特許第6073954号(P6073954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073954
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】マグネシウムカード電池。
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/06 20060101AFI20170123BHJP
   H01M 4/46 20060101ALI20170123BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20170123BHJP
   H01M 6/34 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   H01M12/06 J
   H01M4/46
   H01M12/06 D
   H01M4/06 P
   H01M6/34 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-75059(P2015-75059)
(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公開番号】特開2015-201441(P2015-201441A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】特願2014-76217(P2014-76217)
(32)【優先日】2014年4月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】598008341
【氏名又は名称】大森 弘一郎
(72)【発明者】
【氏名】大森 弘一郎
【審査官】 ▲辻▼ 弘輔
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭40−023697(JP,B1)
【文献】 実公昭34−008040(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/06
H01M 4/06
H01M 4/46
H01M 6/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム薄板の負極と、電解液の塩を保持する含浸セパレーターと、炭素シートを積層して成るマグネシウム電池の起電層に、水または電解液を含浸させることで起電するマグネシウム電池において、電流の導通回路となる形状の金属薄板を内側に構成した裏の支持シートと、同じく導通回路となる形状の金属薄板を内側に構成した表の支持シートで、マグネシウム電池起電層の複数単位を、同一面に並べて挟んで一体とし、支持シートの面またはカードの側面にマグネシウム電池起電層への水または電解液の添加浸透を行う隙間或いは給水穴を設けたことを特徴とする、マグネシウムカード電池。
【請求項2】
マグネシウム電池起電層を偶数単位としたことを特徴とする請求項1に記載のマグネシウムカード電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のマグネシウム電池である、負極になる金属マグネシウム薄板と、セパレーターの多孔樹脂、不織布または紙と、正極になる炭素を主剤とするシートよりなる起電層を、複数単位重ねて積層することを行わず、起電層を同一の面状に複数単位を並べて、裏の支持シートと表の支持シートでサンドイッチ状に挟んで薄いカードとし、これを1枚、或いは複数枚使用して一次電池として、LED、水検知器、玩具或いは医療簡易検査などの電源に供する、カード状のマグネシウム電池であるマグネシウムカード電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマンガン乾電池、ニッケルマンガン電池、リチューム電池、空気亜鉛電池などの一次電池は、円筒形、ボタン型、角型の、体積を持った分厚い形状をしており、簡易な持ち運びと所持に不便であった。さらに使用していなくても内部放電があり、また誤ってスイッチがオンになることもあり、時間が経って使用したい時に、起電しない状態になっていることがあった。
【0003】
マグネシウムを使用した空気電池が近来開発されている。マグネシウムを負極として、電解液を含むセパレーターを間にして炭素を正極とすることにより起電しようと言うもので、マグネシウム電極にカルシウムを数パーセント含めた合金を使用してマグネシウムの表面の不動態化を防ぎ、電解液を塩水とする優れた電池として、特許文献1がある。
【0004】
マグネシウム板とセパレーターと炭素シートからなるマグネシウム電池起電層を複数枚重ねてケースに入れてLEDを繋いだ約10×30×60mm角の簡易非常ライトは製品として市場に出された。これは特許文献2の内容を製品化したもので、優れた機能を持っている。
【0005】
これは起電層に水を添加浸透させると、電解液の塩をあらかじめ含ませた乾燥状態のセパレーターに含まれた有機酸塩の結晶が水に溶解してこれが電解液となり、水の添加浸透が適正に続けば10数時間起電する。
【0006】
マグネシウムをテープ状にして、電解液の中に浸して表面の不動態化に合わせて巻き取り、起電を継続すると言う方式もある。これは特許文献3のものであり、これは大電力の取得を目的としている。
【0007】
マグネシウムが持つ理論上の起電できるエネルギーは、現存するリチュームイオン電池に比べてはるかに大きく、数倍のエネルギーを取り出せると言われる有望なエネルギー源である。マグネシウムは海水に約0.13パーセントが含まれ、これを太陽光で濃縮して精錬して純マグネシウムを取り出せれば、将来の有望なエネルギー源になると言われる。この着想による研究開発が始まっている。
【0008】
特許文献1、特許文献2、特許文献3の技術は、いずれもこのエネルギー源への大きい目標を持っているもので、本発明者もマグネシウム電池普及の一助になりたい思いで、研究開発を行っている。
【0009】
この大目標へ近づくための最大の弊害は、マグネシウム電池に対する一般人の認識の無さと開発への理解の少なさである。これの解消のために、小さな身近な電池でまず普及させて、マグネシウム電池の有望なエネルギー源への認識と期待を世の中に醸成する必要がある。
【0010】
マグネシウム電池はその起電層一単位の起電力は約1.4Vであり、電圧を上げる時には起電層が直列になるように重ねて積層している、特許文献1、特許文献3は起電層を電解液に浸してあり、特許文献2には、Mg板、セパレーターと炭素シートを重ねて積層して、このセパレーターにあらかじめ塩を含ませておき、水の添加浸透で電解液が得られるようにしてケースに収納するものがある。
【0011】
いずれのマグネシウム電池においても、電解液或いは水を添加しないで乾燥させておけば、自己放電は行われないので、長期保存に適する。特に特許文献2の製品は簡易であり、非常用の安全を目的とした場合に適するが、もっと簡便で安価なものが求められている。
【0012】
従来品はいずれも厚みがあり体積が大きく、使用者にとってこれは携行に不便であり、これがマグネシウ電池の普及の妨げになっているという問題点が有った。非常用として、常時携行できるものが求められていて、使用者にとっては点灯時間が数時間で充分であり、短時間ながら、確実に点灯する、薄くて所持に便利なカード状のライトが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2012−234799号公報
【特許文献2】WO2013−018769号公報
【特許文献3】特許第5034014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、薄いカード状で、所持に便利であり、必要時に簡単に確実に点灯するばかりでなく、これの製造が容易であるという、マグネシウムカード電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、
(1)マグネシウム薄板の負極と、電解液の塩を保持する含浸セパレーターと、炭素シートを積層して成るマグネシウム電池の起電層に、水または電解液を含浸させることで起電するマグネシウム電池において、電流の導通回路となる形状の金属薄板を内側に構成した裏の支持シートと、同じく導通回路となる形状の金属薄板を内側に構成した表の支持シートで、マグネシウム電池起電層の複数単位を、同一面に並べて挟んで一体とし、支持シートの面またはカードの側面にマグネシウム電池起電層への水または電解液の添加浸透を行う隙間或いは給水穴を設けたことを特徴とする、マグネシウムカード電池。
(2)マグネシウム電池起電層を偶数単位としたことを特徴とする(1)に記載のマグネシウムカード電池。
である。
【0016】
本発明は、図6の符号6で示す、マグネシウム薄板またはマグネシウム合金薄板(以下、「Mg板」と言う)1枚と、符号8で示す、注入された水または電解液を保持する、また多価カルボン酸塩、塩化ナトリウム塩などを含んでいて、注入された水で生まれる電解液を含浸して保持する不織布、紙、多孔質樹脂などで構成したセパレーター(以下、「含浸セパレーター」と言う)1枚と、符号7で示す、炭素を主剤とする炭素シート(以下、「炭素シート」と言う)1枚を組み合わせた、起電層の1単位(以下、「起電単位」と言う)が起電をする最少単位であり、これに符号2または3の金属薄板を接触させて電流を得るもので、得られる電圧を必要な電圧に上げるために通常はこの起電単位を図7の如く積層するが、この図6の符号5の如き起電の最少単位である起電単位の厚さを本体の厚さとしてカード電池を作ることを目的とした。
【0017】
図6は符号5の起電単位の構造を示すもので、右が拡大図である。符号6がMg板、符号8が含浸セパレーター、符号7が炭素シートであり、これが起電層の起電単位である。符号2と3が裏支持シート及び表支持シートに構成された導通回路である。金属薄板は通常は銅薄板またはアルミ薄板、真鍮薄板であり、金属薄板のほか金属粉のシート或いは導電性樹脂シートも金属薄板に含む。
【0018】
マグネシウムの体積が、発電の容量すなわち、起電量にほぼ比例するので、目的によりマグネシウムを薄くし、また表面積を変える。従ってここで製作した起電単位の厚さは1.5mmであったが、さらに薄く1.0mm以下にすることも可能である。
【0019】
まず特許文献2の原理を使用して説明する。ここで使用した起電層は特許文献2の起電原理を使用したものである。Mg板と電解液の組成と炭素シートの組成にそれぞれ特徴があるが、本発明はこれの構造体に関するものであり、組成は一般のマグネシウム電池と同一であるので、これについてはかかわらず、これをカード化するためにさらに技術開発を行ったものである。特許文献1のマグネシウムとカルシウムの合金に塩水を電解液とする原理を使用する場合も、同一の方法でカード化を行うことが出来る。
【0020】
そのカード化は、図8の如く通常の電池のように直列にすることを行わず、図5の如くに起電単位を配置して、金属薄板の導通回路を構成した裏と表の支持シートで挟むことにより行い得たのである。
【0021】
裏の支持シート(以下、「裏支持シート」と言う)に、銅薄板などの金属薄板を定めた導通回路の形状に、貼付・転写・或いは印刷して構成(以下、「構成」と言う)し、これに符号6、符号8、符号7の3枚からなる起電単位を乗せて、次に被覆のために表の支持シート(以下、「表支持シート」という)に符号3の導通回路の形状を構成して被せて挟んで一体化する。裏支持シートも表支持シートもその材質は紙でも樹脂でも良く、材質を問わない。
【0022】
重ねられた起電層の起電単位は適度の強さで押さえられて面同志が接触していることが望ましい。そのために裏支持シートに起電単位の入る収納場所(以下「収納部」と言う)をあらかじめ凹ませて成形しておくのも良く、また起電層の入る収納部をくりぬいたスペーサーを乗せて挟んでシールするのも良く、また起電層の来る位置の周りにホットメルト樹脂を盛っておくのも良い。この収納部の深さは、起電単位の厚さと等しいか小さい。
【0023】
また、裏支持シートと表支持シートの伸びと収縮を利用し、起電単位を定位置に置いて挟んで、その周辺を加圧シールすることで起電単位を固定しても良い。
【0024】
一例を図1図2により述べると、符号1の裏支持シートの上に、まず符号2の導通回路の形状の金属薄板を構成する、この上に図1の如く、起電単位の収納部を符号4の穴状に開けた符号13のスペーサーを貼合のために置く。この貼合は、ヒートシール、ホットメルトシール、粘着、糊ずけのいずれでも良く、中心部の接着を行わないのも良い。これを水または電解液を添加した時の液の通路とし、水と電解液はここを通り含浸セパレーターに浸透する。
【0025】
次に、裏支持シートの上にくるスペーサーにある符号4の起電単位の収納部の穴に、符号5の起電単位を構成するMg板、含浸セパレーター、炭素シートを入れる。その積層の順は、隣り合う穴ごとに直列の回路になる如く逆の順になる如く入れる。起電単位を図6に示すが、符号6はMg板、符号7は炭素シートであり、符号8は含浸セパレーターである。図1で符号5で示す起電単位の中の3枚の内容は図6にある。
【0026】
符号9の表支持シートには、その裏面に符号3の銅薄板等の金属薄板が起電単位に面で接触する導通回路として構成されていて、符号10の水または電解液を添加浸透するための給水穴または切れ目が構成されている。
【0027】
裏支持シート及び表支持シートの内面の導通回路の金属薄板の形状は、定位置に起電単位が配置された時に、Mg板と炭素シートに金属薄板の全面または一部分が接していて、出力端部からの起電単位を通っての導通の順序が、銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄板―銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄板―銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄板―銅薄板・Mg板・含浸セパレーター・炭素シート・銅薄
板となる如く、表裏の支持シートの裏面にある銅薄板が隣の起電単位につながる直列の回路となる形状であり、その隣接する2つの銅薄板が、おのおのMg板から炭素シート、或いは炭素シートからMg板に繋がれる形状である。
【0028】
符号9の表支持シートを被せて加圧貼合して一体に成形されると、マグネシウムカード電池となる。符号10の穴はテープで上面をシールしても良いし、穴を切れ目で開けられるように構成しても良い。
【0029】
裏支持シートの導通回路の端部に符号11のLEDの端子を接触させて一体に成形すると図2の如くカード電灯になる。この図面の下図は、裏支持シートにLEDをつなぎ、起電単位の4単位を載せたものであり、中図は構成されたものを横から見た図、上図が表支持シートの裏面を見た図である。図3の如く、この裏支持シートの導通回路の端部を伸ばしてカードの端部に符号12の端子を出した状態にすると、外部電源として使用できる。これはマグネシウムカード電池を直列につないで電圧を上げる場合に便利である。
【0030】
収納部の穴に起電単位を入れたあと、表支持シートを被せて貼合して一体化する。裏支持シートか表支持シートには給水穴を一方または両方、または側面に作り、水または電解液を添加浸透するために供する。
【0031】
図4は裏支持シートに起電単位の収納部をあらかじめ凹ましておく例である。この場合は裏支持シートを熱可塑性樹脂とし、収納部に入れる符号2の銅薄板は裏支持シートの成形後に入れる。この場合収納部の凹部の深さを起電単位の厚さより浅く成形することが、起電単位と銅薄板との接触を良好にするために望ましい。表支持シートは成形しない。銅薄板を裏支持シートに予め部分接着しておき、シートを加圧成形しても良い。これにより銅薄板は滑って定位置に収まる。
【0032】
図10図11はスペーサーまたは成形した凹部の如き起電単位の収納部を用いない場合である。まず表裏の支持シートに熱可塑性樹脂を使用し、裏支持シートの上面の定位置に起電単位を構成して、この上に給水穴のある表支持シートを載せ、起電単位の周辺を部分加圧加熱してシールする。
【0033】
この場合は、図10の如く銅薄板の起電単位と接触しない部分の形状を、Mg板との接触部分と炭素シートとの接触部分の導通に必要な巾として、表支持シートと裏支持シートのこれを跨るシール部分を残すのが良い。広告媒体の機能を重視する場合は、上支持シートの上面または表裏に美麗なカードを固着する。
【0034】
本発明のマグネシウムカード電池は、携行に便利である。従って他の通常のクレジットカードや名刺と共に常時携行し、また小さいサイズのカードの場合はそれを収納できる場所に入れて常時携行し、起電と点灯の必要な時に、添加浸透するための給水穴またはスリットに、手元にある水、唾液、その他の身近の液体を添加して浸透させれば良い。これにより直ちに点灯する。
【0035】
給水穴あるいはカッと目の上面にはテープをシールをするか、本体全体を防水フィルムで包むのは吸湿を防ぎ、長期保存に有効である。
【0036】
このカードの表面は有効な広告媒体になる。このカードを手にする人は、使用するまで安心感と共にこれをカード入れに入れていて記憶の中を反復学習することになる。
【0037】
また図3の如く符号12の接続端子を出したものは、電気機器の電源として使え、また必要な時は直列にして電圧を上げることが出来る。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、軽量でコンパクトな薄いカード状の電池である。LEDライトを内蔵すれば、そのままカード電灯となり、常時身に着けておいて、必要な時に水または電解液を添加浸透させることで点灯または起電する。薄くて軽量であるので、携行するのに便利であり、また広告媒体として有効である。乾燥状態では起電しないので長期間保存できる。また起電に要するのは、身近にある水または水溶液であるので、他の電解液を必要とせず、薄型軽量であって、長期保存が出来、起電と点灯は容易であるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下本発明を実施例で説明する。
【実施例1】
【0040】
実施例1を、図1により説明する。符号1の裏支持シートは樹脂コートされたカード状の紙であり、寸法は約85mm×54mmである。これに図2の下の図の符号2の如く、14mm×14mmの起電単位に面で接触する寸法の導通回路の銅薄板を、粘着方式で接着した。この構成は銅薄板の糊接着でも金属粉の転写でも良いが、ここでは片面粘着の銅薄板を使用した。この銅薄板は軽く位置決めされていれば良く、必ずしも強固に接着している必要はない。
【0041】
裏支持シートに接着された銅薄板の右端の端子部にLEDを固着する、この実施例では半田ずけで固着を行ったが、圧着でも良い。
【0042】
符号13のスペーサーは、起電単位の総厚さと同じか、総厚さよりも薄い0.7mmのシートで、図1の符号4の如く、起電層の収納部の穴を開けてある。符号13のスペーサーは両面にホットメルトグル―を塗布してあり、これで裏支持シートに貼る。ここでは符号4の収納部の穴を、四角の穴のお互いの近い角を繋ぐように切り取ってある。これは添加浸透のためであるが、この穴は必ずしも1か所である必要は無い。
【0043】
次に、スペーサーにある起電単位の収納部の穴に、符号5の14mm×14mmの3枚からなる起電単位を入れる。この入れる順は、手前右が、下から炭素シート、含浸セパレーター、Mg板の順であり、手前左が、下からMg板、含浸セパレーター、炭素シートの順、他の穴は隣が反対の順になるようにする。
【0044】
表支持シートは、裏面に符号3の形状の導通回路の銅薄板を裏支持シートと同様の方法で接着してある。この銅薄板の接着は、必ずしも強固である必要はなくそこに置ければよいのは裏支持シートと同一である。また表支持シートには水または電解液を添加浸透させる穴を開けてある。
【0045】
表支持シートを重ねて、熱プレスで加熱加圧し、裏支持シート、LED、スペーサー、起電単位、表支持シートを貼合あるいは熱融着して一体化すると、マグネシウムカード電池となった。このものに表支持シートにある給水穴から水を添加すると起電単位の含浸セパレーターに浸透して電解液が生じ、起電単位が起電されLEDが点灯し、約10時間点灯が継続した。
【実施例2】
【0046】
実施例2を、図2により説明する。これはスペーサーを持たないものである、裏支持シートの実施例1と同じ位置の銅薄板の上の所定位置に、起電層を実施例1と同じく積層しその隙間にホットメルトグル―を垂らして塗り、表支持シートを被せて加圧することで、成形が終了する方式である。この場合水または電解液を添加浸透させる穴の周辺にはグル―を垂らして塗らない。図3は同じ構造で符号12の接続端子を導通回路の銅薄板を延長して設けたものである。
【実施例3】
【0047】
実施例3を、図4により説明する。これはスペーサーを用いず、符号14の如き凹部をプレス成形した裏支持シートを用いたものである。符号14は熱可塑性樹脂として0.3mm厚さの塩化ビニールシートを使用して、起電単位の入る凹部を成形したもので、この凹部を成形後に符号2の如く導通回路の銅薄板を入れる。次に起電層を実施例1と同様の順に入れる。銅薄板を成形前に部分的に軽く貼っておき凹部の成形をする場合は、銅薄板はずれて定位置になる。
【0048】
図4の符号9の表支持シートは、裏面に塩化ビニールをコートしたものを使用した。この材質は裏支持シートとヒートシール可能の、同種の樹脂がコートした材料がよい。この裏面に図4の導通回路の銅薄板を接着させておくが、この銅薄板は表支持シートに接着させず、起電単位の上の定位置に置くのでも良い。符号2及び符号3の導通回路の銅薄板の形状は、起電層の全面と接触するのが望ましいが、小さくてもはみ出しても性能に大きな違いは無い。
【実施例4】
【0049】
実施例4を、図10図11を使用して説明する。この方式は、穴のあるスペーサーを用いず、また裏支持シートに凹部を付けないものである。銅薄板の形状は図10の符合2及び3の如く、起電単位と接する位置以外は細くして、表裏の支持シート相互間のシール適性を上げるものである。
【0050】
裏支持シートの上にある銅薄板の上の定位置に起電単位を置き、その上に銅薄板のある表支持シートを載せて、その上から起電単位の周辺を加圧して加熱シールする。シートには伸縮性があり、シール時には起電単位のある位置が凸型に盛り上がって形状が安定し、シール後は起電単位を適度に圧迫してくれる。加圧シール部には図11の符号15の位置の如く銅薄板の一部が挟まれているが、シールはこれを挟んだ形で行われる。
【0051】
広告媒体の機能を重視する場合は,この表支持シートの上面,又は表裏の指示シートの表面に、美麗なカードを貼る。
【実施例5】
【0052】
実施例5を、図5を使用して説明する。この方式は、起電単位を1列に並べたもので、導通回路の銅薄板の形状は符号2及び3の如く、水または電解液を添加浸透させる穴は下図下部の側壁に不接着部を設けてある。裏支持シート、スペーサー、表支持シートの一体化のシールにおいて、水または電解液を添加浸透させるスリットを側壁に作るように、一部に圧力をかけないでシール接着する。
【0053】
この方式の場合は、出力端子を設けて、複数のマグネシウムカード電池を並べる場合に水または電解液を添加浸透させるスリットが下になるように並べることで、均等に水または電解液を添加浸透させることが出来る。
【0054】
ここでは4つ起電単位を設けたが、必要な電圧に合わせて、さらに起電単位数を増やしても良い。
【実施例6】
【0055】
実施例6を図9により説明する。マグネシウムカード電池は起電層を4単位とした組み合わせが、通常のLEDの点灯に適当であるが使用電圧の高いLEDに使用するために、起電層の枚数を多くしたい場合がある。それに対する適応の実施例が図9である。符号は他と共通に使用してある。
【0056】
この場合符号11のLEDを表支持シートの導通回路の銅薄板につける以外は、他の説明と同じであるので、重複を防ぐために説明を略す。いずれも、水を添加することで水が浸透して電解液を生じ、点灯は良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】マグネシウムカード電池の積み上げ構造
図2】LEDを使ったマグネシウムカード電池の展開構造
図3】接続端子を使ったマグネシウムカード電池の展開構造
図4】凹部を真空成形した裏支持シートを用いたマグネシウムカード電池の積み上げ構造
図5】起電層を一方向に並べたマグネシウムカード電池の展開構造
図6】起電層の構造
図7】起電層を積層した構造
図8】起電層を直列に並べた構造
図9】起電層を6単位にしたマグネシウムカード電池の展開構造
図10】スペーサーと凹部を持たないカード電池の構造
図11】スペーサーと凹部を持たないカード電池の断面透視図
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、マグネシウム電池の複数の起電層を同じ面状に並べて、金属薄板の導通回路を構成した支持カードで挟んで一体にしたもので、製造が容易で安価であり、薄いカード状で携行に便であり、それゆえ宣伝媒体にも使え、これを携行している人は、非常時に点灯して使用できるという安心感を持ち、また非常時の夜間に安全に行動をすることが出来る。
【符号の説明】
【0059】
1 裏支持シート
2 裏支持シートの導通回路の銅薄板
3 表支持シートの導通回路の銅薄板
4 起電層の収納部
5 起電単位
6 Mg板
7 炭素シート
8 含浸セパレーター
9 表支持シート
10 水または電解液を添加浸透させる穴
11 LED
12 接続端子
13 スペーサー
14 凹部を成形した裏支持シート
15 シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11