、図3に示す連結ブロック46に形成された凹所96とともに脱気室98を形成している。
この受渡し部88は、周方向に沿って環状に溝空間89を形成している。溝空間89は上記の脱気室98の一部を成している。
図3において100は、この脱気室98に開口したベント孔であり、脱気室98の内部は、このベント孔100を通じて真空ポンプ102により真空引きされる。
【0079】
図3に示しているように、連結ブロック46は、第2スクリュー34を挿通させる断面円形の挿通空間104を有しており、この挿通空間104が第2シリンダ44の内部空間へと繋がっている。
この挿通空間104はまた、図4図5にも示しているように、その一部が図3に示す連結ブロック46内の凹所96とも繋がっており、従ってこの挿通空間104もまた凹所96と繋がった部分の外周部、つまり第2スクリュー34を除いた部分が脱気室98の一部を形成している。
尚この挿通空間104は、第2スクリュー34の断面円形の且つフライト部52と同じ外径の基部106にて閉鎖されている。
【0080】
上記受渡し部88は、図6(B)に示しているように、軸方向の両端から中間部に向って小径化する形状をなしている。
具体的には、受渡し部88は堰80側の端部88aが、堰80の最大外径と同じ外径の端位置から図6(B)中右方向に進むに連れて小径化する円弧形状とされ、またこの端部88aに続く中間部88cが軸方向のストレート形状とされ、更にその中間部88cに続く中径部94側の端部88bが、中間部88cから中径部94に向うに連れて漸次大径化し、そして図中右端で中径部94の外径と一致してその外周面に繋がる円弧形状とされている。
【0081】
以上のように受渡し部88は、第1スクリュー32の軸方向において堰80から第2スクリュー34の径方向の中心に向って小径となる形状をなしており、特に軸方向両端から中間部に向って小径化する凹曲形状をなしており、第2スクリュー34における第1スクリュー32側の外周部が円弧形状の凸曲形状をなす第2スクリュー34のフライト部52の形状と対応したくびれ形状をなしている。
そしてくびれ形状をなす受渡し部88の外周側に形成される溝空間89内部に、第2スクリュー34の軸方向視において、そのフライト部52の外周部が入り込んでいる。
つまり下流側の第2スクリュー34は、第2スクリュー34のフライト部52が、受渡し部88に向けて堰80の外周端よりも第1スクリュー32の径方向内方に入り込んだ位置を通過する状態に、第1スクリュー32に近接して配置してある。
【0082】
尚この実施形態では、第2スクリュー34が図6(B)において受渡し部88に対し図中右側に偏って位置しており、フライト部52と受渡し部88との間のクリアランスは、端部88bとフライト部52との間で最小となり、その最小クリアランスCはここでは1mmである。
【0083】
この実施形態では、脱気室98内がベントゾーンとなる。
この実施形態において、図2の供給口30から連続的に第1押出機26内部に供給されたテープ状の未加硫のゴム材料は、第1スクリュー32の回転に伴って加熱下に可塑化されつつ流動化して図2中下向きに前進送りされ、図6の堰80の直前上流位置に到る。
ここに到ったゴム材料はテーパ形状の案内部90による案内の下に、第1スクリュー32の軸部74の外周面から堰80の外周部へと移動する。
そして堰80の外周部に到ったゴム材料は、堰80の外周部に沿って一定間隔で多数設けられた小溝84内部に流入した上、その小溝84内部を図中右向きに流動する。
【0084】
このときゴム材料は、第1スクリュー32の図6(A)中P1方向の回転とは反対方向に第1スクリュー32に対して相対的に回転運動しており、従ってゴム材料は円滑に小溝84内に入り込むとともに、その相対回転方向を維持しながら、その回転方向と同方向に傾斜した形状の小溝84内を流動することができる。
従ってゴム材料は円滑に小溝84を通過することができる。
【0085】
小溝84を流動し通過したゴム材料は、糸状となって堰80に隣接した受渡し部88に流れ込む。即ち脱気室98内に流入する。
このときゴム材料は表面積が増大しており、その状態で脱気室98内で真空引きされることで、ゴム材料中に含まれていたエアが良好に吸引除去される。
【0086】
受渡し部88内に流入したゴム材料は、その後受渡し部88から第2スクリュー34へと受け渡されるが、その際、受渡し部88のゴム材料が上手く第2スクリュー34に噛み込まれて行かないと、受渡し部88でゴム材料が累積し滞留してしまう。
そうすると受渡し部88に累積し滞留したゴム材料が高温下でスコーチを起してしまう恐れが生ずる。
【0087】
そのようにスコーチを起したゴム(焼けゴム)が、スコーチを生じていない正規のゴム材料と混ざり合って、第2スクリュー34へと噛み込まれて行くと、最終的にその焼けゴムがゴム製品中に入り込み、ゴム製品の特性の悪化を招いたり、製品不良の原因となったりする。
【0088】
しかるにこの実施形態では、下流側の第2スクリュー34が受渡し部88にて外周側に形成される溝空間89内に入り込んだ状態で、受渡し部88を第1スクリュー32と直交方向に通過しているため、受渡し部88内に流れ込んだゴム材料は、その後速やかに第2スクリュー34のフライト部52で掻き取られて受渡し部88から流出せしめられ、更に第2スクリュー34に噛み込まれて図1中左方向に前進送りされる。
そして最終的に第2押出機28の前端部の押出口36から射出機14内部に押し出され、その後射出プランジャ20の図1中下向きの前進により、成形型12のキャビティ13内に射出され、成形型12内で所定時間加熱加硫されてゴム製品となる。
【0089】
以上のような本実施形態では、上流側の1軸目の第1スクリュー32と、下流側の2軸目の第2スクリュー34との回転数(回転速度)を調節することにより、脱気室98へのゴム材料の流入量と、脱気室98からのゴム材料の流出量とのバランスを最適なバランス
とすることが可能である。
【0090】
これにより、第2シリンダ44前端部の押出口36からの押出量を十分に確保しつつ、脱気室98内のゴム材料の量を適正な一定量に保持し得、ゴム材料の性質が異なることによって脱気室98内での脱気量がばらつく問題を解決し得て、脱気室98内での脱気量を一定となし得、且つ脱気効率を効果的に高めることができる。
また脱気室98へのゴム材料の流入量(流入速度)が、脱気室98からのゴム材料の流出量(流出速度)よりも多い(速い)ことによって脱気室98内にゴム材料が累積し、そのことによってベント孔100が塞がれるベントアップの発生を良好に防ぐことが可能となる。
【0091】
また、脱気室98へのゴム材料の流入量と脱気室98からのゴム材料の流出量とがバランスするように設定してあっても、脱気室98内のゴム材料が下流側の第2スクリュー34に良好に食い込まれて行かないと、脱気室98内にゴム材料が滞留し累積して最終的にベントアップの問題を生じる恐れがあるが、本実施形態では、第1スクリュー32が堰80の最外径よりも小径で且つフライト部のない受渡し部88を有しており、そして第2スクリュー34がその受渡し部88と交差するように設けてあって、受渡し部88のゴム材料を第2スクリュー34がフライト部52で掻き取って脱気室98から流出させるため、脱気室98内にゴム材料が滞留し累積するのを防ぐことができ、ベント孔100がゴム材料で塞がれるベントアップをより一層良好に防ぐことができる。
更に第2スクリュー34のフライト部52が受渡し部88からのゴム材料を掻き取る際に、ゴム材料を引張し引き伸ばすために脱気室98での脱気の効率をより一層高めることができる。
【0092】
更に第1スクリュー32の交差部の受渡し部88から第2スクリュー34に対してゴム材料の受渡しが良好に行われ、脱気室98内にゴム材料が滞留し累積することが防がれるため、脱気室98内が累積したゴム材料で広く占められることで、脱気室98内での脱気量が不十分となってしまう問題も解決でき、脱気品質、脱気効率を一定且つ高効率に保つことができる。
【0093】
更に本実施形態では、脱気室98内でのゴム材料の滞留によるスコーチを防ぎ、焼けゴムが正規のゴム材料中に混ざり込み、そのままゴム製品中に入り込むことによってゴム製品の特性の悪化や製品不良をもたらす問題を良好に解決することができる。
【0094】
本実施形態では、受渡し部88の形状が第1スクリュー32の軸方向において堰80から第2スクリュー34の径方向中心に向って小径となる形状となしてあるため、第2スクリュー34のフライト部52が受渡し部88にあるゴム材料をより良好に掻き取って行くことができる。
特に受渡し部88の形状が第2スクリュー34のフライト部52の外周形状に対応したくびれ形状となしてあるため、受渡し部88のゴム材料を確実に掻き取って行くことができる。
これにより脱気室98内にゴム材料が累積し滞留するのをより確実に防ぐことができるようになる。
【0095】
本実施形態では、また、狭小通路86を構成する堰80の外周部の小溝84のそれぞれが受渡し部88側に進むに連れて第1スクリュー32に対するゴム材料の相対回転方向に移行する形状の傾斜形状となしてあるため、堰80の上流側直前に到ったゴム材料を円滑に小溝84内に導き且つ小溝84に沿って流動させることができ、ゴム材料が小溝84を通じて堰80を円滑に越流できないことによって、堰80の直前で多く滞留してしまわないようにすることができる。
【0096】
また堰80に隣接した上流部位に、堰80に向って大径化するテーパ状の案内部90が設けてあり、ゴム材料をその案内部90で堰80の外周側の小溝84に向けて流動案内することができるため、堰80の上流直前位置でゴム材料が多く滞留してしまうのを更に有効に防ぐことができる。
【0097】
本実施形態では、第1スクリュー32と第2スクリュー34とをそれぞれ水平方向に配向し、両者を交差させるように配置してあるため、供給口30を近くの通路側の適宜の位置に配置することが容易であり、押出作業に際しての作業性を良くすることができる。
【0098】
本実施形態では、第2スクリュー34を、その外周部における第1スクリュー32側の部位が、第1スクリュー32によるゴム材料の送り方向に回転するものとなしてあるため、堰80によって形成された狭小通路86を通過して交差部の受渡し部88に送り込まれて来たゴム材料を、第2スクリュー34の回転によりその送り方向に引張することができ、そのことによりゴム材料の表面積を大きくして脱気効率を高めることができる。
【0099】
更に本実施形態では、第1スクリュー32を軸方向の両端部で支持する両持ち支持となしてあるため、第1スクリュー32を剛性高くしっかりと支持することができ、第1スクリュー32の芯振れによって第2スクリュー34との間のクリアランスCが変動してしまうのを良好に防ぐことができる。
またそのことによって、第2スクリュー34のフライト部52と第1スクリュー32の受渡し部88との位置関係を設定した適正な位置関係に保つことができ、受渡し部88に流れ込んで来たゴム材料に対する第2スクリュー34のフライト部52による良好な掻取りを確保することができる。
【0100】
本実施形態では、第1スクリュー32を第2スクリュー34よりも短くしてあり、第1スクリュー32の剛性を高剛性としてあるため、第1スクリュー32の芯振れをより一層効果的に防ぐことができる。
【0101】
更にこの第1スクリュー32は、第2スクリュー34よりも大径とすることでその剛性が更に一層高剛性となしてある。
【0102】
加えてこのように第1スクリュー32を第2スクリュー34よりも大径となすことで、狭小通路86における径方向の通路幅を小さくして、ゴム材料がその通路を通過する際の表面積の拡大を効果的に大きくしつつ、回転方向の周長を長くできることによって、狭小通路86全体の通路面積を広く確保することができる。
これによりゴム材料を効果的に薄肉化しつつ、交差部の受渡し部88即ち脱気室98内に流入させることができるとともに、第1スクリュー32の回転数を特に高めないでも(回転数を高めるとゴム材料による発熱が大となってしまう)その流入量を多くすることができる。
従って、脱気室98内へのゴム材料の流入量を多くできないことによって、第2シリンダ44前端部の押出口36からの押出量を多くできないといった問題を良好に解決でき、脱気室98内に流入するゴム材料の表面積を大きくすることで脱気効率を高めながら、十分な押出量を確保し易くなる。
【0103】
尚、射出成形装置10における押出機等、加熱成形装置に組み込まれている既設の押出機のスクリューを現状よりも大径化するとなると、多大なコストがかかってしまうが、上記の第1スクリュー32はその既設のスクリューに対して付加するように設けることができ、この場合には既設の押出機のスクリューをそのまま用いながら、本実施形態の押出機16を構成することが可能となるため、低コストで本実施形態の押出機16を構築することができる。
【0104】
以上のような本例の製造方法に従って防振ゴム品を製造した場合、防振ゴム品が加硫処理の際にゴム材料中のエアによって発泡するといった現象を防ぐことができ、気泡の無い品質の良好な防振ゴム品を製造することができる。
尚、本例で示した防振ゴム品には、本体がゴムのみからなる防振ゴム品、内部に非圧縮性流体が封入された流体室を備える防振ゴム品等、あらゆる防振ゴム品が含まれる。
また、本例では防振ゴム品を例にして本発明を説明したが、OA機器関連製品としてのロール品等のゴム製品にも好適に適用され得る。
【0105】
また本実施形態では、射出成形装置10に2軸ベント式の押出機16を組付けて用いているが、本例の押出機16を単独で用いてゴム材料の押出しを行い、第2押出機の押出口から押出された、押出し後の脱気状態のゴムを加硫してゴム製品を製造することも可能である。このようにした場合でもゴム製品が加硫処理の際にゴム材料中のエアによって発泡するといった現象を防ぐことができ、品質の良好なゴム製品を製造することができる。
【0106】
上記の2軸ベント式押出機はまた、射出成形用の押出機としての他に、長尺ゴム製品を製造する際の押出機として用いることも可能である。
図7は、その一例としてゴムホースを製造する際の押出機として用いた例を示している。
この例では、押出機16の先端部に設けたヘッド120に対して樹脂製のマンドレル122を連続的に通過させながら、ヘッド120においてマンドレル122を被覆する状態にゴム材料を連続押出しする。
そしてヘッド120から、マンドレル122を被覆する状態に円筒状に押し出された未加硫のゴムホース124Aを、その進行方向下流側に配置した電気式オーブンから成る無加圧の加硫設備126に連続的に通し、加硫設備126内で未加硫のゴムホース124Aを連続加硫し、長尺の加硫後のゴムホース124を製造する。
尚、加硫後のゴムホース124とマンドレル122とはその後に分離され、また加硫後の長尺のゴムホース124はその後において適宜の長さに切断される。
【0107】
このゴムホース124の製造方法によれば、押出機16からゴム材料を連続押出しした段階で、ゴム材料中のエアを十分に取り除いておくことができるため、その後において連続押出しした未加硫のゴムホース124Aを加硫処理するに際し、蒸気加硫設備を用いなくても、電気式オーブンから成る加硫設備126を用いて無加圧で加硫処理を行うことが可能となる。
連続押出しした未加硫ゴムホース124Aにエアが含まれていると、これを無加圧状態で加硫した場合、含まれているエアによって加硫品が発泡してしまうが、この例の製造方法では、押出機16から押し出したゴム材料からエアを十分に除去しておくことができるため、無加圧で加硫処理を行ってもそのような発泡を防ぐことができ、無発泡の良好な製品を得ることが可能となる。
而して無加圧で、即ち蒸気を用いないで加硫処理することができるために容易に連続加硫を実現することができるとともに、蒸気による加硫のための高価な設備設置費やランニングコストを削減することが可能となる。
【0108】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上流側の第1スクリューと下流側の第2スクリューとは直角以外の角度で交差させておいても良いし、また本発明は各種用途の押出機に適用することが可能であり、更に上記の受渡し部88の形状を他の様々な形状となすことが可能である。
また上記の実施形態では堰80の外周部に沿って小溝84を多数設け、全体の小溝84をもって狭小通路86を形成しているが、図8に示したような堰218をフライト部とフライト部との間に設け、その堰とシリンダ内面との間の隙間をもって狭小通路となすことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 射出成形装置
12 成形型
13 キャビティ
14 射出機
16 押出機
32 第1スクリュー
34 第2スクリュー
52,76 フライト部
80 堰
84 小溝
86 狭小通路
88 受渡し部
90 案内部
98 脱気室
100 ベント孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8