(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6073987
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】タッチ表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20170123BHJP
【FI】
G06F3/041 450
G06F3/041 400
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-138374(P2015-138374)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2016-21238(P2016-21238A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2015年7月10日
(31)【優先権主張番号】201410335959.0
(32)【優先日】2014年7月15日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】スー フーユゥ
(72)【発明者】
【氏名】シュー イーチュン
(72)【発明者】
【氏名】ファン リーチャン
【審査官】
▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/094476(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/097803(WO,A1)
【文献】
特開2014−146283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視領域と非可視領域を有し、前記非可視領域が前記可視領域の辺縁に位置する透明基板と、
前記透明基板の前記非可視領域上に配置され、可視光を透過する第1インク層と、
前記第1インク層上に配置された遮光層と、
前記第1インク層の一部の上に配置され、前記第1インク層と前記遮光層との間に位置する装飾層と、
前記第1インク層上に配置され、前記第1インク層と前記遮光層との間に位置する第2インク層と、
を備え、
前記第1インク層の光学密度は、0.3と0.67との間である、
タッチ表示装置。
【請求項2】
前記装飾層は、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、パターンを形成する、
請求項1に記載のタッチ表示装置。
【請求項3】
前記第1インク層の厚さは、5μmと14μmの間である、
請求項1又は2に記載のタッチ表示装置。
【請求項4】
前記第2インク層は、前記装飾層をさらに覆う、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のタッチ表示装置。
【請求項5】
前記装飾層を有する前記非可視領域の区域と前記装飾層を有しない前記非可視領域の区域との色の許容差は、1.3から12の間である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のタッチ表示装置。
【請求項6】
前記遮光層は、黒色インク、黒色フォトレジスト、又はこれらの組み合わせである、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のタッチ表示装置。
【請求項7】
前記第1インク層は、白色インクである、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のタッチ表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチ表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術が進歩するに伴い、携帯電話、タブレットコンピュータ、ウルトラブック、衛星ナビゲーション機器等の様々なデジタル機器が考案されてきている。キーボード又はマウスを用いた一般的な入力又は操作に加えて、タッチ技術を利用したデジタル機器の操作は、非常に便利で人気のある操作方法である。タッチ表示パネルは、入力操作のための人間らしく直観的なインターフェースであり、あらゆる年齢層のユーザは、指やスタイラスでデジタル機器を直接選択又は操作することができる。このため、タッチ入力は、市場において人気が高まりつつある。
【0003】
タッチ表示装置は、可視領域と、当該可視領域の外側の非可視領域を含む。非可視領域は、一般的に辺縁として知られている。タッチ表示パネル内の不透明な電子部品を隠すために非可視領域上にはインク層が設けられており、タッチ表示パネルは比較的、審美的である。現在、タッチ表示パネルの辺縁は主に黒色インクを含み、ファンクションボタンやロゴ又は他のアイコンとして、他の色のインク(例えば、白又はシルバー)のインクで満たすために、いくつかのくぼみ領域がインクの形成時に確保されている。しかしながら、白色は大衆に愛されるシンプルで純粋な品質を有しているため、タッチ表示パネルの辺縁は白で設計されているものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、明るい色のインク(白等)が辺縁のメインカラーとして用いられた場合、暗い色のインク(黒等)が一般的にファンクションボタンやロゴ又は他のアイコンとして用いられる。この2つの色は、それらの大きな差異のため強いコントラストを形成し、視覚的に洗練されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係るタッチ表示装置は、透明基板、第1インク層、遮光層、装飾層を含む。前記透明基板は、可視領域と非可視領域を有する。前記非可視領域は、前記可視領域の辺縁に位置する。前記第1インク層は、前記透明基板の前記非可視領域上に配置されている。前記遮光層は、前記第1インク層上に配置されている。前記装飾層は、前記第1インク層の一部の上に配置され、前記第1インク層と前記遮光層との間に位置している。前記第1インク層の光学密度は、0.3と0.67との間である。
【0006】
実施の形態においては、前記装飾層は、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、パターンを形成する。
【0007】
実施の形態においては、前記第1インク層の厚さは、5μmと14μmの間である。
【0008】
実施の形態においては、タッチパネル表示装置は、前記第1インク層上に配置され、前記第1インク層と前記遮光層との間に位置する第2インク層をさらに備える。
【0009】
実施の形態においては、前記第2インク層は、前記装飾層にさらに覆われている。
【0010】
実施の形態においては、前記装飾層を有する前記非可視領域の区域と前記装飾層を有しない前記非可視省域の区域との色の許容差は、1.3から12の間である。
【0011】
実施の形態においては、前記遮光層は、黒色インク、黒色フォトレジスト、又はこれらの組み合わせである。
【0012】
実施の形態において、前記透明基板は、ガラス基板、プラスチック基板、サファイア基板、又は偏光板である。
【0013】
実施の形態において、前記第1インク層は白色インクである。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本開示に係るタッチ表示装置について、第1インク層の光学密度を設計することによって、非可視領域上の装飾層の色を、第1インク層を介して比較的に優しく見せ、非可視領域全体の色彩表示を比較的調和、整合させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、詳細な説明及び添付図面から、より完全に理解される。これらは説明のためのみに用いられ、本開示を限定するものではない。
【
図1A】本開示の実施の形態に係るタッチ表示装置の正面図である。
【
図2A】本開示の実施の形態に係るタッチ表示装置の断面図である。
【
図2B】本開示の実施の形態に係るタッチ表示装置の他の態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、添付図面を参照して進められる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。同一の符号は同一の構成要素に関連する。
【0017】
図1Aは、本開示の実施の形態に係るタッチ表示装置の正面図である。
図1Bは、
図1AのA−A線に沿った断面図である。
図1A、1Bを参照すると、実施の形態において、タッチ表示装置1は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、又はウェアラブルデバイスであるが、これらに限定されない。実施の形態では、タッチ表示装置1は、透明基板11、第1インク層12、装飾層13、遮光層14を含む。
【0018】
透明基板11は、非可視領域111、可視領域112を含む。透明基板11は、ガラス基板、プラスチック基板、サファイア基板、又は偏光板である。実施の形態においては、例えばガラス基板であるが、これに限定されない。可視領域112は、タッチ表示装置1の表示領域であり、すなわち、タッチ表示装置1の画面である。非可視領域111は、可視領域112の辺縁に位置している。すなわち、非可視領域111は、可視領域112の少なくとも一つの側に位置している。配線、回路基板、又は他の電子部品を覆うために、多層の遮蔽構造が非可視領域111上に設けられており、審美的機能を有している。ここで、第1インク層12、装飾層13、及び遮光層14は、遮蔽構造の役割を果たす。
【0019】
第1インク層12は、透明基板11の非可視領域111上に配置されている。遮光層14は、第1インク層12上に配置されている。装飾層13は、第1インク層12の一部の上に配置され、第1インク層12と遮光層14の間に位置する。実施の形態では、第1インク層12は、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、又はパターンを形成する(不図示)。例えば、ロゴは、
図1Aに示される区域Lに提示され、通常、製品ブランドのロゴである。ファンクションボタンアイコンは、例えば、
図1Aに示される区域I1、区域I2、区域I3によって提示され、例えば、バックボタンやホームボタンである。パターンは、例えば、非可視領域111にデザインされるストライプ、格子、他のパターンである。
【0020】
さらに、第1インク層12の光学密度(OD)は、0.3から0.67の間である。低い光学密度の特性(すなわち、高い光透過率)のため、装飾層13の色は第1インク層12を介して露呈される。例えば、第1インク層12が白であり、装飾層13が赤である。上述の光学密度の設計により、ユーザは装飾層13が実質的に赤であると視認できるが、装飾層13は白色インクを通ってピンクに見える。装飾層13により形成された、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、パターン又は他の領域の色は、比較的優しく、非可視領域111の全体の色彩表示が比較的調和、整合される。好ましくは、装飾層13を有する非可視領域111の区域と、装飾層13を有しない非可視領域111の区域の色の許容差は、1.3から12の間である。
【0021】
第1インク層の光学密度は比較的低いため、光は容易にそれを通過し、ユーザは、タッチ表示装置1内の配線や、回路基板、又は他の電子部品を視認できる。このため、遮光層14は、比較的高い光学密度の材料を用いる。ここで、遮光層14は、インク、フォトレジスト又はこれらの組み合わせを含み、例えば、黒色インク、黒色フォトレジスト、又は黒色インクと黒色マトリックスフォトレジストの重ね合わせであり、上述の部品が効果的に遮蔽される。
【0022】
製造プロセスにおいては、第1インク層12は、まず透明基板11の非可視領域111の全てを実質的に覆うように形成される。形成方法は、例えば、コーティング、印刷、スパッタリングなどであるが、これらに限定されない。さらに、第1インク層12の光学密度の範囲に応じて、第1インク層12の色又は厚さは調整可能である。例えば、第1インク層12の色を白、黄色又は他の明るい色に調整するか、又は第1インク層12の厚さを5μmから14μmに設定することで、第1インク層12の光学密度を上記の範囲に制御することができる。
【0023】
その後、装飾層13が、第1インク層12の一部上に形成される。装飾層13は、例えば、マスク印刷によって形成される。マスクが第1インク層12上に形成され、そして、インクがマスクの開口部に印刷され、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、パターン、他のグラフィックが形成される。装飾層13の形状は、開口部の形状によって決まる。
【0024】
最後に、第1インク層12、装飾層13が形成された上述の透明基板11の非可視領域111は、遮光層14により覆われる。好ましくは、遮光層14は、非可視領域111の全領域を覆う。ここで、透明基板11は、以降のプロセス、例えば、タッチ導電層の形成、フレキシブル回路基板の接続、表示モジュールの取付が進められる。
【0025】
なお、第1インク層12は、例えば白のインクであり、厚さが5μmよりも薄い場合、ピンホール等の印刷の問題に陥りやすい。また、光学密度が低く、光透過率が比較的高いため、装飾層13の色が比較的鮮やかであり、非可視領域全体の色は上述のように調和、整合されない。一方、厚さが14μmよりも厚い場合、第1インク層12の光学密度が高く、光透過率が比較的低いため、装飾層13は、第1インク層12により遮光され、装飾層13の色が視認されない。
【0026】
図2Aは、本開示の実施の形態に係るタッチ表示装置2の断面図である。
図2Aを参照すると、タッチ表示装置2は、大部分はタッチ表示装置1と同一であり、透明基板21、第1インク層22、装飾層23、遮光層24を含む。これらの説明は、
図1A、1Bの説明が参照される。本実施の形態において、タッチ表示装置2は、さらに第1インク層22上に配置され、第1インク層22と遮光層24との間に位置する第2インク層25を備える。
【0027】
本実施の形態において、第2インク層25と装飾層23とは同じ平面上に位置し、第2インク層25と装飾層23の厚さは実質的に同一である。第2インク層25の特性は、非可視領域(
図1Aに示される非可視領域111参照)の光学密度を高める。第2インク層25の色と第1インク層22の色とが同一(白等)である場合、第1インク層22の色濃度が高くなる。
【0028】
製造プロセスにおいて、第1インク層22が形成された後に、まず第2インク層25が第1インク層22上に形成される。ここで、装飾層23のグラフィックを形成する指定区域がマスクにより覆われ、第2インク層25が非可視領域の残りの領域に印刷又はコーティングされる。そして、装飾層23が第2インク層25を有しない第1インク層22の第1インク層22の一部の上に形成される。すなわち、装飾層23は、第2インク層25のくぼんだグラフィック区域上に形成され、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、又はパターンを形成する。なお、装飾層23と第2インク層25の形成順は逆であってもよい。例えば、最初に、装飾層23が、ロゴ、ファンクションボタンアイコン、又はパターンのマスクによって、マスクの開口部に形成される。そして、第2インク層25が、装飾層23を有しない第1インク層22の一部上に形成される。実施の形態のタッチ表示装置2の製造は比較的複雑であり、タッチ表示装置2の全体の厚さはわずかに増加するが、第2インク層25は第1インク層22の光学密度を高め、電子部品を実際に遮蔽する。
【0029】
図2は、本開示の実施の形態にかかる他の態様の断面図である。
図2Bを参照すると、当該態様において、タッチ表示装置2aの第2インク層25aは、さらに装飾層23を覆う。すなわち、第2インク層25aは、非可視領域(
図1Aに示される非可視領域111参照)の全領域上に形成される。製造プロセスにおいて、第2インク層25aは、第1インク層22と装飾層23上に、マスクなしで印刷又はコーティングされる。従って、許容差を低減するように位置合わせをする必要がないので、製造は比較的簡単で便利である。
【0030】
さらに、装飾層23の色彩表示は、第1インク層22の色及び厚さのみに影響される。すなわち、装飾層23の色は、第2インク層25の色及び厚さに影響を受ける可能性が低い。すなわち、装飾層23の色彩表示は、インクの色及び透明基板21と装飾層23の間のインクの色及び厚さによって決定される。
【0031】
従って、本開示に係る
タッチ表示装置によれば、第1インク層の光学密度を設計することにより、非可視領域上の装飾層の色を、第1インク層を介して比較的優しく見せ、非可視領域全体の色彩表示を比較的調和、整合させる。
【0032】
本開示は特定の実施の形態を参照して説明されたが、この説明は、限定する意味で解釈されることを意図していない。代替的な実施の形態だけでなく、開示された実施の形態の様々な改良が当業者にとって明らかである。このため、添付の特許請求の範囲が、本開示の真の範囲内のすべての改良をカバーする。
【0033】
本願は、出願番号が201410335959.0であって、出願日が2014年7月15日である中国特許出願に基づき優先権を主張し、当該中国特許出願のすべての内容を本願に援用する。