特許第6074029号(P6074029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6074029テキスタイル加工機械用のサーキュラーコーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6074029
(24)【登録日】2017年1月13日
(45)【発行日】2017年2月1日
(54)【発明の名称】テキスタイル加工機械用のサーキュラーコーム
(51)【国際特許分類】
   D01G 15/88 20060101AFI20170123BHJP
   D01G 19/10 20060101ALI20170123BHJP
【FI】
   D01G15/88
   D01G19/10 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-513032(P2015-513032)
(86)(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公表番号】特表2015-520809(P2015-520809A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】EP2013000809
(87)【国際公開番号】WO2013178305
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2014年11月19日
(31)【優先権主張番号】102012010807.9
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002323
【氏名又は名称】ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュレンクレマー
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭42−008492(JP,Y1)
【文献】 特開昭57−025420(JP,A)
【文献】 特開2011−080192(JP,A)
【文献】 特開昭58−004826(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00253071(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーマ用のサーキュラーコームであって、
ベースボディ(2)を有し、
前記ベースボディに少なくとも2つの取り付け部材(7)が、平面的に構成された磁石(6)によってベースボディ(2)に固定可能であって、
前記取り付け部材(7)がそれぞれ多数の歯セグメント(10)を有しており、
前記歯セグメントがサーキュラーコーム(1)の中心長手軸(3)の方向に相前後して配置され、かつ互いに結合されており、
かつ、前記取り付け部材(7)がベースボディ(2)上に部分的に重なり合うことができるように配置されている、
ことを特徴とするコーマ用のサーキュラーコーム。
【請求項2】
前記磁石(6)が、永久磁石として形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のサーキュラーコーム。
【請求項3】
前記磁石(6)が少なくとも部分的に、前記ベースボディ(2)の被覆面(4)上に、あるいはそれと共に固定可能である、ことを特徴とする請求項1に記載のサーキュラーコーム。
【請求項4】
前記磁石(6)が、前記ベースボディ(2)の凹部内に配置され、かつ固定されている、ことを特徴とする請求項3に記載のサーキュラーコーム。
【請求項5】
前記ベースボディの前記被覆面(4)全体が、磁石(6)として形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のサーキュラーコーム。
【請求項6】
前記取付部材(7)が、前記ベースボディ(2)上に実質的に前記中心長手軸(3)に沿って形状結合で位置決め可能である、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のサーキュラーコーム。
【請求項7】
前記取り付け部材(7)が、少なくとも部分的に形状結合で前記ベースボディ(2)と結合可能である、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のサーキュラーコーム。
【請求項8】
各端面(5)において、前記取り付け部材(7)と前記ベースボディ(2)の間に凹部(17)が配置されており、
前記凹部内へ、前記取り付け部材(7)を前記ベースボディ(2)から取り外すための工具が嵌入できる、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のサーキュラーコーム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載のサーキュラーコームを含むテキスタイル加工機内で使用される取り付け部材(7)に設けられる、多数の歯セグメント(10)を結合する方法であって、
前記歯セグメント(10)はそれぞれ歯先(11)と歯の基部(12)を有する歯(13)を複数含んでおり、かつ前記歯セグメント(10)が互いに対して平行に配置されていて、
前記多数の歯セグメント(10)の結合を材料結合で行う、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記材料結合による結合が、溶接継ぎ目(15)によって行われる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記歯セグメント(10)が少なくとも1つの溝(14)を有し、前記溝の内部で材料結合による結合が行われる、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの溝(14)が、前記歯の基部(12)の領域内に配置されている、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの前記歯セグメント(10)が、ばね(9)を有している、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ばね(9)が、前記歯セグメント(10)と材料結合で結合されている、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載されたコーマ用のサーキュラーコームに関する。
【背景技術】
【0002】
コーマに設けられるサーキュラーコームは、個々のコーミングセグメントからなり、それがボルトまたはばね/溝システムによってベースボディに固定されている。
コーミングセグメントは、互いに接して列をなす鋸歯打ち抜き部分を収容しており、その鋸歯打ち抜き部分は通常保持バー上に列をなして並べられている。
【0003】
特許文献1には、サーキュラーコームが記載されており、それにおいては多数のコーミングセグメントが別々にベースボディ上に固定されている。
この従来技術によれば、個々のコーミングセグメントを交換すること、および十分な精度でベースボディ上に位置決めすることは、極めて煩雑である。
【0004】
特許文献2は、サーキュラーコームを開示しており、それにおいて個々のコーミングセグメントは力結合でベースボディと結合されている。
コーミングセグメントをベースボディから外すために、ベースボディには別体のアンロック装置が配置されている。
この実施例においては、力は磁石によってコーミングセグメントへもたらされ、その場合に磁石は、ベースボディの溝内に配置されているバーとして形成されている。
特許文献3は、サーキュラーコームのベースボディにコームセグメントを磁気的に固定することを開示している
特許文献4は、相前後して配置された個々の打ち抜き部品からなる、サーキュラーコームのコームセグメントが記述される。打ち抜き部品は、互いに列をなす配置において、溝内へ挿入して固定するためのプリズム状の部材が生じるように、構成されている。
【0005】
この従来技術における欠点は、ベースボディとコーミングセグメントの形成が複雑なこと、コーミングセグメントの交換が煩雑であることおよびベースボディ上に位置決めする際のその精度が十分でないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許公報EP0969129A2
【特許文献2】独国特許公報DE102009018058A1
【特許文献3】欧州特許公報EP0969129A2
【特許文献4】独国特許公報DE102009018058A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来技術に基づいて、本発明の課題は、コーミングセグメントのコストパフォーマンスのよい形成およびそれを迅速かつ正確に位置決めできることを保証し、かつサーキュラーコームの構造を簡単にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこの課題を、請求項1の特徴によって解決する。他の好ましい形態が、下位請求項によって特徴づけられている。
【0009】
請求項1に記載の技術的教示によれば、コーマのためのサーキュラーコームはベースボディを有し、そのベースボディに少なくとも2つの取り付け部材が固定可能であって、その場合に各取り付け部材が多数の歯セグメントを有し、その歯セグメントがサーキュラーコームの中心長手軸の方向に相前後して配置され、かつ互いに結合されている。
従来技術とは異なり、取り付け部材は平面的に形成された磁石によって力結合でベースボディに固定可能である。
それによってベースボディに磁石をより確実かつ正確に固定することが可能になるので、螺合を緩めることなしに取り付け部材の交換が可能である。
従来技術とは異なり、磁石は平面的に形成されており、それによって、バーとして形成され、かつ1つの領域内でのみ取り付け部材をベースボディに固定する、単独の磁石によるよりも、より高い保持力を発生させることができる。
平面的に形成された磁石というのは、個々のバーからなる、並べて配置された複数の磁石であってもよい。
重要なことは、取り付け部材に作用する力が、磁石の大きな面によってもたらされることである。
【0010】
好ましい実施形態において、磁石は、永続的な磁力を取り付け部材へもたらす、永久磁石として形成されている。
【0011】
その場合に磁石は、少なくとも部分的にベースボディの被覆面上に、あるいはそれと共に固定することができる。
一部はそれ以上の加工が困難である、磁石の製造方法にそれぞれ従って、様々な磁気的な作用物質と幾何学配置が、例えば、平面的な磁石をベースボディと接着することによって、ベースボディに固定される。
【0012】
さらに、例えば、多数の個別磁石をベースボディと螺合し、挟持し、あるいは圧接することによって、平面的に形成された磁石は、ベースボディの凹部内に配置して固定することができる。
【0013】
好ましい実施形態においては、例えば、ベースボディ上に鋳造形成することによって磁石の一体的な結合が行われることにより、ベースボディの被覆面全体を磁石として形成することができる。
【0014】
好ましくは、取り付け部材は実質的に中心長手軸に沿って形状結合で位置決め可能にベースボディ上に配置することができる。
例えば、ばねと溝による、形状結合は、ベースボディ上で取り付け部材の正確な方向付けを可能にする。
さらにこの形状結合は、ベースボディ上で取り付け部材が周方向にずれることが阻止され、それによって剪断力に基づくピーリング作用に拮抗作用する、という利点を有している。
【0015】
力のピークに基づいて磁気的な結合が外れることを阻止するために、取り付け部材は少なくとも部分的に重なることができるようにベースボディ上に配置されている。
その場合にそれぞれ2つの隣接する取り付け部材が端面の領域内で、傾きまたは持ち上がりが阻止されるように、重なり合う。
【0016】
他の好ましい実施形態においては、取り付け部材は少なくとも部分的に形状結合でベースボディと結合することができる。
それによってまた、取り付け部材に作用する力のピークがベースボディから取り付け部材を外れないことを、保証することができる。
少なくとも時々磁気的な力が減少し、あるいは無効にされる場合については、取り付け部材とべースボディの間の形状結合が、取り付け部材の完全な外れを阻止する。
【0017】
さらに、各取り付け部材とベースボディの間に凹部を配置することができ、各端面からその凹部内へ取り付け部材を外すための工具を挿入することができる。
これは、ねじ回しによって、あるいは磁石の力に抗してベースボディから取り付け部材を外す、特別に形成されたレバーによって、行うことができる。
【0018】
取り付け部材は、それぞれ複数の歯を備えた多数の歯セグメントを有し、それぞれが歯先と歯の基部を有しており、その場合に歯セグメントが互いに対して平行に配置され、かつ互いに結合されている。
歯セグメントはバー上で列をなして互いに結合されているのではなく、互いに材料結合で結合されており、それによって歯セグメントは互いに対して完全に遊びを持たない。例えば、レーザー溶接または保護ガス溶接による、材料による結合は、取り付け部材のほぼ自動的な形成を可能にする。
【0019】
第1の好ましい実施形態において、歯セグメントは少なくとも1つの溝を有しており、歯セグメントを互いに結合するためにその溝内へ少なくとも1つの溶接継ぎ目が挿入される。
溝によって、歯セグメントの外側の輪郭は変化しない。同時にこの溶接継ぎ目は、平面的に塗布されて、後に一部を削り落とされる溶接継ぎ目よりも、高い耐久限度を有している。
【0020】
少なくとも1つの溝は、好ましい形態においては歯の基部の領域内に配置されているので、溶接継ぎ目の熱は歯セグメントの、特に歯先の硬化ないし熱処理に影響を持たず、あるいは無視できる影響しか持たない。
【0021】
第2の好ましい実施形態において、少なくとも1つの歯セグメントがばねを有している。
ばねは歯の基部に配置されているので、ばねは、サーキュラーコームのベースボディの溝内へ嵌入して、それによってベースボディ上で取り付け部材を位置決めすることを可能にする。
ばねは、材料結合で、したがって、例えば、溶接方法によって歯セグメントと結合することができる。
さらに、各歯セグメントがばねを有している場合に、溶接継ぎ目はばねを有する歯セグメントに、同時に歯セグメントが材料結合によって互いに結合されるように、設けることができる。
その場合に溶接継ぎ目は、ばねと歯セグメントとの間にレーザー溶接または誘導溶接として、あるいは両側で外側から隅肉継ぎ目として、配置することができる。
【0022】
本発明の特徴によって、ベースボディと取り付け部材を極めてコストパフォーマンス良く、複雑な螺合なしで、形成することが可能である。
同時に、取り付け部材の交換は、極めて迅速かつ正確に行うことができる。
【0023】
以下、図式的に示す可能な実施例を用いて、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施例におけるサーキュラーコームの一部を示す斜視図である。
図2図1に示すサーキュラーコームを示す側面図である。
図3】本発明の実施例において、サーキュラーコームの前側を拡大して示している。
図4】本発明の他の実施例において、サーキュラーコームの前側を拡大して示している。
図5】本発明の第4の実施例において、サーキュラーコームの前側を拡大して示している。
図6図6aは、歯セグメントの側方の表示であり、図6bは歯セグメントの他の側方の表示である。
図7図7aは、溶接前の複数のセグメントのプロフィールを示しており、図7bは、溶接後の複数のセグメントのプロフィールを示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図2には、サーキュラーコーム1の一部が示されており、そのサーキュラーコームは実質的に円筒状のベースボディ2を有し、そのベースボディが中心長手軸3に沿って延びている。
この実施例において、ベースボディ2は中空円筒状の構成部分として形成されており、その構成部分を図示されない駆動軸上に取り付けることができる。
もちろん、ベースボディ2と駆動軸は一体的に形成することもできる。
ベースボディ2は、径方向の延びにおいては被覆面4によって画成されており、軸方向の延びにおいて、したがって中心長手軸3に沿っては、2つの端面5によって画成されるが、この表示においてはその端面のうちの1つしか見えない。
ベースボディ2には、少なくとも2つの取り付け部材7が固定されており、それらが被覆面4全体を覆っている。
この実施例において、ベースボディ2の図示されている部分上には、3つの取り付け部材7が配置されている。
取り付け部材7の数は、特に、サーキュラーコーム1の外径と取り付け部材7上に配置されている歯セグメント10とに依存することができ、例えば、2、4、6または8とすることができる。もちろん奇数の取り付け部材7も可能である。
【0026】
取り付け部材7は、多数の歯セグメント10からなり、それら歯セグメントが相前後して配置され、かつ互いに結合されている。
各歯セグメント10は、歯先11と歯の基部12を有する打ち抜かれた鋸歯ワイヤ片から形成され得る。
【0027】
ベースボディ2に取り付け部材7を固定することは、磁石6の力によって力結合で行われ、その磁石は永久磁石として形成されている。
磁石6は、少なくとも部分的に、ベースボディの被覆面4上に、あるいはそれと共に配置され、かつ固定されている。
これは、例えば、平面的に形成された磁石6がベースボディ2の凹部内へ挿入されて、ベースボディ2と圧接され、挟持され、あるいは螺合されるように、行うことができる。
以下においては、ベースボディ2の被覆面4と磁石6の外側面は同じものとする。
【0028】
好ましい実施形態において、磁石6は、例えば、スリーブとしてベースボディ2上に引きかぶせられ、ないしは収縮嵌めされることによって、ベースボディ2の被覆面4全体を形成を形成する。
この実施形態においては、特にプラスチック内に結合された磁石6を使用することができる。
代替的に、磁石6は、ベースボディ2上に部分的に接着することもできる。
それぞれ使用される磁石合金に従って、例えば、表面コーティング、溶接またはベースボディ2上に鋳造することによって、ベースボディ2との一体的な結合も可能である。
特に磁石6をベースボディ2と一体的に結合することは、作用する遠心力に基づいて毎分500回転以上のサーキュラーコーム1の高い回転数において効果的であり得る。
【0029】
磁石6としては、好ましくは、例えば、ネオジム−鉄−ホウ素−合金を有する、あるいは、サマリウム−コバルト−合金からなる磁石のような、高い保磁場強さを有する永久磁石が用いられ、それにおいては摂氏50°を上回る駆動温度において消磁の危険が少ない。
【0030】
ベースボディ2上に取り付け部材7を配置することは、図3によれば、歯セグメント10の歯13がサーキュラーコーム1の回転方向Rを指し、それに伴って梳くべき繊維とは逆向きになるように、行われる。
取り付け部材7の凹状の下側と極めて正確に対応しなければならない、ベースボディ2の円筒状の輪郭に基づいて、取り付け部材7を取り付けて中心長手軸3に対して平行に方向付けする場合に、所定の形状結合が与えられる。
磁石6上の被覆面4の周面上でも取り付け部材7を正確に位置決めするために、被覆面4内に溝8を配置することができ、その溝内へ、取り付け部材7の下側16に配置された、関連するばね9が嵌入する。
溝8とばね9の輪郭は、矩形または傾斜した面をもって、例えば、三角形または円錐形の断面に形成することができる。
図3の実施例において、左の取り付け部材7には矩形の横断面を有する溝8とばね9が形成されており、右の取り付け部材7には、円錐形の断面を有するものが形成されている。
溝8とばね9は、被覆面4全体に沿って、従って中心長手軸3に対して平行に、一貫して、あるいは部分的にだけ延びることができ、その場合に長手方向の最小の延びにおいては、ばね9は少なくとも1つの円筒状のピンとして形成することができ、そのピンが関連する孔内へ嵌入する。
図3の実施例においては、磁気的な層は薄く、ないしは磁石6の厚みが小さく示されているので、溝8または孔は磁気的な層を貫通して、ベースボディ2内へ少なくとも部分的に進入している。
溝8は、ベースボディ2内へ0.5から5mmの深さで進入することができる。
【0031】
ベースボディ2の周方向における、溝8とばね9とによる取り付け部材7とベースボディ2の間の形状結合の過小評価すべきでない効果は、それによって磁気的な付着のピーリング作用とそれに伴ってベースボディ2上で取り付け部材7がずれることに拮抗作用することである。
個々の取り付け部材7に作用する遠心力に、周方向において歯13へ接線状に作用するコーミング力が重畳される。
回転数が極めて高い場合には、もたらされる磁気的な力が減少するので、それによってピーリグ作用を阻止することができるが、そうでないとそのピーリング作用はベースボディ上の取り付け部材7のずれをもたらすだけでなく、例えば、梳くべき繊維内の肥厚によってもたらされる、歯13に作用する好ましくない力のピークと結びついて、取り付け部材7の傾きをもたらすことがあり、それによって磁石6と取り付け部材7の間の間隔の増大に基づいて磁気的な力が急激に低下してしまう。
【0032】
取り付け部材7のまさにこの傾きを阻止するために、取り付け部材7は、部分的に重ねることができる。
図4に示す実施例において、ベースボディ2上に左と右の取り付け部材7が配置されている。
各取り付け部材7は、中心長手軸3に対して平行に延びる2つの対向する端面の領域に突出部7aと切り欠き7bを有しており、それらはこの実施例においては著しく拡大して示されている。
製造技術的に、突出部7aと切り欠き7bは、研磨方法によって形成することができる。
切り欠き7bは取り付け部材7の、傾斜した歯13の方向に位置する、従ってサーキュラーコーム1の回転方向Rにおいて歯13が最初に繊維内へ進入する箇所に、配置されている。
突出部7aは取り付け部材7の、対向する前側に、したがって傾斜した歯13の方向とは逆に、配置されている。
図4に記載の実施例に示すように、回転方向Rにおいて右の取り付け部材7の突出部7aが、後続の、あるいは左の取り付け部材7の切り欠き7bの領域と重なる。
左の取り付け部材7の歯が繊維と係合しており、先行する取り付け部材7上にはコーミング力がもはや作用しないと仮定して、右の取り付け部材7の磁気的な力が左の取り付け部材7の持ち上がりまたは傾きを阻止する。
【0033】
図5に示す他の実施形態において、取り付け部材7はベースボディ2と相補形状で結合することもできる。
この実施例において、取り付け部材7の一部が、ベースボディ2内へ進入している。同時に、右の取り付け部材7によって突出部7aによる重なりを行うこともできる。
【0034】
取付部材7を取り外すために、片方または両方の端面5の領域内内で、取り付け部材7内またはベースボディ2内に凹部17が形成されており、取り付け部材7を取り外すために工具がその凹部内へ嵌入して、梃子の力を発生させることができる。
この実施例において、凹部17は取り付け部材7の前側の領域内に配置されており、その領域に突出部7aも配置されている。
【0035】
図6a〜7bを参照すると、各取り付け部材7は多数の歯セグメント10からなり、それらが中心長手軸3の方向に相前後して列をなしている。
各歯セグメント10は、それぞれ歯先11と歯の基部12とを有する複数の歯13からなる。歯先11は、サーキュラーコームの回転方向において梳くべき繊維へ向けられている。
図6aの実施例によれば、歯の基部12の領域において、各歯セグメント10に少なくとも1つの溝14ないし凹部が形成されており、それが溶接継ぎ目15を収容するために用いられる。
したがって取り付け部材7は、互いに列をなして接し、かつ互いに溶接された多数の歯セグメント10を有しており、その場合に溶接継ぎ目15は中心長手軸3に対して平行に配置されている。
この実施例においては、2つの互いに対して離隔して配置された溝14が配置されているので、歯セグメント10は溶接後は、もはや中心長手軸3の方向に互いに対して引っ張ったり、ひねったりすることはできない。
2つまたはそれ以上の互いに離隔した溝14の代わりに、面にわたって溶接を行うこともできる。
【0036】
図6bに示す他の実施例において、少なくとも1つの歯セグメント10が別体の、あるいは一体的なばね9を有している。
ばね9は歯の基部12に、したがって下側16に配置されているので、ばね9は、サーキュラーコーム1のベースボディ2の溝8内へ嵌入して(図3)、それによってベースボディ2上で取り付け部材7の位置決めを可能にする。
別体の構成部分としてのばね9は、材料結合で、したがって、例えば、溶接方法によって、歯セグメント10と結合することができる。
さらに、各歯セグメント10がばね9を有している場合には、溶接継ぎ目15は、同時に歯セグメント10が材料結合で互いに結合されるようにして、ばね9を有する歯セグメント10に設けることができる。
その場合にレーザー溶接または誘導溶接としての溶接継ぎ目15は、ばね9と歯接10の間に配置することができ、あるいは両側の外側から隅肉継ぎ目として形成することができる。
【0037】
図7aには、複数の歯セグメント10が互いに並べてプロフィールで示されており、その場合に歯セグメント10の互いに対する方向付けは、平行ではなく、予め定められた角度αで行われる。
歯の基部12は、もっとも下の点においてだけ接触しており、歯先11へ向かって互いに離れる。
歯セグメント10の下側に溶接継ぎ目15が設けられることにより、歯セグメント10が互いに溶接される間、ないしはその後に、歯セグメント10は溶接継ぎ目15内に滞留することによって互いに対して整合するので(図7b)、その後は互いに対して平行に配置されて、歯の基部12の領域内で全面的に接触する。
溶接後に0°となる、角度αは、特に溶接方法と溶接継ぎ目15の大きさに依存し、前もって取り付ける際に各取り付け部材7のために調節することができる。
正しい角度αの調節は、図示されない装置内の中間片によって行うことができ、その中間片は歯先11の間に配置される。
この図示されない装置は、湾曲した表面を有することができ、その表面上に歯セグメント10がその下側16をもって相前後して配置される。
表面の湾曲は、角度αおよび溶接継ぎ目15の予測される滞留に関連する。
溶接方法として、特に保護ガス溶接またはレーザー溶接を使用することができ、それが特に自動化された形成を可能にする。
【0038】
溶接し、かつ、場合によっては、取り付け部材7をさらに熱処理した後に、取り付け部材7の下側16が過回転および/または研磨されて、ベースボディ2の被覆面4に正確に適合される。
特に各歯13の下側16から尖端までの取り付け部材7の高さは、正確に調節することができるので、取り付け部材7の迅速な交換によって、サーキュラーコーム1を迅速に整備することができる。
並べて列に配置されて、溶接された歯セグメント10は、バーの上に列をなして並べられた歯セグメントに比較して、歯セグメント10が互いに対して遊びなしに結合されている、という利点を提供する。
バーの上に列をなして並べられた歯セグメントにおいては、取り付け後も歯セグメント内の孔とバーとの間に遊びが存在するので、歯13の尖端からサーキュラーコーム1の被覆面4までの間隔が、小さい領域内で変化することがあり得る。
【0039】
本発明によれば、取り付け部材7の効率的かつコストパフォーマンスのよい形成が可能である。
さらに、本発明は、ベース部材2上に取り付け部材7を簡単に取り付けることを可能にするので、磨耗した取り付け部材7の迅速かつ正確な交換が保証されている。
【符号の説明】
【0040】
1 サーキュラーコーム
2 ベースボディ
3 中心長手軸
4 被覆面
5 端面
6 磁石
7 取り付け部材
7a 突出部
7b 切り欠き
8 溝
9 ばね
10 歯セグメント
11 歯先
12 歯の基部
13 歯
14 溝
15 溶接継ぎ目
16 下側
17 凹部
α 角度
R 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7a
図7b