【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
(1)マグネシウム薄板の負極と、電解液の塩を保持する含浸セパレーターと、炭素シートを積層して成るマグネシウム電池の起電層に、水または電解液を含浸させることで起電するマグネシウム電池において、電流の導通回路となる形状の金属薄板を内側に構成した裏の支持シートと、同じく導通回路となる形状の金属薄板を内側に構成した表の支持シートで、マグネシウム電池起電層の複数単位を、同一面に並べて挟んで一体とし、支持シートの面またはカードの側面にマグネシウム電池起電層への水または電解液の添加浸透を行う隙間或いは給水穴を設けたことを特徴とする、マグネシウムカード電池。
(2)マグネシウム電池起電層を偶数単位としたことを特徴とする(1)に記載のマグネシウムカード電池。
である。
【0016】
本発明は、
図6の符号6で示す、マグネシウム薄板またはマグネシウム合金薄板(以下、「Mg板」と言う)1枚と、符号8で示す、注入された水または電解液を保持する、また多価カルボン酸塩、塩化ナトリウム塩などを含んでいて、注入された水で生まれる電解液を含浸して保持する不織布、紙、多孔質樹脂などで構成したセパレーター(以下、「含浸セパレーター」と言う)1枚と、符号7で示す、炭素を主剤とする炭素シート(以下、「炭素シート」と言う)1枚を組み合わせた、起電層の1単位(以下、「起電単位」と言う)が起電をする最少単位であり、これに符号2または3の金属薄板を接触させて電流を得るもので、得られる電圧を必要な電圧に上げるために通常はこの起電単位を
図7の如く積層するが、この
図6の符号5の如き起電の最少単位である起電単位の厚さを本体の厚さとしてカード電池を作ることを目的とした。
【0017】
図6は符号5の起電単位の構造を示すもので、右が拡大図である。符号6がMg板、符号8が含浸セパレーター、符号7が炭素シートであり、これが起電層の起電単位である。符号2と3が裏支持シート及び表支持シートに構成された導通回路である。金属薄板は通常は銅薄板またはアルミ薄板、真鍮薄板であり、金属薄板のほか金属粉のシート或いは導電性樹脂シートも金属薄板に含む。
【0018】
マグネシウムの体積が、発電の容量すなわち、起電量にほぼ比例するので、目的によりマグネシウムを薄くし、また表面積を変える。従ってここで製作した起電単位の厚さは1.5mmであったが、さらに薄く1.0mm以下にすることも可能である。
【0019】
まず特許文献2の原理を使用して説明する。ここで使用した起電層は特許文献2の起電原理を使用したものである。Mg板と電解液の組成と炭素シートの組成にそれぞれ特徴があるが、本発明はこれの構造体に関するものであり、組成は一般のマグネシウム電池と同一であるので、これについてはかかわらず、これをカード化するためにさらに技術開発を行ったものである。特許文献1のマグネシウムとカルシウムの合金に塩水を電解液とする原理を使用する場合も、同一の方法でカード化を行うことが出来る。
【0020】
そのカード化は、
図8の如く通常の電池のように直列にすることを行わず、
図5の如くに起電単位を配置して、金属薄板の導通回路を構成した裏と表の支持シートで挟むことにより行い得たのである。
【0021】
裏の支持シート(以下、「裏支持シート」と言う)に、銅薄板などの金属薄板を定めた導通回路の形状に、貼付・転写・或いは印刷して構成(以下、「構成」と言う)し、これに符号6、符号8、符号7の3枚からなる起電単位を乗せて、次に被覆のために表の支持シート(以下、「表支持シート」という)に符号3の導通回路の形状を構成して被せて挟んで一体化する。裏支持シートも表支持シートもその材質は紙でも樹脂でも良く、材質を問わない。
【0022】
重ねられた起電層の起電単位は適度の強さで押さえられて面同志が接触していることが望ましい。そのために裏支持シートに起電単位の入る収納場所(以下「収納部」と言う)をあらかじめ凹ませて成形しておくのも良く、また起電層の入る収納部をくりぬいたスペーサーを乗せて挟んでシールするのも良く、また起電層の来る位置の周りにホットメルト樹脂を盛っておくのも良い。この収納部の深さは、起電単位の厚さと等しいか小さい。
【0023】
また、裏支持シートと表支持シートの伸びと収縮を利用し、起電単位を定位置に置いて挟んで、その周辺を加圧シールすることで起電単位を固定しても良い。
【0024】
一例を
図1と
図2により述べると、符号1の裏支持シートの上に、まず符号2の導通回路の形状の金属薄板を構成する、この上に
図1の如く、起電単位の収納部を符号4の穴状に開けた符号13のスペーサーを貼合のために置く。この貼合は、ヒートシール、ホットメルトシール、粘着、糊ずけのいずれでも良く、中心部の接着を行わないのも良い。これを水または電解液を添加した時の液の通路とし、水と電解液はここを通り含浸セパレーターに浸透する。
【0025】
次に、裏支持シートの上にくるスペーサーにある符号4の起電単位の収納部の穴に、符号5の起電単位を構成するMg板、含浸セパレーター、炭素シートを入れる。その積層の順は、隣り合う穴ごとに直列の回路になる如く逆の順になる如く入れる。起電単位を
図6に示すが、符号6はMg板、符号7は炭素シートであり、符号8は含浸セパレーターである。
図1で符号5で示す起電単位の中の3枚の内容は
図6にある。
【0026】
符号9の表支持シートには、その裏面に符号3の銅薄板等の金属薄板が起電単位に面で接触する導通回路として構成されていて、符号10の水または電解液を添加浸透するための給水穴または切れ目が構成されている。
【0027】
裏支持シート及び表支持シートの内面の導通回路の金属薄板の形状は、定位置に起電単位が配置された時に、Mg板と炭素シートに金属薄板の全面または一部分が接していて、出力端部からの起電単位を通っての導通の順序が、銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄板―銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄板―銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄板―銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄
板となる如く、表裏の支持シートの裏面にある銅薄板が隣の起電単位につながる直列の回路となる形状であり、その隣接する2つの銅薄板が、おのおのMg板から炭素シート、或いは炭素シートからMg板に繋がれる形状である。
【0028】
符号9の表支持シートを被せて加圧貼合して一体に成形されると、マグネシウムカード電池となる。符号10の穴はテープで上面をシールしても良いし、穴を切れ目で開けられるように構成しても良い。
【0029】
裏支持シートの導通回路の端部に符号11のLEDの端子を接触させて一体に成形すると
図2の如くカード電灯になる。この図面の下図は、裏支持シートにLEDをつなぎ、起電単位の4単位を載せたものであり、中図は構成されたものを横から見た図、上図が表支持シートの裏面を見た図である。
図3の如く、この裏支持シートの導通回路の端部を伸ばしてカードの端部に符号12の端子を出した状態にすると、外部電源として使用できる。これはマグネシウムカード電池を直列につないで電圧を上げる場合に便利である。
【0030】
収納部の穴に起電単位を入れたあと、表支持シートを被せて貼合して一体化する。裏支持シートか表支持シートには給水穴を一方または両方、または側面に作り、水または電解液を添加浸透するために供する。
【0031】
図4は裏支持シートに起電単位の収納部をあらかじめ凹ましておく例である。この場合は裏支持シートを熱可塑性樹脂とし、収納部に入れる符号2の銅薄板は裏支持シートの成形後に入れる。この場合収納部の凹部の深さを起電単位の厚さより浅く成形することが、起電単位と銅薄板との接触を良好にするために望ましい。表支持シートは成形しない。銅薄板を裏支持シートに予め部分接着しておき、シートを加圧成形しても良い。これにより銅薄板は滑って定位置に収まる。
【0032】
図10と
図11はスペーサーまたは成形した凹部の如き起電単位の収納部を用いない場合である。まず表裏の支持シートに熱可塑性樹脂を使用し、裏支持シートの上面の定位置に起電単位を構成して、この上に給水穴のある表支持シートを載せ、起電単位の周辺を部分加圧加熱してシールする。
【0033】
この場合は、
図10の如く銅薄板の起電単位と接触しない部分の形状を、Mg板との接触部分と炭素シートとの接触部分の導通に必要な巾として、表支持シートと裏支持シートのこれを跨るシール部分を残すのが良い。広告媒体の機能を重視する場合は、上支持シートの上面または表裏に美麗なカードを固着する。
【0034】
本発明のマグネシウムカード電池は、携行に便利である。従って他の通常のクレジットカードや名刺と共に常時携行し、また小さいサイズのカードの場合はそれを収納できる場所に入れて常時携行し、起電と点灯の必要な時に、添加浸透するための給水穴またはスリットに、手元にある水、唾液、その他の身近の液体を添加して浸透させれば良い。これにより直ちに点灯する。
【0035】
給水穴あるいはカッと目の上面にはテープをシールをするか、本体全体を防水フィルムで包むのは吸湿を防ぎ、長期保存に有効である。
【0036】
このカードの表面は有効な広告媒体になる。このカードを手にする人は、使用するまで安心感と共にこれをカード入れに入れていて記憶の中を反復学習することになる。
【0037】
また
図3の如く符号12の接続端子を出したものは、電気機器の電源として使え、また必要な時は直列にして電圧を上げることが出来る。